(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023081779
(43)【公開日】2023-06-13
(54)【発明の名称】電力マネジメントシステム、及び、電力マネジメント方法
(51)【国際特許分類】
H02J 7/35 20060101AFI20230606BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20230606BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
H02J7/35 K
H02J3/38 130
H02J3/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021195777
(22)【出願日】2021-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】村上 宗司
(72)【発明者】
【氏名】森田 功
(72)【発明者】
【氏名】林 尚史
(72)【発明者】
【氏名】秋政 向志
(72)【発明者】
【氏名】小野田 仙一
【テーマコード(参考)】
5G066
5G503
【Fターム(参考)】
5G066AE09
5G066HB06
5G066HB09
5G066JA05
5G066JB03
5G503AA01
5G503AA06
5G503BA01
5G503BB02
5G503CA08
5G503CB16
5G503DA05
5G503EA05
5G503GB03
5G503GB06
5G503GD03
5G503GD06
(57)【要約】
【課題】太陽光発電システムによって発電された電力の消費を促進することができる電力マネジメントシステムを提供する。
【解決手段】電力マネジメントシステム10は、天気予報情報を取得する取得部35と、取得された天気予報情報に基づいて定まる、対象日における太陽光発電システム21による発電量の予測値である予測発電量に基づいて、太陽光発電システム21によって発電された電力を蓄える蓄電池システム22を放電させるか否かの判定を行い、判定結果に基づき放電制御を行う制御部37とを備える。制御部37は、上記放電制御を行うことにより、対象日の午前中の所定時刻までに、蓄電池システム22のSOCを第1の値から第1の値よりも小さい第2の値に到達させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天気予報情報を取得する取得部と、
取得された前記天気予報情報に基づいて定まる、対象日における太陽光発電システムによる発電量の予測値である予測発電量に基づいて、前記太陽光発電システムによって発電された電力を蓄える蓄電池システムを放電させるか否かの判定を行い、判定結果に基づき放電制御を行う制御部とを備え、
前記制御部は、前記放電制御を行うことにより、前記対象日の午前中の所定時刻までに、前記蓄電池システムのSOC(State Of Charge)を第1の値から前記第1の値よりも小さい第2の値に到達させる
電力マネジメントシステム。
【請求項2】
前記制御部は、
前記予測発電量が閾値以上である場合には、前記放電制御を行い、
前記予測発電量が前記閾値未満である場合には、前記放電制御を行わずに前記蓄電池システムのSOCを前記第1の値のまま維持する
請求項1に記載の電力マネジメントシステム。
【請求項3】
前記取得部は、さらに、前記太陽光発電システム及び前記蓄電池システムが設けられた施設における電力使用量の履歴情報を取得し、
前記制御部は、前記予測発電量に加えて、取得された前記履歴情報に基づいて定まる、前記対象日における電力使用量の予測値である予測需要に基づいて、前記放電制御を行う
請求項1または2に記載の電力マネジメントシステム。
【請求項4】
前記第1の値は、非常時への備えとして定められる前記SOCの下限値である
請求項1~3のいずれか1項に記載の電力マネジメントシステム。
【請求項5】
前記制御部は、深夜の時間帯に前記判定を行う
請求項1~4のいずれか1項に記載の電力マネジメントシステム。
【請求項6】
前記取得部は、さらに、前記太陽光発電システム及び前記蓄電池システムが設けられた施設における電力使用量の履歴情報を取得し、
前記制御部は、さらに、取得された前記履歴情報に基づいて定まる、前記対象日における電力使用量の予測値である予測需要に基づいて、前記判定を行うタイミングを決定する
請求項1~4のいずれか1項に記載の電力マネジメントシステム。
【請求項7】
前記制御部は、前記予測需要に基づいて、前記蓄電池システムのSOCを前記第1の値から前記第2の値に到達させるために要する時間を推定し、
前記所定時刻から推定された時間だけ遡ったタイミングを、前記判定を行うタイミングとして決定する
請求項6に記載の電力マネジメントシステム。
【請求項8】
さらに、気象情報管理サーバから前記天気予報情報を受信するサーバ装置を備え、
前記取得部は、前記サーバ装置を通じて前記天気予報情報を取得する
請求項1~7のいずれか1項に記載の電力マネジメントシステム。
【請求項9】
さらに、
前記太陽光発電システムと、
前記蓄電池システムとを備える
請求項1~8のいずれか1項に記載の電力マネジメントシステム。
【請求項10】
コンピュータによって実行される電力マネジメント方法であって、
天気予報情報を取得する取得ステップと、
取得された前記天気予報情報に基づいて定まる、対象日における太陽光発電システムによる発電量の予測値である予測発電量に基づいて、前記太陽光発電システムによって発電された電力を蓄える蓄電池システムを放電させるか否かの判定を行い、判定結果に基づき放電制御を行う制御ステップとを含み、
