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特開2023-82027バイオフィルムの堆積および産生を阻害するための組成物および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023082027
(43)【公開日】2023-06-13
(54)【発明の名称】バイオフィルムの堆積および産生を阻害するための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/06 20060101AFI20230606BHJP
   A61K 38/08 20190101ALI20230606BHJP
   A61K 38/10 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 38/16 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 38/47 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 36/81 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 36/28 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 47/55 20170101ALI20230606BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 31/155 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 33/16 20060101ALI20230606BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20230606BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 9/68 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20230606BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20230606BHJP
   A61P 13/02 20060101ALI20230606BHJP
   A61P 27/16 20060101ALI20230606BHJP
   A61P 13/08 20060101ALI20230606BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20230606BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 8/9789 20170101ALI20230606BHJP
   A61K 8/64 20060101ALI20230606BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20230606BHJP
   A61L 31/16 20060101ALI20230606BHJP
   C12N 9/34 20060101ALI20230606BHJP
   C12N 9/16 20060101ALI20230606BHJP
   C12N 9/24 20060101ALI20230606BHJP
   C12N 9/46 20060101ALI20230606BHJP
   C12N 9/14 20060101ALI20230606BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20230606BHJP
   C07K 14/00 20060101ALI20230606BHJP
   C12N 15/55 20060101ALI20230606BHJP
   C12N 15/56 20060101ALI20230606BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20230606BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20230606BHJP
   C07K 7/06 20060101ALI20230606BHJP
   C07K 7/08 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
A61K45/06 ZNA
A61K38/08
A61K38/10
A61K38/16
A61K38/47
A61K36/81
A61K36/28
A61K47/55
A61K45/00
A61K31/155
A61K33/16
A61P31/04
A61P43/00 121
A61K9/68
A61K9/08
A61P1/02
A61P13/02 105
A61P27/16
A61P13/08
A61P9/00
A61P17/00 101
A61K8/9789
A61K8/64
A61Q11/00
A61L31/16
C12N9/34
C12N9/16 Z
C12N9/24
C12N9/46
C12N9/14
C07K19/00
C07K14/00
C12N15/55
C12N15/56
C12N15/62 Z
C12P21/02 C
C07K7/06
C07K7/08
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023042675
(22)【出願日】2023-03-17
(62)【分割の表示】P 2018559706の分割
【原出願日】2017-05-12
(31)【優先権主張番号】62/335,650
(32)【優先日】2016-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500429103
【氏名又は名称】ザ トラスティーズ オブ ザ ユニバーシティ オブ ペンシルバニア
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】弁理士法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン ク
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ヘンリー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】バイオフィルムの堆積および産生を阻害するための組成物および方法を提供する。
【解決手段】バイオフィルムを分解するおよび/または除去する方法であって、バイオフィルムと、好ましくは融合タンパク質の形態での抗微生物ペプチドとバイオフィルム酵素との組み合わせの有効な量を含む組成物とを接触させることを含む方法である。このバイオフィルムは生物表面上にまたは無生物表面上に存在し得、医学的および非医学的の両方の用途および方法が提供される。一態様では、本発明は、対象(特に口腔)中でのバイオフィルム感染の処置または予防での使用のための組成物を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相乗的に作用してバイオフィルム構造体を分解し且つバイオフィルムの堆積を阻害する少なくとも1種の抗微生物ペプチド(AMP)および少なくとも1種のバイオフィルム分解酵素を含む多成分組成物であって、前記組成物の送達のために生物学的に許容される担体を含む組成物。
【請求項2】
前記AMPは、プロテグリン1、RC-101、および表1中に列挙されたAMPから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記バイオフィルム分解酵素は、ムタナーゼ、デキストラナーゼ、グルコアミラーゼ、グルカナーゼ、デオキシリボヌクレアーゼI、DNAアーゼ、ディスペルジンB、グリコシドヒドロラーゼ、および表2中に列挙された酵素から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記AMPおよび前記バイオフィルム分解酵素は組換えにより産生され且つ融合タンパク質を形成する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物は、ムタナーゼおよびデキストラナーゼを含む2種のバイオフィルム分解酵素を含み、前記AMPはPG-1である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物中での前記デキストラナーゼ対ムタナーゼの比は5:1である、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
グルコアミラーゼをさらに含む請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
抗微生物剤/抗生物質をさらに含む請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
フッ化物および、またはCHXをさらに含む請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記担体はチューインガムである、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記担体は口腔リンスである、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記担体は生物学的に適合する緩衝液である、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
請求項1、5または6に記載の組成物を含むチューインガム。
【請求項14】
請求項1、5または6に記載の組成物を含む口腔リンス。
【請求項15】
Listerineを含む請求項11に記載の口腔リンス。
【請求項16】
バイオフィルムを分解するおよび/または除去する方法であって、前記バイオフィルムを含む表面と、請求項1に記載の多成分組成物とを接触させることを含み、前記組成物は殺菌効果を有し、1種または複数種の望ましくない微生物を含む前記バイオフィルムを相乗的に低減する、または除去する、前記バイオフィルムは、前記低減または除去を必要とする動物対象中にまたは前記動物対象上に存在する場合の、方法。
【請求項17】
バイオフィルムを分解するおよび/または除去する方法であって、前記バイオフィルムを含む表面と、請求項5に記載の多成分組成物とを接触させることを含み、前記組成物は殺菌効果を有し、1種または複数種の望ましくない微生物を含む前記バイオフィルムを相乗的に低減する、または除去する、前記バイオフィルムは、前記低減または除去を必要とする動物対象中にまたは前記動物対象上に存在する場合の、方法。
【請求項18】
バイオフィルムを分解するおよび/または除去する方法であって、前記バイオフィルムを含む表面と、請求項6に記載の多成分組成物とを接触させることを含み、前記組成物は殺菌効果を有し、1種または複数種の望ましくない微生物を含む前記バイオフィルムを相乗的に低減する、または除去し、前記バイオフィルムは、前記低減または除去を必要とする動物対象中にまたは前記動物対象上に存在する場合の、方法。
【請求項19】
前記バイオフィルムは口腔中に存在する、請求項16、17または18に記載の方法。
【請求項18】
前記バイオフィルムは移植された医療機器上に存在する、請求項16、17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記バイオフィルムは、尿路中の表面、中耳、前立腺、血管内膜、心臓弁、皮膚、頭皮、爪、歯および創傷内部からなる群から選択される身体の内表面または外表面に存在する、請求項16、17または18に記載の方法。
【請求項21】
前記AMPおよび前記酵素は植物色素体中で産生されており、前記組成物は植物残余物をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
前記植物はタバコまたはレタス植物である、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記少なくとも1種のAMPおよび前記少なくとも1種の酵素は融合タンパク質としてレタス植物中で発現されている、請求項21に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2016年5月12日に出願された米国仮出願第62/335,650号明細書(この開示全体が、まるで完全に記載されているかのように参照により本明細書に組み込まれる)に対する優先権を主張する。
【0002】
本発明は、National Institutes of Healthから付与された助成金番号R01 HL107904およびR01 HL109442の下で政府の支援によりなされた。政府は本発明において一定の権利を有する。
【0003】
本発明は、バイオフィルムの堆積および疾患の処置の分野に関する。より具体的には、本発明は、う蝕および他の口腔疾患の処置に有用な組成物および方法を提供する。本発明はまた、生物医学機器をコーティングする方法であって、この生物医学機器上での望ましくないバイオフィルムの堆積を阻害するためにコーティングする方法も提供する。
【背景技術】
【0004】
本発明が関連する技術水準を説明するために、本明細書全体にわたりいくつかの刊行物および特許文献が引用されている。これらの引用のそれぞれは、完全に記載されているのと同様に参照により本明細書に組み込まれる。
【0005】
現在のシステムで製造された生物製剤は法外に高価であり、世界人口の大多数にとっては手頃な価格ではない。タンパク質薬剤のコスト(2013年では1400億ドル)は世界中の国々の75%超のGDPを超えており[Walsh 2014]、これらの国々は手が届かない。世界人口の3分の1は1日当たり2ドル未満の稼ぎであり、いかなるタンパク質薬剤も買うことができない(例えば、米国の恵まれない集団、高齢者の集団および下層の社会経済的集団)。そのような高コストは、法外に高価な発酵槽中でのタンパク質産生、精製、低温での輸送/貯蔵、短い貯蔵寿命および滅菌送達方法と関連する[Daniell et al 2015,2016]。
【0006】
バイオフィルムは、医療機器の表面上に存在する菌体外多糖マトリックスに付着する微生物細胞の複雑な集団により形成される。医療機器の移植と関連するバイオフィルム関連感染は深刻な問題を引き起こし、この機器の機能に悪影響を及ぼす。口腔外科および整形外科で使用される医療用インプラントは、ステンレス鋼およびチタン等の合金を使用して製造されている。細菌付着は周囲組織の損傷と関連し、医療用インプラントの機能不全をもたらすことが多いため、表面特性の改善、バイオインテグレーションの促進、および細菌付着の阻害をするために、様々な物理的技術および化学的技術による医療用インプラントの表面処理が試みられている。
【0007】
ヒトの多くの感染性疾患はバイオフィルム(例えば口腔中で生じるもの)により引き起こされる[Hall-Stoodley et al.,2004;Marsh,et al 2011]。例えば、う蝕(またはう歯)は、唯一の最も蔓延しているバイオフィルム関連口腔疾患であり続け、米国および世界の恵まれない子供および成人を主に悩ませており、毎年810億ドル超の支出をもたらす[Beiker and Flemmig,2011;Dye et al.,2015;Kassebaum et al,2015]。細菌が歯の表面上に蓄積すると、う蝕を引き起こす(う蝕原性)バイオフィルムが発生し、細菌細胞の組織的集団が形成され、この集団は最終的に粘着性であり、菌体外多糖(EPS)等の高分子物質で構成された細胞外マトリックス中で絡まる[Bowen and Koo,2011]。う蝕原性バイオフィルムを制御するための現在の局所抗微生物治療法は限定されている。クロルヘキシジン(CHX)は経口抗微生物療法の「ゴールドスタンダード」と考えられるが、歯の染色および歯石形成等の有害な副作用を有し、毎日の治療的使用には推奨されない[Jones,1997;Autio-Gold,2008]。代替として、いくつかの抗微生物ペプチド(AMP)が、う蝕を引き起こす口腔病原体(例えばストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans))に対して潜在的な抗バイオフィルム効果を伴って現れている[da Silva et al.,2012;Guo et al.,2015]。
【0008】
抗微生物ペプチド(AMP)は先天性免疫応答の進化的に保存された成分であり、ヒト等の様々な生物中で天然に見出される。従来の抗生物質と比較して、AMPによる耐性は発生しにくい。AMPは細菌、真菌およびウイルスに対して強く活性であり、これらの表面抗原との融合により特定の病原体を標的とするように適合され得る(Lee et al 2011;DeGray et al 2001;Gupta et al 2015)。線形AMPは、複雑な二次構造を有するAMPと比較した場合に安定性および抗微生物活性が低い。例えば、レトロサイクリンまたはプロテグリンは、環化された場合に(Wang et al 2003)またはジスルフィド結合形成によりヘアピン構造を形成する場合に(Chen et al 2000)高い抗微生物活性もしくは安定性を有する。RC101は、pH3、4、7および温度25℃~37℃でならびに48時間にわたるヒト膣液中で非常に安定であり(Sassi et al 2011a)、同時に、このRC101の抗微生物活性は最大6ヶ月にわたり維持された(Sassi et al 2011b)。同様に、プロテグリンは塩中でまたはヒト体液中で非常に安定ではある(Lai et al 2002;Ma et al 2015)が、線形化された場合には効力が失われる。複雑な二次構造を有する抗微生物ペプチドのこれらの興味深い特徴により、新規治療薬の開発が促進され得る。しかしながら、十分な量の抗微生物ペプチドの製造の高コストは、この抗微生物ペプチドの臨床開発および商業化の主な障壁である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、相乗的に作用してバイオフィルム構造体を分解し且つバイオフィルムの堆積を阻害する少なくとも1種の抗微生物ペプチド(AMP)および少なくとも1種のバイオフィルム分解酵素を含む多成分組成物が提供される。ある特定の実施形態では、このAMPは、プロテグリン1、RC-101、および表1中に列挙されたAMPから選択される。このバイオフィルム分解酵素として、例えばムタナーゼ、デキストラナーゼ、グルコアミラーゼ、デオキシリボヌクレアーゼI、DNAアーゼ、ディスペルジン(dispersin)B、グリコシドヒドロラーゼ、および表2中に記載された酵素が挙げられる。ある特定の実施形態では、これらの酵素のコード配列は、植物葉緑体中での発現のためにコドン最適化されている。特に好ましい実施形態では、この少なくとも1種のAMPおよび少なくとも1種のバイオフィルム分解酵素は組換えにより産生されている。特に好ましい実施形態では、このAMPおよびバイオフィルム分解酵素は融合タンパク質として発現されている。この組成物が口腔疾患の処置用である場合、この組成物は、抗生物質、フッ化物、CHXまたは上記の全てを任意選択でさらに含む。この組成物は、チューインガム、ハードキャンディまたは口腔リンス(oral rinse)に含まれ得る。本発明の好ましい融合タンパク質として、バイオフィルムの分解のための単独でのまたは組み合わせでの使用のためのPG-1-Mut、PG-1-Dex、PG-1-Mut-Dex、RC-101-Mut、RC-101-Dex、RC-101-Mut-Dexが挙げられるがこれらに限定されない。特に、表1中に列挙されたAMPはいずれも、上述した融合タンパク質中のPG-1またはRC-101のいずれかを置き換えて、この融合タンパク質の殺菌作用を改変し得る、または改善し得る。この融合タンパク質の分解活性を改変するために、上記でおよび本明細書において下記で列挙された酵素は、本発明の融合タンパク質中のMut、Dexまたは両方を置き換え得る。別の実施形態では、2種の異なるEPS酵素がこの組成物で用いられる場合、そのような酵素は様々な比(例えば1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8等)で送達され得る。MutおよびDexが例えばガムまたは口腔リンスで一緒に送達される場合、好ましい比は5:1 Dex:Mutである。
【0010】
別の態様では、本発明は、バイオフィルムを分解するおよび/または除去する方法であって、前記バイオフィルムを含む表面と、上記で説明された組成物とを接触させることであり、この組成物は殺菌効果を有し、1種または複数種の望ましくない微生物を含む前記バイオフィルムを低減する、または除去する、接触させることを含み、前記バイオフィルムは、前記低減または除去を必要とする動物対象中にまたは前記動物対象上に存在する、方法を提供する。ある特定の実施形態では、このバイオフィルムは口腔中に存在する。他の実施形態では、このバイオフィルムは移植された医療機器上に存在する。この方法はまた、尿路中の表面、中耳、前立腺、血管内膜、心臓弁、皮膚、頭皮、爪、歯および創傷内部からなる群から選択される身体の内表面または外表面に存在するバイオフィルムを除去するためにも使用され得る。
【0011】
さらに別の実施形態では、前記少なくとも1種のAMPおよび前記少なくとも1種のバイオフィルム分解酵素を含む本発明の組成物は植物色素体中で産生されている。この植物はタバコ植物であり得、前記AMPおよび酵素をコードする配列は、植物色素体中での発現のためにコドン最適化されている。好ましい実施形態では、このAMPおよびバイオフィルム分解酵素は、レタス色素体中に存在する内在性調節エレメントの制御下で、融合タンパク質としてレタス植物中で発現されている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】(図1A-1D)タバコ葉緑体中で発現されたGFP融合レトロサイクリン(RC101)およびGFP融合プロテグリン(PG1)の精製を示す図である。図1A.抗GFP抗体を使用した精製済GFP-RC101融合体のウエスタンブロット分析。図1B.精製済GFP-RC101融合体の自然蛍光ゲル。図1C.抗GFP抗体を使用した精製済GFP-PG1融合体のウエスタンブロット。図1D.精製済GFP-PG1の自然蛍光ゲル。注記-図1A~1Dの全ての試料を、Bradford法から得られた総タンパク質値に基づいてロードした。Image Jソフトウェアを使用したデンシトメトリを行い、GFP濃度発現レベル、純度および収量を決定した。発現レベルおよび収量を、総タンパク質値に対するGFP濃度から算出した。収量を、GFP濃度に精製後の回収値を乗算して決定した。個々のペプチド収量を、GFP収量をモル濃度係数14(GFP MW対ペプチドMWの比)で除算して決定した。富化倍数を、純度%を植物の粗抽出物中の発現%で除算して算出した。
