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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023081818
(43)【公開日】2023-06-13
(54)【発明の名称】光電子半導体構造
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/107 20060101AFI20230606BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20230606BHJP
   H01L 31/10 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
H01L31/10 B
H01L27/146 C
H01L31/10 A
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022084538
(22)【出願日】2022-05-24
(31)【優先権主張番号】110144914
(32)【優先日】2021-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】514238696
【氏名又は名称】レイナジー テック インコーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】イ-ミン チャン
(72)【発明者】
【氏名】チャオ-リン ウー
(72)【発明者】
【氏名】ジ-ワン スン
【テーマコード(参考)】
4M118
5F149
5F849
【Fターム(参考)】
4M118AA10
4M118AB01
4M118BA05
4M118BA14
4M118CA14
4M118HA26
5F149AA01
5F149BA18
5F149BA28
5F149BB03
5F149DA01
5F149DA27
5F149FA12
5F149XB35
5F849AA01
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5F849DA01
5F849DA27
5F849FA12
5F849XB35
(57)【要約】      (修正有)
【課題】複雑なプロセスの複数の工程は省略され、コスト及び処理時間の両方が低減される光電子半導体構造を提供する。
【解決手段】基板10、第1の電極20、電極接点30、半導体層40、及び第2の電極50を含み、半導体構造の光活性層が光源からエネルギーを吸収して励起子を生成した後、励起子は第1の担体と第2の担体に分離し、第1の担体は、第1の界面層42を介して第1の電極20に移動され、一方、第2の担体は、トンネル効果によって第2の電極50から電極接点30に直接移動する。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電子半導体構造であって、
基板と、
前記基板の上方に配置された第1の電極と、
前記基板の上方に配置され、前記第1の電極の一方の側に配置される電極接点と、
前記第1の電極および前記電極接点の上方に取り付けられ、第1の界面層および光活性層を備える半導体層であって、前記光活性層は、前記第1の界面層の上方に配置されて前記第1の界面層を覆い、一方、前記第1の界面層の一方の側は、前記第1の電極および前記電極接点の上方に配置されて前記第1の電極および前記電極接点を覆う、半導体層と、
前記半導体層の上方に配置されて前記半導体層を覆う第2の電極とを含み、
前記光活性層は、光源からエネルギーを吸収して、第1の担体と第2の担体とに分離される励起子を生成し、前記第1の担体は前記第1の界面層を介して第1の電極に移動され、一方、前記第2の担体は、トンネル効果によって前記第2の電極から前記電極接点に直接移動されることを特徴とする、光電子半導体構造。
【請求項2】
前記基板は、ケイ素、ポリイミド、ガラス、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、サファイア、石英、およびセラミックからなる群から選択される材料から作られ、前記第1の電極は、金属酸化物、金属、および合金からなる群から選択される材料から作られることを特徴とする、請求項1に記載の光電子半導体構造。
【請求項3】
前記電極接点は、金属酸化物、金属、および合金からなる群から選択される材料から作られることを特徴とする、請求項1に記載の光電子半導体構造。
【請求項4】
前記半導体層は、前記第1の電極および前記電極接点を取り囲むことを特徴とする、請求項1に記載の光電子半導体構造。
【請求項5】
