(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023081780
(43)【公開日】2023-06-13
(54)【発明の名称】「金具類及び金釘無し棺」
(51)【国際特許分類】
A61G 17/007 20060101AFI20230606BHJP
A61G 17/00 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
A61G17/007
A61G17/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021195779
(22)【出願日】2021-12-01
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】511242498
【氏名又は名称】山下 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100120662
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 桂子
(74)【代理人】
【識別番号】100216770
【弁理士】
【氏名又は名称】三品 明生
(74)【代理人】
【識別番号】100217364
【弁理士】
【氏名又は名称】田端 豊
(72)【発明者】
【氏名】山下 健治
(57)【要約】
【課題】棺を軽量化させながら、側板基板と側板本体との接合強度を向上させることが可能な金具類及び金釘無し棺、及び、金具類及び金釘無し組立式棺を提供する。
【解決手段】全ての構成要素が可燃性素材で形成されている金具類及び金釘無し棺100は、底板10と、底板10に固定されている側板基板11と、側板基板11の底板10とは逆側に少なくとも一部が配置された側板本体20aと、側板基板11と側板本体20aとを機械的に接合する可燃性素材のダボ1aと、を備える。ダボ1aは、底板10に垂直な方向に対して傾斜して延びている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
全ての構成要素が可燃性素材で形成されている金具類及び金釘無し棺であって、
底板と、
前記底板に固定されている側板基板と、
前記側板基板の前記底板とは逆側に少なくとも一部が配置された側板本体と、
前記側板基板と前記側板本体とを機械的に接合する可燃性素材の第1ダボと、を備え、
前記第1ダボは、前記底板に垂直な方向に対して傾斜して延びている、金具類及び金釘無し棺。
【請求項2】
前記第1ダボは、前記側板本体の内側面と平行で、かつ、前記底板に垂直な方向に対して傾斜して延びている、請求項1に記載の金具類及び金釘無し棺。
【請求項3】
前記側板基板の内側面に固定された基板補強部材を、さらに備え、
前記第1ダボは、前記側板基板及び前記基板補強部材の少なくとも一方と、前記側板本体とに亘って配置されている、請求項1または2に記載の金具類及び金釘無し棺。
【請求項4】
前記側板本体の内側面に固定された本体補強部材を、さらに備え、
前記第1ダボは、前記側板基板と、前記側板本体及び前記本体補強部材の少なくとも一方とに亘って配置されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の金具類及び金釘無し棺。
【請求項5】
前記側板基板の内側面に固定された基板補強部材と、
前記側板本体の内側面に固定された本体補強部材と、をさらに備え、
前記第1ダボは、前記側板基板及び前記基板補強部材の少なくとも一方と、前記側板本体及び前記本体補強部材の少なくとも一方とに亘って配置されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の金具類及び金釘無し棺。
【請求項6】
前記側板本体は、桟木と、前記桟木を両側から挟む2つの板部材と、を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の金具類及び金釘無し棺。
【請求項7】
前記底板は、平面視で長方形状を有し、
前記側板基板は、前記底板の一対の長辺のうちの一方に固定されており、
前記底板の一対の長辺のうちの他方に固定された対向側板基板と、
前記対向側板基板の前記底板とは逆側に配置された対向側板本体と、
前記対向側板基板と前記対向側板本体とを機械的に接合する可燃性素材の第2ダボと、をさらに備え、
前記第1ダボは、前記側板本体の面と平行で、かつ、前記底板に垂直な方向に対して傾斜して延びている、
前記第2ダボは、前記底板に垂直な方向に対して傾斜する方向で、かつ、平面視で前記第1ダボが延びる方向とは逆方向に延びている、請求項1~6のいずれか1項に記載の金具類及び金釘無し棺。
【請求項8】
平面視で前記側板本体及び前記対向側板本体の各々に直交して配置されている妻板であって、前記側板本体の内側面及び前記対向側板本体の内側面の各々に係合する妻板を、さらに備え、
前記側板本体及び前記対向側板本体は、それぞれ、前記妻板に対向する位置に配置されたレール部材を含み、
前記妻板は、
前記側板本体の前記レール部材に沿った第1溝部であって、前記側板本体の前記レール部材に嵌る第1溝部と、
前記対向側板本体の前記レール部材に沿った第2溝部であって、前記対向側板本体の前記レール部材に嵌る第2溝部と、を含む、請求項7に記載の金具類及び金釘無し棺。
【請求項9】
前記側板本体及び前記対向側板本体の少なくとも一方は、前記レール部材が固定された角材を含む、請求項8に記載の金具類及び金釘無し棺。
【請求項10】
全ての構成要素が可燃性素材で形成されている金具類及び金釘無し組立式棺であって、
底板と、
前記底板に固定されている側板基板と、
前記側板基板の前記底板とは逆側に少なくとも一部が配置される側板本体と、
前記側板基板と前記側板本体とを機械的に接合する可燃性素材の第1ダボと、を備え、
前記側板基板及び前記側板本体の少なくとも一方は、前記第1ダボが嵌る穴部を含み、
前記第1ダボが嵌る穴部は、前記底板に垂直な方向に対して傾斜して延びる、金具類及び金釘無し組立式棺。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金具類及び金釘無し棺、及び、金具類及び金釘無し組立式棺に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遺体を納め火葬に付する棺は、主構造を木製とし可燃性材料によって箱体が製造されている。一般に、直方体に形成された棺は、2枚の側板、2枚の妻板、底板及び蓋板で構成されるが、特許文献1に記載の棺では、棺を組み立て易くするために、側板がさらに2分割された側板基板と側板本体とが設けられている。
【0003】