図2-1】(図2A-2E)ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)および他の口腔微生物に対するAMP(GFP-PG1およびGFP-RC101)の抗微生物活性を示すグラフである。細胞生存率を、吸光度(A600nm)および経時的なコロニー形成単位(CFU)の計数により決定した。(図2A)様々な濃度のGFP-PG1および合成PG1で処理したS.ミュータンス(S.mutans)の時間-死滅曲線(A600nm)。(図2B)各時点でGFP-PG1および合成PG1で処理したS.ミュータンス(S.mutans)の生存細胞(CFU/ml)。(図2C)様々な濃度にてGFP-RC101で処理したS.ミュータンス(S.mutans)の時間-死滅曲線(A600nm)。(図2D)各時点でGFP-RC101で処理したS.ミュータンス(S.mutans)の生存細胞(CFU/ml)。(図2E)1時間および2時間にわたり10μg/mlにてGFP-PG1で処理したS.ゴルドニ(S.gordonii)、A.ネスルンディ(A.naeslundii)およびC.アルビカンス(C.albicans)の生存細胞(CFU/ml)。
図2-2】(図2A-2E)ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)および他の口腔微生物に対するAMP(GFP-PG1およびGFP-RC101)の抗微生物活性を示すグラフである。細胞生存率を、吸光度(A600nm)および経時的なコロニー形成単位(CFU)の計数により決定した。(図2A)様々な濃度のGFP-PG1および合成PG1で処理したS.ミュータンス(S.mutans)の時間-死滅曲線(A600nm)。(図2B)各時点でGFP-PG1および合成PG1で処理したS.ミュータンス(S.mutans)の生存細胞(CFU/ml)。(図2C)様々な濃度にてGFP-RC101で処理したS.ミュータンス(S.mutans)の時間-死滅曲線(A600nm)。(図2D)各時点でGFP-RC101で処理したS.ミュータンス(S.mutans)の生存細胞(CFU/ml)。(図2E)1時間および2時間にわたり10μg/mlにてGFP-PG1で処理したS.ゴルドニ(S.gordonii)、A.ネスルンディ(A.naeslundii)およびC.アルビカンス(C.albicans)の生存細胞(CFU/ml)。
図3】(図3A-3C)共焦点蛍光およびSEM撮像により決定した場合のGFP-PG1による細菌死滅を示す図である。(図3A)10μg/mlにてGFP-PG1で処理したS.ミュータンス(S.mutans)のタイムラプス死滅。(図3B)は、緩衝液のみで処理したS.ミュータンス(S.mutans)細胞からなった、コントロール群。ヨウ化プロピジウム(PI)(赤色)を共焦点顕微鏡で使用して、単一細胞レベルでの経時的な細菌生存率を測定した。PIは細胞非透過性であり、膜が損傷した細胞にのみ侵入し、瀕死の細胞および死滅した細胞ではDNAへのPIの結合時に鮮やかな赤色の蛍光が生じる。GFP-PG1を緑色で示す。(図3C)走査型電子顕微鏡を使用した、1時間にわたり10μg/mlの濃度にてGFP-PG1に晒したS.ミュータンス(S.mutans)の形態観察。赤色の矢印は、凹んだ膜および細胞内成分の放出を示す。
図4】(図4A-4C)GFP-PG1の単回局所処理によるバイオフィルム形成の阻害を示す図である。この図は、S.ミュータンス(S.mutans)バイオフィルムの三次元(3D)レンダリングの代表的な画像を示す。細菌細胞をSYTO 9(緑色)で染色し、EPSをAlexa Fluor 647(赤色)で標識した。30分という短時間の暴露により、唾液が塗布されたヒドロキシアパタイト(sHA)ディスク表面をGFP-PG1の単回局所処理で処理した(図4B)。コントロール群(図4A)を緩衝液のみで処理した。次いで、処理したsHAディスクを、1%(重量/体積)スクロースおよび活発に増殖するS.ミュータンス(S.mutans)細胞(105cfu/ml)を含む培養培地に移し、19時間にわたり37℃、5%CO2でインキュベートした。バイオフィルムの成長後、このバイオフィルムを2光子共焦点顕微鏡で分析した。(図4C)プロピジウムモノアジド(PAM)処理した、またはこの処理をしていない、定量PCR(qPCR)による生存S.ミュータンス(S.mutans)細胞および死滅S.ミュータンス(S.mutans)細胞の割合の定量的分析(Klein et al.,2012)。PMAおよびqPCRの組み合わせ(PMA-qPCR)により、インタクトな膜を有する生存細胞を定量する。ゲノムDNA単離およびqPCR定量化の前に、PMAを添加して死滅細胞のDNAに選択的に架橋させ、それによりPCR増幅を防止する(Klein et al.,2012)。アスタリスクは、GFP-PG1処理からの値がコントロールと有意に異なることを示す(P<0.05)。
図5】バイオフィルムマトリックスを消化するEPS分解酵素を示す図である。デキストラナーゼおよびムタナーゼの組み合わせで処理したS.ミュータンス(S.mutans)バイオフィルムでのEPS分解の代表的なタイムラプス画像。細菌細胞をSYTO 9(緑色)で染色し、EPSをAlexa Fluor 647(赤色)で標識した。白色の矢印は、細菌細胞集団とEPSの酵素分解後の「非被覆」細胞との間の空間の「開口」を示す。
図6】(図6A-6C)合成PG1単独によるまたはEPS分解酵素との組み合わせによるバイオフィルム破壊を示すグラフである。(図6A)COMSTATを使用した、インタクトなバイオフィルム内でのEPS分解のタイムラプス定量。(図6B)ImageJによる、単独または組み合わせのいずれかで、合成PG1およびEPS分解酵素(Dex/Mut)により処理したS.ミュータンス(S.mutans)バイオフィルムの生存率。(図6C)合成PG1の抗バイオフィルム活性はEPS分解酵素により増強された(Dex/Mut)。アスタリスクは様々な実験群の値が互いに有意に異なることを示す(P<0.05)。
図7】共焦点顕微鏡による、下記の様々なヒト歯周細胞系統:ヒト歯根膜幹細胞(HPDLS)、上顎骨間葉幹細胞(MMS)、ヒト頭頸部扁平上皮細胞がん腫細胞(SCC)、歯肉由来間葉間質細胞(GMSC)、成人歯肉ケラチノサイト(AGK)および骨芽細胞(OBC)での精製済融合タンパク質CTB-GFP、PTD-GFP、プロテグリン-1-GFP(PG1-GFP)およびレトロサイクリン101-GFP(RC101-GFP)のインビトロでの取込みを示す図である。ヒト細胞系統HPDLS、MMS、SCC、GMSC、AGKおよびOBCの2×104個の細胞を一晩にわたり37℃で8ウェルチャンバースライド(Nunc)中にて培養し、1時間にわたり37℃にて、それぞれ1%FBSが補充されたPBS 100μl中で下記の精製済GFP融合タンパク質:CTB-GFP(8.8μg)、PTD-GFP(13μg)、PG1-GFP(1.2μg)、RC101-GFP(17.3μg)と共にインキュベートした。10分にわたるRTでの2%パラホルムアルデヒドによる固定およびPBSによる3回の洗浄の後、細胞を、DAPIを含むアンチフェードマウンティング培地(antifade mounting medium)で染色した。陰性コントロールの場合、細胞を、1%FBSを含むPBS中で市販のGFP(2μg)と共にインキュベートし、次いで同一条件で処理した。固定された細胞全てを、共焦点顕微鏡を使用して撮像した。緑色の蛍光はGFP発現を示し、青色の蛍光はDAPI標識細胞核を示す。画像を100倍対物レンズで観察し、少なくとも10~15個のGFP陽性細胞または画像を各細胞系統で観察した。スケールバーは10μmを表す。全ての画像研究を3回反復で分析した。
図8】トランスプラストミック(transplastomic)タバコ由来のGFP融合体の下流処理:温室で栽培されたトランスプラストミックタバコ植物からの精製済GFP融合体の生成に関与する様々な工程を示すフロー図である。
図9-1】(図9A-9B)ムタナーゼ(図9A)およびデキストラナーゼ(図9B)に関するベクターおよびコドン最適化配列を示す図である。コドン最適化ムタナーゼ:配列番号1。コドン最適化デキストラナーゼ:配列番号2。
図9-2】(図9A-9B)ムタナーゼ(図9A)およびデキストラナーゼ(図9B)に関するベクターおよびコドン最適化配列を示す図である。コドン最適化ムタナーゼ:配列番号1。コドン最適化デキストラナーゼ:配列番号2。
図10】単独での使用のためのまたは図9のEPSタンパク質を含む融合タンパク質を発現するためのGVGVPと融合したAMPのタンデムリピートを発現する葉緑体ベクターを示す模式図である。
図11】新規の精製戦略を示す図であり、逆温度サイクリング精製プロセスが高収量を示す。
図12-1】(図12A-12B)大腸菌(E.coli)中での機能的コドン最適化ムタナーゼの発現を示す図である。図12は、大腸菌(E.coli)中でのムタナーゼ発現を示すウエスタンブロットを示す。図12Bは、0.5%ブルーデキストランプレート上に広げられた大腸菌(E.coli)を示す。形質転換クローンは、S.ミュータンス(S.mutans)中で通常作られる組換えデキストラナーゼを産生し得、コロニー周辺の青色ハロー(blue halo)を消し得る。図12Cは、ペニシリンから商業的に精製された酵素と、青色デキストリンに対する形質転換大腸菌(E.coli)由来の粗溶解物(総タンパク質ローディング)中に存在する組換えデキストラナーゼの分解活性を比較するゲル拡散アッセイを表す。
図12-2】(図12A-12B)大腸菌(E.coli)中での機能的コドン最適化ムタナーゼの発現を示す図である。図12は、大腸菌(E.coli)中でのムタナーゼ発現を示すウエスタンブロットを示す。図12Bは、0.5%ブルーデキストランプレート上に広げられた大腸菌(E.coli)を示す。形質転換クローンは、S.ミュータンス(S.mutans)中で通常作られる組換えデキストラナーゼを産生し得、コロニー周辺の青色ハロー(blue halo)を消し得る。図12Cは、ペニシリンから商業的に精製された酵素と、青色デキストリンに対する形質転換大腸菌(E.coli)由来の粗溶解物(総タンパク質ローディング)中に存在する組換えデキストラナーゼの分解活性を比較するゲル拡散アッセイを表す。
図13】AMP/バイオフィルム分解酵素の産生のためのレタス植物の操作工程を示すフロー図である。
図14】チューインガム錠調製物を示す図である。ここではGFPが例示されているが、AMP-酵素融合タンパク質(例えば図9および図10で示されているもの)を含むチューインガムも本発明の範囲内である。
図15】ガム錠を蛍光により評価し、ウエスタンブロットによりGFPの濃度を確認したことを示す図である。(i)ウエスタンブロッティング(ii)フルオロメーター(Fluoroskan Ascent(商標)Microplate Fluorometer-Thermo;λex 485nm;λem 538nm)に基づくチューインガムからのGFP放出の定量。市販のGFP(Vector Laboratories、カタログ番号MB-0752)を標準として使用した。チューインガムをタンパク質抽出緩衝液中で粉砕した。
図16】本発明のガム錠からのバイオフィルム分解剤の放出動態を評価するために人工唾液を使用するチューイングシミュレータを示す図である。
図17】チューイングガムから放出されたGFPの定量を示すグラフである。レタス葉中で発現されたGFPの濃度が増加しているガム錠を、人工唾液の存在下にてチューイングシミュレータで評価してGFP放出動態を決定した。
図18】葉緑体ベクターから発現された酵素を含む粗抽出物は、Listerineと混合された場合に、商業的酵素と同じくらいCFU形成の阻害に有効であることを示すグラフである。Listerineが補充された、大腸菌(E.coli)由来のムタナーゼおよびデキストラナーゼ(比1:5)を使用した、インビトロでのS.ミュータンス(S.mutans)バイオフィルムの酵素的分解。陽性コントロールとして市販のムタナーゼ(バチルス(Baciollus)種由来、Amano)およびデキストラナーゼ(ペニシリウム(Penicillium)種由来、Sigma)を使用し、粗大腸菌(E.coli)抽出物は陰性コントロールとしての役割を果たす。CFU/mlを平均±標準偏差として表す(n=2)。***、P<0.001対大腸菌(E.coli)抽出物。
【発明を実施するための形態】
【0013】
口腔内で生じるもの(例えばう蝕および歯周病)等のヒトにおける多くの感染性疾患は、病原性バイオフィルムにより引き起こされる。う蝕(またはう歯)は、米国中でおよび世界中で唯一の最もコストがかかり且つ蔓延しているバイオフィルム関連口腔疾患であり続けている。う蝕は子供および成人を同様に苦しめ、職場および学校からの欠席につながる緊急治療室の訪問の主な理由である。残念ながら、う蝕の有病率は依然として高く(米国成人人口の90%超)、う蝕は、子供および青年(特に貧しい社会経済的バックグラウンド出身)を苦しめている最も一般的な慢性疾患であり続けている。さらに、口腔の不健康さが全身的な結果につながって健康全般に影響を及ぼすことが多い。重要なことに、この疾患による破壊(例えばう蝕病原および歯髄感染)を処置するためのコストは、米国だけで400億ドル/年を超える。フッ化物はう蝕予防の中心である。しかしながら、このフッ化物の広範な使用により、この疾患に対する防御は不完全になる。フッ化物は脱灰の低減および初期う蝕病変の脱灰の増強で有効ではあるが、バイオフィルムに対する効果は限定的である。逆に、う蝕を引き起こすバイオフィルムを制御するための現在の抗微生物治療法はほとんど効果がない。
【0014】
病原性の口腔バイオフィルムを制御するのに有効な治療法を開発することが早急に必要とされている。本発明によれば、現在の抗バイオフィルム/抗う蝕治療法よりも優れた治療上有効な植物発現生物製剤の低コストの製造および送達のための方法が提供される。
【0015】
定義:
本明細書で使用される場合、抗微生物ペプチドは、あらゆる細菌活性を有する小さいペプチドである。「RC-101」は、インビトロでのHIV-1のT指向性株およびM指向性株による感染からヒトCD4+細胞を保護し得るおよびヒト頸腟部組織でのHIV-1感染を予防し得る、レトロサイクリンの類似体(環状オクタデカペプチド)である。RC-101の、腟液の存在下でHIV-1感染を予防し且つ完全な活性を保持する能力により、RC-101は(特に口腔バイオフィルム中での)他の局所的殺菌剤用途の良好な候補である。RC-101の配列はPlant Biotechnol J.2011 Jan;9(1):100-115(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0016】
「C16G2」は、S.ミュータンス(S.mutans)に対する特異性を有する新規の合成抗微生物ペプチドである。
【0017】
「プロテグリン-1(PG)」は、システインリッチの18残基β-シートペプチドである。プロテグリン-1は、広範囲の微生物(例えば細菌、真菌、ウイルスおよび特にいくつかの臨床的に関連する抗生物質耐性菌)に対して強力な抗微生物活性を有する。例えば、細菌性病原体である大腸菌(E.coli)および日和見真菌であるC.アルビカンス(C.albicans)は、実験室での試験ではPGにより効果的に死滅する。PG-1の配列はPlant Biotechnol J.2011 Jan;9(1):100-115(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0018】
さらなる抗微生物ペプチドとして、下記の表1中に記載されたものが挙げられる。
【0019】
【表1】
【0020】
「バイオフィルム」は、定期的に水と接触する表面に付着する複雑な構造体であり、細菌および通常は他の微生物(例えば酵母、真菌および原生動物)であって、これらを包み込む粘液質の保護コーティングを分泌する細菌および他の微生物のコロニーからなる。バイオフィルムは固体または液体の表面上にならびに生体内の柔組織上に生じ得、典型的には従来の消毒方法に対して耐性がある。歯垢、パイプおよびタンクを詰まらせる粘液性皮膜、ならびに水体上の藻類マットはバイオフィルムの例である。バイオフィルムは概して体内では病原性であり、う蝕、嚢胞性線維症および中耳炎等の疾患を引き起こす。
【0021】
「バイオフィルム分解酵素」としては、限定はなく、菌体外多糖分解酵素、例えばデキストラナーゼ、ムタナーゼ、DNAse、エンドヌクレアーゼ、デオキシリボヌクレアーゼI、ディスペルジンB、およびグリコシドヒドロラーゼ、例えば1→3)-α-D-グルカンヒドロラーゼが挙げられるがこれらに限定されず、デキストラナーゼおよびムタナーゼをコードする葉緑体コドン最適化配列の使用が好ましいが、当業者は、当分野における多くの異なるバイオフィルム分解酵素を十分に認識している。本発明の融合タンパク質で使用されるさらなる酵素配列を下記に示す。
【0022】
本明細書で使用される場合、対象への薬剤、薬物またはペプチドの用語「投与すること」または「投与」は、化合物の対象への導入または送達のあらゆる経路であって、この化合物の意図された機能を果たすような経路を含む。この投与することまたは投与は、任意の適切な経路(例えば経口、局所、鼻腔内、非経口(静脈内、筋肉内、腹腔内もしくは皮下)または直腸内)により実行され得る。投与することまたは投与は、本人による投与および他人による投与を含む。
【0023】
本明細書で使用される場合、用語「疾患」、「障害」または「合併症」は、対象における正常な状態からのあらゆる逸脱を指す。
【0024】
本明細書で使用される場合、用語「有効な量(effective amount)、「有効な量(amount effective)」または同類のものは、所望の結果を達成するのに必要な投与量でおよび期間にわたり有効な量を意味する。
【0025】
本明細書で使用される場合、用語「阻害する」または「予防する」は、疾患状態に暴露され得るまたは罹患し得るがこの疾患状態の症状をまだ経験していないまたは呈しない対象において、この疾患状態の臨床症状を悪化させないことまたは発症させないこと(例えば疾患の発症を阻害すること)を意味する。
【0026】
本明細書で使用される場合、遺伝子またはポリヌクレチドの文脈における用語「発現」は、この遺伝子またはポリヌクレオチドのRNAへの転写を含む。この用語はまた、このRNAのその後のポリペプチド鎖への翻訳およびこのポリペプチド鎖のタンパク質への集合も含み得るが必ずしもそうではない。
【0027】
植物残余物は、目的のタンパク質が発現された植物に由来する1種または複数種の分子(例えば、限定されないがタンパク質およびその断片、ミネラル、ヌクレオチドおよびその断片、植物構成成分等)を含み得る。従って、1種または複数種の検出可能な植物残余物を有する目的の精製済タンパク質を含む組成物と同様に、植物材料全体(例えば、植物の葉、茎、果実等の全体もしくは一部)または粗植物抽出物に関する組成物は高濃度の植物残余物を確実に含むはずである。具体的な実施形態では、この植物残余物はルビスコ(rubisco)である。
【0028】
別の実施形態では、本発明は、インサイチュでの(例えば口腔中での)ならびに外科的移植に有用な生物医学機器(例えばステント、人工関節および同類のもの)上でのバイオフィルム形成の処置または予防のための投与可能組成物に関する。この実施形態では、この機器は、この機器上での望ましくないバイオフィルム堆積を阻害するための組成物でコーティングされている。この組成物は、治療上有効な量の1種または複数種の抗微生物ペプチド(AMP)およびバイオフィルム分解活性を有する1種または複数種の酵素を組み合わせて含み、前記AMPおよび酵素のそれぞれは植物および植物残余物により発現されており、相乗的に作用して前記バイオフィルムを分解する。ある特定の実施形態では、AMPおよび酵素は別個のプラスチド形質転換ベクターから発現されている。他の実施形態では、このAMPおよび酵素の両方が単一ベクターから発現されるポリシストロニックコード配列を含むプラスミド形質転換ベクター。
【0029】
本明細書で教示されたある特定の実施形態に従って発現されたタンパク質は、様々な方法での対象(ヒトまたは動物)への投与によりインビボで使用され得る。本医薬組成物を経口、局所、皮下、筋肉内または静脈内で投与し得るが、経口局所投与が好ましい。
【0030】
本発明の実施形態により製造された経口組成物は、色素体由来の治療用タンパク質を産生するトランスジェニック植物で製造されている食品の摂取により投与され得る。この植物の可食部またはその一部が食事成分として使用される。この治療用組成物を、所望の投与様式に適した固体または液体のビヒクル、希釈剤および添加剤を使用して古典的な方法で製剤化し得る。経口では、この組成物を、少なくとも1種のビヒクル(例えばデンプン、炭酸カルシウム、スクロース、ラクトース、ゼラチン等)と共に、錠剤、カプセル剤、粒剤、散剤、ガムおよび同類のものの形態で投与し得る。目的の治療用タンパク質を植物ホモジネートから任意選択で精製し得る。この調製物を乳化してもよい。この活性成分は、薬学的に許容され且つこの活性成分に適合する添加剤と混合されることが多い。適切な添加剤は、例えば水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールまたは同類のものおよびこれらの組み合わせである。加えて、必要に応じて、この組成物は少量の補助物質(例えば湿潤剤、乳化剤、pH緩衝剤またはアジュバント)を含み得る。好ましい実施形態では、食用の植物、果汁、穀粒、葉、塊茎、茎、種子、根または薬剤製造用トランスジェニック植物の他の植物部分がヒトまたは動物に摂取され、それにより疾患の処置の非常に安価な手段が提供される。
【0031】
特定の実施形態では、AMPを発現する葉緑体、バイオフィルム分解酵素ならびにこれらの組み合わせを含む植物材料(例えばレタス材料)をホモジナイズしてカプセル封入する。特定の一実施形態では、このレタス材料の抽出物をカプセル封入する。代替実施形態では、このレタス材料をカプセル封入の前に粉末化する。既に述べているように、このバイオフィルム分解タンパク質を発現後に植物から精製してもよい。
【0032】
代替実施形態では、投与の便宜のために、本組成物をトランスジェニック植物のジュースと共に提供し得る。前記目的のために、形質転換する植物は特に、通常はジュースの形態で消費されるトマト、ニンジンおよびリンゴからなる食用植物から好ましくは選択される。
【0033】
別の実施形態によれば、本発明は、本明細書中で開示されているペプチドの組み合わせを発現する異種遺伝子を含むベクターで形質転換されている形質転換葉緑体ゲノムに関する。
【0034】
特に興味深いのは、1種もしくは複数種のAMPおよびバイオフィルム分解酵素またはこれらの組み合わせのポリペプチドを発現する異種遺伝子を含むベクターで形質転換された形質転換葉緑体ゲノムである。関連する実施形態では、本発明は、明細書で開示されているペプチドを発現するように形質転換されている少なくとも1つの細胞を含む植物に関する。
【0035】
本明細書での遺伝子配列への言及は一本鎖または二本鎖の核酸配列を指し、目的のポリペプチドのコード配列またはこのコード配列の相補体を含む。ポリペプチドをコードする縮重核酸配列、ならびにcDNAと少なくとも約50、55、60、65、60、好ましくは約75、90、96または98%同一である相同ヌクレオチド配列を、本明細書でのポリヌクレオチドの教示に従って使用し得る。2種のポリヌクレオチドの配列間の配列同一性のパーセントを、-12のギャップオープンペナルティおよび-2のギャップ伸長ペナルティによるアフィンギャップサーチを使用して、FASTAアルゴリズムを用いるALIGN等のコンピュータプログラムを使用して決定する。生物学的に活性なポリペプチドをコードする核酸配列の相補DNA(cDNA)分子、種相同体およびバリアントも有用なポリヌクレオチドである。
【0036】
