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特開2023-81871マレイミドを含有するタイヤビード防護材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023081871
(43)【公開日】2023-06-13
(54)【発明の名称】マレイミドを含有するタイヤビード防護材
(51)【国際特許分類】
   B60C 1/00 20060101AFI20230606BHJP
   C08L 9/06 20060101ALI20230606BHJP
   C08L 7/00 20060101ALI20230606BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20230606BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20230606BHJP
   C08K 5/3415 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
B60C1/00 C
C08L9/06
C08L7/00
C08K3/04
C08K3/36
C08K5/3415
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022192557
(22)【出願日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】17/457,101
(32)【優先日】2021-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】513158760
【氏名又は名称】ザ・グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100104374
【弁理士】
【氏名又は名称】野矢 宏彰
(72)【発明者】
【氏名】ポール・ハリー・サンドストーム
(72)【発明者】
【氏名】ディルク・ロタール・マリア・ファン・エック
【テーマコード(参考)】
3D131
4J002
【Fターム(参考)】
3D131AA17
3D131BA02
3D131BA03
3D131BA05
3D131BA07
3D131BA08
3D131BA18
3D131BA20
3D131BB01
3D131BB03
3D131BB04
3D131BB05
3D131BB07
3D131BB09
3D131BC07
3D131BC36
3D131HA13
4J002AC01X
4J002AC06X
4J002AC08W
4J002DA036
4J002DJ017
4J002EU028
4J002FD016
4J002FD017
4J002FD148
4J002GN01
(57)【要約】
【課題】樹脂の特性を損なうことなく樹脂の特性を与える代替材料を提供すること。
【解決手段】空気入りタイヤに組み込むためのビード部材は、ビードワイヤーと、ビードワイヤーを取り囲むため、および/または防護するためのゴムコンパウンドとを含む。ゴムコンパウンドは、100重量部のゴムエラストマー(phr)を基準として、(1)0~100phrの少なくとも1種のスチレン-ブタジエンゴム(SBR);(2)天然ゴムまたは合成ポリイソプレンからなる群から選択される、0~100phrのポリイソプレンゴム;(3)80~150phrのカーボンブラック;(4)0~50phrのシリカ;(5)0.5~5phrのN,N’-m-フェニレンビスマレイミドを含み、(6)任意で、樹脂を含まなくてよい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤに組み込むためのビード部材であって、前記ビード部材が
(A)ビードワイヤー、ならびに
(B)前記ビードワイヤーを取り囲むため、および/または防護するためのゴムコンパウンド
を特徴とし、
前記ゴムコンパウンドが100重量部のエラストマー(phr)を基準として、
(1)0~100phrの少なくとも1種のスチレン-ブタジエンゴム(SBR)、
(2)天然ゴムまたは合成ポリイソプレンからなる群から選択される、0~100phrのポリイソプレンゴム、
(3)80~150phrのカーボンブラック、
(4)0~50phrのシリカ、および
(5)0.5~5phrのN,N’-m-フェニレンビスマレイミド
を特徴とし、
前記ゴムコンパウンドから任意で樹脂が除外されていてよい、
タイヤに組み込むためのビード部材。
【請求項2】
前記SBRが乳化重合(ESBR)されたものであることを特徴とする、請求項1に記載のタイヤビード部材。
【請求項3】
前記ゴムコンパウンドが115~125phrのカーボンブラックを含むことを特徴とする、請求項1に記載のタイヤビード部材。
【請求項4】
前記カーボンブラックが65~90nmの間の範囲内の厚さ表面積によって特徴づけられることを特徴とする、請求項1に記載のタイヤビード部材。
【請求項5】
前記カーボンブラックがグレードN326であることを特徴とする、請求項1に記載のタイヤビード部材。
【請求項6】
(1)70~80phrの前記スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、および
(2)20~30phrの前記ポリイソプレンゴム
によって特徴づけられる、請求項1に記載のタイヤビード部材。
【請求項7】
前記ゴムコンパウンドで、樹脂が部分的または完全にマレイミドで置き換わっていることを特徴とする、請求項1に記載のタイヤビード部材。
【請求項8】
前記マレイミドがN,N’-m-フェニレンビスマレイミドであることを特徴とする、請求項7に記載のタイヤビード部材。
【請求項9】
