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特開2023-82090自己免疫疾患の処置のためのサイトカイン抱合体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023082090
(43)【公開日】2023-06-13
(54)【発明の名称】自己免疫疾患の処置のためのサイトカイン抱合体
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/55 20060101AFI20230606BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20230606BHJP
   C07K 14/715 20060101ALI20230606BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALI20230606BHJP
   A61K 38/20 20060101ALI20230606BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20230606BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20230606BHJP
   A61P 7/06 20060101ALI20230606BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20230606BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20230606BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20230606BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20230606BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20230606BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20230606BHJP
   A61P 7/04 20060101ALI20230606BHJP
   A61P 21/04 20060101ALI20230606BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20230606BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20230606BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20230606BHJP
   A61P 5/14 20060101ALI20230606BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230606BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20230606BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20230606BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230606BHJP
   C12N 15/26 20060101ALN20230606BHJP
【FI】
C07K14/55 ZNA
C07K19/00
C07K14/715
C12N5/0783
A61K38/20
A61P37/02
A61P17/14
A61P7/06
A61P17/00
A61P1/16
A61P3/10
A61P29/00
A61P19/02
A61P13/12
A61P7/04
A61P21/04
A61P25/00
A61P9/00
A61P17/06
A61P29/00 101
A61P5/14
A61P43/00 121
A61K45/00
A61P27/02
A61P37/06
A61P21/00
A61K39/395 D
A61K39/395 N
C12N15/26
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052529
(22)【出願日】2023-03-29
(62)【分割の表示】P 2020502963の分割
【原出願日】2018-08-03
(31)【優先権主張番号】62/540,781
(32)【優先日】2017-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519050543
【氏名又は名称】シンソークス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】プタシン,ジェロッド
(72)【発明者】
【氏名】カファーロ,キャロライナ イー.
(72)【発明者】
【氏名】ミラ,マルコス
(57)【要約】      (修正有)
【課題】1つ以上の徴候の処置におけるインターロイキン抱合体およびその使用方法を提供する。
【解決手段】単離および修飾されたインターロイキン2(IL-2)ポリペプチドであって、前記インターロイキン2(IL-2)ポリペプチドは、インターロイキン2受容体βγ(IL-2Rβγ)に対する受容体シグナル伝達能力を減少させるか、IL-2/IL-2Rβ複合体へのIL-2Rγサブユニットの動員を減少させるが、インターロイキン2αβγ受容体(IL-2Rαβγ)の有意な活性化を維持するある位置における少なくとも1つの非天然アミノ酸を含み、減少した受容体シグナル伝達能力は、野生型のIL-2ポリペプチドとIL-2Rβγとの間の受容体シグナル伝達能力と比較され、および動員は野生型のIL-2ポリペプチドによるIL-2Rγサブユニットの動員と比較される、単離および修飾されたインターロイキン2(IL-2)ポリペプチドである。
【選択図】図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単離および修飾されたインターロイキン2(IL-2)ポリペプチドであって、前記インターロイキン2(IL-2)ポリペプチドは、インターロイキン2受容体βγ(IL-2Rβγ)に対する受容体シグナル伝達能力を減少させるか、IL-2/IL-2Rβ複合体へのIL-2Rγサブユニットの動員を減少させるが、インターロイキン2αβγ受容体(IL-2Rαβγ)の有意な活性化を維持するある位置における少なくとも1つの非天然アミノ酸を含み、減少した受容体シグナル伝達能力は、野生型のIL-2ポリペプチドとIL-2Rβγとの間の受容体シグナル伝達能力と比較され、および、動員は野生型のIL-2ポリペプチドによるIL-2Rγサブユニットの動員と比較される、単離および修飾されたインターロイキン2(IL-2)ポリペプチド。
【請求項2】
単離および修飾されたインターロイキン2(IL-2)ポリペプチドであって、前記インターロイキン2(IL-2)ポリペプチドは、インターロイキン2αβγ受容体(IL-2Rαβγ)の活性化に結びつく、IL-2ポリペプチドに対するIL-2Rαサブユニットの動員を増加させるある位置における少なくとも1つの非天然アミノ酸を含み、および、動員の増加は、野生型のIL-2ポリペプチドによるIL-2Rαサブユニットの動員と比較される、単離および修飾されたインターロイキン2(IL-2)ポリペプチド。
【請求項3】
少なくとも1つの非天然アミノ酸の位置は、P2、T3、S4、S5、S6、T7、K8、K9、Q11、L12、E15、H16、L18、L19、D20、Q22、M23、N26、G27、N29、N30、Y31、K32、K35、T37、M46、K47、K48、A50、T51、E52、K53、H55、Q57、E60、E67、N71、Q74、S75、K76、N77、F78、H79、R81、P82、R83、D84、S87、N88、N89、V91、I92、L94、E95、K97、G98、S99、E100、T101、T102、F103、M104、C105、E106、Y107、A108、D109、E110、T111、A112、T113、E116、N119、R120、T123、A125、Q126、S127、S130、T131、L132、および、T133から選択され、アミノ酸残基の番号はSEQ ID NO:1に対応する、請求項1または2に記載の単離および修飾されたIL-2ポリペプチド。
【請求項4】
少なくとも1つの非天然アミノ酸の位置は、K8、K9、Q11、L12、E15、H16、L18、L19、D20、Q22、M23、N26、R81、D84、S87、N88、V91、I92、L94、E95、E116、N119、R120、T123、A125、Q126、S127、S130、T131、L132、および、T133から選択され、アミノ酸残基の番号はSEQ ID NO:1に対応する、請求項1または2に記載の単離および修飾されたIL-2ポリペプチド。
【請求項5】
少なくとも1つの非天然アミノ酸の位置は、P2、T3、S4、S5、S6、T7、G27、N29、N30、Y31、K32、K35、T37、M46、K47、K48、A50、T51、E52、K53、H55、Q57、E60、E67、N71、Q74、S75、K76、N77、F78、H79、P82、R83、N89、K97、G98、S99、E100、T101、T102、F103、M104、C105、E106、Y107、A108、D109、E110、T111、A112、および、T113から選択され、アミノ酸残基の番号はSEQ ID NO:1に対応する、請求項1または2に記載の単離および修飾されたIL-2ポリペプチド。
【請求項6】
少なくとも1つの非天然アミノ酸の位置は、K8、K9、L12、E15、H16、L19、D20、Q22、M23、N26、D84、N88、E95、および、Q126か
ら選択され、アミノ酸残基の番号はSEQ ID NO:1に対応する、請求項1または2に記載の単離および修飾されたIL-2ポリペプチド。
【請求項7】
少なくとも1つの非天然アミノ酸の位置は、K8、K9、およびH16から選択され、アミノ酸残基の番号はSEQ ID NO:1に対応する、請求項1または2に記載の単離および修飾されたIL-2ポリペプチド。
【請求項8】
少なくとも1つの非天然アミノ酸の位置は、Q22、N26、N88、およびQ126から選択され、アミノ酸残基の番号はSEQ ID NO:1に対応する、請求項1または2に記載の単離および修飾されたIL-2ポリペプチド。
【請求項9】
少なくとも1つの非天然アミノ酸の位置は、E15、D20、D84、およびE95から選択され、アミノ酸残基の番号はSEQ ID NO:1に対応する、請求項1または2に記載の単離および修飾されたIL-2ポリペプチド。
【請求項10】
少なくとも1つの非天然アミノ酸の位置は、L12、L19、およびM23から選択され、アミノ酸残基の番号はSEQ ID NO:1に対応する、請求項1または2に記載の単離および修飾されたIL-2ポリペプチド。
【請求項11】
少なくとも1つの非天然アミノ酸の位置は、Q22とN26から選択され、アミノ酸残基の番号はSEQ ID NO:1に対応する、請求項1または2に記載の単離および修飾されたIL-2ポリペプチド。
【請求項12】
少なくとも1つの非天然アミノ酸は:
リジンアナログであり;
システインアナログあるいはヒスチジンアナログであり;
芳香族側鎖を含み;
アジド基を含み;
アルキン基を含み;あるいは、
アルデヒド基またはケトン基を含む、請求項1または2に記載の単離および修飾されたIL-2ポリペプチド。
【請求項13】
少なくとも1つの非天然アミノ酸は芳香族側鎖を含まない、請求項1または2に記載の単離および修飾されたIL-2ポリペプチド。
【請求項14】
少なくとも1つの非天然アミノ酸は、N6-アジドエトキシ-L-リジン(AzK)、N6-プロパルギルエトキシ-L-リジン(PraK)、BCN-L-リジン、ノルボルネンリジン、TCOリジン、メチルテトラジンリジン、アリルオキシカルボニルリジン、2-アミノ-8-オキソノナン酸、2-アミノ-8-オキソオクタン酸、p-アセチル-L-フェニルアラニン、p-アジドメチル-L-フェニルアラニン(pAMF)、p-ヨード-L-フェニルアラニン、m-アセチルフェニルアラニン、2-アミノ-8-オキソノナン酸、p-プロパギルオキシフェニルアラニン、p-プロパルギル-フェニルアラニン、3-メチル-フェニルアラニン、L-ドパ、フッ素処理したフェニルアラニン、イソプロピル-L-フェニルアラニン、p-アジド-L-フェニルアラニン、p-アシル-L-フェニルアラニン、p-ベンゾイル-L-フェニルアラニン、p-ブロモフェニルアラニン、p-アミノ-L-フェニルアラニン、イソプロピル-L-フェニルアラニン、O-アリルチロシン、O-メチル-L-チロシン、O-4-アリル-L-チロシン、4-プロピル-L-チロシン、ホスホノチロシン、トリ-O-アセチル-GlcNAcp-セリン、L-ホスホセリン、ホスホノセリン、L-3-(2-ナフチル)アラニン、2-アミノ-3-((2-((3-(ベンジルオキシ)-3-オキソプロピル)アミノ)エチル)セ
ラニル)プロパン酸、2-アミノ-3-(フェニルセラニル)プロパン、または、セレノシステインを含む、請求項1または2に記載の単離および修飾されたIL-2ポリペプチド。
【請求項15】
少なくとも1つの非天然アミノ酸は、直交tRNA合成酵素/tRNA対によって、修飾されたIL-2ポリペプチドに組み込まれる、請求項1または2に記載の単離および修飾されたIL-2ポリペプチド。
【請求項16】
直交合成酵素/tRNA対の直交のtRNAは、少なくとも1つの非天然核酸塩基を含む、請求項15に記載の単離および修飾されたIL-2ポリペプチド。
【請求項17】
修飾されたIL-2ポリペプチドは、少なくとも1つの非天然アミノ酸を介して抱合部分に共有結合される、請求項1または2に記載の単離および修飾されたIL-2ポリペプチド。
【請求項18】
抱合部分は水溶性ポリマー、脂質、タンパク質、あるいはペプチドを含む、請求項17に記載の単離および修飾されたIL-2ポリペプチド。
【請求項19】
水溶性ポリマーは、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ(プロピレングリコール)(PPG)、エチレングリコールとプロピレングリコールのコポリマー、ポリ(オキシエチル化ポリオール)、ポリ(オレフィンアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリルアミド)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリラート)、ポリ(サッカライド)、ポリ(α-ヒドロキシ酸)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリホスファゼン、ポリオキサゾリン(POZ)、ポリ(N-アクリロイルモルホリン)、あるいはこれらの組み合わせを含む、請求項18に記載の単離および修飾されたIL-2ポリペプチド。
【請求項20】
水溶性ポリマーはPEG分子を含む、請求項18に記載の単離および修飾されたIL-2ポリペプチド。
【請求項21】
PEG分子は線形PEGである、請求項20に記載の単離および修飾されたIL-2ポリペプチド。
【請求項22】
PEG分子は分岐PEGである、請求項20に記載の単離および修飾されたIL-2ポリペプチド。
【請求項23】
水溶性ポリマーは多糖類を含む、請求項18に記載の単離および修飾されたIL-2ポリペプチド。
【請求項24】
多糖類はデキストラン、ポリシアル酸(PSA)、ヒアルロン酸(HA)、アミロース、ヘパリン、ヘパラン硫酸(HS)、デキストリン、あるいはヒドロキシエチルデンプン(HES)を含む、請求項23に記載の単離および修飾されたIL-2ポリペプチド。
【請求項25】
脂質は脂肪酸を含む、請求項18に記載の単離および修飾されたIL-2ポリペプチド。
【請求項26】
脂肪酸は、約6から約26の炭素原子、約6から約24の炭素原子、約6から約22の炭素原子、約6から約20の炭素原子、約6から約18の炭素原子、約20から約26の炭素原子、約12から約26の炭素原子、約12から約24の炭素原子、約12から約22の炭素原子、約12から約20の炭素原子、あるいは、約12から約18の炭素原子を
含む、請求項25に記載の単離および修飾されたIL-2ポリペプチド。
【請求項27】
脂肪酸は飽和脂肪酸である、請求項25に記載の単離および修飾されたIL-2ポリペプチド。
【請求項28】
タンパク質は、アルブミン、トランスフェリン、あるいはトランスサイレチンを含む、請求項18に記載の単離および修飾されたIL-2ポリペプチド。
【請求項29】
タンパク質は、抗体またはその結合フラグメントを含む、請求項18に記載の単離および修飾されたIL-2ポリペプチド。
【請求項30】
抗体あるいはその結合フラグメントは、抗体のFc部分を含む、請求項29に記載の単離および修飾されたIL-2ポリペプチド。
【請求項31】
ペプチドは、XTENペプチド、グリシンに富んだホモアミノ酸ポリマー(HAP)、PASポリペプチド、エラスチン様ポリペプチド(ELP)、CTPペプチド、あるいはゼラチン様タンパク質(GLK)ポリマーを含む、請求項18に記載の単離および修飾されたIL-2ポリペプチド。
【請求項32】
抱合部分は、リンカーを介して修飾されたIL-2の少なくとも1つの非天然アミノ酸に間接的に結合する、請求項17に記載の単離および修飾されたIL-2ポリペプチド。
【請求項33】
リンカーは、ホモ二機能性リンカー、ヘテロ二機能性リンカー、ゼロ長リンカー、切断あるいは非切断ジペプチドリンカー、マレイミド基、スペーサー、あるいはこれらの組み合わせを含む、請求項32に記載の単離および修飾されたIL-2ポリペプチド。
【請求項34】
単離および修飾されたIL-2ポリペプチドは、IL-2Rβγに対する受容体シグナル伝達能力が減少しており、受容体シグナル伝達能力の減少は、野生型のIL-2Rβγと比較して、約1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、30倍、50倍、100倍、200倍、300倍、400倍、500倍、1000倍、またはそれ以上である、請求項1に記載の単離および修飾されたIL-2ポリペプチド。
【請求項35】
修飾されたIL-2ポリペプチドは:
完全長のIL-2ポリペプチドの機能的に活性なフラグメント;
組み換えIL-2ポリペプチド;あるいは、
組み換えヒトIL-2ポリペプチドである、請求項1または2に記載の単離および修飾されたIL-2ポリペプチド。
【請求項36】
修飾されたIL-2ポリペプチドは、N末端欠失、C末端欠失、あるいはこれらの組み合わせを含む、請求項1または2に記載の単離および修飾されたIL-2ポリペプチド。
【請求項37】
N末端欠失は、N末端から最初の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、あるいは30の残基の欠失を含み、ここで、残基位置は、SEQ ID NO:1の位置を基準にしている、請求項1または2に記載の単離および修飾されたIL-2ポリペプチド。
【請求項38】
C末端欠失は、C末端から最後の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、あるいはそれ以上の残基の欠失を含み、ここで、残基位置は、SEQ ID NO:1の位置を基準にしている、請求項1または2に記載の単離および修飾されたIL-2ポリペプチド。
【請求項39】
機能的に活性なフラグメントは、IL-2領域10-133、20-133、30-133、10-130、20-130、30-130、10-125、20-125、30-125、1-130、あるいは1-125を含み、ここで、残基位置は、SEQ ID
NO:1の位置を基準にしている、請求項35に記載の単離および修飾されたIL-2ポリペプチド。
【請求項40】
修飾されたIL-2ポリペプチドは、SEQ ID NO:1に対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、あるいは99%の配列同一性を含む、請求項1または2に記載の単離および修飾されたIL-2ポリペプチド。
【請求項41】
IL-2Rβγに対する受容体シグナル伝達能力が減少した修飾されたIL-2ポリペプチドは、CD4+T制御性(Treg)細胞を拡張することができる、請求項1または2に記載の単離および修飾されたIL-2ポリペプチド。
【請求項42】
抱合部分は、IL-2Rβγを用いてIL-2の受容体シグナル伝達能力を損なうか遮断し、あるいはIL-2/IL-2Rβ複合体へのIL-2Rγサブユニットの動員を減少させる、請求項17に記載の単離および修飾されたIL-2ポリペプチド。
【請求項43】
修飾されたIL-2/IL-2Rαβγ複合体によるCD4+ Treg細胞増殖は、野生型のIL-2ポリペプチドの4+ Treg細胞増殖と同等以上である、請求項1または2に記載の単離および修飾されたIL-2ポリペプチド。
【請求項44】
修飾されたIL-2/IL-2Rαβγ複合体は、動物モデルにおいて疾患経過を調節するのに十分な集団に対するCD4+ Treg細胞の増殖を引き起こす、請求項1または2に記載の単離および修飾されたIL-2ポリペプチド。
【請求項45】
修飾されたIL-2ポリペプチドは、IL-2Rβγに対する第1の受容体シグナル伝達能力を示し、IL-2Rαβγに対する第2の受容体シグナル伝達能力を示し、ここで、第1の受容体シグナル伝達能力は、第2の受容体シグナル伝達能力よりも、少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍、50倍、100倍、500倍、1000倍以下である、請求項1または2に記載の単離および修飾されたIL-2ポリペプチド。
【請求項46】
修飾されたIL-1ポリペプチドの第1の受容体シグナル伝達能力は、IL-2Rβγに対する野生型のIL-2ポリペプチドの受容体シグナル伝達能力よりも低い、請求項45に記載の単離および修飾されたIL-2ポリペプチド。
【請求項47】
修飾されたIL-2ポリペプチドの第2の受容体シグナル伝達能力は、IL-2Rαβγに対する野生型のIL-2ポリペプチドの受容体シグナル伝達能力よりも低い、請求項45に記載の単離および修飾されたIL-2ポリペプチド。
【請求項48】
修飾されたIL-2ポリペプチドはさらに、インターロイキン2αβγ受容体(IL-2Rαβγ)の活性化に結びつくIL-2ポリペプチドへのIL-2Rαサブユニットの動員の増加をもたらし、および、動員の増加は、野生型のIL-2ポリペプチドによるIL-2Rαサブユニットの動員と比較される、請求項1に記載の単離および修飾されたIL-2ポリペプチド。
【請求項49】
修飾されたIL-2ポリペプチドはさらに、IL-2/IL-2Rβ複合体へのIL-2Rγサブユニットの動員の減少をもたらし、減少した動員は、野生型のIL-2Rポリ
ペプチドによるIL-2Rβサブユニットおよび/またはIL-2Rγサブユニットの動員と比較される、請求項2に記載の単離および修飾されたIL-2ポリペプチド。
【請求項50】
インターロイキン2αβγ受容体(IL-2Rαβγ)結合タンパク質であって、ここで、前記結合タンパク質のインターロイキン2βγ受容体(IL-2Rβγ)の受容体シグナル伝達能力は、野生型のヒトIL-2(hIL-2)の受容体シグナル伝達能力未満であり、および、前記結合タンパク質は、少なくとも1つの非天然アミノ酸を含む、インターロイキン2αβγ受容体(IL-2Rαβγ)結合タンパク質。
【請求項51】
インターロイキン2αβγ受容体(IL-2Rαβγ)結合タンパク質であって、前記結合タンパク質によるIL-2/IL-2Rβ複合体へのIL-2Rγサブユニットの動員は、野生型ヒトIL-2(hIL-2)の動員未満であり、および、前記結合タンパク質は、少なくとも1つの非天然アミノ酸を含む、インターロイキン2αβγ受容体(IL-2Rαβγ)結合タンパク質。
【請求項52】
前記結合タンパク質は、修飾されたIL-2ポリペプチドあるいはその機能的に活性なフラグメントであり、修飾されたIL-2ポリペプチドは、少なくとも1つの非天然アミノ酸を含む、請求項50または51に記載のIL-2Rαβγ結合タンパク質。
【請求項53】
非天然アミノ酸とIL-2Rαβγを含む修飾されたIL-2ポリペプチドを含むIL-2/IL-2Rαβγ複合体であって、ここで、修飾されたIL-2ポリペプチドは、IL-2Rβγへの減少した受容体シグナル伝達能力を有し、および、減少した受容体シグナル伝達能力は、野生型のIL-2ポリペプチドとIL-2Rβγとの間の結合親和性と比較される、IL-2/IL-2Rαβγ複合体。
【請求項54】
非天然アミノ酸とIL-2Rαβγを含む修飾されたIL-2ポリペプチドを含むIL-2/IL-2Rαβγ複合体であって、前記修飾されたIL-2ポリペプチドによるIL-2/IL-2Rβ複合体へのIL-2Rγサブユニットの動員は、野生型のIL-2ポリペプチドの動員未満である、IL-2/IL-2Rαβγ複合体。
【請求項55】
前記修飾されたIL-2ポリペプチドは、非天然アミノ酸に共有結合された抱合部分をさらに含む、請求項53または54に記載のIL-2/IL-2Rαβγ複合体。
【請求項56】
細胞集団においてCD4+ Treg細胞を選択的に拡張するCD4+ Treg細胞アクチベーターであって、ここで、前記アクチベーターは、少なくとも1つの非天然アミノ酸を含む修飾されたIL-2ポリペプチドを含む、CD4+ Treg細胞アクチベーター。
【請求項57】
野生型のIL-2ポリペプチドと接触したCD3+細胞集団におけるCD8+エフェクターT細胞および/またはナチュラルキラー細胞の拡張と比較して、前記アクチベーターが前記CD3+細胞集団に接しているとき、前記アクチベーターは、CD3+細胞集団において20%、15%、10%、5%、1%、あるいは0.1%未満、CD8+エフェクターT細胞および/またはナチュラルキラー細胞を拡張する、請求項56に記載のCD4+ Treg細胞アクチベーター。
【請求項58】
前記アクチベーターは、CD8+エフェクターT細胞および/またはナチュラルキラー細胞を拡張しない、請求項56に記載のCD4+ Treg細胞アクチベーター。
【請求項59】
前記細胞集団はインビボの細胞集団である、請求項56に記載のCD4+ Treg細胞アクチベーター。
【請求項60】
前記細胞集団はインビトロの細胞集団である、請求項56に記載のCD4+ Treg細胞アクチベーター。
【請求項61】
前記細胞集団はエクスビボの細胞集団である、請求項56に記載のCD4+ Treg細胞アクチベーター。
【請求項62】
医薬組成物であって、請求項1-49の単離および修飾されたIL-2ポリペプチド、請求項50-52のIL-2Rαβγ結合タンパク質、あるいは請求項56-61のCD4+ Treg細胞;および、薬学的に許容可能な賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項63】
前記医薬組成物は全身送達のために製剤化される、請求項62に記載の医薬組成物。
【請求項64】
前記医薬組成物は非経口投与のために製剤化される、請求項62に記載の医薬組成物。
【請求項65】
被験体の自己免疫疾患あるいは障害を処置する方法であって、治療上有効な量の、請求項1または2の単離および修飾されたIL-2ポリペプチド、請求項50または51のIL-2Rαβγ結合タンパク質、請求項56のCD4+ Treg細胞、あるいは請求項62の医薬組成物を、被験体に投与する工程を含む、方法。
【請求項66】
自己免疫疾患または障害は、円形脱毛症、自己免疫溶血性貧血、自己免疫性肝炎、皮膚筋炎、1型糖尿病、若年性特発性関節炎、糸球体腎炎、グレーブス病、ギラン・バレー症候群、特発性血小板減少性紫斑病、重症筋無力症、多発性硬化症、天疱瘡/類天疱瘡、悪性貧血、結節性多発性動脈炎、多発性筋炎、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、関節リウマチ、強皮症、シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス、甲状腺炎、ブドウ膜炎、白斑、あるいはヴェーゲナー肉芽腫症を含む、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
追加の治療剤を投与する工程をさらに含む、請求項65または66に記載の方法。
【請求項68】
IL-2抱合体と追加の治療剤は同時に投与される、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
IL-2抱合体と追加の治療剤は順次投与される、請求項67に記載の方法。
【請求項70】
IL-2抱合体は追加の治療剤の前に投与される、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
IL-2抱合体は追加の治療剤の投与後に投与される、請求項69に記載の方法。
【請求項72】
被験体はヒトである、請求項65-71のいずれか1つに記載の方法。
【請求項73】
CD4+制御性T(Treg)細胞集団を拡張する方法であって、IL-2Rαβγを有する複合体の形成を誘導するのに十分な時間にわたって、請求項1または2の単離および修飾されたIL-2ポリペプチド、請求項50または51のIL-2Rαβγ結合タンパク質、請求項56のCD4+ Treg細胞、あるいは請求項62の医薬組成物に、細胞を接触させる工程であって、それによって、Treg細胞集団の拡張を刺激する、工程を含む、方法。
【請求項74】
前記方法はインビボの方法である、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記方法はインビトロの方法である、請求項73に記載の方法。
【請求項76】
前記方法はエクスビボの方法である、請求項73に記載の方法。
【請求項77】
請求項1-49の単離および修飾されたIL-2ポリペプチド、請求項50-52のIL-2Rαβγ結合タンパク質、請求項56-61のCD4+ Treg細胞、あるいは請求項62-64の医薬組成物を含む、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2017年8月3日に出願された米国仮特許出願第62/540,781号の利益を主張し、その全体は引用によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表
本出願は配列表を包含しており、これは、ASCIIフォーマットで電子的に提出され、その全体を引用することで本明細書に組み込まれる。2018年8月3日に作成された上記ASCIIのコピーは、46085-710_602_SL.txtのファイル名であり、3,703バイトのサイズである。
【背景技術】
【0003】
T細胞の特徴的な集団は、免疫の恒常性と耐性を維持するために免疫系を調節する。例えば、制御性T(Treg)細胞は、病的な自己反応性を予防することによって免疫系による不適切な反応を防ぎ、その一方で、細胞傷害性T細胞は感染細胞および/または癌細胞を標的とする。いくつかの例では、T細胞の異なる集団の調節は、疾患または徴候の処置に関するオプションを提供する。
【発明の概要】
【0004】
ある実施形態では、サイトカイン抱合体および1つ以上の兆候の処置におけるその使用が本明細書に開示される。いくつかの実施形態において、インターロイキン2(IL-2)抱合体と1つ以上の兆候の処置におけるその使用も本明細書に記載される。いくつかの例において、1以上の徴候は自己免疫疾患を含む。場合によっては、制御性T細胞(Treg細胞)集団を特異的に刺激または拡張するために、IL-2とIL-2受容体との間の相互作用を調節するためのIL-2抱合体が本明細書に記載される。場合によっては、延長されたインビボ半減期、減少した毒性、および/または拡大された治療濃度域を有する、IL-2抱合体が本明細書に記載される。さらなる場合において、本明細書に記載される1つ以上のインターロイキン抱合体(例えば、IL-2抱合体)を含む医薬組成物およびキットも本明細書に記載される。
【0005】
ある実施形態では、単離および修飾されたインターロイキン2(IL-2)ポリペプチドが本明細書に開示され、上記インターロイキン2(IL-2)ポリペプチドは、インターロイキン2受容体βγ(IL-2Rβγ)に対する受容体シグナル伝達能力を減少させるか、IL-2/IL-2Rβ複合体へのIL-2Rγサブユニットの動員を減少させるが、インターロイキン2αβγ受容体(IL-2Rαβγ)の有意な活性化を維持するある位置における少なくとも1つの非天然アミノ酸を含み、減少した受容体シグナル伝達能力は、野生型のIL-2ポリペプチドとIL-2Rβγとの間の受容体シグナル伝達能力と比較され、および、動員は野生型のIL-2ポリペプチドによるIL-2Rγサブユニットの動員と比較される。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの非天然アミノ酸の位置は、P2、T3、S4、S5、S6、T7、K8、K9、Q11、L12、E15、H16、L18、L19、D20、Q22、M23、N26、G27、N29、N30、Y31、K32、K35、T37、M46、K47、K48、A50、T51、E52、K53、H55、Q57、E60、E67、N71、Q74、S75、K76、N77、F78、H79、R81、P82、R83、D84、S87、N88、N89、V91、I92、L94、E95、K97、G98、S99、E100、T101、T102、F103、M104、C105、E106、Y107、A108、D109、E110、T111、A112、T113、E116、N119、R120、T123、A125
