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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023081792
(43)【公開日】2023-06-13
(54)【発明の名称】織り機玩具
(51)【国際特許分類】
   A63H 33/30 20060101AFI20230606BHJP
【FI】
A63H33/30 B
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021195799
(22)【出願日】2021-12-01
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(72)【発明者】
【氏名】鵜池 善仁
(72)【発明者】
【氏名】石黒 知美
(72)【発明者】
【氏名】山田 千明
(72)【発明者】
【氏名】貝 健太
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150AA12
2C150CA18
2C150DD08
(57)【要約】
【課題】従来に比べて簡単に使用することができ且つ興趣性の高い織り機玩具を提供する。
【解決手段】複数の第1の素材61と、第1の素材61に対して組み合わせる第2の素材62と、を用いて織物を製作する織り機玩具1であって、第1の素材61を複数列掛け渡すことが可能な棒部材20と、棒部材を保持可能な織り機本体10と、を備え、棒部材の外周面には、第1の素材61を受容し棒部材20の軸方向に沿って並ぶ複数の素材保持溝25が設けられ、素材保持溝25は、軸方向の幅が異なる複数種類の溝部(25a,25b)を含む、織り機玩具1。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1の素材と、該第1の素材に対して組み合わせる第2の素材と、を用いて織物を製作する織り機玩具であって、
前記第1の素材を複数列掛け渡すことが可能な棒部材と、
前記棒部材を保持可能な織り機本体と、を備え、
前記棒部材の外周面には、前記第1の素材を受容し前記棒部材の軸方向に沿って並ぶ複数の素材保持溝が設けられ、
前記素材保持溝は、前記軸方向の幅が異なる複数種類の溝部を含む、
織り機玩具。
【請求項2】
請求項1に記載の織り機玩具であって、
前記複数種類の溝部は、第1の幅及び第1の深さを有する第1の溝部と、該第1の幅よりも狭く且つ該第1の深さよりも深い第2の深さを有する第2の溝部と、を有する、
織り機玩具。
【請求項3】
請求項2に記載の織り機玩具であって、
前記第2の溝部は、前記第1の溝部内に配置されている、
織り機玩具。
【請求項4】
請求項2に記載の織り機玩具であって、
前記第2の溝部の前記軸方向の配列ピッチは、前記第1の溝部の前記軸方向の配列ピッチよりも小さい、
織り機玩具。
【請求項5】
請求項1~4の何れか一項に記載の織り機玩具であって、
前記棒部材は、所定の位置に支持される第1の棒部材と、該第1の棒部材との距離を変更可能に複数の位置に支持可能な第2の棒部材と、を含む、
織り機玩具。
【請求項6】
請求項5に記載の織り機玩具であって、
前記織り機本体は、
前記第1の棒部材を保持する第1の係止溝と、
前記第2の棒部材を該第1の棒部材と所定の間隔を開けて並行状態に保持する第2の係止溝および第3の係止溝と、
前記第2の係止溝と第3の係止溝とを繋ぐ連通溝と、を備え、
前記第1の係止溝と第3の係止溝との距離は、該第1の係止溝と第2の係止溝との距離よりも大きく、
前記第2の棒部材は、前記連通溝を通過することで、前記第3の係止溝に係止可能である、
織り機玩具。
【請求項7】
請求項6に記載の織り機玩具であって、
前記第2の係止溝には、前記第2の棒部材を着脱可能とする着脱開口が設けられている、
織り機玩具。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の織り機玩具であって、
前記第2の係止溝および前記第3の係止溝は、前記第1の係止溝に近づく方向に延び前記第2の棒部材の離脱を阻止する第1離脱防止溝を含む、
織り機玩具。
【請求項9】
請求項6~8の何れか一項に記載の織り機玩具であって、
前記第1の係止溝は、前記第2の係止溝に近づく方向に延び前記第1の棒部材の離脱を阻止する第2離脱防止溝を含む、
織り機玩具。
【請求項10】
請求項1~9の何れか一項に記載の織り機玩具であって、