前記ゴムコンパウンドから反応性フェノールホルムアルデヒド樹脂が除かれていることを特徴とする、請求項1に記載のタイヤビード部材。
【請求項10】
前記ゴムコンパウンドからあらゆる樹脂が除外されていることを特徴とする、請求項1に記載のタイヤビード部材。
【請求項11】
ビードワイヤーと接触するための加硫性のゴム組成物であって、100重量部のエラストマー(phr)を基準として、
(A)50~100phrの少なくとも1種のスチレン-ブタジエンゴム(SBR)と、
(B)任意で、SBRと相対的に半量未満の第2のゴムと、
(C)100~150phrのカーボンブラックと、
(D)0~30phrのシリカと、
(E)0.5~5phrのマレイミドと
によって特徴づけられ、
ここで、前記ゴム組成物からフェノールホルムアルデヒド樹脂が除外される、
ゴム組成物。
【請求項12】
前記マレイミドがN,N’-m-フェニレンビスマレイミドであることを特徴とする、請求項11に記載のゴム組成物。
【請求項13】
前記第2のゴム組成物が0~50phrのポリイソプレンを含むことを特徴とする、請求項11に記載のゴム組成物。
【請求項14】
前記ゴム組成物からあらゆる樹脂がさらに除外されていることを特徴とする、請求項11に記載のゴム組成物。
【請求項15】
前記SBRが乳化重合SBR(ESBR)であることを特徴とする、請求項11に記載のゴム組成物。
【請求項16】
SBR対前記第2のゴムの比がphrで3:1であることを特徴とする、請求項11に記載のゴム組成物。
【請求項17】
前記カーボンブラックが115~125phrの間であることを特徴とする、請求項11に記載のゴム組成物。
【請求項18】
前記ゴム組成物がビード部材のワイヤービードを取り囲むため、および/または防護するためのものであることを特徴とする、請求項11に記載のゴム組成物。
【請求項19】
前記ビード部材が空気入りタイヤに組み込むためのものであることを特徴とする、請求項18に記載のゴム組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、タイヤビード防護用のゴムコンパウンドに関し、特にそれに関連して説明される。しかし、本発明の例示的な実施形態は、他のゴム製品への組み込みおよび同様の用途に適していることを認識するべきである。
【背景技術】
【0002】
[0002]タイヤはいくつかの成分の複合材であり、各々が特定の目的を有するが所望の性能を得るように共に機能する。一部のタイヤは、ビードワイヤーもしくはコードを取り囲む、および/またはビードワイヤー間もしくはコード間に散在するゴム状ビード防護材を含む、ビード部材を含有する。ビードワイヤーへのビード防護材の接着性はタイヤの耐久性を実現するのに役立つ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6,936,669号
【特許文献2】米国特許第7,981,966号
【特許文献3】米国特許第8,217,103号
【特許文献4】米国特許第8,569,409号
【特許文献5】米国特許第5,064,901号
【特許文献6】米国特許第6105646号
【特許文献7】米国特許第6302175号
【特許文献8】米国特許第6447905号
【特許文献9】米国特許第6840297号
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Journal of the American Chemical Society、60巻、304頁(1930)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[0003]接着性を与えるために、典型的にはビード防護材に使用されるゴム組成物にはイン・サイチュin樹脂が含まれる。しかし、特定の樹脂(例えばフェノールホルムアルデヒド樹脂など)はそのような材料の環境への影響のために望ましくないものとなりつつある。コンパウンドから樹脂が除去されると必要な剛性が失われることになる。そのため、樹脂の特性を損なうことなく樹脂の特性を与える代替材料が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[0004]本発明は、タイヤに組み込むためのビード部材に向けたものである。ビード部材は、
(A)ビードワイヤーと、
(B)ワイヤーを取り囲むおよび/または防護するためのゴムコンパウンドと
を含む。ゴムコンパウンドは、100重量部のエラストマー(phr)を基準として、
(1)0~100phrの少なくとも1種のスチレン-ブタジエンゴム、
(2)天然ゴムまたは合成ポリイソプレンからなる群から選択される、0~100phrのポリイソプレンゴム、
(3)80~150phrのカーボンブラック、
(4)0~50phrのシリカ、
(5)0.5~5phrのN,N’-m-フェニレンビスマレイミド、
を含み、
(6)任意で樹脂を含まなくてよい。
【0007】
[0005]本開示の別の実施形態は、100重量部のエラストマー(phr)を基準として、
(1)50~100phrの少なくとも1種のスチレン-ブタジエンゴム(SBR)と、
(2)任意でSBRに対して半量未満の第2のゴムと、
(3)100~150phrのカーボンブラックと、
(4)0~30phrのシリカと、
(5)0.5~5phrのマレイミドと
を含む、ビードワイヤーを防護するための加硫性ゴム組成物であって、
ここで、前記ゴム組成物からフェノールホルムアルデヒド樹脂が除外される、
加硫性ゴム組成物に向けたものである。
【0008】
