IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社大林組の特許一覧 ▶ コクヨ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-間仕切り壁及びその施工方法 図1
  • 特開-間仕切り壁及びその施工方法 図2
  • 特開-間仕切り壁及びその施工方法 図3
  • 特開-間仕切り壁及びその施工方法 図4
  • 特開-間仕切り壁及びその施工方法 図5
  • 特開-間仕切り壁及びその施工方法 図6
  • 特開-間仕切り壁及びその施工方法 図7
  • 特開-間仕切り壁及びその施工方法 図8
  • 特開-間仕切り壁及びその施工方法 図9
  • 特開-間仕切り壁及びその施工方法 図10
  • 特開-間仕切り壁及びその施工方法 図11
  • 特開-間仕切り壁及びその施工方法 図12
  • 特開-間仕切り壁及びその施工方法 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008198
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】間仕切り壁及びその施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/82 20060101AFI20230112BHJP
   E04B 2/72 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
E04B2/82 501H
E04B2/82 511H
E04B2/72 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021111565
(22)【出願日】2021-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(71)【出願人】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】岸上 昌史
(72)【発明者】
【氏名】山口 純一
(72)【発明者】
【氏名】播磨 修二
(57)【要約】
【課題】面板として用いられるガラス板の縁部外面にガラス押縁を添接させた間仕切り壁において、ガラス板と天井面又は床面との間に大きな目地を形成させることなく、また部品点数を抑えつつ、ガラス押縁と横架枠との係合が外れる不具合の発生を抑制する。
【解決手段】水平レールの起立面に側壁を添接させた横架枠5と、横架枠5の側壁52の外面52aに縁部内面を添接させたガラス板7と、ガラス板7の縁部外面に添接させたガラス押縁8とを具備してなり、ガラス押縁8を係合部Kを介して横架枠5に係合させることによってガラス板7を横架枠5とガラス押縁8とによって挟持してなる間仕切り壁Wにおいて、横架枠5の側壁52の先端縁部52cとガラス押縁8の先端縁部83とを並列に配置し、両先端縁部52c、83が離隔するのを抑止する止め金具9を両先端縁部52c、83の先端側から外嵌させる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平レールの起立面に側壁を添接させた横架枠と、前記横架枠の側壁外面に縁部内面を添接させたガラス板と、前記ガラス板の縁部外面に添接させたガラス押縁とを具備してなり、前記ガラス押縁を係合部を介して前記横架枠に係合させることによって、前記ガラス板を前記横架枠と前記ガラス押縁とによって挟持してなるものであって、
前記横架枠の側壁の先端縁部と前記ガラス押縁の先端縁部とを並列に配置し、前記両先端縁部が離隔するのを抑止する止め金具が前記両先端縁部の先端側から外嵌されている間仕切り壁。
【請求項2】
前記係合部は、前記両先端縁部が接離する方向に係合する主係合要素を備えたものである請求項1記載の間仕切り壁。
【請求項3】
前記係合部は、前記主係合要素が係合し終える直前に部材の一時的変形を利用して係合し前記ガラス押縁の前記横架材に対する係合状態を増強する副係合要素を備えたものであり、
前記副係合要素は、係脱時の部材の一時的変形を前記止め金具により抑止し得る位置に設けられている請求項2記載の間仕切り壁。
【請求項4】