また、従来、側板と妻板との接合部、底板と、側板又は妻板との接合部は、金釘やタッカー針などの金具類及び金釘等により固定されていた。また、特許文献1に記載の棺では、側板基板と側板本体とは、金属製の蝶番により固定されている。このため、1本当たりの棺に使用される金属類及び金釘等は、金釘が45本~60本、タッカー針が45本~50本、ピンタッカーが8本~12本、飾り金具が6個~10個で、全体の平均重量は、150g~170g程度にもなる。また、年間葬儀施行数を130万件とすると、火葬による年間の金属類及び金釘等の廃棄量は、195t~221tにもなる。
【0004】
また、本出願の発明者は、全国150カ所以上の市役所と火葬場の訪問を重ねたところ、火葬場に於ける二酸化炭素、ダイオキシン群類の排出に関係する、納棺時の副葬品、ドライアイス、棺に使用される金属類及び金釘の火葬後の処理問題、火葬炉の損傷等の問題が共通していることが判明した。
【0005】
さらに、火葬炉の内部を直視し、火葬中に金釘等が肉体や遺骨に刺さる悲惨な状況や火葬後に残る無数の金属類を目にして強く心を痛めた。火葬後に残った金属類は処理業者によって仕分け整理される。火葬場は金属類による配管の損傷にも大きな問題を抱えていた。
【0006】
上述のように、多量の金具類及び金釘等の存在により、棺の火葬燃焼時に、金具類及び金釘等が飛散し、遺体や遺骨を傷つけることが遺体の尊厳上、問題となっている。また、火葬後に現場スタッフによる金具類及び金釘等を回収する手間が発生したり、最終的に残った灰などに金属類や金釘等が混ざり吸引パイプで吸い上げるときにパイプを傷つけメンテナンス等で時間と費用を要し、使用できない炉が生じたりするという問題もあった。
【0007】
また、一般に、棺の製造において金具類及び金釘を用いた場合、棺の燃焼において、有害物質(例:ダイオキシン又は二酸化炭素)が発生する。この有害物質の発生は、火葬場を管轄する役所又は火葬場の現場担当者にとって解決すべき重要な課題となっている。
【0008】
以上により、棺の製造時には、金具類及び金釘等をできるだけ使用しないことが好ましい。本出願の発明者は、土葬から火葬に代わり長い年月が経っているのにも関わらず、なぜ上記のような悲惨な事実が知られていないのかという多くの疑問を覚え、この実態を知ったからには何とかしなくてはいけないと考えた。そして、本出願の発明者は、環境改善をはじめ火葬業務の合理化とご遺体の尊厳や御霊の尊厳を守るため、従来型の棺の調査と金具類及び金釘を使わない棺及び組立式棺の開発をはじめた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記特許文献1に記載されているような従来の棺では、棺を組み立て易くするために、側板が、側板基板と側板本体とに2分割されている。この側板基板と側板本体とは、金属製の蝶番により固定されている。
【0011】
そこで、金属製の部材(蝶番)を使用しないようにするために、可燃性のダボを用いて、側板基板と側板本体とを接続することが考えられる。しかしながら、棺内にご遺体を入れた場合に、ご遺体の荷重によって側板基板と側板本体とが互いに外れないようにする必要があり、ダボの径及び側板基板及び側板本体の厚みが大きく設計する必要がある。このため、全ての構成要素を可燃性素材にしながら、組み立てがし易い棺を構成しようとすると、棺に使用される材料が増大するとともに、棺の重量が増大する。棺の重量が増大すると、筋力の弱いご遺族は棺を持ち上げることができないという問題点がある。また、棺に使用される材料が増大すると、棺の焼却(火葬)に時間がかかり、火葬に要する燃料も増大してしまう。
【0012】
本発明の一態様は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、棺を軽量化させながら、側板基板と側板本体との接合強度を向上させることが可能な金具類及び金釘無し棺、及び、金具類及び金釘無し組立式棺を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、本発明の発明者は、実際に本発明の金具類及び金釘無し棺を何度も試作を繰返して上記課題を解決した。すなわち、本発明の発明者は、鋭意研究の末、本発明の第1の態様に係る金具類及び金釘無し棺として、
全ての構成要素が可燃性素材で形成されている金具類及び金釘無し棺であって、
底板と、
前記底板に固定されている側板基板と、
前記側板基板の前記底板とは逆側に少なくとも一部が配置された側板本体と、
前記側板基板と前記側板本体とを機械的に接合する可燃性素材の第1ダボと、を備え、
前記第1ダボは、前記底板に垂直な方向に対して傾斜して延びている、金具類及び金釘無し棺を想到した。
【0014】
本発明の発明者は、本発明の第2の態様に係る金具類及び金釘無し組立式棺として、
全ての構成要素が可燃性素材で形成されている金具類及び金釘無し組立式棺であって、
底板と、
前記底板に固定されている側板基板と、
前記側板基板の前記底板とは逆側に少なくとも一部が配置される側板本体と、
前記側板基板と前記側板本体とを機械的に接合する可燃性素材の第1ダボと、を備え、
前記側板基板及び前記側板本体の少なくとも一方は、前記第1ダボが嵌る穴部を含み、
前記第1ダボが嵌る穴部は、前記底板に垂直な方向に対して傾斜して延びる、金具類及び金釘無し組立式棺を想到した。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、第1ダボが延びる方向と、ご遺体の荷重が底板及び側板基板にかかる方向とを交差させることができるので、第1ダボの径、側板本体及び側板基板の厚みを大きくすることなく、第1ダボを側板本体又は側板基板から抜けにくくすることができる。この結果、棺を軽量化させながら、側板基板と側板本体との接合強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、一実施形態による棺100の外観を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、底板10と底板10に固定された部材の平面図である。
【
図3】
図3は、底板10と側板本体20aとの分解斜視図である。
【
図4】
図4は、
図2の1000-1000線に沿った断面図である。
【
図5】
図5は、側板本体20aの内部の構造を示す図である。
【
図6】
図6は、
図2の1100-1100線に沿った断面図である。
【
図7】
図7は、側板本体20aの一部の構成をX2方向に見た図である。
【
図8A】
図8Aは、ダボ1aの延びる方向を説明するための図である。
【
図8B】
図8Bは、ダボ1bの延びる方向を説明するための図である。
【
図9】
図9は、側板本体20a及び20bと、妻板本体30a及び30bとの係合について説明するための断面図である。
【
図10】
図10は、妻板本体30aの溝部31の構成を説明するための側面図である。
