(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008205
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】配線基板
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20230112BHJP
G02B 6/122 20060101ALI20230112BHJP
G02B 6/42 20060101ALN20230112BHJP
【FI】
H05K1/02 T
G02B6/122
G02B6/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021111576
(22)【出願日】2021-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】國枝 雅敏
【テーマコード(参考)】
2H137
2H147
5E338
【Fターム(参考)】
2H137AB12
2H137AC04
2H137BA52
2H137BA55
2H137BB02
2H137BB03
2H137BB13
2H137BB25
2H137BC51
2H137CC05
2H147CA01
2H147CB06
2H147CC13
2H147CD10
2H147EA02A
2H147EA02B
2H147EA14A
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2H147EA16A
2H147EA16B
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2H147EA18B
2H147EA19A
2H147EA19B
2H147EA20A
2H147EA20B
2H147FA09
2H147FA15
2H147FA16
2H147FA20
5E338AA03
5E338AA16
5E338BB61
5E338BB75
5E338BB80
5E338EE21
5E338EE60
(57)【要約】
【課題】配線基板における光結合の効率及び接続信頼性の向上。
【解決手段】実施形態の配線基板100は、第1導体パッド11aを備える表面21aを有する絶縁層21と、絶縁層21を部分的に覆う被覆層41と、表面21aの上に設けられていて、光を伝えるコア部51を含む光導波路5と、第1導体パッド11aの上にめっき金属で形成されていて被覆層41を貫通する導体ポスト61と、導体ポスト61に接続される部品に覆われるべき領域である第1部品領域A1と、を含んでいる。コア部51は、第1部品領域A1内で絶縁層21と反対方向を向いて光導波路5から露出する第1端面5aを有し、第1端面5aと絶縁層21の表面21aとの距離は、被覆層41の厚さよりも大きい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導体パッドを備える表面を有する絶縁層と、
前記絶縁層を部分的に覆う被覆層と、
前記表面の上に設けられていて、光を伝えるコア部を含む光導波路と、
前記第1導体パッドの上にめっき金属で形成されていて前記被覆層を貫通する導体ポストと、
前記導体ポストに接続される部品に覆われるべき領域である第1部品領域と、
を含む配線基板であって、
前記コア部は、前記第1部品領域内で前記絶縁層と反対方向を向いて前記光導波路から露出する第1端面を有し、
前記第1端面と前記絶縁層の前記表面との距離は、前記被覆層の厚さよりも大きい。
【請求項2】
請求項1記載の配線基板であって、
前記光導波路は、前記コア部を挟みこむクラッド部をさらに有し、
前記第1端面は、前記クラッド部における前記絶縁層と反対側の表面に露出している。
【請求項3】
請求項1記載の配線基板であって、前記第1端面は前記絶縁層の前記表面と略平行である。
【請求項4】
請求項1記載の配線基板であって、
前記コア部は、前記絶縁層の前記表面に沿って延びる第1部分と、前記第1部分に連結されていて前記絶縁層と反対方向に向けて屈曲する第2部分と、前記第2部分に連結されていて前記第1端面を有する第3部分と、を含んでいる。
【請求項5】
請求項1記載の配線基板であって、前記導体ポストは、前記第1端面と略同じ方向を向く端面を前記第1導体パッド側と反対側の端部に有している。
【請求項6】
請求項1記載の配線基板であって、
前記絶縁層の前記表面には、さらに第2導体パッド及び配線が備えられており、
前記配線基板は、前記第2導体パッドに電気的に接続される部品に覆われるべき領域である第2部品領域を含み、
前記第2導体パッドと、前記第1導体パッドとが前記配線で接続されている。
【請求項7】
請求項1記載の配線基板であって、前記コア部は、前記第1端面側の端部と反対側の端部に、前記第1端面と同じ方向を向いて前記光導波路から露出する第2端面を有している。
【請求項8】
請求項7記載の配線基板であって、前記コア部は、前記絶縁層の前記表面に沿って延びる第1部分と、前記第1部分に連結されていて前記絶縁層と反対方向に向けて屈曲する2つの第2部分と、前記2つの第2部分それぞれに連結されていて前記第1端面又は前記第2端面を有する2つの第3部分と、を含んでいる。
【請求項9】
請求項7記載の配線基板であって、
前記絶縁層の前記表面には、さらに第3導体パッドが備えられており、
前記配線基板は、前記第3導体パッドに電気的に接続される部品に覆われるべき領域である第3部品領域を含み、
前記コア部の前記第2端面は、前記第3部品領域内で前記光導波路から露出している。
【請求項10】
請求項9記載の配線基板であって、
前記絶縁層の前記表面には、さらに第2導体パッド及び配線が備えられており、
前記配線基板は、前記第2導体パッドに電気的に接続される部品に覆われるべき領域である第2部品領域を含み、
前記第2導体パッドと、前記第1導体パッドとが前記配線で接続されている。
【請求項11】
請求項1記載の配線基板であって、前記導体ポストは、前記第1導体パッド側から前記第1導体パッド側と反対側まで略一定の幅で一体として形成されている。
【請求項12】
請求項1記載の配線基板であって、前記導体ポストは、前記被覆層における前記絶縁層と反対側の表面よりも突出している。
【請求項13】
請求項1記載の配線基板であって、さらに、前記導体ポストにおける前記第1導体パッド側と反対側の端面の上に前記導体ポストよりも低融点の材料で形成されている接続層を含んでいる。
【請求項14】
請求項13記載の配線基板であって、
前記導体ポストにおける前記第1導体パッド側と反対側の端面と前記絶縁層の前記表面との距離は、前記第1端面と前記絶縁層の前記表面との距離よりも短く、
