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特開2023-82086キナーゼ阻害剤化合物の結晶多形、それを含む医薬組成物及びその製造方法と応用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023082086
(43)【公開日】2023-06-13
(54)【発明の名称】キナーゼ阻害剤化合物の結晶多形、それを含む医薬組成物及びその製造方法と応用
(51)【国際特許分類】
   C07D 403/14 20060101AFI20230606BHJP
   A61K 31/404 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20230606BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230606BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230606BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20230606BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
C07D403/14 CSP
A61K31/404
A61K9/48
A61K47/02
A61K47/04
A61K47/20
A61K47/38
A61K47/32
A61K9/20
A61K47/26
A61K47/12
A61K47/14
A61P43/00 111
A61P35/00
A61P13/12
A61P1/00
【審査請求】有
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052465
(22)【出願日】2023-03-28
(62)【分割の表示】P 2019538551の分割
【原出願日】2017-09-29
(31)【優先権主張番号】201610866253.6
(32)【優先日】2016-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】519113181
【氏名又は名称】エキノックス サイエンシーズ,エルエルシー.
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】梁従新
(72)【発明者】
【氏名】謝利華
(57)【要約】      (修正有)
【課題】キナーゼ阻害剤化合物の結晶多形、それを含む医薬組成物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の化合物は式Iに示す通りであり、その結晶形は結晶形1、結晶形2、結晶形3、結晶形5、結晶形6または結晶形7である。本発明の式Iの化合物の各結晶形の結晶形安定性および化学的安定性は良好であり、化学的安定性主成分の純度軽減は2%未満である。本発明の製造方法により高純度の当該式Iの化合物の各結晶形を製造でき、且つそれらの製剤方法は大規模製造に適している。

【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1の化合物の結晶形:
【化1】

上記結晶形が、結晶形1、結晶形2、結晶形3、結晶形5、結晶形6、結晶形7またはそれらの任意の二種または多種の混合物から選ばれる;
上記結晶形1が、粉末X線回折パターンの回折角2θの4.3±0.2°、8.6±0.2°、及び12.9±0.2°に特徴的なピークを有する;
上記結晶形2が、粉末X線回折パターンの回折角2θの8.8±0.2°、10.1±0.2°、23.8±0.2°及び26.7±0.2°に特徴的なピークを有する;
上記結晶形3が、粉末X線回折パターンの回折角2θの7.8±0.2°に特徴的なピークを有する;
上記結晶形5が、粉末X線回折パターンの回折角2θの8.7±0.2°、17.0±0.2°、及び17.4±0.2°に特徴的なピークを有する;
上記結晶形6が、粉末X線回折パターンの回折角2θの7.9±0.2°、9.0±0.2°、及び17.7±0.2°に特徴的なピークを有する;
上記結晶形7が、粉末X線回折パターンの回折角2θの9.5±0.2°、10.6±0.2°、及び16.0±0.2°に特徴的なピークを有する;
上記粉末X線回折パターンは、全てCuターゲットのKα線により測定する。
【請求項2】
上記結晶形1が、粉末X線回折パターンの回折角2θの4.3±0.2°、8.6±0.2°、12.9±0.2°及び18.3±0.2°に特徴的なピークを有する;
好ましくは、上記結晶形2が、粉末X線回折パターンの回折角2θの8.8±0.2°、10.1±0.2°、17.7±0.2°、19.9±0.2°、20.5±0.2°、23.8±0.2°及び26.7±0.2°に特徴的なピークを有する;
より好ましくは、上記結晶形2が、粉末X線回折パターンの回折角2θの5.1±0.2°、8.8±0.2°、10.1±0.2°、11.6±0.2°、14.6±0.2°、15.2±0.2°、16.5±0.2°、17.3±0.2°、17.7±0.2°、18.8±0.2°、19.9±0.2°、20.5±0.2°、21.7±0.2°、23.2±0.2°、23.8±0.2°及び26.7±0.2°に特徴的なピークを有する;
好ましくは、上記結晶形3が、粉末X線回折パターンの回折角2θの7.8±0.2°、9.3±0.2°、13.7±0.2°、及び16.0±0.2°に特徴的なピークを有する;
より好ましくは、上記結晶形3が、粉末X線回折パターンの回折角2θの3.9±0.2°、7.8±0.2°、9.3±0.2°、13.7±0.2°、16.0±0.2°、18.2±0.2°及び27.2±0.2°に特徴的なピークを有する;
好ましくは、上記結晶形5が、粉末X線回折パターンの回折角2θの8.3±0.2°、8.7±0.2°、9.4±0.2°、17.0±0.2°、17.4±0.2°及び18.1±0.2°に特徴的なピークを有する;
より好ましくは、上記結晶形5が、粉末X線回折パターンの回折角2θの4.1±0.2°、8.3±0.2°、8.7±0.2°、9.4±0.2°、10.5±0.2°、13.4±0.2°、17.0±0.2°、17.4±0.2°及び18.1±0.2°に特徴的なピークを有する;
好ましくは、上記結晶形6が、粉末X線回折パターンの回折角2θの7.9±0.2°、9.1±0.2°、9.6±0.2°、16.4±0.2°、17.7±0.2°及び18.0±0.2°に特徴的なピークを有する;
より好ましくは、上記結晶形6が、粉末X線回折パターンの回折角2θの3.9±0.2°、7.9±0.2°、9.1±0.2°、9.6±0.2°、13.2±0.2°、16.4±0.2°、17.7±0.2°及び18.0±0.2°に特徴的なピークを有する;
好ましくは、上記結晶形7が、粉末X線回折パターンの回折角2θの9.5±0.2°、10.6±0.2°、13.8±0.2°、14.3±0.2°、16.0±0.2°、18.2±0.2°、及び25.1±0.2°に特徴的なピークを有する;
より好ましくは、上記結晶形7が、粉末X線回折パターンの回折角2θの4.8±0.2°、9.5±0.2°、10.6±0.2°、13.8±0.2°、14.3±0.2°、16.0±0.2°、18.2±0.2°、25.1±0.2°、27.8±0.2°及び28.9±0.2°に特徴的なピークを有する請求項1に記載の結晶形。
【請求項3】
上記結晶形1が、粉末X線回折パターンの回折角2θの4.3±0.2°、7.6±0.2°、8.6±0.2°、12.9±0.2°及び18.3±0.2°に特徴的なピークを有する請求項1に記載の結晶形。
【請求項4】
上記結晶形1が、粉末X線回折パターンの回折角2θの4.3±0.2°、7.6±0.2°、8.6±0.2°、12.9±0.2°、17.2±0.2°及び18.3±0.2°に特徴的なピークを有する請求項1に記載の結晶形。
【請求項5】
上記結晶形1が、粉末X線回折パターンの回折角2θの4.3±0.2°、7.6±0.2°、8.6±0.2°、9.0±0.2°、12.4±0.2°、12.9±0.2°、17.2±0.2°及び18.3±0.2°に特徴的なピークを有する請求項1に記載の結晶形。
【請求項6】
上記結晶形1は、粉末X線回折パターンの回折角2θが、4.3±0.2°、6.7±0.2°、7.6±0.2°、8.6±0.2°、9.0±0.2°、12.4±0.2°、12.9±0.2°、14.3±0.2°、15.5±0.2°、16.7±0.2°、17.2±0.2°、18.3±0.2°、19.6±0.2°、20.3±0.2°、21.2±0.2°、21.5±0.2°、22.4±0.2°、23.1±0.2°、24.2±0.2°、25.1±0.2°、25.9±0.2°、27.0±0.2°、27.4±0.2°、28.8±0.2°、30.8±0.2°、33.4±0.2°、39.2±0.2°から選ばれる角度に特徴的なピークを有する請求項1に記載の結晶形。
【請求項7】
上記結晶形1は、粉末X線回折パターンの回折角2θが、4.3±0.2°、6.7±0.2°、7.6±0.2°、8.6±0.2°、9.0±0.2°、10.1±0.2°、12.4±0.2°、12.9±0.2°、14.3±0.2°、15.5±0.2°、16.7±0.2°、17.2±0.2°、18.3±0.2°、19.6±0.2°、20.3±0.2°、21.2±0.2°、21.5±0.2°、22.4±0.2°、23.1±0.2°、24.2±0.2°、25.1±0.2°、25.9±0.2°、27.0±0.2°、27.4±0.2°、28.8±0.2°、30.8±0.2°、32.9±0.2°、33.4±0.2°、35.0±0.2°、37.5±0.2°、39.2±0.2°から選ばれる角度に特徴的なピークを有する請求項1に記載の結晶形。
【請求項8】
上記結晶形1の粉末X線回折パターンが図1に示す;
上記結晶形2の粉末X線回折パターンが図7に示す;
上記結晶形3の粉末X線回折パターンが図12に示す;
上記結晶形5の粉末X線回折パターンが図17に示す;
上記結晶形6の粉末X線回折パターンが図22に示す;
上記結晶形7の粉末X線回折パターンが図27に示す請求項1に記載の結晶形。
【請求項9】
以下の方法の1種または多種を含み、
1)上記結晶形1の製造方法1であり、それは以下のステップを含む:
上記式Iの化合物を、溶媒と混合して透明な溶液が得られ、溶媒を揮発させることで製造し得る;上記溶媒はメタノール、メタノールとアセトンとの混合物、またはメタノール水溶液である;
上記結晶形1の製造方法2であり、それは以下のステップを含む:
上記式Iの化合物を、メタノールと混合して透明な溶液が得られ、攪拌しながら上記透明な溶液に溶媒を添加し、固体を析出させることで製造し得る;上記溶媒はアセトン、酢酸エチル、メチル-tert -ブチルエーテルまたはアセトニトリルである;
上記結晶形1の製造方法3であり、それは以下のステップを含む:
上記式Iの化合物を、メタノールと混合して透明な溶液が得られ、攪拌しながら溶媒中に上記透明な溶液を添加し、固体を析出させることで製造し得る;上記溶媒は水またはメチル-tert -ブチルエーテルである;
上記結晶形1の製造方法4であり、それは以下のステップを含む:
上記式Iの化合物を、溶媒と混合して透明な溶液が得られ、冷却・攪拌結晶化することで製造し得る;上記溶媒はメタノール、メタノール水溶液、メタノールと酢酸エチルとの混合物、メタノールとメチル-tert -ブチルエーテルとの混合物、またはメタノールとアセトニトリルとの混合物である;
2)上記結晶形2の製造方法であり、それは以下のステップを含む:
上記式Iの化合物を、溶媒と2~6日間混合・撹拌し、結晶スラリーを固液分離した後に乾燥させることで製造し得る;上記溶媒は水、酢酸エチル、トルエン、アセトン水溶液、アセトニトリル水溶液、エタノールとトルエンとの混合物、またはメタノール水溶液である;
3)上記結晶形3の製造方法1であり、それは以下のステップを含む:
上記式Iの化合物を、テトラヒドロフランと混合して透明な溶液が得られ、溶媒を揮発させることで製造し得る;
上記結晶形3の製造方法2であり、それは以下のステップを含む:
上記式Iの化合物を、エタノールと混合して透明な溶液が得られ、室温で溶媒を揮発させることで製造し得る;
上記結晶形3の製造方法3であり、それは以下のステップを含む:
上記式Iの化合物を、エタノール水溶液と混合して透明な溶液が得られ、溶媒を揮発させることで製造し得る;
上記結晶形3の製造方法4であり、それは以下のステップを含む:
上記式Iの化合物を、溶媒と混合・撹拌し、結晶スラリーを固液分離した後に乾燥することで製造し得る;上記溶媒はエタノール、アセトンまたはテトラヒドロフラン水溶液である;
上記結晶形3の製造方法5であり、それは以下のステップを含む:
上記式Iの化合物を、溶媒と混合して透明な溶液が得られ、冷却・撹拌結晶化することで製造し得る;上記溶媒は、テトラヒドロフランまたはメタノールとテトラヒドロフランとの混合物である;
上記結晶形3の製造方法6であり、それは以下のステップを含む:
上記結晶形1を、180~190℃まで加熱し、室温に冷却することで製造し得る;または上記結晶形7を258℃まで加熱し、室温に冷却することで製造し得る;
4)上記結晶形5の製造方法1であり、それは以下のステップを含む:
上記式Iの化合物を、アセトンと混合して透明な溶液が得られ、冷却・撹拌結晶化することで製造し得る;
上記結晶形5の製造方法2であり、それは以下のステップを含む:
上記式Iの化合物を、溶媒と混合撹拌し、結晶スラリーを固液分離した後に乾燥することで製造し得る;または、上記式Iの化合物を、溶媒と混合したあと、上記結晶形5の種結晶を添加し、撹拌し、結晶スラリーを固液分離した後に乾燥することで製造し得る;上記溶媒はメチル-tert-ブチルエーテルまたはアセトンである;
5)上記結晶形6の製造方法1であり、それは以下のステップを含む:
上記式Iの化合物を、トルエンとメタノールとの混合物と混合して透明な溶液が得られ、室温で溶媒を揮発させることで製造し得る;
上記結晶形6の製造方法2であり、それは以下のステップを含む:
上記式Iの化合物を、メタノールと混合して透明な溶液が得られ、撹拌しながら上記透明な溶液をトルエンと混合して、固体を析出することで製造し得る;
上記結晶形6の製造方法3であり、それは以下のステップを含む:
上記式Iの化合物を、トルエンと16時間以上混合・撹拌し、結晶スラリーを乾燥することで製造し得る;または、上記式Iの化合物を、トルエンと混合した後、上記結晶形6の種結晶を添加して撹拌し、結晶スラリーを乾燥させることで製造し得る;
6)上記結晶形7の製造方法1であり、それは以下のステップを含む:
上記式Iの化合物を、酢酸エチルと混合・撹拌し、結晶スラリーを固液分離した後に乾燥することで製造し得る;
上記結晶形7の製造方法2であり、それは以下のステップを含む:
上記式Iの化合物を、N、N-ジメチルアセトアミドとトルエンとの混合物と混合・撹拌し、固液分離後に乾燥することで製造し得る;
上記結晶形7の製造方法3であり、それは以下のステップを含む:
上記結晶形1および/または結晶形5を、水と混合・撹拌し、結晶スラリーを固溶分離後に乾燥することで製造し得る
請求項1-8のいずれかの一項に記載の結晶形の製造方法。
【請求項10】
上記結晶形1の製造方法1のうち、上記揮発性溶媒の温度が10-40℃である;