【
図12】
図12は、棺100の組み立て中の状態において、側板本体20a及び20bが側板基板11及び12に取り付けられた状態を説明するための図である。
【
図13】
図13は、棺100の組み立て中の状態において、妻板本体30a及び30bが配置される前の状態を説明するための図である。
【
図14】
図14は、一実施形態の第1変形例による棺200の構成を説明するための図である。
【
図15】
図15は、一実施形態の第2変形例による棺300の構成を説明するための図である。
【
図16】
図16は、一実施形態の第3変形例による棺400の構成を説明するための図である。
【
図17A】
図17Aは、一実施形態の第4変形例による棺500の底板10と底板10に固定された部材の平面図である。
【
図17B】
図17Bは、一実施形態の第4変形例によるダボ2の延びる方向を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。なお、図示した構成における各部材の寸法及び部材間の寸法比率は、実際の寸法及び寸法比率を表すものではない。
【0018】
[金具類及び金釘無し棺の全体構造]
図1は、棺100の外観を示す斜視図である。ここで、本実施形態の棺100は、全ての構成要素が可燃性素材で形成されている。可燃性素材は、特に限定されないが、例えば、木材、及びプラスチック材である。可燃性素材としては、上記の他、可燃性の非金属材料や、可燃性のガラス材料(例えば、グラスファイバーなど)なども含まれる。また、留め具の材料としては、上記の素材の他、貝殻のように石灰質からなる可燃性素材を使用することができる。また、留め具は、木ダボであってもよく、プラスチック釘、プラスチックタッカー、木釘、竹釘、ポリマー樹脂製ステープル・ピンネルであってもよい。
【0019】
図1に示すように、棺100は、直方体に構成されており、底板10と、棺100の長辺側の側面を構成する一対の側板本体20a及び20bと、棺100の短辺側の側面を構成する一対の妻板本体30a及び30bと、蓋板40とを備える。蓋板40は、蓋板40の拝顔窓に配置された扉41を含む。この扉41は、両開き(観音開き)するように構成されていてもよいし、スライド移動して拝顔窓が開閉されるように構成されていてもよい。ここで、「側板本体」及び「妻板本体」とは、蓋板40から底板10の近傍まで延び、棺100の側面を構成する部材である。また、後述する「側板基板」及び「妻板基板」とは、「側板本体」及び「妻板本体」を底板10に取り付けるために、予め底板10に固定された部材である。
【0020】
図2は、底板10と底板10に固定された部材の平面図である。
図3は、底板10と側板本体20aとの分解斜視図である。棺100は、例えば、側板本体20a及び20bが側板基板11及び12に取り付けられていない状態で、かつ、妻板本体30a及び30bが妻板基板13及び14に取り付けられていない状態で販売、輸送、及び保管される。そして、棺100にご遺体を配置する場合には、
図1に示すように、側板本体20a及び20bが側板基板11及び12(底板10)に取り付けられ、妻板本体30a及び30bが側板基板11及び12と妻板基板13及び14とに取り付けられ、側板本体20a及び20bと妻板本体30a及び30bとの上に、蓋板40が載せられることにより、棺100が組み立てられる。側板本体20aは、複数のダボ1aにより側板基板11に接合される。側板本体20bは、複数のダボ1bにより側板基板12に接合される。
【0021】
底板10、側板基板11及び12、妻板基板13及び14、側板本体20a及び20b、妻板本体30a及び30b、及び蓋板40のそれぞれの素材としては、例えば、桐材、檜材、樅材等の可燃性素材が挙げられる。なお、図示を省略するが、側板本体20a及び20bと、妻板本体30a及び30bと、蓋板40との各々の外面においては、外観を向上させるための装飾が施されていてもよい。
【0022】
(底板、側板基板、及び妻板基板の構成)
図2に示すように、底板10は、平面視で長方形状を有する。底板10の4つの縁部分のうちの2つの長辺に沿った位置に、側板基板11及び12が配置されている。また、底板10の4つの縁部分のうちの2つの短辺に沿った位置に、妻板基板13及び14が配置されている。側板基板11及び12、妻板基板13及び14の各々は、底板10に対して、留め具(例えば、木ダボ)又は可燃性の接着剤により固定されている。また、側板基板11及び12は、それぞれ、底板10の長手方向に延びる四角柱状を有する。また、妻板基板13及び14は、それぞれ、底板10の短手方向に延びる四角柱状を有する。側板基板11及び12と、妻板基板13及び14との各々は、角材により構成されている。「角材」とは、内部に空洞が形成されていない四角柱状を有する部材を意味する。
【0023】
図2に示すように、棺100は、基板補強部材15及び16を含む。基板補強部材15は、側板基板11の内側面11aに固定されている。基板補強部材16は、側板基板12の内側面12aに固定されている。基板補強部材15及び16は、側板基板11及び12のそれぞれに固定されていることにより、側板基板11及び12の機械的強度を大きくする。また、基板補強部材15と側板基板11との接合、及び基板補強部材16と側板基板12との接合は、それぞれ、可燃性の接着剤により固定されている。基板補強部材15及び16は、例えば、木材であり、かつ、角材である。
【0024】
(側板本体、及び妻板本体の構成)
図4は、
図2の1000-1000線に沿った断面図である。
図5は、側板本体20aの内部の構造を示す図である。
図6は、
図2の1100-1100線に沿った断面図である。
図7は、側板本体20aの一部の構成をX2方向に見た図である。
図4に示すように、側板本体20a及び20bは、底板10に対して垂直な方向に配置されている。側板本体20aの少なくとも一部は、側板基板11の底板10とは逆側(Z1方向)に配置されている。側板本体20bの少なくとも一部は、側板基板12の底板10とは逆側(Z1方向)に配置されている。棺100は、側板本体20aの内側面(板部材22a)に固定された本体補強部材21aと、側板本体20bの内側面(板部材22b)に固定された本体補強部材21bと、を含む。また、側板本体20aは、板部材22a及び23aと、上部桟木24aと、下部桟木25aと、を含む。また、側板本体20bは、板部材22b及び23bと、上部桟木24bと、下部桟木25bと、を含む。
【0025】