前記接続層における前記導体ポストと反対側の表面と前記絶縁層の前記表面との距離は、前記第1端面と前記絶縁層の前記表面との距離よりも長い。
【請求項15】
請求項1記載の配線基板であって、前記光導波路は、前記絶縁層の前記表面における前記被覆層に覆われていない領域に設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光導波路及び光半導体素子が表面に搭載された光部品搭載用基板が開示されている。一端側に光入出射部を有する光導波路と、バンプを介して配線パターンに接続されている光半導体素子の発光部(又は受光部)とが光導波路の他端側で光結合されている。光半導体素子で発せられた光は光導波路のコア部に入光して光入出射部へと伝播し、光入出射部に入光した光はコア部を通って他端側から光半導体素子に入光する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の基板では、光導波路の他端側のコア部と光半導体素子の発光部(又は受光部)との間には、光導波路のクラッド層が介在している。すなわち、コア部と光半導体素子との間の間隔が大きく、加えて、クラッド層内では光が任意の方向に進むので、光結合に関して高い効率が得られ難いと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の配線基板は、第1導体パッドを備える表面を有する絶縁層と、前記絶縁層を部分的に覆う被覆層と、前記表面の上に設けられていて、光を伝えるコア部を含む光導波路と、前記第1導体パッドの上にめっき金属で形成されていて前記被覆層を貫通する導体ポストと、前記導体ポストに接続される部品に覆われるべき領域である第1部品領域と、を含んでいる。そして、前記コア部は、前記第1部品領域内で前記絶縁層と反対方向を向いて前記光導波路から露出する第1端面を有し、前記第1端面と前記絶縁層の前記表面との距離は、前記被覆層の厚さよりも大きい。
【0006】
本発明の実施形態によれば、配線基板に設けられる光導波路と、その光導波路に光結合される部品との間の結合効率を高めることができ、また、その部品と配線基板との接続信頼性を高め得ることがある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施形態の配線基板の一例を示す断面図。
【
図2】
図1の配線基板の表面状態の一例を示す平面図。
【
図4】本発明の一実施形態における導体ポストの変形例を示す拡大図。
【
図5A】本発明の一実施形態における光導波路の変形例を示す拡大図。
【
図5B】本発明の一実施形態における光導波路の他の変形例を示す拡大図。
【
図6】本発明の他の実施形態の配線基板の一例を示す断面図。
【
図7A】実施形態の配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
【
図7B】実施形態の配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
【
図7C】実施形態の配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
【
図7D】実施形態の配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
【
図7E】実施形態の配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
【
図7F】実施形態の配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
【
図7G】実施形態の配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
【
図7H】実施形態の配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
【
図8A】
図4に示される変形例の導体ポストの製造工程の一例を示す断面図。
【
図8B】
図4に示される変形例の導体ポストの製造工程の一例を示す断面図。
【
図9A】
図5Aに示される変形例の光導波路の製造工程の一例を示す断面図。
【
図9B】
図5Bに示される変形例の光導波路の製造工程の一例を示す断面図。
【
図9C】
図5Bに示される変形例の光導波路の製造工程の一例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施形態の配線基板が図面を参照しながら説明される。
図1は一実施形態の配線基板の一例である配線基板100を示す断面図であり、
図2は、平面視における
図1の配線基板100の一例を示している(
図1は
図2のI-I線での断面図である)。「平面視」は、実施形態の配線基板をその厚さ方向に沿う視線で見ることを意味している。
図3は、
図1のIII部の拡大図を示している。なお、配線基板100は本実施形態の配線基板の一例に過ぎない。実施形態の配線基板の積層構造、並びに、導体層及び絶縁層それぞれの数は、
図1の配線基板100の積層構造、並びに配線基板100に含まれる導体層及び絶縁層それぞれの数に限定されない。
【0009】
図1に示されるように、配線基板100は、コア基板3と、コア基板3におけるその厚さ方向において対向する2つの主面(第1面3a及び第2面3b)それぞれの上に順に積層されている絶縁層及び導体層を含んでいる。コア基板3は、絶縁層32と、絶縁層32における第1面3a側の表面及び第2面3b側の表面それぞれに形成されている導体層31とを含んでいる。絶縁層32には、絶縁層32を貫通して両側の導体層31同士を接続するスルーホール導体33が設けられている。
【0010】
なお、実施形態の説明では、配線基板100の厚さ方向において絶縁層32から遠い側は、「外側」、「上側」もしくは「上方」、又は単に「上」とも称され、絶縁層32に近い側は、「内側」、「下側」もしくは「下方」、又は単に「下」とも称される。さらに、各導体層及び各絶縁層において、絶縁層32と反対側を向く表面は「上面」とも称され、絶縁層32側を向く表面は「下面」とも称される。
【0011】
配線基板100は、絶縁層21及び導体層11を含んでいる。絶縁層21は、コア基板3の第1面3aの上に積層されている。絶縁層21はコア基板3側と反対側に表面21aを有しており、表面21aの上に導体層11が形成されている。配線基板100は、さらに、被覆層41を含んでいる。被覆層41は、絶縁層21及び導体層11それぞれを部分的に覆っている。被覆層41には、導体層11の一部を露出させる開口41aが形成されている。
【0012】