前記止め金具は、前記横架枠の側壁の先端縁部と前記ガラス押縁の先端縁部とを挟持する一対の挟持片と、前記一対の挟持片の基端同士を連結する接続片とを備えたものである請求項1、2又は3記載の間仕切り壁。
【請求項5】
前記止め金具は、ばね鋼板により一体に形成されたものである請求項4記載の間仕切り壁。
【請求項6】
前記止め金具は、一方の挟持片の先端に前記ガラス押縁に形成された係止面に当接するストッパを備えたものであり、前記ストッパが前記係止面に当接された状態で前記接続片と前記両先端縁部との間に隙間が形成されるように構成されている請求項4又は5記載の間仕切り壁。
【請求項7】
前記止め金具は、前記一方の挟持片に、前記隙間を外方に連通させる窓を備えたものである請求項6記載の間仕切り壁。
【請求項8】
請求項3記載の間仕切り壁を施工する方法であって、
前記横架枠にガラス板を添接させる工程と、
前記ガラス押縁を弾性変形させつつ前記主係合要素を係合させる工程と、
前記ガラス押縁を弾性復帰させ前記副係合要素を係合させる工程と、
前記止め金具を前記横架枠の側壁及び前記ガラス押縁の両先端縁部に先端側から外嵌する工程と
を具備してなる間仕切り壁の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィス等に設置される間仕切り壁及びその施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の間仕切り壁として、天井レールと床レールとの間に、面板を主体とした複数枚のパネル体を幅方向に隣接させて配置したものが種々開発されている。その中には、面板の一部又は全部を透明なガラス板により構成したものも知られている。
【0003】
面板としてガラス板を用いたものは、例えば、ガラス板の上縁部内面を天井レールに支持された上枠の側壁外面に添接させるとともに、このガラス板の上縁部外面にガラス押縁を添接させている。そして、そのガラス押縁を上枠又は天井レールに止着することによって、ガラス板の上縁部を挟持状態で保持するようになっている。ガラス板の下縁部についても同様に、ガラス板の下縁部内面を天井レールに支持された下枠の側壁外面に添接させるとともに、このガラス板の下縁部外面にガラス押縁を添接させている。そして、そのガラス押縁を下枠又は床レールに止着することによって、ガラス板の下縁部を挟持状態で保持するようになっている。
【0004】
ところが、従来考えられているものは、例えば、隣接するガラス板の上縁部(下縁部)を押圧するガラス押縁を凹凸係合部を介して上枠(下枠)又は天井レール(床レール)に係合しただけのものである。そのため、温度変化や大きな外力がガラス板に作用した場合に、その凹凸係合部が外れることがある。
【0005】
かかる不具合の発生を防止するために、ガラス押縁の先端部を上方(下方)に延長し、その先端部を上枠(下枠)にビス止めするようにしたものも開発されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、ガラス押縁をガラス板を避けてビス止めすると、ガラス板の上縁(下縁)と天井面(床面)との間に比較的大きな目地が形成される傾向があり、また、部品点数が増大して組立や分解に要する工数が増加するという不具合を招く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-119966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような事情に着目してなされたもので、前述した課題を同時に解消することができる間仕切り壁を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明に係る間仕切り壁は、水平レールの起立面に側壁を添接させた横架枠と、前記横架枠の側壁外面に縁部内面を添接させたガラス板と、前記ガラス板の縁部外面に添接させたガラス押縁とを具備してなり、前記ガラス押縁を係合部を介して前記横架枠に係合させることによって、前記ガラス板を前記横架枠と前記ガラス押縁とによって挟持してなるものであって、前記横架枠の側壁の先端縁部と前記ガラス押縁の先端縁部とを並列に配置し、前記両先端縁部が離隔するのを抑止する止め金具が前記両先端縁部の先端側から外嵌されているものである。
【0009】
請求項2記載の発明に係る間仕切り壁は、請求項1記載のものにおいて、前記係合部が、前記両先端縁部が接離する方向に係合する主係合要素を備えたものである。