図4に示すように、本体補強部材21aは、基板補強部材15と上下方向に隣接する位置に配置されている。また、本体補強部材21bは、基板補強部材16と上下方向に隣接する位置に配置されている。また、本体補強部材21aは、板部材22aに、接着剤又は木ダボ等の接合部材により固定されている。本体補強部材21bは、板部材22bに、接着剤又は木ダボ等の接合部材により固定されている。本体補強部材21a及び21bは、側板本体20a及び20bのそれぞれに固定されていることにより、側板本体20a及び20bの機械的強度を大きくする。また、本体補強部材21aと側板本体20aとの接合、及び本体補強部材21bと側板本体20bとの接合は、それぞれ、可燃性の接着剤により固定されている。本体補強部材21a及び21bは、例えば、木材であり、かつ、角材である。
【0026】
また、
図4に示すように、板部材22a及び23aは、上部桟木24a及び下部桟木25aを外側と内側との両側から挟む。また、板部材22b及び23bは、上部桟木24b及び下部桟木25bを外側と内側との両側から挟む。また、側板本体20a及び20bの内部は、それぞれ、空洞を含む。これにより、棺100を軽量化することができる。また、下部桟木25a及び25bは、それぞれ、
図4に示すように、棺100が組み立てられた状態で、側板基板11及び12に接触し、棺100が組み立てられる前の状態で、側板基板11及び12から離れている。
【0027】
図5に示すように、上部桟木24a及び下部桟木25aは、底板10の長手方向に沿って延びる。側板本体20aは、上部桟木24aと下部桟木25aとの間に配置され、底板10に対して垂直な方向に延びる複数の縦桟木26aを含む。複数の縦桟木26aは、底板10の長手方向に所定の間隔を隔てて、配置されている。なお、図示を省略するが、側板本体20bにおいても、上部桟木24bと下部桟木25bとの間に配置された複数の縦桟木が設けられている。
【0028】
また、
図4に示すように、板部材23aは、側板基板11のX2方向側(外側)を覆う。また、板部材23bは、側板基板12のX1方向側(外側)を覆う。これにより、側板基板11及び12が外側に露出しないので、棺100の意匠性(美感)が向上する。また、側板本体20aは、板部材23aと側板基板11との間に配置された第1間桟木27a及び第2間桟木28aを含む。また、側板本体20bは、板部材23bと側板基板12との間に配置された第1間桟木27b及び第2間桟木28bを含む。
【0029】
図7に示すように、第1間桟木27a及び第2間桟木28aは、底板10の長手方向に沿って延びている。側板本体20aは、第1間桟木27aと第2間桟木28aとの間に配置された桟木29aを含む。
図7では、桟木29aを1つのみ図示しているが、例えば、桟木29aは、底板10の長手方向に等間隔で複数設けられている。なお、図示しないが、側板本体20bにも、桟木29aと同様の構成を有する桟木が設けられている。
【0030】
(妻板本体の構成)
図6に示すように、妻板本体30a及び30bは、側板本体20a及び20bと異なり、中身が詰まった中実の板部材により構成されている。妻板本体30a及び30bは、側板本体20a及び20bに対して、後述する係合部材60(
図9参照)によって取り付けられている。
【0031】
(ダボの構成)
図8Aは、ダボ1aの延びる方向を説明するための図である。
図8Bは、ダボ1bの延びる方向を説明するための図である。複数のダボ1a、及び1bは、それぞれ、可燃性素材から構成されており、例えば、これに限られないが、円柱状の木ダボである。複数のダボ1a、及び1bは、プラスチック釘、プラスチックタッカー、木釘、竹釘、ポリマー樹脂製ステープル・ピンネルであってもよい。複数のダボ1a、及び1bは、円柱状以外の形状(例えば、四角柱状、三角柱状、円錐状、四角錐状、又は三角錐状)であってもよい。
【0032】
また、複数のダボ1a、及び1bは、それぞれ、長手方向に間隔(例えば、等間隔)を隔てて配置されている。
図8Aに示すように、第1実施形態では、ダボ1aは、側板本体20aに一部が配置されており、側板本体20aから底板10に垂直な方向(Z1方向)に対してY1方向に傾斜して延びている。そして、側板基板11は、ダボ1aが嵌る穴部11bを含む。穴部11bは、ダボ1aが延びる方向に平行に延びており、底板10に垂直な方向(
図8AのZ1方向)に対してY1方向に傾斜して延びる。そして、
図4に示すように、ダボ1aが穴部11bに嵌った状態で、ダボ1aは、側板本体20aから側板基板11に亘って配置されている。また、第1実施形態では、ダボ1aは、側板本体20aと本体補強部材21aとの間から、側板基板11と基板補強部材15との間に亘って配置されている。なお、「Y1方向(Y2方向)に傾斜している」とは、ダボ1a又はダボ1bの先端が側板本体20a又は20bに配置された位置からY1方向(Y2方向)の位置に向いていることを意味する。
【0033】
図8Bに示すように、第1実施形態では、ダボ1bは、側板本体20bに一部が配置されており、側板本体20bから底板10に垂直な方向(Z1方向)に対してY2方向に傾斜して延びている。そして、側板基板12は、ダボ1bが嵌る穴部12bを含む。穴部12bは、ダボ1bが延びる方向に平行に延びており、底板10に垂直な方向(
図4のZ1方向)に対してY2方向に傾斜して延びる。すなわち、ダボ1b及び穴部12bは、ダボ1a及び穴部11bが傾斜する方向(Y1方向)とは、逆方向(Y2方向)に傾斜して延びている。そして、
図4に示すように、ダボ1bが穴部12bに嵌った状態で、ダボ1bは、側板本体20bから側板基板12に亘って配置されている。また、第1実施形態では、ダボ1bは、側板本体20bと本体補強部材21bとの間から、側板基板12と基板補強部材16との間に亘って配置されている。
【0034】
また、
図8Aに示すように、ダボ1a及び穴部11bが延びる方向A1と、底板10に垂直な方向(Z1方向)とのなす角度θ1は、例えば、30度以上60度以下の角度であり、具体的には、45度である。また、
図8Bに示すように、ダボ1b及び穴部12bが延びる方向A2と、底板10に垂直な方向(Z1方向)とのなす角度θ2は、例えば、30度以上60度以下の角度であり、具体的には、45度である。
【0035】
また、
図4に示すように、第1実施形態では、ダボ1aは、側板本体20aと平行に延びている。また、ダボ1bは、側板本体20bと平行に延びている。言い換えると、ダボ1a及び1bは共に、棺100の短手方向(X1方向)に直交している。
【0036】
上記の構成によれば、ダボ1a及び1bが延びる方向と、ご遺体の荷重が底板10にかかる方向(Z2方向)とを交差させることができるので、ダボ1a及び1bの径、側板本体20a及び20b及び側板基板11及び12の厚みを大きくすることなく、ダボ1a及び1bを、側板本体20a及び20b、及び側板基板11及び12から抜けにくくすることができる。この結果、棺100を軽量化させながら、側板本体20a及び20bと、側板基板11及び12とのそれぞれの接合強度を向上させることができる。
【0037】