前記放電制御が行われることにより、前記対象日の午前中の所定時刻までに、前記蓄電池システムのSOCは第1の値から前記第1の値よりも小さい第2の値に到達する
電力マネジメント方法。
【請求項11】
請求項10に記載の電力マネジメント方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力マネジメントシステム、及び、電力マネジメント方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、太陽光発電システムの発電電力を、蓄電装置及びヒートポンプ等の熱源装置に配分する需給制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、太陽光発電システムによって発電された電力の消費を促進することができる電力マネジメントシステム等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る電力マネジメントシステムは、天気予報情報を取得する取得部と、取得された前記天気予報情報に基づいて定まる、対象日における太陽光発電システムによる発電量の予測値である予測発電量に基づいて、前記太陽光発電システムによって発電された電力を蓄える蓄電池システムを放電させるか否かの判定を行い、判定結果に基づき放電制御を行う制御部とを備え、前記制御部は、前記放電制御を行うことにより、前記対象日の午前中の所定時刻までに、前記蓄電池システムのSOC(State Of Charge)を第1の値から前記第1の値よりも小さい第2の値に到達させる。
【0006】
本発明の一態様に係る電力マネジメント方法は、コンピュータによって実行される電力マネジメント方法であって、天気予報情報を取得する取得ステップと、取得された前記天気予報情報に基づいて定まる、対象日における太陽光発電システムによる発電量の予測値である予測発電量に基づいて、前記太陽光発電システムによって発電された電力を蓄える蓄電池システムを放電させるか否かの判定を行い、判定結果に基づき放電制御を行う制御ステップとを含み、前記放電制御が行われることにより、前記対象日の午前中の所定時刻までに、前記蓄電池システムのSOCは第1の値から前記第1の値よりも小さい第2の値に到達する。
【0007】
本発明の一態様に係るプログラムは、前記電力マネジメント方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様に係る電力マネジメントシステム等は、太陽光発電システムによって発電された電力の消費を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る電力マネジメントシステムの機能構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る電力マネジメントシステムの動作の概要を示す図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る電力マネジメントシステムの動作例1のシーケンス図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る電力マネジメントシステムの動作例2のシーケンス図である。
【
図5】
図5は、判定タイミングの決定動作のフローチャートである。
【
図6】
図6は、システム構成の変形例1を示す図である
【
図7】
図7は、システム構成の変形例2を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0011】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
【0012】
(実施の形態)
[構成]
まず、実施の形態に係る電力マネジメントシステムの構成について説明する。
図1は、実施の形態に係る電力マネジメントシステムの機能構成を示すブロック図である。
【0013】
図1に示される電力マネジメントシステム10は、施設60に設置され、電力のマネジメントを行うシステムである。施設60は、例えば、戸建住宅または集合住宅などの受託であるが、オフィスビルまたは工場などの住宅外の施設であってもよい。
【0014】
図1に示されるように、電力マネジメントシステム10は、太陽光発電システム21と、蓄電池システム22と、パワーコンディショナ23と、負荷24と、電力計測装置25と、制御装置30と、サーバ装置40と、気象情報管理サーバ50とを備える。電力マネジメントシステム10は、スマートメータ26をさらに備えてもよい。
【0015】
太陽光発電システム21は、分散型電源の一例であり、太陽光を電気エネルギーに変換することにより発電する発電システムである。太陽光発電システム21によって発電された電力は、パワーコンディショナ23へ出力される。太陽光発電システム21は、具体的には、PV(Photovoltaic)パネルなどによって実現される。
【0016】
蓄電池システム22は、分散型電源の一例であり、太陽光発電システム21によって発電された電力を蓄える。つまり、蓄電池システム22は、太陽光発電システム21によって発電された電力により充電される。また、蓄電池システム22は、蓄えた電力をパワーコンディショナ23へ出力(放電)する。蓄電池システム22は、リチウムイオン電池などの二次電池によって実現される。さらに、蓄電池システム22は系統電源70によって充電されてもよい。
【0017】
