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特開2023-82084グリカンコンポジット配合物で光合成生物を処理し、収穫物の品質及び量を高めるための配合物及び方法
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  • 特開-グリカンコンポジット配合物で光合成生物を処理し、収穫物の品質及び量を高めるための配合物及び方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023082084
(43)【公開日】2023-06-13
(54)【発明の名称】グリカンコンポジット配合物で光合成生物を処理し、収穫物の品質及び量を高めるための配合物及び方法
(51)【国際特許分類】
   A01N 65/03 20090101AFI20230606BHJP
   A01P 21/00 20060101ALI20230606BHJP
   A01N 43/16 20060101ALI20230606BHJP
   A01N 59/16 20060101ALI20230606BHJP
   C12P 19/04 20060101ALI20230606BHJP
   A01G 7/06 20060101ALN20230606BHJP
【FI】
A01N65/03
A01P21/00
A01N43/16 Z
A01N59/16
C12P19/04 Z
A01G7/06 A
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023052207
(22)【出願日】2023-03-28
(62)【分割の表示】P 2018556340の分割
【原出願日】2017-04-20
(31)【優先権主張番号】62/329,226
(32)【優先日】2016-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.プルロニック
(71)【出願人】
【識別番号】514185530
【氏名又は名称】イノベーション・ハマー・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】アーサー・エム・ノノムラ
(57)【要約】
【課題】光合成生物を処理し、作物の品質及び収量を高めるための配合物の提供。
【解決手段】作物の健康及び光合成生物の成長を促進するための藻類グリカンコンポジットを含む配合物であって、前記藻類グリカンコンポジットがCa2+配位錯体及び1種以上のD-ブロック遷移金属2+配位錯体とブレンドされた1種以上の分岐グリカン脱グリコシル化物を含む配合物を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分岐グリカン脱グリコシル化物と1以上の遷移金属2+配位錯体を含むグリカンコンポジット。
【請求項2】
分岐グリカン脱グリコシル化物がグリコピラノース又はアシルグリコサミン末端配位子を有する、請求項1に記載のグリカンコンポジット。
【請求項3】
前記分岐グリカン脱グリコシル化物がMan1-8-Gly1-8である、請求項1に記載のグリカンコンポジット。
【請求項4】
前記1以上の遷移金属2+配位錯体が(a)1以上の陰イオン成分と(b)1以上の金属2+成分を含む、請求項1に記載のグリカンコンポジット。
【請求項5】
1以上の保存剤をさらに含む、請求項1に記載のグリカンコンポジット。
【請求項6】
前記1以上の保存剤がベンゾイソチアゾリノン、メチルクロロイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノン、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項5に記載のグリカンコンポジット。
【請求項7】
前記分岐グリカン脱グリコシル化物が、Glym-nを有し、m=1~8かつn=1~8である、O結合グリカン及びN結合グリカンからなる群から選択され、前記1以上の遷移金属2+配位錯体は、金属2+成分と1以上の陰イオン成分の両方を含む、請求項1に記載のグリカンコンポジット。
【請求項8】
前記分岐グリカン脱グリコシル化物がトリマンノピラノシル-N-グリカンである、請求項1に記載のグリカンコンポジット。
【請求項9】
前記生物に、1以上の分岐グリカン脱グリコシル化物と1以上の遷移金属2+配位錯体を含むグリカンコンポジットを含む有効量の配合物を施与することを含む、光合成生物の呼吸成長を増進する方法。
【請求項10】
前記グリカン脱グリコシル化物が、Glym-nを有し、m=1~8及びn=1~8である、O結合グリカン及びN結合グリカンからなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記1以上の遷移金属2+配位錯体が金属2+成分と1以上の陰イオン成分の両方を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記グリカンコンポジットの遷移金属2+配位錯体の陰イオン成分が多座アルキルアミドキレート剤、呼吸加速因子、アコニット酸イオン、クエン酸イオン、フマル酸イオン、グルタル酸イオン、リンゴ酸イオン、オキサロ酢酸イオン、コハク酸イオン、それらの酸、塩、エステル及び誘導体からなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記分岐グリカン脱グリコシル化物がマンノピラノシル末端リガンドを有する、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記分岐グリカン脱グリコシル化物がO結合グリカン、Mann、GalmMann、GalmMann、GlcmMann、GaljGlcmMann、及びポリマンノシルコア構造;j=1~8、m=1~8、n=1~8;それらの誘導体及び組合せからなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記分岐グリカン脱グリコシル化物がN結合グリカン、MannN-グリカン、Man3N-グリカン、MannGlcNAc2、Man4-7GlcNAc1-2、Man1-24GalNAc1-2、Man1-3GlcNAc1-2、Man8-15GlcNAc1-2、それらの誘導体及び組合せからなる群の1以上から選択され、ここで、nは1~24である、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記グリカンコンポジット中のO結合グリカンがアリール-、アシル-、アルキル(Gly)n、アルキル(Glc)n、アルキル(Man)n、メチル(Man)n、メチル-D-Mann、メチル-D-GlcnMan2Gal、Man2Gal2、ManGal2、Man3、Man3Gal、Man2Glc、及びそれらの組合せからなる群から選択され、ここで、n=1~8である、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記分岐グリカン脱グリコシル化物がN-アセチルグリコサミニル末端リガンド、Gal1-8Man1-8GlcNAc2;Gal4Man10GlcNAc2;GalNAc1-3;GlcNAc1-3;Man1-24GlcNAc1-3;それらの誘導体及び組合せからなる群の1以上から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項18】
前記1以上の遷移金属2+配位錯体がマンガンMn2+及びカルシウムCa2+の両方を含み、前記遷移金属2+配位錯体の前記1以上の遷移金属2+が、Fe2+、Co2+、Ni2+及びZn2+からなる群から選択される1以上のDブロック遷移金属2+を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項19】
前記グリカンコンポジットが1以上の保存剤をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項20】
前記分岐グリカン脱グリコシル化物がインベルターゼ酵素、変性インベルターゼ、部分加水分解インベルターゼ、及びインベルターゼ脱グリコシル化物;及びそれらのブレンドの1以上から選択される請求項9に記載の方法。
【請求項21】
前記グリカンコンポジット配合物が1以上のCa2+-Mn2+-遷移金属2+配位錯体と1以上のGlcNAc1-3グリカン脱グリコシル化物を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項22】
前記グリカンコンポジットが1ppb~1%の重量で存在し、前記1以上の遷移金属2+配位錯体が0.1ppb~1%の重量で存在する、請求項1に記載のグリカンコンポジット。
【請求項23】
前記グリカンコンポジットが、生産性向上のために光合成生物群に施与する前に希釈用濃縮製品組成物として10ppm~30%グリカンコンポジットの範囲で存在し、前記グリカンコンポジット濃縮製品組成物は、1ppm~20%の範囲の1以上のグリカン脱グリコシル化物と1ppm~10%の範囲の1以上の遷移金属2+配位錯体と50ppm~1%の重量範囲の保存剤を含む、請求項1に記載のグリカンコンポジット。
【請求項24】
前記光合成生物がサップネクターを産生し、前記グリカンコンポジットが前記サップネクターに施与される、請求項9に記載の方法。
【請求項25】
前記光合成生物が顕花植物である、請求項9に記載の方法。
【請求項26】
前記部分加水分解インベルターゼがクエン酸により脱グリコシル化される、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
前記光合成生物が光合成産物を産生し、前記グリカンコンポジットが、内因的にフレーバーを高めるために前記光合成生物に施与される、請求項9に記載の方法。
【請求項28】
前記呼吸加速因子が、H22、CaO2及びMgO2からなる群から選択されるO2発生剤とともに適用される、請求項12に記載の方法。
【請求項29】
前記光合成生物への前記グリカンコンポジットの施与が光合成生物の静水圧を高めるために有効な量である、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本願は、2016年4月29日に出願された仮出願第62/329,226号の優先権を主張するものである、その開示は本発明の一部として援用する。
【0002】
分野
本明細書に開示される実施形態は、光合成生物、例えば、農作物を含む光合成生物の圃場を処理し、かつ/又はそれらの成長を、分岐グリカン脱グリコシル化物成分を配位錯体成分とともに含むグリカンコンポジットの組成物を含む配合物で増進するための方法に関する。さらに、対象とする液体組成物では、上記配合物は、それらの配合物を輸送及び貯蔵に適したものとする1以上の保存剤を含み得る。本明細書に開示される実施形態は、光合成生物にグリカンコンポジットを送達するための系を含む。
【背景技術】
【0003】
背景
本明細書に開示される実施形態は、1以上の分岐グリカン脱グリコシル化物と遷移金属2+配位錯体からなるグリカンコンポジット配合物の光合成生物への施与に関する。
【0004】
農作物における光合成生物の健康は、光合成産物、特に糖の生体製造に依存し、本実施形態の組成物は、作物の健康及び成長を増進するためにこれらの光合成産物の利用率を高める。作物改良に関する最近の主要な進歩は、特許文献に記載されているように水溶性グルコシドを含む。これらのグルコシドは、1ヘクタール当たりキログラムの施与という範囲の葉面率で効果的であることが分かっているが、本明細書の実施形態に示されるように、1ヘクタール当たりグラムの範囲でより有効かつ効果的である配合物の必要がある。本実施形態の分岐グリカン脱グリコシル化物は、従来の組成物よりも高いオーダーの有効性があり、同時に本グリカンコンポジットの遷移金属2+配位錯体成分が活性をさらに高める。加えて、サップネクター(sap nectar)の処理により、グリカンコンポジットは作物の光合成産物フラックス量を高める。さらにまた、グリカンコンポジットの方法及び組成物は、グリカンコンポジットの効力を持続させつつ作物の品質及び/又は量を高めるために調整することができる。
【発明の概要】
【0005】
概要
本明細書に開示される実施形態の目的は、光合成生物を処理し、作物の品質及び収量を高めるための方法及び配合物を提供することである。これらの配合物は、1以上の分岐グリカン脱グリコシル化物を遷移金属2+配位錯体とともに含み、それにより、グリカンコンポジットを形成する。実施形態は、グリカンコンポジットの配合物のための方法及び組成物を提供する。
【0006】
本明細書に開示される実施形態のさらなる目的は、1以上のグリカンコンポジット配合物を、高い効力を保持するための保存剤とともに含む液体配合物を提供することである。
【0007】
本明細書に開示される実施形態のさらなる目的は、グリカンコンポジット配合物を施与することによって植物などの光合成生物を処理するため、及び植物作物におけるものなどの光合成生物の成長を増進するための方法及び配合物を提供することである。
【0008】
本明細書に開示される実施形態の別の目的は、遷移金属配位錯体の金属2+成分を含み、遷移金属2+配位錯体の陰イオン成分を供給するグリカンコンポジット配合物を提供することである。
【0009】
本明細書に開示される実施形態のさらなる目的は、可溶性遷移金属2+を、好ましくは配位錯体中に含むグリカンコンポジット配合物を提供することである。
【0010】
本明細書に開示される実施形態のさらなる目的は、遷移金属2+配位錯体の1以上の陰イオン成分を含むグリカンコンポジット配合物を提供することである。
【0011】
本明細書に開示される実施形態のさらなる目的は、遷移金属2+配位錯体の1以上の陰イオン成分を含み、陰イオン成分は多座金属封鎖剤から選択されるグリカンコンポジット配合物を提供することである。
【0012】
本明細書に開示される実施形態のさらなる目的は、輸送及び貯蔵中に有効液体溶液を維持する1以上の保存剤成分を含むグリカンコンポジット組成物を配合するための方法を提供することである。
【0013】
さらなる目的は、光合成生物、特に、植物の処理のための方法、ならびに経クチクラ、経表皮及び/又は経膜輸送;溶質の種子、葉及び根からの取り込み;発芽の促進と調和して利用できかつ浸透し、かつ/又は低光度環境で成長を維持する液体及び/又は乾燥パッケージとされたグリカンコンポジット配合物を含む、光合成生物向けの成長配合物を提供することである。
【0014】
さらなる目的は、光合成生物及びそれらの一部のための、特に、農作物に施与される、処理及び成長配合物を提供することである。
【0015】
さらなる目的は、緑色植物における成長の維持のための、特に、発芽及び成長を促進するために種子に施与される場合の、グリカンコンポジット組成物を含む植物種子処理配合物及び方法を提供することである。
【0016】
さらなる目的は、光合成生物における質的成長の管理のための;特に、収穫前に植物と結合している間の根、茎葉、花及び/若しくは果実に;収穫後に分離された花及び/若しくは果実に;ならびに/又はフレーバー品質を改良するために施与する場合のグリカンコンポジット組成物を含む花及び/又は果実処理配合物を提供することである。
【0017】
別の目的は、対象とするグリカンコンポジット組成物を提供することである。
【0018】
別の目的は、分岐グリカン脱グリコシル化物と可溶性遷移金属2+からなるグリカンコンポジットを提供することである。
【0019】
別の目的は、天然物から得られた分岐グリカン脱グリコシル化物からなるグリカンコンポジットを提供することである。
【0020】
別の目的は、作物の量及び品質を高めるために選択された新規な植物成長調整剤としてのグリカンコンポジット及び/又はその成分を提供することである。
【0021】
別の目的は、光合成生物において呼吸を管理するための新規なグリカンコンポジット植物成長調整剤を提供することである。
