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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008195
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】発電システム
(51)【国際特許分類】
   H02K 53/00 20060101AFI20230112BHJP
【FI】
H02K53/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021111558
(22)【出願日】2021-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】399048869
【氏名又は名称】株式会社神島組
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【弁理士】
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100136836
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 一正
(72)【発明者】
【氏名】神島 昭男
(72)【発明者】
【氏名】神島 充子
(57)【要約】
【課題】回転機構において回転駆動力を効率的に発生させる。
【解決手段】この発明では、複数の回転子永久磁石が周方向に互いに離間しながら回転子の外周面の全周に取り付けられている。これに対し、複数の第1固定子永久磁石が、径方向において複数の回転子永久磁石から離間するとともに固定子本体の第1内周面に対して周方向において互いに離間しながら、回転子永久磁石から反発する磁界を発生するように配置されている。また、複数の第2固定子永久磁石が、固定子本体の第1内周面に対して回転軸と平行な第1方向において複数の回転子永久磁石から離間するとともに周方向において互いに離間しながら、回転子永久磁石から反発する磁界を発生するように配置されている。このため、回転子の回転と同時に、回転子永久磁石と第1固定子永久磁石および第2固定子永久磁石との間で作用する反発力が順次継続して作用する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転機構と発電機とが接続され、前記回転機構で発生する回転駆動力により前記発電機を作動させて発電する発電システムであって、
前記回転機構は、
外力を受けて回転軸まわりに回転可能に設けられる回転子本体の外周面に対し、複数の回転子永久磁石が周方向に互いに離間しながら前記外周面の全周に取り付けられた回転子と、
少なくとも前記回転子の周縁部を径方向および前記回転軸と平行な第1方向から覆うように前記回転子から離間して設けられる固定子本体に対して複数の固定子永久磁石が取り付けられた固定子と、を備え、
前記固定子本体は、前記周方向において前記複数の回転子永久磁石と対向する第1内周面と、前記第1方向において前記複数の回転子永久磁石と対向する第2内周面と、を有し、
前記複数の固定子永久磁石は、
前記径方向において前記複数の回転子永久磁石から離間するとともに前記周方向において互いに離間しながら、前記回転子永久磁石から反発する磁界を発生するように、前記第1内周面に配置される複数の第1固定子永久磁石と、
前記第1方向において前記複数の回転子永久磁石から離間するとともに前記周方向において互いに離間しながら、前記回転子永久磁石から反発する磁界を発生するように、前記第2内周面に配置される複数の第2固定子永久磁石と、
を有し、
前記回転子永久磁石の磁界と前記第1固定子永久磁石の磁界との反発力と、前記回転子永久磁石の磁界と前記第2固定子永久磁石の磁界との反発力とによって、前記回転子の回転駆動力を高めることを特徴とする、発電システム。
【請求項2】
請求項1に記載の発電システムであって、
前記固定子本体は、前記回転子の周縁部を前記回転軸と平行な第2方向から覆い、前記第2方向において前記複数の回転子永久磁石と対向する第3内周面を有し、