好ましくは、上記式Iの化合物と上記溶媒との質量体積比が、10mg/0.5~2.2mLであり、例えば10mg/0.5~2mLである;
上記溶媒がメタノールとアセトンとの混合物である場合、メタノールとアセトンとの体積比が、1:1.5~2.5である;
上記溶媒がメタノール水溶液である場合、メタノールと水との体積比が、好ましくは、6:0.5~1.5である;
上記結晶形1の製造方法2のうち、上記混合の温度が、45~55℃である;
好ましくは、上記式Iの化合物とメタノールとの質量体積比が、20mg/1.2~1.6mLである;上記式Iの化合物と上記溶媒との質量体積比が、約20mg/2~4mLである;
上記結晶形1の製造方法3のうち、上記混合の温度が、45~55℃である;
好ましくは、上記式Iの化合物とメタノールとの質量体積比が、20mg/1.2~20mg/1.6mLである;上記式Iの化合物と上記溶媒との質量体積比が、20mg/2.0~15mLであり、例えば20mg/2.5~12.0mL、例えば20mg/3.0mL、20mg/5.2mL、20mg/ 11.2mLである;
上記結晶形1の製造方法4のうち、上記混合の温度が、45~70℃であり、例えば50℃または還流温度である;
好ましくは、上記式Iの化合物と上記溶媒との質量体積比が、20mg/0.5~2.2mLである;
上記溶媒がメタノール水溶液である場合、メタノールと水との体積比が、7:1.5~2.5である;
上記溶媒がメタノールと酢酸エチルとの混合物である場合、メタノールと酢酸エチルとの体積比が、1:1.5~2.5である;
上記溶媒がメタノールとメチル-tert-ブチルエーテルとの混合物である場合、メタノールとメチル-tert-ブチルエーテルとの体積比が、4:6~8である;
上記溶媒がメタノールとアセトニトリルとの混合物である場合、メタノールとアセトニトリルとの体積比は、1:0.5~1.5である請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
上記結晶形1の製造方法4のうち、上記式Iの化合物を、溶媒と混合し、還流されるまで加熱し、透明な溶液が得られる;
好ましくは、上記製造方法4は以下のステップを含む:
上記式Iの化合物を、メタノールと混合し、還流されるまで加熱し、透明な溶液が得られて、冷却・撹拌結晶化を経て、濾過・洗浄・乾燥させる請求項9または10に記載の製造方法。
【請求項12】
上記結晶形1の製造方法4が、濃縮ステップ、例えば、透明な溶液が得られた後に濃縮により溶媒の一部を除去するステップを含む;
好ましくは、上記濃縮が減圧条件で行うが、上記減圧条件の真空度が例えば200~1500Paであり、例えば500~1000Paである;
好ましくは、上記の濃縮温度が、20~35℃で良い請求項9-11のいずれかの一項に記載の製造方法。
【請求項13】
上記結晶形1の製造方法4のうち、上記の還流時間が4時間未満であり、例えば2時間を超えない請求項11または12に記載の製造方法。
【請求項14】
上記結晶形1の製造方法4のうち、上記冷却の目標温度が1~50℃で良いし、例えば4~50℃であり、例えば5~35℃或は10~20℃である請求項9-13のいずれかの一項に記載の製造方法。
【請求項15】
上記結晶形1の製造方法4のうち、上記撹拌結晶化の温度が1~50℃で良いし、例えば4~50℃であり、例えば5~35℃或は10~20℃である請求項9-14のいずれかの一項に記載の製造方法。
【請求項16】
上記溶媒がメタノールである場合、上記メタノールの含水量が10%を超えなく、例えば6%を超えなく、例えば5%を超えなく、好ましくは1%を超えなく、例えば無水メタノールである請求項9-15のいずれかの一項に記載の製造方法。
【請求項17】
上記結晶形2の製造方法のうち、上記式Iの化合物が、上記結晶形1及び/または上記結晶形6で良い;
上記撹拌の温度が、好ましくは、4~50℃である;
上記式Iの化合物と上記溶媒との質量体積比が、好ましくは、12.5~40.0mg/mLである請求項9に記載の製造方法。
【請求項18】
治療および/または予防に必要な有効量の請求項1-8のいずれかの一項に記載の結晶形、及び少なくとも一種の薬学的に許容される補助剤が含まれる;
好ましくは、上記医薬組成物が、さらに式Iの化合物の他の形式、例えば、他の結晶形および/または無定形形式を含むまたは基本的に含まない;
好ましくは、上記医薬組成物中の一種または多種の成分を研磨および/または篩過する医薬組成物。
【請求項19】
上記医薬組成物がカプセル剤であり、それには治療および/または予防に必要な有効量の請求項1-8のいずれかの一項に記載の結晶形、Pearlitol 200 SD、炭酸水素ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムおよび架橋カルメロースナトリウムが含まれる請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
上記医薬組成物が錠剤であり、その錠核には治療および/または予防に必要な有効量の請求項1-8のいずれかの一項に記載の結晶形、マンニトール、微結晶セルロース、炭酸水素ナトリウム粉末、無水クエン酸、架橋カルメロースナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、クロスポビドン、ヒュームドシリカ、フマル酸ステアリルナトリウム、及び任意に選ばれた存在または不在の水、が含まれる請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項21】
有効量の請求項1-8のいずれかの一項に記載の結晶形または請求項18-20のいずれかの一項に記載の医薬組成物を、治療対象者に投与することを含む疾病または病症を治療または予防する方法。
【請求項22】
上記疾病または病症が、キナーゼ(例えば、VEGFR、PDGFR、Flt-3、KIT、RET或はCSF1R中の一種または多種)を介する疾病または病症中のいずれかの一種である請求項21に記載の方法。
【請求項23】
上記疾病または病症が、癌であり、例えば、腎細胞癌および消化管間質腫瘍、腫瘍または増殖性疾患を含む請求項21に記載の方法。
【請求項24】
キナーゼ(例えば、VEGFR、PDGFR、Flt-3、KIT、RET或はCSF1R中の一種または多種)を、請求項1-8のいずれかの一項に記載の結晶形または請求項18-20のいずれかの一項に記載の医薬組成物と接触させることを含むキナーゼ活性を調整する方法。
【請求項25】
下記の反応を行うことを含む式Iの化合物の製造方法:
【化2】

そのうち、HOBtはヒドロキシベンゾトリアゾールを表し、EDCIは1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドを表し、Et3Nはトリエチルアミンを表し、DMFはN、N-ジメチルホルムアミドを表す。
化合物A、Bのモル比は1:1~1:3で良いし、例えば1:1~1:1.5、例えば1:1.2である;
化合物Aとトリエチルアミンとのモル比は1:1~1:10で良いし、例えば1:5である;
化合物AとEDCIとのモル比は1:1~1:3で良いし、例えば1:1.2~1:1.8であり、例えば1:1.5である;
好ましくは、上記反応は不活性雰囲気(例えば窒素ガス雰囲気)で行う;
好ましくは、反応温度は5~45℃で良いし、例えば20-30℃である;
好ましくは、反応完了後、反応混合物中にエーテル系溶媒、例えばメチル-tert -ブチルエーテルを添加し、撹拌・濾過し、濾過ケーキをメチル-tert -ブチルエーテルで洗浄する;
好ましくは、メチル-tert -ブチルエーテルで洗浄した生成物を、メタノールまたはその水溶液、例えば無水メタノールと混合し、加熱還流させる。
上記還流時間は、好ましくは2時間を超えないものであり、例えば0.5~1時間である;
好ましくは、還流後、反応混合物を10-20℃に冷却し、1~3時間撹拌し続けた後に濾過する;
好ましくは、濾過ケーキをメタノール、例えば冷やしメタノールで洗浄し、乾燥することで式Iの化合物の初期生成物を製造し得る;
上記乾燥は常圧乾燥または真空乾燥を含む。真空乾燥の温度は約35℃以上で良いし、例えば約40℃以上、約45℃以上、約50℃以上、例えば約40~60℃である。真空乾燥の真空度は、例えば200~1500Paで良いし、例えば500~1000Paである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬の結晶形に属し、具体的にはキナーゼ阻害剤化合物の結晶多形、それを含む医薬組成物及びその製造方法と応用とに関するものである。
【技術背景】
【0002】
スニチニブ(Sunitinib)は、強力なマルチターゲットキナーゼ阻害剤であり、当該薬物は癌に対して、特に腎細胞癌(RCC)および消化管間質腫瘍(GIST)に対しての治療効果が著しい。とはいえ、スニチニブの使用はその副作用によって制限されている。そのうち、臨床上最もよく見られた厳重な副作用には、好中球減少症および疲労毒性が含まれる。このような副作用は、スニチニブの単独投与または他の治療と組み合わせての投与を大いに制限している。例えば、スニチニブおよびエベロリムス(Everolimus)の組成物は、転移性腎細胞癌患者の1期の臨床試験の結果で、日ごとの投与は耐性が悪いため、エベロリムスを週ごとの投与に変更せざるを得なかった(2011 Genitourinary cancer symposium, abst #311)。だが、スニチニブを4週間投与して、2週間休み、その後エベロリムスを5週間投与し、1週間休む投与方法では、耐性は改善されたが、治療効果は予定の目標を満せなかった。(2014 Genitourinary cancer symposium, abst #438)。
【0003】
WO2008033562A2およびCN101553482Aでは、環状側鎖によりスニチニブのジエチルアミノエチル側鎖を置換したスニチニブ誘導体、例えば式Iで示す5-[5-フルオロ-2-オキソ-1, 2-ジヒドロ-インドール-(3Z)-イリデンメチル]-2, 4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボン酸((S)-1-ジメチルカルバモイル-ピロリジン)-3-基)- アミド(分子量は439.48で、分子式はC23H26FN5O3である)を開示している。それは、AMPKの阻害活性を減少させることで、スニチニブの疲労毒性のような副作用を緩和させる。
【0004】
【化1】
【0005】
当該化合物では、スニチニブ構造中のアルカリ性のジエチルアミノエチル側鎖は中性のジメチルカルバミル-ピロリジン-3-基に置換される。アルカリ性の側鎖はスニチニブの溶解性に有益であるが、当該薬物がヒト組織内で広範に蓄積されることに繋がるため、その毒性が増加される。当該アルカリ性側鎖を中性基に置換することで、そのものの組織内での蓄積が下がり毒性も下げたが、同時に、水溶性が著しく下がってきたので、これは医薬品開発に置いて避けられない挑戦となった。なお、現在の製造方法は未だ規模化製造の要件を満たしてない。従って、良好な溶解性、安定性、生物学的利用率、または薬物代謝などの薬学的特性を有する化合物形態、それらの製剤および規模化製造に適する方法を研究開発することで、良好な薬効を得ることが期待されている。
【0006】
[発明内容]
従来技術の上記問題点を改善するため、本発明では式Iに示す化合物の結晶形を提供する。
【0007】
【化2】
【0008】
そのうち、上記結晶形は、結晶形1、結晶形2、結晶形3、結晶形5、結晶形6、結晶形7またはそれらの任意の二種または多種から選ばれる混合物である。
【0009】
上記結晶形1は粉末X線回折パターンの回折角2θの4.3±0.2°、8.6±0.2°、及び12.9±0.2°に特徴的なピークがある。
【0010】
上記結晶形2は粉末X線回折パターンの回折角2θの8.8±0.2°、10.1±0.2°、23.8±0.2°及び26.7±0.2°に特徴的なピークがある。
【0011】
上記結晶形3は粉末X線回折パターンの回折角2θの7.8±0.2°に特徴的なピークがある。
【0012】
上記結晶形5は粉末X線回折パターンの回折角2θの8.7±0.2°、17.0±0.2°、及び17.4±0.2°に特徴的なピークがある。
【0013】
上記結晶形6は粉末X線回折パターンの回折角2θの7.9±0.2°、9.0±0.2°、及び17.7±0.2°に特徴的なピークがある。
【0014】
上記結晶形7は粉末X線回折パターンの回折角2θの9.5±0.2°、10.6±0.2°、及び16.0±0.2°に特徴的なピークがある。
【0015】
上記粉末X線回折パターンは全てCuターゲットのKα線にで測定した。
【0016】
好ましくは、上記結晶形1は粉末X線回折パターンの回折角2θの4.3±0.2°、8.6±0.2°、12.9±0.2°及び18.3±0.2°に特徴的なピークがある。
【0017】
好ましくは、上記結晶形1は粉末X線回折パターンの回折角2θの4.3±0.2°、7.6±0.2°、8.6±0.2°、12.9±0.2°及び18.3±0.2°に特徴的なピークがある。
【0018】
好ましくは、上記結晶形1は粉末X線回折パターンの回折角2θの4.3±0.2°、7.6±0.2°、8.6±0.2°、12.9±0.2°、17.2±0.2°及び18.3±0.2°に特徴的なピークがある。
【0019】
より好ましくは、上記結晶形1は粉末X線回折パターンの回折角2θの4.3±0.2°、7.6±0.2°、8.6±0.2°、9.0±0.2°、12.4±0.2°、12.9±0.2°、17.2±0.2°及び18.3±0.2°に特徴的なピークがある。
【0020】
実例として、上記結晶形1は、粉末X線回折パターンの回折角2θが4.3±0.2°、6.7±0.2°、7.6±0.2°、8.6±0.2°、9.0±0.2°、12.4±0.2°、12.9±0.2°、14.3±0.2°、15.5±0.2°、16.7±0.2°、17.2±0.2°、18.3±0.2°、19.6±0.2°、20.3±0.2°、21.2±0.2°、21.5±0.2°、22.4±0.2°、23.1±0.2°、24.2±0.2°、25.1±0.2°、25.9±0.2°、27.0±0.2°、27.4±0.2°、28.8±0.2°、30.8±0.2°、33.4±0.2°、39.2±0.2°から選ばれる角度に特徴的なピークがある。
【0021】
実例として、上記結晶形1は、粉末X線回折パターンの回折角2θが、4.3±0.2°、6.7±0.2°、7.6±0.2°、8.6±0.2°、9.0±0.2°、10.1±0.2°、12.4±0.2°、12.9±0.2°、14.3±0.2°、15.5±0.2°、16.7±0.2°、17.2±0.2°、18.3±0.2°、19.6±0.2°、20.3±0.2°、21.2±0.2°、21.5±0.2°、22.4±0.2°、23.1±0.2°、24.2±0.2°、25.1±0.2°、25.9±0.2°、27.0±0.2°、27.4±0.2°、28.8±0.2°、30.8±0.2°、32.9±0.2°、33.4±0.2°、35.0±0.2°、37.5±0.2°、39.2±0.2°から選ばれる角度に特徴的なピークがある。
【0022】
最も好ましくは、上記結晶形1の粉末X線回折パターンのデーターは表1で示す通り:
【0023】
【表1】
【0024】