【0022】
さらに別の目的は、低光度の日陰~暗黒条件で呼吸を促す栽培下、光合成生物の存在下にグリカンコンポジット環境を提供することである。
【0023】
別の目的は、グリカンコンポジットでの処理により、栽培下、光合成生物の存在下に呼吸加速環境を提供することである。いくつかの実施形態では、日中又は夜間の任意の時に根、及び/又は夜間の暗黒中でシュートが、光合成生物の>25%O2ガス処理を介するか又はO2発生剤の施与によって周囲酸素(O2)を高める呼吸加速因子に曝される。さらに、別の目的は、グリカンコンポジットでの処理により、栽培下、光合成生物の存在下に呼吸を促す環境を提供することであり、ここで、グリカンコンポジットでの処理による栽培下の光合成生物は、呼吸加速因子に曝されてよい。
【0024】
さらに別の目的は、グリカンコンポジットでの処理により、栽培下、光合成生物の存在下に光合成産物の蓄積を促す環境を提供することである。グリカンコンポジットでの処理による栽培下の光合成生物は、光合成産物の蓄積を促す呼吸減速因子に曝されてよい。
【0025】
別の目的は、栄養素利用効率に有利とするため、非生物的ストレスに対する耐性を高めるため、及び/又は作物の量及び品質を高めるために選択された天然物の生物刺激剤としての、グリカンコンポジット及び/又はそれらの成分を提供することである。
【0026】
別の目的は、分岐グリカン脱グリコシル化物と遷移金属2+配位錯体を含む、光合成成長のためのグリカンコンポジット処理を提供することである。特定の実施形態では、例えば、圃場での使用に便利なように、本錯体は、液体及び/又は乾燥パッケージ中に、作物処理の混合物向けの選択物とともに配合することにより、光合成生物に施与するために便利で、容易に光合成生物に安全なものとされる。
【0027】
さらなる目的は、商業的収穫物の品質及び量を高める光合成産物の内因性脱抱合の制御のための外因性グリカンコンポジット組成物を含む、光合成生物向けの処理方法及び組成物提供することである。
【0028】
さらなる目的は、商業的収穫物のフレーバー品質を高める内因性光合成産物の処理のための外因性グリカンコンポジット組成物を含む、光合成生物向けの処理及び成長配合物を提供することである。
【0029】
さらなる目的は、1以上のフィトブランド保存剤を用いた、貯蔵のために保存される、グリカンコンポジット組成物を含む光合成生物向けの処理及び成長配合物を提供することである。
【0030】
さらなる目的は、水耕栽培における作物成長の改善のためのグリカンコンポジット系を含む、光合成生物向けの処理及び成長配合物を提供することである。
【0031】
さらなる目的は、日焼けの発生率の低減により作物の美的品質を高めるための相乗作用系としての、グリカンコンポジットを含む、光合成生物向けの処理及び成長配合物を提供することである。
【0032】
さらなる目的は、受粉媒介者及び草食動物の強健利益のためにグリカンコンポジットを顕花食用植物に施与することを含む、顕花植物圃場のサップネクターの栄養品質を強化する光合成生物の処理方法を提供することである。
【0033】
特定の実施形態では、グリカンコンポジットは、1以上のメチル-α-D-マンノピラノシル(Man)1-3成分と1以上のクエン酸-Ca2+-Mn2+-配位錯体成分と所望により1以上のDブロック遷移金属2+からなる錯体として配合される、かつ/又はさらに1以上の任意選択の保存剤とともに配合される。
【0034】
特定の実施形態では、グリカンコンポジットは、1以上のメチル-α-D-Man1-3成分と1以上のリンゴ酸-Ca2+-Mn2+-配位錯体成分と所望により1以上のDブロック遷移金属2+からなる錯体として配合され、かつ/又はさらに1以上の任意選択の保存剤とともに配合される。
【0035】
特定の実施形態では、グリカンコンポジットは、1以上のメチル-α-D-Man1-3成分と1以上のグルタル酸-Ca2+-Mn2+-配位錯体成分と所望により1以上のDブロック遷移金属2+からなる錯体として配合され、かつ/又はさらに1以上の任意選択の保存剤とともに配合される。
【0036】
特定の実施形態では、グリカンコンポジットは、1以上のメチル-α-D-Man1-3成分と1以上のコハク酸-Ca2+-Mn2+-配位錯体成分と所望により1以上のDブロック遷移金属2+からなる錯体として配合され、かつ/又はさらに1以上の任意選択の保存剤とともに配合される。
【0037】
特定の実施形態では、グリカンコンポジットは、1以上のMan1-3N結合グリカン成分と1以上のCa2+-Mn2+-クエン酸配位錯体成分と所望により1以上のDブロック遷移金属2+からなる錯体として配合され、かつ/又はさらに1以上の任意選択の保存剤とともに配合される。
【0038】
特定の実施形態では、グリカンコンポジットは、1以上のMan1-3N結合グリカン成分と1以上のCa2+-Mn2+-配位錯体成分と所望により1以上のDブロック遷移金属2+からなる錯体として配合され、かつ/又はさらに1以上の任意選択の保存剤とともに配合される。
【0039】
特定の実施形態では、グリカンコンポジットは、1以上のメチル-α-D-Glc1成分と1以上のクエン酸Ca2+-Mn2+-配位錯体成分と所望により1以上のDブロック遷移金属2+からなる錯体として配合され、かつ/又はさらに1以上の任意選択の保存剤とともに配合される。
【0040】
特定の実施形態では、グリカンコンポジットは、1以上の脱グリコシル化グリカン成分とCa2+-Mn2+-配位錯体成分と所望により1以上のDブロック遷移金属2+からなる錯体として配合され、かつ/又はさらに1以上の任意選択の保存剤とともに配合される。
【0041】
特定の実施形態では、グリカンコンポジットは、植物ガム由来の1以上の脱グリコシル化O結合グリカン成分とCa2+-Mn2+-配位錯体成分と所望により1以上のDブロック遷移金属2+からなる錯体として配合され、かつ/又はさらに1以上の任意選択の保存剤とともに配合される。
【0042】
特定の実施形態では、グリカンコンポジットは、インベルターゼ由来の1以上の脱グリコシル化N結合グリカン成分とCa2+-Mn2+-配位錯体成分と所望により1以上のDブロック遷移金属2+からなる錯体として配合され、かつ/又はさらに1以上の任意選択の保存剤とともに配合される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1図1は、上から下へ、特定の実施形態に従う光合成生物のグリカンコンポジットによる処理のための方法及び組成物を得る工程の流れを示した概略図である。図1の例では、グリカンコンポジットの施与は、植物細胞を作物の品質及び量を高める溶液に曝す。グリカンコンポジットは細胞に輸送され、代謝され、エネルギーが移動する。この代謝経路は、貯蔵からO2→CO2の呼吸へ光合成産物の経路を決めるグリカンコンポジットにより規定され、品質及び収量の向上に向けて高い植物生産性をもたらした。
図2図2は、グリカンコンポジットの配合に好適な例示的岐グリカン脱グリコシル化物の描写を示す。左上のコア構造はトリマンノピラノシル-N-グリカンに相当し、他の構造はより高次の分岐を示す。示されているインベルターゼコア構造は、グリカンコンポジットの末端配位子を有する1以上の分岐グリカン脱グリコシル化物の選択に好適である。末端マンノピラノシル配位子を有する例示的高マンノピラノシルN-グリカンは、この頁の上から下へ、より高次の分岐への進行を示す。左上のMan3GlcNAc2構造は、実施例1、6、9、16、及び17の「Ethan」に相当する。省略形:Glc-グルコピラノシル;Man-マンノピラノシル;NAc-N-アセチル。
【発明を実施するための形態】
【0044】
詳細な説明
そうではないことが定義されない限り、本明細書で用いられる全ての技術用語及び科学用語は、当技術分野におけるそれらの従来の意味を有する。本明細書で使用する場合、以下の用語は割り当てられた意味を有する。
【0045】
「M」はモル濃度を指し、「μM」はマイクロモル濃度を指し、「mM」はミリモル濃度を指す。
【0046】
「kD」は、キロダルトンを指す。
【0047】
「PGR」は、植物成長調整剤を指す。
【0048】
「パーセント」又は「%」は、特に断りのない限り重量%である。
【0049】
「ppb」は、重量で10億分の1を指す。
【0050】
「ppm」は、重量で100万分の1を指す。
【0051】
「ppt」は、重量で千分の1を指す。
【0052】
命名法-学名は一般に、多くの学術情報源から化学的命名法に帰すことができる一般名として示される。
【0053】
統計学-T検定(両側)による平均の比較は、p≦0.05で有意を示す。
【0054】
「成長を増進する」とは、植物などの光合成生物の成長の速度の促進、増大若しくは向上;ならびに/又は大きさ及び/若しくは収量の増大若しくは増大の促進;ならびに/又は光合成生物又はその一部の品質の増進;光合成産物の流れの調節;光合成産物の呼吸への流れの増進;美観の増進;静水圧の増大;香気の改善;光合成生物内での光合成産物の蓄積;ならびに/又は光合成生物、その種子、果実、花、ネクター、根、茎、若しくはその一部のフレーバー、特に、ブリックス(糖含量の指標)の改善を指す。
【0055】
「光合成生物」は、C3、C4、及びCAM植物を含む光合成産物を合成する生活型;ならびに必ずしも限定されるものではないが、以下の好ましいスーパーグループ:植物界、緑藻植物及び紅藻類などのアーケプラスチダ(Archaeplastida);ならびに褐藻などのクロムアルベオラータ(Chromoveolata)のものを含む光合成真核生物を指す。光合成生物は、野生種;芝及び観賞植物;食物、飼料、繊維、かいば、及び農作物を含む作物;及びそれらの収穫物;ならびに植物、高等及び下等両方の植物、及び植物様生物も指し得る。本系、方法及び配合物は、光合成生活のいずれの種とともにでも有利に使用され得る。
【0056】
組成物は、生きている光合成生物の事実上いずれの品種にも施与可能である。利益を受け得る光合成生物としては、限定されるものではないが、全植物界、特に、米国観光保護庁(2012:40 CFR 180.41)により認識されている全ての作目群、例えば、以下のもの:アルファルファ、オールスパイス、アマランス、アンゲリカ、アニス、ベニノキ、キバナスズシロ、バクシアオ(bach ciao)、セイヨウヤマハッカ、オオムギ、バジル、インゲンマメ、ビート、ルリチザ、パンノキ、ブロッコリー、メキャベツ、ゴボウ、ワレモコウ、キャベツ、カンタロープ、フウチョウボク、ヒメウイキョウ、ショウズク、カルドン、ニンジン、カッサバ、ヒマ、カリフラワー、カバロ、ブロッコロ、セルリアック、セロリ、セルタス、穀類、フダンソウ、ハヤトウリ、チャービル、ヒユコマメ、チコリー、チャイブ、コエンドロ、シナモン、チョウジノキ、クローバー、コーヒー、コラード、コリアンダー、トウモロコシ、ワタ、クランベリー、コショウソウ、キュウリ、クミン、カレー、ダイコン、デイリリー、ディル、エンダイブ、ユーホルビア、ナス、フェンネル、フェヌグリーク、アマ、飼料植物、バイモ、ガーキン、ゴード、ブドウ、穀類、ニンニク、クラスタマメ、ヘイ、ヘンプ、ニガハッカ、ギボウシ、ヤナギハッカ、タチナタマメ、クズイモ、ホホバ、ケール、コールラビ、クズ、クラット、フジマメ、ラベンダー、青菜、リーキ、マメ科植物、レモングラス、ヒラマメ、ハギ属、レタス、ルピナス、メース、マジョラム、メロン、キビ、ミント、ミズナ、ツルレイシ属、マスクメロン、マスタード、キンレンカ、ナツメグ、エンバク、タマネギ、ヤマホウレンソウ、パセリ、アメリカボウフウ、牧草、エンドウ、ラッカセイ、コショウ、ペパーミント、シソ属、ポップコーン、ジャガイモ、ケシ、カボチャ、スベリヒユ、アカチコリー、ラディッシュ、ナタネ、ダイオウ、イネ、ローズマリー、ルタバカ、ライムギ、ベニバナ、サフラン、セージ、イガマメ、バラモンジン、ムカゴニンジン、ゴマ、ワケギ、ソルガム、ダイズ、ホウレンソウ、カボチャ、ステビア、イチゴ、ヒマワリ、ヒメダイサンボク、サツマイモ、テンサイ、サトウキビ、フダンソウ、ナタマメ、アメリカサトイモ、タロイモ、タラゴン、チャ、ブタモロコシ、タイム、タバコ、トマト、トレフォイル、ライコムギ、ウコン、カブ、バニラ、ベルノニナ属、ベッチ、スイカ、コムギ、ワイルドライス、ヒメコウジ、クルマバソウ、ヨモギ、ヤマノイモ、ズッキーニなど;アーモンド、リンゴ、アプリコット、アボカド、アザロール、バナナ、ブナ、ブラックベリー、ブルーベリー、ブラジルナッツ、パンノキ、バターナット、カシュー、サクランボ、クリ、チンカピングリ、柑橘属、カカオ、ココナ、コーヒー、スグリ、ドラゴンフルーツ、ニワトコ、イチジク、ハシバミ、クコ、グズベリー、グレープフルーツ、グアヴァ、ヒッコリーの実、キウイフルーツ、キンカン、レモン、ライム、ローガンベリー、ビワ、マカデミアナッツ、マンゴー、マンゴスチン、マーティニア、サンザシ、ナランジラ、ネクタリン、ノパルサボテン、堅果、オクラ、オリーブ、オレンジ、パパイヤ、パッションフルーツ、モモ、ナシ、ペカン、コショウ、ピスタチオ、プラム、プラムコット、スモモ、ブンタン、マルメロ、ラズベリー、ローゼル、タンジェリン、タンゴール、テホコテ、オオブドウホウズキ、アグリフルーツ、クルミ、スパイス類などの果樹植物;ノコギリソウ、アデニウム、リュウゼツラン属、カッコウアザミ属、アロエ、イワナズナ属、アネモネ、アキレジア属、アスター属、アザレア、ベゴニア、ゴクラクチョウカ、ケマンソウ、ルリチザ、アナナス、ブーゲンビレア、フジウツギ、サボテン、キンセンカ、ツバキ、カンパニュラ属、スゲ、カーネーション、ケイトウ、キク、クレマチス、クレオメ属、コレウス属、コスモス、クロッカス、クロトン属、シクラメン、ダリア、ラッパズイセン、ヒナギク、タンポポ、カンゾウ、デルフィニウム属、ナデシコ属、ディエテス属、ジギタリス、ディプラデニア、ギシギシ、ダスティーミラー、ニシキギ、ワスレナグサ、フレモンティア、フクシア、クチナシ、ガザニア、ゼラニウム、ガーベラ、ゲスネリア属グラジオラス、ハイビスカス、アジサイ、ホウセンカ属、ジャスミン、ユリ、リラ、トルコギキョウ、ロベリア、マリーゴールド、メセンブリアンテマ、ミズホウズキ属、ワスレナグサ属、スイセン属、ニューギニアインパチエンス、スイレン科、オオマツヨイグサ、オレアンダー、ラン、観賞植物、オキサリス属、パンジー、イワブクロ属、ボタン、ペチュニア、プルメリア、ポインセチア、ポレモニウム属、タデ属、ケシ、スベリヒユ属、サクラソウ属、ウマノアシダカ属、シャクナゲ属、バラ、サルビア、セネシオ属、アメリカサクラソウ、キンギョソウ、ナス属、アキノキリンソウ属、ストック、センネンボク、トレニア、チューリップ、バーベナ、ツルニチソウ属、ビオラ、スミレ、ユッカ、ヒャクニチソウなどの花卉及び観賞植物;セントポーリア、リョクチク、多肉植物、ディーフェンバッキア属、ドラセナ、フィクス属、ギボウシ属、ピースリリー、フィロデンドロン属、ポトス、ゴムノキ、チトセラン、オリヅルラン属などの屋内庭園及びハウス植物;トドマツ属、ポプラ、シラカンバ、ヒマラヤスギ、クスノキ属、ミズキ属、ソテツ、イトスギ、メタセコイア、ニレ、フィクス属、モミ、イチョウ、裸子植物、広葉樹、インディアンローズウッド、ジャカランダ、ビャクシン、ゲッケイジュ、マメ科植物、ユリノキ属、モクレン属、マホガニー、カエデ、オーク、ヤシ、トウヒ属、マツ属、トベラ属、オオバコ属、ポプラ、セコイア、シタン、ベンケイチュウ、ヤナギ属、シカモア、イチイ属、チーク、ヤナギ、セイヨウイチイ、クリスマスツリー、木材源などの樹木;芝(turf)、芝(sod)、イチゴツナギ属、ベントグラス、バミューダグラス、ブロムグラス、カラモグロスティス属、スゲ属、クリーピングベント、エリムス属、フェスキュ属、ウシノケグサ、ヘリクトトリコン、チガヤ、ススキ、バクヤギク、キビ類、スズメノヒエ属、チカラシバ属、クサヨシ属、イチゴツナギ属、グラス種子などの草類;矮性種;接ぎ穂;挿し穂;雑種などが含まれる。上述の作物に加えて、本配合物はまた、スイッチグラス、ジェトロファ属、ユーホルビア属、タバコ属、地衣類、ケルプ、珪藻、シアノバクテリア、細菌、ドナリエラ、ナンノクロロプシス、クロレラ、ヘマトコッカス、キリンサイ属などの;コケ及びシダなどの蘚苔類などの二次代謝産物の光合成生物源への施与にも好適である。この一覧は例示を意図するものであり、網羅を意図するものではない。本実施形態の組成物及び方法の施与により利益を得ることができる他の光合成生物は当業者により容易に決定される。本明細書に開示される方法及び配合物は、幼弱な及び成熟した光合成生物、ならびに挿し穂、組織、種子、茎頂、カルス、細胞、及び微細繁殖における成長を増進するために使用可能である。播種前のシードプライミング及びコーティングは種子当たり10~1000μgのグリカンコンポジットの範囲、好ましくは20~300μg/種子の範囲で適用され得る。
