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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008194
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】非接触給電設備
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20230112BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20230112BHJP
   H02J 50/40 20160101ALI20230112BHJP
   H02J 50/80 20160101ALI20230112BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20230112BHJP
【FI】
H02J7/00 301D
H02J50/10
H02J50/40
H02J50/80
H02J7/00 303C
H02J7/02 J
H02J7/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021111557
(22)【出願日】2021-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100170818
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 秀輝
(72)【発明者】
【氏名】野武 幸輝
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503AA04
5G503BA04
5G503BB01
5G503CA10
5G503FA06
5G503GB08
(57)【要約】
【課題】簡易な構成によって、消費する電力が上限を超えないように管理する。
【解決手段】非接触給電設備1は、商用電源100から受けた交流の前段入力電力を直流の前段出力電力に変換すると共に、前段出力電力を出力する出力端91を複数有する力率改善装置2と、力率改善装置2の出力端91のそれぞれに接続されると共に、出力端91から受けた直流の前段出力電力を含む直流の後段入力電力を、交流の後段出力電力に変換する複数のインバータ31と、複数のインバータ31のそれぞれに接続されると共に、後段出力電力を受ける複数の送電コイル32と、力率改善装置2に出力される前段入力電力が商用電源100の許容電力を超過しないように制御する制御装置4と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源から受けた交流の前段入力電力を直流の前段出力電力に変換すると共に、前記前段出力電力を出力する出力端を複数有する前段電力変換部と、
前記前段電力変換部の前記出力端のそれぞれに接続されると共に、前記出力端から受けた直流の前記前段出力電力を含む直流の後段入力電力を、交流の後段出力電力に変換する複数の後段電力変換部と、
複数の前記後段電力変換部のそれぞれに接続されると共に、前記後段出力電力を受ける複数のコイルと、
前記前段電力変換部に出力される前記前段入力電力が前記外部電源の許容電力を超過しないように制御するコントローラと、を備える、非接触給電設備。
【請求項2】
前記後段入力電力は、前記前段出力電力のみによって構成され、
前記前段電力変換部は、
前記前段入力電力を受けて、前記前段入力電力が整流された直流の中間電力を出力する整流部と、
前記中間電力を受けて、前記中間電力の電圧が変圧された前記前段出力電力を出力する変圧部と、を有し、
前記コントローラは、
前記前段出力電力の電圧として第1電圧を前記変圧部に指示する動作と、
前記第1電圧である前記前段出力電力を前記前段電力変換部が出力したときに、前記前段入力電力に関する情報を得て、前記前段入力電力に関する情報と閾値とを比較する動作と、
前記前段入力電力に関する情報が閾値以下ではない場合に、前記前段出力電力の電圧として前記第1電圧よりも低い第2電圧を前記変圧部に指示する動作と、を実行する、請求項1に記載の非接触給電設備。
【請求項3】
前記変圧部は、前記コントローラの指示に対応する値まで、前記中間電力の電圧を昇圧する昇圧部を含む、請求項2に記載の非接触給電設備。
【請求項4】
前記変圧部は、
前記中間電力の電圧を所定の電圧まで昇圧する昇圧部と、
前記コントローラの指示に対応する値まで、前記昇圧部が出力する電力の電圧を下げる降圧部と、を含む、請求項2に記載の非接触給電設備。
【請求項5】
前記変圧部が有する前記降圧部の数は、前記後段電力変換部の数と同じであり、
前記降圧部は、前記後段電力変換部に対して直列に配置されている、請求項4に記載の非接触給電設備。
【請求項6】
前記変圧部が有する前記降圧部の数は、1個であり、
前記降圧部は、前記昇圧部を前記後段電力変換部に接続する配線に対して並列に接続されている、請求項4に記載の非接触給電設備。
【請求項7】
前記後段入力電力は、前記前段出力電力と、補助電力と、によって構成され、
前記後段電力変換部に対して接続されて、前記後段電力変換部に前記補助電力を出力する補助電力出力部をさらに備え、
前記コントローラは、前記補助電力出力部を制御する、請求項1~6の何れか一項に記載の非接触給電設備。
【請求項8】
前記補助電力出力部は、複数の前記後段電力変換部のうちの少なくとも1台の前記後段電力変換部であり、
前記補助電力出力部としての前記後段電力変換部は、前記コイルから交流のコイル出力電力を受けて、前記コイル出力電力を直流の前記補助電力に変換し、
前記コントローラは、
前記前段出力電力を前記前段電力変換部が出力したときに、前記前段入力電力に関する情報を得て、前記前段入力電力に関する情報と閾値とを比較する動作と、
前記前段入力電力に関する情報が閾値以下ではない場合に、前記補助電力出力部としての前記後段電力変換部から前記補助電力を出力させる動作と、を実行する、請求項7に記載の非接触給電設備。
【請求項9】
前記補助電力出力部は、バッテリであり、
前記コントローラは、
前記前段出力電力を前記前段電力変換部が出力したときに、前記前段入力電力に関する情報を得て、前記前段入力電力に関する情報と閾値とを比較する動作と、
前記前段入力電力に関する情報が閾値以下である場合に、前記前段出力電力を前記バッテリに充電させる動作と、
前記前段入力電力に関する情報が閾値以下ではない場合に、前記バッテリから前記補助電力を放電させる動作と、を実行する、請求項7に記載の非接触給電設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触給電設備に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1~5は、非接触給電装置に関する技術を開示する。例えば、特許文献1は、非接触給電装置の基本的な電気回路の構成を開示する。特許文献2~5は、1つの電源装置から複数の送電装置に電力を出力する回路を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6075173号
【特許文献2】特許第6187384号
【特許文献3】特開2011-130569号公報
【特許文献4】特許第5927582号
【特許文献5】特開2006-87214号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、駐車場などには、複数の非接触給電装置を備えた非接触給電設備を設置することがある。非接触給電設備は、全ての非接触給電装置が送電する状態もあり得るし、一部の非接触給電装置が送電することもあり得る。また、送電が開始されるタイミング及び送電が停止されるタイミングも、非接触給電装置ごとに異なる。そうすると、非接触給電設備が消費する電力は、送電する非接触給電装置の数によって増減する。送電する非接触給電装置の数が増えると、消費する電力が増大する。
【0005】
一方、非接触給電設備が消費できる電力は、無制限ではない。非接触給電設備が消費できる電力の上限は、例えばブレーカの容量によって決まる。また、電力の上限は、電力会社との契約によって定められる電力容量などによっても決まる。そうすると、非接触給電装置の稼働状況によっては、消費できる電力の上限を超えてしまう場合もあり得る。従って、非接触給電設備は、消費する電力が上限を超えないように管理する必要があった。
【0006】
本発明は、簡易な構成によって、消費する電力が上限を超えないように管理できる非接触給電設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態である非接触給電設備は、外部電源から受けた交流の前段入力電力を直流の前段出力電力に変換すると共に、前段出力電力を出力する出力端を複数有する前段電力変換部と、前段電力変換部の出力端のそれぞれに接続されると共に、出力端から受けた直流の前段出力電力を含む直流の後段入力電力を、交流の後段出力電力に変換する複数の後段電力変換部と、複数の後段電力変換部のそれぞれに接続されると共に、後段出力電力を受ける複数のコイルと、前段電力変換部に出力される前段入力電力が外部電源の許容電力を超過しないように制御するコントローラと、を備える。
【0008】
非接触給電設備は、コントローラを備えている。コントローラは、前段電力変換部に出力される前段入力電力が外部電源の許容電力を超過しないように制御する。つまり、非接触給電設備は、上限を超過させない電力の管理をコントローラが実行する制御によって実現できる。従って、簡易な構成によって、消費する電力が上限を超えないように管理できる。
【0009】
上記の非接触給電設備の後段入力電力は、前段出力電力のみによって構成され、前段電力変換部は、前段入力電力を受けて、前段入力電力が整流された直流の中間電力を出力する整流部と、中間電力を受けて、中間電力の電圧が変圧された前段出力電力を出力する変圧部と、を有し、コントローラは、前段出力電力の電圧として第1電圧を変圧部に指示する動作と、第1電圧である前段出力電力を前段電力変換部が出力したときに、前段入力電力に関する情報を得て、前段入力電力に関する情報と閾値とを比較する動作と、前段入力電力に関する情報が閾値以下ではない場合に、前段出力電力の電圧として第1電圧よりも低い第2電圧を変圧部に指示する動作と、を実行してもよい。この構成によれば、前段電力変換部を制御することによって、複数の後段電力変換部に出力される電力を一括して抑制することが可能になる。従って、簡易な構成で消費電力の管理を実行することができる。
【0010】
上記の非接触給電設備の変圧部は、コントローラの指示に対応する値まで、中間電力の電圧を昇圧する昇圧部を含んでもよい。この構成によれば、変圧部の構成を簡易にすることができる。
【0011】
上記の非接触給電設備の変圧部は、中間電力の電圧を所定の電圧まで昇圧する昇圧部と、コントローラの指示に対応する値まで、昇圧部が出力する電力の電圧を下げる降圧部と、を含んでもよい。この構成によれば、昇圧部の回路構成を簡易にすることができる。
【0012】
上記の非接触給電設備の変圧部が有する降圧部の数は、後段電力変換部の数と同じであり、降圧部は、後段電力変換部に対して直列に配置されてもよい。この構成によれば、前段電力変換部を後段電力変換部に接続する配線の構成を簡易にすることができる。
【0013】
上記の非接触給電設備の変圧部が有する降圧部の数は、1個であり、降圧部は、昇圧部を後段電力変換部に接続する配線に対して並列に接続されてもよい。この構成によれば、変圧部が含む降圧部が1つであるので、変圧部の構成を簡易にすることができる。
【0014】
上記の非接触給電設備の後段入力電力は、前段出力電力と、補助電力と、によって構成され、後段電力変換部に対して接続されて、後段電力変換部に補助電力を出力する補助電力出力部をさらに備え、コントローラは、補助電力出力部を制御してもよい。この構成によれば、不足する電力を補助電力出力部から出力される補助電力によって賄うことができる。
【0015】
上記の非接触給電設備の補助電力出力部は、複数の後段電力変換部のうちの少なくとも1台の後段電力変換部であり、補助電力出力部としての後段電力変換部は、コイルから交流のコイル出力電力を受けて、コイル出力電力を直流の補助電力に変換し、コントローラは、前段出力電力を前段電力変換部が出力したときに、前段入力電力に関する情報を得て、前段入力電力に関する情報と閾値とを比較する動作と、前段入力電力に関する情報が閾値以下ではない場合に、補助電力出力部としての後段電力変換部から補助電力を出力させる動作と、を実行してもよい。この構成によれば、いくつかの後段電力変換部を、補助電力出力部として利用することができる。従って、補助電力出力部としての構成物を追加で設ける必要がないので、非接触給電設備の構成を簡易にすることができる。
【0016】