非制限的に、上記結晶形1の典型的な実例は、基本的に図1で示すような粉末X線回折パターンを有する。
【0025】
さらに、上記結晶形1の偏光顕微鏡写真(PLM)は図2に示す通り。 そのうち、結晶形1は細長い棒状結晶体である。
【0026】
上記結晶形1の25℃で通常的に使われる溶媒中での溶解度は以下の通り:メタノールでの溶解度は5~12.5mg/mLである;エタノールでの溶解度は1~2.5mg/mLである;水での溶解度は<1mg/mLである;アセトンでの溶解度は1~2.5mg/mLである;酢酸エチルでの溶解度は<1mg/mLである;メチルーtert-ブチルエーテルでの溶解度は<1mg/mLである;テトラヒドロフランでの溶解度は1~2.5mg/mLである;アセトニトリルでの溶解度は<1mg/mLである;トルエンでの溶解度は<1mg/mLである;n-ヘプタンでの溶解度は<1mg/mLである。
【0027】
さらに、上記結晶形1は、基本的に図3に示すような熱重量分析(TGA)図を有する。そのうち、上記結晶形1は、170℃前で約2.6%の重量損失があり、それは無水物であり、分解温度は約320℃である。
【0028】
さらに、上記結晶形1は、基本的に図4に示すような示差走査熱量測定(DSC)図を有する。そのうち、上記結晶形1は、150~170℃で一つの放熱ピークがあり、それは発熱結晶転換ピークであることが確認され、結晶転換後の結晶形は上記結晶形3であり、上記結晶形1の融点は約260℃である。
【0029】
さらに、上記結晶形1は、基本的に図5に示すような動的水分吸着図(DVS)を有する。そのうち、上記結晶形1の0%RHから80%RHの範囲内での重量変化は、約2.8%である。
【0030】
好ましくは、上記結晶形2は粉末X線回折パターンの回折角2θの8.8±0.2°、10.1±0.2°、17.7±0.2°、19.9±0.2°、20.5±0.2°、23.8±0.2°及び26.7±0.2°に特徴的なピークがある。
【0031】
より好ましくは、上記結晶形2は粉末X線回折パターンの回折角2θの5.1±0.2°、8.8±0.2°、10.1±0.2°、11.6±0.2°、14.6±0.2°、15.2±0.2°、16.5±0.2°、17.3±0.2°、17.7±0.2°、18.8±0.2°、19.9±0.2°、20.5±0.2°、21.7±0.2°、23.2±0.2°、23.8±0.2°及び26.7±0.2°に特徴的なピークがある。
【0032】
実例として、上記結晶形2は、粉末X線回折パターンの回折角2θが、5.1±0.2°、7.8±0.2°、8.4±0.2°、8.8±0.2°、10.1±0.2°、11.6±0.2°、14.6±0.2°、15.2±0.2°、15.5±0.2°、16.1±0.2°、16.5±0.2°、17.3±0.2°、17.7±0.2°、18.8±0.2°、19.0±0.2°、19.4±0.2°、19.9±0.2°、20.5±0.2°、21.7±0.2°、22.1±0.2°、23.2±0.2°、23.8±0.2°、24.7±0.2°、25.9±0.2°、26.7±0.2°、27.5±0.2°、28.7±0.2°、29.7±0.2°、30.3±0.2°、31.6±0.2°、32.5±0.2°、33.1±0.2°、36.8±0.2°及び38.9±0.2°から選ばれる角度に特徴的なピークがある。
【0033】
最も好ましくは、上記結晶形2の粉末X線回折パターンのデーターは表2で示す通り:
【0034】
【表2】
【0035】
非制限的に、上記結晶形2の典型的な一実例は、基本的に図7で示すような粉末X線回折パターンを有する。
【0036】
さらに、上記結晶形2の偏光顕微鏡写真(PLM)は図8に示す通り。 そのうち、結晶形2は細い針状結晶体である。
【0037】
さらに、上記結晶形2は、基本的に図9に示すような熱重量分析(TGA)図を有する。そのうち、上記結晶形2は、200℃前で約0.3%の重量損失があり、それは無水物であり、分解温度は約320℃である。
さらに、上記結晶形2は、基本的に図10に示すような示差走査熱量測定(DSC)図を有する。そのうち、上記結晶形2の融点は約258℃である。
【0038】
さらに、上記結晶形2は、基本的に図11に示すような動的水分吸着図(DVS)を有する。そのうち、上記結晶形2の0%RHから80%RHの範囲内での重量変化は、約0.05%である。
【0039】
好ましくは、上記結晶形3は粉末X線回折パターンの回折角2θの7.8±0.2°、9.3±0.2°、13.7±0.2°、及び16.0±0.2°に特徴的なピークがある。
【0040】
より好ましくは、上記結晶形3は粉末X線回折パターンの回折角2θの3.9±0.2°、7.8±0.2°、9.3±0.2°、13.7±0.2°、16.0±0.2°、18.2±0.2°及び27.2±0.2°に特徴的なピークがある。
【0041】
実例として、上記結晶形3の粉末X線回折パターンの回折角2θは表3の通り。
【0042】
最も好ましくは、上記結晶形3の粉末X線回折パターンのデーターは表3の通り:
【0043】
【表3】
【0044】
非制限的に、上記結晶形3の典型的な一実例は、基本的に図12で示すような粉末X線回折パターンを有する。
【0045】
さらに、上記結晶形3の偏光顕微鏡写真(PLM)は図13に示す通り。 そのうち、上記結晶形3は細小な粒子であり、部分的凝集がある。
【0046】
さらに、上記結晶形3は、基本的に図14に示すような熱重量分析(TGA)図を有する。そのうち、上記結晶形3は、200℃前で約0.2%の重量損失があり、それは無水物であり、分解温度は約320℃である。
さらに、上記結晶形3は、基本的に図15で示すような示差走査熱量測定(DSC)図を有する。そのうち、上記結晶形3の融点は約261℃である。
【0047】
さらに、上記結晶形3は、基本的に図16に示すような動的水分吸着図(DVS)を有する。そのうち、上記結晶形3の0%RHから80%RHの範囲内での重量変化は、約0.08%である。
【0048】
好ましくは、上記結晶形5は粉末X線回折パターンの回折角2θの8.3±0.2°、8.7±0.2°、9.4±0.2°、17.0±0.2°、17.4±0.2°及び18.1±0.2°に特徴的なピークがある。
【0049】
より好ましくは、上記結晶形5は粉末X線回折パターンの回折角2θの4.1±0.2°、8.3±0.2°、8.7±0.2°、9.4±0.2°、10.5±0.2°、13.4±0.2°、17.0±0.2°、17.4±0.2°及び18.1±0.2°に特徴的なピークがある。
【0050】
実例として、上記結晶形5の粉末X線回折パターンの回折角2θは表4の通り。
【0051】
最も好ましくは、上記結晶形5の粉末X線回折パターンデーターは表4の通り:
【0052】
【表4】
【0053】
非制限的に、上記結晶形5の典型的な一実例は、基本的に図17で示すような粉末X線回折パターンを有する。
【0054】
さらに、上記結晶形5の偏光顕微鏡写真(PLM)は図18に示す通り。 そのうち、上記結晶形5は細小な粒子であり、部分的凝集がある。
【0055】
さらに、上記結晶形5は、基本的に図19に示すような熱重量分析(TGA)図を有する。そのうち、上記結晶形5は、200℃前で約1.2%の重量損失があり、それは無水物であり、分解温度は約319℃である。
さらに、上記結晶形5は、基本的に図20で示すような示差走査熱量測定(DSC)図を有する。そのうち、上記結晶形5の融点は約258℃であり、100℃前の広い吸熱ピークは表面溶媒の脱去によるものである。
【0056】
さらに、上記結晶形5は、基本的に図21に示すような動的水分吸着図(DVS)を有する。そのうち、上記結晶形5の0%RHから80%RH範囲内での重量変化は、約2.5%である。
【0057】
好ましくは、上記結晶形6は粉末X線回折パターンの回折角2θの7.9±0.2°、9.1±0.2°、9.6±0.2°、16.4±0.2°、17.7±0.2°及び18.0±0.2°に特徴的なピークがある。
【0058】
より好ましくは、上記結晶形6は粉末X線回折パターンの回折角2θの3.9±0.2°、7.9±0.2°、9.1±0.2°、9.6±0.2°、13.2±0.2°、16.4±0.2°、17.7±0.2°及び18.0±0.2°に特徴的なピークがある。
【0059】
実例として、上記結晶形6の粉末X線回折パターンの回折角2θは表5の通り。
【0060】
最も好ましくは、上記結晶形6の粉末X線回折パターンデーターは表5の通り:
【0061】
【表5】
【0062】
非制限的に、上記結晶形6の典型的な一実例は、基本的に図22で示すような粉末X線回折パターンを有する。
【0063】
さらに、上記結晶形6の偏光顕微鏡写真(PLM)は図23に示す通り。そのうち、上記結晶形6は細小な粒子であり、部分的凝集がある。
【0064】
さらに、上記結晶形6は、基本的に図24に示すような熱重量分析(TGA)図を有する。そのうち、上記結晶形6は、200℃前で約0.7%の重量損失があり、それは無水物であり、分解温度は約320℃である。
さらに、上記結晶形6は、基本的に図25で示すような示差走査熱量測定(DSC)図を有する。そのうち、上記結晶形6の融点は約259℃である。
【0065】
さらに、上記結晶形6は、図26に示すような動的水分吸着図(DVS)を有する。そのうち、上記結晶形6の0%RHから80%RH範囲内での重量変化は、約0.26%である。
【0066】
好ましくは、上記結晶形7は粉末X線回折パターンの回折角2θの9.5±0.2°、10.6±0.2°、13.8±0.2°、14.3±0.2°、16.0±0.2°、18.2±0.2°、及び25.1±0.2°に特徴的なピークがある。
【0067】
より好ましくは、上記結晶形7は粉末X線回折パターンの回折角2θの4.8±0.2°、9.5±0.2°、10.6±0.2°、13.8±0.2°、14.3±0.2°、16.0±0.2°、18.2±0.2°、25.1±0.2°、27.8±0.2°及び28.9±0.2°に特徴的なピークがある。
【0068】
実例として、上記結晶形7の粉末X線回折パターンの回折角2θは表6の通り。
【0069】
最も好ましくは、上記結晶形7の粉末X線回折パターンのデーターは表6の通り:
【0070】
【表6】
【0071】
非制限的に、上記結晶形7の典型的な一実例は、基本的に図27で示すような粉末X線回折パターンを有する。
【0072】
さらに、上記結晶形7の偏光顕微鏡写真(PLM)は図28に示す通り。そのうち、上記結晶形7は細小な粒子であり、部分的凝集がある。
【0073】
さらに、上記結晶形7は、基本的に図29に示すような熱重量分析(TGA)図を有する。そのうち、上記結晶形7は、200℃前で約0.5%の重量損失があり、それは無水物であり、分解温度は約320℃である。
さらに、上記結晶形7は、基本的に図30が示すような示差走査熱量測定(DSC)図を有する。そのうち、上記結晶形7の融点は約259℃である。
【0074】
さらに、上記結晶形7は、基本的に図31に示すような動的水分吸着(DVS)図を有する。そのうち、上記結晶形7の0%RHから80%RH範囲内での重量変化は、約0.27%である。
【0075】
本発明により、上記結晶形1、結晶形2、結晶形3、結晶形5、結晶形6、結晶形7の純度は、好ましくは、50%より高い。例えば80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、99%以上、99.5%以上または99.9%以上である。
【0076】
本発明は、さらに上記結晶形の製造方法を提供し、以下の方法の一種または多種を含む。
【0077】
(1)上記結晶形1の製造方法1であり、それは以下のステップを含む:上記式Iの化合物を溶媒と混合して透明な溶液が得られ、溶媒を揮発させることで製造し得る;上記溶媒はメタノール、メタノールとアセトンとの混合物、またはメタノール水溶液である。
【0078】
上記結晶形1の製造方法2は、以下のステップを含む:上記式Iの化合物を、メタノールと混合して透明な溶液が得られ、攪拌しながら上記透明な溶液に溶媒を添加し、固体を析出させることで製造し得る。上記溶媒はアセトン、酢酸エチル、メチル-tert -ブチルエーテルまたはアセトニトリルである。
【0079】
上記結晶形1の製造方法3は、以下のステップを含む:上記式Iの化合物をメタノールと混合して透明な溶液が得られ、攪拌しながら溶媒中に上記透明な溶液を添加し、固体を析出させることで製造し得る。上記溶媒は水またはメチル-tert -ブチルエーテルである。
【0080】
上記結晶形1の製造方法4は、以下のステップを含む:上記式Iの化合物を溶媒と混合して透明な溶液が得られ、冷却、攪拌結晶化によって製造し得る。上記溶媒はメタノール、メタノール水溶液、メタノールと酢酸エチルとの混合物、メタノールとメチル-tert -ブチルエーテルとの混合物またはメタノールとアセトニトリルとの混合物である。
【0081】
上記結晶形1の製造方法1のうち、上記揮発性溶媒の温度は、好ましくは、10-40℃である。上記式Iの化合物及び上記溶媒の質量体積比は、好ましくは10mg/(0.5~2.2mL)であり、例えば10mg/(0.5~2mL)、例えば5mg/1.0mL、10mg/0.6mLまたは10mg/1.2mLで良い。上記溶媒がメタノールとアセトンとの混合物である場合、メタノールとアセトンとの体積比は、好ましくは1:1.5~2.5であり、例えば1:2で良い;上記溶媒がメタノール水溶液である場合、メタノールと水との体積比は、好ましくは、6:0.5~1.5であり、例えば6:1で良い。
【0082】
上記結晶形1の製造方法2のうち、上記混合は上記式Iの化合物の溶解を促進するため加熱条件で行って良いし、上記混合の温度は、好ましくは45~55℃であり、例えば50℃である。当業界の常識に基づき、透明な溶液を確実に得るため、上記式Iの化合物が充分に溶解した後、熱時ろ過操作を行って良い。上記式Iの化合物とメタノールとの質量体積比は、好ましくは、20mg/1.2~1.6mLであり、例えば20mg/1.4mLである。上記式Iの化合物と上記溶媒との質量体積比は、好ましくは、20mg/2~4mLであり、例えば20mg/3mLである。
【0083】
上記結晶形1の製造方法3のうち、上記混合は上記式Iの化合物の溶解を促進するため加熱条件で行って良いし、上記混合の温度は、好ましくは45~55℃であり、例えば50℃である。当業界の常識に基づき、透明な溶液を確実に得るため、上記式Iの化合物が充分に溶解した後、熱時ろ過操作を行って良い。上記式Iの化合物とメタノールとの質量体積比は、好ましくは、20mg/1.2~20mg/1.6mLであり、例えば20mg/1.4mLである。上記式Iの化合物と上記溶媒との質量体積比は、好ましくは、20mg/2.0~15mLであり、例えば20mg/2.5~12.0mL、例えば20mg/3.0mL、20mg/5.2mL、20mg/11.2mLである。
【0084】
上記結晶形1の製造方法4のうち、上記混合は上記式Iの化合物の溶解を促進するため加熱条件で行って良いが、一般的に水浴加熱法を採用する;上記混合の温度は、好ましくは45~70℃であり、例えば50℃または還流温度である。当業界の常識に基づき、透明な溶液を確実に得るため、上記式Iの化合物が充分に溶解した後、熱時ろ過操作を行って良い。好ましくは、上記式Iの化合物を溶媒と混合し、透明な溶液が得られるまで加熱還流する。
【0085】
