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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023081777
(43)【公開日】2023-06-13
(54)【発明の名称】発泡成形品の製造方法及び成形型
(51)【国際特許分類】
   B29C 44/36 20060101AFI20230606BHJP
   B29C 39/10 20060101ALI20230606BHJP
   B29C 39/24 20060101ALI20230606BHJP
   B29C 44/00 20060101ALI20230606BHJP
   B29C 44/12 20060101ALI20230606BHJP
   B29C 44/58 20060101ALI20230606BHJP
   B29K 105/04 20060101ALN20230606BHJP
   B29L 31/58 20060101ALN20230606BHJP
【FI】
B29C44/36
B29C39/10
B29C39/24
B29C44/00 A
B29C44/12
B29C44/58
B29K105:04
B29L31:58
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021195773
(22)【出願日】2021-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】000219705
【氏名又は名称】東海興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098420
【弁理士】
【氏名又は名称】加古 宗男
(72)【発明者】
【氏名】大橋 洋介
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 昌治
【テーマコード(参考)】
4F204
4F214
【Fターム(参考)】
4F204AA42
4F204AB02
4F204AC05
4F204AD07
4F204AD24
4F204AG20
4F204AH26
4F204EA01
4F204EB01
4F204EB12
4F204EF05
4F204EK13
4F204EK17
4F204EK24
4F214AA42
4F214AB02
4F214AC05
4F214AD07
4F214AD24
4F214AG20
4F214AH26
4F214UA01
4F214UB01
4F214UB12
4F214UD13
4F214UD17
4F214UF05
4F214UK31
(57)【要約】
【課題】インサート品がインサート成形された発泡成形品の製造を容易にする。
【解決手段】成形型31は、上型32の所定位置に少なくとも1つの当接部33と突部34とが形成されたものを使用し、インサート品13は、上型32の当接部33の当接面33aに当たる端面13aと、突部34に嵌合する嵌合部20とを有するものを使用する。成形型31を開いて上型32の当接部33の当接面33aにインサート品13の端面13aを突き当てた状態でインサート品13の裏面を上型32に対向させて、インサート品13の裏面を上型32に押し付けることによりインサート品13の嵌合部20を上型32の突部34に嵌め込んでインサート品13を上型32の所定のセット位置にセットする。この後、下型35に発泡性原料38を注入し、成形型31を閉じて発泡性原料38を発泡させてパッド材12を成形し、パッド材12にインサート品13をインサート成形する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも上型と下型とを有する成形型を使用してパッド材にインサート品がインサート成形された発泡成形品を製造する方法において、
前記成形型は、前記上型の所定位置に、前記インサート品のセット位置を位置決めするための少なくとも1つの当接部と突部とが形成され、且つ前記当接部に前記突部と対向する当接面が形成されたものを使用し、
前記インサート品は、前記上型の前記当接部の前記当接面に当たる端面と、前記突部に嵌合する嵌合部とを有するものを使用し、
前記成形型を開いた状態で前記上型の前記当接部の前記当接面に前記インサート品の前記端面を突き当てる工程と、
前記インサート品の前記端面を前記上型の前記当接部の前記当接面に突き当てた状態で前記インサート品の裏面を前記上型に対向させる工程と、
前記インサート品の裏面を前記上型に押し付けることにより前記インサート品の前記嵌合部を前記上型の前記突部に嵌め込んで前記インサート品を前記上型の所定のセット位置にセットする工程と、
前記下型に発泡性原料を注入し、前記成形型を閉じて前記パッド材を発泡成形して前記パッド材に前記インサート品をインサート成形する工程と