上記の非接触給電設備の補助電力出力部は、バッテリであり、コントローラは、前段出力電力を前段電力変換部が出力したときに、前段入力電力に関する情報を得て、前段入力電力に関する情報と閾値とを比較する動作と、前段入力電力に関する情報が閾値以下である場合に、前段出力電力をバッテリに充電させる動作と、前段入力電力に関する情報が閾値以下ではない場合に、バッテリから補助電力を放電させる動作と、を実行してもよい。この構成によれば、バッテリから補助電力を出力することができる。さらに、余剰の電力をバッテリに蓄えることもできる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の非接触給電設備は、簡易な構成によって、消費する電力が上限を超えないように管理できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、第1実施形態の非接触給電設備を示すブロック図である。
図2図2(a)は、図1に示す整流回路の一例である。図2(b)は、図1に示す昇圧DCDCコンバータの一例である。図2(c)は、図1に示すインバータの一例である。
図3図3は、第1実施形態の非接触給電設備が備える制御装置の動作を示すフロー図である。
図4図4は、図1に示す制御装置の構成を示す一例である。
図5図5(a)~図5(f)は、第1実施形態の非接触給電設備の動作例を説明するためのチャートである。
図6図6は、第1変形例の非接触給電設備を示すブロック図である。
図7図7は、図6に示す降圧DCDCコンバータの一例である。
図8図8は、第2変形例の非接触給電設備を示すブロック図である。
図9図9は、第2実施形態の非接触給電設備を示すブロック図である。
図10図10は、第2実施形態の非接触給電設備が備える制御装置の動作を示すフロー図である。
図11図11(a)~図11(f)は、第2実施形態の非接触給電設備の動作例を説明するためのチャートである。
図12図12は、第3実施形態の非接触給電設備を示すブロック図である。
図13図13は、図12に示す昇降圧DCDCコンバータの一例である。
図14図14は、第3実施形態の非接触給電設備が備える制御装置の動作を示すフロー図である。
図15図15(a)~図15(g)は、第3実施形態の非接触給電設備の動作例を説明するためのチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して非接触給電設備について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一の要素同士、あるい、相当する要素同士には、互いに同一の符号を付す。そして、重複する説明を省略する場合がある。
【0020】
<第1実施形態>
図1に示す非接触給電設備1は、複数の給電対象物200に非接触で電力を送電する。非接触給電設備1から給電対象物200への送電には、例えば、周波数が85kHzである電磁波が用いられる。
【0021】
給電対象物200は、例えば、バッテリを搭載した電気自動車である。給電対象物200は、受電コイル201と、整流器202と、バッテリ203と、を有する。受電コイル201は、非接触給電設備1から非接触で電力を受電する。なお、受電コイル201は、非接触給電設備1に電力を送電することも可能である。整流器202は、受電コイル201から出力された高周波の交流電力を別の態様の電力に変換する。整流器202は、例えば85kHzの交流電力を、直流電力に変換する。整流器202が出力する直流電力は、バッテリ203に充電される。
【0022】
なお、給電対象物200は、電気自動車に限定されず、電力の提供を要する様々な移動体であってよい。非接触給電設備1は、例えば、複数の車両を収容可能な駐車場に設置される。また、非接触給電設備1は、道路わきの路側帯などに設置されてもよい。
【0023】
非接触給電設備1は、1台の力率改善装置2と、複数の非接触給電装置3と、制御装置4と、を有する。
【0024】
第1実施形態では、力率改善装置2は、前段電力変換部に相当する。従って、力率改善装置2が商用電源100から受ける電力は、前段入力電力である。また、力率改善装置2が非接触給電装置3に出力する電力は、前段出力電力である。力率改善装置2は、商用電源100といった外部電源に接続されている。力率改善装置2は、商用電源100から受けた電力を、非接触給電装置3が要求する態様の電力に変換する。例えば、力率改善装置2は、商用電源100から周波数が50Hz又は60Hzの交流電力を受ける。そして、力率改善装置2は、非接触給電装置3の求めに応じて、それぞれの非接触給電装置3に電力を出力する。力率改善装置2は、例えば、500V以下の電圧を有する直流電力を非接触給電装置3に出力する。
【0025】
力率改善装置2は、1台の非接触給電装置3に電力を出力することが可能である。また、力率改善装置2は、2台以上の複数の非接触給電装置3に電力を出力することも可能である。つまり、力率改善装置2が電力を出力可能な非接触給電装置3の数は、後述する商用電源100の制限容量を満たす限り、特に制限はない。さらに、複数の非接触給電装置3に電力を出力する場合において、電力の出力を開始するタイミング及び電力の出力を停止するタイミングにも、特に制限はない。
【0026】
図1には、力率改善装置2に対して、3台の非接触給電装置3が接続された構成を図示する。つまり、複数の非接触給電装置3は、1台の力率改善装置2を共有しているともいえる。さらに、非接触給電設備1は、力率改善装置2の出力である直流電源バスを分岐すると共に、複数のインバータ31と送電コイル32とを力率改善装置2に対して互いに並列に接続する。力率改善装置2に接続する非接触給電装置3の数は、2台以上であればよい。従って、力率改善装置2は、複数の出力端91を有する。出力端91は、力率改善装置2に複数の非接触給電装置3を接続可能な構成を要素として示したものであり、物理的又は仮想的な要素であってよい。つまり、出力端91は、コネクタといった物理的な部品に限定されない。
【0027】
力率改善装置2は、整流回路21と、昇圧DCDCコンバータ22(昇圧部)と、を有する。整流回路21及び昇圧DCDCコンバータ22を有する力率改善装置2は、いわゆる力率改善回路(PFC:POWER FACTOR CORRECTION)として機能する。第1実施形態では、整流回路21は、整流部に相当する。さらに、第1実施形態では、昇圧DCDCコンバータ22は、変圧部に相当する。
【0028】
整流回路21は、交流電力を直流電力に変換する。整流回路21の具体的な回路構成には、特に制限はないが、例えば図2(a)に図示するような回路を採用してよい。整流回路21は、4個のダイオード211、212、213、214により構成される。ダイオード211は、ダイオード212に対して直列に接続される。ダイオード213は、ダイオード214に対して直列に接続される。ダイオード211、212の組は、ダイオード213、214の組に対して並列に接続される。整流回路21の第1の入力21aには、ダイオード211の入力が接続される。整流回路21の第2の入力21bには、ダイオード213の入力が接続される。整流回路21の第1の出力21cには、ダイオード211、213の出力が接続される。整流回路21の第2の出力21dには、ダイオード212、214の出力が接続される。
【0029】
非接触給電装置3では、受け入れた直流電力の電圧が高まると送電電力が増加する。逆に、非接触給電装置3では、受け入れた直流電力の電圧が低くなると送電電力が減少する。従って、昇圧DCDCコンバータ22が、非接触給電装置3に与える電力の電圧を所定の電圧に変圧することによって、非接触給電装置3の送電電力を制御することができる。昇圧DCDCコンバータ22は、入力された直流電力の電圧を昇圧する。従って、昇圧DCDCコンバータ22が出力する電力の電圧は、入力された電力の電圧よりも高い。昇圧DCDCコンバータ22の具体的な回路構成には、特に制限はないが、例えば図2(b)に図示するような回路を採用してよい。
【0030】
昇圧DCDCコンバータ22は、インダクタ221と、スイッチ機能部222と、ダイオード223とによって構成される。スイッチ機能部222は、トランジスタ22tとダイオード22dとを有する。トランジスタ22tとダイオード22dとは、互いに並列に接続されている。昇圧DCDCコンバータ22の第1の入力22aと第1の出力22cとの間には、インダクタ221とダイオード223とが配置されている。インダクタ221は、第1の入力22aに接続されている。ダイオード223は、第1の出力22cに接続されている。昇圧DCDCコンバータ22の第2の入力22bは、配線225によって第2の出力22eに接続されている。インダクタ221とダイオード223とをつなぐ配線224と、第2の入力22bと第2の出力22eとをつなぐ配線225との間には、スイッチ機能部222が接続されている。
【0031】
昇圧DCDCコンバータ22は、制御装置4が出力する制御信号θを受ける。昇圧DCDCコンバータ22が出力する電力の電圧は、制御信号θに従う。昇圧DCDCコンバータ22は、スイッチング素子として機能するトランジスタ22tのオンオフ制御によって、出力する電力の電圧を制御する。制御信号θは、トランジスタ22tのゲートに出力される。
【0032】
非接触給電装置3は、それぞれ同じ構成を有する。非接触給電装置3は、給電対象物200に対して送電する位置に設置される。従って、力率改善装置2からそれぞれの非接触給電装置3までの距離は、比較的長い。また、力率改善装置2からそれぞれの非接触給電装置3までの距離は、非接触給電装置3が配置される位置によって決まる。従って、力率改善装置2からそれぞれの非接触給電装置3までの距離は、非接触給電装置3ごとに互いに異なっていてもよい。
【0033】
非接触給電装置3は、インバータ31と、送電コイル32と、を有する。
【0034】
第1実施形態では、インバータ31は、後段電力変換部に相当する。従って、インバータ31が受ける電力は、後段入力電力である。また、第1実施形態では、非接触給電装置3は、力率改善装置2のみから電力を受ける。従って、1又は複数のインバータ31が受ける後段入力電力の総和は、力率改善装置2が出力する前段出力電力と等しい。
【0035】
インバータ31は、力率改善装置2に接続されている。インバータ31は、力率改善装置2から直流電力を受ける。インバータ31は、受けた直流電力を送電コイル32が要求する所定の交流電力に変換する。インバータ31の具体的な回路構成には、特に制限はないが、例えば図2(c)に図示するような回路を採用してよい。
【0036】
インバータ31は、トランジスタ31tとダイオード31dとが並列接続された4個のスイッチ機能部311、312、313、314を有する。スイッチ機能部311は、スイッチ機能部312に対して直列に接続されている。スイッチ機能部313は、スイッチ機能部314に対して直列に接続されている。スイッチ機能部311、312の組は、スイッチ機能部313、314の組に対して並列に接続されている。スイッチ機能部311、312の組及びスイッチ機能部313、314の組の一方の端部は、インバータ31の第1の出力31cに接続されている。スイッチ機能部311、312の組及びスイッチ機能部313、314の組の他方の端部は、インバータ31の第2の出力31eに接続されている。スイッチ機能部311、312をつなぐ配線には、インバータ31の第2の入力31bが接続されている。スイッチ機能部313、314をつなぐ配線には、インバータ31の第1の入力31aが接続されている。
【0037】
送電コイル32は、給電対象物200が搭載する受電コイル201に対して、非接触給電で電力を伝送する。送電コイル32は、筐体に収容されている。筐体は、送電コイル32に加えて、磁性部材であるフェライト板及び共振回路といった部品を収容してもよい。例えば、筐体は、インバータ31を収容してもよい。送電コイル32は、リッツ線などの導線が巻き回されたスパイラルコイルやサーキュラコイルとも称される渦巻き状のコイルである。なお、送電コイル32は、その他の種類のものを採用してもよい。例えば、送電コイル32として、ソレノイド型のコイルを採用してもよい。
【0038】
制御装置4は、力率改善装置2が商用電源100から受ける電力が上限値を超えることがないように、非接触給電設備1を稼働させる。具体的には、制御装置4は、電流計92の値が上限値を超えないように、力率改善装置2のDCバス電圧を制御する。この機能は、制御装置4が力率改善装置2を制御することによって、実現される。
【0039】
図3は、制御装置4の動作を示すフロー図である。
【0040】
はじめに、制御装置4は、初期状態としてゼロである出力電圧を設定する。なお、以下の説明でいう「出力電圧」は、図1に示す電圧計93によって知ることができる。つぎに、制御装置4は、出力電圧をあらかじめ定めた増加分だけ増加させる制御信号θを出力する(ステップS101)。増加分は、例えば、出力電圧の最大許容値よりも小さい。
【0041】
制御装置4は、入力電流を上限値と比較する(ステップS102)。まず、制御装置4は、入力電流を取得する。入力電流は、商用電源100と力率改善装置2とを接続する配線に設けられた電流計92から取得できる。入力電流は、商用電源100から力率改善装置2へ出力される前段入力電力に関する情報φの一例である。前段入力電力に関する情報φは、入力電流の他に、商用電源100から力率改善装置2へ出力される電力を採用してもよい。次に、制御装置4は、入力電流が上限値を超えたか否かを判定する。