、Q126、S127、S130、T131、L132、および、T133から選択され、アミノ酸残基の番号はSEQ ID NO:1に対応する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの非天然アミノ酸の位置は、K8、K9、Q11、L12、E15、H16、L18、L19、D20、Q22、M23、N26、R81、D84、S87、N88、V91、I92、L94、E95、E116、N119、R120、T123、A125、Q126、S127、S130、T131、L132、および、T133から選択され、アミノ酸残基の番号はSEQ ID NO:1に対応する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの非天然アミノ酸の位置は、P2、T3、S4、S5、S6、T7、G27、N29、N30、Y31、K32、K35、T37、M46、K47、K48、A50、T51、E52、K53、H55、Q57、E60、E67、N71、Q74、S75、K76、N77、F78、H79、P82、R83、N89、K97、G98、S99、E100、T101、T102、F103、M104、C105、E106、Y107、A108、D109、E110、T111、A112、および、T113から選択され、アミノ酸残基の番号はSEQ ID NO:1に対応する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの非天然アミノ酸の位置は、K8、K9、L12、E15、H16、L19、D20、Q22、M23、N26、D84、N88、E95、and Q126から選択され、アミノ酸残基の番号はSEQ ID NO:1に対応する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの非天然アミノ酸の位置は、K8、K9、およびH16から選択され、アミノ酸残基の番号はSEQ ID NO:1に対応する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの非天然アミノ酸の位置は、Q22、N26、N88、およびQ126から選択され、アミノ酸残基の番号はSEQ ID NO:1に対応する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの非天然アミノ酸の位置は、E15、D20、D84、およびE95から選択され、アミノ酸残基の番号はSEQ
ID NO:1に対応する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの非天然アミノ酸の位置は、L12、L19、およびM23から選択され、アミノ酸残基の番号はSEQ ID NO:1に対応する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの非天然アミノ酸の位置は、Q22とN26から選択され、アミノ酸残基の番号はSEQ ID
NO:1に対応する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの非天然アミノ酸は:リジンアナログであり;システインアナログあるいはヒスチジンアナログであり;芳香族側鎖を含み;アジド基を含み;アルキン基を含み;あるいは、アルデヒドまたはケトン基を含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの非天然アミノ酸は芳香族側鎖を含まない。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの非天然アミノ酸は、N6-アジドエトキシ-L-リジン(AzK)、N6-プロパルギルエトキシ-L-リジン(PraK)、BCN-L-リジン、ノルボルネンリジン、TCOリジン、メチルテトラジンリジン、アリルオキシカルボニルリジン、2-アミノ-8-オキソノナン酸、2-アミノ-8-オキソオクタン酸、p-アセチル-L-フェニルアラニン、p-アジドメチル-L-フェニルアラニン(pAMF)、p-ヨード-L-フェニルアラニン、m-アセチルフェニルアラニン、2-アミノ-8-オキソノナン酸、p-プロパギルオキシフェニルアラニン、p-プロパルギル-フェニルアラニン、3-メチル-フェニルアラニン、L-ドパ、フッ素処理したフェニルアラニン、イソプロピル-L-フェニルアラニン、p-アジド-L-フェニルアラニン、p-アシル-L-フェニルアラニン、p-ベンゾイル-L-フェニルアラニン、p-ブロモフェニルアラニン、p-アミノ-L-フェニルアラニン、イソプロピル-L-フェニルアラニン、O-アリルチロシン、O-メチル-L-チロシン、O-4-アリル-L-チロシン、4-プロピル-L-チロシン、ホスホノチロシン、トリ-O-アセチル-GlcNAcp-セリン、L-ホスホセリン、ホスホノセリン、L-3-(2-ナフチル)アラニン、2-アミノ-3-((2-((3-(ベンジルオキシ)-3-オキソプロピル)アミノ)エチル)セラニル)プロパン酸、2-アミノ-3-(フェニルセラニル)プロパン、または、セレノシステインを含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの非天然アミノ酸は、直交tRNA合成酵素/tRNA対によって、修飾されたIL-2ポリペプチドに組み込まれる。いくつかの実施形態において、直交
合成酵素/tRNA対の直交のtRNAは、少なくとも1つの非天然核酸塩基を含む。いくつかの実施形態において、修飾されたIL-2ポリペプチドは、少なくとも1つの非天然アミノ酸を介して抱合部分に共有結合される。いくつかの実施形態において、抱合部分は水溶性ポリマー、脂質、タンパク質、あるいはペプチドを含む。いくつかの実施形態において、水溶性ポリマーは、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ(プロピレングリコール)(PPG)、エチレングリコールとプロピレングリコールのコポリマー、ポリ(オキシエチル化ポリオール)、ポリ(オレフィンアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリルアミド)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリラート)、ポリ(サッカライド)、ポリ(α-ヒドロキシ酸)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリホスファゼン、ポリオキサゾリン(POZ)、ポリ(N-アクリロイルモルホリン)、あるいはこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、水溶性ポリマーはPEG分子を含む。いくつかの実施形態では、PEG分子は線形PEGである。いくつかの実施形態では、PEG分子は分岐PEGである。いくつかの実施形態において、水溶性ポリマーは多糖類を含む。いくつかの実施形態において、多糖類はデキストラン、ポリシアル酸(PSA)、ヒアルロン酸(HA)、アミロース、ヘパリン、ヘパラン硫酸(HS)、デキストリン、あるいはヒドロキシエチルデンプン(HES)を含む。いくつかの実施形態では、脂質は脂肪酸を含む。いくつかの実施形態において、脂肪酸は、約6から約26の炭素原子、約6から約24の炭素原子、約6から約22の炭素原子、約6から約20の炭素原子、約6から約18の炭素原子、約20から約26の炭素原子、約12から約26の炭素原子、約12から約24の炭素原子、約12から約22の炭素原子、約12から約20の炭素原子、あるいは、約12から約18の炭素原子を含む。いくつかの実施形態では、脂肪酸は飽和脂肪酸である。いくつかの実施形態において、タンパク質は、アルブミン、トランスフェリン、あるいはトランスサイレチンを含む。いくつかの実施形態では、タンパク質は、抗体またはその結合フラグメントを含む。いくつかの実施形態において、抗体あるいはその結合フラグメントは、抗体のFc部分を含む。いくつかの実施形態において、ペプチドは、XTENペプチド、グリシンに富んだホモアミノ酸ポリマー(HAP)、PASポリペプチド、エラスチン様ポリペプチド(ELP)、CTPペプチド、あるいはゼラチン様タンパク質(GLK)ポリマーを含む。いくつかの実施形態において、抱合部分は、リンカーを介して修飾されたIL-2の少なくとも1つの非天然アミノ酸に間接的に結合する。いくつかの実施形態において、リンカーは、ホモ二機能性リンカー、ヘテロ二機能性リンカー、ゼロ長リンカー、切断あるいは非切断ジペプチドリンカー、マレイミド基、スペーサー、あるいはこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、単離および修飾されたIL-2ポリペプチドは、IL-2Rβγに対する受容体シグナル伝達能力が減少しており、受容体シグナル伝達能力の減少は、野生型のIL-2Rβγと比較して、約1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、30倍、50倍、100倍、200倍、300倍、400倍、500倍、1000倍、またはそれ以上である。いくつかの実施形態において、修飾されたIL-2ポリペプチドは:完全長のIL-2ポリペプチドの機能的に活性なフラグメント;組み換えIL-2ポリペプチド;あるいは、組み換えヒトIL-2ポリペプチドである。いくつかの実施形態において、修飾されたIL-2ポリペプチドは、N末端欠失、C末端欠失、あるいはこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、N末端欠失は、N末端から最初の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、あるいは30の残基の欠失を含み、ここで、残基位置は、SEQ ID NO:1の位置を基準にしている。いくつかの実施形態において、C末端欠失は、C末端から最後の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、あるいはそれ以上の残基の欠失を含み、ここで、残基位置は、SEQ ID NO:1の位置を基準にしている。いくつかの実施形態において、機能的に活性なフラグメントは、IL-2領域10-133、20-133、30-133、10-130、20-130、30-130、10-125、20-125、30-125、1-130、あるいは1-125を含み、ここで、残基位置は、SEQ ID NO:1の位置を基準にしてい
る。いくつかの実施形態では、修飾されたIL-2ポリペプチドは、SEQ ID NO:1に対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、あるいは99%の配列同一性を含む。いくつかの実施形態において、IL-2Rβγに対する受容体シグナル伝達能力が減少した修飾されたIL-2ポリペプチドは、CD4+T制御性(Treg)細胞を拡張することができる。いくつかの実施形態において、抱合部分は、IL-2Rβγを用いてIL-2の受容体シグナル伝達能力を損なうか遮断し、あるいはIL-2/IL-2Rγ複合体へのIL-2Rγサブユニットの動員を減少させる。いくつかの実施形態において、修飾されたIL-2/IL-2Rαβγ複合体によるCD4+ Treg細胞増殖は、野生型のIL-2ポリペプチドの4+ Treg細胞増殖と同等以上である。いくつかの実施形態において、修飾されたIL-2/IL-2Rαβγ複合体は、動物モデルにおいて疾患経過を調節するのに十分な集団に対するCD4+ T
reg細胞の増殖を引き起こす。いくつかの実施形態において、修飾されたIL-2ポリペプチドは、IL-2Rβγに対する第1の受容体シグナル伝達能力を示し、IL-2Rαβγに対する第2の受容体シグナル伝達能力を示し、ここで、第1の受容体シグナル伝達能力は、第2の受容体シグナル伝達能力よりも、少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍、50倍、100倍、500倍、1000倍以下である。いくつかの実施形態において、修飾されたIL-2ポリペプチドの第1の受容体シグナル伝達能力は、IL-2Rβγに対する野生型のIL-2ポリペプチドの受容体シグナル伝達能力よりも低い。いくつかの実施形態において、修飾されたIL-2ポリペプチドの第2の受容体シグナル伝達能力は、IL-2Rαβγに対する野生型のIL-2ポリペプチドの受容体シグナル伝達能力よりも低い。いくつかの実施形態において、修飾されたIL-2ポリペプチドはさらに、インターロイキン2αβγ受容体(IL-2Rαβγ)の活性化に結びつくIL-2ポリペプチドへのIL-2Rαサブユニットの動員の増加をもたらし、および、動員の増加は、野生型のIL-2ポリペプチドによるIL-2Rαサブユニットの動員と比較される。いくつかの実施形態において、修飾されたIL-2ポリペプチドはさらに、IL-2/IL-2Rβ複合体へのIL-2Rγサブユニットの動員の減少をもたらし、減少した動員は、野生型のIL-2RポリペプチドによるIL-2Rβサブユニットおよび/またはIL-2Rγサブユニットの動員と比較される。
【0006】
ある実施形態では、単離および修飾されたインターロイキン2(IL-2)ポリペプチドが本明細書に開示され、上記インターロイキン2(IL-2)ポリペプチドは、インターロイキン2αβγ受容体(IL-2Rαβγ)の活性化に結びつく、IL-2ポリペプチドに対するIL-2Rαサブユニットの動員を増加させる位置の少なくとも1つの非天然アミノ酸を含み、および、動員の増加は、野生型のIL-2ポリペプチドによるIL-2Rαサブユニットの動員と比較される。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの非天然アミノ酸の位置は、P2、T3、S4、S5、S6、T7、K8、K9、Q11、L12、E15、H16、L18、L19、D20、Q22、M23、N26、G27、N29、N30、Y31、K32、K35、T37、M46、K47、K48、A50、T51、E52、K53、H55、Q57、E60、E67、N71、Q74、S75、K76、N77、F78、H79、R81、P82、R83、D84、S87、N88、N89、V91、I92、L94、E95、K97、G98、S99、E100、T101、T102、F103、M104、C105、E106、Y107、A108、D109、E110、T111、A112、T113、E116、N119、R120、T123、A125、Q126、S127、S130、T131、L132、および、T133から選択され、アミノ酸残基の番号はSEQ ID NO:1に対応する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの非天然アミノ酸の位置は、K8、K9、Q11、L12、E15、H16、L18、L19、D20、Q22、M23、N26、R81、D84、S87、N88、V91、I92、L94、E95、E116、N119、R12
0、T123、A125、Q126、S127、S130、T131、L132、および、T133から選択され、アミノ酸残基の番号はSEQ ID NO:1に対応する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの非天然アミノ酸の位置は、P2、T3、S4、S5、S6、T7、G27、N29、N30、Y31、K32、K35、T37、M46、K47、K48、A50、T51、E52、K53、H55、Q57、E60、E67、N71、Q74、S75、K76、N77、F78、H79、P82、R83、N89、K97、G98、S99、E100、T101、T102、F103、M104、C105、E106、Y107、A108、D109、E110、T111、A112、および、T113から選択され、アミノ酸残基の番号はSEQ ID NO:1に対応する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの非天然アミノ酸の位置は、K8、K9、L12、E15、H16、L19、D20、Q22、M23、N26、D84、N88、E95、および、Q126から選択され、アミノ酸残基の番号はSEQ ID NO:1に対応する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの非天然アミノ酸の位置は、K8、K9、およびH16から選択され、アミノ酸残基の番号はSEQ ID NO:1に対応する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの非天然アミノ酸の位置は、Q22、N26、N88、およびQ126から選択され、アミノ酸残基の番号はSEQ ID NO:1に対応する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの非天然アミノ酸の位置は、E15、D20、D84、およびE95から選択され、アミノ酸残基の番号はSEQ ID NO:1に対応する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの非天然アミノ酸の位置は、L12、L19、およびM23から選択され、アミノ酸残基の番号はSEQ ID NO:1に対応する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの非天然アミノ酸の位置は、Q22とN26から選択され、アミノ酸残基の番号はSEQ ID NO:1に対応する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの非天然アミノ酸は:リジンアナログであり;システインアナログあるいはヒスチジンアナログであり;芳香族側鎖を含み;アジド基を含み;アルキン基を含み;あるいは、アルデヒドまたはケトン基を含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの非天然アミノ酸は芳香族側鎖を含まない。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの非天然アミノ酸は、N6-アジドエトキシ-L-リジン(AzK)、N6-プロパルギルエトキシ-L-リジン(PraK)、BCN-L-リジン、ノルボルネンリジン、TCOリジン、メチルテトラジンリジン、アリルオキシカルボニルリジン、2-アミノ-8-オキソノナン酸、2-アミノ-8-オキソオクタン酸、p-アセチル-L-フェニルアラニン、p-アジドメチル-L-フェニルアラニン(pAMF)、p-ヨード-L-フェニルアラニン、m-アセチルフェニルアラニン、2-アミノ-8-オキソノナン酸、p-プロパギルオキシフェニルアラニン、p-プロパルギル-フェニルアラニン、3-メチル-フェニルアラニン、L-ドパ、フッ素処理したフェニルアラニン、イソプロピル-L-フェニルアラニン、p-アジド-L-フェニルアラニン、p-アシル-L-フェニルアラニン、p-ベンゾイル-L-フェニルアラニン、p-ブロモフェニルアラニン、p-アミノ-L-フェニルアラニン、イソプロピル-L-フェニルアラニン、O-アリルチロシン、O-メチル-L-チロシン、O-4-アリル-L-チロシン、4-プロピル-L-チロシン、ホスホノチロシン、トリ-O-アセチル-GlcNAcp-セリン、L-ホスホセリン、ホスホノセリン、L-3-(2-ナフチル)アラニン、2-アミノ-3-((2-((3-(ベンジルオキシ)-3-オキソプロピル)アミノ)エチル)セラニル)プロパン酸、2-アミノ-3-(フェニルセラニル)プロパン、または、セレノシステインを含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの非天然アミノ酸は、直交tRNA合成酵素/tRNA対によって、修飾されたIL-2ポリペプチドに組み込まれる。いくつかの実施形態において、直交合成酵素/tRNA対の直交のtRNAは、少なくとも1つの非天然核酸塩基を含む。いくつかの実施形態において、修飾されたIL-2ポリペプチドは、少なくとも1つの非天然アミノ酸を介して抱合部分に共有結合される。いくつかの実施形態において、抱合部分は水溶性ポリマー、脂質、タンパク質、あるいはペプチドを含む。いくつかの実施形態において、水溶性ポリマーは、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ(
プロピレングリコール)(PPG)、エチレングリコールとプロピレングリコールのコポリマー、ポリ(オキシエチル化ポリオール)、ポリ(オレフィンアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリルアミド)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリラート)、ポリ(サッカライド)、ポリ(α-ヒドロキシ酸)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリホスファゼン、ポリオキサゾリン(POZ)、ポリ(N-アクリロイルモルホリン)、あるいはこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、水溶性ポリマーはPEG分子を含む。いくつかの実施形態では、PEG分子は線形PEGである。いくつかの実施形態では、PEG分子は分岐PEGである。いくつかの実施形態において、水溶性ポリマーは多糖類を含む。いくつかの実施形態において、多糖類はデキストラン、ポリシアル酸(PSA)、ヒアルロン酸(HA)、アミロース、ヘパリン、ヘパラン硫酸(HS)、デキストリン、あるいはヒドロキシエチルデンプン(HES)を含む。いくつかの実施形態では、脂質は脂肪酸を含む。いくつかの実施形態において、脂肪酸は、約6から約26の炭素原子、約6から約24の炭素原子、約6から約22の炭素原子、約6から約20の炭素原子、約6から約18の炭素原子、約20から約26の炭素原子、約12から約26の炭素原子、約12から約24の炭素原子、約12から約22の炭素原子、約12から約20の炭素原子、あるいは、約12から約18の炭素原子を含む。いくつかの実施形態では、脂肪酸は飽和脂肪酸である。いくつかの実施形態において、タンパク質は、アルブミン、トランスフェリン、あるいはトランスサイレチンを含む。いくつかの実施形態では、タンパク質は、抗体またはその結合フラグメントを含む。いくつかの実施形態において、抗体あるいはその結合フラグメントは、抗体のFc部分を含む。いくつかの実施形態において、ペプチドは、XTENペプチド、グリシンに富んだホモアミノ酸ポリマー(HAP)、PASポリペプチド、エラスチン様ポリペプチド(ELP)、CTPペプチド、あるいはゼラチン様タンパク質(GLK)ポリマーを含む。いくつかの実施形態において、抱合部分は、リンカーを介して修飾されたIL-2の少なくとも1つの非天然アミノ酸に間接的に結合する。いくつかの実施形態において、リンカーは、ホモ二機能性リンカー、ヘテロ二機能性リンカー、ゼロ長リンカー、切断あるいは非切断ジペプチドリンカー、マレイミド基、スペーサー、あるいはこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、単離および修飾されたIL-2ポリペプチドは、IL-2Rβγに対する受容体シグナル伝達能力が減少しており、受容体シグナル伝達能力の減少は、野生型のIL-2Rβγと比較して、約1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、30倍、50倍、100倍、200倍、300倍、400倍、500倍、1000倍、またはそれ以上である。いくつかの実施形態において、修飾されたIL-2ポリペプチドは:完全長のIL-2ポリペプチドの機能的に活性なフラグメント;組み換えIL-2ポリペプチド;あるいは、組み換えヒトIL-2ポリペプチドである。いくつかの実施形態において、修飾されたIL-2ポリペプチドは、N末端欠失、C末端欠失、あるいはこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、N末端欠失は、N末端から最初の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、あるいは30の残基の欠失を含み、ここで、残基位置は、SEQ
ID NO:1の位置を基準にしている。いくつかの実施形態において、C末端欠失は、C末端から最後の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、あるいはそれ以上の残基の欠失を含み、ここで、残基位置は、SEQ ID NO:1の位置を基準にしている。いくつかの実施形態において、機能的に活性なフラグメントは、IL-2領域10-133、20-133、30-133、10-130、20-130、30-130、10-125、20-125、30-125、1-130、あるいは1-125を含み、ここで、残基位置は、SEQ ID NO:1の位置を基準にしている。いくつかの実施形態では、修飾されたIL-2ポリペプチドは、SEQ ID NO:1に対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、あるいは99%の配列同一性を含む。いくつかの実施形態において、IL-2Rβγに対する受容体シグナル伝達能力が減少した修飾されたIL-2ポリペプチドは、CD4+T制御性(Treg)細胞を拡張することができる。いくつかの実施形態に
おいて、抱合部分は、IL-2Rβγを用いてIL-2の受容体シグナル伝達能力を損なうか遮断し、あるいはIL-2/IL-2Rγ複合体へのIL-2Rγサブユニットの動員を減少させる。いくつかの実施形態において、修飾されたIL-2/IL-2Rαβγ複合体によるCD4+ Treg細胞増殖は、野生型のIL-2ポリペプチドの4+ Treg細胞増殖と同等以上である。いくつかの実施形態において、修飾されたIL-2/IL-2Rαβγ複合体は、動物モデルにおいて疾患経過を調節するのに十分な集団に対するCD4+ Treg細胞の増殖を引き起こす。いくつかの実施形態において、修飾されたIL-2ポリペプチドは、IL-2Rβγに対する第1の受容体シグナル伝達能力を示し、IL-2Rαβγに対する第2の受容体シグナル伝達能力を示し、ここで、第1の受
容体シグナル伝達能力は、第2の受容体シグナル伝達能力よりも、少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍、50倍、100倍、500倍、1000倍以下である。いくつかの実施形態において、修飾されたIL-2ポリペプチドの第1の受容体シグナル伝達能力は、IL-2Rβγに対する野生型のIL-2ポリペプチドの受容体シグナル伝達能力よりも低い。いくつかの実施形態において、修飾されたIL-2ポリペプチドの第2の受容体シグナル伝達能力は、IL-2Rαβγに対する野生型のIL-2ポリペプチドの受容体シグナル伝達能力よりも低い。いくつかの実施形態において、修飾されたIL-2ポリペプチドはさらに、インターロイキン2αβγ受容体(IL-2Rαβγ)の活性化に結びつくIL-2ポリペプチドへのIL-2Rαサブユニットの動員の増加をもたらし、および、動員の増加は、野生型のIL-2ポリペプチドによるIL-2Rαサブユニットの動員と比較される。いくつかの実施形態において、修飾されたIL-2ポリペプチドはさらに、IL-2/IL-2Rβ複合体へのIL-2Rγサブユニットの動員の減少をもたらし、減少した動員は、野生型のIL-2RポリペプチドによるIL-2Rβサブユニットおよび/またはIL-2Rγサブユニットの動員と比較される。
【0007】
ある実施形態では、単離および修飾されたインターロイキン2(IL-2)ポリペプチドが本明細書に開示され、上記インターロイキン2(IL-2)ポリペプチドは、IL-2Rポリペプチドとインターロイキン2受容体βγ(IL-2Rβγ)との間の結合を減少させるか、IL-2/IL-2Rβ複合体へのIL-2Rγサブユニットの動員を減少させるが、インターロイキン2αβγ受容体(IL-2Rαβγ)の活性化を損なわないある位置における少なくとも1つの非天然アミノ酸を含み、減少した結合は、野生型のIL-2ポリペプチドとIL-2Rβγとの間の結合と比較され、および、減少した動員は野生型のIL-2ポリペプチドによるIL-2Rγサブユニットの動員と比較される。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの非天然アミノ酸の位置は、P2、T3、S4、S5、S6、T7、K8、K9、Q11、L12、E15、H16、L18、L19、D20、Q22、M23、N26、G27、N29、N30、Y31、K32、K35、T37、M46、K47、K48、A50、T51、E52、K53、H55、Q57、E60、E67、N71、Q74、S75、K76、N77、F78、H79、R81、P82、R83、D84、S87、N88、N89、V91、I92、L94、E95、K97、G98、S99、E100、T101、T102、F103、M104、C105、E106、Y107、A108、D109、E110、T111、A112、T113、E116、N119、R120、T123、A125、Q126、S127、S130、T131、L132、および、T133から選択され、アミノ酸残基の番号はSEQ ID NO:1に対応する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの非天然アミノ酸の位置は、K8、K9、Q11、L12、E15、H16、L18、L19、D20、Q22、M23、N26、R81、D84、S87、N88、V91、I92、L94、E95、E116、N119、R120、T123、A125、Q126、S127、S130、T131、L132、および、T133から選択され、アミノ酸残基の番号はSEQ ID NO:1に対応する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つ
の非天然アミノ酸の位置は、P2、T3、S4、S5、S6、T7、G27、N29、N30、Y31、K32、K35、T37、M46、K47、K48、A50、T51、E52、K53、H55、Q57、E60、E67、N71、Q74、S75、K76、N77、F78、H79、P82、R83、N89、K97、G98、S99、E100、T101、T102、F103、M104、C105、E106、Y107、A108、D109、E110、T111、A112、および、T113から選択され、アミノ酸残基の番号はSEQ ID NO:1に対応する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの非天然アミノ酸の位置は、K8、K9、L12、E15、H16、L19、D20、Q22、M23、N26、D84、N88、E95、および、Q126から選択され、アミノ酸残基の番号はSEQ ID NO:1に対応する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの非天然アミノ酸の位置は、K8、K9、およびH16から選択され、アミノ酸残基の番号はSEQ ID NO:1に対応する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの非天然アミノ酸の位置は、Q22、N26、N88、およびQ126から選択され、アミノ酸残基の番号はSEQ ID NO:1に対応する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの非天然アミノ酸の位置は、E15、D20、D84、およびE95から選択され、アミノ酸残基の番号はSEQ ID NO:1に対応する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの非天然アミノ酸の位置は、L12、L19、およびM23から選択され、アミノ酸残基の番号はSEQ ID NO:1に対応する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの非天然アミノ酸の位置は、Q22とN26から選択され、アミノ酸残基の番号はSEQ ID NO:1に対応する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの非天然アミノ酸の位置は、Q22であり、アミノ酸残基の番号はSEQ ID NO:1に対応する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの非天然アミノ酸の位置は、N26であり、アミノ酸残基の番号はSEQ
ID NO:1に対応する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの非天然アミノ酸は:リジンアナログであり;システインアナログあるいはヒスチジンアナログであり;芳香族側鎖を含み;アジド基を含み;あるいは、アルデヒドまたはケトン基を含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの非天然アミノ酸は芳香族側鎖を含まない。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの非天然アミノ酸は、N6-アジドエトキシ-L-リジン(AzK)、N6-プロパルギルエトキシ-L-リジン(PraK)、BCN-L-リジン、ノルボルネンリジン、TCOリジン、メチルテトラジンリジン、アリルオキシカルボニルリジン、2-アミノ-8-オキソノナン酸、2-アミノ-8-オキソオクタン酸、p-アセチル-L-フェニルアラニン、p-アジドメチル-L-フェニルアラニン(pAMF)、p-ヨード-L-フェニルアラニン、m-アセチルフェニルアラニン、2-アミノ-8-オキソノナン酸、p-プロパギルオキシフェニルアラニン、p-プロパルギル-フェニルアラニン、3-メチル-フェニルアラニン、L-ドパ、フッ素処理したフェニルアラニン、イソプロピル-L-フェニルアラニン、p-アジド-L-フェニルアラニン、p-アシル-L-フェニルアラニン、p-ベンゾイル-L-フェニルアラニン、p-ブロモフェニルアラニン、p-アミノ-L-フェニルアラニン、イソプロピル-L-フェニルアラニン、O-アリルチロシン、O-メチル-L-チロシン、O-4-アリル-L-チロシン、4-プロピル-L-チロシン、ホスホノチロシン、トリ-O-アセチル-GlcNAcp-セリン、L-ホスホセリン、ホスホノセリン、L-3-(2-ナフチル)アラニン、2-アミノ-3-((2-((3-(ベンジルオキシ)-3-オキソプロピル)アミノ)エチル)セラニル)プロパン酸、2-アミノ-3-(フェニルセラニル)プロパン、または、セレノシステインを含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの非天然アミノ酸は、直交tRNA合成酵素/tRNA対によって、修飾されたIL-2ポリペプチドに組み込まれる。いくつかの実施形態において、直交合成酵素/tRNA対の直交のtRNAは、少なくとも1つの非天然核酸塩基を含む。いくつかの実施形態において、修飾されたIL-2ポリペプチドは、少なくとも1つの非天然アミノ酸を介して抱合部分に共有結合される。いくつかの実施形態において、抱合部分は水溶性ポリマー、脂質、タンパク質、あるいはペプチドを含む。いくつかの実施形態において、水溶
