IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 横河電機株式会社の特許一覧 ▶ 横河ソリューションサービス株式会社の特許一覧

特開2023-81748推定方法、推定システム及び推定プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023081748
(43)【公開日】2023-06-13
(54)【発明の名称】推定方法、推定システム及び推定プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/392 20190101AFI20230606BHJP
   G01R 31/367 20190101ALI20230606BHJP
   G01R 31/389 20190101ALI20230606BHJP
   G01R 31/387 20190101ALI20230606BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20230606BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
G01R31/392
G01R31/367
G01R31/389
G01R31/387
H01M10/48 P
H02J7/00 Q
H02J7/00 M
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021195710
(22)【出願日】2021-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】513213966
【氏名又は名称】横河ソリューションサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中込 勝
(72)【発明者】
【氏名】吉武 哲
(72)【発明者】
【氏名】数見 昌弘
【テーマコード(参考)】
2G216
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
2G216BA22
2G216BA23
2G216BA26
2G216BA51
2G216BA64
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB02
5G503CA05
5G503CA11
5G503EA05
5G503EA09
5H030AA10
5H030AS20
5H030FF41
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
5H030FF52
(57)【要約】
【課題】限られたデータからでも蓄電池の容量値や内部抵抗値を推定できるようにする。
【解決手段】推定方法は、異なる劣化度ごとの、参照蓄電池の積算電流量に対する電圧値を示す充放電曲線の微分曲線に現れる特徴点に関する値と、参照蓄電池の容量値及び内部抵抗値の少なくとも一方との間で、回帰解析を行うことと、回帰解析の結果と、推定対象の蓄電池の微分曲線に現れる特徴点に関する値とに基づいて、推定対象の蓄電池の容量値及び内部抵抗値の少なくとも一方を推定することと、を含む。
【選択図】図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる劣化度ごとの、参照蓄電池の積算電流量に対する電圧値を示す充放電曲線の微分曲線に現れる特徴点に関する値と、前記参照蓄電池の容量値及び内部抵抗値の少なくとも一方との間で、回帰解析を行うことと、
前記回帰解析の結果と、推定対象の蓄電池の微分曲線に現れる特徴点に関する値とに基づいて、前記推定対象の蓄電池の容量値及び内部抵抗値の少なくとも一方を推定することと、
を含む、
推定方法。
【請求項2】
前記回帰解析の結果は、回帰関数の係数を含み、
前記推定は、前記係数と、前記推定対象の蓄電池の微分曲線に現れる特徴点に関する値との乗算を含む、
請求項1に記載の推定方法。
【請求項3】
前記回帰関数は、一次関数によって記述され、
1つの微分曲線に複数の特徴点が現れ、
前記回帰解析の結果は、前記参照蓄電池の微分曲線に現れる複数の特徴点に対応する複数の回帰関数それぞれの係数を含み、
前記推定は、前記複数の回帰関数のうちの相関係数が最も1に近い回帰関数の係数と、前記推定対象の蓄電池の微分曲線に現れる複数の特徴点のうちの前記相関係数が最も1に近い回帰関数に対応する特徴点に関する値との乗算を含む、
請求項2に記載の推定方法。
【請求項4】
前記回帰関数は、一次関数によって記述され、
1つの微分曲線に複数の特徴点が現れ、
前記回帰解析の結果は、前記参照蓄電池の微分曲線に現れる複数の特徴点に対応する複数の回帰関数それぞれの係数を含み、
前記推定は、前記複数の回帰関数のうちの相関係数が閾値以上の回帰関数の係数と、前記推定対象の蓄電池の微分曲線に現れる複数の特徴点のうちの前記相関係数が閾値以上の回帰関数に対応する特徴点に関する値との乗算を含む、
請求項2に記載の推定方法。
【請求項5】
前記回帰関数は、複数の一次関数によって記述され、
前記複数の一次関数は、前記参照蓄電池の劣化度が比較的小さい区間に対応する第1の一次関数、及び、前記参照蓄電池の劣化度が比較的大きい区間に対応する第2の一次関数を含む、
請求項2~4のいずれか1項に記載の推定方法。
【請求項6】
前記回帰関数は、多次関数及び重回帰関数の少なくとも一方によって記述される、
請求項2に記載の推定方法。
【請求項7】
前記推定対象の蓄電池が、前記参照蓄電池であり、
前記推定方法は、
前記推定対象の蓄電池の劣化の進行とともに、前記回帰解析を繰り返し行い、前記回帰解析の結果を更新すること、
を含む、
請求項1~6のいずれか1項に記載の推定方法。
【請求項8】
前記微分曲線は、電圧値に対する、積算電流量を電圧値で微分した微分値を示し、
前記特徴点に関する値は、前記微分曲線に現れるピークにおける電圧値及び微分値の少なくとも一方を含む、
請求項1~7のいずれか1項に記載の推定方法。
【請求項9】
異なる劣化度ごとの、参照蓄電池の積算電流量に対する電圧値を示す充放電曲線の微分曲線に現れる特徴点に関する値と、前記参照蓄電池の容量値及び内部抵抗値の少なくとも一方との間で、回帰解析を行う回帰解析部と、
前記回帰解析の結果と、推定対象の蓄電池の微分曲線に現れる特徴点に関する値とに基づいて、前記推定対象の蓄電池の容量値及び内部抵抗値の少なくとも一方を推定する推定部と、
を備える、
推定システム。
【請求項10】
コンピュータに、
異なる劣化度ごとの、参照蓄電池の積算電流量に対する電圧値を示す充放電曲線の微分曲線に現れる特徴点に関する値と、前記参照蓄電池の容量値及び内部抵抗値の少なくとも一方との間で、回帰解析を行う処理と、
前記回帰解析の結果と、推定対象の蓄電池の微分曲線に現れる特徴点に関する値とに基づいて、前記推定対象の蓄電池の容量値及び内部抵抗値の少なくとも一方を推定する処理と、
を実行させる、