一方、コア基板3の第2面3b上には、絶縁層22が積層されている。絶縁層22の上に導体層12が形成されており、絶縁層22及び導体層12を覆うソルダーレジスト42が形成されている。ソルダーレジスト42は、例えば、感光性のエポキシ樹脂又はポリイミド樹脂などで形成される。ソルダーレジスト42には、導体層12の一部を露出させる開口42aが形成されている。絶縁層21及び絶縁層22には、それぞれを挟む導体層同士を接続するビア導体20が形成されている。
【0013】
配線基板100は、さらに、絶縁層21の表面21aの上に設けられている光導波路5を含んでいる。光導波路5は、
図1~
図3に示されるように、絶縁層21の表面21aにおける被覆層41に覆われていない領域に設けられている。光導波路5は、光を伝えるコア部51、及び、コア部51の周囲に設けられているクラッド部52を含んでいる。クラッド部52は、コア部51の延長方向、すなわち、光の伝播方向と直交する任意の方向においてコア部51を挟み込んでおり、その伝播方向に直交する面においてコア部51を囲んでいる。光導波路5は、例えば、接着剤(図示せず)などを用いて絶縁層21の表面21aに固定されている。光導波路5は、接着剤に限らず任意の手段で絶縁層21の表面21aに固定され得る。
【0014】
配線基板100は、さらに、導体層11の上に形成されている導体ポスト61、62を含んでいる。導体ポスト61、62は、導体層11から絶縁層21と反対方向に向かって延びる柱状、錘台状、又は逆錘台状の形状を有する導電体である。導体ポスト61、62は、配線基板100の厚さ方向と直交する断面及び表面において任意の形状を有し得る。導体ポスト61には、外部の部品E1が接続され、導体ポスト62には外部の部品E2が接続される。すなわち、配線基板100には、配線基板100の使用時に部品E1及び部品E2が接続される。そのため、配線基板100は、配線基板100の使用時に部品E1に覆われるべき領域である部品領域A1(第1部品領域)、及び部品E2に覆われるべき領域である部品領域A2(第2部品領域)を含んでいる。部品領域A1には、導体ポスト61に接続される部品E1が位置づけられ、部品領域A2には、導体ポスト62に接続される部品E2が位置づけられる。部品E1は、導体ポスト61及び光導波路5それぞれにおける絶縁層21側と反対側に搭載される。
【0015】
絶縁層21、22、及び絶縁層32は、例えば、エポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂(BT樹脂)又はフェノール樹脂などの絶縁性樹脂によって形成される。図示されていないが、各絶縁層は、さらに、ガラス繊維やアラミド繊維などで形成される芯材(補強材)を含んでいてもよく、シリカ(SiO2)、アルミナ、又はムライトなどの微粒子からなる無機フィラーを含んでいてもよい。
【0016】
被覆層41は任意の絶縁性材料で形成される。例えば被覆層41は、ソルダーレジスト42と同様のエポキシ樹脂やポリイミド樹脂で形成され、各導体ポスト間の短絡を防ぐソルダーレジストとして機能してもよい。或いは、被覆層41は、絶縁層21及び絶縁層22のような層間絶縁層に用いられるエポキシ樹脂やBT樹脂又はフェノール樹脂で形成されてもよい。すなわち、被覆層41の材料は、絶縁性を有していて導体層11及び絶縁層21の所定の領域を覆い得るものであればよく、特定の材料に限定されない。
【0017】
光導波路5のコア部51及びクラッド部52は、適切な屈折率を有する、有機系素材、無機系素材、又は、無機ポリマーのような有機成分と無機成分とを含む混成素材によって構成され得る。無機系素材として、石英ガラスやシリコンなどが例示され、有機系素材として、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などのアクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、及びエポキシ系樹脂などが例示される。また、ポリシランなどの無機ポリマーが用いられてもよい。コア部51及びクラッド部52は、互いに異なる材料で構成されてもよく、互いに同一系統の材料で構成されていてもよい。しかし、コア部51にはクラッド部52に用いられる材料よりも高い屈折率を有する材料が用いられる。コア部51とクラッド部52との界面に臨界角以上の入射角で入射した光の全反射が可能となるため、コア部51に入射した光が効率良くコア部51内を伝播し得る。コア部51及びクラッド部52は、同一の屈折率を有する材料で形成された後に、適切な処理によって互いの屈折率を異ならされてもよい。例えば、ポリシランは、紫外線の照射によって屈折率が低下する。
【0018】
導体層11、12及び導体層31、スルーホール導体33、ビア導体20、並びに、導体ポスト61、62及び後述される導体ポスト63(
図6参照)は、銅又はニッケルなどの任意の金属を用いて形成され得る。これら各導電体は、
図1では簡略化されて一層で描かれているが、2以上の膜体を含む多層構造を有し得る。例えば、導体層11、12は、無電解めっき膜、及び電解めっき膜を含む2層構造を有し得る。導体ポスト61~63は、例えば、無電解めっき及び/又は電解めっきによって析出されるめっき金属によって形成されている。
【0019】
導体層11、12、及び、導体層31は、それぞれ、任意の導体パターンを含み得る。
図1~
図3に示されるように、絶縁層21の表面21aに形成されている導体層11は、少なくとも導体パッド11a(第1導体パッド)を含んでいる。
図1の例では、導体層11は、さらに、導体パッド11b(第2導体パッド)、導体パッド11d、及び配線11eも含んでいる。すなわち、絶縁層21の表面21aには、導体パッド11a、11b、11d、及び配線11eが備わっている。配線11eは、導体層11に含まれる配線パターンによって構成されている。導体パッド11aと導体パッド11bの少なくとも1つとが配線11eで接続されている。
【0020】
導体パッド11a上には導体ポスト61が形成されており、導体ポスト61と導体パッド11aとが接続されている。従って、部品E1の電極E1aは、導体ポスト61を介して導体パッド11aに電気的に接続される。同様に、導体パッド11b上には導体ポスト62が形成されており、導体ポスト62と導体パッド11bとが接続されている。従って、部品E2の電極E2aは、導体ポスト62を介して導体パッド11bに電気的に接続される。導体ポスト61は導体パッド11aにおける絶縁層21側と反対側の表面から突出して被覆層41を貫通している。同様に、導体ポスト62は導体パッド11bの表面から突出して被覆層41を貫通している。
【0021】
