(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023082012
(43)【公開日】2023-06-13
(54)【発明の名称】害虫駆除用エアゾール製品
(51)【国際特許分類】
A01N 51/00 20060101AFI20230606BHJP
A01N 25/06 20060101ALI20230606BHJP
A01P 7/04 20060101ALI20230606BHJP
A01M 7/00 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
A01N51/00
A01N25/06
A01P7/04
A01M7/00 S
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039249
(22)【出願日】2023-03-14
(62)【分割の表示】P 2018069554の分割
【原出願日】2018-03-30
(31)【優先権主張番号】P 2017070459
(32)【優先日】2017-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】390000527
【氏名又は名称】住化エンバイロメンタルサイエンス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】雨田 朋子
(57)【要約】 (修正有)
【課題】取り扱いやすく、かつ殺虫効力にも優れたクロチアニジン含有油性エアゾール剤を提供する。
【解決手段】(a)クロチアニジン、(b)ポリエチレングリコール、(c)パラフィン系溶剤および噴射剤を含有する害虫駆除用エアゾール製品であって、前記噴射剤が(d)ジメチルエーテルのみからなる害虫駆除用エアゾール製品により取り扱いやすく、かつ殺虫効力にも優れたクロチアニジン含有油性エアゾール剤を提供することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)クロチアニジン、(b)ポリエチレングリコール、(c)パラフィン系溶剤および噴射剤を含有する害虫駆除用エアゾール製品であって、前記噴射剤が(d)ジメチルエーテルのみからなる害虫駆除用エアゾール製品。
【請求項2】
(a)クロチアニジンの(b)ポリエチレングリコールに対する質量比[(a)/(b)]が、1/39~1/147であることを特徴とする請求項1に記載の害虫駆除用エアゾール製品。
【請求項3】
水酸基価から求めた数平均分子量が200~400であるポリエチレングリコールを含有する請求項1または2に記載の害虫駆除用エアゾール製品。
【請求項4】
駆除害虫となる害虫が、シロアリ類、キクイムシ類およびチャバネゴキブリの少なくとも1種である請求項1~3に記載の害虫駆除用エアゾール製品。
【請求項5】
請求項1~3に記載の害虫駆除用エアゾール製品を用いて害虫を駆除する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は害虫駆除用エアゾール製品に関する。
【背景技術】
【0002】
ネオニコチノイド系殺虫成分の一種として(E)-1-(2-クロロ-1,3-チアゾール-5-イルメチル)-3-メチル-2-ニトログアニジン(一般名:クロチアニジン)が知られている。そして、クロチアニジンを有効成分として含有する各種の製剤が開示されている(特許文献1~6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-159397号公報
【特許文献2】特開2014-51462号公報
【特許文献3】特開2013-173721号公報
【特許文献4】特開2011-201780号公報
【特許文献5】特開2010-209001号公報
【特許文献6】特開2016-98213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
家庭において害虫を駆除する際、ベイト剤などの種々の方法があるが、虫体に直接薬剤を処理する方法が効果的である。特にエアゾールやハンドスプレーであれば家庭においても簡便に使用できるが、特許文献1に開示されるクロチアニジンを有効成分とした炭酸ガス製剤は、その剤型が高圧ガスボンベであるため容量も多く、家庭において日常的に使用することは難しい。また、特許文献5、6に開示されるクロチアニジンを有効成分としたエアゾールやハンドスプレー型の水性製剤は、その殺虫効果が必ずしも十分とは言えない。そこで本発明は、クロチアニジンを有効成分とした、家庭で使用でき、かつ殺虫効果にも優れた害虫駆除用エアゾール製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、鋭意検討した結果、以下の構成が上記目的を達成するために優れた効果を奏することを見出したものである。