[0006]一実施形態において、ゴム組成物は空気入りタイヤのビード部材で使用するためのものである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0007]本開示は、空気入りタイヤのビード部材のための防護用ゴムコンパウンドに関するが、そのように限定されない。本明細書で使用する場合、「ビード部材」は、ビードコア、ビードフィラー、ビードワイヤー、およびビード防護材を含む。ビードフィラーは、ビードエイペックスと呼ばれることがあり、カーカスプライおよびビードコアにより取り囲まれている。1つまたは複数の実施形態において、ビードコアは少なくとも1種の非伸張性材料を含む。非伸張性材料の例としては、コイル状ゴム引き鋼ワイヤー、コイル状高弾性率有機コード、例えば芳香族ポリアミド繊維コード、巻きテープ様材料などが挙げられる。一実施形態において、ビードコアは、ゴム製品を強化するように、平行または十字のメッシュ配向のいずれかで配向された1本または複数のワイヤーを含む。ビード防護材はコードを取り囲んでいてもよく、および/またはコード間に散在していてもよい。1つまたは複数の実施形態において、ビード防護材は、ビードワイヤーに接着するゴムコンパウンド(本明細書において「ビード防護用コンパウンド」とも呼ばれる)から形成される。ビード防護用コンパウンドのこの特性はビードワイヤー接着性と呼ばれることもある。
【0010】
[0008]1つまたは複数の実施形態において、ビード防護用コンパウンドは、樹脂を含むまたは樹脂を含まないビード防護用コンパウンドと比較した場合に改善されたビードワイヤー接着性によって特徴づけられ得る。
【0011】
[0009]本明細書で使用する場合、「ゴム」および「エラストマー」という用語は別途定めがない限り交換可能に使用されてもよい。「ゴム組成物」、「配合ゴム」、および「ゴムコンパウンド」という用語は、様々な成分および材料とブレンドまたは混合されたゴムを指すのに交換可能に使用され、そのような用語はゴム混合またはゴム配合の技術分野の当業者に周知である。
【0012】
[00010]文脈上他の解釈を必要とする場合を除いて、本明細書で使用する場合、「含む(comprise)」という用語およびその用語の変形語、例えば「含んでいる(comprising)」、「含む(comprises)」、および「含まれた(comprised)」は、さらなる添加剤、成分、整数、または工程を除外することを意図しない。
【0013】
[00011]タイヤに組み込むためのビード部材が本明細書で開示される。ビード部材は、
(A)ビードワイヤーと、
(B)ビードワイヤーを取り囲むおよび/または防護するゴムコンパウンドであって、100重量部のエラストマー(phr)を基準として、
(1)0~100phrの少なくとも1種のスチレン-ブタジエンゴム、
(2)天然ゴムまたは合成ポリイソプレンからなる群から選択される0~100phrのポリイソプレンゴム、
(3)80~150phrのカーボンブラック、
(4)0~50phrのシリカ、
(5)0.5~5phrのN,N’-m-フェニレンビスマレイミド、
を含み、
(6)任意で樹脂を含まなくてよい、
ゴムコンパウンドと
を含む。
【0014】

ゴムエラストマー
[00012]開示されるゴムコンパウンドの1つまたは複数の実施形態は1種のゴムポリマーのみを含む。開示されるゴムコンパウンドの他の実施形態は、少なくとも2種のゴムのブレンドを含む。
【0015】
[00013]1つの企図される実施形態において、ゴムポリマーは少なくともスチレン-ブタジエンゴムを含む。別の実施形態において、スチレンブタジエンゴムはゴムコンパウンドにおいて採用される唯一のポリマーである。スチレン/ブタジエンコポリマーとしては、水性乳化重合および有機溶媒溶液重合により調製されるものが挙げられる。
【0016】
[00014]実際には、乳化重合により得られるスチレン/ブタジエン(E-SBR)が使用されてもよい。乳化重合により調製されるE-SBRとは、スチレンおよび1,3-ブタジエンが水性エマルションとして共重合されることを意味する。そのようなものはそのような技術分野の当業者に周知である。結合スチレン含有率は、例えば約5~約50パーセントで様々であってもよい。E-SBRが中程度から比較的高い結合スチレン含有率を有する、すなわち30パーセントを超える、例えば単に例として約30~約50パーセントの結合スチレン含有率を有する実施形態が企図される。本発明の別の態様において、中程度から比較的低い結合スチレン含有率を有する、すなわち30パーセント未満、例えば単に例として約5~約25パーセントの結合スチレン含有率を有するE-SBRが使用されてもよい。
【0017】
[00015]一態様において、E-SBRは、E-SBARのようなターポリマーゴムを形成するように、例えばターポリマー中の約2~約30重量パーセントの結合アクリロニトリルの量でアクリロニトリルも含有してもよい。
【0018】
[00016]コポリマー中に約2~約40重量パーセントの結合アクリロニトリルを含有する、乳化重合により調製されるスチレン/ブタジエン/アクリロニトリルコポリマーゴムも、本発明で使用するためのジエン系ゴムとして企図される。
【0019】
[00017]典型的には約9~約36パーセントの範囲で結合スチレン含有率を有する、溶液重合により調製されるSBR(S-SBR)も企図される。しかし、好ましい実施形態において、S-SBRは30パーセントを超える、より好ましくは34%を超える結合スチレン含有率を有する。
【0020】
[00018]S-SBRは便宜上、例えば有機炭化水素溶媒の存在下で有機リチウム触媒により調製され得る。
[00019]企図される実施形態において、SBRは一対のエラストマーにおける1種または少なくとも3種もしくはそれを超えるエラストマーにおける1種であってもよい。そのような実施形態において、SBRは過半量のエラストマー部分を構成し、第2のおよび他のエラストマーは半量未満のエラストマー部分を構成する。SBRは約50phr以上の量でゴム組成物中に存在してもよい。さらに別の例において、SBRは約50phr~約100phr、より好ましくは、約65phr~約85phrの量で存在してもよい。したがって、ゴム組成物中の第2のエラストマーおよび各々のさらなるエラストマーは任意で合わせて50phr以下の量で存在してもよい。