【0042】
ステップS102において、入力電流が上限値を超えていないと判定された場合(ステップS102:NO)には、制御装置4は、出力電圧を増加させる制御信号θを出力する(ステップS101)。出力電圧が増加すると、商用電源100から力率改善装置2へ出力される入力電流が増加する。制御装置4は、入力電流が上限値を超えていない場合において、入力電流と上限値との比較(ステップS102)と、出力電圧を増加させる制御信号θの出力(ステップS101)と、を繰り返す。この繰り返しによると、入力電流が上限値を超えていない場合には、出力電圧は徐々に増加する。
【0043】
ステップS102において、入力電流が上限値を超えたと判定された場合(ステップS102:YES)には、制御装置4は、出力電圧を低下させる制御信号θを出力する(ステップS103)。出力電圧が下がると、商用電源100から力率改善装置2へ出力される入力電流が減少する。ステップS103の後に、制御装置4は、再び入力電流と上限値とを比較する(ステップS102)。つまり、制御装置4は、入力電流が上限値を超えている場合において、入力電流と上限値との比較(ステップS102)と、出力電圧を低下させる制御信号θの出力(ステップS103)と、を繰り返す。この繰り返しによると、入力電流が上限値を超えている場合には、出力電圧は徐々に低下する。
【0044】
制御装置4は、例えばコンピュータであり、当該コンピュータがプログラムを実行することによって、上記の動作が実現される。図1に示すように制御装置4は、上記の動作を実現するための機能的構成要素を有する。制御装置4は、データ取得部4aと、入力電流判定部4bと、電圧制御部4cと、を有する。これらの要素が奏する機能は、CPUによってプログラムが実行されることによって実現する。
【0045】
データ取得部4aは、外部装置から前段入力電力に関する情報を受け入れる。外部装置とは、例えば電流計92である。なお、データ取得部4aは、データ取得部4aは、電流計92から入力電流を受け入れる。データ取得部4aは、ステップS102の一部を実行する。なお、データ取得部4aに対して前段入力電力に関する情報を出力する外部装置は、電流計92に限定されない。データ取得部4aは、商用電源100に設けられた電力計から前段入力電力に関する情報としての電力値を得てもよい。
【0046】
入力電流判定部4bは、前段入力電力に関する情報と閾値とを比較する。閾値とは、上限値である。上限値は、ブレーカ容量、契約電力の容量などによってあらかじめ設定される。第1実施形態の制御装置4は、上限値として入力電流を採用する。上限値には、入力電流の他に電力を採用してもよい。入力電流判定部4bは、データ取得部4aが取得した入力電流と上限値とを比較する。つまり、入力電流判定部4bは、ステップS102の一部を実行する。そして、入力電流判定部4bは、比較の結果として、「入力電流が上限値を超えた」という結果及び「入力電流が上限値を超えていない」という結果のいずれかを出力する。
【0047】
電圧制御部4cは、入力電流判定部4bの結果に応じて、力率改善装置2に出力させる出力電圧を決める。電圧制御部4cは、「入力電流が上限値を超えた」という結果に基づいて、電圧制御部4cは、出力電圧を低下させる。電圧制御部4cは、「入力電流が上限値を超えていない」という結果に基づいて、電圧制御部4cは、出力電圧を増加させる。つまり、電圧制御部4cは、ステップS101及びステップS103の動作を実行する。
【0048】
制御装置4は、図4に示すハードウェア構成を備えるコンピュータによって実現される。制御装置4は、1又は複数のコンピュータを含む。コンピュータは、プロセッサ41と、主記憶部42と、補助記憶部43と、通信制御部44と、入力装置45と、出力装置46とを有する。制御装置4は、これらのハードウェアと、プログラム等のソフトウェアとにより構成された1又は複数のコンピュータによって構成される。
【0049】
制御装置4が複数のコンピュータによって構成される場合には、これらのコンピュータはローカルで接続されてもよいし、インターネット又はイントラネットなどの通信ネットワークを介して接続されてもよい。この接続によって、論理的に1つの制御装置4が構築される。
【0050】
プロセッサ41は、オペレーティングシステムやアプリケーション・プログラムなどを実行する。主記憶部42は、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)により構成される。補助記憶部43は、ハードディスクおよびフラッシュメモリなどにより構成される記憶媒体である。補助記憶部43は、一般的に主記憶部42よりも大量のデータを記憶する。通信制御部44は、ネットワークカード又は無線通信モジュールにより構成される。補助記憶部43は、一般的に主記憶部42よりも大量のデータを記憶する。入力装置45は、キーボード、マウス、タッチパネル、および、音声入力用マイクなどにより構成される。出力装置46は、ディスプレイおよびプリンタなどにより構成される。
【0051】
補助記憶部43は、予め、プログラムおよび処理に必要なデータを格納している。プログラムは、制御装置4の各機能要素をコンピュータに実行させる。プログラムによって、例えば、上述した電力調整方法に係る処理がコンピュータにおいて実行される。例えば、プログラムは、プロセッサ41又は主記憶部42によって読み込まれ、プロセッサ41、主記憶部42、補助記憶部43、通信制御部44、入力装置45、および出力装置46の少なくとも1つを動作させる。例えば、プログラムは、主記憶部42および補助記憶部43におけるデータの読み出しおよび書き込みを実行する。
【0052】
プログラムは、例えば、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどの有形の記憶媒体に記録された上で提供されてもよい。プログラムは、データ信号として通信ネットワークを介して提供されてもよい。
【0053】
<動作例の説明>
次に、非接触給電設備1の動作例について、図5を参照しながら説明する。動作例では、非接触給電設備1において、給電対象物200が0台である状態から4台である状態まで、1台ずつ増えていく場合を仮定する。そして、給電対象物200が4台である状態から2台である状態まで、充電が完了したものから順に1台ずつ減る場合を仮定する。入力電流の上限値として、120Aを例示する。出力電圧の上限値として、500Vを例示する。また、商用電源100からの入力電流が上限値に達していない場合には、出力電圧は、出力が可能な最大の電圧に設定される。その結果、電力を出力すべきインバータ31に提供する電力を最大化できる。
【0054】
図5(a)は商用電源100から力率改善装置2に出力される入力電流(グラフG5a)を示す。図5(b)は、力率改善装置2が出力する出力電力(グラフG5c)を示す。図5(c)は、1台目の給電対象物200に出力される電力(グラフG5d)と、給電対象物200が有するバッテリ203の残量(グラフG5e)と、を示す。図5(d)は、2台目の給電対象物200に出力される電力(グラフG5f)と、給電対象物200が有する電池の残量(グラフG5g)と、を示す。図5(e)は、3台目の給電対象物200に出力される電力(グラフG5h)と、給電対象物200が有するバッテリ203の残量(グラフG5i)と、を示す。図5(f)は、4台目の給電対象物200に出力される電力(グラフG5j)と、給電対象物200が有するバッテリ203の残量(グラフG5k)と、を示す。
【0055】
<給電対象物が0台である場合:状態C1>
それぞれの給電対象物200へ出力される電力は、いずれも0kWである。入力電流は、0Aである。出力電圧は、500Vである。
【0056】
<給電対象物が0台から1台に増えた場合:状態C2>
1台目の給電対象物200に対して10kWの電力が出力される。2台目、3台目及び4台目の給電対象物200へ出力される電力は、0kWである。この場合に、入力電流は、50Aである。電力に換算すると、10kWである。つまり、給電対象物200が1台であるときは、入力電流は、上限値(120A)を超えない。従って、出力電圧を下げる必要はないので、出力電圧は、500Vが維持される。
【0057】
<給電対象物が1台から2台に増えた場合:状態C3>
1台目及び2台目の給電対象物200に対してそれぞれ10kWの電力が出力される。3台目及び4台目の給電対象物200へ出力される電力は、0kWである。この場合に、入力電流は、100Aである。電力に換算すると、20kWである。つまり、給電対象物200が2台であるときも、入力電流は、上限値(120A)を超えない。従って、出力電圧を下げる必要はないので、出力電圧は、500Vが維持される。
【0058】
<給電対象物が2台から3台に増えた場合:状態C4>
仮に、1台目、2台目及び3台目の給電対象物200に対してそれぞれ10kWの電力を出力すると仮定する。4台目の給電対象物200へ出力される電力は、0kWである。仮に、制御装置4が入力電流を抑制する制御を実行しない場合には、入力電流は、150Aとなってしまう(破線で示すグラフG5b参照)。電力に換算すると、24kWである。制御装置4が入力電流を抑制する制御を実行した場合には、制御装置4は、ステップS102及びステップS103を入力電流が上限値(120A)を下回るまで繰り返す。ステップS102及びステップS103の繰り返しの結果、出力電圧は次第に低下する。そして、制御装置4は、入力電流が上限値120Aを下回った出力電圧(例えば400V)を維持する。入力電流を抑制する制御を実行した場合には、出力電圧が500Vから400Vに低下するので、給電対象物200に対して10kWの電力を出力できない。出力電圧が400Vである場合には、それぞれの給電対象物200には、8kWの電力が出力される。換言すると、入力電流の上限値が120Aである場合には、電力の上限値は24kWである。そして、複数の給電対象物200は、この24kWの電力を分け合う。仮に、均等に分け合うとすれば、3台の給電対象物200は、それぞれ8kWの電力を受けることができる。
【0059】
<給電対象物が3台から4台に増えた場合:状態C5>
仮に、1台目、2台目、3台目及び4台目の給電対象物200に対してそれぞれ10kWの電力を出力すると仮定する。仮に、制御装置4が入力電流を抑制する制御を実行しない場合には、入力電流は、200Aとなってしまう(破線で示すグラフG5b参照)。電力に換算すると、40kWである。制御装置4は、ステップS102及びステップS103を入力電流が上限値(120A)を下回るまで繰り返す。ステップS102及びステップS103の繰り返しの結果、出力電圧は、400Vからさらに次第に低下する。そして、制御装置4は、入力電流が上限値120Aを下回った出力電圧(例えば300V)を維持する。入力電流を抑制する制御を実行した場合には、出力電圧が400Vから300Vに低下するので、給電対象物200に対して8kWの電力を出力できない。出力電圧が300Vである場合には、それぞれの給電対象物200には、6kWの電力が出力される。
【0060】
<給電対象物が4台から3台に減った場合:状態C6>
1台目の給電対象物200の充電が完了したと仮定し、給電対象物が4台から3台に減ったとする。この場合に、それぞれの給電対象物200に対して6kWの電力を出力すると仮定すると、商用電源100から受けるべき電力は18kWとなる。つまり、入力電流は、上限値を下回る(ステップS102:NO)。そこで、制御装置4は、ステップS101及びステップS102を入力電流が上限値に達するまで、繰り返し実行する。繰り返しの間、出力電圧は、次第に増加する。そして、制御装置4は、入力電流が上限値(120A)に達した出力電圧(例えば400V)を維持する。その結果、2台目、3台目及び4台目の給電対象物200は、それぞれ8kWの電力を受ける。
【0061】
<給電対象物が3台から2台に減った場合:状態C7>
さらに2台目の給電対象物200の充電が完了したと仮定し、給電対象物が3台から2台に減ったとする。この場合に、それぞれの給電対象物200に対して8kWの電力を出力すると仮定すると、商用電源100から受けるべき電力は16kWとなる。つまり、入力電流は、上限値を下回る(ステップS102:NO)。そこで、制御装置4は、ステップS101及びステップS102を入力電流が上限値に達するまで、繰り返し実行する。繰り返しの間、出力電圧は、400Vから次第に増加する。そして、制御装置4は、入力電流が上限値(120A)に達した出力電圧(500V)を維持する。その結果、3台目及び4台目の給電対象物200は、それぞれ10kWの電力を受ける。
【0062】
<作用効果>
非接触給電設備1は、コントローラである制御装置4を備えている。制御装置4は、力率改善装置2に出力される前段入力電力が商用電源100の許容電力を超過しないように制御する。つまり、非接触給電設備1は、上限を超過させない電力の管理を制御装置4が実行する制御によって実現できる。従って、簡易な構成によって、消費する電力が上限を超えないように管理できる。この構成によれば、力率改善装置2を制御することによって、複数のインバータ31に出力される電力を一括して抑制することが可能になる。従って、簡易な構成で消費電力の管理を実行することができる。
