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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023081756
(43)【公開日】2023-06-13
(54)【発明の名称】証書発行装置及び証書発行方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20120101AFI20230606BHJP
【FI】
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021195728
(22)【出願日】2021-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】520264900
【氏名又は名称】株式会社プラゴ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153040
【弁理士】
【氏名又は名称】川井 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】大川 直樹
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC06
(57)【要約】
【課題】環境付加価値を有する電力を充電したユーザに対するインセンティブの付与を可能とする。
【解決手段】証書発行装置10は、価値創出者による所定行為に対してクレジット運営主体により発行されたクレジットを特定するクレジット情報を取得するクレジット情報取得部11と、ユーザの電力使用装置に充電が行われたことを示す充電情報を取得する充電情報取得部12と、充電情報に対応する電力利用識別情報を発行する発行部13と、充電電力量を集計して集計充電電力量を算出する集計部14と、集計充電電力量に相当するクレジットを無効化する無効化申請情報をクレジット運営主体に送信する無効化処理部15と、無効化申請されたクレジットを特定するクレジット情報と、集計充電電力量として集計された充電情報に対応する電力利用識別情報の各々とを関連付けた無効化クレジット情報を出力する出力部16とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生可能エネルギーの利用に関する証書をユーザに発行する証書発行装置であって、
所定の価値創出者による所定行為における数量に応じて所定機関により前記価値創出者に対して発行されたクレジットを特定するクレジット情報を取得するクレジット情報取得部と、
所定の充電設備においてユーザの電力使用装置に充電が行われたことを示す充電情報を取得する充電情報取得部であって、前記充電情報は、充電電力量を取得可能な情報及び前記ユーザを識別可能なユーザIDを含む、充電情報取得部と、
前記充電情報に対応する各々がユニークな電力利用識別情報を発行する発行部と、
1以上の前記充電情報における充電電力量を集計して集計充電電力量を算出する集計部と、
発行された前記クレジットのうちの前記集計充電電力量に相当する数量に応じたクレジットの無効化申請をするための無効化申請情報を所定の無効化処理の担当主体に送信する無効化処理部と、
前記無効化申請された前記クレジットを特定する前記クレジット情報と、前記集計充電電力量として充電電力量が集計された前記充電情報に対応する前記電力利用識別情報の各々とを関連付けた情報である無効化クレジット情報を、前記ユーザにより参照可能な態様で出力する出力部と、
を備える証書発行装置。
【請求項2】
前記クレジット情報は、温室効果ガスの排出を伴わない所定の手段により発電された電力量に応じて発行されたクレジットを特定する、
請求項1に記載の証書発行装置。
【請求項3】
前記所定行為における数量は、温室効果ガスの排出削減または吸収の量である、
請求項1または2に記載の証書発行装置。
【請求項4】
前記電力使用装置は、電動車両である、
請求項1~3のいずれか一項に記載の証書発行装置。
【請求項5】
前記集計部は、所与の充電電力量ごと、所与の充電件数ごと、または、所与の期間ごとに、前記充電電力量を集計する、
請求項1~4のいずれか一項に記載の証書発行装置。
【請求項6】
前記出力部は、前記無効化クレジット情報を、前記電力利用識別情報に対応する前記ユーザIDを提示することなく、所定のWebサイトにおいて公開することにより出力する、
請求項1~5のいずれか一項に記載の証書発行装置。
【請求項7】
前記無効化処理部は、前記クレジットを発行した前記所定機関、または、前記所定機関に対するクレジットの無効化申請を代理する申請代理者のコンピュータに、前記無効化申請情報を送信する、
請求項1~6のいずれか一項に記載の証書発行装置。
【請求項8】