前記複数の固定子永久磁石は、前記第2方向において前記複数の回転子永久磁石から離間するとともに前記周方向において互いに離間しながら、前記回転子永久磁石から反発する磁界を発生するように、前記第3内周面に配置される複数の第3固定子永久磁石を有し、前記回転子永久磁石の磁界と前記第2固定子永久磁石の磁界との反発力とによって、前記回転子の回転駆動力を高める、発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、回転機構で発生する回転駆動力により発電機を作動させて発電する発電システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の発電システムでは、回転機構により回転駆動力を効率的に発生させることが重要であり、その一例として、例えば特許文献1では、永久磁石を利用した回転装置が提案されている。この回転装置では、回転自在に設けた非磁性体である円板状の回転子体の外径側に回転方向にN極、S極を交互に磁化した永久磁石を等間隔で複数個配した回転子磁石を1群として、円360°に対して、回転子磁石群の数n1=2以上の整数とし、分割数N=2・n1として該回転子磁石群の配列を回転子磁石が無い空白部と該回転子磁石群を交互に配設し、回転子体の外側には、非磁性体である円板状の回転固定子体の外径側に、該回転固定子体の中心より放射方向に磁化した永久磁石である回転固定子磁石を等間隔にて、最低2個固着し、回転子磁石と回転固定子磁石との間に空隙を設け、回転子体と回転固定子体を歯車等による増速機構が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-25835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記永久磁石回転装置では、回転子体に設置された回転子磁石と回転固定子体に設置された回転固定子磁石との間で磁界が互いに作用しない領域が含まれている。そのため、回転子体に大きな回転駆動力を発生させることが難しい。
【0005】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、回転機構において回転駆動力を効率的に発生させることで優れた発電性能を発揮する発電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の一態様は、回転機構と発電機とが接続され、回転機構で発生する回転駆動力により発電機を作動させて発電する発電システムであって、回転機構は、外力を受けて回転軸まわりに回転可能に設けられる回転子本体の外周面に対し、複数の回転子永久磁石が周方向に互いに離間しながら外周面の全周に取り付けられた回転子と、少なくとも回転子の周縁部を径方向および回転軸と平行な第1方向から覆うように回転子から離間して設けられる固定子本体に対して複数の固定子永久磁石が取り付けられた固定子と、を備え、固定子本体は、径方向において複数の回転子永久磁石と対向する第1内周面と、第1方向において複数の回転子永久磁石と対向する第2内周面と、を有し、複数の固定子永久磁石は、径方向において複数の回転子永久磁石から離間するとともに周方向において互いに離間しながら、回転子永久磁石から反発する磁界を発生するように、第1内周面に配置される複数の第1固定子永久磁石と、第1方向において複数の回転子永久磁石から離間するとともに周方向において互いに離間しながら、回転子永久磁石から反発する磁界を発生するように、第2内周面に配置される複数の第2固定子永久磁石と、を有し、回転子永久磁石の磁界と第1固定子永久磁石の磁界との反発力と、回転子永久磁石の磁界と第2固定子永久磁石の磁界との反発力とによって、回転子の回転駆動力を高めることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
以上のように、本発明によれば、複数の回転子永久磁石が周方向に互いに離間しながら回転子の外周面の全周に取り付けられている。これに対し、複数の第1固定子永久磁石が、径方向において複数の回転子永久磁石から離間するとともに固定子本体の第1内周面に対して周方向において互いに離間しながら、回転子永久磁石から反発する磁界を発生するように配置されている。また、複数の第2固定子永久磁石が、固定子本体の第1内周面に対して回転軸と平行な第1方向において複数の回転子永久磁石から離間するとともに周方向において互いに離間しながら、回転子永久磁石から反発する磁界を発生するように配置されている。このため、回転子の回転と同時に、回転子永久磁石と第1固定子永久磁石および第2固定子永久磁石との間で作用する反発力が順次継続して作用する。したがって、回転機構から回転駆動力が効率的に発生し、優れた発電性能が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る発電システムの第1実施形態を示す図である。
図2図1に示す発電システムで採用されている回転機構の構成を示す図である。
図3図2に示す回転機構の部分拡大図である。
図4図2に示す回転機構における永久磁石の配置を示す図である。
図5】本発明に係る発電システムの第2実施形態における回転機構の構成を示す図である。