パワーコンディショナ23は、電力変換装置であり、PCS(Power Conditioning System)などと呼ばれる場合もある。パワーコンディショナ23は、DC-DCコンバータ、及び、DC-ACコンバータなどの電力変換回路によって実現される。
【0018】
パワーコンディショナ23は、太陽光発電システム21、及び、蓄電池システム22から得られる直流電力を交流電力に変換し、負荷24に供給する。また、パワーコンディショナ23は、系統電源70から得られる交流電力を負荷24に供給することもできる。
【0019】
本実施の形態では、パワーコンディショナ23は、太陽光発電システム21の発電電力または蓄電池システム22の放電電力がパワーコンディショナ23へ入力されているときには発電電力または放電電力に基づく交流電力を負荷24へ供給する。また、パワーコンディショナ23は、太陽光発電システム21の発電電力または蓄電池システム22の放電電力がパワーコンディショナ23へ入力されていないときには、系統電源70から得られる交流電力を負荷24へ供給する。
【0020】
また、パワーコンディショナ23は、太陽光発電システム21から得られる直流電力を、蓄電池システム22を充電するために適した直流電力に変換し、蓄電池システム22を充電する。つまり、パワーコンディショナ23は、太陽光発電システム21によって発電された電力の、蓄電池システム22への蓄電を補助する。
【0021】
負荷24は、施設60のユーザ(施設60が住宅である場合は居住者)が使用する電気機器である。負荷24には、照明機器及び空調機器などが含まれる。
【0022】
電力計測装置25は、負荷24による電力使用量(言い換えれば、消費電力量)を計測する。電力計測装置25は、具体的には、パワーコンディショナ23から負荷24に供給される交流電力の電力使用量、及び、系統電源70から負荷24に供給される交流電力の電力使用量の合計を計測する。電力計測装置25は、例えば、電流センサ(CT:Current Transformer)によって実現される。
【0023】
スマートメータ26は系統電力70の直下に配置され、これまでに述べた機器による発電量と電力使用量の総量を計測する。計測値は無線通信等の手段によって、電力会社のスマートメータ管理サーバ(図示しない)、及び、次に説明する制御装置30(EMS(Energy Management System)コントローラ)に対して直接送信される。
【0024】
制御装置30は、蓄電池システム22を制御する。制御装置30は、具体的には、エネルギーマネジメント機能を有するEMSコントローラであり、施設60における日々の電力使用量を履歴情報として管理する。制御装置30は、EMSコントローラに限定されず、他のコントローラ、または、ゲートウェイ装置であってもよい。制御装置30は、情報処理部31と、記憶部32と、第1通信部33と、第2通信部34とを備える。
【0025】
情報処理部31は、蓄電池システム22の制御に関連する情報処理を行う。情報処理部31は、例えば、マイクロコンピュータによって実現されるが、プロセッサによって実現されてもよい。情報処理部31は、機能的な構成要素として、取得部35、予測部36、及び、制御部37を備える。取得部35、予測部36、及び、制御部37の機能は、例えば、情報処理部31を構成するマイクロコンピュータまたはプロセッサ等が記憶部32に記憶されたコンピュータプログラムを実行することによって実現される。取得部35、予測部36、及び、制御部37によって行われる具体的な動作については後述される。
【0026】
記憶部32は、情報処理部31によって実行されるコンピュータプログラム、過去の発電量の実績情報、及び、電力使用量の履歴情報などが記憶される記憶装置である。記憶部32は、例えば、半導体メモリによって実現される。
【0027】
第1通信部33は、制御装置30が太陽光発電システム21、蓄電池システム22、及び、電力計測装置25、スマートメータ26などと局所通信ネットワークを介して通信を行うための通信回路である。第1通信部33は、例えば、無線通信を行う無線通信回路であるが、有線通信を行う有線通信回路であってもよい。第1通信部33が行う通信の通信規格は、例えば、ECHONET Lite(登録商標)であるが、第1通信部33が行う通信の通信規格については特に限定されない。
【0028】
第2通信部34は、制御装置30が広域通信ネットワーク80を介してサーバ装置40及び気象情報管理サーバ50と通信を行うための通信回路である。第2通信部34は、例えば、無線通信を行う無線通信回路であるが、有線通信を行う有線通信回路であってもよい。第2通信部34が行う通信の通信規格については特に限定されない。
【0029】
サーバ装置40は、施設60外に設置されるクラウドサーバである。サーバ装置40は、制御装置30によって行われる蓄電池システム22の制御を支援する。サーバ装置40は、例えば、天気予報情報を受信し、受信した天気予報情報を制御装置30へ提供する。サーバ装置40は、制御装置30と連携し、制御装置30が実行する処理の一部または全部を実行してもよい。
【0030】
気象情報管理サーバ50は、施設60外に設置されるクラウドサーバであり、サーバ装置40に天気予報情報、または、過去の天気情報を提供する。気象情報管理サーバ50は、サーバ装置40を介さずに制御装置30へ天気情報を提供してもよい。天気予報情報及び天気情報のそれぞれには、日射量情報、及び、気温情報などが含まれる。
【0031】
[動作の概要]
