(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023081960
(43)【公開日】2023-06-13
(54)【発明の名称】ロボット介入処置のための遠隔通信及び制御システム
(51)【国際特許分類】
A61B 34/35 20160101AFI20230606BHJP
【FI】
A61B34/35
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023033956
(22)【出願日】2023-03-06
(62)【分割の表示】P 2020564464の分割
【原出願日】2019-05-17
(31)【優先権主張番号】62/719,757
(32)【優先日】2018-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/673,307
(32)【優先日】2018-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】510292504
【氏名又は名称】コリンダス、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】弁理士法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】コッテンステット、ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】リ、ヤオ
(72)【発明者】
【氏名】バーグマン、パー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ロボット介入処置において使用されるデバイスのための遠隔通信及び制御システムを提供する。
【解決手段】局所サイトにあるロボット医療デバイスシステムの動作を制御するべく遠隔サイトにあるコントロールセンターを使用する方法であって、コントロールセンターからロボット医療デバイスシステムまで制御信号を送信することと、当該制御信号の送信における遅延を決定することと、当該遅延としきい遅延値との比較に基づいて当該ロボット医療デバイスシステムを操作することとを含む。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
局所サイトにあるロボット医療デバイスシステムの動作を制御するべく遠隔サイトにあるコントロールセンターを使用する方法であって、
前記コントロールセンターから前記ロボット医療デバイスシステムへと制御信号を送信することと、
前記制御信号の送信における遅延を決定することと、
前記遅延としきい遅延値とを比較することと、
前記遅延と前記しきい遅延値との比較に基づいて前記ロボット医療デバイスシステムを動作させることと
を含む、方法。
【請求項2】
前記ロボット医療デバイスシステムは少なくとも一つの医療デバイスを含み、
前記ロボット医療デバイスシステムを動作させることは、前記少なくとも一つの医療デバイスの動きを停止させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ロボット医療デバイスシステムは少なくとも一つの医療デバイスを含み、
前記ロボット医療デバイスシステムを動作させることは、前記少なくとも一つの医療デバイスの動きを一時停止させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ロボット医療デバイスシステムは少なくとも一つの医療デバイスを含み、
前記ロボット医療デバイスシステムを動作させることは、前記少なくとも一つの医療デバイスの制御を前記遠隔サイトから前記局所サイトへとシフトさせることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも一つの画像を前記ロボット医療デバイスシステムから前記コントロールセンターへと送信することと、
前記画像の送信における遅延を決定することと、
前記制御信号の遅延及び前記画像の遅延に基づいて合計遅延を決定することと
をさらに含み、
前記遅延としきい遅延値とを比較することは、前記合計遅延としきい遅延値とを比較することを含み、
前記ロボット医療デバイスシステムを動作させることは、前記合計遅延と前記しきい遅延値との比較に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記制御信号の遅延をディスプレイに表示することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記制御信号の合計遅延をディスプレイに表示することをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも一つの画像を前記ロボット医療デバイスシステムから前記コントロールセンターへと送信することと、
前記画像の送信における遅延を決定することと、
前記画像の遅延をディスプレイに表示することと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
局所サイトにあるロボット医療デバイスシステムにおける細長い医療デバイスの動作を制御するべく遠隔サイトにあるコントロールセンターを使用する方法であって、
前記コントロールセンターから制御信号を受信することと、
前記制御信号の送信における遅延を決定することと、
前記ロボット医療デバイスシステムの少なくとも一つのパラメータに基づいてしきい遅延値を決定することと、
前記遅延と前記しきい遅延値とを比較することと、
前記遅延と前記しきい遅延値との比較に基づいて前記細長い医療デバイスの動作を調整することと
を含む、方法。
【請求項10】
前記ロボット医療デバイスシステムの前記パラメータは、処置のタイプである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ロボット医療デバイスシステムの前記パラメータは、細長い医療デバイスのタイプである、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記ロボット医療システムの前記パラメータは、前記細長い医療デバイスの先端のロケーションである、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記ロボット医療デバイスシステムの前記パラメータは、前記細長い医療デバイスの動きの方向である、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記遅延が前記しきい遅延値よりも大きい場合、前記細長い医療デバイスの動作を調整することは、前記細長い医療デバイスを停止させることを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記遅延が前記しきい遅延値よりも大きい場合、前記細長い医療デバイスの動作を調整することは、前記細長い医療デバイスの制御を前記ロボット医療デバイスシステムに変更することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記細長い医療デバイスの動作を調整することは、前記細長い医療デバイスの速度を調整することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
前記細長い医療デバイスの速度を調整することは、前記細長い医療デバイスの前進、後退又は回転の速度を調整することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
局所サイトにあるロボット医療デバイスシステムの動作を制御するべく遠隔サイトにあるコントロールセンターを使用する方法であって、
前記コントロールセンターから制御信号を受信することと、
前記制御信号の送信における遅延を決定することと、
前記遅延としきい遅延値とを比較することと、
前記遅延が前記しきい遅延値よりも小さい場合、前記遅延に基づいて前記ロボット医療デバイスシステムの医療デバイスの速度を調整することと、
前記遅延が前記しきい遅延値よりも大きい場合、前記医療デバイスの速度をゼロに設定することと
を含む、方法。
【請求項19】
前記ロボット医療デバイスシステムの医療デバイスの速度を調整することは、前記遅延が前記しきい遅延値に向かって増加するときに前記医療デバイスの速度を減少させることを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記医療デバイスの速度は、
[式(1)]
によって与えられる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記ロボット医療デバイスシステムから前記コントロールセンターへの画像の送信における遅延を決定することと、
前記制御信号の送信における遅延及び前記画像の送信における遅延に基づいて合計ネットワーク遅延を決定することと
をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記遅延と前記しきい遅延値とを比較することは、前記合計ネットワーク遅延と前記しきい遅延値とを比較することを含み、
前記遅延に基づいて前記ロボット医療デバイスシステムの医療デバイスの速度を調整することは前記合計ネットワーク遅延に基づいて前記速度を調整することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記医療デバイスの速度は、
[式(2)]
によって与えられる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記医療デバイスは細長い医療デバイスであり、
前記ロボット医療デバイスシステムはカテーテル処置システムである、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
医療デバイスを制御するシステムであって、
遠隔サイトに配置されたコントロールセンターと、
局所サイトにあるロボット医療デバイスシステムと
を含み、
前記コントロールセンターは、
制御コンソールと、
前記制御コンソールに結合された第1の命令及び制御モジュールと、
前記第1の命令及び制御モジュールに結合されて精密時刻プロトコルを使用する第1のクロックと
を含み、
前記第1のクロックは、基準時刻源から時刻データを受信するべく構成され、
前記ロボット医療デバイスシステムは前記コントロールセンターと通信して、
少なくとも一つの医療デバイスと、
前記少なくとも一つの医療デバイスに結合されて前記第1の命令及び制御モジュールと通信する第2の命令及び制御モジュールと、
前記第2の命令及び制御モジュールに結合されて前記精密時刻プロトコルを使用する第2のクロックと
を含み、
前記第1のクロックは前記基準時刻源から時刻データを受信するべく構成され、
前記コントロールセンターと前記遠隔医療デバイスとはセキュアトンネルを経由して通信し、
前記コントロールセンターの前記制御コンソールは、前記少なくとも一つの医療デバイスと通信してこれを制御するべく構成される、システム。
【請求項26】
前記システムはさらに、複数のコントロールセンター、及び複数のロボット医療デバイスシステムを含み、
前記複数の医療デバイスシステムはそれぞれが、前記複数のコントロールセンターのそれぞれと通信する、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記コントロールセンターはさらに、第1の命令及び制御モジュールに結合された第1のファイアウォールを含み、
前記ロボット医療デバイスシステムはさらに、前記第2の命令及び制御モジュールに結合された第2のファイアウォールを含み、
前記第1のファイアウォールは前記第2のファイアウォールとのセキュアトンネルを確立するべく構成される、請求項25に記載のシステム。
【請求項28】
前記セキュアトンネルはIPsecトンネルである、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記基準時刻源は衛星ベースの時刻源である、請求項25に記載のシステム。
【請求項30】
前記衛星ベースの時刻源は全地球測位システムである、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記衛星ベースの時刻源は衛星時刻位置システムである、請求項29に記載のシステム。
【請求項32】
遠隔サイト及び局所サイトにより少なくとも一つの医療デバイスの制御を管理するシステムであって、
遠隔サイトにロケーションを有するコントロールセンターと、
局所サイトにあって前記コントロールセンターと通信するロボット医療デバイスシステムと、
前記コントロールセンター及び前記ロボット医療デバイスシステムのための制御状態を決定する仮想制御トークンと
を含み、
前記仮想制御トークンのロケーションが前記制御状態を決定する、システム。
【請求項33】
前記制御状態は、前記仮想制御トークンが前記コントロールセンターにロケーションを有する場合に第1の制御状態であり、
前記第1の制御状態は、前記少なくとも一つの医療デバイスの制御を前記コントロールセンターに与える、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記制御状態は、前記仮想制御トークンが前記ロボット医療デバイスシステムにロケーションを有する場合に第2の制御であり、
前記第2の制御状態は、前記少なくとも一つの医療デバイスの制御を前記ロボット医療デバイスシステムに与える、請求項32に記載のシステム。
【請求項35】
前記少なくとも一つの医療デバイスの制御を要求するための仮想要求トークンをさらに含む、請求項32に記載のシステム。
【請求項36】
前記少なくとも一つの医療デバイスの制御を取得するための仮想強制要求トークンをさらに含む、請求項32に記載のシステム。
【請求項37】
局所サイトにあるロボット医療デバイスシステムから遠隔サイトにあるコントロールセンターへのデータの送信の帯域幅を低減する方法であって、
前記コントロールセンターは前記ロボット医療デバイスシステムの動作を制御するべく構成され、
前記方法は、
前記ロボット医療デバイスシステムにおいて前記データの表示を生成することであって、前記データは、少なくとも一つの画像、及び非画像患者情報を含むことと、
前記生成された表示の一セクションを選択することと、
前記表示の選択された一セクションを前記コントロールセンターに送信することと、
前記コントロールセンターのディスプレイに前記選択された一セクションを表示することと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2018年8月20日に出願された「ロボット医療デバイスのための遠隔通信システム及び制御システム」との名称の米国出願第62/719,757号、及び2018年5月18日に出願された「ロボット医療デバイスのための遠隔通信システム及び制御システム」との名称の米国出願第62/673,307号に基づき、これらの優先権を主張し、これらの全体を参照によりここに組み入れる。
【0002】
本発明は一般に、ロボット医療処置システムの分野に関し、詳しくは、ロボット介入処置において使用されるデバイスのための遠隔通信及び制御システムに関する。
【背景技術】
【0003】
カテーテル(及び他の細長い医療デバイス)は、神経介入手術としても知られる神経血管介入(NVI)、経皮的冠動脈介入(PCI)及び末梢血管介入(PVI)を含む様々な血管系の疾患の診断及び治療を目的とする多くの最小侵襲性医療処置のために使用され得る。これらの処置は典型的に、ガイドワイヤを、脈管構造を通るように案内し、当該ガイドワイヤを介して作動カテーテルを進行させて治療を行うことを含む。カテーテル法処置は、標準的な経皮的技法を使用してシース又はガイドカテーテルによる動脈又は静脈のような適切な血管へのアクセスを得ることによって開始する。その後、シース又はガイドカテーテルが、診断ガイドワイヤを経由して一次的なロケーションまで、例えばNVIのための内頸動脈、PCIのための冠動脈口、又はPVIのための浅大腿動脈まで、前進させられる。その後、脈管構造に適したガイドワイヤが、シース又はガイドカテーテルを通るように脈管構造内の標的ロケーションまで案内される。曲がりくねった解剖学的構造のような所定の状況において、支持カテーテル又はマイクロカテーテルが、ガイドワイヤの案内を補助するべく、ガイドワイヤを経由して挿入される。医師又はオペレータは、撮像システム(例えばX線透視装置)を使用して造影剤注入によるシネ(cine)を取得することにより、ガイドワイヤ又はカテーテルを例えば病変のような標的ロケーションまで案内するためのロードマップとして使用する固定フレームを選択することができる。医師がガイドワイヤ又はカテーテルデバイスを送達する間に造影画像が得られるので、医師は、当該デバイスが正しい経路に沿って標的ロケーションへと移動していることを確認することができる。X線透視を使用して解剖学的構造を観察しながら、医師はガイドワイヤ又はカテーテルの近位端を操作し、遠位先端を適切な血管の中へ病変に向けて誘導するとともに、側枝への進行を回避する。
【0004】