配線基板100の使用時には、光電変換機能を有する受光素子及び/又は発光素子を含む電気部品が部品E1として部品領域A1に搭載される。そのため、
図1~
図3の例の部品E1は、電極E1aに加えて受光又は発光部E1bを備えている。電極E1a及び受光又は発光部E1bは、部品E1における配線基板100側に向けられる面に備えられている。部品E1としては、フォトダイオードなどの受光素子、並びに、発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)、レーザーダイオード(LD)、及び、垂直共振型面発光レーザー(VCSEL)などの発光素子が例示される。部品E1が発光素子である場合、部品E1は、電極E1aに入力される電気信号に基づく光を生成し、発光部として機能する受光又は発光部E1bから光を出射する。また、部品E1が受光素子である場合、受光部として機能する受光又は発光部E1bに入射する光に基づく電気信号が生成されて電極E1aから出力される。
【0022】
また、
図1の例において、配線基板100の使用時に部品領域A2に搭載され得る部品E2は、配線基板100側に向けられる面に電極E2aを備えている。部品E2は、部品E1を発光させる電気信号の生成、及び/又は、部品E1で生成された電気信号の処理などを行う半導体装置などの電子部品であり得る。部品E2としては、半導体装置、例えば、汎用オペアンプ、ドライバIC、マイコン、プログラマブルロジックデバイス(PLD)などが例示される。
【0023】
光導波路5のコア部51は、主に光導波路5に沿ってその一端側から他端側に延びている。コア部51は、光が入射及び出射する第1端面5aと、第1端面5aと反対側の端面であって光が入射及び出射する第2端面5bとを有している。
図1の配線基板100には、光コネクタCが搭載されている。光コネクタC及び光導波路5は、光コネクタCの入出光部とコア部51の第2端面5bとが光結合するように配置されている。また、光導波路5は、部品E1が部品領域A1に搭載されたときに、部品E1の受光又は発光部E1bとコア部51の第1端面5aとが光結合する位置に配置されている。
【0024】
図1に示されるように、光コネクタCには、配線基板100の使用時に光ファイバFが接続され得る。
図1及び
図2に示されるように、光ファイバFを伝播してきた光は、光コネクタCを介してコア部51の第2端面5bに入射し、コア部51内を伝播して第1端面5aから出射する。その光は、部品E1の受光又は発光部E1bに入射して部品E1で電気信号に変換される。その電気信号は、電極E1aから出力されて部品E2に入力され、部品E2で処理される。反対に、部品E2から出力された電気信号は、逆の経路で部品E1に入力されて光に変換される。その光は、部品E1の受光又は発光部E1bから出射してコア部51の第1端面5aに入射し、コア部51内を伝播して、第2端面5bから出射する。そして、出射した光は光ファイバFに入射して外部に伝播する。
【0025】
図1~
図3の例では、
図2に示されるように、光導波路5は、並列する2つのコア部51を有している。このように、実施形態の配線基板に備えられる光導波路5は、複数のコア部51を有し得る。また、
図2に示されるように、複数の配線11eが備えられている。複数の導体パッド11aと複数の導体パッド11bとが、並列する複数の配線11eによって接続されている。本実施形態では、導体パッド11aそれぞれの上に導体ポスト61が形成され、導体パッド11bそれぞれの上には導体ポスト62が形成されている。従って、隣接する導体パッド11a同士、及び、隣接する導体パッド11b同士の間の短絡不良が生じ難いと考えられる。そのため、複数の配線11eが、例えば、10μm以下のような狭いピッチで配置され得ることがある。
【0026】
本実施形態では、
図1及び
図3に示されるように、光導波路5が有するコア部51の第1端面5aは、部品領域A1内で絶縁層21と反対方向を向いて、すなわち、配線基板100の使用時には部品E1を向いて、光導波路5から露出している。具体的には、第1端面5aは、クラッド部52における絶縁層21と反対側の表面に露出している。そして、
図3に示されるように、第1端面5aと絶縁層21の表面21aとの距離D1は、被覆層41の厚さTよりも大きい。なお、被覆層41の厚さTは、導体層11を覆っている部分における被覆層41の厚さではなく、絶縁層21の表面21aと接している部分における厚さである。すなわち、被覆層41の厚さTは、絶縁層21の表面21aと、被覆層41における絶縁層21と反対側の表面(上面)との距離である。
【0027】
本実施形態では、このように、光導波路5が有するコア部51の第1端面5aは、部品領域A1内で、配線基板100の使用時に部品E1を向くように絶縁層21と反対方向を向いてクラッド部52の表面から露出している。光導波路5は、前述したように、絶縁層21の表面21aのうちの被複層41に覆われていない領域に設けられている。そして、コア部51の第1端面5aと絶縁層21の表面21aとの距離D1は、絶縁層21の表面21aと被覆層41の上面との距離(被覆層41の厚さT)よりも大きい。従って、少なくとも部分的に被覆層41の上に配置される部品E1の受光又は発光部E1bとコア部51の第1端面5aとを近づけ得ることがある。また、コア部51の第1端面5aが、配線基板100の使用時にクラッド部52を介さずに受光又は発光部E1bと対向し得る。
【0028】
従って、光導波路5のコア部51と部品E1の受光又は発光部E1bとを高い結合効率で光結合させ得ると考えられる。光が光導波路5と部品E1との間を少ない損失で伝播し得ると考えられる。
【0029】
さらに、本実施形態では、導体パッド11a上には被覆層41を貫通する導体ポスト61が形成されている。そのため、光導波路5の上(絶縁層21と反対側)に搭載される部品E1の電極E1aと導体パッド11aとの電気的接続のために物理的に繋がれるべき導電体同士の距離(電極E1aと導体パッド11aとの絶縁距離)を短くすることができる。すなわち、導体ポスト61が形成されない場合と比べて電極E1aと導体パッド11aとの絶縁距離を短くすることができる。従って、部品E1と配線基板100との接続信頼性が高まると考えられる。
【0030】
特に、
図1~
図3の例では、導体ポスト61は被覆層41における絶縁層21と反対側の表面よりも突出している。従って、電極E1aと導体パッド11aとの絶縁距離を一層短くすることができ、部品E1と配線基板100との接続信頼性が一層高まることがある。
【0031】