上記で説明されている核酸配列のバリアントおよび相同体も有用な核酸配列である。典型的には、当分野で既知であるように、ストリンジェントな条件下で候補ポリヌクレオチドと既知のポリヌクレオチドとのハイブリダイゼーションにより相同ポリヌクレオチド配列を同定し得る。例えば、下記の洗浄条件:2×SSC(0.3M NaCl、0.03M クエン酸ナトリウム、pH7.0)、0.1%SDS、室温で2回、それぞれ30分;次いで2×SSC、0.1%SDS、50℃、1回、30分;次いで2×SSC、室温で2回、それぞれ10分を使用して、最大約25~30%の塩基対ミスマッチを含む相同配列を決定し得る。より好ましくは、相同核酸鎖は15~25%の塩基対ミスマッチを含み、さらにより好ましくは5~15%の塩基対ミスマッチを含む。
【0037】
適切なプローブまたはプライマーを作製してcDNA発現ライブラリをスクリーニングすることにより、本明細書で言及されているポリヌクレオチドの種相同体も同定し得る。相同性が1%低下する毎に二本鎖DNAのTmが1~1.5℃低下することは公知である(Bonner et al.,J.Mol.Biol.81,123(1973)。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件および/または洗浄条件の後で目的のポリヌクレオチドにハイブリダイズするヌクレオチド配列またはその相補体も有用なポリヌクレオチドである。ストリンジェントな洗浄条件は当分野で公知であり且つ理解されており、例えばSambrook et al.,MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL,2nd ed.,1989,at pages 9.50-9.51で開示されている。
【0038】
本発明の実施を容易にするために、下記の材料および方法が提供される。
【0039】
微生物および増殖条件
本研究では、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)UA159血清型c(ATCC 700610)、アクチノミセス・ネスルンディ(Actinomyces naeslundii)ATCC 12104、ストレプトコッカス・ゴルドニ(Streptococcus gordonii)DL-1およびカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)SC5314を使用した。これらの株を選択しており、なぜならば、S.ミュータンス(S.mutans)は十分に確立された病原性のう蝕原性細菌だからである[Ajdic D et al,2002]。S.ゴルドニ(S.gordonii)は歯のバイオフィルムの先駆的生着菌であり、歯のバイオフィルム形成の初期段階ではA.ネスルンディ(A.naeslundii)も検出され、A.ネスルンディ(A.naeslundii)は根のう蝕の発生と関連している可能性がある[Dige I et al,2009]。C.アルビカンス(C.albicans)は、ヒトの粘膜表面にコロニーを形成する真菌生物であり、幼児期のう蝕を有する幼児からの歯垢中でも検出される[Hajeshengallis E et al,2015]。全ての株を、20%グリセロールを含むトリプシンダイズブロス中で-80℃にて貯蔵した。S.ミュータンス(S.mutans)、S.ゴルドニ(S.gordonii)およびA.ネスルンディ(A.naeslundii)の培養に血液寒天プレートを使用した。C.アルビカンス(C.albicans)にはサブロー寒天プレートを使用した。これらの株全てを、使用前に、1%グルコースが入った、限外ろ過した(10kDa分子量カットオフ膜;Prep/Scale,Millipore,MA)緩衝トリプトン-酵母抽出物ブロス(UFTYE;2.5%トリプトンおよび1.5%酵母抽出物、pH7.0)中で中間指数期(mid-exponential phase)まで増殖させた(37℃、5%CO2)。
【0040】
様々なタグ付きGFP融合タンパク質を発現するトランスプラストミック系統の作製
CTB、PTD、レトロサイクリンおよびプロテグリンと融合したGFPを発現するトランスプラストミック植物を、以前の研究[Limaye et al 2006;Kwon et al 2013;Xiao et al 2016;Lee et al 2011]で説明されているように作製した。既に説明されているようにサザンブロットアッセイを使用して、GFP融合タンパク質を発現するトランスプラストミック系統を確認した[Verma et al 2008]。同様に、UV照明下で各構築物の葉からの緑色蛍光を可視化することにより、GFPタグ付きタンパク質の発現を確認した。
【0041】
タグ融合GFPタンパク質の精製
これまで行われていた有機抽出およびその後の疎水性クロマトグラフィーにより、トランスプラストミックタバコ由来のGFP融合体プロテグリン-1(PG1)およびレトロサイクリン(RC101)の精製を達成した(Lee et al,2011)。凍結乾燥させた葉材料 約0.2~1gmを採取し、植物抽出緩衝液(2%フッ化フェニルメチルスルホニルおよび1プロテアーゼ阻害剤のカクテルが補充された0.2M TrisHCl pH8.0、0.1M NaCl、10mM EDTA、0.4Mスクロース、0.2% TritonX)10~20ml中で再構成した。この再懸濁液を、15分毎にボルテックスしてホモジナイズしつつ1時間にわたり氷中でインキュベートした。次いで、このホモジネートを1時間にわたり4℃で75000g(Beckman LE-80K最適超遠心分離機)にて沈降させて清澄な溶解物を得た。この溶解物を70%飽和硫酸アンモニウムおよび1/4体積の100%エタノールによる前処理にかけ、続いて2分にわたり激しく振盪した(Yakhnin et al,1998)。この処理済溶液を3分にわたり2100gで沈降させた。上方のエタノール相を集め、このプロセスを1/16体積の100%エタノールで繰り返した。プールしたエタノール相を、1/3体積の5M NaClおよび1/4体積の1-ブタノールでさらに処理し、2分にわたり激しくホモジナイズし、3分にわたり2100gで沈降させた。最下相を集め、7kDa MWCOゼバスピン脱塩カラム(Thermo scientific)上にロードし、製造業者の推奨に従って脱塩した。
【0042】
次いで、脱塩した抽出物を、さらなる精製のための捕捉相の最中に疎水性相互作用クロマトグラフィーに供した。脱塩した抽出物を、FPLCユニット(Pharmacia LKB-FPLCシステム)上で実行するToyopearlブチル-650S疎水性相互作用カラム(Tosoh bioscience)に注入した。このカラムを、2.3カラム体積の塩緩衝液(salted buffer)(10mM Tris-HCl、10mM EDTAおよび50%飽和硫酸アンモニウム)で最終20%塩飽和まで平衡化し、樹脂へのGFPの結合を促進した。これに続いて、5.8カラム体積の塩緩衝液および非塩緩衝液(unsalted buffer)の混合物でカラムを洗浄し、次いで非塩緩衝液(10mM Tris-HCl、10mM EDTA)で溶出した。クロマトグラムで観測したピークに基づいてGFP画分を同定して集めた。集めた画分を、一晩の透析による最終仕上げ工程に供した。透析後、精製済タンパク質を凍結乾燥させて(labconco凍結乾燥機)、この最終生成物を濃縮し、次いで-20℃で貯蔵した。
【0043】
精製済GFP融合体の定量
ウエスタンブロットベースの方法および蛍光ベースの方法の両方により、GFP-RC101およびGFP-PG1の定量を実行した。凍結乾燥させた精製済タンパク質を滅菌1×PBSで再懸濁させ、Bradford法により総タンパク質を決定した。次いで、精製済タンパク質を、変性タンパク質試料を市販のGFP標準(Vector labs)と一緒に12%SDSゲル上ロードすることによりSDS-PAGE法によって定量し、次いで1:3000希釈のマウス抗GFP抗体(Millipore)を使用し、その後に1:4000希釈の二次HRP共役ヤギ抗マウス抗体(Southern biotech)で調べてウエスタンブロッティングを行った。
【0044】
この精製済タンパク質を、GFP蛍光を使用しても定量した。このタンパク質試料を自然条件下にて12%SDSゲル上で泳動させた。この泳動後、このゲルをUVランプ下に置き、次いで撮像した。ウエスタン法および自然蛍光法の両方でのGFP濃度を、標準曲線を得るために市販のGFP標準でImage Jソフトウェアを使用する濃度測定分析により決定した。Bradford法で決定した総タンパク質値に対するGFP定量に基づいて純度を決定した。
【0045】
ヒト歯周細胞系統による精製済タグ融合GFPタンパク質の取込み
既に説明されているように(Xiao,et al 2016)、下記の4種のタグ:CTB、PTD、PG1およびRC101の取込みを測定するために、様々なヒト歯周細胞系統(例えばヒト歯根膜幹細胞(HPDLS)、上顎骨間葉幹細胞(MMS)、ヒト頭頸部扁平上皮細胞がん腫細胞(SCC-1)、歯肉由来間葉間質細胞(GMSC)、成人歯肉ケラチノサイト(AGK)および骨芽細胞(OBC))において、簡潔に言うと、各ヒト細胞系統細胞(2×104個)を一晩37℃にて8ウェルチャンバースライド(Nunc)中で培養し、続いて1時間にわたり37℃にて、1%FBSが補充されたPBS 100μl中で下記の精製済GFP融合タグ:CTB-GFP(8.8μg)、PTD-GFP(13μg)、GFP-PG1(1.2μg)およびGFP-RC101(17.3μg)と共にインキュベートした。10分にわたるRTでの2%パラホルムアルデヒドによる固定およびPBSによる3回の洗浄の後、全ての細胞を、DAPIを含むアンチフェードマウンティング培地(Vector laboratories,Inc)で染色した。陰性コントロールの場合、細胞を、1時間にわたり37℃にて、1%FBSを含むPBS中で市販のGFP(2μg)と共にインキュベートした。固定された細胞全てを、共焦点顕微鏡を使用して撮像した。3つの独立した分析において、画像を100倍対物レンズで観察し、各細胞系統に関して
少なくとも10~15個のGFP陽性細胞を記録した。
【0046】
抗菌活性の評価
S.ミュータンス(S.mutans)に対するAMP(Gfp-PG1およびGfp-RC101)の死滅動態をタイムラプス死滅アッセイで分析した。S.ミュータンス(S.mutans)を対数期まで増殖させ、増殖培地で105CFU/mlまで希釈した。GFP-PG1およびGFP-RC101をそれぞれ0~10μg/mlおよび0~80μg/mlの濃度でS.ミュータンス(S.mutans)懸濁液に添加した。0時間、1時間、2時間、4時間、8時間および24時間で試料を採取し、0.89%NaClで連続的に希釈し、次いで寒天プレート上で広げ、48時間後にコロニーを計数した。各時点で600nmでの吸光度もチェックした。S.ゴルドニ(S.gordonii)懸濁液、A.ネスルンディ(A.naeslundii)懸濁液およびC.アルビカンス(C.albicans)懸濁液を10μg/mlの濃度でGfp-PG1と混合し、0時間、1時間および2時間で、CFUの計数のためにアリコートを取り出した。
【0047】
S.ミュータンス(S.mutans)細胞の生存率へのAMPの効果もタイムラプス測定により評価した。S.ミュータンス(S.mutans)を対数期まで増殖させ、遠心分離(5500g、10分)により回収し、ペレットをリン酸ナトリウム緩衝生理食塩水(PBS)(pH7.2)で1回洗浄し、PBSで再懸濁させ、1×105CFU/mlの最終濃度に調整した。GFP-PG1を10μg/mlの濃度でS.ミュータンス(S.mutans)懸濁液に添加し、2.5μMヨウ化プロピジウム-PI(Molecular Probe Inc.,Eugene,OR,USA)を添加して死滅細胞を標識した。混合物5μlを共焦点撮像用のアガロースパッド上に載せた。100×(開口数、1.4)油浸対物レンズを備えたLeica SP5-FLIM倒立型単一光子レーザー走査顕微鏡(inverted single photon laser scanning microscope)を使用して共焦点画像を取得した。励起波長はGFPおよびPIそれぞれに関して488nmおよび543nmであった。GFP用の放出フィルタは495/540 OlyMPFC1フィルタであり、PIは598/628 OlyMPFC2フィルタであった。タイムラプスシリーズのために、同一視野での画像を0分、10分、30分および60分で取得し、ImageJ 1.44(Http://rsbweb.nih.gov/ij/download.html)により作成した。
【0048】
AMPで処理したS.ミュータンス(S.mutans)の形態観察も走査型電子顕微鏡(SEM)で調べた。S.ミュータンス(S.mutans)を対数期まで増殖させ、PBSで105CFU/mlまで希釈した。細菌懸濁液を、37℃で1時間にわたりGFP-PG1(10μg/mlの最終濃度)と混合した。処理後、0.4μmのMilliporeフィルタを使用するろ過により細菌を回収した。沈着物を室温で1時間にわたり0.1Mカコジル緩衝液(pH7.4)中の2.5%グルタルアルデヒドおよび2.0%パラホルムアルデヒドで固定し、SEM(Quanta FEG 250,FEI,Hillsboro,OR)観察用に処理した。非処理または緩衝液のみで処理した細菌はコントロールとしての役割を果たした。
【0049】
抗バイオフィルム活性の評価
十分に特徴付けられたEPS-マトリックス産生口腔病原体S.ミュータンス(S.mutans)UA159を使用して、唾液が塗布されたヒドロキシアパタイトディスク表面上でバイオフィルムを形成させた。簡潔に言うと、ヒドロキシアパタイトディスク(直径1.25cm、表面積2.7±0.2cm2、Clarkson,Chromatography Products,Inc.,South Williamsport,PA)に、フィルタ滅菌した清澄なヒト全唾液(sHA)を塗布した[Xiao J et alo,2012]。S.ミュータンス(S.mutans)を、1%(重量/体積)グルコースを含むUFTYE培地中で中間指数期まで増殖させた(37℃、5%CO2)。各sHAディスクに、1%(重量/体積)スクロースを含むUFTYE培地1ml当たり105CFUの活発に増殖するS.ミュータンス(S.mutans)細胞を播種し、19時間にわたり37℃および5%CO2で播種した。播種前に、このsHAディスクを30分にわたりGFP-PG1溶液(10ug)で局所的に処理した。共焦点撮像により、3Dバイオフィルム構造へのGFP-PG1処理の阻害効果を観測した。簡潔に言うと、2.5μM Alexa Fluor 647標識デキストランコンジュゲート(10kDa;647/668nm;Molecular Probes Inc.)を使用してEPSを標識し、細菌細胞を2.5μM SYTO9(485/498nm;Molecular Probes Inc.)で染色した。20×(開口数、1.00)水浸対物レンズを備えたLeica SP5顕微鏡を使用して撮像を実施した。励起波長は780nmであり、SYTO 9用の発光波長フィルタは495/540 OlyMPFEC1フィルタであり、Alexa Fluor 647用のフィルタはHQ655/40M-2Pフィルタであった。共焦点画像シリーズを各選択位置での光学切断により作成し、z-シリーズ走査のステップサイズは2μmであった。Amira 5.4.1ソフトウェア(Visage Imaging,San Diego,CA,USA)を使用して、バイオフィルム構造の3Dレンダリングを作成した[Xiao J et al.2012,Koo H et al.2010]。
【0050】
sHAディスク上で19時間にわたりS.ミュータンス(S.mutans)により形成されたバイオフィルムへのPG1の効果を調べるために、本発明者らは、最大60分にわたるバイオフィルムと1)コントロール、2)EPS分解酵素のみ、3)PG1のみ、または4)PG1およびEPS分解酵素とのインキュベーション後に、タイムラプス共焦点顕微鏡を使用してEPS-マトリックスの3D構造およびインサイチュでの細胞生存率を調べた。ここで使用したEPS分解酵素はデキストラナーゼおよびムタナーゼであり、これらは、α-1,6グルコシド連結およびα-1,3グルコシド連結を加水分解することにより、S.ミュータンス(S.mutans)由来のEPSを消化し得た[Hayacibara et al.2004]。ペニシリウム種(Penicillium sp.)から産生されたデキストラナーゼをSigma(St.Louis,MO)から商業的に購入し、トリコデルマ・ハルチアナム(Trichoderma harzianum)から産生されたムタナーゼはDr.William H.Bowen(Center for Oral Biology,University of Rochester Medical Center)により親切にも提供された。デキストラナーゼおよびムタナーゼを、バイオフィルムへの適用の前に5:1の比で混合した[Mitsue F.Hayacibara et al.2004]。Alexa Fluor 647標識デキストランコンジュゲートを使用してEPS-マトリックスを標識し、SYTO 9およびPIを使用して生存細胞および死滅細胞を標識した。バイオフィルムを、0分、10分、30分および60分に共焦点蛍光撮像を使用して調べてAMIRA/COMSTAT/ImageJ分析にかけた。共焦点画像の各シリーズにおけるEPSマトリックス、生存細胞および死滅細胞の総バイオマスを、COMSTATおよびImageJを使用して定量した。各時点での生存細菌の総細菌に対する比率を算出し、(0分での生存細胞に対する)生存細胞の生存率をプロットした。時点0分での生存細胞の初期数を100%であると見なした。時点0分と比較することによりパーセント生存率を決定した。
【0051】
微生物アッセイ
選択した時点(19時間)でバイオフィルムを除去し、超音波処理によりホモジナイズし、既に説明されている微生物分析にかけ[Xiao J et al.2012,Koo H et al.2010]、本発明者らの超音波処理手順は細菌細胞を死滅させず、さらに最適な分散および最大の回復可能なカウントをもたらす。バイオフィルム懸濁液のアリコートを連続的に希釈し、自動Eddy Jet Spiral Plater(IUL,SA,Barcelona,Spain)を使用して血液寒天プレート上に蒔いた。一方、定量PCRと組み合わせたプロピジウムモノアジド(PAM)(PMA-qPCR)を使用して、Klein MI他[Klein MI et al.2012]が説明しているようにS.ミュータンス(S.mutans)細胞生存率を分析した。PMAおよびqCPRの組み合わせにより膜がインタクトな細胞(即ち生存細胞)のみが定量され、なぜならば、死滅細胞のDNAおよび細胞外DNAに架橋したPMAはこのDNAを改変し、この抽出されたDNAのPCR増幅を阻害するからである。簡潔に言うと、バイオフィルムペレットをTE(50mM Tris、10mM EDTA、pH8.0)500μlで再懸濁させた。ピペットを使用して、このバイオフィルム懸濁液を1.5ml微量遠心管に移し、次いでPMAと混合した。このバイオフィルム懸濁液にPMA(20%ジメチルスルホキシド中に20mM;Biotium,Hayward,CA)1.5μlを添加した。この管を、時折混合しつつ室温で5分にわたり暗所にてインキュベートした。次に、試料を3分にわたり光に当てた(600-Wハロゲン光源)。光誘起架橋の後、このバイオフィルム懸濁液を遠心分離し(13,000g/10分/4℃)、上清を廃棄した。ペレットをTE 100μlで再懸濁させ、続いてリゾチーム(100mg/mlストック)10.9μlおよびムタニライシン(mutanylysin)(5U/μlストック)5μlと共にインキュベートした(37℃/30分)。次いで、MasterPure DNA精製キット(Epicenter Technologies,Madison,WI)を使用してゲノムDNAを単離した。1つの試料当たりのゲノムDNA 10ピクトグラムおよび陰性コントロール(DNAなし)を、iQ SYBR Greenスーパーミックス(Bio-Rad Laboratories Inc.,CA)およびS.ミュータンス(S.mutans)特異的プライマー(16S rRNA)によるMyiQリアルタイムPCR検出システムにより増幅させた[Klein MI et al 2010]。
【0052】
統計解析
データを平均±標準偏差(SD)で表す。全てのアッセイを、少なくとも2つの別個の実験にて2回反復で実施した。Studentのt検定を使用して、試験とコントロールとの間でペアワイズ比較を行った。現在の研究での全ての統計的試験のために選択した有意水準はP<0.05であった。
【0053】
下記の実施例は、本発明のある特定の実施形態を説明するために提供される。この実施例は本発明を限定することを決して意図されていない。
【実施例0054】
実施例I
トランスプラストミック系統の作製およびキャラクタリゼーション
全ての融合タグ(CTB、PTD、プロテグリン、レトロサイクリン)をN末端で緑色蛍光タンパク質(smGFP)に融合させて、これらの融合タグの効率および特異性を評価した。参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第13/101,389号明細書で説明されているように、これらの融合タンパク質をコードする融合構築物を葉緑体形質転換ベクター中にクローニングし、次いで、このベクターを使用して目的の植物を形質転換させた。GFP融合タンパク質を発現する植物を作製するために、微粒子銃粒子送達系を使用してタバコ葉緑体を形質転換させた。図1Bで見られるように、各タグ融合GFPは同一の調節配列(光により調節されるpsbAプロモーターおよび5’UTR)により駆動され、転写されたmRNAは3’psbA UTRにより安定化される。psbA遺伝子は最も高度に発現される葉緑体遺伝子であり、従って、本発明者らの研究室ではpsbA調節配列を導入遺伝子発現に使用する[7、34]。発現カセットの葉緑体ゲノムへの組込みを容易にするために、この発現カセットには、天然の葉緑体ゲノム配列と同一である2つの隣接配列(イソロイシル-tRNAシンテターゼ(trnI)遺伝子およびアラニル-tRNAシンテターゼ(trnA)遺伝子)が隣接する。選択培地から現れた新芽を、trnIおよびtrnAスペーサー領域での導入遺伝子カセットの特異的組込みに関して調べ、次いでサザンブロット分析により各植物細胞(非形質転換の野生型葉緑体ゲノムの欠如)中の全ての葉緑体ゲノムの形質転換を確認した。そのため、融合タンパク質の抽出前に、全てのGFP発現カセットの安定した組込みおよび導入遺伝子による葉緑体ゲノムのホモプラスミーを確認した。加えて、UV光下で緑色蛍光を可視化することにより、GFP発現を表現型的に確認した。次いで、確認したホモプラスミー系統を自動型温室に移して栽培してバイオマスを増加させた。
【0055】
各GFPタグ付き植物葉材料のバイオマスをスケールアップするために、各ホモプラスミー系統を、温度および湿度を制御した温室中で生育した。完全に成長した成熟葉を深夜に収穫して、光により調節される調節配列により駆動されるGFP融合タンパク質の蓄積を最大化させた。重量ベースで融合タンパク質の含有量をさらに増加させるために、凍結した葉を真空下で-40℃にて凍結乾燥させた。タンパク質の濃縮効果に加えて、凍結乾燥により、室温で1年を超えて植物中で発現される治療用タンパク質の貯蔵寿命が増加した[Daniell et al 2015;2016]。従って、本研究では、GFP融合タグタンパク質を発現する、凍結乾燥させて粉末化した植物細胞を、マウスへの経口送達に使用した。
【0056】
トランスプラストミックタバコからのGFP融合抗微生物ペプチドの発現および精製
GFP融合抗微生物ペプチドRC101およびPG1を発現するタバコ葉を温室から収穫し、その後にタンパク質の抽出および精製のために凍結乾燥させた。デンシトメトリに基づいて、GFP-RC101の平均発現レベルは粗抽出物中の総タンパク質の8.8%であることが分かり、GFP-PG1の発現は総タンパク質の3.8%であった。発現レベルの差違は以前に報告されたものと同様であった(Lee et al 2011,Gupta et al,2015)。