例えばNVI、PCI及びPVIのようなカテーテル処置を行うときに医師を補助するべく使用されるロボットカテーテル処置システムが開発されている。神経血管介入(NVI)カテーテル処置の例は、動脈瘤のコイル塞栓術、動静脈奇形の液体塞栓術、及び急性虚血性脳卒中の状況における大血管閉塞の機械的血栓摘出術を含む。NVIにおいて、医師はロボットシステムを使用し、神経血管ガイドワイヤ及びマイクロカテーテルを操作して病変へのアクセスを得ることにより、治療を行って正常な血流を回復させる。このアクセスは、シース又はガイドカテーテルによって可能にされるが、さらに遠位にある領域のために、又はマイクロカテーテル及びガイドワイヤの適切な支持を得るために、中間カテーテルを必要とすることもある。ガイドワイヤの遠位先端は、病変のタイプおよび治療に応じて、病変の中に入るように又は病変を通過するように案内される。動脈瘤の治療に対しては、マイクロカテーテルが病変の中に進められ、ガイドワイヤが除去され、当該マイクロカテーテルを通していくつかのコイルが動脈瘤内に展開されて当該動脈瘤を塞栓するべく使用される。動静脈奇形の治療に対しては、液体塞栓がマイクロカテーテルを介して奇形内に注入される。血管閉塞を治療するための機械的血栓摘出術は、吸引により、又はステント型塞栓回収器の使用により達成できる。吸引は、マイクロカテーテルを介して直接行うか、又は大口径吸引カテーテルを用いて行う。ひとたび吸引カテーテルが病変に到達すると、カテーテルを通して血栓を除去するための陰圧が加えられる。代替的に、血栓は、マイクロカテーテルを通るようにステント型塞栓回収器を展開することによって除去してもよい。ひとたび血栓がステント型塞栓回収器の中に統合されると、血栓は、ステント型塞栓回収器及びマイクロカテーテルをガイドカテーテルの中へと後退させることによって回収される。
【0005】
PCIにおいて、医師はロボットシステムを使用し、冠動脈ガイドワイヤを操作することにより病変へのアクセスを得て治療を行い、正常な血流を回復させる。このアクセスは、ガイドカテーテルを冠動脈口に留置することによって可能となる。ガイドワイヤの遠位先端が病変を通過するように案内され、複雑な解剖学的構造のために、マイクロカテーテルが、当該ガイドワイヤを適切に支持するべく使用される。血流は、病変にステント又はバルーンを送達及び展開することによって回復される。病変は、ステント留置に先立っての前処理を必要とする。この前処理は、病変の事前膨張を目的としてバルーンを送達するか、又は例えばレーザ若しくは回転式アテローム切除カテーテル及びバルーンを、ガイドワイヤを経由するように使用してアテローム切除術を実施するかによる。適切な治療を決定するべく、撮像カテーテル又はFFR測定を使用することによって画像撮像及び生理学的測定を行うこともできる。
【0006】
PVIにおいて、医師はロボットシステムを使用し、NVIと同様の技法により治療を行って血流を回復させる。ガイドワイヤの遠位先端が病変を通過するように案内され、複雑な解剖学的構造を目的とする適切な支持をガイドワイヤに与えるべくマイクロカテーテルが使用される。血流は、ステント又はバルーンを病変まで送達及び展開することにより回復する。PCIと同様に、病変の前処理及び診断撮像も使用され得る。
【0007】
医療処置に使用されるロボットシステムのオペレータは典型的に、患者及びロボットシステムと同じ部屋又は隣接する部屋にロケーションを有する。しかしながら、遠隔ロケーション(例えば異なる建物、異なる都市)に位置するオペレータがロボットシステムを操作して医療処置を行うことを許容するのが望ましいことがある。遠隔ロケーションにいるオペレータがロボット医療処置システムを制御及び操作することを許容するシステムは、例えば、小規模なコミュニティにいる患者に、その地域では利用できないかもしれない専門医へのアクセスを与える。加えて、緊急医療処置を必要とする患者が、遠隔のロケーションにいる専門家によって地元の病院で治療を受けることができるので、介入処置を行うまでの時間を短縮することができる。例えば、大血管閉塞(LVO)に起因する急性虚血性脳卒中の患者を治療するべく、又はST上昇型心筋梗塞(STEMI)の患者を可能な限り早く治療するべく、介入処置を完了することが有利である。様々な遠隔手術システムが、一般的な血管、心臓及び泌尿器の処置のために開発されている。例えば、遠隔手術システムは、腹腔鏡処置のために使用されている。オペレータが遠隔で医療処置を行うシステムの開発には多くの課題が存在する。ネットワーク(例えばインターネット)を経由したセキュアネットワーク接続を確立及び維持する必要がある。制御信号及び画像の送信における遅延及びジッタが、システムの安定性と同様に処置の安全性にも影響する。局所医療処置システムの制御に関するデッドロックは、局所ロケーションと遠隔ロケーションとの間で生じ得る。また、多数の遠隔ロケーションが局所的な医療処置システムに接続してこれを操作することを許容する多対多構成を与えるとの課題も存在し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2011/0306986 (A1)号明細書
【特許文献2】米国特許第8,340,819号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2012/0191464 (A1)号明細書
【発明の概要】
【0009】
一実施形態によれば、局所サイトにあるロボット医療デバイスシステムの動作を制御するべく遠隔サイトにあるコントロールセンターを使用する方法が、コントロールセンターからロボット医療デバイスシステムまで制御信号を送信することと、当該制御信号の送信における遅延を決定することと、当該遅延としきい遅延値との比較に基づいて当該ロボット医療デバイスシステムを操作することとを含む。
【0010】
他実施形態によれば、局所サイトにあるロボット医療デバイスシステムにおける細長い医療デバイスの動作を制御するべく遠隔サイトにあるコントロールセンターを使用する方法が、コントロールセンターからの制御信号を受信することと、当該制御信号の送信における遅延を決定することと、当該ロボット医療デバイスシステムの少なくとも一つのパラメータに基づいてしきい遅延値を決定することと、当該遅延と当該しきい遅延値とを比較することと、当該遅延と当該しきい遅延値との比較に基づいて細長い医療デバイスの操作を調整することとを含む。
【0011】
他実施形態によれば、局所サイトにあるロボット医療デバイスシステムの動作を制御するべく遠隔サイトにあるコントロールセンターを使用する方法が、コントロールセンターから制御信号を受信することと、当該制御信号の送信における遅延を決定することと、当該遅延としきい遅延値とを比較して当該遅延が当該しきい遅延値よりも小さい場合に、当該遅延に基づいてロボット医療デバイスシステムの医療デバイスの速度を調整することと、当該遅延が当該しきい遅延値よりも大きい場合に当該医療デバイスの速度をゼロに設定することとを含む。
【0012】
他実施形態によれば、医療デバイスを制御するシステムが、遠隔サイトにロケーションを有するコントロールセンターを含む。コントロールセンターは、制御コンソールと、当該制御コンソールに結合された第1の命令及び制御モジュールと、当該第1の命令及び制御モジュールに結合されて精密時刻プロトコルを使用する第1のクロックとを含み、当該第1のクロックは基準時刻源から時刻データを受信するべく構成される。システムはさらに、局所サイトにロボット医療デバイスシステムを含み、当該ロボット医療デバイスシステムはコントロールセンターと通信する。ロボット医療サービスシステムは、少なくとも一つの医療デバイスと、当該少なくとも一つの医療デバイスに結合されて第1の命令及び制御モジュールと通信する第2の命令及び制御モジュールと、当該第2の命令及び制御モジュールに結合されて精密時刻プロトコルを使用する第2のクロックとを含み、第1のクロックは基準時刻源から時刻データを受信するべく構成される。コントロールセンターと遠隔医療デバイスとはセキュアトンネルを経由して通信する。コントロールセンターの制御コンソールは、少なくとも一つの医療デバイスと通信してこれを制御するべく構成される。
【0013】
他実施形態によれば、遠隔サイト及び局所サイトによって少なくとも一つの医療デバイスの制御を管理するシステムが、遠隔サイトにロケーションを有するコントロールセンターと、局所サイトにおいて当該コントロールセンターと通信するロボット医療デバイスシステムと、当該コントロールセンター及びロボット医療デバイスシステムの制御状態を決定する仮想制御トークンとを含む。仮想制御トークンのロケーションが制御状態を決定する。
【0014】
他実施形態によれば、局所サイトにあるロボット医療デバイスシステムから遠隔サイトにあるコントロールセンターまでのデータ送信の帯域幅を低減する方法であって、当該コントロールセンターが当該ロボット医療デバイスシステムの動作を制御するべく構成される方法が、当該ロボット医療デバイスシステムにおいてデータの表示を生成することを含む。このデータは、少なくとも一つの画像、及び非画像患者情報を含む。方法はさらに、生成された表示の一セクションを選択することと、当該表示の選択されたセクションをコントロールセンターまで送信することと、当該選択されたセクションを当該コントロールセンターのディスプレイに表示することとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明は、同じ参照番号が同じ要素を言及する添付図面と併用される以下の詳細な説明からより十分に理解される。
【0016】
【
図1】一実施形態に係る典型的なカテーテル処置システムの斜視図である。
【
図2】一実施形態に係る典型的なカテーテル処置システムの模式的なブロック図である。
【
図3】一実施形態に係るロボット医療デバイスシステムの通信及び制御システムのブロック図である。
【
図4】一実施形態に係るロボット医療デバイスシステムの通信及び制御システムのブロック図である。
【
図5】一実施形態に係るロボット医療デバイスシステムの動作を制御する方法を例示する。
【
図6】一実施形態に係るコントロールセンターの典型的なグラフィカルユーザインタフェイスを示す。
【
図7】一実施形態に係るロボット医療デバイスシステムの典型的なグラフィカルユーザインタフェイスを示す。
【
図8】一実施形態に係る局所サイトにおけるロボット医療デバイスシステムのためのデータ及び画像の典型的な表示を示す。
【
図9】一実施形態に係る血行動態データを有する遠隔サイトにおけるコントロールセンターの典型的な表示を示す。
【
図10】一実施形態に係る遠隔サイトにおけるコントロールセンターの典型的な表示を示す。
【
図11】一実施形態に係るコントロールセンターもロボット医療デバイスシステムもロボット医療デバイスの制御にはないときの典型的なユーザインタフェイスを示す。
【
図12】一実施形態に係るロボット医療デバイスシステムがロボット医療デバイスの制御にあるときの典型的なユーザインタフェイスを示す。
【
図13】一実施形態に係るコントロールセンターがロボット医療デバイスの制御にあるときの典型的なユーザインタフェイスを示す。
【
図14】一実施形態に係る遠隔サイトにおけるコントロールセンターの典型的な表示を示す。
【
図15】一実施形態に係る遠隔サイトにおけるコントロールセンターの典型的な表示を示す。
【
図16】一実施形態に係る多数のコントロールセンター及び多数のロボット医療デバイスシステムの多対多構成のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、一実施形態に係る典型的なカテーテル処置システムの斜視図である。
図1において、カテーテル処置システム100は、カテーテルに基づく医療処置、例えば、経皮的冠動脈介入(PCI)、神経血管介入処置(例えば大血管閉塞(LVO)の治療)、ST上昇心筋梗塞のためのPCI、末梢血管介入処置等の経皮的介入処置を実施するために使用することができる。カテーテルに基づく医療処置は、患者の疾患の診断を補助するべく一以上のカテーテル(又は他の細長い医療デバイス)が使用される診断カテーテル処置を含み得る。例えば、カテーテルに基づく診断処置の一実施形態の間に、カテーテルを通して造影剤が一以上の冠動脈に注入され、患者の心臓の画像が撮影される。カテーテルに基づく医療処置はまた、カテーテルに基づく治療処置(例えば血管形成術、ステント留置術、末梢血管疾患の治療等)を含み得る。その処置の間、カテーテル(又は他の細長い医療デバイス)が疾患を治療するべく使用される。しかしながら、当業者であれば、所定の固有な経皮的介入デバイス又はコンポーネント(例えばガイドワイヤのタイプ、カテーテルのタイプ等)が、実施される処置のタイプに基づいて選択されることがわかることに留意されたい。カテーテル処置システム100は、処置に使用される固有の経皮的介入デバイスに適応するための微調整により、カテーテルに基づく任意数の医療処置を実行することができる。詳しくは、ここに記載されるカテーテル処置システム100の実施形態が主に、冠動脈疾患の診断及び/又は治療に関連して説明される一方、カテーテル処置システム100は、カテーテルに基づく処置を介して、診断及び/又は治療に適した任意タイプの疾患又は状態を診断及び/又は治療するべく使用してよい。
【0018】
カテーテル処置システム100は、ラボユニット106及びワークステーション116を含む。カテーテル処置システム100は、ベッドサイドシステム110として示されるロボットカテーテルシステムを含み、ラボユニット106内で患者102に隣接して配置される。患者102は、テーブル108上に支持される。一般に、ベッドサイドシステム110には、カテーテルに基づく医療処置をユーザが、ワークステーション116に配置された制御装置のような様々な制御装置を操作することにより、ロボットシステムを介して実行することを許容する適切な経皮的介入デバイス又は他のコンポーネント(例えばガイドワイヤ、ガイドカテーテル、バルーンカテーテル及びステント送達システムのような作業カテーテル、造影剤、薬剤、診断カテーテル等)が備えられる。ベッドサイドシステム110は、ここに記載の機能性をベッドサイドシステム110に与えるべく任意の数の及び/又は任意の組み合わせのコンポーネントを含み得る。ベッドサイドシステム110は、とりわけ、ロボットアーム111によって支持される駆動アセンブリ112を含む。駆動アセンブリ111は、カテーテル又はガイドワイヤのような細長い医療デバイス115を駆動するべく使用され得るロボットドライブ113に搭載されたカセット115を含む。例えば、駆動アセンブリ111は、患者102の動脈に置かれたガイドカテーテルの中へとガイドワイヤを自動的に供給するべく使用される。
【0019】
ベッドサイドシステム110はワークステーション116と通信しており、ワークステーション116のユーザ入力によって生成された信号は、ベッドサイドシステム110へと送信されてベッドサイドシステム110の様々な機能を制御することができる。ベッドサイドシステム110はまた、フィードバック信号(例えば運転条件、警告信号、エラーコード等)をワークステーション116に供給してもよい。ベッドサイドシステム110は、ワークステーション116とベッドサイドシステム110との間に通信を生じさせることができる無線接続、ケーブル接続、又は任意の他の手段としてよい通信リンク140(
図2に示す)を介してワークステーション116に接続されてよい。
【0020】
ワークステーション116は、カテーテル処置システム126の様々なコンポーネント又はシステムを操作するユーザ入力を受け取るように構成されたユーザインタフェイス100を含む。ユーザインタフェイス126は、ユーザがベッドサイドシステム110を制御してカテーテルに基づく医療処置を行うことを許容する制御装置118を含む。例えば、制御装置118は、ベッドサイドシステム110に装備され得る様々な経皮的介入デバイス(例えば細長い医療デバイス)を使用する様々なタスクをベッドサイドシステム110に実行させるように構成することができる(例えば、ガイドワイヤを前進、後退若しくは回転させ、作業カテーテルを前進、後退若しくは回転させ、ガイドカテーテルを前進、後退若しくは回転させ、カテーテルに配置されたバルーンを膨張若しくは収縮させ、ステントを位置決め及び/若しくは展開し、造影剤をカテーテルへと注入し、薬剤をカテーテルへと注入し、又はカテーテルに基づく医療処置の一部として実施され得る任意の他の機能を実施するために)。駆動アセンブリ111は、経皮的介入デバイスを含むベッドサイドシステム110のコンポーネントの動き(例えば軸方向及び回転の動き)を生じさせる様々な駆動機構を含む。
【0021】
一実施形態において、制御装置118は、タッチ画面124、一以上のジョイスティック128及びボタン130、132を含む。ジョイスティック128は、様々なコンポーネント経皮的介入デバイス、例えばガイドワイヤ、ガイドカテーテル又は作業カテーテル、を前進、後退又は回転させるように構成することができる。ボタン130、132は、例えば、緊急停止ボタン及びマルチプライヤボタンを含み得る。緊急停止ボタンが押されると、リレーがトリガされ、ベッドサイドシステム110への電力供給が遮断される。マルチプライヤボタンは、制御装置118の操作に応答して関連コンポーネントが動かされる速度を増加又は減少させるように作用する。一実施形態において、制御装置118は、作動されるとカテーテル処置システム100のコンポーネントの動作を引き起こすタッチ画面124上に表示される一以上の制御装置又はアイコン(図示せず)を含み得る。制御装置118はまた、バルーン及び/又はステントを膨張又は収縮させるように構成されたバルーン又はステントの制御装置を含んでよい。各制御装置は、当該制御装置が専用となる特定のコンポーネントを制御するのに望ましい一以上のボタン、ジョイスティック、タッチ画面等を含み得る。加えて、タッチ画面124は、制御装置118の様々な部分に又はカテーテル処置システム100の種々のコンポーネントに関連する一以上のアイコン(図示せず)を表示することができる。
【0022】