図6】本発明に係る発電システムの第3実施形態における回転機構の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明に係る発電システムの第1実施形態を示す図である。図2は、図1に示す発電システムで採用されている回転機構の構成を示す図である。図3は、図2に示す回転機構の部分拡大図である。図4は、図2に示す回転機構における永久磁石の配置を示す図である。以下、これらの図を参照しつつ発電システムの構成および動作について説明する。なお、これらの図面では、回転機構から発生する回転駆動力が発電機に伝達される方向を「X方向」とし、その伝達方向Xと直交する水平方向を「Y方向」とし、鉛直方向を「Z方向」と称する。また、理解容易の目的で、必要に応じて各部の寸法や数を誇張または簡略化して描いている。
【0010】
発電システム1は、図1に示すように、発電機2、第1クラッチ機構3、本発明の「回転機構」の一例である永久磁石回転機4、第2クラッチ機構5、モータ6および制御部7を有している。発電機2は、第1クラッチ機構3を介して永久磁石回転機4の回転シャフト41に接続されている。このため、制御部7からの接続指令に応じて第1クラッチ機構3が発電機2と永久磁石回転機4とを接続すると、後述するようにして永久磁石回転機4から発生する回転駆動力が第1クラッチ機構3を介して発電機2に伝達される。この回転駆動力に応じた電力が発電機2から出力される。
【0011】
永久磁石回転機4の回転シャフト41は、発電機2以外に、第2クラッチ機構5を介してモータ6に接続されている。このため、制御部7からの接続指令に応じて第2クラッチ機構5がモータ6と永久磁石回転機4とを接続し、しかも制御部7からの回転指令に応じてモータ6が作動すると、回転シャフト41がX方向に延びる回転軸AX(図2)まわりに回転する。すなわち、モータ6から回転力が本発明の「外力」の一例として永久磁石回転機4の回転シャフト41に与えられる。
【0012】
永久磁石回転機4は回転子42と固定子43とを有している。回転子42は、図2に示すように、中央部に回転シャフト41が貫通して取り付けられた回転子本体421を有している。回転シャフト41は、ABS樹脂やポリウレタン、ポリアミド等の合成樹脂またはステンレスやアルミニウム、合金等の金属から作られ、円柱棒状に成形されている。そして、回転シャフト41の取付位置(中央部)から(+X)方向および(-X)方向に延設される端部が、固定子43の一構成要素である固定子本体431の(+X)方向側面および(-X)方向側面に穿設された貫通孔に挿通されるとともに各貫通孔に設けられたベアリング432により固定子43に対して回転自在に軸支されている。
【0013】
この回転シャフト41に取り付けられた回転子本体421は、固定子本体431の内部に設けられた内部空間433内で回転軸AXまわりに回転自在に配置されている。より詳しくは、回転子本体421は、ABS樹脂やポリウレタン、ポリアミド等の合成樹脂(非磁性体)または非磁性金属(オーステナイトステンレス鋼、高マンガンオーステナイトステンレス鋼等)などの材料で構成されており、略円盤形状を有している。また、回転子本体421の外周面には、回転子本体421と同一または同種材料で複数(本実施形態では45個)の磁石支持部422が周方向R(回転子42の回転方向と一致)に等間隔だけ離間しながら外周面全体に固着されている。そして、各磁石支持部422に対し、回転子永久磁石423が所定の固定手段(固定ネジや接着剤等、図3では固定ネジ)によって取り付けられている。本実施形態では、回転子永久磁石423はX方向に延びる台形柱状のネオジム磁石で構成されているが、磁石の種類はこれに限定されるものではなく、例えばフェライト磁石やサマリウムコバルト磁石などを用いてもよい。なお、各回転子永久磁石423の詳しい配設状況については、後で固定子永久磁石と一緒に説明する。
【0014】
次に、固定子43の構成について説明する。固定子43は固定子本体431を有しており、その内部空間433で、上記したように回転子42が回転自在に配置されている。この固定子本体431は、ABS樹脂やポリウレタン、ポリアミド等の合成樹脂(非磁性体)または非磁性金属(オーステナイトステンレス鋼、高マンガンオーステナイトステンレス鋼等)などの材料で構成されており、回転子永久磁石423を径方向Z、(+X)方向および(-X)方向から覆っている。つまり、内部空間433は、円環形状の内周面434a、(+X)方向側の円形状の内周面434bおよび(-X)方向側の円形状の内周面434cで構成されている。
【0015】
これらのうち内周面434aでは、固定子本体431と同一または同種材料で複数(本実施形態では50個)の磁石支持部435が周方向Rに等間隔だけ離間しながら内周面434a全体に固着されている。そして、各磁石支持部435に対し、固定子永久磁石436が所定の固定手段(固定ネジや接着剤等、図3では固定ネジ)によって取り付けられている。