【0010】
なお、本発明において、「先端縁部が接離する方向」とは、横架枠の側壁の先端縁部及びガラス押縁の先端縁部を互いに接近(及び離隔)させる方向である。
【0011】
請求項3記載の発明に係る間仕切り壁は、請求項2記載のものにおいて、前記係合部は、前記主係合要素が係合し終える直前に部材の一時的変形を利用して係合し前記ガラス押縁の前記横架材に対する係合状態を増強する副係合要素を備えたものであり、前記副係合要素は、係脱時の部材の一時的変形を前記止め金具により抑止し得る位置に設けられているものである。
【0012】
請求項4記載の発明に係る間仕切り壁は、請求項1、2又は3記載のものにおいて、前記止め金具が、前記横架枠の側壁の先端縁部と前記ガラス押縁の先端縁部とを挟持する一対の挟持片と、前記一対の挟持片の基端同士を連結する接続片とを備えたものである。
【0013】
請求項5記載の発明に係る間仕切り壁は、請求項4記載のものにおいて、前記止め金具が、ばね鋼板により一体に形成されたものである。
【0014】
請求項6記載の発明に係る間仕切り壁は、請求項4又は5記載のものにおいて、前記止め金具は、一方の挟持片の先端に前記ガラス押縁に形成された係止面に当接するストッパを備えたものであり、前記ストッパが前記係止面に当接された状態で前記接続片と前記両先端縁部との間に隙間が形成されるように構成されているものである。
【0015】
請求項7記載の発明に係る間仕切り壁は、請求項6記載のものにおいて、前記止め金具は、前記一方の挟持片に、前記隙間を外方に連通させる窓を備えたものである。
【0016】
請求項8記載の発明に係る間仕切り壁の施工方法は、請求項3記載の間仕切り壁を施工する方法であって、前記横架枠にガラス板を添接させる工程と、前記ガラス押縁を弾性変形させつつ前記主係合要素を係合させる工程と、前記ガラス押縁を弾性復帰させ前記副係合要素を係合させる工程と、前記止め金具を前記横架枠の側壁及び前記ガラス押縁の両先端縁部に先端側から外嵌する工程とを具備してなるものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ガラス板の上縁又は下縁と天井面又は床面との間に大きな目地を形成させることなく、また、部品点数が増大して組立や分解に要する工数が増加することもなく、温度変化や大きな外力がガラス板に作用した場合にガラス押縁と横架枠との係合が外れる不具合の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る間仕切壁を示す正面図。
図2図1におけるA-A線に沿った断面図。
図3図1におけるB-B線に沿った断面図。
図4図1におけるC部の拡大図。
図5図2におけるD部の拡大図。
図6】同実施形態に係る間仕切壁を示す分解斜視図。
図7】同実施形態に係る間仕切壁を示す分解斜視図。
図8】同実施形態に係る止め金具を示す図。
図9】同実施形態に係るガラス押縁及び止め金具の取付手順を示す説明図。
図10】同実施形態に係るガラス押縁及び止め金具の取付手順を示す説明図。
図11】同実施形態に係るガラス押縁及び止め金具の取付手順を示す説明図。
図12】同実施形態に係るガラス押縁及び止め金具の取付手順を示す説明図。
図13】同実施形態に係るガラス押縁及び止め金具の取付手順を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を図1図13を参照して説明する。
【0020】
この実施形態における間仕切り壁Wは、例えば、図1図3に示すように、天井に止着された水平レールである天井レール1と、天井レール1の真下に位置させて床に止着された水平レールである床レール2との間に、建築壁面に沿って立設された対をなす端部支柱3と、これら端部支柱3間に所要の間隔を空けて立設された対をなす中間支柱4とを備えている。
【0021】
この実施形態の場合、対をなす中間支柱4の間の距離d2は、図1に示すように、単位幅寸法d1の2倍の寸法に設定されており、図3に示すように、これら中間支柱4の一方の面及び他方の面に、1単位幅寸法d1を有するガラス板7を幅方向に2枚隣接させた状態でそれぞれ添設させている。なお、図1では中間支柱4が後述する縦ガラス押さえHに被覆されているので、同図上では対をなす中間支柱4の間の距離d2は縦ガラス押さえH間の距離として示されている。また、端部支柱3と中間支柱4との間の空間も、不透明な面板Pにより塞がれているが、これらの面板Pは係止爪などにより端部支柱3及び中間支柱4に係止された通常のものであるため、説明を省略する。