前記発行部は、前記電力利用識別情報を、当該電力利用識別情報に対応する前記充電情報に含まれるユーザIDにより示されるユーザのユーザ端末に送信し、または、該ユーザ端末によりアクセス可能なWebサイトに参照可能に表示させる、
請求項1~7のいずれか一項に記載の証書発行装置。
【請求項9】
再生可能エネルギーの利用に関する証書をユーザに発行する証書発行装置における証書発行方法であって、
所定の価値創出者による所定行為における数量に応じて所定機関により前記価値創出者に対して発行されたクレジットを特定するクレジット情報を取得するクレジット情報取得ステップと、
所定の充電設備においてユーザの電力使用装置に充電が行われたことを示す充電情報を取得する充電情報取得ステップであって、前記充電情報は、充電電力量を取得可能な情報及び前記ユーザを識別可能なユーザIDを含む、充電情報取得ステップと、
前記充電情報に対応する各々がユニークな電力利用識別情報を発行する発行ステップと、
1以上の前記充電情報における充電電力量を集計して集計充電電力量を算出する集計ステップと、
発行された前記クレジットのうちの前記集計充電電力量に相当する数量に応じたクレジットの無効化申請をするための無効化申請情報を所定の無効化処理の担当主体に送信する無効化処理ステップと、
前記無効化申請された前記クレジットを特定する前記クレジット情報と、前記集計充電電力量として充電電力量が集計された前記充電情報に対応する前記電力利用識別情報の各々とを関連付けた情報である無効化クレジット情報を、前記ユーザにより参照可能な態様で出力する出力ステップと、
を有する証書発行方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の一側面は、再生可能エネルギーの利用に関する証書をユーザに発行する証書発行装置及び証書発行方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グリーン電力証書を活用した、電気自動車に対する充電サービスが行われている。グリーン電力証書を活用した充電サービスでは、太陽光発電等の温室効果ガスを排出しない発電方式による発電において生じた環境付加価値に対して、グリーン電力証書の運営者が、価値を創出した発電事業者に対して電力量相当の証書を発行する(例えば、非特許文献1参照)。グリーン電力証書を購入した充電サービスの事業者等の企業は、自前で再生可能エネルギー発電設備を持たなくても、証書に記載された電力量相当の分の自然エネルギーの普及に貢献し、グリーン電力を利用したとみなされる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】コスモ石油株式会社、 “グリーン電力証書を活用した「グリーン充電サービス」の提供について”、[online]、2010年7月22日、コスモエネルギーホールディングス株式会社、プレスリリース、[令和3年11月19日検索]、インターネット<https://ceh.cosmo-oil.co.jp/press/p_100722/index.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
グリーン電力証書は、電力を創出した者に発行され、転売することが不可能であるので、環境付加価値を有する電力を充電したユーザは、その充電及び電力の利用に対するインセンティブを得ることができなかった。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、環境付加価値を有する電力を充電したユーザに対するインセンティブの付与を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る証書発行装置は、再生可能エネルギーの利用に関する証書をユーザに発行する証書発行装置であって、所定の価値創出者による所定行為における数量に応じて所定機関により価値創出者に対して発行されたクレジットを特定するクレジット情報を取得するクレジット情報取得部と、所定の充電設備においてユーザの電力使用装置に充電が行われたことを示す充電情報を取得する充電情報取得部であって、充電情報は、充電電力量を取得可能な情報及びユーザを識別可能なユーザIDを含む、充電情報取得部と、充電情報に対応する各々がユニークな電力利用識別情報を発行する発行部と、1以上の充電情報における充電電力量を集計して集計充電電力量を算出する集計部と、発行されたクレジットのうちの集計充電電力量に相当する数量に応じたクレジットの無効化申請をするための無効化申請情報を所定の無効化処理の担当主体に送信する無効化処理部と、無効化申請されたクレジットを特定するクレジット情報と、集計充電電力量として充電電力量が集計された充電情報に対応する電力利用識別情報の各々とを関連付けた情報である無効化クレジット情報を、ユーザにより参照可能な態様で出力する出力部と、を備える。