好ましくは、上記製造方法4は以下のステップを含む:上記式Iの化合物をメタノールと混合し、透明な溶液が得られるまで加熱還流し、冷却、撹拌結晶化、濾過、洗浄、乾燥を行う。
【0086】
任意的に、上記製造方法4はさらに濃縮ステップを含む:例えば、透明な溶液が得られてから、一部の溶媒を濃縮除去する。
【0087】
好ましくは、上記濃縮は減圧条件で行い、上記減圧条件の真空度は、例えば200~1500Paであり、例えば500~1000Paである。
【0088】
上記濃縮温度は20~35℃で良い。
【0089】
好ましくは、上記還流時間は4時間より短く、例えば2時間を超えない;
好ましくは、上記メタノールの含水量は10%を超えず、例えば6%超えず、例えば5%超ず、好ましくは、1%超えず、例えば無水メタノールである。
【0090】
上記冷却の目標温度は1~50℃で良い、例えば4~50℃、例えば5~35℃或は10~20℃である。
【0091】
上記撹拌結晶化の温度は1~50℃で良い、例えば4~50℃、例えば5~35℃或は10~20℃である。
【0092】
上記洗浄に使われる溶媒は、上記透明な溶液を製造するためのメタノール、メタノール水溶液、メタノールと酢酸エチルとの混合物、メタノールとメチル-tert -ブチルエーテルとの混合物、またはメタノールとアセトニトリルとの混合物から選ばれるが、好ましくはメタノールである。
【0093】
上記式Iの化合物と上記溶媒との質量体積比は、好ましくは20mg/(0.5~2.2mL)である。例えば、20mg/0.8mL、20mg/1.0mL、20mg/1.2mL、20mg/1.4mL、20mg/1.8mL、20mg/2.2mLで良い。上記溶媒がメタノールである場合、含水率は好ましくは≦10%である;上記溶媒がメタノール水溶液である場合、メタノールと水との体積比は、好ましくは7:1.5~2.5であり、例えば7:2である;上記溶媒がメタノールと酢酸エチルとの混合物である場合、メタノールと酢酸エチルとの体積比は、好ましくは1:1.5~2.5であり、例えば1:2である;上記溶媒がメタノールとメチル-tert -ブチルエーテルとの混合物である場合、メタノールとメチル-tert -ブチルエーテルとの体積比は、好ましくは、4:6~8であり、例えば4:7である;上記溶媒がメタノールとアセトニトリルとの混合物である場合、メタノールとアセトニトリルとの体積比は、好ましくは、1:0.5~1.5であり、例えば1:1である
(2)上記結晶形2の製造方法であり、それは以下のステップを含む:上記式Iの化合物を溶媒と2~6日間混合撹拌し、結晶スラリーを固液分離してから乾燥させることで製造し得る;上記溶媒は水、酢酸エチル、トルエン、アセトン水溶液、アセトニトリル水溶液、エタノールとトルエンとの混合物、またはメタノール水溶液である。
【0094】
上記結晶形2の製造方法のうち、上記式Iの化合物は上記結晶形1および/または上記結晶形6で良い。上記攪拌の温度は、好ましくは4~50℃である。当業界の常識に基づき、上記攪拌中に混合物の温度を調整して良いが、例えば、まず50℃で2時間撹拌し、さらに室温で2日間撹拌する。上記式Iの化合物と上記溶媒との質量体積比は、好ましくは(12.5~40.0mg)/mLであり、例えば、10mg/0.5mL、10mg/0.6mL、10mg/0.8mL或は199mg/5mLで良い。上記溶媒がアセトン水溶液である場合、アセトンと水との体積比は、好ましくは2:1である;上記溶媒がアセトニトリル水溶液である場合、アセトニトリルと水との体積比は、好ましくは2:1~5:1である;上記溶媒がエタノールとトルエンの混合物である場合、エタノールとトルエンとの体積比は、好ましくは1:1である;上記溶媒がメタノール水溶液である場合、メタノールと水との体積比は、好ましくは1:1である。上記固液分離の方法および条件は、当業界の慣用方法および条件で良い。一般に、濾過または遠心分離後に濾過する方法で行う。濾過のみの方法で固液分離を行う場合、上記濾過は一般的に吸引ろ過である。上記の乾燥方法および条件は、当業界の慣用方法および条件で良いが、好ましくは真空乾燥であり、より好ましくは室温で10~16時間真空乾燥する。
(3)上記結晶形3の製造方法1であり、それは以下のステップを含む:上記式Iの化合物をテトラヒドロフランと混合して透明な溶液が得られ、溶媒を揮発させることで製造し得る;
上記結晶形3の製造方法2であり、それは以下のステップを含む:上記式Iの化合物をエタノールと混合して透明な溶液が得られ、室温で溶媒を揮発させることで製造し得る;
上記結晶形3の製造方法3であり、それは以下のステップを含む:上記式Iの化合物をエタノール水溶液と混合して透明な溶液が得られ、60℃で溶媒を揮発させることで製造し得る;
上記結晶形3の製造方法4であり、それは以下のステップを含む:上記式Iの化合物を溶媒と混合撹拌して、結晶スラリーを固液分離した後に乾燥することで製造し得る;上記溶媒はエタノール、アセトンまたはテトラヒドロフラン水溶液である;
上記結晶形3の製造方法5であり、それは以下のステップを含む:上記式Iの化合物を溶媒と混合して透明な溶液が得られ、冷却、撹拌結晶化により製造し得る;上記溶媒はテトラヒドロフラン、またはメタノールとテトラヒドロフランの混合物である;
上記結晶形3の製造方法6であり、それは以下のステップを含む:結晶形1を180~190℃に加熱して、室温に冷却することで製造し得る;または上記結晶形7を258℃に加熱し、室温に冷却することで製造し得る。
【0095】
上記結晶形3の製造方法1のうち、上記溶媒の揮発温度は、好ましくは、10-40℃である。上記式Iの化合物とテトラヒドロフランとの質量体積比は、好ましくは1mg/0.5~1.5mLであり、例えば1:1mLである。
【0096】
上記結晶形3の製造方法2のうち、上記式Iの化合物とテトラヒドロフランとの質量体積比は、好ましくは5mg/2~4mLであり、例えば5mg/3mLである。
【0097】
上記結晶形3の製造方法3のうち、上記式Iの化合物とテトラヒドロフランとの質量体積比は、好ましくは10mg/1.0~1.4mLであり、例えば10mg/1.2,mLである。上記エタノール水溶液のうち、エタノールと水との体積比は、好ましくは5:0.5~1.5であり、例えば5:1である。
【0098】
上記結晶形3の製造方法4のうち、好ましくは、上記式Iの化合物の結晶形は上記結晶形1である。上記撹拌の温度は、好ましくは4~30℃である。上記撹拌の時間は、好ましくは20時間~6日間である。上記式Iの化合物と上記溶媒との質量体積比は、好ましくは10mg/(0.4~0.8mL)であり、例えば10mg/0.5mL、10mg/ 0.8mL、200mg/8mL、200mg/10mL或は201mg/15mLである。上記溶媒がテトラヒドロフラン水溶液である場合、テトラヒドロフランと水と体積比は、好ましくは、1:0.5~1.5であり、例えば1:1である。上記固液分離の方法および条件は、当業界の慣用方法および条件で良いが、一般的には、濾過または遠心分離後に濾過する方法で行う。濾過のみの方法で固液分離を行う場合、上記濾過は一般的に吸引ろ過である。上記乾燥の方法及び条件は、当業界の慣用方法及び条件でよいが、好ましくは真空乾燥であり、より好ましくは室温で10~16時間真空乾燥する。
【0099】
上記結晶形3の製造方法4の一具体的実施法のうち、201.0mgの上記式Iの化合物を15mLのエタノールと混合し懸濁液を形成し、室温で800rpmの回転数で20時間撹拌する。結晶スラリーを吸引濾過した後に固体を分離し、60℃で1時間乾燥することで製造し得る。
【0100】
上記結晶形3の製造方法5のうち、上記混合は上記式Iの化合物の溶解のため、加熱条件で行って良いが、通常、水浴加熱法を採用する;上記混合の温度は、好ましくは45~55℃であり、例えば50℃である。当業界の常識に基づき、確実に透明な溶液を得るため、上記式Iの化合物が充分に溶解してから熱時濾過を行って良い。上記冷却の目標温度は、好ましくは4~20℃である。上記式Iの化合物とアセトンとの質量体積比は、好ましくは20mg/(0.4~5mL)である。上記溶媒がメタノールとテトラヒドロフランとの混合物である場合、メタノールとテトラヒドロフランとの体積比は、好ましくは1:0.8~1.2であり、例えば1:1である。
【0101】
(4)上記結晶形5の製造方法1であり、それは以下のステップを含む:上記式Iの化合物をアセトンと混合して透明な溶液が得られ、冷却、撹拌結晶化により製造し得る;
上記結晶形5の製造方法2であり、それは以下のステップを含む:上記式Iの化合物を溶媒と混合撹拌し、結晶スラリーを固液分離した後に乾燥することで製造し得る;または、上記式Iの化合物を溶媒と混合した後、上記結晶形5の種結晶を添加・撹拌し、結晶スラリーを固液分離した後に乾燥することで製造し得る;上記溶媒はメチル-tert-ブチルエーテルまたはアセトンである。
【0102】
上記結晶形5の製造方法1のうち、上記混合は上記式Iの化合物の溶解のため、加熱条件で行って良いが、通常、水浴加熱法を採用する;上記混合の温度は、好ましくは45~55℃であり、例えば50℃である。当業界の常識に基づき、確実に透明な溶液を得るため、上記式Iの化合物が充分に溶解してから熱時濾過を行って良い。上記冷却の目標温度は、好ましくは4~20℃である。上記式Iの化合物とアセトンとの質量体積比は、好ましくは20mg/4~6mLであり、例えば20mg/5mLである。
【0103】
上記結晶形5の製造方法2のうち、上記式Iの化合物の結晶形は、好ましくは上記結晶形1である。上記結晶形5の種結晶は選択的に添加して良いが、上記結晶形5の種結晶は結晶形5の任意の製造方法で製造し得る;上記結晶形5の種結晶の添加量は、好ましくは結晶スラリー総質量の2%以下である。上記攪拌の温度は、好ましくは室温であり、上記攪拌の時間は、好ましくは1~6日間である。上記式Iの化合物と上記溶媒との質量体積比は、好ましくは(18~22mg)/mLであり、例えば(19.9~20mg)/mLである。上記固液分離の方法および条件は、当業界の慣用方法および条件で良いし、一般的には濾過または遠心分離後に濾過する方法で行う。濾過のみの方法で固液分離を行う場合、上記濾過は一般的に吸引濾過である。上記乾燥の方法および条件は、当業界の慣用方法および条件で良いが、好ましくは真空乾燥であり、より好ましくは室温で10~16時間真空乾燥する。
(5)上記結晶形6の製造方法1であり、それは以下の工程を含む:上記式Iの化合物を、トルエンとメタノールとの混合物と混合し透明な溶液が得られ、室温で溶媒を揮発することで製造し得る;
上記結晶形6の製造方法2であり、それは以下の工程を含む:上記式Iの化合物をメタノールと混合し透明な溶液が得られ、撹拌しながら上記透明な溶液をトルエンと混合して、固体を析出することで製造し得る;
上記結晶形6の製造方法3であり、それは以下の工程を含む:上記式Iの化合物をトルエンと16時間以上混合撹拌し、結晶スラリーを乾燥することで製造し得る;または、上記式Iの化合物をトルエンと混合した後、上記結晶形6の種結晶を添加して撹拌し、結晶スラリーを乾燥することで製造し得る。
【0104】
上記結晶形6の製造方法1のうち、上記式Iの化合物と、上記トルエンとメタノールとの混合物と、の質量体積比は、好ましくは10mg/0.3~0.5mLであり、例えば10mg/0.4mLである。上記トルエンとメタノールとの混合物のうち、トルエンとメタノールとの体積比は、好ましくは1:0.7~1.3であり、例えば1:1である。当業界の常識に基づき、上記混合工程で、超音波分散を補助手段として透明な溶液を得ることができる。超音波分散後、濾過することにより確実に清浄された透明な溶液が得られる。
【0105】
上記結晶形6の製造方法2のうち、上記混合は、上記式Iの化合物の溶解のため加熱条件で行って良く、上記混合の温度は、好ましくは45~55℃ある。当業界の常識に基づき、確実に透明な溶液を得るため、上記式Iの化合物が充分に溶解してから熱時濾過を行って良い。上記式Iの化合物とメタノールとの質量体積比は、好ましくは20mg/1.2~1.6mLであり、例えば20mg/1.4mLである。上記式Iの化合物とトルエンとの質量体積比は、好ましくは20mg/2.5~12.0mLであり、例えば20mg/3.0~11.2mLである。
【0106】
上記結晶形6の製造方法3のうち、上記式Iの化合物の結晶形は、好ましくは上記結晶形1である。上記結晶形6の種結晶は選択的に添加するが、上記結晶形6の種結晶は上記結晶形6の何れかの一種の製造方法で製造し得る;上記結晶形6の種結晶の添加量は、好ましくは結晶スラリーの全質量の2%以下である。上記攪拌の温度は、好ましくは室温であり、上記攪拌の時間は、好ましくは16~24時間である。上記式Iの化合物と上記溶媒との質量体積比は、好ましくは5~15mg/mLであり、例えば10mg/mLである。上記乾燥の方法および条件は、当業界の慣用方法および条件で良いが、好ましくは真空乾燥し、より好ましくは50~60℃で約1時間真空乾燥する。
(6)上記結晶形7の製造方法1であり、それは以下のステップを含む:上記式Iの化合物を、酢酸エチルと混合し、45~55℃、例えば50℃で約30分撹拌し、結晶スラリーを固液分離後に乾燥することで製造し得る;
上記結晶形7の製造方法2であり、それは以下のステップを含む:上記式Iの化合物を、N、N-ジメチルアセトアミドとトルエンの混合物と混合攪拌し、固液分離後に乾燥することで製造し得る;
上記結晶形7の製造方法3であり、それは以下のステップを含む:上記結晶型1および/または結晶型5を、水と混合撹拌し、結晶スラリーを固溶分離後に乾燥することで製造し得る。
【0107】
上記結晶形7の製造方法1のうち、上記式Iの化合物の結晶形は、好ましくは上記結晶形1である。上記式Iの化合物と上記溶媒との質量体積比は、好ましくは(18~22mg)/mLであり,例えば(19.9~20mg)/mLである。上記固液分離の方法および条件は、当業界の慣用方法および条件でよいが、一般的には濾過または遠心分離後にろ過する方法で行う。濾過のみで固液分離を行う場合、通常、上記濾過は吸引濾過である。上記乾燥の方法および条件は、当業界の慣用方法および条件で良いが、好ましくは真空乾燥し、より好ましくは60℃で約1時間真空乾燥する。
【0108】
上記結晶形7の製造方法2のうち、上記攪拌の時間は、好ましくは約1時間である。上記N,N-ジメチルアセトアミドとトルエンの混合物のうち、N,N-ジメチルアセトアミドとトルエンとの体積比は、好ましくは1:8~10であり、例えば1:9である。上記固液分離の方法および条件は、当業界慣用の方法および条件でよいが、一般的には、濾過または遠心分離後に濾過する方法を採用する;濾過のみで固液分離を行う場合、通常、上記濾過は吸引濾過である。上記乾燥の方法および条件は、当業界慣用の方法および条件である。
【0109】
上記結晶形7の製造方法3のうち、上記攪拌の温度は、好ましくは常温であり、上記攪拌の時間は、好ましくは約24時間である。
【0110】
本発明において、溶媒を揮発させる方法および条件は、当業界慣用の方法および条件で良く、一般的には容器中で口を開いたまま乾くまで自然揮発させる。
【0111】
特に説明がない限り、上記各結晶形の製造方法は、さらに選択的に得られた結晶形を乾燥するステップを含んて良い。上記乾燥は、常圧乾燥または真空乾燥を含む。真空乾燥の温度は約35℃以上であり、例えば約40℃以上、約45℃以上、約50℃以上であり、例えば約40~60℃である。真空乾燥の真空度は例えば200~1500Paで良いし、例えば500~1000Paである。