前記棒部材は、前記織り機本体に回動可能に支持され、
前記棒部材の少なくとも一方の端部には、突起が設けられている、
織り機玩具。
【請求項11】
請求項1~9の何れか一項に記載の織り機玩具であって、
前記第1の素材間に前記第2の素材を挿通するための素材挿通部材をさらに備え、
前記素材挿通部材の端部には、前記第2の素材が挿通される挿通孔が設けられ、
前記挿通孔の内周縁には、切欠き溝が設けられている、
織り機玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、織り機玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、織り機玩具として、特許文献1には、縦糸を挿通させる溝部を複数備え回転自在に設けられたそうこう部と、棒状に形成されて一部が溝部に挿入されるようにして製作する織物の幅を維持する一対の織幅固定棒と、等を備える構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-180825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された織り機玩具においては、構成部材として、そうこう部や織幅固定棒など織り機玩具を操作するための構成部材が多く、また、それらの構成部材の組み合わせ方も特殊の構造を有した構成となっている。このため、特に、低学年の子供には難しい要素が含まれている。また、構造上、いろんな糸を使用することもできず、織り上げられる物品の種類も少なく興趣性の課題があった。
【0005】
本発明は、従来に比べて簡単に使用することができ且つ興趣性の高い織り機玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る織り機玩具は、
複数の第1の素材と、該第1の素材に対して組み合わせる第2の素材と、を用いて織物を製作する織り機玩具であって、
前記第1の素材を複数列掛け渡すことが可能な棒部材と、
前記棒部材を保持可能な織り機本体と、を備え、
前記棒部材の外周面には、前記第1の素材を受容し前記棒部材の軸方向に沿って並ぶ複数の素材保持溝が設けられ、
前記素材保持溝は、前記軸方向の幅が異なる複数種類の溝部を含む、ことを特徴としている。
【0007】
また、本発明に係る織り機玩具においては、
前記複数種類の溝部は、第1の幅及び第1の深さを有する第1の溝部と、V第1の幅よりも狭く且つ該第1の深さよりも深い第2の深さを有する第2の溝部と、を有する、ようにしてもよい。
【0008】
また、本発明に係る織り機玩具おいては、
前記第2の溝部は、前記第1の溝部内に配置されている、ようにしてもよい。
【0009】
また、本発明に係る織り機玩具おいては、
前記第2の溝部の前記軸方向の配列ピッチは、前記第1の溝部の前記軸方向の配列ピッチよりも小さい、ようにしてもよい。
【0010】
また、本発明に係る織り機玩具おいては、
前記棒部材は、所定の位置に支持される第1の棒部材と、該第1の棒部材との距離を変更可能に複数の位置に支持可能な第2の棒部材と、を含む、ようにしてもよい。
【0011】
また、本発明に係る織り機玩具においては、
前記織り機本体は、
前記第1の棒部材を保持する第1の係止溝と、
前記第2の棒部材を該第1の棒部材と所定の間隔を開けて並行状態に保持する第2の係止溝および第3の係止溝と、
前記第2の係止溝と第3の係止溝とを繋ぐ連通溝と、を備え、
前記第1の係止溝と第3の係止溝との距離は、該第1の係止溝と第2の係止溝との距離よりも大きく、
前記第2の棒部材は、前記連通溝を通過することで、前記第3の係止溝に係止可能である、ようにしてもよい。
【0012】
また、本発明に係る織り機玩具においては、
前記第2の係止溝には、前記第2の棒部材を着脱可能とする着脱開口が設けられている、ようにしてもよい。
【0013】
また、本発明に係る織り機玩具においては、
前記第2の係止溝および前記第3の係止溝は、前記第1の係止溝に近づく方向に延び前記第2の棒部材の離脱を阻止する第1離脱防止溝を含む、ようにしてもよい。
【0014】
また、本発明に係る織り機玩具においては、
前記第1の係止溝は、前記第2の係止溝に近づく方向に延び前記第1の棒部材の離脱を阻止する第2離脱防止溝を含む、ようにしてもよい。
【0015】
また、本発明に係る織り機玩具においては、
前記棒部材は、前記織り機本体に回動可能に支持され、