【0007】
本開示の一側面に係る証書発行方法は、再生可能エネルギーの利用に関する証書をユーザに発行する証書発行装置における証書発行方法であって、所定の価値創出者による所定行為における数量に応じて所定機関により価値創出者に対して発行されたクレジットを特定するクレジット情報を取得するクレジット情報取得ステップと、所定の充電設備においてユーザの電力使用装置に充電が行われたことを示す充電情報を取得する充電情報取得ステップであって、充電情報は、充電電力量を取得可能な情報及びユーザを識別可能なユーザIDを含む、充電情報取得ステップと、充電情報に対応する各々がユニークな電力利用識別情報を発行する発行ステップと、1以上の充電情報における充電電力量を集計して集計充電電力量を算出する集計ステップと、発行されたクレジットのうちの集計充電電力量に相当する数量に応じたクレジットの無効化申請をするための無効化申請情報を所定の無効化処理の担当主体に送信する無効化処理ステップと、無効化申請されたクレジットを特定するクレジット情報と、集計充電電力量として充電電力量が集計された充電情報に対応する電力利用識別情報の各々とを関連付けた情報である無効化クレジット情報を、ユーザにより参照可能な態様で出力する出力ステップと、を有する。
【0008】
このような側面によれば、所定の充電設備においてユーザにより行われた充電に関する充電情報が取得され、充電情報の各々に対してユニークな電力利用識別情報が発行される。そして、集計充電電力量に応じて無効化申請されたクレジットのクレジット情報と1以上の電力利用識別情報とが関連付けられた無効化クレジット情報が出力されるので、1つのクレジット情報が、1以上の充電情報及び電力利用識別情報に実質的に分割される。従って、充電情報に対応するユーザは、自身が行った充電とクレジット情報との関連付けを認識することができるので、自身の充電に相当する環境付加価値に関するインセンティブをユーザに与えることが可能となる。
【0009】
他の側面に係る証書発行装置では、クレジット情報は、温室効果ガスの排出を伴わない所定の手段により発電された電力量に応じて発行されたクレジットを特定することとしてもよい。
【0010】
このような側面によれば、温室効果ガスの排出を伴わない電力の環境付加価値を、充電を行った個々のユーザに分割して付与することが可能となる。
【0011】
他の側面に係る証書発行装置では、所定行為における数量は、温室効果ガスの排出削減または吸収の量であることとしてもよい。
【0012】
このような側面によれば、温室効果ガスの排出削減または吸収の量に相当するクレジットの環境付加価値を、充電を行った個々のユーザに分割して付与することが可能となる。
【0013】
他の側面に係る証書発行装置では、電力使用装置は、電動車両であることとしてもよい。
【0014】
このような側面によれば、電動車両に対する充電に伴うクレジットの環境付加価値を、充電を行った個々のユーザに分割して付与することが可能となる。
【0015】
他の側面に係る証書発行装置では、集計部は、所与の充電電力量ごと、所与の充電件数ごと、または、所与の期間ごとに、充電電力量を集計することとしてもよい。
【0016】
このような側面によれば、複数の充電情報の充電電力量が集計されて、集計された集計充電電力量に相当するクレジットの無効化申請が行われるので、無効化申請に係る処理負荷が軽減される。
【0017】
他の側面に係る証書発行装置では、出力部は、無効化クレジット情報を、電力利用識別情報に対応するユーザIDを提示することなく、所定のWebサイトにおいて公開することにより出力することとしてもよい。
【0018】
このような側面によれば、充電を行ったユーザは、自身の個人情報を他者に知られることなく、自身に関連付けられたクレジット情報を認識できる。
【0019】
他の側面に係る証書発行装置では、無効化処理部は、クレジットを発行した所定機関、または、所定機関に対するクレジットの無効化申請を代理する申請代理者のコンピュータに、無効化申請情報を送信することとしてもよい。
【0020】
このような側面によれば、クレジットの無効化を申請するための無効化処理の内容が具体化される。
【0021】
他の側面に係る証書発行装置では、発行部は、電力利用識別情報を、当該電力利用識別情報に対応する充電情報に含まれるユーザIDにより示されるユーザのユーザ端末に送信し、または、該ユーザ端末によりアクセス可能なWebサイトに参照可能に表示させることとしてもよい。
【0022】
このような側面によれば、ユーザの端末において表示された電力利用識別情報をユーザに認識させることが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本開示の一側面によれば、環境付加価値を有する電力を充電したユーザに対するインセンティブの付与を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施形態に係る証書発行装置を含むシステムの装置構成の一例を示す図である。