【0021】
[00020]一実施形態において、一対の少なくとも2種のジエンエラストマーにおいて1種のエラストマーのみがスチレンおよびブタジエンに由来する。他の共役ジエン系エラストマーの代表例としては、cis1,4-ポリイソプレン(天然および合成)、cis1,4-ポリブタジエン、約15~約90パーセントの範囲のビニル1,2-含有率を有する中ビニルポリブタジエン、イソプレン/ブタジエンコポリマー、およびスチレン/イソプレン/ブタジエンターポリマーのうちの少なくとも1種で構成されるエラストマーが挙げられる。
【0022】
[00021]一実施形態において、cis1,4-ポリブタジエンゴム(BR)が使用されてもよい。そのようなBRは、例えば1,3-ブタジエンの有機溶液重合により調製されてもよい。BRは便宜上、例えば少なくとも90パーセントのcis1,4-含有率を有することにより特徴づけられ得る。
【0023】
[00022]cis1,4-ポリイソプレンおよびcis1,4-ポリイソプレン天然ゴムはゴムの技術分野の当業者に周知である。実際に、第2のゴムポリマーとしてはポリイソプレンを挙げることができる。一実施形態において、ポリイソプレンは少量で存在してもよい。別の実施形態において、ポリイソプレンは過半量で存在してもよい。特定の実施形態において、ポリイソプレンはゴムコンパウンドにおいて採用される唯一のポリマーであってもよい。実際には、好ましいゴムまたはエラストマーはポリイソプレン(天然または合成)をいくらかの量で含む。
【0024】
[00023]代表的な合成ポリマーは、ブタジエンならびにその同族体および誘導体、例えばメチルブタジエン、ジメチルブタジエン、およびペンタジエンの単独重合生成物、ならびにコポリマー、例えばブタジエンまたはその同族体もしくは誘導体と他の不飽和モノマーから形成されるものである。
【0025】
[00024]後者に含まれるのは、アセチレン、例えばビニルアセチレン;オレフィン、例えばイソプレンと共重合してブチルゴムを形成するイソブチレン;ビニル化合物、例えばアクリル酸、ブタジエンと重合してNBRを形成するアクリロニトリル、メタクリル酸、およびスチレン(後者の化合物はブタジエンと重合してSBRを形成する)、ならびにビニルエステルおよび様々な不飽和アルデヒド、ケトン、およびエーテル、例えばアクロレイン、メチルイソプロペニルケトン、およびビニルエチルエーテルである。
【0026】
[00025]合成ゴムの具体例としては、ネオプレン(ポリクロロプレン)、ポリブタジエン(cis-1,4-ポリブタジエンを含む)、ポリイソプレン(cis-1,4ポリイソプレンを含む)、ブチルゴム、ハロブチルゴム、例えばクロロブチルゴムまたはブロモブチルゴム、スチレン/イソプレン/ブタジエンゴム、1,3-ブタジエンまたはイソプレンとスチレン、アクリロニトリル、およびメチルメタクリラートなどのモノマーとのコポリマー、ならびにエチレン/プロピレン/ジエンモノマー(EPDM)としても知られるエチレン/プロピレンターポリマー、特に、エチレン/プロピレン/ジシクロペンタジエンターポリマーが挙げられる。使用されてもよいゴムのさらなる例としては、アルコキシ-シリル末端官能化された溶液重合ポリマー(SBR、PBR、IBR、およびSIBR)、ケイ素カップリングおよびスズカップリング星型分岐ポリマーが挙げられる。
【0027】
[00026]一実施形態において、ゴム組成物中のジエンエラストマーは官能化されていない。別の実施形態において、少なくとも1種のジエンエラストマーはシリカフィラーと反応するように官能化されている。官能化エラストマーの代表は例えば、
(A)前記沈降シリカ上のヒドロキシル基と反応性であるアミン官能基、
(B)前記沈降シリカ上のヒドロキシル基と反応性である、末端鎖シロキシ基を含むシロキシ官能基、
(C)前記沈降シリカ上のヒドロキシル基と反応性であるアミンおよびシロキシ官能基の組合せ、
(D)前記沈降シリカ上のヒドロキシル基と反応性であるチオールおよびシロキシ(例えばエトキシシラン)官能基の組合せ、
(E)前記沈降シリカ上のヒドロキシル基と反応性であるイミンおよびシロキシ官能基の組合せ、ならびに
(F)前記沈降シリカと反応性であるヒドロキシル官能基
で構成される1つまたは複数の官能基を含有するスチレン/ブタジエンエラストマーである。
【0028】
[00027]官能化エラストマーに関して、アミン官能化SBRエラストマーの代表は、例えば、米国特許第6,936,669号で挙げられる鎖内官能化SBRエラストマーである。
【0029】
[00028]エラストマーに接続された1つまたは複数のアミノ-シロキシ基を有するアミノ-シロキシ官能化SBRエラストマーの組合せの代表は、例えばJSR社のHPR355(商標)および米国特許第7,981,966号で挙げられるアミノ-シロキシ官能化SBRエラストマーである。
【0030】
[00029]シラン-スルフィド基で末端官能化された代表的なスチレン/ブタジエンエラストマーは、例えば米国特許第8,217,103号および第8,569,409号で挙げられる。
【0031】
[00030]有機溶媒重合により調製されるスズカップリングエラストマー、例えばスズカップリングスチレン/ブタジエンコポリマーなども使用されてもよい。
[00031]例えば有機溶媒溶液中でのスチレン/1,3-ブタジエンモノマー共重合反応中に、通常は重合反応の終了時または終了間近の時点でスズカップリング剤を導入することにより、スチレン/ブタジエンのスズカップリングコポリマーが調製されてもよい。スチレン/ブタジエンコポリマーのそのようなカップリングはそのような技術分野の当業者に周知である。