【0057】
あるいは、種子、球茎、球根、匍匐枝、及び挿し穂は、植え付けと同時に畝間で処理してもよい。一般に、本方法の組成物が施与される解剖学的な場所は、光合成生物に本組成物の吸収を可能とするのに十分大きな表面積を持たなければならない。例えば、発芽した子葉(すなわち、「シードリーフ」)、ジャガイモ匍匐枝、球形、球根、又は本葉及び根などの吸収を促進するその他の実質的な表面を含むことが望ましい。結果植物は蕾、果実及び種子形成の前後で処理され得る。茎、根及び/又は幹が処理され得る一年生植物、多年生植物、樹木、ラン、ゲスネリア属、及びサボテンなどの植物には、施与方法には、散布によるシュートの処理及び/若しくはスプレンチ若しくは浸漬施与によるシュート及び根の処理又は分離した根及びシュートへの施与が含まれる。スピルリナ、アオノリ、アマノリ、コンブ、マクロシスティス属、ノリ及びワカメなどの商業的水産養殖及び海中養殖作物は、10ppb~3%のグリカンコンポジットの無菌淡水又は海水溶液でミスト処理、散布処理、ブラシ塗布又は浸漬し、15~90分間吸収させてもよい。
【0058】
グリカンコンポジット
本明細書に開示される特定の実施形態に従う方法及び配合物は、例えば、植物などの上述の光合成生物のいずれかを処理するために、また、収穫物の品質を高め、成長を高め、かつ/又は品質及び量を高めるために設計される。これは、1以上の分岐グリカン脱グリコシル化物と特定の遷移金属2+配位錯体からなるグリカンコンポジット配合物を施与することによって達成することができる。本配合物は、乾燥形態又は液体形態で光合成生物に直接施与することができる。特定の実施形態では、液体配合物は、輸送及び貯蔵期間中の損傷の防止のための保存剤をさらに含み得る。本明細書に開示される方法は、グリカンコンポジットを光合成生物による取り込みに容易に利用可能とする。
【0059】
分岐グリカン脱グリコシル化物成分
本明細書に開示される特定の実施形態は、グリカンコンポジットの成分である分岐グリカン脱グリコシル化物を提供する。以下、この分岐グリカン脱グリコシル化物成分は、グリカンコンポジットの「グリカン」又は「脱グリコシル化物」成分と呼称する。
【0060】
グリカンは、化学的に合成された場合にはむしろ高価であり、本発明の特定の実施形態がなければ、農業応用は経済的に正当化できないであろう。幸いにも、本明細書に開示される実施形態は、特定の安価な高分子の脱グリコシル化の手段によって費用効果のあるいくつかの製品を提供し、これらの製品は、グリカンコンポジットの好適なグリカン成分を作り出す。よって、特定の分岐グリカン脱グリコシル化物は、経済的に実現可能な農作物処理を与える。好適なグリカンは、切断、すなわち、それらの親高分子由来のグリカンサブユニットの脱グリコシル化によって生じ得る。一般に、1000skDより大きい高分子は、光合成生物による処理及び取り込みには大きすぎる化学構造であり、従って、10skDより小さい脱グリコシル化物が、好ましい分岐グリカン脱グリコシル化物成分である。脱グリコシル化物は、一般に、タンパク質、糖タンパク質、N結合グリカン高分子及び/又はO結合グリカン高分子などの高分子に由来する。脱グリコシル化物は加水分解又は当技術分野で公知の他の過程の産物であり得、酸、塩基、酵素及び/又は結合を切断する微生物の作用から生じる。植物又は酵母による分岐グリカン成分の生合成は、費用が高くつくことが分かっている化学合成及び精製の生成物に比べて費用効果がよいものであり得る。例えば、純粋な高マンナン分岐N結合グリカンの購入には1000ドル/グラムかかるが、本明細書に開示される実施形態のタンパク質から脱グリコシル化された好適な高マンナン分岐N結合グリカンの費用は、数ペニー/グラムであり得る。
【0061】
好適なグリカンサブユニットの植物供給源としては、グアーマメ(Cyanaposis tetragonalobus)及びシアノポシス・プソラロイデス(Cyanaposis psoraloides)、グアーガム、GalMan2;タラノキ(Caesalpinia spinosa)、タラガム、GalMan3;イナゴマメ(Ceratonia siliqua)、ローカストビーンガム、GalMan1-8;コンニャク(Amorphophallus konjac)、コンニャクガム、Glc2Man2;タチナタマメ(Canavalia ensiformis)、ジャックビーン、N結合グリカン;アイボリーナット、Mann;イナゴマメのさや;コーヒー豆;フェヌグリーク;オオムギ;ヤシ、ユリ類、アイリス類、及びマメ科植物、内胚乳組織、Mann;様々な樹木の軟材及び樹皮;シラカンバ;裸子植物;ノルウェートウヒ;ならびにカサノリ目(Dasycladales)、輪藻類(Characeae)、ミル(Codium fragile)、イワヅタ(Caulerpa)及びカサノリ(Acetabularia acetabulum)マンナンウィードなどの緑藻植物が含まれる。さらに、図2に示されるものなどの分岐マンナン誘導体構造は、ハンセヌラ・ホルステイ(Hansenula holstii)、ロドトルラ・アチェニオルム(Rhodotorula acheniorum)などの真菌類において、コンカナバリン及び酵素などのタンパク質、好ましくは、インベルターゼ内に見られる。他の天然源としては、微生物;細菌;キノコ;節足動物、甲殻類、貝類、魚類、オキアミ、及び昆虫など動物;ならびに糞化石、臓物、血液、骨髄、肝臓、動物臓器、樹皮、おがくず、木材、骨、外骨格、発酵物、混獲、及び堆肥などの廃物が含まれる。
【0062】
上述のガム、タンパク質及びその他の高分子は、当技術分野で公知の商業的工程によって脱グリコシル化を受け得る。例えば、分岐グリカン高分子は、厳密に制御された発酵下で微生物により消化され得るものもあるし、当技術分野で公知の様々な他の酵素的消化工程を受け得るものもあり、それにより、分岐グリカン高分子は、>100,000kDのガムを平均分子量0.2~10kDaのグリカン脱グリコシル化物に切断することによって部分加水分解され得る。これは、植物によるより小さな脱グリコシル化物の取り込みを可能とする。種々の天然源に比べると、インベルターゼ由来の分岐グリカン脱グリコシル化物は、低コスト及び高い効力を示し、それらを商業的製造に好適とする最も高い実現可能性を示した;表1参照。
【0063】
【表1】
【0064】
グリカンの末端配位子は、それらの活性に重要であり、グリカン構造のこの部分の同定を決定的なものとする。グリカンの好適な末端配位子は、ガラクトピラノース、グルコピラノース、及び好ましくは、マンノピラノースなどのグリコピラノース;そのアルキル、アシル、及びアリール置換;ならびにアシルグリコサミンで確認された。要するに、好適なグリカンは陽イオンポリマー、陰イオンポリマー及び中性ポリマー;アルドシル及び/又はケトシル;ならびに上記の末端配位子のいずれかを有する分岐グリカンということになった。分子量の大きさは一般に、0.1から>500kD、好ましくは、0.2~10kDの範囲、最も好ましくは0.5~2kDの範囲であった。
【0065】
グリカンの省略形は次の通りである。
Galは、ガラクトピラノシルを意味し;
Glcは、グルコピラノシルを意味し;
GlcNAcは、N-アセチルグルコサミノシルを意味し;
GalNAcは、N-アセチルガラクトサミノシルを意味し;
Glyは、グリコピラノシルを意味し;
Lacは、ラクトシルを意味し;
Araは、アラビノシルを意味し;
Manは、マンノピラノシルを意味し;かつ
Mannは、ポリ-Manを意味する。
【0066】
jmn下付文字は、相当する鎖長を意味し、特に断りのない限り、m=1~24及びn=1~24である。例えば、GalGlcMannは、ガラクトピラノシルグルコピラノシルマンノピラノシルnを意味し、GlcmMannは、グルコピラノシルmマンノピラノシルnを意味する。
【0067】
ハイフンでつながれた数字は、大きさの範囲を表す。例えば、Man8-14GlcNAc1-2は、分岐マンノピラノシル8-14N-アセチルグルコサミン1-2を意味し、ここで、Man8-14は、分岐鎖における8~14個の範囲のMan単位を意味する。
【0068】
好ましい分岐鎖の例としては、アルキル、アシル、アリール、ポリアシル、ポリアルキル、アミンを有する又は非置換のMannGlys;アルドシル;ケトシル;GlcNAcn;アルキルGlcn;メチルGlcn;メチルGlcGlyn;アルキルMann;GalnMan2;ペントース;アラビノース;リボース;キシロース;ヘキソース;マンノース、マンノシド、マンナン;グルコース、グルコシド、グルカン;ガラクトース、ガラクトシド、ガラクタン、ラフィノース;Gly2、例えば、Glc2スクロース、トレハロース、マルトース、ゲンチオビオース、セロビオース、GalGlcラクトース、キシロビオース、ラミナリビオース;GalmMann;GalmGlcjMann;GlcjMann;XyloMann;AraMann;AraGaln;フルクトフラノシルmGlcj;Lac;マルトピラノシル;Man1-3、例えば、Man1、メチル-α-D-Man、メチル-α-D-Man1-3、メチル-α-D-Man3Gal;トリオシル、例えば、Man3;ならびに誘導体及びそれらの組合せが含まれる。
【0069】
グリカンコンポジットの脱グリコシル化物のブレンド中の好適なグリカンは、例えば、Man1、Man3、メチル-D-Mann及びメチル-D-Glcnである。グリカン脱グリコシル化物は、Mann(ここで、nは1~8である)、好ましくはMan1-3などの短鎖;Manm-nGly、Manm-nGlc、Manm-nGal、及びManm-nGalGlcなどのO結合分岐鎖(ここで、mは1~8であり、nは1~8である)から選択され得る。さらに他の好適なグリカンは、>1kDa鎖;例えば、GalmMann;GalnMann;GlcmMann;GaljGlcmMann、j=1~24、m=1~24、n=1~24であり(脱グリコシル化物は<1kDaが好ましく、ここで、j=1~8、m=1~8、n=1~8である)、例えば、Gal2Man2;ならびに組合せ及びブレンドである。好ましいグリカン脱グリコシル化物は、Glym-n(ここで、m=1~8及びn=1~8である)を有するO結合グリカン及びN結合グリカンである。さらなる例としては、α-マンノビオース、マンノテトラオース、マンノペンタオース;アミノ官能基化マンノース、例えば、グリシルMann、アラニルMann、及びアミニルMann(ここで、n=1~24)などのMannコア構造が含まれる。
【0070】
好ましい分岐グリカン脱グリコシル化物は、1以上のN結合グリカン、例えば、MannGlcNAc1-3及びManm-nGlyNAc1-3、例えば、Man8-15GlcNAc2を含み得る。好ましいN結合グリカンは、低分子量MannN-グリカンから選択され、従って、Man3GlcNAc1-3及びトリマンノピラノシル-N-グリカンが最も極めて好ましい。好適な誘導体は、Manm-nGalNAc1-3、例えば、Man8-15GlcNAc1-2及びMan9-20GlcNAc1-3;ならびにN-グリカン、アシル、アルキル、及びアリール置換などの誘導体など、より高次の分岐を有し得る。さらに、好適な分岐GalGlcManN-グリカンは、例えば、Gal4Man10GlcNAc2として、Glc:Gal:Manを1:2:16~9:2:20の比率で含む。加えて、N-アセチルグリコサミニル末端配位子、例えば、N-アセチルガラクトサミン、N-アセチルグルコサミン、及びN-アセチルノイラミンは、GalNAc1-3;GlcNAc1-3;GlcNAc2;Man1-8GlcNAc1-3;それらの誘導体及び組合せから選択され得る。
【0071】
遷移金属2+配位錯体成分
本明細書に開示される実施形態は、グリカンコンポジットの遷移金属2+配位錯体組成物を提供する。特定の実施形態では、遷移金属2+配位錯体は、金属2+成分と1以上の陰イオン成分からなる。特定の金属2+は、グリカンの適切な結合のためにホロタンパク質構造に組み込まれる。特定の金属2+が無いとこのタンパク質構造は不完全であり、コンジュゲートに対する立体配座を欠く。従って、これらの好ましい金属2+には、カルシウム(Ca2+)及びマンガン(Mn2+)が含まれ、Ca2+とMn2+は自然にホロタンパク質結合部位を生じるので、両方を一緒に適用することが好ましい。しかしながら、常にCa2+の存在下で、コバルト(Co2+)、ニッケル(Ni2+)、及び亜鉛(Zn2+);ならびにそれらの組合せから選択される1以上のDブロック遷移金属2+を含むMn2+以外の好適な遷移金属2+が付加、置換又は配合されてもよい。加えて、鉄(Fe2+)及びマグネシウム(Mg2+)及び/又は1以上の上述のDブロック遷移金属2+の存在は、Ca2+及びMn2+によるホロタンパク質の構造的立体は遺伝子座をさらに支持し得る。これらの金属2+及び/又はそれらの水溶性塩は、液体又は固体としてグリカンコンポジットに量り込まれ、例えば、0.1~100ppm Ca2+、0.1~100ppm Mg2+、0.1~10ppm Fe2+、0.1~10ppm Mn2+、0.1~10ppm Zn2+、0.001~1ppb Co2+、及び0.001~0.1ppb Ni2+の範囲で適用される。
【0072】
グリカンコンポジットの上述の遷移金属2+配位錯体の好ましい陰イオン成分は、オキサロ酢酸イオン;酢酸イオン;アコニット酸イオン;クエン酸イオン、イソクエン酸イオン;フマル酸イオン;グルタル酸イオン、ケトグルタル酸イオン;リンゴ酸イオン;及びコハク酸イオンなど、呼吸加速因子としてさらに機能する封鎖陰イオンから選択され得る。他を除外するものではないが、本明細書に挙げられるそれらの好適な酸誘導体は、アコニット酸、クエン酸、フマル酸、グルタル酸、リンゴ酸、オキサロ酢酸、コハク酸、及び遷移金属2+配位錯体の同様の酸から選択され、好ましくは、10:1 陰イオン:陽イオンモル比以上で、100ppb~30%w/wの範囲内であった。アコニット酸としては、アコニット酸イオン、シス及びトランスアコニット酸、塩などが含まれる。クエン酸としては、クエン酸イオン、クエン酸、イソクエン酸、及びメチルクエン酸;無水クエン酸;クエン酸リン酸イオン;塩などが含まれる。フマル酸としては、フマル酸イオン、フマル酸、ボレチン酸、アルキルフマル酸イオン、塩などが含まれる。グルタル酸としては、グルタル酸イオン、ケトグルタル酸イオン、グルタル酸、無水グルタル酸、アルキルグルタル酸イオン、グルタミン酸イオン、塩などが含まれる。リンゴ酸としては、リンゴ酸イオン、リンゴ酸、マレイン酸、マレイン酸イオン、無水マレイン酸、無水アルキルマレイン酸、マレイル-タンパク質、塩などが含まれる。オキサロ酢酸としては、酢酸イオン、酢酸、例えば、氷酢酸及び酢;アセチル-CoA;アセチルリン酸イオン、無水酢酸;アルキル酢酸イオン、アルキルアセト酢酸イオン、オキサロ酢酸イオン、塩などが含まれる。コハク酸としては、コハク酸イオン、コハク酸、アンバースプライト、アルキルコハク酸、無水スクシニル、塩などが含まれる。上述の塩には、1以上のCa、Mg、Na、及び遷移金属2+配位錯体が上述の酸とともに含まれる。遷移金属2+配位錯体の陰イオン成分は、好ましくは、それらのリン酸イオン、例えば、リンゴ酸-リン酸イオン、クエン酸-リン酸イオンなどから選択され得る。一般に、遷移金属2+配位錯体の純粋な成分はバルク状態で市販されている。遷移金属2+配位錯体の陰イオン成分は、好適な多座キレート剤、例えば、アルキルアミドキレート剤、例えば、アルキルアミドキレート剤のアンモニウム、ナトリウム、及び/又はカリウム塩、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、N-ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HeEDTA)、エチレンジアミン-N,N’-ビス2-ヒドロキシフェニル酢酸(EDDHA)、ジ(オルト-ヒドロキシベンジル)-エチレンジアミン二酢酸(HBED)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA);メチルグリシンN,N-二酢酸(MGDA);グルタミン酸二酢酸(GLDA)などから選択され得る。陰イオン成分は、慣例的に、最低7:1、好ましくは、10:1の陰イオン:陽イオンモル比以上で金属の液体溶液に加えられる。
