(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023081923
(43)【公開日】2023-06-13
(54)【発明の名称】アミノシロキサン及びケイ酸塩のエマルジョン
(51)【国際特許分類】
C08L 83/08 20060101AFI20230606BHJP
C08K 5/5415 20060101ALI20230606BHJP
C08L 83/02 20060101ALI20230606BHJP
D06M 15/643 20060101ALI20230606BHJP
D06M 13/513 20060101ALI20230606BHJP
D06M 13/144 20060101ALI20230606BHJP
C09K 3/18 20060101ALI20230606BHJP
C08K 5/04 20060101ALN20230606BHJP
【FI】
C08L83/08
C08K5/5415
C08L83/02
D06M15/643
D06M13/513
D06M13/144
C09K3/18 104
C08K5/04
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023030836
(22)【出願日】2023-03-01
(62)【分割の表示】P 2020568322の分割
【原出願日】2019-03-05
(71)【出願人】
【識別番号】390008969
【氏名又は名称】ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns-Seidel-Platz 4, D-81737 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・ブレーム
(72)【発明者】
【氏名】フランツ・ビンマー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】アミノシロキサン及びケイ酸塩をベースとする、十分な撥水性を有するエマルジョンを提供する。
【解決手段】水中油型エマルジョンであって、
(i)20℃で液体のアミノアルキル基を含むポリオルガノシロキサン(P)100重量部、
(ii)プロトン化剤、
(iii)ケイ酸塩化合物1~80重量部、
(iv)水、
(v)乳化剤を最大で5重量部、並びに
(vi)一般式IXのモノアルコール、及び一般式Xのジアルコールモノエーテル
R1
1-OH(IX)
R1
2O-R13-OR14(X)、
から選択される有機溶媒少なくとも5重量部
を含み、ただし、エマルジョンは、ジ-、トリ-又はオリゴグリコールエーテルを最大10重量部含む、水中油型エマルジョン、及び該水中油型エマルジョンで基材を処理する方法を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中油型エマルジョンであって、
(i) 一般式Ia、Ib、IIa及びIIbの単位から選択される少なくとも80モル%の単位を含む、20℃で液体のアミノアルキル基を含むポリオルガノシロキサン(P)を100重量部
R1
2SiO(2/2)(Ia)、
R1
aR2SiO(3-a)/2(Ib)、
R3
3SiO(1/2)(IIa)、
R3
2R4SiO(1/2)(IIb)、
[式中、
aは、0又は1の値を有し、
R1は、非置換の又はハロゲンによって置換された1~40個の炭素原子を有するアルキル基であり、
R2は、一般式IIIのアミノアルキル基であり、
-R5-NR6R7(III)、
式中、
R5は、1~40個の炭素原子を有する二価の炭化水素基であり、
R6は、1~40個の炭素原子を有する一価の炭化水素基、水素又はアルカノイル基であり、
R7は、一般式IVの基であり、
-(R8-NR6)xR6(IV)、
式中、
xは、0の値又は1~40の整数値を有し、
R8は、一般式Vの二価の基であり、
-(CR9R9-)y(V)、
式中、
yは、1~6の整数値を有し、
R9は、水素又は1~40個の炭素原子を有する炭化水素基であり、
R3は、非置換の又はハロゲンで置換された1~40個の炭素原子を有するアルキル基であり、
R4は、-OR基又は-OH基であり、
Rは、非置換の又はハロゲンで置換された1~40個の炭素原子を有するアルキル基であり、
ポリオルガノシロキサン(P)中の一般式IIa及びIIbの単位の合計に対する一般式Ia及びIIbの単位の平均比は0.5~500であり、ポリオルガノシロキサン(P)は少なくとも0.1mequiv/gの平均アミン価を有する。]
(ii) プロトン化剤、
(iii) 一般式VIのテトラアルコキシケイ酸塩から選択されるケイ酸塩化合物を1~80重量部
R10O4Si(VI)
及び一般式VII及びVIIIの少なくとも80モル%の単位、並びに一般式VIIの少なくとも2単位を含むポリケイ酸塩化合物
R10O3SiO1/2(VII)、
R10O2SiO2/2(VIII)
及びそれらの混合物、
[式中、
R10は、非置換の又はハロゲンによって置換された1~18個の炭素原子を有する炭化水素基である。]
(iv) 水、
(v) 乳化剤を最大で5重量部、並びに
(vi) 一般式IXのモノアルコール
R11-OH(IX)、
及び一般式Xのジアルコールモノエーテル
R12O-R13-OR14(X)、
及びそれらの混合物から選択される有機溶媒を少なくとも5重量部
[式中、
R11は、2~18個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であり、
R12は、1~18個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であり、
R13は、2~12個の炭素原子を有する二価の炭化水素基であり、
R14は、水素、1~6個の炭素原子を有する一価の炭化水素基又はアセチル基である。]
を含み、
ただし、エマルジョンは、一般式XIのジ-、トリ-又はオリゴグリコールエーテルを最大10重量部含む、
R12-O-(CH2CH2)m-OH(XI)、
[式中、
R15は、R12の定義を有し、
mは、整数であり、2又は2より大きい。]
水中油型エマルジョン。
【請求項2】