ユーザインタフェイス126は、第1のモニタ又はディスプレイ120及び第2のモニタ又はディスプレイ122を含み得る。他実施形態において、ユーザインタフェイス126は、一つのディスプレイ又は2つを超えるディスプレイを含み得る。第1のモニタ120及び第2のモニタ122は、ワークステーション116にロケーションを有するユーザに情報又は患者固有データを表示するように構成され得る。例えば、第1のモニタ120及び第2のモニタ122は、画像データ(例えばX線画像、MRI画像、CT画像、超音波画像等)、血行動態データ(例えば血圧、心拍数等)、患者記録情報(例えば既往歴、年齢、体重等)を表示するように構成され得る。加えて、第1のモニタ120及び第2のモニタ122は、処置固有の情報(例えば処置時間、カテーテル又はガイドワイヤの位置、送達される薬剤又は造影剤の量等)を表示するように構成され得る。モニタ120及びモニタ122は、ガイドカテーテルの位置に関する情報を表示するように構成され得る。さらに、モニタ120及びモニタ122は、コントローラ134に関連付けられた機能(
図3に示す)を与える情報を表示するように構成されてもよい。他実施形態において、ユーザインタフェイス126は、ここに説明される表示コンポーネント及び/又はタッチ画面コンポーネントのうちの一以上を表示するのに十分なサイズの単一画面を含む。
【0023】
カテーテル処置システム100はまた、ラボユニット106内に配置された撮像システム104も含む。撮像システム104は、カテーテルに基づく医療処置(例えば非デジタルX線、デジタルX線、CT、MRI、超音波等)と併せて使用され得る任意の医療撮像システムであり得る。典型的な一実施形態において、撮像システム104は、ワークステーション116と通信するデジタルX線撮像装置である。一実施形態において、撮像システム104は、Cアーム(図示せず)を含み得る。これにより、撮像システム104は、患者102に対する異なる角度位置(例えば矢状面図、尾翼面図、前後面図等)で画像を取得するべく、患者102まわりに部分的又は完全に回転することができる。
【0024】
撮像システム104は、特定の処置の間に患者102の適切な領域のX線画像を撮像するように構成されてもよい。例えば、撮像システム104は、心臓の状態を診断するべく心臓の一以上のX線画像を撮像するように構成され得る。撮像システム104はまた、カテーテルに基づく医療処置中に一以上のX線画像(例えばリアルタイム画像)を撮像して、ワークステーション116のユーザが処置中にガイドワイヤ、ガイドカテーテル、ステント等を適切に位置決めできるように支援するべく構成され得る。単数又は複数の画像が、第1のモニタ120及び/又は第2のモニタ122上に表示され得る。特に、ユーザが例えば、ガイドカテーテルを適切な位置へと正確に動かすのを許容するように、画像を第1のモニタ120及び/又は第2のモニタ122上に表示することができる。
【0025】
図2を参照すると、典型的な一実施形態に係るカテーテル処置システム100のブロック図が示される。カテーテル処置システム100は、コントローラ134を含み得る。コントローラ134は、ワークステーション116(
図1に示す)の一部であってもよい。コントローラ134は一般に、ここに記載される様々な機能を備えるカテーテル処置システム100を与えるのに適した電子制御ユニットとしてよい。例えば、コントローラ134は、組み込みシステム、専用回路、ここに記載の機能性でプログラムされた汎用システム等としてよい。コントローラ134は、一以上のベッドサイドシステム110、制御装置118、モニタ120及び122、撮像システム104、ならびに患者センサ136(例えば心電図(「ECG」)デバイス、脳波(「EEG」)デバイス、血圧モニタ、温度モニタ、心拍数モニタ、呼吸モニタ等)と通信する。一実施形態において、コントローラ134はまた、造影剤注入システム152及び血管内超音波(IVUS)システム154と通信してもよい。コントローラ156はまた、例えばOCTシステム、FFRシステム又は吸引ポンプのような他の医療システム156と通信してもよい。様々な実施形態において、コントローラ134は、カテーテル処置システム100を使用して医療処置を行えるように、ユーザと制御装置118との相互作用に基づいて、及び/又はコントローラ134にアクセス可能な情報に基づいて、制御信号を生成するべく構成される。加えて、コントローラ134は、病院データ管理システム又は病院ネットワーク142、及び一以上の追加的出力デバイス138(例えばプリンタ、ディスクドライブ、CD/DVD書き込み機等)と通信することができる。
【0026】
カテーテル処置システム100の様々なコンポーネント間の通信が、通信リンク140を介して達成され得る。通信リンク140は専用線又は無線接続であってよい。通信リンク140は、ネットワークを介した通信を表してもよい。カテーテル処置システム100は、明示的に示されていない任意の他のシステム及び/又はデバイスを含むように接続又は構成され得る。例えば、カテーテル処置システム100は、画像処理エンジン、データ記憶及び保管システム、自動バルーン及び/又はステント膨張システム、薬剤注入システム、薬剤追跡及び/又は記録システム、ユーザログ、暗号化システム、カテーテル処置システム100のアクセス又は使用を制限するシステム等を含み得る。
【0027】
上述のように、コントローラ134は、ベッドサイドシステム110と通信しており、経皮介入デバイス(例えばガイドワイヤ、カテーテル等)を駆動するべく使用されるモータ及び駆動機構の動作を制御するべくベッドサイドシステム110に制御信号を与えることができる。ベッドサイドシステム110は、例えば、ガイドワイヤの前進及び/又は後退を与えるガイドワイヤ軸方向駆動機構と、作業カテーテルの前進及び/又は後退を与える作業カテーテル軸方向駆動機構と、ガイドワイヤをその長手軸まわりに回転させるべく構成されたガイドワイヤ回転駆動機構とを含み得る。一実施形態において、様々な駆動機構は、駆動アセンブリ114(
図1に示す)に収容される。
【0028】
図1及び2に関して上述したカテーテル処置システムの例のようなロボット医療デバイスシステムが、遠隔制御される。
図3は、一実施形態に係るロボット医療デバイスシステムの通信及び制御システムのブロック図である。通信及び制御システム10は、遠隔サイト又は局所サイトにコントロールセンター12を含み、局所サイト又は局所ロケーションにロボット医療デバイスシステム14を含む。ここで使用されるように、局所サイトとは、ロボット医療デバイスシステム及び患者又は対象のロケーションであり、遠隔サイトとは、ロボット医療デバイスシステムを遠隔制御するべく使用されるオペレータ(例えば医者)及びコントロールセンターのロケーションである。コントロールセンター12とロボット医療デバイスシステム14とは、例えばインターネットのようなネットワーク16を経由して通信する。一実施形態において、遠隔サイト及び局所サイトは、互いから離れており、例えば、遠隔サイトが局所サイトのロボット医療デバイスシステム又は患者への物理的アクセスを有しない同じ建物内の異なる部屋、同じ都市内の異なる建物、異なる都市、又は他の異なるロケーションである。コントロールセンター12とロボット医療デバイスシステム14とは、ネットワーク16を経由して(例えばデータ、画像、命令及び制御信号を)通信する。遠隔サイトにいるオペレータは、局所サイトにあるロボット医療デバイスシステム14を制御及び操作して医療処置を行うべく、コントロールセンター12を使用することができる。一実施形態において、多数のコントロールセンター12が、ネットワーク16を経由して一つのロボット医療デバイスシステム14と通信することができ、各コントロールセンター12は、ロボット医療デバイスシステム14を別個のロケーションから制御するべく使用することができる。他実施形態において、多数のコントロールセンター12が、ネットワーク16を経由して多数のロボット医療デバイスシステム14と通信することができ、各コントロールセンター12は、ロボット医療デバイスシステム14のそれぞれを制御するべく使用することができる。
【0029】
ロボット医療デバイスシステム14は、例えば、処置を行うべくロボット制御され得るカテーテル処置システム又は他の医療デバイスシステムとしてよい。一実施形態において、ネットワーク16は、例えば仮想プライベートネットワークのようなセキュアネットワークである。コントロールセンター12は、例えば、ユーザインタフェイスを有するワークステーションを含み得る。一実施形態において、コントロールセンター12は、ロボット医療デバイスシステム14において与えられるユーザインタフェイスと同様のユーザインタフェイスを含む。例えば、ロボット医療デバイスシステム14が、
図1及び2に関して上述したシステムのようなカテーテル処置システムである場合、コントロールセンター12は、ワークステーション116、ユーザインタフェイス126、及びカテーテル処置システム100の制御装置118と同様のユーザインタフェイス及び制御装置を有するワークステーションを含み得る。他実施形態において、コントロールセンター12は、遠隔サイトにあるロボット医療デバイスシステムの一部であるワークステーション又はユーザインタフェイスを含む。コントロールセンター12は、オペレータが遠隔サイトからロボット医療デバイスシステム14の様々なコンポーネントを操作することを許容するように構成される。データ、画像、並びに命令及び制御信号のような情報が、ネットワーク16を経由してコントロールセンター12からロボット医療デバイスシステム14へと送信され、データ及び画像のような情報が、ネットワーク16を経由してロボット医療デバイスシステム14からコントロールセンター12へと送信される。
【0030】
図4は、一実施形態に係るロボット医療デバイスシステムの通信及び制御システムのブロック図である。通信及び制御システム200は、遠隔サイトにあるコントロールセンター202と、局所サイトにあるロボット医療デバイスシステム204とを含む。コントロールセンター202とロボット医療デバイスシステム204とが、ネットワーク206を経由して通信する。一実施形態において、ネットワーク206は、遠隔ファイアウォール208がコントロールセンター202内に確立されて局所ファイアウォール210がロボット医療デバイスシステム204内に確立されたセキュアネットワークである。例えば、ネットワーク206は、仮想プライベートネットワーク(VPN)であってよい。ネットワーク206は、データ、画像、並びに命令及び制御信号を送受信するように構成される。
図4に示されるシステム200において、一つのコントロールセンター202及び一つのロボット医療デバイスシステム204が示される。一実施形態において、多数のコントロールセンター202は、ネットワーク206を経由して一つのロボット医療デバイスシステム204と通信してもよく、各コントロールセンター202は、ロボット医療デバイスシステム245内のロボットシステム204を使用して一以上の医療デバイス246を別個のロケーションから制御するように使用されてよい。ロボットシステム245は、例えば、医療デバイスを駆動するべく使用することができるロボットアーム、ロボットドライブ、及び/又は他のロボットデバイスであってよい。ロボット医療デバイスシステムがカテーテルシステムである一実施形態において、ロボットシステム245は、
図1に関して上述したロボットアーム112及び駆動アセンブリ111としてよい。他実施形態において、多数のコントロールセンター20が、ネットワーク206を経由して多数のロボット医療デバイスシステム204と通信することができる。ここで、各コントロールセンター202は、各ロボット医療デバイスシステム246においてロボットシステム245を使用して一以上の医療デバイス204を制御するべく使用することができる。
【0031】
コントロールセンター202はまた、遠隔ファイアウォール212に結合されてこれと通信する遠隔命令及び制御モジュール212及び遠隔コントローラ216も含む。一実施形態において、遠隔ファイアウォール208、遠隔命令及び制御モジュール212、並びに遠隔コントローラ216は、別個のハードウェア(例えばコンピュータシステム)上に実装される。他実施形態において、遠隔ファイアウォール208、遠隔命令及び制御モジュール212、並びに遠隔コントローラ216は、同一のコンピュータシステムにおいて別個のソフトウェアコンポーネント又は論理サブシステムコンポーネントとして実装される。ソフトウェアコンポーネント又は論理サブシステムコンポーネントは、例えば、マイクロカーネル、仮想マシン、又はリアルタイム拡張を有する従来のオペレーティングシステムを使用して達成することができる。他実施形態において、遠隔コントローラ216及び遠隔ファイアウォール208は、遠隔命令及び制御モジュール212上で実行されるソフトウェアプログラムとして実装されてよい。遠隔命令及び制御モジュール212は、コントロールセンター制御コンソール236から命令及び制御信号を受信する。制御コンソール236は、局所サイトにあるロボット医療デバイスシステム204並びに他のシステム及びデバイスの操作のために、遠隔サイトにいるオペレータからユーザ入力を受け取るように構成される。例えば、制御コンソール236は、タッチ画面、一以上のジョイスティック及びボタンのようなディスプレイ及び制御装置を含み得る。コントロールセンター240における第1のディスプレイ202は、遠隔命令及び制御モジュール212に結合され、ロボット医療デバイスシステム204から受信したデータ及び画像を表示するべく使用され得る。遠隔命令及び制御モジュール212は、ロボット医療デバイスシステム204から受信した画像を解凍するように構成することができる。
【0032】
遠隔命令及び制御モジュール212はまた、例えば遠隔基準クロック220のような時刻同期基準クロックに結合され、遠隔基準クロック220から時刻情報を受信する。遠隔基準クロック220は、例えば、グランドマスタークロックとすることができる。以下にさらに述べるように、時刻情報は、遠隔サイトと局所サイトとの間の信号及びデータ(例えば命令及び制御信号、並びに画像)の送信における遅延を計算するべく使用され得る。遠隔基準クロック220は、アンテナ232に結合されて、例えば衛星ベースの時刻源又は外部ネットワークなどの外部時刻源から時刻情報を受信し、遠隔命令及び制御モジュール212にタイムスタンプ情報を与える。一実施形態において、時刻情報は、全地球測位システム(GPS)から与えられる。他実施形態において、時刻情報は、衛星時刻位置(STL)システムから与えられる。遠隔スイッチ224は、遠隔基準クロック220に結合されてよい。一実施形態において、遠隔基準クロック220、遠隔スイッチ224、及び遠隔命令及び制御モジュール212は、精密時刻プロトコル(PTP)ネットワークを使用する。遠隔命令及び制御モジュール212は、制御コンソール236から受信した命令及び制御信号にタイムスタンプを付けるべく、遠隔基準クロック220からのタイムスタンプ情報を使用する。タイムスタンプが付された命令及び制御信号は、ネットワーク206を介して、ロボット医療デバイスシステム214における局所命令及び制御モジュール204へと送信される。局所命令及び制御モジュール214は、その命令及び制御信号を、ネットワーク206を経由して、例えば、医療デバイス246の動作を制御するべくロボット医療デバイスシステム204におけるロボットシステム245に与えるように構成される。遠隔基準クロック220からの情報に基づいて遠隔命令及び制御モジュール212が命令及び制御信号に与えるタイムスタンプは、医療デバイス246を使用して行われる医療処置中にネットワーク206を経由する命令及び制御信号の送信における遅延を監視及び制御するべく使用される。局所命令及び制御モジュール214は、コントロールセンター202から命令及び制御信号を受信するときの遅延をタイムスタンプに基づいて決定し、
図5に関して後述するように、その遅延量に基づいて適切なアクションを取るように構成される。
【0033】
局所命令及び制御モジュール214並びに局所コントローラ218は、局所ファイアウォール210に結合されてこれと通信する。一実施形態において、局所ファイアウォール210、局所命令及び制御モジュール214、並びに局所コントローラ218は、別個のハードウェア(例えばコンピュータシステム)に実装される。他実施形態において、局所ファイアウォール210、局所命令及び制御モジュール214、並びに局所コントローラ218は、同じコンピュータシステム上の別個のソフトウェアコンポーネント又は論理サブシステムコンポーネントとして実装される。ソフトウェアコンポーネント又は論理サブシステムコンポーネントは、例えば、マイクロカーネル、仮想マシン、又はリアルタイム拡張を有する従来のオペレーティングシステムを使用して達成することができる。他実施形態において、局所コントローラ218及び局所ファイアウォール210は、局所命令及び制御モジュール214上で実行されるソフトウェアプログラムとして実装されてよい。局所命令及び制御モジュール214はまた、ロボット医療デバイスシステム制御コンソール238から命令及び制御信号を受信してよい。制御コンソール238は、局所サイトにおけるロボット医療デバイスシステム204の操作のために、局所サイトにいるオペレータからユーザ入力を受け取るように構成される。例えば、制御コンソール238は、タッチ画面、一以上のジョイスティック及びボタンのようなディスプレイ及び制御装置を含み得る。ディスプレイ241は、局所命令及び制御モジュール214に結合され、データ及び画像を表示するべく使用され得る。局所命令及び制御モジュール214はまた、撮像システム248から画像を受信し、患者センサ250から血行動態データを受信する。ロボット医療デバイスシステム204が、
図2及び3に関して上述したカテーテル処置システムである一実施形態において、局所コントローラ218は、ディスプレイ120、122又はタッチ画面124に結合されてよい。撮像システム248からの画像は、第1のビデオキャプチャ及びスケーリングデバイス242を使用してキャプチャ及びスケーリングされてよく、血行動態データは、第2のビデオキャプチャ及びスケーリングデバイス244を使用してキャプチャ及びスケーリングされてよい。局所命令及び制御モジュール214は、コントロールセンター202に送信する前に画像データを圧縮するように構成されてよく、局所コントローラ218は、コントロールセンター202に送信する前に血行動態データを圧縮するように構成されてよい。他実施形態において、局所命令及び制御モジュール214は、血管内超音波(IVUS)システム254に結合され、このIVUSシステム254からデータを受信する。IVUSシステム254からのデータは、コントロールセンター202へと送信される。