【0073】
遷移金属2+配位錯体の好ましい塩は、金属2+と陰イオン成分を反応させることから得ることができる。さらに、好適な市販の塩としては、N、P、K、S、C、H、O、Cl、二次栄養素及び微量元素の誘導体;ならびに当技術分野で公知の化合物の他の農業的に対応した組合せが含まれる。例えば、アミン、アミド、硝酸塩、ポリアシルアミンとしてのN;炭酸塩としてのC;塩化物としてのCl;リン酸塩、亜リン酸塩としてのP;硫酸塩としてのS;酸としてのH;塩基としてのOH塩基など。
【0074】
例示的成分の機能への寄与
グリカンコンポジット(GC)は、それぞれ所望の特性を全体に与える、異なる化学的特徴を有するいくつかの化合物から構成される。グリカンコンポジットの成分が圃場で作物に個別に施与される場合には性能は一貫しないことを見出すことは最も明瞭なことであった。各成分を別の植物集団に直接施与することは可能であるが、有益な効果を欠くために好ましいものではない。従って、機能的な例示的グリカンコンポジットを確認するための試験を行い、同時に、分離した成分のそれぞれが単独では十分に機能しなかったことを示した。
【0075】
光合成作物を光合成産物の呼吸代謝の手段により、樹立、維持及び繁殖のために栽培した。しかしながら、光合成に対する呼吸の比率は3分の1より小さい。この比率を引き上げるために、本明細書に開示される実施形態に従うグリカンコンポジットの施与により、光合成産物を以前より呼吸により効率液に移行することによる作物成長の調節を用いた。これを、暗黒(すなわち、日光が到達しない環境)下、例えば、日中地下にある種子及び根;又は夜間の根及び/若しくはシュートに対するグリカンコンポジットにより効率的処理によって促した。種子、果実、花、サップネクター、光合成産物、根、茎及び/又は幹に対するグリカンコンポジット処理を最適化することにより、すなわち、同様にこれらの新規な系によるシュート及び/又は根への施与により、生産性を高めることは農業に有利であると思われる。これらのことを考え合わせると、プラスの効果を達成するためのグリカンコンポジットの施与は、本明細書に開示される実施形態により実現される。
【0076】
光合成の葉に対し、種子は完全に呼吸である。結果として、栄養素の制御に比べ、種子への極めて低用量のGCの施与から催芽が起こった。分離した成分に対する初期成長応答を統合GCと比較し、結果を、平均を比較して統計的に有意かどうか分析した。分離した成分は機能しなかったが、一緒にした場合、それらは有効性に寄与したことが明らかに示された。さらに、Dブロック遷移金属2+の全セットを含んだ本実施形態の遷移金属2+配位錯体は、コンポジット配合物の性能を向上させた。
【0077】
呼吸は、利用可能な酸素(O2)に依存し、O2は、同時施与又はそうでなければ作物を、O2を上昇させるためのGC処理下に曝すことによって増大させた。特に、根又は種子への、部位を指定したO2の増大は、過酸化物などのO2発生化合物の施与により圃場でよってより効果的に達成された。好適な安価な過酸化物としては、H22及び過酸化カルバミドが含まれ、一方、作物がGC処理下にある間にO2をゆっくり放出するCaO2及び/又はMgO2などのO2発生粒状化合物が当技術分野で知られている。CaO2及びMgO2は、特に本実施形態の配合物とともに別の酸素源として種子又は根に施与される場合、呼吸を補助するO2高濃度環境を提供した。過酸化物は、乾燥製品として配合され得るが、好ましくは、保存され、GC処理前、処置中又は処理後に作物に別に施与されるO2発生成分である。過酸化物はGC濃縮物を脱安定化及び分解する傾向があり、従って、保存寿命を短くする。
【0078】
例示的O2発生同時施与法は以下の通りである:GC処理前に、液体H22、10~100グラムの粒状CaO2及び/又はMgO2を作物期間中、15~30cmの土壌深度、50Kg/haの割合で混ぜ込み;かつ/又は移植前に培養土又は植え穴用土に10~20g/Lを混合した。GCは、同エーカー数の光合成生物に対して側面施与又は散布水剤として施与した。その後、植物がGC処理下にある間、過酸化物はゆっくりO2を放出し、GCの作用とともに呼吸を促進した。O2ガスの灌注は、主として液体媒体に飽和までバブリングさせることによって行うことができる。O2発生剤とグリカンコンポジットの同時施与は相乗効果があり、生産高の増量をもたらした。
【0079】
2が上昇不能な状況では、呼吸を促す環境(光合成生物が栽培下にある)を提供するための別の方法を適用した。従って、グリカンコンポジットへの添加又は組み込みによって作物を呼吸加速因子に曝すとともに、グリカンコンポジット処理を行った。呼吸加速因子は、iP、例えば、リン酸の塩、例えば、リン酸アンモニウム、リン酸カリウム及びリン酸ナトリウム;Glyリン酸塩、Glcリン酸塩及びManリン酸塩、Glc2リン酸塩、例えば、マンノビオースリン酸塩、スクロースリン酸塩、トレハロースリン酸塩、及びキシロビオースリン酸塩;植物成長調整剤、例えば、オーキシン;ならびにオキサロ酢酸、アコニット酸、クエン酸、フマル酸、グルタル酸、リンゴ酸、及びコハク酸から選択された。上述の酸はまた、本配位錯体の陰イオン成分としても働き、最低10:1陰イオン:陽イオンの比で添加される。
【0080】
材料及び方法
バーピースイートコーン品種Bi-リシオウス雑種の発芽及び初期成長を、コンポジット配合物の種々の細胞に対する応答に関して試験した。実生成長の迅速検定は水耕栽培で行い、水性培地は滅菌し、冷却した。処理前に種子を検査して異常に大きい、小さい又は損傷した種子を除いた。植物は呼吸のために暗黒下、30℃で維持した。正確に48個の種子を15cmの無菌ディスポーザブルプラスチックペトリ皿内の、栄養対照液又は処理液で湿らせた円形ワットマン濾紙上に播いた。処理当たり8回の反復とした(n=8)。30時間後に対照の50%に幼根の出現が見られた場合を発芽とした。処理及び対照溶液は、栄養素を脱イオン化超純水に溶かすことによって調製した。Ni2+及びその他の金属の混入を防ぐために、ステンレス鋼製の容器及び撹拌装置の代わりに、プラスチック製の実験器具を用いた。栄養素による交差汚染は、使用後に即、プラスチック器具を廃棄することによって避けた。保存溶液は試薬級の化合物から作製した。本研究のGCのグリカン保存水溶液は、酢酸:無水酢酸:硫酸25:25:1中でのアイボリーナット粉のアセトリシスによって得られたMannグリカン脱グリコシル化物1~15%であった。0.0001~5%Ca2+ならびに遷移金属Fe2+、Mn2+、Zn2+、Co2+、及びNi2+(Cat)は、CMSと略される1mMクエン酸、5mMリンゴ酸、及び1mMコハク酸のブレンド中での金属イオン封鎖によって調製した。GCは、10μM Mann濃度で施与した。EDTAと略されるCa-EDTA塩及びMn-EDTA塩が限定されたイオンである。施与した他の濃度は、1μM Man3及び100μM Man1であった。Man1-CatCMSは、Man1-EDTAなどとの比較のためにCat-CMS遷移金属2+配位錯体とともに配合した。水を陰性対照とした。
【0081】
結果
表2に示されるように、GCで処理したトウモロコシ種子は、分離した成分、Cat、グリカン、CMS単独に比べて発芽平均数に高い有意性の加速化を示した(p=0.000)。CMS、グリカン、及びCatの計数値は水と同じであり、水とCatの間に差は無かった。全GCは、G-EDTAに比べて有意な向上を示した。GCは、CaMn-CMSを伴うグリカンに比べてボーダーラインの有意な向上を示し、全Catが、限定されたイオンの寄与を超えてGCの有効性を向上させたことを示している。従って、GCにおいては、CatとCMSの両方が発芽に寄与した。さらに、グリカンがMan1で置換された、又はMan3がCat CMSで置換されたコンポジット配合物は、限定されたイオンを伴う、また、呼吸を高めなかったEDTA塩を伴うMan1及びMan3配合物に比べて、有意な発芽の向上を示した。
【0082】
結論
全GCでは、成分は呼吸及び成長に寄与したが、これに対し、別個に施与した個々の成分は機能しなかった。Cat、特に、CMS遷移金属2+配位錯体において遷移金属2+を完全に補うと、限定されたイオン配合物に比べて製品が有意に向上した。呼吸を促進した遷移金属2+配位錯体の好適な陰イオン成分の選択は、促進しなかったEDTAに比べて有意にGCに寄与した。注目すべきは、グリカン及びMan3コンポジットの抗力は、Man1より大きい桁であり、双方ともMan1よりも低用量で発芽を示した。コンポジットは、Man1配合物及びMan3配合物の有意な向上に向けて適用可能であることが判明したが、これは本研究の予期されない結果であった。特に、遷移金属2+-アルキルアミド配位錯体を伴うGCの発芽後施与は、特に酸素分圧が低下した環境で、光合成産物の蓄積傾向をもたらした。例えば、レタスの葉の収穫1週間前のGC-CaMnEDDHA 1施与は、全GC及び対照よりも高いブリックスをもたらした。
【0083】
【表2】
【0084】
液体濃縮物のための保存剤
冷蔵、乾燥、暗黒貯蔵条件下で維持しつつ、乾燥形態又は液体形態で輸送され得る10ppm~30%濃縮物としてグリカンコンポジット製品を提供することが有利な場合が多いが、グリカンコンポジットを含む有機化合物に付随することは、その錯体が種々の雑多な微生物ならびに植物細胞によって消費されるということである。従って、特に水性製品の損傷から組成物を保護するための方策をとならなければならない。特に液体組成物の貯蔵のため、製品の安定性を高めるために配合物に好適な保存剤を組み込むことができる。商業的保存剤としては、殺生物剤及び殺菌剤、例えば、以下のもの:過酸化物;次亜塩素酸ナトリウム;漂白剤;酸;塩基;酸化剤;ホルムアルデヒド放出保存剤、例えば、1,3-ジメチロール-5,5-ジメチルヒダントイン、クオタニウム-15、ブロノポール、ジアゾリジニル尿素、ヒドロキシメチルグリシン酸Na;銀;酢酸銅;過マンガン酸塩;ジニトロモルホリン;フェノール、例えば、4-クロロ-3-メチルフェノール及び2-フェニルフェノール;チアゾリノン及び好ましいイソチアゾリノン(IT)、例えば、ベンゾイソチアゾリノン(BIT)、メチルクロロイソチアゾリノン及びメチルイソチアゾリノン(MIT)が含まれる。ITは、1~800ppmの範囲のフィトブランド抗微生物剤である。保存剤は、表示率1ppm~1%の範囲で液体グリカンコンポジット濃縮物に配合するために推奨される。例えば、液体濃縮物中50~750ppm、好ましくは100~300ppmの範囲のBITが安全かつ有効である。従って、グリカンコンポジットの液体配合物は、いずれの抗微生物剤とブレンドしてもよく、さらにそれらは本明細書に開示される実施形態の通り、フィトブランド保存剤から選択しなければならない。生産性向上のために光合成生物群に施与する前に希釈するための、濃縮製品組成物として10ppm~30%グリカンコンポジットで存在するグリカンコンポジット製品において、好適な濃縮物は、1ppm~20%の範囲の1以上のグリカン脱グリコシル化物と1ppm~10%の範囲の1以上の遷移金属2+配位錯体と50ppm~1%の重量範囲の保存剤を含む。
【0085】
例示的保存剤はグリカンコンポジットの効力を維持する
植物成長調整剤グリカンコンポジットの効力に対する保存剤の効果を比較した。実験では根成長を定量した。結果は、保存剤によって貯蔵後1か月間効力が保持されたことを示した。これに対して、保存剤不含の配合物は活性を失った。
【0086】
材料及び方法
発芽後初期のフダンソウ(ベータ・ブルガリス(Beta vulgaris)亜種シクラL.(cicla L.)栽培品種「Fordhook(登録商標)Giant」)の根の成長を、保存剤BITを添加したグリカンコンポジット(GC)に対する応答に関して試験した。抗微生物剤効果が狭く、食品用途に適切でなかったか、又は抗微生物剤用量で植物毒性があった予備試験の保存剤は除いた。フダンソウ発芽体の根は、GCの施与1週間以内に長さに成長向上の応答を示した。振盪しながら水グリカンコンポジットへのブレンドを開始するために分岐N結合グリカン、100ppmMan3GlcNAc2脱グリコシル化物を選択した。グリカンコンポジットは、グリカン水溶液中5mMリンゴ酸陰イオン成分を水性金属2+-硝酸塩とともに撹拌することによりさらに配合し、1~5ppm Ca2+及び遷移金属、1~3ppm Fe2+、0.1~0.5ppm Mn2+、0.2~1ppm Zn2+、0.01~0.1ppb Co2+、及び0.001~0.01ppb Ni2+の5mMリンゴ酸遷移金属2+配位錯体を得た。保存剤プロキセル(商標)GXLをIT抗微生物剤から選択し、100~200ppmの範囲で貯蔵するために1ppm~30%の液体製品濃縮物に適用した。配合物を試験前に35℃で1か月間貯蔵した。濃縮配合物は、実生の処理直前に必要に応じて水で希釈した。溶液には、必要とされる他の元素の試薬級化合物を配合した。
【0087】
根の成長の迅速アッセイは、湿らせた円形ワットマン598種子培養濾紙上での上述の水耕栽培の改変法に基づき、処理剤及び水性培地は施与前に滅菌した。根のmg重量を較正済みのメトラーデジタル天秤で得た。本明細書で使用される技術用語は、次の通りに、栄養素の不含又は含有を示す:GC=IT不含10μMグリカンコンポジット、GC-IT=IT含有GC;Man1=IT不含100μM Man1-GC、Man1-IT=IT含有Man1-GC;MG=IT不含375mMメチル-D-Glc1-GC、MG-IT=IT含有MG;Man3=IT不含1μM Man3-GC、Man3-IT=IT含有Man3-GC。
【0088】
保存剤は貯蔵された配合物の効力を保持する
保存剤不含のグリカンコンポジット処理した発芽後のフダンソウ実生は、IT含有の同じ配合物の半分の効力の損失を示した。平均±SEの結果を表3に示す。IT不含の2倍(2×)濃度のコンポジット配合物は、対照より高い値の重量、さらにIT含有の1×濃度より20%低い収量をもたらした。保存剤不含の配合物は、1か月の貯蔵後にそれらの効力の少なくとも半分を失った。保存剤含有のGC配合物の元の効力の保持は、エンドユーザーへの売却及び施与まで貯蔵されなければならない全ての製品の明らかな改良を示す。
【0089】
【表3】
【0090】
図1の例では、植物細胞は、細胞に輸送されたグリカンコンポジットの溶液に曝された。糖タンパク質の結合親和性及び特異性に従って、グリカンコンポジットは光合成産物を貯蔵から変位させ、それらを呼吸、成長及び発芽に利用可能とする。この方向転換されたエネルギー流は他の特徴の中でも栄養素対照よりも、一貫して早い発芽をもたらした。
【0091】