前記第1の界面層は、金属酸化物、金属化合物、無機半導体薄膜、炭素系薄膜、有機半導体、および有機絶縁材料からなる群から選択され、1nm~99nmの第1の厚さを有することを特徴とする、請求項1に記載の光電子半導体構造。
【請求項6】
前記光活性層のエネルギーギャップは、1.1eV~2eVであることを特徴とする、請求項1に記載の光電子半導体構造。
【請求項7】
前記光活性層は、1nm~2000nmの範囲の第2の厚さを有することを特徴とする、請求項1に記載の光電子半導体構造。
【請求項8】
前記第2の電極は、金属酸化物、金属、導電性ポリマー、炭素系導体、金属化合物、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される材料から、導電性薄膜の形態で作られることを特徴とする、請求項1に記載の光電子半導体構造。
【請求項9】
さらに、前記半導体層は、前記光活性層の上方に取り付けられた第2の界面層を含み、前記光活性層は、前記第1の界面層と前記第2の界面層との間にクリップされることを特徴とする、請求項1に記載の光電子半導体構造。
【請求項10】
前記第2の界面層は、金属酸化物、金属化合物、無機半導体薄膜、炭素系薄膜、有機半導体、および有機絶縁材料からなる群から選択され、1nm~99nmの第3の厚さを有することを特徴とする、請求項9に記載の光電子半導体構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体構造、特に、光電子半導体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
CIS(相補型金属酸化膜半導体イメージセンサ)と薄膜トランジスタ(TFT)ベースのイメージセンサは、イメージセンサ市場のための2つの一般的な技術である。イメージセンサは、下層にCMOSまたはTFTの読出し集積回路(ROIC)と組み合わせた光検出器(PD)を含む。フォトダイオードは光検出器(PD)の主要なタイプであり、フォトダイオードを作るために使用される最も一般的な材料はケイ素である。
【0003】
近年、より高い感度、より広い波長範囲、および用途における価格-性能比を含む、より多くの要求に応えるために、有機光検出器、量子ドット光検出器、およびペロブスカイト光検出器などの次世代材料で作られたフォトダイオードが開発されている。新しい材料から作られたこれらのPDは、構造も従来のシリコンPDとは異なり、下から上に積層された複数の層によって製造される。
【0004】
上記の積層方法によって製造されたPDでは、完全な回路を形成するために第1の電極と第2の電極とが互いに接触することができず、さもなければ短絡が発生する。しかし、このようなタイプのPDは、シャドウマスク蒸着やダイレクトプリントなどのパターン定義方法では製造することができない。
【0005】
PDの基板全体に被覆を蒸着した後、PDの電極と外部配線との間の良好なオーム接触を達成するために、外部配線の接続部分を除去する必要がある。さもなければ、光検出器の直列抵抗が、増加し、さらに、PDが薄膜トランジスタ(TFT)アレイパネルまたは相補型金属-酸化物-半導体(CMOS)アレイパネルと一体化された後の光電流の生成に影響する。
【0006】
基板全体に被覆を蒸着した後、ビアホールが工程によって生成され、次いで、第2の電極が読出し回路上の接触パッドと接続されて、完全なダイオード回路を形成する。
【0007】
被覆の蒸着後に基板の表面にビアホールを生成するために、光活性材料と界面層材料の被覆後にフォトリソグラフィを行う。
【0008】
フォトリソグラフィに含まれる工程には、基板上へのフォトレジスト層(ポジ型フォトレジストまたはネガ型フォトレジスト)の塗布、露光(紫外線スペクトル領域で動作するエキシマレーザ)、および現像液中でのフォトレジストの溶解(現像)が含まれる。特定の光波は、基板の上方に配置されたマスクを照射し、フォトレジストは、光に選択的に露光される。そして、照射された領域のフォトレジストを現像液に溶解させる。
【0009】
次いで、フォトレジスト上に、マスク上のパターンを形成し、それに応じてエッチングプロセスを行う。上記の工程が完了した後、フォトリソグラフィ-フォトレジスト除去の最後の工程が行われ、次いで、第2の電極の蒸着が行われる。
【0010】
フォトレジスト材料および界面材料間の適合性(混和性、化学反応、およびフォトレジスト残留物など)、ならびに、エッチングに使用され、それぞれの層の材料に特有のパラメータ調整およびプラズマ選択はすべて、プロセス全体をより複雑にする。
【0011】
さらに、被覆、蒸着、ビアホールの生成、および次の第2の電極の蒸着のような、フォトリソグラフィに含まれる工程は、面倒で、時間がかかり、コストがかかる。シャドウマスク蒸着やダイレクトプリントなどのパターン定義方法で直接光活性層や界面層を形成できないダイオード構成要素については、上記のプロセスは実現不可能である。