【0022】
天井レール1は、図2に示すように、頂壁11の両側縁から側壁12をそれぞれ垂下させたチャンネル状のものであり、頂壁11が天井の下面にねじ止めされている。
【0023】
床レール2は、図2に示すように、底壁21の両側縁から側壁22をそれぞれ起立させたチャンネル状のものであり、底壁21が床の上面にねじ止めされている。
【0024】
中間支柱4は、図2及び図7に示すように、角柱パイプ状をなす支柱本体41と、支柱本体41の上端部を天井レール1に接続する上部ブラケット42と、支柱本体41の下端部を図示しないアジャスタを介して床レール2に支持させる図示しない下部ブラケットとを具備してなる。上部ブラケット42は、その下半部が支柱本体41に挿入され支柱本体41にねじ止めされているとともに、その上半部は支柱本体41から上方に突出した状態で天井レール1内に配されており、その上端が天井レール1及び天井にねじ止めされている。下部ブラケットは、その上半部が支柱本体41に挿入され支柱本体41にねじ止めされているとともに、その下半部は支柱本体41から下方に突出した状態で床レール2内に配されており、同じく床レール2内に配された図示しないアジャスタ台座との間に図示しないアジャスタが配されている。上部ブラケット42及び下部ブラケットは通常のものであるため、詳細な説明は省略する。
【0025】
天井レール1の下側には、図2に示すように横架枠5(以下、「上枠5A」と称する場合がある)が嵌合されてねじ止めされているとともに、床レール2の上側には、同図に示すように横架枠5(以下、「下枠5B」と称する場合がある)が嵌合されてネジ止めされている。横架枠5は、図2及び図5に示すように、扁平な溝形形状をなす水平壁51と、この水平壁51の両側から直交方向に延出する側壁52と、これら側壁52の外面52aから水平に延出する延出壁53とを一体に備えたものである。上枠5Aとなる横架枠5の両側壁52の内面52bは、天井レール1の両側壁12の外面12aに添接させてあり、下枠5Bとなる横架枠5の両側壁52の内面52bは、床レール2の両側壁22の外面22aに添接させてある。この実施形態における各横架枠5は、図6に示すように、ガラス板7の幅寸法(単位幅寸法)の2倍の長さを有するものである。また、側壁52の外面52aとガラス板7との間には、図5に示すように、例えばゴム等の弾性材により形成されたパッキン54を配している。延出壁53の延出端部は厚さ寸法を大きくしており、厚さ方向中央に水平溝53aを設けているとともに、基端部53cとの境界には隆起段部53bが設けられている。C1は、横架枠5を隠蔽する横架枠カバーである。
【0026】
その上で、本実施形態における間仕切り壁Wは、図2図4図7及び図9に示すように、横架枠5の側壁52の外面52aに縁部内面を添接させた2枚のガラス板7と、これらガラス板7の縁部外面に添接させたガラス押縁8とを具備してなり、係合部Kを介してガラス押縁8を横架枠5に係合させることによって、ガラス板7を横架枠5とガラス押縁8とによって挟持してなり、横架枠5の側壁52の先端縁部52cとガラス押縁8の先端縁部83とを並列に配置し、これら両先端縁部52c、83に止め金具9を先端側から外嵌させて、これら両先端縁部52c、83が相互に離隔するのを抑止している。
【0027】
詳述すれば、ガラス板7は、前述したように、また図1及び図6に示すように、それぞれ1単位幅寸法を有する矩形状のものであるとともに、これも前述したように上枠5Aとなる横架枠5及び下枠5Bとなる横架枠5にそれぞれ縁部内面を添接させている。2枚のガラス板7の間には、図3に示すようにコーキング材74を配している。なお、この実施形態の各ガラス板7は、表ガラス層71と裏ガラス層72との間に接着層73を介在させた、いわゆる合わせガラスである。
【0028】
ガラス押縁8は、図2及び図5に示すように、一端にガラス板7の縁部外面に添接するガラス押さえ部分811を有する鉛直板部81と、この鉛直板部81の他端から内方に延出する水平板部82と、この水平板部82の延出端から横架枠5の側壁52と平行に延伸する先端縁部83と、鉛直板部81から内方に向かって延伸し横架枠5に設けた水平溝53aに係合可能な水平突条84とを備えている。水平板部82は横架枠5の延出壁53に少なくとも一部が添接しており、その延出端に横架枠5の延出壁53の隆起段部53bに係合可能な係合爪85が設けられている。また、水平板部82の外面は、後述する止め金具9のストッパ94に当接可能な係止面82aとしている。