【0112】
本発明の各結晶形の製造方法に基づき、そのうち、原料としての式Iの化合物は、純粋物でも良いし、既知の方法または本発明の方法にで製造した粗品でも良い。粗品を原料として選択す場合、上記原料を溶媒と混合する際に、適量の活性炭を添加することにより製品の純度を高める。
【0113】
本発明ではさらに、医薬組成物を提供する。当該医薬組成物は治療および/または予防に必要な有効量の本発明に記載の結晶形または本発明の製造方法により製造された結晶形、および少なくとも一種の薬学的に許容される補助剤を含む。
【0114】
そのうち、上記結晶形は上記結晶形1、上記結晶形2、上記結晶形3、上記結晶形5、上記結晶形6、上記結晶形7から選ばれる一種または多種である。
【0115】
本発明の医薬用組成物に用いられる薬学的に許容される補助剤(例えば担体、賦形剤など)は、以下のものを含むがそれらに限らない:イオン交換剤、アルミ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、自己乳化薬物送達システム(SEDDS)(例えばd-α-トコフェロールポリエチレングリコール1000コハク酸塩)、医薬用製剤に用いられる界面活性剤(例えばトゥイーンまたは他の類似のポリマー送達マトリックス)、血清タンパク質(例えばヒト血清タンパク質)、緩衝物質(例えばリン酸塩)、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩類または電解質(例えば硫酸プロタミン)、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイダルシリコン、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースに基づく物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン - ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリエチレングリコール及びラノリン、シクロデキストリン(例えば、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン及びγ-シクロデキストリン)、または化学的に修飾された誘導体(例えば2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンおよび3-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンを含むヒドロキシアルキルシクロデキストリン)、または他の可溶性誘導体であり、本発明に記載の化学式の化合物の送達増強に用いられるものであっても良い。
【0116】
そして、上記医薬組成物は、式Iの化合物の他の形式、例えば他の結晶形及び/または無定形の形式を含むまたは基本的に含まなくても良い。
【0117】
本発明の医薬組成物の好ましい実施方案により、結晶形1、結晶形2、結晶形3、結晶形5、結晶形6、結晶形7の総モル量と、式Iの化合物の他の形式の総モル量との比例は50:50を超えてよく例えば60:40以上、70:30以上、80:20以上、90:10以上、95:5以上、99:1以上或は100:0である。例示的な実施方案として、本発明の医薬組成物の中で、結晶形1のモル量と、結晶形2、結晶形3、結晶形5、結晶形6、結晶形7及び式1の化合物の他の形式の総モル量との比例は50:50を超えて良く、例えば60:40以上、70:30以上、80:20以上、90:10以上、95:5以上、99:1以上または100:0である。または、結晶形2のモル量と、結晶形1、結晶形3、結晶形5、結晶形6、結晶形7及び式1の化合物の他の形式の総モル量との比例は50:50を超えて良く、例えば80:20以上、90:10以上、95:5以上、99:1以上或は100:0である。
【0118】
本発明のうち、上記医薬組成物は、固体または液体で良いが、例えば固体経口剤形であり、錠剤、顆粒剤、散剤、丸剤、及びカプセル剤を含む;液体経口剤形であり、液剤、シロップ剤、懸濁剤、分散剤、乳剤を含む;注射剤であり、液剤、分散剤、凍結乾燥剤を含む。上記製剤は活性成分の急速放出、遅延放出または調節放出に適する。通常的な、分散可能な、咀嚼可能な、口腔内溶解可能な、または急速に溶解する製剤であって良い。投与経路は、経口、静脈皮下注射、組織内への注射投与、経皮投与、直腸投与、鼻腔内投与などを含む。
【0119】
例えば、上記医薬組成物はカプセル剤であり、それは治療および/または予防に必要な有効量の本発明の上記の結晶形、Pearlitol 200 SD、炭酸水素ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムおよび架橋カルメロースナトリウムを含む。
【0120】
例えば、上記医薬組成物は錠剤であり、その錠核は治療および/または予防に必要な有効量の本発明に記載の結晶形と、マンニトールと、微結晶セルロースと、炭酸水素ナトリウム粉末と、無水クエン酸と、架橋カルメロースナトリウムと、ラウリル硫酸ナトリウムと、クロスポビドンと、ヒュームドシリカと、フマル酸ステアリルナトリウムと、及び選択的に存在または不在の水と、を含む;
好ましくは、上記医薬組成物中の1種または多種の成分は研磨及び/または篩過によるものである。
【0121】
本発明により、上記医薬組成物は、さらに上記式Iの化合物の上記各種形式以外の1種または多種の治療性または予防性の活性成分をを含んてよい。本発明の組成物がこのような活性成分を含む場合、上記式Iの化合物の上記各種形式および別の活性成分は、通常、単一治療案の中で投与される投与量の約1%~100%、より好ましくは、約5%~95%の投与量で提供する。上記の別の活性成分は、複数回投与の投与案の一部として、本発明の式Iの化合物の上記各種形式とは分けて投与することができる。選択的に、上記別の活性成分は、単一剤形の一部であって良く、単一組成物の中で本発明の式Iの化合物の上記の各種形式と混合させる。
【0122】
上記医薬組成物は、当業者に既知の方法で製造できる。例えば、本発明の上記結晶形中の一種または多種を、一種または多種の薬学的に許容される補助剤及び選択的に存在の他の成分と混合することができる。実例として、固形製剤は、直接混合、造粒などの工程により製造できる。
本発明はまた、疾病または病症を治療または予防する方法を提供するが、有効量の本発明に記載の結晶形または医薬組成物を治療対象者に投与することを含む。
【0123】
本発明はまた、キナーゼ活性を調節(例えば阻害、拮抗、活性化)する方法を提供するが、上記方法はキナーゼを、本発明に記載の結晶形または医薬組成物と接触させることを含む。
【0124】
本発明はまた、上記結晶形または医薬組成物の製薬中での応用を提供する。上記薬物は、当需要がある治療対象者のキナーゼ活性調節に用られる。あるいは、上記薬物を、疾病または病症の治療または予防に用られる。
【0125】
好ましくは、上記疾病または病症は、キナーゼ(例えば、VEGFR、PDGFR、Flt-3、KIT、RET或はCSF1R中の一種または多種)を介する疾病または病症中のいずれかの一種で良い。上記疾病または病症は癌で良いし、例えば腎細胞癌および消化管間質腫瘍、腫瘍または増殖性疾患を含む。
【0126】
本発明はまた、スニチニブまたはその誘導体の治療効果を改善またはその副作用(例えば、好中球減少症および/または疲労毒性)を軽減する方法を提供するが、有効量の本発明に記載の一種の結晶形または医薬組成物を、スニチニブまたはその誘導体の代替物として上記治療対象者に投与することを含む。
【0127】
本発明はまた、式Iの化合物の製造方法を提供する。前記の製造方法は、以下の反応を行うことを含む:
【0128】
【化3】
【0129】
そのうち、HOBtはヒドロキシベンゾトリアゾールを表し、EDCIは1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドを表し、Et3Nはトリエチルアミンを表し、DMFはN、N-ジメチルホルムアミドを表す。
【0130】
化合物A、Bのモル比は1:1~1:3で良いし、例えば1:1~1:1.5、例えば1:1.2である;
化合物Aと、トリエチルアミンとのモル比は1:1~1:10で良いし、例えば1:5である;
化合物Aと、EDCIとのモル比は1:1~1:3で良いし、例えば1:1.2~1:1.8であり、例えば1:1.5である;
好ましくは、上記反応は不活性雰囲気(例えば窒素ガス雰囲気)で行う;
好ましくは、反応温度は5~45℃で良いし、例えば20-30℃である;
好ましくは、反応完了後に、反応混合物中にエーテル系溶媒、例えばメチル-tert -ブチルエーテルを添加し、撹拌、濾過し、濾過ケーキをメチル-tert -ブチルエーテルで洗浄する;
好ましくは、メチル-tert -ブチルエーテルの洗浄を経た生成物を、メタノールまたはその水溶液、例えば無水メタノールと混合し、加熱還流する。
【0131】
上記還流時間は、好ましくは2時間を超えず、例えば0.5~1時間である;
好ましくは、還流後に、反応混合物を10-20℃に冷却し、1~3時間の撹拌を続けた後に濾過した;
好ましくは、濾過ケーキをメタノール、例えば冷やしメタノールで洗浄・乾燥することで式Iの化合物の初期生成物が得られる。上記乾燥は常圧乾燥または真空乾燥を含む。真空乾燥の温度は約35℃以上で良いし、例えば約40℃以上、約45℃以上、約50℃以上、例えば約40~60℃である。真空乾燥の真空度は、例えば200~1500Paで良いし、例えば500~1000Paである。
[用語の解釈&定義]
用語「治療対象者」とは、動物、例えば哺乳動物を指す。それらには霊長類動物、例えばヒト、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウスなどを含むがこれらに限らない。本発明の実施案では、上記「治療対象者」とはヒトを指す。
【0132】
用語「約」は、本発明により、本発明の技術案を実施するように、記載された数値は当該具体数値の±20%、例えば±10%、±5%、±1%、±0.5%、または±0.1%の範囲を含んで良いことを表す。
【0133】
本発明において、用語「結晶形」は、単に「結晶の類型」または「結晶構造」として理解されるだけではなく、技術案での「結晶形」は、「特定の結晶構造を持つ物質」または「特定結晶類型の結晶」と理解される。
【0134】
本発明において、上記「結晶形」は、全てX線回折パターンが示す特徴付けによって証明された。当業者は、そのうちの実験誤差は機器の条件・サンプルの準備・サンプルの純度によって決まることを理解する。当業者が分かるように、特に、X線回折パターンは通常機器の条件によって多少の変化がある。また、ピーク角度の実験誤差は通常5%または5%以下であり、これら角度の誤差も考慮されるべきで、通常は±0.2°の誤差が許容される。そして、サンプルの高さなどの実験要素の影響により、ピーク角度の全体的な偏移に繋がり、通常、一定程度の偏移が許容される。従って、当業者が理解することは、本発明の図鑑中の特徴的なピークと同じまたは類似のパターンを有する任意の結晶形は、全て本発明の範囲内である。
【0135】
上記「無水物」とは、生成物を熱重量分析(TGA)で測定した結果、重量比が3.0%より多くない、例えば1.5%より多くない、例えば1%より多くない水を含有することを指す。
【0136】
本発明において、「室温」とは、当業界での通常の意味の室温温度であり、一般的には10~30℃である。
【0137】
本発明において、「結晶スラリー」とは、「上記式Iの化合物を含む過飽和溶液」を指す(即ち、溶液中に溶解されていない固体が存在する)。
【0138】
「薬学的に許容される」とは、薬物の中で投与対象者に対して悪影響のない形または量で存在することを指す。
【0139】
本発明において、特に説明がない限り、各測定機器の情報および測定方法のパラメータは以下の通りである。
【0140】
(1) 粉末X線回折装置(XRD)&ホットステージ XRD、Bruker D8 Advance diffractometer;技術指標:銅ターゲット、波長が1.54 ÅのKα照射(40 Kv、40 mA)、θ-2θ角測定器、Mo 単色光器、Lynxeye 探知機;標準物質:Al2O3;採集ソフトウェア:Diffrac Plus XRD Commander;分析ソフトウェア:MDI Jade 6;
方法設定値:測定角度、3-40° 2θ/3-30° 2θ (ホットステージ XRD);歩幅、0.02° 2θ;速度、0.15 s.step-1;測定サンプル量>2mg。
【0141】
(2)示差走査熱量測定(DSC)、TA Instruments Q200 DSC;制御ソフトウェア:Thermal Advantage;分析ソフトウェア:Universal Analysis;サンプルプレート:アルミるつぼ;測定サンプル用量:0.5-5 mg;保護気体:窒素ガス;気体流速:40 mL/min;測定方法:昇温速度10℃/min、20℃で均衡化した後に300℃まで昇温する。
【0142】
(3)熱重量分析計(TGA)、TA Instruments Q500 TGA;制御ソフトウェア:Thermal Advantage;分析ソフトウェア:Universal Analysis;サンプルプレート:白金るつぼ;測定サンプル用量:1-10 mg;保護気体:窒素ガス;気体流速:40mL/min;測定方法:高解像度3.0(Hi-Res sensitivity 3.0)、昇温速度10℃/min、350℃まで昇温する。
【0143】
(4)動的水分吸着器(DVS),TA Instruments Q5000 TGA;制御ソフトウェア:Thermal Advantage;分析ソフトウェア:Universal Analysis;サンプルプレート:白金るつぼ;測定サンプル用量:1-10 mg;保護気体:窒素ガス;気体流速:10mL/min;測定方法:25℃で均衡化し、湿度:0%、等温:90分、0%RH~80%RH範囲内の重量変化を測定する;
判断基準:非吸湿とは、0.2%より高くない;軽微吸湿とは、0.2%より高いが、2.0%より高くない;吸湿し易いとは、2%より高いが、15%より高くない;極めて吸湿し易いとは、15%より高い。
【0144】
(5)ホットステージ偏光顕微鏡(PLM)、XP-500E;上海長方光学機器有限公司。
【0145】
(6)溶解度測定、目視法;具体方法:25℃で、既知の量のサンプルを計量し、数回に分けて溶媒をサンプル中に添加し、撹拌または超音波で溶解を促進させるが、目視でサンプルが透明になるまで続け、消耗された溶媒量を記録する。もし、サンプルが特定濃度でまだ溶解され透明にならなかったら、その溶解度は「<」特定濃度、と表示する。
【0146】
判断基準:極めて溶解し易いとは、1g/mLより大きい;溶解し易いとは、100mg/ mLより大きいが、1g/mL以下である;溶解とは、33.3mg/mLより大きいが、100mg/mL以下である;やや溶解とは、10mg/mLより大きいが、33.3 mg/mL以下である;微溶解とは、1mg/mLより大きいが、10mg/mL以下である;極めて微溶解とは、0.1mg/mLより大きいが、1mg/mL以下である;ほぼ不溶解または不溶解とは、0.1mg/mLより小さい。
【0147】