性ポリマーは、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ(プロピレングリコール)(PPG)、エチレングリコールとプロピレングリコールのコポリマー、ポリ(オキシエチル化ポリオール)、ポリ(オレフィンアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリルアミド)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリラート)、ポリ(サッカライド)、ポリ(α-ヒドロキシ酸)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリホスファゼン、ポリオキサゾリン(POZ)、ポリ(N-アクリロイルモルホリン)、あるいはこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、水溶性ポリマーはPEG分子を含む。いくつかの実施形態では、PEG分子は線形PEGである。いくつかの実施形態では、PEG分子は分岐PEGである。いくつかの実施形態において、水溶性ポリマーは多糖類を含む。いくつかの実施形態において、多糖類はデキストラン、ポリシアル酸(PSA)、ヒアルロン酸(HA)、アミロース、ヘパリン、ヘパラン硫酸(HS)、デキストリン、あるいはヒドロキシエチルデンプン(HES)を含む。いくつかの実施形態では、脂質は脂肪酸を含む。いくつかの実施形態において、脂肪酸は、約6から約26の炭素原子、約6から約24の炭素原子、約6から約22の炭素原子、約6から約20の炭素原子、約6から約18の炭素原子、約20から約26の炭素原子、約12から約26の炭素原子、約12から約24の炭素原子、約12から約22の炭素原子、約12から約20の炭素原子、あるいは、約12から約18の炭素原子を含む。いくつかの実施形態では、脂肪酸は飽和脂肪酸である。いくつかの実施形態において、タンパク質は、アルブミン、トランスフェリン、あるいはトランスサイレチンを含む。いくつかの実施形態では、タンパク質は、抗体またはその結合フラグメントを含む。いくつかの実施形態において、抗体あるいはその結合フラグメントは、抗体のFc部分を含む。いくつかの実施形態において、ペプチドは、XTENペプチド、グリシンに富んだホモアミノ酸ポリマー(HAP)、PASポリペプチド、エラスチン様ポリペプチド(ELP)、CTPペプチド、あるいはゼラチン様タンパク質(GLK)ポリマーを含む。いくつかの実施形態において、抱合部分は、リンカーを介して修飾されたIL-2の少なくとも1つの非天然アミノ酸に間接的に結合する。いくつかの実施形態において、リンカーは、ホモ二機能性リンカー、ヘテロ二機能性リンカー、ゼロ長リンカー、切断あるいは非切断ジペプチドリンカー、マレイミド基、スペーサー、あるいはこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、結合の減少は、野生型IL-2ポリペプチドと比較して、IL-2Rβγに対する結合の約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、あるいはそれ以上の減少である。いくつかの実施形態において、結合の減少は、野生型IL-2ポリペプチドと比較して、IL-2Rβγに対して、約1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、30倍、50倍、100倍、200倍、300倍、400倍、500倍、1000倍、またはそれ以上である。いくつかの実施形態において、IL-2Rγサブユニット動員の減少は、野生型IL-2ポリペプチドと比較して、約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、あるいはそれ以上の減少である。いくつかの実施形態において、IL-2Rγサブユニット動員の減少は、野生型のIL-2ポリペプチドと比較して、約1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、30倍、50倍、100倍、200倍、300倍、400倍、500倍、1000倍、あるいはそれ以上である。いくつかの実施形態において、修飾されたIL-2ポリペプチドは:完全長のIL-2ポリペプチドの機能的に活性なフラグメント;組み換えIL-2ポリペプチド;あるいは、組み換えヒトIL-2ポリペプチドである。いくつかの実施形態において、修飾されたIL-2ポリペプチドは、N末端欠失、C末端欠失、あるいはこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、N末端欠失は、N末端から最初の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、あるいは30の残基の欠失を含み、ここで、残基位置は、SEQ ID NO:1の位置を基準にしている。いくつかの実施形態において、C末端欠失は、C末端から最後の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、あるいはそれ以上の残基の欠失を含み、ここで、残基位置は、SEQ ID NO:1の位置を基準にしている
。いくつかの実施形態において、機能的に活性なフラグメントは、IL-2領域10-133、20-133、30-133、10-130、20-130、30-130、10-125、20-125、30-125、1-130、あるいは1-125を含み、ここで、残基位置は、SEQ ID NO:1の位置を基準にしている。いくつかの実施形態で
は、修飾されたIL-2ポリペプチドは、SEQ ID NO:1に対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、あるいは99%の配列同一性を含む。いくつかの実施形態において、IL-2Rβγに対する結合親和性が減少した修飾されたIL-2ポリペプチドは、CD4+T制御性(Treg)細胞を拡張することができる。いくつかの実施形態において、抱合部分は、IL-2のIL-2Rβγとの結合を損なうか遮断し、あるいはIL-2/IL-2Rβ複合体へのIL-2Rγサブユニットの動員を減少させる。いくつかの実施形態において、修飾されたIL-2/IL-2Rαβγ複合体によるCD4+ Treg細胞増殖は、野生型のIL-2ポリペプチドの4+ Treg細胞増殖と同等以上である。
【0008】
ある実施形態では、インターロイキン2(IL-2)抱合体が本明細書で開示され、上記インターロイキン2(IL-2)抱合体は:単離および精製されたIL-2ポリペプチド;および、P2、T3、S4、S5、S6、T7、K8、K9、Q11、L12、E15、H16、L18、L19、D20、Q22、M23、N26、G27、N29、N30、Y31、K32、K35、T37、M46、K47、K48、A50、T51、E52、K53、H55、Q57、E60、E67、N71、Q74、S75、K76、N77、F78、H79、R81、P82、R83、D84、S87、N88、N89、V91、I92、L94、E95、K97、G98、S99、E100、T101、T102、F103、M104、C105、E106、Y107、A108、D109、E110、T111、A112、T113、E116、N119、R120、T123、A125、Q126、S127、S130、T131、L132、およびT133から選択されたアミノ酸残基において単離および精製されたIL-2ポリペプチドに結合する抱合部分を含み、アミノ酸残基の番号はSEQ ID NO:1に対応する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの非天然アミノ酸の位置は、K8、K9、Q11、L12、E15、H16、L18、L19、D20、Q22、M23、N26、R81、D84、S87、N88、V91、I92、L94、E95、E116、N119、R120、T123、A125、Q126、S127、S130、T131、L132、および、T133から選択され、アミノ酸残基の番号はSEQ ID NO:1に対応する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの非天然アミノ酸の位置は、P2、T3、S4、S5、S6、T7、G27、N29、N30、Y31、K32、K35、T37、M46、K47、K48、A50、T51、E52、K53、H55、Q57、E60、E67、N71、Q74、S75、K76、N77、F78、H79、P82、R83、N89、K97、G98、S99、E100、T101、T102、F103、M104、C105、E106、Y107、A108、D109、E110、T111、A112、および、T113から選択され、アミノ酸残基の番号はSEQ ID NO:1に対応する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの非天然アミノ酸の位置は、K8、K9、L12、E15、H16、L19、D20、Q22、M23、N26、D84、N88、E95、および、Q126から選択され、アミノ酸残基の番号はSEQ ID NO:1に対応する。いくつかの実施形態において、アミノ酸位置はK8、K9、およびH16から選択される。いくつかの実施形態において、アミノ酸位置はQ22、N26、N88、およびQ126から選択される。いくつかの実施形態において、アミノ酸位置はE15、D20、D84、およびE95から選択される。いくつかの実施形態において、アミノ酸位置はL12、L19、M23、およびF78から選択される。いくつかの実施形態において、アミノ酸位置はQ22とN26から選択される。いくつかの実施形態において、アミノ酸位置はQ22である。いくつかの実施形態において、アミノ酸位置はN26である。いく
つかの実施形態において、K8、K9、L12、E15、H16、L19、D20、Q22、M23、N26、F78、D84、N88、E95、およびQ126から選択されたアミノ酸残基は、リジン、システイン、あるいはヒスチジンにさらに変異する。いくつかの実施形態において、アミノ酸残基はシステインに変異する。いくつかの実施形態において、アミノ酸残基はリジンに変異する。いくつかの実施形態において、K8、K9、L12、E15、H16、L19、D20、Q22、M23、N26、F78、D84、N88、E95、およびQ126から選択されたアミノ酸残基は、非天然アミノ酸にさらに変異する。いくつかの実施形態において、非天然アミノ酸は、p-アセチル-L-フェニルアラニン、p-アジドメチル-L-フェニルアラニン(pAMF)、p-ヨード-L-フェニルアラニン、O-メチル-L-チロシン、p-プロパギルオキシフェニルアラニン、p-プロパルギル-フェニルアラニン、L-3-(2-ナフチル)アラニン、3-メチル-フェニルアラニン、O-4-アリル-L-チロシン、4-プロピル-L-チロシン、トリ-O-アセチル-GlcNAcp-セリン、L-ドパ、フッ素処理したフェニルアラニン、イソプロピル-L-フェニルアラニン、p-アジド-L-フェニルアラニン、p-アシル-L-フェニルアラニン、p-ベンゾイル-L-フェニルアラニン、L-ホスホセリン、ホスホノセリン、ホスホノチロシン、p-ブロモフェニルアラニン、p-アミノ-L-フェニルアラニン、あるいは、イソプロピル-L-フェニルアラニンを含む。いくつかの実施形態において、追加の変異したアミノ酸残基は、さらなる抱合部分に結合する。いくつかの実施形態において、IL-2抱合体は、野生型のIL-2ポリペプチドと比較して、IL-2受容体β(IL-2Rβ)サブユニット、IL-2受容体γ(IL-2Rγ)サブユニット、あるいはこれらの組み合わせに対する減少した親和性を有する。いくつかの実施形態において、減少した親和性は、野生型のIL-2ポリペプチドと比較して、IL-2Rβ、IL-2Rγ、あるいはこれらの組み合わせに対する結合親和性の約10%、20%、30%、40%、50%、あるいは60%の減少である。いくつかの実施形態において、結合した親和性は、野生型のIL-2ポリペプチドと比較して、約1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、あるいはそれ以上である。いくつかの実施形態において、抱合部分は、IL-2のIL-2Rβ、IL-2Rγ、あるいはこれらの組み合わせとの結合を損なうか、遮断する。いくつかの実施形態において、抱合部分は、形成されたIL-2/IL-2Rβ鎖複合体に対するIL-Rγの動員をダウンレギュレートする。いくつかの実施形態において、抱合部分は、IL-2受容体のα、β、およびγ鎖へのその親和性に影響を与えることなくポリペプチドの全身半減期を延長する。いくつかの実施形態において、抱合部分は水溶性ポリマーを含む。いくつかの実施形態において、追加の抱合部分は水溶性ポリマーを含む。いくつかの実施形態において、水溶性ポリマーの各々は独立して、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ(プロピレングリコール)(PPG)、エチレングリコールとプロピレングリコールのコポリマー、ポリ(オキシエチル化ポリオール)、ポリ(オレフィンアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリルアミド)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリラート)、ポリ(サッカライド)、ポリ(α-ヒドロキシ酸)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリホスファゼン、ポリオキサゾリン(POZ)、ポリ(N-アクリロイルモルホリン)、あるいはこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、水溶性ポリマーの各々は独立してPEGを含む。いくつかの実施形態において、PEGは線形PEGあるいは分岐PEGである。いくつかの実施形態において、水溶性ポリマーの各々は独立して多糖類を含む。いくつかの実施形態において、多糖類はデキストラン、ポリシアル酸(PSA)、ヒアルロン酸(HA)、アミロース、ヘパリン、ヘパラン硫酸(HS)、デキストリン、あるいはヒドロキシエチルデンプン(HES)を含む。いくつかの実施形態において、水溶性ポリマーの各々は独立してグリカンを含む。いくつかの実施形態において、水溶性ポリマーの各々は独立してポリアミンを含む。いくつかの実施形態において、抱合部分はタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、追加の抱合部分は、タンパク質を含む。いくつかの実施形態において、タンパク質の各々は独立して、アルブミン、トランスフェリン、あるいはトランスサイレチンを含む。いくつかの実施形態にお
いて、タンパク質の各々は独立して、Fc部分を含む。いくつかの実施形態において、タンパク質の各々は独立して、IgGのFc部分を含む。いくつかの実施形態において、抱合部分は、ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態において、追加の抱合部分はポリペプチドを含む。いくつかの実施形態において、ポリペプチドの各々は独立して、XTENペプチド、グリシンに富んだホモアミノ酸ポリマー(HAP)、PASポリペプチド、エラスチン様ポリペプチド(ELP)、CTPペプチド、あるいはゼラチン様タンパク質(GLK)ポリマーを含む。いくつかの実施形態において、単離および精製されたIL-2ポリペプチドは、グルタルミル化によって修飾される。いくつかの実施形態において、抱合部分は、単離および精製されたIL-2ポリペプチドに直接結合する。いくつかの実施形態において、抱合部分は、リンカーによって単離および精製されたIL-2ポリペプチドに間接的に結合する。いくつかの実施形態では、リンカーはホモ二機能性リンカーを含む。いくつかの実施形態では、ホモ二機能性リンカーは、Lomantの試薬ジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート)DSP、3’3’-ジチオビス(スルホスクシンイミジルプロプリオネート)(DTSSP)、ジスクシンイミジルスベリン酸塩(DSS)、ビス(スルホスクシンイミジル)スベリン酸塩(BS)、ジスクシンイミジル酒石酸塩(DST)、ジスルホスクシンイミジル酒石酸塩(スルホDST)、エチレングリコビス(スクシンイミジルスクシネート)(EGS)、ジスクシンイミジルグルタル酸塩(DSG)、N、N’-ジスクシンイミジル炭酸塩(DSC)、アジプイミド酸ジメチル(DMA)、ジメチルピメリミデートピメリミデート(DMP)、ジメチルスベリミデート(DMS)、ジメチル-3,3’-ジチオビスプロピオンイミデート(DTBP)、1,4-ジ-(3’-(2’-ピリジルジチオ)プロピオンアミド)ブタン(DPDPB)、ビスマレイミドヘキサン(BMH)、例えば、1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン、1,3-ジフルオロ-4,6-ジニトロベンゼンなどのハロゲン化アリール含有化合物(DFDNB)、4、4’-ジフルオロ-3、3’-ジニトロフェニルスルホン(DFDNPS)、ビス-[β-(4-アジドサリチルアミド)エチル]ジスルフィド(BASED)、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、1,4-ブタンジオール・ジグリシジルエーテル、アジピン酸ジヒドラジド、カルボヒドラジド、o-トルイジン、3、3’-ジメチルベンジジン、ベンジジン、α,α’-p-ジアミノジフェニル、ジヨード-p-キシレン・スルホン酸、N,N’-エチレン-ビス(ヨードアセトアミド)、あるいは、N,N’-ヘキサメチレン-ビス(ヨードアセトアミド)を含む。いくつかの実施形態では、リンカーはヘテロ二機能性リンカーを含む。いくつかの実施形態において、ヘテロ二機能性リンカーは、N-スクシンイミジル3-(2-ピリジルジチオ)プロピオン酸塩(sPDP)、長鎖N-スクシンイミジル3-(2-ピリジルジチオ)プロピオン酸塩(LC-sPDP)、水溶性の長鎖N-スクシンイミジル3-(2-ピリジルジチオ)プロピオン酸塩(スルホ-LC-sPDP)、スクシンイミジルオキシカルボニル-α-メチル-α-(2-ピリジルジチオ)トルエン(sMPT)、スルホスクシンイミジル-6-[α-メチル-α-(2-ピリジルジチオ)トルアミド]ヘキサン酸塩(スルホ-LC-sMPT)、スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボン酸塩(sMCC)、スルホスクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボン酸塩(スルホ-sMCC)、m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBs)、m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル(スルホ-MB)、N-スクシンイミジル(4-ヨードアセチル)アミノ安息香酸塩(sIAB)、スルホスクシンイミジル(4-ヨードアセチル
)アミノ安息香酸塩(スルホ-sIAB)、スクシンイミジル-4-(p-マレイミドフェニル)酪酸塩(sMPB)、スルホスクシンイミジル-4-(p-マレイミドフェニル)酪酸塩(スルホ-sMPB)、N-(γ-マレイミドブチルオキシ)スクシンイミドエステル(GMBs)、N-(γ-マレイミドブチルオキシ)スルホスクシンイミドエステル(スルホ-GMBs)、スクシンイミジル6-((ヨードアセチル)アミノ)ヘキサン酸塩(sIAX)、スクシンイミジル6-[6-((ヨードアセチル)アミノ)ヘキサノ
イル)アミノ]ヘキサン酸塩(sIAXX)、スクシンイミジル-4-((ヨードアセチル)アミノ)メチル)シクロヘキサン-1-カルボン酸塩(sIAC)、スクシンイミジル6-(((((4-ヨードアセチル)アミノ)メチル)シクロヘキサン-1-カルボニル)アミノ)ヘキサン酸塩(sIACX)、p-ニトロフェニルヨード酢酸(NPIA)、カルボニル反応性およびスルフヒドリル反応性の架橋剤、例えば、4-(4-N-マレイミドフェニル)酪酸ヒドラジド(MPBH)、4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシル-ヒドラジド-8(M2C2H)、3-(2-ピリジルジチオ)プロピオニルヒドラジド(PDPH)、N-ヒドロキシスクシンイミジル-4-アジドサリチル酸(NH-AsA)、N-ヒドロキシスルホスクシンイミジル-4-アジドサリチル酸(スルホ-NH-AsA)、スルホスクシンイミジル-(4-アジドサリチルアミド)ヘキサン酸塩(スルホ-NH-LC-AsA)、スルホスクシンイミジル-2-(ρ-アジドサリチルアミド)エチル-1,3’-ジチオプロピオン酸塩(sAsD)、N-ヒドロキシスクシンイミジル-4-アジド安息香酸塩(HsAB)、N-ヒドロキシスルホスクシンイミジル-4-アジド安息香酸塩(スルホ-HsAB)、N-スクシンイミジル-6-(4’-アジド-2’-ニトロフェニルアミノ)ヘキサン酸塩(sANPAH)、スルホスクシンイミジル-6-(4’-アジド-2’-ニトロフェニルアミノ)ヘキサン酸塩(スルホ-sANPAH)、N-5-アジド-2-ニトロベンゾイルオキシスクシンイミド(ANB-NOs)、スルホスクシンイミジル-2-(m-アジド-o-ニトロベンズアミド)-エチル-1,3’-ジチオプロピオン酸塩(sAND)、N-スクシンイミジル-4(4-アジドフェニル)1,3’-ジチオプロピオン酸塩(sADP)、N-スルホスクシンイミジル(4-アジドフェニル)-1,3’-ジチオプロピオン酸塩(スルホ-sADP)、スルホスクシンイミジル 4-(ρ-アジドフェニル)酪酸塩(スルホ-sAPB)、スルホスクシンイミジル 2-(7-アジド-4-メチルクマリン-3-アセトアミド)エチル-1,3’-ジチオプロピオン酸塩(sAED)、スルホスクシンイミジル 7-アジド-4-メチルクマリン-3-酢酸塩(スルホ-sAMCA)、ρ-ニトロフェニルジアゾピルバート(ρNPDP)、ρ-ニトロフェニル-2-ジアゾ-3,3,3-トリフルオロプロピオン酸塩(PNP-DTP)、1-(ρ-アジドサリチルアミド)-4-(ヨードアセトアミド)ブタン(AsIB)、N-[4-(ρ-アジドサリチルアミド)ブチル]-3’-(2’-ピリジルジチオ)プロピオンアミド(APDP)、ベンゾフェノン-4-ヨードアセトアミド、ρ-アジドベンゾイルヒドラジド(ABH)、4-(ρ-アジドサリチルアミド)ブチルアミン(AsBA)、あるいはρ-アジドフェニルグリオキサール(APG)を含む。いくつかの実施形態において、リンカーは、ジペプチドリンカーを随意に含む切断リンカーを含む。いくつかの実施形態において、ジペプチドリンカーは、Val-Cit、Phe-Lys、Val-Ala、あるいはVal-Lysを含む。いくつかの実施形態において、リンカーは非切断可能なリンカーを含む。いくつかの実施形態において、リンカーは、マレイミドカプロイル(mc)、スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシラート(sMCC)、あるいはスルホスクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシラート(スルホ-sMCC)を随意に含む、マレイミドメチル基を含む。いくつかの実施形態において、リンカーはさらにスペーサーを含む。いくつかの実施形態において、スペーサーは、p-アミノベンジルアルコール(PAB)、p-アミノベンジルオキシカルボニル(PABC)、誘導体、またはそれらのアナログを含む。いくつかの実施形態において、抱合部分は、IL-2抱合体の血清半減期を拡張することができる。いくつかの実施形態において、追加の抱合部分は、IL-2抱合体の血清半減期を拡張することができる。
【0009】
ある実施形態では、インターロイキン2(IL-2)抱合体が本明細書で開示され、上記インターロイキン2(IL-2)抱合体は:単離および精製されたIL-2ポリペプチド;および、抱合部分を含み;ここで、IL-2抱合体は、野生型のIL-2ポリペプチドと比較して、IL-2受容体β(IL-2Rβ)サブユニット、IL-2受容体γ(I
L-2Rγ)サブユニット、あるいはこれらの組み合わせに対する減少した親和性を有する。いくつかの実施形態において、抱合部分は、IL-2RβあるいはIL-2Rγと相互作用するアミノ酸残基に結合する。いくつかの実施形態において、抱合部分は、K8、K9、Q11、L12、E15、H16、L18、L19、D20、Q22、M23、N26、R81、D84、S87、N88、V91、I92、L94、E95、E116、N119、R120、T123、A125、Q126、S127、S130、T131、L132、および、T133から選択されたアミノ酸残基に結合し、アミノ酸残基の番号はSEQ ID NO:1に対応する。いくつかの実施形態において、抱合部分は水溶性ポリマーを含む。いくつかの実施形態において、追加の抱合部分は水溶性ポリマーを含む。いくつかの実施形態において、水溶性ポリマーの各々は独立して、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ(プロピレングリコール)(PPG)、エチレングリコールとプロピレングリコールのコポリマー、ポリ(オキシエチル化ポリオール)、ポリ(オレフィンアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリルアミド)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリラート)、ポリ(サッカライド)、ポリ(α-ヒドロキシ酸)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリホスファゼン、ポリオキサゾリン(POZ)、ポリ(N-アクリロイルモルホリン)、あるいはこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、水溶性ポリマーの各々は独立してPEGを含む。いくつかの実施形態において、PEGは線形PEGあるいは分岐PEGである。いくつかの実施形態において、水溶性ポリマーの各々は独立して多糖類を含む。いくつかの実施形態において、多糖類はデキストラン、ポリシアル酸(PSA)、ヒアルロン酸(HA)、アミロース、ヘパリン、ヘパラン硫酸(HS)、デキストリン、あるいはヒドロキシエチルデンプン(HES)を含む。いくつかの実施形態において、水溶性ポリマーの各々は独立してグリカンを含む。いくつかの実施形態において、水溶性ポリマーの各々は独立してポリアミンを含む。いくつかの実施形態において、抱合部分はタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、追加の抱合部分は、タンパク質を含む。いくつかの実施形態において、タンパク質の各々は独立して、アルブミン、トランスフェリン、あるいはトランスサイレチンを含む。いくつかの実施形態において、タンパク質の各々は独立して、Fc部分を含む。いくつかの実施形態において、タンパク質の各々は独立して、IgGのFc部分を含む。いくつかの実施形態において、抱合部分は、ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態において、追加の抱合部分はポリペプチドを含む。いくつかの実施形態において、ポリペプチドの各々は独立して、XTENペプチド、グリシンに富んだホモアミノ酸ポリマー(HAP)、PASポリペプチド、エラスチン様ポリペプチド(ELP)、CTPペプチド、あるいはゼラチン様タンパク質(GLK)ポリマーを含む。いくつかの実施形態において、単離および精製されたIL-2ポリペプチドは、グルタルミル化によって修飾される。いくつかの実施形態において、抱合部分は、単離および精製されたIL-2ポリペプチドに直接結合する。いくつかの実施形態において、抱合部分は、リンカーによって単離および精製されたIL-2ポリペプチドに間接的に結合する。いくつかの実施形態では、リンカーはホモ二機能性リンカーを含む。いくつかの実施形態では、ホモ二機能性リンカーは、Lomantの試薬ジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート)DSP、3’3’-ジチオビス(スルホスクシンイミジルプロプリオネート)(DTSSP)、ジスクシンイミジルスベリン酸塩(DSS)、ビス(スルホスクシンイミジル)スベリン酸塩(BS)、ジスクシンイミジル酒石酸塩(DST)、ジスルホスクシンイミジル酒石酸塩(スルホDST)、エチレングリコビス(スクシンイミジルスクシネート)(EGS)、ジスクシンイミジルグルタル酸塩(DSG)、N、N’-ジスクシンイミジル炭酸塩(DSC)、アジプイミド酸ジメチル(DMA)、ジメチルピメリミデートピメリミデート(DMP)、ジメチルスベリミデート(DMS)、ジメチル-3,3’-ジチオビスプロピオンイミデート(DTBP)、1,4-ジ-(3’-(2’-ピリジルジチオ)プロピオンアミド)ブタン(DPDPB)、ビスマレイミドヘキサン(BMH)、例えば、1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン、1,3-ジフルオロ-4,6-ジニトロベンゼンなどのハロゲン化アリール含有化合物(DFDNB)、4、4’-ジフルオロ-3、3’-ジ
ニトロフェニルスルホン(DFDNPS)、ビス-[β-(4-アジドサリチルアミド)エチル]ジスルフィド(BASED)、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、1,4-ブタンジオール・ジグリシジルエーテル、アジピン酸ジヒドラジド、カルボヒドラジド、o-トルイジン、3、3’-ジメチルベンジジン、ベンジジン、α,α’-p-ジアミノジフェニル、ジヨード-p-キシレン・スルホン酸、N,N’-エチレン-ビス(ヨードアセトアミド)、あるいは、N,N’-ヘキサメチレン-ビス(ヨードアセトアミド)を含む。いくつかの実施形態では、リンカーはヘテロ二機能性リンカーを含む。いくつかの実施形態において、ヘテロ二機能性リンカーは、N-スクシンイミジル3-(2-ピリジルジチオ)プロピオン酸塩(sPDP)、長鎖N-スクシンイミジル3-(2-ピリジルジチオ)プロピオン酸塩(LC-sPDP)、水溶性の長鎖N-スクシンイミジル3-(2-ピリジルジチオ)プロピオン酸塩(スルホ-LC-sPDP)、スクシンイミジルオキシカルボニル-α-メチル-α-(2-ピリジルジチオ)トルエン(sMPT)、スルホスクシンイミジル-6-[α-メチル-α-(2-ピリジルジチオ)トルアミド]ヘキサン酸塩(スルホ-LC-sMPT)、スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボン酸塩(sMCC)、スルホスクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボン酸塩(スルホ-sMCC)、m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBs)、m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル(スルホ-MB)、N-スクシンイミジル(4-ヨードアセチル)アミノ安息香酸塩(sIAB)、スルホスクシンイミジル(4-ヨードアセチル)アミノ安息香酸塩(スルホ-sIAB)、スクシンイミジル-4-(p-マレイミドフェニル)酪酸塩(sMPB)、スルホスクシンイミジル-4-(p-マレイミドフェニル)酪酸塩(スルホ-sMPB)、N-(γ-マレイミドブチルオキシ)スクシンイミドエステル(GMBs)、N-(γ-マレイミドブチルオキシ)スルホスクシンイミドエステル(スルホ-GMBs)、スクシンイミジル6-((ヨードアセチル)アミノ)ヘキサン酸塩(sIAX)、スクシンイミジル6-[6-((ヨードアセチル)アミノ)ヘキサノイル)アミノ]ヘキサン酸塩(sIAXX)、スクシンイミジル-4-((ヨードアセチル)アミノ)メチル)シクロヘキサン-1-カルボン酸塩(sIAC)、スクシンイミジル6-(((((4-ヨードアセチル)アミノ)メチル)シクロヘキサン-1-カルボニル)アミノ)ヘキサン酸塩(sIACX)、p-ニトロフェニルヨード酢酸(NPIA)、カルボニル反応性およびスルフヒドリル反応性の架橋剤、例えば、4-(4-N-マレイミドフェニル)酪酸ヒドラジド(MPBH)、4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシル-ヒドラジド-8(M2C2H)、3-(2-ピリジルジチオ)プロピオニルヒドラジド(PDPH)、N-ヒドロキシスクシンイミジル-4-アジドサリチル酸(NH-AsA)、N-ヒドロキシスルホスクシンイミジル-4-アジドサリチル酸(スルホ-NH-AsA)、スルホスクシンイミジル-(4-アジドサリチルアミド)ヘキサン酸塩(スルホ-NH-LC-AsA)、スルホスクシンイミジル-2-(ρ-アジドサリチルアミド)エチル-1,3’-ジチオプロピオン酸塩(sAsD)、N-ヒドロキシスクシンイミジル-4-アジド安息香酸塩(HsAB)、N-ヒドロキシスルホスクシンイミジル-4-アジド安息香酸塩(スルホ-HsAB)、N-スクシンイミジル-6-(4’-アジド-2’-ニトロフェニルアミノ)ヘキサン酸塩(sANPAH)、スルホスクシンイミジル-6-(4’-アジド-2’-ニトロフェニルアミノ)ヘキサン酸塩(スルホ-sANPAH)、N-5-アジド-2-ニトロベンゾイルオキシスクシンイミド(ANB-NOs)、スルホスクシンイミジル-2-(m-アジド-o-ニトロベンズアミド)-エチル-1,3’-ジチオプロピオン酸塩(sAND)、N-スクシンイミジル-4(4-アジドフェニル)1,3’-ジチオプロピオン酸塩(sADP)、N-スルホスクシンイミジル(4-アジドフェニル)-1,3’-ジチオプロピオン酸塩(スルホ-sADP)、スルホスクシンイミジル 4-(ρ-アジドフェニル)酪酸塩(スルホ-sAPB)、スルホスクシンイミジル 2-(7-アジド-4-メチルクマリン-3-アセトアミド)エチル-1,3’-ジチオプロピオン酸塩(sAED)、スルホスクシンイミジル 7-アジド-4-メチルクマリン-3-
酢酸塩(スルホ-sAMCA)、ρ-ニトロフェニルジアゾピルバート(ρNPDP)、ρ-ニトロフェニル-2-ジアゾ-3,3,3-トリフルオロプロピオン酸塩(PNP-DTP)、1-(ρ-アジドサリチルアミド)-4-(ヨードアセトアミド)ブタン(AsIB)、N-[4-(ρ-アジドサリチルアミド)ブチル]-3’-(2’-ピリジルジチオ)プロピオンアミド(APDP)、ベンゾフェノン-4-ヨードアセトアミド、ρ-アジドベンゾイルヒドラジド(ABH)、4-(ρ-アジドサリチルアミド)ブチルアミン(AsBA)、あるいはρ-アジドフェニルグリオキサール(APG)を含む。いくつかの実施形態において、リンカーは、ジペプチドリンカーを随意に含む切断リンカーを含む。いくつかの実施形態において、ジペプチドリンカーは、Val-Cit、Phe-Lys、Val-Ala、あるいはVal-Lysを含む。いくつかの実施形態において、リンカーは非切断可能なリンカーを含む。いくつかの実施形態において、リンカーは、マレイミドカプロイル(mc)、スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシラート(sMCC)、あるいはスルホスクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシラート(スルホ-sMCC)を随意に含む、マレイミドメチル基を含む。いくつかの実施形態において、リンカーはさらにスペーサーを含む。いくつかの実施形態において、スペーサーは、p-アミノベンジルアルコール(PAB)、p-アミノベンジルオキシカルボニル(PABC)、誘導体、またはそれらのアナログを含む。いくつかの実施形態において、抱合部分は、IL-2抱合体の血清半減期を拡張することができる。いくつかの実施形態において、追加の抱合部分は、IL-2抱合体の血清半減期を拡張することができる。