図2】証書発行装置による証書発行に関する、証書発行者、クレジット創出者及びクレジット運営主体における処理の概要を示すタイミングチャートである。
図3】実施形態に係る証書発行装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図4】実施形態に係る証書発行装置に関するハードウェア構成の一例を示す図である。
図5】クレジットの取得に関する処理を模式的に示す図である。
図6】充電情報の構成の一例を示す図である。
図7】充電情報の各々に関連付けられた電力利用識別情報の例を示す図である。
図8】発行された電力利用識別情報の、ユーザに対する提示の一態様を示す図である。
図9】クレジットの無効化申請のための無効化申請情報の例を示す図である。
図10】無効化クレジット情報の提示の一態様を示す図である。
図11】実施形態に係る証書発行装置における証書発行方法の処理内容の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0026】
図1は、実施形態に係る証書発行装置を含むシステムの装置構成の一例を示す図である。図1に示される例では、システム1は、証書発行装置10、クレジット運営主体のコンピュータCA(以下、「クレジット運営主体CA」と記載する)及びクレジット創出者のコンピュータCG(以下、「クレジット創出者CG」と記載する)を含む。証書発行装置10,クレジット運営主体CA及びクレジット創出者CGは、有線または無線のネットワークNを介して通信可能に構成されている。
【0027】
クレジットは、所定の価値創出者による所定行為における数量に応じて所定機関により価値創出者に対して発行される無体の価値物である。クレジットは、例えば、太陽光発電等に例示される温室効果ガスの排出を伴わない発電等の再生可能エネルギーの導入等に対して、所定機関による認証により発行される。所定機関は、例えば、国、自治体等の公的機関及び公的機関により設立された団体等である。
【0028】
本実施形態のクレジット運営主体CAは、クレジットの発行及び管理を行う所定機関を構成する。本実施形態のクレジット創出者CGは、クレジットに関する価値創出者を構成する。本実施形態では、クレジット創出者CGは、例えば、太陽光発電の事業者等であってもよい。
【0029】
本実施形態のクレジットに関する制度として、いわゆるJ-クレジット制度が例示される。J-クレジット制度は、省エネルギー機器の導入及び森林経営などの取組による、CO2などの温室効果ガスの排出削減量や吸収量を「クレジット」として国が認証する制度である。
【0030】
証書発行装置10は、ユーザのユーザ端末TとネットワークNを介して通信可能に構成されている。なお、図1において、2つのネットワークが示されているが、これら2つのネットワークNの異同は問わない。
【0031】
充電器PSは、ユーザの電力使用装置に電力を充電する装置であって、証書発行装置10と情報の送受信が可能に構成されている。充電器PSは、ユーザの電力使用装置に充電が行われたことを示す充電情報を証書発行装置10に送信できる。充電情報は、充電電力量を取得可能な情報及びユーザを識別可能なユーザIDを含む。充電電力量取得可能な情報は、充電器PSにおいて測定された充電電力量であってもよい。また、充電電力量取得可能な情報は、充電時間であってもよく、この場合には、充電時間に充電器PSの定格出力を乗じることにより充電電力量を算出できる。
【0032】
電力使用装置は、ユーザの電動車両であってもよい。電動車両は、電気を動力に変換して動く車両であり、例えば、BEV(Battery Electric Vehicle)、PHV(Plug-in Hybrid Vehicle)等であってもよい。
【0033】
図2を参照して、クレジット創出者CGに対するクレジットの発行から証書発行装置10(証書発行者)に対するクレジットの購入に至る手続及び処理の一例を説明する。図2は、証書発行装置による証書発行に関する、証書発行者、クレジット創出者及びクレジット運営主体における処理の概要を示すタイミングチャートである。
【0034】
ステップS11~S14は、プロジェクトの登録に係る処理である。ステップS11において、クレジット創出者CGは、温室効果ガスの削減または吸収等に関するプロジェクトを計画(または実施)する。そして、ステップS12において、クレジット創出者CGは、プロジェクトの計画書をクレジット運営主体CAに提出する。
【0035】
ステップS13において、プロジェクトの計画書の妥当性を確認する。そして、クレジット運営主体CAは、計画を審査の上、プロジェクト及びクレジット創出者を、クレジット発行対象として登録する。