また、配線基板100への部品E1の実装のためにはんだバンプなどが用いられる場合には、導体ポスト61が備わっているので、小さいはんだバンプ、すなわち、低い高さと細い幅を有するはんだバンプを用い得ることがある。そのため、導体ポスト61が形成されない場合と比べて、導体パッド11a同士を近接させて配置できることがある。従って、より狭いピッチで配列された複数の電極E1aを備える部品E1を実装し得ることがある。また、配線11e(
図1及び
図2参照)を狭ピッチで配置できることがある。さらに、大きなバンプを用いる場合と比べてバンプによるインピーダンスの変化が小さいので、より良好な高周波伝送特性が得られることがある。
【0032】
このように、本実施形態によれば、導体パッドを備える絶縁層の表面に設けられる光導波路のコア部と、導体パッドに接続される部品とを高い結合効率で光結合することができ、しかも、その部品と導体パッドとを良好な接続品質で電気的に接続できることがある。また、配線基板の高密度化や良好な高周波特性の実現に寄与し得ることがある。
【0033】
図3を参照して、光導波路5及び導体ポスト61がさらに説明される。なお、導体ポスト61に対する説明は、導体ポスト62にも適用され得る。
図3に示されるように、光導波路5のコア部51は、絶縁層21の表面21aに沿って延びる第1部分51aと、第1部分51aに連結されていて屈曲する第2部分51bと、第2部分51bに連結されている第3部分51cと、を含んでいる。第2部分51bは、絶縁層21の表面21aに沿って第1部分51aが延びる方向から絶縁層21と反対方向に向けて屈曲している。コア部51は、第2部分51bにおいて傾斜面511を有している。傾斜面511は、第1部分51a及び第3部分51cそれぞれに対して傾いており、好ましくは、45度の角度で傾いている。第3部分51cは、第2部分51bから絶縁層21と反対方向に延びており、絶縁層21と反対側の端部、すなわち、第2部分51bと反対側の端部に第1端面5aを有している。
【0034】
表面21aに沿って第1部分51a中を伝播してきた光は、第2部分51bにおいて傾斜面511で絶縁層21と反対側に向かって反射して、第3部分51c中を第1端面5aに向かって伝播する。また、第3部分51c中を絶縁層21に向かって伝播してきた光は、第2部分51bにおいて傾斜面511で表面21aに沿う方向に反射して、第1部分51a中を第2端面5b(
図1参照)に向かって伝播する。なお、傾斜面511では、コア部51とクラッド部52との界面への入射角の小さい光が全反射し得ないこともあり得るが、コア部51とクラッド部52との屈折率の差を適度に大きくすることで、多くの光を全反射させることができる。なお、このような屈曲部を有するコア部51を備える光導波路5の形成方法としては、コア部形成用材料を吐出させながらクラッド内でニードルを走査させるMosquito法、及びインプリント法などが例示される。
【0035】
図3の例では、コア部51の第1端面5aは、絶縁層21の表面21aと略平行である。部品E1は、受光又は発光部E1bの受光又は発光面E1cが絶縁層21の表面21aと略平行になるように搭載されると考えられる。従って、絶縁層21の表面21aと略平行な第1端面5aは、部品E1の受光又は発光面E1cと、互いに略平行な状態で対向することができる。そのため、第1端面5aが絶縁層21の表面21aに対して傾いている場合と比べて、コア部51と部品E1とが高い結合効率で光結合されると考えられる。
【0036】
さらに、
図1~
図3の例では、導体ポスト61は、第1端面5aと略同じ方向を向く端面61aを導体パッド11a側と反対側の端部に有している。換言すれば、導体ポスト61の端面61aと第1端面5aとは略平行であり、そのため、端面61aは絶縁層21の表面21aと略平行である。部品E1の電極E1aと受光又は発光部E1bとは、電極E1aの接続面E1dと受光又は発光部E1bの受光又は発光面E1cとが略平行になるように形成されると考えられる。また、部品E1は、電極E1aの接続面E1dが絶縁層21の表面21aと略平行になるように搭載されると考えられる。導体ポスト61が第1端面5aと略平行な端面61aを有しているので、コア部51と部品E1とが高い結合効率で光結合されると共に、部品E1と導体ポスト61とが安定して接続されると考えられる。
【0037】
図3の例の導体ポスト61は、導体パッド11a側から導体パッド11a側と反対側、すなわち、配線基板100の使用時に部品E1と向かい合う側まで、略一定の幅を有している。また、導体ポスト61は一体として形成されている。すなわち、
図3の例では、導体ポスト61全体が一体的に形成されていて、例えば、異なる材料同士の界面や、形成時期の異なる領域同士の界面は導体ポスト61内に含まれていない。このように、全体的に略一定の幅で一体として形成されている導体ポスト61では、応力集中によるクラックや界面剥離などが生じ難いと考えられる。
【0038】
図1~
図3の配線基板100は、
図1及び
図3に示されるように、さらに、接続層7を含んでいる。接続層7は、導体ポスト61の端面61aの上に形成されている。接続層7は、導体ポスト61よりも低融点の材料で形成されている。従って、接続層7は、導体ポスト61(又は導体ポスト62)と部品E1(又は部品E2)との接続に寄与し得る。接続層7の材料としては、例えば、すず系はんだや金系はんだなどが例示される。接続層7を含む配線基板100では、部品E1や部品E2の実装の際に、はんだなどの接合材の供給を省略し得ることがある。
【0039】
図3の例において、導体ポスト61の端面61aと絶縁層21の表面21aとの距離D2は、光導波路5が有するコア部51の第1端面5aと絶縁層21の表面21aとの距離D1よりも短い。そのため、コア部51の第1端面5aと部品E1の受光又は発光部E1bとの近接が、導体ポスト61と部品E1の電極E1aとの当接によって妨げられ難いと考えられる。従って、光導波路5と部品E1との間の光結合における良好な結合効率が安定して得られ易いと考えられる。
【0040】
一方、接続層7における導体ポスト61と反対側の表面の少なくとも一部と絶縁層21の表面21aとの距離D3は、第1端面5aと絶縁層21の表面21aとの距離D1よりも長い。具体的には、接続層7の表面のうちの少なくとも最上部(絶縁層21の表面21aから最も離れた部分)において、距離D3は距離D1よりも長い。すなわち、接続層7の少なくとも一部は、コア部51の第1端面5aよりも、絶縁層21と反対側に、すなわち、配線基板100の使用時における部品E1側に突出している。従って、配線基板100への部品E1の実装時に、接続層7と部品E1の電極E1aとが接触し易く、従って、導体ポスト61と電極E1aとが略確実に接続されると考えられる。なお、接続層7は、部品E1の実装時に溶融し得るため、コア部51の第1端面5aと部品E1の受光又は発光部E1bとの近接を阻害し難い。