前記棒部材の少なくとも一方の端部には、突起が設けられている、ようにしてもよい。
【0016】
また、本発明に係る織り機玩具においては、
前記第1の素材間に前記第2の素材を挿通するための素材挿通部材をさらに備え、
前記素材挿通部材の端部には、前記第2の素材が挿通される挿通孔が設けられ、
前記挿通孔の内周縁には、切欠き溝が設けられている、ようにしてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、従来に比べて簡単に使用することができ且つ興趣性の高い織り機玩具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明にかかる織り機玩具の一例を示す斜視図である。
図2図1に示す織り機玩具の要部の拡大斜視図である。
図3図2に示す棒部材の軸方向に沿った断面図である。
図4図2に示す織り機本体の棒保持枠の内面を示す側面図である。
図5図1に示す織り機玩具の遊戯状態の一例を示す斜視図である。
図6】棒部材の変形例を示す断面図である。
図7】棒保持枠の変形例を示す内側構造の側面図である。
図8】素材挿通部材の拡大図及び変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態である織り機玩具について、図1から図8を参照して説明する。なお、本実施形態の説明における向きの記載については、前後及び上下とは玩具の遊戯状態(図5参照)における前後及び上下であり、左右とは遊戯者側から向って見た場合の左右である。
【0020】
図1は、本実施形態の織り機玩具の一例を示す斜視図である。
図1に示すように、織り機玩具1は、例えば環状の第1の素材61(図5参照)を複数列掛け渡すことが可能な第1の棒部材21及び第2の棒部材22と、この両棒部材21,22を並行状態で保持可能な織り機本体10と、を備えている。また、付帯部品として、第2の素材62(図5参照)を取り付けて第1の素材61間に通すために使用するシャトル40と、第1の素材61間に通された第2の素材62を所定方向(織り上げられた側)に押すために使用する櫛状部材50と、等を備える。
【0021】
図2は、図1に示す織り機玩具1の織り機本体10及び棒部材21,22の拡大斜視図である。
織り機本体10は、両棒部材21,22を保持可能な構造を備える左右一対の棒保持枠11と、遊戯時において前側となる前枠12と、後側の後枠13と、で構成される平面視矩形状の枠部材である。左右一対の棒保持枠11には、当該棒保持枠11の対面する内面側に左右一対の第1の係止溝31、左右一対の第2の係止溝32、左右一対の第3の係止溝33、及び左右一対の第4の係止溝34が設けられている。これらの各係止溝31,32,33,34は、第1の棒部材21及び第2の棒部材22の両端に突出する支軸部20aを着脱自在且つ回転可能に保持するように構成されている。
【0022】
第1の棒部材21及び第2の棒部材22は、本実施形態では、同じ形状に構成されている。以下の説明では、最も前側の第1の係止溝31に係合されるものを第1の棒部材21とし、第2、第3、及び第4の係止溝、32,33,34に係合されるものを第2の棒部材22として説明する。また、第1と第2の区別を要しない場合には、単に、「棒部材20」として説明する。
【0023】
棒部材20は、図2に示すように、複数の環状の素材保持溝25を有する全体形状が円柱形のものである。素材保持溝25は、棒部材20の軸方向に等間隔で形成されており、織物を製作するときに、環状の第1の素材61を受容することができる。すなわち、織り機本体10にセットされた第1の棒部材21と第2の棒部材22との間で第1の素材61が複数列掛け渡される構成(図5参照)となっている。
【0024】
図3は、棒部材20の軸方向に沿った部分の断面矢視図である。
棒部材20の素材保持溝25は、図3に示すように、軸方向の幅が異なる複数種類の溝部である第1の溝部25a及び第2の溝部25bが形成されている。第1の溝部25aは、溝幅が第2の溝部25bよりも広く且つ浅く構成されている。また、第2の溝部25bは、第1の溝部25aの中に深さを深くして形成されている。すなわち、素材保持溝25は、一個の溝が段差構造によって二つの溝幅を有するように構成されている。したがって、第1の素材61において、幅広第1素材61aは、第1の溝部25aによって保持される一方、幅狭第1素材61bは、第2の溝部25bによって保持される。
【0025】