を含むことを特徴とする発泡成形品の製造方法。
【請求項2】
前記インサート品の前記嵌合部は貫通穴であることを特徴とする請求項1に記載の発泡成形品の製造方法。
【請求項3】
前記インサート品を前記上型にセットする前に、前記上型に裏面補材をセットした後、前記インサート品を前記裏面補材の少なくとも一部に重ねるように前記上型にセットすることを特徴とする請求項1又は2に記載の発泡成形品の製造方法。
【請求項4】
前記インサート品の前記嵌合部の大きさは、前記上型の前記突部の大きさよりも僅かに小さく形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の発泡成形品の製造方法。
【請求項5】
前記インサート品の前記嵌合部のうちの最も前記インサート品の前記端面に近い部分から前記端面までの長さは、前記上型の前記突部のうちの最も前記当接部の前記当接面に近い部分から前記当接面までの長さよりも僅かに小さく形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の発泡成形品の製造方法。
【請求項6】
前記成形型を開いた状態において、前記上型の前記当接部の少なくとも一部は前記突部よりも上側に位置するように形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の発泡成形品の製造方法。
【請求項7】
少なくとも1つの端面と嵌合部とを有するインサート品がパッド材にインサート成形された発泡成形品を製造する成形型において、
少なくとも上型と下型を有し、
前記上型には、前記インサート品の前記端面が当たる少なくとも1つの当接部と、前記端面を前記当接部に突き当てた状態で前記インサート品の裏面を前記上型に押し付けたときに前記嵌合部に嵌合する突部とが形成されていることを特徴とする成形型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッド材にインサート品がインサート成形された発泡成形品を製造する発泡成形品の製造方法及び成形型に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
この種の発泡成形品としては、例えば、自動車等に搭載される座席シートの背もたれ部分のシートバックや座部のシートクッション等が知られている。これらのものでは、乗員の体を良好に支持して疲労を低減させたり発泡成形品を軽量化させたりするために、成形型内で発泡性原料を発泡させてパッド材を成形する際に、発泡ビーズ等で所定の形状に発成形したインサート品を埋設させてパッド材にインサート品をインサート成形した発泡成形品を製造することがある。このような発泡成形品の製造方法としては、例えば特許文献1(特開平9-70836号公報)に記載された製造方法が知られている。
【0003】
この特許文献1に記載された製造方法では、下型と上型との間に中型(中子型)が挿入される構造の成形型内にインサート品である衝撃吸収パッドを配置し、該成形型内に発泡性原料を注入して発泡させることにより、前記衝撃吸収パッドをインサート成形した自動車用シートバックを製造する製造方法において、前記中型の側部に突部が設けられていると共に、前記衝撃吸収パッドの表面に前記突部を圧入可能な凹部が形成され、作業者が成形型内に衝撃吸収パッドを配置する際に、前記衝撃吸収パッドの凹部に前記中型の突部を圧入して、当該衝撃吸収パッドを前記中型に脱着可能に装着するようにしている。この際、衝撃吸収パッドの凹部に中型の突部を圧入することにより、衝撃吸収パッドが中型の正しい位置に正しい姿勢で装着され、その後の閉型時にも衝撃吸収パッドのずれが防止されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9-70836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1の製造方法では、インサート品である衝撃吸収パッドのサイズや作業者と衝撃吸収パッドとの位置関係によっては、作業者が衝撃吸収パッドを持って目視で中型の突部を確認しにくく、衝撃吸収パッドの凹部に中型の突部を圧入しにくい場合がある。