当業界の常識に適合することを前提に、上記の各好ましい条件を任意に組み合わせることで、本発明の各好ましい実例が得られる。
【0148】
本発明に使われる試薬及び原料は全て市販品である。
【0149】
本発明の有益な効果は:
本発明の結晶形は安定性および化学的安定性が良好なため、安定性試験条件下での主成分の純度の軽減は2%より小さい。なお、本発明の結晶形は、薬学的特性、薬物動力学特性、組織蓄積および安定性(例えば研磨安定性)などで全て改善されたため、良好な医薬用可能性がある。発明者はさらに、結晶形2は良好な安定性および吸湿性を有し、なお、結晶形1は、十分な安定性および改善された吸湿性を有する前提で、他の方面でも良好な総合的性能を持たせることができるため、優れたドラッガブル特性を有することに驚いた。結晶形1および結晶形2のメタノール中での溶解度は一番高い。なお、本発明に記載の結晶形の製造方法は、例えばメタノールから結晶形1を得る製造方法では、良好な収率および高純度で当式Iの化合物の結晶形を製造し得ることができる。しかも、本発明の製造方法は大規模生産に適している。
【0150】
[添付図面]
図1は結晶形1の粉末X線回折パターンである。
【0151】
図2は結晶形1の偏光顕微鏡写真である。
【0152】
図3は結晶形1の熱重量分析図である。
【0153】
図4は結晶形1の示差走査熱量測定図である。
【0154】
図5は結晶形1の動的水分吸着図である。
【0155】
図6は本発明の式Iの化合物の1H-NMRスペクトルであり、結晶形1、2、3、5、6及び7サンプルの1H-NMRスペクトルは全て図6と一致する。
【0156】
図7は結晶形2の粉末X線回折パターンである。
【0157】
図8は結晶形2の偏光顕微鏡写真である。
【0158】
図9は結晶形2の熱重量分析図である。
【0159】
図10は結晶形2の示差走査熱量測定図である。
【0160】
図11は結晶形2の動的水分吸着図である。
【0161】
図12は結晶形3の粉末X線回折パターンである。
【0162】
図13は結晶形3の偏光顕微鏡写真である。
【0163】
図14は結晶形3の熱重量分析図である。
【0164】
図15は結晶形3の示差走査熱量測定図である。
【0165】
図16は結晶形3の動的水分吸着図である。
【0166】
図17は結晶形5の粉末X線回折パターンである。
【0167】
図18は結晶形5の偏光顕微鏡写真である。
【0168】
図19は結晶形5の熱重量分析図である。
【0169】
図20は結晶形5の示差走査熱量測定図である。
【0170】
図21は結晶形5の動的水分吸着図である。
【0171】
図22は結晶形6の粉末X線回折パターンである。
【0172】
図23は結晶形6の偏光顕微鏡写真である。
【0173】
図24は結晶形6の熱重量分析図である。
【0174】
図25は結晶形6の示差走査熱量測定図である。
【0175】
図26は結晶形6の動的水分吸着図である。
【0176】
図27は結晶形7の粉末X線回折パターンである。
【0177】
図28は結晶形7の偏光顕微鏡写真である。
【0178】
図29は結晶形7の熱重量分析図である。
【0179】
図30は結晶形7の示差走査熱量測定図である。
【0180】
図31は結晶形7の動的水分吸着図である。
【0181】
図32は結晶形1の等温吸着曲線である。
【0182】
図33は結晶形2の等温吸着曲線である。
【0183】
図34は結晶形3の等温吸着曲線である。
【0184】
図35は結晶形5の等温吸着曲線である。
【0185】
図36は結晶形6の等温吸着曲線である。
【0186】
図37は結晶形7の等温吸着曲線である。
【0187】
図38は結晶形1の結晶形の安定性XRDパターンである。
【0188】
図39は結晶形1の結晶形の安定性DSCパターンである。
【0189】
図40は結晶形2の結晶形の安定性XRDパターンである。
【0190】
図41は結晶形2の結晶形の安定性DSCパターンである。
【0191】
図42は結晶形3の結晶形の安定性XRDパターンである。
【0192】
図43は結晶形3の結晶形の安定性DSCパターンである。
【0193】
図44は結晶形5の結晶形の安定性XRDパターンである。
【0194】
図45は結晶形5の結晶形の安定性DSCパターンである。
【0195】
図46は結晶形6の結晶形の安定性XRDパターンである。
【0196】
図47は結晶形6の結晶形の安定性DSCパターンである。
【0197】
図48は結晶形7の結晶形の安定性XRDパターンである。
【0198】
図49は結晶形1、結晶形2、結晶形3及び結晶形7の、アセトン、酢酸エチル、メタノールまたは水の中で、結晶形2に変化することを示す。
【0199】
図50は結晶形1、結晶形2、結晶形3及び結晶形7の、テトラヒドロフラン(THF)の中で、結晶形3に変化することを示す。
【0200】
図51は結晶形1と、結晶形2とのXRDパターンの比較を示すが、そのうち、上部のパターンは結晶形1であり、下部のパターンは結晶形2である。
【0201】
図52は2θが10.1°であるピーク面積と、結晶形1の中での結晶形2の重量百分率含有量との関係を示す。
【0202】
図53は結晶形1の研磨前と研磨後のXRDパターン比較であり、そのうち、上部のパターンは研磨前のXRDパターンであり、下部のパターンは研磨後のXRDパターンである。
【0203】
具体的な実施方法
以下の実施例によって本発明をさらに説明するが、本発明を上記実施例の範囲内に限定することではない。以下の実施例の中で具体的な条件を明記してない実験方法は、慣用方法および条件に従って実施しだり、または製品取り扱い書に従って実施する。
【0204】
特に説明しない限り、以下の実施例及び効果実施例の中で、使われる測定機器の情報および測定方法の設定値は以下の通り:
(1)粉末X線回折装置(XRD)&ホットステージ XRD、Bruker D8 Advance diffractometer;技術指標:銅ターゲット、波長が1.54 ÅのKα照射(40 Kv、40 mA)、θ-2θ角測定器、Mo 単色光器、Lynxeye 探知機;標準物質:Al2O3;採集ソフトウェア:Diffrac Plus XRD Commander;分析ソフトウェア:MDI Jade 6
方法設定値:測定角度3-40° 2θ/3-30° 2θ (ホットステージ XRD);歩幅、0.02° 2θ;速度、0.15 s.step-1;測定サンプル量>2 mg。
【0205】
(2)示差走査熱量測定(DSC)、TA Instruments Q200 DSC;制御ソフトウェア:Thermal Advantage;分析ソフトウェア:Universal Analysis;サンプルプレート:アルミるつぼ;測定サンプル用量:0.5-5 mg;保護気体:窒素ガス;気体流速:40mL/min;測定方法:昇温速度10℃/min、20℃で均衡化した後、300℃まで昇温する。
【0206】
(3)熱重量分析計(TGA)、TA Instruments Q500 TGA;制御ソフトウェア:Thermal Advantage;分析ソフトウェア:Universal Analysis;サンプルプレート:白金るつぼ;測定サンプル用量:1-10 mg;保護気体:窒素ガス;気体流速:40mL/min;測定方法:高解像度3.0(Hi-Res sensitivity 3.0)、昇温速度10℃/min、350℃まで昇温する。
【0207】
(4)動的水分吸着器(DVS),TA Instruments Q5000 TGA;制御ソフトウェア:Thermal Advantage;分析ソフトウェア:Universal Analysis;サンプルプレート:白金るつぼ;測定サンプル用量:1-10 mg;保護気体:窒素ガス;気体流速:10mL/min;測定方法:25℃で均衡化し、湿度0%、等温90分、0%RH~80%RH範囲内の重量変化を測定する;
判断基準:非吸湿とは、0.2%より高くない;軽微吸湿とは、0.2%より高いが、2.0%より高くない;吸湿し易いとは、2%より高いが、15%より高くない;極めて吸湿し易いとは、15%より高い。
【0208】
(5)ホットステージ偏光顕微鏡(PLM)、XP-500E;上海長方光学機器有限公司。
【0209】
(6)溶解度測定は目視法;具体方法:25℃で、既知の量のサンプルを計量し、数回に分けて溶媒をサンプル中に添加し、撹拌または超音波で溶解を促進させるが、目視でサンプルが透明になるまで続け、消耗された溶媒量を記録する。もし、サンプルが特定濃度でまだ溶解され透明にならなかったら、その溶解度は「<」特定濃度、と表示する。
【0210】
判断基準:極めて溶解し易いとは、1g/mLより大きい;溶解し易いとは、100mg/ mLより大きいが、1g/mL以下である;溶解とは、33.3mg/mLより大きいが、100mg/mL以下である;やや溶解とは、10mg/mLより大きいが、33.3 mg/mL以下である;微溶解とは、1mg/mLより大きいが、10mg/mL以下である;極めて微溶解とは、0.1mg/mLより大きいが、1mg/mL以下である;ほぼ不溶解または不溶解とは、0.1mg/mLより小さい。
【0211】
(7)核磁気共鳴(NMR)はBruker Ascend 500である;測定タイプ:核磁気プロトンスペクトル;全周波数励起、スペクトル幅30 ppm単一パルス、30°角励起で16回スキャン、デジタル直交検出、温度制御は298Kである。
【0212】
(8)高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、Ultimate 3000;測定目的:溶解度測定(面積法)、関連物質(面積正規化法)。
【0213】
測定方法のパラメーター:
コラム:Shimadzu shim-pack VP-ODS (150L*4.6)、Waters symmetry C18 (3.9*150mm 5m);カラム温度:25℃;流速:1.0mL/min;測定波長:214nm;サンプル供給量:10μL;運転時間:20min;サンプル溶媒:ACN;サンプル供給濃度:0.2 mg/mL;
移動相:移動相A、H2O:CAN:H3PO4=90:10:0.1、移動相B:H2O:CAN:H3PO4=10:90:0.1;勾配溶離は以下の表7の通り:
【0214】
【表7】
【0215】
以下の実施例のなかで「溶媒の揮発」は、広口容器内で開けたまま乾くまで溶媒の自然揮発を行う;「室温」温度とは10~30℃(30~70%RH)である;「結晶スラリー」とは、上記式Iの化合物を含む過飽和溶液を指す;「夜通し」とは夜の時間を跨ることで通常は10~16時間である。
【0216】
以下の実施例の表の中で、「NA」は「不適用」または「不使用」を指す。
【0217】
[製造実施例]
【0218】
【化4】
【0219】
20-30℃の窒素ガス雰囲気で、反応器内に、化合物A (13.00kg、1当量.) を、DMF (97.8 kg)に添加した。その後、20-30℃及び窒素ガス雰囲気で、トリエチルアミン(「TEA」、21.88kg、5当量)と、ヒドロキシベンゾトリアゾール(「HOBt」、8.78kg、1.5当量) と、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(「EDCI」、12.42kg、1.5当量) と、化合物B (10.1kg、1.2当量)と、を反応器に添加した。20~30℃及び窒素ガス雰囲気下で混合物を22時間撹拌した。反応完了後に、反応混合物を清潔な容器に移し、秤量した(163.8 kg)。
【0220】
反応混合物の約1/4(40.90 kg)を反応器に添加した後、10-20℃で、メチル-tert-ブチルエーテル(「MTBE」、62.8 kg)を当該反応混合物に添加した。得られた懸濁液を10-20℃で2時間撹拌してから濾過した。残りの反応液3/4も同様に処理した。濾過ケーキを合わせてMTBE (46.2 kg)で洗浄した。
【0221】
合わせた後の固体の一部(20.0 kg)を無水メタノール(74.2 kg)中に添加し、得られた混合物を45分間加熱還流した。その後、反応混合物を1-2時間内に10-20℃まで冷却し、次いで10-20℃で1.5時間撹拌し続けた。得られた懸濁液を濾過した。MTBE洗浄した他の物質も同様に処理した。濾過ケーキを合わせ、冷やしメタノール(44.2 kg)で洗浄した。湿った粗生成物を50℃で13時間減圧 (500-1000Pa) 乾燥してから、76℃で23時間乾燥することで、式Iの化合物の初期生成物約12kgを得た。
【0222】
[実施例1]
当該式Iの化合物の結晶形1の製造方法1:
当該式Iの化合物5mgを単一溶媒と混合するか、または当該式Iの化合物10mgを溶媒1および溶媒2と混合して得られた透明な液を、対応の温度で乾くまで自然揮発させることで製造し得る。具体的な製造パラメーターは表8を参照する。
【0223】
【表8】
【0224】
測定結果として、上記の製造方法により造られた生成物は全て結晶形1である。当該結晶形1の粉末X線回折パターンは図1で示す通りであり、その粉末X線回折パターンの詳細データは表1に示す通り。当該結晶形1の偏光顕微鏡写真は図2に示す通りであり、それらは細長い棒状結晶であることが示された。当該結晶形1は図3に示すような熱重量分析図を有し、結晶形1は、170℃前に2.6%の重量損失したことが示され、それは無水物であり、分解温度は320℃である。当該結晶形1は、図4に示すような示差走査熱量測定図を有し、150~170℃に一つの放熱ピークがあることが示されたが、XRD測定結果からそれは放熱結晶変換ピークであることが確認され、結晶変換後の結晶形は結晶形3であり、当該結晶形1の融点は260℃である。当該結晶形1は図5に示すような動的水分吸着図を有し、それの0%RH~80%RH範囲内での重量変化は2.8%であることを示している。
【0225】
当該式Iの化合物および当該結晶形1の1H-NMRスペクトルは、全て図6に示す通りであり、その化学構造は式Iに示す通りであることを表している:
【0226】
【化5】
【0227】
溶解度の測定結果として、当該結晶形1の25℃で慣用の溶媒中での溶解度は以下の通り:メタノール中での溶解度は5~12.5mg/mLである;エタノール中での溶解度は1~2.5mg/mLである;水中での溶解度は<1mg/mLである;アセトン中での溶解度は1~2.5mg/mLである;酢酸エチル中での溶解度は<1mg/mLである;メチル-tert-ブチルエーテル中での溶解度は<1mg/mLである;テトラヒドロフラン中での溶解度は1~2.5mg/mLである;アセトニトリル中での溶解度は<1mg/mLである;トルエン中での溶解度は<1mg/mLである;n-ヘプタン中での溶解度は<1mg/mLである。
【0228】
[実施例2]
当該式Iの化合物の結晶形1の製造方法2及び製造方法3:
当該式Iの化合物20mgを計量しメタノール1.4mLと混合し、50℃まで加熱し透明な溶液にしてから、熱時濾過により透明な溶液を得り、攪拌しながら溶媒2を透明な溶液に添加することを正方向添加(製造方法2に対応)と記録し、攪拌しながら透明な溶液を溶媒2に添加することを逆方向添加(製造方法3に対応)と記録し、固体が析出し始まると撹拌し続けるが、固体が完全析出するまで続けることで製造しうる。具体的な製造パラメーターは表9の通り。
【0229】
【表9】
【0230】
測定結果として、上記の製造方法により得られた生成物は全て結晶形1である。それらのXRD、PLM、TGA、DSC、DVS、1H-NMR及び溶解度などの測定結果は全て実施例1と同じ。