また、ダボ1a及び1bは、側板本体20a及び20bの内側面(板部材22a及び22bの表面)と平行で、かつ、底板10に垂直な方向に対して傾斜して延びるので、ダボを側板本体の内側面に対して傾斜させる場合に比べて、側板本体20a及び20bの厚みを小さくすることができる。この結果、側板本体20a及び20bを軽量化することができる。
【0038】
ダボ1a及び1bは、互いに逆方向に傾斜しているので、底板10に対して、ダボ1aが傾斜する方向及びダボ1bが傾斜する方向のうちの一方にご遺体の荷重がかかった場合でも、他方の方向にダボ1aまたは1bが側板基板11または12に対して引っ掛かった状態になるので、側板基板11が側板本体20aから外れにくくすることができ、かつ、側板基板12が側板本体20bから外れにくくすることができる。
【0039】
(係合部材の構成)
図9は、側板本体20a及び20bと、妻板本体30a及び30bとの係合について説明するための断面図である。
図10は、妻板本体30aの溝部31の構成を説明するための側面図である。
図11Aは、係合部材60の構成を示す断面図である。
図11Bは、妻板本体30aの一部を示す断面図である。
図9に示すように、側板本体20a及び20bは、それぞれ、妻板本体30a及び30bと係合する係合部材60を含む。
【0040】
図9に示すように、係合部材60は、レール部材61と角材62とを含む。レール部材61は、角材62に固定されている。
図9に示すように、レール部材61は、底板10に対して垂直に延び、妻板本体30aに対向する位置に配置されている。また、
図11に示すように、妻板本体30aには、底板10に対して垂直に延びる溝部31が形成されている。
図9に示すように、レール部材61は、溝部31に嵌る。これにより、妻板本体30a及び30bは、レール部材61に沿って、スライド移動することが可能である。この結果、妻板本体30a及び30bをそれぞれ側板本体20a及び20bに対して、スライド移動させて着脱することができる。また、角材62にレール部材61が固定されているので、側板本体20aが軽量化されている場合でも、レール部材61の強度を増大させることができる。
【0041】
また、
図11Aに示すように、レール部材61のうちの溝部31側の部分(先端部分61a)の幅W1は、レール部材61のうちの根元部分61bの幅W2よりも大きい。また、
図11Bに示すように、溝部31のうちの底部分31aの幅W1aは、溝部31のうちのレール部材61側の部分31bの幅W2aよりも大きい。これにより、側板本体20aと妻板本体30aとが、底板10に平行な方向に対して固定(移動が規制)される。側板本体20a及び妻板本体30aと同様に、側板本体20a及び妻板本体30bと、側板本体20b及び妻板本体30aと、側板本体20b及び妻板本体30bとは、底板10に平行な方向に対して固定(移動が規制)されている。これにより、レール部材61から溝部31が抜けにくくなる。妻板本体30a及び30bが側板本体20a及び20bに対して底板10に平行な方向に固定され、さらに、ダボ1a及び1bが互いに逆方向に傾斜しているので、側板本体20a及び20bが底板10に対してさらに外れにくくなる。
【0042】
また、
図9に示すように、側板本体20aの板部材23aは、角材62の外側を覆う。そして、板部材23aと角材62との間に、部材63が配置されている。
【0043】
上記の構成によれば、側板本体20a及び20bを底板10(側板基板11及び12)から取り外した状態で、かつ、妻板本体30a及び30bを側板本体20a及び20bから外した状態で、ユーザに納品することができる。すなわち、側板本体20a及び20bと、側板基板11及び12と妻板基板13及び14とが固定された底板10と、妻板本体30a及び30bと、蓋板40と、が互いに固定されていない状態で、ユーザに納品することができる。これにより、棺100(組み立てる前の棺)を保管するために確保する必要のあるユーザの施設内におけるスペースを小さくすることができる。また、棺100(組み立てる前の棺)の輸送コストを低減することができる。そして、ユーザは、棺100を使用する際には、側板本体20a及び20bをダボ1a及び1bを用いて底板10(側板基板11及び12)に対して取り付け、妻板本体30a及び30bを、側板本体20a及び20bの内側面に取り付け、蓋板40を側板本体20a及び20b及び妻板本体30a及び30bの上に載せれば、金具類及び金釘無しの棺100を容易に組み立てることができる。
【0044】
(棺の組み立て方法)
次に、本実施形態による組立式の棺100の組み立て方法について説明する。
図12は、棺100の組み立て中の状態において、側板本体20a及び20bが側板基板11及び12に取り付けられた状態を説明するための図である。
図13は、棺100の組み立て中の状態において、妻板本体30a及び30bが配置される前の状態を説明するための図である。
【0045】
まず、
図4に示すように、側板基板11及び12と妻板基板13及び14とが固定された底板10と、本体補強部材21a及び21bがそれぞれ固定された側板本体20a及び20bと、妻板本体30a及び30bが準備される。なお、側板基板11及び12には、それぞれ、基板補強部材15及び16が固定されている。また、
図3に示すように、側板本体20aに対してダボ1aが取り付けられている。また、側板本体20bに対してダボ1bが取り付けられている。なお、ダボ1aは、側板本体20aではなく、側板基板11に取り付けてられていてもよい。また、ダボ1bは、側板本体20bではなく、側板基板12に取り付けられていてもよい。
【0046】
そして、
図12に示すように、側板基板11の穴部11b及び12bに対して、それぞれ、ダボ1a及び1bが嵌められる。これにより、側板本体20a及び20bが側板基板11及び12に対して固定される。そして、
図9及び
図10に示すように、妻板本体30a及び30bが、側板本体20a及び20bの間に、レール部材61を介してスライド移動して配置される。その後、
図1に示すように、蓋板40が、妻板本体30a及び30bと、側板本体20a及び20bとの上に載置される。これにより、棺100の組み立てが完了する。このように、ユーザは、金具類及び金釘無しの棺100を容易に組み立てることができる。
【0047】
[変形例]
以上、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は、上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0048】
(1)例えば、上記実施形態では、ダボが側板本体及び本体補強部材から側板基板及び基板補強部材に亘って配置される例を示したが、本開示はこれに限られない。例えば、