【0041】
図4には、
図1~
図3の導体ポスト61の変形例である導体ポスト611が示されている。
図4に示されるように、導体ポスト611は、下層612と上層613を有する2層構造を有している。下層612は、例えば、無電解めっきやスパッタリングで形成される金属膜である。上層613は、例えば、下層612を給電層として用いる電解めっきによって形成される電解めっき膜である。導体ポスト611は、導体パッド11aに向かって先細るテーパー部を被覆膜41内に有している。従って、導体ポスト611を有する
図4の例では、導体パッド11aの面積よりも大きな面積で、導体ポスト611と部品E1の電極E1aとを接続できることがある。また、後述されるように、導体ポスト611は、
図1~
図3の例の導体ポスト61よりも少ない工程で形成されると考えられる。
【0042】
図5A及び
図5Bには、それぞれ、光導波路5の変形例が示されている。
図5A及び
図5Bに示される光導波路5は、第2部分51bの屈曲箇所の傾斜面511に反射板53を有している。反射板53は、例えば、アルミニウム、銀、又は金などからなる金属膜である。反射板53に入射した光は、入射角度によらず略全反射することができる。反射板53は、好ましくは、第1部分51a及び第3部分51cが延びる方向それぞれに対して略45度傾くように形成されている。そうすることによって、第1部分51a及び第3部分51cそれぞれから伝播してきた光を効率よく第1端面5a又は第2端面5b(
図1参照)へと伝播させることができる。
【0043】
図5Aの例では、光導波路5における第1端面5aが露出する表面と反対側の表面は、コア部51の傾斜面511に達する凹部54を有している。そして、凹部54の底面に露出する傾斜面511上に、すなわち、凹部54と第2部分51bとの界面の凹部54側に反射板53が設けられている。凹部54の内部に反射板53が形成されている。
【0044】
図5Bの例では、
図5Aの例の凹部54は設けられていない。
図5Bの例の反射板53は、傾斜面511に沿って形成されていてコア部51とクラッド部52との間に介在している。
図5A及び
図5Bにそれぞれ例示される反射板53の形成方法は、後述されるように、互いに異なる。実施形態の配線基板は、その製造環境に適した方法で形成される反射板53を有し得る。
【0045】
図6には、他の実施形態の配線基板の一例である配線基板101が示されている。配線基板101は、以下に説明する事項を除いて、
図1などに示される配線基板100と同様の構成要素で構成され、配線基板100と同様の構造を有している。配線基板100の構成要素と同様の構成要素には、
図6において、
図1に付されている符号と同様の符号が付されるか適宜省略され、その再度の説明は省略される。
【0046】
図6に示されるように、配線基板101は、
図1の配線基板100に備えられる光導波路5の代わりに、同じ方向を向いて露出する第1端面5a及び第2端面5bを有するコア部51を含む光導波路50を含んでいる。また、配線基板101では、導体層11は導体パッド11c(第3導体パッド)を含んでいる。すなわち、絶縁層21の表面21aには、さらに、第3導体パッド11cが備えられている。導体パッド11c上には、導体ポスト63が形成されており、導体ポスト63と導体パッド11cとが接続している。導体ポスト63は、導体ポスト61、62と同様に、導体層11から絶縁層21と反対方向に向かって延びる柱状、錘台状、又は逆錘台状の形状を有する導電体である。導体ポスト63は導体パッド11cの上面から突出して被覆層41を貫通している。
【0047】
配線基板101の使用時には、
図6に示されるように、導体ポスト63に外部の部品E3が接続される。具体的には部品E3の電極E3aと導体ポスト63とが接続される。従って、部品E3は、導体ポスト63を介して導体パッド11cに電気的に接続される。また、配線基板101は、配線基板101の使用時に部品E3に覆われるべき領域である部品領域A3(第3部品領域)を含んでいる。部品領域A3に部品E3が位置づけられる。部品E3は、導体ポスト63及び光導波路50それぞれにおける絶縁層21側と反対側に搭載される。
【0048】
部品E3は、部品E1と同様に、光電変換機能を有する受光素子及び/又は発光素子を含む電気部品であり、部品E1に関して前述された受光素子又は発光素子が部品E3として配線基板101に搭載される。そのため、部品E3は、電極E3aに加えて受光又は発光部E3bを備えている。電極E3a及び受光又は発光部E3bは、部品E3における配線基板101側に向けられる面に備えられている。
【0049】
光導波路50は、
図1の例の光導波路5と同様に、絶縁層21の表面21aにおける被覆層41に覆われていない領域に設けられており、コア部51及びクラッド部52を含んでいる。光導波路50のコア部51及びクラッド部52は、光導波路5のコア部51及びクラッド部52の材料に関して前述された、有機系若しくは無機系の各素材、又はそれらの混成素材によって構成され得る。
【0050】
光導波路50が有するコア部51は、
図1の光導波路5と同様に、部品領域A1内で絶縁層21と反対方向を向いて光導波路50から露出する第1端面5aを有している。そして、光導波路50のコア部51は、第1端面5a側の端部と反対側の端部に第2端面5bを有している。第2端面5bは、第1端面5aと同じ方向を向いて光導波路50から露出している。従って、光導波路50のコア部51は、絶縁層21の表面21aに沿って延びる第1部分51aと、第1部分51aの両端にそれぞれ連結されている2つの第2部分51bと、2つの第2部分51bにそれぞれ連結されている2つの第3部分51cと、を含んでいる。2つの第2部分51bは、それぞれ、表面21aに沿う方向から絶縁層21と反対方向に向けて屈曲している。また、2つの第3部分51cは、それぞれ、第2部分51bから絶縁層21と反対方向に延びている。第2部分51bと反対側の端部、すなわち、絶縁層21と反対側の端部において、2つの第3部分51cの一方は第1端面5aを有し、他方は第2端面5bを有している。
【0051】
光導波路50が有するコア部51の第2端面5bは、絶縁層21と反対方向を向く第1端面5aと同じ方向を向いて部品領域A3内で光導波路50から露出している。すなわち、第2端面5bは、配線基板101の使用時に部品E3を向くように光導波路50から露出している。第2端面5bは、配線基板の使用時に部品E3の受光又は発光部E3bと対向するように位置づけられる。配線基板101においても、第1端面5aと絶縁層21の表面21aとの距離は被覆層41の厚さよりも大きい。第2端面5bは、好ましくは、第1端面5aと略面一である。従って、第2端面5bと絶縁層21の表面21aとの距離は、被覆層41の厚さよりも大きくてもよい。従って、光導波路50の第2端面5bと部品E3の受光又は発光部E3bとを高い結合効率で光結合させ得ることがある。
