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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023082069
(43)【公開日】2023-06-13
(54)【発明の名称】体腔用薬物被覆バルーンカテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61L 29/16 20060101AFI20230606BHJP
   A61M 25/10 20130101ALI20230606BHJP
【FI】
A61L29/16
A61M25/10 510
A61M25/10 540
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023050929
(22)【出願日】2023-03-28
(62)【分割の表示】P 2019229554の分割
【原出願日】2018-05-04
(31)【優先権主張番号】62/502,212
(32)【優先日】2017-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.BRIJ
(71)【出願人】
【識別番号】515112986
【氏名又は名称】ウロトロニック・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Urotronic, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】リーシャオ・ワン
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・バーネット
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド・ヘンドリクソン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】体腔狭窄の標的部位に治療剤を送達するための薬物被覆バルーンカテーテル処置に使用される組成物を提供する。
【解決手段】消化器または胆管狭窄の処置に使用するための組成物であって、方法が:予め浸したバルーンカテーテルを消化器または胆管狭窄に提供する工程であって、バルーンカテーテルがバルーンおよびバルーンの外表面を覆う組成物を含むコーティング層を含み、組成物が疎水性治療剤および1以上の水溶性添加物を含む工程;コーティング層が狭窄の壁と接触し、治療剤が狭窄の壁に送達されるようにバルーンを膨張させる工程;膨張期間の後バルーンを収縮させる工程;および狭窄からバルーンカテーテルを引き抜く工程を含むものである、組成物を提供する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体腔狭窄の標的部位に治療剤を送達するための薬物被覆バルーンカテーテルであって、バルーンカテーテルが
主直径を有する細長いバルーン;および
バルーンの外表面を覆うコーティング層を含み、ここで、コーティング層が1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含むものである、バルーンカテーテル。
【請求項2】
バルーンが、バルーン上にバルーンが膨張したときに主直径より小さい直径を含む少なくとも1つのネック部を含み、該少なくとも1つのネック部がバルーンを各々一定直径を有する少なくとも2つの要部に分割する、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項3】
主直径が少なくとも13mmまたは少なくとも15mmまたは少なくとも20mmまたは少なくとも30mmまたは少なくとも35mmである、請求項2に記載のバルーンカテーテル。
【請求項4】
少なくとも2つの要部の直径が細長いバルーンの主直径と同一であるかまたは少なくとも1つのネック部が少なくとも2つの要部の少なくとも1つの直径の約5%~約99%である直径を有する、請求項2に記載のバルーンカテーテル。
【請求項5】
少なくとも1つのネック部が独立して約5mm~約35mmである直径を有する、請求項2に記載のバルーンカテーテル。
【請求項6】
少なくとも1つのネック部がバルーン膨張中実質的に静止している、請求項2に記載のバルーンカテーテル。
【請求項7】
少なくとも1つのネック部がバルーンの実質的非弾性部分、バルーンの補強部分またはそれらの組み合わせを含む、請求項2に記載のバルーンカテーテル。
【請求項8】
少なくとも1つのネック部がネック部の外周周囲に非弾性材料を含む、請求項2に記載のバルーンカテーテル。
【請求項9】
非弾性材料が超高分子量ポリエチレン、ナイロン、ポリアミドまたはそれらの組み合わせを含む、請求項8に記載のバルーンカテーテル。
【請求項10】
細長いバルーンが約20mm~約160mmの長さを有する、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項11】
少なくとも2つの要部の直径が約5mm~約45mmである、請求項2に記載のバルーンカテーテル。
【請求項12】
少なくとも1つのネック部がバルーン長の約1%~約50%である、請求項2に記載のバルーンカテーテル。
【請求項13】
少なくとも1つのネック部が1つのネック部であり、バルーンが他のネック部を有しない、請求項2に記載のバルーンカテーテル。
【請求項14】
少なくとも1つのネック部が2つのネック部であり、バルーンが他のネック部を有しない、請求項2に記載のバルーンカテーテル。
【請求項15】
2つのネック部がほぼ同じ直径を有する、請求項14に記載のバルーンカテーテル。
【請求項16】
2つのネック部の一方が他方のネック部より小さい直径を有する、請求項14に記載のバルーンカテーテル。
【請求項17】
2つのネック部がバルーン長の中央に対して対称に位置する、請求項14に記載のバルーンカテーテル。
【請求項18】
バルーンカテーテルが2つのネック部により分けられた3つの要部を含む、請求項14に記載のバルーンカテーテル。
【請求項19】
少なくとも1つのネック部が3つのネック部であり、ここで、バルーンが他のネック部を有しない、請求項2に記載のバルーンカテーテル。
【請求項20】
3つのネック部が3つのネック部により離された4つの要部を提供するように配置される、請求項19に記載のバルーンカテーテル。
【請求項21】
バルーンの長手方向末端上のカテーテルシャフトであって、ガス、液体またはそれらの組み合わせのバルーン内部への送達のための内部管腔を含むカテーテルシャフトを含む、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項22】
非侵襲的クーデチップを含む、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項23】
治療剤がパクリタキセル、ドセタキセル、タキソール、そのアナログ、ラパマイシン、シロリムス、エベロリムス、タクロリムス、mTOR阻害剤、そのアナログおよびそれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項24】
水溶性添加物がN-アセチルグルコサミン、N-オクチル-D-グルコンアミド、N-ノナノイル-N-メチルグルカミン、N-オクタノイル-N-メチルグルタミン、C6-セラミド、ジヒドロ-C6-セラミド、セレブロシド、スフィンゴミエリン、ガラクトセレブロシド、ラクトセレブロシド、N-アセチル-D-スフィンゴシン、N-ヘキサノイル-D-スフィンゴシン、N-オクトノイル-D-スフィンゴシン、N-ラウロイル-D-スフィンゴシン、N-パルミトイル-D-スフィンゴシン、N-オレオイル-D-スフィンゴシン、PEGカプリル/カプリン酸ジグリセライド、PEG8カプリル/カプリン酸グリセライド、PEGカプリレート、PEG8カプリレート、PEGカプレート、PEGカプロエート、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノカプロン酸グリセリル、モノラウリン、モノカプリン、モノカプリリン、モノミリスチン、モノパルミトレイン、モノオレイン、クレアチン、クレアチニン、アグマチン、シトルリン、グアニジン、スクラロース、アスパルテーム、ヒポキサンチン、テオブロミン、テオフィリン、アデニン、ウラシル、ウリジン、グアニン、チミン、チミジン、キサンチン、キサントシン、一リン酸キサントシン、カフェイン、アラントイン、(2-ヒドロキシエチル)尿素、N,N’-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、ペンタエリスリトールエトキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート/エトキシレート、グリセロールエトキシレート、グリセロールプロポキシレート、トリメチロールプロパンエトキシレート、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、クラウンエーテル、18-クラウン-6、15-クラウン-5、12-クラウン-4およびそれらの組み合わせから選択される、請求項1~23の何れかに記載のバルーンカテーテル。
【請求項25】
水溶性添加物がペンタエリスリトールエトキシレートおよびペンタエリスリトールプロポキシレートおよびそれらの組み合わせから選択される、請求項24に記載のバルーンカテーテル。
【請求項26】
水溶性添加物が界面活性剤である第一水溶性添加物を含む、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項27】
第一水溶性添加物がPEGソルビタンモノラウレート、PEGソルビタンモノオレアートまたはそれらの組み合わせである、請求項26に記載のバルーンカテーテル。
【請求項28】
水溶性添加物がヒドロキシル、アミン、カルボニル、カルボキシルまたはエステルである1以上の部分を有する化合物である第二水溶性添加物を含むである、請求項1~27の何れかに記載のバルーンカテーテル。
【請求項29】
第二水溶性添加物がソルビトール、ソルビタン、キシリトール、グルコノラクトンまたはそれらの組み合わせである、請求項28に記載のバルーンカテーテル。
【請求項30】
使用後残存薬物量が初期薬物負荷量の約70%以下である、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項31】
初期薬物負荷量が、バルーンがその公称径であるときに測定して、バルーン1mmあたり約1μg~約20μgの治療剤である、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項32】
初期薬物負荷量が、バルーンがその公称径であるときに測定して、バルーン1mmあたり約2~約6μgの治療剤である、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項33】
体腔が非血管体腔または血管体腔である、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項34】
体腔が冠血管動脈および末梢動脈の1つである血管管腔または食道、気道、副鼻腔、気管、結腸、胆管、胃、小腸、十二指腸、空腸、回腸、直腸、大腸、尿路、前立腺、尿道および輸尿管の1つである非血管体腔である、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項35】
コーティング層中の治療剤対コーティング層中の1以上の水溶性添加物の総重量の重量比が約0.05~約20である、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項36】
コーティング層中の治療剤対コーティング層中の1以上の水溶性添加物の総重量の重量比が約0.5~約8である、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項37】
コーティング層中の治療剤対コーティング層中の1以上の水溶性添加物の総重量の重量比が約2~約6である、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項38】
バルーンカテーテルが約1.0~約20の延伸比を有する、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項39】
バルーンカテーテルが細長いバルーンを覆うシースをさらに含む、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項40】
バルーンカテーテルが、体腔が水、食塩水溶液または少なくとも1つの水溶性添加物を含む水溶液で洗い流された後、該体腔の標的部位に治療剤を送達するためのものである、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項41】
体腔狭窄を処置する方法であって、
バルーンカテーテルを体腔狭窄の標的部位へ挿入し、バルーンカテーテルは
細長いバルーンおよび
バルーンの外表面を覆うコーティング層を含み、ここで、コーティング層が1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含むものであり;
膨張時間の間コーティング層が標的部位で体腔の壁に接触し、かつバルーンが膨張バルーン直径を達成するまでバルーンを膨張させ、ここで
a)膨張バルーン直径対標的部位での常態体腔直径の比が約1.0~約20であるかまたは
b)膨張が、バルーンカテーテルの公称圧力と同程度以上までバルーンを膨張させることを含み、バルーンカテーテル対標的部位での常態体腔直径の公称径の延伸比が約1.0~約20であるかまたは
c)膨張がバルーンカテーテルの公称圧力を超える圧力まで膨張させることを含み、バルーンカテーテルの公称径が膨張バルーン直径未満であるかまたは
d)(a)、(b)および(c)の組み合わせであり;
膨張時間後バルーンを収縮させ;そして
バルーンカテーテルを体腔から引き抜くことを含む、方法。
【請求項42】
バルーンカテーテルが近位ウエスト、遠位ウエスト、主本体直径およびバルーン上にバルーンが膨張したときの主直径より小さい直径を有する少なくとも1つのネック部を含む細長いバルーンを含み、該少なくとも1つのネック部がバルーンを各々一定の直径を有する少なくとも2つの要部に分ける、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
少なくとも2つの要部の直径が細長いバルーンの主直径に等しい、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
バルーンの標的部位への挿入前に、体腔を水、食塩水溶液または少なくとも1つの水溶性添加物を含む水溶液で洗い流すことをさらに含む、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
体腔が前立腺であり、ここで、バルーンカテーテルの挿入が前立腺におけるバルーンカテーテル要部の1つの位置決めおよび膀胱におけるバルーンカテーテルの第二要部の位置決めを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
挿入が膀胱頸部におけるバルーンの少なくとも1つのネック部の位置決めを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
膨張がバルーン内の圧力を約0.1~約10気圧/分の速度で増加することを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項48】
膨張がバルーン内の圧力の観察を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項49】
膨張がバルーンを第一圧力まで膨張させ、バルーン内の圧力をバルーン内の第一圧力を安定化時間維持しながら安定化させ、次いで所望の膨張直径が達成されるまでバルーンの圧力増加を再開させることを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項50】
膨張時間が約0.1分~約7日である、請求項41に記載の方法。
【請求項51】
方法が血管管腔、非血管管腔、冠動脈、末梢動脈、良性前立腺肥大(BPH)狭窄、尿道、輸尿管、前立腺、食道、ステント内の狭窄、胆管、胃、小腸、十二指腸、空腸、回腸、結腸、直腸、大腸、副鼻腔、喘息または慢性閉塞性肺疾患(COPD)の処置方法である、請求項41に記載の方法。
【請求項52】
方法が良性前立腺肥大処置のための、肥大前立腺を開裂するまたは交連切開を作る方法である、請求項41に記載の方法。
【請求項53】
体腔における狭窄が尿道狭窄、良性前立腺肥大(BPH)狭窄、輸尿管狭窄、食道狭窄、ステント内の狭窄、副鼻腔狭窄、胆管狭窄、胃狭窄、小腸狭窄、十二指腸狭窄、空腸狭窄、回腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄、大腸狭窄、前立腺癌狭窄および気道狭窄の1つである、請求項41に記載の方法。
【請求項54】
方法が良性前立腺肥大、前立腺癌またはそれらの組み合わせを処置する方法であって、ここで、体腔が前立腺である、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
1以上の水溶性添加物が膨張時間の間標的部位でバルーンからの治療剤の迅速な放出を促進する、請求項41に記載の方法。
【請求項56】
バルーンが引き抜いた後に残存薬物量を有する、請求項41に記載の方法。
【請求項57】
バルーンが引き抜いた後に初期薬物負荷量の約70%未満である残存薬物量を有する、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
バルーンカテーテルがさらにバルーンを覆うシースを含み、ここで、シースがバルーン膨張前にバルーンから除かれる、請求項41に記載の方法。
【請求項59】
スコープがバルーンカテーテルを正しく配置するのに使用される、請求項41に記載の方法。
【請求項60】
スコープが内視鏡、小腸内視鏡、大腸内視鏡、S状結腸鏡、直腸鏡、肛門鏡、鼻鏡、気管支鏡または膀胱鏡である、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
バルーンカテーテルがスコープの管腔内に配置される、請求項59に記載の方法。
【請求項62】
バルーンカテーテルが体腔にあるときスコープと並んで配置される、請求項59に記載の方法。
【請求項63】
体腔が前立腺尿道であり、バルーンカテーテルを標的部位に挿入するとき、バルーンカテーテルの近位ウエストを前立腺尿道の外部括約筋に配置するためにスコープが使用される、請求項42に記載の方法。
【請求項64】
前拡張バルーンを標的部位の体腔に挿入し、前拡張バルーンを膨張させ、前拡張バルーンを除いた後に薬物被覆バルーンカテーテルを挿入することをさらに含む、請求項41に記載の方法。
【請求項65】
バルーンカテーテルが1.0、1.1、1.2または1.31~10の膨張バルーン直径対標的部位での常態体腔直径の比を有するかまたはバルーンカテーテルが1.0、1.1、1.2または1.31~10のバルーン公称径対標的部位での常態体腔直径の延伸比を有するかまたはそれらの組み合わせを有する、請求項41に記載の方法。
【請求項66】
体腔狭窄を処置する方法であって、
体腔狭窄にスコープを挿入し;
薬物コーティングを有するバルーンカテーテルを体腔狭窄に挿入し;
バルーンカテーテルを0.5気圧~1.5気圧の初期圧力まで膨張させ、圧力が落ちなくなるまで初期圧力を維持し;
初期圧力より少なくとも0.5気圧~1.5気圧上の次に高い圧力まで膨張させ、次に高い圧力をバルーン内の圧力がもはや落ちなくなるまで維持し;
次に高い圧力までの膨張と維持を管腔が所望の直径まで拡張されるまで反復し;
薬物を組織に放出させ、出血を防止するためにバルーンを1分~7日膨張を維持し;
バルーンカテーテルを収縮させ;そして
体腔からスコープおよびバルーンカテーテルを引き抜くことを含む、方法。
【請求項67】
スコープおよびバルーンカテーテルが体腔に並べて配置される、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
バルーンカテーテルが体腔への挿入前にスコープに充填される、請求項66に記載の方法。
【請求項69】
体腔の所望の直径が処置位置での体腔の常態直径の1.0~20倍である、請求項66に記載の方法。
【請求項70】
バルーンカテーテルがさらにバルーンを覆うシースを含み、ここで、シースが初期圧力までバルーン膨張前にバルーンから除かれる、請求項66に記載の方法。
【請求項71】
体腔狭窄を処置する方法であって、
体腔狭窄にフレキシブルスコープを挿入し;
スコープと並べてバルーンカテーテルを体腔狭窄に挿入し;
バルーンカテーテルを狭窄に挿入する前、挿入中またはその後に水、食塩水または水溶性添加物の溶液で洗い流し;
0.5気圧~1.5気圧の初期圧力まで膨張させ、圧力が落ちなくなるまで初期圧力を維持し;
初期圧力より0.5気圧~1.5気圧上の高い圧力まで膨張させ、バルーン内の圧力が落ちなくなるまで高い圧力を維持し;
高い圧力への膨張および維持を体腔の組織が生じるまで反復し;
薬物を組織に放出させ、出血を防止するためにバルーンを1分~7日膨張を維持し;
バルーンカテーテルを収縮させ;そして
体腔からスコープおよびバルーンカテーテルアセンブリを引き抜くことを含む、方法。
【請求項72】
maxを増加させる方法であって、
バルーンカテーテルを尿路狭窄における標的部位に挿入させ、バルーンカテーテルは、細長いバルーンおよびバルーンの外表面を覆うコーティング層を含み、ここで、コーティング層が1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含むものであり;
バルーンを膨張時間の間コーティング層が尿路狭窄の壁に接触するまで膨張させ、ここで
a)膨張バルーン直径対標的部位での常態尿路直径の比が約1.0~約20であるかまたは
b)膨張が、バルーンカテーテルの公称圧力と同程度以上までバルーンを膨張させることを含み、バルーンカテーテルの公称径対標的部位での常態尿路直径の延伸比が約1.0~約20であるかまたは
c)膨張がバルーンカテーテルの公称圧力を超える圧力まで膨張させることを含み、バルーンカテーテルの公称径が膨張バルーン直径未満であるかまたは
d)(a)、(b)および(c)の組み合わせであり;
膨張時間後バルーンを収縮させ;そして
尿路からバルーンカテーテルを引き抜くことを含み;
ここで、Qmaxを最低15mL/秒まで増加させるものである、方法。
【請求項73】
標的部位が尿道狭窄である、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
膨張バルーン直径対標的部位での体腔の常態直径の比が約1.31~約20であるかまたはバルーンカテーテルの公称径対標的部位での常態体腔直径の延伸比が約1.31~約20であるかまたはそれらの組み合わせである、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
標的部位が前立腺である、請求項72に記載の方法。
【請求項76】
細長いバルーンが主直径およびバルーンを少なくとも2つの要部に分ける少なくとも1つのネック部を有し、ネック部がバルーンが膨張したときバルーンの主直径より小さい直径を含む、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
少なくとも2つのバルーンの要部各々が、バルーンが膨張したとき、バルーンの要部に等しい直径を有する、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
maxが最初の処置6ヶ月後なお15mL/秒を超える、請求項72に記載の方法。
【請求項79】
maxが最初の処置12ヶ月後なお15mL/秒を超える、請求項72に記載の方法。
【請求項80】
国際前立腺症状スコア(IPSS)を低下させる方法であって、
バルーンカテーテルを尿路狭窄における標的部位に挿入させ、バルーンカテーテルは、細長いバルーンおよびバルーンの外表面を覆うコーティング層を含み、ここで、コーティング層が1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含むものであり;
バルーンを膨張時間の間コーティング層が尿路狭窄の壁に接触するまで膨張させ、ここで
a)膨張バルーン直径対標的部位での常態体腔直径の比が約1.0~約20であるかまたは
b)膨張が、バルーンカテーテルの公称圧力と同程度以上までバルーンを膨張させることを含み、バルーンカテーテル対標的部位での常態体腔直径の公称径の延伸比が約1.0~約20であるかまたは
c)膨張がバルーンカテーテルの公称圧力を超える圧力まで膨張させることを含み、バルーンカテーテルの公称径が膨張バルーン直径未満であり、かつ公称圧力が膨張圧力未満であるかまたは
d)(a)、(b)および(c)の組み合わせであり;
膨張時間後バルーンを収縮させ;そして
尿路狭窄からバルーンカテーテルを引き抜くことを含み;
ここで、IPSSを14以下まで低下させるものである、方法。
【請求項81】
標的部位が尿道狭窄である、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
膨張バルーン直径対標的部位での体腔の常態直径の比が約1.31~約20であるかまたはバルーンカテーテルの最小直径対標的部位での常態体直径の延伸比が約1.31~約20であるまたはそれらの組み合わせである、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
標的部位が前立腺である、請求項80に記載の方法。
【請求項84】
細長いバルーンが主直径およびバルーンを少なくとも2つの要部に分ける少なくとも1つのネック部を有し、ネック部がバルーンが膨張したときバルーンの主直径より小さい直径を含む、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
少なくとも2つのバルーンの要部各々が、バルーンが膨張したとき、バルーンの要部に等しい直径を有する、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
IPSSが最初の処置6ヶ月後なお14未満である、請求項80に記載の方法。
【請求項87】
IPSSが最初の処置12ヶ月後なお14未満である、請求項80に記載の方法。
【請求項88】
治療剤がパクリタキセル、ドセタキセル、タキソール、そのアナログ、ラパマイシン、シロリムス、エベロリムス、タクロリムス、mTOR阻害剤、そのアナログおよびそれらの組み合わせから選択される、請求項72または80に記載の方法。
【請求項89】
水溶性添加物がN-アセチルグルコサミン、N-オクチル-D-グルコンアミド、N-ノナノイル-N-メチルグルカミン、N-オクタノイル-N-メチルグルタミン、C6-セラミド、ジヒドロ-C6-セラミド、セレブロシド、スフィンゴミエリン、ガラクトセレブロシド、ラクトセレブロシド、N-アセチル-D-スフィンゴシン、N-ヘキサノイル-D-スフィンゴシン、N-オクトノイル-D-スフィンゴシン、N-ラウロイル-D-スフィンゴシン、N-パルミトイル-D-スフィンゴシン、N-オレオイル-D-スフィンゴシン、PEGカプリル/カプリン酸ジグリセライド、PEG8カプリル/カプリン酸グリセライド、PEGカプリレート、PEG8カプリレート、PEGカプレート、PEGカプロエート、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノカプロン酸グリセリル、モノラウリン、モノカプリン、モノカプリリン、モノミリスチン、モノパルミトレイン、モノオレイン、クレアチン、クレアチニン、アグマチン、シトルリン、グアニジン、スクラロース、アスパルテーム、ヒポキサンチン、テオブロミン、テオフィリン、アデニン、ウラシル、ウリジン、グアニン、チミン、チミジン、キサンチン、キサントシン、一リン酸キサントシン、カフェイン、アラントイン、(2-ヒドロキシエチル)尿素、N,N’-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、ペンタエリスリトールエトキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート/エトキシレート、グリセロールエトキシレート、グリセロールプロポキシレート、トリメチロールプロパンエトキシレート、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、クラウンエーテル、18-クラウン-6、15-クラウン-5、12-クラウン-4およびそれらの組み合わせから選択される、請求項72または80に記載の方法。
【請求項90】
水溶性添加物がペンタエリスリトールエトキシレートおよびペンタエリスリトールプロポキシレートおよびそれらの組み合わせから選択される、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
水溶性添加物が界面活性剤である第一水溶性添加物を含む、請求項72または80に記載の方法。
【請求項92】
第一水溶性添加物がPEGソルビタンモノラウレート、PEGソルビタンモノオレアートまたはそれらの組み合わせである、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
水溶性添加物がヒドロキシル、アミン、カルボニル、カルボキシルまたはエステルである1以上の部分を有する化合物である第二水溶性添加物を含む、請求項72または80に記載の方法。
【請求項94】
尿道が尿道へのバルーンカテーテル挿入前に水、食塩水または水溶性添加物の溶液で洗い流される、請求項72または80に記載の方法。
【請求項95】
バルーンが尿道へのバルーンカテーテル挿入前に水、食塩水または水溶性添加物の溶液で濡らされる、請求項72または80に記載の方法。
【請求項96】
バルーンが、バルーンが公称径であるときに測定して、バルーン1mmあたり約2~約6μgの治療剤が充填されている、請求項72または80に記載の方法。
【請求項97】
スコープがバルーンカテーテルを正しく配置するのに使用される、請求項72または80に記載の方法。
【請求項98】
スコープが内視鏡、小腸内視鏡、大腸内視鏡、S状結腸鏡、直腸鏡、肛門鏡、鼻鏡、気管支鏡または膀胱鏡の1つである、請求項97に記載の方法。
【請求項99】
バルーンカテーテルがスコープの管腔内に配置される、請求項72または80に記載の方法。
【請求項100】
バルーンカテーテルが体腔にあるときスコープと並んで配置される、請求項72または80に記載の方法。
【請求項101】
体腔が前立腺尿道であり、バルーンカテーテルを標的部位に挿入するとき、バルーンカテーテルの近位ウエストを前立腺尿道の外部括約筋に配置するためにスコープが使用される、請求項72または80に記載の方法。
【請求項102】
g 前拡張バルーンを標的部位の体腔に挿入し、前拡張バルーンを膨張させ、前拡張バルーンを除いた後に薬物被覆バルーンカテーテルを挿入することをさらに含む、請求項72または80に記載の方法。
【請求項103】
バルーンカテーテルが膨張バルーン直径対標的部位での体腔の常態直径1.31~15まで膨張するかまたはバルーンカテーテルがバルーン公称径対標的部位での体腔の常態直径1.31~15の延伸比を有するかまたはそれらの組み合わせを有する、請求項72または80に記載の方法。
【請求項104】
薬物被覆バルーンカテーテルで体腔を処置する前に直視下内尿道切開術(DVIU)を実施することをさらに含む、請求項72または80に記載の方法。
【請求項105】
良性前立腺肥大処置のための、肥大前立腺を開裂するまたは交連切開を作る方法であって、
薬物被覆バルーンカテーテル・シースアセンブリおよびスコープを挿入し;
スコープおよびバルーンカテーテルを並べて外部括約筋近くに置き;
バルーン上からシースを除き、圧力が低下し、前立腺組織が生じ、交連切開が作られるまで、ゆっくり膨張させ;
前立腺をさらに拡張させるために、定格破裂圧力までさらに圧力を上げ;
薬物を組織に放出させ、出血を防止するためにバルーンを1分~7日膨張を維持し;
バルーンカテーテルを収縮させ、バルーンをシースに収め;そして
スコープおよびバルーンカテーテルアセンブリを体腔から引き抜くことを含み、ここで
a)膨張バルーン直径対標的部位での常態体腔直径の比が約1.0~約20であるかまたは
b)膨張が、バルーンカテーテルの公称圧力と同程度以上までバルーンを膨張させることを含み、バルーンカテーテル対標的部位での常態体腔直径の公称径の延伸比が約1.0~約20であるかまたは
c)膨張がバルーンカテーテルの公称圧力を超える圧力まで膨張させることを含み、バルーンカテーテルの公称径が膨張バルーン直径未満であるかまたは
d)(a)、(b)および(c)の組み合わせである
方法。
【請求項106】
良性前立腺肥大処置のための、肥大前立腺を開裂するまたは交連切開を作る方法であって、
非被覆バルーンカテーテル・シースアセンブリおよびスコープを挿入し;
スコープおよびバルーンカテーテルを並べて外部括約筋近くに置き;
バルーン上からシースを除き、圧力が低下し、前立腺組織が生じ、交連切開が作られるまで、ゆっくり膨張させ;
前立腺をさらに拡張させるために、定格破裂圧力までさらに圧力を上げ;
出血を防止するために1分~7日バルーン膨張を維持し
非被覆バルーンカテーテルを収縮させ、バルーンをシースに収め;
スコープおよび非被覆バルーンカテーテルアセンブリを体腔から引き抜き;
薬物被覆バルーンカテーテル・シースアセンブリおよびスコープを挿入し;
スコープおよび薬物被覆バルーンカテーテルを並べて外部括約筋近くに置き;
薬物被覆バルーン上からシースを除き、前立腺をさらに拡張させるために、定格破裂圧力までゆっくり膨張させ;そして
薬物を組織に放出させ、出血を防止するためにバルーンを1分~7日膨張を維持することを含み、ここで
a)膨張バルーン直径対標的部位での常態体腔直径の比が約1.0~約20であるかまたは
b)膨張が、バルーンカテーテルの公称圧力と同程度以上までバルーンを膨張させることを含み、バルーンカテーテル対標的部位での常態体腔直径の公称径の延伸比が約1.0~約20であるかまたは
c)膨張がバルーンカテーテルの公称圧力を超える圧力まで膨張させることを含み、バルーンカテーテルの公称径が膨張バルーン直径未満であるかまたは
d)(a)、(b)および(c)の組み合わせである
方法。
【請求項107】
良性前立腺肥大を処置する方法であって、
バルーンカテーテルを前立腺の標的部位に挿入し、該バルーンカテーテルはバルーンの外表面を覆うコーティング層を含み、ここで、コーティング層が1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含むものであり;
膨張時間の間コーティング層が標的部位で体腔の壁に接触し、かつバルーンが膨張バルーン直径を達成するまでバルーンを膨張させ、ここで
a)膨張バルーン直径対標的部位での常態体腔直径の比が約1.0~約20であるかまたは
b)膨張が、バルーンカテーテルの公称圧力と同程度以上までバルーンを膨張させることを含み、バルーンカテーテル対標的部位での常態体腔直径の公称径の延伸比が約1.0~約20であるかまたは
c)膨張がバルーンカテーテルの公称圧力を超える圧力まで膨張させることを含み、バルーンカテーテルの公称径が膨張バルーン直径未満であるかまたは
d)(a)、(b)および(c)の組み合わせであり;
膨張時間後バルーンを収縮させ;そして
バルーンカテーテルを体腔から引き抜くことを含み、
ここで、前立腺尿道と前立腺が分割され、前立腺尿道直径が少なくとも12mmであり、ここで、バルーンカテーテルの膨張直径が少なくとも25mmであるものである、方法。
【請求項108】
尿道狭窄を処置する方法であって、
バルーンカテーテルを尿道の標的部位に挿入し、該バルーンカテーテルがバルーンの外表面を覆うコーティング層を含み、ここで、コーティング層が1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含み;ここで、治療剤がパクリタキセル、ドセタキセル、タキソール、そのアナログ、ラパマイシン、シロリムス、エベロリムス、タクロリムス、MTOR阻害剤、そのアナログおよびそれらの組み合わせであり、水溶性添加物がN-アセチルグルコサミン、N-オクチル-D-グルコンアミド、N-ノナノイル-N-メチルグルカミン、N-オクタノイル-N-メチルグルタミン、C6-セラミド、ジヒドロ-C6-セラミド、セレブロシド、スフィンゴミエリン、ガラクトセレブロシド、ラクトセレブロシド、N-アセチル-D-スフィンゴシン、N-ヘキサノイル-D-スフィンゴシン、N-オクトノイル-D-スフィンゴシン、N-ラウロイル-D-スフィンゴシン、N-パルミトイル-D-スフィンゴシン、N-オレオイル-D-スフィンゴシン、PEGカプリル/カプリン酸ジグリセライド、PEG8カプリル/カプリン酸グリセライド、PEGカプリレート、PEG8カプリレート、PEGカプレート、PEGカプロエート、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノカプロン酸グリセリル、モノラウリン、モノカプリン、モノカプリリン、モノミリスチン、モノパルミトレイン、モノオレイン、クレアチン、クレアチニン、アグマチン、シトルリン、グアニジン、スクラロース、アスパルテーム、ヒポキサンチン、テオブロミン、テオフィリン、アデニン、ウラシル、ウリジン、グアニン、チミン、チミジン、キサンチン、キサントシン、一リン酸キサントシン、カフェイン、アラントイン、(2-ヒドロキシエチル)尿素、N,N’-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、ペンタエリスリトールエトキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート/エトキシレート、グリセロールエトキシレート、グリセロールプロポキシレート、トリメチロールプロパンエトキシレート、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、クラウンエーテル、18-クラウン-6、15-クラウン-5、12-クラウン-4およびそれらの組み合わせの少なくとも1つであり;
膨張時間の間コーティング層が標的部位で体腔の壁に接触し、かつバルーンが膨張バルーン直径を達成するまでバルーンを膨張させ、ここで
a)膨張バルーン直径対標的部位での常態体腔直径の比が約1.0~約20であるかまたは
b)膨張が、バルーンカテーテルの公称圧力と同程度以上までバルーンを膨張させることを含み、バルーンカテーテル対標的部位での常態体腔直径の公称径の延伸比が約1.0~約20であるかまたは
c)膨張がバルーンカテーテルの公称圧力を超える圧力まで膨張させることを含み、バルーンカテーテルの公称径が膨張バルーン直径未満であるかまたは
d)(a)、(b)および(c)の組み合わせであり;
膨張時間後バルーンを収縮させ;そして
バルーンカテーテルを体腔から引き抜くことを含み;
ここで、拡張後の尿道直径が少なくとも6.7mmであり、バルーンカテーテルの膨張直径が少なくとも7mmであるものである、方法。
【請求項109】
尿道狭窄の処置用バルーンカテーテルであって、
バルーンの外表面を覆うコーティング層を含み、ここで、コーティング層が1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含み;ここで、治療剤がパクリタキセル、ドセタキセル、タキソール、そのアナログ、ラパマイシン、シロリムス、エベロリムス、タクロリムス、MTOR阻害剤、そのアナログおよびそれらの組み合わせであり、水溶性添加物がN-アセチルグルコサミン、N-オクチル-D-グルコンアミド、N-ノナノイル-N-メチルグルカミン、N-オクタノイル-N-メチルグルタミン、C6-セラミド、ジヒドロ-C6-セラミド、セレブロシド、スフィンゴミエリン、ガラクトセレブロシド、ラクトセレブロシド、N-アセチル-D-スフィンゴシン、N-ヘキサノイル-D-スフィンゴシン、N-オクトノイル-D-スフィンゴシン、N-ラウロイル-D-スフィンゴシン、N-パルミトイル-D-スフィンゴシン、N-オレオイル-D-スフィンゴシン、PEGカプリル/カプリン酸ジグリセライド、PEG8カプリル/カプリン酸グリセライド、PEGカプリレート、PEG8カプリレート、PEGカプレート、PEGカプロエート、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノカプロン酸グリセリル、モノラウリン、モノカプリン、モノカプリリン、モノミリスチン、モノパルミトレイン、モノオレイン、クレアチン、クレアチニン、アグマチン、シトルリン、グアニジン、スクラロース、アスパルテーム、ヒポキサンチン、テオブロミン、テオフィリン、アデニン、ウラシル、ウリジン、グアニン、チミン、チミジン、キサンチン、キサントシン、一リン酸キサントシン、カフェイン、アラントイン、(2-ヒドロキシエチル)尿素、N,N’-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、ペンタエリスリトールエトキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート/エトキシレート、グリセロールエトキシレート、グリセロールプロポキシレート、トリメチロールプロパンエトキシレート、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、クラウンエーテル、18-クラウン-6、15-クラウン-5、12-クラウン-4およびそれらの組み合わせの少なくとも1つであり;
ここで、
処置後Qmaxは少なくとも15mL/秒であり、IPSSは14を超えず、
拡張後の尿道直径は少なくとも6.7mmであり、そして
バルーンカテーテルの膨張直径は少なくとも7mmであり;そして
ここで
a)膨張バルーン直径対標的部位での常態体腔直径の比が約1.0~約20であるかまたは
b)膨張が、バルーンカテーテルの公称圧力と同程度以上までバルーンを膨張させることを含み、バルーンカテーテル対標的部位での常態体腔直径の公称径の延伸比が約1.0~約20であるかまたは
c)膨張がバルーンカテーテルの公称圧力を超える圧力まで膨張させることを含み、バルーンカテーテルの公称径が膨張バルーン直径未満であるかまたは
d)(a)、(b)および(c)の組み合わせである
バルーンカテーテル。
【請求項110】
バルーンを形成する方法であって、
バルーン材料を含む管をバルーン型に入れ、ここで、バルーン型は近位コーン、少なくとも1つの本体部、少なくとも1つの本体部より小さい直径を有する少なくとも1つのネック部、他の少なくとも1つの本体部および遠位コーンを含む形状を有し;
バルーン材料管内部を加圧し;そして
バルーン材料管を型内部に接触させるまで膨張させることを含む、方法。
【請求項111】
バルーンをバルーンカテーテルに組み立てることをさらに含む、請求項110に記載の方法。
【請求項112】
バルーンカテーテルが固定ワイヤカテーテル、移動可能ワイヤカテーテル、オーバー・ザ・ワイヤカテーテルおよびラピッド・エクスチェンジ型カテーテルから選択される、請求項111に記載の方法。
【請求項113】
ネック補強材がネック部に付加される、請求項110に記載の方法。
【請求項114】
バルーンカテーテルのバルーンを治療剤および少なくとも1つの水溶性添加物でコーティングすることをさらに含む、請求項110に記載の方法。
【請求項115】
治療剤がパクリタキセル、ドセタキセル、タキソール、そのアナログ、ラパマイシン、シロリムス、エベロリムス、タクロリムス、mTOR阻害剤、そのアナログおよびそれらの組み合わせから選択される、請求項110に記載の方法。
【請求項116】
水溶性添加物がN-アセチルグルコサミン、N-オクチル-D-グルコンアミド、N-ノナノイル-N-メチルグルカミン、N-オクタノイル-N-メチルグルタミン、C6-セラミド、ジヒドロ-C6-セラミド、セレブロシド、スフィンゴミエリン、ガラクトセレブロシド、ラクトセレブロシド、N-アセチル-D-スフィンゴシン、N-ヘキサノイル-D-スフィンゴシン、N-オクトノイル-D-スフィンゴシン、N-ラウロイル-D-スフィンゴシン、N-パルミトイル-D-スフィンゴシン、N-オレオイル-D-スフィンゴシン、PEGカプリル/カプリン酸ジグリセライド、PEG8カプリル/カプリン酸グリセライド、PEGカプリレート、PEG8カプリレート、PEGカプレート、PEGカプロエート、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノカプロン酸グリセリル、モノラウリン、モノカプリン、モノカプリリン、モノミリスチン、モノパルミトレイン、モノオレイン、クレアチン、クレアチニン、アグマチン、シトルリン、グアニジン、スクラロース、アスパルテーム、ヒポキサンチン、テオブロミン、テオフィリン、アデニン、ウラシル、ウリジン、グアニン、チミン、チミジン、キサンチン、キサントシン、一リン酸キサントシン、カフェイン、アラントイン、(2-ヒドロキシエチル)尿素、N,N’-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、ペンタエリスリトールエトキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート/エトキシレート、グリセロールエトキシレート、グリセロールプロポキシレート、トリメチロールプロパンエトキシレート、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、クラウンエーテル、18-クラウン-6、15-クラウン-5、12-クラウン-4およびそれらの組み合わせから選択される、請求項110に記載の方法。
【請求項117】
水溶性添加物がペンタエリスリトールエトキシレートおよびペンタエリスリトールプロポキシレートおよびそれらの組み合わせから選択される、請求項116に記載のバルーンカテーテル。
【請求項118】
水溶性添加物がヒドロキシル、アミン、カルボニル、カルボキシルまたはエステルである1以上の部分を有する化合物である第二水溶性添加物を含む、請求項110に記載のバルーンカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技法分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年5月5日出願の米国仮特許出願62/502,212号に基づく優先権を主張し、引用により当該出願の開示を全体として本明細書に包含させる。
【背景技法】
【0002】
背景
良性前立腺肥大は、60歳を超える男性の50%超が発症する前立腺の非癌性肥大である。それ以前の前立腺は、クルミの大きさおよび形であり、重さ約20gである。前立腺肥大は、正常な過程であると考えられる。年齢と共に、前立腺は、正常サイズの2倍以上まで、徐々に大きくなる。前立腺が成長するに連れて、尿道を圧迫し、狭め、排尿を困難にまたは不可能にする前立腺性尿道圧迫および尿路閉塞を引き起こす。
【0003】
男性尿道狭窄疾患は、いくつかの集団で、0.6%程度の高い割合で生じる。尿道狭窄疾患は、高齢集団でより一般的であると考えられる。狭窄を有する患者は、下部尿路排尿症状または尿閉などの中程度から重度の合併症、反復性尿路感染および拡張、尿道切開または尿道形成などの高頻度の尿道処置の必要性を経験する。
【0004】
上部尿路の尿管狭窄は、先天的または後天的である。先天性尿管狭窄は、腎盂尿管移行部に最も一般的に位置する。尿管狭窄の大部分が後天的であり、通常医原性である。尿管狭窄の最も一般的病因は、内視鏡下、直視下または腹腔鏡下外科手技中の損傷である。
【0005】
消化器腔または消化管狭窄は、食道狭窄、アカラシア狭窄、胆汁性狭窄、胃狭窄、小腸狭窄、十二指腸狭窄、空腸狭窄、回腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄および大腸狭窄を含む。疾患タイプは、狭窄を良性または悪性に分類する。
【0006】
胆汁性狭窄は、胆管狭窄は、胆管が小さくまたは狭くなったときに生じる。胆管は、胆汁を肝臓から小腸に運ぶ管である。胆管が狭くなったとき、食物の消化が困難となる。胆汁性狭窄は、胆管への何らかの損傷、腫脹、膵炎、腸管損傷および胆管または膵臓の癌により生じ得る。胆汁性狭窄の症状は、疼痛、悪寒および発熱、掻痒および悪心または嘔吐を含む。
【0007】
食道狭窄は、消化器内科で一般に遭遇する問題であり、悪性または良性病変に分類され得る。嚥下障害は、全患者が経験する症状である。これらの患者の大部分は、嚥下障害の軽減のための対症的処置を必要とする。
【0008】
消化器狭窄は、腸の一部の狭小化であり、この領域を通過する食物の移動を緩徐化または遮断することにより、問題を起こす。狭窄は、反復性炎症、癌、クローン病および潰瘍性大腸炎が原因である。狭窄は、食道狭窄、アカラシア狭窄、ステント内狭窄、胆汁性狭窄、胃狭窄、小腸狭窄、十二指腸狭窄、空腸狭窄、回腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄および大腸狭窄を含む。
【0009】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、2つの主要な気流閉塞障害である慢性気管支炎および気腫を分類するために使用される用語である。約1600万名のアメリカ人がCOPDを有し、その80~90%は、生きている間の大部分喫煙していた。COPDは米国での死亡の主因である。慢性気管支炎は気管支気道の炎症である。気管支気道は、気管と肺を接続する。炎症したら、気管支管は粘液を分泌し、慢性咳嗽を起こす。気腫は肺の肺胞または気嚢の過膨脹である。この状態は、息切れを起こす。
【0010】
喘息は、気道の炎症、過剰の粘液産生および気道過敏により特徴付けられる慢性呼吸器疾患であり、気道が過度に狭小化するまたは刺激に容易に応答しすぎる状態である。喘息エピソードまたは発作は気道を狭小化させ、これにより呼吸困難となる。喘息発作は患者の生活に相当な影響を有し得て、多くの活動への参加を制限する。重症例では、喘息発作は命を脅かし得る。現在、喘息の治癒は知られていない。
【0011】
慢性副鼻腔炎は、1以上の副鼻腔を裏打ちする膜の炎症である。慢性副鼻腔炎は3週間を超えて継続し、しばしば数ヶ月続く。慢性副鼻腔炎の場合、通常組織損傷がある。疾病管理センター(CDC)によると、年間慢性副鼻腔炎の3700万症例が報告される。
【発明の概要】
【0012】
発明の要約
種々の実施態様において、本発明は、体腔狭窄の標的部位に治療剤を送達するための薬物被覆バルーンカテーテルを提供する。体腔狭窄は、良性前立腺肥大(BPH)、尿道狭窄、尿管狭窄、前立腺癌、食道狭窄、アカラシア狭窄、ステント内狭窄、胆管狭窄、胃狭窄、小腸狭窄、十二指腸狭窄、空腸狭窄、回腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄ならびに大腸狭窄、喘息および慢性閉塞性肺疾患(COPD)を含み得る。バルーンカテーテルは、主直径(main diameter)を有する細長いバルーンを含む。バルーンカテーテルはまたバルーンの外表面を覆うコーティング層も含み、ここで、コーティング層は1以上の水溶性添加物および治療剤の初期送達量を含む。
【0013】
種々の実施態様において、本発明は、体腔狭窄を処置する方法を提供する。方法は、バルーンカテーテルを体腔中の標的部位へ挿入することを含む。方法は、所望により、バルーンの標的部位への挿入前、挿入中またはその後に、水、食塩水溶液または少なくとも1つの水溶性成分を含む水溶液で体腔を洗い流すことを含む。バルーンカテーテルはバルーンの外表面を覆うコーティング層も含む。コーティング層は1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含む。本方法は、コーティング層が標的部位で体腔壁に接触し、かつバルーンが膨張バルーン直径を膨張期間の間維持することを含む。特徴(a)または(b)または(c)または(a)および(b)または(a)および(c)または(b)および(c)または(a)および(b)および(c)が存在する。(a)膨張バルーン直径対標的部位での常態体腔直径の比が約1.0~約20である;または(b)膨張が、バルーンカテーテルの公称(nominal)圧力と同程度以上までバルーンを膨張させることを含み、バルーンカテーテル対標的部位での常態(normative)体腔直径の公称圧力を超える圧力まで膨張させることを含み、バルーンカテーテルの公称径が膨張バルーン直径未満である;または(d)(a)、(b)および(c)の組み合わせ。方法は、膨張時間後にバルーンを収縮させることを含む。方法はまた体腔からバルーンカテーテルを引き抜くことも含む。