【0034】
局所命令及び制御モジュール214はまた、例えば局所基準クロック226のような時刻同期基準クロックに結合されて局所基準クロック226から時刻情報を受信する。局所基準クロックは、例えば、グランドマスタークロックとしてよい。時刻情報は、遠隔サイトと局所サイトとの間の信号及びデータ(例えば命令及び制御信号、並びに画像)の送信における遅延を計算するべく使用され得る。局所基準クロック226は、アンテナ234に結合され、例えば衛星ベースの時刻源のような外部時刻源から時刻情報を受信し、タイムスタンプ情報を局所命令及び制御モジュール214に与える。一実施形態において、時刻情報は、全地球測位システム(GPS)から与えられる。他実施形態において、時刻情報は、衛星時刻位置(STL)システムから与えられる。局所スイッチ230は、局所基準クロック226に結合されてよい。一実施形態において、局所基準クロック226、局所スイッチ230、並びに局所命令及び制御モジュール212は、精密時刻プロトコルネットワークを使用する。局所命令及び制御モジュール214は、局所基準クロック226からのタイムスタンプ情報を使用して、第1のビデオキャプチャ及びスケーリング装置242から受信した画像データにタイムスタンプを付ける。他実施形態において、局所コントローラ218は、局所基準クロック226からのタイムスタンプ情報を使用し、第2のビデオキャプチャスケーリングデバイス244から受信した血行動態データにタイムスタンプを付けることができる。タイムスタンプが付された画像及び血行動態データは、ネットワーク206を介して、コントロールセンター212における遠隔命令及び制御モジュール202に送信することができる。遠隔命令及び制御モジュール212は、画像をコントロールセンター240におけるディスプレイ202に与え、血行動態データをディスプレイ240又はコントロールセンター202における他のディスプレイに与えるように構成される。局所基準クロック214からの情報に基づいて局所命令及び制御モジュール226が画像及び血行動態データに与えるタイムスタンプは、ロボットシステム245及び医療デバイス246を制御するべくコントロールセンター202を使用して実行される医療処置の間に、ネットワーク206を経由した画像及び血行動態データの送信における遅延を監視及び制御するために使用されてもよい。画像及び/又は血行動態データの送信における遅延に基づいて、システム200の様々なコンポーネントが、又はコントロールセンター202とロボット医療デバイスシステム204との間を通るシステム制御が、一時停止又は休止され得る。
【0035】
上述のように、コントロールセンター202は、精密時刻プロトコルを使用し得る遠隔基準クロック220を含み、ロボット医療デバイスシステム204は、精密時刻プロトコルを使用し得る局所基準クロック226を含む。遠隔基準クロック220及び局所基準クロック226は、共通外部時刻源、例えばGPS又はSTLのような衛星に基づく時刻源と通信して時刻情報を受信することができる。この実施形態は有利なことに、コントロールセンター202とロボット医療デバイスシステム204とがネットワーク206(例えばインターネット)上のセキュアトンネルを経由して通信し、安全かつセキュアな動作を保証するべく命令遅延及び往復遅延を計算することを可能にする。各サイトは、時刻同期のために専用の基準クロック(例えば基準クロック220、226それぞれ)、及び独立したイーサネット(登録商標)ネットワークを使用する。本実施形態において同期を目的としてNTP(ネットワークタイムプロトコル)又はPTPのいずれかを使用してよい。しかしながら、PTPネットワークはNTPよりも良好な同期を許容し得る。分離されたネットワーク上の各サイトにおいて専用の基準クロックを使用するもう一つの利点は、インターネットにアクセス可能な時刻基準を狙ったネットワーク攻撃の攻撃表面をなくすことである。そのような脆弱性は、GMCを利用不能にするサービス拒否(DoS)、並びに命令及び制御モジュールを攻撃者の制御下に置くスタックオーバーフローを含むが、これらに限られない。
図16を参照して以下にさらに説明するように、一実施形態において、高いレベルのセキュリティ、及び通信に対する最小の遅延影響を目的として、秘密鍵を有する2つのノード間に専用ハードウェアを有するIPSec暗号化トンネルを確立するべく、ファイアウォールを使用することができる。
【0036】
他実施形態において、コントロールセンター202及びロボット医療デバイスシステム204は、これら自体の基準クロックを含まなくてもよい。むしろ、コントロールセンター202及びロボット医療デバイスシステム204は、NTPを利用するように構成され、単一ネットワークグランドマスタークロックと通信して時刻情報を受信する。上述のように、時刻情報は、命令及び制御信号並びに他のデータ(例えば画像及び血行動態データ)のためのタイムスタンプを生成するべく使用され得る。一実施形態において、タイムスタンプは、複数の命令及び制御信号の総和の送信における遅延を決定するべく、共通時刻源(例えばGPS又はSTL)によって与えられる。他実施形態において、タイムスタンプは、複数の命令及び制御信号の総和の送信における遅延を決定するべく、単一の時刻源(例えばネットワークのマスタークロック又は内部クロック)によって与えられる。この実施形態において、「遠隔」サイトからのタイムスタンプが使用され、その後、このタイムスタンプが「局所」サイトからの画像送信から戻るように受信されると、往復の命令及び制御信号並びに画像の遅延が計算される。
【0037】
上述のように、コントロールセンター202は、ロボット医療デバイスシステム204及び局所サイトにある他のシステム及びデバイスを操作及び制御するべく、遠隔サイトにいるオペレータによって使用されてよい。一実施形態において、コントロールセンター202は、ネットワーク206を経由して、撮像システム248又は造影剤送達システム252に命令及び制御信号を与えることができる。例えば、コントロールセンター202は、撮像システム248による画像キャプチャを制御するべく使用することができる。他例において、コントロールセンター202は、造影剤注入システム252による造影剤注入を制御するべく使用することができる。他例において、コントロールセンター202は、吸引ポンプの作動又はステント型塞栓回収器の展開を制御するべく使用することができる。
【0038】
コントロールセンター202はテレプレゼンスモジュール260を含み、ロボット医療デバイスシステム204はテレプレゼンスモジュール262を含む。テレプレゼンスモジュール260、262はそれぞれが、遠隔サイトにいるオペレータと局所サイトにいるユーザ又は局所スタッフとの間のオーディオ及びビデオ通信(例えばテレプレゼンス、遠隔会議)を与えるように構成される。一実施形態において、
図4に示すように、テレプレゼンスモジュール260、262はスタンドアロンモジュールであり、遠隔ファイアウォール208及び局所ファイアウォール210それぞれに結合されてよい。他実施形態において、テレプレゼンスモジュール260、262の要素は、遠隔コントローラ216又は局所コントローラ218のそれぞれにおいて実行されるソフトウェアプログラムとしてよい。テレプレゼンスモジュール260及び262は、例えば、ビデオカメラ、モニタ、スピーカ及びマイクロフォンを含み得る。一実施形態において、遠隔サイトにあるテレプレゼンスモジュール260と局所サイトにあるテレプレゼンスモジュール262との間にビデオ会議を確立することができる。その結果、局所サイトにあるロボットシステム246を使用して医療デバイス245を操作するべくコントロールセンター202を利用する遠隔サイトにいるオペレータが、処置が実行されるときの処置室及びデバイスを見て、局所サイトにおいて処置をサポートする担当者(例えば技師、医師等)と音声及びビデオを介して通信することができる。一実施形態において、コンピュータネットワーク(例えばクラウドネットワーク)を経由してセキュア通信を確立する専用の音声及びビデオ通信システムを使用することにより、遠隔サイトにあるテレプレゼンスモジュール260と局所サイトにあるテレプレゼンスモジュール262との間で音声及びビデオ通信を確立することが
できる。例えば、遠隔サイトにあるテレプレゼンスモジュール260は、遠隔サイトから音声(例えば話し)及びビデオを暗号化されたフォーマット(例えばSRTP/AES-128)で送信するように構成され、局所サイトにあるテレプレゼンスモジュール262から音声(例えば話し)及びビデオを受信して復号化するように構成されてよい。局所サイトにあるテレプレゼンスモジュール262は、音声(例えば話し)及びビデオを局所サイトから暗号化されたフォーマット(例えばSRTP/AES-128)で送信するように構成され、遠隔サイトのテレプレゼンスモジュール260から音声(例えば話し)及びビデオを受信して復号化するように構成されてもよい。テレプレゼンスモジュール260とテレプレゼンスモジュール262との間のシグナリング及びルーティングは、クラウドネットワークを使用して確立することができる。一実施形態において、暗号化された音声及びビデオデータは、遠隔ファイアウォール208と局所ファイアウォール210との間で、さらなる暗号化なしに送信されてよい(例えば音声及びビデオデータはホワイトリスト化されてよい)。
【0039】
図5は、一実施形態に係るロボット医療デバイスシステムの動作を制御する方法を示す。
図4及び5を参照すると、ブロック302において、命令及び制御信号が、例えば局所サイトにある局所命令及び制御モジュール214によって、遠隔サイトにあるコントロールセンター202から受信される。ブロック304において、命令及び制御信号の受信における遅延が、例えば、局所命令及び制御モジュール214によって、タイムスタンプ情報に基づいて決定される。ブロック306において、遅延がしきい値と比較される。一実施形態において、しきい値は、例えば250msのようなユーザに知覚可能なものに基づく既定の値である。以下にさらに説明する他実施形態において、しきい値は、ブロック316において、ロボット医療デバイスシステムの少なくとも一つのパラメータ、例えば、ロボット医療デバイスシステムによって実行される処置、患者の解剖学的構造、医療デバイスのタイプ、及び医療デバイスのロケーション、に基づいて決定される。ブロック308において遅延がしきい値より大きい場合、修正アクションがブロック314において実行され得る。一実施形態において、システム204の医療デバイス246及び他の構成要素が一時停止又は停止され得る。一時停止の一例において、遅延がしき値より大きく、その後、遅延がしきい値を下回る場合、デバイス又はコンポーネントが一時停止される。その後、ひとたび遅延がしきい値を上回ると、動きを再開することができる。他例において、遅延が大きすぎる場合、デバイス又はコンポーネントの動きは、動作を再開する程度に十分に遅延が小さくなるまで、一時停止することができる。他実施形態において、ロボット医療デバイスシステムのコンポーネントの(例えば前進、後退又は回転中の)速さ又は速度を遅くすることができる。ネットワーク接続が失われた場合、又はネットワーク206の速さが既定の速度よりも遅くなった場合、コントロールセンター202は、ロボットシステム245及び医療デバイス246の制御をロボット医療デバイスシステム204に戻してもよい。また、緊急停止装置を設けて、局所サイトにいるユーザが緊急時の処置を停止できるようにしてもよい。一実施形態において、しきい値は一定範囲のしきい値である。コントロールセンター202がロボットシステム245及び医療デバイス246の制御を有し、かつ、命令及び制御信号の遅延が第1のしきい値よりも大きいが第2のしきい値よりも小さい場合、コントロールセンター202の制御コンソール236(例えばジョイスティック)は無効にされてもよいが、制御コンソール236はロボットシステム245及び医療デバイス246の制御を維持する。コントロールセンター202がロボットシステム245及び医療デバイス246の制御を有し、かつ、命令及び制御信号の遅延が第2のしきい値より大きい場合、コントロールセンター202は無効にされ得る。
【0040】
ブロック308において、命令及び制御信号の遅延がしきい値未満の場合にコントロールセンター202がロボットシステム245及び医療デバイス246の制御を有するとき、コントロールセンター202の制御コンソール236は、ブロック310においてロボットシステム245及び医療デバイス246を含むロボット医療デバイスシステム204
を制御及び操作するべく使用される。ロック312において、コントロールセンター202によって制御されているときの医療デバイス246の速度は、命令及び制御信号の遅延に基づいて調整され得る。コントロールセンター202がロボットシステム245及び医療デバイス246の制御を有し、かつ、命令及び制御信号の遅延(t
delay)が既定量(t
predetermined)未満であるがゼロより大きい場合、制御コンソール236(例えばジョイスティック)から受信された命令及び制御信号から命令された速度(v
command)は、遅延が既定量に向かって増加するにつれてデバイス246の速度(v
device)が減少するようにスケーリングされる。デバイスの速度は以下のように与えられる。
[式(1)]
例えば、遅延t
delayが既定量t
predeterminedの半分に等しい場合、デバイスの速度v
deviceは命令速度v
commandの半分となる。遅延t
delayの増加に伴いデバイス246を遅くすることが、システムの安定性を確保してデバイス制御に関連付けられるリスクを緩和するべく、例えばデバイスの過度な前進又は後退を回避するべく、使用され得る。遅延t
delayが既定量t
predeterminedよりも大きい場合(ブロック308)、デバイスの速度v
deviceはゼロになってデバイス246の動きが停止される(ブロック314)。他実施例において、デバイスの速度v
deviceは、ネットワーク遅延の合計に基づいて調整され得る。ネットワーク遅延の合計は、命令及び制御信号の遅延t
delay、及びロボット医療デバイスシステム204から受信される画像の遅延t
imagedelayを含む。デバイスの速度は以下のように与えられる。
[式(2)]
ネットワーク遅延の合計t
total=(t
delay+t
imagedelay)に基づくデバイスの命令速度(v
command)により、デバイスの位置制御のための安定した動作及びロバストな性能が確保され得る。上述の命令速度をスケーリングする様々な実施形態を、いかなる合計遅延にかかわらず安定性を確保するべくチューニングすることができる。遅延が未知の場合、当該遅延が大きすぎると不安定性が生じ得る。固定された合計遅延のもとでの開ループシステムの周波数応答は、以下のように与えられる。
[式(3)]
ナイキスト安定性基準から、直結比例フィードバックに対して安定性を確保するにはネットワーク遅延の合計は、次の制約、すなわちt
total≦π/2秒を満たす必要がある。上記の式(2)のスケーリングを使用すると、t
predetermined=π/2のとき、以下の周波数応答が得られる。
[式(4)]
他実施形態において、t
predeterminedに対する他の最適値が計算されて式(2)のスケーリングにおいて使用されてよい。式(4)より、利得マージンが今や直結比例フィードバックに対して無限大であるから、比例直結フィードバックに対する安定性が確保され得る。安定性を確保するべく、他の方法も、フィードバック遅延の知識を有する同様の態様で使用してよい。デバイスの位置を制御するべく速度命令を使用する場合と同様に、フィードバック遅延の知識なしに安定性を確保するために波動変数を使用するアプローチの一例が、「受動性を使用したネットワーク制御システムの設計」N. Kottenstette, J. F. Hall, X. Koutsoukos, J. Sztipanovits and P. Antsaklis, IEEE Transactions on Control Systems Technology, vol. 21, no. 3, pp. 649-665, May 2013に記載されており、その全体が参照によりここに組み入れられる。
【0041】
上述のように、ブロック316において、遅延しきい値は、ロボット医療デバイスシステム204の少なくとも一つのパラメータに基づいて決定され得る。このパラメータは、例えば、処置がロボット医療デバイスシステムによって実行されることを含む。例えば、ロボット医療デバイスシステム204は、細長い医療デバイス(例えばカテーテル、ガイドワイヤ、バルーンカテーテル、マイクロカテーテル等)の動き及び動作を制御するカテーテル処置システムとしてよい。許容可能な遅延量は、カテーテル処置システムの様々なパラメータに応じて変化し得る。遅延しきい値(すなわち許容可能な遅延量)は、例えば、行われる処置のタイプ、患者の解剖学的構造、細長い医療デバイスのタイプ(例えばカテーテル、バルーンカテーテル、ガイドカテーテル、ガイドワイヤ、マイクロカテーテル)、細長い医療デバイスのロケーション、細長い医療デバイス(例えばデバイスの先端又は遠位端)と標的ロケーションとの間の距離、又は細長い医療デバイスにより行われる動きのタイプ(例えば前進、回転、後退)に基づく。例えば、細長い医療デバイス(例えば細長い医療デバイスの先端)が標的ロケーションからさらに離れている場合、細長い医療デバイスが引っ込められている場合、又は細長い医療デバイスがワイヤ(例えばマイクロカテーテル又はバルーンカテーテル)又はガイドワイヤ上を移動するデバイスである場合、長い遅延が許容され得る。