【0052】
また、導体パッド11c上には被覆層41を貫通して被覆層41の表面よりも突出する導体ポスト63が形成されているので、部品E3と配線基板101との接続信頼性が高まることがある。また、配線基板の高密度化や良好な高周波特性が実現されることがある。
【0053】
つぎに、一実施形態の配線基板を製造する方法が、
図1の配線基板100を例に用いて
図7A~
図7Hを参照して説明される。
【0054】
図7Aに示されるように、コア基板3の両側に、絶縁層21、22、及び導体層11、12が形成される。例えば、コア基板3の絶縁層32となる絶縁層を含む両面銅張積層基板にサブトラクティブ法によって所望の導体パターンを有する導体層31とスルーホール導体33とが形成される。そして、コア基板3の第1面3a上に絶縁層21が形成され、第2面3b上に絶縁層22が形成される。絶縁層21及び絶縁層22は、例えば、コア基板3上へのフィルム状のエポキシ樹脂の積層、及びその熱圧着によって形成される。各絶縁層には、ビア導体20を形成するための貫通孔が、例えば炭酸ガスレーザー光の照射などによって形成される。そして、絶縁層21の表面21aの上に導体層11が形成され、絶縁層22の上には導体層12が形成される。導体層11は、導体パッド11a、11b、11d及び配線11eを含むように形成される。導体層11及び導体層12は、それぞれ、例えばセミアディティブ法によって形成される。
【0055】
図7Bには、
図7AのVIIB部の拡大図が示されている。セミアディティブ法による導体層11などの形成では、
図7Bに示されるように、例えば、絶縁層21の表面21aに無電解めっきやスパッタリングによって金属膜111が形成される。その金属膜111を給電層として用いる電解めっきを含むパターンめっきによってめっき膜112が形成される。
【0056】
図1の配線基板100が製造される場合は、パターンめっきによるめっき膜112の形成後、そのパターンめっきに用いられためっきレジスト(図示せず)が除去された後、金属膜111が全面的に残されたまま、導体ポスト61、62(
図1参照)が形成される。導体ポスト61を例に、導体ポスト61、62の形成方法が
図7C~
図7Eを参照して以下に説明される。
図7C~
図7Eは、
図7Bに示される部分と同様の部分を示している。
【0057】
図7Cに示されるように、導体層11及び絶縁層21の上に、導体ポスト61の形成箇所に開口R1aを有するめっきレジストR1が形成される。例えば、めっきレジストR1は感光性樹脂を含み、開口R1aは露光及び現像によって形成される。
【0058】
図7Dに示されるように、開口R1a内に、例えば、金属膜111を給電層として用いる電解めっきによって導体ポスト61が形成される。導体ポスト61は、後工程における被覆層41(
図7G参照)の形成完了時に被覆層41を貫通し得る高さ、好ましくは、被覆層41の上面よりも突出し得る高さを有するように形成される。
【0059】
さらに、
図7Dに示されるように、接続層7が、導体ポスト61の端面61a上に形成される。接続層7として、例えば、すず、すず合金、又は、金合金などからなる金属膜が形成される。接続層7は、金属膜111を給電層として用いる電解めっきによって形成され得る。接続層7の形成後、めっきレジストR1が適切な剥離剤を用いて除去される。そして、金属膜111のうちのめっきレジストR1の除去によって露出する部分、すなわち、めっき膜112に覆われていない部分が、例えば、クイックエッチングによって除去される。導体パッド11aなどの導体層11の各導体パターンが、他の導体パターンと物理的及び電気的に分離される。
【0060】
図7E及び
図7Fに示されるように、絶縁層21及び導体層11、導体ポスト61、62、及び接続層7を覆う被覆層41が形成される。
図7Fは、配線基板100全体について
図7Eと同様に被覆層41の形成後の状態を示している。被覆層41は、
図7E及び
図7Fに示される段階では、導体ポスト61、62、及び接続層7を含めて絶縁層21の表面21a上の全ての構成要素を覆うように形成される。
【0061】
被覆層41は、例えば、液状又はシート状のエポキシ樹脂又はポリイミド樹脂などを、印刷、塗布、吹き付け、又は積層などの方法で絶縁層21の表面21a及び表面21a上の各構成要素上に供給することによって形成される。被覆層41は、適切な成型型を用いたインジェクションモールドによって形成されてもよい。また、感光性を有するエポキシ樹脂又はポリイミド樹脂が用いられてもよい。被覆層41は、必要に応じて、加熱又は紫外線照射などによって本硬化又は仮硬化される。なお、
図7Fに示されるように、コア基板3の第2面3b側には、ソルダーレジスト42がエポキシ樹脂やポリイミド樹脂の塗布や積層によって形成されており、導体層12及び絶縁層22全体が、ソルダーレジスト42によって覆われている。
【0062】
図7Gに示されるように、導体ポスト61、62における絶縁層21と反対側の端部が接続層7と共に被覆層41から露出するように、被覆層41の厚さ方向の一部が除去される。具体的には、被覆層41における絶縁層21と反対側の表面から所定の厚さを有する部分が全面的に除去される。被覆層41の厚さの減少によって、導体ポスト61、62における絶縁層21と反対側の端部が被覆層41から露出する。
【0063】
被覆層41の厚さ方向の一部は、例えば、四フッ化炭素(CF4)ガスを用いるプラズマエッチングなどのドライエッチンングによって除去され得る。また、ブラスト処理によって被覆層41の一部が除去されてもよい。図示されていないが、コア基板3の第2面3b側の表面は、導体ポスト61、62の形成の間、及び/又は、被覆層41の一部の除去の間、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)製のフィルムのような保護膜の貼付によって保護されてもよい。
【0064】
図7Hに示されるように、被覆層41における、光導波路5及び光コネクタCが設けられる領域に対応する部分が、例えば、炭酸ガスレーザー光の照射などによって除去される。絶縁層21の表面21aにおける、光導波路5及び光コネクタCが設けられる領域が露出する。そのレーザー加工によって開口41aが形成され得る。また、コア基板3の第2面3b側では、ソルダーレジスト42に、露光及び現像、又はレーザー加工によって開口42aが形成される。
【0065】