【0014】
種々の実施態様において、本発明は、体腔狭窄を処置する方法を提供する。方法は、体腔に膀胱鏡などのスコープを挿入することを含む。方法は、薬物コーティングを有するバルーンカテーテルを体腔に挿入することを含む。方法は、バルーンカテーテルを0.5気圧~1.5気圧の初期圧力まで膨張させ、圧力が落ちなくなるまで初期圧力を維持することを含む。方法は、初期圧力より少なくとも0.5気圧~1.5気圧上の次に高い圧力まで膨張させ、バルーン内の圧力が落ちなくなるまで次に高い圧力を維持し、この段階を管腔が所望の直径まで拡張するまで反復することを含む。方法は、組織に薬物を放出させ、かつ出血を防止するためにバルーンを1分間~7日間、1分間~1日間または1~10分間膨張を維持することを含む。方法は、バルーンカテーテルを収縮させることを含む。方法はまた体腔からスコープおよびバルーンカテーテルを引き抜くことも含む。
【0015】
本発明の種々の実施態様は、体腔狭窄を処置する方法を提供する。方法は、体腔狭窄にフレキシブルスコープを挿入することを含む。方法は、スコープと並べてバルーンカテーテルを体腔狭窄に挿入することを含む。方法は、所望により0.5気圧~1.5気圧の初期圧力まで膨張させ、圧力が落ちなくなるまで初期圧力を維持し、初期圧力より0.5気圧~1.5気圧上の高い圧力まで膨張させ、バルーン内の圧力が落ちなくなるまで高い圧力を維持し、組織の体腔が生じるまで高い圧力まで膨張させ、バルーン内の圧力が落ちなくなるまで高い圧力を維持することを反復することなどにより、バルーン移動を阻止するためにバルーンカテーテルをゆっくり膨張させることを含む。方法は、組織に薬物を放出させ、かつ出血を防止するためにバルーンを1分間~7日間、1分間~1日間または1~10分間膨張を維持することを含む。方法は、バルーンカテーテルを収縮させることを含む。方法は、体腔からスコープおよびバルーンカテーテルアセンブリを引き抜くことも含む。
【0016】
本発明の種々の実施態様は、Qmaxを増加させる方法を提供する。方法は、尿路狭窄における標的部位にバルーンカテーテルを挿入することを含む。バルーンカテーテルは、細長いバルーンおよびバルーンの外表面を覆うコーティング層を含む。コーティング層は、1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含む。方法は、バルーンを膨張時間の間コーティング層が尿路狭窄の壁に接触するまで膨張させることを含む。特徴(a)または(b)または(c)または(a)および(b)または(a)および(c)または(b)および(c)または(a)および(b)および(c)が存在する。(a)膨張バルーン直径対標的部位での常態体腔直径の比が約1.0~約20である;または(b)膨張が、バルーンカテーテルの公称圧力と同程度以上までバルーンを膨張させることを含み、バルーンカテーテル対標的部位での常態体腔直径の公称径の延伸比が約1.0~約20である;または(c)膨張がバルーンカテーテルの公称圧力を超える圧力まで膨張させることを含み、バルーンカテーテルの公称径が膨張バルーン直径未満である;または(d)(a)、(b)および(c)の組み合わせ。方法は、膨張時間後にバルーンを収縮させることを含む。方法は、尿路狭窄からバルーンカテーテルを引き抜くことを含む。方法は、Qmaxを最低15mL/秒まで増加させる。
【0017】
本発明の種々の実施態様は、国際前立腺症状スコア(IPSS)を低下させる方法を提供する。方法は、尿路狭窄における標的部位にバルーンカテーテルを挿入することを含む。バルーンカテーテルは、細長いバルーンおよびバルーンの外表面を覆うコーティング層を含む。コーティング層は、1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含む。方法は、バルーンを膨張時間の間コーティング層が尿路狭窄の壁に接触するまで膨張させることを含む。特徴(a)または(b)または(c)または(a)および(b)または(a)および(c)または(b)および(c)または(a)および(b)および(c)が存在する。(a)膨張バルーン直径対標的部位での常態体腔直径の比が約1.0~約20である;または(b)膨張が、バルーンカテーテルの公称圧力と同程度以上までバルーンを膨張させることを含み、バルーンカテーテル対標的部位での常態腔直径の公称径の延伸比が約1.0~約20である;または(c)膨張がバルーンカテーテルの公称圧力を超える圧力まで膨張させることを含み、バルーンカテーテルの公称径が膨張バルーン直径未満である;または(d)(a)、(b)および(c)の組み合わせ。方法は、膨張時間後にバルーンを収縮させることを含む。方法は、尿路からバルーンカテーテルを引き抜くことを含む。方法はIPSSを14以下まで低下させる。
【0018】
本発明の種々の実施態様は、バルーンを形成する方法を提供する。方法は、バルーン材料を含む管をバルーン型に置くことを含み、ここで、バルーン型は、近位コーン、少なくとも1つの本体部、少なくとも1つの本体部より小さい直径を有する少なくとも1つのネック部、他の少なくとも1つの本体部および遠位コーンを含む形を有する。方法は、バルーン材料管内部を加圧することを含む。方法はまたバルーン材料管を型内部に接触させるまで膨張させることを含む。
【0019】
本発明の種々の実施態様は、良性前立腺肥大処置のための、肥大前立腺を開裂するまたは交連切開を作る方法を提供する。方法は、薬物被覆バルーンカテーテル・シースアセンブリおよびスコープを挿入することを含む。方法は、スコープおよびバルーンカテーテルを並べて外部括約筋近くに置くことを含む。方法は、所望によりバルーンの標的部位への挿入前、挿入中またはその後に、水、食塩水溶液または少なくとも1つの水溶性添加物を含む水溶液で体腔を洗い流すことを含む。方法は、バルーン上からシースを除き、圧力が低下し、前立腺組織が現れ、交連切開が行われるまで、ゆっくり膨張させることを含む。方法は、前立腺をさらに拡張させるために、定格破裂圧力までさらに圧力を上げることを含む。方法は、組織に薬物を放出させ、かつ出血を防止するためにバルーンを1分間~7日間、1分間~1日間または1~10分間膨張を維持することを含む。方法は、バルーンカテーテルを収縮させ、バルーンをシースに収めることを含む。方法はまたスコープおよびバルーンカテーテルアセンブリを体腔から引き抜くことも含む。特徴(a)または(b)または(c)または(a)および(b)または(a)および(c)または(b)および(c)または(a)および(b)および(c)が存在する。(a)膨張バルーン直径対標的部位での常態体腔直径の比が約1.0~約20である;または(b)膨張が、バルーンカテーテルの公称圧力と同程度以上までバルーンを膨張させることを含み、バルーンカテーテル対標的部位での常態体腔直径の公称径の延伸比が約1.0~約20である;または(c)膨張がバルーンカテーテルの公称圧力を超える圧力まで膨張させることを含み、バルーンカテーテルの公称径が膨張バルーン直径未満である;または(d)(a)、(b)および(c)の組み合わせ。
【0020】
本発明の種々の実施態様は、良性前立腺肥大処置のための、肥大前立腺を開裂するまたは交連切開を作る方法を提供する。方法は、非被覆バルーンカテーテル・シースアセンブリおよびスコープを挿入することを含む。方法は、スコープおよびバルーンカテーテルを並べて外部括約筋近くに置くことを含む。方法は、バルーン上からシースを除き、圧力が低下し、前立腺組織が生じ、交連切開が作られるまで、ゆっくり膨張させることを含む。方法は、前立腺をさらに拡張させるために、定格破裂圧力までさらに圧力を上げることを含む。方法は、出血を防止するために、バルーンを1分間~7日間、1分間~1日間または1~10分間膨張を維持することを含む。方法は、非被覆バルーンカテーテルを収縮させ、バルーンをシースに収めることを含む。方法は、スコープおよび非被覆バルーンカテーテルアセンブリを体腔から引き抜くことを含む。方法は、薬物被覆バルーンカテーテル・シースアセンブリおよびスコープを挿入することを含む。方法は、スコープおよび薬物被覆バルーンカテーテルを並べて外部括約筋近くに置くことを含む。方法は、薬物被覆バルーン上からシースを除き、前立腺をさらに拡張させるために、定格破裂圧力までゆっくり膨張させることを含む。方法は、組織に薬物を放出させ、かつ出血を防止するためにバルーンを1分間~7日間、1分間~1日間または1~10分間膨張を維持することを含む。特徴(a)または(b)または(c)または(a)および(b)または(a)および(c)または(b)および(c)または(a)および(b)および(c)が存在する。(a)膨張バルーン直径対標的部位での常態体腔直径の比が約1.0~約20である;または(b)膨張が、バルーンカテーテルの公称圧力と同程度以上までバルーンを膨張させることを含み、バルーンカテーテル対標的部位での常態体腔直径の公称径の延伸比が約1.0~約20である;または(c)膨張がバルーンカテーテルの公称圧力を超える圧力まで膨張させることを含み、バルーンカテーテルの公称径が膨張バルーン直径未満である;または(d)(a)、(b)および(c)の組み合わせ。
【0021】
本発明の種々の実施態様は、良性前立腺肥大を処置する方法を提供する。方法は、バルーンカテーテルを前立腺の標的部位に挿入することを含む。バルーンカテーテルは、バルーンの外表面を覆うコーティング層を含む。コーティング層は、1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含む。方法は、膨張時間の間コーティング層が標的部位で体腔の壁に接触し、かつバルーンが膨張バルーン直径を達成するまでバルーンを膨張させることを含む。特徴(a)または(b)または(c)または(a)および(b)または(a)および(c)または(b)および(c)または(a)および(b)および(c)が存在する。(a)膨張バルーン直径対標的部位での常態体腔直径の比が約1.0~約20である;または(b)膨張が、バルーンカテーテルの公称圧力と同程度以上までバルーンを膨張させることを含み、バルーンカテーテル対標的部位での常態体腔直径の公称径の延伸比が約1.0~約20である;または(c)膨張がバルーンカテーテルの公称圧力を超える圧力まで膨張させることを含み、バルーンカテーテルの公称径が膨張バルーン直径未満である;または(d)(a)、(b)および(c)の組み合わせ。方法は、膨張時間後にバルーンを収縮させることを含む。方法は、バルーンカテーテルを体腔から引き抜くことを含む。方法は前立腺尿道と前立腺を分け、少なくとも12mmの排尿中の前立腺尿道直径を達成し、バルーンカテーテルの少なくとも20mmまたは少なくとも25mmの膨張直径を達成する。
【0022】
本発明の種々の実施態様は、尿道狭窄を処置する方法を提供する。方法は、バルーンカテーテルを尿道の標的部位に挿入することを含む。バルーンカテーテルは、バルーンの外表面を覆うコーティング層を含む。ここで、コーティング層は1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含み、ここで、治療剤はパクリタキセル、ドセタキセル、タキソール、そのアナログ、ラパマイシン、シロリムス、エベロリムス、タクロリムス、MTOR阻害剤、そのアナログおよびそれらの組み合わせであり、水溶性添加物は、N-アセチルグルコサミン、N-オクチル-D-グルコンアミド、N-ノナノイル-N-メチルグルカミン、N-オクタノイル-N-メチルグルタミン、C6-セラミド、ジヒドロ-C6-セラミド、セレブロシド、スフィンゴミエリン、ガラクトセレブロシド、ラクトセレブロシド、N-アセチル-D-スフィンゴシン、N-ヘキサノイル-D-スフィンゴシン、N-オクトノイル-D-スフィンゴシン、N-ラウロイル-D-スフィンゴシン、N-パルミトイル-D-スフィンゴシン、N-オレオイル-D-スフィンゴシン、PEGカプリル/カプリン酸ジグリセライド、PEG8カプリル/カプリン酸グリセライド、PEGカプリレート、PEG8カプリレート、PEGカプレート、PEGカプロエート、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノカプロン酸グリセリル、モノラウリン、モノカプリン、モノカプリリン、モノミリスチン、モノパルミトレイン、モノオレイン、クレアチン、クレアチニン、アグマチン、シトルリン、グアニジン、スクラロース、アスパルテーム、ヒポキサンチン、テオブロミン、テオフィリン、アデニン、ウラシル、ウリジン、グアニン、チミン、チミジン、キサンチン、キサントシン、一リン酸キサントシン、カフェイン、アラントイン、(2-ヒドロキシエチル)尿素、N,N’-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、ペンタエリスリトールエトキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート/エトキシレート、グリセロールエトキシレート、グリセロールプロポキシレート、トリメチロールプロパンエトキシレート、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、クラウンエーテル、18-クラウン-6、15-クラウン-5、12-クラウン-4およびそれらの組み合わせの少なくとも1つである。方法は、所望によりバルーンの標的部位への挿入前、挿入中またはその後に、水、食塩水溶液または少なくとも1つの水溶性添加物を含む水溶液で体腔を洗い流すことを含む。方法は、膨張時間の間コーティング層が標的部位で体腔の壁に接触し、かつバルーンが膨張バルーン直径を達成するまでバルーンを膨張させることを含む。特徴(a)または(b)または(c)または(a)および(b)または(a)および(c)または(b)および(c)または(a)および(b)および(c)が存在する。(a)膨張バルーン直径対標的部位での常態体腔直径の比が約1.0~約20である;または(b)膨張が、バルーンカテーテルの公称圧力と同程度以上までバルーンを膨張させることを含み、バルーンカテーテル対標的部位での常態体腔直径の公称径の延伸比が約1.0~約20である;または(c)膨張がバルーンカテーテルの公称圧力を超える圧力まで膨張させることを含み、バルーンカテーテルの公称径が膨張バルーン直径未満である;または(d)(a)、(b)および(c)の組み合わせ。方法は、膨張時間後にバルーンを収縮させることを含む。方法は、バルーンカテーテルを体腔から引き抜くことを含む。方法は、拡張後少なくとも6.7mmの尿道直径を達成し、バルーンカテーテルの膨張直径は少なくとも7mmである。
【0023】
本発明の種々の実施態様は、尿道狭窄の処置用バルーンカテーテルを提供する。バルーンカテーテルは、バルーンの外表面を覆うコーティング層を含む。コーティング層は1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含み、ここで、治療剤はパクリタキセル、ドセタキセル、タキソール、そのアナログ、ラパマイシン、シロリムス、エベロリムス、タクロリムス、MTOR阻害剤、そのアナログおよびそれらの組み合わせであり、水溶性添加物は、N-アセチルグルコサミン、N-オクチル-D-グルコンアミド、N-ノナノイル-N-メチルグルカミン、N-オクタノイル-N-メチルグルタミン、C6-セラミド、ジヒドロ-C6-セラミド、セレブロシド、スフィンゴミエリン、ガラクトセレブロシド、ラクトセレブロシド、N-アセチル-D-スフィンゴシン、N-ヘキサノイル-D-スフィンゴシン、N-オクトノイル-D-スフィンゴシン、N-ラウロイル-D-スフィンゴシン、N-パルミトイル-D-スフィンゴシン、N-オレオイル-D-スフィンゴシン、PEGカプリル/カプリン酸ジグリセライド、PEG8カプリル/カプリン酸グリセライド、PEGカプリレート、PEG8カプリレート、PEGカプレート、PEGカプロエート、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノカプロン酸グリセリル、モノラウリン、モノカプリン、モノカプリリン、モノミリスチン、モノパルミトレイン、モノオレイン、クレアチン、クレアチニン、アグマチン、シトルリン、グアニジン、スクラロース、アスパルテーム、ヒポキサンチン、テオブロミン、テオフィリン、アデニン、ウラシル、ウリジン、グアニン、チミン、チミジン、キサンチン、キサントシン、一リン酸キサントシン、カフェイン、アラントイン、(2-ヒドロキシエチル)尿素、N,N’-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、ペンタエリスリトールエトキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート/エトキシレート、グリセロールエトキシレート、グリセロールプロポキシレート、トリメチロールプロパンエトキシレート、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、クラウンエーテル、18-クラウン-6、15-クラウン-5、12-クラウン-4およびそれらの組み合わせの少なくとも1つである。特徴(a)または(b)または(c)または(a)および(b)または(a)および(c)または(b)および(c)または(a)および(b)および(c)が存在する。(a)膨張バルーン直径対標的部位での常態体腔直径の比が約1.0~約20である;または(b)膨張が、バルーンカテーテルの公称圧力と同程度以上までバルーンを膨張させることを含み、バルーンカテーテル対標的部位での常態体腔直径の公称径の延伸比が約1.0~約20である;または(c)膨張がバルーンカテーテルの公称圧力を超える圧力まで膨張させることを含み、バルーンカテーテルの公称径が膨張バルーン直径未満である;または(d)(a)、(b)および(c)の組み合わせ。処置後Qmaxは少なくとも15mL/秒であり、IPSSは14を超えない。拡張後の尿道直径は少なくとも6.7mmである。バルーンカテーテルの膨張直径は少なくとも7mmである。
【0024】
図面の簡単な説明
図面は、一般に、例として、しかし、限定するものではなく、本発明の種々の実施態様を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1A】種々の実施態様における、1つのネック部を有するバルーンカテーテルを図示する。
【0026】
図1B】種々の実施態様における、2つのネック部を有するバルーンカテーテルを図示する。
【0027】
図1C】種々の実施態様における、3つのネック部を有するバルーンカテーテルを図示する。
【0028】
図2】種々の実施態様における、カテーテルシャフト、カテーテルチップおよびTuohy Borstアダプターを含む2つのネック付薬物被覆バルーンカテーテルを図示する(バルーンカテーテルは、固定ワイヤ、オーバー・ザ・ワイヤおよびラピッド・エクスチェンジ型バルーンカテーテルを含み、図2に詳示しない)。
【0029】
図3】本発明のバルーンカテーテルの一実施態様の透視図である(バルーンカテーテルは固定ワイヤ、オーバー・ザ・ワイヤおよびラピッド・エクスチェンジ型バルーンカテーテルを含み、図3に詳示しない)。
【0030】
図4A-4C】コーティング層例を示す、線A-Aに添って取った、図3のバルーンカテーテルの遠位部分の種々の実施態様である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
発明の詳細な記載
次に、開示する主題のある実施態様をさらに詳述し、その例は一部添付する図面に図示される。開示する主題を番号付けされた特許請求の範囲と関連して記載するが、例示された主題が、特許請求の範囲を開示する主題を限定することを意図しないことは理解される。
【0032】
本明細書をとおして、範囲形式で表された値は、その範囲を限定するとして明示的に引用された数値だけでなく、その範囲内に入る全ての個々の数値または下位の範囲を、各数値および下位範囲が明示的に記載されるように含むために、柔軟に解釈されるべきである。例えば、“約0.1%~約5%”または“約0.1%~5%”の範囲は、約0.1%~約5%だけでなく、示される範囲内の個々の値(例えば、1%、2%、3%および4%)および下位範囲(例えば、0.1%~0.5%、1.1%~2.2%、3.3%~4.4%)を含むと解釈されるべきである。“約X~Y”なる記載は、特に断らない限り、“約X~約Y”と同じ意味を有する。同様に、“約X、Yまたは約Z”なる記載は、特に断らない限り、“約X、約Yまたは約Z”と同じ意味を有する。
【0033】
本明細書において、単数表現は、文脈から異なることが明らかに示されない限り、1または1超を含むように使用される。用語“または”は、特に断らない限り、非排他的“または”をいうために使用される。記載“AおよびBの少なくとも1つ”は、“A、BまたはAとB”と同じ意味を有する。さらに、ここに用い、他に定義されない表現法または用語法は、記述のみの目的であり、限定の目的ではないことが理解されるべきである。セクションのヘディングの如何なる使用も、文章を読む助けとなることを意図するものであり、限定と解釈してはならなず、あるセクションのヘディングと関連する情報は、特定のセクションの中または外に存在し得る。
【0034】
ここに記載する方法において、時間的または操作的順序が明示されている場合を除き、本発明の原則から逸脱することなく、行為は任意の順番で実施され得る。さらに、特定の行為は、明確な特許請求の範囲の用語が、別々に使用すべきであることを記載していない限り、同時に行ってよい。例えば、Xを行う特許請求の範囲の行為およびYを行う特許請求の範囲の行為は、一操作内で同時に実施でき、その結果の過程は、特許請求の範囲の過程の文言通りの範囲に入る。
【0035】
ここで使用する用語“約”は、ある値または範囲の変動性の程度、例えば、記載する値または記載する範囲の限界の10%以内、5%以内または1%以内を斟酌でき、正確な記載した値または範囲を含む。
【0036】
ここで使用する用語“実質的に”は、少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、99.99%または少なくとも約99.999%またはそれ以上または100%のような大多数または大部分をいう。
【0037】
本発明の種々の実施態様の一態様は、狭小化または狭窄を処置するための、パクリタキセル、タキソール、ドセタキセル、ラパマイシン、シロリムス、タクロリムス、エベロリムス、mTOR阻害剤またはそのアナログなどの治療剤の、体腔壁への送達である。これらの薬物は、抗炎症剤または抗増殖剤と考えられ得る。狭窄は、血管管腔(例えば、冠動脈または末梢動脈における血管狭窄)であってよくまたは狭窄は非血管管腔であってよい。薬物は、水不溶性薬物であり得る。
【0038】
種々の脂肪酸およびC8-C12脂肪酸のモノグリセリドの抗微生物性質は、長年研究されている。脂肪酸およびモノグリセリドの両方が多数のタイプの細菌およびウイルスの増殖を阻害できることが研究で確認されている。本発明のコーティング製剤は、種々の疾患処置のための添加物の1つとして、カプリル酸、モノカプリリン、カプリン酸、モノカプリン、ラウリン酸およびモノラウリンなどの種々の脂肪酸およびC8-C12脂肪酸のモノグリセリドを含み得る。
【0039】
非血管体腔狭窄および良性前立腺肥大(BPH)、尿道狭窄、尿管狭窄、前立腺癌、食道狭窄、アカラシア狭窄、ステント内狭窄、胆管狭窄、胃狭窄、小腸狭窄、十二指腸狭窄、空腸狭窄、回腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄および大腸狭窄などの関連非血管疾患、喘息および慢性閉塞性肺疾患(COPD)の原因は、癌および細菌およびウイルスなどの病原体による感染症および炎症を含み得る。本発明の種々の実施態様は、細菌およびウイルスを殺し、阻止する性質を有する薬物および添加物を含む、狭窄へのコーティング製剤の送達を提供する。
【0040】
本発明は、長期かつ持続性の効果を有するための、体腔狭窄の処置の新規方法を提供する。新規方法は管腔を開け、再狭小化および反復性狭窄を予防、減少または最小化させる。方法は、抗炎症剤および抗増殖剤(例えば、パクリタキセル、タキソール、ドセタキセル、ラパマイシン、シロリムス、タクロリムス、エベロリムス、mTOR阻害剤またはそのアナログ)などの治療剤および1以上の水溶性添加物を標的組織に送達することを含む。
【0041】
本発明の実施態様は、非血管体腔の狭窄の処置用薬物および体腔の組織への該薬物の吸収を増大させる添加物を含む医療デバイスコーティング製剤を提供する。添加物は、抗細菌および抗ウイルス性質を有し得る。バルーンカテーテルはバルーンの外表面を覆うコーティング層を含み、ここで、コーティング層は、1以上の水溶性添加物および抗増殖性治療剤の初期薬物負荷量を含む。
【0042】
バルーンカテーテルの外表面を、例えば、治療剤および添加物を含む層でコーティングすることにより、コーティングに関連する課題を解決するのに有用である。例えば、添加物は、親水性部分と薬物親和性部分を有し得る。薬物親和性部分は疎水性部分であり得ておよび/または水素結合および/またはファンデルワールス相互作用により治療剤に親和性を有し得る。驚くことに、抗増殖性治療剤と組み合わせて親水性部分および薬物親和性部分を含む本発明の実施態様における添加物は、油および脂質を使用せず医療デバイス上に効率的薬物送達コーティングを形成し、それにより脂肪分解依存および慣用の油ベースのコーティング製剤の他の不都合を避ける。さらに、本発明の実施態様における添加物は、迅速な薬物溶出および薬物の疾患部位組織への優れた浸透を促進する。それ故に、本発明の実施態様におけるコーティングは、抗増殖性治療剤の非血管罹患組織または非血管体腔への吸収の速度および/または程度を増大する。本発明の実施態様において、被覆デバイスは、10分以内、2分以内の極めて短い留置時間中に抗増殖性治療剤を非血管組織に送達し、非血管体腔の再狭小化および狭窄の再発を減少させる。
【0043】
本発明の種々の実施態様は、治療剤を血管または非血管体腔の狭窄に送達するための医療デバイスに関し、デバイスは、医療デバイスの外表面を覆う層を含む。デバイスは、バルーンカテーテル、固定ワイヤバルーンカテーテル、オーバー・ザ・ワイヤバルーンカテーテル、ラピッド・エクスチェンジ型バルーンカテーテル、灌流バルーンカテーテル、スペースド・ダブルバルーン、カッティング・バルーンカテーテル、スコアリング・バルーンカテーテルまたは注入カテーテル(例えば、遠位穿孔薬物注入管、穿孔バルーン、スペースド・ダブルバルーン、多孔性バルーンまたは浸出性バルーン)の1つである。バルーンカテーテルは、狭めた直径の中央セクションを有する細長いバルーンを含む。バルーンカテーテルは主直径より小さな直径を含むバルーン上の少なくとも1つのネック部を含み、少なくとも1つのネック部は、バルーンを各々主直径と等しいまたは主直径と異なる直径を有する少なくとも2つの要部に分ける。さらに、非血管管腔または非血管狭窄は、食道、気道、副鼻腔、気管、結腸、胆管、胃、小腸、十二指腸、空腸、回腸、直腸、大腸、尿路、前立腺、尿道、輸尿管および他の非血管管腔の1つを含む。血管管腔は、動脈、静脈または血液が存在するあらゆる管腔を含む。非血管管腔は、血液が内管腔を含む。バルーンカテーテルシャフトおよびバルーン材料は、ポリエーテル-アミドブロックコポリマー、ポリアミド、ナイロンまたはそれらのブレンドから構成され得る。
【0044】
ある実施態様において、添加物は、界面活性剤および化合物の少なくとも1つである。医療デバイスの外面を覆うコーティング層は、1以上の水溶性添加物を含み得る。医療デバイスの外面を覆うコーティング層は、1以上の水溶性添加物(例えば、水溶性第一添加物、水溶性第二添加物および水溶性第三添加物)を含み得る。
【0045】
医療デバイスは、さらにジメチルスルホキシド溶媒層も含んでよく、ここで、ジメチルスルホキシド溶媒層は医療デバイスの外表面を覆う。
【0046】
デバイスは、治療剤および添加物を放出し、約0.1~10分で治療剤を組織に送達することができる。層内の治療剤濃度は、バルーンを公称径まで膨張させたとき測定して、1~20μg/mmであり得る。層内の治療剤濃度は、2~10μg/mmであり得る。
【0047】
ある実施態様において、添加物は、バルーンからの治療剤の放出を増強できる。添加物は、治療剤の組織への浸透および吸収を増強できる。添加物は、少なくとも1mg/mlの水およびエタノール溶解度を有し得て、治療剤は水不溶性であり得る。
【0048】
医療デバイスの外表面を覆う層は、治療剤および少なくとも2つの添加物を含み得て、ここで、添加物の各々は親水性部分および薬物親和性部分を含み、ここで、薬物親和性部分は、疎水性部分、水素結合により治療剤に親和性を有する部分およびファンデルワールス相互作用により治療剤に親和性を有する部分の少なくとも1つであり、ここで、各添加物は極性有機溶媒に可溶性であり、水に可溶性である。この実施態様ある態様において、極性有機溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、ジメチルホルミド、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、酢酸エチルおよびクロロホルムおよびこれらの極性有機溶媒と水の混合物から選択される。この実施態様の他の態様において、デバイスは、さらに、体を通って標的組織まで輸送される間の薬物の喪失を減少させるために、医療デバイスの外表面を覆う層の表面を覆う最上層を含む。
【0049】
ある実施態様において、添加物は、治療剤の結晶サイズおよび粒子数を減少させ、ここで、添加物は水溶性であり、治療剤は水溶性ではない。添加物は酸、エステル、エーテルまたはアルコールの脂肪鎖を有し得て、ここで、脂肪鎖は、組織の脂質膜構造に直接挿入され得る。添加物は、組織の脂質膜構造に浸透し、再編成し得る。添加物は、水素結合および/またはファンデルワールス相互作用により薬物に親和性を有する1以上の官能基を有し得る。ある実施態様において、添加物は界面活性剤および化合物の少なくとも1つであってよく、ここで、化合物は、50~750g/molの分子量を有する。化合物は4を超えるヒドロキシル基を有し得る。ある実施態様において、4を超えるヒドロキシル基を有する化合物は、120℃以下の融点を有し、化合物はアルコールまたはエステルである。ある実施態様において、治療剤は水溶性ではない。
【0050】
非血管組織または非血管狭窄に薬物を送達するための医療デバイスコーティングは、混合物から製造できる。コーティングは、その中に分散した薬物粒子を含む有機相および水溶性添加物を含む水相を含む混合物から製造し得る。水溶性添加物は、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリジノン、ポリペプチド、水溶性界面活性剤、水溶性ビタミンおよびタンパク質から選択され得る。混合物の製造は、高剪断条件下および所望により圧力下の均質化を含み得る。
【0051】
医療デバイスの外表面を覆うコーティング層は、本質的に治療剤および添加物からなり得る。医療デバイスの外表面を覆うコーティング層は、本質的に治療剤、水溶性第一添加物および水溶性第二添加物からなり得る。医療デバイスの外表面を覆うコーティングは、本質的に治療剤および1以上の水溶性添加物(例えば、水溶性第一添加物、水溶性第二添加物および水溶性第三添加物)からなり得る。
【0052】
ある実施態様において、非血管体腔における狭窄を処置する方法は、コーティング層を含むバルーンカテーテルを身体狭窄に挿入し(ここで、狭窄は尿道狭窄、良性前立腺肥大(BPH)狭窄、尿管狭窄、食道狭窄、アカラシア狭窄、胆管狭窄、胃狭窄、小腸狭窄、十二指腸狭窄、空腸狭窄、回腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄、ステント内狭窄、大腸狭窄および副鼻腔狭窄の1つであり、ここで、コーティング層は薬物および添加物を含む)、バルーンカテーテルを膨張させ、薬物を狭窄の壁に放出させ、バルーンを収縮させ、バルーンカテーテルを引き抜くことを含み、ここで、残存薬物は、バルーンカテーテルの総負荷薬物の約1~70%であり得る。この実施態様ある態様において、添加物は、非血管体腔の組織への薬物の吸収を増大する。
【0053】
気道、副鼻腔および他の鼻腔に特に適すると考えられる種々の実施態様において使用するためのいくつかの薬物は、ブデソニド、フルニソリド、トリアムシノロン、ベクロメタゾン、フルチカゾン、モメタゾン、モメタゾンフロエート、デキサメサゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、コチゾン、ベタメタゾン、トリアムシノロンアセトニドなどのコルチコステロイドである。
【0054】
種々の実施態様は、非血管体腔における狭窄を処置する方法に関し、水、食塩水溶液またはここに記載する添加物の水溶液で管腔を洗い流し、コーティング層を含むバルーンカテーテルを体腔に挿入し(ここで、コーティング層は薬物および添加物を含む)、バルーンカテーテルを膨張させ、薬物を体腔の壁に放出させ、バルーンを収縮させ、バルーンカテーテルを引き抜くことを含む。非血管体腔における狭窄を処置する方法は、水、食塩水溶液またはここに記載する添加物の少なくとも1つを含む水溶液を注入し、コーティング層を含むバルーンカテーテルを非血管体腔の狭窄に挿入し(ここで、非血管体腔における狭窄は尿道狭窄、尿管狭窄、食道狭窄、アカラシア狭窄、ステント内狭窄、副鼻腔狭窄、胃狭窄、小腸狭窄、十二指腸狭窄、空腸狭窄、回腸狭窄、直腸狭窄および大腸狭窄および胆管狭窄の1つであり、ここで、コーティング層は薬物および添加物を含む)、バルーンカテーテルを膨張させ、薬物を非血管体腔の狭窄の壁に放出させ、バルーンを収縮させ、バルーンカテーテルを引き抜くことを含む。この実施態様ある態様において、添加物は、非血管体腔の組織への薬物の吸収を増大する。この実施態様の他の態様において、添加物は親水性部分および薬物親和性部分を含み、ここで、薬物親和性部分は疎水性部分、水素結合により治療剤に親和性を有する部分およびファンデルワールス相互作用により治療剤に親和性を有する部分の少なくとも1つである。この実施態様の他の態様において、薬物は、パクリタキセル、ドセタキセル、タキソールおよびそのアナログおよびラパマイシン、シロリムス、エベロリムス、タクロリムスおよびそのアナログから選択される。この実施態様の他の態様において、添加物は、PEG-脂肪酸およびPEG-脂肪酸モノおよびジエステル、ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル、アルコール-油エステル転移反応産物、ポリグリセリン脂肪酸、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステロールおよびその誘導体、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、糖およびその誘導体、ポリエチレングリコールアルキルフェノール、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪可溶性ビタミンおよびその塩、水溶性ビタミンおよびその両親媒性誘導体、アミノ酸およびその塩、オリゴペプチド、ペプチドおよびタンパク質ならびに有機酸およびそのエステルおよび無水物から選択される。この実施態様のさらに他の態様において、薬物は、喘息発作前、発作中または発作後に気道壁に放出され得る。この実施態様のさらに他の態様において、薬物は、食道壁に放出され得る。この実施態様のさらに他の態様において、薬物は副鼻腔壁に放出され得る。この実施態様のさらに他の態様において、薬物は胆管壁に放出され得る。この実施態様のさらに他の態様において、薬物は、尿路、前立腺、尿道および輸尿管管腔の壁に放出され得る。この実施態様のさらに他の態様において、薬物は、胃、小腸、十二指腸、空腸、回腸、結腸、直腸または大腸の壁に放出され得る。この実施態様の他の実施態様において、薬物は、ステント内の非血管狭窄の壁に放出され得る。
【0055】
種々の実施態様において、本発明は、ここに記載する何れかのバルーンカテーテルなどのバルーンカテーテルを、体腔における標的部位に挿入することを含む、体腔を処置する方法を提供する。方法は、図1A、1B、1C、2または3のバルーンカテーテルを体腔における標的部位に挿入することを含む。方法は、体腔における標的部位にバルーンカテーテルおよびスコープを並べてまたはスコープの管腔内のバルーンカテーテルを挿入することを含み得る。スコープは、内視鏡、小腸内視鏡、大腸内視鏡、S状結腸鏡、直腸鏡、肛門鏡、鼻鏡、気管支鏡または膀胱鏡であり得る。スコープを、バルーンカテーテルが標的管腔内に正しく配置されることを確実にするために使用し得る。方法は、バルーンの標的部位への挿入前、挿入中またはその後に、水、食塩水溶液または少なくとも1つの水溶性添加物を含む水溶液で体腔を洗い流すことを含み得る。方法は、バルーンを、コーティング層が標的部位の体腔における狭窄の壁に接触し、かつバルーンが膨張時間の膨張バルーン直径を達成するまで膨張させることを含み得る。特徴(a)または(b)または(c)または(a)および(b)または(a)および(c)または(b)および(c)または(a)および(b)および(c)が存在する。(a)膨張バルーン直径対標的部位での常態体腔直径の比が約1.0~約20である;または(b)膨張が、バルーンカテーテルの公称圧力と同程度以上までバルーンを膨張させることを含み、バルーンカテーテル対標的部位での常態体腔直径の公称径の延伸比が約1.0~約20である;または(c)膨張がバルーンカテーテルの公称圧力を超える圧力まで膨張させることを含み、バルーンカテーテルの公称径が膨張バルーン直径未満である;または(d)(a)、(b)および(c)の組み合わせ。方法は、膨張時間後にバルーンを収縮させることを含む。方法はまたバルーンカテーテルを体腔における狭窄から引き抜くことも含む。
【0056】
ある実施態様において、バルーンを、コーティング層が狭窄の壁に接触し、狭窄が拡張されるまで膨張させ、同時に薬物が狭窄に移動する。ある実施態様において、バルーンを、コーティング層が狭窄の壁に接触するまで膨張させ、狭窄との接触が薬物の狭窄の壁への完全周方向移動を提供し得るように、膨張は狭窄の直径が増加するように拡張させる。ある実施態様において、バルーンの薬物を含む部分(例えば、薬物で被覆された表面積が100%未満を含む実施態様において)は、狭窄と均一に接触し得る。他の実施態様において、バルーン表面の種々の部分と狭窄の接触は、不均一である。
【0057】
バルーンの膨張直径は、所望の膨張バルーン直径対体腔の常態直径の比が達成されるように、膨張時間の間にまたはその間ずっと達成されるあらゆる適当な直径であり得る。バルーンの膨張直径は、膨張時間中バルーン膨張に使用した圧力に比例する。膨張圧力は、公称膨張圧力から定格破裂圧力の範囲であり得る。公称圧力は、膨張バルーンカテーテルの公称径での圧力である。公称径は、バルーンカテーテルの公称圧力での直径であり、製品表示に明記される。ある実施態様において、膨張圧力はバルーンの公称圧力であってよく、バルーンの膨張直径はバルーンの公称径とほぼ等しくてよくまたは狭窄からの圧迫によりバルーンの公称径未満であり得る。ある実施態様において、膨張時間中のバルーンの膨張圧力は公称圧力より高くても低くてもよく、バルーンの膨張直径は、それに応じて、バルーンの公称径より小さくても大きくてもよい。
【0058】
種々の実施態様において、本発明は、体腔を処置する方法を提供する。方法は、1)スコープ(例えば、膀胱鏡)にバルーンカテーテルをバックロードすることを含む。方法は、2)スコープ-バルーンカテーテルアセンブリを体腔に挿入することを含む。方法は、3)バルーンを初期圧力(例えば0.5気圧、1気圧または1.5気圧)まで膨張させ、圧力が落ちなくなるまで初期圧力を1~2分維持することを含む。方法は、4)先の圧力から0.5気圧、1気圧または1.5気圧上げた次に高い圧力まで膨張させ、バルーン内の圧力が落ちなくなるまで高い圧力を1~2分維持することを含む。方法は、5)前立腺組織などの管腔組織が生じるまで4)の段階を反復することを含む。方法は、6)組織に薬物を放出させ、かつ出血を防止するためにバルーンを1分間~7日間または1分間~1日間または1~10分間膨張を維持することを含む。方法は、7)バルーンカテーテルを収縮させることを含む。方法は、8)体腔からスコープ-バルーンカテーテルアセンブリを引き抜くことを含む。この実施態様において、スコープを、バルーンカテーテルが膨張前および/または膨張中に正しく配置されていることを確実にするために、使用し得る。
【0059】
種々の実施態様において、本発明は、体腔を処置する方法を提供する。方法は、1)フレキシブルスコープおよびシース内のバルーンカテーテルを並べて体腔に挿入することを含む。方法は、2)バルーン上からシースを除き、初期圧力(例えば0.5気圧、1気圧または1.5気圧)まで膨張させ、圧力が落ちなくなるまで初期圧力を1~2分維持することを含む。方法は、3)先の圧力から0.5気圧、1気圧または1.5気圧上げた次に高い圧力まで膨張させ、バルーン内の圧力が落ちなくなるまで高い圧力を1~2分維持することを含む。方法は、4)体腔の組織が生じるまで3)の段階を反復することを含む。方法は、5)組織に薬物を放出させ、かつ出血を防止するためにバルーンを1分間~7日間、1分間~1日間または1~10分間膨張を維持することを含む。方法は、6)バルーンカテーテルを収縮させることを含む。方法は、7)バルーンカテーテルをシースの中に引き戻すことを含む。方法は、8)スコープおよびバルーンカテーテル/シースを体腔から引き抜くことを含む。この実施態様において、スコープを、バルーンが膨張前および/または膨張中に正しく配置されていることを確実にするために、使用し得る。
【0060】
種々の実施態様において、本発明は、体腔を処置する方法を提供する。方法は、1)フレキシブルスコープを体腔に挿入することを含む。方法はまた、2)バルーンカテーテルおよびスコープを並べて体腔に挿入することを含む。方法は、3)初期圧力(例えば0.5気圧、1気圧または1.5気圧)まで膨張させ、圧力が落ちなくなるまで初期圧力を1~2分維持することを含む。方法は、4)先の圧力から0.5気圧、1気圧または1.5気圧上げた次に高い圧力まで膨張させ、バルーン内の圧力が落ちなくなるまで高い圧力を1~2分維持することを含む。方法は、5)体腔の組織が生じるまで4)の段階を反復することを含む。方法は、6)組織に薬物を放出させ、かつ出血を防止するためにバルーンを1分間~7日間、1分間~1日間または1~10分間膨張を維持することを含む。方法は、7)バルーンカテーテルを収縮させることを含む。方法は、8)体腔からスコープおよびバルーンカテーテルアセンブリを引き抜くことを含む。この実施態様において、スコープを、バルーンカテーテルが膨張前および/または膨張中に正しく配置されていることを確実にするために、使用し得る。
【0061】
種々の実施態様において、本発明は、良性前立腺肥大を処置する方法を提供する。方法は、1)バルーンカテーテル・シースアセンブリおよびスコープ(例えば、膀胱鏡)を挿入することを含む。方法は、2)スコープおよびバルーンカテーテルを並べて外部括約筋近くに置くことを含む。方法は、3)バルーン上からシースを除き、初期圧力(例えば0.5気圧、1気圧または1.5気圧)まで膨張させ、圧力が落ちなくなるまで初期圧力を1~2分維持することを含む。方法は、4)先の圧力から0.5気圧、1気圧または1.5気圧上げた次に高い圧力まで膨張させ、バルーン内の圧力が落ちなくなるまで高い圧力を1~2分維持することを含む。方法は、5)前立腺組織が生じ、かつ交連切開が形成されるまで4)の段階を反復することを含む。方法は、6)組織に薬物を放出させ、かつ出血を防止するためにバルーンを1分間~7日間、1分間~1日間または1~10分間膨張を維持することを含む。方法は、7)バルーンカテーテルを収縮させることを含む。方法は、8)スコープおよびバルーンカテーテルアセンブリを体腔から引き抜くことを含む。特徴(a)または(b)または(c)または(a)および(b)または(a)および(c)または(b)および(c)または(a)および(b)および(c)が存在する。(a)膨張バルーン直径対標的部位での常態体腔直径の比が約1.0~約20である;または(b)膨張が、バルーンカテーテルの公称圧力と同程度以上までバルーンを膨張させることを含み、バルーンカテーテル対標的部位での常態体腔直径の公称径の延伸比が約1.0~約20である;または(c)膨張がバルーンカテーテルの公称圧力を超える圧力まで膨張させることを含み、バルーンカテーテルの公称径が膨張バルーン直径未満である;または(d)(a)、(b)および(c)の組み合わせ。
【0062】
本発明の種々の実施態様は、抗炎症剤および抗増殖剤(例えば、ラパマイシン、シロリムス、エベロリムス、タクロリムス、パクリタキセル、タキソール、ドセタキセルまたはそのアナログ)などの治療剤の有効量を標的組織に送達することによる、体腔における狭窄を処置する方法に関する。体腔における狭窄は、血管狭窄、非血管狭窄、尿道狭窄、尿管狭窄、食道狭窄、アカラシア狭窄、ステント内狭窄、副鼻腔狭窄、胆管狭窄、胃狭窄、小腸狭窄、十二指腸狭窄、空腸狭窄、回腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄および大腸狭窄を含む。本発明の実施態様は、血管および非血管管腔、良性前立腺肥大(BPH)、尿道狭小化、前立腺癌、喘息および慢性閉塞性肺疾患(COPD)の狭窄の少なくとも1つを処置する方法である。処置は、低出生体重児から成人などの多様な動物に対して企図される。
【0063】
バルーンカテーテルのコーティングの薬物は、標的体腔に放出され得る。小さい直径を有するネック部を備えた多分割バルーンは、体腔にバルーンを機械的に固定し、それ故に体腔でのバルーンの滑りを阻止する。バルーンが標的疾患部位から滑るかまたは移動したら、標的部位を逃す可能性があり、健常管腔が損傷し得る。
【0064】
種々の実施態様において、本発明は利点を有し、少なくともその一部は予期されない。例えば、親水性部分および薬物親和性部分を有する治療剤および添加物を含む層でのバルーンカテーテルの外表面のコーティングは、ここに開示する障害の処置に有用である。薬物親和性部分は疎水性部分であるおよび/または水素結合および/またはファンデルワールス相互作用により治療剤に親和性を有する。驚くことに、治療剤と組み合わせて、親水性部分および薬物親和性部分を含む、本発明の実施態様における添加物は、医療デバイス上に効率的薬物送達コーティングを形成する。さらに、本発明の実施態様における添加物は、迅速な薬物溶出および薬物の疾患部位組織への優れた浸透を促進し得る。それ故に、本発明の実施態様におけるコーティングは、罹患組織または体腔における治療剤の吸収の速度および/または程度の増強を提供し得る。本発明の実施態様において、被覆デバイスは、10分以内(例えば、2分以内)の極めて短い留置時間で治療剤を組織に送達でき、このようなネック部またはネック部の形状を欠く他のバルーンカテーテルと比較してなど、体腔の再狭小化および狭窄の再発を減少できる。
【0065】
種々の実施態様において、本発明のバルーンカテーテルは、処置ゾーンの可視化を可能とするフレキシブルまたはリジッドスコープと適合性であり、他のバルーンカテーテルより正確かつ効率的配置を可能とする。スコープは内視鏡、小腸内視鏡、大腸内視鏡、S状結腸鏡、直腸鏡、肛門鏡、鼻鏡、気管支鏡または膀胱鏡であり得る。種々の実施態様において、本発明のバルーンカテーテルは、バルーンカテーテルが膨張開始時にわずかに位置がずれていても、バルーンカテーテルのネック部がバルーンカテーテルを膨張中適切な位置に指向させるため(例えば、膀胱頸部において、最遠位ネック部などのバルーンカテーテルのネック部で)、自己探索式である。
【0066】
バルーンカテーテルおよびそれを使用する方法
種々の実施態様において、本発明は、体腔の標的部位に治療剤を送達するためのバルーンカテーテルを提供する。バルーンカテーテルは、複数要部または体部および要部より小さい直径を有する少なくとも1つのネック部を有する、細長いバルーンを含み得る。バルーンカテーテルは、主直径を有するまたは主直径と等しい平均直径を有する複数要部などの、主直径を有する細長いバルーンを含み得る。小さい直径のネック部を有する多分割バルーンは、バルーンを体腔に機械的に固定し、それ故に、体腔でのバルーンの滑りを阻止し得る。バルーンが標的疾患部位から離れていくならば、外れ得て、健常管腔部位が損傷し得る。バルーンカテーテルは、主直径より小さな直径を含むバルーン上の少なくとも1つのネック部を含み得る。バルーンカテーテルはまたバルーンの外表面を覆うコーティング層も含み得る。コーティング層は、1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量(例えば、パクリタキセル、タキソール、ドセタキセル、そのアナログ、ラパマイシン、シロリムス、エベロリムス、タクロリムス、そのアナログおよびそれらの組み合わせ)を含み得る。バルーンカテーテルを使用する方法において、特徴(a)または(b)または(c)または(a)および(b)または(a)および(c)または(b)および(c)または(a)および(b)および(c)が存在する。(a)膨張バルーン直径対標的部位での常態体腔直径の比が約1.0~約20である;または(b)膨張が、バルーンカテーテルの公称圧力と同程度以上までバルーンを膨張させることを含み、バルーンカテーテル対標的部位での常態体腔直径の公称径の延伸比が約1.0~約20である;または(c)膨張がバルーンカテーテルの公称圧力を超える圧力まで膨張させることを含み、バルーンカテーテルの公称径が膨張バルーン直径未満である;または(d)(a)、(b)および(c)の組み合わせ。
【0067】
バルーンの主直径は、バルーンが膨張したときのバルーン要部の直径である。ある実施態様において、主直径の決定に使用する膨張圧力は、バルーンのあらゆる折り畳まれたまたはしわになった領域を除き、バルーンの緊張を達成する、任意の圧力であり得る。主直径の決定に使用する膨張圧力は、膨張バルーンが、意図する体腔処置中のバルーンの所望の形状およびサイズに相当する形状およびサイズを有するような圧力であり得る。主直径の決定に使用する膨張圧力は、バルーンカテーテルの公称径がバルーンの主直径と等しいような、バルーンの公称圧力であり得る。
【0068】
ある実施態様において、薬物被覆バルーンは、両端に同じ直径の2つの要部、2つの要部間に小さい直径の1つのネック部ならびに近位および遠位バルーン本体に2つのコーンを含む。薬物被覆バルーンは、同じ直径の3つの要部、小さい直径の2つのネック部(ここで、3つの要部および2つのネック部は交互に配置され、ネック部は大きい直径を有する要部に隣接する)ならびに近位および遠位バルーン本体に2つのコーンを含み得る。薬物被覆バルーンは、大きい直径の4つの要部、小さい直径の3つのネック部(ここで、大きい直径の4つの要部および3つのネック部は交互に配置され、ネック部は大きい直径を有する要部に隣接する)ならびに近位および遠位バルーン本体に2つのコーンを含み得る。薬物被覆バルーンは、大きい直径を有する5つの要部、小さい直径を有する4つのネック部、ここで、大きい直径を有する5つの要部および4つのネック部は交互に配置され、ネック部は大きい直径を有する要部に隣接する)ならびに近位および遠位バルーン本体に2つのコーンを含み得る。バルーンカテーテルは、要部のバルーン直径より小さい直径を含むバルーン上の少なくとも1つのネック部を含む。バルーンカテーテルは、種々の直径の複数セクションを有する細長い(例えば、円筒形)バルーンを含み得る。特徴(a)または(b)または(c)または(a)および(b)または(a)および(c)または(b)および(c)または(a)および(b)および(c)が存在する。(a)膨張バルーン直径対標的部位での常態体腔直径の比が約1.0~約20である;または(b)膨張が、バルーンカテーテルの公称圧力と同程度以上までバルーンを膨張させることを含み、バルーンカテーテル対標的部位での常態体腔直径の公称径の延伸比が約1.0~約20である;または(c)膨張がバルーンカテーテルの公称圧力を超える圧力まで膨張させることを含み、バルーンカテーテルの公称径が膨張バルーン直径未満である;または(d)(a)、(b)および(c)の組み合わせ。小さいネックを有する複数分割バルーンは、バルーンと体腔の摩擦を増加させ、それ故に、体腔でのバルーンの滑りを阻止する。