【0042】
一実施形態において、遠隔コントローラ216(
図4に示す)及び局所コントローラ218(
図4に示す)はそれぞれが、同様のグラフィカルユーザインタフェイスを生成及び表示する。
図6は、一実施形態に係るコントロールセンターのための典型的なグラフィカルユーザインタフェイスを示し、
図7は、一実施形態に係るロボット医療デバイスシステムのための典型的なグラフィカルユーザインタフェイスを示す。
図6及び7において、図示のグラフィカルユーザインタフェイス460、462は、典型的なカテーテル処置システムの制御を目的とする。コントロールセンターのためのグラフィカルユーザインタフェイス460、及びロボット医療デバイスシステムのためのグラフィカルユーザインタフェイス462は、例えば、同じ測定値、速度、保存された設定値、及びコントロールコンソールのどの制御が、アクティブサイト(すなわち遠隔サイトにあるコントロールセンター又は局所サイトにあるロボット医療デバイスシステムのいずれか)において作動されているか、を示すように構成される。各グラフィカルユーザインタフェイス460、462は、ロボット医療デバイスシステムから制御コンソールへ送信される画像遅延464、466、及びコントロールセンターからロボット医療デバイスシステムへの命令及び制御信号遅延468、470を表示する。
【0043】
図4に関して上述したように、コントロールセンター202のディスプレイ240は、ネットワーク206を経由してロボット医療デバイスシステム204から受信したデータ及び画像を表示するべく使用することができる。
図8は、一実施形態に係るロボット医療デバイスシステムのためのデータ及び画像の典型的な表示を示す。ディスプレイ500は、例えば、処置を行うべくロボット医療デバイスの動作に関連する血行動態データ502、基準画像506及びライブ画像508のような、ロボット医療デバイスシステム204においてキャプチャされたデータ及び画像を含む。詳しくは、
図8に示す実施形態において、データ及び画像はカテーテル処置に関する。ロボット医療デバイスシステム204は、遠隔サイトにあるコントロールセンター500に送信するための、ディスプレイ202の関心セクション又は領域を選択するように構成され得る。したがって、ディスプレイ500は、例えば、血行動態データ502、基準画像506及びライブ画像508が別個に送信されるようにクロップされてよい。選択される関心セクション又は領域は、送信のた
めに所望の情報をキャプチャするべく任意の形状を有してよい。ディスプレイ500をクロップすることにより、画像及びデータを送信するのに必要な帯域幅を低減することができる。
図9は、一実施形態に係る血行動態データを含む選択された関心領域を有する遠隔サイトのコントロールセンターのための典型的な表示を示す。
図9において、ディスプレイ600は、ロボット医療デバイスシステム204から受信された血行動態データを含む。他実施形態において、遠隔コントローラ216及びディスプレイ240は、
図10に示すように、オペレータが、ライブ画像データ(例えば、カテーテル処置のためのX線透視画像データ)の既定時間(例えば10秒)まで、選択的に循環バッファするのを許容するように構成されてよい。例えば、ユーザは、キャプチャを開始して再生のための既定時間の循環バッファを作成するための制御を作動させてよい。
図10に示される実施形態において、ディスプレイ700に示される再生画像は、ライブ画像704と同じ尺度にスケーリングされる。再生702は、毎秒既定フレーム数のリアルタイムであってよい。一実施形態において、オペレータが再生画像702を一時停止し、前に進み、後に戻ることを可能にする制御が与えられる。再生画像は、例えば、ロードマップの生成を容易にして当該ケースの進行をキャプチャするべく使用され得る。
【0044】
他実施形態において、遠隔サイトにある(例えば
図4に示されるディスプレイ240上の)画像の表示は、
図14に示されるように、画像遅延時間、並びに命令及び制御信号遅延時間を表示するように構成されてよい。
図14において、ディスプレイ1100は、再生画像1102及びライブ画像1104を含む。ライブ画像の表示は、ロボット医療デバイスシステムから制御コンソールへ送信された画像の遅延1106の表示と、コントロールセンターからロボット医療デバイスシステムへの命令及び制御信号の遅延1108とを含む。他実施形態において、遠隔サイトにある(例えば
図4に示されるディスプレイ240上の)画像の表示は、
図15に示されるように、合計遅延を表示するように構成されてもよい。合計遅延は、画像遅延時間と命令及び制御信号遅延時間の総和である。
図15において、ディスプレイ1200は、再生画像1202及びライブ画像1204を含み、このライブ画像は、局所サイトにおいてロボット医療デバイスシステム204に関連する撮像システムによって取得された画像の合計遅延及びフレームレートのような、処置に関する追加のライブ情報を含み得る。一実施形態において、再生画像1202は、画像がキャプチャされた後に関心領域までスクロールされ得る。ライブ画像1204の表示は、合計遅延1206及びフレームレート1208の表示を含む。フレームレート1208は、受信フレーム数/秒に関して計算され得る。合計遅延1206及びフレームレート1208は、これらの値のビューアーの認知を改善するべく、リアルタイムで更新されてよく、及び/又は適切な帯域幅にフィルタリングされてよい。
【0045】
図4に関して上述したように、通信及び制御システム200は、遠隔サイトにいるオペレータ(例えば医師)が、局所サイトにあるロボット医療デバイスシステム204を制御及び操作できるように構成される。システム200はまた、局所サイトのオペレータがロボット医療デバイスシステム204を制御及び操作することを可能にするように構成される。制御管理プロセスは、コントロールセンター202又はロボット医療デバイスシステム204がロボットシステム245及び医療デバイス246の制御を有するか否かを管理するために与えられる。制御管理システムは、例えば遠隔サイトと局所サイトとの間のデッドロックを防止するように構成される。一実施形態において、コントロールセンター202又はロボット医療デバイスシステム204が処置を行う動作の制御を有するか否かを決定するべく制御トークンが使用される。制御トークンは、ソフトウェアに実装される仮想トークンである。制御トークンを所有するシステム(例えばコントロールセンター202又はロボット医療デバイスシステム204のいずれか)は、ロボット医療デバイスシステム204のロボットシステム245及び医療デバイス246の制御を与えられ、他のシステムは、ロボットシステム245及び医療デバイス246を制御することが無効及び防止される。第1の状態において、制御トークンは「フリー」であり、コントロールセンター202又はロボット医療デバイスシステム204のいずれかによって取得可能である。
図11は、一実施形態に係る、コントロールセンター又はロボット医療デバイスシステムのいずれもがロボット医療デバイスを制御していない場合の典型的なユーザインタフェイスを示す。図示のグラフィカルユーザインタフェイス802、804は、典型的なカテーテル処置システム(例えば
図2及び3に示されるカテーテル処置システム100)の制御を目的とする。制御トークンが「フリー」の場合、ロボット医療デバイスシステムは制御トークンなしの状態であり、このロボット医療デバイスシステムは、例えば、ロボット医療デバイスシステムのためのグラフィカルユーザインタフェイス802における「すべて有効」ボタンを作動させることによって制御トークンを取得して制御を得ることができる。コントロールセンターはまた、制御トークンなしであり、例えば、コントロールセンターのためのグラフィカルユーザインタフェイス804におけるロボット医療デバイスシステムのための「RCL無効」ボタンを作動させることによって制御を得ることができる。一実施形態において、グラフィカルユーザインタフェイス804の「すべて有効」ボタンは、コントロールセンターが制御を有しないことを示す背景又は色で示されてよく、例えば、ボタンのテキスト及び背景をグレーアウトさせてよい。
【0046】
第2の状態において、制御トークンはロボット医療デバイスシステム204によって取得されている。
図12は、一実施形態に係る、ロボット医療デバイスシステムがロボット医療デバイスを制御している場合の典型的なユーザインタフェイスを示す。図示のグラフィカルユーザインタフェイス902、904は、典型的なカテーテル処置システム(例えば、
図2及び3に示されるカテーテル処置システム100)の制御を目的とする。制御トークンがロボット医療デバイスシステムによって受け取られると、ロボット医療デバイスシステムは制御を与えられ、ロボット医療デバイスを操作するべく使用され得る。
図12において、ロボット医療デバイスシステムが制御トークンにより制御を得た場合、「すべて有効」ボタンは無効にされ、ロボット医療デバイスシステムのためのグラフィカルユーザインタフェイス902において「すべて無効」に変更される。オペレータは、「すべて無効」ボタンを作動させることによって、制御トークンを「フリー」に戻すことができる。コントロールセンターのためのグラフィカルユーザインタフェイス904において、ロボット医療デバイスシステムのための「無効」ボタンは無効にされる。一実施形態において、グラフィカルユーザインタフェイス904の「すべて有効」ボタン及び「RCL有効」ボタンは、コントロールセンターが制御を有しないことを示す背景又は色で示されてよく、例えば、ボタンのテキスト及び背景をグレーアウトさせてよい。
【0047】
第3の状態において、制御トークンは、コントロールセンター202によって受け取られている。
図13は、一実施形態に係る、コントロールセンターがロボット医療デバイスを制御している場合の典型的なユーザインタフェイスを示す。図示のグラフィカルユーザインタフェイス1002、1004は、典型的なカテーテル処置システム(例えば
図2及び3に示されるカテーテル処置システム100)の制御を目的とする。制御トークンがコントロールセンターによって受け取られると、コントロールセンターは制御を与えられ、ロボット医療デバイスを操作するべく使用され得る。
図13において、コントロールセンターが制御トークンにより制御を得た場合、「すべて有効」ボタンは、コントロールセンターのためのグラフィカルユーザインタフェイス1004において有効にされる。加えて、コントロールセンターのためのグラフィカルユーザインタフェイス1004における「RCL無効」が有効にされる。一実施形態において、グラフィカルユーザインタフェイス1004の「RCL無効」ボタンは、コントロールセンターが制御を有することを示すハイライト、背景又は色で示されてよい。例えば、グラフィカルユーザインタフェイス1004は、「RCL無効」の下に下線を伴って示される。他実施形態において、「RCL無効」ボタンは、緑色のような色で示される。ロボット医療デバイスシステムのためのグラフィカルユーザインタフェイス1002において、「すべて有効」ボタンが無効にされると、ロボット医療デバイスシステムは制御トークンを受け取ることができない。一実施形態において、グラフィカルユーザインタフェイス1002の「すべて有効」ボタンは、ロボット医療デバイスシステムが制御を有しないことを示す背景又は色で示されてよく、例えば、ボタンのテキスト及び背景をグレーアウトさせてよい。
【0048】
一実施形態において、コントロールセンター又はロボット医療デバイスシステムのうちの一方が制御トークンを有する第2及び第3の状態において、制御トークンなしのサイトは、要求トークン又は強制要求トークンを有し得る。要求トークン又は強制要求トークンは、ソフトウェアに実装される仮想トークンである。要求トークン及び強制要求トークンは、制御を要求するため、又は制御の変更を強制するために使用され得る。例えば、コントロールセンターが制御トークンを有する場合、ロボット医療デバイスシステムは、制御トークンを「フリー」として当該制御トークンをロボット医療デバイスシステムが受け取ることができるようにすることを要求するべく、要求トークンをコントロールセンターに送信することができる。コントロールセンターは、要求トークンの受信に応答して、例えば、制御トークンを「フリー」にし、制御トークン又はタイムアウトを保持することを選択し、及び制御トークンを保持することができる。他例において、コントロールセンターが制御トークンを有する場合、ロボット医療デバイスシステムは、強制要求トークンをコントロールセンターに送信して、制御トークンを「フリー」にしてロボット医療デバイスシステムが制御トークンを取得できるようにすることを要求することができる。コントロールセンターは、強制要求トークンに応答して、例えば、制御トークンを「フリー」にし、制御トークン又はタイムアウトを保持することを選択し、及び制御トークンを手放すことができる。
【0049】
図3及び4に関して上述したように、多数のコントロールセンター202は、ネットワーク206を介して多数のロボット医療デバイスシステム204と通信してよい(例えば多対多構成)。
図16は、一実施形態に係る多数のコントロールセンター及び多数のロボット医療デバイスシステムの多対多構成のブロック図である。
図16において、第1のコントロールセンター1302、第2のコントロールセンター1304、第1のロボット医療デバイスシステム1306、及び第2のロボット医療デバイスシステム1308が、ネットワーク1350を経由して通信している。一実施形態において、各サイト(すなわち第1のコントロールセンター1302、第2コントロールセンター1304、第1のロボット医療デバイスシステム1306及び第2ロボット医療デバイスシステム1308)は異なるロケーションにあってもよく、互いから離れていてもよい。第1のコントロールセンター1302は第1の遠隔サイトにあり、第2のコントロールセンター1304は第2の遠隔サイトにあり、第1のロボット医療デバイスシステム1306は第1の局所サイトにあり、第2のロボット医療デバイスシステム1308は第2の局所サイトにある。第1のコントロールセンター1302は、第1のロボット医療デバイスシステム1306又は第2のロボット医療デバイスシステム1308のいずれかを制御するべく使用することができる。第2のコントロールセンター1304は、第1のロボット医療デバイスシステム1306又は第2のロボット医療デバイスシステム1308のいずれかを制御するべく使用することができる。第1のコントロールセンター1302は第1の遠隔ファイアウォール1310を含み、第2のコントロールセンター1304は第2の遠隔ファイアウォール1312を含み、第1のロボット医療デバイスシステム1306は第1の局所ファイアウォール1314を含み、第2のロボット医療デバイスシステム1308は第2の局所ファイアウォール1316を含む。第1の遠隔ファイアウォール1310は第1の遠隔コントローラ1318に結合され、第2の遠隔ファイアウォール1312は第2の遠隔コントローラ1320に結合され、第1の局所ファイアウォール1314は第1の局所コントローラ1322に結合され、第2の局所ファイアウォール1316は第2の局所コントローラ1324に結合される。第1の遠隔ファイアウォール1310は、LANポート1334及びWANポート1336を含む。第2の遠隔ファイアウォール1312は、LANポート1332及びWANポート1330を含む。第1の局所ファイアウォール1314は、LANポート1340及びWANポート1338を含む。第2の局所ファイアウォール1316は、LANポート1326及びWANポート1328を含む。
【0050】
ファイアウォール1310、1312、1314及び1316は、他のサイトとのセキュア接続を確立し、及び他のサイトとのセキュア接続を切断するように構成される。好ましくは、セキュア接続を確立し及び安セキュア接続を切断することの制御及び管理は、各ファイアウォールによって自動的に取り扱われ、各サイトにおける他のハードウェア及びソフトウェア機能からの分離が維持される。一実施形態において、コマンドラインインタフェイス(CLI)及びセキュアシェル(SSH)プロトコルを使用して、2つのサイト間のセキュア接続を確立する。この実施形態において、各ファイアウォール1310、1312、1314及び1316は、固有の静的IPアドレスを有する。以下の説明は、第2のコントロールセンター1304と第2のロボット医療デバイスシステム1308との間のセキュア接続を確立することを記載するが、ここに記載される方法は、多対多構成における複数のサイトの任意の組み合わせ間の接続を確立及び切断するべく使用され得る。一実施形態において、集中型アプローチが使用される。集中型アプローチにおいて、第2のコントロールセンター1330のWANポート1304及び第2のロボット医療デバイスシステム1328のWANポート1308が、SSHログインのために開放される。この設定において、いずれかのサイト(例えば第2のコントロールセンター1304及び第2のロボット医療デバイスシステム1308)が、その局所ファイアウォールのLANポートと他方のサイトのWANポートとを経由するトンネルを生成し得る。例えば、第2のロボット医療デバイスシステム1324の第2の局所コントローラ1308は、第2の局所ファイアウォール1326の局所LANポート1316にSSHで接続することができ、第2の局所コントローラ1324は、第2のコントロールセンター1330の第2の遠隔ファイアウォール1312のWANポート1304にSSHで接続してトンネルを確立することができる。他の集中型アプローチの例において、第2のコントロールセンター1304の第2の遠隔コントローラ1320が、第2のロボット医療デバイスシステム1308の第2の局所ファイアウォール1316のWANポート1328にSSH接続することができ、第2のコントロールセンター1304の第2の遠隔コントローラ1320が、第2の遠隔ファイアウォール1312の局所LANポート1332にSSH接続することができる。他実施形態において、分散型アプローチが使用される。分散型アプローチにおいて、第2のコントロールセンター1304のWANポート1330、及び第2のロボット医療デバイスシステム1308のWANポート1328はSSHログインを許可しない。この実施形態において、各サイトは、セキュリティを強化するべくWANポートをSSHログインに対して閉じたままにしておくことができるように、それぞれの局所ファイアウォールのLANポートを介して対応するトンネル接続を立ち上げる。例えば、第2の局所コントローラ1324はLANポート1326にSSH接続することができ、第2の遠隔コントローラ1320はLANポート1332にSSH接続することができる。