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、作業者が上型にインサート品をセットする作業を行いやすくした発泡成形品の製造方法及び成形型を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、少なくとも上型と下型とを有する成形型を使用してパッド材にインサート品がインサート成形された発泡成形品を製造する方法において、前記成形型は、前記上型の所定位置に、前記インサート品のセット位置を位置決めするための少なくとも1つの当接部と突部とが形成され、且つ前記当接部に前記突部と対向する当接面が形成されたものを使用し、前記インサート品は、前記上型の前記当接部の前記当接面に当たる端面と、前記突部に嵌合する嵌合部とを有するものを使用し、前記成形型を開いた状態で前記上型の前記当接部の前記当接面に前記インサート品の前記端面を突き当てる工程と、前記インサート品の前記端面を前記上型の前記当接部の前記当接面に突き当てた状態で前記インサート品の裏面を前記上型に対向させる工程と、前記インサート品の裏面を前記上型に押し付けることにより前記インサート品の前記嵌合部を前記上型の前記突部に嵌め込んで前記インサート品を前記上型の所定のセット位置にセットする工程と、前記下型に発泡性原料を注入し、前記成形型を閉じて前記パッド材を発泡成形して前記パッド材に前記インサート品をインサート成形する工程とを含むことを特徴とするものである。
【0008】
この製造方法では、作業者が上型にインサート品をセットする際に、インサート品の端面を上型の当接部の当接面に突き当てることで上型に対するインサート品の大まかな位置を容易に定めることができる。そして、インサート品の端面を上型の当接部の当接面に突き当てた状態でインサート品の裏面を上型に対向させることでインサート品の嵌合部をそのまま(自動的に)上型の突部に対応する位置に位置させることができる。これにより、作業者が上型の突部を目視しなくてもインサート品の裏面を上型に押し付けることでインサート品の嵌合部を上型の突部に容易に嵌め込むことができ、作業者が簡単な作業でインサート品を上型の所定のセット位置にセットすることができる。
【0009】
この場合、上型の突部に嵌合するインサート品の嵌合部は上型の突部の形状に合わせた形状の凹部であっても良いし、請求項2のように、嵌合部は貫通穴であっても良い。貫通穴であれば、上型の突部に貫通させてインサート品を上型の所定位置にセットしたことを目視で確認することができる。
【0010】
更に、請求項3のように、インサート品を上型にセットする前に、上型に裏面補材をセットした後、前記インサート品を前記裏面補材の少なくとも一部に重ねるように前記上型にセットするようにしても良い。このようにすれば、発泡成形品の裏面を覆う裏面補材とインサート品とをパッド材に一体化することができる。
【0011】
また、請求項4のように、インサート品の嵌合部の大きさは、上型の突部の大きさよりも僅かに小さく形成されていれば良い。このようにすれば、インサート品の嵌合部と上型の突部とが強く当たった状態でインサート品が上型にセットされるため、成形型を閉じるときにインサート品を位置ずれしにくくしたり上型から外れにくくしたりすることができる。
【0012】
更に、請求項5のように、インサート品の嵌合部のうちの最も前記インサート品の端面に近い部分から前記端面までの長さは、上型の突部のうちの最も当接部の当接面に近い部分から前記当接面までの長さよりも僅かに小さく形成されていることが好ましい。このようにすれば、インサート品が上型の突部と当接部の当接面との間に挟まれた状態でインサート品が上型にセットされるため、成形型を閉じるときや発泡性原料が発泡流動しているときでもインサート品を位置ずれしにくくしたり上型から外れにくくしたりすることができる。
【0013】
尚、請求項6のように、成形型を開いた状態において、上型の当接部の少なくとも一部は突部よりも上側に位置するように形成されていることが好ましい。このようにすれば、作業者がインサート品を持ちながら目視で上型の当接部を確認しやすくなる。
【0014】
前述した請求項1に係る「発泡成形品の製造方法」の発明に使用する成形型は、請求項7のように、少なくとも上型と下型を有し、前記上型には、インサート品の端面が当たる少なくとも1つの当接部と、前記端面を前記当接部に突き当てた状態で前記インサート品の裏面を前記上型に押し付けたときに前記嵌合部に嵌合する突部とが形成されている成形型を使用すれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は本発明の一実施例の発泡成形品の斜視図である。
図2図2はインサート品の斜視図である。
図3図3は成形型を開いて上型にインサート品をセットする工程を説明する断面図である。
図4図4は成形型を開いて上型にインサート品をセットした状態を示す断面図である。
図5図5は下型に発泡性原料を注入して成形型を閉じた状態を示す断面図である。
図6図6は上型の平面図である。
図7図7は上型に裏面補材をセットした状態を示す平面図である。
図8図8は上型にインサート品をセットした状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態を車両用シートバック(背もたれ部)のクッション材の製造方法に適用して具体化した一実施例を説明する。