【0069】
薬物被覆バルーンカテーテルは、良性前立腺肥大(BPH)処置用医療デバイスであり得る。バルーンカテーテルは前立腺尿道を拡張でき、尿道への挿入のためのカテーテルシャフトおよび前立腺尿道における膨張のためのコンプライアント、セミコンプライアントまたはノンコンプライアントバルーンを含み得る。バルーンは、バルーン膨張により前立腺組織および前立腺尿道に送達される治療剤で被覆され得る。バルーンを、膀胱における分離位置バルーン、尿道球における位置バルーンなどのような任意の適当な方法を使用して前立腺内に配置できまたはカテーテルシャフトは、直接可視化による配置を可能とするスコープ(例えば、膀胱鏡)互換性であるかまたはカテーテルをスコープと並べてよい。例えば、いくつかの可能なカテーテルデザインは、位置決めおよび膨張中のバルーンの直接可視化を可能とする。1つのデザインは膀胱鏡互換性であり、カテーテルはワーキングチャネルによりバックロードされる。膀胱鏡を通ったら、Tuohy Borstアダプターおよび1方向栓をカテーテルシャフトに接続して、バルーンを膨張させ得る。他のデザインは、リジッドな膀胱鏡のレンズを挿入し、バルーンの近位端の隣に配置することを可能とする、シャフトの中心に管腔を有する、多管腔カテーテルを含み得る。
【0070】
ある実施態様において、前立腺を処置するとき、バルーンカテーテルは、カテーテルの本体部が膀胱頸部括約筋(膀胱出口)と外部括約筋の間にあるようにサイズ設定される。他の実施態様において、カテーテルの本体部は外部括約筋の上にあり、前立腺を通って配置され、1以上の本体部が膀胱頸部括約筋を通り、膀胱に固定される。これらの実施態様において、好ましくは、バルーンカテーテルのネック領域は、膀胱頸部に合う。ここに記載するとおり、可視化を備えたスコープを使用して、バルーンカテーテルを正しくサイズ設定し、配置できる。バルーンカテーテルが軟チップ、クーデチップなどを含む実施態様において、チップを内部尿道括約筋(例えば、膀胱頸部括約筋)に挿入して、バルーンカテーテルを所望の位置に配置することを助け得る。
【0071】
バルーンカテーテルは、前立腺組織の直接拡張により、BPHによる下部尿路症状(LUTS)を軽減できる。膨張バルーン直径対標的部位での常態体腔直径の比1.0~20を有するバルーンまたはバルーン公称径対標的部位での常態体腔直径の延伸比1.0~20を有するバルーンでの前立腺拡張は、前立腺の融合部における横断面を分離する、自然の平面で交連切開を作ることができる。同時に、薬物をコーティングから前立腺組織に放出でき、これは、例えば、前立腺の肥大および新たに形成された開口部の再狭小化を予防し得る。
【0072】
種々の実施態様において、体腔でのバルーン膨張中(例えば、本発明の方法の実施中)、カテーテルのバルーン公称径(例えば、通常公称圧力で達成される直径)は、バルーン公称径対処置位置での体腔の常態直径の比が、約1.01~約20または約1.01~約15または約1.2~約10または約1.31~約8または約1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.8、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18または約20未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上であるような任意の適当な比である。ある実施態様において、公称圧力への膨張中の標的部位でのバルーンの膨張直径は公称径に等しい;しかしながら、実際の使用中、狭窄の一部が公称径の達成を妨害し得てまたはバルーンの膨張を制約して、“犬の骨”形状を形成し得る。予定圧力(例えば、2気圧、3気圧、6気圧または9気圧)でのバルーン公称径は、種々の疾患のためのバルーンの直径が異なれば、異なり得る。例えば、尿道狭窄バルーンの公称径は、6mm、8mm、10mm、12mmおよび14mmバルーンカテーテルで6気圧膨張時6mm、8mm、10mm、12mmおよび14mmであり得る。BPH狭窄バルーンの公称径は、2気圧、3気圧、4気圧、6気圧または9気圧公称圧力膨張で20mm、25mm、30mm、35mm、40mm、45mm、50mm、55mmおよび60mmバルーンカテーテルのバルーン長で25mm、30mm、35mm、40mmおよび45mmであり得る。表1は、種々の疾患の狭窄の処置に使用するための、公称バルーン寸法、公称圧力および最小バルーン直径対常態管腔直径の比の例を示す。公称圧力は、非拘束圧力漸増試験でバルーンをそのラベルされた公称径にするのに必要な圧力である。公称径は、製品がラベルされた所望の直径である。全ての医師は、バルーンを購入し、公称径により使用するためのバルーンを選択できる。定格破裂圧力は、バルーンが膨張できる最大圧力であり、破裂しないことが極めて高く信頼されており、非拘束圧力漸増試験でバルーンが破裂するときの観察された圧力の統計分析から計算された、バルーンカテーテルの表示義務である。
【0073】
【表1】
【0074】
種々の実施態様において、バルーンカテーテルは、予定圧力(例えば、公称圧力)で、例えば、約1気圧(304kPa)~約30気圧(3040kPa)(例えば、約1気圧以下または約4気圧、5気圧、6気圧、7気圧、8気圧、9気圧、10気圧、11気圧、12気圧、13気圧、14気圧、15気圧、16気圧、17気圧、18気圧、19気圧、20気圧、22気圧、24気圧、26気圧、28気圧または約30気圧未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上)の圧力で、バルーンが任意の適当な膨張バルーンカテーテル直径対処置位置での体腔の常態直径の比を有することができるのに十分であり得る。
【0075】
延伸比は、特に断らない限り、バルーンの公称径対バルーンカテーテルにより処置される領域における体腔の常態直径の比として定義される。バルーンの公称径は、公称圧力で非拘束環境で達成されるバルーンの直径である。常態管腔直径は、管腔の狭窄または狭窄症または病変の近位および遠位である、狭窄、狭窄症または病変に隣接する健常管腔の平均直径である。尿路について、例えば、尿道および前立腺尿道で、常態体腔直径は、閉塞に遠位および近位の健常管腔の排尿尿道の平均直径である。全ての管腔について、遠位および近位の健常組織遠位の平均直径が得られないならば、常態体腔直径は、管腔が健常であるときにそれを通って流れる生物学的物質の直径である。膨張バルーン直径は、膨張後のバルーンの実際の直径であり、これは、ある実施態様においてバルーンの公称径と等しい、それ未満またはそれより大きい。種々の実施態様において、本発明のバルーンカテーテルの延伸比は、他のカテーテルよりも非血管管腔の処置を効率的とする。本発明の方法の実施中、延伸比は、方法中に使用する圧力の範囲で所望の実際の膨張バルーン直径対常態管腔直径の比を達成する任意の適当な比であるとして選択され得る。種々の実施態様において、バルーンの延伸比は約1.01~約20、1.31~20または約1.01~約15または約1.1~約10、1.2~10、1.3~10、1.31~10、1.4~10、1.5~10、1.6~10、1.7~10、1.8~10、2~10、2.2~10、2.5~10または約1.1、1.2、1.3、1.31、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.5、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18または約20未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上であり得る;このような延伸比は、延伸比と同一、類似または異なり得る膨張時間の間に使用した圧力で、約1.01~約20、1.31~20または約1.01~約15または約1.1~約10、1.2~10、1.3~10、1.31~10、1.4~10、1.5~10、1.6~10、1.7~10、1.8~10、2~10、2.2~10、2.5~10または約1.1、1.2、1.3、1.31、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.5、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18または約20未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上などの所望の膨張バルーン直径対常態管腔直径の比をもたらし得る。
【0076】
種々の実施態様において、方法は、処置すべき体腔狭窄を測定することを含む。遠位および近位健常組織直径および狭窄の長さを、使用すべき薬物被覆バルーンを選択するために評価し得る。医師は、体腔の常態直径狭窄およびバルーンの公称径対体腔の常態直径狭窄の延伸比1.0~20または1.1~15または1.2~10または1.31~8の達成に基づきバルーンを選択する。次いで、医師は、バルーンを少なくとも公称圧力まで膨張させることができ、ある場合、バルーンを公称圧力を超えて、バルーンの定格破裂圧力まで膨張させ得る。膨張時間の間に使用する圧力の範囲は、薬物被覆バルーンの作業圧力範囲と公称得る。ある場合、方法は、バルーンの定格破裂圧力を超えることを含み得る。バルーンの公称径があらゆる抑圧無しで決定されているため、狭窄を通過する処置痛のバルーンの膨張直径は、公称径とほぼ同一またはそれ未満またはそれより大きい。破裂圧力以上で、バルーンの膨張直径は公称径未満、公称径と等しいまたは公称径を超えてよい。例えば、体腔狭窄は、10mmの常態直径を有すると測定され得る。医師は、6気圧の公称圧力および10気圧の定格破裂圧力を有する14mm公称径薬物被覆バルーンを選択し得る。延伸比は1.4である。医師はバルーンを少なくとも6気圧まで膨張させ、ある場合10気圧まで膨張させ、ある場合10気圧を超えて膨張させて、処置中の所望の膨張バルーン直径を達成する。
【0077】
種々の実施態様において、バルーンカテーテルは、1以上の要部を分ける1以上のネック部を有し、本発明のバルーンカテーテルの少なくとも1つのネック部または1以上のネック部の形状は、このようなネック部またはネック部の形状を欠く他のバルーンカテーテルと比較して、狭窄を拡張し、薬物を送達するために、より一貫しておよび効率的に処置中バルーンカテーテルが定位置に留まることを可能とする。
【0078】
種々の実施態様において、バルーンカテーテルは、シースとアセンブルし得る。カテーテルアセンブリおよびスコープ(例えば、膀胱鏡)を、経尿道的に前立腺尿道、それらを外部括約筋近辺に並べて配置する。スコープからの生動画配信を使用して、外部括約筋に位置させ得る。バルーンは、外部括約筋に隣接しかつ前立腺尿道内に位置させ得る。バルーン拡張、薬物放出およびバルーン収縮を、スコープにより可視化し得る。
【0079】
種々の実施態様において、バルーンカテーテルを、シャフトをワーキングチャネルを通してバックロードさせ、近位末端にTuohy Borstおよび1方向栓を接続することにより、膀胱鏡とアセンブルできる。膀胱鏡-カテーテルアセンブリを、前立腺尿道に経尿道的に挿入する。膀胱鏡からの生動画配信を使用して、外部括約筋に位置させ得る。バルーンを外部括約筋に隣接しかつ前立腺尿道内に位置させ得る。
【0080】
ある実施態様において、前立腺を処置するとき、外部括約筋が拡張しないように、近位バルーンウエストを外部括約筋に配置するのが好ましい。バルーンウエストが外部括約筋にあるとき、バルーンネック(例えば、最遠位バルーンネック)が膀胱頸部に合うように、バルーンをサイズ設定するのも好ましい。この配置は、バルーンが膨張中滑らないように、保持力を提供する。バルーンネックが膀胱頸部と整列させ得ないならば、バルーンを、バルーンが膨張するに連れて前立腺が対応し得るようにゆっくり膨張させるのが好ましい可能性がある。
【0081】
正しく配置されたならば、バルーンを、圧力ゲージを備えた膨張デバイスを使用するなどで膨張させる。バルーンをゆっくり膨張させてよく、前立腺組織が対応し、バルーンが膀胱内に近位方向で滑るおよび逆向きに遠位方向で滑る傾向を減少させ得る。バルーンの単または多ネック部形状が最遠位ネックと膀胱頸部を整列させることによりバルーン移動を阻止するが、肥大中葉を有するような異常状況において(例えば、症例の約10~15%)、バルーンのネックは膨張中膀胱頸部と整列し得ない可能性があり、バルーン移動をさらに阻止するためのさらなる技法が有用であり得る。いくつかの例において、約0.5~1気圧/分の速度での膨張は、バルーン移動を阻止し得る。組織が対応するに連れて、バルーン圧力は対応して低下し、圧力を挿入することなくバルーン内にさらなる流体を挿入することを可能とする。圧力が約1~2分安定であるとき、圧力を0.5気圧または1気圧増加で上げ、類似する方法で維持し得る。圧力は、連続的に増加でき、この圧力増加方法により、交連切開または分割が達成されるまで、圧力を圧力低下後安定化させ、圧力増加を継続することが可能となる。あるいは、極低速膨張が、交連切開または前立腺分割達成までバルーン移動を阻止し得る。交連切開または前立腺尿道および前立腺分割が観察され、スコープからの動画配信で確認されたら、機械的減圧が達成され得る。バルーンを、薬物のコーティングから組織への移動を可能とするために、約1分間~7日間、1分間~1日間または1~10分間の時間膨張したままにし得る。処置が完了したら、バルーンを収縮させ得て、カテーテルおよびスコープを患者の体腔から除き得る。
【0082】
ある実施態様において、前立腺を処置するとき、狭窄を前拡張するのが望ましいかもしれない。この実施態様において、前拡張カテーテルは、薬物被覆バルーン処置カテーテルより短いおよび/または小さい直径であり得る。このシナリオでは、前拡張カテーテルを、外部括約筋にバルーンの近位ウエストを用いて配置し、ネック領域を膀胱頸部と整列させる。バルーンを、バルーンの滑りを保護しながら、前立腺が対応することを助けるために、ここに記載するとおり、ゆっくり膨張させる。膨張したら、前拡張バルーンを収縮および除去し、薬物被覆処置バルーンを挿入する。処置バルーンの近位ウエストを外部括約筋と整列させる。BPHが正しく前拡張されていたら、バルーンが非前拡張体腔よりも滑る傾向がないために、バルーンネックを膀胱頸部と整列させる必要はない。
【0083】
薬物被覆バルーンカテーテルは、複数要部、バルーン本体の遠位および近位末端に2つのコーン、膨張管腔およびワイヤ管腔を備えた細長いバルーン本体を含み得て、ここで、バルーン本体は少なくとも2つの大きい直径の要部と少なくとも1つの小さい直径のネック部を含み、ここで、大きい直径の要部とネック部は交互にかつ隣接して配置される。細長いバルーンは、バルーンのあらゆるネック部、ネック部と主直径を有する要部の間のあらゆる先細部(例えば、コーン)およびバルーンの長手方向末端の何らかの先細または鋭部以外、一般に円筒形形状である。細長いバルーンは環状(例えば、円筒形バルーン)、卵形または多角形(例えば、五角形、六角形、七角形、八角形など)またはそれらの組み合わせなどの、バルーンの長手方向に垂直である任意の適当なプロファイルを有し得る。非円筒形バルーンの直径は、長手方向に垂直な最大サイズである。
【0084】
バルーンは、ノンコンプライアントまたはセミコンプライアント生体適合性材料などの任意の適当な材料から形成され得る。ある実施態様において、バルーンは、所望の幾何学を達成するためにブロー成形により製造され得る。ある実施態様において、バルーンは、薬物コーティングと相互作用しない材料またはナイロン(例えば、ナイロン6,6またはナイロン12などの任意の適当なナイロン)、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリビニルクロライド(PVC)、ポリエステル、ポリウレタン、その誘導体またはそれらの組み合わせなどの材料を含み得る。
【0085】
バルーンは、任意の適当なサイズを有し得る。バルーンは、前立腺尿道内に適合するように設計でき、バルーンの遠位セクションが膀胱内に配置される。主直径およびバルーン公称径は、約5mm~約50mm、25mm~45mm、少なくとも10mm、少なくとも15mm、少なくとも20mm、少なくとも30mm、例えば約5mm以下または約6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、11mm、12mm、13mm、14mm、15mm、16mm、17mm、18mm、19mm、20mm、21mm、22mm、23mm、24mm、25mm、26mm、27mm、28mm、29mm、30mm、32mm、34mm、36mm、38mm、40mm、41mm、42mm、43mm、44mm、45mm、46mm、47mm、48mm、49mmまたは約50mm未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上の範囲から選択でき;要部直径は、これらの範囲または特定の寸法の何れかからの独立した範囲であり得る。バルーンは、約20mm~約160mm、40mm~約80mmまたは約20mm以下または約22mm、24mm、26mm、28mm、30mm、32mm、34mm、36mm、38mm、40mm、42mm、44mm、46mm、48mm、50mm、52mm、54mm、56mm、58mm、60mm、62mm、64mm、66mm、68mm、70mm、72mm、74mm、76mm、78mmまたは約80mm未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上の長さを有し得る。バルーン長さおよび直径は、患者の特有の前立腺解剖所見に基づき、選択し得る。
【0086】
バルーンは、少なくとも1つのネック部を含み得る。ネック部は、バルーンの主公称径より小さい直径を有するバルーンの部である。ネック部直径は、約5mm~約35mm、10mm~約35mmまたは約5mm以下または約6mm、8mm、10mm、12mm、14mm、16mm、18mm、20mm、22mm、24mm、26mm、28mm、30mm、32mm、34mmまたは約35mm未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上であり得る。少なくとも1つのネック部は、独立して主直径の約5%~約99%、例えば、約20%~約99%または約5%以下または約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または約99%未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上である、直径を有し得る。ある実施態様において、ネック部直径は、バルーン要部の直径の35%~75%である。バルーン要部が公称径35~40mmを有するある実施態様において、ネック部は、15~20mmの直径を有する。ある実施態様において、ネック直径が要部直径に近すぎるならば、バルーンの滑りを防止する能力は低下し得る。
【0087】
ネック部は、ネック部(例えば、ネック部直径を有するネック部の一部)の直径が、バルーン膨張中実質的に静止したままであるように、リジッドまたはセミリジッドなネック部であり得る。ネック部は、バルーンの実質的非弾性(例えば、ノンコンプライアントまたは最小限にノンコンプライアント)部分、バルーンの補強部分またはそれらの組み合わせを含み得る。ネック部は、ネック部の外周に巻かれた非弾性材料、例えば、縫合糸またはこのような材料の単繊維もしくは多繊維、例えばナイロン、ポリアミド、芳香族ポリアミド、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ポリエステル、芳香族ポリエステル、ポリエチレンテレフタラート(PET)またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0088】
ある実施態様において、バルーンネック部はセミコンプライアントであり、主バルーン本体と異なる速度で膨張し得る。ネック部伸展性は、バルーン本体の伸展性を超えても、等しくても、小さくてもよい。表2は、バルーン本体より膨張するネック部を有する、バルーンの測定値例を示す。ネック直径の膨張率は、1~5気圧の試験圧力範囲で本体部の直径の膨張率より高くてよい。ネック直径の膨張率は、1~5気圧の試験圧力範囲で本体部の直径(主直径)の1.1~10倍の範囲、例えば、主直径の2~6倍の範囲であり得る。ネック直径の膨張率は、12.38%/気圧である。本体直径の膨張率は2.4%/気圧である。膨張率の差は9.98%/気圧である。表3は、2気圧~4気圧で膨張させたとき、バルーン本体より膨張しないネック部を有する、バルーンの測定値例を示す。ネック直径の膨張率は、2~4気圧の試験圧力範囲で本体部の直径の膨張率未満であり得る。
【0089】
【表2】
【0090】
【表3】
【0091】
ネック部は、バルーンを正しい位置に維持できる、バルーンの大きい直径の部間の組織のくさびを作り得る。バルーンの大きい部分は、頸部に作られた組織障壁を克服できず、それ故に、ネック部を有するバルーンは、膨張中のバルーン移動を防止、低減または最小化する。バルーンネック部は、バルーンに添った種々の位置に配置でき、2以上または以下の数であってよく(例えば、1、2、3、4またはそれ以上)、直径が変わり得る。ネック部配置は、処置有効性をなお維持しながら、牽引性の最大増加を促進するように、設計され得る。
【0092】
ネック部は、ネック部の最小直径を有する中央狭小部分および種々の直径を有し得て、中央狭小部分と主直径を有するバルーンの部分の間にある、隣接部分を含み得る。ここでネック部の直径をいうとき、特に断らない限り、最小直径を有する中央狭小部分の直径をいい、先細部ではない。バルーンの先細部は、リジッド、フレキシブル(例えば、弾性)またはそれらの組み合わせであり得る。ネック部は、中央狭小部分およびそれに隣接する先細部分(例えば、コーン)を含んで測定して、任意の適当な長さ、例えば、バルーン長の約1%~約50%または約1%以下または約2%、4%、6%、8%、10%、12%、14%、16%、18%、20%、22%、24%、26%、28%、30%、32%、34%、36%、38%、40%、42%、44%、46%、48%または約50%未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上または約0.5mm~約40mmまたは約0.5mm以下または約1mm、2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、12mm、14mm、16mm、18mm、20mm、22mm、24mm、26mm、28mm、30mm、32mm、34mm、36mm、38mmまたは約40mm未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上を有し得る。
【0093】
ある実施態様において、バルーンは1つのネック部を含んでよく、バルーンが1つのネック部により離された2つの要部を含むように、他のネック部がない。1つのネック部は、バルーン長に対してほぼ中央またはバルーン長に対して偏っているように、バルーン上の任意の適当な位置を有し得る。1つのネック部は、バルーン長に対して偏ってよく、バルーンの遠位末端であり得る。バルーン長に対して偏った1つのネック部を含むバルーンの実施態様を図1Aに説明する。
【0094】
ある実施態様において、バルーンは2つのネック部を含んでよく、バルーンが2つのネック部により離された3葉を含むように、他のネック部がない。2つのネック部はほぼ同じ直径を有してよくまたはネック部の一方は、他のネック部より小さい直径を有し得る。2つのネック部は、バルーン長中心に対して、対称性にまたは非対称性に位置し得る。3つの要部はほぼ等しい長さを有してよくまたは異なる長さを有してよい。図1Bは、2つのネック部と3つの要部を有するバルーンカテーテルの実施態様を記載し、ここで、ネック部は、バルーン長のほぼ中心に対して対称性に位置し、ここで、バルーンの3つの要部はほぼ同じ長さを有する。使用中、遠位ネック部(例えば、まず体に挿入されるバルーンカテーテルの遠位末端のネック部)は、バルーンを膀胱頸部に固定および配置でき、一方近位ネック部は、前立腺尿道に位置し得る。ある実施態様において、バルーンカテーテルの遠位要部は治療剤がなくてよい。
【0095】
ある実施態様において、バルーンは、3つのネックを含んでよく、バルーンが3つのネックにより離された4部を含むように、他のネック部がない。3つのネック部は、バルーン長に添って、任意の適当な方法で配置され得る。3つのネック部により形成される4つの要部は、等しいまたは異なる長さを有し得る。3つのネック部は等しい直径または異なる直径を有し得る。ある実施態様において、ネック部の2つは、他のネック部の直径より小さい等しい直径を有する。図1Cは、各々ほぼ等しい長さを有する3つのネック部と4つの要部を有するバルーンカテーテルの実施態様を示し、ここで、ネック部の2つは等しい直径を有し、それは他のネック部の直径より小さい。
【0096】
バルーンカテーテルは固定ワイヤバルーンカテーテルであり得る。外側シャフトは近位バルーンネックに連結でき、先細ワイヤの遠位末端はバルーンの遠位ネックと連結され、ワイヤおよび外側シャフトの近位末端は、バルーンカテーテルの近位末端でハブ(例えば、バルブ、コネクターまたはアダプター)と連結される。バルーンカテーテルは、移動可能ワイヤカテーテルであり得る。外側シャフトは近位バルーンネックと連結され、先細ワイヤの遠位末端はバルーンの遠位ネックと連結され、ワイヤの近位末端は、バルーンカテーテルの近位末端でハブに対して自由に動く。バルーンカテーテルは、オーバー・ザ・ワイヤバルーンカテーテルであり得る。バルーンカテーテルはラピッド・エクスチェンジ型バルーンカテーテルであり得る。バルーンカテーテルは、バルーンの長手方向末端(例えば、遠位末端挿入後体に挿入された、バルーンの近位末端)にカテーテルシャフトを含み得て、カテーテルシャフトは、バルーン内部に空気、液体またはそれらの組み合わせを送達するための内部管腔を含む。カテーテルシャフトは、ポリアミド、ナイロン(例えば、ナイロン6,6またはナイロン12)、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)またはそれらの組み合わせなどのバルーン材料に類似するまたは同一の材料などの高デュロメータ材料などのように、バルーンに熱的に結合する(例えば、加熱または融解により結合)熱可塑性材料を含み得る。ある実施態様において、カテーテルシャフトはスコープ(例えば、膀胱鏡)であり得る。高デュロメータ材料は、粉砕の防止、低減または最小化の一助となり得て、押し込み性および可動性を可能とし得る。カテーテルシャフト外径は、標準的膀胱鏡のワーキングチャネルが通過できるよう、サイズ設定され得る。、内部管腔を経る媒体注入によりバルーンを膨張させることを可能とするためのバルーン結合点下のカテーテルシャフトの孔のように、内部管腔とバルーン内部の流体連結を含んでよい。
【0097】
種々の実施態様において、カテーテルシャフトは、尿が膀胱からカテーテルシャフトをとおり、デバイスの外部部分を経て出るための経路を作る、別の管腔を有し得る。この実施態様は、出血および組織が治癒して新規配置に入り込むのを予防しながら、薬物被覆バルーンカテーテルを0.1~約7日などの期間配置したままにすることを可能とする。薬物被覆バルーンは、拡張および薬物送達だけでなく、フォーリーカテーテルとしても使用し得る。
【0098】
本体外部に残る末端(例えば、近位末端)のカテーテルシャフトは、カテーテルシャフトの内部管腔への接続を提供するハブ(例えば、バルブ、コネクターまたはアダプター)を含み得る。膨張中、ハブは(例えば、閉じたときまたは常に)、バルーンからの流体または空気の逆流を阻止し得る。ハブは、Tuohy Borstアダプターなどの任意の適当なバルブを含み得る。Tuohy Borstアダプターは、カテーテルシャフト上に配置でき、カテーテルシャフトの内部管腔への流体密封/気密接続を提供するために締め付けられた圧縮密閉デバイスである。1方向栓は、バルーンへの流体過流入を制御でき、標準的ルアーにより膨張デバイスに接続できる。
【0099】
バルーンカテーテルは、まず体に挿入される遠位末端であるバルーンの長手方向末端にカテーテルチップを含み得る。カテーテルチップは、バルーンが尿道を通るのを容易にし得る。チップは、尿道への挿入中の損傷阻止を助ける、非侵襲的チップであり得る。チップは、クーデ(Coude)非侵襲的チップであり得る。非侵襲的クーデチップは、入れている間、尿道壁への損傷を防止しながら、カテーテルが男性尿道における屈曲部を通過するのを容易にするように設計されている。カテーテルシャフトに外部被覆したまたはシャフトに接着接合させた低デュロメータ生体適合性材料であり得る。例えば、クーデチップは、ペバックス(登録商標)または液体シリコーンゴムから製造され得る。
【0100】
図2は、カテーテルシャフト、カテーテルチップおよびTuohy Borstアダプター/栓アセンブリを含むバルーンカテーテルの実施態様を示す。全材料は生体適合性であり得る。バルーンはパクリタキセル溶液で被覆されているが、BPH症状の改善を促進するであろう任意の多数の他の薬物または生物製剤で被覆し得る。使用中、遠位セクションは膀胱内にあるため、バルーンの近位の2つの要部のみが薬物で被覆される。
【0101】
バルーンカテーテルは、圧力ゲージまたは圧力センサーを含む膨張デバイスを含んでよく、膨張デバイスは、バルーンカテーテルに接続されたカテーテルシャフトに滑らかに接続される。
【0102】
図1A、1B、1Cおよび2に示すバルーンは、要部およびネック部を含む型でブロー成形される。バルーン材料の管は、所望の形状の型に注入される。バルーン材料管は予め引き延ばし得る。バルーン型は、図1A、1B、1Cまたは2に示すバルーンに対応する形状を有する。これは、近位コーン、少なくとも1つの本体部、少なくとも1つのネック部、少なくとも1以上の本体部および遠位コーンを含む。バルーン材料は、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン12、ナイロン11、ポリアミド12、ポリエーテルとポリアミドのブロックコポリマー、ペバックス(登録商標)、ポリウレタンおよびポリエーテルとポリエステルのブロックコポリマーの何れかであり得る。管および型をバルーン材料の管のガラス遷移温度を超える温度まで加熱し、ガス、空気、流体などで加圧して、型の形状を取る管の材料を得る。形成されたバルーンを次いで冷却し、トリミングし、次いで、カテーテルに結合される準備がされる。
【0103】
バルーンがカテーテルに結合された後、バルーンを低圧力で膨張させ、ネック部補強材をネック領域に結合させる。ネック部補強材を、バルーン膨張中のネック部膨張の制御に使用する。ネック部は、バルーンの実質的非弾性部分、バルーンの補強部分またはそれらの組み合わせであり得る。ネック部は、鋼、ステンレス鋼、ニチノール、タングステン、アルミニウム、銅、銀、金、白金、イリジウム、ニッケル(Ni)、クロミウム(Cr)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)およびコバルト(Co)を含む超合金に含まれる元素、ナイロン、ポリアミド、芳香族ポリアミド、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ポリエステル、芳香族ポリエステル、ポリエチレンテレフタラート(PET)またはそれらの組み合わせなどの縫合糸またはこのような材料の単繊維もしくは多繊維などの、ネック部の外周に巻かれた非弾性材料を含み得る。ある実施態様において、ポリマー材料は、より糸または繊維の形態であり、ネック部を多数回包み、次いで、膠または接着剤を2点以上使用して、正しい位置に維持する。
【0104】
バルーンの要部は、同一または類似直径で形成され得る。ある実施態様において、種々の要部の直径は、バルーン公称径で測定したとき、互いに最大30%異なり得る。図1A、1B、1Cおよび2において、バルーンの要部を等しい直径で記載しており、すなわち、各要部の直径は一定である。実施に際し、高圧力で、要部の直径はわずかにたわみ、要部の中央部分の直径がバルーンコーンに近いおよび/またはネック部に近い要部の端よりわずかに大きい直径を有し得る。
【0105】
図1A、1B、1Cおよび2において示す、バルーンがネックおよび要部を有するおよび図3において示す、バルーンが何らネック部を有しない実施態様において、バルーンカテーテルをアセンブルした後、バルーンをここに記載する少なくとも1つの水溶性添加物および薬物で被覆し得る。バルーンが複数要部を有するある実施態様において、遠位要部は被覆され得ない。バルーンは、ここに記載する方法によりコーティングし得る。シースを使用するならば、バルーン被覆後、それをバルーン上に設置する。次いでカテーテルを当分野で知られるとおり、包装し、滅菌し、ラベルする。
【0106】
本発明の実施態様は、迅速な薬物放出コーティングを有するバルーンカテーテルおよびそのような被覆デバイスを製造する方法に関する。本発明の実施態様における治療剤は遅延または長期放出を必要とせず、その代わり、例えば、治療剤および添加物は、組織との接触時に治療効果を提供するために、極めて短時間で放出される。本発明の実施態様の目的は、標的部位への一過性デバイス留置中の標的組織による薬物の迅速かつ効率的取り込みの促進である。
【0107】
薬物コーティングは、約1%~約100%または約50%~約100%、約80%~約100%または約10%以下または20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または約100%未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上などの、バルーンの外表面の任意の適当な割合(例えば、ネックおよび末端コーンを除く、公称圧力に膨張中に主直径を得るバルーンの表面の割合)を被覆し得る。
【0108】
薬物コーティングは、N-アセチルグルコサミン、N-オクチル-D-グルコンアミド、N-ノナノイル-N-メチルグルカミン、N-オクタノイル-N-メチルグルタミン、C6-セラミド、ジヒドロ-C6-セラミド、セレブロシド、スフィンゴミエリン、ガラクトセレブロシド、ラクトセレブロシド、N-アセチル-D-スフィンゴシン、N-ヘキサノイル-D-スフィンゴシン、N-オクトノイル-D-スフィンゴシン、N-ラウロイル-D-スフィンゴシン、N-パルミトイル-D-スフィンゴシン、N-オレオイル-D-スフィンゴシン、PEGカプリル/カプリン酸ジグリセライド、PEG8カプリル/カプリン酸グリセライド、PEGカプリレート、PEG8カプリレート、PEGカプレート、PEGカプロエート、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノカプロン酸グリセリル、モノラウリン、モノカプリン、モノカプリリン、モノミリスチン、モノパルミトレイン、モノオレイン、クレアチン、クレアチニン、アグマチン、シトルリン、グアニジン、スクラロース、アスパルテーム、ヒポキサンチン、テオブロミン、テオフィリン、アデニン、ウラシル、ウリジン、グアニン、チミン、チミジン、キサンチン、キサントシン、一リン酸キサントシン、カフェイン、アラントイン、(2-ヒドロキシエチル)尿素、N,N’-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、ペンタエリスリトールエトキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート/エトキシレート、グリセロールエトキシレート、グリセロールプロポキシレート、トリメチロールプロパンエトキシレート、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、クラウンエーテル、18-クラウン-6、15-クラウン-5、12-クラウン-4およびそれらの組み合わせから選択されるなどの水溶性添加物を含み得る。水溶性添加物は、PEGソルビタンモノラウレート、PEGソルビタンモノオレアートまたはそれらの組み合わせなどの界面活性剤である第一水溶性添加物を含み得る。水溶性添加物は、ヒドロキシル、アミン、カルボニル、カルボキシルまたはエステル、例えばソルビトール、ソルビタン、キシリトール、グルコノラクトンまたはそれらの組み合わせである1以上の部分を有する化合物である第二水溶性添加物を含み得る。薬物コーティングは、第一水溶性添加物および第二水溶性添加物の両方を含み得る。ある実施態様において、バルーンの遠位末端は治療剤がなくてよい。
【0109】
種々の実施態様において、本発明は、体腔を処置する方法を提供する。体腔は血管体腔または非血管体腔であり得る。方法は、バルーンカテーテル(例えば、ここに記載するバルーンカテーテルの何れかの実施態様)を体腔における標的部位に挿入することを含み得る。方法は、コーティング層が標的部位の体腔における狭窄の壁に接触し、かつ、バルーンが膨張時間の膨張バルーン直径を達成するまで(例えば、少なくともそれまで)バルーンを膨張させることを含み得る。特徴(a)または(b)または(c)または(a)および(b)または(a)および(c)または(b)および(c)または(a)および(b)および(c)が存在する。(a)膨張バルーン直径対標的部位での常態体腔直径の比が約1.0~約20である;または(b)膨張が、バルーンカテーテルの公称圧力と同程度以上までバルーンを膨張させることを含み、バルーンカテーテル対標的部位での常態体腔直径の公称径の延伸比が約1.0~約20である;または(c)膨張がバルーンカテーテルの公称圧力を超える圧力まで膨張させることを含み、バルーンカテーテルの公称径が膨張バルーン直径未満である;または(d)(a)、(b)および(c)の組み合わせ。方法は、膨張時間後バルーンを収縮させることを含み得る。方法は、バルーンカテーテルを体腔における狭窄から引き抜くことを含み得る。
【0110】
種々の実施態様は、良性前立腺肥大(BPH)狭窄、尿道狭窄、輸尿管狭窄、前立腺癌、食道狭窄、胆管狭窄、胃狭窄、小腸狭窄、十二指腸狭窄、空腸狭窄、回腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄および大腸狭窄、喘息または慢性閉塞性肺疾患(COPD)を処置する方法を提供する。方法は、尿道狭窄、良性前立腺肥大(BPH)狭窄、輸尿管狭窄、食道狭窄、副鼻腔狭窄、胃狭窄、小腸狭窄、十二指腸狭窄、空腸狭窄、回腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄および大腸狭窄および胆管狭窄などの体腔における狭窄を処置する方法である。体腔における狭窄は、良性前立腺肥大(BPH)狭窄、尿道狭窄または食道狭窄であり得る。方法は、良性前立腺肥大、前立腺癌またはそれらの組み合わせを処置する方法であってよく、ここで、体腔は前立腺である。
【0111】
方法は、バルーンの標的部位への挿入前、挿入中またはその後に、水、食塩水溶液または少なくとも1つの水溶性添加物を含む水溶液で体腔を洗い流すことを含み得る。
【0112】
体腔は前立腺であり得て、ここで、バルーンカテーテルの挿入は、スコープ(例えば、膀胱鏡などフレキシブルまたはリジッド)を使用する、前立腺におけるバルーンカテーテルの位置決めを含む。バルーンカテーテルはスコープを含んでよく、方法は、標的部位に位置させるためにスコープからの動画配信を使用することを含み得る。方法は、バルーンカテーテルを標的部位に位置させるためにスコープからの動画配信を使用することを含み得る。
【0113】
体腔は前立腺であり得て、バルーンは1以上のネックで分割された複数要部を有し得て、バルーンカテーテル挿入は、バルーンカテーテル要部一方の前立腺における位置決めおよびバルーンカテーテルの第二要部の膀胱における位置決めを含み得る。
【0114】
挿入は、バルーンの少なくとも1つのネック部の膀胱頸部における位置決めを含み得る。バルーンカテーテルの少なくとも1つのネック部は遠位ネック部であり得て、挿入は、膀胱頸部における遠位ネック部の位置決めを含み得る。バルーンカテーテルは近位ネック部を含み得て、挿入は、前立腺尿道における近位ネック部の位置決めを含み得る。
【0115】
膨張時間は、約0.1分~約10分、約0.5分~約2分または約0.1分以下または約0.2分、0.3分、0.4分、0.5分、0.6分、0.7分、0.8分、0.9分、1分、1.1分、1.2分、1.3分、1.4分、1.5分、1.6分、1.8分、2分、2.2分、2.4分、2.6分、2.8分、3分、3.5分、4分、4.5分、5分、6分、7分、8分、9分または約10分またはそれ以上などの任意の適当な膨張時間であり得る。
【0116】
膨張は、約0.1気圧/分~約10気圧/分または約0.5~約1.5気圧/分または約0.1気圧/分以下または約0.2気圧/分、0.3気圧/分、0.4気圧/分、0.5気圧/分、0.6気圧/分、0.7気圧/分、0.8気圧/分、0.9気圧/分、1気圧/分、1.1気圧/分、1.2気圧/分、1.3気圧/分、1.4気圧/分、1.5気圧/分、1.6気圧/分、1.8気圧/分、2気圧/分、2.2気圧/分、2.4気圧/分、2.6気圧/分、2.8気圧/分、3気圧/分、3.5気圧/分、4気圧/分、4.5気圧/分、5気圧/分、6気圧/分、7気圧/分、8気圧/分、9気圧/分または約10気圧/分未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上などの、任意の適当な速度(例えば、組織産生のために圧力が落ちる時間を除くことができ、圧力をこれらの時間維持できる)でのバルーン内の圧力増加を含む。
【0117】
膨張は、圧力ゲージによるなど、バルーン内の圧力の観察を含み得る。圧力を低下させうる狭窄作製中、膨張は、バルーン内の圧力を安定化させ、バルーン内の安定化圧力を、組織産生中の時間安定化させ、次いで、所望の膨張直径が達成されるまでバルーン内の圧力の増加を再開させることを含み得る。安定化時間は、約0.1分~約10分、約0.5分~約2分または約0.1分以下または約0.2分、0.3分、0.4分、0.5分、0.6分、0.7分、0.8分、0.9分、1分、1.1分、1.2分、1.3分、1.4分、1.5分、1.6分、1.8分、2分、2.2分、2.4分、2.6分、2.8分、3分、3.5分、4分、4.5分、5分、6分、7分、8分、9分または約10分またはそれ以上などの任意の適当な時間であり得る。
【0118】
図3に示すとおり、ある実施態様において、医療デバイスはバルーンカテーテルである。バルーンカテーテルは、当業者に知られる慣用のバルーンカテーテルを含む、所望の使用のための任意の適当なカテーテルであり得る。例えば、バルーンカテーテル10は、カテーテル10の遠位末端に拡張可能、膨張可能バルーン12、カテーテル10の近位末端にハンドルアセンブリ16および近位および遠位末端間に延びる細長いフレキシブル部材14を含み得る。ハンドルアセンブリ16は、膨張媒体(例えば、空気、食塩水または造影媒体)の供給源などの1以上の適当な医療デバイスに接続されおよび/または受け取り得る。フレキシブル部材14は、適当な生体適合性材料製の管であってよく、その中に1以上の管腔を有する。管腔の少なくとも1つは、膨張媒体を受け、このような媒体を膨張のためにバルーン12に渡すように構成される。バルーンカテーテルは、ラピッド・エクスチェンジ型またはオーバー・ザ・ワイヤカテーテルであってよく、任意の適当な生体適合性材料から製造される。バルーン12の材料は、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン12、ナイロン11、ポリアミド12、ポリエーテルとポリアミドのブロックコポリマー、ペバックス(登録商標)、ポリウレタンおよびポリエーテルとポリエステルのブロックコポリマーの1以上を含み得る。
【0119】
ある実施態様において、本発明は、治療剤を血管組織または非血管組織などの組織に送達するためのバルーンカテーテルを提供する。デバイスは、バルーンカテーテル外表面に適用された層を含む。層は治療剤および1以上の添加物を含む。添加物は任意の適当な添加物であり得る。層は1つの添加物を含んでよくまたは層は水溶性第一添加物および水溶性第二添加物など1つを超える添加物を含み得る。例えば、図4Aに記載する実施態様に示すとおり、バルーン12は、治療剤および添加物を含む層20で被覆される。ある実施態様において、層は本質的に治療剤および添加物からなり、例えば、層は、任意の他の実質的に顕著な成分がなく、治療剤および添加物のみを含む。ある実施態様において、デバイスは、所望により粘着層を含み得る。例えば、図4Bに記載する実施態様に示すとおり、バルーン12は粘着層22で被覆される。治療剤および添加物を含む層24は、粘着層を覆う。薬物コーティング層の下にある別の層である粘着層は医療デバイスの外表面への薬物コーティング層の付着を改善し、コーティング完全性を保護する。例えば、医療デバイスへの付着が薬物と添加物で異なるならば、粘着層は、治療介入のための標的部位への輸送中、成分の異なる喪失を防止し、コーティングにおける薬物対添加物比を維持することができる。さらに、粘着層は、標的部位で組織と接触したら、コーティング層成分のデバイス表面からの迅速な放出を促進するために機能し得る。他の実施態様において、デバイスは最上層を含み得る。例えば、図4Cに記載する実施態様に示すとおり、バルーン12は粘着層22、粘着層を覆う治療剤および添加物を含む層26および最上層28で被覆される。最上層は、標的組織と接触前、例えばバルーン12の治療介入部位への輸送中またはコーティング層20が標的組織と直接接触まで圧入される前のバルーン12の膨張の第一モーメント中の薬物層の喪失を防止できる。
【0120】
本発明の実施態様は、抗炎症剤および抗増殖剤(例えば、ラパマイシン、パクリタキセルまたはそのアナログ)などの治療剤の有効量の送達による、体腔における狭窄の処置に関する。体腔における狭窄は、血管狭窄、尿道狭窄、尿管狭窄、食道狭窄、アカラシア狭窄、ステント内狭窄、副鼻腔狭窄、胃狭窄、小腸狭窄、十二指腸狭窄、空腸狭窄、回腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄および大腸狭窄および胆管狭窄を含む。本発明の実施態様は、
血管狭窄、良性前立腺肥大(BPH)、尿道問題、前立腺癌、喘息および慢性閉塞性肺疾患(COPD)の少なくとも1つを処置する方法に関する。実施態様におけると、方法は、抗炎症剤および抗増殖剤(例えば、ラパマイシン、パクリタキセルまたはそのアナログ)などの治療剤を、バルーンカテーテルなどの被覆医療デバイスから送達することを含む。治療剤は、医療デバイスに単独でまたは1以上の添加物と共に被覆され得る。
【0121】
ある実施態様において、本発明は、コーティング層を含むバルーンカテーテルを狭窄に挿入し(ここで、狭窄は尿道狭窄、尿管狭窄、食道狭窄、副鼻腔狭窄、アカラシア狭窄、ステント内狭窄、胃狭窄、小腸狭窄、十二指腸狭窄、空腸狭窄、回腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄および大腸狭窄および胆管狭窄の1つであり、ここで、コーティング層は薬物および添加物を含む)、バルーンカテーテルを膨張させ、薬物を狭窄の壁に放出させ、バルーンを収縮させ、バルーンカテーテルを引き抜くことを含む、体腔における狭窄を処置する方法に関し、ここで、残存薬物は、バルーンカテーテルの総負荷薬物の約1~70%であり得る、ここで、体腔の壁における薬物は、バルーンカテーテルの総負荷薬物の約0.1~25%であり得る。この実施態様ある態様において、添加物は、体腔における狭窄の組織への薬物の吸収を増大する。
【0122】
ある実施態様において、本発明は、コーティング層を含むバルーンカテーテルを体腔に挿入し(ここで、体腔は食道、気道、副鼻腔、気管、結腸、胆管、胃、小腸、十二指腸、空腸、回腸、直腸、大腸、尿路、前立腺、尿道、輸尿管および他の管腔の1つであり、ここで、コーティング層は薬物および添加物を含む)、バルーンカテーテルを膨張させ、薬物を体腔の壁に放出させ、バルーンを収縮させ、バルーンカテーテルを引き抜くことを含む、体腔の狭窄を処置する方法に関し、ここで、残存薬物は、バルーンカテーテルの総負荷薬物の約1~70%であり得る、ここで、体腔の壁における薬物は、バルーンカテーテルの総負荷薬物の約0.1~25%であり得る。この実施態様ある態様において、添加物は、体腔における組織への薬物の吸収を増大する。この実施態様の他の態様において、添加物は親水性部分および薬物親和性部分を含み、ここで、薬物親和性部分は疎水性部分、水素結合により治療剤に親和性を有する部分およびファンデルワールス相互作用により治療剤に親和性を有する部分の少なくとも1つである。
【0123】
ある実施態様において、本発明は、治療剤を体腔狭窄の標的部位に送達するためのバルーンカテーテルに関し、バルーンカテーテルはバルーンの外表面を覆うコーティング層を含み、ここで、コーティング層は治療剤の初期薬物負荷量および1以上の水溶性添加物を含み、治療剤はパクリタキセル、ドセタキセル、タキソール、そのアナログ、ラパマイシン、シロリムス、エベロリムス、タクロリムスおよびそのアナログおよびそれらの組み合わせから選択され、水溶性添加物はN-アセチルグルコサミン、N-オクチル-D-グルコンアミド、N-ノナノイル-N-メチルグルカミン、N-オクタノイル-N-メチルグルタミン、C6-セラミド、ジヒドロ-C6-セラミド、セレブロシド、スフィンゴミエリン、ガラクトセレブロシド、ラクトセレブロシド、N-アセチル-D-スフィンゴシン、N-ヘキサノイル-D-スフィンゴシン、N-オクトノイル-D-スフィンゴシン、N-ラウロイル-D-スフィンゴシン、N-パルミトイル-D-スフィンゴシン、N-オレオイル-D-スフィンゴシン、PEGカプリル/カプリン酸ジグリセライド、PEG8カプリル/カプリン酸グリセライド、PEGカプリレート、PEG8カプリレート、PEGカプレート、PEGカプロエート、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノカプロン酸グリセリル、モノラウリン、モノカプリン、モノカプリリン、モノミリスチン、モノパルミトレイン、モノオレイン、クレアチン、クレアチニン、アグマチン、シトルリン、グアニジン、スクラロース、アスパルテーム、ヒポキサンチン、テオブロミン、テオフィリン、アデニン、ウラシル、ウリジン、グアニン、チミン、チミジン、キサンチン、キサントシン、一リン酸キサントシン、カフェイン、アラントイン、(2-ヒドロキシエチル)尿素、N,N’-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、ペンタエリスリトールエトキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート/エトキシレート、グリセロールエトキシレート、グリセロールプロポキシレート、トリメチロールプロパンエトキシレート、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、クラウンエーテル、18-クラウン-6、15-クラウン-5、12-クラウン-4およびそれらの組み合わせから選択される。
【0124】
バルーンカテーテルのある実施態様において、1以上の水溶性添加物はバルーンからの治療剤の迅速な放出を促進し、これにより迅速な放出は、バルーンを体腔の標的部位で約0.1分~10分の膨張時間膨張させ、その後体腔から除かれた後のバルーンに残る治療剤の残存薬物量を含む。
【0125】
バルーンカテーテルのある実施態様において、コーティング層中の治療(例えば、疎水性)剤対コーティング層中の1以上の添加物の総重量の重量比は、約0.05~約20、約0.1~約10、約0.1~約5、約0.5~約8、約0.5~約3、約2~約6または約0.05以下または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または約20未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上であり得る。バルーンカテーテルのある実施態様において、コーティング層中の治療剤対コーティング層中の1以上の水溶性添加物の総重量(例えば、コーティング層中の第一および第二水溶性添加物または第一、第二および第三水溶性添加物の総重量に対して)の重量比は、約0.05~約20、約0.1~約10、約0.1~約5、約0.5~約8、約0.5~約3、約2~約6または約0.05以下または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または約20未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上である。