【0051】
他実施形態において、パッチパネル上のすべてのサイト(又はノード)間で物理的直接配線が使用されるパッチパネル直接ルーティングを使用して、セキュア接続を確立することができる。特定のサイトに接続する必要がある場合、接続されているポートを切り替えることができる。さらなる他実施形態において、すべてのサイト(又はノード)に対して2つの静的IPアドレスを使用することによって、セキュア接続を確立することができる。同じ2つの静的IPアドレスが、すべてのサイトのルータにおいて予約される。一のサイトのみが、使用されているときはシステムに(ユーザによって)プラグインされ、使用されていないときはイーサネットポートから(ユーザによって)プラグ解除される。他実施形態において、すべてのサイト(又はノード)に対して同じ静的IPアドレスを使用して、セキュア接続を確立することができる。静的IPアドレス及びイーサネットポートマッピングが、ルータ上で手動により再設定され得る。
【0052】
他実施形態において、2つのファイアウォール間に確立されるセキュアトンネルは、例えばIPSecトンネルのようなセキュア仮想プライベートネットワークである。IPSecトンネルを確立するべく、一例において、第1のコントロールセンター1302及び第1のロボット医療デバイスシステム1306が共有鍵を有する。第1のロボット医療デバイスシステム1306の第1の局所ファイアウォール1314は、第1のコントロールセンター1302の第1の遠隔ファイアウォール1310に向かうトンネルを立ち上げる。その後、第1の遠隔ファイアウォール1310は、第1の局所ファイアウォール1314に向かうトンネルを立ち上げる。この例において、いずれのサイトもWANポートを開いてSSHログインを受け入れることがない。他例において、IPSecトンネルを確立するべく、第1の局所ファイアウォール1314がSSHログオンを許可する。第1の遠隔ファイアウォール1310が、SSHを使用して第1の局所ファイアウォール1314にログオンする。その後、第1の遠隔ファイアウォール1310が、第1の遠隔ファイアウォール1310に向かうトンネルの終端に第1の局所ファイアウォール1314を立ち上げる。第1の遠隔ファイアウォール1310は、そのトンネルを第1の局所ファイアウォール1314に向ける。その後、第1の遠隔ファイアウォール1310は、双方のサイトに対する鍵を決定することができる。一実施形態において、すべての局所サイト及び遠隔サイトがそのネットワークロケーションを認識するための、先験的なネットワークトポロジーマップが存在する。
【0053】
他実施形態において、多対多構成における多数のシステム及び接続の管理は、クラウドコンピューティングを使用して管理することができる。例えば、各サイト(又はノード)のファイアウォールを管理するべく、クラウドベースのインフラストラクチャ管理ソリューションを使用することができる。各ファイアウォール(例えば
図16に示される第1の遠隔ファイアウォール1310、第2の遠隔ファイアウォール1312、第1の局所ファイアウォール1314、及び第2の局所ファイアウォール1316)が、インターネット、及び管理に使用されるクラウドに接続される。クラウドベースの管理により、当該サイトの一つにいるオペレータ、又は様々なサイトから別個のロケーションにいるオペレータがファイアウォールを監視及び管理することができる。
【0054】
上述の方法による通信及び制御システムのためのコンピュータ実行可能命令が、コンピュータ可読媒体の形態で記憶されてよい。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、又は他のデータのような情報を記憶するための任意の方法又は技術に実装される揮発性及び不揮発性、リムーバブル、並びに非リムーバブルの媒体を含む。コンピュータ可読媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、電気的消去可能プログラマブルROM(EEPROM)、フラッシュメモリ若しくは他のメモリ技術、コンパクトディスクROM(CD-ROM)、デジタルバーサタイルディスク(DVD)若しくは他の光学記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置若しくは他の磁気記憶装置、又は所望の命令を記憶するために使用することができ、インターネット若しくは他のコンピュータネットワーク形態のアクセスを含むシステム10(
図1に示す)によってアクセスすることができる他の媒体を含むが、これらに限定されない。
【0055】
この書面による説明は、最良の態様を含む本発明を開示するべく、さらには当業者が本発明を製造及び使用することを可能にするべく、複数の例を使用した。特許を受けることができる発明の範囲は、特許請求の範囲によって画定され、当業者に想到する他の例を含み得る。このような他の例は、特許請求の範囲の文言と相違しない構造要素を有する場合、又は特許請求の範囲の文言と実質的に相違しない同等の構造要素を含む場合、特許請求の範囲に含まれることが意図される。任意のプロセス又は方法ステップの順序及びシーケンスは、代替実施形態に従って変更又は再配列され得る。
【0056】
本発明の要旨から逸脱することなく、本発明に多くの他の変更及び修正を加えることができる。これら及び他の変更の範囲は、添付の特許請求の範囲から明らかになる。
【手続補正書】
【提出日】2023-03-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔サイト及び局所サイトにより少なくとも一つの医療デバイスの制御を管理するシステムであって、
前記遠隔サイトにロケーションを有するコントロールセンターと、
前記局所サイトにあって前記コントロールセンターと通信するロボット医療デバイスシステムと、
前記コントロールセンター及び前記ロボット医療デバイスシステムのための制御状態を決定する仮想制御トークンとを含み、
前記仮想制御トークンのロケーションが前記制御状態を決定する、システム。
【請求項2】
前記制御状態は、前記仮想制御トークンが前記コントロールセンターにロケーションを有する場合に第1の制御状態であり、
前記第1の制御状態は、前記少なくとも一つの医療デバイスの制御を前記コントロールセンターに与える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記制御状態は、前記仮想制御トークンが前記ロボット医療デバイスシステムにロケーションを有する場合に第2の制御状態であり、
前記第2の制御状態は、前記少なくとも一つの医療デバイスの制御を前記ロボット医療デバイスシステムに与える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも一つの医療デバイスの制御を要求するための仮想要求トークンをさらに含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記少なくとも一つの医療デバイスの制御を取得するための仮想強制要求トークンをさらに含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
局所サイトにあるロボット医療デバイスシステムから遠隔サイトにあるコントロールセンターへのデータの送信の帯域幅を低減する方法であって、
前記コントロールセンターは前記ロボット医療デバイスシステムの動作を制御するべく構成され、
当該方法は、
前記ロボット医療デバイスシステムにおいて、少なくとも一つの画像及び非画像患者情報を含む前記データの表示を生成することと、
前記生成された表示の一セクションを選択することと、
前記表示の選択された一セクションを前記コントロールセンターに送信することと、
前記コントロールセンターのディスプレイに前記表示の選択された一セクションを表示することとを含む、方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
他実施形態によれば、医療デバイスを制御するシステムが、遠隔サイトにロケーションを有するコントロールセンターを含む。コントロールセンターは、制御コンソールと、当該制御コンソールに接続された第1の命令及び制御モジュールと、当該第1の命令及び制御モジュールに接続されて精密時刻プロトコルを使用する第1のクロックとを含み、当該第1のクロックは基準時刻源から時刻データを受信するべく構成される。システムはさらに、局所サイトにロボット医療デバイスシステムを含み、当該ロボット医療デバイスシステムはコントロールセンターと通信する。ロボット医療サービスシステムは、少なくとも一つの医療デバイスと、当該少なくとも一つの医療デバイスに接続されて第1の命令及び制御モジュールと通信する第2の命令及び制御モジュールと、当該第2の命令及び制御モジュールに接続されて精密時刻プロトコルを使用する第2のクロックとを含み、当該第2のクロックは基準時刻源から時刻データを受信するべく構成される。コントロールセンターと遠隔医療デバイスとはセキュアトンネルを経由して通信する。コントロールセンターの制御コンソールは、少なくとも一つの医療デバイスと通信してこれを制御するべく構成され
る。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
カテーテル処置システム100は、ラボユニット106及びワークステーション116を含む。カテーテル処置システム100は、ベッドサイドシステム110として示されるロボットカテーテルシステムを含み、ラボユニット106内で患者102に隣接して配置される。患者102は、テーブル108上に支持される。一般に、ベッドサイドシステム110には、カテーテルに基づく医療処置をユーザが、ワークステーション116に配置された制御装置のような様々な制御装置を操作することにより、ロボットシステムを介して実行することを許容する適切な経皮的介入デバイス又は他のコンポーネント(例えばガイドワイヤ、ガイドカテーテル、バルーンカテーテル及びステント送達システムのような作業カテーテル、造影剤、薬剤、診断カテーテル等)が備えられる。ベッドサイドシステム110は、ここに記載の機能性をベッドサイドシステム110に与えるべく任意の数の及び/又は任意の組み合わせのコンポーネントを含み得る。ベッドサイドシステム110は、とりわけ、ロボットアーム112によって支持される駆動アセンブリ111を含む。駆動アセンブリ111は、カテーテル又はガイドワイヤのような細長い医療デバイス115を駆動するべく使用され得るロボットドライブ113に搭載されたカセット114を含む。例えば、駆動アセンブリ111は、患者102の動脈に置かれたガイドカテーテルの中へとガイドワイヤを自動的に供給するべく使用される。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
ワークステーション116は、カテーテル処置システム100の様々なコンポーネント又はシステムを操作するユーザ入力を受け取るように構成されたユーザインタフェイス126を含む。ユーザインタフェイス126は、ユーザがベッドサイドシステム110を制御してカテーテルに基づく医療処置を行うことを許容する制御装置118を含む。例えば、制御装置118は、ベッドサイドシステム110に装備され得る様々な経皮的介入デバイス(例えば細長い医療デバイス)を使用する様々なタスクをベッドサイドシステム110に実行させるように構成することができる(例えば、ガイドワイヤを前進、後退若しくは回転させ、作業カテーテルを前進、後退若しくは回転させ、ガイドカテーテルを前進、後退若しくは回転させ、カテーテルに配置されたバルーンを膨張若しくは収縮させ、ステントを位置決め及び/若しくは展開し、造影剤をカテーテルへと注入し、薬剤をカテーテルへと注入し、又はカテーテルに基づく医療処置の一部として実施され得る任意の他の機能を実施するために)。駆動アセンブリ111は、経皮的介入デバイスを含むベッドサイドシステム110のコンポーネントの動き(例えば軸方向及び回転の動き)を生じさせる様々な駆動機構を含む。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
ユーザインタフェイス126は、第1のモニタ
(又はディスプレイ)120及び第2のモニタ
(又はディスプレイ)122を含み得る。他実施形態において、ユーザインタフェイス126は、一つのディスプレイ又は2つを超えるディスプレイを含み得る。第1のモニタ120及び第2のモニタ122は、ワークステーション116にロケーションを有するユーザに情報又は患者固有データを表示するように構成され得る。例えば、第1のモニタ120及び第2のモニタ122は、画像データ(例えばX線画像、MRI画像、CT画像、超音波画像等)、血行動態データ(例えば血圧、心拍数等)、患者記録情報(例えば既往歴、年齢、体重等)を表示するように構成され得る。加えて、第1のモニタ120及び第2のモニタ122は、処置固有の情報(例えば処置時間、カテーテル又はガイドワイヤの位置、送達される薬剤又は造影剤の量等)を表示するように構成され得る。モニタ120及びモニタ122は、ガイドカテーテルの位置に関する情報を表示するように構成され得る。さらに、
第1のモニタ120及び
第2のモニタ122は、コントローラ134に関連付けられた機能(
図3に示す)を与える情報を表示するように構成されてもよい。他実施形態において、ユーザインタフェイス126は、ここに説明される表示コンポーネント及び/又はタッチ画面コンポーネントのうちの一以上を表示するのに十分なサイズの単一画面を含む。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
図2を参照すると、典型的な一実施形態に係るカテーテル処置システム100のブロック図が示される。カテーテル処置システム100は、コントローラ134を含み得る。コントローラ134は、ワークステーション116(
図1に示す)の一部であってもよい。コントローラ134は一般に、ここに記載される様々な機能を備えるカテーテル処置システム100を与えるのに適した電子制御ユニットとしてよい。例えば、コントローラ134は、組み込みシステム、専用回路、ここに記載の機能性でプログラムされた汎用システム等としてよい。コントローラ134は、一以上のベッドサイドシステム110、制御装置118、
第1のモニタ120及び
第2のモニタ122、撮像システム104、ならびに患者センサ136(例えば心電図(「ECG」)デバイス、脳波(「EEG」)デバイス、血圧モニタ、温度モニタ、心拍数モニタ、呼吸モニタ等)と通信する。一実施形態において、コントローラ134はまた、造影剤注入システム152及び血管内超音波(IVUS)システム154と通信してもよい。コントローラ
134はまた、例えばOCTシステム、FFRシステム又は吸引ポンプのような他の医療システム156と通信してもよい。様々な実施形態において、コントローラ134は、カテーテル処置システム100を使用して医療処置を行えるように、ユーザと制御装置118との相互作用に基づいて、及び/又はコントローラ134にアクセス可能な情報に基づいて、制御信号を生成するべく構成される。加えて、コントローラ134は、病院データ管理システム又は病院ネットワーク142、及び一以上の追加的出力デバイス138(例えばプリンタ、ディスクドライブ、CD/DVD書き込み機等)と通信することができる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0027】
上述のように、コントローラ134は、ベッドサイドシステム110と通信しており、経皮介入デバイス(例えばガイドワイヤ、カテーテル等)を駆動するべく使用されるモータ及び駆動機構の動作を制御するべくベッドサイドシステム110に制御信号を与えることができる。ベッドサイドシステム110は、例えば、ガイドワイヤの前進及び/又は後退を与えるガイドワイヤ軸方向駆動機構と、作業カテーテルの前進及び/又は後退を与える作業カテーテル軸方向駆動機構と、ガイドワイヤをその長手軸まわりに回転させるべく構成されたガイドワイヤ回転駆動機構とを含み得る。一実施形態において、様々な駆動機構は、駆動アセンブリ
111(
図1に示す)に収容される。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
図4は、一実施形態に係るロボット医療デバイスシステムの通信及び制御システムのブロック図である。通信及び制御システム200は、遠隔サイトにあるコントロールセンター202と、局所サイトにあるロボット医療デバイスシステム204とを含む。コントロールセンター202とロボット医療デバイスシステム204とが、ネットワーク206を経由して通信する。一実施形態において、ネットワーク206は、遠隔ファイアウォール208がコントロールセンター202内に確立されて局所ファイアウォール210がロボット医療デバイスシステム204内に確立されたセキュアネットワークである。例えば、ネットワーク206は、仮想プライベートネットワーク(VPN)であってよい。ネットワーク206は、データ、画像、並びに命令及び制御信号を送受信するように構成される。