【0006】
即ち、本発明は
〔1〕(a)クロチアニジン、(b)ポリエチレングリコール、(c)パラフィン系溶剤および噴射剤を含有する害虫駆除用エアゾール製品であって、前記噴射剤が(d)ジメチルエーテルのみからなる害虫駆除用エアゾール製品。
〔2〕(a)クロチアニジンの(b)ポリエチレングリコールに対する質量比[(a)/(b)]が、1/39~1/147であることを特徴とする上記の害虫駆除用エアゾール製品。
〔3〕水酸基価から求めた数平均分子量が200~400であるポリエチレングリコールを含有する上記の害虫駆除用エアゾール製品。
〔4〕駆除害虫となる害虫が、シロアリ類、キクイムシ類およびチャバネゴキブリの少なくとも1種である上記の害虫駆除用エアゾール製品。
〔5〕上記の害虫駆除用エアゾール製品を用いて害虫を駆除する方法。
を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、十分な殺虫効果を有したクロチアニジン含有のエアゾール剤を得ることができ、その実用性は極めて高いものである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のエアゾール剤は(a)クロチアニジン、(b)ポリエチレングリコール、(c)パラフィン系溶剤を含有するエアゾール原液と、更に噴射剤が(d)ジメチルエーテルである。
【0009】
また上記記載の構成において、(a)クロチアニジンの(b)ポリエチレングリコールに対する質量比[(a)/(b)]が1/39~1/147であることが好ましい。[(a)/(b)]の比がこの範囲の場合、より即効性に優れたエアゾール剤が得られる。
【0010】
クロチアニジンの配合量は使用目的や使用法用等を考慮して適宜決定すればよいが、エアゾール剤全体量に対して0.01~0.70w/w%、より好ましくは0.01~0.30w/w%が適当である。配合量が0.01w/w%未満では目的とする効果が得られず、一方で0.70w/w%以上を配合してもその効果に差が見られない。またポリエチレングリコールの配合量はエアゾール剤全体量に対して1.0~27.0w/w%が適当である。
【0011】
ポリエチレングリコールは、水酸基価から求められる数平均分子量が200~400であるポリエチレングリコールが使用することができる。例えば、ポリエチレングリコールの市販品としては、三洋化成工業株式会社製の商品名「PEG-200」」、「PEG-300」および「PEG-400」が挙げられる。
【0012】
なお、水酸基価は以下に示す水酸基価測定法で求められる。以下の方法を用いて求めたポリエチレングリコールの水酸基価は、例えば、数平均分子量200では534~590、数平均分子量300では356~393、数平均分子量400では268~294となる。
(水酸基価測定法)
(1)試料約1gをすり合わせ付き三角フラスコに精密に秤量し、無水酢酸・ピリジン混合試薬5mlをホールピペットにて加える。
(2)95℃~100℃の油浴に上記の三角フラスコを浸し、すり合わせ付き玉入冷却器をつけ1時間反応する。
(3)冷後、冷却器の上部から水1mlを加え、よく攪拌し、さらに10分間油浴上で加熱する。
(4)油浴から取り出し、さらに10分間放置する。
(5)0.5%フェノールフタレインを指示薬として、0.5mol/L水酸化カリウム標準溶液で滴定する。
(6)同様の方法で空試験を行い、下記の計算式に従って水酸基価を求める。
水酸基価={(a-b)×28.05×f}/d+C
a:空試験に要した0.5mol/L水酸化カリウム標準溶液のml数
b:本試験に要した0.5mol/L水酸化カリウム標準溶液のml数
c:酸価
d:試料採取量(g)
f: 0.5mol/L水酸化カリウム標準溶液の力価
【0013】
パラフィン系溶剤としては、イソパラフィン系溶剤又はノルマルパラフィン系溶剤が挙げられる。イソパラフィン系溶剤としては例えば、出光興産製のIPソルベント2028やIPソルベント1620等が挙げられる。一方、ノルマルパラフィン系溶剤としては例えば、中央化成製のネオチオゾール等が挙げられる。
【0014】
本発明のエアゾール原液には、本発明の効果を損なわない範囲で、木材防腐防カビ剤、ポリエチレングリコール以外の補助成分、各種溶剤を含有させても良い。