【0057】
浮遊性およびバイオフィルム形成性の両方のS.ミュータンス(S.mutans)に対する殺菌活性を試験するために、異なる抗微生物ペプチド(RC101およびPG1)に融合したGFPの精製を行った。異なるGFP融合体を発現する凍結乾燥タバコ材料を抽出およびその後の下流処理(図8を参照されたい)に使用して、完成した精製済産物を得、その後に定量してGFP融合ペプチドの濃度を決定した。精製したGFP-RC101およびGFP-PG1の定量をウエスタンブロットおよび自然GFP蛍光法の両方で行い、精製済GFP-RC101は、凍結乾燥葉材料1gm当たりGFP 1624μg(RC101ペプチド116μg)の平均収量で94%の平均純度を示す(図1Aおよび図1B)。GFP-PG1では、両方の方法(図1Cおよび図1D)は凍結乾燥葉材料1gm当たりGFP 58.8μg(PG1ペプチド4.2μg)の平均収量で17%の平均純度を示す。純度の差違は、以前の研究で見られたようにGFPに融合したタグの種類の差違に起因する可能性がある(Xiao et al 2015,Skosyrev et al 2003)。植物抽出物からの精製済GFP-RC101および精製済GFP-PG1の富化倍数はそれぞれ10.6および4.5であった。ウエスタンブロットはまた、6~8ngの範囲のGFPのローディングで、54kDa GFP二量体と共に、単量体断片に対応する27kDaでのGFP標準も示す。GFP-RC101ウエスタンブロットでは、融合体の単量体形態および二量体形態に対応する29kDaおよび58kDaの断片が明瞭に見える(図1A)。このことは、GFPの二量体を形成する能力に起因する可能性がある(Ohashi et al,2007)。GFP-PG1のウエスタンブロット(図1D)は、既に説明されているように共精製されている可能性がある他の非特異的植物タンパク質に結合したGFP-PG1により引き起こされた移動性シフトに起因する可能性がある40KDa断片と共に、29kDa単量体を明瞭に示す(Morassuttia et al 2002)。GFP-RC101およびGFP-PG1の自然蛍光(図1Bおよび図1D)は、これらの一部が27kDa GFP標準サイズ未満で見える多量体バンドを示し、これは、以前の研究で説明されているように各GFP断片で電気泳動移動性シフトを引き起こすカチオン性ペプチドへのGFPの融合に起因する可能性がある(Lee et al,2011)。
【0058】
AMPの抗菌活性
本発明者らは、図2(A~E)に示すように用量反応時間死滅研究を使用してGFP-PG1の抗微生物活性を最初に調べた。GFP-PG1は、バイオフィルムを形成することおよびう蝕を引き起こすことが立証されている病原体であるストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)に対する強力な抗菌活性を示し、低濃度にて1時間以内にこの細菌細胞を急速に死滅させる(図2A)。GFP-PG1はまた、初期口腔生着菌ストレプトコッカス・ゴルドニ(Streptococcus gordonii)およびアクチノミセス・ネスルンディ(Actinomyces naeslundii)も死滅させたが、試験した濃度ではカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)に対して示す抗真菌活性は限定されていた(図2E)。タイムラプス共焦点撮像は、S.ミュータンス(S.mutans)の生存率が非処理コントロール(図3B)と比較して図3Aで示すように10分という早さで影響を受けることを示す。SEM撮像から、細胞内成分の放出および不規則な細胞形態を引き起こすS.ミュータンス(S.mutans)膜表面の破壊が明らかになり、非処理の細菌は、いかなる目に見える細胞溶解または残骸もなくインタクトで滑らかな表面を示した(図3C)。S.ミュータンス(S.mutans)に対するGFP-PG1の抗微生物効力が示されたことから、本発明者らは、この抗微生物ペプチドのバイオフィルム形成を予防するまたは既に形成されたバイオフィルムを破壊する可能性を調べた。
【0059】
AMPによるバイオフィルム開始の阻害
病原性口腔バイオフィルムの形成の予防は困難であり、なぜならば薬物は局所適用の後で治療効果を発揮する必要があるからである。GFP-PG1がバイオフィルムの開始を妨害し得るかどうかを決定するために、本発明者らは、唾液が塗布されたアパタイト(sHA)表面(歯代用物)を30分にわたるGFP-PG1の単回局所処理で処理し、次いでう蝕原性(スクロースリッチ)条件下にて、活発に増殖するS.ミュータンス(S.mutans)細胞と共にインキュベートした。本発明者らは、GFP-PG1処理sHA表面上でのEPS-マトリックスの最小限の蓄積を伴うS.ミュータンス(S.mutans)によるバイオフィルム形成の実質的な障害を観察した(図4Bおよび図4C)。ほとんどの接着細胞集団はコントロールと比較してほぼ生存不能であり(図4A)、このことから、局所的で短期間の暴露にもかかわらず、バイオフィルム開始へのGFP-PG1の強力な効果が実証された。
【0060】
EPS分解酵素と一緒でのまたはEPS分解酵素なしでのAMPによる、既に形成されたバイオフィルムの破壊
表面上で形成されたバイオフィルムの破壊は困難である。う蝕原性バイオフィルムの破壊は特に困難であり、なぜならば、病原性細菌(例えばS.ミュータンス(S.mutans))の集団に絡み付いて保護する周囲の菌体外多糖(EPS)リッチマトリックスに起因して薬物はこの集団に到達できないことが多いからである[Bowen and Koo,2011]。EPS分解酵素(例えばデキストラナーゼおよびムタナーゼ)は、う蝕原性バイオフィルムのマトリックスの消化を助ける可能性がある。本発明者らは、細胞生存率に影響を及ぼすことなくEPSマトリックス破壊に必要なデキストラナーゼおよび/またはムタナーゼを最初に最適化した(データは示さない)。図5に示すように、デキストラナーゼおよびムタナーゼの組み合わせは、EPS(赤色)と、細菌細胞集団(緑色)および「非被覆」細胞(矢印を参照されたい)の間の「オープンスペース」(矢印を参照されたい)とを消化し得る。そのため、GFP-PG1とEPS分解酵素との組み合わせは、全体的な抗バイオフィルム効果を相乗的に増強する。
【0061】
この概念を調査するために、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)バイオフィルムをsHA表面上で予め形成させ、単独または組み合わせのいずれかでGFP-PG1およびEPS分解酵素(Dex/Mut)により局所的に処理した。タイムラプス共焦点撮像および定量的コンピュータ解析を行い、EPS-マトリックス分解およびバイオフィルム内での生存/死滅細菌細胞を分析した(図6A)。この酵素-ペプチドの組み合わせは、GFP-PGまたはDex/Mut単独のいずれかと比較した場合に、細菌死滅を増加させつつEPS-マトリックスの60%超を分解した。これらの発見を、コロニー形成単位を測定することによる標準的な培養アッセイによりさらに検証した。Dex/Mutと組み合わせたS.ミュータンス(S.mutans)バイオフィルムに対するPGの抗菌活性は、いずれか一方のみと比べて有意に増強された。Dex/Mutのみの局所暴露はバイオフィルム細胞生存率への影響を示さなかったが、GFP-PG1のみは限定された死滅活性を示した(図6B)。まとめると、データは、確立されたバイオフィルムに対するGFP-PG-1の抗微生物効果を相乗的に増強する、この組み合わされたアプローチの可能性を実証する(図6C)。
【0062】
ヒト歯周細胞による、様々なタグと融合したGFPの取込み
精製済GFP融合タンパク質は、ヒト培養細胞(例えばHPDLS、MMS、SCC-1、GMSC、AGKおよび骨芽細胞(OBC))と共にインキュベートした場合に興味深い結果を示した。各細胞系統について1つの代表的な画像のみを提示するが、取込み研究を3回反復で実施し、共焦点顕微鏡下で少なくとも10~15個の画像を記録した。融合タグがないと、試験したいずれのヒト細胞系統にもGFPが侵入しなかった。CTB-GFPおよびPTD-GFPの両方は、これらの局在化パターンは異なっていたが、試験した細胞型全てに効率的に侵入した。CTB-GFPとのインキュベーションでは、GFPシグナルは、HPDLSCおよびMMSCの末梢、SSC-1中の、AGK中の、OBC中の一様に小さい細胞質点、およびGMSC中の大きな細胞質フォーカス(cytoplasmic focus)に主に局在化した。PTD-GFPを、MMSC中の小さい細胞質フォーカスとして、HPDLSC中の、GMSC中の、AGK中の、OBC中の様々なサイズの細胞質点として、ならびにSSC-1細胞の細胞質および末梢の両方で観測された。PG1-GFPは、試験したヒト細胞全てへの侵入において最も効率的なタグであり、なぜならば、GFPは、あらゆる他の融合タンパク質と比べて10倍低い濃度で局在化し得たからである。PG1-GFPは、もっぱらHPDLCS細胞、SCC-1細胞、GMSC細胞およびAGK細胞で細胞質局在化を示し、MMSCでは末梢およびサイトゾルの両方に局在化したが、OBCの末梢にのみ局在化した。RC101-GFPは、SSC-1、GMSC、AGKおよびOBCでは局在化したが、HPDLSCでの局在化はごくわずかであり、MMSC細胞では検出不能であった。
【0063】
考察および結論
う蝕原性口腔バイオフィルムの構築は、細胞外EPSマトリックスが発達するにつれて、病原性細菌が表面(歯)上にどのように蓄積されるかの主な例である。う蝕原性バイオフィルム形成の予防は、局所処置による歯表面上での細菌蓄積の破壊を必要とする。クロルヘキシジン(CHX)は局所抗微生物療法の「ゴールドスタンダード」と見なされている(Flemmig and Beikler 2011;Marsh et al 2011;Caufield et al 2001)。CHXは唾液中のミュータンス連鎖球菌レベルを効率的に抑制するが、CHXは歯の汚れおよび歯石形成等の有害な副作用を有し、日々の予防または治療的使用には推奨されていない(Autio-Gold 2008)。代替として、いくつかの抗微生物ペプチド(AMP)が開発されて口腔細菌に対して試験されており、(浮遊細胞に対する効果は減少しているが)バイオフィルムに対して潜在的な効果を示している(Silva et al.,2012により概説されている)。残念ながら、これらの研究のほとんどは、臨床的に使用されているような局所処置レジメンではなくAMPへの連続的な長期バイオフィルム暴露(数時間)を使用して抗バイオフィルム効率を試験した。さらに、合成AMPは製造コストが高く、歯科用途には負担しきれないものになっている。ここで、本発明者らは植物により産生されるAMPが、歯代用物表面の単回で短期の局所処理により、バイオフィルム形成の制御において強力な効果を示すことを示した。
【0064】
発生したう蝕原性バイオフィルムは、バイオフィルムの処理および除去を非常に困難にするEPSマトリックスに埋まった細菌を特徴とする(Paes Leme et al 2006;Koo et al 2013)。EPSリッチマトリックスは、微生物の付着、凝集および保護ならびに拡散の妨害を容易にする(Koo et al 2013;Flemming and Wingender 2010。EPSマトリックスはバイオフィルム中に空間的な且つ微小環境的な不均一性(病原体の増殖および抗菌剤に対する保護を局所的に調節する)を作り、歯の表面上でのバイオフィルムの強固な付着を保証する高度に粘着性の足場も作る(Flemming and Wingender 2010;Peterson et al.2015)。CHXは、形成されたう蝕原性バイオフィルムに対する効果がはるかに低い(Hope and Wilson,2004;Van Strydonck et al 2012;Xiao et al.,2012)。EPSは、不溶性(α1、3連結グルコースの含有量が高い)グルカンと可溶性(大部分がα1,6連結グルコース)グルカンとの混合物から主に構成されている(Bowen and Koo 2011)。そのため、バイオフィルムを破壊してう蝕を予防するためにEPSマトリックス分解性のデキストラナーゼまたはムタナーゼ(真菌由来)を使用する可能性が探求されており、市販の店頭薬口腔洗浄薬(例えばBiotene PBF)に含まれている。しかしながら、酵素単独の局所適用は、抗菌作用の欠如および口腔中での酵素活性の低下におそらく起因して(Balakrishnan et al 2000)、臨床的に中程度の抗バイオフィルム/抗う蝕効果を生じている(Hull 1980)。興味深いことに、近年のインビトロ研究は、融合したデキストラナーゼおよびムタナーゼから構成されているキメラグルカナーゼは、どちらかの酵素単独と比べて歯垢-バイオフィルムの破壊でより効果的であることを示している(Jiao et al 2014)。しかしながら、おそらく費用および製剤化と関連する困難さに起因して、抗微生物剤と両方のEPS-マトリックス分解酵素とを組み合わせて単回の治療システムにするアプローチは未だ開発されていない。本研究では、本発明者らは、PG1はマトリックス分解酵素と共に相乗的に且つ効率的に作用してう蝕原性バイオフィルムを破壊することを実証している。この実行可能で効果的な局所用抗バイオフィルムアプローチは、EPS消化酵素と組み合わされた抗微生物ペプチドを使用して同時にバイオフィルムマトリックスの足場を破壊し且つ埋まっている細菌を死滅させ得る。
【0065】
GFP融合体を伴うプロテグリンによる高レベルの抗微生物活性の保持は、バイオフィルムの破壊を超えて、口腔の健康を増進するための多くの臨床適用への扉を開く。バイオフィルムの破壊に加えて、歯肉組織での創傷治癒の増強は重要な臨床的必要性である。本発明者らは近年、プロテグリンおよびレトロサイクリンの両方がヒト肥満細胞に侵入して創傷治癒プロセスにおける重要なステップである脱顆粒を誘発し得ることを報告した(Gupta et al 2015)。従って、抗微生物ペプチドであるプロテグリンおよびレトロサイクリンは、バイオフィルム中の細菌の死滅で重要な役割を果たし且つ肥満細胞の脱顆粒を介して創傷治癒を開始する。加えて、細胞付着を増強し、骨形成、血管新生、骨再生、骨芽細胞または内皮細胞の分化を刺激するためには、成長ホルモンまたは他のタンパク質を効率的に送達することが重要である。既に同定された細胞透過性ペプチドにはいくつかの制限がある。CTBは、偏在するGM1受容体を介して全ての細胞型に侵入し、これにはCTBの五量体形態が必要される。その一方で、PTDは免疫細胞に侵入しない(Xiao et al 2016)。
【0066】
本研究では、本発明者らは、PG1-GFPまたはRC101-GFPの歯周細胞および歯肉細胞に侵入する能力を試験した。PG1-GFPは歯周または歯肉のヒト細胞への侵入において最も効率的なタグであり、なぜならば、GFPシグナルはあらゆる他の融合タンパク質と比べて10倍低い濃度であっても検出され得たからである。細胞内局在化に多少の変化があったが、PG1-GFPはHPDLSC、SCC-1、GMSC、AGK、MMSCおよびOBCに効率的に侵入した。対照的に、RC101-GFPはSCC-1、GMSC、AGKおよびOBCに侵入したが、HPDLSC細胞およびMMSC細胞でのRC101-GFPの局在化は乏しかった、または検出不能であった。従って、本研究は、口腔の健康を増進するための骨芽細胞、歯根膜細胞、歯肉上皮細胞または線維芽細胞への薬物の送達でのプロテグリンの新規の役割を同定している。
機械的粉砕により、植物細胞中で合成されたタンパク質薬物を放出することが実行可能であり、チューインガムに埋め込まれた凍結乾燥植物細胞に生体カプセル封入された(bioencapsulated)タンパク質薬物は、より長い持続期間のために、それらの緩慢な且つ徐放のための薬物送達を理想的な様式を提供する。これにより、現在の口腔リンス製剤の主要な制限(歯肉/歯の表面上での抗微生物剤の接触の短い持続期間)が克服される。
【0067】
局所適用を超えて、植物細胞中で発現されたプロテグリンと融合したタンパク質薬物は、非侵襲的様式で歯肉組織のより深い組織へと経口送達されて患者の服薬遵守を増加させ得る。植物に生体カプセル封入されたタンパク質薬物は、その効力を失うことなく室温で何年にもわたり貯蔵され得る(Su et al 2015;Daniell et al 2016)。現在のタンパク質薬物の高コストは、法外に高価な発酵、精製、低温での輸送/貯蔵、短い品質保証期間および滅菌送達方法に起因する。

これらの課題は全て、口腔の健康を増進するためにこの新規の薬物送達概念を使用することで解消される可能性がある。タンパク質薬物の製造のための植物細胞の近年のFDA承認(Walsh 2014)は、この新規の概念の臨床上での進歩にとって良い兆候である。
【0068】
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【0069】
実施例II
AMP、バイオフィルム分解酵素およびこれらの融合タンパク質を発現する葉緑体ベクターの作製
抗微生物剤が、微生物の集団に絡み付いて保護する周囲の細胞外マトリックス内に存在するこの集団に到達しないことが多いことから、バイオフィルム関連感染の効果的な処置は、問題がある。さらに、バイオフィルム関連の口腔疾患および口腔の健康の維持に対する新規の治療法の開発は、対費用効果が高く且つ容易に利用可能であることが必要である。
【0070】
試薬の継続的な供給を確保するために、デキストラナーゼ/ムタナーゼおよびプロテグリン/レトロサイクリンを、タバコおよび他の植物(例えばレタス)の葉緑体中で独立しておよび融合タンパク質として発現させる。タンパク質が産生されて低コスト精製戦略で使用されるだろう。タバコ植物は百万もの種子を生じ、そのため生産を容易にスケールアップさせることが実行可能である。1エーカーのタバコから最大40メートルトンのバイオマスが生産され、AMP、酵素およびこれらをコードする融合構築物の低コストで大規模な生産が容易になる。別のアプローチでは、これらのタンパク質をレタス等の食用植物中で産生させる。
【0071】
いくつかのデキストラナーゼ(Dex)およびムタナーゼ(Mut)が真菌および細菌から単離されてそれらの酵素活性について特徴付けられている。最適なデキストラナーゼ酵素およびムタナーゼ酵素は、ヒト口腔環境に適した酵素特性を有するべきである。短期間の口腔処置に基づくと、両方のタイプのEPS(デキストランおよびムタン)に対する、歯垢-バイオフィルムへの強い結合/保持特性および触媒活性が非常に望ましい。市販のデキストラナーゼ含有口腔洗浄薬(例えばBiotene)に添加される酵素は、真菌(ペニシリウム(Penicillium)種およびケトミウム・エラチカム(Chaetomium erraticum))に主に由来する。しかしながら、真菌性デキストラナーゼは、細菌性デキストラナーゼ(35~40℃)と比べて高い温度最適条件(50~60℃)を示す。さらに、細菌性デキストラナーゼは口腔温度(約37℃)でより安定で且つより効果的であり、う蝕予防に適している。近年、アルスロバクター種(Arthrobacter sp)株Arth410由来のデキストラナーゼは、真菌性デキストラナーゼと比較した場合に、口腔内でおよびう蝕原性バイオフィルム中で見出される最適な温度(35~45℃)およびpH値(pH5~7)で優れたデキストラン分解特性を示した。加えて、細菌性デキストラナーゼの局所適用は、真菌性デキストラナーゼ(dextranse)と比べてインビボでのう蝕の低減で、より効果的である。同様に、パエニバチルス種(Paenibacillus sp.)株RM1由来の細菌性ムタナーゼは、3分にわたるバイオフィルムとの最初のインキュベーションに続いて、このムタナーゼの除去後であっても、6時間のインキュベーションによりバイオフィルムが効果的に分解されたこと示す。
また、他の微生物種と比較した場合に、RM1ムタナーゼはバイオフィルム分解特性の増強を示す。特に、真菌性酵素はグリコシル化を必要とし、このグリコシル化は葉緑体中での真菌性酵素の発現を妨げる。
加えて、ヒト系での糖タンパク質の免疫原性は、さらなる規制上の懸念を生じさせる場合がある。従って、本発明は、葉緑体中での発現のための細菌性デキストラナーゼおよび細菌性ムタナーゼの使用を含む。
【0072】
葉緑体中でのArth410デキストラナーゼおよびRM1ムタナーゼタンパク質の産生を増加させるために、両方の配列は葉緑体発現にコドン最適化されている。図9Aおよび図9Bを参照されたい。
【0073】
レトロサイクリンおよびプロテグリン。
AMPの合成を最大化し且つ毒性を低減するために、図10に示すようにプロテアーゼ開裂部位により分離された、PG1またはRC101の10個のタンデムリピートを用いる。発現遺伝子の各コピーに関して、PG1またはRC101の10個の機能的コピーが作られる。この目的のために、本発明者らはタバコエッチウイルス(TEV)プロテアーゼを選択しており、このプロテアーゼは、高い特異性および7個のアミノ酸からなる短い開裂部位を有する。あるいは、フリン開裂部位も用い得る。このベクターを、バイオフィルム分解酵素をコードする核酸を含むようにも操作し得る。このコード領域を、AMPを発現するために利用されるプロモーター下で発現させ得る、または第2のプロモーター領域に作動可能に連結されたベクターに連結し得る。バイオフィルム分解酵素コード配列はまた、この酵素の放出を容易にするためにTEVプロテアーゼ開裂部位も含み得る。このアプローチにより、化学的開裂方法と比べて安全できれいな選択肢が提供される。最も重要なことに、融合タンパク質中の個々のPG1ペプチドは開裂前に二次構造体を形成せず、そのため宿主産生系にとって致命的であり得る機能的ペプチドの蓄積が回避される。実施例Iで開示された方法を使用して、開裂したPG1/RC101、バイオフィルム分解酵素またはこれらの融合タンパク質の抗微生物活性を使用してバイオフィルムを分解し得る。
【0074】
上記で述べたように、AMP/バイフィルム分解酵素をコードする配列を、pLD等の葉緑体形質転換ベクターへの挿入前に任意選択でコドン最適化する。葉緑体形質転換は二重相同組換え事象に依存する。従って、葉緑体ベクターは、目的の異種タンパク質をコードする発現カセットに隣接する、葉緑体ゲノムに対する相同領域を含み、この相同領域は、いかなる機能的遺伝子も破壊することなく葉緑体ゲノムの遺伝子間スペーサー領域への導入遺伝子カセットの挿入を容易にする。任意の遺伝子間スペーサー領域を使用して導入遺伝子を挿入する可能性があるが、導入遺伝子の組込みに最も一般的に使用される部位は(rrnオペロン中の)trnI-trnA遺伝子間の転写的に活性な遺伝子間領域であり、葉緑体ゲノムのIR領域内に位置する(図10)。大腸菌(E.coli)と葉緑体との間での同様のタンパク質合成機序により、コドン最適化の効率を大腸菌(E.coli)でも評価し得、次いで植物を作製し得る。両方の系を、AMP、バイオフィルム分解酵素またはこれらの融合タンパク質の発現ならびにAMPまたは酵素活性の精製および評価に使用する可能性がある。
【0075】
精製戦略