電力マネジメントシステム10では、太陽光発電システム21によって発電された電力は、負荷24に供給される。例えば、日中の天気の良い日であって発電量が十分である場合には、負荷24は太陽光発電システム21によって発電された電力を用いて動作し、発電された電力の余剰分(以下、余剰電力とも記載される)は、蓄電池システム22に蓄えられる。
【0032】
一方、日中の天気の悪い日や、発電量が負荷24による電力使用量を賄うのに十分でないおそれがある場合には、負荷24へは、蓄電池システム22または系統電源70からも電力が供給される。つまり、施設60のユーザは、電力会社から電力を購入することになる。
【0033】
ここで、電力マネジメントシステム10において、蓄電池システム22のSOC(State Of Charge)の下限値は、停電時などの非常時に備えて40%に設定される。言い換えれば、蓄電池システム22のSOCの下限値は、非常事態に対するレジリエンス性を維持するために40%に設定される。なお、40%という数値は一例である。蓄電池システム22のSOCの下限値は、例えば、図示されないユーザインターフェースを通じて施設60のユーザによって変更可能であってもよい。
【0034】
したがって、日中天気が悪く、太陽光発電システム21によって発電される電力だけでは負荷24へ供給する電力が不足する場合、蓄電池システム22のSOCが40%を超えている間は蓄電池システム22から負荷24へ電力が供給される。蓄電池システム22のSOCが40%にまで低下すると、負荷24へは系統電源70から電力が供給される。つまり、施設60のユーザは、系統電源70を管理する電力会社から電力を購入する。
【0035】
日没後も同様であり、日没後には、蓄電池システム22のSOCが40%を超えているときには、蓄電池システム22から負荷24へ電力が供給され、蓄電池システム22のSOCが40%に低下すると、負荷24へは系統電源70から電力が供給される。言い換えれば、蓄電池システム22は、日没以降には、蓄電池システム22のSOCが40%になるまで放電を行う。
【0036】
このように、電力マネジメントシステム10においては、SOCの下限値は40%であり、基本的には、蓄電池システム22は、SOCの下限値が40%以下とならない範囲で放電される。停電時などの非常時を除いて蓄電池システム22のSOCの下限値が40%に固定されると、日中の天気の良い日に蓄電池システム22に蓄えることができる電力量は、多くともSOC60%相当となる。そうすると、天気がよく発電量が十分多い日であっても、蓄電池システム22に蓄えられる電力が減少し、系統電源70から電力を購入して使用する時間帯が多くなり、経済性が低下する。そこで、蓄電池システム22に蓄えることができる電力量を増加させるために、電力マネジメントシステム10は、以下のように蓄電池システム22のSOCを制御する動作を行う。
【0037】
図2は、蓄電池システム22のSOCを制御する動作の概要を示す図である。
図2の(a)は、発電量が多い(天気が良い)と予測される日の、太陽光発電システム21の発電量、蓄電池システム22のSOC、及び、施設60における電力需要を示す。
図2の(b)は、発電量が少ない(天気が悪い)と予測される日の、太陽光発電システム21の発電量、蓄電池システム22のSOC、及び、施設60における電力需要を示す。
【0038】
電力マネジメントシステム10は、対象日のAM3:00(深夜)などの判定タイミングに、天気予報情報に基づいて対象日における太陽光発電システム21の発電量を予測する。
図2の(a)に示されるように、電力マネジメントシステム10は、予測発電量が多い場合には、蓄電池システム22を放電させる(負荷24に蓄電池システム22に蓄えられた電力を消費させる)ことで、所定時刻までに蓄電池システム22のSOCを下限値の40%からさらに低い10%にまで低下させる。なお、10%という数値は一例である。予測発電量が多い場合のSOCの下限値の目標値(下限値よりも低いSOCの値)は、例えば、図示されないユーザインターフェースを通じて施設60のユーザによって変更可能であってもよい。
【0039】
この結果、所定時刻における蓄電池システム22のSOCは10%となり、日中蓄電池システム22に蓄えることができる電力は、SOC90%相当に増加する。所定時刻は、例えば、日の出時刻の前後1時間以内の時刻である。
【0040】
一方、
図2の(b)に示されるように、電力マネジメントシステム10は、予測発電量が少ない場合には、蓄電池システム22を放電させずに蓄電池システム22のSOCを下限値の40%のまま維持する。この結果、所定時刻における蓄電池システム22のSOCは40%となる。
【0041】
このように、電力マネジメントシステム10は、太陽光発電システム21による発電量が多いと予測される場合に蓄電池システム22を放電させる放電制御を行うことで、太陽光発電システム21または蓄電池システム22(つまり、分散型電源)から供給される電力の使用量の増大(以下、自家消費量の増大などとも記載される)を図る。これにより、電力マネジメントシステム10は、自家消費量の増大とレジリエンス性の維持とを両立することができる。
【0042】
例えば、太陽光発電システム21または蓄電池システム22が需要家(施設60のユーザ)によって所有される場合、自家消費量が増大されることで系統電源70からの電力の使用が抑制されることから、需要家にとっては電力コストが低減される利点がある。また、PPA(Power Purchase Agreement)モデルのように、太陽光発電システム21及び蓄電池システム22が需要家ではなく特定の事業者によって所有されている場合、自家消費量の増大は特定の事業者にとってメリットがある。
【0043】
[動作例1]
以下、