基R1及びR3が、1~6個の炭素原子を有するアルキル基である、請求項1に記載のエマルジョン。
【請求項3】
基R6が、1~6個の炭素原子を有するアルキル基、水素又はアセチルである、請求項1又は2に記載のエマルジョン。
【請求項4】
基R2が、-CH2N(R6)2、-(CH2)3N(R6)2及び(CH2)3N(R6)(CH2)2N(R6)2から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載のエマルジョン。
【請求項5】
プロトン化剤が、ギ酸、酢酸、硫酸及び塩酸から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載のエマルジョン。
【請求項6】
基R10が、メチル、エチル及びプロピルから選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載のエマルジョン。
【請求項7】
基R11が、2~12個の炭素原子を有するアルキル基である、請求項1~6のいずれか一項に記載のエマルジョン。
【請求項8】
基R12が、1~12個の炭素原子を有するアルキル基であり、基R13が、2~6個の炭素原子を有するアルキレン基であり、基R14が、水素原子である、請求項1~7のいずれか一項に記載のエマルジョン。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の水中油型エマルジョンで基材を処理する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミノアルキル基を含むポリジメチルシロキサン及びケイ酸塩の水中油型エマルジョン及びそれを用いた基材の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アミノシロキサン及びケイ酸塩をベースとするエマルジョンは、多孔性又は非多孔性の吸収性又は非吸収性基材の水性汚れをはじくために使用される。
【0003】
DE102014216380には、多孔性又は非多孔性の吸収性又は非吸収性基材の疎水化処理に使用できる、ケイ酸塩と併用されるアミノシロキサンの水中油型エマルジョンが記載されている。
【0004】
DE102014216380に記載された配合物は、貯蔵安定性を高めるための補助剤として、オリゴグリコールエーテル、例えばジエチレングリコールブチルエーテルを使用する。これらの補助剤の欠点は、2つ以上のグリコール基によって引き起こされるそのかなり高い親水性のため、水-アルコール混合物の撥水性と同様に、撥水性がまだ十分に良好ではないことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第102014216380号明細書
【発明の概要】
【0006】
本発明は、水中油型エマルジョンであって、
(i) 一般式Ia、Ib、IIa及びIIbの単位から選択される少なくとも80モル%の単位を含む、20℃で液体のアミノアルキル基を含むポリオルガノシロキサン(P)を100重量部
R1
2SiO(2/2)(Ia)、
R1
aR2SiO(3-a)/2(Ib)、
R3
3SiO(1/2)(IIa)、
R3
2R4SiO(1/2)(IIb)、
[式中、
aは、0又は1の値を有し、
R1は、非置換の又はハロゲンによって置換された1~40個の炭素原子を有するアルキル基であり、
R2は、一般式IIIのアミノアルキル基であり、
-R5-NR6R7(III)、
式中、
R5は、1~40個の炭素原子を有する二価の炭化水素基であり、
R6は、1~40個の炭素原子を有する一価の炭化水素基、水素又はアルカノイル基であり、
R7は、一般式IVの基であり、
-(R8-NR6)xR6(IV)、
式中、
xは、0の値又は1~40の整数値を有し、
R8は、一般式Vの二価の基であり、
-(CR9R9-)y(V)、
式中、
yは、1~6の整数値を有し、
R9は、水素又は1~40個の炭素原子を有する炭化水素基であり、
R3は、非置換の又はハロゲンで置換された1~40個の炭素原子を有するアルキル基であり、
R4は、-OR基又は-OH基であり、
Rは、非置換の又はハロゲンで置換された1~40個の炭素原子を有するアルキル基であり、
ポリオルガノシロキサン(P)中の一般式IIa及びIIbの単位の合計に対する一般式Ia及びIIbの単位の平均比は0.5~500であり、ポリオルガノシロキサン(P)は少なくとも0.1mequiv/gの平均アミン価を有する。]
(ii) プロトン化剤、
(iii) 一般式VIのテトラアルコキシケイ酸塩から選択されるケイ酸塩化合物を1~80重量部
R10O4Si(VI)
及び一般式VII及びVIIIの少なくとも80モル%の単位、並びに一般式VIIの少なくとも2単位を含むポリケイ酸塩化合物
R10O3SiO1/2(VII)、
R10O2SiO2/2(VIII)
及びそれらの混合物、
[式中、
R10は、非置換の又はハロゲンによって置換された1~18個の炭素原子を有する炭化水素基である。]
(iv) 水、
(v) 乳化剤を最大で5重量部、並びに
(vi) 一般式IXのモノアルコール
R11-OH(IX)、
及び一般式Xのジアルコールモノエーテル
R12O-R13-OR14(X)、
及びそれらの混合物から選択される有機溶媒を少なくとも5重量部
[式中、
R11は、2~18個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であり、
R12は、1~18個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であり、
R13は、2~12個の炭素原子を有する二価の炭化水素基であり、
R14は、水素、1~6個の炭素原子を有する一価の炭化水素基又はアセチル基である。]
を含み、ただし、エマルジョンは、一般式XIのジ-、トリ-又はオリゴグリコールエーテルを最大で10重量部含む水中油型エマルジョンに関する。
R12-O-(CH2CH2)m-OH(XI)、
[式中、
R15は、R12の定義を有し、
mは、整数であり、2又は2より大きい。]
【発明を実施するための形態】
【0007】