疎水性相互作用カラム(HIC;TOSOH Butyl Toyopearl 650m)を使用して、緑色蛍光タンパク質(GFP)と融合したPG1を精製し得る。GFPはHICに選択的に結合し、Rc101/PG1を>90%の純度まで促進する。高価なHICクロマトグラフィー法の使用にもかかわらず、回収率は非常に悪い(<20%)。この問題に取り組んで収率を高めるために、エラスチン様バイオポリマーを有するPG1の10個のタンデムリピート(GVGVP(配列番号11);図10)をベクターに遺伝子操作する。このバイオポリマーは、このバイオポリマーの逆転移温度(Tt)を超えて温度が上昇すると溶液から沈殿するという独特な熱的性質を有する。GVGVPは、Tt未満では可溶性単量体状態に留まり、Ttを超えると不溶性凝集体を形成する。可溶性状態から不溶性状態へのこの相転移は溶液の温度を変更することにより可逆的であり、これによりタンパク質精製が容易になる。その後、融合タンパク質を、Tt未満に冷却することにより再び可溶化させて、図11に示すように共沈殿したあらゆる不溶性混入物を除去する。加熱(37℃)および冷却(4℃)のプロセスは逆転移サイクリング(ITC)として既知であり、3~5回のラウンドのITCを実施することにより高度に精製されたタンパク質が得られる(>98%純度、図11)。
【0076】
代替アプローチでは、大腸菌(E.coli)中での発現のためにシグナルペプチドをデキストラナーゼまたはムタナーゼと融合させ、このシグナルペプチドにより酵素が細胞外培地に分泌される。加えて、分泌タンパク質は、この分泌タンパク質がジスルフィドイソメラーゼ、フォルダーゼ(foldase)およびシャペロンが存在する周辺質環境を通過する最中に、大腸菌(E.coli)の2つの膜系を通過するはずである。従って、分泌タンパク質の正確な折り畳みおよびジスルフィド結合形成が酵素により容易になり、タンパク質の生物学的活性が増強される(AMPにとって理想的)。この産生戦略の別の利点は、組換えタンパク質の安定性の増強に役立つ、培養培地中での低レベルのタンパク質分解活性である。この分泌タンパク質のシグナル配列は輸送プロセスの最中に開裂され、天然タンパク質にとって真のN末端が作られる。タンパク質を細胞外培地へと移動させるのに有用ないくつかの分子(例えばTAT依存性経路、SRP依存性経路またはSecB-依存性経路)が存在する。しかしながら、独立して機能するのではなく、様々な経路が互いに密接に相互作用する。SRP依存性経路およびSecB依存性経路の両方が単一タンパク質の標的化で一緒に機能し得る。また、Sec欠乏条件下では、Sec経路の基質の移行をTAT系により救出し得る。
【0077】
多数のシグナル配列の中でも、外膜プロテインA(OmpA)およびSeqX(lacZ由来)シグナルペプチドは優れた輸送機能を示し、それぞれ最大4g/Lおよび1g/Lで細胞外培地中に融合タンパク質を輸送し得る。従って、これらのシグナル配列を、Arth 410 DexおよびRM1 Mutの細胞外環境への効率的な輸送に使用する。培地に輸送されたデキストラナーゼおよびムタナーゼの蓄積をタンパク質定量および酵素アッセイで測定する。
【0078】
大腸菌(E.coli)中でのこれらのタンパク質の発現に成功している。図12に示すウエスタンブロット結果を参照されたい。こられの配列を含む葉緑体ベクターをタバコまたはレタスの葉に打ち込み、デキストラナーゼ(extranase)/ムタナーゼ/AMPタンパク質の大規模産生が可能な植物を作製する。大規模バイオマスの収穫後、葉を凍結乾燥させて室温で貯蔵する。別のアプローチでは、臨床的に証明された抗う蝕化合物(例えばフッ化物250ppm)および広域殺菌剤クロルヘキシジン0.12%を含有させて、これらの薬剤が効力を増大させるかどうかを評価し得る。
【0079】
AMP-酵素の組み合わせは、インビボでのう蝕原性バイオフィルム形成および空洞形成の発生を効率的に妨げる。さらに、AMP-酵素融合タンパク質は、抗微生物療法およびう蝕予防に関して現在の化学療法よりも優れているように見える。
【0080】
既に述べたように、有効なAMP-酵素(独立してまたは組み合わせで)を、大規模GLP産生および安定性の評価のために、内在性レタス調節エレメントの制御下にてレタス葉緑体中で発現させ得る。重要な利点は、法外に高価な精製プロセスの排除による、より低い製造コストである。AMP/酵素を発現する凍結乾燥葉材料を、これらの完全性および機能性を維持しつつ数ヶ月または数年にわたり周囲温度で貯蔵し得る。図13を参照されたい。長期貯蔵に加えて、タンパク質薬物濃度の増加および微生物混入の低減は他の利点である。凍結乾燥後のレタス葉は、新鮮な葉と比較した場合にタンパク質薬物濃度の20~25倍の増加を示しており、それにより経口送達または局所送達に使用される材料の量が低減された。凍結乾燥の後、植物材料をチューインガムに組み込んで、この植物材料に含まれるバイオフィルム分解組成物を送達し得る。
【0081】
AMP/酵素またはこれらの融合体を製造する工程を図12に示す。本発明のタンパク質の発現に有用なレタス葉緑体ベクターは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第12/059,376号明細書で既に説明されている。レタス葉緑体中でのプロインスリンの様な治療用タンパク質の場合には総タンパク質の最大70%の発現レベルが、この系を使用して達成され得る。
【0082】
食用植物中で発現されたAMP-酵素は、口腔疾患の処置ならびにう蝕形成の予防および阻害に使用される場合に好ましくは経口的に(局所的に)送達される。口腔内での植物細胞の溶解を増強するために、AMP/酵素発現植物細胞を、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第12/396,382号明細書で説明されている細胞壁分解酵素を発現する植物細胞と任意選択で混合する。
【0083】
チューインガム錠調製物を図14に示す。目的のタンパク質の例としてGFPを使用した場合には、このデータはチューインガム錠に組み込まれ得るGFPの量を示す。GFPレベルを蛍光およびウエスタンブロットの両方で評価した。結果を図15に示す。本発明者らは、図16に示すチューイングシミュレータおよび人工唾液を用いて、GFPを含むガム錠からのGFP放出動態を評価した。図17は、組換えレタス中に存在する様々な量のGFPを含むガム錠からの経時的な放出動態を説明するグラフを示す。
【0084】
これらのデータから、本発明のAMP-酵素融合タンパク質を含むガム錠は、細菌の死滅および歯垢またはバイオフィルムの分解を達成するのに適した期間にわたり活性物質を送達することが明らかである。しかしながら、Listerine等の口腔リンスも用いて本発明のAMP-酵素融合タンパク質または組み合わせを送達し得る。図18は、Listerineと混合された本発明の酵素を含む粗抽出物が、調製するのに非常にコストが嵩む、商業的に製造されて精製された酵素と同じくらい効果的であることを示す。このデータから、様々な組み合わせ(異なる比率および量の両方)での二重酵素が用量依存的にS.ミュータンス(S.mutans)バイオフィルムのバイオマスを著しく低減したことが明らかである。様々な組み合わせの中でも25U Dexおよび5U Mut(5:1,Dex:Mut比)が最も効果的であり、120分以内に総バイオマスの80%超が分解された。さらなる実験により、5:1のDex/Mut活性比が、Listerineによる、EPS分解および細菌の死滅の両方に関して最高の有効性を示すことを確認した。エキサイティングなことに、二重酵素による前処置により、Listerineに媒介される細菌の死滅の有効性が劇的に増強された(ビヒクルによる前処置およびListerineに対して>3対数減少)。第3の酵素の含有により、全体的な抗バイオフィルム活性がさらに増強された。さらに、混合種モデルからの結果は、酵素による前処置の後にListerineを使用した場合に、二重酵素の組み合わせが全体的な抗菌活性を増強し得るだけでなく、(共生/プロバイオティックS.オラリス(S.oralis)の割合を増加させつつ)S.ミュータンス(S.mutans)優性の標的化減少も誘導し得ることも示した。従って、酵素+Listerine戦略は、病原体S.ミュータンス(S.mutans)を選択的に標的とし、その一方で共生S.オラリス(S.oralis)の割合を増加させ、それにより混合種バイオフィルム内の微小生態学的不均衡を予防すべきである。
【0085】
AMPは、抗微生物活性に加えて、先天免疫および創傷治癒を刺激する能力を有する。このAMPの抗微生物特性に加えてこのAMPの新規の肥満細胞宿主防御特徴を利用することにより、このAMPの臨床的応用が拡大される。バイオフィルムに関連するう蝕は、局所用治療薬の開発の最も挑戦的なモデルである。開発された場合には、そのような局所薬剤送達を他のバイオフィルムに容易に適合させ得、なぜならば、マトリックス形成は多くの他のバイオフィルム関連疾患での薬効を妨げるからである。マトリックスは全てのバイオフィルムに固有であり、そのため、この適用は口腔内のバイオフィルムを超える。本明細書で説明されているバイオフィルム阻害組成物を、疾患の処置のために人体に挿入されたコーティングステント、人工関節、インプラント、バルブおよび他の医療機器でも用い得る。
【0086】
上記で論じたように、AMP/酵素またはこれらを発現する葉を、口腔疾患の処置のためのこれらの効果的な局所適用のためにチューインガムに組み込み得る。本組成物を、Listerine等の口腔リンスにも組み込み得る。既に述べたように、そのようなガムまたは口腔リンスに、フッ化物またはCHX等の他の抗う蝕剤を含めてもよい。
【0087】
下記の表2中の参考文献は、様々な生物学的供給源に由来する多くの異なるムタナーゼを説明する。これらの参考文献のそれぞれが参照により本明細書に組み込まれる。
【0088】
【表2】
【0089】
本発明の実施で有用なさらなるバイオフィルム分解酵素コード配列として下記が挙げられるがこれらに限定されない。
【0090】
I)パエニバチルス・ヒュミカス(Paenibacillus humicus)NA1123
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/nuccore/AB489092も参照されたい
Genbank AB489092
全長:1,146
質量(Da):119,007
参考文献:Otsuka R,et al.Microbiol Immunol.2015 Jan;59(1):28-36.
【0091】
2.パエニバチルス・ヒュミカス(Paenibacillus humicus)NA1123由来のムタナーゼのタンパク質配列
>gi|257153265|dbj|BAI23187.1|putative mutanase[Paenibacillus humicus]
MRIRTKYMNWMLVLVLIAAGFFQAAGPIAPATAAGGANLTLGKTVTASGQSQTYSPDNVKDSNQGTYWESTNNAFPQWIQVDLGASTSIDQIVLKLPSGWETRTQTLSIQGSANGSTFTNIVGSAGYTFNPSVAGNSVTINFSAASARYVRLNFTANTGWPAGQLSELEIYGATAPTPTPTPTPTPTPTPTPTPTPTVTPAPSATPTPTPPAGSNIAVGKSITASSSTQTYVAANANDNNTSTYWEGGSNPSTLTLDFGSNQSITSVVLKLNPASEWGTRTQTIQVLGADQNAGSFSNLVSAQSYTFNPATGNTVTIPVSATVKRLQLNITANSGAPAGQIAEFQVFGTPAPNPDLTITGMSWTPSSPVESGDITLNAVVKNIGTAAAGATTVNFYLNNELAGTAPVGALAAGASANVSINAGAKAAATYAVSAKVDESNAVIEQNEGNNSYSNPTNLVVAPVSSSDLVAVTSWSPGTPSQGAAVAFTVALKNQGTLASAGGAHPVTVVLKNAAGATLQTFTGTYTGSLAAGASANISVGSWTAASGTYTVSTTVAADGNEIPAKQSNNTSSASLTVYSARGASMPYSRYDTEDAVLGGGAVLRTAPTFDQSLIASEASGQKYAALPSNGSSLQWTVRQGQGGAGVTMRFTMPDTSDGMGQNGSLDVYVNGTKAKTVSLTSYYSWQYFSGDMPADAPGGGRPLFRFDEVHFKLDTALKPGDTIRVQKGGDSLEYGVDFIEIEPIPAAVARPANSVSVTEYGAVANDGKDDLAAFKAAVTAAVAAGKSLYIPEGTFHLSSMWEIGSATSMIDNFTVTGAGIWYTNIQFTNPNASGGGISLRIKGKLDFSNIYMNSNLRSRYGQNAVYKGFMDNFGTNSIIHDVWVEHFECGMWVGDYAHTPAIYASGLVVENSRIRNNLADGINFSQGTSNSTVRNSSIRNNGDDGLAVWTSNTNGAPAGVNNTFSYNTIENNWRAAAIAFFGGSGHKADHNYIIDCVGGSGIRMNTVFPGYHFQNNTGITFSDTTIINSGTSQDLYNGERGAIDLEASNDAIKNVTFTNIDIINAQRDGVQIGYGGGFENIVFNNITIDGTGRDGISTSRFSGPHLGAAIYTYTGNGSATFNNLVTRNIAYAGGNYIQSGFNLTIK(配列番号12)
【0092】
3.パエニバチルス・ヒュミカス(Paenibacillus humicus)NA1123由来のmRNAの配列
>gi|257153264|dbj|AB489092.1|Paenibacillus humicus mut gene for putative mutanase,complete cds
1 aaaggaggat cgccaaccaa tcatcccagc aaagaaggtg atggcagccc aagaattgaa
61 agcgctttga atttggaata tacggatttg gccgacctgc tgattcagtc gtattcaagc
121 gattatgccg cgaaccaatc gaacccgagg aggactataa tgcgtatccg cactaaatat
181 atgaactgga tgttggtgct cgtcctgatc gccgccggct tcttccaggc tgccggcccc
241 atcgctcccg ccaccgctgc aggaggcgcg aatctgacgc tcggcaaaac cgtcaccgcc
301 agcggccagt cgcagacgta cagccccgac aatgtcaagg acagcaatca gggaacttac
361 tgggaaagca cgaacaacgc cttcccgcag tggatccaag tcgaccttgg cgccagcacg
421 agcatcgacc agatcgtgct caagcttccg tccggatggg agactcgtac gcaaacgctc
481 tcgatacagg gcagcgcgaa cggctcgacg ttcacgaaca tcgtcggatc ggccgggtat
541 acattcaatc catccgtcgc cggcaacagc gtcacgatca acttcagcgc tgccagcgcc
601 cgctacgtcc gcctgaattt cacggccaat acgggctggc cagcaggcca gctgtcggag
661 cttgagatct acggagcgac ggcgccaacg cctactccca cgcctactcc aacaccaacg
721 ccaacgccaa caccaacgcc aacccctaca gtaacccctg cgccttcggc cacgccgact
781 ccgactcctc cggcaggcag caacatcgcc gtagggaaat cgattacagc ctcttccagc
841 acgcagacct acgtagctgc aaatgcaaat gacaacaata catccaccta ttgggaggga
901 ggaagcaacc cgagcacgct gactctcgat ttcggttcca accagagcat cacttccgtc
961 gtcctcaagc tgaatccggc ttcggaatgg gggactcgca cgcaaacgat ccaagttctt
1021 ggagcggatc agaacgccgg ctccttcagc aatctcgtct ctgcccagtc ctatacgttc
1081 aatcccgcaa ccggcaatac ggtgacgatt ccggtctccg cgacggtcaa gcgcctccag
1141 ctgaacatta cggcgaactc cggcgcccct gccggccaga ttgccgagtt ccaagtgttc
1201 ggcacgccag cgcctaatcc ggacttgacc attaccggca tgtcctggac tccgtcttct
1261 ccggtcgaga gcggcgacat tacgctgaac gccgtcgtca agaacatcgg aactgcagct
1321 gcaggcgcca cgacggtcaa tttctacctg aacaacgaac tcgccggcac cgctccggta
1381 ggcgcgcttg cggcaggagc ttctgcaaat gtatcgatca atgcaggcgc caaagcagcc
1441 gcaacgtatg cggtaagcgc caaagtcgac gagagcaacg ccgtcatcga gcagaatgaa
1501 ggcaacaaca gctactcgaa cccgactaac ctcgtcgtag cgccggtgtc cagctccgac
1561 ctcgtcgccg tgacgtcatg gtcgccgggc acgccgtcgc agggagcggc ggtcgcattt
1621 accgtcgcgc ttaaaaatca gggtacgctg gcttccgccg gcggagccca tcccgtaacc
1681 gtcgttctga aaaacgctgc cggagcgacg ctgcaaacct tcacgggcac ctacacaggt
1741 tccctggcag caggcgcatc cgcgaatatc agcgtgggca gctggacggc agcgagcggc
1801 acctataccg tctcgacgac ggtagccgct gacggcaatg aaattccggc caagcaaagc
1861 aacaatacga gcagcgcgag cctcacggtc tactcggcgc gcggcgccag catgccgtac
1921 agccgttacg acacggagga tgcggtgctc ggcggcggag ctgtcctgag aacggcgccg
1981 acgttcgatc agtcgctcat cgcttccgaa gcatcgggac agaaatacgc cgcacttccg
2041 tccaacggct ccagcctgca gtggaccgtc cgtcaaggcc agggcggtgc aggcgtcacg
2101 atgcgcttca cgatgcccga cacgagcgac ggcatgggcc agaacggctc gctcgacgtc
2161 tatgtcaacg gaaccaaagc caaaacggtg tcgctgacct cttattacag ctggcagtat
2221 ttctccggcg acatgccggc tgacgctccg ggcggcggca ggccgctctt ccgcttcgac
2281 gaagtccact tcaagctgga tacggcgttg aagccgggag acacgatccg cgtccagaag
2341 ggcggtgaca gcctggagta cggcgtcgac ttcatcgaga tcgagccgat tccggcagcg
2401 gttgcccgtc cggccaactc ggtgtccgtc accgaatacg gcgctgtcgc caatgacggc
2461 aaggatgatc tcgccgcctt caaggctgcc gtgaccgcag cggtagcggc cggaaaatcc
2521 ctctacatcc cggaaggcac cttccacctg agcagcatgt gggagatcgg ctcggccacc
2581 agcatgatcg acaacttcac ggtcacgggt gccggcatct ggtatacgaa catccagttc
2641 acgaatccca atgcatcggg cggcggcatc tccctgagaa tcaaaggaaa gcttgatttc
2701 agcaacatct acatgaactc caacctgcgt tcccgttacg ggcagaacgc cgtctacaaa
2761 ggctttatgg acaatttcgg cactaattcg atcatccatg acgtctgggt cgagcatttc
2821 gaatgcggca tgtgggtcgg cgactacgcc catactcctg cgatctatgc gagcgggctc
2881 gtcgtggaaa acagccgcat ccgcaacaat cttgccgacg gcatcaactt ctcgcaggga
2941 acgagcaact cgaccgtccg caacagcagc atccgcaaca acggcgatga cggcctcgcc
3001 gtctggacga gcaacacgaa cggcgctccg gccggcgtga acaacacctt ctcctacaac
3061 acgatcgaga acaactggcg cgcggcggcc atcgccttct tcggcggcag cggccacaag
3121 gctgaccaca actacatcat cgactgtgtc ggcggctccg gcatccggat gaatacggtg
3181 ttcccaggct accacttcca gaacaacacc ggcatcacct tctcggatac gacgatcatc
3241 aacagcggca ccagccagga tctgtacaac ggcgagcgcg gagcgattga tctggaagct
3301 tccaacgacg cgatcaaaaa cgtcaccttc accaacatcg acatcatcaa tgcccagcgc
3361 gacggcgttc agatcggcta tggcggcggc ttcgagaaca tcgtgttcaa caacatcacg
3421 atcgacggca ccggccgcga cgggatatcg acatcccgct tctcgggacc tcatcttggc
3481 gcagccatct atacgtacac gggcaacggc tcggcgacgt tcaacaacct ggtgacccgg
3541 aacatcgcct atgcaggcgg caactacatc cagagcgggt tcaacctgac gatcaaatag
3601 gctgcaaaaa aaaggaagct cctcggagct tccttttttt(配列番号13)
【0093】
II)パエニバチルス・カードラノリティカス(Paenibacillus curdlanolyticus)MP-1
1.パエニバチルス・カードラノリティカス(Paenibacillus curdlanolyticus)MP-1由来のムタナーゼの一般情報
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/nuccore/HQ640944
Genbank HQ640944;全長:1,261;質量(Da):131,631
参考文献:Pleszczynska M,et al.Protein Expr Purif.2012 Nov;86(1):68-74.
