(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008189
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】電磁接触器の機械ラッチ装置
(51)【国際特許分類】
H01H 50/32 20060101AFI20230112BHJP
H01H 51/10 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
H01H50/32 B
H01H51/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021111551
(22)【出願日】2021-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】508296738
【氏名又は名称】富士電機機器制御株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(72)【発明者】
【氏名】羽澤 耕明
(72)【発明者】
【氏名】蜷川 遼太郎
(57)【要約】
【課題】電磁接触器の機械ラッチ装置において、ラッチ支えの戻りを機械的に阻止する部分の隙間を調整する作業を軽減し、利便性を向上させる。
【解決手段】固定駒23は、ラッチ支え22の変位方向に沿った複数の固定位置から何れか一つを選択して固定される。リンク機構24は、釈放側に配置されたリンク61、及び投入側に配置されたリンク62を有する。リンク61の投入側、及びリンク62の釈放側が回動可能に連結され、リンク61の釈放側が固定駒23に回動可能に連結され、リンク62の投入側がラッチ支え22に回動可能に連結される。リンク61における釈放側の連結点、及びリンク62における投入側の連結点が変位方向に沿って配置される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁接触器の接点支えに連結されて釈放側と投入側との間で変位可能なラッチ支えと、
前記ラッチ支えの変位方向に沿った複数の固定位置から何れか一つを選択して固定される固定駒と、
釈放側に配置された第一のリンク及び投入側に配置された第二のリンクを有し、前記第一のリンクの投入側及び前記第二のリンクの釈放側が回動可能に連結され、前記第一のリンクの釈放側が前記固定駒に回動可能に連結され、前記第二のリンクの投入側が前記ラッチ支えに回動可能に連結され、前記第一のリンクにおける釈放側の連結点及び前記第二のリンクにおける投入側の連結点が前記変位方向に沿って配置され、前記ラッチ支えが釈放側にあるときには、前記第一のリンク及び前記第二のリンクのなす角度が劣角となることで、前記ラッチ支えが投入側へ変位することを許容し、前記ラッチ支えが投入側にあるときには、前記第一のリンク及び前記第二のリンクのなす角度が平角となることで、前記ラッチ支えが釈放側へ戻ることを機械的に阻止するリンク機構と、を備えることを特徴とする電磁接触器の機械ラッチ装置。
【請求項2】
前記ラッチ支え、前記固定駒、及び前記リンク機構を収容するケースを備え、
前記ケースには、前記変位方向に沿って延び前記固定駒が嵌り合う凹部が形成され、
前記固定駒の側面には、突起が形成されており、
前記固定駒の前記側面に対向する前記凹部の内周面には、前記突起と嵌り合う溝が前記変位方向に沿って複数形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電磁接触器の機械ラッチ装置。
【請求項3】
電磁石によって駆動され、前記ラッチ支えの側から前記第一のリンク又は前記第二のリンクに向かって前進するときに、先端で前記第一のリンク又は前記第二のリンクを押すことで、前記第一のリンク及び前記第二のリンクのなす角度を平角から劣角へ戻すプランジャを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の電磁接触器の機械ラッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁接触器の機械ラッチ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