【0036】
ステップS15~S19は、クレジットの発行に係る処理である。ステップS15において、クレジット創出者CGは、プロジェクトを実施し、温室効果ガスの削減量及び吸収量等をモニタリング(計測)する。ステップS16において、クレジット創出者CGは、モニタリング報告書をクレジット運営主体CAに提出する。
【0037】
ステップS17において、クレジット運営主体CAは、モニタリング報告書を審査し、クレジットを認証する。ステップS18において、クレジット運営主体CAは、クレジット創出者CGに対してクレジットを発行する。クレジットの発行は、登録簿上で管理される。即ち、クレジット運営主体CAは、発行するクレジットとクレジット創出者CGとを関連付けて登録簿に記録する。
【0038】
ステップS19において、クレジット創出者CGは、クレジットを受領する。クレジット創出者CGは、少なくともクレジットを識別する情報及びクレジットの量を示す情報を取得する。
【0039】
ステップS20~S23は、証書発行者によるクレジットの取得に係る処理である。ステップS20において、クレジット創出者CGは、クレジットを証書発行者10に売却する。ステップS21において、証書発行者10は、クレジットを購入する。証書発行装置10は、少なくともクレジットを識別する情報を取得する。
【0040】
ステップS22において、クレジット創出者CGは、クレジットの売却に伴い、クレジット運営主体CAにおける登録簿システムに移転情報を入力する。ステップS23において、クレジット運営主体CAは、クレジットの移転情報を登録簿に反映させる。即ち、クレジットの売却及び購入に伴うクレジットの保有者の変更は、登録簿により管理される。
【0041】
図3は、証書発行装置10の機能構成の一例を示すブロック図である。図4は、証書発行装置10に関するハードウェア構成の一例を示す図であって、証書発行装置10として機能しうるコンピュータ100を示す。
【0042】
証書発行装置10は、再生可能エネルギーの利用に関する証書をユーザに発行する装置であって、プロセッサ101を含む。一例として、コンピュータ100はハードウェア構成要素として、プロセッサ101、主記憶部102、補助記憶部103、および通信部104を備える。
【0043】
プロセッサ101は、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムを実行する演算装置である。プロセッサの例としてCPU(Central Processing Unit)およびGPU(Graphics Processing Unit)が挙げられるが、プロセッサ101の種類はこれらに限定されない。例えば、プロセッサ101はセンサおよび専用回路の組合せでもよい。専用回路はFPGA(Field-Programmable Gate Array)のようなプログラム可能な回路でもよいし、他の種類の回路でもよい。
【0044】
主記憶部102は、証書発行装置10を実現するためのプログラム(証書発行プログラムP1)、プロセッサ101から出力された演算結果などを記憶する装置である。主記憶部102は例えばROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)のうちの少なくとも一つにより構成される。
【0045】
補助記憶部103は、一般に主記憶部102よりも大量のデータを記憶することが可能な装置である。補助記憶部103は例えばハードディスク、フラッシュメモリなどの不揮発性記憶媒体によって構成される。補助記憶部103は、コンピュータ100を証書発行装置10として機能させるためのプログラムP1と各種のデータとを記憶する。
【0046】
通信部104は、通信ネットワークNを介して他のコンピュータとの間でデータ通信を実行する装置である。通信部104は例えばネットワークカードまたは無線通信モジュールにより構成される。
【0047】
証書発行装置10の各機能要素は、プロセッサ101または主記憶部102の上に、対応するプログラムP1を読み込ませてプロセッサ101にそのプログラムを実行させることで実現される。プログラムP1は、対応するサーバの各機能要素を実現するためのコードを含む。プロセッサ101はプログラムP1に従って通信部104を動作させ、主記憶部102または補助記憶部103におけるデータの読み出しおよび書き込みを実行する。このような処理により、対応する証書発行装置10の各機能要素が実現される。
【0048】
プログラムP1は、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどの有形の記録媒体に固定的に記録された上で提供されてもよい。あるいは、これらのプログラムの少なくとも一つは、搬送波に重畳されたデータ信号として通信ネットワークを介して提供されてもよい。
【0049】