【0029】
係合部Kは、ガラス押縁8を横架枠5に止着するためのもので、図5に示すように、ガラス押縁8の先端縁部83と横架枠5の先端縁部52cとが接離する方向に係合する主係合要素K1と、主係合要素K1が係合し終える直前に部材の一時的変形を利用して係合しガラス押縁8の横架材5に対する係合状態を増強する副係合要素K2とを備えたものである。主係合要素K1は、横架枠5の延出壁53の延出端部に設けた水平溝53aと、ガラス押縁8に設けられた水平突条84とを嵌合させるようにしたものである。副係合要素K2は、係脱時の部材の一時的変形(この実施形態ではガラス押縁8の水平板部82が上動するような変形(図11を参照))を止め金具9により抑止し得る位置に設けられている。具体的には、この副係合要素K2は、横架枠5の延出壁53の中間部に設けた隆起段部53bと、ガラス押縁8に設けられた係合爪85とを係合させるようにしたものである。
【0030】
止め金具9は、図5及び図8に示すように、横架枠5の側壁52の先端縁部52cとガラス押縁8の先端縁部83とを挟持する一対の挟持片91、92と、これら挟持片91、92の基端同士を連結する接続片93とを備えたものであり、例えば、ばね鋼板により一体に形成されたものである。この止め金具は、本実施形態では左右に隣接する2枚のガラス板7の境界部Xの上端に取り付けられている。また、止め金具9は、一方の挟持片91の先端にガラス押縁8に形成された係止面82a(水平板部82の外面)に当接するストッパ94を備えたものであり、図5及び図13に示すように、ストッパ94が係止面82aに当接した状態で接続片93と両先端縁部52c、83との間に隙間Sが形成されるように構成されている。一対の挟持片91、92は、接続片93から遠ざかるにつれ、すなわち図5における下方に向かうにつれ、互いに接近している。そして、止め金具9は、一方の挟持片91に、隙間Sを外方に連通させる窓91aを備えている。
【0031】
中間支柱4のガラス板7側には、図3に示すように、縦枠6が嵌合されてねじ止めされている。この縦枠6は、細長い板状をなす起立壁61と、この起立壁61の前後両端近傍からそれぞれ直交方向かつガラス板7に向かう方向に延出する側壁62と、起立壁61の前後両端からそれぞれ直交方向かつガラス板7と反対側に向かう延出壁63とを一体に備えたものである。縦枠6の側壁62の外面とガラス板7との間には、例えばゴム等の弾性材により形成されたパッキン64を配している。縦枠6の延出壁63の内面は、中間支柱4の支柱本体41の側壁外面に添接させてある。また、ガラス板7の側縁部外面には縦ガラス押さえHを添接させており、縦ガラス押さえHの基端部H1を縦枠6の延出壁63の外面に設けた鉛直溝63aに係合させることによって、縦枠6と縦ガラス押さえHとによりガラス板を補助的に押さえている。C2は、縦枠6を隠蔽する縦枠カバーである。
【0032】
ここで、ガラス板7の取り付けは、図9を参照しつつ以下に述べるような手順で行うようにしている。
【0033】
まず、図9に示すように横架枠5の側壁52の外面52aに設けたパッキン54にガラス板7を添接させる。それから、図10及び図11に示すように、ガラス押縁8の水平板部82を弾性変形させつつ主係合要素K1を係合させる。すなわち、ガラス押縁8の水平突条84を横架枠5の延出壁53の水平溝53aに挿入する。その後、水平突条84の全体を水平溝53aに挿入し、水平板部82を弾性復帰させて副係合要素K2を係合させる。すなわち、係合爪85を横架枠5の延出壁53の隆起段部53bに弾性係合させた図12に示すような状態とする。その後、止め金具9の他方の挟持片92を天井レール1の側壁12と横架枠5(上枠5A)の側壁52との間に挿入し、止め金具9のストッパ94がガラス押縁8の係止面82aに衝き当たるまで差し込んで図13に示すような状態とする。
【0034】