図4に示される
通信及び制御システム200において、一つのコントロールセンター202及び一つのロボット医療デバイスシステム204が示される。一実施形態において、多数のコントロールセンター202は、ネットワーク206を経由して一つのロボット医療デバイスシステム204と通信してもよく、各コントロールセンター202は、ロボット医療デバイスシステム
204内のロボットシステム
245を使用して一以上の医療デバイス246を別個のロケーションから制御するように使用されてよい。ロボットシステム245は、例えば、医療デバイスを駆動するべく使用することができるロボットアーム、ロボットドライブ、及び/又は他のロボットデバイスであってよい。ロボット医療デバイスシステムがカテーテルシステムである一実施形態において、ロボットシステム245は、
図1に関して上述したロボットアーム112及び駆動アセンブリ111としてよい。他実施形態において、多数のコントロールセンター20が、ネットワーク206を経由して多数のロボット医療デバイスシステム204と通信することができる。ここで、各コントロールセンター202は、各ロボット医療デバイスシステム
204においてロボットシステム245を使用して一以上の医療デバイス
246を制御するべく使用することができる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
コントロールセンター202はまた、遠隔ファイアウォール208に結合されてこれと通信する遠隔命令及び制御モジュール212及び遠隔コントローラ216も含む。一実施形態において、遠隔ファイアウォール208、遠隔命令及び制御モジュール212、並びに遠隔コントローラ216は、別個のハードウェア(例えばコンピュータシステム)上に実装される。他実施形態において、遠隔ファイアウォール208、遠隔命令及び制御モジュール212、並びに遠隔コントローラ216は、同一のコンピュータシステムにおいて別個のソフトウェアコンポーネント又は論理サブシステムコンポーネントとして実装される。ソフトウェアコンポーネント又は論理サブシステムコンポーネントは、例えば、マイクロカーネル、仮想マシン、又はリアルタイム拡張を有する従来のオペレーティングシステムを使用して達成することができる。他実施形態において、遠隔コントローラ216及び遠隔ファイアウォール208は、遠隔命令及び制御モジュール212上で実行されるソフトウェアプログラムとして実装されてよい。遠隔命令及び制御モジュール212は、コントロールセンターの制御コンソール236から命令及び制御信号を受信する。制御コンソール236は、局所サイトにあるロボット医療デバイスシステム204並びに他のシステム及びデバイスの操作のために、遠隔サイトにいるオペレータからユーザ入力を受け取るように構成される。例えば、制御コンソール236は、タッチ画面、一以上のジョイスティック及びボタンのようなディスプレイ及び制御装置を含み得る。コントロールセンター202におけるディスプレイ240は、遠隔命令及び制御モジュール212に結合され、ロボット医療デバイスシステム204から受信したデータ及び画像を表示するべく使用され得る。遠隔命令及び制御モジュール212は、ロボット医療デバイスシステム204から受信した画像を解凍するように構成することができる。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
遠隔命令及び制御モジュール212はまた、例えば遠隔基準クロック220のような時刻同期基準クロックに結合され、遠隔基準クロック220から時刻情報を受信する。遠隔基準クロック220は、例えば、グランドマスタークロックとすることができる。以下にさらに述べるように、時刻情報は、遠隔サイトと局所サイトとの間の信号及びデータ(例えば命令及び制御信号、並びに画像)の送信における遅延を計算するべく使用され得る。遠隔基準クロック220は、アンテナ232に結合されて、例えば衛星ベースの時刻源又は外部ネットワークなどの外部時刻源から時刻情報を受信し、遠隔命令及び制御モジュール212にタイムスタンプ情報を与える。一実施形態において、時刻情報は、全地球測位システム(GPS)から与えられる。他実施形態において、時刻情報は、衛星時刻位置(STL)システムから与えられる。遠隔スイッチ224は、遠隔基準クロック220に結合されてよい。一実施形態において、遠隔基準クロック220、遠隔スイッチ224、及び遠隔命令及び制御モジュール212は、精密時刻プロトコル(PTP)ネットワークを使用する。遠隔命令及び制御モジュール212は、制御コンソール236から受信した命令及び制御信号にタイムスタンプを付けるべく、遠隔基準クロック220からのタイムスタンプ情報を使用する。タイムスタンプが付された命令及び制御信号は、ネットワーク206を介して、ロボット医療デバイスシステム
204における局所命令及び制御モジュール
214へと送信される。局所命令及び制御モジュール214は、その命令及び制御信号を、ネットワーク206を経由して、例えば、医療デバイス246の動作を制御するべくロボット医療デバイスシステム204におけるロボットシステム245に与えるように構成される。遠隔基準クロック220からの情報に基づいて遠隔命令及び制御モジュール212が命令及び制御信号に与えるタイムスタンプは、医療デバイス246を使用して行われる医療処置中にネットワーク206を経由する命令及び制御信号の送信における遅延を監視及び制御するべく使用される。局所命令及び制御モジュール214は、コントロールセンター202から命令及び制御信号を受信するときの遅延をタイムスタンプに基づいて決定し、
図5に関して後述するように、その遅延量に基づいて適切なアクションを取るように構成される。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
局所命令及び制御モジュール214並びに局所コントローラ218は、局所ファイアウォール210に結合されてこれと通信する。一実施形態において、局所ファイアウォール210、局所命令及び制御モジュール214、並びに局所コントローラ218は、別個のハードウェア(例えばコンピュータシステム)に実装される。他実施形態において、局所ファイアウォール210、局所命令及び制御モジュール214、並びに局所コントローラ218は、同じコンピュータシステム上の別個のソフトウェアコンポーネント又は論理サブシステムコンポーネントとして実装される。ソフトウェアコンポーネント又は論理サブシステムコンポーネントは、例えば、マイクロカーネル、仮想マシン、又はリアルタイム拡張を有する従来のオペレーティングシステムを使用して達成することができる。他実施形態において、局所コントローラ218及び局所ファイアウォール210は、局所命令及び制御モジュール214上で実行されるソフトウェアプログラムとして実装されてよい。局所命令及び制御モジュール214はまた、ロボット医療デバイスシステム
の制御コンソール238から命令及び制御信号を受信してよい。制御コンソール238は、局所サイトにおけるロボット医療デバイスシステム204の操作のために、局所サイトにいるオペレータからユーザ入力を受け取るように構成される。例えば、制御コンソール238は、タッチ画面、一以上のジョイスティック及びボタンのようなディスプレイ及び制御装置を含み得る。ディスプレイ241は、局所命令及び制御モジュール214に結合され、データ及び画像を表示するべく使用され得る。局所命令及び制御モジュール214はまた、撮像システム248から画像を受信し、患者センサ250から血行動態データを受信する。ロボット医療デバイスシステム204が、
図2及び3に関して上述したカテーテル処置システムである一実施形態において、局所コントローラ218は、
第1、第2のモニタ120、122又はタッチ画面124に結合されてよい。撮像システム248からの画像は、第1のビデオキャプチャ及びスケーリングデバイス242を使用してキャプチャ及びスケーリングされてよく、血行動態データは、第2のビデオキャプチャ及びスケーリングデバイス244を使用してキャプチャ及びスケーリングされてよい。局所命令及び制御モジュール214は、コントロールセンター202に送信する前に画像データを圧縮するように構成されてよく、局所コントローラ218は、コントロールセンター202に送信する前に血行動態データを圧縮するように構成されてよい。他実施形態において、局所命令及び制御モジュール214は、血管内超音波(IVUS)システム254に結合され、このIVUSシステム254からデータを受信する。IVUSシステム254からのデータは、コントロールセンター202へと送信される。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0034】
局所命令及び制御モジュール214はまた、例えば局所基準クロック226のような時刻同期基準クロックに結合されて局所基準クロック226から時刻情報を受信する。局所基準クロックは、例えば、グランドマスタークロックとしてよい。時刻情報は、遠隔サイトと局所サイトとの間の信号及びデータ(例えば命令及び制御信号、並びに画像)の送信における遅延を計算するべく使用され得る。局所基準クロック226は、アンテナ234に結合され、例えば衛星ベースの時刻源のような外部時刻源から時刻情報を受信し、タイムスタンプ情報を局所命令及び制御モジュール214に与える。一実施形態において、時刻情報は、全地球測位システム(GPS)から与えられる。他実施形態において、時刻情報は、衛星時刻位置(STL)システムから与えられる。局所スイッチ230は、局所基準クロック226に結合されてよい。一実施形態において、局所基準クロック226、局所スイッチ230、並びに局所命令及び制御モジュール212は、精密時刻プロトコルネットワークを使用する。局所命令及び制御モジュール214は、局所基準クロック226からのタイムスタンプ情報を使用して、第1のビデオキャプチャ及びスケーリングデバイス242から受信した画像データにタイムスタンプを付ける。他実施形態において、局所コントローラ218は、局所基準クロック226からのタイムスタンプ情報を使用し、第2のビデオキャプチャ及びスケーリングデバイス244から受信した血行動態データにタイムスタンプを付けることができる。タイムスタンプが付された画像及び血行動態データは、ネットワーク206を介して、コントロールセンター202における遠隔命令及び制御モジュール212に送信することができる。遠隔命令及び制御モジュール212は、画像をコントロールセンター202におけるディスプレイ240に与え、血行動態データをディスプレイ240又はコントロールセンター202における他のディスプレイに与えるように構成される。局所基準クロック226からの情報に基づいて局所命令及び制御モジュール214が画像及び血行動態データに与えるタイムスタンプは、ロボットシステム245及び医療デバイス246を制御するべくコントロールセンター202を使用して実行される医療処置の間に、ネットワーク206を経由した画像及び血行動態データの送信における遅延を監視及び制御するために使用されてもよい。画像及び/又は血行動態データの送信における遅延に基づいて、通信及び制御システム200の様々なコンポーネントが、又はコントロールセンター202とロボット医療デバイスシステム204との間を通るシステム制御が、一時停止又は休止され得る。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0037】
上述のように、コントロールセンター202は、ロボット医療デバイスシステム204及び局所サイトにある他のシステム及びデバイスを操作及び制御するべく、遠隔サイトにいるオペレータによって使用されてよい。一実施形態において、コントロールセンター202は、ネットワーク206を経由して、撮像システム248又は造影剤注入システム252に命令及び制御信号を与えることができる。例えば、コントロールセンター202は、撮像システム248による画像キャプチャを制御するべく使用することができる。他例において、コントロールセンター202は、造影剤注入システム252による造影剤注入を制御するべく使用することができる。他例において、コントロールセンター202は、吸引ポンプの作動又はステント型塞栓回収器の展開を制御するべく使用することができる。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0038】
コントロールセンター202はテレプレゼンスモジュール260を含み、ロボット医療デバイスシステム204はテレプレゼンスモジュール262を含む。テレプレゼンスモジュール260、262はそれぞれが、遠隔サイトにいるオペレータと局所サイトにいるユーザ又は局所スタッフとの間のオーディオ及びビデオ通信(例えばテレプレゼンス、遠隔会議)を与えるように構成される。一実施形態において、
図4に示すように、テレプレゼンスモジュール260、262はスタンドアロンモジュールであり、遠隔ファイアウォール208及び局所ファイアウォール210それぞれに結合されてよい。他実施形態において、テレプレゼンスモジュール260、262の要素は、遠隔コントローラ216又は局所コントローラ218のそれぞれにおいて実行されるソフトウェアプログラムとしてよい。テレプレゼンスモジュール260及び262は、例えば、ビデオカメラ、モニタ、スピーカ及びマイクロフォンを含み得る。一実施形態において、遠隔サイトにあるテレプレゼンスモジュール260と局所サイトにあるテレプレゼンスモジュール262との間にビデオ会議を確立することができる。その結果、局所サイトにあるロボットシステム
245を使用して医療デバイス
246を操作するべくコントロールセンター202を利用する遠隔サイトにいるオペレータが、処置が実行されるときの処置室及びデバイスを見て、局所サイトにおいて処置をサポートする担当者(例えば技師、医師等)と音声及びビデオを介して通信することができる。一実施形態において、コンピュータネットワーク(例えばクラウドネットワーク)を経由してセキュア通信を確立する専用の音声及びビデオ通信システムを使用することにより、遠隔サイトにあるテレプレゼンスモジュール260と局所サイトにあるテレプレゼンスモジュール262との間で音声及びビデオ通信を確立することが
できる。例えば、遠隔サイトにあるテレプレゼンスモジュール260は、遠隔サイトから音声(例えば話し)及びビデオを暗号化されたフォーマット(例えばSRTP/AES-128)で送信するように構成され、局所サイトにあるテレプレゼンスモジュール262から音声(例えば話し)及びビデオを受信して復号化するように構成されてよい。局所サイトにあるテレプレゼンスモジュール262は、音声(例えば話し)及びビデオを局所サイトから暗号化されたフォーマット(例えばSRTP/AES-128)で送信するように構成され、遠隔サイトのテレプレゼンスモジュール260から音声(例えば話し)及びビデオを受信して復号化するように構成されてもよい。テレプレゼンスモジュール260とテレプレゼンスモジュール262との間のシグナリング及びルーティングは、クラウドネットワークを使用して確立することができる。一実施形態において、暗号化された音声及びビデオデータは、遠隔ファイアウォール208と局所ファイアウォール210との間で、さらなる暗号化なしに送信されてよい(例えば音声及びビデオデータはホワイトリスト化されてよい)。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
図5は、一実施形態に係るロボット医療デバイスシステムの動作を制御する方法を示す。
図4及び5を参照すると、ブロック302において、命令及び制御信号が、例えば局所サイトにある局所命令及び制御モジュール214によって、遠隔サイトにあるコントロールセンター202から受信される。ブロック304において、命令及び制御信号の受信における遅延が、例えば、局所命令及び制御モジュール214によって、タイムスタンプ情報に基づいて決定される。ブロック306において、遅延がしきい値と比較される。一実施形態において、しきい値は、例えば250msのようなユーザに知覚可能なものに基づく既定の値である。以下にさらに説明する他実施形態において、しきい値は、ブロック316において、ロボット医療デバイスシステムの少なくとも一つのパラメータ、例えば、ロボット医療デバイスシステムによって実行される処置、患者の解剖学的構造、医療デバイスのタイプ、及び医療デバイスのロケーション、に基づいて決定される。ブロック308において遅延がしきい値より大きい場合、修正アクションがブロック314において実行され得る。一実施形態において、
ロボット医療デバイスシステム204の医療デバイス246及び他の構成要素が一時停止又は停止され得る。一時停止の一例において、遅延がしき値より大きく、その後、遅延がしきい値を下回る場合、デバイス又はコンポーネントが一時停止される。その後、ひとたび遅延がしきい値を上回ると、動きを再開することができる。他例において、遅延が大きすぎる場合、デバイス又はコンポーネントの動きは、動作を再開する程度に十分に遅延が小さくなるまで、一時停止することができる。他実施形態において、ロボット医療デバイスシステムのコンポーネントの(例えば前進、後退又は回転中の)速さ又は速度を遅くすることができる。ネットワーク接続が失われた場合、又はネットワーク206の速さが既定の速度よりも遅くなった場合、コントロールセンター202は、ロボットシステム245及び医療デバイス246の制御をロボット医療デバイスシステム204に戻してもよい。また、緊急停止装置を設けて、局所サイトにいるユーザが緊急時の処置を停止できるようにしてもよい。一実施形態において、しきい値は一定範囲のしきい値である。コントロールセンター202がロボットシステム245及び医療デバイス246の制御を有し、かつ、命令及び制御信号の遅延が第1のしきい値よりも大きいが第2のしきい値よりも小さい場合、コントロールセンター202の制御コンソール236(例えばジョイスティック)は無効にされてもよいが、制御コンソール236はロボットシステム245及び医療デバイス246の制御を維持する。コントロールセンター202がロボットシステム245及び医療デバイス246の制御を有し、かつ、命令及び制御信号の遅延が第2のしきい値より大きい場合、コントロールセンター202は無効にされ得る。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0040】