【0010】
ある実施形態において、医薬組成物が本明細書に開示され、上記医薬組成物は、上記のIL-2抱合体;および、薬学的に許容可能な賦形剤を含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は非経口投与用に製剤化される。
【0011】
ある実施形態では、被験体の自己免疫疾患または障害を処置する方法が本明細書に開示され、上記方法は、治療上有効な量の上記のIL-2抱合体を被験体に投与する工程を含む。いくつかの実施形態において、自己免疫疾患または障害は、円形脱毛症、自己免疫溶血性貧血、自己免疫性肝炎、皮膚筋炎、1型糖尿病、若年性特発性関節炎、糸球体腎炎、グレーブス病、ギラン・バレー症候群、特発性血小板減少性紫斑病、重症筋無力症、多発性硬化症、天疱瘡/類天疱瘡、悪性貧血、結節性多発性動脈炎、多発性筋炎、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、関節リウマチ、強皮症、シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス、甲状腺炎、ブドウ膜炎、白斑、あるいはヴェーゲナー肉芽腫症を含む。いくつかの実施形態では、方法はさらに、追加の治療薬を投与する工程を含む。いくつかの実施形態において、IL-2抱合体と追加の治療剤は同時に投与される。いくつかの実施形態において、IL-2抱合体と追加の治療剤は順次投与される。いくつかの実施形態において、IL-2抱合体は追加の治療剤の前に投与される。いくつかの実施形態において、IL-2抱合体は追加の治療剤の投与後に投与される。いくつかの実施形態では、被験体はヒトである。
【0012】
ある実施形態では、制御性T(Treg)細胞集団を拡張する方法が本明細書に開示され、上記方法は:(a)細胞を上記IL-2抱合体に接触させる工程;および、(b)IL-2/IL-2Rβγ複合体を形成するために、IL-2抱合体をIL-2Rα、IL-2Rβ、およびIL-2Rγのサブユニットと相互作用させる工程を含み;ここで、IL-2抱合体は、IL-2Rβおよび/またはIL-2Rγサブユニットに対する減少した親和性を有するか、IL-2/IL-2Rβ複合体へのIL-2Rγサブユニットの動員をダウンレギュレートするか、IL-2と同様の効力を、そのα、β、およびγ受容体サブユニットにおいて保持するが、その半減期を延長させ、および、ここで、IL-2/IL-2Rαβγ複合体は、Treg細胞の拡張を、同様に、あるいは未変性のIL-2よりも強力に刺激する。
【0013】
ある実施形態では、上記のIL-2抱合体を含むキット;あるいは、上記のIL-2抱合体を含む医薬組成物が本明細書に開示される。いくつかの実施形態において、上記のIL-2ポリペプチドをコードするポリ核酸分子を含むキットも本明細書に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明の新規な特徴はとりわけ添付の請求項で説明される。本発明の特徴および利点のより良い理解は、本発明の原理が用いられる例示的実施形態を説明する以下の詳細な説明と、以下の添付図面とを引用することによって得られるであろう。
図1】典型的な非天然アミノ酸を示す。この図はYoung et al.,“Beyond the canonical 20 amino acids: expanding the genetic lexicon,” J. of Biological Chemistry 285(15): 11039-11044 (2010)の図2を変更したものである。
図2A】典型的な非天然アミノ酸を例証する。図2Aは典型的なリジン誘導体を例証する。
図2B】典型的な非天然アミノ酸を例証する。図2Bは典型的なフェニルアラニン誘導体を例証する。
図3A】典型的な非天然アミノ酸を例証する。これらの非天然アミノ酸(UAA)は、タンパク質(図3A-UAA番号1-42;図3B-UAA番号43-89;図3C-UAA番号90-128;図3D-UAA番号129-167)中で遺伝学的にコードされた。図3A図3Dは、Dumas et al., Chemical Science 2015, 6, 50-69の表1から採用される。
図3B】典型的な非天然アミノ酸を例証する。これらの非天然アミノ酸(UAA)は、タンパク質(図3A-UAA番号1-42;図3B-UAA番号43-89;図3C-UAA番号90-128;図3D-UAA番号129-167)中で遺伝学的にコードされた。図3A図3Dは、Dumas et al.,Chemical Science 2015, 6, 50-69の表1から採用される。
図3C】典型的な非天然アミノ酸を例証する。これらの非天然アミノ酸(UAA)は、タンパク質(図3A-UAA番号1-42;図3B-UAA番号43-89;図3C-UAA番号90-128;図3D-UAA番号129-167)中で遺伝学的にコードされた。図3A図3Dは、Dumas et al.,Chemical Science 2015, 6, 50-69の表1から採用される。
図3D】典型的な非天然アミノ酸を例証する。これらの非天然アミノ酸(UAA)は、タンパク質(図3A-UAA番号1-42;図3B-UAA番号43-89;図3C-UAA番号90-128;図3D-UAA番号129-167)中で遺伝学的にコードされた。図3A図3Dは、Dumas et al.,Chemical Science 2015, 6, 50-69の表1から採用される。
図4A】ヒトLRS初代細胞におけるpSTAT5シグナル伝達(図4A)に関する例示的なIL-2変異体とマウスCTLL-2集団における増殖反応(図4B)の用量反応曲線を示す。
図4B】ヒトLRS初代細胞におけるpSTAT5シグナル伝達(図4A)に関する例示的なIL-2変異体とマウスCTLL-2集団における増殖反応(図4B)の用量反応曲線を示す。
図5】2つの異なる濃度の例示的なIL-2分子K35_30kDの増強されたPKプロファイルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
サイトカインは、細胞シグナル伝達タンパク質のファミリー、例えば、ケモカイン、インターフェロン、インターロイキン、リンホカイン、腫瘍壊死因子、および、先天性なら
びに適応性の免疫細胞ホメオスタシスにおいて複数の役割を果たす他の成長因子を含む。サイトカインは、免疫細胞、例えば、マクロファージ、Bリンパ球、Tリンパ球、および、マスト細胞、内皮細胞、線維芽細胞、ならびに様々な間質細胞によって産生される。いくつかの例では、サイトカインは、体液性応答と細胞ベースの免疫応答との間の平衡を調節する。
【0016】
インターロイキンは、Tリンパ球とBリンパ球の発達と分化、単球血統の細胞、好中球、好塩基性細胞、好酸球、巨核球、および造血細胞を調節するシグナル伝達タンパク質である。インターロイキンは、ヘルパーCD4 TおよびBリンパ球、単球、マクロファージ、内皮細胞、ならびに他の組織常在物(tissue residents)によって産生される。場合によっては、約15のインターロイキン、インターロイキン1-13、インターロイキン15、およびインターロイキン17がある。
【0017】
インターロイキン2(IL-2)は、その構造が15.5kDaの4つのα-ヘリックスバンドルを含む多面発現性の1型サイトカインである。IL-2の前駆体形態は、長さが153アミノ酸残基であり、最初の20のアミノ酸がシグナルペプチドを形成し、残基21-153が成熟した形態を形成する。IL-2は主として抗原刺激後にCD4+ T細胞によって産生され、程度は少ないが、CD8+細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、およびNKT(NKT)細胞、活性化樹状細胞(DC)、ならびにマスト細胞によって産生される。IL-2シグナル伝達は、IL-2受容体(IL-2R)サブユニットの特定の組み合わせ、IL-2Rα(CD25としても知られている)、IL-2Rβ(CD122としても知られている)、およびIL-2Rγ(CD132としても知られている)との相互作用によって生じる。IL-2のIL-2Rαとの相互作用は、約10-8MのKの「低親和性」のIL-2受容体複合体を形成する。IL-2のIL-2RβおよびIL-2Rγとの相互作用は、約10-9MのKの「中程度親和性」のIL-2受容体複合体を形成する。IL-2の3つすべてのサブユニット、IL-2Rα、IL-2Rβ、およびIL-2Rγとの相互作用は、約10-11Mよりも大きなKの「高親和性」のIL-2受容体複合体を形成する。
【0018】
いくつかの例では、「高親和性」IL-2Rαβγ複合体を介するIL-2シグナル伝達は、制御性T細胞の活性化と増殖を調節する。制御性T細胞あるいはCD4+CD25+Foxp3+制御性T(Treg)細胞は、エフェクター細胞、例えば、CD8+ T細胞、ヘルパー細胞、例えば、CD4+ Th1、Th2、および、Th17細胞、B細胞、NK細胞、ならびにNKT細胞の抑制による免疫ホメオスタシスの維持を媒介する。いくつかの例では、Treg細胞は、胸腺から生成される(tTreg細胞)か、あるいは、末梢のナイーブT細胞から誘発される(pTreg細胞)。場合によっては、Treg細胞は、末梢性寛容のメディエーターとみなされる。実際に、ある研究では、CD25枯渇末梢性CD4+ T細胞の移動は、ヌードマウスにおいて様々な自己免疫疾患を引き起こし、その一方で、CD4+CD25+ T細胞の同時移動は、自己免疫の発達を抑制した(Sakaguchi, et al.,“Immunologic self-tolerance maintained by activated T cells
expressing IL-2 receptor alpha-chains (CD25),”J.Immunol.155(3):1151-1164 (1995))。Treg細胞集団の増強は、エフェクターT細胞増殖をダウンレギュレートし、自己免疫とT細胞の非腫瘍性反応を抑える。
【0019】
ある実施形態では、サイトカイン/サイトカイン受容体シグナル伝達を介するリンパ球(例えば、制御性T細胞)の特徴的な集団を選択的にアップレギュレートする方法が本明細書に開示される。いくつかの例では、サイトカインはインターロイキンを含む。場合によっては、サイトカインは、サイトカイン抱合体、例えば、インターロイキン抱合体、イ
ンターフェロン抱合体、腫瘍壊死因子抱合体である。さらなる場合において、本明細書に記載される1つ以上のサイトカイン抱合体を含む医薬組成物とキットが本明細書に記載される。
【0020】
いくつかの実施形態において、IL-2/IL-2Rシグナル伝達を介してTreg集団を選択的にアップレギュレートする方法も本明細書に記載される。いくつかの例では、IL-2はIL-2抱合体であり、野生型のIL-2に対してIL-2Rαβγ複合体内でIL-2RβとIL-2Rγの弱体化した相互作用を有するか、IL-2/IL-2Rβ複合体へのIL-2Rγサブユニットの動員をダウンレギュレートするか、IL-2と同様の効力を、そのα、β、およびγ受容体サブユニットにおいて保持するが、その半減期を延長させる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるIL-2抱合体の使用によって自己免疫疾患を処置する方法が本明細書に記載される。さらなる実施形態において、本明細書に記載される1つ以上のIL-2抱合体を含む医薬組成物とキットが本明細書に記載される。
【0021】
サイトカイン抱合体
いくつかの実施形態において、サイトカイン抱合体が本明細書に記載される。いくつかの例では、サイトカインは、インターロイキン、腫瘍壊死因子、インターフェロン、ケモカイン、あるいはリンホカインを含む。いくつかの例では、サイトカインは、インターロイキンである。場合によっては、サイトカインはインターフェロンである。さらなる場合において、サイトカインは腫瘍壊死因子である。
【0022】
いくつかの実施形態において、インターロイキン抱合体が本明細書に記載される。典型的なインターロイキンとしては、限定されないが、インターロイキン1β(IL-1β)、インターロイキン2(IL-2)、インターロイキン7(IL-7)、インターロイキン10(IL-10)、インターロイキン12(IL-12)、インターロイキン15(IL-15)、インターロイキン18(IL-18)、およびインターロイキン21(IL-21)が挙げられる。いくつかの例では、インターロイキンがIL-1β、IL-2、IL-7、IL-10、IL-12、IL-15、IL-18、およびIL-21から選択されるインターロイキン抱合体が本明細書に記載される。
【0023】
IL-2抱合体
いくつかの実施形態において、アミノ酸位置で修飾されたIL-2抱合体が本明細書に記載される。いくつかの例では、IL-2ポリペプチドは、単離および精製されたIL-2ポリペプチドである。いくつかの例では、IL-2ポリペプチドは、哺乳動物IL-2、例えば、げっ歯類IL-2タンパク質あるいはヒトIL-2タンパク質である。場合によっては、IL-2ポリペプチドはヒトIL-2タンパク質である。場合によっては、IL-2ポリペプチドは、SEQ ID NO:1に対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、あるいは99%の配列同一性を含む。場合によっては、IL-2ポリペプチドは、SEQ ID NO:1の配列を含む。場合によっては、IL-2ポリペプチドは、SEQ ID NO:1の配列からなる。さらなる場合には、IL-2ポリペプチドは、SEQ ID NO:2に対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、あるいは99%の配列同一性を含む。さらなる場合には、IL-2ポリペプチドは、SEQ ID NO:2の配列を含む。さらなる場合には、IL-2ポリペプチドは、SEQ ID NO:2の配列からなる。
【0024】
いくつかの例では、IL-2ポリペプチドは切断された変異体である。いくつかの例では、切断はN末端欠失である。他の例では、切断はC末端欠失である。さらなる例では、切断はN末端とC末端欠失の両方を含む。例えば、切断は、N末端あるいはC末端のいずれか、または、N末端とC末端の両方からの少なくともあるいは約1、2、3、4、5、
6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、あるいはそれ以上の残基の欠失であり得る。場合によっては、IL-2ポリペプチドは、少なくともあるいは約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、あるいはそれ以上の残基のN末端欠失を含む。場合によっては、IL-2ポリペプチドは、少なくともあるいは約1、2、3、4、5、6、7、8、9、あるいは10の残基のN末端欠失を含む。場合によっては、IL-2ポリペプチドは、少なくともあるいは約2の残基のN末端欠失を含む。場合によっては、IL-2ポリペプチドは、少なくともあるいは約3の残基のN末端欠失を含む。場合によっては、IL-2ポリペプチドは、少なくともあるいは約4の残基のN末端欠失を含む。場合によっては、IL-2ポリペプチドは、少なくともあるいは約5の残基のN末端欠失を含む。場合によっては、IL-2ポリペプチドは、少なくともあるいは約6の残基のN末端欠失を含む。場合によっては、IL-2ポリペプチドは、少なくともあるいは約7の残基のN末端欠失を含む。場合によっては、IL-2ポリペプチドは、少なくともあるいは約8の残基のN末端欠失を含む。場合によっては、IL-2ポリペプチドは、少なくともあるいは約9の残基のN末端欠失を含む。場合によっては、IL-2ポリペプチドは、少なくともあるいは約10の残基のN末端欠失を含む。
【0025】
いくつかの実施形態において、IL-2ポリペプチドは機能的に活性なフラグメントである。場合によっては、機能的に活性なフラグメントは、IL-2領域10-133、20-133、30-133、10-130、20-130、30-130、10-125、20-125、30-125、1-130、あるいは1-125を含み、ここで、残基位置は、SEQ ID NO:1の位置を基準にしている。場合によっては、機能的に活性なフラグメントはIL-2領域10-133を含み、ここで、残基位置は、SEQ ID NO:1の位置を基準にしている。場合によっては、機能的に活性なフラグメントはIL-2領域20-133を含み、ここで、残基位置は、SEQ ID NO:1の位置を基準にしている。場合によっては、機能的に活性なフラグメントはIL-2領域30-133を含み、ここで、残基位置は、SEQ ID NO:1の位置を基準にしている。場合によっては、機能的に活性なフラグメントはIL-2領域10-125を含み、ここで、残基位置は、SEQ ID NO:1の位置を基準にしている。場合によっては、機能的に活性なフラグメントはIL-2領域20-125を含み、ここで、残基位置は、SEQ ID NO:1の位置を基準にしている。場合によっては、機能的に活性なフラグメントはIL-2領域1-130を含み、ここで、残基位置は、SEQ ID NO:1の位置を基準にしている。場合によっては、機能的に活性なフラグメントはIL-2領域1-125を含み、ここで、残基位置は、SEQ ID NO:1の位置を基準にしている。
【0026】
いくつかの実施形態において、単離および精製されたIL-2ポリペプチドと抱合部分を含む上記のIL-2抱合体は、野生型のIL-2ポリペプチドと比較して、IL-2受容体β(IL-2Rβ)サブユニット、IL-2受容体γ(IL-2Rγ)サブユニット、あるいはこれらの組み合わせに対する減少した親和性を有する。いくつかの実施形態において、IL-2抱合体は、野生型のIL-2ポリペプチドと比較して、IL-2/IL-2Rβ複合体に対して減少したIL-2Rγサブユニット動員を有する。場合によっては、抱合部分は、IL-2Rγ(例えば、IL-2/IL-2Rβ界面で)と、IL-2Rβ(例えば、IL-2/IL-2Rβ界面で)と、あるいはこれらの組み合わせと相互作用するアミノ酸残基に結合する。場合によっては、抱合部分は、IL-2/IL-2Rβ界面、IL-2/IL-2Rβ界面、あるいはIL-2Rβγ界面に近接するアミノ酸残基に結合する。場合によっては、アミノ酸残基は、IL-2/IL-2Rβ界面、IL-2/IL-2Rβ界面、あるいはIL-2Rβγ界面から、約5Å、約10Å、あるいは約20Å離れている。本明細書で使用されるように、IL-2/IL-2Rβ界面、IL-2/IL-2Rβ界面、あるいはIL-2Rβγ界面に含まれるIL-2の残基は、
IL-2Rβサブユニット、IL-2Rγサブユニットからの残基と、あるいはIL-2Rβγ界面の残基と、疎水的相互作用、水素結合、あるいはイオン相互作用を形成する。
【0027】
いくつかの例では、抱合部分は、アミノ酸位置P2、T3、S4、S5、S6、T7、K8、K9、Q11、L12、E15、H16、L18、L19、D20、Q22、M23、N26、G27、N29、N30、Y31、K32、K35、T37、M46、K47、K48、A50、T51、E52、K53、H55、Q57、E60、E67、N71、Q74、S75、K76、N77、F78、H79、R81、P82、R83、D84、S87、N88、N89、V91、I92、L94、E95、K97、G98、S99、E100、T101、T102、F103、M104、C105、E106、Y107、A108、D109、E110、T111、A112、T113、E116、N119、R120、T123、A125、Q126、S127、S130、T131、L132、およびT133から選択されたアミノ酸残基に結合し、アミノ酸残基の番号はSEQ
ID NO:1に対応する。いくつかの実施形態において、アミノ酸位置は、K8、K9、Q11、L12、E15、H16、L18、L19、D20、Q22、M23、N26、R81、D84、S87、N88、V91、I92、L94、E95、E116、N119、R120、T123、A125、Q126、S127、S130、T131、L132、および、T133から選択される。いくつかの例では、アミノ酸位置は、P2、T3、S4、S5、S6、T7、G27、N29、N30、Y31、K32、K35、T37、M46、K47、K48、A50、T51、E52、K53、H55、Q57、E60、E67、N71、Q74、S75、K76、N77、F78、H79、P82、R83、N89、K97、G98、S99、E100、T101、T102、F103、M104、C105、E106、Y107、A108、D109、E110、T111、A112、および、T113から選択される。いくつかの実施形態において、アミノ酸位置は、K8、K9、L12、E15、H16、L19、D20、Q22、M23、N26、D84、N88、E95、および、Q126から選択される。いくつかの例では、アミノ酸位置はK8、K9、およびH16から選択される。いくつかの例では、アミノ酸位置はQ22、N26、N88、およびQ126から選択される。いくつかの例では、アミノ酸位置はE15、D20、D84、およびE95から選択される。いくつかの例では、アミノ酸位置はL12、L19、およびM23から選択される。いくつかの例では、アミノ酸位置はQ22とN26から選択される。場合によっては、アミノ酸位置はK8である。場合によっては、アミノ酸位置はK9である。場合によっては、アミノ酸位置はQ11である。場合によっては、アミノ酸位置はL12である。場合によっては、アミノ酸位置はE15である。場合によっては、アミノ酸位置はH16である。場合によっては、アミノ酸位置はL18である。場合によっては、アミノ酸位置はL19である。場合によっては、アミノ酸位置はD20である。場合によっては、アミノ酸位置はQ22である。場合によっては、アミノ酸位置はM23である。場合によっては、アミノ酸位置はN26である。場合によっては、アミノ酸位置はR81である。場合によっては、アミノ酸位置はD84である。場合によっては、アミノ酸位置はS87である。場合によっては、アミノ酸位置はN88である。場合によっては、アミノ酸位置はV91である。場合によっては、アミノ酸位置はI92である。場合によっては、アミノ酸位置はL94である。場合によっては、アミノ酸位置はE95である。場合によっては、アミノ酸位置はE116である。場合によっては、アミノ酸位置はN119である。場合によっては、アミノ酸位置はR120である。場合によっては、アミノ酸位置はT123である。場合によっては、アミノ酸位置はA125である。場合によっては、アミノ酸位置はQ126である。場合によっては、アミノ酸位置はS127である。場合によっては、アミノ酸位置はS130である。場合によっては、アミノ酸位置はT131である。場合によっては、アミノ酸位置はL132である。場合によっては、アミノ酸位置はT133である。
【0028】
いくつかの例では、IL-2抱合体はさらに追加の突然変異を含む。そのような場合、
アミノ酸は、血清の半減期、安定性、あるいはこれらの組み合わせの増加のために、追加の抱合部分に抱合する。代替的に、アミノ酸は、追加の抱合部分に結合する前に、リジン、システイン、ヒスチジン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、トレオニン、あるいはチロシンなどの天然アミノ酸;あるいは、非天然アミノ酸にまず変異する。
【0029】
いくつかの実施形態において、IL-2抱合体は、野生型のIL-2ポリペプチドと比較して、IL-2受容体β(IL-2Rβ)サブユニット、IL-2受容体γ(IL-2Rγ)サブユニット、あるいはこれらの組み合わせに対する減少した結合親和性を有する。いくつかの例では、野生型のIL-2ポリペプチドと比較して、IL-2受容体β(IL-2Rβ)サブユニット、IL-2受容体γ(IL-2Rγ)サブユニット、あるいはこれらの組み合わせに対するIL-2抱合体の減少した親和性は、約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、あるいは99%よりも大きい。場合によっては、減少した結合親和性は約10%である。場合によっては、減少した結合親和性は約20%である。場合によっては、減少した結合親和性は約40%である。場合によっては、減少した結合親和性は約50%である。場合によっては、減少した結合親和性は約60%である。場合によっては、減少した結合親和性は約80%である。場合によっては、減少した結合親和性は約90%である。場合によっては、減少した結合親和性は約99%である。場合によっては、減少した結合親和性は約99%よりも大きい。場合によっては、減少した結合親和性は約80%である。場合によっては、減少した結合親和性は約100%である。
【0030】
いくつかの実施形態において、野生型のIL-2ポリペプチドと比較して、IL-2受容体β(IL-2Rβ)サブユニット、IL-2受容体γ(IL-2Rγ)サブユニット、あるいはこれらの組み合わせに対するIL-2抱合体の減少した親和性は、約1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、30倍、50倍、100倍、200倍、300倍、400倍、500倍、1000倍、あるいはそれ以上である。場合によっては、減少した結合親和性は約1倍である。場合によっては、減少した結合親和性は約2倍である。場合によっては、減少した結合親和性は約4倍である。場合によっては、減少した結合親和性は約5倍である。場合によっては、減少した結合親和性は約6倍である。場合によっては、減少した結合親和性は約8倍である。場合によっては、減少した結合親和性は約10倍である。場合によっては、減少した結合親和性は約30倍である。場合によっては、減少した結合親和性は約50倍である。場合によっては、減少した結合親和性は約100倍である。場合によっては、減少した結合親和性は約300倍である。場合によっては、減少した結合親和性は約500倍である。場合によっては、減少した結合親和性は約1000倍である。場合によっては、減少した結合親和性は1000倍を超える。
【0031】
いくつかの実施形態において、IL-2抱合体は、IL-2/IL-2Rβ複合体に対する減少したIL-2Rγサブユニットの動員を有する。場合によっては、減少した動員は、非天然アミノ酸(例えば、野生型のIL-2ポリペプチド)のない同等なIL-2ポリペプチドによるIL-2Rγサブユニット動員と比較される。場合によっては、IL-2Rγサブユニット動員の減少は、非天然アミノ酸修飾のない同等のIL-2ポリペプチドと比較して、約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、あるいは99%を超える減少である。場合によっては、IL-2Rγサブユニット動員の減少は約10%である。場合によっては、IL-2Rγサブユニット動員の減少は約20%である。場合によっては、IL-2Rγサブユニット動員の減少は約40%である。場合によっては、IL-2Rγサブユニット動員の減少は約50%である。場合によっては、IL-2Rγサブユニット動員の減少は約60%である。場合によっては、IL-2Rγサブユニット動員の減少は約70%である。場合によっては
、IL-2Rγサブユニット動員の減少は約80%である。場合によっては、IL-2Rγサブユニット動員の減少は約90%である。場合によっては、IL-2Rγサブユニット動員の減少は約99%である。場合によっては、IL-2Rγサブユニット動員の減少は99%よりも大きい。場合によっては、IL-2Rγサブユニット動員の減少は約100%である。いくつかの例では、IL-2抱合体はIL-2Rαサブユニット動員の増大をさらに有する。
【0032】
いくつかの実施形態において、IL-2Rγサブユニット動員の減少は、非天然アミノ酸修飾のない同等のIL-2ポリペプチド(野生型のIL-2ポリペプチド)と比較して、約1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、30倍、50倍、100倍、200倍、300倍、400倍、500倍、1000倍、あるいはそれ以上である。場合によっては、IL-2Rγサブユニット動員の減少は約1倍である。場合によっては、IL-2Rγサブユニット動員の減少は約2倍である。場合によっては、IL-2Rγサブユニット動員の減少は約4倍である。場合によっては、IL-2Rγサブユニット動員の減少は約5倍である。場合によっては、IL-2Rγサブユニット動員の減少は約6倍である。場合によっては、IL-2Rγサブユニット動員の減少は約8倍である。場合によっては、IL-2Rγサブユニット動員の減少は約10倍である。場合によっては、IL-2Rγサブユニット動員の減少は約30倍である。場合によっては、IL-2Rγサブユニット動員の減少は約50倍である。場合によっては、IL-2Rγサブユニット動員の減少は約100倍である。場合によっては、IL-2Rγサブユニット動員の減少は約300倍である。場合によっては、IL-2Rγサブユニット動員の減少は約500倍である。場合によっては、IL-2Rγサブユニット動員の減少は約1000倍である。場合によっては、IL-2Rγサブユニット動員の減少は1000倍よりも大きい。いくつかの例では、IL-2抱合体はIL-2Rαサブユニット動員の増大をさらに有する。
【0033】
いくつかの実施形態において、IL-2抱合体は、IL-2ポリペプチドに対するIL-2Rαサブユニット動員の増加を有する。場合によっては、減少した動員は、非天然アミノ酸のない同等のIL-2ポリペプチドによる(例えば、野生型のIL-2ポリペプチド)IL-2Rαサブユニット動員と比較される。場合によっては、IL-2Rαサブユニット動員の増加は、非天然アミノ酸修飾のない同等のIL-2ポリペプチドと比較して、約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、あるいは99%を超える増加である。場合によっては、IL-2Rαサブユニット動員の増加は約10%である。場合によっては、IL-2Rαサブユニット動員の増加は約20%である。場合によっては、IL-2Rαサブユニット動員の増加は約40%である。場合によっては、IL-2Rαサブユニット動員の増加は約50%である。場合によっては、IL-2Rαサブユニット動員の増加は約60%である。場合によっては、IL-2Rαサブユニット動員の増加は約70%である。場合によっては、IL-2Rαサブユニット動員の増加は約80%である。場合によっては、IL-2Rαサブユニット動員の増加は約90%である。場合によっては、IL-2Rαサブユニット動員の増加は約99%である。場合によっては、IL-2Rαサブユニット動員の増加は99%を超える。場合によっては、IL-2Rαサブユニット動員の増加は約100%である。いくつかの例では、IL-2抱合体はさらに、IL-2Rβサブユニットおよび/またはIL-2Rαサブユニットの動員が減少している。
【0034】
いくつかの実施形態において、IL-2Rαサブユニット動員の増加は、非天然アミノ酸修飾のない同等のIL-2ポリペプチド(野生型のIL-2ポリペプチド)と比較して、約1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、30倍、50倍、100倍、200倍、300倍、400倍、500倍、1000倍、あるいはそれ以上である。場合によっては、IL-2Rαサブユニット動員の増加は約1倍である。場合に
よっては、IL-2Rαサブユニット動員の増加は約2倍である。場合によっては、IL-2Rαサブユニット動員の増加は約4倍である。場合によっては、IL-2Rαサブユニット動員の増加は約5倍である。場合によっては、IL-2Rαサブユニット動員の増加は約6倍である。場合によっては、IL-2Rαサブユニット動員の増加は約8倍である。場合によっては、IL-2Rαサブユニット動員の増加は約10倍である。場合によっては、IL-2Rαサブユニット動員の増加は約30倍である。場合によっては、IL-2Rαサブユニット動員の増加は約50倍である。場合によっては、IL-2Rαサブユニット動員の増加は約100倍である。場合によっては、IL-2Rαサブユニット動員の増加は約300倍である。場合によっては、IL-2Rαサブユニット動員の増加は約500倍である。場合によっては、IL-2Rαサブユニット動員の増加は約1000倍である。場合によっては、IL-2Rαサブユニット動員の増加は1000倍を超える。いくつかの例では、IL-2抱合体はさらに、IL-2Rβサブユニットおよび/またはIL-2Rαサブユニットの動員が減少している。
【0035】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されたIL-2ポリペプチドは、IL-2Rβγに対する受容体シグナル伝達能力が減少している。いくつかの例では、受容体シグナル伝達能力の減少は、野生型IL-2ポリペプチドと比較して、IL-2Rβγに対して、約1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、30倍、50倍、100倍、200倍、300倍、400倍、500倍、1000倍、またはそれ以上である。場合によっては、受容体シグナル伝達能力の減少は約2倍である。場合によっては、受容体シグナル伝達能力の減少は約5倍である。場合によっては、受容体シグナル伝達能力の減少は約10倍である。場合によっては、受容体シグナル伝達能力の減少は約20倍である。場合によっては、受容体シグナル伝達能力の減少は約30倍である。場合によっては、受容体シグナル伝達能力の減少は約40倍である。場合によっては、受容体シグナル伝達能力の減少は約50倍である。場合によっては、受容体シグナル伝達能力の減少は約100倍である。場合によっては、受容体シグナル伝達能力の減少は約200倍である。場合によっては、受容体シグナル伝達能力の減少は約300倍である。場合によっては、受容体シグナル伝達能力の減少は約400倍である。場合によっては、受容体シグナル伝達能力の減少は約500倍である。場合によっては、受容体シグナル伝達能力の減少は約1000倍である。
【0036】
いくつかの例では、受容体シグナル伝達能力はEC50値によって測定される。場合によっては、受容体シグナル伝達能力の減少はEC50値の増加である。いくつかの例では、EC50値の増加は、野生型のIL-2ポリペプチドと比較して、約1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、30倍、50倍、100倍、200倍、300倍、400倍、500倍、1000倍、またはそれ以上である。