【0126】
ある実施態様において、本発明は、体腔における狭窄を処置する方法に関し、方法は、水、食塩水溶液または少なくとも1つの水溶性添加物を含む水溶液で体腔を洗い流し
、バルーンカテーテルを体腔における狭窄における標的部位に挿入し(バルーンカテーテルは、バルーンおよびバルーンの外部表面を覆うコーティング層を含み、コーティング層は少なくとも1つの水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含み、治療剤はパクリタキセル、ドセタキセル、タキソール、そのアナログ、ラパマイシン、シロリムス、エベロリムス、タクロリムス、そのアナログおよびそれらの組み合わせから選択され、水溶性添加物はN-アセチルグルコサミン、N-オクチル-D-グルコンアミド、N-ノナノイル-N-メチルグルカミン、N-オクタノイル-N-メチルグルタミンC6-セラミド、ジヒドロ-C6-セラミド、セレブロシド、スフィンゴミエリン、ガラクトセレブロシド、ラクトセレブロシド、N-アセチル-D-スフィンゴシン、N-ヘキサノイル-D-スフィンゴシン、N-オクトノイル-D-スフィンゴシン、N-ラウロイル-D-スフィンゴシン、N-パルミトイル-D-スフィンゴシン、N-オレオイル-D-スフィンゴシン、PEGカプリル/カプリン酸ジグリセライド、PEG8カプリル/カプリン酸グリセライド、PEGカプリレート、PEG8カプリレート、PEGカプレート、PEGカプロエート、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノカプロン酸グリセリル、モノラウリン、モノカプリン、モノカプリリン、モノミリスチン、モノパルミトレイン、モノオレイン、クレアチン、クレアチニン、アグマチン、シトルリン、グアニジン、スクラロース、アスパルテーム、ヒポキサンチン、テオブロミン、テオフィリン、アデニン、ウラシル、ウリジン、グアニン、チミン、チミジン、キサンチン、キサントシン、一リン酸キサントシン、カフェイン、アラントイン、(2-ヒドロキシエチル)尿素、N,N’-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、ペンタエリスリトールエトキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート/エトキシレート、グリセロールエトキシレート、グリセロールプロポキシレート、トリメチロールプロパンエトキシレート、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、クラウンエーテル、18-クラウン-6、15-クラウン-5、12-クラウン-4およびそれらの組み合わせから選択される)、バルーンを、コーティング層が標的部位の体腔における狭窄の壁に接触し、かつバルーンが膨張時間の膨張バルーン直径を達成するまで膨張させ、膨張時間後バルーンを収縮させ(ここで、膨張時間は0.1分~10分である)、バルーンカテーテルを体腔における狭窄から引き抜くことを含む。膨張バルーンカテーテル直径は、膨張バルーン直径対処置体腔の常態直径の比が約1.0~約20または約1.1~約15または約1.2~約10または約1.0以下または約1.01、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.8、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18または約20未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上であってよく、バルーン公称径対処置位置での体腔の常態直径の延伸比が約1.0~約20または約1.1~約15または約1.2~約10または約1.0以下または約1.01、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.8、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18または約20未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上であってよいようなものであり得る。所望により、膨張はバルーンカテーテルの公称圧力と等しいまたは高い圧力までの膨張を含み得る。
【0127】
バルーンは、引き抜いた後にその上に残存薬物量を有し得る。約90wt%、88wt%、86wt%、84wt%、82wt%、80wt%、78wt%、76wt%、74wt%、72wt%、70wt%、68wt%、66wt%、64wt%、62wt%、60wt%、58wt%、56wt%、54wt%、52wt%、50wt%、48wt%、46wt%、44wt%、42wt%、40wt%、38wt%、36wt%、34wt%、32wt%、30wt%、28wt%、26wt%、24wt%、22wt%、20wt%、18wt%、16wt%、14wt%、12wt%、10wt%、8wt%、6wt%、4wt%、3wt%、2wt%、1wt%または約0wt%未満、それと等しい、それより多いような任意の適当な残存薬物量が引き抜いた後に残ってよい。
【0128】
ある実施態様において、本発明は、良性前立腺肥大および前立腺癌の少なくとも1つを処置する方法に関し、方法は、前立腺を水、食塩水溶液または少なくとも1つの水溶性添加物を含む水溶液で洗い流し、バルーンカテーテルを前立腺の標的部位に挿入し(バルーンカテーテルはバルーンおよびバルーンの外部表面を覆うコーティング層を含み、コーティング層は、1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含み得る)、コーティング層が標的部位で良性前立腺肥大または前立腺癌の壁に接触し、かつ、バルーンが膨張バルーン直径を達成するまでバルーンを膨張させ、膨張時間後バルーンを収縮させ(ここで、膨張時間は0.1分~10である)、バルーンカテーテルを前立腺から引き抜くことを含む。膨張バルーン直径対体腔の常態直径の比は、約1.0~約20または約1.01~約15または約1.01以下または約1.01、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.8、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18または約20未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上であってよく、バルーン公称径対処置位置での体腔の常態直径の延伸比は約1.0~約20または約1.1~約15または約1.2~約10または約1.0以下または約1.01、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.8、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18または約20未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上であってよい。所望により、膨張はバルーンカテーテルの公称圧力と等しいまたは高い圧力までの膨張を含み得る。
【0129】
ある実施態様において、本発明は尿道狭窄を処置する方法に関し、方法は、尿道狭窄を水、食塩水溶液または少なくとも1つの水溶性添加物を含む水溶液で洗い流し、バルーンカテーテルを尿道狭窄の標的部位に挿入し(バルーンカテーテルはバルーンおよびバルーンの外部表面を覆うコーティング層を含み、ここで、コーティング層は少なくとも1つの水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含み、コーティング層中の治療剤対コーティング層中の1以上の水溶性添加物の総重量の重量比は約0.05~20である)、コーティング層が標的部位で尿道狭窄に接触し、バルーンが膨張時間の膨張バルーン直径を達成するまでバルーンを膨張させ、膨張時間後バルーンを収縮させ(ここで、膨張時間は0.1分~10である)、バルーンカテーテルを尿道狭窄から引き抜くことを含む。膨張バルーン直径対狭窄位置での尿道の常態直径の比は、約1.0~約20または約1.01~約15または約1.01以下または約1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.8、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18または約20未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上であってよく、バルーン公称径対処置位置での体腔の常態直径の延伸比は、約1.0~約20または約1.1~約15または約1.2~約10または約1.0以下または約1.01、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.8、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18または約20未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上であってよい。拡張後、尿道狭窄の直径は、6.7mmまたはそれ以上、例えば、約6.7mm~約50mmまたは約6.7mm~約20mmまたは約6.7mm、6.8mm、6.9mm、7.0mm、7.2mm、7.4mm、7.6mm、7.8mm、8mm、8.5mm、9mm、9.5mm、10mm、11mm、12mm、13mm、14mm、15mm、16mm、17mm、18mm、19mm、20mm、25mm、30mm、35mm、40mm、45mmまたは約50mm未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上であり得る。所望により、膨張はバルーンカテーテルの公称圧力と等しいまたは高い圧力までの膨張を含み得る。
【0130】
ある実施態様において、本発明は、アカラシア狭窄などの食道狭窄を処置する方法に関し、方法は、所望によりバルーンカテーテル挿入前、挿入中またはその後に食道狭窄を水、食塩水溶液または少なくとも1つの水溶性添加物を含む水溶液で洗い流し、食道狭窄における標的部位にバルーンカテーテルを挿入し(バルーンカテーテルはバルーンおよびバルーンの外部表面を覆うコーティング層を含み、ここで、コーティング層は少なくとも1つの水溶性第二添加物およびバルーンの公称径で1mmあたり1~6μgの治療剤である初期薬物負荷量の治療剤を含み、コーティング層中の治療剤対コーティング層中の1以上の水溶性添加物の総重量の重量比は約0.05~20である)、コーティング層が標的部位で食道狭窄の壁に接触し、かつ、バルーンが膨張バルーン直径を達成するまでバルーンを膨張させ、膨張時間後バルーンを収縮させ(ここで、膨張時間は0.1分~10分である)、バルーンカテーテルを食道狭窄から引き抜くことを含む。バルーン直径対狭窄位置での食道の常態直径の比は約1.0~約20または約1.01~約20または約1.01以下または約1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.8、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18または約20未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上であってよく、バルーン公称径対狭窄位置での食道の常態直径の延伸比は約1.0~約20または約1.1~約15または約1.2~約10または約1.0以下または約1.01、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.8、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18または約20未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上であってよい。ある実施態様において、バルーンカテーテル性質は、表4に示すのと等しいまたは類似するものであり、高圧力で遅延する成長速度を有する。伸展性は、直径@RBP-直径@公称圧力)/直径@公称圧力)*100%として計算する、公称径から定格破裂圧力(RBP)直径までのバルーン直径の変化パーセントである。所望により、膨張はバルーンカテーテルの公称圧力と等しいまたは高い圧力までの膨張を含み得る。
【0131】
【表4】
【0132】
ある実施態様において、本発明は、アカラシア狭窄などの食道狭窄を処置する方法に関し、方法は、所望によりバルーンカテーテル挿入前、挿入中、その後に食道狭窄を水、食塩水溶液または少なくとも1つの水溶性添加物を含む水溶液で洗い流し、食道狭窄における標的部位にバルーンカテーテルを挿入し(バルーンカテーテルはバルーンおよびバルーンの外部表面を覆うコーティング層を含み、ここで、コーティング層は少なくとも1つの水溶性第二添加物およびバルーンの公称径で1mmあたり1~6μgの治療剤である初期薬物負荷量の治療剤を含み、コーティング層中の治療剤対コーティング層中の1以上の水溶性添加物の総重量の重量比は約0.05~20である)、コーティング層が標的部位で食道狭窄の壁に接触し、かつ、バルーンが膨張バルーン直径を達成するまでバルーンを膨張させ、膨張時間後バルーンを収縮させ(ここで、膨張時間は0.1分~10である)、バルーンカテーテルを食道狭窄から引き抜くことを含む。膨張バルーン直径対狭窄位置での食道の常態直径の比は約1.0~約20または約1.01~約20または約1.31~20または約1.01以下または約1.1、1.2、1.3、1.31、1.4、1.5、1.6、1.8、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18または約20未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上であってよく、バルーン公称径対狭窄位置での食道の常態直径の延伸比は約1.0~約20または約1.1~約15または約1.2~約10または約1.31~20または約1.0以下または約1.01、1.1、1.2、1.3、1.31、1.4、1.5、1.6、1.8、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18または約20未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上であってよい。所望により、膨張はバルーンカテーテルの公称圧力と等しいまたは高い圧力までの膨張を含み得る。ある実施態様において、バルーンカテーテル性質は、表5に示すのと等しいまたは類似するものであり、慣用のコンプライアントバルーンと比較して、比較的高い作業圧力で広範囲のバルーン直径を達成する能力を有する単一バルーンカテーテルである。表5におけるバルーンは、3段階増加膨張圧力で、3バルーン直径増加がある特有の性質を有する。公称膨張直径は、段階Iの直径である。直径は、圧力増加の各段階で約0.5~4mm、好ましくは0.75~3mm、最も好ましくは0.9~2mm増加する。例えば、圧力I(3気圧)で直径15mmを有するバルーンは、圧力II(4.5気圧)で直径16.5mmを有し、圧力III(7気圧)で直径18mmを有する。
【0133】
【表5】
【0134】
ある実施態様において、本発明は、消化器狭窄を処置する方法に関し、消化器狭窄は胃狭窄、小腸狭窄、十二指腸狭窄、空腸狭窄、回腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄および大腸狭窄および胆管狭窄を含み、方法は、消化器狭窄を水、食塩水溶液または少なくとも1つの水溶性添加物を含む水溶液で洗い流し、消化器狭窄における標的部位にバルーンカテーテルを挿入し(バルーンカテーテルはバルーンおよびバルーンの外部表面を覆うコーティング層を含み、ここで、コーティング層は少なくとも1つの水溶性第二添加物およびバルーンの公称径で1mmあたり1~6μgの治療剤である初期薬物負荷量の治療剤を含み、コーティング層中の治療剤対コーティング層中の1以上の水溶性添加物の総重量の重量比は約0.05~20である)、コーティング層が標的部位で食道狭窄の壁に接触し、かつ、バルーンが膨張バルーン直径を達成するまでバルーンを膨張させ、膨張時間後バルーンを収縮させ(ここで、膨張時間は0.1分~10分である)、バルーンカテーテルを食道狭窄から引き抜くことを含む。膨張バルーンカテーテル直径は、バルーン直径対狭窄位置での食道の常態直径の比が約1.0~約20または約1.31~約20または約1.01~約15または約1.01以下または約1.1、1.2、1.3、1.31、1.4、1.5、1.6、1.8、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18または約20未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上であってよく、バルーン公称径対狭窄位置での食道の常態直径の延伸比が約1.0~約20または約1.31~約20または約1.1~約15または約1.2~約10または約1.0以下または約1.01、1.1、1.2、1.3、1.31、1.4、1.5、1.6、1.8、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18または約20未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上であってよいようなものである。所望により、膨張はバルーンカテーテルの公称圧力と等しいまたは高い圧力までの膨張を含み得る。ある実施態様において、バルーンカテーテルは、表4および5に示すのと等しいまたは類似するものであり、高圧力で遅延する成長速度を有し、高作業圧力で広範囲のバルーン直径を達成する能力を有する単一バルーンカテーテルを有する。
【0135】
種々の実施態様において、食道狭窄、アカラシア狭窄、消化器狭窄(消化器狭窄は胃狭窄、小腸狭窄、十二指腸狭窄、空腸狭窄、回腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄および大腸狭窄および胆管狭窄を含む)の処置に使用する薬物被覆バルーンカテーテルは、固定ワイヤ、ワイヤガイド型、オーバー・ザ・ワイヤカテーテルまたはラピッド・エクスチェンジ型デザインカテーテルであるカテーテルデザインを有する。
【0136】
ある実施態様において、本発明は、副鼻腔狭窄を処置する方法に関し、方法は、副鼻腔狭窄を水、食塩水溶液または少なくとも1つの水溶性添加物を含む水溶液で洗い流し、バルーンカテーテルを副鼻腔狭窄における標的部位に挿入し(バルーンカテーテルはバルーンおよびバルーンの外部表面を覆うコーティング層を含み、ここで、コーティング層は少なくとも1つの水溶性添加物およびバルーンの公称径で1mmあたり1~6μgの治療剤である初期薬物負荷量の治療剤を含み、治療剤はブデソニド、フルニソリド、トリアムシノロン、ベクロメタゾン、フルチカゾン、モメタゾン、モメタゾンフロエート、デキサメサゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、コルチゾン、ベタメタゾン、トリアムシノロンアセトニドおよびそれらの組み合わせから選択され、水溶性添加物はN-アセチルグルコサミン、N-オクチル-D-グルコンアミド、N-ノナノイル-N-メチルグルカミン、N-オクタノイル-N-メチルグルタミン、C6-セラミド、ジヒドロ-C6-セラミド、セレブロシド、スフィンゴミエリン、ガラクトロセレブロシド、ラクトセレブロシド、N-アセチル-D-スフィンゴシン、N-ヘキサノイル-D-スフィンゴシン、N-オクトノイル-D-スフィンゴシン、N-ラウロイル-D-スフィンゴシン、N-パルミトイル-D-スフィンゴシン、N-オレオイル-D-スフィンゴシン、PEGカプリル/カプリン酸ジグリセライド、PEG8カプリル/カプリン酸グリセライド、PEGカプリレート、PEG8カプリレート、PEGカプレート、PEGカプロエート、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノカプロン酸グリセリル、モノラウリン、モノカプリン、モノカプリリン、モノミリスチン、モノパルミトレイン、モノオレイン、クレアチン、クレアチニン、アグマチン、シトルリン、グアニジン、スクラロース、アスパルテーム、ヒポキサンチン、テオブロミン、テオフィリン、アデニン、ウラシル、ウリジン、グアニン、チミン、チミジン、キサンチン、キサントシン、一リン酸キサントシン、カフェイン、アラントイン、(2-ヒドロキシエチル)尿素、N,N’-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、ペンタエリスリトールエトキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート/エトキシレート、グリセロールエトキシレート、グリセロールプロポキシレート、トリメチロールプロパンエトキシレート、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、クラウンエーテル、18-クラウン-6、15-クラウン-5、12-クラウン-4およびそれらの組み合わせから選択され、コーティング層中の治療剤対コーティング層中の1以上の水溶性添加物の総重量の重量比は約0.05~20である)、コーティング層が標的部位で副鼻腔狭窄の壁に接触し、かつ、バルーンが膨張バルーン直径を達成するまでバルーンを膨張させ、膨張時間後バルーンを収縮させ(ここで、膨張時間は0.1分~10である)、バルーンカテーテルを副鼻腔狭窄から引き抜くことを含む。
【0137】
ある実施態様において、薬物被覆バルーンの使用前胃に、前立腺など体腔の標的領域を前拡張することが望ましい可能性がある。ある実施態様において、前拡張バルーンは、処置バルーンよりわずかに短いおよび/またはわずかに小さい公称径であるように選択される。前拡張バルーンが処置バルーンより短いならば、前拡張ゾーンまたは領域全体が処置バルーンにより処置される可能性が高い。ある実施態様において、前拡張せずに、直接体腔の標的領域を拡張するとが望ましい可能性がある。
【0138】
本発明の実施態様は、迅速な薬物放出コーティングを有するバルーンカテーテルおよびそのような被覆デバイスを製造する方法に関する。本発明の実施態様における治療剤は遅延または長期放出を必要とせず、その代わり、例えば、治療剤および添加物は、組織との接触時に治療効果を提供するために、極めて短時間で放出される。本発明の実施態様の目的は、標的部位への一過性デバイス留置中の標的組織による薬物の迅速かつ効率的取り込みの促進である。
【0139】
種々の実施態様において、バルーンカテーテルは、バルーンの本体に添って、1または複数(例えば、2)ネック部を有し得る。ネック部はバルーン本体公称径より小さい公称径(例えば、1.5~2.5倍小さい)を有し得て、約10~20mm長など任意の適当な長さを有し得る。ネック部はバルーンを対称性に分割できまたはあるバルーン本体部が他より長くなってよい。バルーン公称径は6~45mmの範囲であり、作業長20~160mmである。
【0140】
図1Aにおいて、ある実施態様において、1つのネック部を有するバルーンを示す。バルーン100はウエスト101、コーン102、第一本体部103、ネック104、第二本体部105、コーン106およびウエスト107を有する。当業者に知られるとおりバルーンカテーテルにアセンブルされたら、ウエスト101および107は、カテーテルシャフト(示していない)に接続または固着などされる。膨張中、ウエスト101および107は、カテーテルシャフトに接続されているため、膨張しない。図1Bにおいて、ある実施態様において、2つのネック部を有するバルーンを示す。バルーン120は、ウエスト121、コーン122、第一本体部123、第一ネック124、第二本体部125、第二ネック126、第三本体部127、コーン128およびウエスト129を有する。当業者に知られるとおりバルーンカテーテルにアセンブルされたら、ウエスト121および129は、カテーテルシャフトに接続または固着などされる。膨張中、ウエスト121および129は、カテーテルシャフトに接続されているため、膨張しない。ネック部124および126は、現況の膨張では同じ直径として示しているが、それらは同一または異なる伸展性を有する同一または異なる直径であり得る。図1Cにおいて、ある実施態様において、3つのネック部を有するバルーンを示す。バルーン140は、ウエスト141、コーン142、第一本体部143、第一ネック144、第二本体部145、第二ネック146、第三本体部147、第三ネック148、第四本体部149、コーン150およびウエスト151を有する。当業者に知られるとおりバルーンカテーテルにアセンブルされたら、ウエスト141および151は、カテーテルシャフトに接続または固着などされる。膨張中、ウエスト141および151は、カテーテルシャフトに接続されているため、膨張しない。ネック部144、146および148は、現況の膨張では異なる直径を有して示しているが、それらは同一または異なる伸展性を有する同一または異なる直径であり得る。
【0141】
図2に示すとおり、ある実施態様において、医療デバイスは、当分野の当業者に知られる慣用のバルーンカテーテルを含む、バルーンカテーテル、固定ワイヤバルーンカテーテル、移動可能ワイヤカテーテル、オーバー・ザ・ワイヤバルーンカテーテル、ラピッド・エクスチェンジ型バルーンカテーテルである。例えば、バルーンカテーテル150は、カテーテル150の遠位末端に拡張可能、膨張可能バルーン、カテーテル150の近位末端にハンドルアセンブリ160、近位末端から遠位末端に延びる細長いフレキシブル部材164および非侵襲的クーデチップ163を含み得る。ハンドルアセンブリ160は、膨張媒体(例えば、空気、食塩水または造影媒体)の供給源などの1以上の適当な医療デバイスに接続されおよび/または受け取り得る。フレキシブル部材164は適当な生体適合性材料製であり、かつその中に1以上の管腔を有する管であり得る。管腔の少なくとも1つは、膨張媒体を受け入れ、そのような媒体をバルーン162にその膨張のために通すように構成される。バルーンカテーテルは固定ワイヤまたはラピッド・エクスチェンジ型またはオーバー・ザ・ワイヤカテーテルであり、任意の適当な生体適合性材料から製造され得る。バルーン162の材料は、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン12、ナイロン11、ポリアミド12、ポリエーテルとポリアミドのブロックコポリマー、ペバックス(登録商標)、ポリウレタンおよびポリエーテルとポリエステルのブロックコポリマーの1以上を含み得る。図2において、ある実施態様において、2つのネック部を有するバルーンを示す。バルーン162は、ウエスト151、コーン152、第一本体部153、第一ネック154、第二本体部155、第二ネック156、第三本体部157、コーン158およびウエスト159を有する。当業者に知られるとおりバルーンカテーテルにアセンブルされたら、ウエスト151および159は、カテーテルシャフトに接続または固着などされる。膨張中、ウエスト151および159は、カテーテルシャフトに接続されているため、膨張しない。ネック部154および156は現況の膨張では同一直径として示しているが、それらは同一または異なる伸展性を有する同一または異なる直径であり得る。
【0142】
図3に示すとおり、ある実施態様において、医療デバイスはバルーンカテーテルである。バルーンカテーテルは、当分野の当業者に知られる慣用のバルーンカテーテルを含む、固定ワイヤバルーンカテーテル、移動可能ワイヤカテーテル、オーバー・ザ・ワイヤバルーンカテーテル、ラピッド・エクスチェンジ型バルーンカテーテルを含む、所望の使用のための任意の適当なカテーテルであり得る。例えば、バルーンカテーテル10は、カテーテル10の遠位末端に拡張可能、膨張可能バルーン12、カテーテル10の近位末端にハンドルアセンブリ16および近位および遠位末端間に延びる細長いフレキシブル部材14を含み得る。ハンドルアセンブリ16は、膨張媒体(例えば、空気、食塩水または造影媒体)の供給源などの1以上の適当な医療デバイスに接続されおよび/または受け取り得る。フレキシブル部材14は適当な生体適合性材料製であり、かつその中に1以上の管腔を有する管であり得る。管腔の少なくとも1つは、膨張媒体を受け入れ、そのような媒体をバルーン12にその膨張のために通すように構成される。バルーンカテーテルは、ラピッド・エクスチェンジ型またはオーバー・ザ・ワイヤカテーテルであり、任意の適当な生体適合性材料から製造され得る。バルーン12の材料は、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン12、ナイロン11、ポリアミド12、ポリエーテルとポリアミドのブロックコポリマー、ペバックス(登録商標)、ポリウレタンおよびポリエーテルとポリエステルのブロックコポリマーの1以上を含み得る。
【0143】
ある実施態様において、本発明は、血管組織または非血管組織などの罹患組織または狭窄に治療剤を送達するための医療デバイスを提供する。デバイスは、バルーンカテーテル外表面に適用された層を含む。層は治療剤および1以上の添加物を含む。添加物は任意の適当な添加物であり得る。層は1つの添加物を含んでよくまたは層は水溶性第一添加物および水溶性第二添加物などの1を超える添加物を含み得る。例えば、図4Aに記載する実施態様に示すとおり、バルーン12は、治療剤および添加物を含む層20で被覆される。ある実施態様において、層は本質的に治療剤および添加物からなり、例えば、層は、任意の他の実質的に意味のある成分がなく、治療剤および添加物のみを含む。ある実施態様において、デバイスは、所望により粘着層を含み得る。例えば、図4Bに記載する実施態様に示すとおり、バルーン12は粘着層22で被覆される。治療剤および添加物を含む層24は、粘着層を覆う。薬物コーティング層の下にある別の層である粘着層は医療デバイスの外表面への薬物コーティング層の付着を改善し、コーティングの完全性を保護する。例えば、医療デバイスへの付着が薬物および添加物で異なるならば、粘着層は、治療介入のための標的部位への輸送中、成分の異なる喪失を防止し、コーティングにおける薬物対添加物比を維持することができる。さらに、粘着層は、標的部位で組織と接触したら、コーティング層成分のデバイス表面からの迅速な放出を促進するために機能し得る。他の実施態様において、デバイスは最上層を含み得る。最上層は、標的組織に接触する前、例えばバルーン12の治療介入部位への輸送中またはコーティング層20が標的組織に直接接触まで圧入される前にバルーン12の膨張の第一モーメント中、薬物層の喪失を減少させ得る。
【0144】
本発明の実施態様は、抗炎症剤および抗増殖剤(例えば、ラパマイシン、シロリムス、エベロリムス、タクロリムス、パクリタキセル、タキソール、ドセタキセルまたはそのアナログ)などの治療剤の有効量を送達することによる、非血管体腔の狭窄の処置に関する。非血管体腔の狭窄は、尿道狭窄、尿管狭窄、食道狭窄、副鼻腔狭窄、アカラシア狭窄、ステント内狭窄、胃狭窄、小腸狭窄、十二指腸狭窄、空腸狭窄、回腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄および大腸狭窄および胆管狭窄を含む。本発明の実施態様は、良性前立腺肥大(BPH)、前立腺癌、喘息および慢性閉塞性肺疾患(COPD)の少なくとも1つを処置する方法に関する。種々の実施態様におけると、方法は、抗炎症剤および抗増殖剤(例えば、ラパマイシン、シロリムス、エベロリムス、タクロリムス、パクリタキセル、タキソール、ドセタキセルまたはそのアナログ)などの治療剤を被覆バルーンカテーテルにより送達することを含む。抗炎症剤および抗増殖剤は、単独でまたは1以上の添加物と共に医療デバイス上を被覆し得る。
【0145】
非血管体腔における狭窄を処置する方法は、コーティング層を含むバルーンカテーテルを体腔に挿入し(ここで、コーティング層は薬物および添加物を含む)、バルーンカテーテルを膨張させ、非血管体腔の壁に薬物を放出させ、バルーンを収縮させ、そしてバルーンカテーテルを引き抜くことを含み、ここで、残存薬物は、バルーンカテーテルの総負荷薬物の約1~70%であり得る、ここで、体腔の壁における薬物は、バルーンカテーテルの総負荷薬物の約0.1~25%であり得る。方法は、バルーンの標的部位への挿入前、挿入中またはその後に、水、食塩水溶液または少なくとも1つの水溶性添加物を含む水溶液で体腔を洗い流すことを含み得る。この実施態様のひとつの態様において、添加物は、非血管体腔の組織への薬物の吸収を増大する。この実施態様の他の態様において、添加物は親水性部分および薬物親和性部分を含み、ここで、薬物親和性部分は疎水性部分、水素結合により治療剤に親和性を有する部分およびファンデルワールス相互作用により治療剤に親和性を有する部分の少なくとも1つである。
【0146】
非血管体腔の標的部位に治療剤を送達するためのバルーンカテーテルは、バルーンの外表面を覆うコーティング層を含み得て、ここで、コーティング層は治療剤の初期薬物負荷量および1以上の水溶性添加物を含み、治療剤はパクリタキセル、タキソール、ドセタキセル、そのアナログ、ラパマイシン、シロリムス、エベロリムスおよびそのアナログおよびそれらの組み合わせから選択され、水溶性添加物はN-アセチルグルコサミン、N-オクチル-D-グルコンアミド、N-ノナノイル-N-メチルグルカミン、N-オクタノイル-N-メチルグルタミン、C6-セラミド、ジヒドロ-C6-セラミド、セレブロシド、スフィンゴミエリン、ガラクトセレブロシド、ラクトセレブロシド、N-アセチル-D-スフィンゴシン、N-ヘキサノイル-D-スフィンゴシン、N-オクトノイル-D-スフィンゴシン、N-ラウロイル-D-スフィンゴシン、N-パルミトイル-D-スフィンゴシン、N-オレオイル-D-スフィンゴシン、PEGカプリル/カプリン酸ジグリセライド、PEG8カプリル/カプリン酸グリセライド、PEGカプリレート、PEG8カプリレート、PEGカプレート、PEGカプロエート、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノカプロン酸グリセリル、モノラウリン、モノカプリン、モノカプリリン、モノミリスチン、モノパルミトレイン、モノオレイン、クレアチン、クレアチニン、アグマチン、シトルリン、グアニジン、スクラロース、アスパルテーム、ヒポキサンチン、テオブロミン、テオフィリン、アデニン、ウラシル、ウリジン、グアニン、チミン、チミジン、キサンチン、キサントシン、一リン酸キサントシン、カフェイン、アラントイン、(2-ヒドロキシエチル)尿素、N,N’-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、ペンタエリスリトールエトキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート/エトキシレート、グリセロールエトキシレート、グリセロールプロポキシレート、トリメチロールプロパンエトキシレート、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、クラウンエーテル、18-クラウン-6、15-クラウン-5、12-クラウン-4およびそれらの組み合わせから選択される。
【0147】
非血管体腔は、食道、気道、副鼻腔、気管、結腸、胆管、胃、小腸、十二指腸、空腸、回腸、直腸、大腸、尿路、前立腺、尿道、輸尿管および他の非血管管腔の1つであり得る。
【0148】
ある実施態様において、1以上の水溶性添加物はバルーンからの治療剤の迅速な放出を促進でき、これによる迅速な放出は、バルーンを非血管体腔の標的部位で約0.1分~10分の膨張時間膨張させ、続いて非血管管腔から除いた後のバルーン上に残存する治療剤の残存薬物量を含む。
【0149】
コーティング層中の治療剤対コーティング層中の1以上の添加物の総重量の重量比は、約0.05~約20、約0.1~約10、約0.1~約5、約0.5~約8、約0.5~約3、約2~約6または約0.05以下または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または約20未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上であり得る。コーティング層中の治療剤対コーティング層中の1以上の水溶性添加物の総重量の重量比(例えば、コーティング層中の第一および第二水溶性添加物または第一、第二および第三水溶性添加物の総重量に対して)は、約0.05~約20、約0.1~約10、約0.1~約5、約0.5~約8、約0.5~約3、約2~約6または約0.05以下または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または約20未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上であり得る。
【0150】
初期薬物負荷量は、バルーン1mmあたり(すなわち、バルーンの公称径の外部表面積あたり)治療剤1μg~20μgまたは約2~約6μgまたは約1μg以下または約2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18または約20μg未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上であり得る。残存薬物量は、初期薬物負荷量の70%以下であり得る。
【0151】
非血管体腔における狭窄を処置する方法は、非血管体腔を水、食塩水溶液または少なくとも1つの水溶性添加物を含む水溶液で洗い流し、非血管体腔における狭窄における標的部位にバルーンカテーテルを挿入し(バルーンカテーテルはバルーンおよびバルーンの外部表面を覆うコーティング層を含み、コーティング層は少なくとも1つの水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含み、治療剤はパクリタキセル、タキソール、ドセタキセル、そのアナログ、ラパマイシン、シロリムス、エベロリムスおよびそのアナログおよびそれらの組み合わせから選択され、水溶性添加物はN-アセチルグルコサミン、N-オクチル-D-グルコンアミド、N-ノナノイル-N-メチルグルカミン、N-オクタノイル-N-メチルグルタミンC6-セラミド、ジヒドロ-C6-セラミド、セレブロシド、スフィンゴミエリン、ガラクトセレブロシド、ラクトセレブロシド、N-アセチル-D-スフィンゴシン、N-ヘキサノイル-D-スフィンゴシン、N-オクトノイル-D-スフィンゴシン、N-ラウロイル-D-スフィンゴシン、N-パルミトイル-D-スフィンゴシン、N-オレオイル-D-スフィンゴシン、PEGカプリル/カプリン酸ジグリセライド、PEG8カプリル/カプリン酸グリセライド、PEGカプリレート、PEG8カプリレート、PEGカプレート、PEGカプロエート、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノカプロン酸グリセリル、モノラウリン、モノカプリン、モノカプリリン、モノミリスチン、モノパルミトレイン、モノオレイン、クレアチン、クレアチニン、アグマチン、シトルリン、グアニジン、スクラロース、アスパルテーム、ヒポキサンチン、テオブロミン、テオフィリン、アデニン、ウラシル、ウリジン、グアニン、チミン、チミジン、キサンチン、キサントシン、一リン酸キサントシン、カフェイン、アラントイン、(2-ヒドロキシエチル)尿素、N,N’-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、ペンタエリスリトールエトキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート/エトキシレート、グリセロールエトキシレート、グリセロールプロポキシレート、トリメチロールプロパンエトキシレート、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、クラウンエーテル、18-クラウン-6、15-クラウン-5、12-クラウン-4およびそれらの組み合わせから選択される)、バルーンをコーティング層が標的部位での非血管体腔における狭窄の壁に接触し、かつバルーンが膨張時間の膨張バルーン直径を達成するまで膨張させ、膨張時間後バルーンを収縮させ(ここで、膨張時間は0.1分~10分である)、バルーンカテーテルを非血管体腔における狭窄から引き抜くことを含む。ある実施態様において、バルーン直径は、6気圧の公称膨張圧力で10mmである。膨張バルーン直径対体腔の標的部位の常態直径の比は約1.01~約20であってよく、バルーン公称径対処置位置での体腔の常態直径の延伸比は約1.0~約20または約1.1~約15または約1.2~約10または約1.0以下または約1.01、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.8、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18または約20未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上であってよい。所望により、膨張はバルーンカテーテルの公称圧力と等しいまたは高い圧力までの膨張を含み得る。
【0152】
バルーンは、引き抜いた後にその上に残存薬物量を有し得る。任意の適当な残存薬物量が引き抜いた後に残ってよく、例えば、約70wt%、65wt%、60wt%、55wt%、50wt%、45wt%、40wt%、35wt%、30wt%、25wt%、20wt%、15wt%、10wt%、5wt%または約0wt%より多い、これに等しいまたはこれ未満である。
【0153】
コーティング層中の治療剤対コーティング層中の1以上の添加物の総重量の重量比は、約0.05~約20、約0.1~約10、約0.1~約5、約0.5~約8、約0.5~約3、約2~約6または約0.05以下または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または約20未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上であり得る。
【0154】
種々の実施態様において、コーティング層は、1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含み得て、治療剤はパクリタキセル、パクリタキセルアナログ、ラパマイシン、ラパマイシンアナログおよびそれらの組み合わせから選択され、水溶性添加物はN-アセチルグルコサミン、N-オクチル-D-グルコンアミド、N-ノナノイル-N-メチルグルカミン、N-オクタノイル-N-メチルグルタミン、C6-セラミド、ジヒドロ-C6-セラミド、セレブロシド、スフィンゴミエリン、ガラクトセレブロシド、ラクトセレブロシド、N-アセチル-D-スフィンゴシン、N-ヘキサノイル-D-スフィンゴシン、N-オクトノイル-D-スフィンゴシン、N-ラウロイル-D-スフィンゴシン、N-パルミトイル-D-スフィンゴシン、N-オレオイル-D-スフィンゴシン、PEGカプリル/カプリン酸ジグリセライド、PEG8カプリル/カプリン酸グリセライド、PEGカプリレート、PEG8カプリレート、PEGカプレート、PEGカプロエート、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノカプロン酸グリセリル、モノラウリン、モノカプリン、モノカプリリン、モノミリスチン、モノパルミトレイン、モノオレイン、クレアチン、クレアチニン、アグマチン、シトルリン、グアニジン、スクラロース、アスパルテーム、ヒポキサンチン、テオブロミン、テオフィリン、アデニン、ウラシル、ウリジン、グアニン、チミン、チミジン、キサンチン、キサントシン、一リン酸キサントシン、カフェイン、アラントイン、(2-ヒドロキシエチル)尿素、N,N’-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、ペンタエリスリトールエトキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート/エトキシレート、グリセロールエトキシレート、グリセロールプロポキシレート、トリメチロールプロパンエトキシレート、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、クラウンエーテル、18-クラウン-6、15-クラウン-5、12-クラウン-4およびそれらの組み合わせから選択される。
【0155】
良性前立腺肥大および前立腺癌の少なくとも1つを処置する方法は、前立腺を水、食塩水溶液または少なくとも1つの水溶性添加物を含む水溶液で洗い流し、バルーンカテーテルを前立腺の標的部位に挿入することを含み得て、バルーンカテーテルはバルーンおよびバルーンの外部表面を覆うコーティング層を含む。方法は、コーティング層が標的部位で良性前立腺肥大または前立腺癌の壁に接触し、かつ、バルーンが膨張バルーン直径を達成するまでバルーンを膨張させ、膨張時間後バルーンを収縮させ(ここで、膨張時間は0.1分~10である)、バルーンカテーテルを前立腺から引き抜くことを含み得る。膨張バルーン直径対標的部位での常態体腔直径の比は約1.01~約20または約1.31~約20または約1.1~約15または約1.2~約10または約1.1、1.2、1.3、1.31、1.4、1.5、1.6、1.8、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18または約20より大きいかまたはそれ以上であってよく、バルーン公称径対処置位置での体腔の常態直径の延伸比は、約1.0~約20または約1.31~約20または約1.1~約15または約1.2~約10または約1.0以下または約1.01、1.1、1.2、1.3、1.31、1.4、1.5、1.6、1.8、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18または約20以未満、それと等しい、それより多いまたはそれ上であり得る。所望により、膨張はバルーンカテーテルの公称圧力と等しいまたは高い圧力までの膨張を含み得る。
【0156】
尿道狭窄を処置する方法は、尿道狭窄を水、食塩水溶液または少なくとも1つの水溶性添加物を含む水溶液で洗い流し、バルーンカテーテルを尿道狭窄の標的部位に挿入し(バルーンカテーテルはバルーンおよびバルーンの外部表面を覆うコーティング層を含み、ここで、コーティング層は少なくとも1つの水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含み、コーティング層中の治療剤対コーティング層中の1以上の水溶性添加物の総重量の重量比は約0.05~20である)、コーティング層が標的部位で尿道狭窄に接触し、バルーンが膨張時間の膨張バルーン直径を達成するまでバルーンを膨張させ、膨張時間後バルーンを収縮させ(ここで、膨張時間は0.1分~10である)、バルーンカテーテルを尿道狭窄から引き抜くことを含む。膨張バルーン直径対尿道狭窄の部位での体腔の常態直径の比は、約1.01~約20または約1.31~約20または約1.1~約15または約1.2~約10または約1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.8、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18または約20より大きいかまたはそれ以上であってよく、バルーン公称径対処置位置での体腔の常態直径の延伸比は約1.0~約20または約1.31~約20または約1.1~約15または約1.2~約10または約1.0以下または約1.01、1.1、1.2、1.3、1.31、1.4、1.5、1.6、1.8、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18または約20未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上であってよい。拡張後、尿道狭窄の直径は、6.7mmまたはそれ以上、例えば、約6.7mm~約50mmまたは約6.7mm~約20mmまたは約6.7mm、6.8mm、6.9mm、7.0mm、7.2mm、7.4mm、7.6mm、7.8mm、8mm、8.5mm、9mm、9.5mm、10mm、11mm、12mm、13mm、14mm、15mm、16mm、17mm、18mm、19mm、20mm、25mm、30mm、35mm、40mm、45mmまたは約50mm未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上であり得る。所望により、膨張はバルーンカテーテルの公称圧力と等しいまたは高い圧力までの膨張を含み得る。
【0157】
ある実施態様において、バルーンは、引き抜いた後に、初期薬物負荷量の70%未満の残存薬物量をその上に有する。
【0158】
食道狭窄を処置する方法は、食道狭窄を水、食塩水溶液または少なくとも1つの水溶性添加物を含む水溶液で洗い流し、食道狭窄における標的部位にバルーンカテーテルを挿入し(バルーンカテーテルはバルーンおよびバルーンの外部表面を覆うコーティング層を含み、ここで、コーティング層は、少なくとも1つの水溶性第二添加物およびバルーン1mmあたり1~6μgの治療剤の初期薬物負荷量での治療剤を含み、治療剤はパクリタキセル、タキソール、ドセタキセル、ラパマイシン、シロリムス、タクロリムス、エベロリムス、mTOR阻害剤またはそのアナログおよびそれらの組み合わせから選択され、水溶性添加物はN-アセチルグルコサミン、N-オクチル-D-グルコンアミド、N-ノナノイル-N-メチルグルカミン、N-オクタノイル-N-メチルグルタミン、C6-セラミド、ジヒドロ-C6-セラミド、セレブロシド、スフィンゴミエリン、ガラクトセレブロシド、ラクトセレブロシド、N-アセチル-D-スフィンゴシン、N-ヘキサノイル-D-スフィンゴシン、N-オクトノイル-D-スフィンゴシン、N-ラウロイル-D-スフィンゴシン、N-パルミトイル-D-スフィンゴシン、N-オレオイル-D-スフィンゴシン、PEGカプリル/カプリン酸ジグリセライド、PEG8カプリル/カプリン酸グリセライド、PEGカプリレート、PEG8カプリレート、PEGカプレート、PEGカプロエート、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノカプロン酸グリセリル、モノラウリン、モノカプリン、モノカプリリン、モノミリスチン、モノパルミトレイン、モノオレイン、クレアチン、クレアチニン、アグマチン、シトルリン、グアニジン、スクラロース、アスパルテーム、ヒポキサンチン、テオブロミン、テオフィリン、アデニン、ウラシル、ウリジン、グアニン、チミン、チミジン、キサンチン、キサントシン、一リン酸キサントシン、カフェイン、アラントイン、(2-ヒドロキシエチル)尿素、N,N’-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、ペンタエリスリトールエトキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート/エトキシレート、グリセロールエトキシレート、グリセロールプロポキシレート、トリメチロールプロパンエトキシレート、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、クラウンエーテル、18-クラウン-6、15-クラウン-5、12-クラウン-4およびそれらの組み合わせから選択され、そしてコーティング層中の治療剤対コーティング層中の1以上の水溶性添加物の総重量の重量比は約0.05~20である)、コーティング層が標的部位で食道狭窄の壁に接触し、かつ、バルーンが膨張バルーン直径を達成するまでバルーンを膨張させ、膨張時間後バルーンを収縮させ(ここで、膨張時間は0.1分~10分である)、バルーンカテーテルを食道狭窄から引き抜くことを含む。膨張バルーン直径対狭窄位置での食道の常態直径の比は、約1.01~約20、1.31~20または約1.1~約15または約1.3~約10または約1.31~10または約または約1.1、1.2、1.3、1.31、1.4、1.5、1.6、1.8、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18または約20より大きいかまたはそれ以上であってよく、バルーン公称径対処置位置での体腔の常態直径の延伸比は約1.0~約20、1.31~20または約1.1~約15または約1.2~約10または約1.3~10または約1.31~10または約1.0以下または約1.01、1.1、1.2、1.3、1.31、1.4、1.5、1.6、1.8、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18または約20未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上であり得る。所望により、膨張はバルーンカテーテルの公称圧力と等しいまたは高い圧力までの膨張を含み得る。