前記エマルジョンは、一般式XIのジ-、トリ-又はオリゴグリコールエーテルの量が少ないか又は存在しないにもかかわらず、乳化剤又はシリコン-ポリエーテルコポリマー乳化剤のような他の安定化成分のさらなる添加なしで、均質で安定で希釈に対して安定である。
【0008】
前記エマルジョンは、多くの多孔性又は非多孔性、吸収性又は非吸収性基材、特に繊維及び繊維製品上で優れた撥水性を示す。DIN EN 24920に従った試験は、エマルジョンで処理された繊維製品上で非常に良好である。
【0009】
前記エマルジョンで処理した基材は、汚れ忌避性の改善も示す。
【0010】
前記エマルジョンは、さらに、多くの多孔性又は非多孔性、吸収性又は非吸収性基材上で顕著な光沢の増強を示す。
【0011】
アルキル基R1、R3及びRは、直鎖状、環状、分枝状、飽和又は不飽和であることができる。アルキル基R1、R3及びRは、好ましくは1~18個の炭素原子、特に1~6個の炭素原子を有し、特に好ましくはメチル基又はエチル基である。好ましいハロゲン置換基は、フッ素及び塩素である。特に好ましいR1、R3及びR基はメチル基である。
【0012】
2価の炭化水素基R5は、ハロゲン置換、直鎖状、環状、分枝状、芳香族、飽和又は不飽和であることができる。基R5は、好ましくは1~6個の炭素原子を有し、特に好ましくはアルキレン基、特にプロピレンである。好ましいハロゲン置換基は、フッ素及び塩素である。
【0013】
一価の炭化水素基R6は、ハロゲン置換、直鎖状、環状、分枝状、芳香族、飽和又は不飽和であることができる。基R6は、好ましくは1~6個の炭素原子を有し、特に好ましくは1~6個の炭素原子を有するアルキル基又はアルカノイル基である。好ましいハロゲン置換基は、フッ素及び塩素である。特に好ましい置換基R6は、水素、メチル、エチル、シクロヘキシル基及びアセチル基である。
【0014】
一価の炭化水素基R9は、ハロゲン置換、直鎖状、環状、分枝状、芳香族、飽和又は不飽和であることができる。基R9は好ましくは1~6個の炭素原子を有し、特に好ましくは1~6個の炭素原子を有するアルキル基である。好ましいハロゲン置換基は、フッ素及び塩素である。特に好ましい置換基R9は、水素、メチル、エチル及びシクロヘキシル基である。
【0015】
好ましくは、xは0の値又は1~18の値を有し、特に好ましくは1~6の値を有する。
【0016】
特に好ましい基R2は、-CH2N(R6)2、-(CH2)3N(R6)2、-(CH2)3N(R6)(CH2)2N(R6)2であり、特にアミノプロピル基、アミノエチルアミノプロピル基及びシクロヘキシルアミノプロピル基である。
【0017】
ポリジメチルシロキサン(P)は、式Ia、Ib、IIa及びIIbの好ましくは少なくとも3、特に少なくとも10単位、かつ好ましくは最大で500単位、特に最大で200単位から構成される。
【0018】
ポリジメチルシロキサン(P)は、3~1000繰り返し単位、特に10~500繰り返し単位の鎖長を有することが好ましい。
【0019】
ポリジメチルシロキサン(P)の粘度は、20℃で好ましくは1~100000mPa・s、特に10~10000mPa・sである。
【0020】
単位Iaの数と単位Ibの数の比は、ポリジメチルシロキサン(P)がポリジメチルシロキサン(P)1g当たり少なくとも0.1mequiv、好ましくはポリジメチルシロキサン(P)1g当たり少なくとも0.15mequivのアミン価を有するように選択される。ポリジメチルシロキサン(P)のアミン価は最大で7mequiv/g、好ましくは最大で2mequiv/g、特に最大で0.6mequiv/gである。
【0021】
ポリジメチルシロキサン(P)は、好ましくは、式IIaの単位のみ、式IIbの単位のみ、又は式IIa及び式IIbの単位の組合せのいずれかを有する。
【0022】
ポリジメチルシロキサン(P)は、例えば加水分解又は平衡化のような既知の化学的方法によって生産される。
【0023】
プロトン化剤は、好ましくは、一塩基性又は多塩基性の、水溶性又は水不溶性の有機又は無機酸である。
【0024】
適切なプロトン化剤は、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、マロン酸、クエン酸、塩酸、硫酸、リン酸又はそれらの混合物である。好ましいプロトン化剤は、ギ酸、酢酸、硫酸又は塩酸である。酢酸が特に好ましい。
【0025】
プロトン化剤は、一般に、希釈されずに、又は水溶液の形態で添加される。
【0026】
プロトン化剤は、基R2の塩基性窒素原子1モル当たり0.05~2モルのプロトンの量で添加されることが好ましい。
【0027】
プロトン化剤は、水中油型エマルジョンが3.5~7.0の範囲のpH、好ましくは3.5~6.0の間pH、特に好ましくは3.5~5.0の間のpHに達するような量で添加することが好ましい。
【0028】
本発明との関連において、pHは、20℃で米国薬局方USP33に従った電極で測定される。
【0029】
ケイ酸塩化合物の一価の炭化水素基R10は、ハロゲン置換、直鎖状、環状、分枝状、芳香族、飽和又は不飽和であることができる。基R10は、好ましくは1~6個の炭素原子を有し、特に好ましくはアルキル基及びフェニル基である。好ましいハロゲン置換基は、フッ素及び塩素である。特に好ましい基R10は、メチル、エチル及びプロピルである。
【0030】
エマルジョンは、100重量部のポリジメチルシロキサン(P)に基づいて、好ましくは5~50重量部、特に好ましくは10~30重量部のケイ酸塩化合物を含む。
【0031】
ポリケイ酸塩化合物は、好ましくは少なくとも90、特に少なくとも95モル%の一般式VII及びVIIIの単位を含む。
【0032】
ポリケイ酸塩化合物の残りの単位は、例えば、一般式XII及びXIIIの単位であることができる。
R10OSiO3/2(XII)、
SiO4/2(XIII)、
式中、R10は上で定義された通りである。
【0033】
水中油型エマルジョンはまた、シリコーンオイル、シリコーンワックス及びシリコーン樹脂を追加的に含むことができ、好ましくはこれらを最大で5重量部、特に最大で2重量部の量で含むことができる。
【0034】
水は、脱塩水又は塩含有水、望ましくは脱塩水である。
【0035】