停電や電圧降下によって電磁接触器を遮断させたくない回路や、常時、通電の消費電力を抑えたい場合には、電磁接触器の投入状態を機械的に保持することが要求されるため、機械ラッチ装置が電磁接触器に取り付けられる。特許文献1に示される機械ラッチ装置では、接点支えに連動してラッチ支えが投入側に変位したときに、ラッチ支えの肩部にラッチレバーのローラを引掛けることで、ラッチ支えが釈放側に戻ることを機械的に阻止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電磁接触器の制御コイルを励磁しているとき、ラッチ支えの肩部とローラとの間には僅かな隙間(遊び)が設けられているが、接点支えのストローク量は電磁接触器の機種や、同じ機種の場合でも個体差によって異なるため、隙間の大きさにも違いが生じる。電磁接触器の制御コイルを非励磁にすると、隙間の分だけラッチ支えが戻るため、隙間の大きさによっては、外径の異なるローラに交換するなどして、隙間の調整作業が必要であった。
本発明の目的は、電磁接触器の機械ラッチ装置において、ラッチ支えの戻りを機械的に阻止する部分の調整作業を軽減し、利便性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る電磁接触器の機械ラッチ装置は、電磁接触器の接点支えに連結されて釈放側と投入側との間で変位可能なラッチ支えと、ラッチ支えの変位方向に沿った複数の固定位置から何れか一つを選択して固定される固定駒と、釈放側に配置された第一のリンク及び投入側に配置された第二のリンクを有し、第一のリンクの投入側及び第二のリンクの釈放側が回動可能に連結され、第一のリンクの釈放側が固定駒に回動可能に連結され、第二のリンクの投入側がラッチ支えに回動可能に連結され、第一のリンクにおける釈放側の連結点及び第二のリンクにおける投入側の連結点が変位方向に沿って配置され、ラッチ支えが釈放側にあるときには、第一のリンク及び第二のリンクのなす角度が劣角となることで、ラッチ支えが投入側へ変位することを許容し、ラッチ支えが投入側にあるときには、第一のリンク及び第二のリンクのなす角度が平角となることで、ラッチ支えが釈放側へ戻ることを機械的に阻止するリンク機構と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ラッチ支えが投入側にあるとき、第一のリンク及び第二のリンクのなす角度が平角となることで、ラッチ支えが釈放側へ戻ることを機械的に阻止する。ラッチ支えの戻りを機械的に阻止する部分の調整作業は、固定駒の固定位置を切替えるだけでよいので、調整作業を軽減し、利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】電磁接触器の機械ラッチ装置を示す図である。
【
図4】リンク機構が屈曲している状態を示す図である。
【
図5】リンク機構が伸長している状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図面は模式的なものであって、現実のものとは異なる場合がある。また、以下の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであり、構成を下記のものに特定するものでない。すなわち、本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0009】
《一実施形態》
《構成》
以下の説明では、互いに直交する三方向を、便宜的に、縦方向、幅方向、及び奥行方向とする。なお、奥行方向の手前側は変位方向の釈放側に対応し、奥行方向の奥側は変位方向の投入側に対応する。
図1は、電磁接触器の機械ラッチ装置を示す図である。
停電や電圧降下によって電磁接触器11を遮断させたくない回路や、常時、通電の消費電力を抑えたい場合には、電磁接触器11の投入状態を機械的に保持することが要求されるため、機械ラッチ装置12が電磁接触器11に取り付けられる。ここでは、電磁接触器11の一部を二点鎖線で仮想的に示し、詳細な説明は省略する。
【0010】
以下、機械ラッチ装置12について説明する。ここでは、縦方向の一方から見た構造を示しており、説明を簡単にするために接点部については図示を省略している。機械ラッチ装置12は、ケース21と、ラッチ支え22と、固定駒23と、リンク機構24と、電磁石25と、プランジャ26と、を備える。