また、棒部材20は、両端の支軸部20aに隣接した部位が、他の部分よりも径方向に突出した突起29として、例えば円周方向に等間隔で4個設けられている(図2参照)。この突起29は、棒部材20が織り機本体10にセットされた状態において、後述するように、棒部材20を回動するときに使用する構造である。
【0026】
なお、ここで使用される第1の素材61は、図示では、断面矩形状で細長い環状で構成されているが、必ずしもそのような形状に制限されるものではない。また、第1の素材61は、特に制限するものでないが、本実施形態においては、ある程度の弾性を有し伸び縮みが可能な素材にて構成されている。
【0027】
図4は、図2に示す織り機本体10の棒保持枠11の内面を示した側面図である。
【0028】
一対の棒保持枠11は、前述のように、その内面側に開放された各係止溝31,32,33,34が対面した対で設けられている。したがって、第2から第4の係止溝32,33,34は、第1の係止溝31に保持された第1の棒部材21に対して第2の棒部材22を並行に保持することができる。
【0029】
図4に示すように、第1の係止溝31は、最も前側に形成された溝であって、上下方向に沿って形成された垂直溝31bと、垂直溝31bの上下方向の途中から第2の係止溝32に近づく方向に延びる水平溝である第2離脱防止溝39と、を備えている。垂直溝31bは、第1の棒部材21の支軸部20aを上方から着脱可能とする着脱開口31aが設けられている。第2離脱防止溝39は、第1の棒部材21が装着された状態において、その支軸部20aの離脱を阻止する部分であり、上下の溝壁及び後方側の半円形の端部39aによって、支軸部20aを位置規制し保持する。すなわち、玩具の遊戯状態においては、第1の棒部材21は、第1の素材61によって、後方側に引っ張られて第2離脱防止溝39に保持されている。
【0030】
第2の係止溝32は、上下方向に沿って形成された垂直溝32bと、垂直溝32bの上下方向の途中から第1の係止溝31に近づく方向に延びる水平溝である第1離脱防止溝38と、を備えている。垂直溝32bは、第2の棒部材22の支軸部20aを上方から着脱可能とする着脱開口32aが設けられている。
【0031】
第3の係止溝33は、第1の係止溝31に対して最も離れた係止位置として設けられている。この第3の係止溝33は、上下方向に沿って形成された垂直溝33bと、垂直溝33bの上下方向の途中から第1の係止溝31に近づく方向に延びる水平溝の第1離脱防止溝38と、を備えている。第2の係止溝32と第3の係止溝33は、第1離脱防止溝38の下方側で前後方向に延びる連通溝35により連通されている。なお、第3の係止溝33には、着脱開口が設けられていないので、支軸部20aを第3の係止溝33に収容するときは、連通溝35を使う。
【0032】
第4の係止溝34は、第1の係止溝31に対して最も近い係止位置として設けられている。第4の係止溝34は、上下方向に沿って形成された垂直溝34bと、垂直溝34bの下端から第1の係止溝31に近づく方向に延びる水平溝の第1離脱防止溝38と、を備えている。また、垂直溝34bは、支軸部20aを上方から着脱可能とする着脱開口34aが設けられている。
【0033】
図5は、図1に示す織り機玩具1の遊戯状態の一例を示す斜視図である。
織り機玩具1を使用して織物を製作するときには、図5に示すように、先ず、環状の第1の素材61を、第1の棒部材21及び第2の棒部材22に掛け渡してく。この掛け渡された第1の素材61に対して、第2の素材62を上下に交互に通すように組み合わせる操作、すなわち、織り操作を行う。第2の素材62の織り操作は、例えば図示の如く、第2の素材62を通したシャトル43(40)を使って、並列に配置された第1の素材61の上側の部分(環状に張り渡された上の部分)に対して、第2の素材62を、上下交互に位置するように通していく。シャトル43(40)は、シャトルの一部に第2の素材62の一部を引っ掛けた図5のような状態で使用することもでき、また、シャトル43(40)の長さ方向に予め第2の素材62を巻き付けておき、巻き付けた第2の素材62を解きながら、第1の素材61に対して第2の素材62を上下に交互に通すように組み合わせる操作を行うこともできる。
【0034】