本発明による水中油型エマルジョンは、好ましくは最大で3、特に好ましくは最大で1、特に最大で0.1重量部の乳化剤を含む。
【0036】
乳化剤として、現在までに知られている全てのイオン性及び非イオン性乳化剤を、個々に、又は異なる乳化剤の混合物として使用することが可能であり、それを用いて水性分散液、特にオルガノポリシロキサンの水性エマルジョンも現在製造することができる。
【0037】
アニオン性乳化剤の例には、以下のものがある。
1. アルキル硫酸塩、特に8~18個の炭素原子の鎖長を有するもの、疎水性の基中の8~18個の炭素原子及び1~40個のエチレンオキシド(EO)又はプロピレンオキシド(PO)単位を有するアルキル-及びアルカリルエーテル硫酸塩。
【0038】
2. スルホン酸塩、特に8~18個の炭素原子を有するアルキルスルホン酸塩、8~18個の炭素原子を有するアルキルアリールスルホン酸塩、スルホコハク酸と4~15個の炭素原子を有する一価アルコール又はアルキルフェノールとのタウリド(tauride)、エステル及び半エステル、これらのアルコール又はアルキルフェノールは任意に1~40個のEO単位でエトキシル化されていてもよい。
【0039】
3. アルキル基、アリール基、アルカリル基又はアラルキル基中に8~20個の炭素原子を有するカルボン酸のアルカリ金属塩及びアンモニウム塩。
【0040】
4. リン酸の部分エステル並びにそのアルカリ金属塩及びアンモニウム塩、特に有機基中に8~20個の炭素原子を有するアルキルリン酸塩及びアルカリルリン酸塩、アルキル又はアルカリル基中に8~20個の炭素原子及び1~40個のEO単位を有するアルキルエーテルリン酸塩又はアルカリルエーテル性リン酸塩。
【0041】
非イオン性乳化剤の例は、以下のものである。
5. 500~3000の重合度を有する、5~50%、好ましくは8~20の酢酸ビニル単位を含むポリビニルアルコール。
【0042】
6. アルキルポリグリコールエーテル、好ましくは3~40個のEO単位及び8~20個の炭素原子のアルキル基を有するもの。
【0043】
7. アルキルアリールポリグリコールエーテル、好ましくはアルキル基及びアリール基中に5~40個のEO単位及び8~20個の炭素原子を有するもの。
【0044】
8. エチレンオキシド/プロピレンオキシド(EO/PO)ブロックコポリマー、好ましくは8~40個のEO又はPO単位を有するもの。
【0045】
9. 8~22個の炭素原子を有するアルキル基を有するアルキルアミンとエチレンオキシド又はプロピレンオキシドとの付加生成物。
【0046】
10. 6~24個の炭素原子を有する脂肪酸。
【0047】
11. 一般式R*-O-ZOのアルキルポリグリコシドであって、R*が平均8~24個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状の飽和又は不飽和アルキル基であり、ZOが平均o=1~10ヘキソース又はペントース単位又はそれらの混合物を有するオリゴグリコシド基である、アルキルポリグリコシド。
【0048】
12. レシチン、ラノリン、サポニン、セルロース、セルロースアルキルエーテル及びカルボキシアルキルセルロースのような天然物質及びその誘導体であって、そのアルキル基がそれぞれ4個までの炭素原子を有するもの。
【0049】
13. 極性基、特に元素O、N、C、S、P、Siを含む極性基を含む直鎖状オルガノ(ポリ)シロキサン、特に最大24個の炭素原子及び/又は最大40個のEO及び/又はPO基を有するアルコキシ基を有するものを含む、極性基。
【0050】
カチオン性乳化剤の例には、以下のものがある。
14. 8~24個の炭素原子を含む第一級、第二級及び第三級脂肪族アミンと酢酸、硫酸、塩酸及びリン酸との塩。
【0051】
15. 第四級アルキルアンモニウム塩及びアルキルベンゼンアンモニウム塩、特にアルキル基が6~24個の炭素原子を有するもの、特にハロゲン化物、硫酸塩、リン酸塩及び酢酸塩。
【0052】
16. アルキルピリジニウム塩、アルキルイミダゾリニウム塩及びアルキルオキサゾリニウム塩、特にアルキル鎖が18個までの炭素原子を有するもの、特にハロゲン化物、硫酸塩、リン酸塩及び酢酸塩。
【0053】
両性乳化剤として適しているのは、特に以下のものである。
17. N-アルキルジ(アミノエチル)グリシン又はN-アルキル-2-アミノプロピオン酸塩のような長鎖置換アミノ酸。
【0054】
18. C8-C18-アシル基を有するN-(3-アシルアミドプロピル)-N,N-ジメチルアンモニウム塩のようなベタイン及びアルキルイミダゾリウムベタイン。
【0055】
乳化剤としては、非イオン性乳化剤、特に上記6.に列挙したアルキルポリグリコールエーテル、及びカチオン性乳化剤、特に上記15.に列挙した第四級アルキルアンモニウム塩及びアルキルベンゼンアンモニウム塩が好ましい。乳化剤は、前述の乳化剤の1種、又は純粋な形態又は水又は有機溶媒中の1つ以上の乳化剤の溶液で使用され得る2種以上の前記の乳化剤の混合物からなることができる。
【0056】
水中油型エマルジョンは、一般式IXのモノアルコール又は一般式Xのジアルコールモノエーテルの群から選択される有機溶媒を含むことが好ましく、これらは0.10MPaで最大260℃の沸点又は沸点範囲を有する。
【0057】
一価の炭化水素基R11は、直鎖状、環状、分枝状、芳香族、飽和又は不飽和であることができる。基R11は、好ましく2~12個の炭素原子を有し、特に好ましくはアルキル基及びフェニル基である。
【0058】
一価の炭化水素基R11の例は、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、イソオクチル、2-エチルヘキシル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、フェニル、2-ブチルオクチル及びn-ドデシル基のようなアルキル基である。
【0059】
一価の炭化水素基R12は、直鎖状、環状、分枝状、芳香族、飽和又は不飽和であることができる。基R12は、好ましくは1~12個の炭素原子を有し、特に好ましくはアルキル基及びフェニル基である。
【0060】