証書発行装置10は、一つまたは複数のコンピュータにより構成され得る。複数のコンピュータにより証書発行装置10が構成される場合には、通信ネットワークを介して複数のコンピュータが互いに接続されることで、論理的に一つの装置が構成される。
【0050】
証書発行装置10は、機能的には、クレジット情報取得部11、充電情報取得部12、発行部13、集計部14、無効化処理部15及び出力部16を備える。これらの各機能部11~16は、プロセッサ101に証書発行プログラムP1が読み込まれて、証書発行プログラムP1が実行されることにより実現される。証書発行プログラムP1は、コンピュータを証書発行装置10として機能させるための命令を含む。
【0051】
証書発行装置10の各機能部は、充電情報記憶部20にアクセス可能に構成されている。充電情報記憶部20は、充電情報を記憶及び管理させるための記憶手段であって、例えば主記憶部102または補助記憶部103に構成される。なお、充電情報記憶部20は、証書発行装置10からアクセス可能な他の装置に構成されてもよいし、証書発行装置10内に構成されてもよい。
【0052】
続いて、証書発行装置10の各機能部について説明する。クレジット情報取得部11は、所定の価値創出者による所定行為における数量に応じて所定機関により価値創出者に対して発行されたクレジットを特定するクレジット情報を取得する。
【0053】
本実施形態では、一例として、クレジット情報取得部11は、クレジット創出者CGによる太陽光発電等の温室効果ガスの排出を伴わない発電における発電電力量に応じて、クレジット創出者CGに対して発行されたクレジットのクレジット情報を取得する。具体的には、クレジット情報取得部11は、ステップS21におけるクレジットの購入に伴い、クレジット情報を取得する。
【0054】
図5は、クレジットの取得に関する処理を模式的に示す図である。証書発行装置10(証書発行者)のクレジット情報取得部11は、クレジット創出者CGからクレジット情報D1を取得する。クレジット情報D1は、購入するクレジットを特定するクレジット特定番号「KC-001」、及び、クレジット数量を含む。クレジット数量は、例えば、発電におけるCO2削減量であってもよい。
【0055】
クレジット創出者CGは、クレジット移転申請D2をクレジット運営主体CAに送信する。クレジット移転申請D2は、クレジットを証書発行者に移転する旨を示す情報であって、少なくとも、クレジット特定番号「KC-001」、及び、クレジット数量を含む。クレジット運営主体CAは、クレジット移転申請D2を受信すると、クレジット特定番号「KC-001」により特定されるクレジットがクレジット創出者CGから証書発行者10に移転されたことを、登録簿のデータベースに反映させる。
【0056】
再び図3を参照して、充電情報取得部12は、所定の充電設備においてユーザの電力使用装置に充電が行われたことを示す充電情報を取得する。本実施形態では、充電情報取得部12は、充電器PSにおいてユーザの電動車両に充電が行われたことを示す充電情報を取得する。充電情報は、充電電力量を取得可能な情報及びユーザを識別可能なユーザIDを含む、充電情報取得部12は、取得した充電情報を充電情報記憶部20に蓄積する。
【0057】
図6は、充電情報の構成の一例を示す図である。図6に示されるように、充電情報は、各充電情報を識別可能な充電情報IDに関連付けられたユーザID及び充電電力量を含む。充電情報は、充電された時を示す日時及び充電が実施された場所(充電器PSが設けられている場所)の情報を更に含んでもよい。充電情報は、充電電力量に代えてまたは充電電力量に併せて、充電時間を含んでもよい。充電情報に充電時間が含まれる場合には、充電時間に充電器PSの定格出力を乗じることにより充電電力量を算出できる。
【0058】
再び図3を参照して、発行部13は、充電情報に対応する各々がユニークな電力利用識別情報を発行する。具体的には、発行部13は、少なくとも各充電情報に対応する電力利用識別情報を生成する。充電情報は、ユーザを識別するユーザIDを含むので、電力利用識別情報は、ユーザに関連付けられる。
【0059】
図7は、発行された電力利用識別情報の例を示す図である。図7に示されるように、発行部13は、充電情報に関連付けて電力利用識別情報を発行する。例えば、発行部13は、充電情報「ch-1」に関連付けて電力利用識別情報「KC-001-01」を発行する。同様に、発行部13は、充電情報「ch-2」,「ch-3」のそれぞれに関連付けて電力利用識別情報「KC-001-02」,「KC-001-03」を発行する。
【0060】