【0159】
副鼻腔狭窄を処置する方法は、副鼻腔狭窄を水、食塩水溶液または少なくとも1つの水溶性添加物を含む水溶液で洗い流し、バルーンカテーテルを副鼻腔狭窄における標的部位に挿入し(バルーンカテーテルはバルーンおよびバルーンの外部表面を覆うコーティング層を含み、ここで、コーティング層は、少なくとも1つの水溶性添加物およびバルーン1mmあたり1~6μgの治療剤の初期薬物負荷量での治療剤を含み、治療剤はブデソニド、フルニソリド、トリアムシノロン、ベクロメタゾン、フルチカゾン、モメタゾン、モメタゾンフロエート、デキサメサゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、コチゾン、ベタメタゾン、トリアムシノロンアセトニドおよびそれらの組み合わせから選択され、水溶性添加物はN-アセチルグルコサミン、N-オクチル-D-グルコンアミド、N-ノナノイル-N-メチルグルカミン、N-オクタノイル-N-メチルグルタミン、C6-セラミド、ジヒドロ-C6-セラミド、セレブロシド、スフィンゴミエリン、ガラクトセレブロシド、ラクトセレブロシド、N-アセチル-D-スフィンゴシン、N-ヘキサノイル-D-スフィンゴシン、N-オクトノイル-D-スフィンゴシン、N-ラウロイル-D-スフィンゴシン、N-パルミトイル-D-スフィンゴシン、N-オレオイル-D-スフィンゴシン、PEGカプリル/カプリン酸ジグリセライド、PEG8カプリル/カプリン酸グリセライド、PEGカプリレート、PEG8カプリレート、PEGカプレート、PEGカプロエート、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノカプロン酸グリセリル、モノラウリン、モノカプリン、モノカプリリン、モノミリスチン、モノパルミトレイン、モノオレイン、クレアチン、クレアチニン、アグマチン、シトルリン、グアニジン、スクラロース、アスパルテーム、ヒポキサンチン、テオブロミン、テオフィリン、アデニン、ウラシル、ウリジン、グアニン、チミン、チミジン、キサンチン、キサントシン、一リン酸キサントシン、カフェイン、アラントイン、(2-ヒドロキシエチル)尿素、N,N’-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、ペンタエリスリトールエトキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート/エトキシレート、グリセロールエトキシレート、グリセロールプロポキシレート、トリメチロールプロパンエトキシレート、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、クラウンエーテル、18-クラウン-6、15-クラウン-5、12-クラウン-4およびそれらの組み合わせから選択され、そしてコーティング層中の治療剤対コーティング層中の1以上の水溶性添加物の総重量の重量比は約0.05~20である)、コーティング層が標的部位で副鼻腔狭窄の壁に接触し、かつ、バルーンが膨張バルーン直径を達成するまでバルーンを膨張させ、膨張時間後バルーンを収縮させ(ここで、膨張時間は0.1分~10である)、バルーンカテーテルを副鼻腔狭窄から引き抜くことを含む。
【0160】
添加物
種々の実施態様において、添加物は、2つの部分を有し得る。一方の部分は親水性であり、他の部分は薬物親和性部分である。薬物親和性部分は、疎水性部分および/または水素結合および/またはファンデルワールス相互作用により治療剤に親和性を有する。添加物の薬物親和性部分は、ラパマイシンまたはパクリタキセルなどの親油性薬物を結合し得る。親水性部分は拡散を加速させ、薬物の組織への浸透を増加させる。それは、疎水性薬物分子が互いにおよびデバイスに凝集することを防止し、間質性間隙における薬物溶解度を増加しおよび/または薬物が極性末端基により標的組織の細胞膜の脂質二層まで管腔を移動することを加速させることにより、標的部位での留置中、薬物が医療デバイスを離れて移動することを促進し得る。本発明の実施態様の添加物は、一体となって、標的部位でのデバイス留置前にデバイス表面からの薬物の早期放出を阻止しながら、留置中のデバイス表面からの薬物の迅速な放出および標的組織による取り込みを促進する(薬物が、薬物が高親和性を有する組織との接触するのを加速することにより)ように機能する2つの部分を有する。
【0161】
本発明の実施態様において、治療剤は、医療デバイスが組織と接触した後迅速に放出され、容易に吸収される。例えば、本発明のデバイスのある実施態様は、非血管バルーン拡張中に、高薬物濃度での、簡単な直接的圧迫接触により、親油性抗増殖性医薬(例えばパクリタキセルまたはラパマイシン)などの治療剤を非血管組織に送達する、薬物被覆バルーンカテーテルを含む。親油性薬物は、例えば、送達部位での標的組織に維持され、そこで、上皮化をなお可能としながら、過形成および再狭窄を阻止する。これらの実施態様において、本発明のコーティング製剤は、留置中のバルーン表面からの薬物の迅速な放出と標的組織への薬物の移動を促進するだけでなく、薬物が複雑な体内構造を通る輸送を経て標的部位到達し、薬物コーティングが体腔の表面と直接接触するまで圧入される前に、薬物がデバイスから拡散し去ることおよびバルーン膨張の初期相においてデバイスが破裂することを阻止する。
【0162】
ある実施態様における添加物は、薬物親和性部分および親水性部分を有する。薬物親和性部分は、疎水性部分であり、水素結合および/またはファンデルワールス相互作用により治療剤に親和性を有する。薬物親和性部分は、ベンゼン、トルエンおよびアルカンなどの、脂肪族および芳香族有機炭化水素化合物を含み得る。これらの部分は水溶性ではない。それらは構造類似性を共有する疎水性薬物および細胞膜の脂質の両方に結合し得る。薬物親和性部分は、薬物およびそれ自身と水素結合を形成できる官能基を含み得る。親水性部分は、ヒドロキシル基、アミン基、アミド基、カルボニル基、カルボン酸および無水物、エチルオキシド、エチルグリコール、ポリエチレングリコール、アスコルビン酸、アミノ酸、アミノアルコール、グルコース、スクロース、ソルビタン、グリセロール、ポリアルコール、ホスフェート、スルフェート、有機塩およびそれらの置換された分子などを含み得る。1以上のヒドロキシル基、カルボキシル基、酸基、アミド基またはアミン基は、例えば、極性末端基部分および細胞膜の表面タンパク質に水素結合した水分子を容易に置き換え、疎水性薬物と細胞膜脂質の間のこの障壁の除去に機能し得るため、有利であり得る。これらの部分は、水および極性溶媒に溶解し得る。本発明の添加物は、薬物に結合し、かつ留置中および標的組織への医療デバイスからのその迅速な移動の放出の両方のための成分を有する。
【0163】
本発明の添加物は、界面活性剤およびヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル部分の1以上を有する化合物であり得る。界面活性剤は、イオン性、非イオン性、脂肪族および芳香族界面活性剤を含む。ヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル部分の1以上を有する化合物は、アミノアルコール、ヒドロキシルカルボン酸および無水物、エチルオキシド、エチルグリコール、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、糖、グルコース、スクロース、ソルビタン、グリセロール、ポリアルコール、ホスフェート、スルフェート、有機酸、エステル、塩、ビタミンおよびそれらの置換された分子から選択される。
【0164】
当分野で周知のとおり、用語“親水性”および“疎水性”は、相対的用語である。本発明の実施態様例で添加物として機能するために、化合物は極性または荷電親水性部分ならびに非極性疎水性(親油性)部分を含む。
【0165】
医薬化合物の相対的親水性および疎水性を特徴付けるための医薬品化学で一般に使用される経験的パラメータは、2つの非混和性溶媒、通常オクタノールおよび水の混合物の2相における非イオン化化合物の濃度比である分配係数P、例えば、P=([溶質]オクタノール/[溶質]水)である。高いlogPを有する化合物はより疎水性であり、低いlogPを有する化合物はより親水性である。リピンスキーの法則は、logP<5を有する医薬化合物は、より膜透過性であり得ることを示す。ある本発明の実施態様の目的のために、例えば、添加物は、製剤する薬物のlogP(例として、パクリタキセルのlogPは7.4である)より小さいlogPを有する。薬物と添加物のlogPの差が大きいほど、薬物の相分離が促進され得る。例えば、添加物のlogPが薬物のlogPよりはるかに小さいならば、添加物は、薬物がこれ以外では密接に付着しているはずであるデバイス表面からの薬物の水性環境への放出を促進でき、それにより介入部位での短い留置中の組織への薬物送達を促進できる。本発明のある実施態様において、添加物のlogPは負である。他の実施態様において、添加物のlogPは薬物のlogPより小さい。化合物のオクタノール-水分配係数PまたはlogPは、相対的親水性および疎水性の測定に有用であるが、本発明の実施態様において使用するための適当な添加物の定義としては、おおよその目安に過ぎない。
【0166】
本発明の実施態様において使用し得る適当な添加物は、有機および無機医薬レシピエント、天然物およびその誘導体(例えば糖、ビタミン、アミノ酸、ペプチド、タンパク質および脂肪酸)、低分子量オリゴマー、界面活性剤(アニオン性、カチオン性、非イオン性およびイオン性)およびそれらの混合物を含むが、これらに限定されない。本発明に有用であるとしてここに記載する添加物は例示目的でのみ提供しており、包括的であることを意図しない。多くの他の添加物が、本発明の目的に有用であり得る。
【0167】
界面活性剤
界面活性剤は、医薬組成物における使用に適する、あらゆる界面活性剤であり得る。このような界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、両性または非イオン性であり得る。界面活性剤の混合物も、界面活性剤および他の添加物の組み合わせと同様、本発明の種々の実施態様の範囲内である。界面活性剤は、しばしば、細胞膜の脂質二層に直接挿入し、脂質構造の部分を形成し得る脂肪酸などの1以上の長脂肪族鎖を有するが、界面活性剤の他の成分は脂質構造を緩め、薬物浸透および吸収を促進する。造影剤イオプロミドはこれらの性質を有しない。
【0168】
界面活性剤の相対的親水性および疎水性の特徴付けに一般的に使用される経験的パラメータは、親水性-親油性バランス(“HLB”値)である。低HLB値を有する界面活性剤はより疎水性であり、油に大きな溶解度を有し、一方高HLB値を有する界面活性剤はより親水性であり、水溶液に大きな溶解度を有する。おおよその目安としてHLB値を使用して、親水性界面活性剤は、一般に約10より大きいHLB値を有する化合物であり、アニオン性、カチオン性または両性化合物にはHLBスケールが一般に適用不可能であると考えられる。同様に、疎水性界面活性剤は、約10未満のHLB値を有する化合物である。本発明のある実施態様において、親水性増加がデバイスの表面からの疎水性薬物放出を促進し得るため、高HLB値が利用される。ある実施態様において、界面活性剤添加物のHLBは10より高い。添加物HLBは14より高くてよい。あるいは、低HLBを有する界面活性剤を、例えば、超親水性添加物を有する薬物層を覆う最上コートにおける、標的部位へのデバイス留置前の薬物喪失の防止に使用し得る。
【0169】
界面活性剤のHLB値は、一般に、例えば、工業用、医薬品および化粧品エマルジョンの製剤を可能にするために使用されるおおよその目安に過ぎない。数種のポリエトキシル化界面活性剤を含む多くの重要な界面活性剤について、HLB値は、HLB値の決定のために選択した実験方法により、約8HLB単位ほど大きく異なり得ることが報告されている(Schott, J. Pharm. Sciences, 79(1), 87-88 (1990))。これらの困難さに留意し、HLB値を目安として使用して、界面活性剤は、ここに記載するとおり、本発明の実施態様において使用するために適当な親水性または疎水性を有すると同定され得る。
【0170】
PEG-脂肪酸およびPEG-脂肪酸モノおよびジエステル
ポリエチレングリコール(PEG)自体は界面活性剤として機能しないが、多様なPEG-脂肪酸エステルは有用な界面活性剤性質を有する。PEG-脂肪酸モノエステルの中で、ラウリン酸、オレイン酸およびステアリン酸のエステルが本発明の実施態様において最も有用である。親水性界面活性剤の例は、PEG-8ラウレート、PEG-8オレアート、PEG-8ステアレート、PEG-9オレアート、PEG-10ラウレート、PEG-10オレアート、PEG-12ラウレート、PEG-12オレアート、PEG-15オレアート、PEG-20ラウレートおよびPEG-20オレアートを含む。HLB値は4~20の範囲である。
【0171】
ポリエチレングリコール脂肪酸ジエステルも、本発明の実施態様の組成物において界面活性剤として使用するのに適する。親水性界面活性剤は、PEG-20ジラウレート、PEG-20ジオレアート、PEG-20ジステアレート、PEG-32ジラウレートおよびPEG-32ジオレアートを含む。HLB値は5~15の範囲である。
【0172】
一般に、2以上の市販界面活性剤の混合物およびに界面活性剤と他の1以上の添加物の混合物を含む界面活性剤の混合物も、本発明の実施態様において有用である。数種のPEG-脂肪酸エステルが、モノおよびジエステルの混合物として市販されている。
【0173】
ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル
親水性界面活性剤は、PEG-20グリセリルラウレート、PEG-30グリセリルラウレート、PEG-40グリセリルラウレート、PEG-20グリセリルオレアートおよびPEG-30グリセリルオレアートを含み得る。
【0174】
アルコール-油エステル転移反応産物
疎水性または親水性の程度が様々な多くの界面活性剤を、アルコールまたはポリアルコールと多様な天然および/または水素化油の反応により製造できる。最も一般的に、使用される油はヒマシ油または水素化ヒマシ油またはトウモロコシ油、オリーブ油、ピーナツ油、パーム核油、杏仁油またはアーモンド油などの可食植物油である。アルコールはグリセロール、プロピレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトールおよびペンタエリスリトールを含む。これらのアルコール-油エステル転移界面活性剤中、親水性界面活性剤はPEG-35ヒマシ油(Incrocas-35)、PEG-40水素化ヒマシ油(Cremophor RH 40)、PEG-25トリオレアート(TAGATTM TO)、PEG-60コーングリセリド(CrovoI M70)、PEG-60アーモンド油(Crovol A70)、PEG-40パーム核油(Crovol PK70)、PEG-50ヒマシ油(Emalex C-50)、PEG-50水素化ヒマシ油(Emalex HC-50)、PEG-8カプリル/カプリン酸グリセライド(Labrasol)およびPEG-6カプリル/カプリン酸グリセライド(Softigen 767)である。例えば、この群の疎水性界面活性剤は、PEG-5水素化ヒマシ油、PEG-7水素化ヒマシ油、PEG-9水素化ヒマシ油、PEG-6トウモロコシ油(LabrafilTM M 2125 CS)、PEG-6アーモンド油(LabrafilTM M 1966 CS)、PEG-6杏仁油(LabrafilTM M 1944 CS)、PEG-6オリーブ油(LabrafilTM M 1980 CS)、PEG-6ピーナツ油(LabrafilTM M 1969 CS)、PEG-6水素化パーム核油(LabrafilTM M 2130 BS)、PEG-6パーム核油(LabrafilTM M 2130 CS)、PEG-6トリオレイン(LabrafilTMb M 2735 CS)、PEG-8トウモロコシ油(LabrafilTM WL 2609 BS)、PEG-20コーングリセリド(Crovol M40)およびPEG-20アーモンドグリセリド(Crovol A40)を含む。
【0175】
ポリグリセリン脂肪酸
脂肪酸のポリグリセロールエステルも、本発明の実施態様における使用に適する界面活性剤である。ポリグリセリン脂肪酸エステルの中で、疎水性界面活性剤は、ポリグリセリンオレアート(Plurol Oleique)、ポリグリセリン-2ジオレアート(Nikkol DGDO)、ポリグリセリン-10トリオレアート、ポリグリセリンステアレート、ポリグリセリンラウレート、ポリグリセリンミリステート、ポリグリセリンパルミテートおよびポリグリセリンリノレアートを含む。親水性界面活性剤は、ポリグリセリン-10ラウレート(Nikkol Decaglyn 1-L)、ポリグリセリン-10オレアート(Nikkol Decaglyn 1-O)およびポリグリセリン-10モノ、ジオレアート(CaproITM PEG 860)、ポリグリセリン-10ステアレート、ポリグリセリン-10ラウレート、ポリグリセリン-10ミリステート、ポリグリセリン-10パルミテート、ポリグリセリン-10リノレアート、ポリグリセリン-6ステアレート、ポリグリセリン-6ラウレート、ポリグリセリン-6ミリステート、ポリグリセリン-6パルミテートおよびポリグリセリン-6リノレアートを含む。ポリグリセリンポリリシンオレアート(Polymuls)も界面活性剤である。
【0176】
プロピレングリコール脂肪酸エステル
プロピレングリコールおよび脂肪酸のエステルは、本発明の実施態様における使用に適する界面活性剤である。この界面活性剤群において、疎水性界面活性剤は、プロピレングリコールモノラウレート(Lauroglycol FCC)、プロピレングリコールリシンオレアート(Propymuls)、プロピレングリコールモノオレアート(Myverol P-06)、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート(CaptexTM 200)およびプロピレングリコールジオクタノエート(CaptexTM 800)を含む。
【0177】
ステロールおよびステロール誘導体
ステロールおよびステロール誘導体は、本発明の実施態様における使用に適する界面活性剤である。誘導体はポリエチレングリコール誘導体を含む。この群の界面活性剤はPEG-24コレステロールエーテル(Solulan C-24)である。
【0178】
ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル
多様なPEG-ソルビタン脂肪酸エステルが利用可能であり、本発明の実施態様において界面活性剤として使用するのに適当である。PEG-ソルビタン脂肪酸エステルの中で、界面活性剤はPEG-20ソルビタンモノラウレート(Tween-20)、PEG-20ソルビタンモノパルミテート(Tween-40)、PEG-20ソルビタンモノステアレート(Tween-60)、PEG-20ソルビタンモノオレアート(Tween-80)を含む。ある実施態様において、オレアートエステルと比較して短い脂質鎖を有し、薬物吸収を増加させるため、ラウレートエステルが使用される。
【0179】
ポリエチレングリコールアルキルエーテル
ポリエチレングリコールおよびアルキルアルコールのエーテルは、本発明の実施態様における使用に適する界面活性剤である。エーテルは、PEG-3オレイルエーテル(Volpo 3)およびPEG-4ラウリルエーテル(Brij 30)を含む。
【0180】
糖およびその誘導体
糖誘導体は、本発明の実施態様における使用に適する界面活性剤である。この群の界面活性剤は、スクロースモノパルミテート、スクロースモノラウレート、デカノイル-N-メチルグルカミド、n-デシル-β-D-グルコピラノシド、n-デシル-β-D-マルトピラノシド、n-ドデシル-β-D-グルコピラノシド、n-ドデシル-β-D-マルトシド、ヘプタノニル-N-メチルグルカミド、n-ヘプチル-β-D-グルコピラノシド、n-ヘプチル-β-D-チオグルコシド、n-ヘキシル-β-D-グルコピラノシド、ノナノイル-N-メチルグルカミド、n-ノニル-β-D-グルコピラノシド、オクタノイル-N-メチルグルカミド、n-オクチル-β-D-グルコピラノシドおよびオクチル-β-D-チオグルコピラノシドを含む。
【0181】
ポリエチレングリコールアルキルフェノール
PEG-10~100ノニルフェノールおよびPEG-15~100オクチルフェノールエーテル、チロキサポール、オクトキシノール、オクトキシノール-9、ノノキシノールなどの数種のPEG-アルキルフェノール界面活性剤が利用可能であり、本発明の実施態様における使用に適する。
【0182】
ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン(POE-POP)ブロックコポリマー
POE-POPブロックコポリマーは、ポリマー界面活性剤の独特な群である。十分に定義された比および位置の親水性POEおよび疎水性POP部分を有する界面活性剤の独特な構造は、本発明の実施態様における使用に適する広範な界面活性剤を提供する。これらの界面活性剤は種々の商品名の下に入手可能であり、Synperonic PEシリーズ(ICI);PluronicTMシリーズ(BASF)、Emkalyx、Lutrol(BASF)、Supronic、Monolan、PluracareおよびPlurodacを含む。これらのポリマーについての一般的用語は“ポロクサマー”(CAS 9003-11-6)である。これらのポリマーは、式:HO(CO)(CO)(CO)H(式中、“a”および“b”は、それぞれポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレン単位の数をいう)を有する。
【0183】
この群の親水性界面活性剤は、ポロクサマー108、188、217、238、288、338および407を含む。この群の疎水性界面活性剤は、ポロクサマー124、182、183、212、331および335を含む。
【0184】
ソルビタン脂肪酸エステル
脂肪酸のソルビタンエステルは、本発明の実施態様における使用に適する界面活性剤である。これらのエステルの中で、疎水性界面活性剤は、ソルビタンモノラウレート(Arlacel 20)、ソルビタンモノパルミテート(Span-40)およびソルビタンモノオレアート(Span-80)、ソルビタンモノステアレートを含む。
【0185】
ビタミンCの両親媒性誘導体であるソルビタンモノパルミテート(ビタミンC活性を有する)は、可溶化系で2つの重要な機能を果たし得る。第一に、微小環境を調節できる有効な極性基を有する。これらの極性基は、ビタミンC自体(アスコルビン酸)を、入手可能な最も水溶性の有機固体化合物とするのと同じ基であり、アスコルビン酸は水に約30wt/wt%で可溶性である(例えば、塩化ナトリウムの溶解度に極めて近い)。第二に、pHが上昇したとき、アスコルビルパルミテートの画分を、ナトリウムアスコルビルパルミテートなどのより可溶性の塩に変換する。
【0186】
イオン性界面活性剤
カチオン性、アニオン性および両性界面活性剤を含むイオン性界面活性剤は、本発明の実施態様における使用に適する親水性界面活性剤である。イオン性界面活性剤は、四級アンモニウム塩、脂肪酸塩および胆汁塩を含む。具体的に、イオン性界面活性剤は、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼト二ウム、塩化セチルピリジニウム、ドセチルトリメチルアンモニウムブロマイド、ナトリウムドセチルスルフェート、ジアルキルメチルベンジルアンモニウムクロライド、塩化エドロホニウム、臭化ドミフェン、ナトリウムスルホンコハク酸のジアルキルエステル、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、コール酸ナトリウムおよびタウロコール酸ナトリウムを含む。それらは、有機溶媒(例えばエタノール、アセトンおよびトルエン)および水の両方に溶解する。調製およびコーティング過程を単純化し、良好な接着剤性質を有するため、これは、医療デバイスコーティングに特に有用である。水不溶性薬物は、一般に有機溶媒に溶解する。
【0187】
ここに記載する界面活性剤のいくつかは、加熱下で極めて安定である。それらは、エチレンオキシド滅菌過程で残る。それらは、滅菌過程下、パクリタキセルまたはラパマイシンなどの薬物と反応しない。ヒドロキシル基、エステル基、アミド基が、薬物と反応する可能性が低く、アミン基および酸基が滅菌中パクリタキセルまたはラパマイシンと反応するため、利用される。さらに、界面活性剤添加は、粒子が取扱中に落ちないように、コーティング層の完全性および品質を改善する。ここに記載する界面活性剤をパクリタキセルと製剤するとき、実験的に標的部位での0.2~10分の極めて短い留置時間中のパクリタキセルの迅速な放出および溶出を促進しながら、デバイス送達過程中の薬物の早期放出を保護する。標的部位での組織による薬物吸収は、実験的に予想外に高い。
【0188】
ヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル部分の1以上を有する化合物
ヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル部分の1以上を有する化合物は、クレアチン、クレアチニン、アグマチン、シトルリン、グアニジン、スクラロース、アスパルテーム、ヒポキサンチン、テオブロミン、テオフィリン、アデニン、ウラシル、ウリジン、グアニン、チミン、チミジン、キサンチン、キサントシン、一リン酸キサントシン、カフェイン、アラントイン、(2-ヒドロキシエチル)尿素、N,N’-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、ペンタエリスリトールエトキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート/エトキシレート、グリセロールエトキシレート、グリセロールプロポキシレート、トリメチロールプロパンエトキシレート、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、クラウンエーテル、18-クラウン-6、15-クラウン-5、12-クラウン-4、N-アセチルグルコサミン、N-オクチル-D-グルコンアミド、C6-セラミド、ジヒドロ-C6-セラミド、セレブロシド、スフィンゴミエリン、ガラクトセレブロシド、ラクトセレブロシド、N-アセチル-D-スフィンゴシン、N-ヘキサノイル-D-スフィンゴシン、N-オクトノイル-D-スフィンゴシン、N-ラウロイル-D-スフィンゴシン、N-パルミトイル-D-スフィンゴシン、N-オレオイル-D-スフィンゴシン、PEGカプリル/カプリン酸ジグリセライド、PEG8カプリル/カプリン酸グリセライド、PEGカプリレート、PEG8カプリレート(例えば、Labrasol(登録商標))、PEGカプレート、PEGカプロエート、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノカプロン酸グリセリル、モノラウリン、モノカプリン、モノカプリリン、モノミリスチン、モノパルミトレインおよびモノオレインを含む。
【0189】
ヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル部分の1以上を有する化合物は、アミノアルコール、ヒドロキシルカルボン酸、エステル、無水物、ヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、ヒドロキシルエステル、糖リン酸、糖硫酸、エチルオキシド、エチルグリコール、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、ソルビタン、グリセロール、ポリアルコール、ホスフェート、スルフェート、有機酸、エステル、塩、ビタミン、アミノアルコールと有機酸の組み合わせおよびそれらの置換された分子を含む。5,000~10,000未満の分子量を有する親水性ヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル部分の1以上を有する化合物が、ある実施態様において利用される。他の実施態様において、ヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル部分の1以上を有する添加物の分子量は、1000~5,000未満または750~1,000未満または750未満である。これらの実施態様において、添加物の分子量送達する薬物より小さくなければならない。さらに、添加物の分子量は、80未満の分子量を有する分子が極めて容易に揮発し、医療デバイスのコーティングに留まらないため、80より高くなければならない。小分子は、迅速に拡散し得る。それ自体、送達バルーンから容易に放出され、薬物の放出を加速し、薬物が体腔の組織に結合したとき、薬物から拡散して離れ得る。
【0190】
ある実施態様において、例えば、高分子量添加物の場合、4を超えるヒドロキシル基を有する添加物が利用される。大分子はゆっくり拡散する。添加物または化合物の分子量が高いならば、例えば分子量が800を超える、1000を超える、1200を超える、1500を超えるまたは2000を超えるならば、大分子は、2分以内に薬物を放出するには遅すぎるように、医療デバイスの表面を溶出し得る。これらの大分子が4を超えるヒドロキシル基を有するならば、親水性性質が増大し、これは、比較的大分子が薬物を迅速に放出するのに必要である。親水性増加は、コーティングをバルーンから溶出させることを助け、薬物の放出を加速し、水障壁および脂質二層の極性頭部を経て組織に浸透する薬物移動を促進する。ある実施態様において、ヒドロキシル基は、パクリタキセルまたはラパマイシンなどの水不溶性薬物と反応する可能性が低いため、親水性部分として利用される。ある実施態様において、4を超えるヒドロキシル基を有する化合物は120℃以下の融点を有する。ある実施態様において、4を超えるヒドロキシル基を有する化合物は、3つの隣接ヒドロキシル基を有し、これらは全てが分子の一方の面にある立体配置である。例えば、ソルビトールおよびキシリトールは、全てが分子の一方の面にある立体配置である3つの隣接ヒドロキシル基を有し、一方ガラクチトールは有しない。この差異は、融解温度などの異性体の物理的性質に影響する。3つの隣接ヒドロキシル基の立体配置は、薬物結合を増強し得る。これは、水不溶性薬物および親水性添加物の適合性の改善および薬物の組織取り込みおよび吸収の改善に至る。
【0191】
ここに記載する1以上のヒドロキシル、アミン、カルボニル、カルボキシルまたはエステル部分を有する化合物のいくつかは、加熱下で極めて安定である。それらはエチレンオキシド滅菌過程で残り、滅菌中水不溶性薬物パクリタキセルまたはラパマイシンと反応しない。他方で、L-アスコルビン酸およびその塩およびジエタノールアミンはこのような滅菌過程で必ずしも残らず、パクリタキセルと反応する。それ故にL-アスコルビン酸およびジエタノールアミンのために異なる滅菌方法が利用される。例えば、ヒドロキシル基、エステル基およびアミド基は、パクリタキセルまたはラパマイシンなどの治療剤と反応する可能性が低いため、利用される。時折、アミン基および酸基はパクリタキセルと反応し、例えば、実験的に、安息香酸、ゲンチジン酸、ジエタノールアミンおよびアスコルビン酸は、エチレンオキシド滅菌、加熱およびエージング過程下で安定ではなく、パクリタキセルと反応する。ここに記載する化合物がパクリタキセルと製剤されるとき、トップコート層は、時折親水性小分子は、薬物をあまりにも簡単に放出するため、標的部位への留置前にデバイス送達過程中の早期薬物喪失から保護するのに有利であり得る。ここに記載する化合物は、標的部位で留置中バルーンから迅速に薬物を放出する。驚くことに、デバイスを標的部位に輸送中、薬物が一部喪失しても、コーティングがこれらの添加物を含むとき、例えば、リボ酸ラクトンおよびグルコノラクトンなどの添加物ヒドロキシルラクトンで、組織による実験的に薬物吸収は、わずか0.2~10分の留置で予想外に高い。
【0192】
脂肪可溶性ビタミンおよびその塩
ビタミンA、D、EおよびKは、種々の形態およびプロビタミン形態のほとんどで脂肪可溶性ビタミンと考えられ、これらに加えて、数種の他のビタミンおよびビタミン源または密接な関係物も脂肪可溶性であり、極性基および比較的高いオクタノール-水分配係数を有する。明らかに、化合物このような化合物の一般的群は、安全使用および高ベネフィット対リスク比の歴史を有し、本発明の実施態様における添加物として有用となる。
【0193】
次の脂肪可溶性ビタミン誘導体および/または源の例も添加物として有用である:アルファ-トコフェロール、ベータ-トコフェロール、ガンマ-トコフェロール、デルタ-トコフェロール、トコフェロールアセテート、エルゴステロール、1-アルファ-ヒドロキシコレカルシフェロール、ビタミンD2、ビタミンD3、アルファ-カロテン、ベータ-カロテン、ガンマ-カロテン、ビタミンA、フルスルチアミン、メチロールリボフラビン、オクトチアミン、プロスルチアミン、リボフラビン、ビンチアモール、ジヒドロビタミンK1、メナジオールジアセテート、メナジオールジブチレート、メナジオールジスルフェート、メナジオール、ビタミンK1、ビタミンK1オキシド、ビタミンK2およびビタミンK--S(II)。葉酸もこのタイプであり、生理学的pHで水溶性であるが、遊離酸形態で製剤され得る。本発明の実施態様において有用な脂肪可溶性ビタミンの他の誘導体は、親水性分子との周知化学反応により容易に得られ得る。
【0194】
水溶性ビタミンおよびそれらの両親媒性誘導体
ビタミンB、C、U、パントテン酸、葉酸およびメナジオン関連ビタミン/プロビタミンのいくつかは、それらの種々の形態の大部分で、水溶性ビタミンと考えられる。これらはまた、疎水性部分または多価イオンとコンジュゲートまたは複合体化させ、比較的高いオクタノール-水分配係数および極性基を有する両親媒性形態にし得る。同様に、このような化合物は低毒性および高ベネフィット対リスク比のものであり得て、本発明の実施態様における添加物として有用となる。これらの塩も本発明における添加物として有用であり得る。水溶性ビタミンおよび誘導体の例は、アセチアミン、ベンフォチアミン、パントテン酸、セトチアミン、シクロチアミン、デクスパンテノール、ナイアシンアミド、ニコチン酸、ピリドキサール5-ホスフェート、ニコチンアミドアスコルベート、リボフラビン、リン酸リボフラビン、チアミン、葉酸、二リン酸メナジオール、メナジオン重亜硫酸ナトリウム、メナドキシム、ビタミンB12、ビタミンK5、ビタミンK6、ビタミンK6およびビタミンUを含むが、これらに限定されない。また、上記のとおり、葉酸は、生理学的pHを含む広いpH範囲にわたり、塩として水溶性である。
【0195】
アミノまたは他の塩基性基が存在する化合物は、脂肪酸(特にラウリン酸、オレイン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸または2-エチルヘキサン酸)、低溶解度アミノ酸、安息香酸、サリチル酸または酸性脂肪可溶性ビタミン(例えばリボフラビン)などの疎水性基含有酸との単純酸-塩基反応により容易に修飾され得る。他の化合物は、このような酸と、ヒドロキシル基などのビタミンの他の基を反応させて、エステル結合などのような結合を形成させることにより、得られる。酸性基を有する水溶性ビタミンの誘導体は、ステアリルアミンまたはリボフラビンなどの疎水性基含有反応体と反応させて、例えば、本発明の実施態様において有用である化合物を産生し得る。パルミテート鎖のビタミンCへの結合は、アスコルビルパルミテートを生じる。
【0196】
アミノ酸およびそれらの塩
アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、プロリン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリンおよびその誘導体は、本発明の実施態様において有用な他の添加物である。
【0197】
あるアミノ酸は、両性イオン形態および/または単価または多価イオンとの塩形態で、極性基、比較的高いオクタノール-水分配係数を有し、本発明の実施態様において有用である。本明細書の記載において、我々は、“低溶解度アミノ酸”を、非緩衝化水に約4%(40mg/ml)未満の溶解度を有するアミノ酸を意味すると解釈する。これらは、システイン、チロシン、トリプトファン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸およびメチオニンを含む。
【0198】
アミノ酸二量体、糖コンジュゲートおよび他の誘導体も有用である。当分野で周知の簡単な反応により、親水性分子を疎水性アミノ酸にまたは疎水性分子を親水性アミノ酸に結合させて、本発明の実施態様において有用なさらなる添加物を製図し得る。
【0199】
ドーパミン、レボドパ、カルビドパおよびDOPAなどのカテコラミンも、添加物として有用である。
【0200】
オリゴペプチド、ペプチドおよびタンパク質
オリゴペプチドおよびペプチドは、疎水性および親水性アミノ酸が容易に結合でき、種々の配列のアミノ酸が試験で薬物による組織の浸透を最大に促進し得るため、添加物として有用である。
【0201】
タンパク質も、本発明の実施態様における添加物として有用である。血清アルブミンは、例えば、水溶性であり、薬物に結合する顕著な疎水性部分を含むため、有用な添加物であり、パクリタキセルは、ヒト静脈内点滴後、主に(97%)アルブミンに89%~98%タンパク質結合であり、ラパマイシンは、92%タンパク質結合である。さらに、PBS中のパクリタキセル溶解度は、BSA添加で20倍を超えて増加する。アルブミンは血清に高濃度で天然に存在し、故に、ヒト使用に極めて安全である。
【0202】
他の有用なタンパク質は、他のアルブミン、免疫グロブリン、カゼイン、ヘモグロビン、リゾチーム、イムノグロビン、a-2-マクログロブリン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、フィブリノゲン、リパーゼなどを含むが、これらに限定されない。
【0203】
有機酸およびそれらのエステルおよび無水物
例は、酢酸および無水物、安息香酸および無水物、ジエチレントリアミン五酢酸二無水物、エチレンジアミン四酢酸二無水物、マレイン酸および無水物、コハク酸および無水物、ジグリコール酸無水物、グルタル酸無水物、アスコルビン酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、シュウ酸アスパラギン酸、ニコチン酸、2-ピロリドン-5-カルボン酸および2-ピロリドンを含む。
【0204】
これらのエステルおよび無水物は、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチルなどの有機溶媒に可溶性である。水不溶性薬物を、これらのエステルおよび無水物を用いて有機溶媒に溶解し、次いで医療デバイスを容易に被覆し、次いで高pH条件下で加水分解する。加水分解した無水物またはエステルは酸またはアルコールであり、これらは水溶性であり、薬物をデバイスから体腔の壁に効率的に運搬し得る。
【0205】
の1以上のヒドロキシル、アミン、カルボニル、カルボキシルまたはエステル部分を有する化合物
ある実施態様における添加物は、環状および直鎖脂肪族および芳香族基両方のアミノアルコール、アルコール、アミン、酸、アミドおよびヒドロキシル酸を含む。例は、L-アスコルビン酸およびその塩、D-グルコアスコルビン酸およびその塩、トロメタミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、メグルミン、グルカミン、アミンアルコール、グルコヘプトン酸、グルコン酸、ヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、グルコノラクトン、グルコヘプトノラクトン、グルコオクタン酸ラクトン、グロン酸ラクトン、マンノン酸ラクトン、リボ酸ラクトン、ラクトビオン酸、グルコサミン、グルタミン酸、ベンジルアルコール、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、4-ヒドロキシ安息香酸プロピル、リシン酢酸塩、ゲンチジン酸、ラクトビオン酸、ラクチトール、ソルビトール、グルシトール、糖リン酸、リン酸グルコピラノース、糖硫酸、シナピン酸、バニリン酸、バニリン酸ジエチルアミド、バニリン、メチルパラベン、プロピルパラベン、キシリトール、2-エトキシエタノール、糖、ガラクトース、グルコース、リボース、マンノース、キシロース、スクロース、ラクトース、マルトース、アラビノース、リキソース、フルクトース、シクロデキストリン、(2-ヒドロキシプロピル)-シクロデキストリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、レチノイン酸、酢酸リシン、ゲンチジン酸、カテキン、没食子酸カテキン、チレタミン、ケタミン、プロポフォール、乳酸、酢酸、ここに記載する有機酸およびアミンの何れかの塩、ポリグリシドール、グリセロール、マルチグリセロール(例えば、複数ヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシルまたはエステル部分を有する化合物)、ガラクチトール、ジ(エチレングリコール)、トリ(エチレングリコール)、テトラ(エチレングリコール)、ペンタ(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)オリゴマー、ジ(プロピレングリコール)、トリ(プロピレングリコール)、テトラ(プロピレングリコールおよびペンタ(プロピレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)オリゴマー、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロックコポリマーおよび誘導体およびそれらの組み合わせである。
【0206】
添加物の組み合わせも本発明の目的で有用であり得る。ある実施態様は、2つの添加物、例えば、界面活性剤を含む第一添加物および1以上のヒドロキシル、アミン、カルボニル、カルボキシルまたはエステル部分を有する化合物を含む第二添加物の組み合わせまたは混合物を含む。
【0207】
界面活性剤および小水溶性分子(1以上のヒドロキシル、アミン、カルボニル、カルボキシルまたはエステル部分を有する化合物)の組み合わせまたは混合物は利点を有する。2つの添加物と水不溶性薬物の混合物を含む製剤は、ある場合、何れかの添加物単独を含む混合物より優れる。疎水性薬物は、極度に水溶性の小分子に、界面活性剤より結合が乏しい。それらは、小水溶性分子から分離した相であり、これは、最適以下のコーティング均一性および完全性に至り得る。水不溶性薬物は、界面活性剤および小水溶性分子の両方より高いlogPを有する。しかしながら、界面活性剤のlogPは、一般に1以上のヒドロキシル、アミン、カルボニル、カルボキシルまたはエステル部分を有する化合物のlogPより高い。界面活性剤は比較的高いlogP(通常0を超える)を有し、水溶性分子は低logP(例えば、0未満)を有する。いくつかの界面活性剤は、本発明の実施態様における添加物として使用するとき、水不溶性薬物および医療デバイスの表面に、薬物が標的部位で医療デバイスの表面から迅速に放出できないほど強く接着する。他方で、水溶性小分子(1以上のヒドロキシル、アミン、カルボニル、カルボキシルまたはエステル部分を有する)のいくつかは、標的部位到達前、例えば、被覆バルーンカテーテルの介入標的部位への輸送中、血清で薬物を放出するほど、医療デバイスへの接着が悪い。驚くことに、製剤中の小親水性分子および界面活性剤の濃度比を調節することにより、本発明者らは、輸送中のコーティング安定性と、膨張し、治療介入標的部位の管腔壁の組織に押しつけられたときの迅速な薬物放出が、ある場合、何れかの添加物単独を含む製剤より優れていることを発見した。さらに、界面活性剤の存在は、水不溶性薬物と高度に水溶性の分子の混和性および適合性を改善する。界面活性剤はまた薬物および小分子への良好な接着により、コーティング均一性および完全性を改善する。界面活性剤の長鎖疎水性部分は薬物に密接に結合し、界面活性剤の親水性部分は水溶性小分子に結合する。
【0208】
混合物または組み合わせにおける界面活性剤は、本発明の実施態様における使用について、ここに記載する界面活性剤全てを含む。混合物中の界面活性剤は、PEGソルビタン脂肪エステル;PEGオメガ-3脂肪エステル、エーテルおよびアルコール;グリセロール脂肪エステル、ソルビタン脂肪エステル、PEGグリセリル脂肪エステル、PEG脂肪エステルおよびアルコール、糖脂肪エステル、PEG糖エステル、Tween 20、Tween 40、Tween 60、p-イソノニルフェノキシポリグリシドール、PEGラウレート、PEGオレアート、PEGステアレート、PEGグリセリルラウレート、PEGグリセリルオレアート、PEGグリセリルステアレート、ポリグリセリンラウレート、ポリグリセリルオレアート、ポリグリセリンミリステート、ポリグリセリンパルミテート、ポリグリセリン-6ラウレート、ポリグリセリル-6オレアート、ポリグリセリン-6ミリステート、ポリグリセリン-6パルミテート、ポリグリセリン-10ラウレート、ポリグリセリル-10オレアート、ポリグリセリン-10ミリステート、ポリグリセリン-10パルミテート、PEGソルビタンモノラウレート、PEGソルビタンモノラウレート、PEGソルビタンモノオレアート、PEGソルビタンステアレート、PEGオレイルエーテル、PEGラウリルエーテル、Tween 20、Tween 40、Tween 60、Tween 80、オクトキシノール、オクトキシノール-9、ノノキシノール、チロキサポール、スクロースモノパルミテート、スクロースモノラウレート、デカノイル-N-メチルグルカミド、n-デシル-β-D-グルコピラノシド、n-デシル-β-D-マルトピラノシド、n-ドデシル-β-D-グルコピラノシド、n-ドデシル-β-D-マルトシド、ヘプタノニル-N-メチルグルカミド、n-ヘプチル-β-D-グルコピラノシド、n-ヘプチル-β-D-チオグルコシド、n-ヘキシル-β-D-グルコピラノシド、ノナノイル-N-メチルグルカミド、n-ノニル-β-D-グルコピラノシド、オクタノイル-N-メチルグルカミド、n-オクチル-β-D-グルコピラノシド、オクチル-β-D-チオグルコピラノシドおよびそれらの誘導体から選択され得る。
【0209】
混合物または組み合わせ中の1以上のヒドロキシル、アミン、カルボニル、カルボキシルまたはエステル部分を有する化合物の実施態様は、本発明の実施態様における使用について、ここに記載するあらゆる1以上のヒドロキシル、アミン、カルボニル、カルボキシルまたはエステル部分を有する化合物を含み得る。種々の実施態様において、混合物中の1以上のヒドロキシル、アミン、カルボニル、カルボキシルまたはエステル部分を有する化合物は、少なくとも1つのヒドロキシル基を有する。ある実施態様において、例えば高分子量添加物の場合、4を超えるヒドロキシル基を有する添加物が利用される。ある実施態様において、4を超えるヒドロキシル基を有する化合物は120℃以下の融点を有する。大分子はゆっくり拡散する。添加物または化合物の分子量が高いならば、例えば分子量が800を超える、1000を超える、1200を超える、1500を超えるまたは2000を超えるならば、大分子は、2分以内に薬物を放出するには遅すぎるように、医療デバイスの表面を溶出し得る。これらの大分子が4を超えるヒドロキシル基を有するならば、親水性性質が増大し、これは、比較的大分子が薬物を迅速に放出するのに必要である。親水性増加は、コーティングをバルーンから溶出させることを助け、薬物の放出を加速し、水障壁および脂質二層の極性頭部を経て組織に浸透する薬物移動を促進する。ある実施態様において、ヒドロキシル基は、パクリタキセルまたはラパマイシンなどの水不溶性薬物と反応する可能性が低いため、親水性部分として利用される。
【0210】
混合物中の1以上のヒドロキシル、アミン、カルボニル、カルボキシルまたはエステル部分を有する化合物は、L-アスコルビン酸およびその塩、D-グルコアスコルビン酸およびその塩、トロメタミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、メグルミン、グルカミン、アミンアルコール、グルコヘプトン酸、グルコン酸、ヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、グルコノラクトン、グルコヘプトノラクトン、グルコオクタン酸ラクトン、グロン酸ラクトン、マンノン酸ラクトン、リボ酸ラクトン、ラクトビオン酸、グルコサミン、グルタミン酸、ベンジルアルコール、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、4-ヒドロキシ安息香酸プロピル、リシン酢酸塩、ゲンチジン酸、ラクトビオン酸、ラクチトール、ソルビトール、グルシトール、糖リン酸、リン酸グルコピラノース、糖硫酸、シナピン酸、バニリン酸、バニリン、メチルパラベン、プロピルパラベン、キシリトール、2-エトキシエタノール、糖、ガラクトース、グルコース、リボース、マンノース、キシロース、スクロース、ラクトース、マルトース、アラビノース、リキソース、フルクトース、シクロデキストリン、(2-ヒドロキシプロピル)-シクロデキストリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、レチノイン酸、酢酸リシン、ゲンチジン酸、カテキン、没食子酸カテキン、チレタミン、ケタミン、プロポフォール、乳酸、酢酸、ここに記載する有機酸およびアミンの何れかの塩、ポリグリシドール、グリセロール、マルチグリセロール、ガラクチトール、モノラウリン、モノカプリン、モノカプリリン、モノミリスチン、モノパルミトレイン、モノオレイン、クレアチン、クレアチニン、アグマチン、シトルリン、グアニジン、スクラロース、アスパルテーム、ヒポキサンチン、テオブロミン、テオフィリン、アデニン、ウラシル、ウリジン、グアニン、チミン、チミジン、キサンチン、キサントシン、一リン酸キサントシン、カフェイン、アラントイン、(2-ヒドロキシエチル)尿素、N,N’-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、ペンタエリスリトールエトキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート/エトキシレート、グリセロールエトキシレート、グリセロールプロポキシレート、トリメチロールプロパンエトキシレート、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、クラウンエーテル、18-クラウン-6、15-クラウン-5、12-クラウン-4、ジ(エチレングリコール)、トリ(エチレングリコール)、テトラ(エチレングリコール)、ペンタ(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)オリゴマー、ジ(プロピレングリコール)、トリ(プロピレングリコール)、テトラ(プロピレングリコールおよびペンタ(プロピレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)オリゴマー、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロックコポリマーおよび誘導体およびそれらの組み合わせから選択される。