【0017】
まず、本実施例の製造方法で製造した車両用シートバックのクッション材11の構成を図1に基づいて説明する。
【0018】
車両用シートバックのクッション材11は、発泡性のクッション材であるパッド材12にインサート品13がインサート成形された発泡成形品である。パッド材12は、後述する成形型31内に液状の発泡性原料38(例えばポリオール系樹脂原料とイソシアネート系樹脂原料との混合原料に水等の発泡剤を混入した発泡性ポリウレタン原料)を注入して発泡成形したものである。このパッド材12の左右両側面部には、乗員の座る姿勢を安定させるための左右のパッドサイド部14,15が表側に立ち上がるように一体成形されている。
【0019】
一方、インサート品13は、発泡ビーズ等の発泡樹脂で形成され、図1図2に示すように、センター部16と、このセンター部16の左右両側面部から立ち上がる左右のサイド部17,18とが一体に形成され、センター部16がパッド材12のパッドメイン部12aに、左右のサイド部17,18がパッド材12の左右のパッドサイド部14,15に夫々インサート成形により埋設されている。
【0020】
図3乃至図6に示すように、インサート品13は、後述する上型32の当接部33の当接面33aに当たる端面13a(本実施例では上側端面)と、後述する上型32の突部34に嵌合する嵌合部20とを有する。この嵌合部20は、上型32の突部34の形状に合わせた形状の凹部であっても良いが、本実施例では、嵌合部20は、上型32の突部34の断面形状に合わせた断面形状(本実施例では円形断面)で該突部34が貫通可能な貫通穴(本実施例では円形の貫通穴)として形成され、且つ、嵌合部20の大きさ(直径)は上型32の突部34の大きさ(直径)よりも僅かに小さく形成されている。これにより、嵌合部20の内周面が突部34の外周面に接触して成形型31を閉じるときや発泡性原料38が発泡流動しているときでも該インサート品13が上型32から外れないようになっている。
【0021】
図8に示すように、インサート品13の嵌合部20のうちの最もインサート品13の端面13aに近い部分から該端面13aまでの長さHは、上型32の突部34のうちの最も当接部33の当接面33aに近い部分から該当接面33aまでの長さh(図6参照)よりも僅かに小さく形成されている。これにより、インサート品13が上型32の突部34と当接部33との間に挟まれて、成形型31を閉じるときや発泡性原料38が発泡流動しているときでも該インサート品13が上型32から位置ずれしたり外れたりしないようになっている。
【0022】
一方、パッド材12の裏面には、該パッド材12の裏面を覆う裏面補材21(図7及び図8参照)がインサート品13と共にインサート成形されてこれら三者が一体化されている。裏面補材21は、所定形状に裁断された不織布等の布状部材を縫製して形成され、該裏面補材21のうちの後述する上型32の当接部33と突部34に対応する位置には、それぞれ当接部33と突部34を貫通可能な貫通穴22,23が形成されている。この裏面補材21は、パッド材12を補強すると共に、パッド材12やインサート品13がクッション材11を取り付けるフレーム(図示せず)に直接接触しないようにして異音の発生を防止する役割を果たす。
【0023】
次に、クッション材11を成形する成形型31の構成を図3乃至図8に基づいて説明する。
成形型31は、クッション材11の表側(座る人の背中と対向する側)を下向きにして成形するように配置され、少なくとも上型32と下型35とから構成されている。上型32は、ヒンジ軸36を介して下型35に開閉回動可能に取り付けられている。この上型32の所定位置には、インサート品13のセット位置を位置決めするための少なくとも1つの当接部33と突部34が形成されている。この当接部33と突部34は上型32に一体に形成しても良いし、別部品を取り付けて形成しても良い。
【0024】
本実施例では、図6に示すように、当接部33と突部34がそれぞれ2つずつ左右対称な位置に形成され、該インサート品13の端面13aを当接部33に突き当てた状態で該インサート品13の裏面を上型32に押し付けることで該インサート品13の嵌合部20がそのまま(自動的に)突部34に嵌め込まれるようになっている。この上型32の当接部33と突部34との位置関係は、図3及び図4に示すように、成形型31を開いた状態において、上型32の当接部33の少なくとも一部が突部34よりも上側に位置するように形成されている。
【0025】
次に、成形型31を使用してクッション材11を製造する方法を説明する。
まず、図3に示すように、成形型31を開いた状態で作業者が裏面補材21を上型32の内面にセットする。このとき、図7に示すように、該裏面補材21には、上型32の当接部33と突部34を避けるように穴22,23が形成されている。
【0026】