【0015】
木材防腐防カビ剤の例としては、3-ヨード-2-プロピニル-N-ブチルカーバメート、p-クロロフェニル-3-ヨード-2-プロピニルホルマール、3-ブロモ-2,3-ジヨード-2-プロペニルエチルカルボネート、ヘキサコナゾール、シプロコナゾール、プロピコナゾール、テブコナゾール、イプコナゾール、アザコナゾール、エポキシコナゾール、メトコナゾール、テトラコナゾール、ペンコナゾール、トリアジメフォン、ビテルタノール、ミクロブタニル、ジニコナゾール、ジフェノコナゾール、イミベンコナゾール、トリアジメノール等を用いることができる。
【0016】
また本発明のエアゾール原液には、クロチアニジン以外の殺虫成分を適宜含有させてもよい。クロチアニジン以外の殺虫成分の例としては、クロチアニジン以外のネオニコチノイド系化合物、ピレスロイド系化合物、有機リン系化合物、カーバメート系化合物、IGR剤等が挙げられる。
【0017】
クロチアニジン以外のネオニコチノイド系化合物の例としては、イミダクロプリド、チアメトキサム、ニテンピラム、アセタミプリド、チアクロプリド、ジノテフランなどが挙げられる。
【0018】
ピレスロイド系化合物の例としては、アクリナトリン、アレスリン、ベータ-シフルトリン、ビフェントリン、シクロプロトリン、シフルトリン、シハロトリン、シペルメトリン、エンペントリン、デルタメトリン、エスフェンバレレート、エトフェンプロックス、フェンプロパトリン、フェンバレレート、フルシトリネート、フルフェンプロックス、フルメトリン、フルバリネート、ハルフェンプロックス、イミプロトリン、ペルメトリン、プラレトリン、ピレトリン、レスメトリン、シグマ-サイパーメトリン、シラフルオフェン、テフルトリン、トラロメトリン、トランスフルトリン、テトラメトリン、d-テトラメトリン、モンフルオロトリン、シフェノトリン、アルファシペルメトリン、ゼータシペルメトリン、ラムダシハロトリン、ガンマシハロトリン、フラメトリン、タウフルバリネート、メトフルトリン、メパフルトリン、ジメフルトリン、2,3,5,6-テトラフルオロ-4-(メトキシメチル)ベンジル=2,2-ジメチル-3-[(1Z)-3,3,3-トリフルオロ-1-プロペニル]シクロプロパンカルボキシレート)、2,3,5,6-テトラフルオロ-4-(メトキシメチル)ベンジル=2,2,3,3-テトラメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6-テトラフルオロ-4-(2-プロピニル)ベンジル=2,2,3,3-テトラメチルシクロプロパンカルボキシレート等が挙げられる。
【0019】
有機リン系化合物の例としては、アセフェート、リン化アルミニウム、ブタチオホス、キャドサホス、クロルエトキシホス、クロルフェンビンホス、クロルピリホス、クロルピリホスメチル、シアノホス(CYAP)、ダイアジノン、DCIP(dichlorodiisopropyl ether)、ジクロフェンチオン(ECP)、ジクロルボス(DDVP)、ジメトエート、ジメチルビンホス、ジスルホトン、EPN、エチオン、エトプロホス、エトリムホス、フェンチオン(MPP)、フエニトロチオン(MEP)、ホスチアゼート、ホルモチオン、リン化水素、イソフェンホス、イソキサチオン、マラチオン、メスルフェンホス、メチダチオン(DMTP)、モノクロトホス、ナレッド(BRP)、オキシデプロホス(ESP)、パラチオン、ホサロン、ホスメット(PMP)、ピリミホスメチル、ピリダフェンチオン、キナルホス、フェントエート(PAP)、プロフェノホス、プロパホス、プロチオホス、ピラクロホス、サリチオン、スルプロホス、テブピリムホス、テメホス、テトラクロルビンホス、テルブホス、チオメトン、トリクロルホン(DEP)、バミドチオン、フォレート、及びカズサホスなどが挙げられる。
【0020】
カーバメート系化合物の例としては、アラニカルブ、ベンダイオカルブ、ベンフラカルブ、BPMC、カルバリル、カルボフラン、カルボスルファン、クロエトカルブ、エチオフェンカルブ、フェノブカルブ、フェノチオカルブ、フェノキシカルブ、フラチオカルブ、イソプロカルブ(MIPC)、メトルカルブ、メソミル、メチオカルブ、NAC、オキサミル、ピリミカーブ、プロポキスル(PHC)、XMC、チオジカルブ、キシリルカルブ、及びアルジカルブなどが挙げられる。
【0021】
IGR剤の例としては、ピリプロキシフェン、メトプレン、及びジフルベンズロンなどが挙げられる。
【0022】
これらの殺虫成分は、一種、又は二種以上を組み合わせて使用できる。また、上記化合物の中には、光学異性体、立体異性体、又は幾何異性体等が存在するものもあるが、本発明で用いる殺虫成分には、活性な異性体及びその混合物が含まれる。