【0211】
界面活性剤および水溶性小分子の混合物または組み合わせは、両添加物の利益を与える。水不溶性薬物はしばしば高度に水溶性の化合物と適合性が悪く、界面活性剤は適合性を改善する。界面活性剤はまたコーティング品質、均一性および完全性を改善し、粒子は取扱中にバルーンから落ちない。界面活性剤は、標的部位への輸送中の薬物喪失を減少させる。水溶性化合物は、バルーンからの薬物の放出および組織における薬物の吸収を改善する。実験的に、組み合わせは、驚くことに輸送中の薬物放出阻止および極めて短い0.2~2分留置後の組織における高薬物レベルに有効である。さらに、動物実験において、効果的に狭窄を減少させ、管腔喪失を遅延させた。
【0212】
界面活性剤および水溶性小分子の混合物または組み合わせのいくつかは、加熱下で極めて安定である。それらはエチレンオキシド滅菌過程で残り、滅菌中水不溶性薬物パクリタキセルまたはラパマイシンと反応しない。ある実施態様において、ヒドロキシル基、エステル基、アミド基は、パクリタキセルまたはラパマイシンなどの治療剤と反応する可能性が低いため、利用される。時折アミン基および酸基はパクリタキセルと反応し、エチレンオキシド滅菌、加熱およびエージング下で安定ではない。ここに記載する混合物または組み合わせをパクリタキセルと製剤するとき、トップコート層は、薬物層をデバイスの早期薬物喪失から保護するために有利であり得る。
【0213】
添加物の例は、p-イソノニルフェノキシポリグリシドール、PEGグリセリルオレアート、PEGグリセリルステアレート、ポリグリセリンラウレート、ポリグリセリルオレアート、ポリグリセリンミリステート、ポリグリセリンパルミテート、ポリグリセリン-6ラウレート、ポリグリセリル-6オレアート、ポリグリセリン-6ミリステート、ポリグリセリン-6パルミテート、ポリグリセリン-10ラウレート、ポリグリセリル-10オレアート、ポリグリセリン-10ミリステート、ポリグリセリン-10パルミテート、PEGソルビタンモノラウレート、PEGソルビタンモノラウレート、PEGソルビタンモノオレアート、PEGソルビタンステアレート、オクトキシノール、オクトキシノール-9、ノノキシノール、チロキサポール、スクロースモノパルミテート、スクロースモノラウレート、デカノイル-N-メチルグルカミド、n-デシル-β-D-グルコピラノシド、n-デシル-β-D-マルトピラノシド、n-ドデシル-β-D-グルコピラノシド、n-ドデシル-β-D-マルトシド、ヘプタノニル-N-メチルグルカミド、n-ヘプチル-β-D-グルコピラノシド、n-ヘプチル-β-D-チオグルコシド、n-ヘキシル-β-D-グルコピラノシド、ノナノイル-N-メチルグルカミド、n-ノニル-β-D-グルコピラノシド、オクタノイル-N-メチルグルカミド、n-オクチル-β-D-グルコピラノシド、オクチル-β-D-チオグルコピラノシド;システイン、チロシン、トリプトファン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸およびメチオニン(アミノ酸)、セトチアミン、シクロチアミン、デクスパンテノール、ナイアシンアミド、ニコチン酸およびその塩、ピリドキサール5-ホスフェート、ニコチンアミドアスコルベート、リボフラビン、リン酸リボフラビン、チアミン、葉酸、二リン酸メナジオール、メナジオン重亜硫酸ナトリウム、メナドキシム、ビタミンB12、ビタミンK5、ビタミンK6、ビタミンK6およびビタミンU(ビタミン類);アルブミン、免疫グロブリン、カゼイン、ヘモグロビン、リゾチーム、イムノグロビン、a-2-マクログロブリン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、フィブリノゲン、リパーゼ、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼト二ウム、ドセチルトリメチルアンモニウムブロマイド、ナトリウムドセチルスルフェート、ジアルキルメチルベンジルアンモニウムクロライドおよびナトリウムスルホンコハク酸のジアルキルエステル、L-アスコルビン酸およびその塩、D-グルコアスコルビン酸およびその塩、トロメタミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、メグルミン、グルカミン、アミンアルコール、グルコヘプトン酸、グルコン酸、ヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、グルコノラクトン、グルコヘプトノラクトン、グルコオクタン酸ラクトン、グロン酸ラクトン、マンノン酸ラクトン、リボ酸ラクトン、ラクトビオン酸、グルコサミン、グルタミン酸、ベンジルアルコール、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、4-ヒドロキシ安息香酸プロピル、リシン酢酸塩、ゲンチジン酸、ラクトビオン酸、ラクチトール、シナピン酸、バニリン酸、バニリン、メチルパラベン、プロピルパラベン、ソルビトール、キシリトール、シクロデキストリン、(2-ヒドロキシプロピル)-シクロデキストリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、レチノイン酸、酢酸リシン、ゲンチジン酸、カテキン、没食子酸カテキン、チレタミン、ケタミン、プロポフォール、乳酸、酢酸、あらゆる有機酸および有機アミンの塩、ポリグリシドール、グリセロール、マルチグリセロール、ガラクチトール、モノラウリン、モノカプリン、モノカプリリン、モノミリスチン、モノパルミトレイン、モノオレイン、クレアチン、クレアチニン、アグマチン、シトルリン、グアニジン、スクラロース、アスパルテーム、ヒポキサンチン、テオブロミン、テオフィリン、アデニン、ウラシル、ウリジン、グアニン、チミン、チミジン、キサンチン、キサントシン、一リン酸キサントシン、カフェイン、アラントイン、(2-ヒドロキシエチル)尿素、N,N’-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、ペンタエリスリトールエトキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート/エトキシレート、グリセロールエトキシレート、グリセロールプロポキシレート、トリメチロールプロパンエトキシレート、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、クラウンエーテル、18-クラウン-6、15-クラウン-5、12-クラウン-4、ジ(エチレングリコール)、トリ(エチレングリコール)、テトラ(エチレングリコール)、ペンタ(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)オリゴマー、ジ(プロピレングリコール)、トリ(プロピレングリコール)、テトラ(プロピレングリコールおよびペンタ(プロピレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)オリゴマー、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロックコポリマーおよび誘導体およびそれらの組み合わせを含む。(1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシルまたはエステル部分を有する化合物)。これらの添加物のいくつかは、水溶性かつ有機溶媒可溶性である。これらは良好な接着剤性質を有し、バルーンカテーテルなどのポリアミド医療デバイスの表面に接着する。それらは、それ故に本発明の実施態様における粘着層、最上層および/または薬物層で使用し得る。芳香族および脂肪族基は、コーティング溶液における水不溶性薬物の溶解度を上げ、アルコールおよび酸の極性基は、組織の薬物浸透を加速する。
【0214】
本発明の他の実施態様における添加物は、ヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、ヒドロキシル酸、ヒドロキシルエステルおよびヒドロキシルアミドを含む。例は、グルコノラクトン、D-グルコヘプトノ-1,4-ラクトン、グルコオクタン酸ラクトン、グロン酸ラクトン、マンノン酸ラクトン、エリトロン酸ラクトン、リボ酸ラクトン、グルクロン酸、グルコン酸、ゲンチジン酸、ラクトビオン酸、乳酸、アセトアミノフェン、バニリン酸、シナピン酸、ヒドロキシ安息香酸、メチルパラベン、プロピルパラベンおよびその誘導体を含む。
【0215】
構造の観点から、これらの添加物は構造類似性を共有し、水不溶性薬物(例えばパクリタキセルおよびラパマイシン)と適合性である。それらは、しばしば芳香族または脂肪族構造にC=C、C=N、C=Oなどの二重結合を含む。これらの添加物はまたアミン、アルコール、エステル、アミド、無水物、カルボン酸および/またはヒドロキシル基を含む。それらは、薬物と水素結合および/またはファンデルワールス相互作用を形成し得る。それらはまたコーティングにおける最上層にも有用である。1以上のヒドロキシル基、カルボキシル基またはアミン基を含む化合物は、デバイス表面からの薬物放出を促進し、極性頭部および細胞膜の表面タンパク質に隣接する水を容易に置換し、それにより疎水性薬物透過性のためにこの障壁を除き得るため、例えば、添加物として特に有用である。それらは、疎水性薬物を、バルーンから、それらが極めて高親和性を有する細胞膜および組織の脂質層への移動を加速する。それらはまた薬物のバルーンから、例えば、バルーン血管形成術またはステント膨張により損傷されている、非血管組織間質性間隙などのより水性の環境への移動を運びまたは加速もし得る。ポリグリセリン脂肪エステル、脂肪酸のアスコルビン酸エステル、糖エステル、アルコールおよび脂肪酸のエーテルなどの添加物は、標的組織膜の脂質構造に統合され得て、薬物を脂質構造に運搬する脂肪鎖を有する。アミノ酸、ビタミンおよび有機酸の一部は、構造に芳香族C=N基ならびにアミノ、ヒドロキシルおよびカルボン酸要素を有する。それらは、パクリタキセルまたはラパマイシンなどの疎水性薬物と結合または複合体化できる構造的部分を有し、疎水性薬物と細胞膜の脂質構造の間の障壁を除去することにより組織浸透を促進する構造的部分も有する。
【0216】
例えば、イソノニルフェニルポリグリシドール(Olin-10 Gおよび界面活性剤-10G)、PEGグリセリルモノオレアート、ソルビタンモノラウレート(Arlacel 20)、ソルビタンモノパルミテート(Span-40)、ソルビタンモノオレアート(Span-80)、ソルビタンモノステアレート、ポリグリセリン-10オレアート、ポリグリセリン-10ラウレート、ポリグリセリン-10パルミテートおよびポリグリセリン-10ステアレートは、全て親水性部分に4を超えるヒドロキシル基を有する。これらのヒドロキシル基は体腔の壁に対して極めて良好な親和性を有し、水素結合水分子を置き換え得る。同時に、それらは疎水性薬物と複合化でき、かつ細胞膜の脂質構造に統合され、脂質構造の部分を形成し得る脂肪酸、アルコール、エーテルおよびエステルの長鎖を有する。標的細胞の脂質膜のこの変形または弛緩は、さらに、疎水性薬物の組織への浸透を加速し得る。
【0217】
他の例として、L-アスコルビン酸、チアミン、マレイン酸、ナイアシンアミドおよび2-ピロリドン-5-カルボン酸は全て極めて高い水およびエタノール溶解度ならびに低分子量および小サイズを有する。それらはまた芳香族C=N、アミノ基、ヒドロキシル基およびカルボン酸基を含む構造的要素wも有する。これらの構造は、パクリタキセルおよびラパマイシンと極めて良好な適合性を有し、これらの水不溶性薬物の水への溶解度を増加させ、組織へのその吸収を加速し得る。しかしながら、それらはしばしば医療デバイスの表面への接着が悪い。それらは、それ故にそれらが薬物吸収の増強に有用である場所である薬物層および最上層で他の添加物と組み合わせて使用される。ビタミンD2およびD3は、特にパクリタキセルと組み合わせて使用されるとき、抗再狭窄効果を有し、血栓症を減少させるため、特に有用である。
【0218】
本発明の実施態様において、添加物は水性溶媒に可溶性であり、有機溶媒に可溶性である。色素スーダンレッドなどの十分な親水性部分を欠き、水性溶媒に不溶性である極度に疎水性化合物は、これらの実施態様において添加物として有用ではない。スーダンレッドは遺伝毒性でもある。
【0219】
ある実施態様において、医療デバイスの表面に適用される少なくとも1つの治療剤の濃度密度は、約1~20μg/mmまたは約2~6μg/mmまたは約0.5μg/mm以下または約1μg/mm、2μg/mm、3μg/mm、4μg/mm、5μg/mm、6μg/mm、7μg/mm、8μg/mm、9μg/mm、10μg/mm、12μg/mm、14μg/mm、16μg/mm、18μg/mmまたは約20μg/mm未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上である。医療デバイスがバルーンであるならば、これらの測定値は公称径で計算する。ある実施態様において、医療デバイスの表面に適用する少なくとも1つの添加物の濃度は、約0.5~20μg/mmまたは約2~6μg/mmまたは約0.5μg/mm以下または約1μg/mm、2μg/mm、3μg/mm、4μg/mm、5μg/mm、6μg/mm、7μg/mm、8μg/mm、9μg/mm、10μg/mm、12μg/mm、14μg/mm、16μg/mm、18μg/mmまたは約20μg/mm未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上であり得る。本発明の実施態様においてコーティング層中の添加物対薬物の重量比は約20~0.05、約10~0.1または約5~0.15であり得る。
【0220】
コーティング層中の治療剤と添加物の相対的量は、適用可能な環境により変わり得る。添加物の最適量は、例えば、選択した特定の治療剤および添加物、表面モディファイヤーがミセルを形成するならばその臨界ミセル濃度、界面活性剤の親水性-親油性-バランス(HLB)または添加物のオクタノール-水分配係数(P)、添加物の融点、添加物および/または治療剤の水溶解度、表面モディファイヤーの水溶液の表面張力などにより得る。
【0221】
他の考察事項は、種々の添加物の特定の割合の選択をさらに情報提供する。これらの考察事項は、添加物の生体認容性の程度および所望の提供すべき治療剤の用量を含み得る。
【0222】
治療剤
本発明の実施態様において使用し得る治療剤は、あらゆる薬物または生物学的活性物質であり得る。治療剤は、疎水性治療剤、抗増殖性治療剤、抗炎症剤またはそれらの組み合わせであり得る。薬物は、種々の物理的状態、例えば、分子分布、結晶形態またはクラスター形態であり得る。本発明の実施態様において特に有用である薬物の例は、親油性の実質的に水不溶性の薬物、例えばパクリタキセル、ラパマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ラパコン、ビタミンD2およびD3およびアナログおよびその誘導体である。これらの薬物は、脈管構造の組織の処置に使用するバルーンカテーテルのコーティングで使用するのに特に適する。治療剤、例えば、パクリタキセル、タキソール、ドセタキセル、ラパマイシン、シロリムス、タクロリムス、エベロリムス、mTOR阻害剤(すなわち、ラパマイシンの機構的標的を阻害する薬物群)またはそのアナログなどの抗増殖剤を、狭小化または狭窄処置のために体腔壁に送達し得る。
【0223】
本発明の実施態様において有用であり得る他の薬物は、グルココルチコイド(例えば、デキサメサゾン、ベタメタゾン)、ヒルジン、アンジオペプチン、アスピリン、増殖因子、アンチセンス剤、抗癌剤、抗増殖剤、オリゴヌクレオチドおよび、より一般に、抗血小板剤、抗凝固剤、有糸分裂阻害剤、抗酸化剤、代謝拮抗剤、抗走化性剤、抗炎症剤およびそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0224】
特に気道、副鼻腔および他の鼻腔だけでなく、尿道適用のために、種々の実施態様において有用であり得るいくつかの薬物は、ブデソニド、フルニソリド、トリアムシノロン、ベクロメタゾン、フルチカゾン、モメタゾン、モメタゾンフロエート、デキサメサゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、コチゾン、ベタメタゾン、トリアムシノロンアセトニドなどのコルチコステロイドである。他のいくつかの適当な薬物は、テルブタリン、アルブテロール、イプラトロピウム、ピルブテロール、エピネフリン、サルメテロール、レバルブテロール、フォルモテロールなどであり、薬物は気管支拡張剤または血管収縮剤であり得る。
【0225】
本発明の実施態様においてまた有用なのは、例えば、炎症および/または平滑筋細胞または線維芽細胞増殖を阻害する、ポリヌクレオチド、アンチセンス、RNAiまたはsiRNAである。
【0226】
抗血小板剤は、アスピリンおよびジピリダモールなどの薬物を含み得る。アスピリンは、鎮痛、解熱、抗炎症および抗血小板薬物として分類される。ジピリダモールは、抗血小板特性を有する点でアスピリンに類似する薬物である。ジピリダモールは冠血管血管拡張剤としても分類される。本発明の実施態様において使用するための抗凝固剤は、ヘパリン、プロタミン、ヒルジンおよびダニ抗凝固タンパク質などの薬物を含み得る。抗酸化剤はプロブコールを含み得る。抗増殖剤は、アムロジピンおよびドキサゾシンなどの薬物を含む。本発明の実施態様において使用し得る有糸分裂阻害剤および代謝拮抗剤は、メトトレキサート、アザチオプリン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、5-フルオロウラシル、アドリアマイシンおよびムタマイシンなどの薬物を含み得る。本発明の実施態様において使用するための抗生物質は、ペニシリン、セフォキシチン、オキサシリン、トブラマイシンおよびゲンタマイシンを含む。本発明の実施態様において使用するのに適当な抗酸化剤はプロブコールを含む。さらに、遺伝子または核酸またはその一部が、本発明の実施態様において治療剤として使用され得る。さらに、トラニラストなどのコラーゲン合成阻害剤が、本発明の実施態様において治療剤として使用され得る。
【0227】
例えば、ポルフィマーなどの種々のポルフィリン化合物を含む光線力学または放射線療法のための感光剤も、本発明の実施態様において薬物として有用である。
【0228】
本発明の実施態様において使用するための薬物は、エベロリムス、ソマトスタチン、タクロリムス、ロキシスロマイシン、ズナイマイシン、アスコマイシン、バフィロマイシン、エリスロマイシン、ミデカマイシン、ジョサマイシン、コンカナマイシン、クラリスロマイシン、トロレアンドマイシン、フォリマイシン、セリバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、フルバスタチン、ロスバスタチン、アトルバスタチン、プラバスタチン、ピタバスタチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、エトポシド、テニポシド、ニムスチン、カルムスチン、ロムスチン、シクロホスファミド、4-ヒドロキシシクロホスファミド、エストラムスチン、メルファラン、イホスファミド、トロホスファミド、クロラムブシル、ベンダムスチン、ダカルバジン、ブスルファン、プロカルバジン、トレオスルファン、テモゾロミド、チオテパ、ダウノルビシン、ドキソルビシン、アクラルビシン、エピルビシン、ミトキサントロン、イダルビシン、ブレオマイシン、マイトマイシン、ダクチノマイシン、メトトレキサート、フルダラビン、フルダラビン-5’-ジハイドロゲンホスフェート、クラドリビン、メルカプトプリン、チオグアニン、シタラビン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、カペシタビン、ドセタキセル、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、アムサクリン、イリノテカン、トポテカン、ヒドロキシカルボアミド、ミルテホシン、ペントスタチン、アルデスロイキン、トレチノイン、アスパラギナーゼ、ペガスパルガーゼ、アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール、フォルメスタン、アミノグルテチミド、アドリアマイシン、アジスロマイシン、スピラマイシン、セファランチン、smc増殖阻害剤-2w、エポチロンAおよびB、ミトキサントロン、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル、c-myc-アンチセンス、b-myc-アンチセンス、ベツリン酸、カンプトテシン、ラパコール、ベータ.-ラパコン、ポドフィロトキシン、ベツリン、ポドフィリン酸2-エチルヒドラジド、モルグラモスチム(rhuGM-CSF)、ペグインターフェロンa-2b、レノグラスチム(r-HuG-CSF)、フィルグラスチム、マクロゴール、ダカルバジン、バシリキシマブ、ダクリズマブ、セレクチン(サイトカインアンタゴニスト)、CETP阻害剤、カドヘリン、サイトカイニン阻害剤、COX-2阻害剤、NFkB、アンジオペプチン、シプロフロキサシン、カンプトテシン、フルオロブラスチン、筋肉細胞増殖を阻害するモノクローナル抗体、bFGFアンタゴニスト、プロブコール、プロスタグランジン、1,11-ジメトキシカンチン-6-オン、1-ヒドロキシ-11-メトキシカンチン-6-オン、スコポレチン、コルヒチン、ペンタエリスリトールテトラニトレートおよびシンドノエイミンなどのNOドナー、S-ニトロソ誘導体、タモキシフェン、スタウロスポリン、ベータ.-エストラジオール、a-エストラジオール、エストリオール、エストロン、エチニルエストラジオール、ホスフェストロール、メドロキシプロゲステロン、シピオン酸エストラジオール、安息香酸エストラジオール、トラニラスト、カメバカウリンおよび癌の治療に適用される他のテルペノイド、ベラパミル、チロシンキナーゼ阻害剤(チロホスチン)、シクロスポリンA、6-a-ヒドロキシ-パクリタキセル、バッカチン、タキソテールおよび他の炭素亜酸化物の大環状オリゴマー(MCS)およびその誘導体、モフェブタゾン、アセメタシン、ジクロフェナク、ロナゾラク、ダプソン、o-カルバモイルフェノキシ酢酸、リドカイン、ケトプロフェン、メフェナム酸、ピロキシカム、メロキシカム、リン酸クロロキン、ペニシラミン、ヒドロキシクロロキン、オーラノフィン、金チオリンゴ酸ナトリウム、オキサセプロール、セレコキシブ、β-シトステリン、アデメチオニン、ミルテカイン、ポリドカノール、ノニバミド、レボメントール、ベンゾカイン、エスシン、エリプチシン、D-24851(Calbiochem)、コルセミド、サイトカラシンA~E、インダノシン、ノコダゾール、S 100タンパク質、バシトラシン、ビトロネクチン受容体アンタゴニスト、アゼラスチン、金属プロテイナーゼ-1および-2のグアニリルシクラーゼ刺激因子組織阻害剤、遊離核酸、ウイルス伝達物質に取り込まれた核酸、DNAおよびRNAフラグメント、プラスミノーゲンアクティベーター阻害剤-1、プラスミノーゲンアクティベーター阻害剤-2、アンチセンスオリゴヌクレオチド、VEGF阻害剤、IGF-1、抗生物質、例えばセファドロキシル、セファゾリン、セファクロル、セフォタキシム、トブラマイシン、ゲンタマイシン、ペニシリン、例えばジクロキサシリン、オキサシリン、スルホンアミド、メトロニダゾール、抗血栓剤、例えばアルガトロバン、アスピリン、アブシキシマブ、合成抗トロンビン、ビバリルジン、クマジン、エノキサパリン、脱硫酸化およびN-再アセチル化ヘパリン、組織プラスミノーゲン活性化因子、GpIIb/IIIa血小板膜受容体、第Xa因子阻害剤抗体、ヘパリン、ヒルジン、r-ヒルジン、PPACK、プロタミン、プロウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、ワルファリン、ウロキナーゼ、血管拡張剤、例えばジピリダモール、トラピジル、ニトロプルシド、PDGFアンタゴニスト、例えばトリアゾロピリミジンおよびスラミン、ACE阻害剤、例えばカプトプリル、シラザプリル、リシノプリル、エナラプリル、ロサルタン、チオールプロテアーゼ阻害剤、プロスタサイクリン、バピプロスト、インターフェロンα、βおよびγ、ヒスタミンアンタゴニスト、セロトニンブロッカー、アポトーシス阻害剤、アポトーシスレギュレーター、例えばp65 NF-kBまたはBcI-xLアンチセンスオリゴヌクレオチド、ハロフジノン、ニフェジピン、トラニラスト、モルシドミン、茶ポリフェノール、没食子酸エピカテキン、没食子酸エピガロカテキン、ボスウェリン酸およびその誘導体、レフルノミド、アナキンラ、エタネルセプト、スルファサラジン、エトポシド、ジクロキサシリン、テトラサイクリン、トリアムシノロン、ムタマイシン、プロカインアミド、レチノイン酸、キニジン、ジソピラミド、フレカイニド、プロパフェノン、ソタロール、アミオダロン、天然および合成により得るステロイド、例えばブリオフィリンA、イノトジオール、マキロサイドA、ガラキノシド、マンソニン、ストレブロサイド、ヒドロコルチゾン、ベタメタゾン、デキサメサゾン、非ステロイド性物質(NSAIDS)、例えばフェノプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ナプロキセン、フェニルブタゾンおよび他の抗ウイルス剤、例えばアシクロビル、ガンシクロビルおよびジドブジン、抗真菌剤、例えばクロトリマゾール、フルシトシン、グリセオフルビン、ケトコナゾール、ミコナゾール、ニスタチン、テルビナフィン、抗原虫剤、例えばクロロキン、メフロキン、キニン、さらに天然テルペノイド、例えばヒポカエスクリン、バリングトゲノール-C21-アンゲラート、14-デヒドロアグロスチスタチン、アグロスケリン、アグロスチスタチン、17-ヒドロキシアグロスチスタチン、オバトジオリド、4,7-オキシシクロアニソメル酸、バッカリノイドB1、B2、B3およびB7、ツベイモシド、ブルセアノールA、BおよびC、ブルセアンチノシドC、ヤダンジオリドNおよびP、イソデオキシエレファントピン、トメンファントピンAおよびB、コロナリンA、B、CおよびD、ウルソール酸、ヒプタチン酸A、ゼオリン、イソ-イソイリドゲルマナール、メイテンホリオール、エフサンチンA、エクシサニンAおよびB、ロンギカウリンB、スクルポネアチンC、カメバウニン、ロイカメニンAおよびB、13,18-デヒドロ-6-a-セネシオイルオキシシャパリン、タキサマイリンAおよびB、レジェニロール、トリプトリド、さらにシマリン、アポシマリン、アリストロキア酸、アノプテリン、ヒドロキシアノプテリン、アネモニン、プロトアネモニン、ベルベリン、ケリブリンクロライド、シクトキシン、シノコクリン、ボムブレスタチンAおよびB、クドライソフラボンA、クルクミン、ジヒドロニチジン、ニチジンクロライド、12-ベータ-ヒドロキシプレグナジエン-3,20-ジオン、ビロボール、ギンクゴール、ギンコール酸、ヘレナリン、インジシン、インジシン-N-オキシド、ラシオカルピン、イノトジオール、グリコシド1a、ポドフィロトキシン、ジュスチシジンAおよびB、ラレアチン、マロテリン、マロトクロマノール、イソブチリルマロトクロマノール、マキロサイドA、マルカンチンA、マイタンシン、リコリシジン、マルゲチン、パンクレアスタチン、リリオデニン、ビスパルテノリジン、オキソウシンスニン、アリストラクタム-AII、ビスパルテノリジン、ペリプロコシドA、ガラキノシド、ウルソール酸、デオキシソロスペルミン、サイコルビン、リシンA、サンギナリン、マヌー小麦酸、メチルソルビホリン、スファセリアクロメン、スチゾフィリン、マンソニン、ストレブロサイド、アカゲリン、ジヒドロウサンバレンシン、ヒドロキシウサンバリン、ストリキノペンタミン、ストリクノフィリン、ウサンバリン、ウサンバレンシン、ベルベリン、リリオデニン、オキソウシンスニン、ダフノレチン、ラリシレシノール、メトキシラリシレシノール、シリンガレシノール、ウンベリフェロン、アフロモソン、アセチルビスミオンB、デスアセチルビスミオンAおよびビスミオンAおよびBからなる群から選択される活性剤も含む。
【0229】
薬物の組み合わせも、本発明の実施態様において使用され得る。パクリタキセルとラパマイシン、パクリタキセルと活性ビタミンD、パクリタキセルとラパコン、ラパマイシンと活性ビタミンD、ラパマイシンとラパコンなどの、組み合わせのいくつかは、異なる機序を有するため、相加効果を有する。相加効果のために、薬物の用量は同様に減少させ得る。これらの組み合わせは、高薬物の用量の使用による合併症を減らし得る。
【0230】
溶媒
コーティング層製造のための溶媒は、例として、次の(a)水、(b)ヘキサン、オクタン、シクロヘキサンおよびヘプタンなどのアルカン、(c)ベンゼン、トルエンおよびキシレンなどの芳香族溶媒、(d)エタノール、プロパノールおよびイソプロパノール、ジエチルアミド、エチレングリコールモノエチルエーテル、トランスクトールおよびベンジルアルコールなどのアルコール、(e)ジオキサン、ジメチルエーテルおよびテトラヒドロフランなどのエーテル、(f)酢酸エチルおよび酢酸イソブチルなどのエステル/アセテート、(g)アセトン、アセトニトリル、ジエチルケトンおよびメチルエチルケトンなどのケトンおよび(h)水/エタノール、水/アセトン、水/メタノール、水/テトラヒドロフランなどの水と有機溶媒の混合物の1個または組み合わせを含み得る。トップコーティング層における溶媒は、例えば、メタノール、エタノールおよびアセトンであり得る。
【0231】
単鎖アルコール、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシドなどの有機溶媒は、これらの有機溶媒が、一般にコロイド凝集を破壊し、コーティング溶液中の要素全部を共可溶化するため、本発明の実施態様において特に有用な溶媒である。
【0232】
治療剤および1以上の添加物は、溶媒に分散、可溶化または他に混合され得る。溶媒中の薬物および添加物の重量パーセントは、0.1~80重量%または2~20重量%の範囲であり得る。
【0233】
種々の実施態様は、バルーンカテーテルを調製する方法を提供する。まず、少なくとも1つの溶媒、少なくとも1つの治療剤および少なくとも1つの添加物を含むコーティング溶液または懸濁液を製造する。少なくとも1つの実施態様において、コーティング溶液または懸濁液は、これら3要素しか含まない。コーティング溶液中の治療剤の含量は、溶液の総重量に基づき0.5~50重量%であり得る。コーティング溶液中の添加物の含量は、溶液の総重量に基づき、約0.1wt%~約45wt%、約0.2wt%~約40wt重量%、約0.3~約15wt%または約0.1wt%以下または約0.2wt%、0.3wt%、0.4wt%、0.5wt%、0.6wt%、0.8wt%、1wt%、2wt%、3wt%、4wt%、5wt%、6wt%、7wt%、8wt%、9wt%、10wt%、12wt%、14wt%、16wt%、18wt%、20wt%、22wt%、24wt%、26wt%、28wt%、30wt%、35wt%、40wt%または約45wt%未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上であり得る。使用する溶媒の量は、コーティング過程および粘性による。それは、薬物-添加物コーティングの均一性に影響するが、蒸発される。
【0234】
他の実施態様において、2以上の溶媒、2以上の治療剤および/または2以上の添加物がコーティング溶液で使用され得る。
【0235】
他の実施態様において、治療剤、添加物およびポリマー材料がバルーンカテーテルのコーティング溶液で使用され得る。コーティングにおいて、治療剤はポリマー粒子に封入されていない。
【0236】
一体成型、固定容積液体分注、計量(例えば、バルーン上に容積に基づき固定量のコーティング溶液を分配)、スピニング、噴霧、ディッピング(浸漬)、インクジェット印刷、静電気技法およびこれらの方法の組み合わせなどの種々の技法を、コーティング溶液の医療デバイスへの適用に使用し得る。コーティング溶液の適用中、バルーンは、少なくとも一部膨張してよい。計量は、液体コーティング溶液を、リザーバーからバルーン表面(例えば、少なくとも一部膨張したバル-ンの表面)の近位であるノズルにポンプ輸送するなどにより、任意の適当な方法で実施し得る。ノズルはそこから液体を分注し、これはノズルへの近さのため、バルーンの外部に即時に伝達され得る(例えば、ノズルは、ノズルから出た液体が、ノズルから出る液体の滴を形成する前に、バルーン外部と接触し、伝達され得るようにバルーンと近い)。ノズルは、液体の喪失が実質的にないように、バルーン外部に液体を分注し得る。バルーンはノズルからの液体分注中、長軸周囲を回転し得る。ノズルは、バルーン長軸に並行なバルーンの外部に添うように、分注中移動できる。ある実施態様において、実質的にバルーン表面全体がコーティング溶液で被覆されるように、バルーンは分注中その長軸周囲を回転でき、ノズルは、バルーン長軸に添って移動し得る(例えば、旋盤上で回転している木の円筒形切片上の木工用ノミの動きに類する)。
【0237】
適用技法の選択は、主に溶液の粘性および表面張力による。本発明のある実施態様において、計量は、コーティング層の厚さおよび医療デバイスに適用された治療剤濃度の均一性の制御を容易にするため、利用され得る。
【0238】
本発明のある実施態様において、バルーンは膨張または一部膨張され、コーティング溶液を、バルーン膨張中および長軸に添って回転中に計量により膨張バルーンに適用させる。次いで、バルーンを乾燥させ、その後収縮させ、折り畳み、シースに入れる。
【0239】
適用デバイス、治具および計量技法の実施態様の記載は例である。任意の適当な計量または他の技法を、バルーンカテーテルのコーティングに使用し得る。
【0240】
医療デバイスをコーティング溶液で被覆後、被覆バルーンを、コーティング溶液中の溶媒を蒸発させる乾燥に付す。これにより、バルーン上に治療剤を含むコーティングマトリクスを作る。乾燥技法の一例は、被覆バルーンを約20℃以上のオーブンに約24時間入れることである。コーティング溶液乾燥の任意の他の適当な方法を使用し得る。時間、温度および相対湿度は、特定の添加物および治療剤に応じて変わり得る。
【0241】
本発明の実施態様は、良性前立腺肥大を処置する方法に関する。方法は、コーティングを含む医療デバイスを前立腺尿道に挿入することを含む。コーティング層は、治療剤および添加物を含む。この実施態様において、医療デバイスは、少なくとも拡張可能部分を有するように構成され得る。このようなデバイスのいくつかの例は、バルーンカテーテル、固定ワイヤバルーンカテーテル、オーバー・ザ・ワイヤバルーンカテーテル、ラピッド・エクスチェンジ型カテーテル、灌流バルーンカテーテル、注入カテーテル(例えば、遠位穿孔薬物注入カテーテル、穿孔バルーン、スペースド・ダブルバルーン、多孔性バルーンおよび浸出性バルーン、カッティング・バルーンカテーテル)、スペースド・ダブルバルーン、カッティング・バルーンカテーテル、スコアリング・バルーンカテーテル、自己拡張型およびバルーン拡張型ステント、ガイドカテーテル、ガイドワイヤ、塞栓保護デバイスおよび種々の造影デバイスを含む。
【0242】
ここに記載するとおり、本発明で特に有用な医療デバイスの一例は、被覆バルーンカテーテルである。バルーンカテーテルは、一般に微小な、収縮バルーンが貼り付いた長く、狭い、中空管を有する。本発明の実施態様において、バルーンは薬物溶液で被覆される。次いで、バルーンは、非血管体腔における狭窄を通って、治療剤を必要とする封鎖、閉塞または他の組織に誘導される。適当な位置についたら、バルーンを膨張させ、非血管体腔における狭窄および/または封鎖または閉塞の壁と接触させる。薬物を標的組織に迅速に送達し、吸収を促進するのが本発明の実施態様の目的である。種々の実施態様において、デバイスが標的部位に配置されている間に、できるだけ短い時間で薬物を組織に効率的に送達するのが遊離であり得る。治療剤は、薬物コーティングを罹患非血管組織に押し当てて接触させるバルーン膨張時間の約0.1~30分、例えばまたは約0.1~10分または約0.2~2分または約0.1~1分で、このような組織、例えば管腔壁に放出され得る。
【0243】
薬物の治療有効量が本発明の実施態様の実施により、例えば、前立腺に、送達されると考えると、ある場合ステントの必要性は無くなり、それに付随する破砕および液だれの合併症を無くし得る。
【0244】
バルーンカテーテルを、単独でまたは非脈管構造の処置のための他の方法および医療デバイス、例えば、狭窄についての直視下内尿道切開術(DVIU)およびBPHについての経尿道的前立腺切除術(TURP)と組み合わせて、非血管組織/疾患の処置に使用し得る。DVIUは、尿道狭窄の開口のために使用される方法である。具体的に、DVIUは、尿道管腔形成のために狭窄に減張切開が作られる方法である。DVIUは、コールドナイフ(尿道切開刀)またはホットナイフ(電極)を使用して達成され得る。カッターを体に入れ、尿道を通って、狭小化領域まで進める。減張切開が成された後、本発明の実施態様の被覆バルーンを使用するバルーン拡張が実施され得る。さらに、ステント留置が、その後またはここに記載する被覆バルーンの膨張と同時に行われ得る。他の実施態様において、本発明の実施態様の被覆バルーンを使用するバルーン拡張は、留置ステント内で実施され得る。TURPについて、一般に使用される医療デバイスはホットナイフ(電極)またはレーザーである。何れの場合も、デバイスを体に入れ、尿道を通って、狭小化領域まで進める。前立腺組織が切除された後、本発明の実施態様の被覆バルーンを使用するバルーン拡張が実施され得る。さらに、ステント留置が、その後またはここに記載する被覆バルーンの膨張と同時に実施され得る。他の実施態様において、本発明の治療剤および添加物で被覆した自己拡張型ステントを、食道狭窄、アカラシア狭窄、胆汁性狭窄、胃狭窄、小腸狭窄、十二指腸狭窄、空腸狭窄、回腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄および大腸狭窄を含む体腔狭窄に送達し、中に配置し得る。
【0245】
調製
本発明の種々の実施態様は、バルーンを形成する方法を提供する。方法は、近位コーン、少なくとも1つの本体部、少なくとも1つの本体部より小さい直径を有する少なくとも1つのネック部、他の少なくとも1つの本体部および遠位コーンを含む形状を有するバルーン型などの任意の適当な形状を有するバルーン型にバルーン材料を含む管を置くことを含み得る。方法は、バルーン材料管内部を加圧することを含み得る。方法は、バルーン材料管を型内部に接触させるまで膨張させることも含み得る。
【0246】
本発明の種々の実施態様は、バルーンを形成させ、次いで、大きな直径範囲とするためにそれを収縮させる方法を提供する。方法は、バルーン材料を含む管をバルーン型に置くことを含み、ここで、バルーン型は、近位コーン、少なくとも1つの本体部および遠位コーンを含む形状を有する。方法は、バルーン材料管内部を加圧することを含む。方法は、バルーン材料管を型内部に接触させるまで200~400psiの圧力および100~200℃の温度で膨張させることを含む。形成されたバルーンを、次いで、バルーンを、形成過程より低い温度で、低膨張圧力で特定の時間、好ましくは1~30psiで70~90℃で、3~30秒徐冷することにより、収縮させる。バルーンが収縮したら、カテーテルシャフトに接続し、薬物で被覆し得る。本発明の実施態様において、製造技法、体腔を処置する方法または次の特許(これらは引用によりその全体がここに再現されているかのように本明細書に包含させる)に記載されるバルーンの何れもが使用され得る。米国特許7,163,522および7,108,826。
【0247】
本発明の実施態様の医療デバイスおよびコーティング層は、種々の方法により製造し得る。例えば、コーティング溶液を、治療剤、添加物および溶媒などの成分を全て、同時に、一緒に分散、溶解、拡散または他に混合することにより製造し得る。また、コーティング溶液は、溶解度または何らかの他のパラメータに基づき、各成分を連続的に添加することにより製造し得る。例えば、コーティング溶液を、まず治療剤を溶媒に添加し、次いで添加物を添加することにより製造し得る。あるいは、添加物を溶媒に最初に添加してよく、治療剤を後に添加してよい。使用する溶媒が薬物を十分に溶解しないならば、添加物が溶媒における薬物溶解度を上げるため、まず添加物を溶媒に添加し、次いで薬物を添加するのが有用である。
【0248】
国際前立腺症状スコア(IPSS)およびQ max
maxは、尿流動態検査中に得られる最大尿流速の測定値である。排尿中の尿の最大体積流速である。特定の時間(秒あたりまたは分あたり)排尿される尿の量の測定値である。尿流測定により測定し得る。Qmaxは最大流速を示す。Qmaxは、肥大前立腺または他の尿路閉塞または狭窄の診断の指標として使用される。低いQmaxは、肥大前立腺が尿道を圧迫するかまたは尿道狭窄で尿道が一部閉塞していることを示し得る。
【0249】
本発明、例えば、図3に示すバルーンを使用して、尿道狭窄を有する患者は、Qmaxの増加を経験し得る。尿道狭窄を有する人の典型的Qmaxは、0~10mL/秒の範囲である。本発明のバルーンでの処置後(測定値は、通常処置後14~30日に取る)、Qmaxは9~52mL/秒までまたは最低限15mL/秒または、ある実施態様において、最低限20mL/秒または、ある実施態様において、約8mL/秒、9mL/秒、10mL/秒、11mL/秒、12mL/秒、13mL/秒、14mL/秒、15mL/秒、16mL/秒、17mL/秒、18mL/秒、19mL/秒、20mL/秒、22mL/秒、24mL/秒、26mL/秒、28mL/秒、30mL/秒、35mL/秒、40mL/秒、45mL/秒または約50mL/秒未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上まで上昇することが予測される。この処置は、Qmaxに長期効果を有することが示されている。ある実施態様において、6ヶ月後、Qmaxはなお15mL/秒、20mL/秒またはそれ以上または6~50mL/秒の範囲または約8mL/秒、9mL/秒、10mL/秒、11mL/秒、12mL/秒、13mL/秒、14mL/秒、15mL/秒、16mL/秒、17mL/秒、18mL/秒、19mL/秒、20mL/秒、22mL/秒、24mL/秒、26mL/秒、28mL/秒、30mL/秒、35mL/秒、40mL/秒、45mL/秒または約50mL/秒未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上であり得る。12ヶ月後、種々の実施態様において、Qmaxはなお15mL/秒、20mL/秒を超えまたは6~50mL/秒、9~32mL/秒の範囲、約8mL/秒、9mL/秒、10mL/秒、11mL/秒、12mL/秒、13mL/秒、14mL/秒、15mL/秒、16mL/秒、17mL/秒、18mL/秒、19mL/秒、20mL/秒、22mL/秒、24mL/秒、26mL/秒、28mL/秒、30mL/秒、35mL/秒、40mL/秒、45mL/秒または約50mL/秒未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上であり得る。
【0250】
本発明、例えば、図1A、1B、1Cまたは2に示すバルーンを使用して、良性前立腺肥大を有する患者は、Qmaxの増加を経験し得る。BPHを有する人の典型的Qmaxは、5~12mL/秒の範囲である。本発明のバルーンでの処置後、種々の実施態様において、Qmaxは最低限16mL/秒、4~35mL/秒の範囲または約8mL/秒、9mL/秒、10mL/秒、11mL/秒、12mL/秒、13mL/秒、14mL/秒、15mL/秒、16mL/秒、17mL/秒、18mL/秒、19mL/秒、20mL/秒、22mL/秒、24mL/秒、26mL/秒、28mL/秒、30mL/秒、35mL/秒、40mL/秒、45mL/秒または約50mL/秒未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上まで増加し得る。処置は、Qmaxに長期効果を有することが示されている。6ヶ月後、Qmaxは最低限16mL/秒を超えまたは、ある実施態様において、16~32mL/秒の範囲または約8mL/秒、9mL/秒、10mL/秒、11mL/秒、12mL/秒、13mL/秒、14mL/秒、15mL/秒、16mL/秒、17mL/秒、18mL/秒、19mL/秒、20mL/秒、22mL/秒、24mL/秒、26mL/秒、~28mL/秒、30mL/秒、35mL/秒、40mL/秒、45mL/秒または約50mL/秒未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上であり得る。12ヶ月後、Qmaxは最低限16mL/秒を超えまたは、ある実施態様において、16~30mL/秒の範囲または約8mL/秒mL/秒、9mL/秒、10mL/秒、11mL/秒、12mL/秒、13mL/秒、14mL/秒、15mL/秒、16mL/秒、17mL/秒、18mL/秒、19mL/秒、20mL/秒、22mL/秒、24mL/秒、26mL/秒、28mL/秒、30mL/秒、35mL/秒、40mL/秒、45mL/秒または約50mL/秒未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上であり得る。これらの効果により、本発明は先行技術デバイスおよび方法と区別される。
【0251】
国際前立腺症状スコア(IPSS)は、有効な患者報告転帰尺度(PROM)スコアリングシステムである。世界中で泌尿器科医はそれを認め、良性前立腺肥大(BPH)のスクリーニングおよび診断ならびに症状のモニターおよび疾患をどのように管理するかの決定のガイドとして使用している。IPSSは8つの質問の回答からなり、7問は疾患症状に関し、1問は患者のクオリティ・オブ・ライフに関する。症状問診について、患者は、状態を表す最良の等級づけを選択するよう求められる。スケールは0~5の範囲であり、5は最も症候性の疾患を表す。7症状スコアを合算して、最大35点の可能性のある全体スコアを得る。クオリティ・オブ・ライフ問診に対する回答は、スケール0~6で採点する。これらのスコアリングシステムにより、スコアを次のとおり分類し得る。スコアが7以下ならば症状は軽度;スコアが8~19ならば症状は中程度;そしてスコアが20~35ならば症状は重度。
【0252】
本発明、例えば図3に示すバルーンを使用して、尿道狭窄を有する患者は、IPSS減少を経験し得る。尿道狭窄を有する人の典型的IPSSは、15~35の範囲である。本発明のバルーンでの処置後、IPSSは最大14または、ある実施態様において0~13、4~13、0~11の範囲または0または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または約14未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上であることが予測される。この処置は、IPSSに長期効果を有することが示されている。6ヶ月後、IPSSはなお最大14より低く、ある実施態様において0~13、1~13、0~11または0の範囲または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または約14未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上である。12ヶ月後、IPSSはなお最大14より低くまたは0~7または0または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または約14未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上であり得る。これらの効果により、本発明は先行技術デバイスおよび方法と区別される。
【0253】
本発明、例えば図1A、1B、1Cまたは2に示すバルーンカテーテルを使用して、良性前立腺肥大を有する患者は、IPSS減少を経験し得る。BPHを有する人の典型的IPSSは、15~35の範囲である。本発明のバルーンでの処置後、IPSSは、最大14または、ある実施態様において、4~13の範囲または0または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または約14未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上であり得る。この処置は、IPSSに長期効果を有し得る。6ヶ月後、IPSSはなお最大14であり、ある実施態様において1~13の範囲または0または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または約14未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上であり得る。12ヶ月後、IPSSはなお最大14を下回りまたはある実施態様において1~14の範囲または0または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または約14未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上であり得る。これらの効果により、本発明は先行技術デバイスおよび方法と区別される。
【0254】
所望のQmax増加またはIPSS減少を得るために、ある実施態様において、ここに記載した、抗増殖性または抗炎症性薬物などの治療剤および1以上の水溶性添加物で被覆したバルーンを、尿道狭窄領域内または前立腺内に配置する。狭窄について、次いで、バルーンを、生来の尿道(例えば、処置尿道の常態直径)より1.0~20倍大きい、例えば、約1.2~3倍大きい直径まで膨張させる。BPH処置について、バルーンを、生来の(非罹患)前立腺尿道より約1.0~20倍大きいまたは約1.2~10倍大きい直径まで膨張させる。すなわち、尿道狭窄処置位置でのバルーン直径対体腔の常態直径の比は1.2~3およびBPH処置については1.2~10であってよく、延伸比は同一でも異なってもよい。バルーンを、尿道に薬物を送達させるため、0.1~10分膨張を維持させ得る。ある実施態様において、膀胱鏡などのスコープを、バルーン配置の補助として使用し得る。ある実施態様において、バルーンカテーテルシャフトはスコープの管腔内にあってよく、他の実施態様においてスコープと並べて配置され得る。ある実施態様において、狭窄または前立腺を、薬物被覆バルーンでの処置前に、非薬物被覆バルーンで前拡張させ得る。ある実施態様において、前拡張バルーンは、前拡張された尿道または前立腺の全領域が後に薬物被覆バルーンで処置されることを確実にするために、処置バルーンよりわずかに短い。ある実施態様において、管腔および/または薬物被覆バルーンを、薬物被覆バルーン挿入前に水、食塩水、尿または少なくとも1つの水溶性添加物を含む水溶液で洗い流すか、それに浸す。薬物被覆バルーンは、処置部位への送達中のコーティングの保護をもたらすために、シースで覆われていてよい。シースを、バルーンを膨張する前にバルーンから除き得る。
【0255】
種々の実施態様がここに具体的に説明され、記載されているが、本発明の修飾および変更が上記教示に含まれており、本発明の精神および意図する範囲から逸脱することなく、それらが下記の特許請求の範囲の範囲内であることが認識される。
【0256】
操作例以外または他に示される以外、本明細書および特許請求の範囲で使用する層における要素の量、反応条件などを表す全数字は、全ての場合に用語“約”が付されていることが理解されるべきである。従って、反する指示がない限り、本明細書および付記される特許請求の範囲に示す数値的パラメータは、本開示により得ることが求められる所望の性質により、変わり得る凡その値である。
【実施例0257】
本発明の種々の実施態様は、説明のために提供する下記実施例を参照することにより、よりよく理解され得る。本発明は、ここに記載する実施例に限定されるものではない。
【0258】