ケース21は、外形が略直方体であり、電磁接触器11における奥行方向の手前側に取り付けられる。
ラッチ支え22は、ケース21内で幅方向の略中央に配置され、奥行方向の奥側がケース21の開口部13から突出し、電磁接触器11の接点支え14に連結されることで、釈放側と投入側との間で変位可能である。ここでは、接点支え14の一部を二点鎖線で仮想的に示し、詳細な説明は省略する。
【0011】
図2は、ラッチ支えを示す図である。
ラッチ支え22は、基体31と、脚部32と、支持部33と、a接点部34と、を備える。
基体31は、変位方向及び縦方向に沿った略板状であり、縦方向の略中央には、変位方向に沿って延び、幅方向に貫通した貫通穴41が形成されている。
脚部32は、基体31の投入側に設けられており、投入側に沿って延びている。脚部32には、投入側の端部に、縦方向に沿って形成された凹溝42が形成されている。凹溝42は、釈放側が幅方向の両側に拡張され、縦方向から見て略T字状に形成されている。凹溝42が電磁接触器11の接点支え14に対して縦方向に沿って嵌め合わされることで(
図1参照)、ラッチ支え22が接点支え14に連動して釈放側と投入側との間で変位可能となる。
【0012】
支持部33は、基体31における幅方向の一方側で、且つ貫通穴41を挟むように縦方向の両側に一つずつ形成されており、幅方向の一方側に突出し、幅方向及び変位方向に沿った板状である。一対の支持部33には、縦方向に延びる円柱状の支軸43が挿通され固定される。
a接点部34は、幅方向に貫通した略角筒状であり、基体31における幅方向の他方側で、且つ貫通穴41よりも釈放側に形成され、図示しない可動接触子を弾性支持する。a接点部34は、ラッチ支え22が釈放側にあるときに可動接触子を図示しない固定接触子から離間させており、ラッチ支え22が投入側にあるときに可動接触子を固定接触子に接触させる。
【0013】
図3は、固定駒を示す図である。
図中の(a)は、一対の固定駒23を示しており、図中の(b)は、ケース21に固定された固定駒23を示している。一対の固定駒23は、縦方向の両側に設けられ、縦方向に延びる円柱状の支軸51が嵌め込まれることで互いに連結される。固定駒23は、略直方体であり、幅方向の両側面には、縦方向に延びる突起52が一つずつ形成されている。突起52は、幅方向の外側に向かって凸となり、奥行方向の手前側は、縦方向及び幅方向に沿った平面となるように形成され、奥行方向の奥側は、幅方向の外側に向かうほど奥行方向の手前側に向かって傾斜するように形成されている。
【0014】
ケース21には、奥行方向に延び、固定駒23が縦方向の内側から嵌り合う凹部53が形成されている。凹部53の内周面には、幅方向の両側に、突起52と嵌り合う一対の溝54が、奥行方向に沿って複数形成されている。溝54は、幅方向の外側に向かって凹となり、奥行方向の手前側は、縦方向及び幅方向に沿った平面となるように形成され、奥行方向の奥側は、幅方向の外側に向かうほど奥行方向の手前側に向かって傾斜するように形成されている。ここでは、四対の溝54が例えば0.5mm程度の間隔で奥行方向に沿って形成されている。固定駒23は、対となる何れかの溝54に嵌め込まれることで、奥行方向に沿った固定位置が決定される。
【0015】
図1に示すように、リンク機構24は、リンク61(第一のリンク)と、リンク62(第二のリンク)と、を有する。リンク61は、直線状に延びる略直方体であり、奥行方向の手前側に配置され、リンク62は、直線状に延びる略直方体であり、奥行方向の奥側に配置されている。リンク61における奥行方向の奥側、及びリンク62における奥行方向の手前側は、支軸63によって回動可能に連結されており、支軸63は位置が固定されていない。リンク61における奥行方向の手前側は、支軸51によって回動可能に連結されており、支軸51は固定駒23によって位置が固定されている。リンク62における奥行方向の奥側は、支軸43によって支持部33に回動可能に連結されており、支軸43はラッチ支え22の変位方向に沿って往復直線運動するように拘束されている。縦方向から見て、支軸51及び支軸43は、奥行方向に沿って一直線上に配置されている。ラッチ支え22、固定駒23、及びリンク機構24は、トグル機構を構成している。