推定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、推定方法、推定システム及び推定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電池の充放電曲線の微分曲線に基づいて蓄電池の劣化を推定する技術が知られている(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6485041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
劣化した蓄電池の容量値や内部抵抗値を推定できれば便利である。具体的な推定手法について、検討の余地が残る。使用中の蓄電池から得られるデータが限られるという問題もある。
【0005】
本発明は、限られたデータからでも蓄電池の容量値や内部抵抗値を推定できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一側面に係る推定方法は、異なる劣化度ごとの、参照蓄電池の積算電流量に対する電圧値を示す充放電曲線の微分曲線に現れる特徴点に関する値と、参照蓄電池の容量値及び内部抵抗値の少なくとも一方との間で、回帰解析を行うことと、回帰解析の結果と、推定対象の蓄電池の微分曲線に現れる特徴点に関する値とに基づいて、推定対象の蓄電池の容量値及び内部抵抗値の少なくとも一方を推定することと、を含む。
【0007】
一側面に係る推定システムは、異なる劣化度ごとの、参照蓄電池の積算電流量に対する電圧値を示す充放電曲線の微分曲線に現れる特徴点に関する値と、参照蓄電池の容量値及び内部抵抗値の少なくとも一方との間で、回帰解析を行う回帰解析部と、回帰解析の結果と、推定対象の蓄電池の微分曲線に現れる特徴点に関する値とに基づいて、推定対象の蓄電池の容量値及び内部抵抗値の少なくとも一方を推定する推定部と、を備える。
【0008】
一側面に係る推定プログラムは、コンピュータに、異なる劣化度ごとの、参照蓄電池の積算電流量に対する電圧値を示す充放電曲線の微分曲線に現れる特徴点に関する値と、参照蓄電池の容量値及び内部抵抗値の少なくとも一方との間で、回帰解析を行う処理と、回帰解析の結果と、推定対象の蓄電池の微分曲線に現れる特徴点に関する値とに基づいて、推定対象の蓄電池の容量値及び内部抵抗値の少なくとも一方を推定する処理と、を実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、限られたデータからでも蓄電池の容量値や内部抵抗値を推定できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】準備段階における推定システム1の概略構成の例を示す図である。
図2】参照データ91の例を示す図である。
図3図2に対応する充放電曲線の例を示す図である。
図4図3に対応する微分曲線の例を示す図である。
図5】ピークPの検出の例を示す図である。
図6】ピークPごとのデータの例を示す図である。
図7】参照蓄電池Rの劣化の例を示す図である。
図8】電圧値VPと容量値との間の回帰解析の例を示す図である。
図9】微分値DPと容量値との間の回帰解析の例を示す図である。
図10】電圧値VPと抵抗値比率との間の回帰解析の例を示す図である。
図11】微分値DPと抵抗値比率との間の回帰解析の例を示す図である。
図12】回帰解析の結果の例を示す図である。
図13】係数データ92の例を示す図である。
図14】推定システム1の準備(製造方法)の例を示すフローチャートである。
図15】推定段階における推定システム1の概略構成の例を示す図である。
図16】取得データ94の例を示す図である。
図17図16に対応する充放電曲線の例を示す図である。
図18図17に対応する微分曲線の例を示す図である。
図19】ピークPの検出の例を示す図である。
図20】推定システム1による容量値及び内部抵抗値の推定(推定方法)の例を示すフローチャートである。
図21】ピークPにおける電圧値VPと容量値との関係を示す図である。
図22】回帰解析の結果の更新の例を示すフローチャートである。
図23】推定システム1のハードウェア構成の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ実施形態について説明する。同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0012】
<序>
リチウムイオン電池等の蓄電池は、蓄電池システムに搭載されて使用される。蓄電池システムの使用とともに、蓄電池の劣化が進む。蓄電池が劣化すると、蓄電池の容量値が小さくなったり、蓄電池の内部抵抗値が大きくなったりする。容量値や内部抵抗値は、蓄電池システムの運用の観点で重要なパラメータである。容量値を例に挙げると、従来は、蓄電池を完全放電状態から満充電状態まで充電させ、その際の積算電流量を蓄電池の容量値として求めたり、蓄電池を劣化させて作成したデータをもとにこれまでの運用履歴から蓄電池の容量値を統計的手法で求めたりしていた。
【0013】
しかしながら、蓄電池を完全放電状態から満充電状態まで充電させる場合には、蓄電池システムの運用を停止する必要があり、機会損失が発生する。統計的手法では、必ずしも取得したデータ通りに容量値が小さくなるとは限らず、また、求めた容量値が正しいかどうかを検証する手段がない。
【0014】
上述の課題の少なくとも一部が、開示される技術によって対処される。詳細は後述するが、異なる劣化度ごと、すなわち異なる容量値や内部抵抗値ごとの、参照蓄電池の時刻、電圧値、電流値等のデータが取得される。取得されたデータから得られる充放電曲線の微分曲線に現れる特徴点と、容量値や内部抵抗値との間の回帰解析(回帰分析等とも呼ばれる)が行われる。推定対象の蓄電池の充放電時のデータから得られる特徴点と、予め行われた回帰解析の結果とに基づいて、その蓄電池の容量値や内部抵抗値が推定される。例えば、蓄電池システムの運用を停止せずとも、運用中の蓄電池システムから得られるデータに基づいて、蓄電池の容量値や内部抵抗値を推定することが可能になる。
【0015】
<実施形態>
<準備段階>
図1図14を参照し、実施形態に係る推定方法に供することのできる推定システム1の準備(製造方法)の例について説明する。目的の1つは、後述の係数データ92の生成である。
【0016】
図1は、準備段階における推定システム1の概略構成の例を示す図である。推定システム1は、蓄電池の容量値及び内部抵抗値の少なくとも一方を推定する。とくに説明がある場合を除き、蓄電池は、蓄電池として扱うことのできる最小単位の構成であるものとする。そのような蓄電池は、電池セル等とも称される。蓄電池の電圧の値及び電流の値を、電圧値V及び電流値Iとも称する。例えば、プラスの電流値Iが放電電流値に対応し、マイナスの電流値Iが充電電流値に対応する。
【0017】
図1に示される例では、参照蓄電池Rが充放電測定装置30に接続される。先に充放電測定装置30について説明し、その後、推定システム1について説明する。
【0018】
充放電測定装置30は、参照蓄電池Rを充放電させる。例えば定電流充電や定電流放電が可能である。充放電測定装置30は、充電時や放電時の参照蓄電池Rの電圧値V及び電流値Iを、例えば、所定の周期で測定する。測定時刻を、時刻Tと称する。充放電測定装置30は、時刻T、電圧値V及び電流値Iを含むデータを出力する。出力されるデータには、参照蓄電池RのSOCも含まれてよい。