発行部13は、電力利用識別情報を、当該電力利用識別情報に対応する充電情報に含まれるユーザIDにより示されるユーザのユーザ端末Tによりアクセス可能なWebサイトに参照可能に表示させてもよい。図8は、発行された電力利用識別情報の、ユーザに対する提示の一態様を示す図であって、Webサイトに表示された電力利用記録D3の表示画面例を示す。図8に示されるように、発行部13は、電力利用識別情報d31を含む電力利用記録D3を、ユーザ「U01」のユーザ端末Tに表示させる。電力利用記録D3は、ユーザ端末Tからユーザがログインすることにより参照可能となるユーザ専用のページに表示されることとしてもよい。
【0061】
また、発行部13は、電力利用識別情報を、当該電力利用識別情報に対応する前記充電情報に含まれるユーザIDにより示されるユーザの端末に送信してもよい。即ち、発行部13は、図8に示されるような電力利用記録D3を、ユーザ「U01」のユーザ端末Tに送信してもよい。
【0062】
このように、電力利用識別情報を含む電力利用記録D3がユーザ端末Tにおいて参照されることにより、ユーザは電力利用識別情報を認識できる。
【0063】
再び図3を参照して、集計部14は、1以上の充電情報における充電電力量を集計して集計充電電力量を算出する。具体的には、集計部14は、一定量の充電情報の充電電力量を集計する。例えば、集計部14は、所与の充電電力量ごとに充電電力量を集計する。本実施形態では、集計部14は、予め設定された温室効果ガス(CO2)の量に相当する充電電力量ごとに、充電情報を集計する。また、集計部14は、所与の充電件数ごと、または、所与の期間ごとに、充電情報及び充電電力量を集計してもよい。
【0064】
無効化処理部15は、発行されたクレジットのうちの集計充電電力量に相当する数量に応じたクレジットの無効化申請をするための無効化申請情報を所定の無効化処理の担当主体に送信する。具体的には、無効化処理部15は、クレジットを発行した所定機関、または、所定機関に対するクレジットの無効化申請を代理する申請代理者のコンピュータに、無効化申請情報を送信する。
【0065】
本実施形態では、無効化処理部15は、クレジットを発行した所定機関であるクレジット運営主体CAのコンピュータに無効化申請情報を送信する。図9は、クレジットの無効化申請のための無効化申請情報の例を示す図である。図9に示されるように、無効化申請情報D4は、無効化するクレジットを特定するクレジット特定番号d41、及び、無効化するクレジットの数量を示す無効化クレジット量d42を含む。また、無効化申請情報D4は、クレジットの保有者である証書発行者10を識別する情報(クレジット保有者)を含んでもよい。
【0066】
無効化クレジット量d42は、例えば、集計充電電力量に相当する温室効果ガス(CO2)の量であってもよい。本実施形態では、無効化申請は、1tのCO2に相当する量のクレジットごとに行われる。温室効果ガスの量と充電電力量とを換算する係数は、例えば、クレジット創出者CGにおけるプロジェクトごとに規定される。
【0067】
クレジット運営主体CAは、無効化申請情報を取得した場合には、無効化申請されたクレジットを登録簿(データベース)上で無効化するように管理する。
【0068】
このように、集計充電電力量に相当するクレジットが無効化されることにより、電力利用識別情報とクレジットとが、充電電力量を介して関連付けられることとなる。従って、クレジット創出者CGにおける発電等に対する証書として発行されたクレジット情報が、実質的に複数の電力利用識別情報に分割されたとみなすことができる。
【0069】
再び図3を参照して、出力部16は、無効化申請されたクレジットを特定するクレジット情報と、集計充電電力量として充電電力量が集計された充電情報に対応する電力利用識別情報の各々とを関連付けた情報である無効化クレジット情報を、ユーザにより参照可能な態様で出力する。
【0070】
出力部16は、例えば、無効化クレジット情報を、ユーザ端末Tを介してユーザにより参照可能なようにWebサイトで公開してもよい。図10は、無効化クレジット情報の提示の一態様を示す図であって、無効化クレジット情報を表示する表示画面を示す。図10に例示されるように、出力部16は、無効化クレジット情報D5を表示させる。無効化クレジット情報D5は、無効化されたクレジットを特定するクレジット特定番号d51、無効化されたクレジットの量を示す無効化クレジット量d52を含む。
【0071】
また、無効化クレジット情報D5は、無効化されたクレジットに対応する集計充電電力量において集計された充電情報に関連付けられた電力利用識別情報d53を含む。無効化クレジット情報D5をユーザが参照することにより、自らが行った充電に対応する電力利用識別情報と、発電等に対する証書としてのクレジット情報との関連付けを認識でき、さらに、自身に関連付けられたクレジット情報を認識できる。複数の電力利用識別情報とクレジット情報とが関連付けられることは、実質的に、各電力利用識別情報を分割されたクレジット情報としてみなすことができる。
【0072】