【0063】
力率改善装置2は、前段入力電力を受けて、前段入力電力が整流された直流の中間電力を出力する整流回路21と、中間電力の電圧が変圧された前段出力電力を出力する昇圧DCDCコンバータ22と、を有する。力率改善装置2は、前段出力電力の電圧として第1電圧を変圧部に指示する動作(ステップS101)と、第1電圧である前段出力電力を力率改善装置2が出力したときに、力率改善装置2に出力される前段入力電力に関する情報である入力電流を得て、入力電流と上限値とを比較する動作と、入力電流が上限値以下ではない場合に、前段出力電力の電圧として第1電圧よりも低い第2電圧を変圧部に指示する動作(ステップS103)と、を実行する。この構成によれば、力率改善装置2を制御することによって、複数のインバータ31に出力される電力を一括して抑制することが可能になる。従って、簡易な構成で消費電力の管理を実行することができる。
【0064】
非接触給電設備1の昇圧DCDCコンバータ22は、制御装置4の制御信号θに対応する値まで、中間電力の電圧を昇圧する。この構成によれば、力率改善装置2の構成を簡易にすることができる。
【0065】
非接触給電設備1は、制御装置4が1台の力率改善装置2を制御することによって、複数の非接触給電装置3の出力を制御することができる。つまり、非接触給電設備1の制御装置4は、複数の非接触給電装置3に対して直接に制御信号θを送信しない。この構成によると、非接触給電装置3のそれぞれに、制御信号θを受信するための構成を設ける必要がない。さらに、制御装置4から非接触給電装置3へ制御信号θを有線又は無線によって伝達するための通信手段を備える必要もない。従って、非接触給電設備1のシステム構成を簡易にすることができる。そのうえ、制御信号θの送受信は、電流計92と制御装置4との間と制御装置4と力率改善装置2との間で、実現されればよい。従って、制御信号θを送受信するための構成が簡易になるので、制御信号θに混入するノイズの影響を抑制することができる。その結果、ノイズに起因する誤動作の発生を抑制することができる。
【0066】
商用電源100から出力された電力は、力率改善装置2と、インバータ31と、送電コイル32と、を介して、給電対象物200に出力される。力率改善装置2と、インバータ31と、送電コイル32と、を含む構成を、ひとつの非接触給電装置として扱う場合には、非接触給電装置の数と同数の力率改善装置2、インバータ31と、送電コイル32を準備する必要がある。第1実施形態の非接触給電設備1は、給電場所ごとに配置されるものはインバータ31及び送電コイル32である。一方、力率改善装置2は給電場所ごとに配置されるものではなく、非接触給電設備1は、1台の力率改善装置2を備えるのみである。従って、非接触給電設備1は、力率改善装置2を複数台準備する必要がないので、非接触給電設備1のシステム構成を簡易にすることができる。換言すると、非接触給電設備1のシステム構成の大規模化を抑制すると共に複雑化を抑制することもできる。そのうえ、力率改善装置2を複数準備する必要がないので、非接触給電設備1の設置に必要な接地面積を小さくする(つまり小型化)することができる。さらに、非接触給電設備1のためのコストも低減することができる。
【0067】
非接触給電設備1は、力率改善装置2から下流側において並列化している。力率改善装置2の出力は、直流電流である。つまり、直流電流が流れる回路を並列化している。直流電流が流れる回路を並列化した場合には、高周波電流が流れる電線とは異なり、回路を構成する電線から高周波の電磁波が生じることはない。従って、高周波の電磁波に対する対策は不要である。また、送電コイル32の数が増えるほど、電線の長さが長くなる。高周波電流が流れる電線では、電波法に定められた規定を満たすための対策や、EMC規格に適用させるための対策として、シールドなどの構成物を要する。しかし、非接触給電設備1は、高周波電流が流れる回路ではなく、直流電流が流れる回路において並列化している。従って、非接触給電設備1は、高周波電流が流れる回路に要求されるような対策は不要である。そのうえ、高周波電流が流れる回路では、電線が長くなるほど電線を流れる際に生じる発熱や損失が大きくなる。非接触給電設備1は、直流電流が流れる回路を分岐しているので、このような高周波電流が流れることに起因する発熱や損失の発生を抑制することができる。
【0068】
<第1変形例>
インバータ31に出力する電圧を調整する機能は、変圧部である昇圧DCDCコンバータ22に持たせた。つまり、変圧部は、1個の昇圧DCDCコンバータ22によって構成されていた。例えば、変圧部は、整流回路21から出力された中間電力の電圧を昇圧させる昇圧回路と、昇圧された電圧を所定の電圧まで降圧する降圧回路と、によって構成されてもよい。
【0069】
図6に示すように、第1変形例の非接触給電設備1Aは、1台の力率改善装置2と、複数の非接触給電装置3Aと、を有する。力率改善装置2は、整流回路21と、昇圧DCDCコンバータ22と、を有する。第1変形例の昇圧DCDCコンバータ22が出力する電圧は、固定値である。例えば、第1変形例の昇圧DCDCコンバータ22から出力される電圧は、常に500Vであるとしてよい。
【0070】
非接触給電装置3Aは、インバータ31及び送電コイル32に加えて、さらに降圧DCDCコンバータ33(降圧部)を有する。つまり、降圧DCDCコンバータ33の数は、非接触給電装置3Aの数と同じである。降圧DCDCコンバータ33は、昇圧DCDCコンバータ22から電力を受け、インバータ31に降圧した電力を出力する。つまり、降圧DCDCコンバータ33は、昇圧DCDCコンバータ22に対して直列に接続される。さらに、降圧DCDCコンバータ33は、インバータ31に対しても直列に接続される。入力電流を制限する必要が生じたとき、つまり、インバータ31へ出力する電力の電圧を下げる必要が生じた場合には、降圧DCDCコンバータ33を利用する。降圧DCDCコンバータ33には、スイッチ34が並列に接続されている。スイッチ34を導通させた場合には、昇圧DCDCコンバータ22から出力された電圧が500Vである電力をインバータ31に出力できる。スイッチ34を切断した場合には、降圧DCDCコンバータ33によって降圧された電圧を有する電力をインバータ31に出力できる。
【0071】
なお、降圧DCDCコンバータ33として、図7に示すような回路を採用してよい。
【0072】
降圧DCDCコンバータ33は、スイッチ機能部331と、インダクタ332と、ダイオード333と、によって構成される。スイッチ機能部331は、トランジスタ33tとダイオード33dとを有する。トランジスタ33tとダイオード33dとは、互いに並列に接続されている。降圧DCDCコンバータ33の第1の入力33aと第1の出力33cとの間には、スイッチ機能部331とインダクタ332とが配置されている。スイッチ機能部331は、第1の入力33aに接続されている。インダクタ332は、第1の出力33cに接続されている。降圧DCDCコンバータ33の第2の入力33bは、配線335によって第2の出力33eに接続されている。スイッチ機能部331とインダクタ332とをつなぐ配線334と、第2の入力33bと第2の出力33eとをつなぐ配線335との間には、ダイオード333が接続されている。
【0073】
出力電圧を下げる必要がない状態(例えば、図5の状態C2)を想定する。この場合には、インバータ31に電圧が500Vである電力を出力してよい。制御装置4Aのスイッチ制御部4dは、スイッチ34を導通させるための制御信号θを出力する。この動作によって、昇圧DCDCコンバータ22から出力される電力が、インバータ31に出力される。
【0074】
出力電圧を下げる必要がある状態(例えば、図5の状態C5)を想定する。この場合には、インバータ31に電圧が500Vよりも低い電圧の電力を出力する必要がある。制御装置4Aのスイッチ制御部4dは、スイッチ34を切断させるための制御信号θを出力する。さらに、制御装置4Aは、降圧DCDCコンバータ33に所定の値まで電圧を下げるための制御信号θを出力する。この動作によって、降圧DCDCコンバータ33から出力される電力が、インバータ31に出力される。
【0075】
第1変形例の非接触給電設備1Aによっても、簡易な構成によって電力の管理を実行することができる。
【0076】
<第2変形例>
変圧部が昇圧DCDCコンバータ22と降圧DCDCコンバータ33とによって構成される例は、第1変形例に例示した構成に限定されない。図8に示すように、第2変形例である非接触給電設備1Bは、1台の力率改善装置2と、複数の非接触給電装置3と1台の降圧DCDCコンバータ5と、を有する。
【0077】
第2変形例の力率改善装置2は、第1変形例の力率改善装置2と同じ構成を有し、同様に動作する。つまり、第2変形例の力率改善装置2は、常に直流電圧が500Vである電力を出力する。
【0078】
力率改善装置2と複数の非接触給電装置3とをつなぐ配線には、1台の降圧DCDCコンバータ5が並列に接続されている。降圧DCDCコンバータ5の入力は、力率改善装置2に接続されている。降圧DCDCコンバータ5の出力は、複数の出力端91にそれぞれ接続されている。従って、第2変形例の場合には、出力端91は、昇圧DCDCコンバータ22の第1の出力及び第2の出力が接続されると共に、降圧DCDCコンバータ5の出力も接続される。
【0079】
非接触給電装置3Bは、インバータ31と、送電コイル32とに加えて、さらにスイッチ35、36を有する。スイッチ35は、昇圧DCDCコンバータ22とインバータ31との間に配置されている。スイッチ36は、降圧DCDCコンバータ33とインバータ31との間に配置されている。
【0080】
出力電圧を下げる必要がない状態(例えば、図5の状態C2)を想定する。この場合には、インバータ31に直流電圧が500Vである電力を出力してよい。制御装置4Bのスイッチ制御部4dは、スイッチ35を導通させるための制御信号θを出力する。さらに、制御装置4Bのスイッチ制御部4dは、スイッチ36を切断させるための制御信号θを出力する。この動作によって、昇圧DCDCコンバータ22から出力される電力が、インバータ31に出力される。
【0081】
出力電圧を下げる必要がある状態(例えば、図5の状態C5)を想定する。この場合には、インバータ31に電圧が500Vよりも低い電圧の電力を出力する必要がある。まず、制御装置4Bは、降圧DCDCコンバータ33に所定の値まで電圧を下げるための制御信号θを出力する。なお、降圧DCDCコンバータ33の出力電圧は、電圧計94によって得てもよい。次に、制御装置4Bのスイッチ制御部4dは、スイッチ35を切断させるための制御信号θを出力する。そして、制御装置4Bのスイッチ制御部4dは、スイッチ36を導通させるための制御信号θを出力する。この動作によって、降圧DCDCコンバータ33から出力される電力が、インバータ31に出力される。
【0082】
第2変形例の非接触給電設備1Bによっても、簡易な構成によって電力の管理を実行することができる。
【0083】
<第2実施形態>
図9は、第2実施形態の非接触給電設備1Cを示す。第1実施形態の非接触給電設備1は、力率改善装置2が商用電源100から受ける電流が上限値を超えないようにするため、力率改善装置2の出力電圧を調整した。第2実施形態の非接触給電設備1Cは、別の手法によって、力率改善装置2が商用電源100から受ける電流が上限値を超えることを抑制する。力率改善装置2が商用電源100から受ける電流が上限値を超えるということは、商用電源100から受けることができる電力を、非接触給電装置3が要求する電力が上回っている状態である。つまり、電力の不足が生じている。そこで、第2実施形態の非接触給電設備1Cは、不足する電力を補う補助電力を用いて、力率改善装置2が商用電源100から受ける電流が上限値を超えることを抑制する。
【0084】
非接触給電設備1Cは、1台の力率改善装置2と、複数の非接触給電装置3と、1台の制御装置4Cと、を有する。力率改善装置2は、整流回路21と、昇圧DCDCコンバータ22と、を有する。整流回路21及び昇圧DCDCコンバータ22は、第1実施形態の整流回路21及び昇圧DCDCコンバータ22と同じ構成であり、同様の動作を実行する。昇圧DCDCコンバータ22は、制御装置4Cから出力される制御信号θによって任意の値の電圧を出力できる。つまり、第2実施形態の非接触給電設備1Cは、力率改善装置2が商用電源100から受ける電流が上限値を超えることを抑制するために、補助電力を用いる機能と共に、出力電圧を調整する機能と、を備えてよい。以下の説明では、第2実施形態の非接触給電設備1Cは、補助電力を用いる機能及び出力電圧を調整する機能を備えるものとして説明する。
【0085】
なお、出力電圧を調整する機能は、必要に応じて付加的に備えることとしてよい。つまり、第2実施形態の非接触給電設備1Cは、電流が上限を超えることを抑制するために、補助電力の機能のみを用いてもよい。この場合には、昇圧DCDCコンバータ22は、常に一定の電圧を出力する。つまり、昇圧DCDCコンバータ22は、制御信号θに応じて、電圧を調整しない。そうすると、昇圧DCDCコンバータ22が出力する電圧を都度設定する必要もないので、制御装置4Cは、電圧制御部4cを省略することもできる。