【0231】
[実施例3]
当該式Iの化合物の結晶形1の製造方法4:
当該式Iの化合物20mgを、50℃の水浴中で相応の溶媒と混合溶解させた後、熱時濾過により透明な溶液を造り、4℃まで自然冷却させ、攪拌結晶化を行い、固体を析出することで製造しうる。具体的な製造パラメーターは表10の通り。
【0232】
【表10】
【0233】
測定結果として、上記の製造方法により造られた生成物は全て結晶形1である。それらのXRD、PLM、TGA、DSC、DVS、1H-NMR及び溶解度などの測定結果は全て実施例1と同じ。
【0234】
[実施例4]
当該式Iの化合物の結晶形1の製造方法4:
当該式Iの化合物の初期生成物(2.0 kg)、無水メタノール(72.0 kg)および活性炭(0.20 kg)を反応器に添加し、1.5時間加熱還流した。反応液を濾過し、濾液を40分間加熱還流した。得られた溶液を反応器内に熱時濾過してから、減圧下(500~1000Pa)で約4時間濃縮させることで、約85Lのメタノールを除去した。得られた懸濁液を10~20℃まで冷却し、その後10~20℃で約45分間撹拌してから濾過した。濾過ケーキをメタノールで洗浄した後、HPLCにで測定した純度は99.9%であった。得られた固体を40~60℃で減圧(500~1000Pa)乾燥した。得られた生成物はXRDにで結晶形1と測定され、収率は80%を超えていた。
【0235】
[実施例5]
当該式Iの化合物の結晶形2の製造方法である。そのうち、使われた当該式Iの化合物の結晶形は結晶形1である。
【0236】
番号1~9のサンプルの製造:当該式Iの化合物10mgを、相応の溶媒と混合して懸濁液を得り、相応温度で5~6日間撹拌し、結晶スラリーを遠心分離させ、固体を乾燥することで製造し得る。
【0237】
番号10のサンプルの製造:当該式Iの化合物199mgを、相応の溶媒と混合して懸濁液を得り、50℃で2時間撹拌したあと、さらに室温で2日間撹拌した。結晶スラリーを濾過した後、固体を室温で一晩真空乾燥することで製造し得る。
【0238】
番号11のサンプルの製造:当該式Iの化合物200mgを、相応の溶媒と混合して懸濁液を得り、4℃で5日間撹拌し、結晶スラリーを濾過した後、固体を室温で一晩真空乾燥することで製造し得る。
【0239】
番号12のサンプルの製造:当該式Iの化合物200mgを、相応の溶媒と混合して懸濁液を得り、室温で3日間撹拌し、結晶スラリーを濾過した後、固体を室温で一晩真空乾燥することで製造し得る。
【0240】
具体的な製造パラメーターは以下の表11の通り。
【0241】
【表11】
【0242】
測定結果として、上記の製造方法により造られた生成物は全て結晶形2である。当該結晶形2の粉末X線回折パターンは図7で示す通りであり、それらの粉末X線回折パターンの詳細データは、表2で示す通り。当該結晶形2の偏光顕微鏡写真は図8に示す通りであり、それらは細針状結晶であることが示された。当該結晶形2は、図9に示すような熱重量分析図を有し、結晶形2は、200℃前に0.3%の重量損失したことが示され、それは無水物であり、分解温度は320℃である;当該結晶形2は、図10に示すような示差走査熱量測定図を有し、当該結晶形2の融点は258℃であることを示した;当該結晶形2は図11に示すような動的水分吸着図を有し、それの0%RH~80%RH範囲内での重量変化は0.05%であることを示している。当該結晶形2の1H-NMRスペクトルは図6と一致している。
【0243】
[実施例6]
当該式Iの化合物の結晶形3の製造方法1、2及び3:
当該式Iの化合物5mgを、単一溶媒と混合するか、または当該式Iの化合物10mgを、溶媒1及び溶媒2と混合して、透明な液を得り、相応の温度で放置し乾くまで自然揮発させることで製造し得る。具体的な製造パラメーターは下記の表12の通り。
【0244】
【表12】
【0245】
測定結果として、上記の製造方法により造られた生成物は全て結晶形3である。当該結晶形3の粉末X線回折パターンは図12で示す通りであり、それらの粉末X線回折パターンの詳細データは、前記の表3に示す通り。当該結晶形3の偏光顕微鏡写真は図13に示す通りであり、それらは細小粒子であり、部分的集結が存在することが示された。当該結晶形3は、図14に示すような熱重量分析図を有し、結晶形3は、200℃前に0.2%の重量損失したことが示され、それは無水物であり、分解温度は320℃である;当該結晶形3は、図15に示すような示差走査熱量測定図を有し、当該結晶形3の融点は261℃であることを示した;当該結晶形3は図16に示すような動的水分吸着図を有し、それの0%RH~80%RH範囲内での重量変化は0.08%であることを示している。当該結晶形3の1H-NMRスペクトルは図6と一致している。
【0246】
[実施例7]
当該式Iの化合物の結晶形3の製造方法4である。そのうち、使われた当該式Iの化合物の結晶形は結晶形1である。
【0247】
番号1~3のサンプルの製造:当該式Iの化合物10mgを、相応の溶媒と混合して懸濁液を得り、相応の温度で5~6日間撹拌し、結晶スラリーを遠心分離させ、固体を乾燥することで製造し得る。
【0248】
番号4~6のサンプルの製造:当該式Iの化合物200mgを、相応の溶媒と混合して懸濁液を得り、相応の温度で5日間撹拌し、結晶スラリーを濾過した後、固体を室温で一晩真空乾燥することで製造し得る。
【0249】
番号7のサンプルの製造:当該式Iの化合物201.0mgを、相応の溶媒と混合して懸濁液を得り、相応の温度で800rpm 回転数で20時間撹拌し、結晶スラリーを吸引濾過後に固体を分離させ、60℃で1時間乾燥することで製造し得る。
【0250】
具体的な製造パラメーターは以下の表13の通り。
【0251】
【表13】
【0252】
測定結果として、上記の製造方法により造られた生成物は全て結晶形3である。それらのXRD、PLM、TGA、DSC、DVS、1H-NMRなどの測定結果は全て実施例4と同じである。
【0253】
[実施例8]
当該式Iの化合物の結晶形3の製造方法5:
当該式Iの化合物20mgを、50℃の水浴中で相応の溶媒と混合して透明な溶液を造り、熱時濾過にで得られた透明な溶液を4℃まで自然冷却させ、撹拌結晶化を経て、固体を析出することで製造し得る。
【0254】
具体的な製造パラメーターは以下の表14の通り。
【0255】
【表14】
【0256】
測定結果として、上記の製造方法により造られた生成物は全て結晶形3である。それらのXRD、PLM、TGA、DSC、DVS、1H-NMRなどの測定結果は全て実施例4と同じである。
【0257】
[実施例9]
当該式Iの化合物の結晶形3の製造方法6:
結晶形1を180℃まで加熱し、室温まで冷却することで製造し得る。
【0258】
測定結果として、上記の製造方法により造られた生成物は全て結晶形3である。それらのXRD、PLM、TGA、DSC、DVS、1H-NMRなどの測定結果は全て実施例4と同じである。
【0259】
[実施例10]
当該式Iの化合物の結晶形5の製造方法1:
当該式Iの化合物20mgを、50℃の水浴中でアセトン5mLと混合し透明な溶液を造り、熱時濾過を経て得られた透明な溶液を4℃まで自然冷却させる。撹拌結晶化により固体を析出し、遠心分離後に固体を室温で真空乾燥することで製造し得る。
【0260】
測定結果として、上記の製造方法により造られた生成物は結晶形5である。当該結晶形5の粉末X線回折パターンは図17で示す通りであり、それらの粉末X線回折パターンの詳細データは上記表4に示す通り。当該結晶形5の偏光顕微鏡写真は図18に示す通りであり、それらは細小粒子であることが示され、部分凝集が存在する。当該結晶形5は図19に示すような熱重量分析図を有し、結晶形5は200℃前に1.2%重量損失したことが示され、それは無水物であり、分解温度は319℃である;当該結晶形5は図20に示すような示差走査熱量測定図を有し、当該結晶形5の融点は258℃であることが示され、100℃前の広い吸熱ピークは表面溶媒の脱去に起するものである;当該結晶形5は図21に示すような動的水分吸着図を有し、それの0%RH~80%RH範囲内での重量変化は2.5%であることを示している。当該結晶形5の1H-NMRスペクトルは図6と一致している。
【0261】
[実施例11]
当該式Iの化合物の結晶形5の製造方法2であり、そのうち、使われた当該式Iの化合物の結晶形は結晶形1である。
【0262】
番号1のサンプルの製造:当該式Iの化合物199mgを、メチル-tert-ブチルエーテル10mLと混合し懸濁液を得り、室温で2日間撹拌し、結晶スラリーを濾過し、固体を室温で一晩真空乾燥することで製造し得る。
【0263】
番号2のサンプルの製造:当該式Iの化合物600mgを、メチル-tert-ブチルエーテル30mLと混合してから、結晶スラリー質量2%の結晶形5を種結晶として添加し、室温で1日撹拌し、結晶スラリーを濾過し、固体を室温で一晩真空乾燥することで製造し得る。
【0264】
番号3のサンプルの製造:番号1のサンルプルの製造方法と同じてあるが、区別はアセトンでメチル-tert-ブチルエーテルを入れ替えたのみである。
【0265】
測定結果として、上記の製造方法により造られた生成物は全て結晶形5である。そのXRD、PLM、TGA、DSC、DVS、1H-NMRなどの測定結果は全て実施例9と同じである。
【0266】
[実施例12]
当該式Iの化合物の結晶形6の製造方法1:
当該式Iの化合物10 mgを、トルエンとメタノールとの混合物(トルエンとメタノールとの体積比は1:1)0.4mLと混合し、超音波で溶かしてから濾過することで得られた透明な溶液を、室温で乾くまで自然揮発することで製造し得る。
【0267】
測定結果として、上記の製造方法により造られた生成物は結晶形6である。当該結晶形6の粉末X線回折パターンは図22で示す通りであり、その粉末X線回折パターンの詳細データは上記表5に示す通り。当該結晶形6の偏光顕微鏡写真は図23に示す通りであり、それらは細小粒子であることが示され、部分凝集が存在する。当該結晶形6は図24に示すような熱重量分析図を有し、結晶形6は200℃前に0.7%重量損失したことが示され、それは無水物であり、分解温度は320℃である;当該結晶形6は、図25に示すような示差走査熱量測定図を有し、当該結晶形6の融点は259℃であることが示されている;当該結晶形6は図26に示すような動的水分吸着図を有し、その0%RH~80%RH範囲内での重量変化は0.26%であることを示している。当該結晶形6の1H-NMRスペクトルは図6と一致している。
【0268】
[実施例13]
当該式Iの化合物の結晶形6の製造方法2である。
【0269】
番号1のサンプルの製造:当該式Iの化合物20mgを、メタノール1.4mLと混合し、50℃までに加熱し、溶解してから、熱時濾過により透明な溶液を造り、撹拌しながらトルエン3.0mLを透明な溶液に添加し、固体が析出し始めたら撹拌し続けるが、固体を完全析出させることで製造し得る。
【0270】
番号2のサンプルの製造:当該式Iの化合物20mgを、メタノール1.4mLと混合し、50℃までに加熱し、溶解してから、熱時濾過により透明な溶液を造り、撹拌しながら透明な溶液を、トルエン11.2mLに添加し、固体が析出し始めたら撹拌し続けるが、固体を完全析出させることで製造し得る。
【0271】
測定結果として、上記製造方法により造られた生成物は全て結晶形6である。そのXRD、PLM、TGA、DSC、DVS、1H-NMRなどの測定結果は全て実施例12と同じである。
【0272】
[実施例14]
当該式Iの化合物の結晶形6の製造方法3である。そのうち、使われた当該式Iの化合物の結晶形は結晶形1である。
【0273】
番号1のサンプルの製造:当該式Iの化合物200mgを、トルエン20mLと混合し、室温で16~22時間撹拌してから、結晶スラリーを60℃で1時間真空乾燥することで製造し得る。
【0274】
番号2のサンプルの製造:当該式Iの化合物600mgを、トルエン60mLと混合し、その後、結晶スラリー質量2%の結晶形6を種結晶として添加し、室温で1日撹拌してから、結晶スラリーを50℃で1時間乾燥することで製造し得る。
【0275】
測定結果として、上記製造方法により造られた生成物は全て結晶形6である。そのXRD、PLM、TGA、DSC、DVS、1H-NMRなどの測定結果は全て実施例11と同じである。
【0276】
そして、番号1のサンプルの製造中に、室温で6時間撹拌したところでサンプリングし、吸引濾過したら塊状物があり、湿れた生成物は結晶形1を含むことが検出された。
【0277】
[実施例15]
当該式Iの化合物の結晶形7の製造方法1である。
【0278】
番号1のサンプルの製造:当該式Iの化合物199mgを、酢酸エチル10mLと混合し、50℃で30分間撹拌し、濾過してから濾過ケーキを60℃で1時間真空乾燥することで製造し得る。
【0279】
番号2のサンプルの製造:当該式Iの化合物600mgを、酢酸エチル30mLと混合し、50℃で30分間撹拌し、濾過してから濾過ケーキを60℃で1時間真空乾燥することで製造し得る。
【0280】
測定結果として、上記の製造方法により造られた生成物は全て結晶形7である。当該結晶形7の粉末X線回折パターンは図27で示す通りであり、その粉末X線回折パターンの詳細データは、上記表7に示す通り。当結晶形7の偏光顕微鏡写真は図28に示す通りであり、それらは細小粒子であることが示され、部分集結が存在する。当結晶形7は、図29に示すような熱重量分析図を有し、結晶形7は200℃前に0.5%重量損失したことが示されたが、それは無水物であり、分解温度は320℃である;当結晶形7は図30に示すような示差走査熱量測定図を有し、当該結晶形7の融点は259℃であることを示した;当該結晶形7は図31に示すような動的水分吸着図を有し、それの0%RH~80%RH範囲内での重量変化は0.27%であることを示している。当該結晶形7の1H-NMRスペクトルは図6と一致している。
【0281】
[実施例16]
当該式Iの化合物の結晶形7の製造方法2(そのうち、使われた当該式Iの化合物の結晶形は結晶形1である):
当該式Iの化合物を、N、N-ジメチルアセトアミドとトルエンとの混合物(N、N-ジメチルアセトアミドとトルエンとの体積比は1:9)と混合し撹拌した後、結晶スラリーを濾過後に乾燥させることで製造し得る。
【0282】
測定結果として、上記製造方法により造られた生成物は全て結晶形7である。それらのXRD、PLM、TGA、DSC、DVS、1H-NMRなどの測定結果は全て実施例14と同じである。
【0283】
[効果実施例1]
結晶形1、2、3、5、6及び7のサンプルの等温吸着曲線は図32~37の通り。
【0284】
[効果実施例2]
結晶形1、2、3、5、6及び7に対して結晶形安定性調査を行う。
【0285】
実験条件: 80℃で24時間密閉放置し、開放状態で25℃/60%RH(相対湿度)及び40℃/75%RH条件で7日間放置した。
【0286】
測定方法:HPLC(出発サンプル及び80℃で24時間放置したサンプルのみ)、XRD、DSC。
【0287】
調査結果:
1)XRD測定およびDSC測定は、結晶形1、2、3、5、6および7のサンプルの結晶形および融点は基本的に不変で比較的安定していることを示している。具体的な測定結果は図38~48の通り、結晶形7の結晶形安定性DSCスペクトルは図30の通り。
【0288】