【0019】
充放電測定装置30による上記の測定は、参照蓄電池Rの劣化の進行の程度が異なる複数の劣化度それぞれで行われる。劣化度が異なると、参照蓄電池Rの容量値や内部抵抗値が異なる。
【0020】
推定システム1は、通信部2と、計算部Cと、データ判別部3と、微分処理部4と、ピーク検出部5と、回帰解析部6と、ピーク判定部7と、推定部8と、記憶部9とを含む。記憶部9に記憶される情報として、参照データ91、係数データ92及びプログラム93が例示される。参照データ91及び係数データ92については後述する。プログラム93は、推定システム1による各処理をコンピュータに実行させるためのプログラム(ソフトウェア)である。
【0021】
なお、推定システム1は、1つの装置(推定装置)で構成されてもよいし、複数の装置で構成されてもよい。装置は、ネットワークを介して利用可能な装置(例えばクラウドサーバ装置)であってもよい。
【0022】
通信部2は、推定システム1の外部と通信する。この例では、通信部2は、充放電測定装置30と通信し、充放電測定装置30からのデータ、すなわち参照蓄電池Rの充電時や放電時の時刻T、電圧値V及び電流値Iを取得(受信)する。取得されたデータは、参照データ91として記憶部9に記憶される。
【0023】
計算部Cは、参照蓄電池Rの容量値を計算する。例えば、充放電測定装置30によって、使用可能な電圧範囲の下限値から上限値まで参照蓄電池Rが充電され、その間の電流値Iが通信部2を介して取得される。計算部Cは、その充電の間の電流値Iを積算して得られる積算電流量(Ah)を、参照蓄電池Rの容量値として計算する。積算は時間による積算であり、積算時間は時刻Tの間隔から得られる。充電ではなく放電によって容量値が計算されてもよい。
【0024】
また、計算部Cは、参照蓄電池Rの内部抵抗値を計算する。例えば、計算部Cは、参照蓄電池Rの充電又は放電中の電流値I、並びに、参照蓄電池RのSOCに対応する開放電圧値と参照蓄電池Rの電圧値Vとの差から、参照蓄電池Rの内部抵抗値を計算する。内部抵抗値は、決められたSOCでの内部抵抗値であってもよい。内部抵抗値がSOCによって変化する場合でも、その影響を回避することができる。
【0025】
容量値や内部抵抗値の計算には、上記以外の種々の公知の手法が用いられてもよい。計算部Cによって計算された参照蓄電池Rの容量値及び内部抵抗値を、「容量値xxx」及び「内部抵抗値xxx」として図示する。xxxは、任意の数値を模式的に示す。これらの容量値及び内部抵抗値も、参照データ91として記憶部9に記憶される。
【0026】
なお、参照蓄電池Rの容量値は、充放電測定装置30で計算されてもよい。その場合には、充放電測定装置30において容量値が計算され、出力される。通信部2が受信する充放電測定装置30からのデータには、容量値も含まれる。計算部Cによる容量値の計算は行われなくてよい。
【0027】
図2は、参照データ91の例を示す図である。参照データ91は、参照蓄電池Rの容量値や内部抵抗値ごと(劣化度ごと)に、時刻Tと、電圧値Vと、電流値Iとを対応付けて記述する。各劣化度に対応する参照データ91を、参照データ91-1、参照データ91-2及び参照データ91-3等と称し図示する。
【0028】
図1に戻り、データ判別部3による判別は、準備段階では実行されず、後述の推定段階で実行される。
【0029】
微分処理部4は、異なる劣化度ごと(参照データ91ごと)の充放電曲線の微分曲線を生成する。充放電曲線は、QV曲線、QV特性等とも称され、電圧値Vに対する積算電流量Q(Ah)を示す。積算電流量Qは、微分処理部4が電流値Iを積算することによって得られる積算値である。なお、充放電曲線は、充電曲線及び放電曲線の一方を指し示すものであってよい。
【0030】
図3は、図2に対応する充放電曲線の例を示す図である。グラフの横軸は積算電流量Q(Ah)を示し、縦軸は電圧値V(V)を示す。異なる容量値や内部抵抗値ごとに、図示されるような充放電曲線が得られる。
【0031】
図1に戻り、微分処理部4は、充放電曲線を微分することによって、微分曲線を生成する。例えば、微分処理部4は、積算電流量Qを電圧値Vで微分することによって、微分値dQ/dV(Ah/V)を算出する。その場合の微分曲線は、電圧値Vに対する微分値dQ/dVを示す。
【0032】
図4は、図3に対応する微分曲線の例を示す図である。グラフの横軸は電圧値(V)を示し、縦軸は微分値dQ/dV(Ah/V)を示す。先に説明した図3に示される充放電曲線に対応して、異なる容量値や内部抵抗値ごとに、図示されるような微分曲線が生成される。
【0033】
微分曲線には、1つ以上の特徴点が現れる。特徴点の例は、微分曲線において微分値dQ/dVが最大となる位置(点)であり、ピークPと称し図示する。以下、矛盾の無い範囲において、ピークPは、特徴点に適宜読み替えられてよい。ピークPは、極大を含む意味に解されてよい。図4に示される例では、1つの微分曲線に複数のピークPが現れる。
【0034】
図1に戻り、ピーク検出部5は、微分曲線に現れる1つ以上のピークPを検出する。また、ピーク検出部5は、ピークPに関する値、より具体的にはピークPにおける電圧値V及び微分値dQ/dVも検出する。
【0035】
図5は、ピークPの検出の例を示す図である。この例では、3つのピークPが検出される。各ピークPを区別できるように、ピークP-1、ピークP-2及びピークP-3と称し図示する。各ピークPは、対応する電圧値Vの大きさや範囲に基づいて区別(特定、識別等)可能である。例えば、ピークPが現れ始める電圧値V(ピークPの開始電圧)によって、各ピークPが区別される。微分処理部4は、各ピークPにおける電圧値V及び微分値dQ/dVを検出する。
【0036】
ピークPにおける電圧値Vを、電圧値VPとも称する。ピークP-1、ピークP-2及びピークP-3それぞれにおける電圧値VPを区別できるように、電圧値VP-1、電圧値VP-2及び電圧値VP-3と称し図示する。
【0037】
ピークPにおける微分値dQ/dVを、微分値DPとも称する。ピークP-1、ピークP-2及びピークP-3それぞれにおける微分値DPを区別できるように、微分値DP-1、微分値DP-2及び微分値DP-3と称し図示する。
【0038】
上述の検出により、ピークPごとに、参照蓄電池Rの容量値及び内部抵抗値と、電圧値VP及び微分値DPとが対応付けられた(結び付けられた)データが得られる。
【0039】
図6は、ピークPごとのデータの例を示す図である。この例では、内部抵抗値は、抵抗値比率で表される。抵抗値比率は、劣化前(例えば初期)の内部抵抗値に対する比率である。内部抵抗値が劣化前の内部抵抗値と同じ場合には、抵抗値比率は1である。
【0040】
ピークP-1のデータを例に挙げて述べると、容量値と、電圧値VP-1とが対応付けられる。容量値と、微分値DP-1とが対応付けられる。抵抗値比率と、電圧値VP-1とが対応付けられる。抵抗値比率と、微分値DP-1とが対応付けられる。他のピークPのデータ、すなわちピークP-2及びピークP-3等のデータについても同様である。
【0041】
理解されるように、容量値や内部抵抗値が変化するにつれて、すなわち参照蓄電池Rの劣化が進むにつれて、電圧値VPや微分値DPも変化する。