図2の(a)を用いて説明した放電制御を含む、蓄電池システム22の動作例1について説明する。
図3は、電力マネジメントシステム10の動作例1のフローチャートである。
【0044】
上述のように、蓄電池システム22は、対象日(発電量の予測の対象となる日)の前日の日没以降には、SOCが40%になるまで放電を行い、SOCが40%に到達すると放電を停止する。蓄電池システム22のSOCが40%の状態で、深夜の時間帯(例えば、対象日の午前0時以降午前3時までの時間帯)に属する判定タイミングが到来すると、制御装置30の取得部35は、第2通信部34を通じて、気象情報管理サーバ50から最新の天気予報情報を取得する(S11)。天気予報情報は、気象情報管理サーバ50からサーバ装置40へ提供されてもよく、この場合、取得部35は、第2通信部34を通じて、サーバ装置40から天気予報情報を取得する。
【0045】
なお、制御装置30の記憶部32には、施設60が属する地域を示す地域コードがあらかじめ記憶(登録)されており、取得部35は、このような地域コードに基づいて、施設60が属する地域の天気予報情報を取得することができる。
【0046】
次に、取得部35は、記憶部32に記憶された、過去の発電量の実績情報を取得する(S12)。実績情報は、例えば、過去のある1日の発電量の実績と、その日の実際の天気を示す天気情報(天気、日射量情報、湿度情報、及び気温情報など)とが対応付けられた情報である。発電量の実績は、例えば、太陽光発電システム21によって計測され、天気情報は、例えば、気象情報管理サーバ50によって提供される。天気情報には、上述した例以外の情報が含まれてもよい。
【0047】
次に、予測部36は、ステップS11において取得された天気予報情報、及び、ステップS12において取得された実績情報に基づいて、対象日における発電量を予測する(S13)。予測部36は、例えば、実績情報を参照することにより、対象日の気象条件に最も気象条件が近い日の発電量を、対象日における予測発電量とみなすことができる。
【0048】
次に、制御部37は、予測発電量に基づいて、放電制御を実行するか否かの判定を行う(S14)。この判定は、言い換えれば、所定時刻における蓄電池システム22のSOCを、40%(第1の値の一例)、及び、10%(第2の値の一例)のいずれに制御するかの判定である。この判定は、例えば、閾値を用いて行われる。閾値は、経験的または実験的に適宜定められる。
【0049】
制御部37は、予測発電量が閾値以上である場合には(S14で発電量が多い)、放電制御を行う(S15)。言い換えれば、制御部37は、負荷24に蓄電池システム22に蓄えられた電力を消費させる。制御部37は、具体的には、第1通信部33を用いて蓄電池システム22へ放電を指示する制御信号を送信することにより、放電制御を実行する。放電制御においては、蓄電池システム22のSOCが10%に到達すると蓄電池システム22の放電は停止される。
【0050】
この結果、当初40%であった蓄電池システム22のSOCは、所定時刻までに10%に低下する。なお、蓄電池システム22のSOCを低下させるために、負荷24を強制的に動作させる、といったことは行われない。蓄電池システム22のSOCがどの程度低下するかは、施設60のユーザがどのように負荷24を動作させるかによって決まる。そこで、判定タイミングと所定時刻との時間間隔は、所定時刻までにSOCが10%に到達できるように、経験的または実験的に適宜定められる。
【0051】
放電制御中には、SOCは下限値よりも低くなるため、レジリエンス性は低下する。しかしながら、所定時刻が日の出時刻の前後の時刻に定められていれば、早期にSOCの回復が見込める。つまり、所定時刻が日の出時刻の前後の時刻に定められていれば、レジリエンス性が低下する期間の長さの短縮を図ることができる。
【0052】
一方、制御部37は、予測発電量が閾値未満である場合には(S14で発電量が少ない)、放電制御を実行しない。この結果、蓄電池システム22のSOCは40%のままとなり、所定時刻においても40%となる。
【0053】
以上説明したように、電力マネジメントシステム10は、天気予報情報に基づいて定まる、対象日における太陽光発電システム21による発電量の予測値である予測発電量が閾値以上である場合には、放電制御を行う。放電制御によれば、対象日の午前中の所定時刻までに、蓄電池システム22のSOCは第1の値(例えば、40%)から第1の値よりも小さい第2の値(例えば、10%)に到達する。一方、電力マネジメントシステム10は、予測発電量が閾値未満である場合には、放電制御を行わずに蓄電池システム22のSOCを第1の値のまま維持する。
【0054】
このような電力マネジメントシステム10は、自家消費量の増大と、レジリエンス性の維持とを両立することができる。
【0055】
なお、動作例1では、天気予報情報と実績情報とに基づいて発電量が予測されたが、発電量の予測方法は、このような方法に限定されない。例えば、実績情報を学習データとして構築された機械学習モデルを用いて発電量が予測されてもよい。予測部36は、取得部35によって取得された天気予報情報を機械学習モデルに入力することで予測発電量を得ることができる。
【0056】
[動作例2]
放電制御を実行するか否かの判定には、対象日における電力使用量の予測値である予測需要が用いられてもよい。以下、このような、電力マネジメントシステム10の動作例2について説明する。
図4は、電力マネジメントシステム10の動作例2のフローチャートである。
【0057】