一価の炭化水素基R12の例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、2-エチルヘキシル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、フェニル、2-ブチルオクチル及びn-ドデシル基のようなアルキル基である。
【0061】
二価の炭化水素基R13は、直鎖状、環状、分枝状、飽和又は不飽和であることができる。基R13は、好ましくは2~6個の炭素原子を有し、特に好ましくはアルキレン基、特に1,2-エチレン基、1,3-プロピレン基、1,2-プロピレン基、1,2-ブチレン基、1,3-ブチレン基及び1,4-ブチレン基である。
【0062】
R14が一価の炭化水素基である場合、これは直鎖状、環状、分枝状、芳香族、飽和又は不飽和であることができる。R14は、好ましくは、水素、アルキル基、特にメチル又はエチル基、フェニル基又はアセチル基である。R14は特に好ましくは水素である。
【0063】
一般式IXのモノアルコールの例は、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール又はn-オクタノール、又は2-エチルヘキサノール、2-ブチルオクタノール又は2-ヘキシルデカノールのようなガーベットアルコールである。
【0064】
一般式IXのモノアルコールの好ましい例は、n-ヘキサノール、n-ヘプタノール、n-オクタノール及び2-エチルヘキサノールである。
【0065】
一般式Xのジアルコールモノエーテル及びその誘導体の例は、モノエチレングリコールモノアルキルエーテル、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテルである。
【0066】
一般式Xのジアルコールモノエーテル及びその誘導体の例は、モノプロピレングリコールモノアルキルエーテル、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル又はプロピレングリコールモノフェニルエーテルである。
【0067】
水中油型エマルジョンは、一般式IXのモノアルコール又は一般式Xのジアルコールモノエーテルの群から選択される少なくとも10重量部、特に好ましくは少なくとも20重量部、特に少なくとも30重量部及び最大で150重量部、好ましくは最大で100重量部の有機溶媒を含むことが好ましい。
【0068】
水中油型エマルジョンは、有機溶媒、又は2種以上の有機溶媒の組合せを含むことができる。特に、水中油型乳化は、単一の有機溶媒を含む。
【0069】
水中油型エマルジョンは、防腐剤、香料、さび止め剤及び色素等のさらなる物質を含むことができる。
【0070】
水中油型エマルジョンは、最大で8重量部、特に好ましくは最大で5重量部、特に好ましくは最大で2重量部、特に最大で1重量部の一般式XIのジ-、トリ-又はオリゴグリコールエーテルを含むことが好ましい。
【0071】
防腐剤の例は、アルコール、フェノキシエタノール、第四級アンモニウム化合物、例えばN-アルキル(C12-18)-N,N-ジメチル-N-ベンジルアンモニウムクロリド、ホルムアルデヒド、パラベン、ベンジルアルコール、プロピオン酸及びその塩、並びにイソチアゾリノンである。
【0072】
水中油型エマルジョンはさらに、非シリコン含有油、樹脂及びワックスのような他の添加剤を含むこともできる。これらの例は、菜種油、オリーブ油、鉱油、パラフィン油又はカルナウバワックス及びキャンデリラワックス又はモンタン酸及びモンタン酸エステルワックスのような非シリコン含有ワックス、無酸化合成パラフィン、ポリエチレンワックス、ポリビニルエーテルワックス及び金属石鹸を含むワックスであり、カルナウバワックス、パラフィンワックス及びポリエチレンワックスが好ましく、パラフィンワックスが特に好ましい。
【0073】
水中油型エマルジョンは、いずれの場合も100重量部のポリオルガノシロキサン(P)に基づいて、最大で30.0重量部、特に最大で10重量部、好ましくは最大で0.1重量部のこのような添加剤を含むことが好ましい。
【0074】
水中油型エマルジョンは、ポリオルガノシロキサン(P)、プロトン化剤、ケイ酸塩化合物、水及び有機溶媒、並びに任意にさらなる成分との組み合わせを混合することによって製造される。混合は、好ましくは10~80℃、特に好ましくは15~40℃の温度、及び好ましくは900~1100hPaの圧力で行う。しかし、混合は、より高い又はより低い圧力で行うこともできる。
【0075】
好ましい手順では、ポリオルガノシロキサン(P)及びケイ酸塩化合物を予め混合する。次いで、このプレミックスを、水、プロトン化剤、有機溶媒、及び任意にさらなる成分の混合物中に組み込み、次いで、さらなる水で希釈して、水中油型エマルジョンを得る。
【0076】
製造は非連続的又は連続的に行うことができる。
【0077】
オルガノポリシロキサンのエマルジョンを製造する技術は知られている。例えば集中的な混合及び分散は、ローター-ステータ攪拌装置、コロイドミル、高圧ホモジナイザー、マイクロチャネル、膜、ジェットノズル及び類似のもの、又は超音波を用いて行うことができる。均質化装置及び方法は、例えば、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、CD-ROM版2003、Wiley-VCH Verlagに、「Emulsions」という見出しの下に記載されている。
【0078】
水中油型エマルジョンは、あらゆる比率で水で希釈することができる。エマルジョンは、少なくとも10.0重量部、特に少なくとも100.0重量部、好ましくは最大で5000重量部、特に最大で1000重量部の量の水を含むことができる。
【0079】
水中油型エマルジョンは、水の画分とは無関係に、25℃における粘度が好ましくは5~10000mm2/s、特に好ましくは5~1000mm2/s、特に好ましくは10~500mm2/sである透明から不透明な液体である。
【0080】
本発明はさらに、前記水中油型エマルジョンで基材を処理する方法に関する。処理は、好ましくはかつ特には多孔性又は非多孔性の、吸収性又は非吸収性基材、好ましくはセルロース、紙、天然及び/又は合成繊維、鉱物建築材料、石、タイル、大理石、金属、塗装金属、ガラス、セラミック、ガラスセラミック、プラスチック、被覆プラスチック、木材、ラミネート、コルク、ゴム、模造皮革、皮革並びに皮膚及び毛髪等の化粧品用途の撥水及び汚れ忌避含浸並びに光沢増強である。