【0016】
図1に示すように、電磁石25は、ケース21内でラッチ支え22よりも幅方向の他方側に配置されている。ここでは、電磁石25を二点鎖線で仮想的に示し、詳細な説明は省略するが、図示しないスプール、制御コイル、ヨーク、及び復帰ばねを備えている。そして、制御コイルへの通電によって励磁されると、復帰ばねの弾発力に抗してプランジャ26を幅方向の一方側へ前進させ、制御コイルへの通電を停止し非励磁状態にすると、復帰ばねがプランジャ26を幅方向の他方側へと後退させる。
プランジャ26は、電磁石25のスプールに挿入された継鉄であり、幅方向の一方側に突出した円柱状の突出棒28が形成されている。突出棒28は、ラッチ支え22の貫通穴41を介して幅方向の一方側へ突き抜けており、先端が半球状に形成されている。
【0017】
《動作》
次に、一実施形態の主要な動作について説明する。
図4は、リンク機構が屈曲している状態を示す図である。
ここでは、接点支え14に連動してラッチ支え22が釈放側にあり、縦方向から見て、リンク機構24が略「く」字状に屈曲し、リンク61及びリンク62のなす角度θが劣角(0°<θ<180°)となる。このとき、ラッチ支え22は投入側へ変位することが許容されている。
【0018】
図5は、リンク機構が伸長している状態を示す図である。
ここでは、接点支え14に連動してラッチ支え22が投入側にあり、縦方向から見て、リンク機構24が一直線上に伸長し、リンク61及びリンク62のなす角度θが平角(θ=0°)となる。このとき、リンク61及びリンク62が突っ張ることで、ラッチ支え22が釈放側へ戻ることを機械的に阻止している。
ラッチ支え22が釈放側へ戻ることを機械的に阻止したラッチ状態を解除する場合は、投入時に、電磁石25でプランジャ26を幅方向の一方側へ前進させる。これにより、突出棒28がリンク62を押して、リンク機構24を略「く」字状に屈曲させる。このように、リンク61及びリンク62のなす角度θが劣角に戻ることで、ラッチ支え22のラッチ状態が解除される。
【0019】
《作用》
次に、一実施形態の主要な作用について説明する。
接点支え14のストローク量は電磁接触器11の機種によって異なるため、従来構造では、ラッチ支えの戻りを機械的に阻止する部分の隙間を調整する作業が必要であった。
そこで、一実施形態における電磁接触器11の機械ラッチ装置12は、ラッチ支え22と、固定駒23と、リンク機構24と、を備える。ラッチ支え22は、電磁接触器11の接点支え14に連結されて釈放側と投入側との間で変位可能である。固定駒23は、ラッチ支え22の変位方向に沿った複数の固定位置から何れか一つを選択して固定される。リンク機構24は、釈放側に配置されたリンク61、及び投入側に配置されたリンク62を有する。リンク61の投入側、及びリンク62の釈放側が回動可能に連結され、リンク61の釈放側が固定駒23に回動可能に連結され、リンク62の投入側がラッチ支え22に回動可能に連結される。リンク61における釈放側の連結点、及びリンク62における投入側の連結点が変位方向に沿って配置される。ラッチ支え22が釈放側にあるときには、リンク61及びリンク62のなす角度θが劣角となることで、ラッチ支え22が投入側へ変位することを許容する。ラッチ支え22が投入側にあるときには、リンク61及びリンク62のなす角度θが平角となることで、ラッチ支え22が釈放側へ戻ることを機械的に阻止する。これにより、ラッチ支え22の戻りを機械的に阻止する部分の調整作業は、固定駒23の固定位置を切替えるだけでよいので、調整作業を軽減し、利便性を向上させることができる。しかも、ラッチ支え22の戻りを機械的に阻止する部分の隙間をゼロにすることができる。
【0020】