ステップS21~ステップS23の処理は、ステップS11~ステップS13の処理と同様であるため、詳細な説明が省略される。ステップS23の後、取得部35は、施設60における電力使用量の履歴情報を取得する(S24)。上述のように、電力計測装置25によって計測される施設60内の負荷24全体の日々の電力使用量は、履歴情報として記憶部32に記憶されている。取得部35は、このような電力使用量の履歴情報を記憶部32から取得することができる。
【0058】
次に、予測部36は、ステップS24において取得された電力使用量の履歴情報に基づいて、対象日の日中における施設60内の負荷24全体の電力使用量(電力需要)を予測する(S25)。日中とは、例えば、日の出時刻から日の入り時刻までの期間である。
【0059】
予測部36は、例えば、直近の所定期間における日中の電力使用量の平均値を対象日の日中における電力使用量として予測する、予測部36は、さらに、曜日を考慮して、直近の所定期間における対象日と同一の曜日の日中の電力使用量の平均値を、対象日の日中における電力使用量として予測してもよい。予測部36は、さらに、季節性(夏季または冬季など)を考慮して対象日の日中における電力使用量を予測してもよい。電力使用量の予測には、既存の他のアルゴリズムが用いられてもよい。以下では、電力使用量の予測値を、予測需要とも記載する。
【0060】
次に、制御部37は、予測発電量に基づいて、放電制御を実行するか否かの判定を行う(S26)。この判定は、言い換えれば、所定時刻における蓄電池システム22のSOCを、40%(第1の値の一例)、及び、10%(第2の値の一例)のいずれに制御するかの判定である。この判定は、例えば、閾値を用いて行われる。
【0061】
制御部37は、予測発電量が予測需要以上に多い場合には(S26で発電量≧需要)、放電制御を行う(S27)。言い換えれば、制御部37は、負荷24に蓄電池システム22に蓄えられた電力を消費させる。制御部37は、具体的には、第1通信部33を用いて蓄電池システム22へ放電を指示する制御信号を送信することにより、放電制御を実行する。放電制御においては、蓄電池システム22のSOCが10%に到達すると蓄電池システム22の放電は停止される。
【0062】
この結果、当初40%であった蓄電池システム22のSOCは、所定時刻までに10%に低下する。判定タイミングと所定時刻との時間間隔は、所定時刻までにSOCが10%に到達できるように、経験的または実験的に適宜定められる。
【0063】
一方、制御部37は、予測発電量が予測需要未満である場合には(S26で発電量<需要)、放電制御を実行しない。この結果、蓄電池システム22のSOCは40%のままとなり、所定時刻においても40%となる。
【0064】
以上説明したように、電力マネジメントシステム10は、予測発電量に加えて、取得された履歴情報に基づいて定まる、対象日における電力使用量の予測値である予測需要に基づいて、放電制御を行うか否かを判定する。
【0065】
このような電力マネジメントシステム10は、自家消費量の増大と、レジリエンス性の維持とを両立することができる。
【0066】
[判定タイミングの決定動作]
動作例1及び2においては、放電制御を実行するか否かの判定が行われる判定タイミングは、あらかじめ定められた固定のタイミングであったが、制御部37は、予測需要に基づいて判定タイミングを適応的に(流動的に)決定してもよい。
図5は、判定タイミングの決定動作のフローチャートである。
【0067】
取得部35は、施設60における電力使用量の履歴情報を取得する(S31)。上述のように、電力計測装置25によって計測される施設60内の負荷24全体の日々の電力使用量は、履歴情報として記憶部32に記憶されている。取得部35は、このような電力使用量の履歴情報を記憶部32から取得することができる。
【0068】
次に、予測部36は、ステップS31において取得された電力使用量の履歴情報に基づいて、対象日の午前中であって上記所定時刻以前の時間帯における施設60内の負荷24全体の電力使用量(電力需要)を予測する(S32)。この時間帯は、例えば、対象日の午前0時から日の出時刻までの時間帯などである。ステップS32における電力使用量の予測方法としては、動作例2で説明した各種方法が使用できる。以下では、電力使用量の予測値を、予測需要とも記載する。
【0069】
次に、制御部37は、予測需要に基づいて、上記時間帯において、蓄電池システム22のSOCを40%から10%にまで低下させるために要する時間を推定する(S33)。制御部37は、所定時刻から推定された時間だけ遡ったタイミングを、判定タイミングとして決定する(S34)。
【0070】
このように判定タイミングが決定されれば、放電制御を実行するか否かの判定は、SOC30%に相当する電力を放電するために必要な時間を考慮して可能な限り遅いタイミングで行われることになる。そうすると、最新の天気予報情報を取得できる可能性が高まるため、電力マネジメントシステム10は、発電量の予測精度の向上を図ることができる。
【0071】
なお、判定タイミングは、所定時刻からステップS33において推定された時間以上遡ったタイミングであればよい。このように判定タイミングが決定されれば、所定時刻にSOCが10%に到達できなくなってしまうことが抑制される。
【0072】
また、電力マネジメントシステム10は、判定タイミングに代えて、所定時刻に相当する時刻を、予測需要、及び、予測発電量に基づいて決定してもよい。上記実施の形態における所定時刻は、理想的には、予測需要と予測発電量とが実質的に一致するタイミングであると考えられる。このタイミングは、上述の