実施例をとおして、特に断らない限り、延伸比は、処置位置での公称バルーンの直径対体腔の常態直径の比として計算した。処置位置での体腔の常態直径は、処置位置での体腔の正常直径であり、管腔の狭窄または狭窄症または病変の近位および遠位の狭窄、狭窄症または病変に隣接する健常組織の平均直径として計算し得る。膨張バルーン直径は、膨張時間に使用した圧力でのバルーン公称径とほぼ同じであり、バルーン公称径の10%以内であった。
【0259】
パートI
実施例I-1. コーティング溶液の調製
製剤1:50~150mg(0.06~0.18mmole)パクリタキセル、25~300mg PEG8カプリル/カプリン酸グリセライドおよび2~6mlエタノールを混合した。
【0260】
製剤2:50~150mg(0.06~0.18mmole)パクリタキセル、25~300mg PEG8カプリル/カプリン酸グリセライド、25~300mgウラシルおよび2~6mlエタノールを混合した。
【0261】
製剤3:50~150mg(0.06~0.18mmole)パクリタキセル、25~300mg PEG8カプリル/カプリン酸グリセライド、25~300mgウリジンおよび2~6mlエタノールを混合した。
【0262】
製剤4:50~150mg(0.06~0.18mmole)パクリタキセル、25~300mg PEG8カプリル/カプリン酸グリセライド、25~300mgスクラロースおよび2~6mlエタノールを混合した。
【0263】
製剤4a:50~150mg(0.06~0.18mmole)パクリタキセル、25~300mg PEG8カプリル/カプリン酸グリセライド、25~300mgスクラロースおよび2~6mlエタノールを、パクリタキセル:PEG8カプリル/カプリン酸グリセライド:スクラロースの質量比1:1:1で混合した。
【0264】
製剤4b:50~150mg(0.06~0.18mmole)パクリタキセル、25~300mg PEG8カプリル/カプリン酸グリセライド、25~300mgスクラロースおよび2~6mlエタノールを、パクリタキセル:PEG8カプリル/カプリン酸グリセライド:スクラロースの質量比1:1:2で混合した。
【0265】
製剤5:50~150mg(0.06~0.18mmole)パクリタキセル、25~300mg PEG8カプリル/カプリン酸グリセライド、25~300mgクレアチニンおよび2~6mlエタノールを混合した。
【0266】
製剤6:50~150mg(0.06~0.18mmole)パクリタキセル、25~300mg PEG6カプリル/カプリン酸グリセライド、25~300mgウラシルおよび2~6mlエタノールを混合した。
【0267】
製剤7:50~150mg(0.06~0.18mmole)パクリタキセル、25~300mg C6-セラミドおよび2~6mlエタノールを混合した。
【0268】
製剤8:50~150mg(0.06~0.18mmole)パクリタキセル、25~300mg モノラウリン、25~300mgスクラロースおよび2~6mlエタノールを混合した。
【0269】
製剤9:50~150mg(0.06~0.18mmole)パクリタキセル、25~300mgスクラロースおよび2~6mlエタノールを混合した。
【0270】
製剤10:50~150mg(0.06~0.18mmole)パクリタキセル、25~300mg PEG8モノカプリレート/カプレートおよび1~6mlエタノールを混合した。
【0271】
製剤11:50~150mg(0.06~0.18mmole)パクリタキセル、25~300mg PEG8モノカプリレート/カプレート、25~300mgスクラロースおよび1~6mlエタノールを混合した。
【0272】
製剤12:50~150mg(0.06~0.18mmole)パクリタキセル、25~300mgチミジンおよび1~6ml(96/4v/v)THF/水を混合した。
【0273】
製剤13:50~150mg(0.06~0.18mmole)パクリタキセル、25~300mgウリジンおよび1~6ml(96/4v/v)THF/水を混合した。
【0274】
製剤14:50~150mg(0.06~0.18mmole)パクリタキセル、25~300mgカフェインおよび1~6ml(96/4v/v)THF/水を混合した。
【0275】
製剤15:50~150mg(0.06~0.18mmole)パクリタキセル、25~300mg 18クラウン6および1~6mlエタノールを混合した。
【0276】
製剤16:50~150mg(0.06~0.18mmole)パクリタキセル、25~300mg 18クラウン6および1~6mlエタノールを混合した。
【0277】
製剤17:50~150mg(0.06~0.18mmole)パクリタキセル、10~100mg 18クラウン6、10~100mgペンタエリスリトールエトキシレート(15/4)および1~6mlエタノールを混合した。
【0278】
製剤18:50~150mg(0.06~0.18mmole)パクリタキセル、25~300mgペンタエリスリトールエトキシレート(15/4)および1~6mlエタノールを混合した。
【0279】
製剤19:50~150mg(0.06~0.18mmole)パクリタキセル、25~300mgトリメチルプロパンエトキシレート(Mw約1014))および1~6mlエタノールを混合した。
【0280】
製剤20:50~150mg(0.06~0.18mmole)パクリタキセル、25~300mgペンタエリスリトールエトキシレート(3/4)および1~6mlエタノールを混合した。
【0281】
製剤21:50~150mg(0.06~0.18mmole)パクリタキセル、25~300mg 15クラウン5および1~6mlエタノールを混合した。
【0282】
製剤22:25~100mg(0.03~0.12mmole)パクリタキセル、25~300mgチミジンおよび1~6ml(90/10v/v)THF/水を混合した。
【0283】
製剤23:50~150mg(0.06~0.18mmole)パクリタキセル、5~75mgペンタエリスリトールエトキシレート(15/4)、10~200mgペンタエリスリトールエトキシレート(3/4)および1~6mlエタノールを混合した。
【0284】
製剤24:50~150mg(0.06~0.18mmole)パクリタキセル、25~300mgトリメチルプロパンエトキシレート(Mw約170))および1~6mlエタノールを混合した。
【0285】
実施例I-2. 前臨床試験1&2 サンプル調製
21個のバルーンカテーテル(12個は直径4mmおよび長さ40mm、6個は直径8mmおよび長さ40mm、3個は直径20mmおよび長さ50mm)を1~2気圧圧力まで膨張させ、エタノールティッシュで拭いて、バルーン表面を綺麗にした。次にバルーンを、バルーン表面1mmあたり2~4μgパクリタキセルを達成するのに十分なコーティング溶液を用いて、実施例I-1からの種々の製剤(1~6)を使用して被覆した。次いでバルーンを乾燥させ、折り畳み、シースに入れ、タイベックポーチで包装し、動物試験に備えてエチレンオキシド滅菌した。
【0286】
実施例I-3. 前臨床試験1&2 処置
この試験のために、雄イヌを使用した。ベースライン尿道造影図を、薬物被覆バルーン処置前の尿道処置部位の内部直径を測定するために撮った。実施例I-2で調製した薬物被覆バルーンカテーテルを、骨盤、球部および陰茎骨の直近位の遠位尿道で非重複処置で使用した。陰茎骨尿道は処置しなかった。処置部位直径は約3.5~4.5mmであった。バルーンカテーテルを、前立腺尿道バルーンの延伸比が約4~10であるように選択した。前部尿道について、バルーンカテーテルを、延伸比が約1.8~2.3であるように選択した。カテーテル挿入前に、約5mLの食塩水を使用して、尿道を洗い流した。18~20mm公称径バルーンを前立腺尿道で膨張させ、8mm公称径バルーンを前部尿道で膨張させた。18~20mm公称径バルーンを処置部位で4気圧まで10分膨張させて、薬物および添加物を放出させ、次いで収縮させて、イヌから引き抜いた。8mm公称径バルーンを処置部位で12気圧まで10分膨張させて、薬物および添加物を放出させ、次いで収縮させて、イヌから引き抜いた。膨張させた20mm公称径バルーンの延伸比は4.4~6.3であった。膨張させた8mm公称径バルーンの延伸比は2.0~2.5であった。屠殺動物の処置尿道組織における残存薬物量を4時間および1日後に測定し、使用後にバルーンに残る残存薬物を分析した。
【0287】
実施例I-2で調製した薬物被覆バルーンカテーテルを雌ブタの左輸尿管および尿道に挿入した。4mm公称径バルーンを、輸尿管で14気圧まで膨張させ、8mmバルーンを、尿道で12気圧まで膨張させた。バルーンを、処置部位で10分膨張させて、薬物および添加物を放出させ、次いで収縮させ、ブタから引き抜いた。4mm公称径バルーンの延伸比は2~2.5であった。8mm公称径バルーンの延伸比は2.0~2.5であった。屠殺動物の尿道および前立腺組織における薬物濃度を4時間後測定した。使用後にバルーンに残る残存薬物を分析した。
【0288】
実施例I-4. 前臨床試験1&2 組織およびバルーン残存薬物含量
製剤4aを使用した、実施例I-3の前立腺尿道サンプルからのイヌ組織薬物濃度は、4時間で0.4μg/gであった。製剤4aを使用した、実施例I-3の前立腺サンプルからのイヌ組織薬物濃度は、4時間で0.367μg/gであった。製剤4bを使用した、実施例I-3の骨盤尿道サンプルからのイヌ組織薬物濃度は、4時間で11.7μg/gであった。製剤4aを使用した、実施例I-3の球部尿道サンプルからのイヌ組織薬物濃度は、4時間で25.2μg/gであった。製剤4aを使用した、実施例I-3の前立腺尿道サンプルからのイヌ組織薬物濃度は、1日目で0.586μg/gであった。製剤4aを使用した、実施例I-3の前立腺サンプルからのイヌ組織薬物濃度は、1日目で0.429μg/gであった。製剤4bを使用した、実施例I-3の骨盤尿道サンプルからのイヌ組織薬物濃度は、1日目で26.6μg/gであった。製剤4aを使用した、実施例I-3における遠位尿道サンプルからのイヌ組織薬物濃度は、1日目で2.04μg/gであった。製剤4aを使用した、実施例I-3のサンプルからの元の薬物負荷のパーセントとしての残存バルーン含量は、45~87%の範囲であった。
【0289】
製剤4bを使用した、実施例I-3のサンプルからの元の薬物負荷のパーセントとしての残存バルーン含量は、83~85%の範囲であった。
【0290】
4時間で実施例I-3のサンプルからの近位(製剤4b)右輸尿管ブタ組織薬物濃度は17.3μg/gであった。4時間で雌ブタ尿道(製剤4a)薬物濃度は66.9μg/gであった。実施例I-3のサンプルからの元の薬物負荷のパーセントとしての残存バルーン含量は、6~58%の範囲であった。製剤4aの平均残存バルーン含量は、52.8%であった。製剤4bの平均残存バルーン含量は、64.7%であった。
【0291】
実施例I-5. 前臨床試験3 サンプル調製
23個のバルーンカテーテル(12個は直径8mmおよび長さ40mm、6個は直径10mmおよび長さ40mm、4個は直径12mmおよび長さ30mmおよび3個は直径10mmおよび長さ30mm)を、その公称膨張圧力の50%まで膨張させ、エタノールティッシュで拭いて、バルーン表面を綺麗にした。次にバルーンを、バルーン表面1mmあたり2μgパクリタキセルを達成するために十分なコーティング溶液を用いて、実施例I-1の種々の製剤(1~6)を使用して被覆した。次いでバルーンを乾燥させ、折り畳み、シースに入れ、タイベックポーチで包装し、動物試験に備えてエチレンオキシド滅菌した。
【0292】
実施例I-6. 前臨床試験3 処置
この試験のために、雄イヌを使用した。ベースライン逆行性尿道造影を、薬物被覆バルーン処置前の尿道処置部位の内部直径を測定するために撮った。実施例I-5で調製した薬物被覆バルーンカテーテルを、前立腺、骨盤、球部および陰茎骨の直近位の遠位尿道で非重複処置で使用した。陰茎骨尿道は処置しなかった。処置部位直径は、約2.1~8.5mmであった。バルーンカテーテルを、前立腺尿道バルーン(バルーンの公称径対標的部位の常態直径の比)が約1.7~3.4と計画されるように選択した。前部尿道について、バルーンカテーテルを、延伸比が約1.8~2.3であるように選択した。カテーテル挿入前に、約5mLの食塩水を使用して、尿道を洗い流した。12mm公称径バルーンを前立腺尿道で膨張させ、8および10mm公称径バルーンを前部尿道で膨張させた。12mm公称径バルーンを、処置部位で9気圧まで10分膨張させて、薬物および添加物を放出させ、次いで収縮させて、イヌから引き抜いた。8mm公称径バルーンを、処置部位で10気圧まで10分膨張させて、薬物および添加物を放出させ、次いで収縮させて、イヌから引き抜いた。12mm公称径バルーンの延伸比は2.0~3.0であった。8mmおよび10mm公称径バルーンの延伸比は1.3~3.0であった。屠殺動物の処置尿道組織における薬物量を1日および7日後に測定し、使用後にバルーンに残る残存薬物を分析した。
【0293】
実施例I-7. 前臨床試験3 組織およびバルーン残存薬物含量
実施例I-6のサンプルからのイヌ組織薬物濃度は1日目は4~176μg/gおよび7日目は0.003~23μg/gの範囲であった。実施例I-6のサンプルからの元の薬物負荷のパーセントとしての残存バルーン含量は、5~98%の範囲であった。
【0294】
実施例I-8. 前臨床試験4 サンプル調製
108個のバルーンカテーテル(42個は直径8mmおよび長さ20mm、27個は直径10mmおよび長さ40mm、25個は直径12mmおよび長さ40mm、5個は直径8mmおよび長さ55mm、9個は直径12mmおよび長さ55mm)を、その公称膨張圧力の50%まで膨張させ、エタノールティッシュで拭いて、バルーン表面を綺麗にした。次にバルーンを2群に分けた;一方の群はバルーン表面のmmあたり2μgパクリタキセルを達成するのに十分なコーティング溶液を用いて実施例I-1からの製剤1および製剤4を使用して被覆し、他方の群は、バルーン表面のmmあたり4μgパクリタキセル達成するのに十分なコーティング溶液を用いて実施例I-1からの同じ製剤を使用して被覆した。次いでバルーンを乾燥させ、折り畳み、シースに入れ、タイベックポーチで包装し、動物試験に備えてエチレンオキシド滅菌した。
【0295】
実施例I-9. 前臨床試験4 処置
この試験のために、雄イヌを使用した。ベースライン逆行性尿道造影を、薬物被覆バルーン処置前の尿道処置部位の内部直径を測定するために撮った。実施例I-8で調製した薬物被覆バルーンカテーテルを、前立腺、骨盤、球部および陰茎骨の直近位の遠位尿道で非重複処置で使用した。陰茎骨尿道は処置しなかった。処置部位直径は、約2.6~7.7mmであった。バルーンカテーテルを、前立腺尿道バルーンの延伸比が約2~4と計画されるように、選択した。前部尿道について、バルーンカテーテルを、延伸比が約1.8~2.3であるように選択した。カテーテル挿入前に、約5mLの食塩水を使用して、尿道を洗い流した。8および12mm公称径バルーンを前立腺尿道で膨張させ、8mm公称径バルーンを前部尿道で膨張させた。前立腺尿道バルーンを、処置部位で6~9気圧で10分膨張させて、薬物および添加物を放出させ、次いで収縮させて、イヌから引き抜いた。8mm公称径バルーンを、処置部位で10気圧まで10分膨張させて、薬物および添加物を放出させ、次いで収縮させて、イヌから引き抜いた。前立腺尿道バルーンの延伸比は2.0~5、10、15または20であった。前部尿道バルーンの延伸比は1.1、1.2、1.3、1.4または1.5~1.75、2.0、2.25、2.50、2.75、3.0であった。屠殺動物の処置尿道組織の尿道直径および薬物量を1日、7日および28日後に測定し、使用後にバルーンに残る残存薬物を分析した。28日目にサンプルを組織学的評価のためにとり、薬物被覆バルーン組織と、平坦な旧型バルーンおよび未処置組織を比較した。
【0296】
実施例I-10. 前臨床試験4 薬物動態、バルーン残存薬物含量および尿道管腔増大
実施例I-9のサンプルからのイヌ組織平均薬物濃度は1日目で582μg/g、7日目で0.347μg/gおよび28日目で4μg/gであった。実施例I-9の2μg/gおよび4μg/g用量密度製剤1サンプルからのイヌ組織平均薬物濃度は、それぞれ28日目で20.34μg/gおよび0.73μg/gであった。実施例I-9の2μg/gおよび4μg/g用量密度製剤4サンプルからのイヌ組織平均薬物濃度は、それぞれ28日目で0.01μg/gおよび1.20μg/gであった。実施例I-9のサンプルからの元の薬物負荷のパーセントとしての残存バルーン含量は、0~60%の範囲であった。2μg/gおよび4μg/g用量密度製剤1サンプルからの元の薬物負荷のパーセントとしての平均残存バルーン含量はそれぞれ11.5%および2.4%であった。2μg/gおよび4μg/g用量密度製剤4サンプルからの元の薬物負荷のパーセントとしての平均残存バルーン含量はそれぞれ12.2%および19.9%であった。28日目処置部位尿道直径から処置時の尿道直径を減じた28日目平均尿道増大は、1.6mmからマイナス4.4mmの範囲であった。サンプルの組織学試験は、薬物被覆バルーン処置、平坦なバルーン処置および未処置組織での差異は示されなかった。
【0297】
実施例I-11. 前臨床試験5 サンプル調製
40個のバルーンカテーテル(20個は直径6mmおよび長さ20mm、20個は直径8mmおよび長さ20mm)を、その公称膨張圧力の50%まで膨張させ、エタノールティッシュで拭いて、バルーン表面を綺麗にした。次にバルーンを2群に分けた;一方の群はバルーン表面1mmあたり3.5μgパクリタキセルを達成するのに十分なコーティング溶液を用いて実施例I-1の種々の製剤(1~6)を使用して被覆し、他方の群はバルーン表面1mmあたり10μgパクリタキセルを達成するのに十分なコーティング溶液を用いて実施例I-1の種々の製剤(1~6)を使用して被覆した。次いでバルーンを乾燥させ、折り畳み、シースに入れ、タイベックポーチで包装し、動物試験に備えてエチレンオキシド滅菌した。
【0298】
実施例I-12. 前臨床試験5 処置
この試験について、輸尿管の容易な利用を可能とするために雌ブタを使用した。薬物被覆バルーン処置前に、ベースライン尿管造影図および尿道造影図を撮り、処置前の輸尿管および尿道処置部位の内部直径を測定した。処置部位直径は、約4.0~6.0mmであった。尿道について、バルーンカテーテルを、延伸比が約1.8~2.3であるように選択した。実施例I-11で調製した薬物被覆バルーンカテーテルを、非重複処置のために使用した。2つの方法パラメータ試験のために、対照実験を実施した;尿道伸展のためのバルーン、膨張時間および一製品デザイン特性;薬物用量密度。屠殺動物の処置尿道組織における薬物の量を1日後に測定し、使用後にバルーンに残る残存薬物を分析した。
【0299】
実施例I-13. 前臨床試験5 バルーン残存薬物含量および組織薬物含量
実施例I-12のサンプルからのブタ組織平均薬物濃度は1日目で12.5μg/gであった。実施例I-12のサンプルからの元の薬物負荷のパーセントとしての残存バルーン含量は、1~52%の範囲であった。
【0300】
実施例I-14. 前臨床試験6 サンプル調製
87個のバルーンカテーテル(37個は直径12mmおよび長さ20mm、50個は直径8mmおよび長さ20mm)を、その公称膨張圧力の50%まで膨張させ、エタノールティッシュで拭いて、バルーン表面を綺麗にした。次にバルーンを2群に分けた;一方の群はバルーン表面1mmあたり3.5μgパクリタキセルを達成するのに十分なコーティング溶液を用いて実施例I-1の種々の製剤(1~6)を使用して被覆し、他方の群はバルーン表面1mmあたり10μgパクリタキセルを達成するのに十分なコーティング溶液を用いて実施例I-1の種々の製剤(1~6)を使用して被覆した。次いでバルーンを乾燥させ、折り畳み、シースに入れ、タイベックポーチで包装し、動物試験に備えてエチレンオキシド滅菌した。
【0301】
実施例I-15. 前臨床試験6 処置
この試験について、キャスティングした雄ブタを使用した。薬物被覆バルーン処置前に、ベースライン尿道造影図を撮って、処置前の尿道処置部位の内部直径を測定した。実施例I-14で調製した薬物被覆バルーンカテーテルを非重複処置で使用した。膨張前に、5~10mLの食塩水を使用して、尿道を洗い流した。対照実験を、処置尿道組織における薬物の量に対する二重膨張および薬物用量密度の影響を試験するために実施した。組織薬物含量を1日後および28日後に測定し、使用後にバルーンに残る残存薬物を分析した。組織学サンプルを28日目に採り、2つの異なる薬物用量密度カテーテル群を比較した。
【0302】
実施例I-16. 前臨床試験5 バルーン残存薬物含量および組織薬物含量
実施例I-14のサンプルからのブタ組織平均薬物濃度は、1日目83ng/gおよび28日目2.5ng/gであった。実施例I-14のサンプルからの元の薬物負荷のパーセントとしての残存バルーン含量は、19~73%の範囲であった。
【0303】
実施例I-17. 前臨床試験7 サンプル調製
57個のバルーンカテーテル(43個は直径8mmおよび長さ20mm、14個は直径20mmおよび長さ60mm)を、その公称膨張圧力の50%まで膨張させ、エタノールティッシュで拭いて、バルーン表面を綺麗にした。バルーンを、バルーン表面1mmあたり3.5μgパクリタキセルを達成するのに十分なコーティング溶液を用いて、実施例I-1の種々の製剤(1~6)を使用して被覆した。次いでバルーンを乾燥させ、折り畳み、シースに入れ、タイベックポーチで包装し、動物試験に備えてエチレンオキシド滅菌した。
【0304】
実施例I-18. 前臨床試験7 処置
この試験のために、雄イヌを使用した。これらの処置を、2.4mm外径内視鏡を使用する直接可視化の下に実施した。内視鏡は、一定食塩水灌注を利用し、視野から視界遮蔽物を洗い流し、従って、処置ゾーンは、常に一定に洗い流されていた。処置の第一段階は、前立腺尿道、中央尿道および遠位尿道へのカッティング・バルーン(バルーンの長さに沿って長手方向に走る刃を有するバルーンカテーテル)の使用であった。次に、非被覆バルーンを使用して、カッティング・バルーンを使用した場所である処置位置を拡張した。次いで、ベースライン尿道造影図を、薬物被覆バルーン処置前の尿道処置部位の内部直径を測定するために撮った。最後に、実施例I-17で調製した薬物被覆バルーンカテーテルおよび非被覆バルーンカテーテル(対照として)を使用した。20mm公称径バルーンを前立腺尿道に使用し、8mm公称径バルーンを前部尿道に使用した。前立腺尿道バルーンを処置部位で4~5気圧まで2分膨張させて、薬物および添加物を放出させ、次いで収縮させて、イヌから引き抜いた。8mm公称径バルーンを処置部位で10気圧まで2分膨張させて、薬物および添加物を放出させ、次いで収縮させて、イヌから引き抜いた。前立腺尿道バルーンの延伸比は2.9~9.7であった。前部尿道バルーンの延伸比は1.5~2.8であった。組織薬物含量を3日、7日および28日後に測定し、使用後にバルーンに残る残存薬物を分析した。組織学サンプルを3日目および28日目に採って、直接薬物被覆バルーン処置と、カッティング・バルーン前処置とそれに続く薬物被覆バルーン処置を比較した。
【0305】
実施例I-19. 前臨床試験7 薬物動態、バルーン残存薬物含量、管腔獲得および組織学
実施例I-18のサンプルからのイヌ組織平均薬物濃度は3日目100μg/gおよび7日目62μg/gおよび28日目33μg/gであった。実施例I-18のサンプルからの元の薬物負荷のパーセントとしての残存バルーン含量は、2~50%の範囲であった。
【0306】
実施例I-20. 前臨床試験8 サンプル調製
39個のバルーンカテーテル(直径8mmおよび長さ30mm)を3気圧まで膨張させ、エタノールティッシュで拭いて、バルーン表面を綺麗にした。バルーンを、バルーン表面1mmあたり2.5μgパクリタキセルの達成に十分なコーティング溶液を用いて実施例I-1からの製剤18、19および23を使用して被覆した。次いでバルーンを乾燥させ、折り畳み、シースに入れ、タイベックポーチで包装し、動物試験に備えてエチレンオキシド滅菌した。
【0307】
実施例I-21. 前臨床試験8 処置
この試験のために、雄イヌを使用した。ベースライン尿道造影図を、薬物被覆バルーン処置前の尿道処置部位の内部直径を測定するために撮った。処置部位直径は約3.5~4.5mmであった。バルーンカテーテルを、前部尿道バルーンの延伸比が約1.8~2.3であるように選択した。実施例I-2で調製した薬物被覆バルーンカテーテル0を、骨盤、球部および陰茎骨の直近位の遠位尿道で非重複処置で使用した。陰茎骨尿道は処置しなかった。カテーテル挿入前に、約5mLの食塩水を使用して、尿道を洗い流した。8mm公称径バルーンを、処置部位で12気圧まで2分膨張させ、薬物および添加物を放出させ、次いで収縮させて、イヌから引き抜いた。前部尿道バルーンの延伸比は約2.0~2.5であった。組織薬物含量を1日後に測定し、使用後にバルーンに残る残存薬物を分析した。
【0308】
実施例I-22. 前臨床試験8 組織薬物含量およびバルーン残存薬物含量
実施例I-21の骨盤尿道サンプルからのイヌ組織薬物濃度は、1日目で0.305μg/g、1.17μg/g、17.3μg/g、33.4μg/gであった。実施例I-21の球部尿道サンプルからのイヌ組織薬物濃度は、1日目で0.28μg/g、4.31μg/g、44.5μg/g、57.8μg/gであった。実施例I-21の遠位尿道サンプルからのイヌ組織薬物濃度は、1日目で7.37μg/g、38.9μg/g、238μg/g、268μg/gであった。製剤18、19および23からの平均薬物濃度は、それぞれ1日目で6.5μg/g、33.6μg/gおよび137.7μg/gであった。実施例I-21のサンプルからの元の薬物負荷のパーセントとしての残存バルーン含量は20.4~81.7%の範囲であった。製剤18、19および23からの元の薬物負荷のパーセンテージとしての平均残存バルーン含量は、それぞれ57.7%、68.7%および51.9%であった。
【0309】
実施例I-23. 卓上薬物放出試験サンプル調製
49個のバルーンカテーテル(31個は直径8mmおよび長さ30mm、6個は直径10mmおよび長さ20mm、13個は直径12mmおよび長さ20mm)を3気圧まで膨張させ、エタノールティッシュで拭いて、バルーン表面を綺麗にした。バルーンを、バルーン表面1mmあたり2.5μgまたは3.5μgパクリタキセルを達成するのに十分なコーティング溶液を用いて実施例I-1の種々の製剤(1~34)を使用して被覆した。次いでバルーンを乾燥させ、折り畳み、シースに入れ、タイベックポーチで包装し、実験台試験に備えてエチレンオキシド滅菌した。
【0310】
実施例I-24. 卓上薬物放出試験
温度制御水浴に入った10インチ長×2インチ直径円筒形容器からなる卓上薬物放出装置を開発した。円筒形容器を0.9%食塩水で満たし、試験のために37℃に維持した。8フレンチ(すなわち、ここで、3フレンチは1mm)×13cm長イントロデューサシースで、円筒形容器の最上部を穿孔し、バルーンカテーテルサンプルを円筒形容器内に通す導管として使用した。実施例I-22で開発したサンプルを、個々に円筒形容器に入れ、そこで1分浸漬させ、その後10気圧まで1分膨張させ、次いで引き抜いた。バルーン上の残存薬物を分析して、どの程度薬物が放出されたかを決定した。この試験中に放出された薬物の量は37%~97%の範囲であった。
【0311】
パートII
実施例II-1. ブタ尿道を用いる実験台試験
この実験の目的は、ネック付バルーンデザインが、解剖学的モデルにおいて膨張中の移動を阻止できたかの評価であった。
【0312】
インタクトな雄ブタ膀胱および尿道を、地元の研究施設から得た。バルーンカテーテルを、20mm直径×80mm長 7233ペバックス(登録商標)バルーンから構築した。UHMWPE縫合糸を使用して、バルーンに2つのバルーンネック部を作った。バルーン膨張を阻止するために、所望の位置でバルーンを縫合糸で縛り、それによりネックを作った。ネックを、バルーンの長さに添って対称に配置させ、80mm長を3つの約20mm本体部に分けた。ネック部は、10mm長および直径約8mmとサイズ設定した。ネック部は、1つの大きな本体部から隣接する大きな本体部までの長さと測定される。バルーンを10フレンチカテーテルシャフトに接続し、ひだ状にし/折り畳み、挿入を容易にするためにシースに入れた。
【0313】
インタクトなブタ尿道および膀胱を37℃水浴に入れて、体温を模した。バルーンカテーテルを尿道を通して入れ、バルーンの遠位端を膀胱頸部に位置させるように配置した。バルーンを、尿道分裂が目で確認できるかまたは6気圧の最大定格破裂圧力(RBP)まで膨張させた。バルーンを、尿道分裂の確認直後に収縮させた。膨張速度は、0.5気圧/分、1.0気圧/分および2.0気圧/分を使用して、サンプル間で変えた。総膨張時間は、膨張速度によって3~10分であった。
【0314】
この試験のネック付バルーンは、膨張中のバルーン移動を阻止できた。膨張バルーン直径対常態前立腺尿道直径の延伸比は約3.0~3.5であった。さらに、この試験は、膨張率がバルーン移動に役割を有することを示した。バルーンを低速で膨張させ、組織を弛緩および作製を強いることにより、バルーンの膀胱への移動はさらに最小化した。0.5気圧/分および1.0気圧/分の速度は、膨張中のバルーン移動が少なかった。
【0315】
パートIII. ヒト対象の尿道狭窄における薬物被覆バルーンの試験
次の実施例は、本発明の範囲内の薬物コーティングを有する医療デバイスの使用の実施態様を含む。次の実施例は本発明を具現化すると考えられるが、これら実施例は本発明の限界と解釈してはならない。
【0316】
材料。3.5μgのパクリタキセル/mmの用量密度の薬物被覆バルーンカテーテルを使用して、臨床試験で狭窄疾患を有するヒト対象の処置に使用した。薬物被覆バルーンカテーテルは、6気圧の公称圧力で6mm、8mm、10mm、12mmおよび14mmの公称径および30mmおよび50mmの長さを有した。バルーンサイズあたりのパクリタキセル(PTX)用量は、表6に見ることができる。
【0317】
【表6】
【0318】
薬物被覆バルーンカテーテルは、単一膨張可能バルーンでのデュアル管腔シャフトデザインを有した。一方の管腔は、0.038”ガイドワイヤ管腔を収容するようにサイズ設定された。他方の管腔は膨張ポート管腔であり、バルーンが食塩水と造影剤液の混液で膨張することを可能とした。薬物被覆バルーンカテーテルは2つのルアー型連結部を有する連結管を有し、一方の連結部は膨張シリンジと互換性であり、他方はガイドワイヤを連結管から突出させ、それによりバルーンカテーテルがガイドワイヤ上を自由に滑ることが可能であった。6mmおよび8mm薬物被覆バルーンカテーテルは、12気圧の定格破裂圧力を有した。10mm、12mmおよび14mm薬物被覆バルーンカテーテルは、10気圧の定格破裂圧力を有した。バルーンはポリアミド製であった。
【0319】
尿流測定(Qmax測定)。尿流測定を、測定デバイスが組み込まれた特別な尿瓶、便器または使い捨てデバイスへの排尿により行う。パラメータQmaxは、尿流測定試験中測定される最大流速である。この方法を、処置の持続性を示すために、処置前(ベースライン)およびその後の1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月および12ヶ月の来院時に使用した。
【0320】
国際前立腺症状スコア(IPSS)。IPSSは8つの質問に対する回答に基づく - 7問は疾患症状に関し、1問は患者のクオリティ・オブ・ライフに関する:1)残尿感;どのくらいの頻度で膀胱が空になっていない感覚があったか?2)頻度;どのくらいの頻度で2時間毎より短く尿をしなければならなかったか?3)間欠性;どのくらいの頻度で排尿時に何回も止まって、また再開することがあったか?4)緊急性;どのくらいの頻度で排尿を我慢することが難しいことがあったか?5)流れが弱い;どのくらいの頻度で排尿の勢いが弱かったか?6)いきみ;どのくらいの頻度で排尿開始のためにいきんだか?7)夜間多尿;夜中に排尿のために通常何回起きたか?8)泌尿器症状によるクオリティ・オブ・ライフ;これから死ぬまで泌尿器の状態が今のままで過ごさなければならないとしたら、どう感じるか?IPSSはBPHのために開発されたが、閉塞性症状が医学的処置後に改善したかを決定するために、狭窄などの他の膀胱出口閉塞性疾患に適用し得る。症状問診について、患者は、状態を表す最良の等級づけを選択するよう求められる。スケールは0~5の範囲であり、5は最も症候性の疾患を表す。7症状スコアを合算して、最大35点の可能性のある全体スコアを得る。クオリティ・オブ・ライフ問診に対する回答は、スケール0~6で採点する。これらのスコアリングシステムにより、スコアを次のとおり分類し得る。スコアが7以下ならば症状は軽度;スコアが8~19ならば症状は中程度;そしてスコアが20~35ならば症状は重度。この問診を処置の持続性を示すために、処置前(ベースライン)およびその後の1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月および12ヶ月の来院時に行った。
【0321】
実施例III-1. 非被覆前拡張バルーン、続いて8mm公称径薬物被覆バルーンカテーテルで処置したヒト臨床対象A
対象Aは、前部尿道に1.5cm長×2.5mm直径狭窄を有した。具体的に、前部尿道の球部部分。これは、逆行性尿道造影の実施により確定された。ヒト臨床対象は、ベースラインQmax(最大尿流速)4.0mL/秒およびベースラインIPSSスコア25を有した。まず、膀胱鏡を尿道に入れた。次いで、ガイドワイヤを膀胱鏡のワーキングチャネルに入れた。次に公称径7mmおよび長さ20mmを有した前拡張バルーンをガイドワイヤを通して尿道に入れ、バルーンが狭窄をまたぐように配置した。前拡張バルーンを、圧力ゲージを備えたシリンジで14気圧まで膨張させた。シリンジは食塩水と造影媒体の混液を含んだ。蛍光透視画像を、バルーンが均一に膨張したことを確実するために得た。これが確認されたら、バルーンを収縮させ、尿道から引き抜いた。次に公称径8mmおよび長さ30mmを有した薬物被覆バルーンを、ガイドワイヤを通して尿道に入れた。薬物被覆バルーンを、バルーン本体が前拡張狭窄領域を完全に覆うように配置した。薬物被覆バルーンを膨張前に少なくとも1分その位置に保持し、コーティングを水和させた。次いで、薬物被覆バルーンを、圧力ゲージを備えたシリンジを使用して、食塩水と造影媒体の混液で膨張させた。バルーンを11気圧で膨張させ、8.5mmの膨張直径を達成し、膨張圧力に5分維持した。次いで、バルーンを収縮させ、ヒト対象から引き抜いた。8mm公称径薬物被覆バルーンの延伸比は1.1~1.4であった。拡張狭窄の直径は、拡張後7mmであった。使用後にバルーンに残る残存薬物を分析した。バルーンに残ったパクリタキセル残存量は158μg(初期薬物負荷量の6%)であった。ヒト臨床対象は、最大尿流速およびIPSSスコア測定のために、14日、30日、90日、180日および365日にフォローアップ来院した。さらに、ヒト臨床対象の尿道径を6ヶ月に評価し、視診し、先に処置した領域をフレキシブル膀胱鏡を通すことにより、尿道が16フレンチ(5.3mm)より大きいかを決定した。ヒト臨床対象は、14日、90日、180日および365日のフォローアップ来院時、それぞれ50.0mL/秒、44.0mL/秒、35.0mL/秒および32.0mL/秒の最大尿流速を有した。ヒト臨床対象は、30日、90日および180日のフォローアップ来院時、それぞれ6、4および2のIPSSを有した。ヒト臨床対象は、6ヶ月で16フレンチ(5.3mm)より大きい尿道径を有した。
【0322】
実施例III-2. 非被覆前拡張バルーン、続いて10mm公称径薬物被覆バルーンカテーテルで処置したヒト臨床対象B
対象Bは、前部尿道に1.5cm長×2.0mm直径狭窄を有した。具体的に、前部尿道の球部部分。これは、逆行性尿道造影実施により確定された。ヒト臨床対象は、ベースラインQmax(最大尿流速)2.0mL/秒およびベースラインIPSSスコア24を有した。まず、膀胱鏡を尿道に入れた。次いで、ガイドワイヤを膀胱鏡のワーキングチャネルに入れた。次に公称径10mmおよび長さ20mmを有した前拡張バルーンをガイドワイヤを通して尿道に入れ、バルーンが狭窄をまたぐように配置した。前拡張バルーンを、圧力ゲージを備えたシリンジで20気圧まで膨張させた。シリンジは食塩水と造影媒体の混液を含んだ。バルーンが均一に膨張したことを確実するために、蛍光透視画像を得た。これが確認されたら、バルーンを収縮させ、尿道から引き抜いた。次に公称径10mmおよび長さ30mmを有した薬物被覆バルーンを、ガイドワイヤを通して尿道に入れた。薬物被覆バルーンを、バルーン本体が前拡張狭窄領域を完全に覆うように配置した。薬物被覆バルーンを膨張前に少なくとも1分その位置に保持し、コーティングを水和させた。次いで、薬物被覆バルーンを、圧力ゲージを備えたシリンジを使用して、食塩水と造影媒体の混液で膨張させた。バルーンを10気圧まで5分膨張させた。次いで、バルーンを収縮させ、ヒト対象から引き抜いた。10mm公称径薬物被覆バルーンの延伸比は1.3~1.5であった。拡張狭窄の直径は、拡張後10mmであった。使用後にバルーンに残る残存薬物を分析した。バルーンに残ったパクリタキセル残存量は315μg(初期薬物負荷量の9.5%)であった。ヒト臨床対象は、最大尿流速およびIPSSスコア測定のために、14日、30日、90日および180日にフォローアップ来院した。さらに、ヒト臨床対象の尿道径を6ヶ月に評価し、視診し、先に処置した領域をフレキシブル膀胱鏡を通すことにより、尿道が16フレンチ(5.3mm)より大きいかを決定した。ヒト臨床対象は、14日、30日、90日および180日のフォローアップ来院時、それぞれ19.0mL/秒、13.0mL/秒、18.0mL/秒および16.0mL/秒の最大尿流速を有した。ヒト臨床対象は、30日のフォローアップ来院時、2のIPSSを有した。ヒト臨床対象は、6ヶ月で16フレンチ(5.3mm)より大きい尿道径を有した。
【0323】
実施例III-3. 直視下内部尿道切開(DVIU)、続いて10mm公称径薬物被覆バルーンカテーテルで処置したヒト臨床対象C
対象Cは、前部尿道に1.9cm長×2.0mm直径狭窄を有した。具体的に、前部尿道の球部部分。これは、逆行性尿道造影実施により確定された。ヒト臨床対象は、ベースラインQmax(最大尿流速)1.0mL/秒およびIPSSスコア24を有した。まず、切除鏡を尿道に入れた。次いで、ガイドワイヤを、切除鏡のワーキングチャネルに挿入した。次に切除鏡を使用して、尿道を12時の位置で切開して、狭窄尿道を20フレンチ(6.7mm)より大きく広げた。切開の長さは狭窄の長さであった。次に公称径10mmおよび長さ30mmを有した薬物被覆バルーンを、ガイドワイヤを通して尿道に入れた。薬物被覆バルーンを、バルーン本体が切開狭窄領域を完全に覆うように配置した。薬物被覆バルーンを膨張前に少なくとも1分その位置に保持し、コーティングを水和させた。次いで、薬物被覆バルーンを、圧力ゲージを備えたシリンジを使用して、食塩水と造影媒体の混液で膨張させた。バルーンを10気圧まで5分膨張させた。次いで、バルーンを収縮させ、ヒト対象から引き抜いた。10mm公称径薬物被覆バルーンの延伸比は1.3~1.5であった。拡張狭窄の直径は拡張後9.5mmであった。使用後にバルーンに残る残存薬物を分析した。バルーンに残ったパクリタキセル残存量は264μg(初期薬物負荷量の8%)であった。ヒト臨床対象は、最大尿流速およびIPSSスコア測定のために、14日、30日、90日および180日にフォローアップ来院した。さらに、ヒト臨床対象の尿道径を6ヶ月に評価し、視診し、先に処置した領域をフレキシブル膀胱鏡を通すことにより、尿道が16フレンチ(5.3mm)より大きいかを決定した。ヒト臨床対象は、14日、30日、90日および180日のフォローアップ来院時、それぞれ52.0mL/秒、52.0mL/秒、47.0mL/秒および22.0mL/秒の最大尿流速を有した。ヒト臨床対象は、30日のフォローアップ来院時、0のIPSSを有した。ヒト臨床対象は、6ヶ月で16フレンチ(5.3mm)より大きい尿道径を有した。
【0324】
実施例III-4. 薬物被覆バルーンカテーテルで直接処置したヒト臨床対象D
対象Dは、前部尿道に1.7cm長×2.5mm直径狭窄を有した。具体的に、前部尿道の球部部分。これは、逆行性尿道造影実施により確定された。ヒト臨床対象は、ベースラインQmax(最大尿流速)3.0mL/秒およびベースラインIPSSスコア27を有した。まず、膀胱鏡を尿道に入れた。次いで、ガイドワイヤを膀胱鏡のワーキングチャネルに入れた。次に公称径10mmおよび長さ30mmを有した薬物被覆バルーンを、ガイドワイヤを通して尿道に入れた。薬物被覆バルーンを、バルーン本体が狭窄の中央になるように配置した。薬物被覆バルーンを膨張前に少なくとも1分その位置に保持し、コーティングを水和させた。次いで、薬物被覆バルーンを、圧力ゲージを備えたシリンジを使用して、食塩水と造影媒体の混液で膨張させた。バルーンを10気圧まで5分膨張させた。次いで、バルーンを収縮させ、ヒト対象から引き抜いた。10mm公称径薬物被覆バルーンの延伸比は1.2~1.4であった。拡張狭窄の直径は、拡張後8mmであった。使用後にバルーンに残る残存薬物を分析した。バルーンに残ったパクリタキセル残存量は99μg(初期薬物負荷量の3%)であった。ヒト臨床対象は、最大尿流速およびIPSSスコア測定のために、14日、30日、90日、180日および365日にフォローアップ来院した。さらに、ヒト臨床対象の尿道径を6ヶ月に評価し、視診し、先に処置した領域をフレキシブル膀胱鏡を通すことにより、尿道が16フレンチ(5.3mm)より大きいかを決定した。ヒト臨床対象は、14日、90日、180日および365日のフォローアップ来院時、それぞれ40.0mL/秒、37.0mL/秒、36.0mL/秒および31.0mL/秒の最大尿流速を有した。ヒト臨床対象は、30日、90日、180日および365日のフォローアップ来院時、それぞれ4、2、3および2のIPSSを有した。ヒト臨床対象は、6ヶ月で16フレンチ(5.3mm)より大きい尿道径を有した。
【0325】
パートIV. ヒト対象における良性前立腺肥大処置のための薬物被覆バルーンの試験
材料。2.4μgのパクリタキセル/mmの用量密度の薬物被覆バルーンカテーテルを使用して、臨床試験において狭窄疾患を有していたヒト対象を処置した。薬物被覆バルーンカテーテルは、2気圧の公称膨張圧力で30mm、35mm、40mmおよび45mmの公称径および30mm、35mm、40mm、45mmおよび50mmの拡張時長を有した。バルーンサイズあたりのパクリタキセル(PTX)用量を表7に見ることができる。
【0326】
【表7】
【0327】
薬物被覆バルーンカテーテルは、単一膨張可能バルーンでの単一管腔シャフトデザインを有した。単一管腔は膨張ポート管腔であり、バルーンが食塩水と造影剤液の混液で膨張することを可能とした。薬物被覆バルーンカテーテルシャフトは、膨張シリンジと互換性のルアー型連結部を有する連結管を有した。薬物被覆バルーンカテーテルのマトリクスは4気圧の定格破裂圧力を有した。各薬物被覆バルーンカテーテルは、特定の機能性をもたらす、4つの異なるバルーン特性を有した。4つの特性は、近位バルーンローブ、バルーンネック、遠位バルーンローブおよびクーデチップであった。近位バルーンローブは、バルーン膨張時前立腺尿道を拡張させる。バルーンネックはバルーン膨張中膀胱頸部に固定し、近位バルーンローブの膀胱への移動を阻止する。バルーンネックは、バルーンネック周囲にまかれ、定位置に固定される超高分子量高密度ポリエチレン(UHMHDPE)繊維で強化される。バルーンネック補強材は、バルーンが膨張しても、バルーンネックの直径が増えないことを確実にする。遠位バルーンローブを、位置決めのために使用し、また膀胱頸部拡張およびバルーン膨張中示されるあらゆる前立腺内突出を提供する。バルーンは、高デュロメータポリエチレンオキシドポリアミドブロックコポリマー(74Dペバックス(登録商標))から製造される。クーデチップは、カテーテルを前立腺尿道に入れることを可能とする、特別に曲げられたチップである。クーデチップはシリコーンゴム製であった。カテーテルのバルーン部分は19フレンチの口径までひだ状にし、折り畳んだ。各カテーテルは、カテーテル上に送達シースを有した。送達シースは2つの機能を有した。1つはバルーンの被覆および保護であった。他方は、バルーンカテーテルが尿道に入り、前立腺尿道に配置されることを可能とする、平滑な円筒形カテーテル本体の形成である。
【0328】
尿流測定(Qmax測定)および国際前立腺症状スコア(IPSS)を、パートIIIに記載の方法を使用して実施した。
【0329】
実施例IV-1. 35mm×35mm薬物被覆バルーンカテーテルによる良性前立腺肥大の処置
ヒト対象Aは、3.5cm長前立腺尿道、3.7cm幅前立腺および4.0cm高前立腺を有した。対象の前立腺サイズは38gであった。これは、伝導経直腸超音波(TRUS)により決定した。ヒト臨床対象は、ベースラインQmax(最大尿流速)5.0mL/秒およびベースラインIPSSスコア27を有した。まず、膀胱鏡を尿道に入れて、尿道狭窄を調べ、可視化し、BPHによる前立腺閉塞を評価し、また膀胱頸部および外部括約筋などの解剖学的目印の蛍光透視法像も得た。次いで、膀胱鏡を除き、薬物被覆バルーンを尿道に挿入し、クーデチップが膀胱に行くまで入れた。次に、送達シースを除いて薬物被覆バルーンを露出させ、膀胱鏡をカテーテルシャフトと並べて入れた。次に、薬物被覆バルーンの位置を、バルーンの近位結束が外部括約筋に隣接するようにわずかに調節した。バルーンを膨張前に少なくとも1分膨張させずに維持し、薬物コーティングを水和させた。次いで、薬物被覆バルーンを、圧力ゲージを備えたシリンジを使用して、食塩水と造影媒体の混液で膨張させた。バルーンを、前立腺の前部交連が分割するまで膨張させた。これは、2気圧の圧力で生じた。前部交連が分裂したら、バルーンがさらに膨張したため、圧力を落とした。バルーンをさらに4気圧まで膨張させ、10分維持した。次いで、バルーンを収縮させ、送達シースを尿道に入れて、バルーンをその中に再び入れた。膀胱鏡からのビデオ画像は、前立腺尿道が拡張後少なくとも12~22mmであったことを示した。最後に、カテーテルをヒト対象から引き抜いた。35mm公称径薬物被覆バルーンの延伸比は4.4~4.8であった。使用後にバルーンに残る残存薬物を分析した。バルーンに残ったパクリタキセル残存量は214μg(初期薬物負荷量の3%)であった。ヒト臨床対象は、最大尿流速およびIPSSスコア測定のために、14日、30日、90日、180日および365日にフォローアップ来院した。ヒト臨床対象は、14日、90日、180日および365日のフォローアップ来院時、それぞれ40.0mL/秒、37.0mL/秒、36.0mL/秒および31.0mL/秒の最大尿流速を有した。ヒト臨床対象は、30日、90日、180日および365日のフォローアップ来院時、それぞれ4、2、3および2のIPSSを有した。
【0330】
実施例IV-2. 35mm×45mm薬物被覆バルーンカテーテルによる良性前立腺肥大の処置
ヒト対象Bは、4.6cm長前立腺尿道、3.9cm幅前立腺および4.1cm高前立腺を有した。対象の前立腺サイズは72.5gであった。これは、伝導経直腸超音波(TRUS)により決定した。ヒト臨床対象は、ベースラインQmax(最大尿流速)14.0mL/秒およびベースラインIPSSスコア19を有した。まず、膀胱鏡を尿道に入れて、尿道狭窄を調べ、可視化し、BPHによる前立腺閉塞を評価し、また膀胱頸部および外部括約筋などの解剖学的目印の蛍光透視法像も得た。次いで、膀胱鏡を除き、薬物被覆バルーンを尿道に挿入し、クーデチップが膀胱に行くまで入れた。次に、送達シースを除いて薬物被覆バルーンを露出させ、膀胱鏡をカテーテルシャフトと並べて入れた。次に、薬物被覆バルーンの位置を、バルーンの近位結束が外部括約筋に隣接するようにわずかに調節した。バルーンを膨張前に少なくとも1分膨張させずに維持し、薬物コーティングを水和させた。次いで、薬物被覆バルーンを、圧力ゲージを備えたシリンジを使用して、食塩水と造影媒体の混液で膨張させた。バルーンを、前立腺の前部交連が分割するまで膨張させた。これは、2気圧の圧力で生じた。前部交連が分裂したら、バルーンがさらに膨張したため、圧力を落とした。バルーンをさらに4気圧まで膨張させ、10分維持した。次いで、バルーンを収縮させ、送達シースを尿道に入れて、バルーンをその中に再び入れた。膀胱鏡からのビデオ画像は、前立腺尿道が拡張後少なくとも20~30mmであったことを示した。最後に、カテーテルをヒト対象から引き抜いた。35mm公称径薬物被覆バルーンの延伸比は4.4~4.8であった。使用後にバルーンに残る残存薬物を分析した。バルーンに残ったパクリタキセル残存量は167μg(初期薬物負荷量の3%)であった。ヒト臨床対象は、最大尿流速およびIPSSスコア測定のために、14日、30日、90日、180日および365日にフォローアップ来院した。ヒト臨床対象は、14日、90日、180日および365日のフォローアップ来院時、それぞれ23.0mL/秒、24.0mL/秒、25.0mL/秒、21.0mL/秒の最大尿流速を有した。ヒト臨床対象は、30日、90日、180日および365日のフォローアップ来院時、それぞれ7、7、6および5のIPSSを有した。
【0331】
実施例IV-3. 40mm×45mm薬物被覆バルーンカテーテルによる良性前立腺肥大の処置
ヒト対象Cは、4.8cm長前立腺尿道、5.0cm幅前立腺および3.9cm高前立腺を有した。対象の前立腺サイズは50gであった。これは、伝導経直腸超音波(TRUS)により決定した。ヒト臨床対象は、ベースラインQmax(最大尿流速)12.0mL/秒およびベースラインIPSSスコア29を有した。まず、膀胱鏡を尿道に入れて、尿道狭窄を調べ、可視化し、BPHによる前立腺閉塞を評価し、また膀胱頸部および外部括約筋などの解剖学的目印の蛍光透視法像も得た。次いで、膀胱鏡を除き、薬物被覆バルーンを尿道に挿入し、クーデチップが膀胱に行くまで入れた。次に、送達シースを除いて薬物被覆バルーンを露出させ、膀胱鏡をカテーテルシャフトと並べて入れた。次に、薬物被覆バルーンの位置を、バルーンの近位結束が外部括約筋に隣接するようにわずかに調節した。バルーンを膨張前に少なくとも1分膨張させずに維持し、薬物コーティングを水和させた。次いで、薬物被覆バルーンを、圧力ゲージを備えたシリンジを使用して、食塩水と造影媒体の混液で膨張させた。バルーンを、前立腺の前部交連が分裂するまで膨張させた。これは、2気圧の圧力で生じた。前部交連が分割したら、バルーンがさらに膨張したため、圧力を落とした。バルーンをさらに4気圧まで膨張させ、10分維持した。次いで、バルーンを収縮させ、送達シースを尿道に入れて、バルーンをその中に再び入れた。膀胱鏡からのビデオ画像は、前立腺尿道が拡張後少なくとも23~33mmであったことを示した。最後に、カテーテルをヒト対象から引き抜いた。40mm公称径薬物被覆バルーンの延伸比は4.0~5.0であった。使用後にバルーンに残る残存薬物を分析した。バルーンに残ったパクリタキセル残存量は312μg(初期薬物負荷量の3%)であった。ヒト臨床対象は、最大尿流速およびIPSSスコア測定のために、14日、30日、90日、180日および365日にフォローアップ来院した。ヒト臨床対象は、14日、90日、180日および365日のフォローアップ来院時、それぞれ21.0mL/秒、25.0mL/秒、26.0mL/秒および23.0mL/秒の最大尿流速を有した。ヒト臨床対象は、30日、90日、180日および365日のフォローアップ来院時、それぞれ12、8、6および4のIPSSを有した。
【0332】
実施例IV-4. 35mm×35mm非被覆バルーンカテーテル、続いて40mmの×45mm薬物被覆バルーンカテーテルによる良性前立腺肥大の処置