グリカンコンポジットを製造するための好適な合成は次の通りである。特定の実施形態では、グリカンコンポジットを、上述の遷移金属2+の1以上とともに配合した。遷移金属2+配位錯体を製造するために、適当な陰イオン成分、例えば、0.1~5mMクエン酸、リンゴ酸、コハク酸、及び/又はオキサロ酢酸のうち1以上を加え、水に溶かし、次いで、好適なppb~ppmの、遷移金属2+配位錯体の金属2+成分を撹拌して、水性配合物に溶かした。よって、例えば、1~10ppm Ca2+及び0.1~1ppm Mn2+、1以上の1~10ppm Mg2+、1~3ppm Fe2+、及び0.2~1ppm Zn2+、ならびに0.01~0.1ppb Co2+及び0.001~0.01 ppb Ni2+を金属2+成分に加えた。適切な遷移金属2+配位錯体の形成は、少なくとも1:10及び好ましくは1:25の遷移金属2+-陽イオン:陰イオン比を必要とする。グリカンコンポジット単位は、1μM~500mMグリカン中でブレンドすることにより完成した。植物に施与する前に1日を超える貯蔵を行う配合物は、IT、BIT、MIT、ヒダントインなどから選択される、表示量の広域保存剤を含んだ。この方法はまた、特に、葉面施与のために、1以上の農業用界面活性剤/乳化剤、及び/又はその他の農業用添加剤/助剤を少なくとも臨界ミセル濃度を達成する表示量でブレンドする工程を含み売る。
【0092】
好適な界面活性剤及び乳化剤としては、陰イオン、陽イオン、非イオン、及び両性イオン洗剤;例えば、アミンエトキシル化物、アルキルフェノールエトキシル化物、リン酸エステル、ポリアルキレンオキシド、ポリアルキレングリコール、ポリオキシエチレン(POE)脂肪酸エステル、POE脂肪ジグリセリド、POEポリマー、POPポリマー、PEGポリマー、タンパク質界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル、アルコールエトキシル化物、ソルビタン脂肪酸エステルエトキシル化物、エトキシル化アルキルアミン、第四級アミン、ソルビタンエトキシル化エステル、置換多糖、アルキルポリグルコシド(APG)、APG-クエン酸塩、アルキルグリコシド、例えば、メチルグルコシド、アルキルマンノシド、メチルマンノシド、アセト酢酸エチル、N-アセチルグルコサミン、メグルミン、グルカミド、ジメチルグルカミン、コポリマー、シロキサン、獣脂アミン、及びブレンドが含まれる。グリカンコンポジットを茎葉に施与する場合、配合物はさらに1以上の水性界面活性剤を含んでよく、得られた混合物をエーカー当たり約1~100ガロン、好ましくはエーカー当たり10~80ガロンの量で植物茎葉に散布、ミスト化、霧化又は静電気学によって施与する。
【0093】
GCを栄養素とブレンドすると、活力のある拡大した根系を維持し、植物成長を増進し、花序を拡大し、結果を促進し、フレーバーを改良し、このような描写は栄養素の欠乏した土壌及び水において特に重要であった。必須一次元素としては、N-P-Kが含まれる。必須二次栄養元素としては、Ca、Mg、及びSが含まれる。必須微量栄養元素としては、B、Cl、Co、Cu、Fe、Mn、Mo、Ni、Si、Na、及びZnが含まれる。好ましい栄養素は、他の元素、イオン、又は塩を除外して選択されず、状況に応じて、土壌及び水中で、補給が生産性に必要でないような特定の存在量で利用可能であり、従って、栄養素補給は、ラベルの説明に従い、行政の農業統括当局に従った比率で施与される。好適な供給源としては、当技術分野で一般に知られている塩及び無機物が含まれる。例えば、本組成物に最も極めて好ましい微量栄養素選択としては、0.5~5ppmキレートFe及び/又はZnを含んでよく、得られた混合物の好適な量が1以上の植物に施与される。
【0094】
植物栄養素のリンは、以下の供給源:iP、リン鉱、リン酸、リン酸塩、亜リン酸塩、ピロリン酸塩、立体P、糞化石、堆肥、海草抽出物、鳥類の糞、漁業、家禽及び家畜廃棄物などのうち1以上から得ることができる。Pの有機供給源は、1~20%範囲のiPで圃場に施与するにははるかに高くつき過ぎる傾向にあるが、1%濃度未満の範囲でそれらは多くの場合呼吸加速因子として有効であることが分かっている。Pの有機供給源は例えばグリセロリン酸塩を含んでおり、上述の糖-リン酸塩は0.1ppm~800pptの範囲で利用された。
【0095】
窒素は、以下の供給源:硝酸N、例えば、硝酸及びその塩;アンモニアN、例えば、アンモニア、UAN、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム;尿素N、例えば、メチレン尿素、尿素-ホルムアルデヒド、尿素、低ビウレット及び好ましくは、超低ビウレット尿素;アミン/アミド/アミノN、例えば、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、オルニチン、プロリン、セレノシステイン、タウリン、チロシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン、バリン;塩、例えば、グルタミン酸ナトリウム又はカリウム;誘導体;ブレンドなど;及びアミノ酸の混合物;タンパク質、例えば、グルテン、カゼイン、魚類、及び血液由来のもの;ヘキサミン;ならびにそれらの組合せのうち1以上から得ることができる。栄養素元素は、光合成生物のあらゆる生化学、成長、繁殖及び構造成分へと代謝された。
【0096】
グリカンコンポジットの施与は、タンクミックスの使用により、又は添加剤を選択して配合された施与物により、植物栄養素欠乏を補う機会を提供する。植物栄養素の量は、当技術分野で公知の比率で理事会により保証された分析の表示に従って施与される。補給は、植物栄養素成分を水溶液に溶かして、グリカンコンポジットを含む混合物を得る工程を含んだ。例えば、特定の実施形態では、グリカンコンポジットは、100~2000ppm N、50~250ppm P;50~2000ppm K;1~100ppm Ca;1~10ppm Fe;0.5~6ppm Mn;及び/又は0.5~5ppm Znが補給された。種々のグリカンコンポジット配合物は、栄養素利用効率に利益が得られ、非生物的ストレスに対する耐性を高め、収量を増大させ得る物生物刺激剤として分類され得る。生物刺激剤は一般に、天然物、例えば、植物、藻類、発酵及び動物代謝産物;フミン酸塩;微生物;生化学製品などを含む。他のグリカンコンポジット配合物は、一般に例えば、藻類、発酵及び動物代謝産物;タンパク質;酵素;微生物などの天然物を含むエリシターとして分類され得る。
【0097】
作物に施与されるとして本明細書に開示される実施形態は、化合物自体が、生きている光合成真核生物;及び大半は農業用アーケプラスチダ(Archaeplastida)植物を含む光合成生物の制御のための資源として機能する、組成物として製造されるグリカンコンポジットのものである。従って、グリカンコンポジットは、農薬とともに適宜配合されてよく、光合成生物、特に、栽培されている顕花植物の成長を促進することができる水性組成物とされる。本明細書に開示される方法は、光合成生物の生産性に寄与する外因性成分のバランスのとれた代謝を安全に増進するために施与され得る。同時に、それらは作物の健康な成長及び品質を向上させるためにさらに製造され得る光合成生物の有益な処理において、グリカンコンポジット組成物を施与するための方法でもあり得る。
【0098】
本発明者らはいずれの理論にも縛られるものではないが、本明細書に開示される実施形態のグリカンコンポジットは、「ロックとキー」の機構を特徴とする。好適な末端配位子を有するグリカンは、特定の受容糖タンパク質と高い結合親和性を示す。ロックは糖タンパク質であり、キーは末端配位子である。糖タンパク質ロックの「タンブラー」は、カルシウム及びマンガンの内部構造部位である。グリカンのキーはロックを開け、光合成産物が離脱して蓄積するか、又は呼吸代謝へ移行し、遷移金属2+配位錯体の陰イオン成分において呼吸加速因子の選択肢を開放する。日中は、根はこれらの光合成産物を消費する。呼吸中の根は二酸化炭素を産生し、その一部(10%~20%)はシュートに輸送され、光合成炭素固定の増大がもたらされる。従って、本グリカンコンポジットは、ブリックスとして測定される甘みの品質を調整するサップネクターへのそれらの到達を介した光合成生物のこれらの処理により、光呼吸に対するエネルギー損失を軽減するために有用であり得る。特に、例えば植物が日光強度の飽和、干魃及び高温などの光呼吸環境ストレス下で栽培される場合、グリカンコンポジットは収量に利益を与え得る。さらに、これらの実施形態は、ヒト消費者、家畜、家禽によるフレーバー及び栄養素の増強のための、ならびに受粉媒介者に対してのロバストなネクターにおける、呼吸の減速を介して光合成産物の蓄積を調節するためのグリカンコンポジット系を提供する。
【0099】
本明細書に開示される実施形態によれば、光合成生物に光合成産物を蓄積させるように光合成フラックスを高める新規な植物成長調整剤系が提案される。これは例えば光合成生物に施与され得るグリカンコンポジットの新規な作物投入物の作出によって始められる。グリカンコンポジットは、遷移金属2+-多座陰イオンを含む分岐グリカンからなり得る。この実施形態の好ましい陰イオンは、EDTA、EDDHA、HeEDTA、DTPA、HBED、MGDA、GLDAなどの塩から選択されるアルキルアミドである。加えて、0~10%O2の範囲の低酸素分圧下の酸素不足環境は、灌水により根を潤すこと、植物若しくはそれらの一部を窒素ガス中で貯蔵すること、又はCO2濃度を高めることによるなどの呼吸減速因子によって物理的に誘導することができる。あるいは、呼吸減速因子は、当技術分野で公知の農業上表示されている方法に従って同時施与される好適な植物成長調整剤から選択することができ、例えば、1~750ppmの用量の植物成長調整剤が、種々の好適なサイトカイニン、サリチル酸、及び/又はジベレリン、ならびに誘導体などから選択された。
【0100】
光合成生物は、施与され、好ましくは、適宜配合され、光合成生物の成長及び品質を高めるとともに、それらの市場向きの品質を高める一連の生理学的利益を提供するように、有効な配合物とされた場合、グリカンコンポジット成分に一貫して応答する。
【0101】
本明細書に開示される実施形態によれば、実施形態の錯体は、個別に、逐次に又は同時に施与され得る。実際に、特に、生理学的ストレス中、光合成生物のサップネクターに対するグリカンコンポジットの作用により、本明細書に開示される実施形態の上述のロックとキーの機構に従って、光合成生物において呼吸代謝への光合成産物の流動を増大させることによって生産性が高められた。
【0102】
特定の実施形態では、少なくとも、0.1ppm~30%の範囲のグリカン脱グリコシル化物と0.1ppm~20%の範囲の1以上の遷移金属2+配位錯体を含む組成物中の濃縮グリカンコンポジット製品は、一定量のグリカンコンポジットを好ましい担体としての水に溶かすことによって施与準備がされる。選択的担体としては、例えば、植物油及び鉱油、アセト酢酸アルキル、又は脂肪族アルコールが含まれる。従って、グリカンコンポジットを含有する最終溶液を最終希釈用の選択担体としての水中で撹拌することが栽培者にとって好都合となる。ほとんどの場合、振盪と25~80℃の加熱で、担体中の乾燥製品の溶解が促進される。グリカンコンポジットは、水栽培及び水耕栽培、ポンプを用いた媒体への計量施与、希釈グリカンコンポジット中への根の浸漬、又は葉面処理などの水媒農業システムに用いやすい。
【0103】
使用される配合物は、表示の比率で施与した場合にグリカンコンポジットの有益な効果を向上させ得るか又は少なくとも妨げない多様な農業上好適な添加剤、助剤、又はその他の農業上適合する成分(以下「添加剤」)のいずれを含んでもよい。一般に、農業適用に許容される添加剤は米国環境保護庁によって定期的に一覧化されている。特に、葉面用組成物は、有効物質の含水、乳化、さらには分布及び浸透をさらに促進するために十分な量で存在する展着剤を含有してよい。展着剤は一般に、葉面に処理剤のシート作用を提供する有機アルカン、アルケン又はポリジメチルシロキサンである。好適な展着剤としては、パラフィンオイル及び前述の界面活性剤が含まれる。浸透剤としては、例えば、アセト酢酸アルキル、ドデシル硫酸ナトリウム、ホルムアミド、DMSO、及びアルコールが含まれる。
【0104】
本明細書の実施形態は、農業上適合する農薬、殺虫剤、除草剤、植物成長調整剤、殺真菌薬、殺菌剤、殺生物剤、エリシター、生物刺激剤、拮抗薬、蒸散抑制剤、共力剤、浸透剤、界面活性剤、展着剤、粘着剤、ビタミン、無機物、塩、溶媒、遺伝学的薬剤、生物剤などの種々の植物処理剤とブレンド又はタンク混合される場合に有用である。アンモニア代謝に基づく除草剤、例えば、グルホシネート、表示の比率での施与で、Ignite(登録商標)、Rely(登録商標)、及びLiberty(登録商標)は、グリカンコンポジットの施与により安全となり、関連の除草剤耐性GMO作物において植物毒性を軽減する。
【0105】
好適な添加剤及び助剤の例としては、石灰石、鉄粉などの無機物、;硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸カリウム、過マンガン酸カルシウム、リン酸カルシウム、酢酸カルシウム、アコニット酸カルシウム、クエン酸カルシウム、クエン酸リン酸カルシウム、フマル酸カルシウム、リンゴ酸カルシウム、マロン酸カルシウム、マレイン酸カルシウム、リンゴ酸リン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、グルタル酸カルシウム、CaO2、コハク酸カルシウム、カルシウムキレート剤、硝酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、リン酸マンガン、酢酸マンガン、クエン酸マンガン、フマル酸マンガン、グルタル酸マンガン、炭酸ロードクロサイトマンガン、酸化ンガン、MgO2、リンゴ酸マンガン、マロン酸マンガン、マレイン酸マンガン、コハク酸マンガン、マンガンキレート剤などの塩;アルコール、ケトン、オイル、脂質、水などの補助溶剤;Bt、遺伝子、配列、RNA、DNA、プラスミド、ゲノムなどの遺伝子改変生物及び遺伝物質;微生物、酵母、細菌、ウイルス、ベクターなどの生物剤;ならびにアナットー、メチレン色素、コバルトブルー、及びインジカンなどの着色剤、色素、及び顔料が含まれる。本組成物に添加可能な他の構成要素としては、土壌改良剤、抗生物質、植物成長調整剤、GMO、遺伝子療法剤などが含まれる。本発明の配合物に添加可能な植物成長調整剤としては、オーキシン;ブラシノリド;サイトカイニン;ジベレリン;サリチル酸塩;ベンジルアデニン;アミノ酸;安息香酸塩;カルボン酸、ビタミン;炭水化物;ホスホノメチルグリシン、ハロスルフロンアルキルなどの除草剤;セトキシジム及びスルホニル尿素などの選択性除草剤;それらの塩、エステル、リン酸塩、水和物及び誘導体;ならびに遺伝子組成物がある。
【0106】
グリカンコンポジット技術は、限定されるものではないが、暗黒又は日陰下、最大呼吸期間、ならびに直射日光下での作物施与に適当である。一般に、グリカンコンポジットは、シュート及び/若しくは根及び/若しくは種子;ならびに/又はクチクラ、表皮、花、果実、サップ、ネクター、樹皮、茎、茎葉、針葉、葉身、葉面、とげ、毛状突起、根毛、主根、子葉、球果などを含むその一部に直接容易に施与される。光合成生物に施与する場合の配合物中のグリカンコンポジットの濃度は、一般に約1ppb~1%、より好ましくは約10ppb~500ppmとするべきである。特殊な施与では、施与点での濃度は、根ではシュートよりも低くてよく、従って、根の施与には1ppb~300ppmの濃度である。グリカンコンポジットは発根媒体に施与してもよく、従って、灌水してもよく、又はまず水性担体中に希釈し、その後、媒体に施与してもよい。茎葉には、処理剤を一般に、1ppb~1%濃度のグリカンコンポジットをミスト、霧、散布、滴下、流動、浸漬、コーティング、又はスプレンチ(sprench)で施与する。水性担体中に希釈する場合、得られた希釈グリカンコンポジットは、1~500ガロン/エーカーの量で光合成生物に施与する。
【0107】