【0016】
また、内周面434bでは、複数(本実施形態では50個)の磁石支持部が回転軸AXを中心とした同心円方向Rに等間隔だけ離間しながら内周面434bの周縁部全体に固着されている。そして、各磁石支持部に対し、固定子永久磁石437が所定の固定手段(固定ネジや接着剤等)によって取り付けられている。この点については、内周面434cにおいても同様である。つまり、複数(本実施形態では50個)の磁石支持部(図示省略)が回転軸AXを中心とした同心円方向Rに等間隔だけ離間しながら内周面434bの周縁部全体に固着されるとともに、各磁石支持部に対し、固定子永久磁石438が所定の固定手段(固定ネジや接着剤等)によって取り付けられている。本実施形態では、これら3種類の固定子永久磁石436~438は、ネオジム磁石で構成されているが、磁石の種類はこれに限定されるものではなく、例えばフェライト磁石やサマリウムコバルト磁石などを用いてもよい。
【0017】
次に、回転子永久磁石423に対する3種類の固定子永久磁石436~438の配設関係について図2図4を参照しつつ詳述する。回転子永久磁石423は、X方向に延設された台形柱形状を有しており、(+X)方向側の端面がN極となるとともに(-X)方向側の端面がS極となるように磁石支持部422に取り付けられている。また、回転子永久磁石423は、図3に示すように、磁界発生方向(軸線方向)へ延びる軸線が回転子永久磁石423の回転軌跡に対する接線Sに対して反時計回り方向へ所定角度θで傾斜している。
【0018】
このように取り付けられた回転子永久磁石423の径方向の外側に固定子永久磁石436が微小距離D1(例えば、0.5~4mm)だけ回転子永久磁石423から離間しながら回転子永久磁石423と磁石同極並列されている。つまり、固定子永久磁石436は、所定角度θだけ傾斜しながら、(+X)方向側の端面がN極となるとともに(-X)方向側の端面がS極となるように磁石支持部435に取り付けられている。このため、回転子永久磁石423の磁界と固定子永久磁石436の磁界とは、磁石同極並列の磁束分布を呈し、その結果、回転子永久磁石423と固定子永久磁石436との間で反発力が生じる。
【0019】
また、回転子永久磁石423の(+X)方向側に固定子永久磁石437が微小距離D2(例えば、0.5~4mm)だけ回転子永久磁石423から離間しながら回転子永久磁石423と同極対向されている。つまり、固定子永久磁石437は、(+X)方向側の傾斜面と平行に傾斜しながら、(-X)方向側の端面がN極となるとともに(+X)方向側の端面がS極となるように、図示を省略する磁石支持部を介して内周面434bに取り付けられている。このため、回転子永久磁石423の磁界と固定子永久磁石437の磁界とは、同極対向の磁束分布を呈し、その結果、回転子永久磁石423と固定子永久磁石437との間で反発力が生じる。
【0020】
さらに、回転子永久磁石423の(-X)方向側に固定子永久磁石438が微小距離D3(例えば、0.5~4mm)だけ回転子永久磁石423から離間しながら回転子永久磁石423と同極対向されている。つまり、固定子永久磁石438は、(-X)方向側の傾斜面と平行に傾斜しながら、(-X)方向側の端面がN極となるとともに(+X)方向側の端面がS極となるように、図示を省略する磁石支持部を介して内周面434cに取り付けられている。このため、回転子永久磁石423の磁界と固定子永久磁石438の磁界とは、同極対向の磁束分布を呈し、その結果、回転子永久磁石423と固定子永久磁石438との間で反発力が生じる。
【0021】
このように回転している回転子42と固定子43との間には、3つの固定子永久磁石436~438に対する回転子永久磁石423の反発力がそれぞれ回転子永久磁石423の軸線方向(回転子42の回転方向)に作用している。その結果、上記磁界の反発力により回転子42の回転が増速され、大きな回転駆動力が生み出される。なお、本実施形態では回転子42の初期回転を与える、また回転子42の回転を制御するために、本実施形態では、発電機2およびモータ6の回転状態を検出するために、発電機2およびモータ6の回転シャフト(図示省略)に回転数検出器21、61が取り付けられ、各回転数に関する情報が制御部7に送られる。
【0022】
制御部7は、例えば、各種演算処理を行うCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAM、制御用ソフトウェアやデータなどを記憶しておく磁気ディスク、等を備えている。制御部7においては、プログラムに記述された手順に従って主制御部としてのCPUが演算処理を行うことにより、発電システム1の各部を以下のように制御する。