この後、図3に示すように、作業者がインサート品13を持って該インサート品13の上側の端面13aを上型32の当接部33の当接面33aに突き当てた状態にする。これにより、上型32に対するインサート品13の大まかな位置が定められる。本実施例では、成形型31を開いた状態において、上型32の当接部33の少なくとも一部が突部34よりも上側に位置するように形成されているため、作業者がインサート品13を持ちながら目視で上型32の当接部33を容易に確認することができる。
【0027】
そして、インサート品13の上側の端面13aを上型32の当接部33の当接面33aに突き当てた状態で、インサート品13の裏面を上型32に対向させる。これにより、インサート品13の嵌合部20がそのまま(自動的に)上型32の突部34に対応する位置に位置した状態となると共に、インサート品13が裏面補材21の少なくとも一部に重なった状態となる。この状態で、図4に示すように、インサート品13の裏面を上型32に押し付けることにより、該インサート品13の嵌合部20を上型32の突部34に嵌め込んで該インサート品13を上型32の所定のセット位置にセットする。これにより、作業者が上型32の突部34を目視しなくてもインサート品13の裏面を上型32に押し付けることでインサート品13の嵌合部20を上型32の突部34に容易に嵌め込むことができる。
【0028】
本実施例では、インサート品13の嵌合部20を貫通穴としているため、インサート品13の嵌合部20を上型32の突部34に嵌め込むことでインサート品13を上型32にセットしたことを目視で確認することができる。
【0029】
更に、本実施例では、インサート品13の嵌合部20の大きさは、上型32の突部34の大きさよりも僅かに小さく形成されているため、インサート品13の嵌合部20の内周面と上型32の突部34の外周面とが強く当たった状態でインサート品13が上型32にセットされる。これにより、成形型31を閉じるときにインサート品13が上型32から外れにくくすることができる。
【0030】
しかも、本実施例では、インサート品13の嵌合部20のうちの最もインサート品13の端面13aに近い部分から該端面13aまでの長さHは、上型32の突部34のうちの最も当接部33の当接面33aに近い部分から該当接面33aまでの長さhよりも僅かに小さく形成されているため、インサート品13が上型32の突部34と当接部33の当接面33aとの間に挟まれた状態でインサート品13が上型32にセットされた状態となる。これにより、成形型31を閉じるときにインサート品13が上型32から外れにくくすることができる。
【0031】
インサート品13のセット後、下型35に発泡性ポリウレタン原料等の発泡性原料38を注入した後、図5に示すように、成形型31を閉じて該発泡性原料38を発泡させ、該成形型31内のキャビティ内に発泡した発泡性原料38を充填してパッド材12を成形し、該パッド材12の裏面側にインサート品13と裏面補材21をインサート成形により一体化したクッション材11を製造する。
【0032】
本実施例では、インサート品13の上側の端面13aを上型32の当接部33の当接面33aに突き当てるようにしたので、インサート品13が大きくても、作業者がインサート品13を持ってその上側の端面13aを上型32の当接部33の当接面33aに突き当てやすい利点があるが、本発明は、インサート品13の下側端面や左側端面又は右側端面を上型32の所定位置に形成された当接部の当接面に突き当てるようにしても良い。
【0033】
また、本発明は、上型が中子型を含む成形型に適用しても良く、この場合には、中子型に少なくとも1つの当接部と突部とを形成した構成としても良い。当接部と突部の数もそれぞれ2つに限定されず、それぞれ1つ又は3つ以上であっても良い。
【0034】
また、本実施例では、インサート品13がパッド材12に埋設されると共にインサート品13の裏面が裏面補材21に覆われているが、インサート品13の一部が露出した状態でパッド材12に埋設されていても良い。
【0035】
その他、本発明の適用範囲は、車両用シートバックのクッション材の製造方法に限定されず、少なくとも上型と下型とを有する成形型を使用してパッド材にインサート品がインサート成形された発泡成形品を製造する方法に広く適用して実施できる。
【符号の説明】
【0036】
11…車両用シートバックのクッション材(発泡成形品)、12…パッド材、12a…パッドメイン部、13…インサート品、13a…端面、14,15…パッドサイド部、16…センター部、17,18…サイド部、20…嵌合部、21…裏面補材、22,23…穴、31…成形型、32…上型、33…当接部、33a…当接面、34…突部、35…下型、38…発泡性原料
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8