【0094】
2.パエニバチルス・カードラノリティカス(Paenibacillus curdlanolyticus)MP-1由来のムタナーゼのタンパク質配列
>gi|315201261|gb|ADT91063.1|alpha-1,3-glucanase[Paenibacillus curdlanolyticus]
MRNKYVTWTLALTMLFSSFFLAVGPNKVVHAAGGTNLALGKNVTASGQSQTYSPNNVKDSNQSTYWESTNNAFPQWIQVDLGATTSIDQIVLKLPAGWGTRTQTLAVQGSTDGSSFTNIVGSAGYVFNPAVANNAVTINFSAASTRYVRLNVTANTAWPAAQLSEFEIYGAGGTTTPPTTPAGTYEAESAALSGGAKVNTDHTGYTGTGFVDGYWTQGATTTFTANVSAAGNYDVTLKYANASGSAKTLSVYVNGTKIRQTTLASLANWDTWGTKVETLSLNAGNNTIAYKYEASDSGNVNIDSIAVAPSTSTPVDPEPPITPPTGSNIAIGKAISASSNTQAFVAANANDNDTNTYWEGGAASSTLTLDLGANQNVTSIVLKLNPSSAWSTRTQTIQVLGHNQSTTTFSNLVSSQSYTFNPATGNSVTIPVTATVKRLQLSITANSGSGAGQIAEFQVYGTPAPNPDLTITGMSWTPASPIETDAVTLNATVKNSGNADAPATTVNFYLNNELVGSSPVGALAAGASSTVSLNVGTKTAATYAVSAKVDESNSIIEQNDANNSYTNASSLVVAPVASSDLVGATTWTPSTPVAGNAIGFMVNLKNQGTIASASGAHGITVVVKNAAGAALQSFSGTYSGAIAAGASVNVTLPGTWTAVNGSYTVTTTVAVDANELTNKQGNNVSTSNLVVYAQRGASMPYSRYDTEDATRGGGATLQTAPTFNQAQIASEASGQSYIALPSNGSSAQWTVRQGQGGAGVTMRFTMPDSTDGMGLNGSLDVYVNGVKVKTVSLTSYYSWQYFSGDMPGDAPSAGRPLFRFDEVHWKLDTPLQPGDTIKIQKGNGDSLEYGIDFLEIEPVPTAIAKPANSLSVTEYGAVANDGQDDLAAFKATVTAAVAAGKSVYIPAGTFNLSSMWEIGSANNMINNITITGAGYWHTNIQFTNPNAAGGGISLRISGQLDFSNVYMNSNLRSRYGQNAIYKGFMDNFGTNSKIHDVWVEHFECGMWVGDYAHTPAIYATGLVVENSRIRNNLADGINYSQGTSNSIVRNSSIRNNGDDGLAVWTSNTNGAPAGVNNTFSYNTIENNWRAGGIAFFGGGGHKADHNLIVDTVGGSGIRMNTVFPGYHFQNNTGITFSDNTLINTGTSQDLYNGERGAIDLEASNDAIKNVTFTNIDIINTQRDAIQFGYGGGFENIVFNNININGTGLDGVTTSRFAGPHKGAAIYTYTGNGSATFNNLTTSNVAYPGLNFIQQGFNLVIQ(配列番号14)
【0095】
3.パエニバチルス・カードラノリティカス(Paenibacillus curdlanolyticus)MP-1由来のmRNAの配列
1 atgcgcaaca agtatgtcac atggacgctc gccctgacga tgctattttc gagcttcttc
61 cttgcagtag gtcccaacaa ggtcgttcac gcagcaggcg gaacgaattt agcgctcggc
121 aaaaacgtta cggcaagcgg ccaatcgcaa acgtatagtc ccaacaatgt aaaagacagc
181 aatcaatcga cgtactggga aagcacgaac aatgcattcc cgcaatggat tcaagtagac
241 ttaggcgcaa cgacgagcat tgaccaaatc gtactgaagc tgcccgctgg atggggtacg
301 cgtacgcaaa cgttagctgt tcaaggaagc acggacggtt cctcgttcac gaatatcgtg
361 ggctccgcag gctatgtatt taatcctgct gttgccaata acgccgttac gattaacttc
421 tctgctgcaa gcacgcgtta tgttcgtctg aacgtaacag cgaacacggc ttggccagca
481 gcgcagctgt ccgaattcga gatttatggc gctggcggca cgacgacgcc tccaacaacg
541 ccagcaggca catatgaagc tgaatccgca gcattgtccg gcggtgcgaa agtgaacacg
601 gatcataccg gctacacggg tacgggcttt gttgacggct actggacaca aggcgcgaca
661 acgacgttca cggctaacgt gtccgcagct ggcaactatg acgttacatt gaaatatgcc
721 aacgcaagcg gcagtgccaa gacgctaagc gtttacgtca acggcacgaa gattcgccag
781 acgacgctgg caagcctggc aaactgggac acttggggca cgaaggttga gacgctgagc
841 ttgaatgccg gcaataatac gattgcatac aagtatgagg ctagcgactc gggcaacgtg
901 aatatcgact ccattgccgt ggcgccatcg acttcgacac cggtagatcc agaaccgccg
961 atcacgccgc caacgggcag caatatcgca atcggcaaag cgatcagcgc atcttcgaat
1021 acgcaagcat tcgtagctgc caacgcgaac gataacgata cgaacacgta ctgggaaggc
1081 ggagctgcat cgagcacgct gacgctggat cttggcgcga accaaaatgt aacctcgatc
1141 gtgctgaagc tgaatccttc ttcggcatgg agcacgcgta cgcaaacgat ccaagtgctt
1201 ggccacaacc aaagcacgac gacgttcagc aatctggtat cttcgcaatc gtatacgttc
1261 aatcctgcaa cgggcaactc cgtgacgatt ccggttacgg caacagttaa gcgcttgcag
1321 ctgagcatta cggcgaactc gggttccggc gctggtcaaa ttgcggaatt ccaagtgtat
1381 ggaacgccgg caccaaaccc agacctgacg atcacaggca tgtcctggac gcctgcttcg
1441 ccaattgaaa cggatgcagt tacgctgaat gcaacggtta aaaacagcgg aaatgcagac
1501 gctcctgcaa cgacggtaaa cttctacctg aacaatgagc tcgtaggctc ctcgccagtt
1561 ggcgcacttg ctgcaggcgc ttcctcgacg gtttcgctga atgttggtac gaaaacggct
1621 gcaacttatg cagttagcgc gaaagtcgat gagagcaatt cgattatcga gcaaaatgat
1681 gcgaacaaca gttatacgaa cgcatcctcg ctcgtcgtcg ctcctgtcgc aagctctgac
1741 ttggttggcg cgacgacgtg gacgcctagc acgccggttg ccggcaatgc aattggcttc
1801 atggtaaatc ttaaaaacca aggaacgatt gcatctgcaa gcggcgcgca tggcattaca
1861 gttgtcgtga aaaatgccgc aggcgctgcg ctccaatcgt tcagcggcac ctacagcgga
1921 gcaatcgcag ctggcgcatc cgttaacgta accctgccag gtacgtggac ggctgtgaat
1981 ggcagctaca cggtaacgac aacggttgct gtcgatgcta acgagctgac gaacaaacaa
2041 gggaacaacg taagcacttc gaacctcgtt gtttatgcac aacgtggcgc aagcatgcct
2101 tacagccgtt atgacacgga agacgctaca cgtggcggcg gtgcaacgct gcaaaccgca
2161 ccaaccttca accaagcgca aatcgcttcg gaagcatccg gacaaagcta tatcgcgctg
2221 ccttcgaacg gctcctccgc acaatggacg gtccgtcaag gacaaggcgg agctggcgtt
2281 acgatgcgct tcacgatgcc ggattcgact gacggtatgg gtttgaacgg ttcgctcgac
2341 gtttatgtca acggcgttaa agtaaaaacg gtatcgctca cgtcctacta cagctggcag
2401 tatttctcgg gcgatatgcc tggcgatgcg ccgtccgctg gccgtccgtt gttccgcttt
2461 gacgaagtac actggaagct tgacacgcct cttcaaccag gcgacacgat caaaatccaa
2521 aaaggcaacg gagatagcct ggaatacggc attgacttcc tcgaaatcga gccggttcca
2581 acagcaatcg ctaaacctgc caactcgctt tccgttacgg agtatggcgc tgtagcaaac
2641 gatggccaag acgaccttgc cgcattcaaa gcaacggtta cggctgcagt tgctgctggc
2701 aaatccgttt acattcctgc tggcacgttc aatctgagca gcatgtggga aatcggatcg
2761 gctaacaaca tgatcaacaa cattacgatt acaggcgcag gctactggca tacgaacatt
2821 caattcacga atccgaatgc agcaggcggc ggcatttcgc tccggatttc cggacagctt
2881 gatttcagca atgtttacat gaactccaac ctgcgttcgc gttatggtca aaatgcgatt
2941 tacaaaggct tcatggacaa cttcggcaca aactccaaaa tccatgacgt atgggttgag
3001 cacttcgagt gcggcatgtg ggtaggcgat tacgcgcata cgccagcgat ctatgcaacg
3061 ggtcttgtcg ttgaaaacag ccggattcgc aacaaccttg cagacggcat caactactcg
3121 caaggcacga gcaattcgat cgtacgcaac agcagtatcc gcaataacgg tgatgacggt
3181 ctggcggttt ggacgagtaa cacgaatggc gcgccagcag gcgtgaacaa cacgttctcg
3241 tacaacacga tcgaaaacaa ctggcgtgca ggcggtatcg cattcttcgg cggcggcggc
3301 cacaaggctg accacaacct gatcgttgat acggttggcg gctccggcat ccggatgaac
3361 acggtattcc caggctacca cttccaaaac aacacgggta ttacgttctc cgacaacacg
3421 ctgatcaaca caggcacaag ccaagatttg tacaacggcg agcgcggtgc gatcgatctc
3481 gaagcatcga acgatgcaat caagaacgtc acgttcacga acatcgacat catcaacacc
3541 cagcgcgatg cgatacaatt cggctacggc ggcggattcg agaacatcgt atttaacaac
3601 attaacatta acggtacggg gcttgacggc gttacaacct cacggtttgc tggaccgcat
3661 aaaggtgctg caatctacac gtacacgggc aatggctctg caacgttcaa taacctgacg
3721 acgagcaacg tggcatatcc aggcttgaat ttcattcagc aaggctttaa tctggtgatc
3781 cagtag(配列番号15)
【0096】
III)パエニバチルス(Paenibacillus)種株RM1.
1.ムタナーゼの一般情報
Genbank E16590;全長:1,291;質量(Da):135kD
参考文献:Shimotsuura I,et al.Appl Environ Microbiol.2008 May;74(9):2759-65.