そして、ある程度織り上げた後、櫛状部材51の櫛刃を第1の素材61間に挿入し、第2の素材62を、第1の棒部材21側に押して組み合わせ間隔を詰めるようにする。また、ある程度織り上げが進んだ状態では、例えば、突起29を操作して、第1の棒部材21及び第2の棒部材22を回転(図中において、反時計回りの方向に回転)させる。この回転操作により、織り上げられた部分を第1の素材61の下側の部分(裏側)へ移動し、作業領域を確保して織り操作を進めていくことができる。
【0035】
このようにして、環状の第1の素材61の全周に第2の素材62を織り上げた後に、例えば、第2の棒部材22及び第1の棒部材21を取り外す。その後、第2の素材62の端部を適宜処理し、環状の織物を得る。また、必要に応じて、得られた環状の織物に対して、例えば一端側を閉じる等の適宜処理を施して、環状の織物以外のものに仕上げることができる。
【0036】
ここで、図5に示した場合においては、第2の棒部材22を第2の係止溝32の位置に保持した状態としたが、例えば、同じ第1の素材61を使用して、第3の係止溝33の位置に第2の棒部材22を保持して同様の織り操作を行って作業を進めることができる。この場合、図5に示した場合よりも、第1の棒部材21と第2の棒部材22との間隔が大きくなり第2の素材62を多く使用する。また、より大きく伸ばした状態の第1の素材61に対する織り上げであるので、出来上がった織物は、第1の素材61が縮んだ織物を得ることができる。
【0037】
なお、第3の係止溝33の位置に第2の棒部材22を保持した場合においては、第2の棒部材22を取り外すときには、連通溝35を使って着脱開口32aから外す。これにより、第1の素材61が大きく伸びた状態ではなく、図5に示した状態と同じ状態で取り外すことができ、第1の素材61の弾性力による跳ね返りのリスクは軽減される。
【0038】
図6(a)は、棒部材20の変形例を示す断面図であり、(b)は、棒部材20の他の変形例を示す断面図である。
図6(a)に示す棒部材20は、図3に示したものとは異なり、第1の溝部25aと第2の溝部25bが軸方向において交互に形成された構成である。
この構成の場合、図3に示した場合と同様に、幅広第1素材61a或いは幅狭第1素材61bを使った織物を製作する以外に、幅広第1素材61aと幅狭第1素材61bとを同時に使用した織物を製作することが可能になる。
【0039】
また、図6(b)に示す棒部材20においては、素材保持溝25は図3に示すものと同じように、一個の溝が段差構造によって二つの溝幅を有するように構成されている溝と、幅狭第1素材61bに対応する溝とが軸方向に交互に配置されている。
この場合、幅広第1素材61aの溝の配列ピッチP2に比べて、幅狭第1素材61bの溝の配列ピッチP1が小さく構成される。したがって、第1の素材61の配列形態を更に多様化した織物を製作することができる。
【0040】
図7(a)は、織り機本体10における棒部材20(21,22)の保持構造の変形例を示す棒保持枠の内側構造の側面図であり、(b)は、棒部材20の保持構造の他の変形例を示す棒保持枠11の内側構造の側面図である。
【0041】
図7(a)に示す棒保持枠11においては、図4に示した場合と同様に、各係止溝31,32,33,34が設けられており略同様な構成であるが、連通溝35によって、第2の係止溝32、第3の係止溝33、及び第4の係止溝34が連通されている。また、第2の係止溝32、第3の係止溝33、及び第4の係止溝34への支軸部20aの着脱は、第1の係止溝31に最も近い着脱開口34aのみにて行うように構成されている。
【0042】
図7(b)に示す棒保持枠11においては、各係止溝31,32,33,34は、全て独立した溝構造となっていると共に、第2の棒部材22の支軸部20aの保持位置の高さ(h2,h3,h4)は、後方に行くほど高くなる(h1<h2<h3<h4)ように構成されている。したがって、第2の素材62の織り込み操作のときに、第1の素材61が手前側に低く傾斜していることで、遊戯者の手前側から見やすくなり操作し易い。
【0043】
図8(a)は、シャトル43(40)の変形例の拡大斜視図であり、(b)は、シャトル43(40)の変形例を示す拡大斜視図である。
【0044】
図8(a)に示すシャトル43は、図5に示したシャトル43を拡大したものであり、シャトル43の両端部44に第2の素材62が挿通される挿通孔45が設けられている。この挿通孔45は、図1に示したシャトル42の場合とは異なり切欠き構造で且つ大きい径に構成されている。更に、挿通孔45の内周縁には、シャトル43の長手方向に沿うように切り込まれた切欠き溝48が設けられている。
【0045】