【0037】
いくつかの例では、受容体シグナル伝達能力はED50値によって測定される。場合によっては、受容体シグナル伝達能力の減少はED50値の増加である。いくつかの例では、ED50値の増加は、野生型のIL-2ポリペプチドと比較して、約1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、30倍、50倍、100倍、200倍、300倍、400倍、500倍、1000倍、またはそれ以上である。
【0038】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されたIL-2ポリペプチドは、野生型のIL-2ポリペプチドの治療濃度域と比較して、拡張した治療濃度域を有する。いくつかの例では、拡張した治療濃度域は、IL-2ポリペプチドとインターロイキン2受容体βγ(IL-2Rβγ)との間の結合の減少、IL-2Rβγに対する受容体シグナル伝達能力の減少、IL-2/IL-2Rβ複合体へのIL-2Rγサブユニットの動員の減少、あるいは、IL-2ポリペプチドへのIL-2Rαサブユニットの動員の増加によるものである。いくつかの例では、IL-2ポリペプチドは、インターロイキン2αβγ受
容体(IL-2Rαβγ)の活性化が損なわれていない。
【0039】
いくつかの実施形態では、修飾されたIL-2ポリペプチドは、IL-2βγシグナル伝達複合体に対する第1の受容体シグナル伝達能力と、IL-2αβγシグナル伝達複合体に対する第2の受容体シグナル伝達能力を示し、ここで、第1の受容体シグナル伝達能力と第2の受容体シグナル伝達能力との間の差は、少なくとも1倍である。いくつかの例では、差は少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、200倍、300倍、400倍、500倍、あるいは1000倍以上である。いくつかの例では、第1の受容体シグナル伝達能力は、第2の受容体シグナル伝達能力未満である。いくつかの例では、第1の受容体シグナル伝達能力は、第2の受容体シグナル伝達能力よりも、少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍、50倍、100倍、500倍、1000倍、あるいはそれ未満である。場合によっては、修飾されたIL-2ポリペプチドは、IL-2αβγシグナル伝達複合体に対する第2の受容体シグナル伝達能力よりも低い、IL-2βγシグナル伝達複合体に対する受容体シグナル伝達能力を有する。場合によっては、修飾されたIL-2ポリペプチドの第1の受容体シグナル伝達能力は、野生型のIL-2ポリペプチドの受容体シグナル伝達能力よりも少なくとも1倍低い。場合によっては、修飾されたIL-2ポリペプチドの第1の受容体シグナル伝達能力は、野生型のIL-2ポリペプチドの受容体シグナル伝達能力よりも、少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、200倍、あるいは500倍低い。場合によっては、第1の受容体シグナル伝達能力と第2の受容体シグナル伝達能力は両方とも野生型のIL-2ポリペプチドのそれぞれの能力よりも低いが、第1の受容体シグナル伝達能力は第2の受容体シグナル伝達能力よりも低い。場合によっては、第1の受容体シグナル伝達能力と第2の受容体シグナル伝達能力との間の差は、修飾されたIL-2ポリペプチドの治療濃度域を増大させる。
【0040】
いくつかの実施形態において、抱合部分は、直接的に、あるいは、リンカーペプチドを介して間接的に、IL-2ポリペプチドのN末端あるいはC末端に結合される。場合によっては、抱合部分(例えば、ポリマー、タンパク質、あるいはペプチド)は、IL-2のN末端あるいはC末端において、直接的に、あるいは、リンカーペプチドを介して間接的に、IL-2に遺伝的に融合される。いくつかの例では、抱合部分は、N末端あるいはC末端のアミノ酸残基に結合する。いくつかの例では、抱合部分は、N末端またはC末端のアミノ酸残基に結合する反応基に結合する。
【0041】
いくつかの実施形態において、IL-2抱合体は、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、18時間、24時間、2日、3日、4日、5日、6日、7日、あるいはそれよりも長い血漿半減期を含む。いくつかの実施形態において、IL-2抱合体は、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、あるいはそれ以上よりも長い血漿半減期を含む。いくつかの実施形態において、IL-2抱合体は、1時間よりも長い血漿半減期を含む。いくつかの実施形態において、IL-2抱合体は、2時間よりも長い血漿半減期を含む。いくつかの実施形態において、IL-2抱合体は、3時間よりも長い血漿半減期を含む。いくつかの実施形態において、IL-2抱合体は、4時間よりも長い血漿半減期を含む。いくつかの実施形態において、IL-2抱合体は、5時間よりも長い血漿半減期を含む。いくつかの実施形態において、IL-2抱合体は、6時間よりも長い血漿半減期を含む。いくつかの実施形態において、IL-2抱合体は、7時間よりも長い血漿半減期を含む。いくつかの実施形態において、IL-2抱合体は、8時間よりも長い血漿半減期を含む。いくつかの実施形態において、IL-2抱合体は、9時間よりも長い血漿半減期を含む。いくつかの実施形態において、IL-2抱合体は、10時間よりも長い血漿半減期を含む。いくつかの実施形態において、IL-2抱合体は、12時間よりも長い血漿半
減期を含む。いくつかの実施形態において、IL-2抱合体は、18時間よりも長い血漿半減期を含む。いくつかの実施形態において、IL-2抱合体は、24時間よりも長い血漿半減期を含む。
【0042】
いくつかの実施形態において、IL-2抱合体は、少なくとも1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、15時間、18時間、24時間、2日、3日、4日、5日、6日、7日、あるいはそれ以上の血漿半減期を含む。いくつかの実施形態において、IL-2抱合体は、少なくとも1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、15時間、18時間、24時間、あるいはそれ以上の血漿半減期を含む。いくつかの実施形態において、IL-2抱合体は、少なくとも1時間の血漿半減期を含む。いくつかの実施形態において、IL-2抱合体は、少なくとも2時間の血漿半減期を含む。いくつかの実施形態において、IL-2抱合体は、少なくとも3時間の血漿半減期を含む。いくつかの実施形態において、IL-2抱合体は、少なくとも4時間の血漿半減期を含む。いくつかの実施形態において、IL-2抱合体は、少なくとも5時間の血漿半減期を含む。いくつかの実施形態において、IL-2抱合体は、少なくとも6時間の血漿半減期を含む。いくつかの実施形態において、IL-2抱合体は、少なくとも7時間の血漿半減期を含む。いくつかの実施形態において、IL-2抱合体は、少なくとも8時間の血漿半減期を含む。いくつかの実施形態において、IL-2抱合体は、少なくとも9時間の血漿半減期を含む。いくつかの実施形態において、IL-2抱合体は、少なくとも10時間の血漿半減期を含む。いくつかの実施形態において、IL-2抱合体は、少なくとも12時間の血漿半減期を含む。いくつかの実施形態において、IL-2抱合体は、少なくとも18時間の血漿半減期を含む。いくつかの実施形態において、IL-2抱合体は、少なくとも24時間の血漿半減期を含む。
【0043】
いくつかの実施形態において、IL-2抱合体は、約1時間から約7日間、約12時間から約7日間、約18時間から約7日間、約24時間から約7日間、約1時間から約5日間、約12時間から約5日間、約24時間から約5日間、約2日間から約5日間、あるいは、約2日間から約3日間の血漿半減期を含む。
【0044】
いくつかの実施形態において、IL-2抱合体は、約1時間から約18時間、約1時間から約12時間、約2時間から約10時間、約2時間から約8時間、約4時間から約18時間、約4時間から約12時間、約4時間から約10時間、約4時間から約8時間、約6時間から約18時間、約6時間から約12時間、約6時間から約10時間、約6時間から約8時間、約8時間から約18時間、約8時間から約12時間、あるいは、約8時間から約10時間の血漿半減期を含む。
【0045】
いくつかの実施形態において、IL-2抱合体は、Treg細胞を増殖および/または拡張することができるが、アポトーシスなどの有害な作用を及ぼさない血漿半減期を含む。
【0046】
いくつかの実施形態において、IL-2抱合体は、野生型のIL-2と比較して、例えば、少なくとも1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、15時間、18時間、24時間、2日、3日、4日、5日、6日、7日、あるいはそれ以上、延長された血漿半減期を含む。
【0047】
いくつかの実施形態において、IL-2抱合体は、野生型のIL-2と比較して、例えば、約1時間から約18時間、約1時間から約12時間、約2時間から約10時間、約2時間から約8時間、約4時間から約18時間、約4時間から約12時間、約4時間から約10時間、約4時間から約8時間、約6時間から約18時間、約6時間から約12時間、
約6時間から約10時間、約6時間から約8時間、約8時間から約18時間、約8時間から約12時間、あるいは、約8時間から約10時間の、延長された血漿半減期を含む。
【0048】
いくつかの実施形態において、IL-2抱合体は、毒性の減少した延長された血漿半減期を含む。いくつかの例では、IL-2抱合体は、毒性の減少した、少なくとも1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、15時間、18時間、24時間、2日、3日、4日、5日、6日、7日、あるいはそれ以上延長された血漿半減期を含む。いくつかの例では、IL-2抱合体は、毒性の減少した、少なくとも1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、15時間、18時間、24時間、あるいはそれ以上延長された血漿半減期を含む。いくつかの例では、IL-2抱合体は、毒性の減少した、約1時間から約18時間、約1時間から約12時間、約2時間から約10時間、約2時間から約8時間、約4時間から約18時間、約4時間から約12時間、約4時間から約10時間、約4時間から約8時間、約6時間から約18時間、約6時間から約12時間、約6時間から約10時間、約6時間から約8時間、約8時間から約18時間、約8時間から約12時間、あるいは、約8時間から約10時間延長された血漿半減期を含む。場合によっては、減少した毒性は、野生型のIL-2と比較して、少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍、50倍、100倍、あるいはそれ以上減少する。場合によっては、減少した毒性は、野生型のIL-2と比較して、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、400%、500%、あるいはそれ以上減少する。
【0049】
いくつかの実施形態において、IL-2抱合体は、抱合部分のサイズ(例えば、体積あるいは長さ)が血漿安定性を向上させるが効力を減少させない抱合部分を含む。いくつかの例では、抱合部分のサイズは、少なくとも1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、15時間、18時間、24時間、2日、3日、4日、5日、6日、7日、あるいはそれ以上、血漿半減期を延長させる。いくつかの例では、抱合部分のサイズは、少なくとも1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、15時間、18時間、24時間、あるいはそれ以上、血漿半減期を延長させる。いくつかの例では、抱合部分のサイズは、約1時間から約18時間、約1時間から約12時間、約2時間から約10時間、約2時間から約8時間、約4時間から約18時間、約4時間から約12時間、約4時間から約10時間、約4時間から約8時間、約6時間から約18時間、約6時間から約12時間、約6時間から約10時間、約6時間から約8時間、約8時間から約18時間、約8時間から約12時間、あるいは、約8時間から約10時間、血漿半減期を延長させる。いくつかの例では、抱合部分のサイズは、野生型のIL-2と比較して、5%、4%、3%、2%、1%、あるいはそれ以下、効力を減少させる。
【0050】
いくつかの実施形態において、IL-2抱合体は、抱合部分のサイズ(例えば、体積あるいは長さ)が血漿安定性と効力を向上させる抱合部分を含む。いくつかの例では、抱合部分のサイズは、少なくとも1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、15時間、18時間、24時間、2日、3日、4日、5日、6日、7日、あるいはそれ以上、血漿半減期を延長させる。いくつかの例では、抱合部分のサイズは、少なくとも1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、15時間、18時間、24時間、あるいはそれ以上、血漿半減期を延長させる。いくつかの例では、抱合部分のサイズは、約1時間から約18時間、約1時間から約12時間、約2時間から約10時間、約2時間から約8時間、約4時間から約18時間、約4時間から約12時間、約4時間から約10時間、約4時間から約8時間、約6時間から約18時間、約6時間から約12時間、約6時間から約10時間、約6時間から約8時間、約8時間から約18時間、約8時間から約12
時間、あるいは、約8時間から約10時間、血漿半減期を延長させる。いくつかの例では、抱合部分のサイズはさらに、野生型のIL-2と比較して、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、あるいはそれ以上、効力を増強する。
【0051】
いくつかの例では、抱合部分は、IL-2RβγとIL-2の受容体シグナル伝達能力を損なうか、妨害し、あるいは、IL-2/IL-2Rβ複合体へのIL-2Rγサブユニットの動員を減少させる。
【0052】
いくつかの例では、IL-2Rβγに対する減少した受容体シグナル伝達能力を有する修飾されたIL-2ポリペプチドは、CD4+T調節(Treg)細胞を拡張することができる。
【0053】
いくつかの実施形態において、修飾されたIL-2/IL-2Rαβγ複合体によるCD4+Treg細胞の増殖は、野生型のIL-2ポリペプチドのそれと同等であるか、あるいはそれより大きい。
【0054】
いくつかの実施形態において、IL-2/IL-2Rαβγ複合体は、動物モデルにおける疾患経過を調節するのに十分な、集団へのCD4+Treg細胞の増殖を誘導する。
【0055】
いくつかの実施形態において、インターロイキン2αβγ受容体(IL-2Rαβγ)結合タンパク質が本明細書に記載され、ここで、上記結合タンパク質のインターロイキン2βγ受容体(IL-2Rβγ)のための受容体シグナル伝達能力は、野生型ヒトIL-2(hIL-2)のそれ未満であり、および上記結合タンパク質は、少なくとも1つの非天然アミノ酸を含む。場合によっては、上記結合タンパク質は、修飾されたIL-2ポリペプチドあるいはその機能的に活性なフラグメントであり、ここで、修飾されたIL-2ポリペプチドは、少なくとも1つの非天然アミノ酸を含む。
【0056】
いくつかの実施形態において、インターロイキン2αβγ受容体(IL-2Rαβγ)結合タンパク質が本明細書に記載され、ここで、上記結合タンパク質によるIL-2/IL-2Rβ複合体へのIL-2Rγサブユニットの動員は、野生型ヒトIL-2(hIL-2)のそれ未満であり、および、上記結合タンパク質は、少なくとも1つの非天然アミノ酸を含む。場合によっては、上記結合タンパク質は、修飾されたIL-2ポリペプチドあるいはその機能的に活性なフラグメントであり、ここで、修飾されたIL-2ポリペプチドは少なくとも1つの非天然アミノ酸を含む。
【0057】
いくつかの実施形態において、インターロイキン2αβγ受容体(IL-2Rαβγ)結合タンパク質が本明細書に記載され、ここで、上記結合タンパク質のインターロイキン2βγ受容体(IL-2Rβγ)の結合親和性は、野生型ヒトIL-2(hIL-2)のそれ未満であり、および、上記結合タンパク質は少なくとも1つの非天然アミノ酸を含む。そのような場合、上記結合タンパク質は、修飾されたIL-2ポリペプチドあるいはその機能的に活性なフラグメントであり、ここで、修飾されたIL-2ポリペプチドは少なくとも1つの非天然アミノ酸を含む。
【0058】
いくつかの実施形態において、非天然アミノ酸およびIL-2Rαβγを含む、修飾されたIL-2ポリペプチドを含むIL-2/IL-2Rαβγ複合体が本明細書に記載され、ここで、修飾されたIL-2ポリペプチドは、IL-2Rβγに対する減少した受容体シグナル伝達能力を有し、および、減少した受容体シグナル伝達能力が、野生型のIL-2ポリペプチドとIL-2Rβγとの間の結合親和性と比較される。場合によっては、修飾されたIL-2ポリペプチドは、非天然アミノ酸に共有結合された抱合部分をさらに
含む。
【0059】
いくつかの実施形態において、非天然アミノ酸およびIL-2Rαβγを含む、修飾されたIL-2ポリペプチドを含むIL-2/IL-2Rαβγ複合体が本明細書に記載され、ここで、上記修正されたIL-2ポリペプチドによるIL-2/IL-2Rβ複合体へのIL-2Rγサブユニットの動員は、野生型のIL-2ポリペプチドのそれ未満である。場合によっては、修飾されたIL-2ポリペプチドは、非天然アミノ酸に共有結合された抱合部分をさらに含む。
【0060】
いくつかの実施形態において、非天然アミノ酸およびIL-2Rαβγを含む、修飾されたIL-2ポリペプチドを含むIL-2/IL-2Rαβγ複合体が本明細書に記載され、ここで、修飾されたIL-2ポリペプチドは、IL-2Rβγに対する減少した結合親和性を有し、および、減少した結合親和性が、野生型のIL-2ポリペプチドとIL-2Rβγとの間の結合親和性と比較される。いくつかの実施形態において、非天然アミノ酸およびIL-2Rαβγを含む、修飾されたIL-2ポリペプチドを含むIL-2/IL-2Rαβγ複合体が本明細書に記載され、ここで、上記修飾されたIL-2ポリペプチドによるIL-2/IL-2Rβ複合体へのIL-2Rγサブユニットの動員は、野生型のIL-2ポリペプチドのそれ未満である。いくつかの例では、修飾されたIL-2ポリペプチドは、非天然アミノ酸に共有結合された抱合部分をさらに含む。
【0061】
いくつかの実施形態において、細胞集団のCD4+Treg細胞を選択的に拡張するCD4+Treg細胞アクチベーターが本明細書に記載され、ここで、上記アクチベーターは、少なくとも1つの非天然アミノ酸を含む修飾されたIL-2ポリペプチドを含む。いくつかの例では、上記アクチベーターが上記CD3+細胞集団に接している場合、上記アクチベーターは、野生型のIL-2ポリペプチドによって接触されるCD3+細胞集団中のCD8+エフェクターT細胞および/またはナチュラルキラー細胞の拡張と比較して、CD3+細胞集団中のCD8+エフェクターT細胞および/またはナチュラルキラー細胞を20%、15%、10%、5%、1%、または0.1%未満拡張する。いくつかの例では、上記細胞集団はインビボの細胞集団である。いくつかの例では、上記細胞集団はインビトロの細胞集団である。いくつかの例では、上記細胞集団はエクスビボ細胞集団である。
【0062】
IL-10抱合体
いくつかの実施形態において、アミノ酸位置で修飾されたIL-10抱合体が本明細書に記載される。IL-10(ヒトサイトカイン合成抑制因子またはCSIFとしても知られている)は、病原体に対する炎症反応を制限する免疫修飾性のサイトカインであるが、それはCD8 T細胞におけるその免疫賦活作用ゆえに、抗腫瘍性サイトカインとしても同定された。IL-10は、マクロファージ上のTh1サイトカイン、MHCクラスII抗原、および共刺激分子の発現をダウンレギュレートし、B細胞生存、増殖、ならびに抗体生成をさらに増強する。加えて、IL-10は、胸腺細胞の増殖およびCD8 T細胞の細胞毒性を刺激することができる。いくつかの例では、IL-10抱合体は、単離および精製されたIL-10ポリペプチドと抱合部分を含む。いくつかの例では、IL-10抱合体は、野生型IL-10ポリペプチドと比較して、IL-10受容体に対する減少した親和性を有する。場合によっては、抱合部分は、(例えば、IL-10/IL-10Rα界面で)IL-10受容体と相互作用するアミノ酸残基に結合する。場合によっては、抱合部分は、(例えば、IL-2/IL-2Rα界面から約5Å、約10Å、約15Å、あるいは約20Å離れて)IL-2/IL-2Rα界面の近位にあるアミノ酸残基に結合する。本明細書で使用されるように、IL-10/IL-10Rα界面に含まれる残基は、IL-10からの残基と疎水的相互作用、水素結合、あるいはイオン相互作用を形成する、IL-10残基を含む。場合によっては、抱合部分は、直接的に、あるいは、リンカ
ーペプチドを介して間接的に、サイトカインのN末端あるいはC末端に結合される。さらなる場合において、抱合部分は、IL-10とIL-10Rとの間の相互作用を調節して、その免疫抑制活性を強化し、その免疫賦活作用を低減する。いくつかの例では、IL-10抱合体は、IL-10/IL-10Rシグナル伝達を介してリンパ球の別個の集団をアップレギュレートする。いくつかの例では、IL-10抱合体は免疫活性を調節する。
【0063】
追加のサイトカイン抱合体
いくつかの実施形態において、アミノ酸位置で修飾された1つ以上の追加のサイトカイン抱合体が本明細書に記載される。典型的なサイトカインとしては、限定されないが、IL-1β、IL-7、IL-12、IL-15、IL-18、およびIL-21を含む。いくつかの例では、サイトカイン抱合体は、単離および精製されたサイトカインポリペプチドと抱合部分を含む。いくつかの例では、サイトカイン抱合体は、その野生型のサイトカインと比較して、そのそれぞれの受容体に対する減少した親和性を有する。場合によっては、抱合部分は、受容体界面の近位にある(例えば、受容体界面から約5Å、約10Å、約15Å、あるいは約20Å離れて)アミノ酸残基に結合する。場合によっては、抱合部分は、直接的に、あるいは、リンカーペプチドを介して間接的に、サイトカインペプチドのN末端あるいはC末端に結合される。さらなる場合において、抱合部分は、サイトカインとその受容体との間の相互作用を調節して、その免疫抑制活性を強化し、その免疫賦活作用を低減する。いくつかの例では、サイトカイン抱合体は、その受容体シグナル伝達を介してリンパ球の別個の集団をアップレギュレートする。いくつかの例では、サイトカイン抱合体は免疫活性を調節する。
【0064】
サイトカイン抱合体前駆体
突然変異体サイトカイン(IL-2など)を含むサイトカイン抱合体前駆体が本明細書に記載され、ここで、1つ以上のアミノ酸が野生型アミノ酸から変異している。そのような前駆体は、しばしば、疾患または疾病の処置のために本明細書に記載される方法と共に使用される。いくつかの実施形態において、サイトカイン前駆体は抱合しない。そのような突然変異は、様々な付加、欠失、または置換を含む。いくつかの実施形態において、突然変異は、異なる天然アミノ酸の置換を含む。いくつかの例では、突然変異体サイトカインは、アミノ酸位置P2、T3、S4、S5、S6、T7、K8、K9、Q11、L12、E15、H16、L18、L19、D20、Q22、M23、N26、G27、N29、N30、Y31、K32、K35、T37、M46、K47、K48、A50、T51、E52、K53、H55、Q57、E60、E67、N71、Q74、S75、K76、N77、F78、H79、R81、P82、R83、D84、S87、N88、N89、V91、I92、L94、E95、K97、G98、S99、E100、T101、T102、F103、M104、C105、E106、Y107、A108、D109、E110、T111、A112、T113、E116、N119、R120、T123、A125、Q126、S127、S130、T131、L132、およびT133に突然変異を含み、ここで、アミノ酸残基の番号付けはSEQ ID NO:1に対応する。いくつかの例では、アミノ酸位置は、K8、K9、Q11、L12、E15、H16、L18、L19、D20、Q22、M23、N26、R81、D84、S87、N88、V91、I92、L94、E95、E116、N119、R120、T123、A125、Q126、S127、L132、およびT133から選択される。いくつかの例では、アミノ酸位置は、P2、T3、S4、S5、S6、T7、G27、N29、N30、Y31、K32、K35、T37、M46、K47、K48、A50、T51、E52、K53、H55、Q57、E60、E67、N71、Q74、S75、K76、N77、F78、H79、P82、R83、N89、K97、G98、S99、E100、T101、T102、F103、M104、C105、E106、Y107、A108、D109、E110、T111、A112、およびT113から選択される。いくつかの例では、アミノ酸位置は、K8、K9、L12、E15、H16、L19、D20、Q22、M23、N2
6、D84、N88、E95、およびQ126から選択される。いくつかの例では、アミノ酸位置は、K8、K9、およびH16から選択される。いくつかの例では、アミノ酸位置は、Q22、N26、N88、およびQ126から選択される。いくつかの例では、アミノ酸位置は、E15、D20、D84、およびE95から選択される。いくつかの例では、アミノ酸位置は、L12、L19、およびM23から選択される。いくつかの例では、アミノ酸位置は、Q22およびN26から選択される。いくつかの実施形態において、サイトカイン突然変異体は抱合部分を含み、ここで、抱合部分は突然変異体サイトカインにおける変異部位に結合される。
【0065】
タンパク質またはペプチドの融合
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるサイトカイン抱合体は、ペプチドまたはタンパク質に融合されるサイトカイン(例えば、IL-2、あるいは他のサイトカイン)を含む(融合)。いくつかの実施形態において、ペプチドまたはタンパク質は抗体または抗体フラグメントである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるサイトカイン抱合体は、抗体に融合されるサイトカイン(例えば、IL-2、あるいは他のサイトカイン)、またはその結合フラグメントを含む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるサイトカインは、複数のタンパク質またはペプチドに融合される。いくつかの実施形態において、サイトカイン結合体は、タンパク質またはペプチドへのサイトカイン融合および少なくとも抱合部分を含む。いくつかの例では、抗体またはその結合フラグメントは、ヒト化抗体またはその結合フラグメント、マウス抗体またはその結合フラグメント、キメラ抗体またはその結合フラグメント、モノクローナル抗体またはその結合フラグメント、一価のFab’、二価のFab、F(ab)’フラグメント、単鎖可変フラグメント(scFv)、ビス-scFv(scFv)、ダイアボディ、ミニボディ、ナノボディ、トリアボディ、テトラボディ、ヒューマボディ、ジスルフィド安定Fvタンパク質(dsFv)、単一ドメイン抗体(sdAb)、Ig NAR、camelid抗体またはその結合フラグメント、二重特異性抗体またはその結合フラグメント、あるいはその化学修飾された誘導体を含む。いくつかの例において、そのような融合タンパク質は、翻訳を介して直接生成される。いくつかの実施形態において、融合は化学的あるいは他の酵素的なライゲーション方法を使用して生成される。いくつかの実施形態において、サイトカイン結合体は、リンカーによって結合される融合ペプチドまたはタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、リンカーはヘペプチドである。いくつかの実施形態において、サイトカイン結合体はN末端ペプチドまたはタンパク質の融合を含む。いくつかの実施形態において、サイトカイン結合体はC末端ペプチドまたはタンパク質の融合を含む。場合によっては、ペプチドまたはタンパク質に融合されるサイトカインは、以下に記載される1つ以上の抱合部分にさらに抱合される。
【0066】
いくつかの例では、サイトカイン抱合体は、scFv、ビス-scFv、(scFv)、dsFv、またはsdAb融合への融合を含む。場合によっては、融合はscFvを含む。場合によっては、サイトカイン抱合体は、ビス-scFvへの融合を含む。場合によっては、サイトカイン抱合体は、(scFv)への融合を含む。場合によっては、サイトカイン抱合体は、dsFvへの融合を含む。場合によっては、サイトカイン抱合体は、sdAbへの融合を含む。場合によっては、scFv、ビス-scFv、(scFv)、dsFv、またはsdAbに融合されるサイトカインは、以下に記載される1つ以上の抱合部分にさらに抱合される。
【0067】
いくつかの例では、サイトカイン抱合体は、抗体(例えば、IgG、IgA、IgM、IgE、またはIgD)のFc部分への融合を含む。いくつかの例では、サイトカイン抱合体は、IgG(例えば、IgG、IgG、またはIgG)のFc部分への融合を含む。場合によっては、Fc部分に融合するサイトカインは、以下に記載される1つ以上の抱合部分にさらに抱合される。
【0068】
場合によっては、サイトカイン(例えば、インターロイキン、IFN、またはTNF)のポリペプチドは、抗体、またはその結合フラグメントに融合される。場合によっては、サイトカインポリペプチドは、ヒト化抗体またはその結合フラグメント、マウス抗体またはその結合フラグメント、キメラ抗体またはその結合フラグメント、モノクローナル抗体またはその結合フラグメント、一価のFab’、二価のFab、F(ab)’、単鎖可変フラグメント(scFv)、ビス-scFv(scFv)、ダイアボディ、ミニボディ、ナノボディ、トリアボディ、テトラボディ、ヒューマボディ、ジスルフィド安定Fvタンパク質(dsFv)、単一ドメイン抗体(sdAb)、Ig NAR、camelid抗体またはその結合フラグメント、二重特異性抗体またはその結合フラグメント、あるいはその化学修飾された誘導体に融合される。さらなる場合において、サイトカインポリペプチドは抗体のFc部分に融合される。さらなる場合において、サイトカインポリペプチドは、IgG(例えばIgG、IgGまたはIgG)のFc部分に融合される。場合によっては、抗体に融合されるサイトカイン、またはその結合フラグメントは、以下に記載される1つ以上の抱合部分に抱合される。
【0069】
場合によっては、IL-2ポリペプチドは抗体、またはその結合フラグメントに融合される。いくつかの例では、IL-2は、ヒト化抗体またはその結合フラグメント、マウス抗体またはその結合フラグメント、キメラ抗体またはその結合フラグメント、モノクローナル抗体またはその結合フラグメント、一価のFab’、二価のFab、F(ab)’フラグメント、単鎖可変フラグメント(scFv)、ビス-scFv(scFv)、ダイアボディ、ミニボディ、ナノボディ、トリアボディ、テトラボディ、ヒューマボディ、ジスルフィド安定Fvタンパク質(dsFv)、単一ドメイン抗体(sdAb)、Ig
NAR、camelid抗体またはその結合フラグメント、二重特異性抗体またはその結合フラグメント、あるいはその化学修飾された誘導体に融合される。さらなる場合において、IL-2ポリペプチドは抗体のFc部分に融合される。さらなる場合において、IL-2ポリペプチドは、IgG(例えば、IgG、IgG、またはIgG)のFc部分に融合される。場合によっては、抗体またはIL-2ポリペプチドに融合されるその結合フラグメントは、IL-2RβγとIL-2ポリペプチドとの結合を妨害しないだろう。場合によっては、抗体またはIL-2ポリペプチドに融合されるその結合フラグメントは、IL-2RβγとのIL-2ポリペプチドの結合を部分的に遮断する。場合によっては、抗体またはその結合フラグメントに融合されるIL-2ポリペプチドは、以下に述べられる1つ以上の抱合部分に抱合される。
【0070】
天然アミノ酸および非天然アミノ酸
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるアミノ酸残基(例えば、IL-2などのサイトカイン内)は、抱合部分に結合する(または、抱合部分と反応する)前に、リジン、システイン、ヒスチジン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、トレオニン、またはチロシンに変異する。例えば、リジン、システイン、ヒスチジン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、トレオニン、またはチロシンの側鎖は、本明細書に記載される抱合部分に結合することができる。いくつかの例では、アミノ酸残基はシステイン、リジン、またはヒスチジンに変異する。場合によっては、アミノ酸残基はシステインに変異する。場合によっては、アミノ酸残基はリジンに変異する。場合によっては、アミノ酸残基はヒスチジンに変異する。場合によっては、アミノ酸残基はチロシンに変異する。場合によっては、アミノ酸残基はトリプトファンに変異する。いくつかの実施形態において、非天然アミノ酸は抱合部分と抱合しない。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるサイトカインは非天然アミノ酸を含み、ここで、サイトカインはタンパク質に抱合され、結合点は非天然アミノ酸でない。
【0071】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるアミノ酸残基(例えば、IL-2