【0086】
複数の非接触給電装置3のうち、少なくとも1台は、給電対象物200から電力の出力を受ける機能を有する。つまり、給電対象物200のバッテリに充電された電力を受け取ることができる。給電対象物200は、コイルを介して電力を受けるだけでなく、コイルを介して電力を出力する機能を有する。給電対象物200は、送電及び受電が可能な送受電コイル204を有する。従って、第2実施形態でいう「補助電力」とは、給電対象物200Cのバッテリに充電された電力をいう。そして、給電対象物200Cから電力の出力を受ける機能を有する非接触給電装置3Cは、別の非接触給電装置3に補助電力を出力可能なものであるから、補助電力出力部でもある。そうすると、送電動作を実行する非接触給電装置3が受けている電力は、力率改善装置2から出力される電力と、補助電力出力部として機能する非接触給電装置3Cから出力される電力と、の合算である。
【0087】
補助電力出力部として機能する非接触給電装置3Cは、双方向インバータ38と、送受電コイル39と、を有する。双方向インバータ38は、制御信号θを受けて送受電コイル39から受ける交流の電力を直流の電力に変換する。そして、送電動作を実行する非接触給電装置3に当該電力を補助電力として出力する。
【0088】
制御装置4Cは、電流計92の値が上限値を超えないように、力率改善装置2と、補助電力出力部として機能する非接触給電装置3Cと、を制御する。まず、制御装置4Cの動作フローを説明する。次に、動作フローを実現するための制御装置4Cの機能的な構成を説明する。
【0089】
図10は、制御装置4Cの動作を示すフロー図である。
【0090】
まず、制御装置4Cは、出力電圧を増加分だけ増加させる制御信号θを出力する(ステップS201)。このステップS201の詳細は、第1実施形態で説明したステップS101と同様である。
【0091】
制御装置4Cは、入力電流と上限値とを比較する(ステップS202)。このステップS202の詳細も、第1実施形態で説明したステップS102と同様である。
【0092】
ステップS202において、入力電流が上限値を超えていないと判定された場合(ステップS202:NO)には、制御装置4Cは、出力電圧を増加させる制御信号θを出力する(ステップS201)。つまり、制御装置4Cは、入力電流が上限値を超えていない場合において、入力電流と上限値との比較(ステップS202)と、出力電圧を増加させる制御信号θの出力(ステップS201)と、を繰り返す。この繰り返しによると、入力電流が上限値を超えていない場合には、出力電圧は徐々に増加する。
【0093】
ステップS202において、入力電流が上限値を超えたと判定された場合(ステップS202:YES)には、制御装置4Cは、補助電力出力部として機能する非接触給電装置3Cから送電を受けている給電対象物200Cのバッテリ203の状態を判定する(ステップS203)。具体的には、送電を受けている給電対象物200Cのバッテリ203の状態が、充電を停止している状態であるか、又は、放電している状態であるかのいずれかに該当するか否かを判定する。制御装置4Cは、バッテリ203の状態を判定するための情報φを、給電対象物200Cから得てもよい。また、制御装置4Cは、バッテリ203の状態を判定するための情報φを、補助電力出力部として機能する非接触給電装置3Cから得てもよい。
【0094】
ステップS203で実行する判定は、送電を受けている給電対象物200Cのバッテリ203が蓄えた電力が、時間の経過と共に変化しない場合には、充電及び放電を停止している状態(充放電停止状態)であると判定できる。また、バッテリ203が蓄えた電力が、時間の経過と共に減少する場合には、放電している状態(放電状態)であると判定できる。バッテリ203の状態が充放電停止状態及び放電状態のいずれにも該当しない場合には、バッテリ203の状態は充電状態である。
【0095】
ステップS203において、充放電停止状態に該当せず、且つ、放電状態にも該当しない場合(ステップS203:NO)には、ステップS204を実行する。充放電停止状態に該当せず、且つ、放電状態にも該当しない場合とは、つまり、バッテリ203は充電状態である。ステップS204では制御装置4Cは、送電を受けている給電対象物200Cのバッテリ203に蓄えられている電力量を評価する。制御装置4Cは、バッテリ残量を評価する。具体的には、制御装置4Cは、給電対象物200Cからバッテリ残量に関する情報φを得る。次に、制御装置4Cは、バッテリ残量と閾値とを比較する。満充電時の電力をバッテリ残量100%とした場合に、90%を閾値として採用してよい。
【0096】
ステップS204における比較の結果、バッテリ残量が閾値(90%)以上であった場合(ステップS204:YES)には、ステップS205を実行する。バッテリ残量が閾値(90%)以上である場合には、一時的に充電動作を停止してよいと判断するものともいえる。ステップS205では、当該バッテリ203の充電に要する電力を送電している非接触給電装置3Cに、送電を停止するための制御信号θを出力する。そして、再び、出力電圧を増加させるステップS201を実行する。
【0097】
バッテリ203の充電が停止されると、別の非接触給電装置3へ出力可能な電力が増加する。従って、力率改善装置2への電力の低減に寄与することができる。つまり、充電量が多いバッテリ203への充電を一時的に停止すれば、当該バッテリ203へ出力していた電力を、充電量が少ない別のバッテリ203への充電に振り向けることができる。このように、充電量が多いバッテリ203へ出力されていた電力を、別のバッテリ203への充電に振り向けた場合も、当該振り向けた電力は、補助電力であると言える。
【0098】
ステップS204における比較の結果、バッテリ残量が閾値(90%)以上でなかった場合(ステップS204:NO)には、ステップS209を実行する。バッテリ残量が閾値(90%)以上でなかった場合には、充電動作を継続すると判断するものともいえる。この場合には、力率改善装置2の出力電圧を下げることによって、力率改善装置2への入力電流を低減する。従って、制御装置4Cは、出力電圧を低下させる制御信号θを力率改善装置2へ出力する(ステップS209)。そして、再び、入力電流と上限値とを比較するステップS202を実行する。
【0099】
ここまでは、ステップS203の結果がNOである場合について説明した。次に、ステップS203の結果がYESである場合について説明する。つまり、バッテリ203が充放電停止状態、又は、放電状態のいずれか一方に該当する場合について説明する。
【0100】
ステップS203において、バッテリ203が充放電停止状態、又は、放電状態のいずれか一方に該当する場合(ステップS203:YES)には、ステップS206を実行する。ステップS206では制御装置4Cは、送電を受けている給電対象物200Cのバッテリ203に蓄えられている電力量を評価する。このステップS206では、満充電時の電力をバッテリ残量100%とした場合に、80%を閾値として採用してよい。先のステップS204では閾値として90%を例示した。つまり、ステップS206で用いる閾値は、ステップS204で用いる閾値より小さい値を採用してよい。
【0101】
ステップS206における比較の結果、バッテリ残量が閾値(80%)以下であった場合(ステップS206:YES)には、ステップS208を実行する。ステップS208では、制御装置4Cは、バッテリ203の放電を停止する制御信号θを非接触給電装置3Cに出力する。例えば、制御信号θによって双方向インバータ38の動作を停止する。充放電が停止されている状態又は放電している状態であり、且つ、バッテリ残量が閾値(80%)以上である場合には、バッテリ203に蓄えた電力を保持すべきと判断するものともいえる。そして、出力電圧を低下させるステップS209を実行した後に、再び、入力電流と上限値とを比較するステップS202を実行する。
【0102】
ステップS206における比較の結果、バッテリ残量が閾値(80%)以下でなかった場合(ステップS206:NO)には、ステップS207を実行する。ステップS207では、制御装置4Cは、バッテリ203から電力を放電させる制御信号θを非接触給電装置3C及び給電対象物200Cに出力する。例えば、双方向インバータ38から別の非接触給電装置3への電力の出力を開始する。充放電が停止されている状態又は放電している状態であり、且つ、バッテリ残量が閾値(80%)以下ではない場合には、バッテリ203にはある程度の電力が蓄えられた状態であると判断するものともいえる。そして、再び、出力電圧を増加させるステップS201を実行する。
【0103】
図9に示すように、制御装置4Cは、上記の動作を実現するための機能的構成要素を有する。制御装置4Cは、データ取得部4aと、入力電流判定部4bと、電圧制御部4cと、を有する。さらに、制御装置4Cは、状態判定部4eと、残量判定部4fと、充放電制御部4gと、を有する。これらの要素が奏する機能は、CPUによってプログラムが実行されることによって実現する。
【0104】
データ取得部4a、入力電流判定部4b及び電圧制御部4cの構成及び動作は、第1実施形態と同様であるから、詳細な説明は省略する。
【0105】
状態判定部4eは、バッテリ203が充放電停止状態であるか、放電状態であるか、を判定する。つまり、状態判定部4eは、ステップS203を実行する。状態判定部4eは、判定に要する情報を、給電対象物200Cから得てもよい。また、状態判定部4eは、判定に要する情報を、非接触給電装置3Cから得てもよい。例えば、非接触給電装置3Cが送電していないし、受電もしていない場合には、バッテリ203からみて充放電停止状態であると判定してよい。例えば、非接触給電装置3Cが受電する場合には、バッテリ203からみて放電状態であると判定してよい。状態判定部4eは、バッテリ203は充放電停止状態である、バッテリ203は放電状態である、のいずれかを結果として出力する。
【0106】
残量判定部4fは、バッテリ203の残量を評価する。つまり、残量判定部4fは、ステップS204、S206の動作を実行する。残量判定部4fは、ステップS204に用いる閾値と、ステップS206に用いる閾値と、をあらかじめ保持している。残量判定部4fは、バッテリ残量が閾値以上である、バッテリ残量が閾値以上ではない、バッテリ残量が閾値以下である、バッテリ残量が閾値以下ではない、のいずれかを結果として出力する。
【0107】
充放電制御部4gは、バッテリ203の状態を、充放電停止状態、放電状態、及び充電状態のいずれかに設定する。また、放電状態にする場合には、放電させる電力量も設定する。つまり、充放電制御部4gは、ステップS205、S207、S208の動作を実行する。
【0108】
<動作例の説明>
次に、非接触給電設備1Cの動作例について、図11を参照しながら説明する。動作例の前提条件は、第1実施形態で説明した動作例と同じである。従って、詳細な前提条件の提示は省略する。
【0109】
図11(a)は商用電源100から力率改善装置2に出力される入力電流(グラフG11a)を示す。図11(b)は、力率改善装置2が出力する出力電圧(グラフG11c)を示す。図11(c)は、1台目の給電対象物200に出力される電力(グラフG11d)と、給電対象物200のバッテリ残量(グラフG11e)と、を示す。図11(d)は、2台目の給電対象物200に出力される電力(グラフG11f)と、給電対象物200のバッテリ残量(グラフG11g)と、を示す。図11(e)は、3台目の給電対象物200に出力される電力(グラフG11h)と、給電対象物200のバッテリ残量(グラフG11i)と、を示す。図11(f)は、4台目の給電対象物200に出力される電力(グラフG11j)と、給電対象物200のバッテリ残量(グラフG11k)と、を示す。
【0110】
給電対象物200が0台である場合(状態C1)、給電対象物200が0台から1台に増えた場合(状態C1)及び給電対象物200が1台から2台に増えた場合(状態C3)は、第1実施形態で説明した動作と同じである。従って、状態C1、C2、C3の詳細な説明は省略する。
【0111】
<給電対象物が2台から3台に増えた場合:状態C4>
まず、制御装置4Cは、入力電流が上限値を超えたと判断する(ステップS202:YES)。次に、制御装置4Cの入力電流判定部4bは、1台目の給電対象物200の状態を判定する(ステップS203)。いま、1台目の給電対象物200は、充電状態である。従って、制御装置4Cの状態判定部4eは、1台目の給電対象物200の状態は、充放電停止状態に該当しないし、放電状態にも該当しないとの結果を出力する(ステップS203:NO)。次に、制御装置4Cの残量判定部4fは、1台目の給電対象物200のバッテリ残量を評価する。仮に、判断の時点において、1台目の給電対象物200のバッテリ残量は95%であったとする。その結果、制御装置4Cの残量判定部4fは、1台目の給電対象物200のバッテリ残量が閾値(90%)以上であると評価する(ステップS204:YES)。次に、制御装置4Cの充放電制御部4gは、1台目の給電対象物200への送電を停止する(ステップS205)。その結果、送電を要求する給電対象物200は、3台であるものの、実際に、非接触給電装置3から送電を受けることができる給電対象物200は、2台目と3台目だけである。従って、1台目の給電対象物200は、0kWの電力を受け、2台目と3台目の給電対象物200は、それぞれ10kWの電力を受けることができる。また、力率改善装置2の出力電圧を下げる必要はなく、500Vを維持できる。そして、入力電流は、100Aに抑制することができる。