光導波路5が、前述したように、例えば、Mosquito法又はインプリント法などを用いて形成される。また、配線基板100の用途に応じた任意の適切な光コネクタCが用意される。被覆層41から露出している絶縁層21の表面21aの所定の部分に、例えば、熱硬化性、常温硬化性、又は光硬化性などの任意の接着剤Bが供給され、その上に光導波路5及び光コネクタCが配置される。必要に応じて、加熱などによる接着剤Bの硬化処理が行われ、光導波路5及び光コネクタCが固定される。さらに、接続層7が、リフロー処理などによって一旦溶かされて半球状の形状に整形される。以上の工程を経ることによって
図1の例の配線基板100が完成する。
【0066】
先に参照された
図4に示される変形例の導体ポスト611が形成される場合は、
図7A及び
図7Bに示される状態から、金属膜111の露出部分が、例えばクイックエッチングによって除去される。すなわち、導体ポスト611の形成の前に、導体パッド11aなどの導体層11の各導体パターンが他の導体パターンと分離される。
【0067】
そして、
図8Aに示されるように、被覆層41及びソルダーレジスト42が形成される。被覆層41及びソルダーレジスト42は、
図7E及び
図7Fを参照して説明された方法と同様の方法で形成され得る。そして、例えば露光及び現像、又はレーザー加工などによって、被覆層41に開口41a及び開口41bが形成されると共に、被覆層41における、光導波路5及び光コネクタC(
図1参照)が設けられる領域に対応する部分が除去される。開口41bは、導体ポスト611が形成される位置に形成される。ソルダーレジスト42にも、同様に、例えば露光及び現像によって開口42aが形成される。
【0068】
そして、
図8Bに示されるように、導体ポスト611の下層612を構成する金属膜610が、例えば無電解めっき又はスパッタリングによって形成される。なお、
図8Bは、
図8AのVIIIB部に相当する部分を拡大して示している。金属膜610は、被覆層41上、開口41bの内壁面上、及び被覆層41に覆われていない絶縁層21の表面21a上に形成される。そして、開口41bを露出させる開口R1aを導体ポスト611の形成位置に有するめっきレジストR1が形成される。図示されていないが、めっきレジストR1は、被覆層41の開口41a(
図8A参照)も覆うように形成される。
【0069】
開口R1a内及び開口41b内に、上層613を構成する金属が電解めっきによって形成される。金属膜610が給電層として用いられ得る。その結果、下層612及び上層613を有する2層構造の導体ポスト611が形成される。さらに、金属膜610を給電層として用いる電解めっきによって、接続層7として、すず、すず合金、又は、金合金などからなる金属膜が形成される。
【0070】
その後、めっきレジストR1が除去され、その除去によって露出する金属膜610がクイックエッチングなどによって除去される。以上の工程を経ることによって、
図4の例の導体ポスト611が形成され得る。
図8A及び
図8Bに示される導体ポスト611の形成方法は、被覆層41の厚さ方向の一部の除去が不要なので、
図1の例の導体ポスト61及び被覆層41の形成よりも容易なことがある。
【0071】
図9Aには、先に参照された
図5Aに示される変形例の光導波路5の形成方法が示され、
図9B及び
図9Cには、
図5Bに示される変形例の光導波路5の形成方法が示されている。
【0072】
図9Aに示されるように、
図5Aの例の光導波路5が形成される場合、Mosquito法又はインプリント法などを用いてコア部51及びクラッド部52が形成された後、凹部54が形成される。凹部54は、好ましくは、コア部51及びクラッド部52を完全に硬化させるポストベークの前に形成される。例えば、先端に傾斜部を有するダイヤモンドソーのような刃物Sを用いた掘削加工により、コア部51の屈曲箇所に到達する凹部54が形成される。その後、凹部54だけを露出させる開口を有するマスク(図示せず)が凹部54の周囲に設けられたうえで、例えば、スパッタリングなどによって、アルミニウム、銀、又は金などの金属膜からなる反射板53(
図5A参照)が形成される。
【0073】
図5Bの例の光導波路5が形成される場合、
図9Bに示されるように、クラッド部52の一部に反射板53が形成される。例えば、インプリント法によって、クラッド部52のベース部521にコア部形成用の溝52aが、端部に傾斜面511を有するように形成される。その後、溝52aの傾斜面511だけを露出させるマスク(図示せず)がクラッド部52のベース部521及び溝52aの上に形成される。そして、例えばスパッタリングなどによって、傾斜面511の上に、アルミニウム、銀、又は金などの金属膜からなる反射板53が形成される。
【0074】
その後、
図9Bに示されるように、溝52a内が、コア部51を構成する例えばアクリル系樹脂などによって充填される。その後、クラッド部52のカバー部522を構成するアクリル樹脂などが、コア部51及びベース部521上に供給され、コア部51がクラッド部52に覆われる。その後、カバー部522に、反射板53が形成されているコア部51の端部を露出させる開口523が、露光及び現像、又はレーザー加工などによって形成される。さらに、その開口523を、コア部51を構成する樹脂で充填することによって、
図5Bの例の光導波路5が形成される。
【0075】
実施形態の配線基板は、各図面に例示される構造、並びに、本明細書において例示される構造、形状、及び材料を備えるものに限定されない。前述したように、実施形態の配線基板は任意の積層構造を有し得る。例えば、実施形態の配線基板はコア基板を含まないコアレス基板であってもよい。実施形態の配線基板は、任意の数の導体層及び絶縁層を含み得る。光コネクタCが設けられなくてもよく、部品E2を搭載する導体パッド11b及び導体ポスト62は形成されていなくてもよく、従って、部品領域A2は含まれていなくてもよい。
【符号の説明】
【0076】
100、101 配線基板
11、12 導体層
11a~11d 導体パッド
11e 配線
21、22 絶縁層
21a 絶縁層21の表面
41 被覆層
5、50 光導波路
51 コア部
51a 第1部分
51b 第2部分
51c 第3部分
5a 第1端面
5b 第2端面
52 クラッド部
61~63、611 導体ポスト
61a 導体ポストにおける導体パッド側と反対側の端面
7 接続層
A1 部品領域(第1部品領域)
A2 部品領域(第2部品領域)
A3 部品領域(第3部品領域)
D1 第1端面と絶縁層の表面との距離
D2 導体ポストの端面と絶縁層の表面との距離
D3 接続層の表面と絶縁層の表面との距離
E1~E3 部品
T 被覆層の厚さ