【0081】
特に好ましくは、任意の繊維、特に天然及び合成繊維製品及び機能性材料の処理及び含浸である。
【0082】
水中油型エマルジョンは、布柔軟剤チャンバーに加えて、市販の洗濯機で繊維を含浸させるのに非常に適している。この場合、洗濯物を洗浄サイクルで洗浄し、布柔軟サイクルで前記水中油型エマルジョンに接触させる。洗濯機における時間のかかる第2の処理ステップ、又はその後の含浸のための噴霧による繊維製品の処理はもはや必要ではない。
【0083】
さらに、水中油型エマルジョンは、繊維製品及び一般的な多孔性又は非多孔性の、吸収性又は非吸収性の基材を防水性にし、その光沢を高めるために使用することができるだけではない。むしろ、水中油型エマルジョン(一部は他の添加剤との併用)は、加熱、日光、特に紫外線照射、酸化剤、酸性環境等の環境影響に対する耐性、又は特に色保護、繊維耐性、皺なし、汚れ忌避性、収縮保護、難燃性、蛾保護、抗フェルト仕上げ又は抗菌仕上げ等の繊維製品における仕上げ効果のような他の効果をさらに達成することができる。
【0084】
前記の式の上の全ての記号は、それぞれ互いに独立して定義される。ケイ素原子は全ての式で四価である。重量部の量は、100重量部のポリジメチルシロキサン(P)を参照する。
【0085】
以下の例では、いずれの場合も特に明記しない限り、全ての量及びパーセントは重量に基づいており、全ての圧力は0.10MPa(絶対)であり、全ての温度は20℃である。
【0086】
シリコーン混合物の全成分の合計は100重量%になる。
【0087】
特に記載のない限り、以下の実施例は、周囲大気圧、すなわち約1000hPaで、室温、すなわち約20℃で又は追加の加熱又は冷却なしに室温で反応体を混合した場合に設定された温度で実施される。
【0088】
動的粘度は、DIN EN ISO 3219:1994及びDIN 53019に従ってAnton Paar社の「MCR 302」レオメーターで測定されており、そこでは開口角2°のコーンプレートシステム(コーンCP50-2)が用いられる。この装置は、ドイツ国立計量標準総合センターの10000標準油で較正される。測定温度は25.00℃±0.05℃、測定時間は3分である。粘度の数値(mPasで表示)は、独立して実施された3つの個別の測定値の算術平均である。動的粘度における測定不確実性は1.5%である。せん断速度勾配は粘度に応じて選択され、粘度数値ごとに別々に特定される。
【0089】
動粘性率は、DIN 51562セクション1又はISO/DIS 3105(その較正を含む)に従った定数(例えば、Windaus又はVWR由来)を有するUbbelohde粘度計チューブを用いて、Schott社のViscoSystem(R) AVS 350粘度測定システムにより測定する。測定は25.0℃(±0.1℃)で行う。粘度数値(mm2/sで指定)は、独立して実施された3つの個別の測定値の算術平均である。動粘性率の測定不確実性は1.05%である。測定範囲に応じて、対応する方向定数を有する異なる粘度計チューブを使用する。
【0090】
【0091】
測定範囲、適切な毛細管番号及びVWR実験室カタログ、2011~2013、645.8頁に従った定数に関する情報。
【0092】
1H-NMRスペクトルを、500.13MHzの測定周波数でBruker Avance III HD-NMR分光計(ATMA及びZ勾配を有する5mm広帯域プローブ)でCDCl3中の溶液として記録する。
【0093】
29Si-NMRを90.34MHzの測定周波数でBruker Avance III HD-NMR分光計(ATMA及びZ勾配を有する5mm広帯域プローブ)でC6D6-トルエン中の溶液として記録した。
【0094】
当業者に既知の、次の文献、すなわち、「Ueber die 1H-、13C- und 29Si-NMR chemischen Verschiebungen einiger linearer, verzweigter und cyclischer Methyl-Siloxan-Verbindungen」、[幾つかの直鎖状、分岐状、及び環状メチルシロキサン化合物の1H-、13C-及び29Si-NMRの化学シフトについて]G.Engelhardt,H.Jancke; J. Organometal. Chem. 28(1971)、293-300;「Chapter 8- NMR spectroscopy of organosilicon compounds」、Elizabeth A. Williams、The Chemistry of Organic Silicon Compounds、1989 John Wiley and Sons Ltd、511-533に記載された方法でスペクトルを評価する。
【0095】
アミン価は、測定されるべき物質のグラムに相当するKOHのmmol数を示す。アミン価はDIN 16945 1989-03版に従って測定する。
【実施例0096】
有機溶媒を使用するポリケイ酸塩化合物を有する水中油型エマルジョンの利点を実証するために、これを、有機溶媒ジエチレングリコールブチルエーテルを使用するポリケイ酸塩化合物を有する配合物又はMQメチルシリコーン樹脂を有する配合物(先行技術として)と比較して試験する。
【0097】
試験例で使用されたアミノアルキル基を含むポリジメチルシロキサン(P-1)は、粘度982mPas(25℃、せん断速度10 1/s)、アミン価0.287mmol/gのアミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン単位及びジメチルシロキサン単位から構成された混合ヒドロキシ-/メトキシジメチルシリル末端コポリマーである。
【0098】
試験例で使用されたアミノアルキル基を含むポリジメチルシロキサン(P-2)は、69mm2/sの粘度(毛細管番号IIで25℃で測定)及び0.12mmol/gのアミン価を有するアミノエチルアミノプロピルシロキサン単位及びジメチルシロキサン単位から構成された混合ヒドロキシ-/メトキシジメチルシリル-トリメチルシリル末端コポリマー(68mol%のSiMe3末端基、29mol%のSiMe2OH末端基、3mol%のSiMe2OMe末端基、29Si-NMRにより測定)である。