2)HPLC測定は、80℃で24時間放置した全ての結晶形サンプルの主成分純度は、出発サンプルと比較して全て下がっているが、全部2%未満である;具体的なデータは表15の通り。注:保持時間4.73分での不純物は、化合物のトランス体であり、その結果は測定時の遮光程度に関係している。
【0289】
【表15】
【0290】
そして、結晶形1の25℃/60%RHでの12ヶ月、24ヶ月、36ヶ月及び48ヶ月の長期的安定性に対して調査した。その結果、当該結晶形1は基本的に変化しないことが示された。
【0291】
[効果実施例3]
熱力学的安定性実験:
式Iの化合物の結晶形1、結晶形2、結晶形3及び結晶形7を、各自アセトン、酢酸エチル、メタノール、水およびテトラヒドロフランと混合した後、60℃で1日間保温することで各結晶形の熱力学的安定性を調べた。不溶性の固体を濾過により回収し、XRD分析をした。分析条件:島津(Shimadzu)XRD-6000、CuK源(1.54056 Å)40 kV、30 mA;測定角度:5-50°、速度:5°/min。
【0292】
結果から、アセトン、酢酸エチル、メタノール及び水で結晶形1、結晶形2、結晶形3及び結晶形7を処理することで、上記結晶形全てを結晶形2に転換できることがわかる。しかし、図49の2θ角度の約13°の処のピークから分かることは、メタノールを使用した場合、結晶形2に完全変換させることはできなかった。図50は、THFを使うことで結晶形3を提供できることを表している。
【0293】
[効果実施例4]
結晶形1のメタノールでの安定性
結晶形1の含水メタノールでの、各温度と各時間条件での安定性結果は以下の通りである。結果は、高温および水分は結晶形1から結晶形2への変換を促進することを示している。
【0294】
【表16】
【0295】
[効果実施例5]
結晶形1での結晶形2の定量的検出
島津(Shimadzu)XRD-6000、CuK源(1.54056 Å,40 kV,30 mA)によりXRDスペクトルを測定し、式Iの化合物の結晶形1における結晶形2の含量を分析した。測定角度:9.6-10.4° 2θ;歩幅:0.02° 2θ;計数時間:10s。
【0296】
結晶形1及び結晶形2のXRDスペクトルを、図51で比較したところ、そのうち、2θが10.1°である結晶形1のピークはとても弱いが、結晶形2は強い特徴的ピークがあった。従って、当該ピークのピーク面積を使って、結晶形1中の結晶形2の量を確定することができる。結晶形1及び結晶形2を篩過(100メッシュ)することで、サンプルが確実に同様な粒径をもつようにする。サンプルは、適量(重量比)の結晶形1および2を混合することで製造し、表17に示す通り。並行測定を3回行い、平均値を2θの10.1°でのピーク強度とする。
【0297】
【表17】
【0298】
図52に示すように、2θの10.1°でのピーク面積と、結晶形1中の結晶形2の重量百分率とは線形関係を呈している。これは、結晶形1中の結晶形2の含有量が0.96%~15.55%である場合、その含有量を当該方法により正確に測定することができることを表す。
【0299】
結晶形2の含有量がそれぞれ4.75重量%及び6.36重量%のサンプルを製造し、2θの10.1°でのピーク面積を測定した。なお、図52の線形関係からピーク面積を算出した。以下で示すように、計算値の偏差は、測定値の10%範囲内である。
【0300】
【表18】
【0301】
[効果実施例6]
溶解度測定
溶解度の測定方法:適量のサンプルを取り、水中で懸濁液を形成し、25℃の水浴中で撹拌し、それぞれ0.5時間および4時間のところで溶液に対してHPLC濃度測定をした。
【0302】
結晶形1を標準品とし、調液濃度を204.2 μg*mL-1にし、HPLC測定を行い、その含量を100%と設定して、7回測定したところ平均ピーク面積は159.691 mAU*min(保持時間7.4min)である。
【0303】
分析結果:結晶形の溶解度測定結果は表19の通り。結果は、結晶形1の溶解度は最も安定的な結晶形2よりもはるかに高いことを示している。
【0304】
【表19】
【0305】
[効果実施例7]
結晶形1の感湿性結晶化実験
結晶形1の約10mgを、相応の環境内に放置し、時間別に固体に対してXRD特徴付けを行ったが、特徴付け結果としては、本実験では既知の結晶形1のみが現れたことが示された。具体的な実験および結果は下記の表20の通り。結果は、結晶形1はこれらの条件下で安定していることを示している。
【0306】
【表20】
【0307】
[効果実施例8]
結晶形1及び結晶形2の薬学的性質実験
上記方法により結晶形1及び2の含水量、溶解度及び溶出速度を測定した。結果は表21の通り。その結果としては、結晶形1の溶解度、溶出速度及び含水量(全体の薬学的性質)は、結晶形2より高いことが示された。結晶形1及び2のメタノールでの溶解度は一番高い。
【0308】
【表21】
【0309】
[効果実施例9]
薬物動態実験
体重230-250gのSprague Dawleyラット12匹を、ランダムに2組に分けるが、1組ごとに雄3匹と雌3とに分ける。結晶形1および2を、それぞれ0.5%カルボキシメチルセルロース(CMC)の懸濁液に調液した。ラットは水を自由に飲ませる共に12時間禁食させた後、10mg/kgの投与量で経口投与した。投与前及び経口投与後の15、30、60、120、240、360、480、720、1440分に採血(0.2-0.3ml)しヘパリン抗凝固チューブ内に集積した。遠心分離に得られた血漿を、-20℃で保存し、その後API4000 MS-HPLCユニットを使い分析した。薬物動態パラメーターCmaxおよびAUCが血漿濃度測定値を根拠に算出した計算値を表22に纏めた。その結果、結晶形1は、結晶形2より約4倍高いCmax及び結晶形2より約3倍高い露出量(AUC)を有する。
【0310】
【表22】
【0311】
[効果実施例10]
結晶形1の組織内蓄積実験
ヒト結腸癌H-29細胞をBALB/cAヌードマウスの脇下に移植した。H-29細胞を移植した7日後、8匹の雌マウスに、40mg/kgで結晶形1(毎日2回)を投与または40mg/kgでスニチニブ(毎日1回)を投与した。21日間連続投与した。22日目の朝の投与4時間後に、血漿・組織・腫瘍サンプルを採集し分析した。その結果は表23に纏めている。データーから分かるように、全ての受験体組織中で結晶形1の組織蓄積量は、スニチニブより著しく低いが、血漿中の含有量は相当である。
【0312】
【表23】
【0313】
[効果実施例11]
結晶形1の研磨安定性実験
結晶形1を研磨後に篩過するが、米国基準200-300メッシュのふるいをかけたサンプルを採集し、XRD分析を行った。分析条件:島津(Shimadzu)XRD-6000、CuK源(1.54056 Å)40 kV、30 mA;検出角度::5-50°、速度:5°/min。
【0314】
図53の示すよう、XRDペクトルは研磨前と後に基本変化していない。結晶形1は研磨中に安定していることを示している。
【0315】
[効果実施例12]
カプセル剤の製造
1)計量、研磨及び篩過
乳鉢に約体積1/4の結晶形1を添加した。杵で結晶形1を研磨し粒径を小さくした。250μm(#60)メッシュの篩をかけ集積プレートに集めた。研磨及び篩をかけた結晶形1を容器内に移す。全部の結晶形1を研磨及び篩掛け終わるまで上記操作を反復する。カプセル剤の製造に用いられる結晶形1の総量を算出する。
【0316】
500μm(#35)の篩を使ってPearlitol 200 SDを篩過する共に、適切な容器内に集積する。
【0317】
2)混合
篩過後のPearlitol容器#1の内容物830.3±0.1g、炭酸水素ナトリウム粉末1,417.5±0.1g、ラウリル硫酸ナトリウム405.0 ± 0.1 g、及び架橋カルメロースナトリウム405.0 ± 0.1gを、結晶形1(162.0 ± 0.1 g)が入った製剤容器内に移した。容器#2内の篩過後のPearlitol(830.3 ± 0.1g)で、研磨及び篩過後の結晶形1を入れた容器を3回乾燥洗濯する共に、乾燥洗濯で得られた物質を結晶形1の製剤容器内に移す。その後、残りの篩過後のPearlitolを結晶形1の製剤容器内に移す。
【0318】
3)ブレンド
メーカの取扱い書通りにTurbula Type T10B Shaker Mixerを据え付ける共に、結晶形1の製剤容器を据え付ける。Turbula Type T10B Shaker Mixerを稼働し、10分間ブレンドする。500μmメッシュの篩で結晶形1の製剤を篩過する共に、篩過後の物質を2分間ブレンドする。結晶形1の製剤容器の上部、中部、及び底部からサンプルを三つ採取し(900-2000mgが一つ)、製造中の含量の均質度を測定する。
【0319】
4)カプセル詰め
0番のSwedish Orange Opaque Coni-Snap Capsuleカプセルの平均自身重量を測定する。許容可能なカプセル詰めの重量限度を算出する。カプセル詰め用に、Profill手動カプセル詰器を2台準備する。プレートあたり100個のカプセルに必要な製剤サンプルの添加量は、51.0 g(プレートあたり2%の過量を加算)である。カプセル1プレートを詰めるのに必要な製剤量(51.0 ± 0.1g)を計量する。上記製剤を均等にカプセルに詰め込む。Profillを軽く叩き、完全かつ均等に全部の製剤をカプセルに詰め込む。Profill手動カプセル詰器でカプセルのシールつけ操作をする。カプセルキャップを製剤詰したカプセル本体に戻し、押圧することで確実にシールさせる。必要であれば、当操作を繰り返すことで全てのカプセルキャップが確実にカプセル本体にかぶされるようにする。カプセルを目視検査し、物理的欠陥(即ち、カプセルのキャップ破れ)があるカプセルを除去する。プレート別に重量検査を実施する。上記の操作を、全ての使用可能な製剤が全部カプセル詰終わるまで繰り返す。全ての使用可能なカプセルを除塵する。
【0320】
[効果実施例13]
錠剤の製造
1)製剤処方は下記の表が示す通り:
【0321】
【表24】
【0322】
上記錠剤の製造手順は以下の通り:
1)API研磨/篩過
結晶形1を研磨する共に、459μm網目を設けたComil篩で2回篩過する。
【0323】
2)賦形剤研磨/篩過
全ての賦形剤をV型ブレンダーで5分間混合し、Comil網目で篩過する共に、1mmの網目で1回篩過することで塊状つぶを除去させた。
【0324】
3)ブレンド
研磨および篩過した物質をV型ブレンダーに移し、45分間乾燥ブレンドする。
【0325】
4)打錠
高速回転式打錠機で、ブレンドした最終生成物を楕円形(100mg)または円形(50mg)の錠核に圧制する。打錠中の錠剤の重量、厚さ、硬さを検査してから、除塵、仕上げとともに金属測定を行う。
【0326】
5)コーティング
錠核を回転型コーター中でコーティングと共に乾燥させた。要件を満たしていない錠剤を選別・除去する。要件を満たしている錠剤は欠陥がないか目視検査し、関連の品質測定を実施する。
【0327】
錠剤を二層ポリエチレン袋および乾燥剤がある容器に入れて、包装工程まで保管する。
【0328】
6)最終包装
錠剤を、高密度ポリエチレン(HDPE)瓶内に詰め込み、当該瓶は密閉を感知するポリプロピレンの蓋で密封させた。
【0329】
製品はラベリング処理まで制御された室温で保管する。
【0330】
7)ラベリング及び物流センターで、製品をラベリングする。
【0331】
以上、本発明の事例的な実施案に対して説明した。しかし、本発明の技術案はこれらに限らない。当業者は、本発明の精神および原則範囲内で行われた任意の修正、同等な置換、改善などは、全て本発明の保護範囲内に属することを理解するべきである。
【図面の簡単な説明】
【0332】
図1図1は結晶形1の粉末X線回折パターンである。
図2図2は結晶形1の偏光顕微鏡写真である。
図3図3は結晶形1の熱重量分析図である。
図4図4は結晶形1の示差走査熱量測定図である。
図5図5は結晶形1の動的水分吸着図である。
図6図6は本発明の式Iの化合物の1H-NMRスペクトルであり、結晶形1、2、3、5、6及び7サンプルの1H-NMRスペクトルは全て図6と一致する。
図7図7は結晶形2の粉末X線回折パターンである。
図8図8は結晶形2の偏光顕微鏡写真である。
図9図9は結晶形2の熱重量分析図である。
図10図10は結晶形2の示差走査熱量測定図である。
図11図11は結晶形2の動的水分吸着図である。
図12図12は結晶形3の粉末X線回折パターンである。
図13図13は結晶形3の偏光顕微鏡写真である。
図14図14は結晶形3の熱重量分析図である。
図15図15は結晶形3の示差走査熱量測定図である。
図16図16は結晶形3の動的水分吸着図である。
図17図17は結晶形5の粉末X線回折パターンである。
図18図18は結晶形5の偏光顕微鏡写真である。
図19図19は結晶形5の熱重量分析図である。
図20図20は結晶形5の示差走査熱量測定図である。
図21図21は結晶形5の動的水分吸着図である。
図22図22は結晶形6の粉末X線回折パターンである。
図23図23は結晶形6の偏光顕微鏡写真である。
図24図24は結晶形6の熱重量分析図である。
図25図25は結晶形6の示差走査熱量測定図である。
図26図26は結晶形6の動的水分吸着図である。
図27図27は結晶形7の粉末X線回折パターンである。
図28図28は結晶形7の偏光顕微鏡写真である。
図29図29は結晶形7の熱重量分析図である。
図30図30は結晶形7の示差走査熱量測定図である。
図31図31は結晶形7の動的水分吸着図である。
図32図32は結晶形1の等温吸着曲線である。
図33図33は結晶形2の等温吸着曲線である。
図34図34は結晶形3の等温吸着曲線である。
図35図35は結晶形5の等温吸着曲線である。
図36図36は結晶形6の等温吸着曲線である。
図37図37は結晶形7の等温吸着曲線である。
図38図38は結晶形1の結晶形の安定性XRDパターンである。
図39図39は結晶形1の結晶形の安定性DSCパターンである。
図40図40は結晶形2の結晶形の安定性XRDパターンである。
図41図41は結晶形2の結晶形の安定性DSCパターンである。
図42図42は結晶形3の結晶形の安定性XRDパターンである。
図43図43は結晶形3の結晶形の安定性DSCパターンである。
図44図44は結晶形5の結晶形の安定性XRDパターンである。
図45図45は結晶形5の結晶形の安定性DSCパターンである。
図46図46は結晶形6の結晶形の安定性XRDパターンである。
図47図47は結晶形6の結晶形の安定性DSCパターンである。
図48図48は結晶形7の結晶形の安定性XRDパターンである。
図49図49は結晶形1、結晶形2、結晶形3及び結晶形7の、アセトン、酢酸エチル、メタノールまたは水の中で、結晶形2に変化することを示す。
図50図50は結晶形1、結晶形2、結晶形3及び結晶形7の、テトラヒドロフラン(THF)の中で、結晶形3に変化することを示す。
図51図51は結晶形1と、結晶形2とのXRDパターンの比較を示すが、そのうち、上部のパターンは結晶形1であり、下部のパターンは結晶形2である。
図52図52は2θが10.1°であるピーク面積と、結晶形1の中での結晶形2の重量百分率含有量との関係を示す。
図53図53は結晶形1の研磨前と研磨後のXRDパターン比較であり、そのうち、上部のパターンは研磨前のXRDパターンであり、下部のパターンは研磨後のXRDパターンである。
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