このように構成されたシャトル43の場合には、比較的幅の広い扁平なリボン等の装飾素材を第2の素材62bとして用いた織物の製作ができる。例えば、リボン型の幅広の第2の素材62bを切欠き溝48に引っ掛かけることでリボン型の幅広の第2の素材62bが切欠き溝48に保持された状態となり、第2の素材62bの挿通孔45からの離脱を抑制することができ、そのような状態で織り操作をすることができる。また、シャトル43の長さ方向に予め第2の素材62を巻き付けておく際にも、第2の素材62bの挿通孔45からの離脱を抑制した状態で巻き付け操作をすることができる。
【0046】
このとき、切欠き溝48に、挿通孔45の縁部側に、切欠き幅が少し変わるような引っ掛かり部49が形成されている場合には、この引っ掛かり部49を、第2の素材62b(62)の挿通孔45からの離脱をさらに抑制することができる。
【0047】
図8(b)に示すシャトル43は、引っ掛かり部49を有しない切欠き溝48を備える挿通孔45を一端側に備え、他端側に切欠き溝48を有しない挿通孔45を備えている。
このように円形の大きい挿通孔45を備える構成では、比較的太い、例えば、Tシャツヤーン等を第2の素材62cとして使用することができる。
【0048】
このように太い第2の素材62cに比べて、より細い第2の素材62を使用する場合には、例えば、図1に示す細い針形状のシャトル41を使用することができる。この細いシャトル41は、織り上げられたものの最終段階の後処理等に使用することができる。
【0049】
以上述べたように、本実施形態の織り機玩具1は、棒部材20の外周面の素材保持溝25は、軸方向の幅が異なる複数種類の溝部を備えているので、一つの棒部材20でもって複数の第1の素材61に対応することができる。
【0050】
本実施形態の織り機玩具1においては、素材保持溝25は、幅広の第1の溝部25a内に幅狭の第2の溝部25bを設けるようにしたので、同じ形状の溝構造で複数の第1の素材61に対することができる。
【0051】
また、本実施形態の織り機玩具1において、幅広の第1の溝部25aの軸方向の配列ピッチP2と幅狭の第2の溝部25bの配列ピッチP1とを変えるように構成した場合には、第1の素材61の配列数を変えることができる。
【0052】
本実施形態の織り機玩具1においては、第2の棒部材22を、第1の棒部材21との距離を変更可能に支持可能するようにしたので、大きさの異なる第1の素材61を利用することができる。
【0053】
本実施形態の織り機玩具1においては、第2の棒部材22を保持固定可能な第2の係止溝32と第3の係止溝33とを連通溝35にて連通したので、連通溝35によって両係止溝32,33間の移動が出来る。
また、第1の係止溝31に近い側の第2の係止溝32に、第2の棒部材22を着脱可能とする着脱開口が設けられているので、例えば、第1の素材61が弾性部材の場合に、当該第1の素材61の伸びが少ない状態での着脱が可能となる。
【0054】
本実施形態の織り機玩具1においては、第1の棒部材21を保持する第1の係止溝31の第2離脱防止溝39と、第2の棒部材22を保持する第2、第3,第4の係止溝32,33,34の第1離脱防止溝38とが、互いに近づく方向に延びる方向構成されているので、両棒部材21,22間に掛け渡す弾性素材の第1の素材61によって、両棒部材21,22はその保持状態が確実に維持される。
【0055】
本実施形態の織り機玩具1においては、棒部材20には、その外周に棒部材20の他の部分よりも径方向に突出する突起29が設けられえているので、この突起29により棒部材20を回転することができ、織り位置を所定の位置に保つことができる。
【0056】
本実施形態の織り機玩具1においては、シャトル43の端部44の挿通孔45の内周縁に切欠き溝48が設けられている場合には、例えば、比較的幅の広い扁平なリボン等の装飾素材を第2の素材62bとして用いることができ、リボン型の幅広の第2の素材62bを切欠き溝48に通して保持することができる。
【0057】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はその技術思想の範囲で適宜変更することができる。例えば、上記実施形態においては、棒部材20について、第1の棒部材21と第2の棒部材22とを同じ構造としたが、必ずしも同じでなくても良い。
【0058】