などのサイトカイン内)は、抱合部分に結合する前に、非天然アミノ酸に変異する。場合によっては、非天然アミノ酸の突然変異は、免疫系の自己抗原反応を防ぐか、あるいは最小化する。本明細書で使用されるように、用語「非天然アミノ酸」は、タンパク質において自然に生じる20のアミノ酸以外のアミノ酸を指す。非天然アミノ酸の非限定的な例は、以下を含む:p-アセチル-L-フェニルアラニン、p-ヨード-L-フェニルアラニン、p-メトキシフェニルアラニン、O-メチル-L-チロシン、p-プロパルギルオキシフェニルアラニン、p-プロパルギル-フェニルアラニン、L-3-(2-ナフチル)アラニン、3-メチル-フェニルアラニン、O-4-アリル-L-チロシン、4-プロピル-L-チロシン、トリ-O-アセチル-GlcNAcp-セリン、L-Dopa、フッ素化フェニルアラニン、イソプロピル-L-フェニルアラニン、p-アジド-L-フェニルアラニン、p-アシル-L-フェニルアラニン、p-ベンゾイル-L-フェニルアラニン、p-ボロノフェニルアラニン、O-プロパルギルチロシン、L-ホスホセリン、ホスホノセリン、ホスホノチロシン、p-ブロモフェニルアラニン、セレノシステイン、p-アミノ-L-フェニルアラニン、イソプロピル-L-フェニルアラニン、アジドリジン(AzK)、チロシンアミノ酸の非天然アナログ;グルタミンアミノ酸の非天然アナログ;フェニルアラニンアミノ酸の非天然アナログ;セリンアミノ酸の非天然アナログ;トレオニンアミノ酸の非天然アナログ;アルキル、アリール、アシル、アジド、シアノ、ハロ、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドロキシル、アルケニル、アルキニル(alkynl)、エーテル、チオール、スルホニル、セレノ、エステル、チオ酸、ホウ酸塩、ボロン酸 、ホスホ、ホスホノ、ホスフィン、複素環式、エノン、イミン、アルデヒド、ヒドロキシルアミン、ケト、またはアミノ置換アミノ酸、あるいはそれらの組み合わせ;光活性化可能なクロスリンカーを有するアミノ酸;スピン標識アミノ酸;蛍光性アミノ酸;アミノ酸結合金属;金属含有アミノ酸;放射性アミノ酸;光ケージ化(photocaged)アミノ酸および/または光異性化可能なアミノ酸;ビオチンまたはビオチンアナログ含有アミノ酸;ケト含有アミノ酸;ポリエチレングリコールまたはポリエーテルを含むアミノ酸;重原子置換アミノ酸;化学的に切断可能または光切断可能なアミノ酸;細長い側鎖を有するアミノ酸;毒性基含有アミノ酸;糖置換アミノ酸;炭素に結合された糖を含有するアミノ酸;酸化還元活性アミノ酸;ヒドロキシ含有酸;アミノチオ酸;α、α二置換アミノ酸;β-アミノ酸;プロリンまたはヒスチジン以外の環状アミノ酸、およびフェニルアラニン、チロシン、またはトリプトファン以外の芳香族アミノ酸。
【0072】
いくつかの実施形態において、非天然アミノ酸は、選択的反応基、または標的ポリペプチドの部位選択的標識化のための反応基を含む。いくつかの例では、化学は生体直交型反応(biorthogonal reaction)(例えば、生体適合性および選択的反応)である。場合によっては、化学は、Cu(I)-触媒化または「銅を含まない」アルキン-アジド トリアゾール-生成反応、シュタウディンガー・ライゲーション、逆電子要請型Diels-Alder(IEDDA)反応、「光クリック(photo-click)」ケミストリー、またはオレフィンメタセシス、および鈴木・宮浦クロスカップリングあるいは薗頭カップリングなどの金属媒介プロセスである。
【0073】
いくつかの実施形態において、非天然アミノ酸は、例えば、UVでの照射の際に架橋する光反応基を含む。
【0074】
いくつかの実施形態において、非天然アミノ酸は光ケージ化アミノ酸を含む。
【0075】
いくつかの例では、非天然アミノ酸は、パラ置換、メタ置換、またはオルト置換のアミノ酸誘導体である。
【0076】
いくつかの例では、非天然アミノ酸は、p-アセチル-L-フェニルアラニン、p-アジド-L-フェニルアラニン、p-ヨード-L-フェニルアラニン、O-メチル-L-チ
ロシン、p-メトキシフェニルアラニン、p-プロパルギルオキシフェニルアラニン、p-プロパルギル-フェニルアラニン、L-3-(2-ナフチル)アラニン、3-メチル-フェニルアラニン、O-4-アリル-L-チロシン、4-プロピル-L-チロシン、トリ-O-アセチル-GlcNAcp-セリン、L-Dopa、フッ素化フェニルアラニン、イソプロピル-L-フェニルアラニン、p-アジド-L-フェニルアラニン、p-アシル-L-フェニルアラニン、p-ベンゾイル-L-フェニルアラニン、L-ホスホセリン、ホスホノセリン、ホスホノチロシン、p-ブロモフェニルアラニン、p-アミノ-L-フェニルアラニン、またはイソプロピル-L-フェニルアラニンを含む。
【0077】
場合によっては、非天然アミノ酸は、3-アミノチロシン、3-ニトロチロシン、3,4-ジヒドロキシ-フェニルアラニン、または3-ヨードチロシンである。
【0078】
場合によっては、非天然アミノ酸はフェニルセレノシステインである。
【0079】
いくつかの例では、非天然アミノ酸は、ベンゾフェノン、ケトン、ヨウ化物、メトキシ、アセチル、ベンゾイル、またはアジド含有フェニルアラニン誘導体である。
【0080】
いくつかの例では、非天然アミノ酸は、ベンゾフェノン、ケトン、ヨウ化物、メトキシ、アセチル、ベンゾイル、またはアジド含有リジン誘導体である。
【0081】
いくつかの例では、非天然アミノ酸は芳香族側鎖を含む。
【0082】
いくつかの例では、非天然アミノ酸は芳香族側鎖を含まない。
【0083】
いくつかの例では、非天然アミノ酸はアジド基を含む。
【0084】
いくつかの例では、非天然アミノ酸はマイケルアクセプター基を含む。いくつかの例では、マイケルアクセプター基は、1、2-付加反応を介して共有結合を形成することができる不飽和部分を含む。いくつかの例では、マイケルアクセプター基は、電子不足アルケンまたはアルキンを含む。いくつかの例では、マイケルアクセプター基は、限定されないが、α、β不飽和の:ケトン、アルデヒド、スルホキシド、スルホン、ニトリル、イミン、または芳香族化合物を含む。
【0085】
いくつかの例では、非天然アミノ酸はデヒドロアラニンである。
【0086】
いくつかの例では、非天然アミノ酸はアルデヒドまたはケトン基を含む。
【0087】
いくつかの例では、非天然アミノ酸はアルデヒドまたはケトン基を含むリジン誘導体である。
【0088】
いくつかの例では、非天然アミノ酸は、β、γ、またはδ位に1つ以上のO、N、Se、またはS原子を含むリジン誘導体である。いくつかの例では、非天然アミノ酸は、γ位にO、N、Se、またはS原子を含むリジン誘導体である。
【0089】
いくつかの例では、非天然アミノ酸は、イプシロン N原子が酸素原子と取り替えられるリジン誘導体である。
【0090】
いくつかの例では、非天然アミノ酸は、自然発生の翻訳後に修飾されるリジンではないリジン誘導体である。
【0091】
いくつかの例では、非天然アミノ酸は側鎖を含むアミノ酸であり、α位から6番目の原子はカルボニル基を含む。いくつかの例では、非天然アミノ酸は側鎖を含むアミノ酸であり、ここで、α位から6番目の原子は、カルボニル基を含み、および、α位からの5番目の原子は窒素である。いくつかの例では、非天然アミノ酸は側鎖を含むアミノ酸であり、α位から7番目の原子は酸素原子である。
【0092】
いくつかの例では、非天然アミノ酸はセリンを含むセリン誘導体である。いくつかの例では、非天然アミノ酸は、セレノセリン(selenoserine)(2-アミノ-3-ヒドロセレノプロパン酸である。いくつかの例では、非天然アミノ酸は、2-アミノ-3-((2-((3-(ベンジルオキシ)-3-オキソプロピル)アミノ)エチル)セラニル)プロパン酸である。いくつかの例では、非天然アミノ酸は、2-アミノ-3-(フェニルセラニル)プロパン酸である。いくつかの例では、非天然アミノ酸はセレニウムを含み、ここで、セレニウムの酸化は、アルケンを含む非天然アミノ酸の形成を結果としてもたらす。
【0093】
いくつかの例では、非天然アミノ酸はシクロオクチニル基を含む。
【0094】
いくつかの例では、非天然アミノ酸は、トランスシクロテニル(transcycloctenyl)基を含む。
【0095】
いくつかの例では、非天然アミノ酸はノルボルネニル基を含む。
【0096】
いくつかの例では、非天然アミノ酸はシクロプロペニル基を含む。
【0097】
いくつかの例では、非天然アミノ酸はジアジリン基を含む。
【0098】
いくつかの例では、非天然アミノ酸はテトラジン基を含む。
【0099】
いくつかの例では、非天然アミノ酸はリジン誘導体であり、側鎖窒素はカルバミル化される。いくつかの例では、非天然アミノ酸はリジン誘導体であり、側鎖窒素はアシル化される。いくつかの例では、非天然アミノ酸は、2-アミノ-6-{[(tert-ブトキシ)カルボニル]アミノ}ヘキサン酸である。いくつかの例では、非天然アミノ酸は、2-アミノ-6-{[(tert-ブトキシ)カルボニル]アミノ}ヘキサン酸である。いくつかの例では、非天然アミノ酸は、N6-Boc-N6-メチルリシンである。いくつかの例では、非天然アミノ酸は、N6-アセチルリジンである。いくつかの例では、非天然アミノ酸は、ピロリシンである。いくつかの例では、非天然アミノ酸は、N6-トリフルオロアセチルリジン(trifluoroacetyllysine)である。いくつかの例では、非天然アミノ酸は、2-アミノ-6-{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}ヘキサン酸である。いくつかの例では、非天然アミノ酸は、2-アミノ-6-{[(p-ヨードベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}ヘキサン酸である。いくつかの例では、非天然アミノ酸は、2-アミノ-6-{[(p-ニトロベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}ヘキサン酸である。いくつかの例では、非天然アミノ酸は、N6-プロリルリジン(prolyllysine)である。いくつかの例では、非天然アミノ酸は、2-アミノ-6-{[(シクロペンチロキシ)カルボニル]アミノ}ヘキサン酸である。いくつかの例では、非天然アミノ酸は、N6-(シクロペンタンカルボニル)リジンである。いくつかの例では、非天然アミノ酸は、N6-(テトラヒドロフラン-2-カルボニル)リジンである。いくつかの例では、非天然アミノ酸は、N6-(3-エチニルテトラヒドロフラン-2-カルボニル)リジンである。いくつかの例では、非天然アミノ酸は、N6-((プロプ-2-イン-1-イルオキシ)カルボニル)リジンである。いくつかの例では、非天然アミノ酸は、2-アミノ-6-{[(2-アジドシクロペンチルオキシ)カ
ルボニル]アミノ}ヘキサン酸である。いくつかの例では、非天然アミノ酸は、N6-((2-アジドエトキシ)カルボニル)リジンである。いくつかの例では、非天然アミノ酸は、2-アミノ-6-{[(2-ニトロベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}ヘキサン酸である。いくつかの例では、非天然アミノ酸は2-アミノ-6-{[(2-シクロオクチニルオキシ)カルボニル]アミノ}ヘキサン酸である。いくつかの例では、非天然アミノ酸は、N6-(2-アミノブト-3-イノイル)リジンである。いくつかの例では、非天然アミノ酸は、2-アミノ-6-((2-アミノブト-3-イノイル)オキシ)ヘキサン酸である。いくつかの例では、非天然アミノ酸は、N6-(アリルオキシカルボニル)リジンである。いくつかの例では、非天然アミノ酸は、N6-(ブテニル-4-オキシカルボニル)リジンである。いくつかの例では、非天然アミノ酸は、N6-(ペンテニル-5-オキシカルボニル)リジンである。いくつかの例では、非天然アミノ酸は、N6-((ブト-3-イン-1-イルオキシ)カルボニル)-リジンである。いくつかの例では、非天然アミノ酸は、N6-((ペンタ-4-イン-1-イルオキシ)カルボニル)-リジンである。いくつかの例では、非天然アミノ酸は、N6-(チアゾリジン-4-カルボニル)リジンである。いくつかの例では、非天然アミノ酸は、2-アミノ-8-オキソノナン酸である。いくつかの例では、非天然アミノ酸は、2-アミノ-8-オキソオクタン酸である。いくつかの例では、非天然アミノ酸は、N6-(2-オキソアセチル)リジンである。
【0100】
いくつかの例では、非天然アミノ酸はN6-プロピオニルリジン(propionyllysine)である。いくつかの例では、非天然アミノ酸はN6-ブチリルリジン(butyryllysine)である。いくつかの例では、非天然アミノ酸はN6-(ブト-2-エノイル)リジンである。いくつかの例では、非天然アミノ酸はN6-((ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2-イルオキシ)カルボニル)リジンである。いくつかの例では、非天然アミノ酸は、N6-((スピロ[2.3]ヘキサ(hex)-1-エン-5-イルメトキシ)カルボニル)リジンである。いくつかの例では、非天然アミノ酸は、N6-(((4―(1-(トリフルオロメチル)シクロプロパ-2-エン-1-イル)ベンジル)オキシ)カルボニル)リジンである。いくつかの例では、非天然アミノ酸は、N6-((ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2-イルメトキシ)カルボニル)リジンである。いくつかの例では、非天然アミノ酸は、システイニルリジン(cysteinyllysine)である。いくつかの例では、非天然アミノ酸は、N6-((1-(6-ニトロベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)エトキシ)カルボニル)リジンである。いくつかの例では、非天然アミノ酸は、N6-((2-(3-メチル-3H-ジアジリン-3-イル)エトキシ)カルボニル)リジンである。いくつかの例では、非天然アミノ酸は、N6-((3-(3-メチル-3H-ジアジリン-3-イル)プロポキシ)カルボニル)リジンである。いくつかの例では、非天然アミノ酸は、N6-(メタ ニトロベニルオキシ(nitrobenyloxy))N6-メチルカルボニル)リジン)である。いくつかの例では、非天然アミノ酸は、N6-((ビシクロ[6.1.0]ノン-4-イン-9-イルメトキシ)カルボニル)-リジンである。いくつかの例では、非天然アミノ酸は、N6-((シクロヘプト-3-エン-1-イルオキシ)カルボニル)-L-リジンである。
【0101】
いくつかの例では、非天然アミノ酸は、2-アミノ-3-(((((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)メチル)セラニル)プロパン酸である。
【0102】
いくつかの実施形態において、非天然アミノ酸は、再目的化された(repurposed)アンバー、オパール、またはオーカー停止コドンによってサイトカイン(例えば、IL ポリペプチド)に組み込まれる。
【0103】
いくつかの実施形態において、非天然アミノ酸は、4塩基コドンによってサイトカイン
(例えば、IL ポリペプチド)に組み込まれる。
【0104】
いくつかの実施形態において、非天然アミノ酸は、再目的化された希少センスコドンによってサイトカイン(例えば、IL ポリペプチド)に組み込まれる。
【0105】
いくつかの実施形態において、非天然アミノ酸は、非天然核酸を含む合成コドンによってサイトカイン(例えば、IL ポリペプチド)に組み込まれる。いくつかの例では、非天然アミノ酸は、直交する改変シンテターゼ/tRNA対によってサイトカインに組み込まれる。そのような直交対は非天然シンテターゼを含み、非天然シンテターゼは、非天然アミノ酸で非天然tRNAをチャージする(charging)ことができるが、a)非天然tRNAへの他の内因性アミノ酸のチャージ、およびb)他の内因性tRNAへの非天然アミノ酸のチャージを最小化する。そのような直交対はtRNAを含み、tRNAは、非天然シンテターゼによってチャージされ得るが、内因性シンテターゼによって、a)他の内因性アミノ酸でチャージされるのを回避する。いくつかの実施形態において、そのような対は、細菌、酵母菌、古細菌、またはヒトソースなどの様々な有機体から同定される。いくつかの実施形態において、直交シンテターゼ/tRNA対は単一の有機体からの構成要素を含む。いくつかの実施形態において、直交シンテターゼ/tRNA対は、2つの異なる有機体からの構成要素を含む。いくつかの実施形態において、直交シンテターゼ/tRNA対は、修飾前に2つの異なるアミノ酸の翻訳を促進する構成要素を含む。いくつかの実施形態において、直交シンテターゼは改変アラニンシンテターゼである。いくつかの実施形態において、直交シンテターゼは改変アルギニンシンテターゼである。いくつかの実施形態において、直交シンテターゼは改変アスパラギンシンテターゼである。いくつかの実施形態において、直交シンテターゼは改変アスパラギン酸シンテターゼである。いくつかの実施形態において、直交シンテターゼは改変システインシンテターゼである。いくつかの実施形態において、直交シンテターゼは改変グルタミンシンセターゼである。いくつかの実施形態において、直交シンテターゼは改変グルタミン酸シンテターゼである。いくつかの実施形態において、直交シンテターゼは改変アラニングリシンである。いくつかの実施形態において、直交シンテターゼは改変ヒスチジンシンテターゼである。いくつかの実施形態において、直交シンテターゼは改変ロイシンシンテターゼである。いくつかの実施形態において、直交シンテターゼは改変イソロイシンシンテターゼである。いくつかの実施形態において、直交シンテターゼは改変リジンシンテターゼである。いくつかの実施形態において、直交シンテターゼは改変メチオニンシンテターゼである。いくつかの実施形態において、直交シンテターゼは改変フェニルアラニンシンテターゼである。いくつかの実施形態において、直交シンテターゼは改変プロリンシンテターゼである。いくつかの実施形態において、直交シンテターゼは改変セリンシンテターゼである。いくつかの実施形態において、直交シンテターゼは改変トレオニンシンテターゼである。いくつかの実施形態において、直交シンテターゼは改変トリプトファンシンセターゼである。いくつかの実施形態において、直交シンテターゼは改変チロシンシンテターゼである。いくつかの実施形態において、直交シンテターゼは改変バリンシンテターゼである。いくつかの実施形態において、直交シンテターゼは改変ホスホセリンシンテターゼである。いくつかの実施形態において、直交tRNAは改変アラニンtRNAである。いくつかの実施形態において、直交tRNAは改変アルギニンtRNAである。いくつかの実施形態において、直交tRNAは改変アスパラギンtRNAである。いくつかの実施形態において、直交tRNAは改変アスパラギン酸tRNAである。いくつかの実施形態において、直交tRNAは改変システインtRNAである。いくつかの実施形態において、直交tRNAは改変グルタミンtRNAである。いくつかの実施形態において、直交tRNAは改変グルタミン酸tRNAである。いくつかの実施形態において、直交tRNAは改変アラニングリシンである。いくつかの実施形態において、直交tRNAは改変ヒスチジンtRNAである。いくつかの実施形態において、直交tRNAは改変ロイシンtRNAである。いくつかの実施形態において、直交tRNAは改変イソロイシンtRNAである。いくつかの実
施形態において、直交tRNAは改変リジンtRNAである。いくつかの実施形態において、直交tRNAは改変メチオニンtRNAである。いくつかの実施形態において、直交tRNAは改変フェニルアラニンtRNAである。いくつかの実施形態において、直交tRNAは改変プロリンtRNAである。いくつかの実施形態において、直交tRNAは改変セリンtRNAである。いくつかの実施形態において、直交tRNAは改変トレオニンtRNAである。いくつかの実施形態において、直交tRNAは改変トリプトファンtRNAである。いくつかの実施形態において、直交tRNAは改変チロシンtRNAである。いくつかの実施形態において、直交tRNAは改変バリンtRNAである。いくつかの実施形態において、直交tRNAは改変ホスホセリンtRNAである。
【0106】
いくつかの実施形態において、非天然アミノ酸は、アミノアシル(aaRSまたはRS)-tRNAシンセターゼ-tRNA対によってサイトカイン(例えば、IL ポリペプチド)に組み込まれる。典型的なaaRS-tRNA対としては、限定されないが、メタノカルドコックス・ヤンナスキイ(Mj-Tyr)aaRS/tRNA対、大腸菌TyrRS(Ec-Tyr)/バチルス・ステアロサーモフィルス tRNACUA対、大腸菌LeuRS(Ec-Leu)/バチルス・ステアロサーモフィルス tRNACUA対、
およびピロリジル-tRNA対が挙げられる。いくつかの例では、非天然アミノ酸は、Mj-TyrRS/tRNA対によってサイトカイン(例えば、IL ポリペプチド)に組み込まれる。Mj-TyrRS/tRNA対によって組み込まれ得る典型的なUAAとしては、限定されないが、p-アミノフェニルアラニンおよびp-メチルフェニルアラニンなどのパラ置換フェニルアラニン誘導体;3-アミノチロシン、3-ニトロチロシン、3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン、および3-ヨードチロシンなどのメタ置換チロシン誘導体;フェニルセレノシステイン(phenylselenocysteine);p-ブロノフェイルアラニン(boronopheylalanine);およびo-ニトロベンジルチロシンが挙げられる。
【0107】
いくつかの例では、非天然アミノ酸は、Ec-ティール/tRNACUAまたはEc-Leu/tRNACUA対によってサイトカイン(例えば、ILポリペプチド)に組み込まれる。Ec-Tyr/tRNACUAまたはEc-Leu/tRNACUA対によって組み込まれ得る典型的なUAAとしては、限定されないが、ベンゾフェノ、ケトン、ヨウ化物、またはアジド置換基を含むフェニルアラニン誘導体;O-プロパルギルチロシン;α-アミノカプリル酸、Oメチルチロシン、O-ニトロベンジルシステイン;および、3-(ナフタレン-2-イルアミノ)-2-アミノ-プロパン酸が挙げられる。
【0108】
いくつかの例では、非天然アミノ酸は、ピロリジル-tRNA対によってサイトカイン(例えば、IL ポリペプチド)に組み込まれる。場合によっては、PylRSは、古細菌から(例えば、メタン生成古細菌から)得られる。場合によっては、PylRSは、メタノサルシナ・バーケリ、メタノサルシナ・マゼイ、またはメタノサルシナ・アセチボランスから得られる。ピロリジル-tRNA対によって組み込まれ得る典型的なUAAとしては、限定されないが、2-アミノ-6-((R)-テトラヒドロフラン-2-カルボキシアミド)ヘキサン酸、N-ε-D-プロリル-L-リジン、およびN-ε-シクロペンチロキシカルボニル-L-リジンなどのアミドおよびカルバマート置換リジン;N-ε-アクリロイル -L-リジン;N-ε-[(1-(6-ニトロベンゾ[d][1,3]ジオキソ-ル(dioxol)-5-イル)エトキシ)カルボニル]-L-リジン;ならびに、N-ε-(1-メチルシクロプロ-2-エネカルボキシアミド(enecarboxamido))リジンが挙げられる。
【0109】
いくつかの例では、非天然アミノ酸は、米国特許第9,988,619号および米国特許第9,938,516号において開示されたシンテターゼによって、本明細書に記載されるサイトカイン(例えば、IL ポリペプチド)に組み込まれる。そのようなシンテタ
ーゼによって組み込まれ得る典型的なUAAとしては、パラ-メチルアジド-L-フェニルアラニン、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアラルキル非天然アミノ酸、あるいは他のものが挙げられる。いくつかの実施形態において、そのようなUAAは、ピリジル、ピラジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、チオフェニル、または他の複素環を含む。いくつかの実施形態において、そのようなアミノ酸は、アジド、テトラジン、または水溶性部分などの結合パートナーに抱合することができる他の化学基を含む。いくつかの実施形態において、そのようなシンテターゼは発現され、インビボでサイトカインにUAAを組み込むために使用される。いくつかの実施形態において、そのようなシンテターゼは、無細胞翻訳系を使用して、サイトカインにUAAを組み込むために使用される。
【0110】
いくつかの例では、非天然アミノ酸は、自然発生のシンテターゼによって、本明細書に記載されるサイトカイン(例えば、IL ポリペプチド)に組み込まれる。いくつかの実施形態において、非天然アミノ酸は、1つ以上のアミノ酸に対して栄養要求性の有機体によってサイトカインに組み込まれる。いくつかの実施形態において、栄養要求性アミノ酸に対応するシンテターゼは、非天然アミノ酸で対応するtRNAをチャージすることができる。いくつかの実施形態において、非天然アミノ酸は、セレノシステインまたはその誘導体である。いくつかの実施形態において、非天然アミノ酸は、セレノメチオニンまたはその誘導体である。いくつかの実施形態において、非天然アミノ酸は、ヨウ化物などのハロゲン化アリールを含む芳香族アミノ酸である。実施形態において、非天然アミノ酸は、栄養要求性アミノ酸に構造的に類似する。
【0111】
いくつかの例では、非天然アミノ酸は、図1において例証される非天然アミノ酸を含む。
【0112】
いくつかの例では、非天然アミノ酸は、リジンまたはフェニルアラニンの誘導体またはアナログを含む。いくつかの例では、非天然アミノ酸は、リジン誘導体またはリジンアナログを含む。いくつかの例では、非天然アミノ酸は、ピロリジン(Pyl)を含む。いくつかの例では、非天然アミノ酸は、フェニルアラニン誘導体またはフェニルアラニンアナログを含む。いくつかの例では、非天然アミノ酸は、Wan, et al., ”Pyrrolysyl-tRNA synthetase: an ordinary enzyme but an outstanding genetic code expansion tool,” Biocheim Biophys Aceta 1844(6): 1059-4070 (2014)に記載される非天然アミノ酸である。いくつかの例では、非天然アミノ酸は、図2(例えば、図2Aおよび図2B)において例証される非天然アミノ酸を含む。
【0113】
いくつかの実施形態において、非天然アミノ酸は、図3A図3Dにおいて例証される非天然アミノ酸を含む(Dumas et al., Chemical Science 2015, 6, 50-69の表1から採用される)。
【0114】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるサイトカイン(例えば、IL ポリペプチド)に組み込まれる非天然アミノ酸は、US9,840,493;US9,682,934;US2017/0260137;US9,938,516;または、US2018/0086734に開示される。そのようなシンテターゼによって組み込まれ得る典型的なUAAは、パラ-メチルアジド-L-フェニルアラニン、アラルキル、ヘテロシクリル、およびヘテロアラルキル、およびリジン誘導体の非天然アミノ酸を含む。いくつかの実施形態において、そのようなUAAは、ピリジル、ピラジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、チオフェニル、または他の複素環を含む。いくつかの実施形態において、そのようなアミノ酸は、アジド、テトラジン、または水溶性部分
などの結合パートナーに抱合することができる他の化学基を含む。いくつかの実施形態において、UAAは、アルキルリンカーを介して芳香族部分に結合されるアジドを含む。いくつかの実施形態において、アルキルリンカーは、C-C10リンカーである。いくつかの実施形態において、UAAは、アルキルリンカーを介して芳香族部分に結合されるテトラジンを含む。いくつかの実施形態において、UAAは、アミノ基を介して芳香族部分に結合されるテトラジンを含む。いくつかの実施形態において、UAAは、アルキルアミノ基を介して芳香族部分に結合されるテトラジンを含む。いくつかの実施形態において、UAAは、アルキル鎖を介してアミノ酸側鎖の末端窒素(例えば、リジン誘導体のN6、短いアルキル側鎖を含む誘導体のN5、N4、又N3)に結合されるアジドを含む。いくつかの実施形態において、UAAは、アルキル鎖を介してアミノ酸側鎖の末端窒素に結合されるテトラジンを含む。いくつかの実施形態において、UAAは、アルキル基のリンカーを介してアミドに結合されるアジドまたはテトラジンを含む。いくつかの実施形態において、UAAは、アジドまたはテトラジン含有カルバマート、あるいは3-アミノアラニン、セリン、リジン、またはその誘導体のアミドである。いくつかの実施形態において、そのようなUAAは、インビボでサイトカインに組み込まれる。いくつかの実施形態において、そのようなUAAは、無細胞系におけるサイトカインに組み込まれる。
【0115】
抱合部分
特定の実施形態において、上に記載される1つ以上のサイトカイン(例えば、インターロイキン、IFN、またはTNF)に結合される抱合部分が本明細書に開示される。いくつかの例では、抱合部分は、サイトカインとその受容体の相互作用を乱す分子である。いくつかの例では、抱合部分は、サイトカインに結合される場合、サイトカイン抱合を可能にして、免疫応答を調節することができる任意の分子である。いくつかの例では、抱合部分は水溶性高分子を含む。他の例では、抱合部分はタンパク質またはその結合フラグメントを含む。さらなる場合において、抱合部分はペプチドを含む。さらなる場合において、抱合部分は核酸を含む。さらなる場合において、抱合部分は小分子を含む。場合によっては、抱合部分は、血清半減期を増加させ、および/または安定性を改善する。場合によっては、抱合部分は、1つ以上のサイトカイン受容体ドメインまたはサブユニットとのサイトカイン相互作用を減少させる。さらなる場合において、抱合部分は、1つ以上のサイトカインドメインまたはその同族受容体へのサブユニットとサイトカインとの相互作用を遮断する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるサイトカイン抱合は、複数の複合部分を含む。いくつかの実施形態において、抱合部分は、サイトカインペプチドにおける非天然または天然アミノ酸に結合される。いくつかの実施形態において、サイトカイン抱合体は、天然アミノ酸に結合される抱合部分を含む。いくつかの実施形態において、サイトカイン抱合体は、サイトカインペプチドにおける非天然アミノ酸に結合される。いくつかの実施形態において、抱合部分は、サイトカインペプチドのN末端またはC末端アミノ酸に結合される。様々な組み合わせ部位が本明細書に開示され、例えば、第1の抱合部分は、サイトカインペプチドにおける非天然または天然アミノ酸に結合され、第2の抱合部分は、サイトカインペプチドのN末端またはC末端アミノ酸に結合される。いくつかの実施形態において、単一の抱合部分は、サイトカインペプチド(例えば、ステープル)の複数の残基に結合される。いくつかの実施形態において、抱合部分は、サイトカインペプチドのN末端およびC末端アミノ酸の両方に結合される。
【0116】
水溶性ポリマー
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される抱合部分は水溶性高分子である。いくつかの例では、水溶性高分子は、非ペプチド性、無毒、および生体適合性である。本明細書で使用されるように、生体組織(例えば、患者の投与)に関する物質のみの使用、あるいは他の物質(例えば、サイトカイン部分などの活性薬剤)との使用に関連する有益な効果が、臨床医(例えば、医師、毒物学者、臨床開発専門家)によって評価されるような任意の有害な影響より上回る場合、物質は生体適合性であるとみなされる。いくつかの
例では、水溶性高分子はさらに非免疫原性である。いくつかの例では、インビボでの物質の意図された使用が望ましくない免疫応答(例えば、抗体の形成)をもたらさない場合、あるいは、臨床医(例えば、医師、毒物学者、臨床開発専門家)によって評価されるような、臨床的に有意または重要であると認められない免疫応答が生じる場合、物質は非免疫原であるとみなされる。
【0117】
いくつかの例では、水溶性高分子は、約2~約300の終端を有するとして特徴付けられる。典型的な水溶性のポリマーとしては、限定されないが、ポリ(アルキレングリコール)、例えば、ポリエチレングリコール(「PEG」)、ポリ(プロピレングリコール)(「PPG」)、エチレングリコールおよびプロピレングリコールのコポリマーなど、ポリ(オキシエチル化ポリオール)、ポリ(オレフィンアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリルアミド)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリラート)、ポリ(サッカライド)、ポリ(α-ヒドロキシ酸)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリアクリルアミド(PAAm)、ポリ(N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド)(PHPMA)、ポリジメチルアクリルアミド(PDAAm)、ポリホスファゼン、ポリオキサゾリン(「POZ」)(国際公開第2008/106186号に記載される)、ポリ(N-アクリロイルモルホリン、および前述のもののいずれかの組み合わせが挙げられる。
【0118】
場合によっては、水溶性高分子は特定の構造に限定されない。場合によっては、水溶性高分子は、直鎖状(例えば、エンドキャップされた、例えば、アルコキシPEG、二官能性のPEG)、分枝状または多アームの(例えば、ポリオールコアに結合される分岐したPEGまたはPEG)、樹枝状の(または、星状体)構造であり、各々は、1つ以上の分解性結合を有するか、あるいは有しない。さらに、水溶性高分子の内部構造は、任意の数の異なる反復パターンで構築することができ、ならびに、ホモポリマー、交互共重合体、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互トリポリマー(alternating tripolymer)、ランダムトリポリマー(random tripolymer)、ブロックトリポリマー(block tripolymer)からなる群から選択することができる。
【0119】
いくつかの実施形態において、IL-2抱合体における水溶性高分子の重量平均分子量は、約100ダルトン~約150,000ダルトンである。典型的な範囲は、例えば、5,000ダルトン以上~約100,000ダルトンの範囲、約6,000ダルトン~約90,000ダルトンの範囲、約85,000ダルトン~約10,000ダルトンの範囲、10,000ダルトン以上~約85,000ダルトンの範囲、約20,000ダルトン~約85,000ダルトンの範囲、約53,000ダルトン~約85,000ダルトンの範囲、約25,000ダルトン~約120,000ダルトンの範囲、約29,000ダルトン~約120,000ダルトンの範囲、約35,000ダルトン~約120,000ダルトンの範囲、および約40,000ダルトン~約120,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を含む。
【0120】