【0012】
したがって、改善の余地があり、フォトレジスト被覆、ソフトベーク、露光、ハードベーク、現像、エッチングおよびフォトレジスト除去の工程によってビアホールを生成することなく完全なダイオード回路を形成する光電子半導体構造を提供する必要性がある。
【発明の概要】
【0013】
そこで、本発明の主たる目的は、特性、厚さを含む材料の仕様等の一定の条件を満たす場合に、電極とダイオードとの間に(ビアホールなしで)界面層や光活性層が存在しても、電極から注入される電流がトンネリングによってダイオードに入る光電子半導体構造を提供することである。したがって、構成要素は、電気損失を伴わずに正常に動作する。
【0014】
上記目的を達成するために、本発明による光電子半導体構造は、基板と、基板の上方に(上に)配置された第1の電極と、基板の上方に配置され、第1の電極の一方の側に配置される電極接点と、第1の電極および電極接点の上方に取り付けられ、第1の界面層および光活性層を備える半導体層と、半導体層の上方に配置され、半導体層を覆う第2の電極とを含む。光活性層は、第1の界面層の上方に配置されて第1の界面層を覆い、一方、第1の界面層の一方の側は、第1の電極および電極接点の上方に配置されて第1の電極および電極接点を覆う。光活性層が光源からエネルギーを吸収して励起子を生成した後、励起子は第1の担体と第2の担体とに分離される。第1の担体は第1の界面層を介して第1の電極に移動(移送)され、一方、第2の担体は、トンネル効果によって第2の電極から電極接点に直接移動される。
【0015】
好ましくは、基板は、ケイ素、ポリイミド、ガラス、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、サファイア、石英、またはセラミックから作られることができる。第1の電極については、金属酸化物、金属、または合金から作られる。
【0016】
好ましくは、電極接点のための材料は、金属酸化物、金属、および合金を含む。
【0017】
好ましくは、半導体層は、第1の電極および電極接点を取り囲む。
【0018】
好ましくは、第1の界面層は、金属酸化物、金属化合物、無機半導体薄膜、炭素系薄膜、有機半導体、および有機絶縁材料から作られ、1nm~99nmの第1の厚さT1を有する。
【0019】
好ましくは、光活性層のエネルギーギャップは、1.1eV~2eVである。
【0020】
好ましくは、光活性層は、1nm~2000nmの範囲の第2の厚さを有する。
【0021】
好ましくは、第2の電極は、金属酸化物、金属、導電性ポリマー、炭素系導体、金属化合物、および上記材料の組み合わせから、導電性薄膜の形態で作られる。
【0022】
好ましくは、さらに、半導体層は、光活性層の上方に取り付けられた第2の界面層を含み、光活性層は、第1の界面層と第2の界面層との間にクリップされる。
【0023】
好ましくは、第2の界面層は、金属酸化物、金属化合物、無機半導体薄膜、炭素系薄膜、有機半導体、および有機絶縁材料から作られ、1nm~99nmの第3の厚さを有する。
【0024】
上記および他の目的を達成するために本発明が採用した構造および技術的手段は、以下の好ましい実施形態の詳細な記述および添付図面を参照することによって最も良く理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1A】本発明に係る実施形態の構造を示す模式図である。
図1B】本発明に係る従来技術の構造を示す模式図である。
図2】本発明に係る実施形態における電流トンネル効果を示す模式図である。
図3】本発明に係る他の実施形態の構造を示す模式図である。
図4】本発明に係る実施形態の第2の厚さと暗電流との関連を示す模式図である。
図5】本発明に係る実施形態の第2の厚さと光電流との関連を示す模式図である。
図6】本発明に係る実施形態の第2の厚さと外部量子効率との関連を示す模式図である。
図7】本発明に係る実施形態の第2の厚さと外部量子効率との関連を示す模式図である。
図8】本発明に係る実施形態の第2の厚さと外部量子効率との関連を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の特徴および機能を理解するために、以下の実施形態および関連する図面を参照されたい。
【0027】
被覆の蒸着後に基板の表面にビアホールを生成するために、光活性材料と界面層材料の被覆後にフォトリソグラフィまたはレーザプロセスを行う。フォトリソグラフィを例にとると、第2の電極の蒸着は、フォトレジスト被覆、ソフトベーク、露光、ハードベーク、現像、エッチングおよびフォトレジスト除去の工程の後にのみ行われる。さらに、被覆、蒸着、ビアホールの生成、および次の第2の電極の蒸着の工程は、面倒で、時間がかかり、コストがかかる。シャドウマスク蒸着やダイレクトプリントなどのパターン定義法で直接光活性層や界面層を製造できないダイオード構成要素については、このような方法では製造できない。