【0023】
本発明のエアゾール剤をエアゾール容器に充填する際に用いる噴射剤は、ジメチルエーテル(DME)である。またジメチルエーテルの配合量については、エアゾール剤におけるエアゾール原液と噴射剤の体積比が50:50~10:90、より好ましくは40:60~20:80である。
【0024】
また、本発明のエアゾール剤をエアゾール容器に充填してエアゾール製品とすることができる。充填するエアゾール容器としては特に限定はなく、例えば、耐圧容器、エアゾールバルブ、アクチュエーター等を備えた公知のエアゾール容器を用いることができる。
【0025】
本発明のエアゾール剤を充填したエアゾール製品を用いて、害虫に直接、又は害虫の生息場所に噴霧して害虫を駆除することができる。
【0026】
本発明の駆除対象となる害虫としては、例えば以下のものが挙げられる。
鱗翅目害虫:ノシメマダラメイガ(Plodia interpunctella)等のメイガ類、イガ(Tinea translucens)、コイガ(Tineola bisselliella)等のヒロズコガ類等
双翅目害虫:アカイエカ(Culex pipiens pallens)、コガタアカイエカ(Culex tritaeniorhynchus)、ネッタイイエカ(Culex quinquefasciatus)等のイエカ類、ネッタイシマカ(Aedes aegypti)、ヒトスジシマカ(Aedes albopictus)等のエーデス属、シナハマダラカ(Anopheles sinensis)等のアノフェレス属、ユスリカ類、イエバエ(Musca domestica)、オオイエバエ(Muscina stabulans)等のイエバエ類、クロバエ類、ニクバエ類、ヒメイエバエ類、タネバエ(Delia platura)、タマネギバエ(Delia antiqua)等のハナバエ類、ショウジョウバエ類、オオキモンノミバエ(Megaselia spiracularis)等のノミバエ類、オオチョウバエ(Clogmia albipunctata)等のチョウバエ類、クロバネキノコバエ類、ブユ類、ヌカカ類等。
網翅目害虫:チャバネゴキブリ(Blattella germanica)、クロゴキブリ(Periplaneta fuliginosa)、ワモンゴキブリ(Periplaneta americana)、トビイロゴキブリ(Periplaneta brunnea)、トウヨウゴキブリ(Blatta orientalis)等。
膜翅目害虫:イエヒメアリ(Monomorium pharaosis)、クロヤマアリ(Formica fusca japonica)、ルリアリ(Ochetellus glaber)、アミメアリ(Pristomyrmex pungens)、オオズアリ(Pheidole noda)、ハキリアリ(Acromyrmex spp.)、ファイヤーアント(Solenopsis spp.)、アルゼンチンアリ(Linepithema humile)等のアリ類、スズメバチ類、アリガタバチ類等。
隠翅目害虫:ネコノミ(Ctenocephalides felis),イヌノミ(Ctenocephalides canis),ヒトノミ(Pulex irritans),ケオプスネズミノミ(Xenopsylla cheopis)等。
シラミ目害虫:コロモジラミ(Pediculus humanus corporis),アタマジラミ(Pediculus humanus humanus)、ケジラミ(Phthirus pubis),ウシジラミ(Haematopinus eurysternus),ヒツジジラミ(Dalmalinia ovis),ブタジラミ(Haematopinus suis)、イヌジラミ(Linognathus setosus)等。
等翅目害虫:ヤマトシロアリ(Reticulitermes speratus),イエシロアリ(Coptotermes formosanus)、アメリカカンザイシロアリ(Incisitermes マイナー)、ダイコクシロアリ(Cryptotermes domesticus)、タイワンシロアリ(Odontotermes formosanus)、コウシュンシロアリ(Neotermes koshunensis)、サツマシロアリ(Glyptotermes satsumensis)、ナカジマシロアリ(Glyptotermes nakajimai)、カタンシロアリ(Glyptotermes fuscus)、コダマシロアリ(Glyptotermes kodamai)、クシモトシロアリ(Glyptotermes kushimensis)、オオシロアリ(Hodotermopsis japonica)、コウシュウイエシロアリ(Coptotermes guangzhoensis)、アマミシロアリ(Reticulitermes miyatakei)、キアシシロアリ(Reticulitermes flaviceps amamianus)、カンモンシロアリ(Reticulitermes SP.)