【0032】
[00032]実際には、スズカップリングエラストマー中の少なくとも50パーセント、より一般には約60~約85パーセントの範囲のSn(スズ)結合がスチレン/ブタジエンコポリマーのブタジエン単位に結合してブタジエニル結合などのSn-ジエニル結合を生成することが通常は好ましい。
【0033】
[00033]スズ-ジエニル結合の生成は、例えば共重合系へのブタジエンの逐次的な添加、または共重合のためのスチレンおよび/もしくはブタジエンの反応性比を変化させる改質剤の使用などの、いくつかの方法によって実現され得る。そのような技術は、バッチ共重合系と共に使用されるのであれ連続共重合系と共に使用されるのであれ、そのような技術分野の当業者に周知であると考えられる。
【0034】
[00034]様々なスズ化合物、特に有機スズ化合物がエラストマーのカップリングに使用されてもよい。そのような化合物の代表は、例えば、アルキルスズトリクロリド、ジアルキルスズジクロリドであり、スズカップリングスチレン/ブタジエンコポリマーエラストマーの変異体をもたらすが、単にスズ末端コポリマーをもたらすことになるトリアルキルスズモノクロリドが使用されてもよい。
【0035】
[00035]スズ修飾、またはスズカップリングスチレン/ブタジエンコポリマーエラストマーの例は、例えば米国特許第5,064,901号で見出されるが、それに限定することを意図されない。
【0036】


[00036]ゴム組成物は0phr~約50phr、より好ましくは、約0~30phrのプロセス油を含んでいてもよい。一実施形態において、ゴム組成物はプロセス油を除外する。プロセス油は、典型的にはエラストマーを伸展するのに使用される伸展油としてゴム組成物中に含まれてもよい。プロセス油はまた、ゴム配合中に直接油を加えることによりゴム組成物中に含まれてもよい。使用されるプロセス油としては、エラストマー中に存在する伸展油と、配合中に加えられるプロセス油の両方が挙げられる。適切なプロセス油としては、芳香族、パラフィン系、ナフテン系、および低PCA油、例えばMES、TDAE、および重ナフテン油、植物油、例えばヒマワリ、大豆、およびサフラワー油、ならびに脂肪酸モノエステルを含む、当技術分野において公知であるような様々な油が挙げられる。
【0037】

マレイミド
[00037]本開示の重要な態様は、ゴム組成物へのマレイミドの添加である。ゴム組成物は約0.5phr~約5phr、より好ましくは約1~約3phrのマレイミドを含む。好ましい実施形態において、マレイミドはN,N’-m-フェニレンビスマレイミド(phenylenediamaleimide)であるが、その他のものも企図される。いくつかの実施形態において、この添加剤は剛性を向上させるのに使用され得る。
【0038】
[00038]独自には、イン・サイチュ(すなわちその場で反応性である)樹脂および他の非反応性樹脂などの(強化用)樹脂は部分的にまたは完全に加硫性ゴム組成物から除外される。そのようなイン・サイチュ樹脂は典型的にはゴム組成物において使用され、メチレンアクセプターおよびメチレンドナーの反応を伴う。
【0039】
[00039]そのような除外されるメチレンアクセプターは、(限定されないが)レゾルシノール、レゾルシノール誘導体、一価フェノールおよびそれらの誘導体、二価フェノールおよびそれらの誘導体、多価フェノールおよびそれらの誘導体、未改質フェノールノボラック樹脂、改質フェノールノボラック樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂、レゾルシノールノボラック樹脂、ならびにそれらの混合物である。
【0040】
[00040]そのような除外されるメチレンドナーは、(限定されないが)ヘキサメチレンテトラアミン、ヘキサメトキシメチルメラミン(HMMM)、ヘキサエトキシメチルメラミン、イミノ-メトキシメチルメラミン、イミノ-イソブトキシメチルメラミン、ラウリルオキシメチルピリジニウムクロリド、エトキシメチルピリジニウムクロリド トリオキサンヘキサメトキシメチルメラミン、およびN-置換オキシメチルメラミンである。
【0041】
[00041]ゴム組成物において使用されてもよいそのような非反応性樹脂は、(限定されないが)クマロン-インデン樹脂、石油系炭化水素樹脂、テルペンポリマー、スチレン-アルファメチルスチレン樹脂、テルペンフェノール樹脂、ジシクロペンタジエン(dicyclopentiadiene)樹脂、C5樹脂、C9樹脂、C5/C9樹脂、ロジン由来樹脂、ならびにそれらのコポリマーおよび/または混合物である。
【0042】

フィラー
[00042]加硫性ゴム組成物は、約80~約150phrのカーボンブラック、より好ましくは約100phr~約130phrのカーボンブラックを含む。一般に採用されるカーボンブラックは従来のフィラーとして使用され得る。そのようなカーボンブラックの代表例としては、N110、N121、N134、N220、N231、N234、N242、N293、N299、S315、N326、N330、M332、N339、N343、N347、N351、N358、N375、N539、N550、N582、N630、N642、N650、N683、N754、N762、N765、N774、N787、N907、N908、N990、およびN991が挙げられる。これらのカーボンブラックは9~145g/kgの範囲のヨウ素吸収および34~150cm/100gの範囲のDBP数を有する。
【0043】
[00043]実際には、開示される組成物は、約65~90nmの間の範囲の厚さ表面積によってさらに特徴づけられる、グレードN326のカーボンブラックを含んでいてもよい。
【0044】