以下の実施例は、本明細書に開示される実施形態を例示するために提供され、限定として解釈されるべきでない。これらの実施例では、精製水は逆浸透により得;遷移金属2+配位錯体成分及び界面活性剤はBrandt社から入手した。以下の実施例で使用される省略形は次のように定義される:「°」は、℃を意味する;「Sil」は、有機シロキサン/共重合体ブレンドを意味する;「12-26-26」は、B、Cu、Fe、Mn、Mo及びZnを含むBrandt 12-26-26 Micro、N-P-Kを意味する;「αManda」は、メチル-α-D-Mann、n=1~3を意味する;「GG」は、部分加水分解グアーガム由来の分岐O結合Gal1-12Man2の組合せを意味する;「Ag」は、GlcNAc1-3を意味する;「Ethan」は、分岐Man3GlcNAc2図2)を意味する;「Cat」は、可溶性1ppm Fe2+、0.5ppm Mn2+、0.5ppm Zn2+、0.01ppb Co2+、及び0.01ppb Ni2+のブレンドを意味する;「CMS」は、0.1~5mMクエン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩及び/又はコハク酸塩遷移金属2+配位錯体を意味する;「IT」は、イソチアゾリノン保存剤を意味する;「MnCO3」は、炭酸マンガンを意味する;「AMS」は、硫酸アンモニウムを意味する;「MKP」は、リン酸一カリウムを意味する;「DKP」は、リン酸二カリウムを意味する;「MAP」は、リン酸一アンモニウムを意味する;「DAP」は、リン酸二アンモニウムを意味する;「NH4OH」は、水酸化アンモニウムを意味する;「KOH」は、水酸化カリウムを意味する;「Ca(OH)2」は、水酸化カルシウムを意味する:「L」は、を意味する;「ml」は、ミリリットルを意味する;「mg」は、ミリグラムを意味する;「g」は、グラムを意味する;「Kg」は、キログラムを意味する;「mM」は、ミリモルを意味する;「微量栄養素」は、微量の可溶性B、Ca、Co、Cu、Fe、Mg、Mn、Mo、Ni、Znを意味する;またKOH、Ca(OH)2、NH4OH、MnCO3、MAP、DAP、MKP及びDKPは、植物栄養素及び緩衝剤である。
【0108】
以下は植物などの光合成生物を処理するため及びそれらの成長を増進するための方法で有利に使用され得る特定の配合物の例である。以下の実施例は、当業者に指針を与えることを意図し、開示される実施形態の範囲内の配合物の網羅的一覧を表すものではない。
【実施例0109】
実施例1
【0110】
【表4】
【0111】
この配合物に、クエン酸塩、フマル酸塩、グルタル酸塩、リンゴ酸塩、オキサロ酢酸塩、コハク酸塩から選択される遷移金属2+配位錯体の成分、及びMgをさらに添加してよい。
【0112】
根用のリカンコンポジットは、1Lの水に室温、25~35℃で撹拌しながら溶かし、KOHを滴下することによりpH5~7に調整した。50~450ガロン/エーカーを側面施与及び/又は点滴灌漑のいずれかによってできるだけ根の近傍に施与した。灌漑を用い、光合成産物、品質及び量の向上のために処理剤を根に向けて土壌に含ませた。
【0113】
実施例2
【0114】
【表5】
【0115】
Ca2+及びCatをリンゴ酸とともに1リットルの水に溶かした。他の成分を加え、それぞれを一度に一回溶かし、この溶液を必要に応じてDKP/MAPを滴下することよりpH5~pH5.5の範囲に調整した。遷移金属2+配位錯体は、0.01ppb Ni及びCoから選択し、遷移金属2+配位錯体は、ppm~pptのアコニット酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、グルタル酸塩、オキサロ酢酸塩、及び/又はコハク酸塩を含んでよい。葉面散布は光沢が出るまで行い、およそ75~100ガロン/エーカーで収穫物の光合成産物、品質及び量の向上がもたらされた。
【0116】
実施例3
【0117】
【表6】
【0118】
実施例4
【0119】
【表7】
【0120】
この配合物に、例えば、アコニット酸、フマル酸、グルタル酸、リンゴ酸、オキサロ酢酸、コハク酸などから選択される呼吸加速因子などの遷移金属2+配位錯体の陰イオン成分をさらに添加してもよい。あるいは、光合成産物の蓄積のために、陰イオン成分は、EDTA、EDDHA、HeEDTA、DTPA、HBED、MGDA、GLDAなどの多座キレート剤から選択した。
【0121】
全ての成分を、完全に溶解するまで急速振盪によって水溶液中で均質となるようにブレンドし、MKP/DAPでpH5~5.5に調整した。葉面施与のために、この配合物に、作物の光合成産物及び呼吸の増進を目的に20~100ガロン/エーカーでシュート処理するために0.05%Silを添加した。
【0122】
例示的葉面系は次の通りである:ピーマンの芽を対応させ、それぞれハーフガロンプラスチック容器で維持し、処理及び栄養素対照の等しい集団に分けた。本実施例から得られたグリカンコンポジットを水で1%に希釈し、処理集団のシュートに葉面散布として施与し、一方、対照集団のシュートには水中同じ濃度の無機栄養素を散布した。他の全ての方法において、対照集団と処理集団は、同一の圃場条件下で横に並べて栽培した。収穫時に、処理集団は対照集団よりも平均35%のピーマン果平均重量増収を示し、これは統計的に有意であることが分かったp=0.001;n=30。加えて、魅力的でない外観のために市場向きでない日焼け果から1~5%の損失を示した対照に比べ、処理果からの日焼けピーマンは無かった。従って、光合成産物の流動の促進が、グリカンコンポジット系による処理によって最終産物の美的品質の向上に寄与し得る市場向き収穫物の増加をもたらした。
【0123】
αMandaからなるグリカンコンポジットによる光合成産物の流動の調節は、収穫物の品質及び量の向上を目的に根の近傍の土壌に呼吸加速因子として10~100gのCaO2を任意選択で同時施与することによりさらに管理された。
【0124】
実施例5
【0125】
【表8】



【0126】
実施例6
【0127】
【表9】
【0128】
この溶液に、ppm-pptアコニット酸、クエン酸、フマル酸、リンゴ酸、オキサロ酢酸及びコハク酸から選択される遷移金属2+配位錯体の陰イオン成分ppm~pptの多座アルキルアミドキレート剤、及びppm~pptのMgをさらに添加してもよい。
【0129】
1ディッシュ当たりラディッシュ種子25個を、16反復のGosselin発芽ディッシュ内の、栄養素対照又はグリカンコンポジットで湿らせた円形ワットマン598種子培養濾紙に播種した。種子は呼吸だけをさせるために暗黒中、27°の一定温度で維持した。発芽は、種子の50%に幼根出現が見られた時点G50で確定とした。結果は、栄養素対照平均G50=22時間に比べて、促進されたグリカンコンポジット平均G50=15時間を示した;n=8;p=0.001。種子を20~50μg/種子乾重のグリカンコンポジットでコーティングすることによるラディッシュの処理は、極めて有効であり、光合成産物の流動の促進の結果として栄養素対照に比べて発芽を有意に促進したことが分かった。20~50μgのグリカンコンポジット/種子で予めコーティングし、乾燥させたラディッシュ種子でも、栄養素対照に比べた場合に同様の発芽促進が見られた。
【0130】
実施例7
【0131】
【表10】
【0132】
この溶液に、アコニット酸、クエン酸、フマル酸、リンゴ酸、オキサロ酢酸及びコハク酸から選択される遷移金属2+配位錯体の陰イオン成分;多座アルキルアミドキレート剤s;Mgをppm~pptの量でさらに添加してもよい。
【0133】
ピーマン種子を、表示比率12-26-26の均質な砂壌土の12反復区画に播種した。グリカンコンポジットを水に調製し、DAPでpH5.5に調整し、対照もまたDAP/MAPで同等のPで調整した。発芽2週間後、無作為に選択した6区画に植栽を目標にグリカンコンポジットをスプレンチし(sprenched)、他の12区画のピーマンには全て同様の生育管理を行った。混み合いを無くすために、各区画は50cm間隔で20固体を含んだ。2週間後に植物体を根から丸ごと収穫し、その後、シュートから根を刈り取り、土壌をよく洗い流し、オーブンで乾燥させた。個々の植物体の根の乾重を測定した。結果は、栄養素対照の根の平均乾重1.0グラムに対し、グリカンコンポジットの根の平均乾重は1.2グラムであることを示した;n=6;p=0.02。処理は、対照に比べて根の乾重を有意に増大させた。日焼け果は、対照には存在したが処理植物には見られず、収穫物の光合成産物及び品質の向上が示された。
【0134】
実施例8
例示的グリカンコンポジットの静水圧の向上
プルメリア花の圃場は、約1500~1700μアインシュタイン/m2/秒の高光度下、約20~30%の低~中等度の湿度で従来通りの栽培とした。これらの環境条件下、毎日の静水圧応答を午後に観測した。一般に、早朝では、顕花植物の静水圧は高いが、昼下がりには葉がしおれ始める。この高から低の静水圧を示す日中しおれのサイクルは、上向きから下向きへおよそ5~20ミリメートル(mm)変化する葉の高度として視覚的に識別可能であった。静水圧の上昇は成長の先行条件であり、特に日中に茎葉の高度の変化に従って測定した。本試験の目的は、葉の高度のmm変化を測定し、水性栄養素対照の応答を、1~25mlの0.1~5ppmEthanグリカンコンポジットの単回処理が根に行われた植物と比較することによってプルメリアの静水圧の変化を記録することであった。グリカンコンポジット配合物は上述の実施例6から得られたものであり、所望により、他の例示的グリカンコンポジットも静水圧の上昇のために施与してよい。例えば、有効量の1~200ml 0.1~5ppm部分加水分解インベルターゼ脱グリコシル化物を午前8実施例に根に施与し、静水圧の上昇を示す茎葉高度のその後の上昇は正午まで見られ、対照は同時点で静水圧の低下を示した。4Lプラスチック容器中のプルメリア・オブツサL.(Plumeria obtusa L.)品種オブツサ植物を、直射日光の環境条件に1週間馴化させ、1週間に1回晩に灌水しながら、静水圧の昼間変化の一貫性をさらに観測した。灌水と灌水の間の周の半ばに、午前中遅くに葉のベースライン高度を測定し、定規に印を付け、後に、処理5時間後の同じ葉のmm高度と比較した。
【0135】
結果:葉の高度は、静水圧の上昇の視覚的に識別可能な徴候であった。グリカンコンポジットで処理した葉の平均+15mmの上昇は、対応する栄養素対照茎葉の高度の平均-5mmの下降に比べて有意であった(n=6;p=0.003)。10ppb~800ppmのグリカンコンポジットで処理した後、茎葉の上昇は、午後遅く、午後3時の後は処理植物でより大きく、一方、同時点で対照茎葉は、日中しおれによって引き起こされる最も顕著な静水圧の低下及び高度の下降を示した。
【0136】
結論として、プルメリアは、対照が低下を示したところ、処理に対して静水圧の上昇で応答した。遷移金属2+配位錯体の好適な陰イオン成分とともに配合されたグリカンコンポジットで処理されたピーマン、アブラナ科、カボチャ、仁果、及び根菜においても、同様の作物静水圧の質の向上が見られた。例えば、陰イオン成分は、1以上の10~900ppmアコニット酸、フマル酸、グルタル酸、リンゴ酸、オキサロ酢酸、及びコハク酸から選択され、10~900ppmの多座アルキルアミドキレート剤は、EDTA、EDDHA、HeEDTA、DTPA、HBED、MGDA、GLDAなどである。全ての光合成生物の成長及び発達は、静水圧の上昇により誘発される細胞の拡張に依存している。静水圧が本明細書に開示される実施形態のグリカンコンポジット系の施与によって長期間にわたって上昇した場合、その結果は、処理された光合成生物の成長及び発達の有意な増進を示した。呼吸加速因子と同時に施与したグリカンコンポジット系は、作物の収量を向上させた。
【0137】
実施例9
低高度用の例示的グリカンコンポジット系
日陰における栄養素対照のカノーラ栄養成長を、分岐N結合グリカンコンポジットで処理したカノーラの日陰集団と比較し、さらに、比較的光の少ない環境で有益な生産性の向上があったかどうかを決定するために、処理集団と対照集団を日陰無しで栽培した。カノーラ種子を36セルのプラスチック平板に播種し、日陰対照及び日陰植物のグリカンコンポジット処理を50%シェードクロス下に置いた場合、1か月後に一様な成長を示した。日陰無しの植物は1500~1800μEin/m2/秒の範囲の自然正午最大光度下、及び50~85%シェードクロス下に置き、低光度は100~900μEin/m2/秒の範囲又は最大の半分より低い光度とした。葉面用界面活性剤による葉面処理を施し、約100ガロン/エーカーをしたたるまで散布した。完全日光対照及び日陰栄養素対照を、同じ条件下でカノーラ植物に施与した葉面用グリカンコンポジットと比較した。グリカンコンポジット組成物は以下の順序:1~100μM Ethan;0.1~25mMクエン酸塩;0.1~2ppm Mn-CMS;1~25ppm Ca-CMSで水に溶かし、DAP、DKP又はKOHでpH5.5に調整した。2週間後に植物を収穫し、70°のオーブンで48時間、低温乾燥させた。個々の植物のシュートを秤量し、平均乾重及び集団の平均の一様性のT検定を下表にまとめる。
【0138】
結論として、被陰対照下のカノーラ集団は、グリカンコンポジットで処理した完全日光対照集団及び被陰集団に比べて、低い生産性を示した。さらに、被陰植物をグリカンコンポジットで処理した場合、被陰対照と比べた際の生産性の品質及び量の向上の利益は統計的に有意であった。
【0139】
【表11】
【0140】
実施例10
糖タンパク質由来グリカン脱グリコシル化物のための例示的工程
多くの糖タンパク質が、タチナタマメなどのマメ科植物の種子から処理され得る、又はいくつかの酵素からの脱グリコシル化によるグリカンを含有する。インベルターゼは、全糖タンパク質重量の4分の3を占め得る内部コア又は外部突起の好適なグリカン成分を有するパン酵母から商業的に製造される酵素である。インベルターゼは、GalManタンパク質;Mann、例えば、Man1-6、マンノトリオース、マンノテトラオース、及びマンノペンタオース;GalnMann、例えば、Gal2Man及びGal2Man2;GalnMann-N-グリカン、例えば、Gal2Man4GlcNAc及びGal4Man10GlcNAc2;Mann-N-グリカン、例えば、Man3GlcNAc、好ましくはMan1-15GlcNAc2などの末端Man配位子を有する好ましい分岐グリカンを有する。270kDaでは、糖タンパク質は大きすぎて茎葉に浸透できない。従って、酵素消化と比較するためのベースラインを確立するために、主として、糖タンパク質、好ましくはインベルターゼからグリカン脱グリコシル化物を放出させるための実験室工程を行った。
【0141】
インベルターゼは希釈0.2N NH4OH、pH12中、80°で10分間変性させ、0.2N HClを滴下して中和し、3%トリプシンで37°にて一晩予備消化し、10分間煮沸することによりさらに変性させた。これらのプロテアーゼ処理サンプルは、グリカンコンポジットで中等度の50μM発芽活性を示した。サンプルを、200ミリ単位のエンドグルコサミニダーゼHとともに37°で1日のインキュベーションにより脱グリコシル化し希釈NH4OH pH12中、80°で10分間変性させた。残留タンパク質及びペプチドを沈澱させて除去した。脱グリコシル化物は一般に、O結合マンナンとN結合マンナンのブレンドを含み、グリカンコンポジットのグリカン成分としてのグリカン単体又はそれらのブレンドは、0.01~1ppmw/w活性の範囲を示した。
【0142】