【0097】
2.パエニバチルス(Paenibacillus)種株RM1由来のムタナーゼのタンパク質配列
【化1】
ムタナーゼRM1の推定アミノ酸配列。シグナルペプチド領域に下線を引き、リンカー領域を四角に囲む。矢印は、このタンパク質のN末端ドメイン用の開裂部位を示す。DNA配列はGenBank受託番号E16590として登録された。(配列番号16)
【0098】
3.パエニバチルス(Paenibacillus)種株RM1由来のmRNAの配列
1 cccgggtacc agacctatcg ggaaaaacgc gagcggccct tcgcgcctta tgcgctacgg
61 acggtgctgg cgggcggttt gtttttcatc atcattcccc tgatgatcta cacggcatcg
121 tatatcccgt ttttgctcgt gccgggtccc ggacacgggt tgaaagacgt cgtctccgcc
181 cagaagttca tgttcaatta tcatagccgg cttaacgcca cccacccatt ctcgtcgctg
241 tggtgggagt ggcctctcat ccgcaagccg atctggtatt acggagccgc ggaattggcg
301 ccgggaaaaa tggcgagcat cgtgggcatg ggcaatccgg cggtgtggtg gacgggaacg
361 attgcggtaa tcgcggccct tcgctcggcc tggaagaagc gggaccggag catgaccgtc
421 gtcttcgttg gaatcgcctc gtcttatctt ccgtgggttt tcgtatccag actcaccttt
481 atttatcact ttttcgcttg cgttccgttt ctcgttcttt gcatcgttta ttggattcga
541 aaaatggaat agcgtaagcc gggatatcgg attgcgacgc tcctttacgc aggcgcggtt
601 ctggtgctgt tcattttgtt ttacccgatt ttgtcgggga ccgaaataga cgtttcttac
661 gcggaccgcg ttctgaagtg gttcggcggg tggatttttc acgggtaagc gagcgttgga
721 agcaaggaag ggaaggaaga cgagcgtctc cttcccgaaa tccatccaat atcttgaaat
781 tgcatacatt tttcgtaaga ttgcttctta tctgtctccc tcccctgttc ttataatggg
841 ggtatcccaa cgaaaggagg gtttgtaagc gctgtcagcs tgtttgccga aagttctcgc
901 atttgctgac ctacactttg aggaggagga atttaatgcg ctgcaaattt gtcgcatggt
961 cgcttgttac agccatgctg atggccagtt tgctgacggc tgtaggaccg ttcggccccg
1021 cttccgccgc gggaggaccg aatctgacgc cgggcaaacc cattacggcg agcggccaat
1081 cccaaaccta cagccctcag aacgtaaaag acggcaatca aaatacgtat tgggaaagca
1141 cgaacaacgc gttcccgcaa tggattcaag tggatttggg cgcaagcacg ggcatcgacc
1201 aaattgtgct gaagctgccc gcaagctggg aagcgcgcac gcaaacgctg gccgttcaag
1261 gcagcttgaa cggttcgacg ttcacggaca ttgtcggctc cgccaattat gtattcagtc
1321 cgtctgtcgg gaacaacacg gttacgatca actttaccgc gaccagcacg cgctacgtgc
1381 gcttgtatgt aacggccaac acgggctggc cggcggcgca gctgtccgaa ttcgaaattt
1441 acggctccgg cgaccagacg ccggcgcctg atacgtatca agccgaatcc gcggctctgt
1501 ccggcggcgc gaaagtcaac acggaccatg ccggatatat cggcacgggc tttgttgacg
1561 gttactggac gcaaggcgcg acgacgacct tttcggtcaa cgcgccgacg gcgggcaact
1621 acgatgtaac gctgaggtac ggcaacgcaa ccggcagcaa caaaacggta agcctctacg
1681 tcaatggagc gaagattcgc cagaccacgc tgcccagcct gcctaactgg gattcatgga
1741 gcagcaagac ggagacgctt aacctgaatg caggcagcaa caccattgcg tacaaatacg
1801 acccgggcga ttccggcaac gtcaatcttg accaaatcac ggtcgaagcg tcgacttcaa
1861 cgcctactcc tactccatcc cctactccta cacctacgcc aacgccgacg cctacgccta
1921 cgcctacacc cacacctact ccgaccccga cgcctacgcc tacacctaca cctacaccta
1981 cgccgacgcc tcctccgggc ggcaacatcg ccatcggcaa atcgatttcc gcatcctccc
2041 acacgcagac gtacgttgcg gagaacgcga acgataacga tgtcaacacg tactgggaag
2101 gcggcggcaa tccgagcacg ctgacgctcg atctcggagc gaactacaat attacgtcca
2161 tcgtgctgaa gctgaacccg tcctcgatat gggctgcgcg tacgcaaacg attcaagtgc
2221 tcggacacga tcagaacacg acgaccttca gcaatctggt ctcggcgaaa tcgtactcgt
2281 tcgatccggc ctccggcaat actgtgacca ttccggttac ggcgacggtg aaacgtttgc
2341 agttgaacat tacgtcgaac tccggcgccc cggccggaca agtcgccgag ttccaggtgt
2401 tcggcacgcc tgcgccgaat ccggacctga cgattaccgg catgtcctgg tcgccttctt
2461 ctccggttga gaccgacgcc attacgctaa acgcaacggt gaagaacaac gggaatgcca
2521 gcgccgcggc gaccaccgtc aatttctacc tgaacaacga gctggcgggt tccgcgccgg
2581 tagccgcgct ggcggcaggc gcttcggcaa cggtgccgct gaatgtcggc gcgaaaaccg
2641 ccgcgacata cgcggtcggc gccaaagtag acgagagcaa cgcggtcatc gagctgaacg
2701 agtcgaacaa cagctacacg aatccggctt cactcgttgt ggcccccgtt tccagctcgg
2761 atctggtggg cacggtttcg tggacgccga gcactccgat tgccaacaat gccgtttctt
2821 ttaacgtaaa tcttaaaaat caaggaacga ttgcttccgc cggcgggtct cacggcgtga
2881 cggtcgtgct taaaaatgct tccggttcga ccgttcaaac gttcagcggt tcctataccg
2941 gcagcctggc tccgggagcg tccgtcaaca tcacccttcc ggggacctgg acggcggcag
3001 ccggcagcta cacggtaacg gccaccgttg cggcagacgc caacgaactt ccgatcaagc
3061 aagccaacaa cgcgaacacc gcaagcctga ccgtatattc cgcccgcggc gcgagcatgc
3121 cgtacagccg gtatgacacc gaggacgcca ccctcggcgg cggcgccacg ctgaagtccg
3181 cgccgacatt cgatcaggcg cttacggcat cggaagccac cggccaactc tatgcggcgc
3241 tgccctcgaa cggctcctat cttcaatgga ccgtcagaca gggtcagggc ggcgcaggcg
3301 tgacgatgag atttacgatg cccgactcgg cggacggcat gggattaaac ggttcgctag
3361 acgtttacgt caacggcacc aaagtcaaaa ccgtatcgct gacctcctac tacagctggc
3421 agtatttctc gggcgatatg cccggagacg ctcccagcgc gggccgtccg ctcttccgct
3481 ttgacgaagt gcactggaag ctggatactc cgctcaaacc cggagacacg attcgcatcc
3541 agaagaacaa cggcgacagc ctggaatacg gtgtcgactt tattgaaatc gaaccggttc
3601 cggctgcgat ctcccgtccg gccaactcgg tttccgtaac ggattacggc gctgtgccga
3661 acgacggaca ggacgatctc accgccttta aagccgccgt aaacgcggcg gtcgcatccg
3721 acaagatctt gtacattccg gaaggaacgt tccacctcgg caacatgtgg gagatcggtt
3781 ccgtcagcaa catgatcgat cacattacga ttacgggagc cggtatctgg tatacgaaca
3841 tccagtttac caacgccaat ccggcgtccg gcggcatctc gctccggatt acgggcaagc
3901 ttgatttcag caacgtgtac ctcaactcca atttgcggtc gcggtatggt caaaatgcgg
3961 tttacaaagg ctttatggac aacttcggga ccaattccgt catccgcgac gtctgggtcg
4021 agcacttcga atgcggcttc tgggtcgggg actacgggca tacgccggcg atccgcgcga
4081 gcgggctgct gattgaaaac agccgaatcc gcaacaacct ggccgatggc gtcaacttcg
4141 cccaagggac cagcaattcg accgtacgca acagcagcct gcgcaacaac ggcgacgacg
4201 cccttgccgt atggacgagt aatacgaacg gcgcgcccga aggcgtaaac aataccttct
4261 cgtacaacac catcgaaaac aactggcgcg cgggaggcat cgccttcttc ggaggaagcg
4321 gacacaaggc cgaccacaac tacatcgtcg actgcgtcgg cggttccggc atccggatga
4381 acaccgtgtt ccccggatac cacttccaga acaataccgg cattgtgttc tcggacacga
4441 ccatcgtcaa ctgcggcacg agcaaagacc tatacaacgg cgaacgcggc gccatcgatc
4501 tggaagcttc gaacgacgcc atccggaacg tgacgtttac caacatcgat attatcaact
4561 ctcagcgcga tgcgatccag ttcggttacg gcggcggctt caccaacatc gtgttcaaca
4621 acatcaacat taacggaacc ggtcttgacg gcgtaaccac ctcgcggttc tcgggaccgc
4681 atctgggcgc ggcgatcttc acctataccg gcaacggctc cgccacgttc aacaatctga
4741 ggaccagcaa tatcgcttac cccaatctgt attacatcca gagcgggttc aatctgatca
4801 tcaataatta gatatctggg cccgtctgcg ggggaggaac tcttcggagc tcgaattcgt
4861 aatcatggtc atagctgttt cctgtgtgaa attgttatcc gctcacaatt ccacacaaca
4921 tacgagccgg aagcataaag tgtaaagcct ggggtgccta atgagtgagc taactcacat
4981 taattgcgtt gcgctcactg cccgctttcc agtcgggaaa ctgtcgtgcc agctgcatta
5041 atgaatcggc caacgcgcgg ggagaggcsg tttkcgtatt gggcgccctt(配列番号17)
【0099】
IV)トリコデルマ・ハルチアナム(Trichoderma harzianum)(CCM F-470)
1.トリコデルマ・ハルチアナム(Trichoderma harzianum)由来のムタナーゼの一般情報
http://www.uniprot.org/uniprot/Q8WZM7も参照されたい 全長:635
質量(Da):67,726
最終変更:2002年3月1日-v1
Checksum:iBB0D864E2F432C58
【0100】
2.トリコデルマ・ハルチアナム(Trichoderma harzianum)由来のムタナーゼのタンパク質配列
http://www.uniprot.org/uniprot/Q8WZM7.fasta)
>tr|Q8WZM7|Q8WZM7_TRIHA Alpha-1,3-glucanase OS=Trichoderma harzianum GN=p3 PE=2 SV=1
MLGVFRRLRLGALAAAALSSLGSAAPANVAIRSLEERASSADRLVFCHFMIGIVGDRGSS
ADYDDDMQRAKAAGIDAFALNIGVDGYTDQQLGYAYDSADRNGMKVFISFDFNWWSPGNA
VGVGQKIAQYANRPAQLYVDNRPFASSFAGDGLDVNALRSAAGSNVYFVPNFHPGQSSPS
NIDGALNWMAWDNDGNNKAPKPGQTVTVADGDNAYKNWLGGKPYLAPVSTWVFNHFGPEV
SYSKNWVFPSGPLIYNRWQQVLQQGFPRVEIVTWNDYGESHYVGPLKSKQFHDGNSKWVN
DMPHDGFLDLSKPFIAAYKNRDTDISKYVQNEQLVYWYRRNLKALDCDATDTTSNRPANN
GSGNYFEGRPDGWQTMDDTVYVAALLKTAGSVTVTSGGTTQTFQANAGANLFQIPASIGQ
QKFALTRNGQTVFSGTSLMDITNVCSCGIYNFNPYVGTIPAGFDDPLQADGLFSLTIGLH
VTTCQAKPSLGTNPPVTSGPVSSLPASSTTRASSPPPVSSTRVSSPPVSSPPVSRTSSAP
PPPGNSTPPSGQVCVAGTVADGESGNYIGLCQFSCNYGYCPPGPCKCTAFGAPISPPASN
GRNGCPLPGEGDGYLGLCSFSCNHNYCPPTACQYC(配列番号18)
【0101】
3.mRNAの配列(トリコデルマ・ハルチアナム(Trichoderma harzianum)http://www.ebi.ac.uk/ena/data/view/AJ243799&display=fasta)
>ENA|AJ243799|AJ243799.1 Trichoderma harzianum mRNA for alpha-1,3-glucanase(p3 gene)
ATGTTGGGCGTTTTCCGCCGCCTCAGGCTCGGCGCCCTTGCCGCCGCAGCTCTGTCTTCT
CTCGGCAGTGCCGCTCCCGCCAATGTTGCTATTCGGTCTCTCGAGGAACGTGCTTCTTCT
GCTGACCGTCTCGTATTCTGTCATTTCATGATTGGGATCGTGGGTGACCGTGGCAGCTCG
GCAGATTATGATGACGATATGCAACGTGCCAAAGCCGCTGGCATTGACGCCTTCGCCCTG
AACATCGGCGTTGACGGCTATACCGACCAGCAGCTCGGCTATGCCTATGACTCTGCCGAT
CGTAATGGCATGAAAGTCTTCATTTCATTTGATTTCAACTGGTGGAGCCCCGGCAATGCA
GTTGGTGTTGGCCAGAAGATTGCGCAGTATGCCAACCGCCCTGCCCAGCTGTATGTCGAC
AACCGGCCATTCGCCTCTTCCTTCGCCGGTGACGGTCTGGATGTAAATGCGTTGCGCTCT
GCTGCAGGCTCCAACGTTTACTTTGTGCCCAACTTCCACCCTGGTCAATCTTCCCCCTCC
AACATTGATGGCGCCCTTAACTGGATGGCCTGGGATAATGATGGAAACAACAAGGCACCC
AAGCCGGGCCAGACTGTCACAGTGGCAGACGGTGACAACGCTTATAAGAATTGGTTGGGT
GGCAAGCCTTACCTGGCGCCTGTCTCAACTTGGGTTTTCAACCATTTCGGGCCCGAAGTT
TCATATTCCAAGAACTGGGTTTTCCCAAGTGGGCCTCTGATCTATAACCGGTGGCAACAA
GTCTTGCAGCAAGGGTTCCCAAGGGTTGAGATCGTTACCTGGAATGACTACGGGGAATCT
CACTACGTCGGTCCCCTGAAGTCTAAGCAATTTCATGATGGGAACTCCAAATGGGTCAAT
GATATGCCCCACGATGGATTCCTGGATCTTTCGAAGCCGTTCATAGCCGCATATAAAAAC
AGGGATACCGACATCTCCAAGTATGTTCAAAATGAGCAGCTTGTTTACTGGTACCGCCGC
AACTTAAAGGCACTGGACTGTGACGCCACCGACACAACCTCTAACCGCCCGGCTAACAAT
GGAAGCGGCAATTACTTTGAGGGACGCCCCGATGGTTGGCAAACTATGGATGATACGGTT
TACGTGGCGGCACTTCTCAAGACTGCCGGTAGCGTCACGGTCACGTCTGGTGGCACCACT
CAAACGTTCCAGGCCAACGCCGGAGCCAATCTCTTCCAAATCCCGGCCAGCATCGGCCAG
CAAAAGTTTGCTCTGACTCGTAACGGTCAGACCGTCTTTAGCGGAACCTCATTGATGGAT
ATCACCAACGTTTGCTCTTGCGGTATCTACAACTTCAACCCATATGTTGGCACCATTCCT
GCCGGCTTTGACGACCCTCTTCAGGCTGACGGTCTTTTCTCTTTGACCATCGGATTGCAC
GTCACAACTTGTCAGGCCAAGCCATCTCTTGGAACTAACCCTCCTGTCACTTCCGGCCCT
GTGTCCTCGCTTCCAGCTTCCTCCACCACCCGCGCATCCTCGCCGCCTCCTGTTTCTTCA
ACTCGTGTCTCTTCTCCCCCTGTCTCTTCCCCTCCAGTTTCTCGCACCTCTTCTGCCCCT
CCCCCTCCGGGCAACAGCACGCCGCCATCGGGTCAGGTTTGCGTTGCCGGCACCGTTGCC
GACGGCGAGTCTGGCAACTACATCGGCCTGTGCCAATTCAGCTGCAACTACGGTTACTGC
CCACCAGGACCGTGTAAGTGCACCGCCTTTGGTGCTCCCATCTCGCCACCGGCATCCAAC
GGCCGCAACGGCTGCCCTCTGCCGGGAGAAGGCGATGGTTATCTGGGCCTGTGCAGTTTC
AGTTGTAACCATAATTACTGCCCGCCAACGGCATGTCAATACTGCTAGGAGGGATCAATC
TCAGTATGAGTATATGGAGGCTGCTGAAGGACCAATTAGCTGTTCTTATCGGCAGACGAA
ACCCATAGAGTAAGAAGTTAAATAAAATGCAATTAATGTGTTTTCAAAAAAAAAAAAAAA
A(配列番号19)
(トリコデルマ・ハルチアナム(Trichoderma harzianum)は真菌であることからポリAテールが存在する)
【0102】
V)トリコデルマ・ハルチアナム(Trichoderma harzianum)
1.トリコデルマ・ハルチアナム(Trichoderma harzianum)由来のムタナーゼの一般情報
http://www.uniprot.org/uniprot/Q8WZM7も参照されたい;
【0103】
2.トリコデルマ・ハルチアナム(Trichoderma harzianum)由来のムタナーゼのタンパク質配列
http://www.uniprot.org/uniprot/Q8WZM7.fastaを参照されたい)
>tr|Q8WZM7|Q8WZM7_TRIHA Alpha-1,3-glucanase OS=Trichoderma harzianum GN=p3 PE=2 SV=1
MLGVFRRLRLGALAAAALSSLGSAAPANVAIRSLEERASSADRLVFCHFMIGIVGDRGSS
ADYDDDMQRAKAAGIDAFALNIGVDGYTDQQLGYAYDSADRNGMKVFISFDFNWWSPGNA
VGVGQKIAQYANRPAQLYVDNRPFASSFAGDGLDVNALRSAAGSNVYFVPNFHPGQSSPS
NIDGALNWMAWDNDGNNKAPKPGQTVTVADGDNAYKNWLGGKPYLAPVSTWVFNHFGPEV
SYSKNWVFPSGPLIYNRWQQVLQQGFPRVEIVTWNDYGESHYVGPLKSKQFHDGNSKWVN
DMPHDGFLDLSKPFIAAYKNRDTDISKYVQNEQLVYWYRRNLKALDCDATDTTSNRPANN
GSGNYFEGRPDGWQTMDDTVYVAALLKTAGSVTVTSGGTTQTFQANAGANLFQIPASIGQ
QKFALTRNGQTVFSGTSLMDITNVCSCGIYNFNPYVGTIPAGFDDPLQADGLFSLTIGLH
VTTCQAKPSLGTNPPVTSGPVSSLPASSTTRASSPPPVSSTRVSSPPVSSPPVSRTSSAP
PPPGNSTPPSGQVCVAGTVADGESGNYIGLCQFSCNYGYCPPGPCKCTAFGAPISPPASN
GRNGCPLPGEGDGYLGLCSFSCNHNYCPPTACQYC(配列番号20)
【0104】
3.mRNAの配列(トリコデルマ・ハルチアナム(Trichoderma harzianum) さらなる情報をhttp://www.ebi.ac.uk/ena/data/view/AJ243799&display=fastaで見出し得る)
>ENA|AJ243799|AJ243799.1 Trichoderma harzianum mRNA for alpha-1,3-glucanase(p3 gene)
ATGTTGGGCGTTTTCCGCCGCCTCAGGCTCGGCGCCCTTGCCGCCGCAGCTCTGTCTTCT
CTCGGCAGTGCCGCTCCCGCCAATGTTGCTATTCGGTCTCTCGAGGAACGTGCTTCTTCT
GCTGACCGTCTCGTATTCTGTCATTTCATGATTGGGATCGTGGGTGACCGTGGCAGCTCG
GCAGATTATGATGACGATATGCAACGTGCCAAAGCCGCTGGCATTGACGCCTTCGCCCTG
AACATCGGCGTTGACGGCTATACCGACCAGCAGCTCGGCTATGCCTATGACTCTGCCGAT
CGTAATGGCATGAAAGTCTTCATTTCATTTGATTTCAACTGGTGGAGCCCCGGCAATGCA
GTTGGTGTTGGCCAGAAGATTGCGCAGTATGCCAACCGCCCTGCCCAGCTGTATGTCGAC
AACCGGCCATTCGCCTCTTCCTTCGCCGGTGACGGTCTGGATGTAAATGCGTTGCGCTCT
GCTGCAGGCTCCAACGTTTACTTTGTGCCCAACTTCCACCCTGGTCAATCTTCCCCCTCC
AACATTGATGGCGCCCTTAACTGGATGGCCTGGGATAATGATGGAAACAACAAGGCACCC
AAGCCGGGCCAGACTGTCACAGTGGCAGACGGTGACAACGCTTATAAGAATTGGTTGGGT
GGCAAGCCTTACCTGGCGCCTGTCTCAACTTGGGTTTTCAACCATTTCGGGCCCGAAGTT
TCATATTCCAAGAACTGGGTTTTCCCAAGTGGGCCTCTGATCTATAACCGGTGGCAACAA
GTCTTGCAGCAAGGGTTCCCAAGGGTTGAGATCGTTACCTGGAATGACTACGGGGAATCT
CACTACGTCGGTCCCCTGAAGTCTAAGCAATTTCATGATGGGAACTCCAAATGGGTCAAT
GATATGCCCCACGATGGATTCCTGGATCTTTCGAAGCCGTTCATAGCCGCATATAAAAAC
AGGGATACCGACATCTCCAAGTATGTTCAAAATGAGCAGCTTGTTTACTGGTACCGCCGC
AACTTAAAGGCACTGGACTGTGACGCCACCGACACAACCTCTAACCGCCCGGCTAACAAT
GGAAGCGGCAATTACTTTGAGGGACGCCCCGATGGTTGGCAAACTATGGATGATACGGTT
TACGTGGCGGCACTTCTCAAGACTGCCGGTAGCGTCACGGTCACGTCTGGTGGCACCACT
CAAACGTTCCAGGCCAACGCCGGAGCCAATCTCTTCCAAATCCCGGCCAGCATCGGCCAG
CAAAAGTTTGCTCTGACTCGTAACGGTCAGACCGTCTTTAGCGGAACCTCATTGATGGAT
ATCACCAACGTTTGCTCTTGCGGTATCTACAACTTCAACCCATATGTTGGCACCATTCCT
GCCGGCTTTGACGACCCTCTTCAGGCTGACGGTCTTTTCTCTTTGACCATCGGATTGCAC
GTCACAACTTGTCAGGCCAAGCCATCTCTTGGAACTAACCCTCCTGTCACTTCCGGCCCT
GTGTCCTCGCTTCCAGCTTCCTCCACCACCCGCGCATCCTCGCCGCCTCCTGTTTCTTCA
ACTCGTGTCTCTTCTCCCCCTGTCTCTTCCCCTCCAGTTTCTCGCACCTCTTCTGCCCCT
CCCCCTCCGGGCAACAGCACGCCGCCATCGGGTCAGGTTTGCGTTGCCGGCACCGTTGCC
GACGGCGAGTCTGGCAACTACATCGGCCTGTGCCAATTCAGCTGCAACTACGGTTACTGC
CCACCAGGACCGTGTAAGTGCACCGCCTTTGGTGCTCCCATCTCGCCACCGGCATCCAAC
GGCCGCAACGGCTGCCCTCTGCCGGGAGAAGGCGATGGTTATCTGGGCCTGTGCAGTTTC
AGTTGTAACCATAATTACTGCCCGCCAACGGCATGTCAATACTGCTAGGAGGGATCAATC
TCAGTATGAGTATATGGAGGCTGCTGAAGGACCAATTAGCTGTTCTTATCGGCAGACGAA
ACCCATAGAGTAAGAAGTTAAATAAAATGCAATTAATGTGTTTTCAAAAAAAAAAAAAAA
A(配列番号21)
(トリコデルマ・ハルチアナム(Trichoderma harzianum)は真菌であることからポリAテールが存在する)
【0105】
ペニシリウム・ミニオルテウム(Penicillium minioluteum)由来のデキストラナーゼ(Dex)遺伝子
GenBank:L41562.1
(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/nuccore/L41562.1)
成熟タンパク質は、67KDのMWを有する574個のアミノ酸を有する。最適な反応条件はpH5.5および40℃である。pH範囲は3~6である。
【0106】
アミノ酸配列
MATMLKLLALTLAISESAIGAVMHPPGNSHPGTHMGTTNNTHCG
ADFCTWWHDSGEINTQTPVQPGNVRQSHKYSVQVSLAGTNNFHDSFVYESIPRNGNGR IYAPTDPPNSNTLDSSVDDGISIEPSIGLNMAWSQFEYSHDVDVKILATDGSSLGSPS