【0028】
本発明においては、電極とダイオードとの間に(ビアホールなしで)界面層や光活性層が存在しても、材料の特性および厚さの変化によって、電極から注入される電流がトンネリングによってダイオードに入り、電気損失を伴わずに構成要素を正常に動作させることができる。また、半導体材料をエッチングおよびパターニングするための以下のプロセスで行われるフォトリソグラフィは、これ以上必要とされない。このように、本発明は、パターン定義方法では直接的に製造することができないダイオード構成要素の製造に適用することができる。
【0029】
関連する図面を参照して以下の実施形態を参照されたい。本発明には様々な実装があり、本発明を限定することは意図されていない。
【0030】
図1Aを参照すると、本発明による光電子半導体構造は、基板10と、第1の電極20と、電極接点30と、半導体層40と、第2の電極50とを含む。
【0031】
この実施形態では、第1の電極20は基板10の上方に配置され、電極接点30も基板10の上方に配置され、第1の電極20の一方の側に配置される。基板10は、ケイ素、ポリイミド、ガラス、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、サファイア、石英、またはセラミック等から作られることができる。第1の電極20および電極接点30の材料としては、金属酸化物、金属、および合金が挙げられる。
【0032】
この実施形態では、第1の界面層42および光活性層44を含む半導体層40が、第1の電極20および電極接点30の上方に取り付けられる。第1の界面層42は、金属酸化物、金属化合物、無機半導体薄膜、炭素系薄膜、有機半導体、および有機絶縁材料から作られ、1nm~99nmの範囲の第1の厚さT1を有する。第1の厚さT1は、100nm未満であり、80nmが好ましい。別の好ましい実施形態では、第1の厚さT1は、1nmから80nm未満である。
【0033】
さらに図1Aを参照すると、半導体層40は、第1の電極20および電極接点30を取り囲んでいる。図1Aに示すように、半導体層40の第1の界面層42の一方の側は、第1の電極20および電極接点30の上に配置されて第1の電極20および電極接点30を覆い、その結果、第1の電極20および電極接点30の周囲の間隙が半導体層40で満たされるようになっている。
【0034】
図1Aに示す実施形態では、光活性層44は、1nm~2000nmの範囲の第2の厚さT2を有し、300~1000nmが好ましい。
【0035】
光活性層44のエネルギーギャップは、1.1eV~2eVであり、2eVが好ましい。上記のエネルギーギャップは、半導体または絶縁体の伝導帯とバランス帯のエネルギーの差である。エネルギーギャップが満たされると、担体は、トンネリングによって半導体層40を介して移動され、これはいわゆるトンネル効果である。
【0036】
この実施形態では、第2の電極50は、半導体層40の上方に配置されて半導体層40を覆い、金属酸化物、金属、導電性ポリマー、炭素系導体、金属化合物、および上記材料の組み合わせから、導電性薄膜の形態で作られる。
【0037】
図1Bを参照すると、従来の半導体の構造が明らかになる。図1Bに示されるように、フォトレジスト被覆、ソフトベーク、露光、ハードベーク、現像、エッチング、フォトレジスト除去を含むフォトリソグラフィプロセスの工程によって、ビアホールVHが、半導体層40の上に形成され、第2の電極50と電極接点30との間に配置される。これにより、ビアホールVHを介して電極接点30に第2の電極50を蒸着することができる。しかしながら、このようなプロセスは面倒で、時間がかかり、コストがかかる。パターン定義方法で半導体層40が製造できないダイオード構成要素については、このプロセスは役に立たない。
【0038】
図2を参照すると、本発明の実施形態における電流トンネル効果を示す模式図が明らかになる。光活性層44が光源Lからエネルギーを吸収して励起子80を生成すると、励起子80は第1の担体82と第2の担体84とに分離される。第1の担体82は第1の界面層42を介して第1の電極20に移動され、一方、第2の担体84は、トンネル効果によって第2の電極50から電極接点30に直接移動される。トンネル効果によって、第2の担体84は半導体層40を直接貫通し、次いで、電極接点30に入る。第2の担体84を移動するためにVHは必要とされない。トンネル効果によって担体84の電気損失が生じないので、上述の半導体構造は、VHを有する従来の半導体と同量の能力を得る。また、処理プロセスが簡略化され、処理時間が短縮される。
【0039】