、タカサゴシロアリ(Nasutitermes takasagoensis)、ニトベシロアリ(Pericapriterme nitobei)、ムシャシロアリ(Sinocapritermes mushae)トウ
半翅目害虫:ヒメトビウンカ(Laodelphax striatellus)、トビイロウンカ(Nilaparvata lugens)、セジロウンカ(Sogatella furcifera)等のウンカ類、ツマグロヨコバイ(Nephotettix cincticeps)、タイワンツマグロヨコバイ(Nephotettix virescens)等のヨコバイ類、トコジラミ(Cimex lectularius)、タイワントコジラミ(Cimex hemipterus)等のトコジラミ類、キジラミ類等
鞘翅目害虫:ヒメマルカツオブシムシ(Anthrenus verbasci)、ハラジロカツオブシムシ(Dermestes maculates)等のカツオブシムシ類、タバコシバンムシ(Lasioderma serricorne)等のシバンムシ類、ヒラタキクイムシ(Lyctus brunneus)、マツノキクイムシ(Tomicus piniperda)等のキクイムシ類、ナガシンクイムシ類、ヒョウホンムシ類等
ダニ目害虫:ケナガコナダニ(Tyrophagus putrescentiae)等のコナダニ類、コナヒョウヒダニ(Dermatophagoides farinae)、ヤケヒョウヒダニ(Dermatophagoides ptrenyssnus)等のヒョウヒダニ類、ホソツメダニ(Cheyletus eruditus)、クワガタツメダニ(Cheyletus malaccensis)、ミナミツメダニ(Cheyletus moorei)、イヌツメダニ(Cheyletiella yasguri)等のツメダニ類、アオツツガムシ(Leptotrombidium akamushi)等のツツガムシ類、フタトゲチマダニ(Haemaphysalis longicornis)、等のマダニ類
ワラジムシ類:ワラジムシ(Porcellio scaber)、ホソワラジムシ(Porcellionides pruinosus)、オカダンゴムシ(Armadillidium vulgare)等
ムカデ類:トビズムカデ(Scolopendra subspinipes mutilans)、アオズムカデ(Scolopendra subspinipes japonica)、アカズムカデ(Scolopendra subspinipes multidens)、ゲジ(Thereuopoda hilgendorfi)等
ヤスデ類:ヤケヤスデ(Oxidus gracilis)、オビババヤスデ(Parafontaria laminata laminata)等
クモ類:カバキコマチグモ(Chiracanthium japonicum)、セアカゴケグモ(Latrodectus hasseltii)等
本発明の油性エアゾール剤は上記の害虫に対して殺虫効果を示すが、好ましくはヤマトシロアリ、イエシロアリ等のシロアリ類、キクイムシ類、およびチャバネゴキブリに使用される。
【実施例0027】
以下、本発明を実施例および試験例により詳しく説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0028】
1.エアゾール剤の製造
表1に示す配合割合からなる17種のエアゾール剤(製剤例1~14、比較例1~3)を作製した。
【表1】
【0029】
さらに下記部材を用いて、各エアゾール剤100mLを充填したエアゾール製品を作製した。
・エアゾール用耐圧缶 AE180YNG(北海製罐製)
・バルブ:ステム孔径Φ1・0×0.5×3、ハウジング孔径Φ2.0mm(三谷バルブ製)
・噴射ボタン:噴射孔径Φ0.8mm(三谷バルブ製)
【0030】
以下のエアゾール製造例も示す。
製剤例15