【0042】
図7は、参照蓄電池Rの劣化の例を示す図である。図7の(A)には、定電流充電時の充放電曲線が例示される。実線のグラフ線は、劣化前(初期)の充放電曲線を示す。破線のグラフ線は、劣化後の充放電曲線を示す。
【0043】
参照蓄電池Rの劣化が進むと、同じ積算電流量Qに対する電圧値Vが変化する。参照蓄電池Rの劣化が進むと、充電時の充放電曲線の電圧値Vが上昇する。その分、充電可能な電力量は小さくなり、参照蓄電池Rの容量値も小さくなる。電圧値Vの変化は、参照蓄電池Rの内部抵抗の変化にも起因する。
【0044】
図7の(B)には、微分曲線が例示される。白抜き矢印で模式的に示されるように、参照蓄電池Rの劣化が進むと、電圧値VP及び微分値DPも変化する。ここで、電圧値VPや微分値DPの変化と容量値との間に、関連性(例えば相関)が存在する。電圧値VPや微分値DPの変化と内部抵抗値との間にも、関連性が存在する。
【0045】
図1に戻り、回帰解析部6は、参照蓄電池Rの微分曲線に現れるピークPに関する値と、参照蓄電池Rの容量値や内部抵抗値との間で、回帰解析を行う。例えば下記の4通りの回帰解析が行われる。
電圧値VPと容量値との間の回帰解析。
微分値DPと容量値との間の回帰解析。
電圧値VPと抵抗値比率との間の回帰解析。
微分値DPと抵抗値比率との間の回帰解析。
【0046】
具体的に、回帰解析部6は、回帰関数を算出する。回帰関数中の定数及び係数を、定数a及び係数kと称する。ここでは、回帰関数は、一次関数によって記述される回帰直線であるものとする。上述の4通りの回帰解析について、図8図11を参照して説明する。
【0047】
図8は、電圧値VPと容量値との間の回帰解析の例を示す図である。グラフ中のプロットは、参照データ91から得られる値である。電圧値VPが大きくなるにつれて容量値が小さくなり、両者の間に相関がみられる。回帰解析部6は、参照データ91に基づいて、グラフ線で示される回帰関数を求める。回帰関数は、例えば下記の式(1)で表される。式中の定数a及び係数kは、定数a及び係数kの一例である。
【数1】
【0048】
図9は、微分値DPと容量値との間の回帰解析の例を示す図である。微分値DPが大きくなるにつれて容量が大きくなり、両者の間に相関がみられる。回帰関数は、例えば下記の式(2)で表される。式中の定数a及び係数kは、定数a及び係数kの一例である。
【数2】
【0049】
図10は、電圧値VPと抵抗値比率との間の回帰解析の例を示す図である。電圧値VPが大きくなるにつれて抵抗値比率が大きくなり、両者の間に相関がみられる。回帰関数は、例えば下記の式(3)で表される。式中の定数a及び係数kは、定数a及び係数kの一例である。
【数3】
【0050】
図11は、微分値DPと抵抗値比率との間の回帰解析の例を示す図である。微分値DPが大きくなるにつれて抵抗値比率が小さくなり、両者の間に相関がみられる。回帰関数は、例えば下記の式(4)で表される。式中の定数a及び係数kは、定数a及び係数kの一例である。
【数4】
【0051】
例えば上記のような定数aや係数kが、回帰解析部6によって算出される。回帰関数の相関係数も、回帰解析部6によって算出されてよい。複数のピークPに対応する複数の回帰関数それぞれの定数a、係数k及び相関係数が、回帰解析の結果に含まれる。以下、定数a及び係数kをまとめて、係数k等とも称する。
【0052】
図12は、回帰解析の結果の例を示す図である。ピークPと、係数k等と、相関係数とが対応付けられる。この例では、ピークP-1~ピークP-3それぞれについて、係数k等とその回帰関数の相関係数とが対応付けられ、係数k等とその回帰関数の相関係数とが対応付けられ、係数k等とその回帰関数の相関係数とが対応付けられ、係数k等とその回帰関数の相関係数とが対応付けられる。
【0053】
図1に戻り、ピーク判定部7は、後述の推定段階における容量値の推定や内部抵抗値の推定に適したピークP及び係数k等を選択する。例えば、回帰関数の相関係数が最も1に近いピークPや、回帰関数の相関係数が閾値以上のピークPが選択される。閾値を1に近づけるほど、相関の強いピークPだけが選択され、相関の弱いピークPは選択されないようになる。閾値の例は0.96等である。
【0054】
先に説明した例では、容量値に関連する係数kとして、係数k及び係数kの2つの係数kが存在する。係数kの回帰関数及び係数kの回帰関数の少なくとも一方が上記の選択の条件を満たすピークPが、その条件を満たす係数k等とともに選択されてよい。同様に、抵抗値比率に関する係数kとして、係数k及び係数kが存在する。係数kの回帰関数及び係数kの回帰関数の少なくとも一方が上記の選択の条件を満たすピークPが、その条件を満たす係数kとともに選択されてよい。選択されたピークP及び係数k等を含むデータは、係数データ92として記憶部9に記憶される。
【0055】
図13は、係数データ92の例を示す図である。係数データ92は、容量値推定用データと、内部抵抗値推定用データとを含む。容量値推定用データは、容量値の推定に適したピークP及び係数k等(この例ではピークP-2及び係数k等)、並びに、充放電時電流値等を指定する。充放電時電流値は、充電時又は放電時の電流値Iを示す。
【0056】
内部抵抗推定用データは、内部抵抗値の推定に適したピークP及び係数k等(この例ではピークP-2及び係数k等)、並びに、初期内部抵抗値及び充放電電流値等を指定する。初期内部抵抗値は、劣化前の内部抵抗値であり、抵抗値比率が1となる内部抵抗値である。
【0057】
図1に戻り、推定部8による推定は、準備段階では実行されず、後述の推定段階で実行される。
【0058】
図14は、推定システム1の準備(製造方法)の例を示すフローチャートである。これまでと重複する内容については、適宜説明を省略する。
【0059】
ステップS1において、参照データ91が蓄積される。充放電測定装置30は、異なる劣化度(異なる容量値や内部抵抗値)ごとに、参照蓄電池Rを充放電させる。推定システム1の通信部2は、充放電時の参照蓄電池Rのデータを、充放電測定装置30から取得する。取得されたデータ、さらには計算部Cによって計算された容量値や内部抵抗値が、参照データ91として記憶部9に記憶され蓄積される。詳細は先に図2を参照して説明したとおりである。
【0060】
ステップS2において、微分処理が実行される。推定システム1の微分処理部4は、異なる劣化度ごとの微分曲線を生成する。詳細は先に図3及び図4を参照して説明したとおりである。
【0061】
ステップS3において、ピークPが検出される。推定システム1のピーク検出部5は、微分曲線に現れる1つ以上のピークP、並びに、ピークPにおける電圧値VP及び微分値DPを検出する。複数のピークPが検出される場合には、ピークPごとに、参照蓄電池Rの容量値及び内部抵抗値と、電圧値VP及び微分値DPとが対応付けられたデータが得られる。詳細は先に図5及び図6を参照して説明したとおりである。
【0062】