図2の(a)において発電量を予測発電量とみなし、かつ、需要を予測需要とみなした場合の時刻taに相当するタイミングである。そこで、制御部37は、予測需要、及び、予測発電量に基づいて、予測需要と予測発電量とが実質的に一致するタイミングを、所定時刻に相当する時刻に決定してもよい。
【0073】
[変形例]
上記実施の形態において、制御装置30が実行すると説明された処理の一部または全部は、他の装置によって実行されてもよい。例えば、取得部35、予測部36、及び、制御部37によって実行された処理の一部または全部は、蓄電池システム22が備えるコンピュータによって実行されてもよい。言い換えれば、蓄電池システム22は、取得部35、予測部36、及び、制御部37に相当する機能的な構成要素を備えてもよい。
【0074】
同様に、取得部35、予測部36、及び、制御部37によって実行された処理の一部または全部は、パワーコンディショナ23が備えるコンピュータによって実行されてもよい。言い換えれば、パワーコンディショナ23は、取得部35、予測部36、及び、制御部37に相当する機能的な構成要素を備えてもよい。
【0075】
また、取得部35、予測部36、及び、制御部37によって実行された処理の一部または全部は、サーバ装置40が備えるコンピュータによって実行されてもよい。言い換えれば、サーバ装置40は、取得部35、予測部36、及び、制御部37に相当する機能的な構成要素を備えてもよい。
【0076】
さらに、電力マネジメントシステム10がサーバ装置40を備えない場合には、上述の通り、放電制御は、制御装置30、蓄電池システム22が備えるコンピュータ及びパワーコンディショナ23が備えるコンピュータの組み合わせによって実現されてもよい。この場合、気象情報管理サーバ50からの情報は制御装置30によって直接受信され、制御装置30が備える記憶装置32に蓄積された情報をもとに制御内容が決定される。
【0077】
[システム構成の変形例]
電力マネジメントシステム10のシステム構成は、
図1のような構成に限定されない。例えば、
図1に例示したシステム構成のうち、施設60における制御装置30以外の構成については、施設60によっては、
図6または
図7のように構成されてもよい。
図6は、システム構成の変形例1を示す図であり、
図7は、システム構成の変形例2を示す図である。
【0078】
図6の例では、分電盤27に、太陽光発電システム21、蓄電池システム22、パワーコンディショナ23及び負荷24が接続され、電気(電力)が分配されている。分電盤27の配下にある機器24のすべての電力使用量、及び、発電電力等に関する情報は、系統電源70と分電盤38との間に設けられた電力計測装置25によって計測される。または、系統電源からの買電電力量および売電電力量はスマートメータ26によって計測される。ただし、太陽光発電システム21、蓄電池システム22、もしくはパワーコンディショナ23に電力計測装置が内蔵されてもよい。
【0079】
図7の例では、太陽光発電システム21から取得した電力を電力変換するパワーコンディショナ23aと、蓄電池システム21の管理に用いられるパワーコンディショナ23bとが別体である。分電盤38にはパワーコンディショナ23a、パワーコンディショナ23b、及び、負荷24が並列に接続されているので、それぞれの機器ごとに発電量または電力使用量を計測できるように電力計測装置25を任意の位置に設けることができる。また、
図7の例においても、施設60全体の電力使用量及び発電量をモニタリングする目的で、系統電源70と分電盤27との間にスマートメータ26が追加で設けられてもよい。
【0080】
[効果等]
以上説明したように、電力マネジメントシステム10は、天気予報情報を取得する取得部35と、取得された天気予報情報に基づいて定まる、対象日における太陽光発電システム21による発電量の予測値である予測発電量に基づいて、太陽光発電システム21によって発電された電力を蓄える蓄電池システム22を放電させるか否かの判定を行い、判定結果に基づき放電制御を行う制御部37とを備える。制御部37は、上記放電制御を行うことにより、対象日の午前中の所定時刻までに、蓄電池システム22のSOCを第1の値から第1の値よりも小さい第2の値に到達させる。
【0081】
このような電力マネジメントシステム10は、太陽光発電システム21による発電量が多いと予測される場合に、蓄電池システム22に蓄えることができる電力を増加させることができる。電力マネジメントシステム10は、系統電源70から供給される電力の消費を抑制し、太陽光発電システム21によって発電された電力の消費を促進することができる。
【0082】
また、例えば、制御部37は、予測発電量が閾値以上である場合には、上記放電制御を行い、予測発電量が閾値未満である場合には、上記放電制御を行わずに蓄電池システム22のSOCを第1の値のまま維持する。
【0083】
このような電力マネジメントシステム10は、太陽光発電システム21による発電量が多いと予測される場合に、蓄電池システム22に蓄えることができる電力を増加させ、太陽光発電システム21による発電量が少ないと予測される場合に、非常に備えて蓄電池システム22に電力を蓄えておくことができる。
【0084】
また、例えば、取得部35は、さらに、太陽光発電システム21及び蓄電池システム22が設けられた施設60における電力使用量の履歴情報を取得する。制御部37は、予測発電量に加えて、取得された履歴情報に基づいて定まる、対象日における電力使用量の予測値である予測需要に基づいて、放電制御を行う。
【0085】
このような電力マネジメントシステム10は、太陽光発電システム21による発電量が予測需要よりも多いと予測される場合に、蓄電池システム22に蓄えることができる電力を増加させることができる。