また、出力部16は、無効化クレジット情報D5を、電力利用識別情報に対応するユーザIDを提示することなく、所定のWebサイトにおいて公開することにより出力する。図10に示される無効化クレジット情報D5は、複数のユーザが参照しうるように公開されたとしても、電力利用識別情報自体がユーザを識別しないので、電力利用識別情報の各々に対応するユーザの互いの個人情報が特定されることが防止される。
【0073】
図11は、証書発行装置10における証書発行方法の処理内容の例を示すフローチャートである。
【0074】
ステップS1において、クレジット情報取得部11は、所定の価値創出者による所定行為における数量に応じて所定機関により価値創出者に対して発行されたクレジットを特定するクレジット情報を取得する。本実施形態では、クレジット情報取得部11は、クレジット創出者CGによる太陽光発電等の温室効果ガスの排出を伴わない発電における発電電力量に応じて、クレジット創出者CGに対して発行されたクレジットのクレジット情報を取得する。クレジット情報の取得は、証書発行者によるクレジットの購入に伴う。
【0075】
ステップS2において、充電情報取得部12は、所定の充電設備においてユーザの電力使用装置に充電が行われたことを示す充電情報を取得する。本実施形態では、充電情報取得部12は、充電器PSにおいてユーザの電動車両に充電が行われたことを示す充電情報を取得する。
【0076】
ステップS3において、発行部13は、充電情報に対応する各々がユニークな電力利用識別情報を発行する。具体的には、発行部13は、各充電情報に対応する電力利用識別情報を生成する。
【0077】
ステップS4において、集計部14は、充電電力量の集計の実施に関する所与の条件を充足したか否かを判定する。充電電力量の集計の実施に関する条件は、例えば、充電電力量の相当する温室効果ガスの量が所定量に達すること、充電情報の件数が所定件数に達すること、及び、所定期間の経過等である。充電電力量の集計の実施に関する条件を充足したと判定された場合には、処理はステップS5に進む。一方、充電電力量の集計の実施に関する条件を充足したと判定されなかった場合には、処理はステップS2に戻る。
【0078】
ステップS5において、集計部14は、1以上の充電情報における充電電力量を集計して集計充電電力量を算出する。
【0079】
ステップS6において、無効化処理部15は、発行されたクレジットのうちの集計充電電力量に相当する数量に応じたクレジットの無効化申請をするための無効化申請情報を所定の無効化処理の担当主体に送信する。本実施形態では、無効化処理部15は、クレジット運営主体CAのコンピュータに無効化申請情報を送信する。
【0080】
ステップS7において、出力部16は、無効化申請されたクレジットを特定するクレジット情報と、集計充電電力量として充電電力量が集計された充電情報に対応する電力利用識別情報の各々とを関連付けた情報である無効化クレジット情報を、ユーザにより参照可能な態様で出力する。
【0081】
以上説明した本実施形態の証書発行装置10及び証書発行方法によれば、所定の充電設備においてユーザにより行われた充電に関する充電情報が取得され、充電情報の各々に対してユニークな電力利用識別情報が発行される。そして、集計充電電力量に応じて無効化申請されたクレジットのクレジット情報と1以上の電力利用識別情報とが関連付けられた無効化クレジット情報が出力されるので、1つのクレジット情報が、1以上の充電情報及び電力利用識別情報に実質的に分割される。従って、充電情報に対応するユーザは、自身が行った充電とクレジット情報との関連付けを認識することができるので、自身の充電に相当する環境付加価値に関するインセンティブをユーザに与えることが可能となる。
【0082】
証書発行装置10の内部の構成は上記実施形態に限定されず、任意の方針で設計されてよい。例えば、機能部11~16のそれぞれを実現させる主体(プロセッサ)は、本開示の例に限定されず、機能部ごとに異なってもよい。
【0083】
プロセッサにより実行される方法の処理手順は上記実施形態での例に限定されない。例えば、上述したステップ(処理)の一部が省略されてもよいし、別の順序で各ステップが実行されてもよい。また、上述したステップのうちの任意の2以上のステップが組み合わされてもよいし、ステップの一部が修正又は削除されてもよい。あるいは、上記の各ステップに加えて他のステップが実行されてもよい。
【符号の説明】
【0084】
10…証書発行装置、11…クレジット情報取得部、12…充電情報取得部、13…発行部、14…集計部、15…無効化処理部、16…出力部、20…充電情報記憶部、CA…クレジット運営主体、CG…クレジット創出者、N…通信ネットワーク、P1…証書発行プログラム、PS…充電器、T…ユーザ端末。
図1
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