タンパク質分解酵素及び解糖系酵素の手段による上述の脱グリコシル化は比較的弱く、なお高コストの生化学製品に関連する。これらの実験により、塩基による糖タンパク質の初期変性は、続いての酸中での加熱時間を実質的に短縮したことが判明し、エネルギー節約の点で好ましい。従って、好ましい工程は、比較的低コストで大量に商業的に入手可能な成分中で糖タンパク質を加水分解することによるものであった。酸/塩基による処理、加水分解、ヒドラジン分解、及び/又は発酵などの利用可能な好ましい方法を試験した。例えば、インベルターゼのアセトリシス(酢酸:無水酢酸:硫酸 25:25:1)は、1~100ppbといった低濃度で活性を示した有効な脱グリコシル化物をもたらした。所望により、本実施形態の新規なマロリシスを、マレイン酸:無水酢酸:硝酸 25:25:10中、60~80°で1~24時間インベルターゼをインキュベートすることにより適用した。あるいは、インベルターゼを、クエン酸:リン酸 25:1;飽和クエン酸及び/又はコハク酸中でインキュベートし;及び/又は硫酸などの0.1~3Nの無機酸から選択肢、好ましくは、1~3Nの硝酸中での直接ニトロリシスにより脱グリコシル化し;40~80°で1~24時間撹拌しながらインキュベートした。
【0143】
インベルターゼを部分加水分解するための好ましい方法は次の通りであった:10~30%のインベルターゼを0.2~1N KOH及び/又は0.2N NH4OHなどのアルカリ性水溶液中に、1~24時間40~80°に加熱しながら溶かし、50~60%のクエン酸を撹拌し、40~80°で1~24時間インキュベートした。酸インキュベーションの後、溶液をpH3~6の範囲に調整した。この時には脱グリコシル化されている部分加水分解されたインベルターゼを、少なくとも1~5ppm Ca2+、0.5~1ppm Mn2+及び好ましくはFe2+、Ni2+、Co2+、Zn2+から選択される0.01~6ppmDブロック遷移金属2;及び1~5ppm Mg2+とともに圃場施与を達成するように配合した。遷移金属2+配位錯体の陰イオン成分は、アコニット酸イオン、クエン酸イオン、フマル酸イオン、グルタル酸イオン、オキサロ酢酸イオン、及びコハク酸イオンの1以上から選択した。あるいは、陰イオン成分は上述の多座キレート剤から選択してもよい。溶液の保存のために、1以上の保存剤を加えた。1ppb~10ppmの範囲でインベルターゼ脱グリコシル化物を含有する上述の溶液で前記収穫物を処理することから光合成生物の収穫物の品質及び量の向上が得られた。例えば、インベルターゼ脱グリコシル化物を含有するグリカンコンポジットを100ppb部分加水分解インベルターゼで光合成生物に施与する場合、用量は0.1mg/Lとした。
【0144】
上述の脱グリコシル化法は全て、それらのグリカンコンポジットに同等の香料を与えた。グリカンコンポジットの成分のいずれのものを除いても活性は低下した。インベルターゼ脱グリコシル化物からなるグリカンコンポジットは、本実施形態の加工植物ガムよりも高い桁の効力を示した。さらに、インベルターゼ脱グリコシル化物の製造工程は、他の供給源のものよりも簡単で費用効果が良かった。インベルターゼ脱グリコシル化物からなるグリカンコンポジットによる光合成産物の流動の調節は、フレーバー増強のためのppm呼吸減速因子又は収量増大のための呼吸加速因子の任意選択の同時施与によってさらに誘導された。
【0145】
実施例11
受粉媒介者のための例示的濃縮物
インベルターゼを、200グラムのインベルターゼを1リットル0.2N KOH水溶液にブレンドし、4時間蒸煮することにより、塩基性水溶液中で変性させた。撹拌しながら、50%のクエン酸を加え、この溶液を12時間80°に加熱した。冷却後、溶液をNH4OHでpH6に調整し、その後、1% Ca、1% Mg、1% Catを加え、水で2Lとした(QID 2 L with water)。最終10%の部分加水分解インベルターゼ溶液は、3~7%の分岐0結合と図2に示されるものを含むN結合脱グリコシル化物のブレンドを含有していた。この濃縮物を、適当な容量の、KOH、NH4OH、Ca(OH)2、MnCO3、炭酸カルシウム、貝殻粉、HCl、H2SO4、リン酸、MAP、DAP、DKP、MKPなどの栄養素から選択される塩基及び/又は酸、好ましくは蛎殻粉の添加によりpH4~8の範囲、好ましくはpH5に調整した。旺盛な作物成長は、以下の好ましい比率で配合され得る栄養素元素の存在によって補助された:一次植物栄養素N-P-K、各1~25%;二次栄養素0.1~1%Ca、0.05~0.5%Mg、0.1~1%S;及び/又は微量栄養素0.0001~0.02%B、0.0001~0.1%Cl、0.0001ppb~0.005%Co、0.001~0.05%Cu、Fe0.01~0.3%、0.02~0.1%Mn、0.01ppb~0.005%Mo、0.001~0.05%Zn、0.001~0.1%Na、及び0.0001~1ppb Ni。グリカンコンポジットは好ましくは、Fe、Mn、Ni、Co、Znの1以上から選択されるDブロック遷移金属2+;及び呼吸加速因子及び多座キレート剤などから選択され陰イオン成分を添加してもよい。液体濃縮物の保存を考慮して、液体グリカンコンポジット濃縮配合物には、例えば、1ppm~800ppmの範囲の上述のIT、好ましくは100~200ppmの範囲のBITから選択される保存剤が不可欠であった。
【0146】
作物にとって重要な植物栄養素全体を利用できることだけでなく、ミツバチ、チョウ、ガ、甲虫、鳥類及びクマバチなどの受粉媒介者の強健さも、それが植物由来のビタミン及び無機物を含有するネクターを吸い出す場合には、全域の栄養素の提供のために不可欠であった。光合成生物の収穫物では、Co2+は、ビタミンB12へ代謝される本実施形態のDブロック遷移金属2+である。例えばCo-CMSを含有するグリカンコンポジットの葉面施与によるこの欠乏の補正は、特に、受粉媒介者及び草食動物により消費される、健康な光合成作物からのB12及びその他の栄養素で強化した光合成生物及びサップネクターとして健康利益を付与した。例えば、好適な遷移金属として0.0005%Coが配合され、顕花作物に施与される場合、その強化された代謝産物は、ミツバチ及びそのコロニーに対して利用可能となる。収穫物への施与直前に、濃縮物は水又はその他の農業上承認された担体で、1ppb~100ppm、好ましくは10ppb~10ppmの範囲で希釈した。得られた希釈水溶液を散布浸剤又は根への施与として施与した。葉面施与のためには、製品に農業上承認された葉面界面活性剤及び/又は添加剤の1以上の選択肢を添加した。1シーズンに1回以上の施与、好ましくは月に1~2回の施与を行った。甘み及びネクター生産のための光合成産物の流動のさらなる最適化のために、グリカンコンポジットを開花及び収穫の週に、フレーバー及び強化植物食品の内因的増進のため、呼吸減速因子、ppmのサイトカイニン及びppmのジベレリンとともに施与した。
【0147】
実施例12
【0148】
【表12】
【0149】
IGCに、Dブロック遷移金属から選択される遷移金属2+配位錯体;陰イオン成分;及びMgの成分を微量でさらに添加してもよい。呼吸加速因子は、例えば、アコニット酸、フマル酸、グルタル酸、リンゴ酸、オキサロ酢酸、及びコハク酸の1以上から選択され得る。所望により、陰イオン成分は、EDTA、EDDHA、HeEDTA、DTPA、HBED、MGDA、GLDAなどの多座キレート剤の1以上から選択され得る。
【0150】
IGCはトマトの量及び品質を向上させる
トマトの栽培にとってストレスとなる乾燥条件下で、IGCを植物に施与し、栄養素対照と比較した。IGCは、対照よりも処理されたトマトの全般的成長、収量及び品質を有意に向上させた。IGCシードコートで処理したトマト種子は迅速な発芽を示した。
【0151】
材料及び方法
トマト栽培品種Steak Sandwich雑種種子(Burpee(登録商標))種子を暗黒下、32°の自動制御環境条件下で発芽させた。発芽1週間後、45°:32°LD;10%相対湿度;16:8時間LD;及び日中、最大1800μmol光子m-2-1の光合成有効放射(PAR)のほぼ晴天の日の乾燥環境で栽培するために屋外に移植した。検討下の試験植物及び対照植物への溶液の施与を同時に行い、全ての植物を適正試験所規範に合致する同一の条件に曝した。根を均一に含水させ水の損傷なく排水されるよう維持するのに十分な化学溶液灌漑を維持した。植物の反復集団をプラスチックTLC Pro 606トレーの、125ml容量の36セルのそれぞれで、無土壌培地を含有する33cm径のプラスチックポットに移植するまで栽培した。対照トマト及び処理トマトの大きさ及び草勢を合わせ、小さいもの、損傷したもの又は病害植物及び種子は、一様な反復を形成するために排除した。3回の葉面施与のための容量は、施与されるグリカンコンポジット中0.1~1ppmのインベルターゼ脱グリコシル化物グリカンブレンド含量を有する200L/Haに対して較正した。フレーバーのレベルの指標としての甘みは、個々のトマトから絞ったサップネクターのブリックスとして、較正済みのデジタル屈折計(Reichert)を用いて測定した。
【0152】
IGCは、上記の表のIGC濃縮物中の組成に合わせて改変した実施例11に記載の方法に従って作製した。葉面施与では、0.03~0.05%のSil葉面界面活性剤を表示明細で添加した。溶液の同一のオーバーヘッド散布の施与により、全ての植物に同量の栄養素を与えた。
【0153】
種子をGosselinディッシュ内の含水ワットマン598濾紙上、20種子/ディッシュ、各処理5反復で発芽させた。試験種子を0.1mgのIGCでコーティングし、48時間風乾し、播種した。対照はIGC不含の同じ栄養素で処理した。発芽は種子の50%での幼根の出現によって決定した。7日後、芽を平板に移植した。
【0154】
各調査プールは統計分析のために反復を有した。処理集団と対照集団の間の差は、そうではないこが記載されない限り、各試験で統計的に有意であり、エラーバーは95%信頼区間を示す。
【0155】
結果
IGCでコーティングしたトマト種子は、発芽の促進を示した。処理した種子の全反復は60時間で50%の発芽を示した。これに対し、対照は72時間後に全てのディッシュで50%の発芽を示した。
【0156】
試験は、ストレスのある乾燥条件下でIGCに対する果実品質及び収量の応答を決定するように設計された。収穫2日前の呼吸の減速と一致する上述の条件下での圃場処理を、栄養素対照と比較して甘みに対する効果を決定した。処理2日後に、色とは無関係に、50mm径を超える大きいものから12を収穫し、シュート生重を記録した。対照は半分が赤かったが、処理トマトは全て赤かった。表4は、サップネクターの内因性光合成産物の適当な処理が果実品質の向上をもたらしたことを示し、平均ブリックス5.5と表され、これは栄養素対照ブリックス4.9よりも大きいフレーバーとして有意に(p=0.012)改善された。
【0157】
【表13】
【0158】
植物体当たりのトマトの総数は果実収量の指標であり、表5は、IGC処理が植物体当たり平均果実総数3.2をもたらしたことを示し、これは栄養素対照植物体当たり平均果実総数1.6よりも有意に(p=0.000;n=12)大きかった。IGC処理の結果は、この乾燥環境で、収量を増大させ、サップネクターを増大させ、甘み及びフレーバー品質を向上させた。
【0159】
【表14】
【0160】
トマト植物体当たりの平均総果実平均重量を、収量の指標として栄養素対照及びIGCに関して分析した。表6は、IGC処理が植物体当たり277グラム湿重/14グラム乾重果実平均収量をもたらしたことを示し、これは対照の植物体当たり124グラム湿重/14グラム乾重平均果実重量よりも有意に(p=0.002/p=0.004)高かった。
【0161】
【表15】
【0162】
様々な主の応答を表7に示す結果を用いて調査した。施与はC3及びC4代謝に関して既知の植物で有効であった。
【0163】
【表16】
【0164】
結論
種子をIGCで処理した後の迅速な発芽は、呼吸の向上の指標であり、全ての植物は呼吸するので、なぜCAM、C3及びC4の種がグリカンコンポジットに応答したかを説明する。グリカンコンポジットの作用による光合成産物フラックスの内因的調節は、フレーバー品質を改善するためのサップネクターのトマトブリックス上昇と一致していた。乾燥区の環境ストレス下、グリカンコンポジット処理によるトマト栽培は、対照に比べて品質及び量の向上を示した。IGCによる光合成産物の流動の調節は、呼吸減速因子、フレーバー増強のための10~200ppmのサイトカイニン、又は収量の増大のための呼吸加速因子の任意選択の同時施与によってさらに誘導された。さらに、O2不足の条件下、植物体当たり30~100mlのO2発生剤H22の添加は、収穫物の高い品質及び量の一貫性を保つために根の健康を維持した。
【0165】
実施例13
【0166】
【表17】
【0167】
この配合物に、Zn、Co、Niから選択されるppb~ppmのDブロック遷移金属2+配位錯体成分;アコニット酸、クエン酸、フマル酸、グルタル酸、オキサロ酢酸、及びコハク酸;アルキルアミドキレート剤;及びMg2+をさらに添加してもよい。
【0168】
このようにしてGG-脱グリコシル化物からなるグリカンコンポジットで処理した光合成生物は、収穫物の品質及び量の向上のために光合成産物の流動の増大をもたらした。GGからなるグリカンコンポジットによる光合成産物の流動の調節は、フレーバー増強のための呼吸減速因子又は収量増大のための呼吸加速因子の任意選択の同時施与によってさらに確立された。
【0169】
実施例14
例示的部分加水分解タラガム(HTG)
タラガムは大量に商業的に入手可能であり、この種は上述のアセトリシス工程による脱グリコシル化に好適な分岐GalMan3単位の大きなポリマーを含有する。すなわち、グリカン脱グリコシル化物は、食品級のタラガムからアセトリシス(酢酸:無水酢酸:硫酸 25:25:1v/v、60~80℃、24~96時間)又はニトロリシス(クエン酸:無水酢酸:硝酸 20:20:10)により誘導され、部分加水分解分岐GalMan3-脱グリコシル化物が得られる。部分加水分解タラガム(HTG)脱グリコシル化物としてのグリカンは、50~200ppm濃度の範囲のグリカンコンポジットで高い効力を示した。グリカン成分として、グリカンコンポジット成分の存在下でのみ活性を示すHTGを、次のような方法を用いて検討した。
【0170】
キャベツをプラスチック平板にて36個体;125cc/セルで上記のように環境制御した条件で栽培した。全ての葉面処理水溶液は、0.5g Sil/L、pH6を含有し、以下の分離した配合物:50PPM DAPを含む水に溶かした金属2+ 1ppm硫酸マンガン、1ppm硫酸第一鉄、及び10ppm硝酸カルシウム;遷移金属2+配位錯体の陰イオン成分として300ppm α-ケトグルタル酸カリウム、aKGと略す;及び100ppm HTG中に金属2+を含んだ。グリカンコンポジット成分及び金属2+は、ホログリカンコンポジットに比べて成分に対する植物成長応答を試験するために個別に及び一緒にブレンドして施与した。aKG、HTG、及びaKG+HTGの溶液を金属2+水溶液に溶かし、従って、aKG、Ca2+及びMn2+からなる遷移金属2+配位錯体は処理溶液中に存在していた。金属2+を対照として用いた。
【0171】
葉面処理は10ml/平板の容量、n=36で、最初の本葉が展開した際に施した。シュートを収穫し、乾燥させ、秤量した。
【0172】
以下の表HTGの試験の結果は、キャベツシュートの平均乾重を金属2+の場合と比較したものであり、保存溶液には全ての処理剤を溶かした。aKGシュートは、金属2+対照に比べて収量に有意な差は無かく(n=36;p=0.057);金属2+を伴うHTGは、金属2+単独に比べて有意な(n=36、p=0.001)増大を示した。最後に、aKG+HTG+金属2+は、金属2+に比べて、最も高い有意な(n=36;p=0.000)収量の増大を示した。さらに、ホログリカンコンポジットは、全ての他の処理集団に比べて有意性の高い(aKG+HTG対aKG、p=0.000;aKG+HTG対HTG、p=0.000)収量の増大を示した。
【0173】
【表18】
【0174】