【0099】
試験例で使用されたケイ酸塩化合物(S-1)は、一般式VIのテトラエトキシケイ酸塩と、一般式VIIの2単位及び一般式VIIIの1~7単位を有するポリケイ酸塩化合物との混合物[ここでR10はエチル基である。]であり、40重量%のSiO2含有率を有する。
【0100】
種々の配合物の調製:
<本発明による配合物E-1>
アミノアルキル基を含むポリジメチルシロキサン(P-1)95.0g及びケイ酸塩化合物(S-1)5.0gを室温で混合し、無色澄明の油状混合物(M-1)を得る。
【0101】
脱塩水7.0g、n-ブチルグリコール(Sigma-Aldrich社の商品名エチレングリコールブチルエーテルで入手可能)12.0g及び酢酸(Brenntag社から入手可能な80%水溶液)0.9gを初めに仕込み、室温で混合する。油状混合物(M-1)17.0g及び脱塩水63.1gをプロペラ撹拌機を用いて室温で連続して撹拌する。半透明の無色のエマルジョン(E-1)を得る。また、このエマルジョンは均質であり、室温及び40℃で6ヶ月間保存した後も安定である。
【0102】
<非発明でDE 10 2014 216 380に類似する比較例配合物VE-2>
脱塩水7.0g、エチレングリコールモノヘキシルエーテル(BASFから市販)2.9g、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(BASFから市販)6.0g及び酢酸(Brenntag社から入手可能な80%水溶液)0.4gを初めに仕込み、室温で混合する。油状混合物(M-1)17.0g、脱塩水64.1g、酢酸0.5g及びジエチレングリコールモノブチルエーテル2.1gをプロペラ撹拌機を用いて室温で連続して撹拌する。無色澄明のエマルジョンが得られる(VE-2)。
【0103】
<非発明でDE 10 2014 216 380に類似する比較例配合物VE-3>
脱塩水7.0g、n-ブチルグリコール(Sigma-Aldrich社の商品名エチレングリコールブチルエーテルで入手可能)9.0g、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(BASF社から市販)3.0g及び酢酸(Brenntag社から入手可能な80%水溶液)0.3gを初めに仕込み、室温で混合する。油状混合物(M-1)17.0g、脱塩水63.5g及び酢酸0.2gをプロペラ撹拌機を用いて室温で連続して撹拌する。無色澄明のエマルジョン(VE-3)を得る。
【0104】
<本発明による配合物E-4>
アミノアルキル基を含むポリジメチルシロキサン(P-2)80.0g及びケイ酸塩化合物(S-1)20.0gを室温で混合し、無色澄明の油状混合物(M-2)を得る。
【0105】
脱塩水7.0g、n-ブチルグリコール(Sigma-Aldrich社の商品名エチレングリコールブチルエーテルで入手可能)12.0g及び酢酸(Brenntag社から入手可能な80%水溶液)0.3gを初めに仕込み、室温で混合する。油状混合物(M-2)25.0g及び脱塩水55.7gをプロペラ撹拌機を用いて室温で連続して撹拌する。半透明の白っぽいエマルジョン(E-4)を得る。また、このエマルジョンは均質で、室温及び40℃で6カ月保存後安定である。
【0106】
<本発明による配合物E-5>
脱塩水10.0g、n-ブチルグリコール(Sigma-Aldrich社の商品名エチレングリコールブチルエーテルで入手可能)17.0g及び酢酸(Brenntag社から入手可能な80%水溶液)0.4gを初めに仕込み、室温で混合する。油状混合物(M-2)35.0g及び脱塩水37.6gをプロペラ撹拌機を用いて室温で連続して撹拌する。わずかに白濁したエマルジョン(E-5)を得る。また、このエマルジョンは均質で、室温及び40℃で6カ月保存後安定である。
【0107】
<適用例>
<適用例1>
撥水性試験(水/アルコール-滴下試験)
この試験法は革又は繊維製品の疎水性仕上げを測定するのに役立つ。
【0108】
革又は繊維製品を含浸させる目的で、エマルジョン(E-1)及び(VE-2)を脱イオン水で5%の活性成分比まで希釈する。
【0109】
試験されるべき処理された試料(皮又は繊維製品)を、試験試料の試験領域の底部に接触しないようにシャーレの上に置く。
【0110】
試験液W(蒸留水)から始め、40μlの液滴を試験試料の3箇所のそれぞれに注意深く置く。これらの位置は、互いに少なくとも2cm離しておかなければならない。試験液を置く間、試料にピペットが触れないようにする。試験中の過度の蒸発を避けるため、試験試料はシャーレで覆う。試料を約45°の角度から、液滴が完全に吸収されるまで観察する。これが再湿潤時間である。5時間後も試料上に液滴が残っている場合は、試験を終了し、時間>300分(繊維製品の場合)と記載する。試験試料が革の場合は、時間は秒(秒)で規定する。次いで、次の試験液で試験を行う。
【0111】
【0112】
評価
疎水性に仕上げられた革又は繊維製品の結果を再湿潤時間と呼ぶ。時間が長いほど、仕上がりがより疎水性である。
【0113】
【0114】
驚くべきことに、本発明の配合物(E-1)及び(E-4)は、ジエチレングリコールブチルエーテルを含む非発明の配合物(VE-2)よりも明らかに優れているようである。
【0115】
ポリジメチルシロキサン(P-1)100重量部に基づいて18.6重量部のジエチレングリコールブチルエーテルのみを含む配合物(VE-3)でさえ、水/イソプロパノール80/20による再湿潤試験において、発明の配合物(E-1)及び(E-4)と比較してかなり短い再湿潤時間を示す。
【0116】
【0117】
本発明による配合物(E-1)は、裏革の含浸にも優れている。
【0118】
<適用例2>
<撥水性の測定(噴霧法)>
適用例1に類似して処理した綿を、シャーレの上で伸ばす。
【0119】
ノズルを用いて250mlの脱塩水を150mmの高さから試験布に連続的に噴霧する。噴霧終了直後、試験布を激しく振り、次いで表面の外観を下記の評価基準に従って評価する。