水溶性高分子の典型的な重量平均分子量は、約100ダルトン、約200ダルトン、約300ダルトン、400ダルトン、約500ダルトン、約600ダルトン、約700ダルトン、約750ダルトン、約800ダルトン、約900ダルトン、約1,000ダルトン、約1,500ダルトン、約2,000ダルトン、約2,200ダルトン、約2,500ダルトン、約3,000ダルトン、約4,000ダルトン、約4,400ダルトン、約4,500ダルトン、約5,000ダルトン、約5,500ダルトン、約6,000ダルトン、約7,000ダルトン、約7,500ダルトン、約8,000ダルトン、約9,000ダルトン、約10,000ダルトン、約11,000ダルトン、約12,000ダルトン、約13,000、約14,000ダルトン、約15,000ダルトン、約20,00
0ダルトン、約22,500ダルトン、約25,000ダルトン、約30,000ダルトン、約35,000ダルトン、約40,000ダルトン、約45,000ダルトン、約50,000ダルトン、約55,000ダルトン、約60,000ダルトン、約65,000ダルトン、約70,000ダルトン、および約75,000ダルトンを含む。前述のいずれかの総分子量を有する分枝状バージョンの水溶性高分子(例えば、2つの20,000ダルトンのポリマーから構成される分枝状の40,000ダルトンの水溶性高分子)も使用することができる。1つ以上の実施形態において、抱合体は、約6,000ダルトン未満の重量平均分子量を有するPEGに、直接または間接的に結合されるPEG部分を有しないだろう。
【0121】
PEGは典型的に、多数の(OCHCH)単量体[または、PEGがどのように定義されるかに応じて(CHCHO)単量体]を含むだろう。本明細書で使用されるように、反復単位の数は「((OCHCH))n」中の添字「n」によって識別される。したがって、(n)の値は、典型的には以下の範囲の1つ以上に該当する:約2~約3400、約100~約2300、約100~約2270、約136~約2050、約225~約1930、約450~約1930、約1200~約1930、約568~約2727、約660~約2730、約795~約2730、約795~約2730、約909~約2730、および約1,200~約1,900。分子量が既知の所定のポリマーに関しては、反復単量体の分子量でポリマーの全重量平均分子量を割ることにより、反復単位(すなわち「n」)の数を決定することが可能である。
【0122】
いくつかの例では、水溶性高分子は、エンドキャップされたポリマー、すなわち、より低いCアルコキシ基、またはヒドロキシル基などの比較的不活性な基によりキャップされる少なくとも1つの終端を有するポリマーである。ポリマーがPEGである場合、例えば、直鎖状のPEGであるメトキシ-PEG(一般的にmPEGと呼ばれる)が使用されてもよく、ここで、ポリマーの1つの終端はメトキシ(--OCH)基であり、もう一方の終端は随意に化学的に改変されるヒドロキシルまたは他の官能基である。
【0123】
いくつかの実施形態において、典型的な水溶性高分子としては、限定されないが、Quanta Biodesign, Ltdの直鎖または分枝状の個々のPEG(dPEG);Nektar Therapeuticsの分枝状、直鎖状、あるいは分岐状のPEG;および、JenKem TechnologyのY状のPEG誘導体が挙げられる。
【0124】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるサイトカイン(例えば、インターロイキン、IFN、またはTNF)ポリペプチドは、ポリ(アルキレングリコール)、例えば、ポリエチレングリコール(「PEG」)、ポリ(プロピレングリコール)(「PPG」)、エチレングリコールおよびプロピレングリコールなどのコポリマー、ポリ(オキシエチル化ポリオール)、ポリ(オレフィンアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリルアミド)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリラート)、ポリ(サッカライド)、ポリ(α-ヒドロキシ酸)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリアクリルアミド(PAAm)、ポリジメチルアクリルアミド(PDAAm)、ポリ(N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド)(PHPMA)、ポリホスファゼン、ポリオキサゾリン(「POZ」)、ポリ(N-アクリロイルモルホリン)、およびそれらの組み合わせから選択される水溶性高分子に抱合される。いくつかの例では、サイトカインポリペプチドはPEG(例えば、ペグ化された)に抱合される。いくつかの例では、サイトカインポリペプチドはPPGに抱合される。いくつかの例では、サイトカインポリペプチドはPOZに抱合される。いくつかの例では、サイトカインポリペプチドはPVPに抱合される。
【0125】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるIL-2は、ポリ(アルキレング
リコール)、例えば、ポリエチレングリコール(「PEG」)、ポリ(プロピレングリコール)(「PPG」)、エチレングリコールおよびプロピレングリコールなどのコポリマー、ポリ(オキシエチル化ポリオール)、ポリ(オレフィンアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリルアミド)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリラート)、ポリ(サッカライド)、ポリ(α-ヒドロキシ酸)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリアクリルアミド(PAAm)、ポリジメチルアクリルアミド(PDAAm)、ポリ(N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド)(PHPMA)、ポリホスファゼン、ポリオキサゾリン(「POZ」)、ポリ(N-アクリロイルモルホリン)、およびそれらの組み合わせから選択される水溶性高分子に抱合される。いくつかの例では、IL-2ポリペプチドはPEG(例えば、ペグ化された)に抱合される。いくつかの例では、IL-2ポリペプチドはPPGに抱合される。いくつかの例では、IL-2ポリペプチドはPOZに抱合される。いくつかの例では、IL-2ポリペプチドはPVPに抱合される。
【0126】
いくつかの例では、水溶性高分子はポリグリセロール(PG)を含む。場合によっては、ポリグリセロールは、高分岐PG(HPG)(例えば、Imran, et al. ”Influence of architecture of high molecular weight linear and branched polyglycerols on their biocompatibility and biodistribution,” Biomaterials 33:9135-9147 (2012)によって記載されるような)である。その他の場合において、ポリグリセロールは直鎖状PG(LPG)である。さらなる場合において、ポリグリセロールは、中官能性PG、直鎖状のブロック高分岐PG(例えば、Wurm et. Al. , ”Squaric acid mediated synthesis and biological activity of a library of linear and hyperbranched poly(glycerol)-protein conjugates,” Biomacromolecules 13:1161-1171 (2012))によって記載される)、または側鎖状の官能性PG(例えば、Li, et. al., ”Synthesis of linear polyether polyol derivatives as new materials for bioconjugation,” Bioconjugate Chem. 20:780-789 (2009)によって記載される)である。
【0127】
いくつかの例では、本明細書に記載されるサイトカイン(例えば、インターロイキン、IFN、またはTNF)ポリペプチドは、PG、例えば、HPG、LPG、中官能性PG、直鎖状のブロック高分岐PG、側鎖の官能性PGに抱合される。いくつかの例では、サイトカインはIL-2ポリペプチドである。場合によっては、IL-2ポリペプチドは、PG、中官能性PG、直鎖状のブロック高分岐PGに抱合される。
【0128】
いくつかの実施形態において、水溶性高分子は分解性合成PEG代替物である。典型的な分解性合成PEG代替物としては、限定されないが、ポリ[オリゴ(エチレングリコール)メタクリル酸メチル](POEGMA);テレキーレック、あるいは両末端が官能基化されたPEGベースのマクロモノマー重合によって生成された、骨格を修飾したPEG誘導体;分解性結合、例えば、ポリ[(エチレンオキシエ(ethylene oxie))-co-(メチレンエチレンオキシド][P(EO-co-MEO)、環状ケテンアセタール、例えば、5,6-ベンゾ-2-メチレン-1,3-ジオキセパン(BMDO)などの、2-メチレン-1,3-ジオキセパン(MDO)、およびOEGMAにより共重合された2-メチレン-4-フェニル-1,3-ジオキソラン(MPDL)を含む、コモノマーを含むPEG誘導体;または、ポリ(ε-カプロラクトン)-グラフト(graft)-ポリ(エチレンオキシド)(PCLg-PEO)が挙げられる。
【0129】
いくつかの例では、本明細書に記載されるサイトカイン(例えば、インターロイキン、IFN、またはTNF)ポリペプチドは、分解性合成PEG代替物、例えば、POEGM;テレキーレック、あるいは両末端が官能基化されたPEGベースのマクロモノマー重合によって生成された、骨格を修飾したPEG誘導体;P(EO-co-MEO);OEGMAにより共重合されたBMDO、MDO、およびMPDLなどの環状のケテンアセタール;または、PCL-g-PEOなどに抱合される。いくつかの例では、サイトカインはIL-2ポリペプチドである。場合によっては、IL-2ポリペプチドは、分解性合成PEG代替物、例えば、POEGM;テレキーレック、あるいは両末端が官能基化されたPEGベースのマクロモノマー重合によって生成された、骨格を修飾したPEG誘導体;P(EO-co-MEO);OEGMAにより共重合されたBMDO、MDO、およびMPDLなどの環状のケテンアセタール;または、PCL-g-PEOなどに抱合される。
【0130】
いくつかの実施形態において、水溶性高分子はポリ(双性イオン)を含む。典型的なポリ(双性イオン)としては、限定されないが、ポリ(スルホベタインメタクリレート)(PSBMA)、ポリ(カルボキシベタインメタクリレート)(PCBMA)、およびポリ(2-メタクリロイルオキシエチル(methyacryloyloxyethyl)ホスホリルコリン)(PMPC)が挙げられる。いくつかの例では、本明細書に記載されるサイトカイン(例えば、インターロイキン、IFN、またはTNF)ポリペプチドは、ポリ(双性イオン)、例えば、PSBMA、PCBMA、またはPMPCに抱合される。場合によっては、サイトカインはIL-2ポリペプチドである。場合によっては、IL-2ポリペプチドは、ポリ(双性イオン)、例えば、PSBMA、PCBMA、またはPMPCに抱合される。
【0131】
いくつかの実施形態において、水溶性高分子はポリカーボネートを含む。典型的なポリカーボネートとしては、限定されないが、ペンタフルオロフェニル5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキサン-5-カルボン酸塩(MTC-OC)が挙げられる。いくつかの例では、本明細書に記載されるサイトカイン(例えば、インターロイキン、IFN、またはTNF)ポリペプチドは、ポリカーボネート、例えば、MTC-OCに抱合される。場合によっては、サイトカインはIL-2ポリペプチドである。場合によっては、IL-2ポリペプチドはポリカーボネート、例えば、MTC-OCに抱合される。
【0132】
いくつかの実施形態において、水溶性高分子は、ポリマーハイブリッド、例えば、ポリカーボネート/PEGポリマーハイブリッド、ペプチド/タンパク質ポリマー抱合体、またはヒドロキシル基を含むおよび/または両性イオンの誘導体化されたポリマー(例えば、ヒドロキシル基を含むおよび/または両性イオンの誘導体化されたPEGポリマー)などを含む。いくつかの例では、本明細書に記載されるサイトカイン(例えば、インターロイキン、IFN、またはTNF)ポリペプチドは、ポリマーハイブリッド、例えば、ポリカーボネート/PEGポリマーハイブリッド、ペプチド/タンパク質ポリマー抱合体、またはヒドロキシル基を含むおよび/または両性イオンの誘導体化されたポリマー(例えば、ヒドロキシル基を含むおよび/または両性イオンの誘導体化されたPEGポリマー)に抱合される。場合によっては、サイトカインはIL-2ポリペプチドである。場合によっては、IL-2ポリペプチドは、ポリマーハイブリッド、例えば、ポリカーボネート/PEGポリマーハイブリッド、ペプチド/タンパク質ポリマー抱合体、またはヒドロキシル基を含むおよび/又両性イオンの誘導体化されたポリマー(例えば、ヒドロキシル基を含むおよび/または両性イオンの誘導体化されたPEGポリマー)に抱合される。
【0133】
いくつかの例では、水溶性高分子は多糖を含む。典型的な多糖としては、限定されないが、デキストラン、ポリシアル酸(PSA)、ヒアルロン酸(HA)、アミロース、ヘパ
リン、ヘパラン硫酸(HS)、デキストリン、またはヒドロキシエチルデンプン(HES)が挙げられる。場合によっては、サイトカイン(例えば、インターロイキン、IFN、またはTNF)ポリペプチドは多糖に抱合される。場合によっては、IL-2ポリペプチドはデキストランに抱合される。場合によっては、IL-2ポリペプチドはPSAに抱合される。場合によっては、IL-2ポリペプチドはHAに抱合される。場合によっては、IL-2ポリペプチドはアミロースに抱合される。場合によっては、IL-2ポリペプチドはヘパリンに抱合される。場合によっては、IL-2ポリペプチドはHSに抱合される。場合によっては、IL-2ポリペプチドはデキストリンに抱合される。場合によっては、IL-2ポリペプチドはHESに抱合される。
【0134】
場合によっては、水溶性高分子はグリカンを含む。グリカンの典型的なクラスは、N結合型グリカン、O結合型グリカン、糖脂質、O-GlcNAc、およびグリコサミノグリカンを含む。場合によっては、サイトカイン(例えば、インターロイキン、IFN、またはTNF)ポリペプチドは、グリカンに抱合される。場合によっては、IL-2ポリペプチドはN結合型グリカンに抱合される。場合によっては、IL-2ポリペプチドはO結合型グリカンに抱合される。場合によっては、IL-2ポリペプチドは糖脂質に抱合される。場合によっては、IL-2ポリペプチドはO-GlcNAcに抱合される。場合によっては、IL-2ポリペプチドはグリコサミノグリカンに抱合される。
【0135】
いくつかの実施形態において、水溶性高分子はポリオキサゾリンポリマーを含む。ポリオキサゾリンポリマーは線状合成ポリマーであり、およびPEGと類似し、低い多分散を含む。いくつかの例では、ポリオキサゾリンポリマーは、平均分子体重により特徴づけられる、多分散のポリオキサゾリンポリマーである。場合によっては、ポリオキサゾリンポリマーの平均分子体重は、例えば、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、10,000、12,000、20,000、35,000、40,000、50,000、60,000、100,000、200,000、300,000、400,000または500,000Daを含む。いくつかの例では、ポリオキサゾリンポリマーは、ポリ(2-メチル2-オキサゾリン)(PMOZ)、ポリ(2-エチル2-オキサゾリン)(PEOZ)、ポリ(2-プロピル2-オキサゾリン)(PPOZ)を含む。場合によっては、サイトカイン(例えば、インターロイキン、IFN、またはTNF)ポリペプチドは、ポリオキサゾリンポリマーに抱合される。場合によっては、IL-2ポリペプチドはポリオキサゾリンポリマーに抱合される。場合によっては、IL-2ポリペプチドはPMOZに抱合される。場合によっては、IL-2ポリペプチドはPEOZに抱合される。場合によっては、IL-2ポリペプチドはPPOZに抱合される。
【0136】
いくつかの例では、水溶性高分子はポリアクリル酸ポリマーを含む。場合によっては、サイトカイン(例えば、インターロイキン、IFN、またはTNF)ポリペプチドは、ポリアクリル酸ポリマーに抱合される。場合によっては、IL-2ポリペプチドはポリアクリル酸ポリマーに抱合される。
【0137】
いくつかの例では、水溶性高分子はポリアミンを含む。ポリアミンは、2つ以上の一級アミノ基を含む有機ポリマーである。いくつかの実施形態において、ポリアミンは、分岐ポリアミン、直鎖状ポリアミン、または環状ポリアミンを含む。場合によっては、ポリアミンは低分子量の直鎖状ポリアミンである。典型的なポリアミンは、プトレッシン、カダベリン、スペルミジン、スペルミン、エチレンジアミン、1、3-ジアミノプロパン、ヘキサメチレンジアミン、テトラエチルメチレンジアミン、およびピペラジンを含む。場合によっては、サイトカイン(例えば、インターロイキン、IFN、またはTNF)ポリペプチドは、ポリアミンに抱合される。場合によっては、IL-2ポリペプチドはポリアミンに抱合される。場合によっては、IL-2ポリペプチドは、プトレッシン、カダベリン
、スペルミジン、スペルミン、エチレンジアミン、1、3-ジアミノプロパン、ヘキサメチレンジアミン、テトラエチルメチレンジアミン、またはピペラジンに抱合される。
【0138】
いくつかの例では、水溶性高分子は、米国特許第7,744,861号、第8,273,833号、および第7,803,777号に記載されている。いくつかの例では、サイトカイン(例えば、インターロイキン、IFN、またはTNF)ポリペプチドは、米国特許第7,744,861号、第8,273,833号、または第7,803,777号に記載されるリンカーに抱合される。場合によっては、IL-2ポリペプチドは、米国特許第7,744,861号、第8,273,833号、または第7,803,777号に記載されるリンカーに抱合される。
【0139】
タンパク質
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される抱合部分は、タンパク質またはその結合フラグメントである。典型的なタンパク質は、アルブミン、トランスフェリン、またはトランスサイレチンを含む。いくつかの例では、タンパク質またはその結合フラグメントは、抗体、またはその結合フラグメントを含む。場合によっては、サイトカイン抱合体は、タンパク質またはその結合フラグメントを含む。場合によっては、タンパク質またはその結合フラグメントを含むIL-2抱合体は、増加した血清半減期、および/または安定性を有する。場合によっては、タンパク質またはその結合フラグメントを含むIL-2抱合体は、1つ以上のIL-2Rサブユニットと減少したIL-2の相互作用を有する。さらなる場合では、タンパク質あるいはその結合フラグメントは、1つ以上のIL-2RサブユニットとIL-2の相互作用を遮断するか、あるいはIL-2Rβγシグナル伝達複合体のアセンブリに影響する。
【0140】
いくつかの実施形態において、抱合部分はアルブミンである。アルブミンは、水溶性の球状たんぱくのファミリーである。それは、一般に血漿において見られ、全血漿たんぱく質の約55-60%を構成する。ヒト血清アルブミン(HSA)は、三次構造3つのドメイン、つまり、ドメインI(アミノ酸残基1-195)、ドメインII(アミノ酸残基196-383)およびドメインIII(アミノ酸残基384-585)へと三次構造が分割される、585のアミノ酸ポリペプチドである。各ドメインは、内在性リガンド、例えば、長鎖脂肪酸および中鎖脂肪酸、ビリルビン、またはヘミン、あるいは、外因性化合物、例えば、複素環化合物または芳香族化合物と、可逆的にまたは不可逆的に相互作用することができる結合部位を含む。
【0141】
場合によっては、サイトカイン(例えば、インターロイキン、IFN、またはTNF)ポリペプチドは、アルブミンに抱合される。場合によっては、サイトカインポリペプチドは、ヒト血清アルブミン(HSA)に抱合される。さらなる場合において、サイトカインポリペプチドは、アルブミンの官能性フラグメントに抱合される。
【0142】
いくつかの例では、IL-2ポリペプチドはアルブミンに抱合される。場合によっては、IL-2ポリペプチドはヒト血清アルブミン(HSA)に抱合される。さらなる場合において、IL-2ポリペプチドはアルブミンの官能性フラグメントに抱合される。
【0143】
いくつかの実施形態において、抱合部分はトランスフェリンである。トランスフェリンは、約80kDaのサイズであり、2つのFe3+結合部位を含む(N末端ドメインに1つと、C末端ドメインに1つ)、679のアミノ酸ポリペプチドである。いくつかの例では、ヒトトランスフェリンは、約7-12日の半減期を有する。
【0144】
いくつかの例では、サイトカイン(例えば、インターロイキン、IFN、またはTNF)ポリペプチドは、トランスフェリンに抱合される。場合によっては、サイトカインポリ
ペプチドは、ヒトトランスフェリンに抱合される。さらなる場合において、サイトカインポリペプチドは、トランスフェリンの官能性フラグメントに抱合される。
【0145】
いくつかの例では、IL-2ポリペプチドはトランスフェリンに抱合される。場合によっては、IL-2ポリペプチドはヒトトランスフェリンに抱合される。さらなる場合において、IL-2ポリペプチドは、トランスフェリンの官能性フラグメントに抱合される。
【0146】
いくつかの実施形態において、抱合部分はトランスサイレチン(TTR)である。トランスサイレチンは、レチノールに結合された甲状腺ホルモンチロキシン(T)およびレチノール結合タンパク質を運ぶ血清および脳脊髄液に存在する輸送タンパク質である。
【0147】
いくつかの例では、サイトカイン(例えば、インターロイキン、IFN、またはTNF)ポリペプチドは、トランスサイレチンに抱合される(その終端の1つ、または内部ヒンジ領域を介して)。場合によっては、サイトカインポリペプチドは、トランスサイレチンの機能性フラグメントに抱合される。
【0148】
いくつかの例では、IL-2ポリペプチドは、トランスサイレチン(その終端の1つ、または内部ヒンジ領域を介して)に抱合される。場合によっては、IL-2ポリペプチドは、トランスサイレチンの機能性フラグメントに抱合される。
【0149】
いくつかの実施形態では、抱合部分は、抗体またはその結合フラグメントである。いくつかの例では、抗体またはその結合フラグメントは、ヒト化抗体またはその結合フラグメント、マウス抗体またはその結合フラグメント、キメラ抗体またはその結合フラグメント、モノクローナル抗体またはその結合フラグメント、一価のFab’、二価のFab、F(ab)’フラグメント、単鎖可変フラグメント(scFv)、ビス-scFv(scFv)、ダイアボディ、ミニボディ、ナノボディ、トリアボディ、テトラボディ、ヒューマボディ、ジスルフィド安定Fvタンパク質(dsFv)、単一ドメイン抗体(sdAb)、Ig NAR、camelid抗体またはその結合フラグメント、二重特異性抗体またはその結合フラグメント、あるいはその化学修飾された誘導体を含む。
【0150】
いくつかの例では、抱合部分は、scFv、ビス-scFv、(scFv)、dsFv、またはsdAbを含む。場合によっては、抱合部分はscFvを含む。場合によっては、抱合部分はビス-scFvを含む。場合によっては、抱合部分は(scFv)を含む。場合によっては、抱合部分はdsFvを含む。場合によっては、抱合部分はsdAbを含む。
【0151】
いくつかの例では、抱合部分は、抗体、例えば、IgG、IgA、IgM、IgE、またはIgDのFc部分を含む。いくつかの例では、上記部分は、IgG(例えば、IgG、IgG、またはIgG)のFc部分を含む。
【0152】
場合によっては、サイトカイン(例えば、インターロイキン、IFN、またはTNF)ポリペプチドは、抗体、またはその結合フラグメントに抱合される。いくつかの例では、サイトカインポリペプチドは、ヒト化抗体またはその結合フラグメント、マウス抗体またはその結合フラグメント、キメラ抗体またはその結合フラグメント、モノクローナル抗体またはその結合フラグメント、一価のFab’、二価のFab、F(ab)’、単鎖可変フラグメント(scFv)、ビス-scFv(scFv)、ダイアボディ、ミニボディ、ナノボディ、トリアボディ、テトラボディ、ヒューマボディ、ジスルフィド安定Fvタンパク質(dsFv)、単一ドメイン抗体(sdAb)、Ig NAR、camelid抗体またはその結合フラグメント、二重特異性抗体またはその結合フラグメント、あるいはその化学修飾された誘導体に抱合される。さらなる場合において、サイトカインポ
リペプチドは抗体のFc部分に抱合される。さらなる場合において、サイトカインポリペプチドは、IgG(例えば、IgG、IgG、またはIgG)のFc部分に抱合される。
【0153】
場合によっては、IL-2ポリペプチドは、抗体、またはその結合フラグメントに抱合される。いくつかの例では、IL-2ポリペプチドは、ヒト化抗体またはその結合フラグメント、マウス抗体またはその結合フラグメント、キメラ抗体またはその結合フラグメント、モノクローナル抗体またはその結合フラグメント、一価のFab’、二価のFab、F(ab)’フラグメント、単鎖可変フラグメント(scFv)、ビス-scFv(scFv)、ダイアボディ、ミニボディ、ナノボディ、トリアボディ、テトラボディ、ヒューマボディ、ジスルフィド安定Fvタンパク質(dsFv)、単一ドメイン抗体(sdAb)、Ig NAR、camelid抗体またはその結合フラグメント、二重特異性抗体またはその結合フラグメント、あるいはその化学修飾された誘導体に抱合される。さらなる場合において、IL-2ポリペプチドは抗体のFc部分に抱合される。さらなる場合において、IL-2ポリペプチドは、IgG(例えば、IgG、IgG、またはIgG)のFc部分に抱合される。
【0154】
いくつかの実施形態において、IL-2ポリペプチドは、水溶性高分子(例えば、PEG)、抗体またはその結合フラグメントに抱合される。場合によっては、抗体またはその結合フラグメントは、ヒト化抗体またはその結合フラグメント、マウス抗体またはその結合フラグメント、キメラ抗体またはその結合フラグメント、モノクローナル抗体またはその結合フラグメント、一価のFab’、二価のFab、F(ab)’フラグメント、単鎖可変フラグメント(scFv)、ビス-scFv(scFv)、ダイアボディ、ミニボディ、ナノボディ、トリアボディ、テトラボディ、ヒューマボディ、ジスルフィド安定Fvタンパク質(dsFv)、単一ドメイン抗体(sdAb)、Ig NAR、camelid抗体またはその結合フラグメント、二重特異性抗体またはその結合フラグメント、あるいはその化学修飾された誘導体を含む。場合によっては、抗体またはその結合フラグメントは、scFv、ビス-scFv、(scFv)、dsFv、またはsdAbを含む。場合によっては、抗体またはその結合フラグメントはscFvを含む。場合によっては、抗体またはその結合フラグメントはIL-2抱合体を対象の標的細胞へと導き、および水溶性高分子は安定性および/または血清半減期を増加させる。
【0155】
いくつかの例では、1つ以上のIL-2ポリペプチド-水溶性高分子(例えば、PEG)抱合体は、抗体またはその結合フラグメントにさらに結合される。いくつかの例では、IL-2抱合体対抗体の比率は、約1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、または12:1である。場合によっては、IL-2抱合体対抗体の比率は約1:1である。その他の場合において、IL-2抱合体対抗体の比率は、約2:1、3:1、または4:1である。さらなる場合において、IL-2抱合体対抗体の比率は約6:1以上である。
【0156】
いくつかの実施形態において、1つ以上のIL-2ポリペプチド-水溶性高分子(例えば、PEG)抱合体は、抗体またはその結合フラグメントに直接結合される。他の例では、IL-2抱合体は、リンカーにより抗体または結合そのフラグメントに間接的に結合される。典型的なリンカーは、ホモ二官能性リンカー、ヘテロ官能性リンカー、マレイミドベースのリンカー、ゼロトレースのリンカー、自壊性リンカー、スペーサー等を含む。
【0157】
いくつかの実施形態において、抗体またはその結合フラグメントは、IL-2ポリペプチド-水溶性高分子(例えば、PEG)抱合体のIL-2ポリペプチド部分に直接あるいは間接的に結合される。そのような場合、IL-2ポリペプチドに対する抗体の抱合部位は、IL-2RβγとIL-2ポリペプチドとの結合を妨害しない部位である。さらなる
場合において、IL-2ポリペプチドに対する抗体の抱合部位は、IL-2RβγとIL-2ポリペプチドとの結合を部分的に遮断する部位である。他の実施形態では、抗体またはその結合フラグメントは、IL-2ポリペプチド-水溶性高分子(例えば、PEG)抱合体の水溶性高分子部分に直接または間接的に結合される。
【0158】
ペプチド
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される抱合部分はペプチドである。いくつかの例では、ペプチドは非構造化ペプチドである。場合によっては、サイトカイン(例えば、インターロイキン、IFN、またはTNF)ポリペプチドは、ペプチドに抱合される。場合によっては、ペプチドを含むIL-2抱合体は、増加した血清半減期、および/または安定性を有する。場合によっては、ペプチドを含むIL-2抱合体は、1つ以上のIL-2Rサブユニットと減少したIL-2の相互作用を有する。さらなる場合において、ペプチドは、1つ以上のIL-2RサブユニットとIL-2の相互作用を遮断する。
【0159】
いくつかの例では、抱合部分は、XTEN(商標)ペプチド(Amunix Operating Inc.)であり、その修飾はXTENylationと呼ばれる。XTENylationは、XTEN(商標)ペプチド(Amunix Operating Inc.)、すなわち、6つのアミノ酸(Ala、Glu、Gly、Ser、およびThr)の異なるパーセンテージを含む長い非構造化親水性ペプチドをコードする核酸と、対象のポリペプチドをコードする核酸との遺伝学的な融合である。いくつかの例では、XTEN(商標)ペプチドは、発現、遺伝子安定性、溶解度、凝集抵抗、半減期の増加、効力の増強、および/または、対象のポリペプチドと組み合わせたインビトロの活性の増大などの特性に基づいて選択されている。場合によっては、サイトカイン(例えば、インターロイキン、IFN、またはTNF)ポリペプチドは、XTENペプチドに抱合される。場合によっては、IL-2ポリペプチドはXTENペプチドに抱合される。
【0160】
いくつかの例では、抱合部分は、グリシンに富むホモアミノ酸ポリマー(HAP)であり、その修飾はHAPylationと呼ばれる。HAPylationは、グリシンに富むホモアミノ酸ポリマー(HAP)をコードする核酸と、対象のポリペプチドをコードする核酸との遺伝学的な融合である。いくつかの例では、HAPポリマーは、(Gly4Ser)n反復モチーフ(SEQ ID NO:3)を含み、時に、約50、100、150、200、250、300、またはそれ以上の長さの残基である。場合によっては、サイトカイン(例えば、インターロイキン、IFN、またはTNF)ポリペプチドはHAPに抱合される。場合によっては、IL-2ポリペプチドはHAPに抱合される。
【0161】
いくつかの実施形態において、抱合部分はPASポリペプチドであり、その修飾はPASylationと呼ばれる。PASylationは、PASポリペプチドをコードする核酸と、対象のポリペプチドをコードする核酸との遺伝学的な融合である。PASポリペプチドは、Pro、Ala、およびSer残基から成る親水性の非荷電ポリペプチドである。いくつかの例では、PASポリペプチドの長さは、少なくとも約100、200、300、400、500、または600のアミノ酸である。場合によっては、サイトカイン(例えば、インターロイキン、IFN、またはTNF)ポリペプチドは、PASポリペプチドに抱合される。場合によっては、IL-2ポリペプチドはPASポリペプチドに抱合される。
【0162】
いくつかの実施形態において、抱合部分はエラスチン様ポリペプチド(ELP)であり、その修飾はELPylationと呼ばれる。ELPylationは、エラスチン様ポリペプチド(ELP)をコードする核酸と、対象のポリペプチドをコードする核酸との遺伝学的な融合である。ELPはVPGxG反復モチーフ(SEQ ID NO:4)を含み、ここで、xがプロリン以外の任意のアミノ酸である。場合によっては、サイトカイ
ン(例えば、インターロイキン、IFN、またはTNF)ポリペプチドは、ELPに抱合される。場合によっては、IL-2ポリペプチドはELPに抱合される。
【0163】
いくつかの実施形態において、抱合部分はCTPペプチドである。CTPペプチドは、31のアミノ酸残基ペプチドFQSSSSKAPPPSLPSPSRLPGPSDTPILPQ(SEQ ID NO:5)を含み、ここで、SがO糖鎖付加部位(OPKO)を意味する。いくつかの例では、CTPペプチドは、サイトカインポリペプチド(例えば、IL-2ポリペプチド)に遺伝学的に融合される。場合によっては、サイトカインポリペプチド(例えば、IL-2ポリペプチド)は、CTPペプチドに抱合される。
【0164】
いくつかの実施形態において、サイトカイン(例えば、IL-2ポリペプチド)は、グルタミル化(glutamylation)によって修飾される。グルタミル化(または、ポリグルタミル化)は、グルタミン酸の可逆的な翻訳後修飾であり、ここで、遊離グルタミン酸のアミノ基とのペプチド様結合を形成し、グルタミン酸のγ-カルボキシ基はα-カルボキシ基がポリグルタミン酸鎖へと伸長する。
【0165】
いくつかの実施形態において、サイトカイン(例えば、IL-2ポリペプチド)は、ゼラチン様タンパク質(GLK)ポリマーによって修飾される。いくつかの例では、GLKポリマーはGly-Xaa-Yaaの複数の反復を含み、ここで、XaaおよびYaaは主にプロリンおよび4-ヒドロキシプロリンをそれぞれ含む。場合によっては、GLKポリマーは、アミノ酸残基Pro、Gly、Glu、Qln、Asn、Ser、およびLysをさらに含む。場合によっては、GLKポリマーの長さは、約20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、150残基またはそれ以上である。
【0166】
付加的な抱合部分