ステップS4及びステップS5において、各ピークPについての回帰解析が行われる。ステップS4において、推定システム1の回帰解析部6は、1つのピークP(例えばピークP-1)における電圧値VPや微分値DPと、容量値や内部抵抗値との間で、回帰解析を行う。回帰関数の係数k等や相関関係数が算出される。ステップS5において、すべてのピークPについての回帰解析が終了した場合(ステップS5:Yes)、ステップS6に処理が進められる。そうでない場合(ステップS5:No)、ステップS4に処理が戻され、別のピークP(例えばピークP-2、ピークP-3等)についての回帰解析が行われる。先に説明した図12に示されるような回帰解析結果が得られる。
【0063】
ステップS6において、ピーク判定が行われる。推定システム1のピーク判定部7は、容量値の推定や内部抵抗値の推定に適したピークP及び係数k等を選択する。選択されたピークP及び係数k等を含む係数データ92が、記憶部9に記憶される。詳細は先に図13を参照して説明したとおりである。
【0064】
ステップS6の処理の完了後、フローチャートの処理は終了する。
【0065】
例えば以上のようにして、記憶部9に係数データ92が記憶された推定システム1の準備が完了する。準備した係数データ92を活用して、次に説明するように、推定対象の蓄電池の容量値や内部抵抗値を推定することができる。
【0066】
<推定段階>
図15図20を参照し、推定システム1による推定の例について説明する。
【0067】
図15は、推定段階における推定システム1の概略構成の例を示す図である。この例では、推定システム1は、運用中の蓄電池システム10を構成する蓄電池11の容量値や内部抵抗値を推定する。この推定段階における推定システム1は、先に説明した図1に示される準備段階における推定システム1とは異なる場所で用いられてよく、また、準備段階における推定システム1とは異なる装置等によって実現されてよい。
【0068】
蓄電池システム10は、蓄電池11と、監視部12とを含む。この例では、蓄電池11は、複数の蓄電池11であり、直列接続されたり並列接続されたりした状態で用いられる。そのような状態で用いられる複数の蓄電池11は、電池モジュール、電池ユニット等とも称される。各蓄電池11を区別できるように、蓄電池11-1、蓄電池11-2及び11-3等と称し図示する。
【0069】
推定対象の蓄電池11は、先に説明した参照蓄電池R(図1)と同様の特性を有する蓄電池である。例えば、蓄電池11と参照蓄電池Rとは、メーカ、型番、設計仕様(材料構成等)等が共通する。
【0070】
監視部12は、例えば蓄電池11の電圧値V及び電流値Iを所定の周期で検出等することによって、蓄電池11を監視する。監視部12は、時刻T、電圧値V及び電流値I等を含む充放電データを、外部に出力する。充放電データには、蓄電池11を特定するための識別情報(ID等)も含まれてよい。
【0071】
推定システム1の通信部2は、蓄電池システム10と通信し、蓄電池システム10からの充放電データ、すなわち各蓄電池11について、時刻T、電圧値V、電流値I等を取得(受信)する。通信部2によって取得されたデータは、取得データ94として記憶部9に記憶される。
【0072】
図16は、取得データ94の例を示す図である。取得データ94は、蓄電池11ごとに、時刻Tと、電圧値Vと、電流値Iとを対応付けて記述する。各蓄電池11に対応する取得データ94を、取得データ94-1、取得データ94-2及び取得データ94-3等と称し図示する。
【0073】
ここで、運用中の蓄電池システム10から得られるデータは、蓄電池11の使用可能な電圧範囲のうちの、一部の電圧範囲のデータに限られる場合も少なくない。取得データ94は、そのような限られたデータであってよい。
【0074】
図17は、図16に対応する充放電曲線の例を示す図である。各蓄電池11について、例えば図示されるような(この例では一部の)充放電曲線が得られる。
【0075】
図15に戻り、計算部Cによる計算は、推定段階では実行されず、先に説明した推定段階で実行される。
【0076】
データ判別部3は、取得データ94が解析可能か否かを判別(判定等)する。具体的に、取得データ94が、蓄電池11の容量値の推定や内部抵抗値の推定に用いることができるか否かが判別される。判別のいくつかの具体例について説明する。
【0077】
例えば、充電時に取得された取得データ94であれば、充電開始時の電圧値Vが、係数データ92によって指定されたピークPが現れ始める電圧(ピークPの開始電圧)以下の場合に、解析可能であると判別される。充電に応じて電圧値Vが上昇していくので、充電の間にそのピークPの前後を含むデータが得られる可能性が高いからである。
【0078】
例えば、放電時に取得された取得データ94であれば、係数データ92によって指定されたピークPの開始電圧以上の電圧値Vが含まれる場合に、解析可能であると判別される。放電に応じて電圧値Vが低下していくので、放電の間にそのピークPの前後を含むデータが得られる可能性が高いからである。
【0079】
例えば、取得された取得データ94に示される電流値Iが、係数データ92によって指定された充放電電流値と実質的に同じである場合に、取得データ94が解析可能であると判別される。それらの電流値の差が閾値未満である場合や比率が所定範囲内の場合に、それらの電流値が実質的に同じであり、解析可能であると判別されてよい。充放電曲線が電流値に依存することの影響を低減又は回避し、その分、後述の推定部8による推定精度を向上させることができる。
【0080】
微分処理部4は、データ判別部3によって解析可能であると判別された取得データ94に基づいて、蓄電池11ごと(取得データ94ごと)の微分曲線を生成する。
【0081】
図18は、図17に対応する微分曲線の例を示す図である。先に説明した図17に示される充放電曲線に対応して、各蓄電池11について、図示されるような(この例では一部の)微分曲線が生成される。
【0082】
図15に戻り、ピーク検出部5は、微分処理部4によって生成された微分曲線に現れるピークP、及びピークPにおける電圧値V及び微分値dQ/dVを検出する。
【0083】
図19は、ピークPの検出の例を示す図である。この例では、1つのピークP(例えばピークP-2に相当)と、そのピークPにおける電圧値V及び微分値dQ/dVとが検出される。検出される電圧値V及び微分値dQ/dVを、電圧値VPdet及び微分値DPdetと称し図示する。
【0084】
また、ピーク検出部5は、検出したピークPが完全であるか否かを判定する。例えば、ピークP及びピークPの裾野部分が微分曲線に含まれている場合に、ピークPが完全であると判定されてよい。ピークPを適切に検出できるからである。充放電開始時の影響(充放電電流の過渡的な増大等)が含まれていない場合に、ピークPが完全であると判定されてよい。電圧値VPdetや微分値DPdetを適切に検出できるからである。
【0085】
図15に戻り、回帰解析部6による回帰解析及びピーク判定部7による判定は、推定段階では実行されず、先に説明した推定段階で実行される。
【0086】
推定部8は、先の推定段階における回帰解析部6の解析結果すなわち係数データ92と、ピーク検出部5によって検出された蓄電池11の微分曲線に現れるピークPに関する値に基づいて、蓄電池11の容量値や内部抵抗値を推定(算出等)する。
【0087】
推定部8による推定は、係数kと、ピークPに関する値、すなわち電圧値VPdetや微分値DPdetとの乗算を含む。具体的に説明する。