電極接点30に電流60が供給されると、半導体にトンネル効果が生じる。トンネル効果により生成されて半導体層40を貫通する第1のトンネル72によって、電流60が電極接点30から第2の電極50に供給される。次に、第2の担体84は第2の電極50および第1のトンネル72を通過し、次いで、電極接点30に移動される。
【0040】
上記のトンネル効果は、電荷が半導体層を直接通過できるように、半導体層の厚さが比較的薄いことを意味する。そして、厚さによって生成される抵抗は、構成要素全体において非常に小さく、その結果、構成要素の動作および性能は影響を受けない。
【0041】
さらに図2を参照すると、この実施形態では、ビアホールがないため、生成された担体は、ある厚さの半導体層40の存在下で依然として第2の電極50から電極接点30に移動され、次いで、第1の電極20と共に作用してダイオード回路を形成することができる。従来の構造(図1Bに示す)では、フォトレジスト被覆、ソフトベーク、露光、ハードベーク、現像、エッチング、フォトレジスト除去を含むフォトリソグラフィプロセスの工程によって、第2の電極50と電極接点30との間の半導体層40にVH(ビアホール)が形成される。これにより、VHを介して電極接点30に第2の電極50を蒸着することができる。しかしながら、このようなプロセスは、面倒で、時間がかかり、コストがかかる。対照的に、本実施形態は、ビアホールのエッチングなしで完全な回路を提供する。複雑なプロセスの複数の工程は省略され、その結果、コストおよび処理時間の両方が低減される。
【0042】
実施形態は、CMOSイメージセンサとTFTベースのイメージセンサの2つの一般的な技術を含む現在利用可能なイメージセンサに適用することができる。
【0043】
上述のイメージセンサの原理は、可視画像を構成するためにカメラレンズによる光捕獲をデジタルデータに変換する光検出器(PD)に基づいている。換言すれば、光検出器は、CMOSまたはTFTの上方に配置される。外部光源からの光がCMOSまたはTFTの上方の光検出器に到達すると、CMOSまたはTFTは光エネルギーを吸収して電子-正孔対を生成する。
【0044】
上記プロセスで生成された電子は浮遊拡散により電圧に変換される。その後、電圧がAD変換器(ADC)に転送され、デジタルデータに変換される。最後に、プロセッサを用いて、デジタルデータが可視画像に変換される。
【0045】
レンズやバイオチップなど、画像のダイナミクスや感度に対する要求がより高い製品では、CMOSイメージセンサが選択される。X線画像や人体の大面積指紋認識や静脈認識などの大面積イメージセンサに適用するときには、TFTベースのイメージセンサが用いられる。
【0046】
本発明により改善されたPDは、CMOSイメージセンサまたはTFTベースのイメージセンサに適用できる。PDの処理プロセスの工程が短縮され、PDの処理時間が短縮され、処理コストが低減される。
【0047】
図1Bに戻って、フォトリソグラフィは、従来の光半導体(上述のPD)製造において使用される。パターン化しようとする位置および面積を確認した後、ポジ型フォトレジストまたはネガ型フォトレジストを使用し、パターン化しようとする薄膜層状構造上に蒸着する。次いで、露光、現像、エッチング、フォトレジスト除去…等を含むいくつかの工程が、選択された位置で実行され、第2の電極50の領域の薄膜層状構造を除去する。こうして図1BのVH(ビアホール)が得られる。第2の電極50の蒸着は、貫通VHの形成後にのみ行うことができる。これにより、第2の電極50と電極接点30とが互いに接触し、ダイオード回路を形成する。
【0048】
上述したフォトリソグラフィは、複雑で手間が掛かるプロセスを有するだけでなく、処理においても低いフォールトトレランス率を有する。フォトリソグラフィの全体的な処理時間は、プロセスにおけるより多くの工程に起因して長い。これらはすべて、光電子半導体を製造する複雑で高価なプロセスにつながる。
【0049】
好ましい実施形態では、半導体層40の厚さは1nm~2000nmに調整される。したがって、厚さの変化によってトンネル効果が起こり、この結果、完全なダイオード回路が生じる。
【0050】
この完全な回路は、半導体層40内にビアホールを形成することなく提供されるので、複雑な処理プロセスが節約され、さらに、コストと処理時間の両方が低減される。
【0051】
図3を参照すると、別の実施形態が明らかになる。本実施形態の構成は、上記とほぼ同様である。この実施形態の違いは、この実施形態が、さらに、第2の界面層46を含むことである。図3に示すように、半導体層40は、さらに、光活性層44が第1の界面層42と第2の界面層46との間にクリップされるように、光活性層44の上方に配置された第2の界面層46を含む。
【0052】
本実施形態では、第2の界面層46は三酸化モリブデン(MoO)で作られ、1nm~99nmの第3の厚さT3を有し、80nmが好ましい。別の好ましい実施形態では、第3の厚さT3は80nm未満である。