【0112】
<給電対象物が3台から4台に増えた場合(その1):状態C5A>
2台目及び3代目の給電対象物200がそれぞれ10kWの電力を受けている状態で、さらに4台目の給電対象物200が追加されたとする。
【0113】
まず、制御装置4Cは、入力電流が上限値を超えたと判断する(ステップS202:YES)。次に、制御装置4Cの入力電流判定部4bは、1台目の給電対象物200の状態を判定する(ステップS203)。いま、1台目の給電対象物200は、充放電停止状態である。従って、制御装置4Cの状態判定部4eは、1台目の給電対象物200の状態は、充放電停止状態に該当するとの結果を出力する(ステップS203:YES)。次に、制御装置4Cの残量判定部4fは、1台目の給電対象物200のバッテリ残量を評価する。1台目の給電対象物200は、充放電停止状態であるから、バッテリ残量の増減はない。従って、判断の時点において、1台目の給電対象物200のバッテリ残量は変わらず95%である。そうすると、制御装置4Cの残量判定部4fは、1台目の給電対象物200のバッテリ残量が閾値(80%)以下ではないと評価する(ステップS206:NO)。その結果、制御装置4Cの充放電制御部4gは、1台目の給電対象物200の放電を開始させる(ステップS207)。この場合、制御装置4Cは、3台の給電対象物200への送電において、不足する電力を放電させる。
【0114】
例えば、3台の給電対象物200に対してそれぞれ10kWの電力を同時に出力すると仮定する。この場合に、必要な電力は、30kWである。一方、商用電源100から受ける電力の最大は、この実施例では24kWである。つまり、6kWの不足が生じる。第1実施形態では、商用電源100から受ける電力を分け合うような制御を実行した。従って、24kWによって3台の給電対象物200を充電する場合には、力率改善装置2の出力電圧を下げることによって、それぞれ8kWずつとしていた。一方、第2実施形態では、補助電力を利用することができる。つまり、不足する6kWの電力を、すでに十分な電力を蓄えている1台目の給電対象物200から得る。そうすると、3台の給電対象物200に対してそれぞれ10kWの電力を同時に出力するために要する30kWの電力を、商用電源100が出力する24kWと、1台目の給電対象物200が出力する6kWと、によって賄うことができる。
【0115】
上記の動作によって、状態C5Aでは、1台目の給電対象物200は6kWの電力を出力(放電)し、2台目、3台目及び4代目の給電対象物200はそれぞれ10kWの電力を受ける(受電)ことができる。この場合に、力率改善装置2の出力電圧を下げる必要はなく、500Vを維持できる。そして、入力電流は、120Aに抑制することができる。
【0116】
<給電対象物が3台から4台に増えた場合(その2):状態C5B>
状態C5Aが継続すると、1台目の給電対象物200のバッテリ残量は、時間の経過ともに減少する。そうすると、当初は、1台目の給電対象物200のバッテリ残量が閾値(80%)以下ではないと評価(ステップS207:NO)されていたものの、ある程度の時間が経過すると、1台目の給電対象物200のバッテリ残量が閾値(80%)以下であるとの評価(ステップS206:YES)に切り替わる。このように、バッテリ残量が閾値(80%)以下ではない(ステップS207:NO)と評価される状態が、上述の状態C5Aである。そして、バッテリ残量が閾値(80%)以下である(ステップS206:YES)と評価される状態が、本段落でいう状態C5Bである。
【0117】
まず、制御装置4Cは、入力電流が上限値を超えたと判断する(ステップS202:YES)。次に、制御装置4Cの入力電流判定部4bは、1台目の給電対象物200の状態を判定する(ステップS203)。いま、1台目の給電対象物200は、放電状態である。従って、制御装置4Cの状態判定部4eは、1台目の給電対象物200の状態は、放電状態に該当するとの結果を出力する(ステップS203:YES)。次に、制御装置4Cの残量判定部4fは、1台目の給電対象物200のバッテリ残量を評価する。1台目の給電対象物200は、放電状態であるから、時間の経過と共にバッテリ残量が減少する。従って、判断の時点において、1台目の給電対象物200のバッテリ残量は、80%であるとする。そうすると、制御装置4Cの残量判定部4fは、1台目の給電対象物200のバッテリ残量が閾値(80%)以下であると評価する(ステップS206:YES)。その結果、制御装置4Cの充放電制御部4gは、1台目の給電対象物200の放電を停止させる(ステップS208)。
【0118】
1台目の給電対象物200の放電を停止すると、6kWの補助電力が出力されなくなる。従って、3台の給電対象物200には、商用電源100から出力される24kWの電力を分け合うこととなる。従って、制御装置4Cの電圧制御部4cは、力率改善装置2の出力電圧を下げる(ステップS209)。そして、再び、入力電流と上限値とを比較するステップS202を実行する。
【0119】
<給電対象物が4台から3台に減った場合:状態C6>
2台目の給電対象物200の充電が完了したと仮定し、給電対象物200が3台に減ったとする。この場合において、1台目の給電対象物200は、充放電が停止されている。従って、実質的な給電対象物200は、3台目と4台目の給電対象物200である。給電対象物200が2台の場合には、商用電源100からの24kWの電力で、賄うことができる。つまり、制御装置4Cの入力電流判定部4bは、ステップS202の比較の結果として、入力電流が上限値を超えていない(ステップS202:NO)との結果を出力する。そして、500Vよりも低い電圧に降圧されている力率改善装置2の出力電圧を、増加させる(ステップS201)。上記の動作が繰り返されることによって、最終的に力率改善装置2の出力電圧は、500Vに達する。この状態において、3台目及び4台目の給電対象物200は、それぞれ10kWの電力を受ける。
【0120】
<作用効果>
第2実施形態の非接触給電設備1Cも、第1実施形態の非接触給電設備1と同様に、簡易な構成によって消費する電力が上限を超えないように管理できる。
【0121】
第2実施形態の非接触給電設備1Cは、補助電力を出力する補助電力出力部として機能する非接触給電装置3Cを有する。制御装置4Cは、補助電力出力部として機能する非接触給電装置3Cを制御する。この構成によれば、不足する電力を補助電力出力部として機能する非接触給電装置3Cから出力される補助電力によって賄うことができる。
【0122】
第2実施形態の非接触給電設備1Cは、双方向インバータ38を、補助電力出力部として利用することができる。従って、補助電力出力部としての構成物を追加で設ける必要がないので、非接触給電設備1Cの構成を簡易にすることができる。
【0123】
<第3実施形態>
図12は、第3実施形態の非接触給電設備1Dを示す。第2実施形態の非接触給電設備1Cでは、補助電力として給電対象物200Cに蓄えられている電力を利用した。第3実施形態では、補助電力を設置型のバッテリ装置6から出力する。
【0124】
非接触給電設備1Dは、1台の力率改善装置2と、複数の非接触給電装置3と、1台の制御装置4Dと、設置型のバッテリ装置6と、を有する。力率改善装置2及び非接触給電装置3の構成及び動作は、第1実施形態と同じであるから、詳細な説明は省略する。なお、第2実施形態と同様に、力率改善装置2が有する昇圧DCDCコンバータ22の出力電圧を調整する機能は、必要に応じて付加的に備えることとしてよい。
【0125】
バッテリ装置6は、昇降圧DCDCコンバータ61と、定置型バッテリ62と、を有する。定置型バッテリ62は、非接触給電装置3が配置される駐車場の一角に設置されてよい。昇降圧DCDCコンバータ61は、力率改善装置2に接続されている。さらに、昇降圧DCDCコンバータ61は、複数の非接触給電装置3にも接続されている。昇降圧DCDCコンバータ61の出力には、電流計95が設けられてもよい。昇降圧DCDCコンバータ61は、力率改善装置2の出力電圧を、定置型バッテリ62の充電可能電圧に変圧する。この変圧は、昇圧であってもよいし、降圧であってもよい。昇降圧DCDCコンバータ61は、定置型バッテリ62が出力する直流電圧を、インバータ31が要求する直流電圧に変圧する。この変圧は、昇圧であってもよいし、降圧であってもよい。昇降圧DCDCコンバータ61は、図13に示す回路を用いてよい。
【0126】
昇降圧DCDCコンバータ61は、インダクタ611と、2個のスイッチ機能部612、613と、を有する。スイッチ機能部612、613は、それぞれトランジスタ61tとダイオード61dとを有する。トランジスタ61tとダイオード61dとは、互いに並列に接続されている。昇降圧DCDCコンバータ61の第1の入力61aと第1の出力61cとの間には、インダクタ611とスイッチ機能部612とが配置されている。インダクタ611は、第1の入力61aに接続されている。スイッチ機能部612は、第1の出力61cに接続されている。インダクタ611とスイッチ機能部612とは、配線614によって直列に接続されている。昇降圧DCDCコンバータ61の第2の入力61bは、配線615によって第2の出力61eに接続されている。インダクタ611とスイッチ機能部612とをつなぐ配線614と、第2の入力61bと第2の出力61eとをつなぐ配線615との間には、スイッチ機能部613が配置されている。
【0127】
制御装置4Dは、電流計92の値が上限値を超えないように、力率改善装置2と、バッテリ装置6と、を制御する。まず、図14に示す制御装置4Dの動作フローを説明する。次に、動作フローを実現するための制御装置4Dの機能的な構成を説明する。
【0128】
動作の開始に際して、制御装置4Dは、バッテリ装置6の充電動作を開始させる制御信号θを出力する。制御信号θを受けたバッテリ装置6は、電力の出力があった場合に、当該電力を充電可能な状態となる。
【0129】
まず、制御装置4Dは、出力電圧を増加させる(ステップS301)。このステップS301の詳細は、第1実施形態で説明したステップS101と同様である。
【0130】
次に、制御装置4Dは、バッテリ装置6の残量を確認する(ステップS302)。具体的には、制御装置4Dは、バッテリ装置6の残量が上限値以上であるか否かを判定する。バッテリ装置6の残量が十分である場合には、それ以上の電力を蓄える必要がない。そこで、バッテリ装置6の残量が上限値以上である(ステップS302:YES)場合、制御装置4Dは、バッテリ装置6の充電を停止する制御信号θを出力する(ステップS303)。次に、制御装置4Dは、入力電流と上限値とを比較する(ステップS304)。
【0131】
一方、バッテリ装置6の残量が十分ではない場合には、電力を蓄える必要がある。そして、動作の開始時には、バッテリ装置6は、充電可能な状態とされている。従って、バッテリ装置6の残量が上限値以上ではない(ステップS302:NO)場合、制御装置4Dは、バッテリ装置6の充電を維持する。例えば、制御装置4Dは、充電状態を維持するための制御信号θを出力してもよい。また、制御装置4Dは、制御信号θを出力しなくてもよい。次に、制御装置4Dは、入力電流と上限値とを比較する(ステップS304)。
【0132】
制御装置4Dは、入力電流と上限値とを比較する(ステップS304)。このステップS304の詳細は、第1実施形態で説明したステップS102と同様である。
【0133】
ステップS304において、入力電流が上限値を超えていないと判定された場合(ステップS304:NO)は、力率改善装置2が出力する電力よりも商用電源100から出力される電力が多い状態である。つまり、商用電源100から出力される電力に余剰が生じている。そこで、この余剰分の電力を、バッテリ装置6に充電する。制御装置4Dは、バッテリ装置6の充電電力を増加させる制御信号θを出力する(ステップS305)。制御信号θを受けたバッテリ装置6は、昇降圧DCDCコンバータ61が力率改善装置2から出力された出力電圧を、定置型バッテリ62の充電可能電圧に変圧する。そして、定置型バッテリ62は、昇降圧DCDCコンバータ61から電力の出力を受けて充電する。
【0134】
続いて、制御装置4Dは、出力電圧を増加させる制御信号θを再び出力する(ステップS305)。つまり、制御装置4Dは、バッテリ装置6の残量が上限値以下であり(ステップS302:NO)、且つ、入力電流が上限値を超えていない場合(ステップS304:NO)において、出力電圧を増加させるステップS305と、バッテリ装置6の残量を確認するステップS302と、入力電流と上限値を比較するステップS304と、バッテリ装置6の充電電圧を増加させるステップS305と、を繰り返す。この繰り返しによると、入力電流が上限値を超えていない場合には、出力電圧は徐々に増加する。さらに、この繰り返しによると、入力電流が上限値を超えていない場合には、充電電圧も徐々に増加する。