【0023】
発電システム1では、永久磁石回転機4の起動時に、第2クラッチ機構5を接続状態に切り替えた後でモータ6を作動させて回転シャフト41に回転力(本発明の「外力」の一例)を与える。これにより回転子42が回転軸AXまわりに回転し始める。その後で、制御部7は、第2クラッチ機構5を接続状態から非接続状態に切り替えるとともにモータ6の回転を停止させる。このように外力が加わっていない状態であっても、3種類の固定子永久磁石436~438の磁界に対する回転子永久磁石423の磁界の反発力によって回転子42の回転が継続され、永久磁石回転機4から回転駆動力が出力される。そこで、制御部7は第1クラッチ機構3を非接続状態から接続状態に切り替え、上記回転駆動力を発電機2に伝達し、発電機2を作動させて電力を出力させる。
【0024】
以上のように、本実施形態によれば、永久磁石回転機4は、回転子永久磁石423に対し、3種類の固定子永久磁石436~438を設け、回転子の回転と同時に、回転子永久磁石423と固定子永久磁石436~438との間で作用する反発力を順次継続して作用させて回転子42を回転軸AXまわりに回転させ、回転駆動力を出力する。したがって、永久磁石回転機4から回転駆動力が効率的に発生し、それを発電機2に与えているため、優れた発電性能が得られる。
【0025】
また、本実施形態では、各永久磁石423、436~438の傾きを適正化するとともに、回転子永久磁石423と、固定子永久磁石436~438との間隔D1~D3を適正化することで回転駆動力の出力効率を高めている。特に、傾き角度θについては、種々の実験から18~22゜に設定するのが望ましいことがわかった。
【0026】
上記において、(+X)方向および(-X)方向がそれぞれ本発明の「第1方向」および「第2方向」に相当している。Z方向が本発明の「径方向」に相当している。また、内周面434a~344cがそれぞれ本発明の「第1内周面」、「第2内周面」、「第3内周面」の一例に相当している。また、固定子永久磁石436~438がそれぞれ本発明の「第1固定子永久磁石」、「第2固定子永久磁石」、「第3固定子永久磁石」の一例に相当している。
【0027】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば回転子42の回転中に回転子本体421がX方向に部分的に変位する、いわゆる回転子本体421の揺れが発生するのを防止するために、例えば図5に示すように、回転子本体421の中央部に揺れ止め用の永久磁石424を取り付けるとともに、X方向において永久磁石424に対して対向して永久磁石424の磁界と反発する磁界を発生させる永久磁石439を内周面434b、434cに取り付けてもよい(第2実施形態)。
【0028】
また、上記した実施形態では、回転子永久磁石423に対して3種類の固定子永久磁石436~438を設けているが、固定子永久磁石437、438の一方を省略してもよい。例えば、図6に示すように、回転子42をX方向に2つ配列した場合、(+X)方向側の回転子42に対して(+X)方向側のみに固定子永久磁石437を配置し、(-X)方向側の回転子42に対して(-X)方向側のみに固定子永久磁石438を配置してもよい(第3実施形態)。なお、このように2つの回転子42を並列配置する場合に、固定子本体431に冷却用空気を導入する空気導入孔431aと内部空間433から空気を排気するための空気排出孔431bとを設けてもよい。この第3実施形態によれば、内部空間433に熱が籠るのを効果的に防止することができ、回転駆動力を高い効率で安定して出力することができる。
【0029】
また、上記実施形態では、回転子永久磁石423と固定子永久磁石436との間で磁石同極並列の磁束分布による反発力を発生させ、回転子永久磁石423と固定子永久磁石437、438との間で磁石同極対向の磁束分布による反発力を発生させているが、反発力を発生させるための組み合わせは任意である。
【産業上の利用可能性】
【0030】
この発明は、回転機構で発生する回転駆動力により発電機を作動させて発電する発電システム全般に適用することができる。
【符号の説明】
【0031】
1…発電システム
2…発電機
4…永久磁石回転機
42…回転子
43…固定子
421…回転子本体
423…回転子永久磁石
431…固定子本体
434a~344c…(固定子本体の)内周面
436~438…固定子永久磁石
AX…回転軸
R…周方向
(+X)…第1方向
(-X)…第2方向
Z…径方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6