【0053】
さらに、半導体層40が第1の界面層42および第2の界面層46を含む場合には、第1の界面層42および第2の界面層46の合計厚さは100nmよりも小さく、80nmが好ましい。別の実施形態では、合計厚さは80nm未満である。
【0054】
さらに、本発明による実施形態の技術的特徴の1つは、ビアホールがないことである。光活性層44が光源Lからエネルギーを吸収して励起子80を生成した後、励起子80から第1の担体82および第2の担体84が分離される。第1の担体82は第1の界面層42を介して第1の電極20に移動され、一方、第2の担体84は、従来の構造におけるVHを介さずに、トンネル効果によって第2の電極50から電極接点30に直接移動される。これにより、本構造の構成要素は良好に機能し、電気損失はない。以下は、第2の厚さT2の変化の影響を示す実験である。
【0055】
実験群Bの実験条件は以下の通りである:
1. 本光電子半導体構造の第2の厚さT2は、それぞれ、300nm、500nm、1000nm、1500nm、および2000nmに調整される。
2. ホールなし。
【0056】
以下は、対照群Aの実験条件である:
1. 本光電子半導体構造の第2の厚さT2は、それぞれ、300nm、500nm、1000nm、1500nm、および2000nmに調整される。
2. ホールあり。
【0057】
以下は、暗電流A/cm(-8Vにおいて)、光電流(-8Vにおいて)、および外部量子効率(EQE、-4V、および550nmの光源)を用いた実験群と対照群との対比である。
【0058】
図4を参照すると、一実施形態の第2の厚さの変化と暗電流の変化との関連を示す模式図が明らかになる。図に示すように、いわゆる暗電流とは、半導体内部に外部光子が入射していないときに負のバイアス電位を持って生成されるDC逆電流のことである。図4に示すA群は上記の対照群であり、B群は上記の実験群である。
【0059】
図4によれば、実験群(図4のB群)のそれぞれの厚さによって生成される暗電流は、対照群(図4のA群)の暗電流と同様であることが分かる。光活性層44の第2の厚さT2が300nmである場合、VHを含まない実験群はより低い暗電流を有し、これは、対照群よりも良好である。
【0060】
図5を参照すると、一実施形態の第2の厚さの変化と、光電流の変化との間の関連を示す模式図が明らかになる。本光電子半導体構造では、トンネル効果により第2の電極50と電極接点30とが互いに接触する。図5中のA群は上記の対照群であり、B群は上記の実験群である。
【0061】
これにより、第2の厚さT2は確かに光電流の伝導に影響を及ぼす。第2の厚さT2が大きいほど、光電流の伝導に対する抵抗は高くなる。したがって、光活性層44の第2の厚さT2が1500nmを超えると、光電流は著しく減少する。
【0062】
本発明による光電子半導体構造の光活性層44の厚さは、1nm~2000nmの範囲である。図5から、光活性層44の好ましい第2の厚さT2は1000nmであり、1nm~1000nmとすることができることが分かる。
【0063】
図6図7、および図8を参照すると、第2の厚さの変化と外部量子効率との間の関連を示す模式図が明らかになる。図に示すように、外部量子効率は、入射光によって生成されて光電子半導体構造によって収集される担体の数と、光電子半導体構造に入射する光子の数との比率である。図6図7、および図8でラベルされたA群は上記の対照群であり、B群は実験群である。
【0064】
図6図7図8に示された結果によれば、第2の厚さと外部量子効率の関係は、第2の厚さと上述の光電流の関係と同じ傾向を持つことが分かる。光電子半導体構造の光活性層44の厚さT2は1nm~2000nmの範囲であり、光活性層44の好ましい第2の厚さT2は、1000nmである。
【0065】
まとめると、電極と半導体層との間に(ビアホールなしで)界面層や光活性層が存在しても、半導体層の厚さの変化によって、電極からの電流がトンネリングによって半導体層に入る光電子半導体構造である。したがって、構成要素は正常に動作し、電気損失は発生しない。
【0066】
さらなる利点および修正は、当業者には容易に思い浮かぶであろう。したがって、本発明は、その広範な態様において、本明細書に示され説明される特定の詳細および代表的なデバイスに限定されない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその等価物によって定義されるような一般的な発明概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な修正を行うことができる。

図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8