図14に示す第1変形例による金具類及び金釘無し棺200のように、ダボ201aが、本体補強部材21a内及び基板補強部材15内には配置されないで、側板本体20aから側板基板11に亘って配置されていてもよい。また、
図15に示す第2変形例による金具類及び金釘無し棺300のように、ダボ301aが、側板本体20a内及び側板基板11内に配置されないで、本体補強部材21aから基板補強部材15に亘って配置されていてもよい。
【0049】
(2)また、上記実施形態では、ダボを側板本体に対して平行に配置する例を示したが、本開示はこれに限られない。例えば、
図16に示す第3変形例による金具類及び金釘無し棺400のように、ダボ401aが、側板本体20aの内側面(板部材22aの表面)に対して傾斜して配置されていてもよい。
図16では、ダボ401aの上部が外側を向くように傾斜する例を示しているが、ダボ401aの上部が内側を向くように傾斜していてもよい。
【0050】
(3)また、上記実施形態では、側板本体を、桟木と2つの板部材とにより構成し、妻板本体を1つの板部材から構成する例を示したが、本開示はこれに限られない。例えば、側板本体を、1つの板部材により構成してもよいし、妻板本体を桟木と2つの板部材とにより構成してもよい。
【0051】
(4)また、上記実施形態では、側板本体の下端と底板の下面とを面一に形成する例を示したが、本開示はこれに限られない。例えば、底板の下面を、側板本体の下端よりも上方に配置して、底板の下面に桟木を配置してもよい。
【0052】
(5)また、上記実施形態では、底板と側壁部とを接合する釘部材及び底板と妻壁部とを接合する釘部材の両方を、底板と垂直な方向に対して傾斜させる例を示したが、本開示はこれに限られない。すなわち、棺に設けられている複数の釘部材のうちの、底板と側壁部とを接合する釘部材の少なくとも1つが底板と垂直な方向に対して傾斜されていればよい。
【0053】
(6)また、上記実施形態では、レール部材を側板本体に配置する例を示したが、本開示はこれに限られない。例えば、レール部材を妻板本体に配置してもよい。この場合、側板本体にレール部材が係合する溝部が設けられる。
【0054】
(7)また、上記実施形態では、レール部材の根元部分の幅よりも先端部分の幅を大きくする例を示したが、本開示はこれに限られない。レール部材の根元部分の幅を先端部分の幅以下の大きさに構成してもよい。
【0055】
(8)また、上記実施形態では、本体補強部材及び基板補強部材を棺に設ける例を示したが、本開示はこれに限られない。側板本体及び側板基板に補強が不要であれば、本体補強部材及び基板補強部材を棺に設けなくてもよい。
【0056】
(9)また、上記実施形態では、側板本体と側板基板とに亘って配置される複数のダボが互いに平行である例を示したが、本開示はこれに限られない。例えば、複数のダボが互いに異なる方向を向いていてもよい。
【0057】
(10)また、上記実施形態では、妻板本体と妻板基板との間にダボを設けない例を示したが、本開示はこれに限られない。例えば、
図17A及び
図17Bに示す第4変形例による棺500のように、妻板本体530aと妻板基板513とを接合するダボ2が設けられていてもよい。この場合、ダボ2は、妻板本体530aから底板10に垂直な方向(Z2方向)に延びている。そして、妻板基板513は、ダボ2が嵌る穴部513bを含む。穴部513bは、ダボ2が延びる方向に平行に延びており、底板10に垂直な方向に延びる。これにより、上記のレール部材に妻板基板530aが取り付けられる場合でも、レール部材に沿って妻板基板530aを移動させれば、ダボ2と穴部513bとを嵌合させることができる。そして、ダボ2が穴部513bに嵌った状態で、ダボ2は、妻板本体530aから妻板基板513に亘って配置された状態となる。なお、図示しないが、妻板本体530aに対してY2方向に対向する妻板本体は、妻板基板514(
図17A参照)とダボ2により接合されている。
【0058】
なお、本開示の金具類及び金釘無し棺及び金具類及び金釘無し組立式棺は、以下のように説明することもできる。
【0059】
本開示の第1の構成に係る金具類及び金釘無し棺は、全ての構成要素が可燃性素材で形成されている金具類及び金釘無し棺であって、底板と、底板に固定されている側板基板と、側板基板の底板とは逆側に少なくとも一部が配置された側板本体と、側板基板と側板本体とを機械的に接合する可燃性素材の第1ダボと、を備え、第1ダボは、底板に垂直な方向に対して傾斜して延びている(第1の構成)。
【0060】
上記第1の構成によれば、第1ダボが延びる方向と、ご遺体の荷重が底板にかかる方向とを交差させることができるので、第1ダボの径、側板本体及び側板基板の厚みを大きくすることなく、第1ダボを側板本体又は側板基板から抜けにくくすることができる。この結果、棺を軽量化させながら、側板基板と側板本体との接合強度を向上させることができる。
【0061】
第1の構成において、第1ダボは、側板本体の内側面と平行で、かつ、底板に垂直な方向に対して傾斜して延びるように構成されてもよい(第2の構成)。
【0062】
上記第2の構成によれば、第1ダボを側板本体の内側面に対して傾斜させる場合に比べて、側板本体の厚みを小さくすることができる。この結果、側板本体を軽量化することができる。
【0063】
第1又は第2の構成において、棺は、側板基板の内側面に固定された基板補強部材を、さらに備えてもよく、第1ダボは、側板基板及び基板補強部材の少なくとも一方と、側板本体とに亘って配置されていてもよい(第3の構成)。
【0064】
上記第3の構成によれば、側板基板を軽量化した場合でも、基板補強部材により側板基板の機械的強度を確保することができる。
【0065】
第1~第3の構成のいずれか1つにおいて、棺は、側板本体の内側面に固定された本体補強部材を、さらに備えてもよく、第1ダボは、側板基板と、側板本体及び本体補強部材の少なくとも一方とに亘って配置されていてもよい(第4の構成)。
【0066】
上記第4の構成によれば、側板本体を軽量化した場合でも、本体補強部材により側板本体の機械的強度を確保することができる。
【0067】
第1~第4の構成のいずれか1つにおいて、棺は、側板基板の内側面に固定された基板補強部材と、側板本体の内側面に固定された本体補強部材と、をさらに備えてもよく、第1ダボは、側板基板及び基板補強部材の少なくとも一方と、側板本体及び本体補強部材の少なくとも一方とに亘って配置されていてもよい(第5の構成)。
【0068】
上記第5の構成によれば、側板基板及び側板本体を軽量化した場合でも、基板補強部材及び本体補強部材により、側板基板及び側板本体の機械的強度を確保することができる。
【0069】
第1~第5の構成のいずれか1つにおいて、側板本体は、桟木と、桟木を両側から挟む2つの板部材と、を含んでもよい(第6の構成)。
【0070】