PEG-300(三洋化成工業製)3.397w/w%を缶に入れ、クロチアニジン(住友化学製)0.011w/w%とモンフルオロトリン(スミフリーズ:住友化学製)0.010w/w%を加え、これにIPソルベント2028(出光興産製)41.10w/w%を加えてバルブを装着した後、ジメチルエーテル(小池化学製)55.43w/w%を充填し、噴射ボタンを装着してエアゾール製品を得る。
【0031】
製剤例16
PEG-300(三洋化成工業製)10.042w/w%を缶に入れクロチアニジン(住友化学製)0.003w/w%とモンフルオロトリン(スミフリーズ:住友化学製)0.101w/w%を加え、これにIPソルベント2028(出光興産製)14.55w/w%を加えてバルブを装着した後、ジメチルエーテル(小池化学製)74.76w/w%を充填し、噴射ボタンを装着してエアゾール製品を得る。
【0032】
製剤例17
PEG-300(三洋化成工業製)3.447w/w%を缶に入れ、クロチアニジン(住友化学製)0.035w/w%とモンフルオロトリン(スミフリーズ:住友化学製)0.0026w/w%を加え、これにノルマルパラフィン系溶剤(ネオチオゾール:中央化成製)40.13w/w%を加えてバルブを装着した後、ジメチルエーテル(小池化学製)56.26w/w%を充填し、噴射ボタンを装着してエアゾール製品を得る。
【0033】
製剤例18
PEG-300(三洋化成工業製)3.447w/w%を缶に入れ、クロチアニジン(住友化学製)0.035w/w%とモンフルオロトリン(出光興産製)0.0026w/w%を加え、これにIPソルベント1620(ネオチオゾール:中央化成製)40.13w/w%を加えてバルブを装着した後、ジメチルエーテル(小池化学製)56.26w/w%を充填し、噴射ボタンを装着してエアゾール製品を得る。
【0034】
2.チャバネゴキブリに対する残渣接触試験(試験例1)
製剤例1~14および比較例1~3をガラス板(15cm×15cm)に30cmの距離からガラス板表面に4gが処理されるように噴霧した後、室温で1週間風乾して試験検体とした。試験検体に円筒形の直径12cmのプラスチック製リングを設置し、リング内にチャバネゴキブリ雌雄10頭をいれて経時的にノックダウン(KD)虫数を調査し、プロビット法によりKT50を記録した。試験は3回行い、平均値を採用した。
【0035】
【0036】
試験の結果、有効成分(a)クロチアニジン、(b)ポリエチレングリコール、(c)パラフィン系溶剤を含有するエアゾール原液に、噴射剤として(d)ジメチルエーテルを充填したエアゾール剤は、チャバネゴキブリに対して優れたノックダウン効果を示した。
【0037】
3.シロアリに対する効力試験(試験例2)
製剤例のうち製剤例3、製剤例8および製剤例13と比較例4(シロアリ駆除用エアゾール剤の他社品1)、比較例5シロアリ駆除用エアゾール剤の他社品2)、および比較例6(シロアリ駆除用エアゾール剤の他社品3)を用いて、シロアリに対する効力試験を行なった。
【0038】
比較例4~6については有効成分の定性分析および定量分析を行った。その結果、比較例3は主な溶剤がアルコール類であり、トラロメトリンを0.227w/w%、エンペントリンを0.114w/w%、およびシプロコナゾールを0.114w/w%含有していることを確認した。比較例4は主な溶剤がケロシンであり、エトフェンプロックスを0.97w/w%含有していることを確認した。また、比較例5は主な溶剤がケロシンであり、エトフェンプロックスを0.199w/w%含有していることを確認した。
【0039】
シロアリに対する効力試験の試験方法
製剤例4と比較例3~5を、1cm×1cm×2cmの大きさのスギ木片に噴霧し、40℃で24時間風乾させたものを試験検体とした。プラスチックカップに石膏を入れて固めた飼育容器の中に、試験検体と、試験検体と同じ大きさのスギ木片を互いに接触しないように設置した。飼育容器に供試虫としてイエシロアリ職蟻150頭と兵蟻15頭を放し、経時的に観察を行って、行動停止、ノックダウン(KD)、死亡虫数を調査した。試験は3回行い、平均値を採用した。
【0040】
結果を表3に示す。製剤例3および製剤例8のエアゾール剤では、7日後に全頭が死亡していることが確認された。すなはち、比較例4~6のエアゾール剤と比較して試験1日後の効力も高く、かつ全頭が死亡するまでの時間も短かった。以上より製剤例3および製剤例8のエアゾール剤は、比較例4~6のエアゾール剤と比較して、シロアリに対して高い効力を示し、殺虫効力の高いエアゾール製品として家庭で使用することができる。
【表3】
(a)クロチアニジンの(b)ポリエチレングリコールに対する質量比[(a)/(b)]が、1/39~1/147であることを特徴とする請求項1に記載の害虫駆除用エアゾール製品。