ブロック308において、命令及び制御信号の遅延がしきい値未満の場合にコントロールセンター202がロボットシステム245及び医療デバイス246の制御を有するとき、コントロールセンター202の制御コンソール236は、ブロック310においてロボットシステム245及び医療デバイス246を含むロボット医療デバイスシステム204を制御及び操作するべく使用される。
ブロック312において、コントロールセンター202によって制御されているときの医療デバイス246の速度は、命令及び制御信号の遅延に基づいて調整され得る。コントロールセンター202がロボットシステム245及び医療デバイス246の制御を有し、かつ、命令及び制御信号の遅延(t
delay)が既定量(t
predetermined)未満であるがゼロより大きい場合、制御コンソール236(例えばジョイスティック)から受信された命令及び制御信号から命令された速度(v
command)は、遅延が既定量に向かって増加するにつれて
医療デバイス246の速度(v
device)が減少するようにスケーリングされる。
医療デバイスの速度は以下のように与えられる。
[式(1)]
例えば、遅延t
delayが既定量t
predeterminedの半分に等しい場合、デバイスの速度v
deviceは命令速度v
commandの半分となる。遅延t
delayの増加に伴い
医療デバイス246を遅くすることが、システムの安定性を確保してデバイス制御に関連付けられるリスクを緩和するべく、例えば
医療デバイスの過度な前進又は後退を回避するべく、使用され得る。遅延t
delayが既定量t
predeterminedよりも大きい場合(ブロック308)、
医療デバイスの速度v
deviceはゼロになって
医療デバイス246の動きが停止される(ブロック314)。他実施例において、
医療デバイスの速度v
deviceは、ネットワーク遅延の合計に基づいて調整され得る。ネットワーク遅延の合計は、命令及び制御信号の遅延t
delay、及びロボット医療デバイスシステム204から受信される画像の遅延t
imagedelayを含む。デバイスの速度は以下のように与えられる。
[式(2)]
ネットワーク遅延の合計t
total=(t
delay+t
imagedelay)に基づく
医療デバイスの命令速度(v
command)により、
医療デバイスの位置制御のための安定した動作及びロバストな性能が確保され得る。上述の命令速度をスケーリングする様々な実施形態を、いかなる合計遅延にかかわらず安定性を確保するべくチューニングすることができる。遅延が未知の場合、当該遅延が大きすぎると不安定性が生じ得る。固定された合計遅延のもとでの開ループシステムの周波数応答は、以下のように与えられる。
[式(3)]
ナイキスト安定性基準から、直結比例フィードバックに対して安定性を確保するにはネットワーク遅延の合計は、次の制約、すなわちt
total≦π/2秒を満たす必要がある。上記の式(2)のスケーリングを使用すると、t
predetermined=π/2のとき、以下の周波数応答が得られる。
[式(4)]
他実施形態において、t
predeterminedに対する他の最適値が計算されて式(2)のスケーリングにおいて使用されてよい。式(4)より、利得マージンが今や直結比例フィードバックに対して無限大であるから、比例直結フィードバックに対する安定性が確保され得る。安定性を確保するべく、他の方法も、フィードバック遅延の知識を有する同様の態様で使用してよい。
医療デバイスの位置を制御するべく速度命令を使用する場合と同様に、フィードバック遅延の知識なしに安定性を確保するために波動変数を使用するアプローチの一例が、「受動性を使用したネットワーク制御システムの設計」N. Kottenstette, J. F. Hall, X. Koutsoukos, J. Sztipanovits and P. Antsaklis, IEEE Transactions on Control Systems Technology, vol. 21, no. 3, pp. 649-665, May 2013に記載されており、その全体が参照によりここに組み入れられる。
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0043】
図4に関して上述したように、コントロールセンター202のディスプレイ240は、ネットワーク206を経由してロボット医療デバイスシステム204から受信したデータ及び画像を表示するべく使用することができる。
図8は、一実施形態に係るロボット医療デバイスシステムのためのデータ及び画像の典型的な表示を示す。ディスプレイ500は、例えば、処置を行うべくロボット医療デバイスの動作に関連する血行動態データ502、基準画像506及びライブ画像508のような、ロボット医療デバイスシステム204においてキャプチャされたデータ及び画像を含む。詳しくは、
図8に示す実施形態において、データ及び画像はカテーテル処置に関する。ロボット医療デバイスシステム204は、遠隔サイトにあるコントロールセンター
202に送信するための、ディスプレイ
500の関心セクション又は領域を選択するように構成され得る。したがって、ディスプレイ500は、例えば、血行動態データ502、基準画像506及びライブ画像508が別個に送信されるようにクロップされてよい。選択される関心セクション又は領域は、送信のために所望の情報をキャプチャするべく任意の形状を有してよい。ディスプレイ500をクロップすることにより、画像及びデータを送信するのに必要な帯域幅を低減することができる。
図9は、一実施形態に係る血行動態データを含む選択された関心領域を有する遠隔サイトのコントロールセンターのための典型的な表示を示す。
図9において、ディスプレイ600は、ロボット医療デバイスシステム204から受信された血行動態データを含む。他実施形態において、遠隔コントローラ216及びディスプレイ240は、
図10に示すように、オペレータが、ライブ画像データ(例えば、カテーテル処置のためのX線透視画像データ)の既定時間(例えば10秒)まで、選択的に循環バッファするのを許容するように構成されてよい。例えば、ユーザは、キャプチャを開始して再生のための既定時間の循環バッファを作成するための制御を作動させてよい。
図10に示される実施形態において、ディスプレイ700に示される再生画像は、ライブ画像704と同じ尺度にスケーリングされる。
再生画像702は、毎秒既定フレーム数のリアルタイムであってよい。一実施形態において、オペレータが再生画像702を一時停止し、前に進み、後に戻ることを可能にする制御が与えられる。再生画像は、例えば、ロードマップの生成を容易にして当該ケースの進行をキャプチャするべく使用され得る。
【手続補正18】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0045】
図4に関して上述したように、通信及び制御システム200は、遠隔サイトにいるオペレータ(例えば医師)が、局所サイトにあるロボット医療デバイスシステム204を制御及び操作できるように構成される。
通信及び制御システム200はまた、局所サイトのオペレータがロボット医療デバイスシステム204を制御及び操作することを可能にするように構成される。制御管理プロセスは、コントロールセンター202又はロボット医療デバイスシステム204がロボットシステム245及び医療デバイス246の制御を有するか否かを管理するために与えられる。制御管理システムは、例えば遠隔サイトと局所サイトとの間のデッドロックを防止するように構成される。一実施形態において、コントロールセンター202又はロボット医療デバイスシステム204が処置を行う動作の制御を有するか否かを決定するべく制御トークンが使用される。制御トークンは、ソフトウェアに実装される仮想トークンである。制御トークンを所有するシステム(例えばコントロールセンター202又はロボット医療デバイスシステム204のいずれか)は、ロボット医療デバイスシステム204のロボットシステム245及び医療デバイス246の制御を与えられ、他のシステムは、ロボットシステム245及び医療デバイス246を制御することが無効及び防止される。第1の状態において、制御トークンは「フリー」であり、コントロールセンター202又はロボット医療デバイスシステム204のいずれかによって取得可能である。
図11は、一実施形態に係る、コントロールセンター又はロボット医療デバイスシステムのいずれもがロボット医療デバイスを制御していない場合の典型的なユーザインタフェイスを示す。図示のグラフィカルユーザインタフェイス802、804は、典型的なカテーテル処置システム(例えば
図2及び3に示されるカテーテル処置システム100)の制御を目的とする。制御トークンが「フリー」の場合、ロボット医療デバイスシステムは制御トークンなしの状態であり、このロボット医療デバイスシステムは、例えば、ロボット医療デバイスシステムのためのグラフィカルユーザインタフェイス802における「すべて有効」ボタンを作動させることによって制御トークンを取得して制御を得ることができる。コントロールセンターはまた、制御トークンなしであり、例えば、コントロールセンターのためのグラフィカルユーザインタフェイス804におけるロボット医療デバイスシステムのための「RCL無効」ボタンを作動させることによって制御を得ることができる。一実施形態において、グラフィカルユーザインタフェイス804の「すべて有効」ボタンは、コントロールセンターが制御を有しないことを示す背景又は色で示されてよく、例えば、ボタンのテキスト及び背景をグレーアウトさせてよい。
【手続補正19】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0049】
図3及び4に関して上述したように、多数のコントロールセンター202は、ネットワーク206を介して多数のロボット医療デバイスシステム204と通信してよい(例えば多対多構成)。
図16は、一実施形態に係る多数のコントロールセンター及び多数のロボット医療デバイスシステムの多対多構成のブロック図である。
図16において、第1のコントロールセンター1302、第2のコントロールセンター1304、第1のロボット医療デバイスシステム1306、及び第2のロボット医療デバイスシステム1308が、ネットワーク1350を経由して通信している。一実施形態において、各サイト(すなわち第1のコントロールセンター1302、
第2のコントロールセンター1304、第1のロボット医療デバイスシステム1306及び
第2のロボット医療デバイスシステム1308)は異なるロケーションにあってもよく、互いから離れていてもよい。第1のコントロールセンター1302は第1の遠隔サイトにあり、第2のコントロールセンター1304は第2の遠隔サイトにあり、第1のロボット医療デバイスシステム1306は第1の局所サイトにあり、第2のロボット医療デバイスシステム1308は第2の局所サイトにある。第1のコントロールセンター1302は、第1のロボット医療デバイスシステム1306又は第2のロボット医療デバイスシステム1308のいずれかを制御するべく使用することができる。第2のコントロールセンター1304は、第1のロボット医療デバイスシステム1306又は第2のロボット医療デバイスシステム1308のいずれかを制御するべく使用することができる。第1のコントロールセンター1302は第1の遠隔ファイアウォール1310を含み、第2のコントロールセンター1304は第2の遠隔ファイアウォール1312を含み、第1のロボット医療デバイスシステム1306は第1の局所ファイアウォール1314を含み、第2のロボット医療デバイスシステム1308は第2の局所ファイアウォール1316を含む。第1の遠隔ファイアウォール1310は第1の遠隔コントローラ1318に
接続され、第2の遠隔ファイアウォール1312は第2の遠隔コントローラ1320に
接続され、第1の局所ファイアウォール1314は第1の局所コントローラ1322に
接続され、第2の局所ファイアウォール1316は第2の局所コントローラ1324に
接続される。第1の遠隔ファイアウォール1310は、LANポート1334及びWANポート1336を含む。第2の遠隔ファイアウォール1312は、LANポート1332及びWANポート1330を含む。第1の局所ファイアウォール1314は、LANポート1340及びWANポート1338を含む。第2の局所ファイアウォール1316は、LANポート1326及びWANポート1328を含む。
【手続補正20】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0050】
ファイアウォール1310、1312、1314及び1316は、他のサイトとのセキュア接続を確立し、及び他のサイトとのセキュア接続を切断するように構成される。好ましくは、セキュア接続を確立し及び安セキュア接続を切断することの制御及び管理は、各ファイアウォールによって自動的に取り扱われ、各サイトにおける他のハードウェア及びソフトウェア機能からの分離が維持される。一実施形態において、コマンドラインインタフェイス(CLI)及びセキュアシェル(SSH)プロトコルを使用して、2つのサイト間のセキュア接続を確立する。この実施形態において、各ファイアウォール1310、1312、1314及び1316は、固有の静的IPアドレスを有する。以下の説明は、第2のコントロールセンター1304と第2のロボット医療デバイスシステム1308との間のセキュア接続を確立することを記載するが、ここに記載される方法は、多対多構成における複数のサイトの任意の組み合わせ間の接続を確立及び切断するべく使用され得る。一実施形態において、集中型アプローチが使用される。集中型アプローチにおいて、第2のコントロールセンター1304のWANポート1330及び第2のロボット医療デバイスシステム1308のWANポート1328が、SSHログインのために開放される。この設定において、いずれかのサイト(例えば第2のコントロールセンター1304及び第2のロボット医療デバイスシステム1308)が、その局所ファイアウォールのLANポートと他方のサイトのWANポートとを経由するトンネルを生成し得る。例えば、第2のロボット医療デバイスシステム1308の第2の局所コントローラ1324は、第2の局所ファイアウォール1316の局所LANポート1326にSSHで接続することができ、第2の局所コントローラ1324は、第2のコントロールセンター1304の第2の遠隔ファイアウォール1312のWANポート1330にSSHで接続してトンネルを確立することができる。他の集中型アプローチの例において、第2のコントロールセンター1304の第2の遠隔コントローラ1320が、第2のロボット医療デバイスシステム1308の第2の局所ファイアウォール1316のWANポート1328にSSH接続することができ、第2のコントロールセンター1304の第2の遠隔コントローラ1320が、第2の遠隔ファイアウォール1312の局所LANポート1332にSSH接続することができる。他実施形態において、分散型アプローチが使用される。分散型アプローチにおいて、第2のコントロールセンター1304のWANポート1330、及び第2のロボット医療デバイスシステム1308のWANポート1328はSSHログインを許可しない。この実施形態において、各サイトは、セキュリティを強化するべくWANポートをSSHログインに対して閉じたままにしておくことができるように、それぞれの局所ファイアウォールのLANポートを介して対応するトンネル接続を立ち上げる。例えば、第2の局所コントローラ1324はLANポート1326にSSH接続することができ、第2の遠隔コントローラ1320はLANポート1332にSSH接続することができる。
【手続補正21】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0054
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0054】
上述の方法による通信及び制御システムのためのコンピュータ実行可能命令が、コンピュータ可読媒体の形態で記憶されてよい。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、又は他のデータのような情報を記憶するための任意の方法又は技術に実装される揮発性及び不揮発性、リムーバブル、並びに非リムーバブルの媒体を含む。コンピュータ可読媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、電気的消去可能プログラマブルROM(EEPROM)、フラッシュメモリ若しくは他のメモリ技術、コンパクトディスクROM(CD-ROM)、デジタルバーサタイルディスク(DVD)若しくは他の光学記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置若しくは他の磁気記憶装置、又は所望の命令を記憶するために使用することができ、インターネット若しくは他のコンピュータネットワーク形態のアクセスを含む
通信及び制御システム10(
図1に示す)によってアクセスすることができる他の媒体を含むが、これらに限定されない。
【外国語明細書】