【0088】
容量値の推定について述べる。係数データ92によって指定された係数kが係数kの場合、推定部8は、例えば下記の式(5)を用いて、蓄電池11の容量値を算出する。式(5)は、先に説明した式(1)における電圧値VPを電圧値VPdetに置き換えた式であり、係数kと電圧値VPdetとの乗算を含む。
【数5】
【0089】
係数データ92によって指定された係数kが係数kの場合、推定部8は、例えば下記の式(6)を用いて、蓄電池11の容量値を算出する。式(6)は、先に説明した式(2)における微分値DPを微分値DPdetに置き換えた式であり、係数kと微分値DPdetとの乗算を含む。
【数6】
【0090】
内部抵抗値の推定について述べる。係数データ92によって指定された係数kが係数kの場合、推定部8は、例えば下記の式(7)を用いて、蓄電池11の内部抵抗値を算出する。式中のrは、初期内部抵抗値である。式(7)は、先に説明した式(3)における電圧値VPを電圧値VPdetに置き換えて算出した抵抗値比率に、初期内部抵抗値rを乗算した式であり、係数kと電圧値VPdetとの乗算を含む。
【数7】
【0091】
係数データ92によって指定された係数kが係数kの場合、推定部8は、例えば下記の式(8)を用いて、蓄電池11の内部抵抗値を算出する。式(8)は、先に説明した式(4)における微分値DPを微分値DPdetに置き換えて算出した抵抗値比率に、初期内部抵抗値rを乗算した式であり、係数kと微分値DPdetとの乗算を含む。
【数8】
【0092】
先に述べたように、係数データ92によって指定される係数kは、推定システム1の準備段階においてピーク判定部7が選択する。例えば、回帰関数の相関係数が最も1に近いピークPがピーク判定部7によって選択された場合、上述の式(5)~式(8)中の係数kに関する乗算は、相関係数が最も1に近い回帰関数の係数kと、当該回帰関数に対応するピークPにおける電圧値VPdetや微分値DPdetとの乗算になる。回帰関数の相関係数が閾値以上のピークPがピーク判定部7によって選択された場合、乗算は、相関係数が閾値以上の回帰関数の係数kと、当該回帰関数に対応するピークPにおける電圧値VPdetや微分値DPdetとの乗算になる。
【0093】
例えば以上のようにして、蓄電池11の容量値や内部抵抗値が、推定部8によって推定される。なお、推定部8の推定結果、すなわち蓄電池11の容量値や内部抵抗値は、例えばユーザが利用可能な態様で出力(表示、データ出力等)されてよい。
【0094】
図20は、推定システム1による容量値及び内部抵抗値の推定(推定方法)の例を示すフローチャートである。これまでと重複する内容については、適宜説明を省略する。
【0095】
ステップS11において、取得データ94が蓄積される。運用中の蓄電池システム10において、各蓄電池11が充放電される。推定システム1の通信部2は、各蓄電池11の充放電データを、蓄電池システム10の監視部12から取得する。取得されたデータが、取得データ94として記憶部9に記憶され蓄積される。詳細は先に図16を参照して説明したとおりである。
【0096】
ステップS12において、解析可能データであるか否かが判別(判断等)される。推定システム1のデータ判別部3は、取得データ94が解析可能か否かを判別する。解析可能データである場合(ステップS12:Yes)、ステップS13に処理が進められる。そうでない場合(ステップS12:No)、フローチャートの処理は終了する。
【0097】
ステップS13において、微分処理が実行される。推定システム1の微分処理部4は、蓄電池11ごと(取得データ94ごと)の微分曲線を生成する。詳細は先に図17及び図18を参照して説明したとおりである。
【0098】
ステップS14において、ピークが検出される。推定システム1のピーク検出部5は、微分曲線に現れるピークP、並びに、ピークPにおける電圧値VPdet及び微分値DPdetを検出する。また、ピーク検出部5は、検出したピークPが完全であるか否かを判定する。
【0099】
ステップS15において、ピークPがあるか否かが判断される。推定システム1のピーク検出部5は、完全であるピークPを検出した場合に、ピークPがあると判断する。ピークPがある場合(ステップS15:Yes)、ステップS16に処理が進められる。そうでない場合(ステップS15:No)、フローチャートの処理は終了する。
【0100】
ステップS16において、容量値及び内部抵抗値が推定される。推定システム1の推定部8は、係数データ92と、電圧値VPdet及び微分値DPdetとに基づいて、蓄電池11の容量値及び内部抵抗値を推定する。例えば先に説明した式(5)~式(8)を用いて、容量値や内部抵抗値が算出される。
【0101】
ステップS16の処理の完了後、フローチャートの処理は終了する。
【0102】
例えば以上のようにして、蓄電池11の容量値や内部抵抗値が推定される。
【0103】
上記の推定方法によれば、予め参照蓄電池Rを用いて準備した係数データ92(回帰解析の結果)と、蓄電池11について得られた取得データ94とに基づいて、蓄電池11の容量値や内部抵抗値を推定することができる。取得データ94としては、少なくとも1つのピークPに対応するデータがあれば足りる。従って、運用中の蓄電池システム10から得ることのできる限られたデータからだけでも、蓄電池11の容量値や内部抵抗値を推定することができる。例えば、複数の蓄電池11間の残量や容量がバランスしていなくとも、蓄電池11ごとの容量値や内部抵抗値を推定することができる。
【0104】
蓄電池システム10によって出力されるデータを取得データ94として用いるので、先に図1を参照して説明した充放電測定装置30のような専用の計測器等を設置しなくとも、蓄電池11の容量や内部抵抗を推定することができる。
【0105】
<変形例>
開示される技術は上記実施形態に限定されない。いくつかの変形例について述べる。
【0106】
上記実施形態では、容量値及び内部抵抗値の両方について、回帰解析及び推定等を行う場合を例に挙げて説明した。ただし、回帰解析及び推定等は、容量値及び内部抵抗値の一方についてのみ行われてもよい。
【0107】
上記実施形態では、微分曲線に示される微分値がdQ/dV(Ah/V)である場合を例に挙げて説明した。ただし、微分値はdV/dQ(V/Ah)であってもよい。その場合の微分曲線に現れる特徴点は、微分値dV/dQが最小となる点(ボトム)であってよい。ボトムは、極小を含む意味に解されてよい。
【0108】
上記実施形態では、容量値が積算電流量(Ah)で表される場合を例に挙げて説明した。ただし、積算電流量以外のさまざまな指標が用いられてよい。
【0109】
上記実施形態では、推定システム1の準備段階において、ピーク判定部7によって選択されたピークP及び係数k等を含む係数データ92が記憶部9に記憶される場合を例に挙げて説明した。ただし、準備段階ではそのような選択が行われなくてもよい。その場合、例えば図6に示されるような回帰解析部6による回帰解析の結果がそのまま係数データ92として記憶部9に記憶されてよい。推定システム1による蓄電池11の容量値や内部抵抗値の推定段階において、容量値や内部抵抗値に用いるべきピークP及び係数kが、係数データ92から適宜選択されてよい。