ここで、図1は本実施形態の間仕切壁Wを示す正面図である。図2図1におけるA-A線に沿った断面図であり、図3図1におけるB-B線に沿った断面図である。図4図1におけるC部の拡大図であり、図5図2におけるD部の拡大図である。図6は同間仕切壁Wにおけるガラス板7及びガラス押縁8の取付態様を示す分解斜視図であり、一方の面側(図6における奥側)のガラス板7及びガラス押縁8は省略して示している。図7は同じく同間仕切壁Wにおけるガラス板7及びガラス押縁8の取付態様を示す分解斜視図であり、上部を拡大して示している。図8の(a)は止め金具9を示す斜視図、同図の(b)は止め金具9を示す平面図、同図の(c)は止め金具9を示す正面図、同図の(d)は止め金具9を示す右側面図、同図の(e)は止め金具9を示す背面図である。図9図13は、ガラス押縁8及び止め金具9の取付手順を示す説明図である。
【0035】
このような構成のものであれば、横架枠5の側壁52の先端縁部52cとガラス押縁8の先端縁部83とを並列に配置し、これら両先端縁部52c、83に止め金具9を先端側から外嵌させているので、ガラス板7に横架枠5から離れる方向の外力が作用しても、止め金具9の挟持力によって両先端縁部52c、83が相互に離隔するのを抑止することができる。すなわち、横架枠5の側壁52の先端縁部52c及びガラス押縁8の先端縁部83が相互に離隔することにより横架材5へのガラス押縁8の係合が外れ、ガラス板7が横架枠5から離脱するのを効果的に抑制することができる。
【0036】
しかも、この実施形態では、左右に隣接するガラス板7の境界部Xの上端に止め金具9を橋架しているので、共通の止め金具9によって、隣接する2枚のガラス板7の離脱を効果的に抑制することができる。特に、火災などによりガラス板7が膨張すると、ガラス板7の突合せ部分が押し合って外方に膨出する現象が生じ、その部分からガラス板7の離脱が始まる傾向があるが、本間仕切り壁Wにおいては、かかる現象の発生を有効に抑制することができる。
【0037】
また、本実施形態においては、横架枠5にガラス押縁7を係合部Kを介して止着するようにしているので、ガラス押縁7を横架枠5や天井レール1等に複数本のボルトを用いてねじ止めする場合に比べて部品点数を無理なく削減することができる。しかも、ねじ止め構造を採用する場合には、横架枠5の側壁52の先端縁部52cやガラス押縁8の先端縁部83が、ねじ孔を設ける関係で上下方向に長くなる傾向がある。そのため、ガラス板7の上縁と天井面との間の目地幅が大きくならざるを得ないが、本実施形態のものは、両先端縁部52c、83に止め金具9を被せるだけでよいため、かかる不具合の発生を抑制することができる。
【0038】
さらに、この実施形態の係合部Kは、横架枠5の側壁52の先端縁部52cとガラス押縁8の先端縁部83とが接離する方向に係合する主係合要素K1(水平溝53aと水平突条84)を備えているだけでなく、この主係合要素K1が係合し終える直前に部材の一時的変形を利用して係合してガラス押縁8の横架枠5に対する係合状態を増強する副係合要素K2(係合爪85と隆起段部53b)をも備えたものである。そのため、ガラス押縁8をねじ止めしなくても、ガラス押縁8の横架枠5に対する離脱を強力に抑制することができる。しかも、このような構成において、副係合要素K2を、係脱時の部材の一時的変形を前述した止め金具9により抑止し得る位置に設けておけば、その止め金具9に高い強度が要求されるのを防止することができ、小さな止め金具9により初期の目的を達成することが可能となる。すなわち、このような構成によれば、止め金具9は、主に副係合要素K2の離脱を防止するだけでよいため、止め金具9に大きな荷重が作用することがなく、小さな止め金具9でガラス押縁8の離脱を効果的に抑えることができる。
【0039】
具体的に説明すれば、この実施形態の場合は、図9図13までの過程を経てガラス押縁8がガラス板7を押圧する正規の位置に装着され、止め金具9により止着されるものである。すなわち、図9の初期状態から、ガラス押縁8をガラス板7に接近させてゆくと、ガラス押縁8に設けられた主係合要素K1の水平突条84が、図10に示すように、横架枠5の延出壁53に設けられた主係合要素K1の水平溝53aに嵌入することになる。そして、ガラス押縁8をさらにガラス板7方向に押し付けると、水平突条84がさらに水平溝53a内に侵入し、主係合要素K1が係合し終える直前に、ガラス押縁8の水平板部82の先端に設けられた係合爪85が、図11に示すように当該水平板部82(部材)の一時的変形を利用して隆起段部53bを乗り越え、図12に示すように水平板部82が初期状態に弾性復帰して係合爪85が隆起段部53bに係合することになる。この課程で、水平板部82の先端に一体化された先端縁部83が一時的に外方に傾動することになる。従って、水平板部82が初期状態に弾性復帰して副係合要素K2が係合状態になった後にその水平板部先端に一体化された先端縁部83と横架枠5の側壁52の先端縁部52cとに止め金具9を外嵌させて両先端縁部52c、83が離隔するのを抑止しておけば、前述した装着時の動作の逆の動きが阻止されて副係合要素K2が離脱するのを抑えることができる。