[00044]加硫性ゴム組成物は任意で最大50phrのシリカおよび/または他のフィラー材料を含んでいてもよい。ゴムコンパウンドにおいて使用されてもよい、一般的に採用されるシリカ質顔料としては、従来の焼成および沈降シリカ質顔料(シリカ)が挙げられるが、沈降シリカが好ましい。本発明で好ましくは採用される従来のシリカ質顔料は、沈降シリカ、例えば、可溶性ケイ酸塩、例えばケイ酸ナトリウムの酸性化により得られるものなどである。そのような従来のシリカは、例えば窒素ガスを使用して測定される、好ましくは約40~約600の範囲、より一般的には1グラム当たり約50~約300平方メートルの範囲のBET表面積を有することにより特徴づけられ得る。表面積を測定するBET法は、Journal of the American Chemical Society、60巻、304頁(1930)に記載される。従来のシリカは典型的には、約100~約400、より一般的には約150~約300の範囲のジブチルフタレート(DBP)吸収値を有することによっても特徴づけられ得る。従来のシリカは、電子顕微鏡で測定される、例えば0.01~0.05ミクロンの範囲の平均極限粒径を有することが予測され得るが、シリカ粒子は、さらにサイズがより小さいかまたは場合によりサイズがより大きくてもよい。
【0045】
[00045]様々な市販のシリカ、例えば単に本明細書における例として、限定されないが、210、243、315などの名称を有するHi-Silの商標名でPPG Industries社から市販されているシリカ;例えばZ1165MPおよびZ165GRの名称を有するSolvay社から入手可能なシリカ、ならびに例えばVN2およびVN3などの名称を有するEvonik社から入手可能なシリカが使用されてもよい。
【0046】
[00046]ゴムコンパウンドは、ビード部材の所望の特性をさらに向上させるために当技術分野において公知である他の材料を含有していてもよい。ゴム組成物は、ゴム配合の技術分野で一般に公知である方法により、例えば様々な硫黄加硫性の構成成分のゴムと、ビード防護材の製造の技術分野において慣例的である様々な一般に使用される添加剤材料とを混合することにより配合されることが、当業者により容易に理解される。
【0047】
[00047]加硫性ゴム組成物は硫黄ドナーを含んでいてもよい。硫黄ドナーの代表例としては、元素硫黄(遊離硫黄)、アミンジスルフィド、ポリマーポリスルフィド、および硫黄オレフィン付加体が挙げられる。好ましくは、硫黄加硫剤は元素硫黄である。硫黄加硫剤は2~10phrの範囲の量で使用されてもよく、3~8phrの範囲が好ましい。
【0048】
[00048]促進剤は、加硫に必要な時間および/または温度を制御し加硫物の特性を改善するのに使用される。一実施形態において、単一の促進剤系、すなわち、一次促進剤が使用されてもよい。一次促進剤は約0.2~約2、好ましくは約1.4~約1.7phrの範囲の総量で使用されてもよい。別の実施形態において、一次および二次促進剤の組合せが使用されてもよく、加硫物の特性を活性化させ改善するために、二次促進剤は約0~約0.5phrなどのより少ない量で使用される。好ましくは、一次促進剤は、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(CBS)などのスルフェンアミドである。好ましくは、二次促進剤は亜鉛ジメチルジチオカルバメート、亜鉛ジベンジルジチオカルバメート、またはジフェニルグアニジンである。
【0049】
[00049]他の公知の硬化剤は従来の量で使用されてもよい。
[00050]ゴム組成物の混合は、ゴム混合の技術分野の当業者に公知の方法により実現され得る。例えば、成分は典型的には少なくとも2段階で、すなわち少なくとも1つの非生産的(ノンプロダクティブ)段階とそれに続く生産的(プロダクティブ)混合段階において混合される。硫黄加硫剤を含む最終硬化剤は典型的には、先行する非生産的混合段階の混合温度よりも低い温度、または極限温度で混合が起こる、従来から「生産的」混合段階と呼ばれる最終段階において典型的には混合される。「非生産的」および「生産的」混合段階という用語は、ゴム混合の技術分野の当業者に周知である。ゴム組成物は熱機械的混合工程に供されてもよい。熱機械的混合工程は一般に、140℃~190℃の間のゴム温度を作り出すのに適切な一定時間の間、混合機または押出機における機械的加工を含む。熱機械的加工の適切な時間は運転条件ならびに成分の体積および性質の関数として変動する。例えば、熱機械的加工は1~20分であってもよい。
【0050】
[00051]本発明の空気入りタイヤの加硫は一般に約100℃~200℃の範囲の従来の温度で行われる。好ましくは、加硫は約110℃~180℃の範囲の温度で行われる。プレスまたは金型での加熱、過熱蒸気または高温空気による加熱などの、通常の加硫方法のいずれかが使用されてもよい。そのようなタイヤは、そのような技術分野の当業者に公知であり容易に分かることになる様々な方法によって、作製、成形、成型、および硬化され得る。
【0051】
[00052]上記で開示されるように、ビードゴム組成物は空気入りタイヤのビード部材に組み込まれてもよい。タイヤはそのような技術分野の当業者に容易に分かることになる様々な方法によって、作製、成形、成型、および硬化され得る。
【0052】
[00053]本発明の空気入りタイヤは、レース用タイヤ、乗用車用タイヤ、航空機用タイヤ、農業用、土木機械用、オフロード用、トラック用タイヤなどであってもよい。好ましくは、タイヤは乗用車用またはトラック用タイヤである。タイヤはまたラジアルまたはバイアスであってもよく、ラジアルが好ましい。
【0053】