また、上記実施形態においては、突起29は、棒部材20の左右両端に設けた構成としたが、片側のみの設けた構成であっても良い。また、突起29の形状についても、突起29が径方向に4つ突出する構成としたが、図示のものに限らす適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 織り機玩具
10 織り機本体
20 棒部材
21 第1の棒部材(棒部材)
22 第2の棒部材(棒部材)
25 素材保持溝
25a 第1の溝部(素材保持溝)
25b 第2の溝部(素材保持溝)
29 突起
31 第1の係止溝
32 第2の係止溝
32a 着脱開口
33 第3の係止溝
35 連通溝
38 第1離脱防止溝
39 第2離脱防止溝
40 シャトル(素材挿通部材)
44 端部
45 挿通孔
48 切欠き溝
61 第1の素材
62 第2の素材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2022-12-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1の素材と、該第1の素材に対して組み合わせる第2の素材と、を用いて織物を製作する織り機玩具であって、
前記第1の素材を複数列掛け渡すことが可能な棒部材と、
前記棒部材を保持可能な織り機本体と、を備え、
前記棒部材の外周面には、前記第1の素材を受容し前記棒部材の軸方向に沿って並ぶ複数の素材保持溝が設けられ、
前記素材保持溝は、前記軸方向の幅が異なる複数種類の溝部を含む、
織り機玩具。
【請求項2】
請求項1に記載の織り機玩具であって、
前記複数種類の溝部は、第1の幅及び第1の深さを有する第1の溝部と、該第1の幅よりも狭い第2の幅及び該第1の深さよりも深い第2の深さを有する第2の溝部と、を有する、
織り機玩具。
【請求項3】
請求項2に記載の織り機玩具であって、
前記第2の溝部は、前記第1の溝部内に配置されている、
織り機玩具。
【請求項4】
請求項2に記載の織り機玩具であって、
前記第2の溝部の前記軸方向の配列ピッチは、前記第1の溝部の前記軸方向の配列ピッチよりも小さい、
織り機玩具。
【請求項5】
請求項1~4の何れか一項に記載の織り機玩具であって、
前記棒部材は、所定の位置に支持される第1の棒部材と、該第1の棒部材との距離を変更可能に複数の位置に支持可能な第2の棒部材と、を含む、
織り機玩具。
【請求項6】
請求項5に記載の織り機玩具であって、
前記織り機本体は、
前記第1の棒部材を保持する第1の係止溝と、
前記第2の棒部材を該第1の棒部材と所定の間隔を開けて並行状態に保持する第2の係止溝および第3の係止溝と、
前記第2の係止溝と第3の係止溝とを繋ぐ連通溝と、を備え、
前記第1の係止溝と第3の係止溝との距離は、該第1の係止溝と第2の係止溝との距離よりも大きく、
前記第2の棒部材は、前記連通溝を通過することで、前記第3の係止溝に係止可能である、
織り機玩具。
【請求項7】
請求項6に記載の織り機玩具であって、
前記第2の係止溝には、前記第2の棒部材を着脱可能とする着脱開口が設けられている、
織り機玩具。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の織り機玩具であって、
前記第2の係止溝および前記第3の係止溝は、前記第1の係止溝に近づく方向に延び前記第2の棒部材の離脱を阻止する第1離脱防止溝を含む、
織り機玩具。
【請求項9】
請求項6~8の何れか一項に記載の織り機玩具であって、
前記第1の係止溝は、前記第2の係止溝に近づく方向に延び前記第1の棒部材の離脱を阻止する第2離脱防止溝を含む、
織り機玩具。
【請求項10】
請求項1~9の何れか一項に記載の織り機玩具であって、
前記棒部材は、前記織り機本体に回動可能に支持され、
前記棒部材の少なくとも一方の端部には、突起が設けられている、
織り機玩具。
【請求項11】
請求項1~9の何れか一項に記載の織り機玩具であって、
前記第1の素材間に前記第2の素材を挿通するための素材挿通部材をさらに備え、
前記素材挿通部材の端部には、前記第2の素材が挿通される挿通孔が設けられ、
前記挿通孔の内周縁には、切欠き溝が設けられている、
織り機玩具。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
また、本発明に係る織り機玩具においては、
前記複数種類の溝部は、第1の幅及び第1の深さを有する第1の溝部と、第1の幅よりも狭い第2の幅及び該第1の深さよりも深い第2の深さを有する第2の溝部と、を有する、ようにしてもよい。