【0120】
評価:
テンプレートによる評価基準:
100 表面への付着又は表面の湿潤なし
90 表面へのわずかでランダムに分布する付着又は表面の湿潤
80 噴霧点での表面の湿潤
70 表面全体の部分的湿潤
50 表面全体の完全な湿潤
【0121】
【0122】
驚くべきことに、本発明の配合物(E-1)及び(E-4)は、明らかに、ジエチレングリコールブチルエーテルを含む非発明の配合物(VE-2)よりも優れていることが明らかである。
【0123】
<適用例3>
<洗濯機における撥水性の測定>
洗濯機での含浸には、以下の布を使用する。
ポリエステル材料:wfk Testgewebe GmbHからのwfk 30A、100%ポリエステル、幅:100cm、品番30000、布重量約170g/m2
ポリアミド材料:wfk Testgewebe GmbHからのwfk 40A、100%ポリアミド6.6、幅:80cm、品番40000、布重量約75g/m2
【0124】
いずれの場合も、被験される布600gを洗濯機(Novotronic(R) W 941、Miele)のドラムに入れる。試験される配合物100gを布コンディショナーの区画に入れる。その後、スピン(1200回転/分)で40℃の主洗濯サイクルを開始する。洗濯プログラムの完了後、布を洗濯機から取り出し、すぐに乾燥させた後、23℃、相対湿度60%で一晩、気候制御室で空調する。
【0125】
着色水滴の布内への浸透時間を測定することにより、含浸効果を試験する。液滴塗布、使用した試験液及び評価は、適用例1の繊維製品について記載した通りに実施する。
【0126】
【0127】
【0128】
驚くべきことに、本発明の配合物(E-1)及び(E-5)は優れた含浸効果を有し、明らかにジエチレングリコールブチルエーテルを含む非発明の配合物(VE-2)よりも優れていることが明らかである。
【0129】
<適用例4>
<多孔性基材における撥水性の測定>
重量増加による木材に対する撥水性の測定
【0130】
試験材料としてブナ材及びトウヒで作った辺長3cmの木製立方体を用いる。
【0131】
木製立方体の一端面を試験液中に約1cmの深さに5秒間浸した後、ティッシュペーパーでたたく。
【0132】
室温で乾燥(3日間)後、分析てんびん(AE 200型、ドイツ、Mettler-Toledo GmbH)で立方体の重量(g1)を測定する。その後、立方体の処理面を水中で約0.5cmの深さに置き、取り出してティッシュペーパーでたたき、重量(g2)を求める。
【0133】
重量増加[%]:Δg=(g2-g1)/g1×100
【0134】
重量増加が少ないほど、含浸効果は良好である。
【0135】
木製立方体を含浸させる目的で、エマルジョン(E-1)を脱イオン水で5%の活性成分率まで希釈する。
【0136】
【0137】
本発明による配合物(E-1)は、多孔性基材としての木材の場合に優れた含浸効果を示す。
【0138】
大理石の性質
大理石(黄色のジュラ石灰石、片側研磨、5×5×1cm、ハーブスト・バーグハウゼン)の処理:
【0139】
大理石を含浸させる目的で、エマルジョン(E-1)を脱イオン水で2%又は5%の活性成分率まで希釈する。
【0140】
ボウルを2%又は5%の試験溶液で約0.2~0.5cmの深さまで満たす。約1~5秒間、大理石スラブの研磨側を溶液に入れてから取り出し、表面に液滴が見えなくなるように、研磨側を化粧用ティッシュペーパーで穏やかに拭き取る。大理石スラブをRT(20℃)で乾燥するまで放置する。3日後、水滴の接触角測定により大理石の疎水性を測定し、大豆油とインクによって汚れ忌避を測定し、光沢測定装置により光沢の変化を測定した。
【0141】
撥水性の測定
処理した大理石の耐水性を、接触角測定装置(Rame-hart Inc.、米国)により、未処理及び処理した大理石の表面上の水滴の接触角を測定することにより測定する。使用する脱塩水の液滴サイズは0.01mlである。
【0142】
【0143】
本発明による配合物(E-1)は、多孔性基材としての大理石に対して優れた撥水効果を示し、そのことは未処理の大理石スラブと比較して明らかに増加した接触角によって示される。
【0144】
汚れ忌避性の測定
大豆油(ラプンツェル有機大豆油、アマゾンから市販)及び青いインク(ペン用ペリカン4001インクカートリッジ、アマゾンから市販)0.4ml滴を未処理及び処理済大理石の表面に置く。5分後、大理石をティッシュペーパーで拭き取り、残りの染みの外観を視覚的に評価する。
【0145】
【0146】
本発明による製剤(E-1)は、特に未処理の大理石スラブと比較して、多孔性基材としての大理石に対して優れた汚れ忌避効果を示す。
【0147】
光沢の変化の測定
ビーム角度20°で光沢測定装置(マイクロトリグロス、Byk Gardner)により、大理石の未処理及び処理表面で光沢を測定する。未処理大理石と処理大理石の光沢値の相違が、表に明記された光沢の変化である。
【0148】
【0149】
大理石多孔性基材では、本発明による配合物(E-1)による処理によって、驚くほど明瞭に光沢が増加する。
【0150】
<適用例5>
滑らかな基材上での特性の測定
滑らかな基材を含浸する目的で、黒の艶消しプラスチックシート(素材:ABS、Narbung 3、150×100×3mm、ウルムのMerck & Partner GmbHより市販)を使用する。
【0151】
エマルジョン(E-4)0.5mlをこのプラスチックシートの上に置き、化粧用ティッシュペーパーで磨く。シートをRT(20℃)で24時間放置する。光沢の変化は光沢測定装置を用いて測定し、防水試験は飲料水で短時間すすぐ(約10秒)ことにより試験する。
【0152】
光沢の変化の測定
光沢は、プラスチックシートの未処理及び処理表面においてビーム角度85°で光沢測定装置(マイクロトリグロス、Byk Gardner)を用いて測定する。未処理プラスチックシートと処理プラスチックシートの光沢値の相違が表に明記された光沢の変化である。
【0153】
【0154】
プラスチックの滑らかな基材では、本発明の配合物(E-4)による処理によって驚くほど明瞭に光沢が増加するが、この光沢増加は水による処理後も変わらない。