上記第6の構成によれば、側板本体の内部に空洞を形成することができるので、側板本体を軽量化することができる。
【0071】
第1~第6の構成のいずれか1つにおいて、底板は、平面視で長方形状を有してもよく、側板基板は、底板の一対の長辺のうちの一方に固定されていてもよく、棺は、底板の一対の長辺のうちの他方に固定された対向側板基板と、対向側板基板のうちの底板とは逆側に配置された対向側板本体と、対向側板基板と対向側板本体とを機械的に接合する可燃性素材の第2ダボと、をさらに備えてもよく、第1ダボは、側板本体の面と平行で、かつ、底板に垂直な方向に対して傾斜して延びていてもよく、第2ダボは、底板に垂直な方向に対して傾斜する方向で、かつ、平面視で第1ダボが延びる方向とは逆方向に延びていてもよい(第7の構成)。
【0072】
上記第7の構成によれば、底板に対して、第1ダボが傾斜する方向及び第2ダボが傾斜する方向のうちの一方にご遺体の荷重がかかった場合でも、他方の方向に第1ダボが側板基板に対して引っ掛かった状態、又は、第2ダボが対向側板基板に対して引っ掛かった状態になるので、側板基板が側板本体から外れにくくすることができ、かつ、対向側板基板が対向側板本体から外れにくくすることができる。
【0073】
第7の構成において、棺は、平面視で側板本体及び対向側板本体の各々に直交して配置されている妻板であって、側板本体の内側面及び対向側板本体の内側面の各々に係合する妻板を、さらに備えてもよく、側板本体及び対向側板本体は、それぞれ、妻板に対向する位置に配置されたレール部材を含んでもよく、妻板は、側板本体のレール部材に沿った第1溝部であって、側板本体のレール部材に嵌る第1溝部と、対向側板本体のレール部材に沿った第2溝部であって、対向側板本体のレール部材に嵌る第2溝部と、を含んでもよい(第8の構成)。
【0074】
上記第8の構成によれば、レール部材と第1溝部及び第2溝部とにより、妻板を側板本体及び対向側板本体に対して、スライド移動させて取り付けることができる。そして、第1ダボが傾斜する方向と、第2ダボが傾斜する方向と、レール部材の延びる方向とがそれぞれ異なる方向となるので、底板にご遺体の荷重がかかった場合でも、底板が妻板から外れにくくすることができ、かつ、側板基板が側板本体から外れにくくすることができ、かつ、対向側板基板が対向側板本体から外れにくくすることができる。
【0075】
第8の構成において、側板本体及び対向側板本体の少なくとも一方は、レール部材が固定された角材を含んでもよい(第9の構成)。
【0076】
上記第9の構成によれば、角材にレール部材が固定されているので、側板本体及び対向側板本体の少なくとも一方が軽量化されている場合でも、レール部材の強度を増大させることができる。
【0077】
第10の構成に係る金具類及び金釘無し組立式棺は、全ての構成要素が可燃性素材で形成されている金具類及び金釘無し組立式棺であって、底板と、底板に固定されている側板基板と、側板基板の底板とは逆側に少なくとも一部が配置される側板本体と、側板基板と側板本体とを機械的に接合する可燃性素材の第1ダボと、を備え、側板基板及び側板本体の少なくとも一方は、第1ダボが嵌る穴部を含み、第1ダボが嵌る穴部は、底板に垂直な方向に対して傾斜して延びる(第10の構成)。
【0078】
上記第10の構成によれば、第1ダボが穴部内で延びる方向と、ご遺体の荷重が底板にかかる方向とを交差させることができるので、第1ダボの径、側板本体及び側板基板の厚みを大きくすることなく、第1ダボを側板本体又は側板基板から抜けにくくすることができる。この結果、棺を軽量化させながら、側板基板と側板本体との接合強度を向上させることが可能な金具類及び金釘無し組立式棺を提供することができる。
【符号の説明】
【0079】
1a,1b,2,201a,301a,401a…ダボ、10…底板、11,12…側板基板、11a…内側面、11b,12b,513b…穴部、13,14,513,514…妻板基板、15,16…基板補強部材、20a,20b…側板本体、21a,21b…本体補強部材、22a,22b,23a,23b…板部材、24a,24b…上部桟木、25a,25b…下部桟木、26a…縦桟木、27a,27b…第1間桟木、28a,28b…第2間桟木、30a,30b,530a…妻板本体、31…溝部、40…蓋板、60…係合部材、61…レール部材、61a…先端部分、61b…根元部分、62…角材、100,200,300,400,500…棺
【手続補正書】
【提出日】2022-02-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
全ての構成要素が可燃性素材で形成されている金具類及び金釘無し棺であって、
底板と、
前記底板に固定されている側板基板と、
前記側板基板の前記底板とは逆側に少なくとも一部が配置された側板本体と、
前記側板基板と前記側板本体とを機械的に接合する可燃性素材の第1ダボと、
前記側板基板とは別個に構成された基板補強部材であって、前記側板基板の内側面に固定された基板補強部材と、を備え、
前記第1ダボは、前記底板に垂直な方向に対して傾斜して延びており、
前記第1ダボは、前記基板補強部材から前記側板本体に亘って配置されている、金具類及び金釘無し棺。
【請求項2】
前記第1ダボは、前記側板本体の内側面と平行で、かつ、前記底板に垂直な方向に対して傾斜して延びている、請求項1に記載の金具類及び金釘無し棺。
【請求項3】
前記側板本体とは別個に構成された本体補強部材であって、前記側板本体の内側面に固定された本体補強部材を、さらに備え、
前記基板補強部材と前記本体補強部材とは、上下方向に隣接して配置されている、請求項1または2に記載の金具類及び金釘無し棺。
【請求項4】
前記側板本体は、桟木と、前記桟木を両側から挟む2つの板部材と、を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の金具類及び金釘無し棺。
【請求項5】
前記底板は、平面視で長方形状を有し、
前記側板基板は、前記底板の一対の長辺のうちの一方に固定されており、
前記底板の一対の長辺のうちの他方に固定された対向側板基板と、
前記対向側板基板の前記底板とは逆側に配置された対向側板本体と、
前記対向側板基板と前記対向側板本体とを機械的に接合する可燃性素材の第2ダボと、をさらに備え、
前記第1ダボは、前記側板本体の面と平行で、かつ、前記底板に垂直な方向に対して傾斜して延びており、
前記第2ダボは、前記底板に垂直な方向に対して傾斜する方向で、かつ、平面視で前記第1ダボが延びる方向とは逆方向に延びている、請求項1~4のいずれか1項に記載の金具類及び金釘無し棺。
【請求項6】
平面視で前記側板本体及び前記対向側板本体の各々に直交して配置されている妻板であって、前記側板本体の内側面及び前記対向側板本体の内側面の各々に係合する妻板を、さらに備え、