DVVIRPVSISYAISQSDDGGIVIRVPADANGRKFSVEFKTDLYTFLSDGNEYVTSGGS
VVGVEPTNALVIFASPFLPSGMIPHMTPDNTQTMTPGPINNGDWGAKSILYFPPGVYW MNQDQSGNSGKLGSNHIRLNSNTYWVYLAPGAYVKGAIEYFTKQNFYATGHGILSGEN
YVYQANAGDNYIAVKSDSTSLRMWWHNNLGGGQTWYCVGPTINAPPFNTMDFNGNSGI
SSQISDYKQVGAFFFQTDGPEIYPNSVVHDVFWHVNDDAIKIYYSGASVSRATIWKCH
NDPIIQMGWTSRDISGVTIDTLNVIHTRYIKSETVVPSAIIGASPFYASGMSPDSRKS
ISMTVSNVVCEGLCPSLFRITPLQNYKNFVVKNVAFPDGLQTNSIGTGESIIPAASGL
TMGLNISNWTVGGQKVTMENFQANSLGQFNIDGSYWGEWQIS(配列番号22)
【0107】
DNA配列
1 ggcatagtaa tcccgacagc cgagtatgat ggagcttctt cggataatga tagcgccacc
61 agaccttgct tgagctggag agctaaaaca ttaaacgcca cacgaccaac actctcatta
121 gttgcgatag atgatgctcg gagctgttga aactcagaaa ttccttctat gcggggtctc
181 caagatcgat cctgggggat gtgaatacta cggtggacct aattgacgcc ttgacaggtg
241 atgttaagcg aaccaaggaa gaataatctg gggctagatg aagatgttga gctgtaaggt
301 acggtacgtt cctattggct ttatcggagc ttctccgggt tactcagtct ttccgggagc
361 atgatcattt ttgtattgtc caatagtaag cagaaactga gagccaccac aaactcaaaa
421 cctcggtagc gaagtttccc ggaaccagtc aggattctca gaaactgtgc tcgtgttgcg
481 gggaatccgc attctacgtc gtctggagca aggaaatgtt cgtgctggat tgaggaggat
541 aggtaggttg gagaatctct tcagctaacc aatctataag catgctccgg taacctttag
601 agtttcacat tcaacgtaat ttccaagata gccagagcgt ccttgaatta ctatgtagaa
661 atcctaaaat ttcccctgta aaatgcaagt caacgagatg cgtgccctca atgtctctcg
721 gcgctacccc ggaaatgatg cataaggcca agaatgtcac ccggtaactt tttcttcaga
781 atatcctaag atttccatca aacacagtcg aataggtcaa tgctcgcgag agactttctg
841 ccttcactct acgtcctact catagaagtt caacggctca attccggggt aatctagagt
901 ttggacctca agggagatgt tgcaacaaat tgtactagaa cgatgcgctt gctttccaat
961 acagtagttg acttcatata gcttccaaca aaagggatgg ggatgaaggc tctatagcga
1021 gaagtctata agaaagtgtc ctcatacctg tatctctcag tcgttcgaga acaatcccgg
1081 aaactatctt atcttgcgag aaagaagaca atatctcaaa cttatggcca caatgctaaa
1141 gctacttgcg ttgacccttg caattagcga gtccgccatt ggagcagtca tgcacccacc
1201 tggcaattct catcccggta cccatatggg cactacgaat aatacccatt gcggcgccga
1261 tttctgtacc tggtggcatg attcagggga gatcaatacg cagacacctg tccaaccagg
1321 gaacgtgcgc caatctcaca agtattccgt gcaagtgagc ctagctggta caaacaattt
1381 tcatgactcc tttgtatatg aatcgatccc ccggaacgga aatggtcgca tctatgctcc
1441 caccgatcca cccaacagca acacactaga ttcaagtgtg gatgatggaa tctcgattga
1501 gcctagtatc ggccttaata tggcatggtc ccaattcgag tacagccacg atgtagatgt
1561 aaagatcctg gccactgatg gctcatcgtt gggctcgcca agtgatgttg ttattcgccc
1621 cgtctcaatc tcctatgcga tttctcagtc tgacgatggt gggattgtca tccgggtccc
1681 agccgatgcg aacggccgca aattttcagt tgagttcaaa actgacctgt acacattcct
1741 ctctgatggc aacgagtacg tcacatcggg aggcagcgtc gtcggcgttg agcctaccaa
1801 cgcacttgtg atcttcgcaa gtccgtttct tccttctggc atgattcctc atatgacacc
1861 cgacaacacg cagaccatga cgccaggtcc tatcaataac ggcgactggg gcgccaagtc
1921 aattctttac ttcccaccag gtgtatactg gatgaaccaa gatcaatcgg gcaactcggg
1981 gaagttagga tctaatcata tacgtctaaa ctcgaacact tactgggtct accttgcccc
2041 cggtgcgtac gtgaagggtg ctatagagta ttttaccaag cagaacttct atgcaactgg
2101 tcatggtatc ctatcgggtg aaaactatgt ttaccaagcc aatgccggcg acaactacat
2161 tgcagtcaag agcgattcaa ccagcctccg gatgtggtgg cacaataacc ttgggggtgg
2221 tcaaacatgg tactgcgttg gcccgacgat caatgcgcca ccattcaata ctatggattt
2281 caatggaaat tctggcatct caagtcaaat tagcgactat aagcaggtgg gagccttctt
2341 cttccagacg gatggaccag aaatatatcc caatagtgtc gtgcacgacg tcttctggca
2401 cgtcaatgat gatgcaatca aaatctacta ttcgggagca tctgtatcgc gggcaacgat
2461 ctggaaatgt cacaatgacc caatcatcca gatgggatgg acgtctcggg atatcagtgg
2521 agtgacaatc gacacattaa atgttattca cacccgctac atcaaatcgg agacggtggt
2581 gccttcggct atcattgggg cctctccatt ctatgcaagt gggatgagtc ctgattcaag
2641 aaagtccata tccatgacgg tttcaaacgt tgtttgcgag ggtctttgcc cgtccctatt
2701 ccgcatcaca ccccttcaga actacaaaaa ttttgttgtc aaaaatgtgg ctttcccaga
2761 cgggctacag acgaatagta ttggcacagg agaaagcatt attccagccg catctggtct
2821 aacgatggga ctgaatatct ccaactggac tgttggtgga caaaaagtga ctatggagaa
2881 ctttcaagcc aatagcctgg ggcagttcaa tattgacggc agctattggg gggagtggca
2941 gattagctga attccagctc tcggagcgcg tgagtgcttc tacccgctcc tttacccttg
3001 tcgagagata aaggcataag ttagctcatg tgaaggcgat ttcagttcat tctctctttt
3061 tggagcttat ttcctgttcg accaattgtg acaccaactt gcctttcaaa agacgtggac
3121 gatatgtgta cggtaatcag tcaaatgaac gtcaacattc atttaataag gacatttcca
3181 ggtttcctta ctctgtcgat tatgcctaac tcgggttgat gtcttgtcag gatggaaaat
3241 ctcgttgtgt acttccagtg aaatgggcag ggctaagccc taaaccctaa cgcatacaat
3301 ttgtaggcac ctacccatgt aagttcacac ccagtcgact tataagtcta gatatttatg
3361 ctatgcaggc tctggaatga tttacattcc atgctataca tagttatttg caagaatttg
3421 cagacgagat aaaaatcaat ggacgaataa tcacgcatta ctccacaggc tcatgccacg
3481 gagcaagggt tcccccgaat ctaggccaga ccgggatgat attcaaccga ttctttttgc
3541 agtaactatc tccgtacgag ctgcacgagc taaacggatt atataaaggt gctaactgag
3601 cattggatcc gtcagttata tgaaatgca(配列番号23)
【0108】
2.ペニシリウム・アクレアタム(Penicillium aculeatum)(タラロマイセス・アクレアツス(Talaromyces aculeatu)株z01)由来のデキストラナーゼ(Dex)遺伝子
GenBank:KF999646.1(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/nuccore/KF999646.1)
最適pHは約5である。pH範囲は3~6である。
【0109】
アミノ酸配列
MATMLKLLTLALAISESAIGAVLHPPGSSHPSTRTDTTNNTHCG
ADFCTWWHDSGEINTQTPVQPGNVRQSHKYSVQVSLAGANNFQDSFVYESIPRNGNGR
IYAPTDPPNSNTLDSSVDDGISIEHSIGLNMAWSQFEYSQDVDIKILAADGSSLGSPS
DVVIRPVSISYAISQSDDGGIVIRVPADANGRKFSVEFKNDPYTFLSDGNEYVTSGGS
VVGVEPTNALVIFASPFLPSGMIPHMTPDNTQTMTPGPINNGDWGSKSILYFPPGVYW
MNQDQSGNSGKLGSNHIRLNSNTYWVYFAPGAYVKGAIEYFTKQNFYATGHGVLSGEN
YVYQANAGENYVAVKSDSTSLRMWWHNNLGGGQTWYCVGPTINAPPFNTMDFNGNSGI
SSQISDYKQVGAFFFQTDGPEIYPNSVVHDVFWHVNDDAIKIYYSGASVSRATIWKCH
NDPIIQMGWTSRDISGVTIDTLNVIHTRYIKSETVVPSAIIGASPFYASGMSPDSSKS
ISMTVSNVVCEGLCPSLFRITPLQNYKNFVVKNVAFPDGLQTNSIGTGESIIPAASGL
TMGLDISNWSVGGQKVTMQNFQANSLGQFDIDGSYWGEWQIN(配列番号24)
【0110】
DNA配列
1 atggccacaa tgctaaagct acttacgttg gcccttgcaa ttagcgagtc tgccattgga
61 gcagtcctgc acccacctgg cagttctcat cccagtaccc gtacggacac tacgaataat
121 acccattgcg gtgccgactt ctgtacctgg tggcatgatt caggcgagat caacacacag
181 acacctgtcc aaccggggaa cgtgcgccaa tctcacaagt attccgtaca agtgagccta
241 gctggtgcga acaactttca ggactccttt gtatatgaat cgatccctcg gaacggaaat
301 ggtcgcatct atgctcccac cgatccaccc aacagcaaca cactagattc aagtgttgat
361 gatggaatct cgattgaaca tagtattggc ctcaatatgg catggtccca attcgagtac
421 agccaggatg tcgatataaa gatcctggcc gctgatggct catcgttggg ctcaccaagt
481 gatgttgtta ttcgccccgt ctcaatctcc tatgcaattt ctcaatccga cgatggcgga
541 attgtcattc gggtcccagc cgatgcgaac ggccgcaaat tttcagtcga gttcaaaaat
601 gacccgtaca cgttcctctc tgacggcaac gagtacgtca catcgggagg cagcgttgtc
661 ggcgttgagc ctaccaacgc acttgtgatc ttcgcaagcc cgtttcttcc gtcaggcatg
721 attcctcata tgacacccga caacacgcag accatgacac caggacctat caataacggc
781 gactggggct ccaagtcaat tctttatttc ccaccgggcg tatactggat gaaccaagat
841 caatcaggca actcggggaa attaggatct aatcatatac gcctgaactc gaacacctac
901 tgggtctact ttgccccagg tgcgtacgtg aagggtgcta tagagtattt caccaagcag
961 aacttctatg caactggtca tggtgtccta tcgggtgaaa actatgttta ccaagccaat
1021 gctggcgaaa actacgttgc ggtcaagagc gattcgacta gcctccggat gtggtggcac
1081 aataacctgg gaggtggaca aacatggtac tgcgttgggc ctacgatcaa tgcgccgcca
1141 tttaacacaa tggatttcaa tggaaattcc ggtatctcaa gtcaaattag cgactataag
1201 caggtgggag ctttcttctt tcagacggat ggaccagaaa tttatcccaa tagtgtcgtg
1261 cacgacgtct tctggcatgt caatgatgat gcaatcaaaa tctactattc cggagcatct
1321 gtctcgcggg caacgatctg gaaatgtcac aacgatccaa tcatccagat gggatggacg
1381 tctcgggata tcagtggagt gacaatcgac acattgaatg tcatccacac ccgctacatc
1441 aagtcggaga cggtggtgcc ttcggctatc attggggctt ctccattcta tgcaagtggg
1501 atgagtcctg attcaagcaa gtctatatcc atgacggttt caaacgttgt ctgcgaggga
1561 ctttgcccgt ctctgttccg aatcacacct ttacagaact acaagaattt tgttgtcaaa
1621 aatgtggctt tcccagatgg gctacagacg aatagtattg gcacgggaga aagcattatt
1681 ccagccgcat ctggtctaac gatgggactg gatatctcca actggtctgt tggtggtcag
1741 aaggtgacta tgcagaactt tcaagccaat agtctggggc aattcgacat tgacggcagc
1801 tattgggggg agtggcagat taactagctg aataatattg cagctttcag ggcgcatgag
1861 tgcttgtacc cgctccttta cccttgtc(配列番号25)
【0111】
3.デキストラナーゼに関するペニシリウム・フニクロスム(Penicillium funiculosum)dexA遺伝子
GenBank:AJ272066.1(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/nuccore/7801166)
最適pHは約5.5である。最適温度は60℃である。pH範囲は5~7.5である(http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0032959298001277)
【0112】
アミノ酸配列
MATMLKLLALTLAISESAIGAVMHPPGVSHPGTHTGTTNNTHCG
ADFCTWWHDSGEINTQTPVQPGNVRQSHKYSVQVSLAGTNNFHDSFVYESIPRNGNGR
IYAPTDPSNSNTLDSSVDDGISIEPSIGLNMAWSQFEYSQDVDIKILATDGSSLGSPS
DVVIRPVSISYAISQSNDGGIVIRVPADANGRKFSVEFKNDLYTFLSDGNEYVTSGGS
VVGVEPTNALVIFASPFLPSGMIPHMKPHNTQTMTPGPINNGDWGAKSILYFPPGVYW
MNQDQSGNSGKLGSNHIRLNSNTYWVYLAPGAYVKGAIEYFTKQNFYATGHGVLSGEN
YVYQANAGDNYVAVKSDSTSLRMWWHNNLGGGQTWYCVGPTINAPPFNTMDFNGNSGI
SQISDYKQVGAFFFQTDGPEIYPNSVVHDVFWHVNDDAIKIYYSGASVSRATIWKCH
NDPIIQMGWTSRDISGVTIDTLNVIHTRYIKSETVVPSAIIGASPFYASGMSPDSSKS
ISMTVSNVVCEGLCPSLFRITPLQNYKNFVVKNVAFPDGLQTNSIGTGESIIPAASGL
TMGLNISSWTVGGQKVTMENFQANSLGQFNIDGSYWGEWQISRISSSQSA
(配列番号26)
【0113】
DNA配列
1 atggccacaa tgctaaagct acttgcgttg acccttgcaa ttagcgagtc cgccattgga
61 gcagtcatgc acccacctgg cgtttctcat cccggtaccc atacgggcac tacgaataat
121 acccattgcg gcgccgactt ctgtacctgg tggcatgatt caggggagat caacacgcag
181 acacctgtcc aaccagggaa cgtgcgccaa tctcacaagt attccgtgca agtgagtcta
241 gctggtacaa acaactttca tgactccttt gtatatgaat cgatcccccg gaacggaaat
301 ggtcgcatct atgctcccac cgatccatcc aacagcaaca cattagattc aagcgtggat
361 gatggaatct cgattgagcc tagtatcggc ctcaatatgg catggtccca attcgagtac
421 agccaggatg tcgatataaa gatcctggca actgatggct catcgttggg ctcaccaagt
481 gatgttgtta ttcgccccgt ctcaatctcc tatgcgattt ctcagtccaa cgatggcggg
541 attgtcatcc gggtcccagc cgatgcgaac ggccgcaaat tttcagtcga attcaaaaat
601 gacctgtaca ctttcctctc tgatggcaac gagtacgtca catcgggagg tagcgtcgtc
661 ggcgttgagc ctaccaacgc acttgtgatc ttcgcaagtc cgtttcttcc ttctggcatg
721 attcctcata tgaaacccca caacacgcag accatgacgc caggtcctat caataacggc
781 gactggggcg ccaagtcaat tctttacttc ccaccaggtg tatactggat gaaccaagat
841 caatcgggca actcgggtaa attaggatct aatcatatac gtctaaactc gaacacttac
901 tgggtctacc ttgcccccgg tgcgtacgtg aagggtgcta tagagtattt caccaagcaa
961 aacttctatg caactggtca tggtgtccta tcaggtgaaa actatgttta ccaagccaat
1021 gctggcgaca actatgttgc agtcaagagc gattcgacca gcctccggat gtggtggcac
1081 aataaccttg ggggtggtca aacatggtac tgcgttggcc cgacgatcaa tgcgccacca
1141 ttcaacacta tggatttcaa tggaaattct ggcatctcaa gtcaaattag cgactataag
1201 caggtgggag ccttcttctt ccagacggat ggaccagaaa tctatcccaa tagtgtcgtg
1261 cacgacgtct tctggcacgt caatgatgat gcaatcaaaa tctactattc gggagcatct
1321 gtatcgcggg caacgatctg gaaatgtcac aatgacccaa tcatccagat gggatggaca
1381 tctcgggata tcagtggagt gacaatcgac acattaaatg ttattcacac ccgctacatc
1441 aaatcggaga cggtggtgcc ttcggctatc attggggcct ctccattcta tgcaagtggg
1501 atgagtcccg attcaagcaa gtccatatcc atgacggttt caaacgttgt ttgcgagggt
1561 ctttgcccgt ccctgttccg catcacaccc ctacagaact acaaaaattt tgttgtcaaa
1621 aatgtggctt tcccagatgg gctacagaca aatagtattg gcacaggaga aagcattatt
1681 ccagccgcat ctggtctaac gatgggacta aatatctcca gctggactgt tggtggacaa
1741 aaagtgacaa tggagaactt tcaagccaat agcctggggc agttcaatat tgacggcagc
1801 tattgggggg agtggcagat tagtcgaatt tccagctctc agagcgcgtg agtgcttcta
1861 cccgctcctt tacccttgtc gaaggatcaa ggcataagtt agctcatgtg aaggcgattt
1921 cagttcattc tctctttttt ggagctcatt tccttttcga ccaattgtga caccaaattg
1981 ccatgtgtac tgtaattggt caaatgaacg ttaaccttcg atttaatatg gacatttcca
2041 ggtttcctta ctctgtcgat tatgcctaac tcgggttgat gtcttgtcag gatgaaaatc
2101 tcgttgtcat gtacttcgag tgaaatgggc agggctaacc cctaagccct aacgcccaat
2161 cgacttataa gtctagatgt ttatgctatg caggctctgg aatgatttac attccatgct
2221 ataca(配列番号27)
【0114】
本発明の好ましい実施形態のうちのいくつかを上記で説明しており且つ具体的に例示しているが、本発明をそのような実施形態に限定することは意図されていない。下記の特許請求の範囲に説明されているように、本発明の範囲および趣旨を逸脱することなくそのような実施形態に様々な改変を行い得る。
図1
図2-1】
図2-2】
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9-1】
図9-2】
図10
図11
図12-1】
図12-2】
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【配列表】
2023082027000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2023-04-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号:1のムタナーゼをコードする核酸を、薬学的に許容される担体中に保有する、バイオフィルム分解組成物。
【請求項2】
植物色素体中で産生され、植物残余物を含み、植物残余物が凍結乾燥されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
デキストラナーゼをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
ムタナーゼおよびデキストラナーゼが、植物色素体中で産生され、かつ植物残余物中に存在する、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
デキストラナーゼ、グルコアミラーゼ、グルカナーゼ、デオキリリボヌクレアーゼI、DNAアーゼ、ディスペルジンB、グリコシドヒドロラーゼ、および表2中に列挙された酵素から選択される少なくとも1種のバイオフィルム分解酵素をさらに含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
少なくとも1種のバイオフィルム分解酵素が、配列番号:2、12、14、16、18、20、24および26から選択される配列を有する、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
抗微生物ペプチド(AMP)をさらに含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項8】
抗微生物剤/抗生物質をさらに含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項9】
フッ化物および、またはクロルヘキシジン(CHX)をさらに含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項10】
前記担体がチューインガムである、請求項3に記載の組成物。
【請求項11】
前記担体がキャンディから選択される、請求項3に記載の組成物。
【請求項12】
前記担体が口腔リンスである、請求項3に記載の組成物。
【請求項13】
望ましくない微生物を含むバイオフィルムを分解および/または除去する方法であって、前記バイオフィルムを含む表面と、請求項3に記載の有効量の組成物とを接触させることを含み、前記組成物が、抗微生物効果を有し、かつ前記バイオフィルムを低減または除去する、方法。
【請求項14】
前記バイオフィルムが口腔中に存在し、かつ前記接触が前記酵素を含むチューインガムを介するものである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記バイオフィルムが医療用インプラント上に存在する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
植物残余物が、タバコまたはレタス植物由来のものである、請求項3に記載の組成物。
【請求項17】
デキストラナーゼおよびムタナーゼが、5:1の比で存在する、請求項3に記載の組成物。
【請求項18】
表面上のバイオフィルムの堆積を阻害する方法であって、前記表面を請求項3に記載の組成物で前処置することを含み、前記組成物が、抗微生物効果を有し、かつ前記表面上の前記バイオフィルムの形成を阻害する、方法。
【外国語明細書】