[00054]ビードコアのサイズも、例えばタイヤの種類および積載量に応じて変動し得る。ビード部材に使用されるビードワイヤーの断面形状にも本明細書において制限はない。これは正方形、円形、三角形、扁平、またはいかなる他の形状であってもよい。ビードが使用されるタイヤの種類に応じて、いかなる数のビードワイヤーも使用され得る。ビードワイヤーはいくつかの異なる種類のものであってもよい。特定の実施形態において、ワイヤーまたは金属は、青銅、真鍮、銅、または他の金属などの適合可能な金属でめっきされていてもよい。ワイヤーまたは金属は鋼または他の材料であってもよい。一実施形態において、ビードワイヤーは銅、真鍮、または青銅でめっきされた鋼ワイヤーを含む。ワイヤーは、強化されているゴム製品の種類に応じて直径が幅広く変動してもよい。一実施形態において、ワイヤーの直径は約0.005~最大約3/16インチである。様々なタイヤビードが米国特許第6105646号、第6302175号、第6447905号、および第6840297号に記載され、それらのすべてが参照により本明細書に組み込まれる。
【0054】
[00055]1つまたは複数の実施形態において、ビードコアはビードコアカバーで覆われてもよく、これはビードワイヤーとカーカスプライとの直接的な接触を防ぐための繊維布および/またはゴム層を含んでいてもよい。他の実施形態において、ビードコアは部分的にのみ覆われてもよい。カバーはビードコアの全表面を覆うように単層または多層でビードコアのまわりに巻き付けられてもよい。一実施形態において、ビード部材は2つ以上のビードコアを含んでいてもよい。
【0055】
[00056]本発明は以下の実施例を参照することにより、より良く理解され得、ここでは部およびパーセンテージは別段の指定がない限り重量による。
【実施例0056】
[実施例1]
[00057]この実施例では、イン・サイチュ樹脂の代わりとなるm-フェニレンビスマレイミドと組み合わせた高添加量のカーボンブラックを含むコンパウンドについて、ゴムコンパウンドの性能に対する効果が例証される。表1のレシピにしたがって実験室用バンバリーミキサーで4種の実験ゴムコンパウンドを調製し、すべてのコンパウンドは変動させた量の樹脂および/またはm-フェニレンビスマレイミド、その他には同一の量の添加剤を従来の量で含有する。コンパウンドの物理特性を表2に示すように評価した。
【0057】
[00058]従来の強化用樹脂を使用して対照ゴムコンパウンドを対照試料Aとして調製した。
[00059]実験Bに関しては、樹脂を省くように対照Aを改質した。
【0058】
[00060]実験試料CおよびDに関しては、m-フェニレンビスマレイミドを異なる量で加えてコンパウンドBを改質し、樹脂が存在しない。
[00061]基本的配合は以下の表1に例証され、これは100重量部のエラストマー当たりの部(phr)で表される。
【0059】
【表1】
【0060】
[00062]対照試料Aおよび実験試料B~Dの様々な硬化ゴム特性が以下の表2に報告される。
【0061】
【表2】
【0062】
[00063]表2に見られるように、ゴムコンパウンドC(m-フェニレンビスマレイミドと組み合わせた高カーボンブラック含有率を使用する)の全体的な性能特性は対照Aの性能特性と遜色なかった。
【0063】
[00064]実験コンパウンドCは対照Aを上回る改善された剛性を示す。これは1%および10%でのより高いRPA剛性値により示され、このことは好ましく、開示されるコンパウンドがフープ剛性を維持しタイヤが動いている時のビード束におけるワイヤーの動きを防ぐことになることを示す。対照的に、対照コンパウンドAから除去された樹脂を有する実験コンパウンドBは、ビード防護用コンパウンドにとって重要な特性である、1%および10%での剛性の著しい低下を示す。実験コンパウンドDも対照Aと比較すると著しく改善されたG’(1%における)を示す。
【0064】
[00065]実験コンパウンドCは、応力/歪み測定により測定される、わずかに高い弾性率特性も示す。タンジェントデルタのこのRPA値も、実験コンパウンドCが対照Aと同等のヒステリシス(または転がり抵抗性能)を有することを示す。
【0065】
[00066]実験コンパウンドCはさらに、82の引裂き値を有する対照Aと比較して、100℃で測定されるわずかに低い引裂き(61)を示す。
[00067]実験コンパウンドCはまた、23℃でSBAT(青銅コーティングビードワイヤーへの接着性)により測定される、およびエージング後に95℃でSBATにより測定される、対照Aと同等のビードワイヤー接着性も示した。対照コンパウンドAから除去された樹脂を有する実験コンパウンドBはまた、コンパウンドがエージングされた後に23℃および95℃において著しい接着性の低下も示す。実験コンパウンドDも樹脂が存在しないコンパウンドBと比較すると全体として改善された接着性を示す。
【0066】
[00068]したがって、m-フェニレンビスマレイミドなどのマレイミドと組み合わせた高カーボンブラック含有量の添加は、従来の樹脂含有コンパウンドと同レベルでまたはより良好に機能することが結論づけられる。高含有量のカーボンブラックおよびマレイミドの組合せは部分的にまたは完全に樹脂の代わりとなるように使用され得ることがさらに結論づけられる。
【0067】
[00069]本発明で開示されるゴムコンパウンドは、そのようなコンパウンドがマレイミドと組み合わせた高カーボンブラック含有量を含む場合に、ビード防護用コンパウンドにおいて有用であることが本明細書により結論づけられる。
【0068】

[実施例2]
[00070]この実施例では、イン・サイチュ樹脂の代わりとなるm-フェニレンビスマレイミドと組み合わせた高添加量のカーボンブラックを含むコンパウンドについて、ゴムコンパウンドの性能に対する効果が例証される。表3のレシピにしたがって実験室用バンバリーミキサーで4種の実験ゴムコンパウンドを調製し、すべてのコンパウンドは変動させた量の1種または2種のエラストマー材料を含有する。コンパウンドの物理特性を表4に示すように評価した。