ヒト対象Dは4.1cm長前立腺尿道、3.7cm幅前立腺および2.6cm高前立腺を得油下。対象の前立腺サイズは21gであった。これは、伝導経直腸超音波(TRUS)により決定した。ヒト臨床対象は、ベースラインQmax(最大尿流速)14.0mL/秒およびベースラインIPSSスコア33を有した。まず、膀胱鏡を尿道に入れて、前部尿道狭窄を調べ、また膀胱頸部および外部括約筋などの解剖学的目印の蛍光透視法像も得た。次いで、膀胱鏡を除き、非被覆バルーンカテーテルを尿道に挿入し、クーデチップが膀胱に行くまで入れた。次に、送達シースを除いて非被覆バルーンを露出させ、膀胱鏡をカテーテルシャフトと並べて入れた。次に、非被覆バルーンの位置を、バルーンの近位結束が外部括約筋に隣接するようにわずかに調節した。次いで、非被覆バルーンを、圧力ゲージを備えたシリンジを使用して、食塩水と造影媒体の混液で膨張させた。バルーンを、前立腺の前部交連が分裂するまで膨張させた。これは、2気圧の圧力で生じた。前部交連が分割したら、バルーンがさらに膨張したため、圧力を落とした。バルーンをさらに3気圧まで膨張させ、2分維持した。次いで、膀胱鏡を除き、非被覆バルーンを送達シースを使用して再捕捉し、除いた。次に薬物被覆バルーンを尿道に挿入し、クーデチップが膀胱に行くまで入れた。次いで、送達シースを除いて薬物被覆バルーンを露出させ、膀胱鏡をカテーテルシャフトと並べて入れた。次に、薬物被覆バルーンの位置を、バルーンの近位結束が外部括約筋に隣接するようにわずかに調節した。バルーンを膨張前に少なくとも1分膨張させずに維持し、薬物コーティングを水和させた。次いで、薬物被覆バルーンを、圧力ゲージを備えたシリンジを使用して、食塩水と造影媒体の混液で膨張させた。バルーンを4気圧まで膨張させ、10分維持した。膀胱鏡からのビデオ画像は、前立腺尿道が拡張後少なくとも20~30mmであったことを示した。次いで、バルーンを収縮させ、送達シースを尿道に入れて、バルーンをその中に再び入れた。最後に、カテーテルをヒト対象から引き抜いた。40mm公称径薬物被覆バルーンの延伸比は4.0~5.0であった。使用後にバルーンに残る残存薬物を分析した。バルーンに残ったパクリタキセル残存量は247μg(初期薬物負荷量の5%)であった。ヒト臨床対象は、最大尿流速およびIPSSスコア測定のために、14日、30日、90日、180日および365日にフォローアップ来院した。ヒト臨床対象は、14日、90日、180日および365日のフォローアップ来院時、それぞれ27.0mL/秒、32.0mL/秒、36.0mL/秒および32.0mL/秒の最大尿流速を有した。ヒト臨床対象は、30日、90日、180日および365日のフォローアップ来院時、それぞれ10、8、7および6のIPSSを有した。
【0333】
用いている用語および表現は、限定ではなく、記載の用語として使用し、このような用語および表現の使用により、ここに示し、かつ記載した特性のあらゆる均等物またはその一部を除外する意図はなく、むしろ、本発明の実施態様の範囲内で種々の修飾が可能であることは認識される。それ故に、本発明が特定の実施態様および任意の特性により具体的に開示されているが、ここに開示する概念の修飾および変更は、当業者より用いられ得て、このような修飾および変更が本発明の実施態様の範囲内であると考えられることは理解されるべきである。
【0334】
例示的実施態様
次の例示的実施態様が提供され、その番号付けは、重要度を指定すると解釈すべきではない。
【0335】
実施態様1は、体腔狭窄の標的部位に治療剤を送達するための薬物被覆バルーンカテーテルであって、バルーンカテーテルが
主直径を有する細長いバルーン;および
バルーンの外表面を覆うコーティング層を含み、ここで、コーティング層が1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含むものである、バルーンカテーテルを提供する。
【0336】
実施態様2は、バルーンが、バルーン上にバルーンが膨張したときに主直径より小さい直径を含む少なくとも1つのネック部を含み、該少なくとも1つのネック部がバルーンを各々一定直径を有する少なくとも2つの要部に分割する、実施態様1のバルーンカテーテルを提供する。
【0337】
実施態様3は、主直径が少なくとも13mmまたは少なくとも15mmまたは少なくとも20mmまたは少なくとも30mmまたは少なくとも35mmである、実施態様2のバルーンカテーテルを提供する。
【0338】
実施態様4は、少なくとも2つの要部の直径が細長いバルーンの主直径と同一であるかまたは少なくとも1つのネック部が少なくとも2つの要部の少なくとも1つの直径の約5%~約99%である直径を有する、実施態様2のバルーンカテーテルを提供する。
【0339】
実施態様5は、少なくとも1つのネック部が独立して約5mm~約35mmである直径を有する、実施態様2~4の何れかのバルーンカテーテルを提供する。
【0340】
実施態様6は、少なくとも1つのネック部がバルーン膨張中実質的に静止している、実施態様2~5の何れかのバルーンカテーテルを提供する。
【0341】
実施態様7は、少なくとも1つのネック部がバルーンの実質的非弾性部分、バルーンの補強部分またはそれらの組み合わせを含む、実施態様2~6の何れかのバルーンカテーテルを提供する。
【0342】
実施態様8は、少なくとも1つのネック部がネック部の外周周囲に非弾性材料を含む、実施態様2~7の何れかのバルーンカテーテルを提供する。
【0343】
実施態様9は、非弾性材料が超高分子量ポリエチレン、ナイロン、ポリアミドまたはそれらの組み合わせを含む、実施態様8のバルーンカテーテルを提供する。
【0344】
実施態様10は、細長いバルーンが約20mm~約160mmの長さを有する、前記実施態様の何れかのバルーンカテーテルを提供する。
【0345】
実施態様11は、少なくとも2つの要部の直径が約5mm~約45mmである、実施態様2~10の何れかのバルーンカテーテルを提供する。
【0346】
実施態様12は、少なくとも1つのネック部がバルーン長の約1%~約50%である、実施態様2~11の何れかのバルーンカテーテルを提供する。
【0347】
実施態様13は、少なくとも1つのネック部が1つのネック部であり、バルーンが他のネック部を有しない、実施態様2~12の何れかのバルーンカテーテルを提供する。
【0348】
実施態様14は、少なくとも1つのネック部が2つのネック部であり、バルーンが他のネック部を有しない、実施態様2~12の何れかのバルーンカテーテルを提供する。
【0349】
実施態様15は、2つのネック部がほぼ同じ直径を有する、実施態様14のバルーンカテーテルを提供する。
【0350】
実施態様16は、2つのネック部の一方が他方のネック部より小さい直径を有する、実施態様14のバルーンカテーテルを提供する。
【0351】
実施態様17は、2つのネック部がバルーン長の中央に対して対称に位置する、実施態様14~16の何れかのバルーンカテーテルを提供する。
【0352】
実施態様18は、バルーンカテーテルが2つのネック部により分けられた3つの要部を含む、実施態様14~17の何れかのバルーンカテーテルを提供する。
【0353】
実施態様19は、少なくとも1つのネック部が3つのネック部であり、ここで、バルーンが他のネック部を有しない、実施態様2~18の何れかのバルーンカテーテルを提供する。
【0354】
実施態様20は、3つのネック部が3つのネック部により離された4つの要部を提供するように配置される、実施態様19のバルーンカテーテルを提供する。
【0355】
実施態様21は、バルーンの長手方向末端上のカテーテルシャフトであって、ガス、液体またはそれらの組み合わせのバルーン内部への送達のための内部管腔を含むカテーテルシャフトを含む、前記実施態様の何れかのバルーンカテーテルを提供する。
【0356】
実施態様22は、非侵襲的クーデチップを含む、前記実施態様の何れかのバルーンカテーテルを提供する。
【0357】
実施態様23は、治療剤がパクリタキセル、ドセタキセル、タキソール、そのアナログ、ラパマイシン、シロリムス、エベロリムス、タクロリムス、mTOR阻害剤、そのアナログおよびそれらの組み合わせから選択される、前記実施態様の何れかのバルーンカテーテルを提供する。
【0358】
実施態様24は、水溶性添加物がN-アセチルグルコサミン、N-オクチル-D-グルコンアミド、N-ノナノイル-N-メチルグルカミン、N-オクタノイル-N-メチルグルタミン、C6-セラミド、ジヒドロ-C6-セラミド、セレブロシド、スフィンゴミエリン、ガラクトセレブロシド、ラクトセレブロシド、N-アセチル-D-スフィンゴシン、N-ヘキサノイル-D-スフィンゴシン、N-オクトノイル-D-スフィンゴシン、N-ラウロイル-D-スフィンゴシン、N-パルミトイル-D-スフィンゴシン、N-オレオイル-D-スフィンゴシン、PEGカプリル/カプリン酸ジグリセライド、PEG8カプリル/カプリン酸グリセライド、PEGカプリレート、PEG8カプリレート、PEGカプレート、PEGカプロエート、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノカプロン酸グリセリル、モノラウリン、モノカプリン、モノカプリリン、モノミリスチン、モノパルミトレイン、モノオレイン、クレアチン、クレアチニン、アグマチン、シトルリン、グアニジン、スクラロース、アスパルテーム、ヒポキサンチン、テオブロミン、テオフィリン、アデニン、ウラシル、ウリジン、グアニン、チミン、チミジン、キサンチン、キサントシン、一リン酸キサントシン、カフェイン、アラントイン、(2-ヒドロキシエチル)尿素、N,N’-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、ペンタエリスリトールエトキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート/エトキシレート、グリセロールエトキシレート、グリセロールプロポキシレート、トリメチロールプロパンエトキシレート、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、クラウンエーテル、18-クラウン-6、15-クラウン-5、12-クラウン-4およびそれらの組み合わせから選択される、前記実施態様の何れかのバルーンカテーテルを提供する。
【0359】
実施態様25は、水溶性添加物がペンタエリスリトールエトキシレートおよびペンタエリスリトールプロポキシレートおよびそれらの組み合わせから選択される、実施態様24のバルーンカテーテルを提供する。
【0360】
実施態様26は、水溶性添加物が界面活性剤である第一水溶性添加物を含む、実施態様1~23の何れかのバルーンカテーテルを提供する。
【0361】
実施態様27は、第一水溶性添加物がPEGソルビタンモノラウレート、PEGソルビタンモノオレアートまたはそれらの組み合わせである、実施態様26のバルーンカテーテルを提供する。
【0362】
実施態様28は、水溶性添加物がヒドロキシル、アミン、カルボニル、カルボキシルまたはエステルである1以上の部分を有する化合物である第二水溶性添加物を含む、前記実施態様の何れかのバルーンカテーテルを提供する。
【0363】
実施態様29は、第二水溶性添加物がソルビトール、ソルビタン、キシリトール、グルコノラクトンまたはそれらの組み合わせである、実施態様28のバルーンカテーテルを提供する。
【0364】
実施態様30は、使用後残存薬物量が初期薬物負荷量の約70%以下である、前記実施態様の何れかのバルーンカテーテルを提供する。
【0365】
実施態様31は、初期薬物負荷量が、バルーンがその公称径であるときに測定して、バルーン1mmあたり約1μg~約20μgの治療剤である、前記実施態様の何れかのバルーンカテーテルを提供する。
【0366】
実施態様32は、初期薬物負荷量が、バルーンがその公称径であるときに測定して、バルーン1mmあたり約2~約6μgの治療剤である、前記実施態様の何れかのバルーンカテーテルを提供する。
【0367】
実施態様33は、体腔が非血管体腔または血管体腔である、前記実施態様の何れかのバルーンカテーテルを提供する。
【0368】
実施態様34は、体腔が冠血管動脈および末梢動脈の1つである血管管腔または食道、気道、副鼻腔、気管、結腸、胆管、胃、小腸、十二指腸、空腸、回腸、直腸、大腸、尿路、前立腺、尿道および輸尿管の1つである非血管体腔である、前記実施態様の何れかのバルーンカテーテルを提供する。
【0369】
実施態様35は、コーティング層中の治療剤対コーティング層中の1以上の水溶性添加物の総重量の重量比が約0.05~約20である、前記実施態様の何れかのバルーンカテーテルを提供する。
【0370】
実施態様36は、コーティング層中の治療剤対コーティング層中の1以上の水溶性添加物の総重量の重量比が約0.5~約8である、前記実施態様の何れかのバルーンカテーテルを提供する。
【0371】
実施態様37は、コーティング層中の治療剤対コーティング層中の1以上の水溶性添加物の総重量の重量比が約2~約6である、前記実施態様の何れかのバルーンカテーテルを提供する。
【0372】
実施態様38は、バルーンカテーテルが約1.0~約20の延伸比を有する、前記実施態様の何れかのバルーンカテーテルを提供する。
【0373】
実施態様39は、バルーンカテーテルが細長いバルーンを覆うシースをさらに含む、前記実施態様の何れかのバルーンカテーテルを提供する。
【0374】
実施態様40は、バルーンカテーテルが、体腔が水、食塩水溶液または少なくとも1つの水溶性添加物を含む水溶液で洗い流された後、該体腔の標的部位に治療剤を送達するためのものである、前記実施態様の何れかのバルーンカテーテルを提供する。
【0375】
実施態様41は、体腔狭窄を処置する方法であって、
バルーンカテーテルを体腔狭窄の標的部位へ挿入し、バルーンカテーテルは
細長いバルーンおよび
バルーンの外表面を覆うコーティング層を含み、ここで、コーティング層が1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含むものであり;
膨張時間の間コーティング層が標的部位で体腔の壁に接触し、かつバルーンが膨張バルーン直径を達成するまでバルーンを膨張させ、ここで
a)膨張バルーン直径対標的部位での常態体腔直径の比が約1.0~約20であるかまたは
b)膨張が、バルーンカテーテルの公称圧力と同程度以上までバルーンを膨張させることを含み、バルーンカテーテル対標的部位での常態体腔直径の公称径の延伸比が約1.0~約20であるかまたは
c)膨張がバルーンカテーテルの公称圧力を超える圧力まで膨張させることを含み、バルーンカテーテルの公称径が膨張バルーン直径未満であるかまたは
d)(a)、(b)および(c)の組み合わせであり;
膨張時間後バルーンを収縮させ;そして
バルーンカテーテルを体腔から引き抜くことを含む、方法を提供する。
【0376】
実施態様42は、バルーンカテーテルが近位ウエスト、遠位ウエスト、主本体直径およびバルーン上にバルーンが膨張したときの主直径より小さい直径を有する少なくとも1つのネック部を含む細長いバルーンを含み、該少なくとも1つのネック部がバルーンを各々一定の直径を有する少なくとも2つの要部に分ける、実施態様41の方法を提供する。
【0377】
実施態様43は、少なくとも2つの要部の直径が細長いバルーンの主直径に等しい、実施態様42の方法を提供する。
【0378】
実施態様44は、バルーンの標的部位への挿入前に、体腔を水、食塩水溶液または少なくとも1つの水溶性添加物を含む水溶液で洗い流すことをさらに含む、実施態様41~43の何れかの方法を提供する。
【0379】
実施態様45は、体腔が前立腺であり、ここで、バルーンカテーテルの挿入が前立腺におけるバルーンカテーテル要部の1つの位置決めおよび膀胱におけるバルーンカテーテルの第二要部の位置決めを含む、実施態様42~44の何れかの方法を提供する。
【0380】
実施態様46は、挿入が膀胱頸部におけるバルーンの少なくとも1つのネック部の位置決めを含む、実施態様45の方法を提供する。
【0381】
実施態様47は、膨張がバルーン内の圧力を約0.1~約10気圧/分の速度で増加することを含む、実施態様41~46の何れかの方法を提供する。
【0382】
実施態様48は、膨張がバルーン内の圧力の観察を含む、実施態様41~47の何れかの方法を提供する。
【0383】
実施態様49は、膨張がバルーンを第一圧力まで膨張させ、バルーン内の圧力をバルーン内の第一圧力を安定化時間維持しながら安定化させ、次いで所望の膨張直径が達成されるまでバルーンの圧力増加を再開させることを含む、実施態様41~48の何れかの方法を提供する。
【0384】
実施態様50は、膨張時間が約0.1分~約7日、0.1分~約1日、約0.1~約10分または約1~約10分である、実施態様41~49の何れかの方法を提供する。
【0385】
実施態様51は、方法が血管管腔、非血管管腔、冠動脈、末梢動脈、良性前立腺肥大(BPH)狭窄、尿道、輸尿管、前立腺、食道、ステント内の狭窄、胆管、胃、小腸、十二指腸、空腸、回腸、結腸、直腸、大腸、副鼻腔、喘息または慢性閉塞性肺疾患(COPD)の処置方法である、実施態様41~50の何れかの方法を提供する。
【0386】
実施態様52は、方法が良性前立腺肥大処置のための、肥大前立腺を開裂するまたは交連切開を作る方法である、実施態様41~51の何れかの方法を提供する。
【0387】
実施態様53は、体腔における狭窄が尿道狭窄、良性前立腺肥大(BPH)狭窄、輸尿管狭窄、食道狭窄、ステント内の狭窄、副鼻腔狭窄、胆管狭窄、胃狭窄、小腸狭窄、十二指腸狭窄、空腸狭窄、回腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄、大腸狭窄、前立腺癌狭窄および気道狭窄の1つである、実施態様41~52の何れかの方法を提供する。
【0388】
実施態様54は、方法が良性前立腺肥大、前立腺癌またはそれらの組み合わせを処置する方法であって、ここで、体腔が前立腺である、実施態様53の方法を提供する。
【0389】
実施態様55は、1以上の水溶性添加物が膨張時間の間標的部位でバルーンからの治療剤の迅速な放出を促進する、実施態様41~54の何れかの方法を提供する。
【0390】
実施態様56は、バルーンが引き抜いた後に残存薬物量を有する、実施態様41~55の何れかの方法を提供する。
【0391】
実施態様57は、バルーンが引き抜いた後に初期薬物負荷量の約70%未満である残存薬物量を有する、実施態様56の方法を提供する。
【0392】
実施態様58は、バルーンカテーテルがさらにバルーンを覆うシースを含み、ここで、シースがバルーン膨張前にバルーンから除かれる、実施態様41~57の何れかの方法を提供する。
【0393】
実施態様59は、スコープがバルーンカテーテルを正しく配置するのに使用される、実施態様41~57の何れかの方法を提供する。
【0394】
実施態様60は、スコープが内視鏡、小腸内視鏡、大腸内視鏡、S状結腸鏡、直腸鏡、肛門鏡、鼻鏡、気管支鏡または膀胱鏡である、実施態様59の方法を提供する。
【0395】
実施態様61は、バルーンカテーテルがスコープの管腔内に配置される、実施態様59~60の何れかの方法を提供する。
【0396】
実施態様62は、バルーンカテーテルが体腔にあるときスコープと並んで配置される、実施態様59~60の何れかの方法を提供する。
【0397】
実施態様63は、体腔が前立腺尿道であり、バルーンカテーテルを標的部位に挿入するとき、バルーンカテーテルの近位ウエストを前立腺尿道の外部括約筋に配置するためにスコープが使用される、実施態様42~62の何れかの方法を提供する。
【0398】
実施態様64は、前拡張バルーンを標的部位の体腔に挿入し、前拡張バルーンを膨張させ、前拡張バルーンを除いた後に薬物被覆バルーンカテーテルを挿入することをさらに含む、実施態様41~63の何れかの方法を提供する。
【0399】
実施態様65は、バルーンカテーテルが1.0、1.1、1.2または1.31~10の膨張バルーン直径対標的部位での常態体腔直径の比を有するかまたはバルーンカテーテルが1.0、1.1、1.2または1.31~10のバルーン公称径対標的部位での常態体腔直径の延伸比を有するかまたはそれらの組み合わせを有する、実施態様41~64の何れかの方法を提供する。
【0400】
実施態様66は、体腔狭窄を処置する方法であって、
体腔狭窄にスコープを挿入し;
薬物コーティングを有するバルーンカテーテルを体腔狭窄に挿入し;
バルーンカテーテルを0.5気圧~1.5気圧の初期圧力まで膨張させ、圧力が落ちなくなるまで初期圧力を維持し;
初期圧力より少なくとも0.5気圧~1.5気圧上の次に高い圧力まで膨張させ、次に高い圧力をバルーン内の圧力がもはや落ちなくなるまで維持し;
次に高い圧力までの膨張と維持を管腔が所望の直径まで拡張されるまで反復し;
薬物を組織に放出させ、出血を防止するためにバルーンを1分~7日膨張を維持し;
バルーンカテーテルを収縮させ;そして
体腔からスコープおよびバルーンカテーテルを引き抜くことを含む、方法を提供する。
【0401】
実施態様67は、スコープおよびバルーンカテーテルが体腔に並べて配置される、実施態様66の方法を提供する。
【0402】
実施態様68は、バルーンカテーテルが体腔への挿入前にスコープに充填される、実施態様66の方法を提供する。
【0403】
実施態様69は、体腔の所望の直径が処置位置での体腔の常態直径の1.0~20倍である、実施態様66~68の何れかの方法を提供する。
【0404】
実施態様70は、バルーンカテーテルがさらにバルーンを覆うシースを含み、ここで、シースが初期圧力までバルーン膨張前にバルーンから除かれる、実施態様66~69の何れかの方法を提供する。
【0405】
実施態様71は、体腔狭窄を処置する方法であって、
体腔狭窄にフレキシブルスコープを挿入し;
スコープと並べてバルーンカテーテルを体腔狭窄に挿入し;
バルーンカテーテルを狭窄に挿入する前、挿入中またはその後に水、食塩水または水溶性添加物の溶液で洗い流し;
0.5気圧~1.5気圧の初期圧力まで膨張させ、圧力が落ちなくなるまで初期圧力を維持し;
初期圧力より0.5気圧~1.5気圧上の高い圧力まで膨張させ、バルーン内の圧力が落ちなくなるまで高い圧力を維持し;
高い圧力への膨張および維持を体腔の組織が生じるまで反復し;
薬物を組織に放出させ、出血を防止するためにバルーンを1分~7日膨張を維持し;
バルーンカテーテルを収縮させ;そして
体腔からスコープおよびバルーンカテーテルアセンブリを引き抜くことを含む、方法を提供する。
【0406】
実施態様72は、Qmaxを増加させる方法であって、
バルーンカテーテルを尿路狭窄における標的部位に挿入させ、バルーンカテーテルは、細長いバルーンおよびバルーンの外表面を覆うコーティング層を含み、ここで、コーティング層が1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含むものであり;
バルーンを膨張時間の間コーティング層が尿路狭窄の壁に接触するまで膨張させ、ここで
a)膨張バルーン直径対標的部位での常態尿路直径の比が約1.0~約20であるかまたは
b)膨張が、バルーンカテーテルの公称圧力と同程度以上までバルーンを膨張させることを含み、バルーンカテーテルの公称径対標的部位での常態尿路直径の延伸比が約1.0~約20であるかまたは
c)膨張がバルーンカテーテルの公称圧力を超える圧力まで膨張させることを含み、バルーンカテーテルの公称径が膨張バルーン直径未満であるかまたは
d)(a)、(b)および(c)の組み合わせであり;
膨張時間後バルーンを収縮させ;そして
尿路からバルーンカテーテルを引き抜くことを含み;
ここで、Qmaxを最低15mL/秒まで増加させるものである、方法を提供する。
【0407】
実施態様73は、標的部位が尿道狭窄である、実施態様72の方法を提供する。
【0408】
実施態様74は、膨張バルーン直径対標的部位での体腔の常態直径の比が約1.31~約20であるかまたはバルーンカテーテルの公称径対標的部位での常態体腔直径の延伸比が約1.31~約20であるかまたはそれらの組み合わせである、実施態様73の方法を提供する。
【0409】
実施態様75は、標的部位が前立腺である、実施態様72の方法を提供する。
【0410】
実施態様76は、細長いバルーンが主直径およびバルーンを少なくとも2つの要部に分ける少なくとも1つのネック部を有し、ネック部がバルーンが膨張したときバルーンの主直径より小さい直径を含む、実施態様75の方法を提供する。
【0411】
実施態様77は、少なくとも2つのバルーンの要部各々が、バルーンが膨張したとき、バルーンの要部に等しい直径を有する、実施態様76の方法を提供する。
【0412】
実施態様78は、Qmaxが最初の処置6ヶ月後なお15mL/秒を超える、実施態様72~77の何れかの方法を提供する。
【0413】
実施態様79は、Qmaxが最初の処置12ヶ月後なお15mL/秒を超える、実施態様72~78の何れかの方法を提供する。
【0414】
実施態様80は、国際前立腺症状スコア(IPSS)を低下させる方法であって、
バルーンカテーテルを尿路狭窄における標的部位に挿入させ、バルーンカテーテルは、細長いバルーンおよびバルーンの外表面を覆うコーティング層を含み、ここで、コーティング層が1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含むものであり;
バルーンを膨張時間の間コーティング層が尿路狭窄の壁に接触するまで膨張させ、ここで
a)膨張バルーン直径対標的部位での常態体腔直径の比が約1.0~約20であるかまたは
b)膨張が、バルーンカテーテルの公称圧力と同程度以上までバルーンを膨張させることを含み、バルーンカテーテル対標的部位での常態体腔直径の公称径の延伸比が約1.0~約20であるかまたは
c)膨張がバルーンカテーテルの公称圧力を超える圧力まで膨張させることを含み、バルーンカテーテルの公称径が膨張バルーン直径未満であり、かつ公称圧力が膨張圧力未満であるかまたは
d)(a)、(b)および(c)の組み合わせであり;
膨張時間後バルーンを収縮させ;そして
尿路狭窄からバルーンカテーテルを引き抜くことを含み;
ここで、IPSSを14以下まで低下させるものである、方法を提供する。
【0415】
実施態様81は、標的部位が尿道狭窄である、実施態様80の方法を提供する。
【0416】
実施態様82は、膨張バルーン直径対標的部位での体腔の常態直径の比が約1.31~約20であるかまたはバルーンカテーテルの最小直径対標的部位での常態体直径の延伸比が約1.31~約20であるまたはそれらの組み合わせである、実施態様81の方法を提供する。
【0417】
実施態様83は、標的部位が前立腺である、実施態様80の方法を提供する。
【0418】
実施態様84は、細長いバルーンが主直径およびバルーンを少なくとも2つの要部に分ける少なくとも1つのネック部を有し、ネック部がバルーンが膨張したときバルーンの主直径より小さい直径を含む、実施態様83の方法を提供する。
【0419】
実施態様85は、少なくとも2つのバルーンの要部各々が、バルーンが膨張したとき、バルーンの要部に等しい直径を有する、実施態様84の方法を提供する。
【0420】
実施態様86は、IPSSが最初の処置6ヶ月後なお14未満である、実施態様80~85の何れかの方法を提供する。
【0421】
実施態様87は、IPSSが最初の処置12ヶ月後なお14未満である、実施態様80~86の何れかの方法を提供する。
【0422】
実施態様88は、治療剤がパクリタキセル、ドセタキセル、タキソール、そのアナログ、ラパマイシン、シロリムス、エベロリムス、タクロリムス、mTOR阻害剤、そのアナログおよびそれらの組み合わせから選択される、実施態様72~87の何れかの方法を提供する。
【0423】
実施態様89は、水溶性添加物がN-アセチルグルコサミン、N-オクチル-D-グルコンアミド、N-ノナノイル-N-メチルグルカミン、N-オクタノイル-N-メチルグルタミン、C6-セラミド、ジヒドロ-C6-セラミド、セレブロシド、スフィンゴミエリン、ガラクトセレブロシド、ラクトセレブロシド、N-アセチル-D-スフィンゴシン、N-ヘキサノイル-D-スフィンゴシン、N-オクトノイル-D-スフィンゴシン、N-ラウロイル-D-スフィンゴシン、N-パルミトイル-D-スフィンゴシン、N-オレオイル-D-スフィンゴシン、PEGカプリル/カプリン酸ジグリセライド、PEG8カプリル/カプリン酸グリセライド、PEGカプリレート、PEG8カプリレート、PEGカプレート、PEGカプロエート、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノカプロン酸グリセリル、モノラウリン、モノカプリン、モノカプリリン、モノミリスチン、モノパルミトレイン、モノオレイン、クレアチン、クレアチニン、アグマチン、シトルリン、グアニジン、スクラロース、アスパルテーム、ヒポキサンチン、テオブロミン、テオフィリン、アデニン、ウラシル、ウリジン、グアニン、チミン、チミジン、キサンチン、キサントシン、一リン酸キサントシン、カフェイン、アラントイン、(2-ヒドロキシエチル)尿素、N,N’-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、ペンタエリスリトールエトキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート/エトキシレート、グリセロールエトキシレート、グリセロールプロポキシレート、トリメチロールプロパンエトキシレート、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、クラウンエーテル、18-クラウン-6、15-クラウン-5、12-クラウン-4およびそれらの組み合わせから選択される、実施態様72~88の何れかの方法を提供する。
【0424】
実施態様90は、水溶性添加物がペンタエリスリトールエトキシレートおよびペンタエリスリトールプロポキシレートおよびそれらの組み合わせから選択される、実施態様89の方法を提供する。
【0425】
実施態様91は、水溶性添加物が界面活性剤である第一水溶性添加物を含む、実施態様72~90の何れかの方法を提供する。
【0426】
実施態様92は、第一水溶性添加物がPEGソルビタンモノラウレート、PEGソルビタンモノオレアートまたはそれらの組み合わせである、実施態様91の方法を提供する。
【0427】
実施態様93は、水溶性添加物がヒドロキシル、アミン、カルボニル、カルボキシルまたはエステルである1以上の部分を有する化合物である第二水溶性添加物を含む、実施態様72~92の何れかの方法を提供する。
【0428】
実施態様94は、尿道が尿道へのバルーンカテーテル挿入前に水、食塩水または水溶性添加物の溶液で洗い流される、実施態様72~93の何れかの方法を提供する。
【0429】
実施態様95は、バルーンが尿道へのバルーンカテーテル挿入前に水、食塩水または水溶性添加物の溶液で濡らされる、実施態様72~94の何れかの方法を提供する。
【0430】
実施態様96は、バルーンが、バルーンが公称径であるときに測定して、バルーン1mmあたり約2~約6μgの治療剤が充填されている、実施態様72~95の何れかの方法を提供する。
【0431】
実施態様97は、スコープがバルーンカテーテルを正しく配置するのに使用され、ここで、位置バルーン(例えば、膀胱内)がバルーンカテーテルを正しく配置するのに使用されるまたはそれらの組み合わせである、実施態様72~96の何れかの方法を提供する。
【0432】
実施態様98は、スコープが内視鏡、小腸内視鏡、大腸内視鏡、S状結腸鏡、直腸鏡、肛門鏡、鼻鏡、気管支鏡または膀胱鏡の1つである、実施態様97の方法を提供する。
【0433】
実施態様99は、バルーンカテーテルがスコープの管腔内に配置される、実施態様72~98の何れかの方法を提供する。
【0434】
実施態様100は、バルーンカテーテルが体腔にあるときスコープと並んで配置される、実施態様72~99の何れかの方法を提供する。
【0435】
実施態様101は、体腔が前立腺尿道であり、バルーンカテーテルを標的部位に挿入するとき、バルーンカテーテルの近位ウエストを前立腺尿道の外部括約筋に配置するためにスコープが使用される、実施態様72~100の何れかの方法を提供する。
【0436】
実施態様102は、前拡張バルーンを標的部位の体腔に挿入し、前拡張バルーンを膨張させ、前拡張バルーンを除いた後に薬物被覆バルーンカテーテルを挿入することをさらに含む、実施態様72~101の何れかの方法を提供する。
【0437】
実施態様103は、バルーンカテーテルが膨張バルーン直径対標的部位での体腔の常態直径1.31~15まで膨張するかまたはバルーンカテーテルがバルーン公称径対標的部位での体腔の常態直径1.31~15の延伸比を有するかまたはそれらの組み合わせを有する、実施態様72~102の何れかの方法を提供する。
【0438】
実施態様104は、薬物被覆バルーンカテーテルで体腔を処置する前に直視下内尿道切開術(DVIU)を実施することをさらに含む、実施態様41~103の何れかの方法を提供する。
【0439】
実施態様105は、良性前立腺肥大処置のための、肥大前立腺を開裂するまたは交連切開を作る方法であって、
薬物被覆バルーンカテーテル・シースアセンブリおよびスコープを挿入し;
スコープおよびバルーンカテーテルを並べて外部括約筋近くに置き;
バルーン上からシースを除き、圧力が低下し、前立腺組織が生じ、交連切開が作られるまで、ゆっくり膨張させ;
前立腺をさらに拡張させるために、定格破裂圧力までさらに圧力を上げ;
薬物を組織に放出させ、出血を防止するためにバルーンを1分~7日膨張を維持し;
バルーンカテーテルを収縮させ、バルーンをシースに収め;そして
スコープおよびバルーンカテーテルアセンブリを体腔から引き抜くことを含み、ここで
a)膨張バルーン直径対標的部位での常態体腔直径の比が約1.0~約20であるかまたは
b)膨張が、バルーンカテーテルの公称圧力と同程度以上までバルーンを膨張させることを含み、バルーンカテーテル対標的部位での常態体腔直径の公称径の延伸比が約1.0~約20であるかまたは
c)膨張がバルーンカテーテルの公称圧力を超える圧力まで膨張させることを含み、バルーンカテーテルの公称径が膨張バルーン直径未満であるかまたは
d)(a)、(b)および(c)の組み合わせである
方法を提供する。
【0440】
実施態様106は、良性前立腺肥大処置のための、肥大前立腺を開裂するまたは交連切開を作る方法であって、
非被覆バルーンカテーテル・シースアセンブリおよびスコープを挿入し;
スコープおよびバルーンカテーテルを並べて外部括約筋近くに置き;
バルーン上からシースを除き、圧力が低下し、前立腺組織が生じ、交連切開が作られるまで、ゆっくり膨張させ;
前立腺をさらに拡張させるために、定格破裂圧力までさらに圧力を上げ;
出血を防止するために1分~7日バルーン膨張を維持し
非被覆バルーンカテーテルを収縮させ、バルーンをシースに収め;
スコープおよび非被覆バルーンカテーテルアセンブリを体腔から引き抜き;
薬物被覆バルーンカテーテル・シースアセンブリおよびスコープを挿入し;
スコープおよび薬物被覆バルーンカテーテルを並べて外部括約筋近くに置き;
薬物被覆バルーン上からシースを除き、前立腺をさらに拡張させるために、定格破裂圧力までゆっくり膨張させ;そして
薬物を組織に放出させ、出血を防止するためにバルーンを1分~7日膨張を維持することを含み、ここで
a)膨張バルーン直径対標的部位での常態体腔直径の比が約1.0~約20であるかまたは
b)膨張が、バルーンカテーテルの公称圧力と同程度以上までバルーンを膨張させることを含み、バルーンカテーテル対標的部位での常態体腔直径の公称径の延伸比が約1.0~約20であるかまたは
c)膨張がバルーンカテーテルの公称圧力を超える圧力まで膨張させることを含み、バルーンカテーテルの公称径が膨張バルーン直径未満であるかまたは
d)(a)、(b)および(c)の組み合わせである
方法を提供する。
【0441】
実施態様107は、良性前立腺肥大を処置する方法であって、
バルーンカテーテルを前立腺の標的部位に挿入し、該バルーンカテーテルはバルーンの外表面を覆うコーティング層を含み、ここで、コーティング層が1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含むものであり;
膨張時間の間コーティング層が標的部位で体腔の壁に接触し、かつバルーンが膨張バルーン直径を達成するまでバルーンを膨張させ、ここで
a)膨張バルーン直径対標的部位での常態体腔直径の比が約1.0~約20であるかまたは
b)膨張が、バルーンカテーテルの公称圧力と同程度以上までバルーンを膨張させることを含み、バルーンカテーテル対標的部位での常態体腔直径の公称径の延伸比が約1.0~約20であるかまたは
c)膨張がバルーンカテーテルの公称圧力を超える圧力まで膨張させることを含み、バルーンカテーテルの公称径が膨張バルーン直径未満であるかまたは
d)(a)、(b)および(c)の組み合わせであり;
膨張時間後バルーンを収縮させ;そして
バルーンカテーテルを体腔から引き抜くことを含み、
ここで、前立腺尿道と前立腺が分割され、前立腺尿道直径が少なくとも12mmであり、ここで、バルーンカテーテルの膨張直径が少なくとも25mmであるものである、方法を提供する。
【0442】
実施態様108は、尿道狭窄を処置する方法であって、
バルーンカテーテルを尿道の標的部位に挿入し、該バルーンカテーテルがバルーンの外表面を覆うコーティング層を含み、ここで、コーティング層が1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含み;ここで、治療剤がパクリタキセル、ドセタキセル、タキソール、そのアナログ、ラパマイシン、シロリムス、エベロリムス、タクロリムス、MTOR阻害剤、そのアナログおよびそれらの組み合わせであり、水溶性添加物がN-アセチルグルコサミン、N-オクチル-D-グルコンアミド、N-ノナノイル-N-メチルグルカミン、N-オクタノイル-N-メチルグルタミン、C6-セラミド、ジヒドロ-C6-セラミド、セレブロシド、スフィンゴミエリン、ガラクトロセレブロシド、ラクトセレブロシド、N-アセチル-D-スフィンゴシン、N-ヘキサノイル-D-スフィンゴシン、N-オクトノイル-D-スフィンゴシン、N-ラウロイル-D-スフィンゴシン、N-パルミトイル-D-スフィンゴシン、N-オレオイル-D-スフィンゴシン、PEGカプリル/カプリン酸ジグリセライド、PEG8カプリル/カプリン酸グリセライド、PEGカプリレート、PEG8カプリレート、PEGカプレート、PEGカプロエート、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノカプロン酸グリセリル、モノラウリン、モノカプリン、モノカプリリン、モノミリスチン、モノパルミトレイン、モノオレイン、クレアチン、クレアチニン、アグマチン、シトルリン、グアニジン、スクラロース、アスパルテーム、ヒポキサンチン、テオブロミン、テオフィリン、アデニン、ウラシル、ウリジン、グアニン、チミン、チミジン、キサンチン、キサントシン、一リン酸キサントシン、カフェイン、アラントイン、(2-ヒドロキシエチル)尿素、N,N’-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、ペンタエリスリトールエトキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート/エトキシレート、グリセロールエトキシレート、グリセロールプロポキシレート、トリメチロールプロパンエトキシレート、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、クラウンエーテル、18-クラウン-6、15-クラウン-5、12-クラウン-4およびそれらの組み合わせの少なくとも1つであり;
膨張時間の間コーティング層が標的部位で体腔の壁に接触し、かつバルーンが膨張バルーン直径を達成するまでバルーンを膨張させ、ここで
a)膨張バルーン直径対標的部位での常態体腔直径の比が約1.0~約20であるかまたは
b)膨張が、バルーンカテーテルの公称圧力と同程度以上までバルーンを膨張させることを含み、バルーンカテーテル対標的部位での常態体腔直径の公称径の延伸比が約1.0~約20であるかまたは
c)膨張がバルーンカテーテルの公称圧力を超える圧力まで膨張させることを含み、バルーンカテーテルの公称径が膨張バルーン直径未満であるかまたは
d)(a)、(b)および(c)の組み合わせであり;
膨張時間後バルーンを収縮させ;そして
バルーンカテーテルを体腔から引き抜くことを含み;
ここで、拡張後の尿道直径が少なくとも6.7mmであり、バルーンカテーテルの膨張直径が少なくとも7mmであるものである、方法を提供する。
【0443】
実施態様109は、尿道狭窄の処置用バルーンカテーテルであって、
バルーンの外表面を覆うコーティング層を含み、ここで、コーティング層が1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含み;ここで、治療剤がパクリタキセル、ドセタキセル、タキソール、そのアナログ、ラパマイシン、シロリムス、エベロリムス、タクロリムス、MTOR阻害剤、そのアナログおよびそれらの組み合わせであり、水溶性添加物がN-アセチルグルコサミン、N-オクチル-D-グルコンアミド、N-ノナノイル-N-メチルグルカミン、N-オクタノイル-N-メチルグルタミン、C6-セラミド、ジヒドロ-C6-セラミド、セレブロシド、スフィンゴミエリン、ガラクトセレブロシド、ラクトセレブロシド、N-アセチル-D-スフィンゴシン、N-ヘキサノイル-D-スフィンゴシン、N-オクトノイル-D-スフィンゴシン、N-ラウロイル-D-スフィンゴシン、N-パルミトイル-D-スフィンゴシン、N-オレオイル-D-スフィンゴシン、PEGカプリル/カプリン酸ジグリセライド、PEG8カプリル/カプリン酸グリセライド、PEGカプリレート、PEG8カプリレート、PEGカプレート、PEGカプロエート、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノカプロン酸グリセリル、モノラウリン、モノカプリン、モノカプリリン、モノミリスチン、モノパルミトレイン、モノオレイン、クレアチン、クレアチニン、アグマチン、シトルリン、グアニジン、スクラロース、アスパルテーム、ヒポキサンチン、テオブロミン、テオフィリン、アデニン、ウラシル、ウリジン、グアニン、チミン、チミジン、キサンチン、キサントシン、一リン酸キサントシン、カフェイン、アラントイン、(2-ヒドロキシエチル)尿素、N,N’-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、ペンタエリスリトールエトキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート/エトキシレート、グリセロールエトキシレート、グリセロールプロポキシレート、トリメチロールプロパンエトキシレート、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、クラウンエーテル、18-クラウン-6、15-クラウン-5、12-クラウン-4およびそれらの組み合わせの少なくとも1つであり;
ここで、
処置後Qmaxは少なくとも15mL/秒であり、IPSSは14を超えず、
拡張後の尿道直径は少なくとも6.7mmであり、そして
バルーンカテーテルの膨張直径は少なくとも7mmであり;そして
ここで
a)膨張バルーン直径対標的部位での常態体腔直径の比が約1.0~約20であるかまたは
b)膨張が、バルーンカテーテルの公称圧力と同程度以上までバルーンを膨張させることを含み、バルーンカテーテル対標的部位での常態体腔直径の公称径の延伸比が約1.0~約20であるかまたは
c)膨張がバルーンカテーテルの公称圧力を超える圧力まで膨張させることを含み、バルーンカテーテルの公称径が膨張バルーン直径未満であるかまたは
d)(a)、(b)および(c)の組み合わせである
バルーンカテーテルを提供する。
【0444】
実施態様110は、バルーンを形成する方法であって、
バルーン材料を含む管をバルーン型に入れ、ここで、バルーン型は近位コーン、少なくとも1つの本体部、少なくとも1つの本体部より小さい直径を有する少なくとも1つのネック部、他の少なくとも1つの本体部および遠位コーンを含む形状を有し;
バルーン材料管内部を加圧し;そして
バルーン材料管を型内部に接触させるまで膨張させることを含む、方法を提供する。
【0445】
実施態様111は、バルーンをバルーンカテーテルに組み立てることをさらに含む、実施態様110の方法を提供する。
【0446】
実施態様112は、バルーンカテーテルが固定ワイヤカテーテル、移動可能ワイヤカテーテル、オーバー・ザ・ワイヤカテーテルおよびラピッド・エクスチェンジ型カテーテルから選択される、実施態様111の方法を提供する。
【0447】
実施態様113は、ネック補強材がネック部に付加される、実施態様110~112の何れかの方法を提供する。
【0448】
実施態様114は、バルーンカテーテルのバルーンを治療剤および少なくとも1つの水溶性添加物でコーティングすることをさらに含む、実施態様110~113の何れかの方法を提供する。
【0449】
実施態様115は、治療剤がパクリタキセル、ドセタキセル、タキソール、そのアナログ、ラパマイシン、シロリムス、エベロリムス、タクロリムス、mTOR阻害剤、そのアナログおよびそれらの組み合わせから選択される、実施態様110~114の何れかの方法を提供する。
【0450】
実施態様116は、水溶性添加物がN-アセチルグルコサミン、N-オクチル-D-グルコンアミド、N-ノナノイル-N-メチルグルカミン、N-オクタノイル-N-メチルグルタミン、C6-セラミド、ジヒドロ-C6-セラミド、セレブロシド、スフィンゴミエリン、ガラクトセレブロシド、ラクトセレブロシド、N-アセチル-D-スフィンゴシン、N-ヘキサノイル-D-スフィンゴシン、N-オクトノイル-D-スフィンゴシン、N-ラウロイル-D-スフィンゴシン、N-パルミトイル-D-スフィンゴシン、N-オレオイル-D-スフィンゴシン、PEGカプリル/カプリン酸ジグリセライド、PEG8カプリル/カプリン酸グリセライド、PEGカプリレート、PEG8カプリレート、PEGカプレート、PEGカプロエート、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノカプロン酸グリセリル、モノラウリン、モノカプリン、モノカプリリン、モノミリスチン、モノパルミトレイン、モノオレイン、クレアチン、クレアチニン、アグマチン、シトルリン、グアニジン、スクラロース、アスパルテーム、ヒポキサンチン、テオブロミン、テオフィリン、アデニン、ウラシル、ウリジン、グアニン、チミン、チミジン、キサンチン、キサントシン、一リン酸キサントシン、カフェイン、アラントイン、(2-ヒドロキシエチル)尿素、N,N’-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、ペンタエリスリトールエトキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート/エトキシレート、グリセロールエトキシレート、グリセロールプロポキシレート、トリメチロールプロパンエトキシレート、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、クラウンエーテル、18-クラウン-6、15-クラウン-5、12-クラウン-4およびそれらの組み合わせから選択される、実施態様110~115の何れかの方法を提供する。
【0451】
実施態様117は、水溶性添加物がペンタエリスリトールエトキシレートおよびペンタエリスリトールプロポキシレートおよびそれらの組み合わせから選択される、実施態様116のバルーンカテーテルを提供する。
【0452】
実施態様118は、水溶性添加物がヒドロキシル、アミン、カルボニル、カルボキシルまたはエステルである1以上の部分を有する化合物である第二水溶性添加物を含む、実施態様110~117の何れかのバルーンカテーテルを提供する。
【0453】
実施態様119は、所望により言及されている全ての要素または選択肢が使用または選択のために利用可能である、実施態様1~118の何れかに記載のバルーンカテーテルまたは方法または組み合わせの何れかを提供する。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-03-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
消化器または胆管狭窄の処置に使用するための組成物であって、方法が:
予め浸したバルーンカテーテルを消化器または胆管狭窄に提供する工程であって、バルーンカテーテルがバルーンおよびバルーンの外表面を覆う組成物を含むコーティング層を含み、組成物が疎水性治療剤および1以上の水溶性添加物を含む工程;
コーティング層が狭窄の壁と接触し、治療剤が狭窄の壁に送達されるようにバルーンを膨張させる工程;
膨張期間の後バルーンを収縮させる工程;および
狭窄からバルーンカテーテルを引き抜く工程
を含むものである、組成物。
【請求項2】
処置が、バルーンカテーテルを体外で水または食塩水を含む浸漬溶液に浸すことを含む、請求項1の組成物。
【請求項3】
疎水性治療剤がパクリタキセル、パクリタキセルアナログ、ドセタキセル、ドセタキセルアナログ、タキソール、タキソールアナログ、ラパマイシン、ラパマイシンアナログ、シロリムス、シロリムスアナログ、エベロリムス、エベロリムスアナログ、タクロリムス、タクロリムスアナログ、ラパマイシンの哺乳動物標的(mTOR)阻害剤、mTOR阻害剤アナログまたはそれらの組み合わせを含む、請求項1の組成物。
【請求項4】
水溶性添加物がN-アセチルグルコサミン、N-オクチル-D-グルコンアミド、N-ノナノイル-N-メチルグルカミン、N-オクタノイル-N-メチルグルタミン、C6-セラミド、ジヒドロ-C6-セラミド、セレブロシド、スフィンゴミエリン、ガラクトセレブロシド、ラクトセレブロシド、N-アセチル-D-スフィンゴシン、N-ヘキサノイル-D-スフィンゴシン、N-オクトノイル-D-スフィンゴシン、N-ラウロイル-D-スフィンゴシン、N-パルミトイル-D-スフィンゴシン、N-オレオイル-D-スフィンゴシン、PEGカプリル/カプリン酸ジグリセライド、PEG8カプリル/カプリン酸グリセライド、PEGカプリレート、PEG8カプリレート、PEGカプレート、PEGカプロエート、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノカプロン酸グリセリル、モノラウリン、モノカプリン、モノカプリリン、モノミリスチン、モノパルミトレイン、モノオレイン、クレアチン、クレアチニン、アグマチン、シトルリン、グアニジン、スクラロース、アスパルテーム、ヒポキサンチン、テオブロミン、テオフィリン、アデニン、ウラシル、ウリジン、グアニン、チミン、チミジン、キサンチン、キサントシン、一リン酸キサントシン、カフェイン、アラントイン、(2-ヒドロキシエチル)尿素、N,N’-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、ペンタエリスリトールエトキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート/エトキシレート、グリセロールエトキシレート、グリセロールプロポキシレート、トリメチロールプロパンエトキシレート、ペンタエリスリトール、diペンタエリスリトール、クラウンエーテル、18-クラウン-6、15-クラウン-5、12-クラウン-4およびそれらの組み合わせから選択される、請求項1の組成物。
【請求項5】
水溶性添加物がペンタエリスリトールエトキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレートおよびそれらの組み合わせから選択される、請求項1の組成物。
【請求項6】
狭窄が消化器狭窄である、請求項1の組成物。
【請求項7】
狭窄が胆管狭窄である、請求項1の組成物。
【請求項8】
狭窄が胃狭窄である、請求項1の組成物。
【請求項9】
狭窄が食道狭窄またはアカラシア狭窄である、請求項1の組成物。
【請求項10】
狭窄が小腸狭窄である、請求項1の組成物。
【請求項11】
狭窄が十二指腸狭窄、空腸狭窄または回腸狭窄である、請求項1の組成物。
【請求項12】
狭窄が結腸狭窄または直腸狭窄である、請求項1の組成物。
【請求項13】
狭窄が大腸狭窄である、請求項1の組成物。
【請求項14】
処置がバルーンの膨張、コーティング層と狭窄の壁の接触、狭窄の壁への治療剤の送達、バルーンの収縮、収縮後の狭窄の壁上の治療剤またはそれらの組み合わせのスコープでの可視化をさらに含み、スコープが内視鏡、小腸内視鏡、大腸内視鏡、S状結腸鏡、直腸鏡、肛門鏡またはそれらの組み合わせを含み、スコープとバルーンカテーテルがバルーンカテーテルが狭窄にあるとき並んで配置されるまたはバルーンカテーテルが狭窄にあるときバルーンカテーテルはスコープ内部である、請求項1の組成物。
【請求項15】
処置が収縮後狭窄の壁の治療剤のスコープでの可視化を含む、請求項14の組成物。
【外国語明細書】