【0135】
ステップS304において、入力電流が上限値を超えていると判定された場合(ステップS304:YES)は、力率改善装置2が出力する電力よりも商用電源100から出力される電力が少ない状態である。このとき、力率改善装置2が出力する電力は、給電対象物200の充電と、バッテリ装置6の充電と、に用いられている。そうすると、バッテリ装置6に出力されている電力を調整すれば、力率改善装置2が出力する電力よりも商用電源100から出力される電力が少ない状態を解消できる可能性がある。そこで、制御装置4Dは、バッテリ装置6の動作状態を確認する(ステップS306)。具体的には、バッテリ装置6の動作状態が、充放電停止状態に該当するか、又は、放電状態に該当するかを判定する。
【0136】
ステップS306において、バッテリ装置6が充放電停止状態に該当しない場合には、バッテリ装置6は充電状態であるといえる。また、ステップS306において、バッテリ装置6が放電状態に該当しない場合にも、バッテリ装置6は充電状態であるといえる。そこで、これらの場合には、制御装置4Dは、バッテリ装置6の充電電力を低下させる制御信号θを出力する(ステップS307)。そして、制御装置4Dは、再び出力電圧を増加させる制御信号θを出力する。
【0137】
ステップS306において、バッテリ装置6が充放電停止状態に該当する場合には、制御装置4Dは、バッテリ装置6から電力を出力させる動作(放電)のための制御信号θを出力する(ステップS308)。また、ステップS306において、バッテリ装置6が放電状態に該当する場合には、制御装置4Dは、バッテリ装置6の放電電力を増加させる制御信号θを出力する(ステップS308)。
【0138】
次に、制御装置4Dは、バッテリ装置6の放電状態を確認する(ステップS309)。具体的には、バッテリ装置6が放電している電力が、バッテリ装置6が放電可能な電力の限界値に達しているか否かを判定する。バッテリ装置6が放電している電力が限界値に達していない場合には、放電電力をさらに増加することができる可能性がある。つまり、補助電力をさらに増加させ得る可能性があるので、入力電流が上限値を超えた状態を解消できる可能性がある。一方、バッテリ装置6が放電している電力が限界値に達している場合には、補助電力をさらに増加させることはできない。従って、補助電力の増加ではなく、力率改善装置2の出力電圧を下げることによって、入力電流が上限値を超えた状態を解消する必要がある。
【0139】
ステップS309において、バッテリ装置6の放電電力が限界値に達している場合(ステップS309:YES)には、制御装置4Dは、力率改善装置2の出力電圧を下げるための制御信号θを出力する(ステップS310)。そして、再び、バッテリ装置6の残量を確認するステップS302から順に動作フローを実行する。
【0140】
上述したとおり、ステップS309において、バッテリ装置6の放電電力が限界値に達していない場合(ステップS309:NO)には、放電電力をさらに高めることができる可能性がある。しかし、バッテリ装置6の出力能力からみて余裕がある場合であっても、そもそもバッテリ残量が乏しい場合には、補助電力としてバッテリ装置6から電力を出力することができない。そこで、制御装置4Dは、バッテリ装置6の残量を確認する(ステップS311)。具体的には、制御装置4Dは、定置型バッテリ62の残量が下限値に達したか否かを判定する。満充電状態を100%とした場合に、下限値は、例えば、0%としてよい。
【0141】
ステップS311において、バッテリ装置6の残量が0%に達していない場合(ステップS311:NO)には、バッテリ装置6が放電する電力を更に増加させることができる状態である。そこで、制御装置4Dは、再び、力率改善装置2の出力電圧を増加させるステップS301から順に動作フローを実行する。
【0142】
ステップS311において、バッテリ装置6の残量が0%に達している場合(ステップS311:YES)には、既に、バッテリ装置6から電力を放電することができない状態である。そこで、制御装置4Dは、力率改善装置2の出力電圧を下げるための制御信号θを出力する(ステップS310)。そして、再び、バッテリ装置6の残量を確認するステップS302から順に動作フローを実行する。
【0143】
図12に示すように制御装置4Dは、上記の動作を実現するための機能的構成要素を有する。制御装置4は、データ取得部4aと、入力電流判定部4bと、電圧制御部4cと、を有する。さらに、制御装置4Dは、状態判定部4hと、放電量判定部4kと、残量判定部4mと、充放電制御部4nと、を有する。これらの要素が奏する機能は、CPUによってプログラムが実行されることによって実現する。
【0144】
データ取得部4a、入力電流判定部4b及び電圧制御部4cの構成及び動作は、第1実施形態と同様であるから、詳細な説明は省略する。
【0145】
状態判定部4hは、バッテリ装置6が充放電停止状態であるか、放電状態であるか、を判定する。つまり、状態判定部4hは、ステップS306を実行する。状態判定部4hは、判定に要する情報を、バッテリ装置6から得る。状態判定部4hは、バッテリ装置6は充放電停止状態である、バッテリ装置6は放電状態である、のいずれかを結果として出力する。
【0146】
放電量判定部4kは、バッテリ装置6の放電電力が限界値に達しているか否かを判定する。つまり、放電量判定部4kは、ステップS309の動作を実行する。放電量判定部4kは、ステップS309に用いる限界値をあらかじめ保持している。放電量判定部4kは、放電電力が限界値に達している、又は、放電電力が限界値に達していない、のいずれか一方を結果として出力する。
【0147】
残量判定部4mは、バッテリ装置6の残量を評価する。つまり、残量判定部4mは、ステップS311の動作を実行する。残量判定部4mは、ステップS311に用いる下限値をあらかじめ保持している。残量判定部4mは、残量が下限値に達している、又は、残量が下限値に達していない、のいずれか一方を結果として出力する。
【0148】
充放電制御部4nは、バッテリ装置6の状態を、充放電停止状態、放電状態、及び充電状態のいずれかに設定する。また、放電状態にする場合には、放電させる電力量も設定する。つまり、充放電制御部4nは、ステップS303、S305、S307の動作を実行する。
【0149】
<動作例の説明>
次に、非接触給電設備1Dの動作例について、図15を参照しながら説明する。動作例の前提条件は、第1実施形態で説明した動作例と同じである。従って、詳細な前提条件の提示は省略する。なお、動作例の開始時点において、バッテリ装置6の残量は0%であると仮定する。
【0150】
図15(a)は商用電源100から力率改善装置2に出力される入力電流(グラフG15a)を示す。図15(b)は、力率改善装置2が出力する出力電力(グラフG15c)を示す。図15(c)は、バッテリ装置6から放電される電力(グラフG15m)と、バッテリ装置6の残量(グラフG15n)を示す。図15(d)は、1台目の給電対象物200に出力される電力(グラフG15d)と、給電対象物200が有するバッテリ203の残量(グラフG15e)と、を示す。図15(e)は、2台目の給電対象物200に出力される電力(グラフG15f)と、給電対象物200が有する電池の残量(グラフG15g)と、を示す。図15(f)は、3台目の給電対象物200に出力される電力(グラフG15h)と、給電対象物200が有するバッテリ203の残量(グラフG15i)と、を示す。図15(g)は、4台目の給電対象物200に出力される電力(グラフG15j)と、給電対象物200が有するバッテリ203の残量(グラフG15k)と、を示す。
【0151】
<給電対象物が0台である場合:状態C1>
状態C1であるとき、力率改善装置2、バッテリ装置6及び1台目から4台目までの給電対象物200の状態は、下記のとおりである。
力率改善装置2が受ける入力電流:50A。
力率改善装置2が受ける入力電力:10kW。
力率改善装置2の出力電圧:500V。
バッテリ装置6の充電電力又は放電電力:+10kW(充電)。
1台目の給電対象物200が受ける電力:0kW。
2台目の給電対象物200が受ける電力:0kW。
3台目の給電対象物200が受ける電力:0kW。
4台目の給電対象物200が受ける電力:0kW。
【0152】
制御装置4Dの残量判定部4mは、バッテリ装置6の残量を確認する(ステップS302)。動作例の開始時点において、バッテリ装置6の残量は0%であるから、残量判定部4mは、上限値ではない(ステップS302:NO)との結果を出力する。従って、バッテリ装置6の充電は、継続する。次に、入力電流判定部4bは、入力電力と上限値とを比較する(ステップS304)。力率改善装置2が受ける入力電流は50Aであるから、入力電流判定部4bは、入力電力(50A)は上限値(120A)を超えていないとの結果を出力する(ステップS304:NO)。つまり、状態C1であるときには、ステップS302及びステップS304を含む動作が繰り返される。
【0153】
<給電対象物が1台である場合:状態C2>
状態C2であるとき、力率改善装置2、バッテリ装置6及び1台目から4台目までの給電対象物200の状態は、下記のとおりである。
力率改善装置2が受ける入力電流:100A。
力率改善装置2が受ける入力電力:20kW。
力率改善装置2の出力電圧:500V。
バッテリ装置6の充電電力又は放電電力:+10kW(充電)。
1台目の給電対象物200が受ける電力:10kW。
2台目の給電対象物200が受ける電力:0kW。
3台目の給電対象物200が受ける電力:0kW。
4台目の給電対象物200が受ける電力:0kW。
【0154】
残量判定部4mは、バッテリ装置6の残量を確認する(ステップS302)。バッテリ装置6の残量は、当初より増加しているものの、未だ上限値を超えていない。従って、残量判定部4mは、上限値ではない(ステップS302:NO)との結果を出力する。従って、状態C2でもバッテリ装置6への充電は継続する。次に、入力電流判定部4bは、入力電流判定部4bは、入力電力と上限値とを比較する(ステップS304)。この時点では、バッテリ装置6への10kWの電力の出力と、1台目の給電対象物200への10kWの電力の出力と、が実行されている。その結果、力率改善装置2が受ける入力電流は、100Aである。従って、入力電流判定部4bは、入力電流(100A)は上限値(120A)を超えていないとの結果を出力する(ステップS304:NO)。つまり、状態C2であるときにも、ステップS302及びステップS304を含む動作が繰り返される。
【0155】
<給電対象物が2台である場合:状態C3>
状態C3であるとき、力率改善装置2、バッテリ装置6及び1台目から4台目までの給電対象物200の状態は、下記のとおりである。
力率改善装置2が受ける入力電流:120A。
力率改善装置2が受ける入力電力:24kW。
力率改善装置2の出力電圧:500V。
バッテリ装置6の充電電力又は放電電力:+4kW(充電)。
1台目の給電対象物200が受ける電力:10kW。
2台目の給電対象物200が受ける電力:10kW。
3台目の給電対象物200が受ける電力:0kW。
4台目の給電対象物200が受ける電力:0kW。
【0156】
残量判定部4mは、バッテリ装置6の残量を確認する(ステップS302)。バッテリ装置6の残量は、さらに増加しているものの、未だ上限値を超えていない。従って、残量判定部4mは、上限値ではない(ステップS302:NO)との結果を出力する。従って、状態C3でもバッテリ装置6への充電は継続する。次に、入力電流判定部4bは、入力電力と上限値とを比較する(ステップS304)。
【0157】
仮に、バッテリ装置6への10kWの電力の出力と、1台目及び2台目の給電対象物200への10kWの電力の出力と、を実行したとすると、力率改善装置2が受ける入力電流は、150Aである。従って、入力電流判定部4bは、入力電流(150A)は上限値(120A)を超えているとの結果を出力する(ステップS304:YES)。次に、状態判定部4hは、バッテリ装置6の状態を判定する(ステップS306)。この時点では、バッテリ装置6は、充電状態である。従って、状態判定部4hは、充放電停止状態に該当しないし、放電状態にも該当しないとの結果を出力する(ステップS306:NO)。換言すると、状態判定部4hは、バッテリ装置6の充電電力がゼロでもないしマイナスでもないとの結果を出力する。この結果に基づいて、充放電制御部4nは、バッテリ装置6の充電電力を低下させる制御信号θを出力する(ステップS307)。上記の動作を繰り返すことによって、バッテリ装置6の充電電力は4kWに収束する。
【0158】
<給電対象物が3台である場合:状態C4>
状態C4であるとき、力率改善装置2、バッテリ装置6及び1台目から4台目までの給電対象物200の状態は、下記のとおりである。
力率改善装置2が受ける入力電流:120A。
力率改善装置2が受ける入力電力:24kW。
力率改善装置2の出力電圧:500V。
バッテリ装置6の充電電力又は放電電力:-6kW(放電)。