前記側板本体及び前記対向側板本体は、それぞれ、前記妻板に対向する位置に配置されたレール部材を含み、
前記妻板は、
前記側板本体の前記レール部材に沿った第1溝部であって、前記側板本体の前記レー
ル部材に嵌る第1溝部と、
前記対向側板本体の前記レール部材に沿った第2溝部であって、前記対向側板本体の前記レール部材に嵌る第2溝部と、を含む、請求項5に記載の金具類及び金釘無し棺。
【請求項7】
前記側板本体及び前記対向側板本体の少なくとも一方は、前記レール部材が固定された角材を含む、請求項6に記載の金具類及び金釘無し棺。
【手続補正書】
【提出日】2022-06-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
全ての構成要素が可燃性素材で形成されている金具類及び金釘無し棺であって、
底板と、
前記底板に固定されている側板基板と、
前記側板基板の前記底板とは逆側に少なくとも一部が配置された側板本体と、
前記側板基板と前記側板本体とを機械的に接合する可燃性素材の第1ダボと、
前記側板基板の内側面に可燃性の接着剤を介して固定されている基板補強部材と、を備え、
前記第1ダボは、前記底板に垂直な方向に対して傾斜して延びており、
前記第1ダボは、前記基板補強部材から前記側板本体に亘って配置されている、金具類及び金釘無し棺。
【請求項2】
前記第1ダボは、前記側板本体の内側面と平行で、かつ、前記底板に垂直な方向に対して傾斜して延びている、請求項1に記載の金具類及び金釘無し棺。
【請求項3】
前記側板本体の内側面に可燃性の接着剤を介して固定されている本体補強部材を、さらに備え、
前記基板補強部材と前記本体補強部材とは、上下方向に隣接して配置されている、請求項1または2に記載の金具類及び金釘無し棺。
【請求項4】
前記側板本体は、桟木と、前記桟木を両側から挟む2つの板部材と、を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の金具類及び金釘無し棺。
【請求項5】
前記底板は、平面視で長方形状を有し、
前記側板基板は、前記底板の一対の長辺のうちの一方に固定されており、
前記底板の一対の長辺のうちの他方に固定された対向側板基板と、
前記対向側板基板の前記底板とは逆側に配置された対向側板本体と、
前記対向側板基板と前記対向側板本体とを機械的に接合する可燃性素材の第2ダボと、をさらに備え、
前記第1ダボは、前記側板本体の面と平行で、かつ、前記底板に垂直な方向に対して傾斜して延びており、
前記第2ダボは、前記底板に垂直な方向に対して傾斜する方向で、かつ、平面視で前記第1ダボが延びる方向とは逆方向に延びている、請求項1~4のいずれか1項に記載の金具類及び金釘無し棺。
【請求項6】
平面視で前記側板本体及び前記対向側板本体の各々に直交して配置されている妻板であって、前記側板本体の内側面及び前記対向側板本体の内側面の各々に係合する妻板を、さらに備え、
前記側板本体及び前記対向側板本体は、それぞれ、前記妻板に対向する位置に配置されたレール部材を含み、
前記妻板は、
前記側板本体の前記レール部材に沿った第1溝部であって、前記側板本体の前記レール部材に嵌る第1溝部と、
前記対向側板本体の前記レール部材に沿った第2溝部であって、前記対向側板本体の前記レール部材に嵌る第2溝部と、を含む、請求項5に記載の金具類及び金釘無し棺。
【請求項7】
前記側板本体及び前記対向側板本体の少なくとも一方は、前記レール部材が固定された角材を含む、請求項6に記載の金具類及び金釘無し棺。
【手続補正書】
【提出日】2022-12-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
全ての構成要素が可燃性素材で形成されている金具類及び金釘無し棺であって、
底板と、
前記底板に固定されている側板基板であって、側板本体を前記底板側から支持する側板基板と、
前記側板基板の前記底板とは逆側に少なくとも一部が配置された前記側板本体と、
前記側板基板と前記側板本体とを機械的に接合する可燃性素材の第1ダボと、
前記側板基板の内側面に可燃性の接着剤を介して固定されている基板補強部材と、を備え、
前記第1ダボは、前記底板に垂直な方向に対して傾斜して延びており、
前記第1ダボは、下端が前記底板よりも上方に位置し、かつ、上端が前記側板基板よりも上方に位置するように、前記側板基板から前記側板本体に亘って配置され、
前記第1ダボは、前記側板基板と前記基板補強部材との間に挟まれており、
前記第1ダボは、前記側板基板に設けられた穴部と、前記基板補強部材に設けられた穴部と、前記側板本体に設けられた穴部とに、嵌っている、金具類及び金釘無し棺。
【請求項2】
前記第1ダボは、前記側板本体の内側面と平行で、かつ、前記底板に垂直な方向に対して傾斜して延びている、請求項1に記載の金具類及び金釘無し棺。
【請求項3】
前記側板本体の内側面に可燃性の接着剤を介して固定されている本体補強部材を、さらに備え、
前記基板補強部材と前記本体補強部材とは、上下方向に隣接して配置されている、請求項1または2に記載の金具類及び金釘無し棺。
【請求項4】
前記側板本体は、桟木と、前記桟木を両側から挟む2つの板部材と、を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の金具類及び金釘無し棺。
【請求項5】
前記底板は、平面視で長方形状を有し、
前記側板基板は、前記底板の一対の長辺のうちの一方に固定されており、
前記底板の一対の長辺のうちの他方に固定された対向側板基板と、
前記対向側板基板の前記底板とは逆側に配置された対向側板本体と、
前記対向側板基板と前記対向側板本体とを機械的に接合する可燃性素材の第2ダボと、をさらに備え、
前記第1ダボは、前記側板本体の面と平行で、かつ、前記底板に垂直な方向に対して傾斜して延びており、
前記第2ダボは、前記底板に垂直な方向に対して傾斜する方向で、かつ、平面視で前記第1ダボが延びる方向とは逆方向に延びている、請求項1~4のいずれか1項に記載の金具類及び金釘無し棺。
【請求項6】
平面視で前記側板本体及び前記対向側板本体の各々に直交して配置されている妻板であって、前記側板本体の内側面及び前記対向側板本体の内側面の各々に係合する妻板を、さらに備え、
前記側板本体及び前記対向側板本体は、それぞれ、前記妻板に対向する位置に配置されたレール部材を含み、
前記妻板は、
前記側板本体の前記レール部材に沿った第1溝部であって、前記側板本体の前記レール部材に嵌る第1溝部と、
前記対向側板本体の前記レール部材に沿った第2溝部であって、前記対向側板本体の前記レール部材に嵌る第2溝部と、を含む、請求項5に記載の金具類及び金釘無し棺。
【請求項7】
前記側板本体及び前記対向側板本体の少なくとも一方は、前記レール部材が固定された角材を含む、請求項6に記載の金具類及び金釘無し棺。