電磁接触器11の機械ラッチ装置12は、ケース21を備えている。ケース21は、ラッチ支え22、固定駒23、及びリンク機構24を収容する。ケース21には、変位方向に沿って延び固定駒23が嵌り合う凹部53が形成され、固定駒23の側面には、突起52が形成されており、固定駒23の側面に対向する凹部53の内周面には、突起52と嵌り合う溝54が変位方向に沿って複数形成されている。これにより、固定駒23の固定位置を容易に切替えることができると共に、接点支えのストローク量は電磁接触器の機種や同じ機種の場合でも個体差によって異なるが、固定駒23が自動で位置決めされるため、調整が不要となる。突起52は、縦方向から見て、奥行方向に反転させたときの形状が非対称であるため、一対の固定駒23を凹部53に嵌め合わせるときに、奥行方向の向きが互い違いになる誤組み付けを防止することができる。突起52は、奥行方向の手前側が、縦方向及び幅方向に沿った平面となるように形成されており、溝54は、奥行方向の手前側が、縦方向及び幅方向に沿った平面となるように形成されている。したがって、溝54は、ラッチ支え22が釈放側に向かう力を、直交する平面で支持することができる。
なお、突起52をケース21側に形成し、複数の溝54を固定駒23側に形成するようにしてもよい。また、本実施形態では、一つの突起52に対して、溝54を複数個、設けるようにしたが、一つの溝54に対して、突起52を複数個、設けるようにしてもよい。
【0021】
電磁接触器11の機械ラッチ装置12は、プランジャ26を備えている。プランジャ26は、電磁石25によって駆動され、ラッチ支え22の側からリンク62に向かって前進するときに、先端でリンク62を押すことで、リンク61及びリンク62のなす角度θを平角から劣角へ戻す。これにより、ラッチ支え22のラッチ状態を容易に解除することができる。リンク機構24が一直線上に伸長し、リンク61及びリンク62のなす角度θが平角であるとき、幅方向の一方側に向かう比較的小さな力で、リンク機構24を屈曲させることができる。したがって、電磁石25及びプランジャ26の大型化を抑制することができる。
【0022】
次に、比較例について説明する。
図6は、比較例を示す図である。
図中の(a)は、縦方向の一方側から見た図である。図において、ラッチ支え71は肩部72を備えており、ラッチレバー73はローラ74を備えている。比較例では、ラッチ支え71が投入側に変位したときに、ラッチ支え71の肩部72にラッチレバー73のローラ74を引掛けることで、ラッチ支え71が釈放側に戻ることを機械的に阻止していた。図中の(b)は、ラッチ支え71の戻りを機械的に阻止する部分の拡大図である。電磁接触器11の制御コイルを励磁しているとき、肩部72とローラ74との間には僅かな隙間d(遊び)が設けられているが、接点支え14のストローク量は電磁接触器11の機種によって異なるため、隙間dの大きさにも違いが生じる。電磁接触器11の制御コイルを非励磁にすると、隙間dの分だけラッチ支え71が戻るため、隙間dの大きさによっては、外径の異なるローラ74に交換するなどして、隙間dの調整作業が必要であった。
【0023】
《変形例》
一実施形態では、ラッチ状態を解除する際に、プランジャ26でリンク62を押す構成について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、プランジャ26でリンク61を押すことで、ラッチ状態を解除する構成としてもよい。
一実施形態では、ラッチ状態を解除する手段として、プランジャ26でリンク62を押す構成だけを説明したが、これに限定されるものではない。他にも、ユーザによって操作されるときに、リンク61又はリンク62を幅方向の一方に押すか又は引くかして、ラッチ状態を解除できる手動操作部を備えてもよい。
一実施形態では、固定駒23を四つの固定位置から何れか一つを選択できる構成について説明したが、これに限定されるものではない。したがって、二つか三つ、又は五つ以上の固定位置から何れか一つを選択できる構成としてもよい。
【0024】
以上、限られた数の実施形態を参照しながら説明したが、権利範囲はそれらに限定されるものではなく、上記の開示に基づく実施形態の改変は、当業者にとって自明のことである。
【符号の説明】
【0025】
11…電磁接触器、12…機械ラッチ装置、13…開口部、14…接点支え、21…ケース、22…ラッチ支え、23…固定駒、24…リンク機構、25…電磁石、26…プランジャ、28…突出棒、31…基体、32…脚部、33…支持部、34…a接点部、41…貫通穴、42…凹溝、43…支軸、51…支軸、52…突起、53…凹部、54…溝、61…リンク、62…リンク、63…支軸、71…ラッチ支え、72…肩部、73…ラッチレバー、74…ローラ、θ…角度、d…隙間