1台目の給電対象物200が受ける電力:10kW。
2台目の給電対象物200が受ける電力:10kW。
3台目の給電対象物200が受ける電力:10kW。
4台目の給電対象物200が受ける電力:0kW。
【0159】
残量判定部4mは、バッテリ装置6の残量を確認する(ステップS302)。バッテリ装置6の残量は、さらに増加しているものの、未だ上限値を超えていない。従って、残量判定部4mは、上限値ではない(ステップS302:NO)との結果を出力する。従って、状態C4でもバッテリ装置6への充電は継続する。次に、入力電流判定部4bは、入力電流判定部4bは、入力電力と上限値とを比較する(ステップS304)。仮に、1台目~3台目の給電対象物200への10kWの電力の出力を実行したとすると、力率改善装置2が受ける入力電流は、150Aである。従って、入力電流判定部4bは、入力電流(150A)は上限値(120A)を超えているとの結果を出力する(ステップS304:YES)。次に、状態判定部4hは、バッテリ装置6の状態を判定する(ステップS306)。この時点でも、バッテリ装置6は、充電状態である。従って、状態判定部4hは、充放電停止状態に該当しないし、放電状態にも該当しないとの結果を出力する(ステップS306:NO)。この結果に基づいて、充放電制御部4nは、バッテリ装置6の充電電力を低下させる。
【0160】
上記の動作を繰り返すことによって、バッテリ装置6の充電電力は次第に低下する。そして、バッテリ装置6の充電電力はゼロに達する。バッテリ装置6の充電電力がゼロであり、1台目~3台目の給電対象物200への10kWの電力の出力を実行したと仮定すると、力率改善装置2が受ける入力電流は、150Aである。従って、入力電流判定部4bは、入力電流判定部4bは、入力電流(150A)は上限値(120A)を超えているとの結果を出力する(ステップS304:YES)。次に、状態判定部4hは、バッテリ装置6の状態を判定する(ステップS306)。この時点では、バッテリ装置6の充電電力はゼロであるから、状態判定部4hは、充放電停止状態に該当するとの結果を出力する(ステップS306:YES)。この結果に基づいて、充放電制御部4nは、バッテリ装置6の放電電力を増加させる制御信号θを出力する(ステップS308)。次に、放電量判定部4kは、バッテリ装置6が放電する電力が限界値(10kW)に達したか否かを判定する(ステップS309)。この時点で、バッテリ装置6は、放電を開始したばかりであるから限界値には達していない。従って、放電量判定部4kは、バッテリ装置6が放電する電力は限界値(10kW)に達していないとの結果を出力する(ステップS309:NO)。次に、残量判定部4mは、バッテリ装置6の残量を確認する(ステップS311)。上述のとおり、この時点では放電を開始したばかりであり、バッテリ装置6の残量は十分であるから、下限値には達していない。従って、残量判定部4mは、残量は下限値に達していないとの結果を出力する(ステップS311:NO)。
【0161】
上述の動作を繰り返すことによって、バッテリ装置6の放電電力は6kWに収束する。
【0162】
<給電対象物が4台である場合:状態C5>
状態C5であるとき、力率改善装置2、バッテリ装置6及び1台目から4台目までの給電対象物200の状態は、下記のとおりである。
力率改善装置2が受ける入力電流:120A。
力率改善装置2が受ける入力電力:24kW。
力率改善装置2の出力電圧:500V。
バッテリ装置6の充電電力又は放電電力:-10kW(放電)。
1台目の給電対象物200が受ける電力:8.5kW。
2台目の給電対象物200が受ける電力:8.5kW。
3台目の給電対象物200が受ける電力:8.5kW。
4台目の給電対象物200が受ける電力:8.5kW。
【0163】
残量判定部4mは、バッテリ装置6の残量を確認する(ステップS302)。バッテリ装置6の残量は、放電によって減少しているので、上限値を超えていない。従って、残量判定部4mは、上限値ではない(ステップS302:NO)との結果を出力する。従って、充放電制御部4nは、放電動作を継続する。次に、入力電流判定部4bは、入力電流判定部4bは、入力電力と上限値とを比較する(ステップS304)。
【0164】
仮に、1台目~4台目の給電対象物200への10kWの電力の出力を実行したとすると、力率改善装置2が受ける入力電流は、200Aである。従って、入力電流判定部4bは、入力電流(200A)は上限値(120A)を超えているとの結果を出力する(ステップS304:YES)。次に、状態判定部4hは、バッテリ装置6の状態を判定する(ステップS306)。この時点では、バッテリ装置6の放電電力は6kWであるから、状態判定部4hは、放電状態に該当するとの結果を出力する(ステップS306:YES)。この結果に基づいて、充放電制御部4nは、バッテリ装置6の放電電力をさらに増加させる(ステップS308)。
【0165】
次に、放電量判定部4kは、バッテリ装置6が放電する電力が限界値(10kW)に達したか否かを判定する(ステップS309)。この時点で、バッテリ装置6は、放電を開始したばかりであるから限界値には達していない。従って、放電量判定部4kは、バッテリ装置6が放電する電力は限界値(10kW)に達していないとの結果を出力する(ステップS309:NO)。次に、残量判定部4mは、バッテリ装置6の残量を確認する(ステップS311)。上述のとおり、この時点では放電を開始したばかりであるからバッテリ装置6の残量は十分であるから、下限値には達していない。従って、残量判定部4mは、残量は下限値に達していないとの結果を出力する(ステップS311:NO)。上述の動作を繰り返すことによって、バッテリ装置6の放電電力は10kWに達する。
【0166】
しかし、バッテリ装置6から補助電力として10kWの電力を出力したとしても、1台目~4台目の給電対象物200への10kWの電力の出力を実行する場合には、200Aの入力電流を要する。つまり、補助電力の出力とは別の手段によって、入力電流を抑制する必要がある。
【0167】
バッテリ装置6の放電電力は10kWに達した後に、上述の動作のうち、放電量判定部4kは、バッテリ装置6が放電する電力は限界値(10kW)に達したとの結果を出力する(ステップS309:YES)。その結果に基づき、電圧制御部4cは、出力電圧を低下させる制御信号θを力率改善装置2に出力する。つまり、ステップS309において放電電力が限界値(10kW)に達したとの結果が出力され、出力電圧を低下させる制御信号θを力率改善装置2に出力される処理を含む動作が繰り返されることによって、出力電圧は、例えば400Vに収束する。その結果、上述のとおり、1台目~4台目の給電対象物200は、それぞれ8.5kWの電力の出力を受ける。
【0168】
<給電対象物が4台から3台に減少した場合:状態C6>
状態C6であるとき、力率改善装置2、バッテリ装置6及び1台目から4台目までの給電対象物200の状態は、下記のとおりである。この状態C6は、1台目の給電対象物200の充電が完了したことに相当する。
力率改善装置2が受ける入力電流:120A。
力率改善装置2が受ける入力電力:24kW。
力率改善装置2の出力電圧:500V。
バッテリ装置6の充電電力又は放電電力:-6kW(放電)。
1台目の給電対象物200が受ける電力:0kW。
2台目の給電対象物200が受ける電力:10kW。
3台目の給電対象物200が受ける電力:10kW。
4台目の給電対象物200が受ける電力:10kW。
【0169】
残量判定部4mは、バッテリ装置6の残量を確認する(ステップS302)。バッテリ装置6の残量は、放電によって減少しているので、上限値を超えていない。従って、残量判定部4mは、上限値ではない(ステップS302:NO)との結果を出力する。従って、充放電制御部4nは、放電動作を継続する。次に、入力電流判定部4bは、入力電流判定部4bは、入力電力と上限値とを比較する(ステップS304)。
【0170】
仮に、2台目~4台目の給電対象物200への10kWの電力の出力を実行したとすると、力率改善装置2が受ける入力電流は、150Aである。従って、入力電流判定部4bは、入力電流(150A)は上限値(120A)を超えているとの結果を出力する(ステップS304:YES)。次に、状態判定部4hは、バッテリ装置6の状態を判定する(ステップS306)。状態C4の結果からすれば、3台の給電対象物200に10kWの電力を出力するためには、バッテリ装置6から補助電力として6kWを放電すればよい。そこで、バッテリ装置6の放電電力は、6kWとされている。
【0171】
状態判定部4hは、放電状態に該当するとの結果を出力する(ステップS306:YES)。次に、放電量判定部4kは、バッテリ装置6が放電する電力が限界値(10kW)に達したか否かを判定する(ステップS309)。バッテリ装置6の放電電力は6kWでであるから、放電量判定部4kは、バッテリ装置6の放電電力は限界値(10kW)に達していないとの結果を出力する(ステップS309:NO)。次に、残量判定部4mは、バッテリ装置6の残量を確認する(ステップS311)。この時点でも、バッテリ装置6の残量は十分であるから、下限値には達していない。従って、残量判定部4mは、残量は下限値に達していないとの結果を出力する(ステップS311:NO)。その後、電圧制御部4cは、出力電圧を増加させるステップS301を再び実施する。上述の動作を繰り返すことによって、力率改善装置2の出力電圧は、500Vに収束する。
【0172】
<給電対象物が3台から2台に減少した場合:状態C7>
状態C7であるとき、力率改善装置2、バッテリ装置6及び1台目から4台目までの給電対象物200の状態は、下記のとおりである。この状態C7は、1台目及び2台目の給電対象物200の充電が完了したことに相当する。
力率改善装置2が受ける入力電流:120A。
力率改善装置2が受ける入力電力:24kW。
力率改善装置2の出力電圧:500V。
バッテリ装置6の充電電力又は放電電力:+6kW(充電)。
1台目の給電対象物200が受ける電力:0kW。
2台目の給電対象物200が受ける電力:00kW。
3台目の給電対象物200が受ける電力:10kW。
4台目の給電対象物200が受ける電力:10kW。
【0173】
残量判定部4mは、バッテリ装置6の残量を確認する(ステップS311)。バッテリ装置6の残量は、放電によって減少しているので、上限値を超えていない。従って、残量判定部4mは、上限値ではない(ステップS302:NO)との結果を出力する。従って、充放電制御部4nは、放電動作を継続する。次に、入力電流判定部4bは、入力電流判定部4bは、入力電力と上限値とを比較する(ステップS304)。
【0174】
仮に、3台目及び4台目の給電対象物200への10kWの電力の出力を行ったとすると、力率改善装置2が受ける入力電流は、100Aである。従って、入力電流判定部4bは、入力電流(100A)は上限値(120A)を超えていないとの結果を出力する(ステップS304:NO)。この結果に基づいて、充放電制御部4nは、バッテリ装置6の充電電力を増加させる(ステップS305)。上述の動作を繰り返すことにより、バッテリ装置6の充電電力は、6kWに収束する。
【0175】
<作用効果>
第3実施形態の非接触給電設備1Dも、第1実施形態の非接触給電設備1と同様に、簡易な構成によって消費する電力が上限を超えないように管理できる。
【0176】
第3実施形態の非接触給電設備1Dは、補助電力を出力するバッテリ装置6を有する。制御装置4Dは、バッテリ装置6を制御する。この構成によれば、バッテリ装置6から出力される補助電力によって賄うことができる。
【0177】
第3実施形態の非接触給電設備1Dは、バッテリ装置6を補助電力出力部として利用する。バッテリ装置6は、余剰の電力を蓄えることができる。さらに、バッテリ装置6は、蓄えた電力を補助電力として出力することができる。
【0178】
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【符号の説明】
【0179】
1,1A,1B,1C,1D 非接触給電設備
2 力率改善装置(前段電力変換部)
3,3A,3B,3C 非接触給電装置
4,4A,4B,4C,4D 制御装置(コントローラ)
4a データ取得部
4b 入力電流判定部
4c 電圧制御部
4d スイッチ制御部
4e 状態判定部
4f 残量判定部
4g 充放電制御部
4h 状態判定部
4k 放電量判定部
4m 残量判定部
4n 充放電制御部
5,33 降圧DCDCコンバータ(変圧部、降圧部)
6 バッテリ装置
21 整流回路(整流部)
22 昇圧DCDCコンバータ(変圧部、昇圧部)
31 インバータ(後段電力変換部)
32 送電コイル(コイル)
38 双方向インバータ
39 送受電コイル
61 昇降圧DCDCコンバータ
62 定置型バッテリ
91 出力端
92 電流計
93 電圧計
95 電流計
100 商用電源(外部電源)
200,200C 給電対象物
201 受電コイル
202 整流器
203 バッテリ
204 送受電コイル
図1
図2
図3
図4
図5
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