【0110】
上記実施形態では、回帰解析において、容量値がそのままの値で表され、内部抵抗値が抵抗値比率で表される場合を例に挙げて説明した。ただし、容量値が容量値比率(初期の容量値に対する比率)で表されてもよいし、内部抵抗値がそのままの値で表されてもよい。
【0111】
推定システム1の記憶部9に記憶された係数データ92は、適宜更新されてよい。例えば、蓄電池11の容量等のマイナーチェンジが行われた場合には、それに合わせて係数k等が変更されて(書き換えられて)よい。軽微変更で済むため、改めて参照蓄電池Rを用いて準備を行わなくともよい。
【0112】
上記実施形態では、回帰関数における係数kが乗算用の係数である場合を例に挙げて説明した。ただし、係数kは、除算用の係数であってもよい。乗算用の係数kと除算用の係数kとは、例えば逆数の関係にある。本開示において、係数kに関する「乗算」は、「除算」を含む意味に解されてよい。
【0113】
上記実施形態では、回帰関数が、1つの一次関数によって記述される場合を例に挙げて説明した。ただし、これ以外のさまざまな回帰関数が用いられてよい。とくに、1つの一次関数だけでは適切な回帰関数が得られにくいような蓄電池に対して有用である。図21を参照して説明する。
【0114】
図21は、ピークPにおける電圧値VPと容量値との関係を示す図である。先に説明した図8とは異なり、劣化が進むにつれて(容量値が小さくなるにつれて)、電圧値VPに対する容量値の変化(傾き)が緩やかになる。1つの一次関数だけで適切な回帰関数を得ることは難しい。より複雑な回帰関数が用いられてよい。
【0115】
例えば、回帰関数は、各々が異なる区間に対応する複数の一次関数によって記述されてよい。図21に示される例では、2種類のグラフ線で示される2つの一次関数が用いられる。第1の一次関数は、参照蓄電池Rの劣化度が比較的小さい(傾きが比較的大きい)第1の区間での回帰関数を記述する。第2の1次関数は、参照蓄電池Rの劣化度が比較的大きい(傾きが比較的小さい)第2の区間での回帰関数を記述する。この例では、第1の区間は電圧値VPが3.88V未満の区間であり、第2の区間は電圧値VPが3.88V以上の区間である。回帰関数は、例えば下記の式(9)で表される。式中の定数a及び係数kは、第1の一次関数の定数a及び係数kの一例である。式中の定数a及び係数kは、第2の一次関数の定数a及び係数kの一例である。
【数9】
【0116】
当然ながら、微分値DPと容量値との関係、電圧値VPと抵抗値比率との関係、及び、微分値DPと抵抗値比率との関係についても、同様の回帰関数が用いられてよい。
【0117】
回帰関数は、多次関数で記述されてもよい。その場合の回帰関数は、例えば下記の式(10)で表される。式中の定数a10は、定数aの一例である。係数k11は、一次の項の係数の一例である。係数k12は、二次の項の係数の一例である。
【数10】
【0118】
当然ながら、微分値DPについても、また、抵抗値比率についても、上記の式(10)と同様の回帰関数が用いられてよい。
【0119】
回帰関数は、重回帰関数であってもよい。その場合の回帰関数は、例えば下記の式(11)で表される。式中の定数a20は、定数aの一例である。係数k21は、第1の変数x1の係数の一例である。式中の係数k22は、第2の変数xの係数の一例である。第1の変数xの例は、或るピークPにおける電圧値VPや微分値DPである。第2の変数xは、回帰関数に用いることのできるあらゆる変数である。第2の変数xは、他のピークPにおける電圧値VPや微分値DP等であってもよい。
【数11】
【0120】
抵抗値比率についても、上記の式(11)と同様の回帰関数が用いられてよい。なお、重回帰関数が多次関数であってもよい。すなわち、回帰関数は、多次関数及び重回帰関数の少なくとも一方によって記述されてもよい。
【0121】
一実施形態において、推定対象の蓄電池11(図15)が、参照蓄電池R(図1)であってよい。蓄電池11のメンテナンス時に、蓄電池11のデータが取得される。例えば充放電測定装置30(図1)が蓄電池11に接続され、蓄電池11の充放電が行われる。蓄電池11の充電時や放電時の時刻T、電圧値V、電流値I、容量値及び内部抵抗値等のデータが取得され、参照データ91として記憶部9に記憶される。このようなメンテナンスを繰り返し実施することで、異なる劣化度ごとの蓄電池11のデータが、参照データ91として得られる。参照データ91に基づいて、係数データ92が生成される。
【0122】
蓄電池11の劣化の進行とともに、メンテナンスが繰り返し実施され、参照データ91が蓄積される。回帰解析部6による回帰解析も繰り返し行われ、回帰解析の結果、さらには係数k等を含む係数データ92が更新される。こうして得られた係数データ92は、推定対象の蓄電池11にカスタマイズされた係数データ92である。この係数データ92を用いることで、蓄電池11の容量値や内部抵抗値の推定精度を向上させることができる。蓄電池11とは別の参照蓄電池Rを用いて回帰解析を行う必要もない。
【0123】
図22は、回帰解析の結果の更新の例を示すフローチャートである。前提として、運用開始時の蓄電池システム10の蓄電池11の充放電時のデータ、すなわち劣化前(初期)のデータは、参照データ91として取得されているものとする。
【0124】
ステップS21において、メンテナンス時期であるか否かが判断される。この判断は、蓄電池システム10や推定システム1によって自動的に行われてもよいし、蓄電池システム10や推定システム1のユーザによって行われてもよい。メンテナンス時期である場合(ステップS21:Yes)、ステップS22に処理が進められる。そうでない場合(ステップS21:No)、ステップS21の処理が繰り返される。
【0125】
ステップS22において、メンテナンスが実施され、参照データ91が蓄積される。例えば、蓄電池11を使用可能な電圧範囲の下限値から上限値までの充電させた際の時刻T、電圧値V、電流値I、さらには、容量値及び内部抵抗値が取得され、参照データ91に追加される。
【0126】
ステップS23において、回帰解析の結果が更新される。推定システム1の回帰解析部6は、最新の参照データ91に基づいて回帰解析を行う。回帰解析の結果、さらには係数k等を含む係数データ92が更新される。ステップS23の処理が完了すると、ステップS21に処理が戻される。
【0127】
上記の処理が繰り返されている一方で、最新の係数データ92と、運用中の蓄電池システム10から得られる蓄電池11の充放電データに基づいて、蓄電池11の容量値や内部抵抗値が適時推定される。
【0128】
<ハードウェア構成の例>
図23は、推定システム1のハードウェア構成の例を示す図である。例えばこのようなハードウェア構成を備える1つ以上のコンピュータ等の装置が、これまで説明した推定システム1として機能する。ハードウェア構成として、バス等で相互に接続される通信装置1a、表示装置1b、記憶装置1c、メモリ1d及びプロセッサ1e等が例示される。記憶装置1cの例は、HDD(Hard Disk Drive)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等である。なお、メモリ1dは、記憶装置1cに含まれてもよい。