結論として、グリカンコンポジットは、光合成産物を目標に光合成生物に施与されるホログリカンコンポジットとして一緒に配合された場合、最も有意性の高い向上を示した。さらに、ホログリカンコンポジットに対する有益な応答は、Dブロック遷移金属2+;Ca2+;及びMg2+を添加した後に確認された。ホログリカンコンポジットによる光合成産物の流動の調節は、フレーバーの増強のための呼吸減速因子又は収量増大のための呼吸加速因子の任意選択の同時施与によりさらに誘導された。
【0175】
実施例15
【0176】
【表19】
【0177】
このPHLB配合物に、1以上の付加的Dブロック遷移金属2+;陰イオン成分;及び/又はMg2+をさらに添加してもよい。光合成生物をPHLBで処理すると、収穫物の品質及び量の向上のための光合成産物の流動の増大がもたらされた。PHLBからなるグリカンコンポジットによる光合成産物の流動の調節は、呼吸減速因子、フレーバーの増強のための10~200ppmサリチル酸の任意選択の同時施与によりさらに制御された。
【0178】
実施例16
【0179】
【表20】
【0180】
発芽のために、この配合物に、アコニット酸、フマル酸、グルタル酸、リンゴ酸、オキサロ酢酸、及びコハク酸;及びそれらのリン酸塩の1以上から選択される呼吸加速因子である遷移金属2+配位錯体の陰イオン成分をさらに添加してもよい。
【0181】
ディッシュ当たりラディッシュ種子25個を16反復のGosselin発芽ディッシュ中の、栄養素対照又はグリカンコンポジットで湿られた円形ワットマン598種子培養濾紙に播いた。種子は呼吸だけをさせるために暗黒中、27°の一定温度で維持した。発芽は、種子の50%に幼根出現が見られた時点G50で確定した。結果は、栄養素対照平均G50=22時間に比べて、促進されたグリカンコンポジット平均G50=15時間を示した;n=8;p=0.001。種子を20~50μg/種子乾重のグリカンコンポジットでコーティングすることによるラディッシュの処理は、極めて有効であり、光合成産物の流動の促進の結果として栄養素対照に比べて発芽を有意に促進したことが分かった。20~50μgのグリカンコンポジット/種子で予めコーティングし、乾燥させたラディッシュ種子でも、栄養素対照に比べた場合に同様の発芽促進が見られた。
【0182】
実施例17
【0183】
【表21】
【0184】
この配合物に、遷移金属2+配位錯体の陰イオン成分をさらに添加してもよい。例えば、陰イオン成分は、呼吸加速因子及び多座キレート剤から選択され得る。
【0185】
根グリカンコンポジットは、室温、25~35℃で撹拌しながら1Lの水に作製した。この配合物にKOH及び/又はNH4OHを滴下してpH5~7.5とし、500~750ガロン/エーカーをドレンチ、スプレードレンチ、側面施与により及び/又は化学溶液灌漑を介してできるだけ根の近傍に施与した。灌漑を用い、品質及び量の向上のために処理剤を根に向けて土壌に含ませた。施与は生育期に必要に応じて毎週から毎月で施した。
【0186】
実施例18
インベルターゼ液体濃縮物
インベルターゼ糖タンパク質は、コア及び表面Mannポリマーを有するタンパク質からなる。従って、これらの糖タンパク質は、部分加水分解されるとMann脱グリコシル化物を生じた。グリカンコンポジットとして配合し、光合成生物に施与すると、インベルターゼ脱グリコシル化物は光合成から呼吸へエネルギーの流動を調節した。インベルターゼ由来のN結合分岐鎖脱グリコシル化物を含有する濃縮グリカンコンポジット配合物を、水で光合成生物に対する圃場用量10ppb~5ppmに希釈し、発芽検定に適用したところ、10ppbインベルターゼ脱グリコシル化物という低いレベルで強い潜在的活性を示した。
【0187】
グリカンコンポジットは、呼吸減速因子由来のフレーバーの増強及び呼吸加速因子による収量の増大を任意に選択して、光合成産物の流動の調節のためにさらに配合を行った。インベルターゼ脱グリコシル化物の遷移金属2+配位錯体は、ppmのアコニット酸、フマル酸、グルタル酸、リンゴ酸、オキサロ酢酸、及びコハク酸などの呼吸加速因子である陰イオン成分からさらに選択してもよい。所望により、陰イオン成分は、ppmのEDTA、EDDHA、HeEDTA、DTPA、HBED、MGDA、GLDAなどの多座キレート剤から選択してもよい。
【0188】
例えば、ブルーベリー、葉菜、ワタ、穀類、トマト、サクランボ、タマネギ、コーヒー、バナナ、柑橘類、メロン、青菜、ナッツ、仁果、漿果、木の実、食用作物、花卉、樹木、芝及び観賞植物のグリカンコンポジット処理から収穫物の品質及び量の向上が得られた。
【0189】
方法
好ましくは0.2N KOH、NH4OH、及びCa(OH)2から選択される40mlの強塩基に、好ましい活性200,000 Sumner単位/gを有する10~12gの乾燥インベルターゼ粉末を振盪しながら加え、アルカリ水溶液を2~24時間、60~80℃に蒸煮した。次に、20gのクエン酸を撹拌しながら加え、この溶液を3~12時間、60~80℃で蒸煮した。加熱温度が低いほどインキュベーションは長く、この工程の後に室温まで冷却した。好ましくはKOH、NH4OH、及びCa(OH)2から選択される好適な塩基を振盪しながら加えてpH4~6に調整した。10%インベルターゼ脱グリコシル化物となるように容量を100mlとした。1~6ppm Cat保存溶液を調製し、1ml 10%インベルターゼ脱グリコシル化物を1L Cat保存溶液に希釈し、100ppmインベルターゼ脱グリコシル化物液体濃縮物とした。100ppm BITを振盪しながら加え、インベルターゼ脱グリコシル化物液体濃縮物を完成させた。
【0190】
インベルターゼ脱グリコシル化物液体濃縮物圃場用希釈液:
10mlのインベルターゼ脱グリコシル化物100ppm液体濃縮物を1Lの水に希釈して1ppmインベルターゼ脱グリコシル化物とし、次いで、必要に応じて1、10、及び100ppbに連続希釈を行った。葉面施与は、0.5g/L Silなどの1以上の農業用界面活性剤の添加を必要とした。10ppb~5ppmインベルターゼ脱グリコシル化物の範囲の低濃度の施与が有効であり、対照に比べて有意に早い発芽ならびに光合成生物の収穫物の品質及び量の向上を示した。インベルターゼ脱グリコシル化物からなるグリカンコンポジットによる光合成産物の流動の調節は、呼吸減速因子、フレーバー増強のための1~100ppmジベレリンの同時施与によってさらに適合された。さらに、O2不足の条件下で、10g CaO2を含む1L培地の補給は収穫物の品質及び量を維持した。
【0191】
実施例19
例示的部分加水分解植物ガム
植物ガムは、以下の方法に従って部分加水分解された分岐鎖高マンナン含量に関して選択した:グアーガム、コンニャクガム、ローカストビーンガム、タラガム及びアイボリーナットガムを個別に1%w/wガムとして60~80°の水に振盪しながら溶かした。各ガム溶液に1~3N硝酸及び5~25%無水酢酸を加えた。これらの溶液を70~80°で1~8時間維持した。これらの溶液を30~40°に冷却し、Ca(OH)2、KOH及び/又はNH4OHでpH3.5~4に調整した。これらの溶液に、30~50%クエン酸を加えて飽和させ、1~24時間60~80℃に加熱した。溶液を室温まで冷却し、Ca(OH)2、KOH、MnCO3及び/又はNH4OHでpH5~6に調整した。10倍Catを部分加水分解したガム溶液に溶かして0.1%ガムとした。Catで連続希釈して種々の用量のサンプルを得、栄養素対照溶液と比較した。部分加水分解した植物ガムからなるグリカンコンポジットの例示的成分を下記の成分の表に示す。
【0192】
【表22】
【0193】
生物検定法
ディッシュ当たりラディッシュ種子30個を、20反復のGosselin発芽ディッシュ内の、湿らせた円形ワットマン598種子培養濾紙上に播いた。種子は呼吸だけを維持するために暗黒中、27°の一定温度で維持した。発芽は、種子の50%に幼根出現が見られた時点G50で確定した。
【0194】
結果は、22時間の栄養素対照平均G50に比べて、15時間というより早いグリカンコンポジット平均G50を示した;n=10;p=0.001。様々な部分加水分解(PH)ガムの効力は、G50活性に必要な濃度とそれらの分岐マンナン含量との一般的対応を示した。部分加水分解(PH)ガムの有効用量(ppm)の表に詳細に示されるように、グアー、コンニャク、ローカストビーン、タラのPHガムの低活性からPHアイボリーナットによる高活性までの効力が見られた。
【0195】
異なるガム供給源からのグリカンコンポジットによるラディッシュ種子の処理は、異なるレベルの有効性及び栄養素対照に比べて有意に促進された発芽を示した。迅速な発芽は、光合成産物の内因的に増大された流動の結果であった。好ましい呼吸加速因子としては、クエン酸及びリンゴ酸を含んだ。さらに、O2不足の条件下で、20g CaO2を含む各1L培地の根への補給により、高い品質及び収量のための根の活力が維持された。
【0196】
【表23】
【0197】
実施例20
例示的インベルターゼグリカンコンポジット液体濃縮物
材料:MaxInvert 200インベルターゼ粉末(DSM)
無水クエン酸(Brandt)
インベルターゼグリカンコンポジットの高濃縮液体溶液を、有効なインベルターゼを飽和クエン酸溶液中で80°に加熱しながら変性及び脱グリコシル化することによって調製した。まず50%飽和クエン酸を水で調製した。500mlの飽和クエン酸溶液に、100g MaxInvert 200インベルターゼ乾燥粉末を、凝集を避けるために振盪した(300~800rpm)酸溶液中にゆっくり加えた。インベルターゼが分散した後、発泡を最小限にするために撹拌を100rpmに落とした。この溶液を80°に加熱し、低速の100rpmで撹拌しながら75~85°で8時間維持したところ、インベルターゼを部分加水分解するこの工程から、グリカンコンポジットのグリカン成分のブレンドである脱グリコシル化物が得られた。室温に冷却した後、保存剤100ppm BITを撹拌しながら加え、総容量を水で500mlとし、20%グリカン溶液を作製した。
【0198】
以下のものを含有する金属+2濃縮物保存液を調製した:超低ビウレット尿素;Ca;Mn;Fe;Zn;Mg;ランダムブロックコポリマー乳化剤、例えば、プルロニックL-62;低級脂肪族アルコール、好ましくは、プロパノール;保存剤、例えば、BIT;各成分の濃度はインベルターゼグリカンコンポジット濃縮物の表の通り。100ppmグリカンコンポジットでは、10L金属+2濃縮物保存液につき一定量5ml 20%グリカンを希釈し、クエン酸、KOH、及び/又はNH4OHでpH5~8に調整した。この100ppmグリカンコンポジット製品を、光合成生物に施与するために、水中0.01~1%の圃場用希釈液として調製した。例えば、1Lの水中10mlのグリカンコンポジットで1ppmグリカン、同様に、エーカー当たり1ガロン/100ガロン又は3液量オンス/1000フィート2となった。必要に応じて連続希釈も適用した。インベルターゼ脱グリコシル化物からの圃場用希釈グリカンコンポジットは、根には0.01~10ppmグリカンの範囲で有効であり;かつ/又は表示比率の葉面界面活性剤添加物を用いる場合は、0.1~10ppmグリカンが、シュートに施与される場合に有効であることが分かった。
【0199】
【表24】
【0200】
本明細書に開示される実施形態の具体的な特徴は他でもなく一例に関して記載されるが、1つの記載例のいくつかの特徴は、本明細書に開示される方法及び配合物における他の例の1以上と組み合わせることができるので、これは単に便宜のためである。
【0201】
本明細書に開示される実施形態の方法及び配合物の他の組合せも当業者には企図され、以下の特許請求の範囲内にある。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2023-03-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作物の健康及び光合成生物の成長を促進するための藻類グリカンコンポジットを含む配合物であって、前記藻類グリカンコンポジットがCa 2+ 配位錯体及び1種以上のD-ブロック遷移金属 2+ 配位錯体とブレンドされた1種以上の分岐グリカン脱グリコシル化物を含む配合物。
【請求項2】
前記分岐グリカン脱グリコシル化物が、O結合グリカン及びN結合グリカンであって分岐グリカン m-n (ここで、m=l~8及びn=l~8である。)を有するものよりなる群から選択される、請求項1に記載の配合物。
【請求項3】
前記グリカンコンポジットが前記配合物中において1ppb~1重量%の量で存在し、前記1種以上のD-ブロック遷移金属 2+ 配位錯体が0.1ppb~1重量%の量で存在する、請求項1に記載の配合物。
【請求項4】
前記藻類グリカンコンポジットが部分的に加水分解されている、請求項1に記載の配合物。
【請求項5】
部分的に加水分解された前記藻類グリカンコンポジットが、酢酸、クエン酸、酢酸の塩及びクエン酸の塩よりなる群から選択される弱酸又はその塩によって脱グリコシル化されている、請求項4に記載の配合物。
【請求項6】
前記酢酸が氷酢酸又は酢である、請求項5に記載の配合物。
【請求項7】
前記クエン酸又はその塩が、クエン酸塩、クエン酸、イソクエン酸、メチルクエン酸及びそれらの塩からなる群から選択される、請求項5に記載の配合物。
【請求項8】
Mn 2+ 遷移金属 2+ 配位錯体をさらに含み、前記1種以上の分岐グリカン脱グリコシル化物が分岐グリコピラノシル 1-8 -N-アシルグリコサミン 1-3 から選択される、請求項1に記載の配合物。
【請求項9】
前記1種以上の分岐グリカン脱グリコシル化物が分岐グリカン-N-アシルグリコサミン、グリカン-N-アシルガラクトサミン、グリカン-N-アシルグルコサミン、グリカン-N-アシルノイラミン、ガラクトピラノシルグルコピラノシルマンノピラノシル-N-グリカン、マンノピラノシル 1-8 -N-グリカン、マンノピラノシル 1-8 -N-アシルグルコサミン 1-3 、マンノピラノシル 1-8 -N-アシルガラクトサミン 1-3 、ガラクトピラノシル 1-8 -N-アシルグルコサミン 1-3 、及びマンノピラノシルキシロシル-N-アシルガラクトサミン 1-3 よりなる群から選択される、請求項1に記載の配合物。
【請求項10】
前記藻類グリカンコンポジットが植物成長調整剤である、請求項1に記載の配合物。
【請求項11】
前記藻類グリカンコンポジットが藻類生物刺激剤である、請求項1に記載の配合物。
【請求項12】
前記藻類グリカンコンポジットが藻類エリシターである、請求項1に記載の配合物。
【請求項13】
前記藻類グリカンコンポジットが、藻類の緑藻類、藻類の紅藻類及び藻類のクロモベオラタ類よりなる群から選択される1種以上の部分加水分解藻類天然源を含む、請求項4に記載の配合物。
【請求項14】
前記1種以上の分岐グリカン脱グリコシル化物が次式:
【化1】
を有するN結合グリカンアミノ官能化マンノースである、請求項1に記載の配合物。
【請求項15】
前記1種以上の分岐グリカン脱グリコシル化物がN結合トリガラクトシル-N-アシルガラクトサミンである、請求項1に記載の配合物。
【請求項16】
前記1種以上の分岐グリカン脱グリコシル化物が、次式:
【化2】
を有するN結合グリカンマンノピラノシルα-1,3(マンノピラノシルα1,6)マンノピラノシルβ-1,4-N-アセチルガラクトサミンである、請求項1に記載の配合物。
【請求項17】
前記1種以上の分岐グリカン脱グリコシル化物がO結合グリカンキシロシル-マンノピラノース 1-8 よりなる群から選択される、請求項1に記載の配合物。
【請求項18】
多座アルキルアミドキレート剤、アコニット酸イオン、クエン酸イオン、フマル酸イオン、グルタル酸イオン、リンゴ酸イオン、オキサロ酢酸イオン、コハク酸イオン、それらの酸、塩及びエステルよりなる群から選択される1種以上の陰イオン成分をさらに含む、請求項1に記載の配合物。
【請求項19】
前記1種以上のD-ブロック遷移金属 2+ が、Mn 2+ 、Fe 2+ 、Co 2+ 、Ni 2+ 及びZn 2+ よりなる群から選択される、請求項1に記載の配合物。
【外国語明細書】