【0040】
加えて、止め金具9は、横架枠5の側壁52の先端縁部52cとガラス押縁8の先端縁部83とを挟持する一対の挟持片91、92と、これら挟持片91、92の基端同士を連結する接続片93とを備えたものであるので、このような止め金具9を容易に一体の部材として形成することができる。しかして、本実施形態の止め金具9は、ばね鋼板により一体に形成されたものとすれば、このような止め金具9を薄く小型のものとしつつ強度を確保することができる。
【0041】
さらに、止め金具9が、一方の挟持片91の先端にガラス押縁8に形成された係止面82aに当接するストッパ94を備えたものであり、ストッパ94が係止面82aに当接した状態で接続片93と横架枠5の側壁52及びガラス押縁8の先端縁部52c、83との間に隙間Sが形成されるように構成されているので、この隙間Sにマイナスドライバ等の工具を挿入することによりこの止め金具9の取り外しを容易に行うことができる。
【0042】
そして、止め金具9は、一方の挟持片91に、隙間Sを外方に連通させる窓91aを備えたものであるので、この窓91aを利用してマイナスドライバ等の工具を挿入することができるので、より離脱操作が容易なものとなる。
【0043】
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限らない。
【0044】
例えば、間仕切り壁の構成は、上述した実施形態のものに限られず、ガラス板の枚数が3枚以上のものであってもよい。また、ガラス板は、必ずしも横架材の両面に添接させる必要はなく、横架材の片面のみにガラス板を添接させる態様の間仕切り壁に本発明を適用してももちろんよい。
【0045】
上述した実施形態では、左右に隣接するガラス板の上縁のみに止め金具を装着しているが、ガラス板の下縁のみ、あるいは上縁及び下縁の双方に止め金具を装着するようにしてももちろんよい。
【0046】
係合部は主係合要素のみからなるものでもよいが、上述した実施形態のように副係合要素を備えたものであれば、止め金具に作用する荷重を大幅に削減することができ、上述したように小さな止め金具により本発明の目的を達することができる。また、主係合要素の構成も、種々のものを採用してよい。さらに、副係合要素を備えたものにおいて、副係合要素の構成も、種々のものを採用してよい。
【0047】
止め金具の形状、材質等の構成は、上述した実施形態に係るもの以外であっても、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々のものを採用してよい。但し、上述した実施形態のようにばね鋼板により一体に形成されたものであれば、上述したようにこのような止め金具を薄く小型のものとしつつ強度を確保することができる。また、上述した実施形態のように止め金具がガラス押縁に形成された係止面に係止されるストッパを有し、ストッパを係止面に係止させた状態で止め金具と横架枠の側壁及びガラス押縁の両先端縁部との間に隙間が形成されるように構成されているものであれば、上述したようにこのような止め金具の取り外し作業を容易に行うことができる。
【0048】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変更してよい。
【符号の説明】
【0049】
W…間仕切り壁
1…水平レール(天井レール)
2…水平レール(床レール)
5…横架枠
52…(横架枠の)側壁
52c…(横架枠の側壁の)先端縁部
7…ガラス板
8…ガラス押縁
82a…係止面
83…(ガラス押縁の)先端縁部
9…止め金具
91、92…挟持片
91a…窓
93…接続片
94…ストッパ
K…係合部
K1…主係合要素
K2…副係合要素
S…隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13