【0086】
また、例えば、第1の値は、非常時への備えとして定められるSOCの下限値である。
【0087】
このような電力マネジメントシステム10は、非常時への備えとして定められるSOCの下限値よりもSOCを低下させることで、蓄電池システム22に蓄えることができる電力を増加させることができる。
【0088】
このような電力マネジメントシステム10は、上記放電制御を実行するか否かの判定を行うことができる。
【0089】
また、例えば、制御部37は、深夜の時間帯に判定を行う。
【0090】
このような電力マネジメントシステム10は、上記放電制御を実行するか否かの判定を深夜の時間帯に行うことができる。
【0091】
また、例えば、取得部35は、さらに、太陽光発電システム21及び蓄電池システム22が設けられた施設60における電力使用量の履歴情報を取得する。制御部37は、さらに、取得された履歴情報に基づいて定まる、対象日における電力使用量の予測値である予測需要に基づいて、判定を行うタイミングを決定する。
【0092】
このような電力マネジメントシステム10は、予測需要に基づいて放電制御を実行するか否かの判定のタイミングを適応的に決定することができる。
【0093】
また、例えば、制御部37は、予測需要に基づいて、蓄電池システム22のSOCを第1の値から第2の値に到達させるために要する時間を推定し、所定時刻から推定された時間だけ遡ったタイミングを、判定を行うタイミングとして決定する。
【0094】
このような電力マネジメントシステム10は、最新の天気予報情報を取得できる可能性を高めることができる。
【0095】
また、例えば、電力マネジメントシステム10は、さらに、気象情報管理サーバ50から天気予報情報を受信するサーバ装置40を備える。取得部35は、サーバ装置40を通じて天気予報情報を取得する。
【0096】
このような電力マネジメントシステム10は、サーバ装置40を通じて天気予報情報を取得することができる。
【0097】
また、例えば、電力マネジメントシステム10は、さらに、太陽光発電システム21と、蓄電池システム22とを備える。
【0098】
このような電力マネジメントシステム10は、太陽光発電システム21、及び、蓄電池システム22を含むシステムとして実現することができる。
【0099】
また、電力マネジメントシステム10などのコンピュータによって実行される電力マネジメント方法は、天気予報情報を取得する取得ステップと、取得された天気予報情報に基づいて定まる、対象日における前記太陽光発電システムによる発電量の予測値である予測発電量に基づいて、太陽光発電システム21によって発電された電力を蓄える蓄電池システム22を放電させるか否かの判定を行い、判定結果に基づき放電制御を行う制御ステップとを含む。上記放電制御が行われることにより、対象日の午前中の所定時刻までに、蓄電池システム22のSOCは第1の値から前記第1の値よりも小さい第2の値に到達する。
【0100】
このような電力マネジメント方法は、太陽光発電システム21による発電量が多いと予測される場合に、蓄電池システム22に蓄えることができる電力を増加させることができる。電力マネジメント方法は、系統電源70から供給される電力の消費を抑制し、太陽光発電システム21によって発電された電力の消費を促進することができる。
【0101】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0102】
例えば、上記実施の形態では、電力マネジメントシステムは、複数の装置によって実現された。この場合、電力マネジメントシステムが備える構成要素は、複数の装置にどのように振り分けられてもよい。また、電力マネジメントシステムは、単一の装置によって実現されてもよく、例えば、上記実施の形態の制御装置に相当する単一の装置として実現されてもよい。
【0103】
また、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。
【0104】
また、上記実施の形態において、各構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0105】
また、各構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。例えば、各構成要素は、回路(または集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0106】
また、本発明の全般的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0107】
例えば、本発明は、上記実施の形態に係る制御装置、蓄電池システム、または。パワーコンディショナとして実現されてもよい。また、本発明は、電力マネジメントシステムなどのコンピュータが実行する電力マネジメント方法として実現されてもよいし、このような電力マネジメント方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよい。本発明は、このようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
【0108】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0109】
10 電力マネジメントシステム
21 太陽光発電システム
22 蓄電池システム
35 取得部
36 予測部
37 制御部
40 サーバ装置
50 気象情報管理サーバ
60 施設