【0129】
通信装置1aは、ネットワークインタフェースカードなどであり、他の装置との通信を可能にする。表示装置1bは、例えばタッチパネルやディスプレイなどである。記憶装置1cは、記憶部9等として機能する。
【0130】
プロセッサ1eは、プログラム93(図1図15)を記憶装置1c等から読み出してメモリ1dに展開することで、推定システム1による各処理をコンピュータに実行させる。処理は、これまで説明したようなデータ判別部3、微分処理部4、ピーク検出部5、回帰解析部6、ピーク判定部7及び推定部8等による処理を含む。
【0131】
プログラム93は、インターネットなどのネットワークを介して配布することができる。また、プログラム93は、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disc)などのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することができる。
【0132】
以上で説明した技術は、例えば次のように特定される。開示される技術の1つは、推定方法である。図1図20及び図23等を参照して説明したように、推定方法は、異なる劣化度ごとの、参照蓄電池Rの積算電流量Qに対する電圧値Vを示す充放電曲線の微分曲線に現れる特徴点に関する値と、参照蓄電池Rの容量値及び内部抵抗値の少なくとも一方との間で、回帰解析を行うこと(ステップS4)と、回帰解析の結果と、推定対象の蓄電池11の微分曲線に現れる特徴点に関する値とに基づいて、推定対象の蓄電池11の容量値及び内部抵抗値の少なくとも一方を推定すること(ステップS16)と、を含む。
【0133】
上記の推定方法によれば、参照蓄電池Rの微分曲線に現れる特徴点に関する値と、容量値や内部抵抗値との間の回帰解析の結果に基づいて、推定対象の蓄電池11の容量値や内部抵抗値を推定することができる。少なくとも1つの特徴点に対応する蓄電池11のデータがあれば推定が可能である。従って、蓄電池11を含む運用中の蓄電池システム10から得ることのできる限られたデータからでも、蓄電池11の容量値や内部抵抗値を推定できるようになる。
【0134】
図8図12図23及び式(1)~式(11)等を参照して説明したように、回帰解析の結果は、回帰関数の係数kを含み、推定は、係数kと、推定対象の蓄電池11の微分曲線に現れる特徴点に関する値との乗算を含んでよい。例えばこのようにして、蓄電池11の容量値や内部抵抗値を推定することができる。
【0135】
図4図8図12及び式(1)~式(8)等を参照して説明したように、回帰関数は、一次関数によって記述され、1つの微分曲線に複数の特徴点が現れてよい。この場合の回帰解析の結果は、参照蓄電池Rの微分曲線に現れる複数の特徴点に対応する複数の回帰関数それぞれの係数kを含み、推定は、複数の回帰関数のうちの相関係数が最も1に近い回帰関数(推定に適した回帰関数)の係数kと、推定対象の蓄電池の微分曲線に現れる複数の特徴点のうちの当該回帰関数(推定に適した回帰関数)に対応する特徴点に関する値との乗算を含んでよい。或いは、推定は、複数の回帰関数のうちの相関係数が閾値以上の回帰関数(推定に適した回帰関数)の係数kと、推定対象の蓄電池11の微分曲線に現れる複数の特徴点のうちの当該回帰関数(推定に適した回帰関数)に対応する特徴点に関する値との乗算を含んでよい。これにより、推定に適した回帰関数の係数kを用いて、蓄電池11の容量値の推定や内部抵抗値を推定することができる。
【0136】
図21及び式(9)等を参照して説明したように、回帰関数は、複数の一次関数によって記述され、複数の一次関数は、参照蓄電池Rの劣化度が比較的小さい区間に対応する第1の一次関数、及び、参照蓄電池の劣化度が比較的大きい区間に対応する第2の一次関数を含んでよい。式(10)及び式(11)等を参照して説明したように、回帰関数は、多次関数及び重回帰関数の少なくとも一方によって記述されてよい。1つの一次関数だけで適切な回帰関数を得ることは難しい場合でも、適切な回帰関数を得ることができる。
【0137】
図22等を参照して説明したように、蓄電池11が、参照蓄電池Rであり、推定方法は、蓄電池11の劣化の進行とともに、回帰解析を繰り返し行い、回帰解析の結果を更新すること(ステップS21:Yes、ステップS23)、を含んでよい。最新の解析結果を用いることで、蓄電池11の容量値や内部抵抗値の推定精度を向上させることができる。蓄電池11とは別の参照蓄電池Rを用いて回帰解析を行う必要もない。
【0138】
図4図6等を参照して説明したように、微分曲線は、電圧値Vに対する、積算電流量Qを電圧値Vで微分した微分値dQ/dVを示し、特徴点に関する値は、微分曲線に現れるピークPにおける電圧値V及び微分値dQ/dVの少なくとも一方を含んでよい。例えばこのような値を用いて、蓄電池11の容量値や内部抵抗値を推定することができる。
【0139】
参照蓄電池Rの充放電曲線における電流値と、推定対象の蓄電池11の微分曲線の元となる充放電曲線における電流値とは、実質的に同じであってよい。充放電曲線が電流値に依存することの影響を低減又は回避し、推定精度を向上させることができる。
【0140】
図1及び図15等を参照して説明した推定システム1も、開示される技術の1つである。推定システム1は、回帰解析部6と、推定部8と、を備える。回帰解析部6は、異なる劣化度ごとの、参照蓄電池Rの積算電流量Qに対する電圧値Vを示す充放電曲線の微分曲線に現れる特徴点に関する値と、参照蓄電池Rの容量値及び内部抵抗値の少なくとも一方との間で、回帰解析を行う。推定部8は、回帰解析の結果と、蓄電池11の微分曲線に現れる特徴点に関する値とに基づいて、蓄電池11の容量値及び内部抵抗値の少なくとも一方を推定する。このような推定システム1によっても、これまで説明したように、限られたデータからでも蓄電池11の容量値や内部抵抗値を推定することができる。
【0141】
図1図15及び図23等を参照して説明したプログラム93も、開示される技術の1つである。プログラム93は、コンピュータに、異なる劣化度ごとの、参照蓄電池Rの積算電流量Qに対する電圧値Vを示す充放電曲線の微分曲線に現れる特徴点に関する値と、参照蓄電池Rの容量値及び内部抵抗値の少なくとも一方との間で、回帰解析を行う処理と、回帰解析の結果と、蓄電池11の微分曲線に現れる特徴点に関する値とに基づいて、蓄電池11の容量値及び内部抵抗値の少なくとも一方を推定する処理と、を実行させる。このようなプログラム93によっても、これまで説明したように、限られたデータからでも蓄電池11の容量値や内部抵抗値を推定することができる。
【符号の説明】
【0142】
1 推定システム
2 通信部
C 計算部
3 データ判別部
4 微分処理部
5 ピーク検出部
6 回帰解析部
7 ピーク判定部
8 推定部
9 記憶部
91 参照データ
92 係数データ
93 プログラム
94 取得データ
10 蓄電池システム
11 蓄電池
12 監視部
30 充放電測定装置
k 係数
R 参照蓄電池
1a 通信装置
1b 表示装置
1c 記憶装置
1d メモリ
1e プロセッサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23