【0069】
[00071]SBRおよび従来の強化用樹脂を使用して対照ゴムコンパウンドを対照試料Eとして調製した。
[00072]実験Fに関しては、m-フェニレンビスマレイミドを加え同時に樹脂を省いて対照Eを改質した。
【0070】
[00073]実験試料GおよびHに関しては、SBRの一部を異なる量の天然ゴムで置き換えることによりコンパウンドFを改質した。
[00074]基本的配合は以下の表2に例証され、これは100重量部のエラストマー当たりの部(phr)で表される。
【0071】
【表3】
【0072】
[00075]対照試料Eおよび実験試料F~Hの様々な硬化ゴム特性が以下の表4に報告される。
【0073】
【表4】
【0074】
[00076]表3に見られるように、ゴムコンパウンドG(少なくとも2種のゴムポリマー、高カーボンブラック含有量、およびm-フェニレンビスマレイミドを有する)の全体的な性能特性は対照Eおよび上記の実験試料C(「F」)の性能特性と遜色ないかまたはそれを改善した。
【0075】
[00077]したがって、m-フェニレンビスマレイミドなどのマレイミドと組み合わせた高カーボンブラック含有量の添加は、従来の樹脂含有コンパウンドと同レベルでまたはより良好に機能することが結論づけられる。高含有量のカーボンブラックおよびマレイミドの組合せは部分的にまたは完全に樹脂の代わりとなるように使用され得ることがさらに結論づけられる。
【0076】
[00078]本発明で開示されるゴムコンパウンドは、そのようなコンパウンドがm-フェニレンビスマレイミドと組みわせた高カーボンブラック含有量を含む場合に、タイヤトレッドにおいて有用であることが本明細書により結論づけられる。
【0077】
[00079]本明細書に記載される実施形態はゴム組成物および空気入りタイヤに向けられているものが、本発明はそのように限定されない。ゴム組成物は、動力伝動ベルト、ホース、キャピタラー、タイヤ、エアスリーブ、およびコンベアベルトを含むがこれらに限定されない、様々な他の製造品においても使用されてもよい。
【0078】
[00080]特定の代表的な実施形態および詳細は主題の発明を例証する目的で示されているが、主題の発明の範囲から逸脱せずに様々な変更および修正が行われてもよいことが当業者にとって明らかとなる。
[発明の態様]
[1]
タイヤに組み込むためのビード部材であって、前記ビード部材が
(A)ビードワイヤー、ならびに
(B)前記ビードワイヤーを取り囲むため、および/または防護するためのゴムコンパウンド
を含み、
前記ゴムコンパウンドが100重量部のエラストマー(phr)を基準として、
(1)0~100phrの少なくとも1種のスチレン-ブタジエンゴム(SBR)、
(2)天然ゴムまたは合成ポリイソプレンからなる群から選択される、0~100phrのポリイソプレンゴム、
(3)80~150phrのカーボンブラック、
(4)0~50phrのシリカ、および
(5)0.5~5phrのN,N’-m-フェニレンビスマレイミド
を含み、
前記ゴムコンパウンドから任意で樹脂が除外されていてよい、
タイヤに組み込むためのビード部材。
[2]
前記SBRが乳化重合(ESBR)されたものである、1に記載のタイヤビード部材。
[3]
前記ゴムコンパウンドが115~125phrのカーボンブラックを含む、1に記載のタイヤビード部材。
[4]
前記カーボンブラックが65~90nmの間の範囲内の厚さ表面積によって特徴づけられる、1に記載のタイヤビード部材。
[5]
前記カーボンブラックがグレードN326である、1に記載のタイヤビード部材。
[6]
(1)70~80phrの前記スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、および
(2)20~30phrの前記ポリイソプレンゴム
によって特徴づけられる、1に記載のタイヤビード部材。
[7]
前記ゴムコンパウンドで、樹脂が部分的または完全にマレイミドで置き換わっている、1に記載のタイヤビード部材。
[8]
前記マレイミドがN,N’-m-フェニレンビスマレイミドである、7に記載のタイヤビード部材。
[9]
前記ゴムコンパウンドから反応性フェノールホルムアルデヒド樹脂が除かれている、1に記載のタイヤビード部材。
[10]
前記ゴムコンパウンドからあらゆる樹脂が除外されている、1に記載のタイヤビード部材。
[11]
ビードワイヤーと接触するための加硫性のゴム組成物であって、100重量部のエラストマー(phr)を基準として、
(A)50~100phrの少なくとも1種のスチレン-ブタジエンゴム(SBR)と、
(B)任意で、SBRと相対的に半量未満の第2のゴムと、
(C)100~150phrのカーボンブラックと、
(D)0~30phrのシリカと、
(E)0.5~5phrのマレイミドと
によって特徴づけられ、
ここで、前記ゴム組成物からフェノールホルムアルデヒド樹脂が除外される、
ゴム組成物。
[12]
前記マレイミドがN,N’-m-フェニレンビスマレイミドである、11に記載のゴム組成物。
[13]
前記第2のゴム組成物が0~50phrのポリイソプレンを含む、11に記載のゴム組成物。
[14]
前記ゴム組成物からあらゆる樹脂がさらに除外されている、11に記載のゴム組成物。
[15]
前記SBRが乳化重合SBR(ESBR)である、11に記載のゴム組成物。
[16]
SBR対前記第2のゴムの比がphrで3:1である、11に記載のゴム組成物。
[17]
前記カーボンブラックが115~125phrの間である、11に記載のゴム組成物。
[18]
前記ゴム組成物がビード部材のワイヤービードを取り囲むため、および/または防護するためのものである、11に記載のゴム組成物。
[19]
前記ビード部材が空気入りタイヤに組み込むためのものである、18に記載のゴム組成物。
【外国語明細書】