いくつかの例では、抱合部分は細胞外のバイオマーカーを含む。いくつかの例では、細胞外のバイオマーカーは腫瘍抗原である。いくつかの例では、典型的な細胞外のバイオマーカーは、CD19、PSMA、B7-H3、B7-H6、CD70、CEA、CSPG4、EGFRvIII、EphA3、EpCAM、EGFR、ErbB2(HER2)、FAP、FRα、GD2、GD3、Lewis-Y、メソテリン、Muc1、Muc16、ROR1、TAG72、VEGFR2、CD11、Gr-1、CD204、CD16、CD49b、CD4、CD8、およびB220を含む。いくつかの例では、抱合部分はサイトカイン(例えばIL-2)に結合されるか、あるいは抱合される。場合によっては、抱合部分は、サイトカイン(例えば、IL-2)の、例えば、N末端またはC末端で、遺伝学的に融合される。
【0167】
いくつかの例では、抱合部分は、翻訳後修飾からの分子を含む。いくつかの例では、翻訳後修飾の例は、ミリストイル化、パルミトイル化、イソプレニル化(またはプレニル化)(例えばファルネシル化またはゲラニルゲラニル化)、グリピエーション、アシル化(例えば、Oアシル化、N-アシル化、Sアシル化)、アルキル化(例えば、メチルまたはエチル基などのアルキル基の付加的な)、アミド化、グリコシル化、ヒドロキシル化、ヨウ素化、ヌクレオチド付加、酸化、リン酸化、サクシニル化、硫酸化、糖化、カルバミル化、グルタミル化、または脱アミドを含む。いくつかの例では、サイトカイン(例えば、IL-2)は、翻訳後修飾、例えば、ミリストイル化、パルミトイル化、イソプレニル化(または、プレニル化)(例えば、ファルネシル化あるいはゲラニルゲラニル化)、グリピエーション、アシル化(例えば、Oアシル化、N-アシル化、Sアシル化)、アルキル化(例えば、メチルまたはエチル基などのアルキル基の付加的な)、アミド化、グリコシル化、ヒドロキシル化、ヨウ素化、ヌクレオチド付加、酸化、リン酸化、サクシニル化、硫酸化、糖化、カルバミル化、グルタミル化、または脱アミドによって修飾される。
【0168】
抱合
リンカー
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるサイトカインポリペプチド(例えば、IL-2ポリペプチド)の抱合部分に抱合するか、あるいは結合するための有用な官能性反応基は、例えば、0または高次のリンカーを含む。いくつかの例では、本明細書に記載されるインターロイキンに組み込まれる非天然アミノ酸は、官能性反応基を含む。いくつかの例では、リンカーは、本明細書に記載されるインターロイキンに組み込まれる非天然アミノ酸と反応する官能性反応基を含む。いくつかの例では、抱合部分は、本明細書に記載されるインターロイキンに組み込まれる非天然アミノ酸と反応する官能性反応基を含む。いくつかの例では、抱合部分は、本明細書に記載されるリンカー(随意に、サイトカインペプチドにあらかじめ結合される)と反応する官能性反応基を含む。いくつかの実施形態において、リンカーは、本明細書に記載されるサイトカインペプチド中の天然アミノ酸と反応する反応基を含む。場合によっては、高次のリンカーは、ホモ二官能性リンカーまたはヘテロ官能性リンカーなどの官能性リンカーを含む。典型的なモ二官能性リンカーとしては、限定されないが、Lomant試薬ジチオビス(サクシニミヂルプロピオネート DSPおよび3’3’-ジチオビス(スルホスクシンイミジル プロピオン酸塩(DTSSP)、ジスクシンイミジル スベリン酸(DSS)、ビス(スルホスクシンイミジル)スベリン酸塩(BS)、ジスクシンイミジルタルトレート(DST)、ジスルホスクシンイミジルタルトレート(sulfo DST)、エチレングリコビス(ethylene glycobis)(スクシンイミジルスクシナート(EGS)、ジスクシニミジルグルタラート(DSG)、N、N’-ジスクシンイミジルカルボネート(DSC)、ジメチルアジピミデート(DMA)、ジメチルピメリミダート(DMP)、ジメチルスベルイミデート(DMS)、ジメチル-3、3’-ジチオビスプロピオンイミデート(DTBP)、1、4-ジ-3’-(2’-ピリジルジチオ)プロピオンアミド)ブタン(DPDPB)、ビスマレイミドヘキサン(BMH)、ハロゲン化アリール含有化合物(DFDNB)、例えば、例えば1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン、あるいは1,3-ジフルオロ-4,6-ジニトロベンゼン、4,4’-ジフルオロ-3,3’-ジニトロフェニルスルホン(DFDNPS)、ビス-[β-(4-アジドサリチルアミド)エチル]ジスルフィド(BASED)、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、アジピン酸ジヒドラジド、カルボヒドラジド、o-トルイジン、3,3’-ジメチルベンジジン、ベンジジン、α,α’-p-ジアミノジフェニル、ジヨード-p-キシレンスルホン酸、N,N’-エチレン-ビス(ヨードアセトアミドまたはN,N’-ヘキサメチレン-ビス(ヨードアセトアミド)を含む。
【0169】
いくつかの実施形態では、二官能性リンカーはヘテロ官能性リンカーを含む。典型的なヘテロ官能性リンカーとしては、限定されないが、アミン反応性クロスリンカーおよびスルフヒドリルクロスリンカー、例えば、N-サクシニミジル3-(2-ピリジルジチオ)プロピオン酸塩(sPDP)、長鎖N-サクシニミジル3-(2-ピリジルジチオ)プロピオン酸塩(LC-sPDP)、水溶性の長鎖N-サクシニミジル3-(2-ピリジルジチオ)プロピオン酸塩(スルホ LC-sPDP)、クシンイミジルオキシカルボニル-α-メチル-α-(2-ピリジルジチオ)トルエン(sMPT)、スルホスクシンイミジル-6-[α-メチル-α-(2-ピリジルジチオ)トルアミド]ヘキサン酸塩(スルホLC-sMPT)、サクシニミジル-4―(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボン酸塩(sMCC)、スルホスクシンイミジル-4ー(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボン酸塩(スルホ-sMCC)、m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBs)、m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル(スルホ-MBs)、N-サクシニミジル(4-ヨードアセチル)アミノベンゾアート(sIAB)、スルホスクシンイミジル(4-ヨードアセチル)アミノベンゾエート(スルホ-sIAB)、スクシンイミジル-4-(p-
マレイミドフェニル)ブチレート(sMPB)、スルホスクシンイミジル-4-(p-マレイミドフェニル)ブチレート(スルホ-sMPB)、N-(γ-マレイミドブチリルオキシ)スクシンイミドエステル(GMBs)、N-(γ-マレイミドブチリルオキシ)スルホスクシンイミドエステル(スルホ-GMBs)、サクシニミジル6-((ヨードアセチル)アミノ)ヘキサン酸塩(sIAX)、サクシニミジル6-[6-(((ヨードアセチル)アミノ)ヘキサノイル)アミノ]ヘキサン酸塩(sIAXX)、サクシニミジル4-(((ヨードアセチル)アミノ)メチル)シクロヘキサン-1-カルボン酸塩(sIAC)、サクシニミジル6-((((4-ヨードアセチル)アミノ)メチル)シクロヘキサン-1-カルボニル)アミノ)ヘキサン酸塩(sIACX)、p-ニトロフェニルヨード酢酸(NPIA)、カルボニル反応性クロスリンカーおよびスルフヒドリル反応性のクロスリンカー、例えば、4-(4-N-マレイミドフェニル)酪酸ヒドラジド(MPBH)、4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシル-ヒドラジド-8(MH)、3-(2-ピリジルジチオ)プロビオニルヒドラジド(PDPH)、アミン反応性クロスリンカーおよび光反応性クロスリンカー、例えば、N-ヒドロキシスルホスクシンイミジル-4-アジドサリチル酸(NH-AsA)、N-ヒドロキシスルホスクシンイミジル-4-アジドサリチル酸(スルホ-NH-AsA)、スルホスクシンイミジル-(4-アジドサリチルアミド)ヘキサノエート(スルホ-NH-LC-AsA)、スルホスクシンイミジル-2-(ρ-アジドサリチルアミド)エチル-1,3’-ジチオプロピオネート(sAsD)、N-ヒドロキシスルホスクシンイミジル-4-アジド安息香酸(HsAB)、N-ヒドロキシスルホスクシンイミジル-4-アジド安息香酸(スルホ-HsAB)、N-サクシニミジル-6-(4’-アジド-2’-ニトロフェニルアミノ)ヘキサン酸塩(sANPAH)、スルホスクシンイミジル-6-(4’-アジド-2’-ニトロフェニルアミノ)ヘキサン酸塩(スルホ-sANPAH)、N-5-アジド-2-ニトロベンゾイルオキシスクシンイミド(ANB-NOs)、スルホスクシンイミジル-2-(m-アジド-o-ニトロベンズアミド)-エチル-1,3’-ジチオプロピオナート(sAND)、N-サクシニミジル-4(4-アジドフェニル)1,3’-ジチオプロピオナート(sADP)、N-スルホスクシンイミジル(4-アジドフェニル)-1,3’-ジチオプロピオナート(スルホ-sADP)、スルホスクシンイミジル 4-(ρ-アジドフェニル)酪酸塩(スルホ-sAPB)、スルホスクシンイミジル 2-(7-アジド-4-メチルクマリン-3-アセトアミド)エチル-1,3’-ジチオプロピオナート(sAED)、スルホスクシンイミジル 7-アジド-4-メチルクマイン-3-酢酸塩(スルホ-sAMCA)、ρ-ニトロフェニルジアゾピルバート(ρNPDP)、ρ-ニトロフェニル-2-ジアゾ-3,3,3-トリフルオロプロピオネート(PNP-DTP)、スルフヒドリル反応性クロスリンカーおよび光反応性クロスリンカー、例えば1-(ρ-アジドサリチルアミド)-4-(ヨードアセトアミド)ブタン(AsIB)、N-[4-(ρ-アジドサリチルアミド)ブチル]-3’-(2’-ピリジルジチオ)プロピオンアミド(APDP)、ベンゾフェノン-4-ヨードアセトアミド、ベンゾフェノン-4-マレイミド、カルボニル反応性クロスリンカーおよび光反応性クロスリンカー、例えばρ-アジドベンゾイルヒドラジド(ABH)、カルボキシラート反応性クロスリンカーおよび光反応性クロスリンカー、例えば、4-(ρ-アジドサリチルアミド)ブチルアミン(AsBA)、およびアルギニン反応性クロスリンカーおよび光反応性クロスリンカー、例えば、ρ-アジドフェニルグリオキサール(APG)を含む。
【0170】
いくつかの例では、反応性官能基は、結合部分(例えば、抱合部分、またはIL-2)上で存在する求電子基に反応する求核基を含む。典型的な求電子基は、カルボニル基、例えば、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、エステル、アミド、エノン、酸ハロゲン化物、または酸無水物を含む。いくつかの実施形態において、反応性官能基はアルデヒドである。典型的な求核基は、ヒドラジド、オキシム、アミノ、ヒドラジン、チオセミカルバゾン、カルボン酸ヒドラジン、およびアリールヒドラジドを含む。
【0171】
いくつかの実施形態では、リンカーは切断可能なリンカーである。いくつかの実施形態では、切断可能なリンカーはジペプチドリンカーである。いくつかの実施形態において、ジペプチドリンカーは、バリン-シトルリン(Val-Cit)、フェニルアラニン-リジン(Phe-Lys)、バリン-アラニン(Val-Ala)、およびバリン-リジン(Val-Lys)である。いくつかの実施形態において、ジペプチド-リンカーはバリン-シトルリンである。
【0172】
いくつかの実施形態において、リンカーは、例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、15、20、25、30、35、40、45、50、またはそれより多くのアミノ酸を含むペプチド-リンカーである。いくつかの例では、ペプチド-リンカーは、最大で、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、15、20、25、30、35、40、45、50、またはそれより少ないアミノ酸を含む。場合によっては、ペプチドリンカーは、少なくとも約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30、35、40、45、あるいは50のアミノ酸を含む。
【0173】
いくつかの実施形態では、リンカーは自壊性リンカー部分を含む。いくつかの実施形態において、自壊性リンカー部分は、それらのp-アミノベンジルアルコール(PAB)、p-アミノベンジオキシカルボニル(PABC)、または誘導体あるいはそのアナログを含む。いくつかの実施形態において、リンカーは、ジペプチドリンカー部分および自壊性リンカー部分を含む。いくつかの実施形態において、自壊性リンカー部分は、米国特許第9089614号およびWO2015038426に記載されるものなどである。
【0174】
いくつかの実施形態において、切断可能なリンカーはグルクロニドである。いくつかの実施形態において、切断可能なリンカーは酸切断可能なリンカーである。いくつかの実施形態において、酸切断可能なリンカーはヒドラジンである。いくつかの実施形態において、切断可能なリンカーは還元可能なリンカーである。
【0175】
いくつかの実施形態では、リンカーマレイミド基を含む。いくつかの例において、マレイミド基はマレイミドスペーサーとも呼ばれる。いくつかの例において、マレイミド基は、マレイミドカプロイル(mc)を形成するカプロン酸を含む。場合によっては、リンカーはマレイミドカプロイル(mc)を含む。場合によっては、リンカーはマレイミドカプロイル(mc)である。他の例において、マレイミド基は、上述のスクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシラート(sMCC)またはスルホスクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシラート(スルホ-sMCC)などのマレイミドメチル基を含む。
【0176】
いくつかの実施形態において、マレイミド基は自己安定化マレイミドである。いくつかの例において、自己安定化マレイミドは、チオスクシンイミド環加水分解の分子内の触媒作用を提供するべくマレイミドに隣接する塩基性アミノ基を組み込むジアミノプロピオン酸(DPR)を利用し、それにより、マレイミドがレトロマイケル反応を介して脱離反応を受けることを排除する。いくつかの例において、自己安定化マレイミドは、Lyon,
et al., ”Self-hydrolyzing maleimides improve the stability and pharmacological properties of antibody-drug conjugates,”
Nat. Biotechnol. 32(10):1059-1062 (2014).に記載されるマレイミド基である。いくつかの例において、リンカーは自己安定化マレイミドを含む。いくつかの例において、リンカーは自己安定化マレイミドである。
【0177】
抱合化学
様々な抱合反応は、リンカー、抱合部分、および本明細書に記載されるサイトカインペプチドに組み込まれる非天然アミノ酸を抱合するために使用される。そのような抱合反応はしばしば、「生体直交型」反応などの水性条件に適合する。いくつかの実施形態において、抱合反応は、化学試薬、例えば、リンカー、抱合部分、または非天然アミノ酸上で発見される触媒、光、または反応性化学基によって媒介される。いくつかの実施形態において、抱合反応は酵素によって媒介される。いくつかの実施形態において、本明細書に使用される抱合反応は、Gong, Y., Pan, L. Tett. Lett. 2015, 56, 2123に記載される。いくつかの実施形態において、本明細書で使用される抱合反応は、Chen, X.; Wu. Y-W. Org. Biomol. Chem. 2016, 14, 5417に記載される。
【0178】
本明細書に記載されるいくつかの実施形態において、抱合反応は、求核分子とケトンまたはアルデヒドとの反応を含む。いくつかの実施形態において、抱合反応は、オキシムを形成するために、アミノキシ基とケトンとの反応を含む。いくつかの実施形態において、抱合反応は、イミンを形成するために、アリールまたはヘテロアリールとアミン基とのケトンの反応を含む。いくつかの実施形態において、抱合反応は、イミンを形成するために、アリールまたはヘテロアリールとアミン基とのアルデヒドの反応を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される抱合反応は、オキシムを介して結合されるリンカーまたは抱合の部分を含むサイトカインペプチドを結果としてもたらす。いくつかの実施形態において、抱合反応は、トリプタミン求核分子とのアルデヒドまたはケトンのピクテ・スペングラー反応を含む。いくつかの実施形態において、抱合反応はヒドラジノ・ピクテ・スペングラー反応を含む。いくつかの実施形態において、抱合反応はピクテ・スペングラー・ライゲーションを含む。
【0179】
本明細書に記載されるいくつかの実施形態において、本明細書に記載される抱合反応は、アジドおよびホスフィンの反応を含む(シュタウディンガー・ライゲーション)。いくつかの実施形態において、ホスフィンはアリールホスフィンである。いくつかの実施形態において、アリールホスフィンはオルトエステル基を含む。いくつかの実施形態において、ホスフィンは、メチル2-(ジフェニルホスファニル)安息香酸塩の構造を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される抱合反応は、アリルアミドを介して結合されるリンカーまたは抱合部分を含むサイトカインペプチドを結果としてもたらす。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される抱合反応は、アミドを介して結合されるリンカーまたは抱合部分を含むサイトカインペプチドを結果としてもたらす。
【0180】
本明細書に記載されるいくつかの実施形態において、本明細書に記載される抱合反応は、1,3-双極子付加環化反応を含む。いくつかの実施形態において、1,3-双極子付加環化反応は、アジドおよびホスフィンの反応を含む(「クリック」反応)。いくつかの実施形態において、抱合反応は銅によって触媒される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される抱合反応は、トリアゾールを介して結合されるリンカーまたは抱合部分を含むサイトカインペプチドを結果としてもたらす。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される抱合反応は、歪みオレフィンとのアジドの反応を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される抱合反応は、歪みアルキンとのアジドの反応を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される抱合反応は、シクロアルキン、例えば、OCT、DIFO、DIFBO、DIBO、BARAC、TMTH、または他の歪みシクロアルキンとのアジドの反応を含み、それらの構造はGong, Y., Pan, L. Tett. Lett. 2015, 56, 2123において示される。いくつかの実施形態において、1,3-双極子付加環化反応は、光によって触媒される(「光クリック」)。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される抱合反応は、テトラゾールおよび光と末端アリル基との反応を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される抱合反応は、テトラゾールおよび光と末端アルキニル基との反応を含
む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される抱合反応は、テトラジンおよび光とO-アリルアミノ酸との反応を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される抱合反応は、テトラジンおよび光とO-アリル・チロシンとの反応を含む。
【0181】
本明細書に記載されるいくつかの実施形態において、本明細書に記載される抱合反応は、ジエンおよび求ジエン体を含む逆電子要請型付加環化反応を含む。いくつかの実施形態において、ジエンはテトラジンを含む。いくつかの実施形態において、求ジエン体はアルケンを含む。いくつかの実施形態において、求ジエン体はアルキンを含む。いくつかの実施形態において、アルキンは歪みアルキンである。いくつかの実施形態において、アルケンは歪みジエンである。いくつかの実施形態において、アルキンはtrans-シクロオクテンである。いくつかの実施形態において、アルキンはシクロオクテンである。いくつかの実施形態において、アルケンは、シクロプロペンである。いくつかの実施形態において、アルケンは、フルオロシクロプロペンである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される抱合反応は、環内に2つの窒素原子を含む6-員環の複素環を介してリンカーまたは抱合部分に結合されるサイトカインペプチドの形成を結果としてもたらす。
【0182】
本明細書に記載されるいくつかの実施形態において、本明細書に記載される抱合反応は、オレフィン病部転位反応を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される抱合反応は、ルテニウム触媒とアルケンおよびアルキンとの反応を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される抱合反応は、ルテニウム触媒と2つのアルケンとの反応を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される抱合反応は、ルテニウム触媒と2つのアルキンとの反応を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される抱合反応は、ルテニウム触媒およびアリル基を含むアミノ酸とのアルケンまたはアルキンの反応を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される抱合反応は、ルテニウム触媒および硫化アリルまたはセレン化物を含むアミノ酸とのアルケンまたはアルキンの反応を含む。いくつかの実施形態において、ルテニウム触媒は第2世代Hoveda-Grubbs触媒である。いくつかの実施形態において、オレフィンメタセシス反応は、1つ以上の歪みアルケンまたはアルキンの反応を含む。
【0183】
本明細書に記載されるいくつかの実施形態において、本明細書に記載される抱合反応は、クロスカップリング反応を含む。いくつかの実施形態において、クロスカップリング反応は、イリジウム、金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、ニッケル、白金または他の遷移金属触媒および1つ以上のリガンドなどの遷移金属触媒を含む。いくつかの実施形態において、遷移金属触媒は水溶性である。本明細書に記載されるいくつかの実施形態において、本明細書に記載される抱合反応は、鈴木・宮浦クロスカップリング反応を含む。本明細書に記載されるいくつかの実施形態において、本明細書に記載される抱合反応は、ハロゲン化アリール(あるいはトリフラート、またはトシラート)、アリールまたはアルケニルボロン酸、およびパラジウム触媒の反応を含む。本明細書に記載されるいくつかの実施形態において、本明細書に記載される抱合反応は、薗頭カップリング反応を含む。本明細書に記載されるいくつかの実施形態において、本明細書に記載される抱合反応は、ハロゲン化アリール(あるいはトリフラート、またはトシラート)、アルキン、およびパラジウム触媒の反応を含む。いくつかの実施形態において、クロスカップリング反応は、炭素-炭素結合を介してサイトカインペプチドへのリンカーまたは抱合部分の結合を結果としてもたらす。
【0184】
本明細書に記載されるいくつかの実施形態において、本明細書に記載される抱合反応は、抱合前の反応基の脱保護または「アンケージング(uncaging)」反応を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される抱合反応は、光との反応基のアンケージング、その後の抱合反応を含む。いくつかの実施形態において、反応基は、1つ以上のニトロ基を含むアラルキル部分により保護される。いくつかの実施形態において、反応
基のアンケージングは、遊離アミン、硫化物、または他の反応基を結果としてもたらす。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される抱合反応は、遷移金属触媒を用いた反応基のアンケージング、その後の抱合反応を含む。いくつかの実施形態において、遷移金属触媒はパラジウムおよび1つ以上のリガンドを含む。いくつかの実施形態において、反応基はアリル部分により保護される。いくつかの実施形態において、反応基はアリルカルバマートにより保護される。いくつかの実施形態において、反応基はプロパルギル部分により保護される。いくつかの実施形態において、反応基はプロパルギルカルバマートにより保護される。いくつかの実施形態において、反応基は求ジエン体により保護され、ここで、ジエン(テトラジンなどの)への曝露は、反応基の脱保護を結果としてもたらす。
【0185】
本明細書に記載されるいくつかの実施形態において、本明細書に記載される抱合反応はリガンド指向反応を含み、ここで、反応基に(随意に)結合されたリガンドは、反応基とサイトカインペプチドとの間の抱合の部位を促進する。いくつかの実施形態において、リガンドは、反応基とのサイトカインペプチドの反応中、またはその反応後に切断される。いくつかの実施形態において、サイトカインペプチドの抱合部位は天然アミノ酸である。いくつかの実施形態において、サイトカインペプチドの抱合部位は、リジン、システイン、またはセリンである。いくつかの実施形態において、サイトカインペプチドの抱合部位は、本明細書に記載される非天然アミノ酸である。いくつかの実施形態において、反応基は、電子不足アリールまたはヘテロアリール基などの脱離基を含む。いくつかの実施形態において、反応基は、サイトカインペプチドによって置換される電子不足アルキル基などの、脱離基を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される抱合反応は、ラジカル種とのラジカル捕捉剤の反応を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される抱合反応は、酸化的ラジカル付加反応を含む。いくつかの実施形態において、ラジカル捕捉剤はアリールアミンである。いくつかの実施形態において、ラジカル種はチロシルラジカルである。いくつかの実施形態において、ラジカル種は、ルテニウム触媒([Ru(bpy)]などの)および光によって生成される。
【0186】
酵素反応は、本明細書に記載される抱合反応に随意に使用される。典型的な酵素的な抱合は、SortA媒介抱合、TG媒介抱合、またはFGE媒介抱合を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される抱合反応は、アミド結合を形成するためのチオエステルを有する末端1-アミノ-2-チオ基の未変性タンパク質ライゲーション(NPL)を含む。
【0187】
サイトカインペプチドとリンカーまたは抱合部分とを反応させるための様々な抱合反応が本明細書に記載され、ここで、上記反応は、サイトカインペプチド中の天然(「基準」)アミノ酸により起こる。いくつかの実施形態において、抱合位置で見られる天然アミノ酸は、野生型配列において見られるか、または代替的に、その位置が変異されている。いくつかの実施形態において、抱合反応は、システイン残基でのジスルフィド結合の形成を含む。いくつかの実施形態において、抱合反応は、システインまたはリジンの1,4マイケル付加反応を含む。いくつかの実施形態において、抱合反応は、システインのシアノベンゾチアゾールライゲーションを含む。いくつかの実施形態において、抱合反応は1,3-ジクロロ-2-プロピオン酸などのアセトン部分により架橋することを含む。いくつかの実施形態において、抱合反応は、O-メシチレンスルホニルヒドロキシルアミンとシステインとの反応によって形成される、デヒドロアラニンの1,4マイケル付加を含む。いくつかの実施形態において、抱合反応は、トリアゾリンジオン(TAD)とチロシン、またはTAD誘導体との反応を含む。いくつかの実施形態において、抱合反応は、ロジウムカルベノイドとトリプトファンとの反応を含む。
【0188】
使用の方法
自己免疫疾患または障害
いくつかの実施形態において、被験体における自己免疫疾患または障害を処置する方法も本明細書に記載され、該方法は、本明細書に記載される治療上有効な量のサイトカイン抱合体(例えば、IL-2抱合体)を被験体に投与する工程を含む。いくつかの例において、IL-2抱合体は、単離および精製されたIL-2ポリペプチドおよび抱合部分を含み、ここで、IL-2抱合体は、野生型IL-2ポリペプチドと比較してIL-2受容体β(IL-2Rβ)サブユニット、IL-2受容体γ(IL-2Rγ)サブユニット、またはそれらの組み合わせに対する減少した親和性を有する。いくつかの例において、IL-2抱合体は、単離および精製されたIL-2ポリペプチド;および抱合部分を含み、該抱合部分は、P2、T3、S4、S5、S6、T7、K8、K9、Q11、L12、E15、H16、L18、L19、D20、Q22、M23、N26、G27、N29、N30、Y31、K32、K35、T37、M46、K47、K48、A50、T51、E52、K53、H55、Q57、E60、E67、N71、Q74、S75、K76、N77、F78、H79、R81、P82、R83、D84、S87、N88、N89、V91、I92、L94、E95、K97、G98、S99、E100、T101、T102、F103、M104、C105、E106、Y107、A108、D109、E110、T111、A112、T113、E116、N119、R120、T123、A125、Q126、S127、S130、T131、L132、およびT133から選択されるアミノ酸残基にて単離且つ精製されたIL-2ポリペプチドに結合し、ここでアミノ酸残基の番号はSEQ ID NO:1に相当する。いくつかの例において、アミノ酸残基は、K8、K9、Q11、L12、E15、H16、L18、L19、D20、Q22、M23、N26、R81、D84、S87、N88、V91、I92、L94、E95、E116、N119、R120、T123、A125、Q126、S127、L132、およびT133から選択される。いくつかの例において、アミノ酸残基は、K8、K9、L12、E15、H16、L19、D20、Q22、M23、N26、D84、N88、E95、およびQ126から選択される。場合によっては、IL-2抱合体はIL-2Rαβγ複合体と相互作用するが、IL-2RβおよびIL-2Rγサブユニットに対する親和性は減少しており、あるいは、IL-2/IL-2Rβ複合体へのIL-2Rγサブユニットの動員を減少させる。場合によっては、修飾されたIL-2ポリペプチドは、野生型IL-2ポリペプチドに比べてIL-2Rαに対する結合親和性を維持する。この場合、IL-2/IL-2Rαβγ複合体は、CD4+Treg細胞の拡張を刺激または増強する。更なる場合、修飾されたIL-2ポリペプチドは、IL-2Rβγ複合体を介してTeff細胞および/またはNK細胞の活性化に必要な投与量を増大させ、それにより、IL-2Rαβγ複合体を介してTreg細胞の活性化のための投与量範囲を拡張させる(またはIL-2Rαβγ複合体を介してTreg細胞の活性化のためのIL-2の治療濃度域を拡張させる)。
【0189】
いくつかの例において、自己免疫疾患または障害には、円形脱毛症、自己免疫溶血性貧血、自己免疫性肝炎、皮膚筋炎、1型糖尿病、若年性特発性関節炎、糸球体腎炎、グレーブス病、ギラン‐バレー症候群、特発性血小板減少性紫斑病、重症筋無力症、多発性硬化症、天疱瘡/類天疱瘡、悪性貧血、結節性多発性動脈炎、多発性筋炎、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、関節リウマチ、強皮症、シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス、甲状腺炎、ブドウ膜炎、白斑、またはヴェーゲナー肉芽腫症が挙げられる。
【0190】
場合によっては、サイトカイン(例えばインターロイキン、IFN、またはTNF)抱合体は、円形脱毛症、自己免疫溶血性貧血、自己免疫性肝炎、皮膚筋炎、1型糖尿病、若年性特発性関節炎、糸球体腎炎、グレーブス病、ギラン‐バレー症候群、特発性血小板減少性紫斑病、重症筋無力症、多発性硬化症、天疱瘡/類天疱瘡、悪性貧血、結節性多発性動脈炎、多発性筋炎、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、関節リウマチ、強皮症、シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス、甲状腺炎、ブドウ膜炎、白斑、またはヴェーゲナー肉芽腫症を抱える被験体に投与される。
【0191】
場合によっては、IL-2抱合体は、円形脱毛症、自己免疫溶血性貧血、自己免疫性肝炎、皮膚筋炎、1型糖尿病、若年性特発性関節炎、糸球体腎炎、グレーブス病、ギラン‐バレー症候群、特発性血小板減少性紫斑病、重症筋無力症、多発性硬化症、天疱瘡/類天疱瘡、悪性貧血、結節性多発性動脈炎、多発性筋炎、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、関節リウマチ、強皮症、シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス、甲状腺炎、ブドウ膜炎、白斑、またはヴェーゲナー肉芽腫症を抱える被験体に投与される。場合によっては、IL-2抱合体は1型糖尿病を抱える被験体に投与される。場合によっては、IL-2抱合体はグレーブス病を抱える被験体に投与される。場合によっては、IL-2抱合体は多発性硬化症を抱える被験体に投与される。場合によっては、IL-2抱合体は乾癬を抱える被験体に投与される。場合によっては、IL-2抱合体は関節リウマチを抱える被験体に投与される。場合によっては、IL-2抱合体はシェーグレン症候群を抱える被験体に投与される。場合によっては、IL-2抱合体は全身性エリテマトーデスを抱える被験体に投与される。場合によっては、IL-2抱合体はブドウ膜炎を抱える被験体に投与される。場合によっては、IL-2抱合体はヴェーゲナー肉芽腫症を抱える被験体に投与される。
【0192】
場合によっては、サイトカイン抱合体(例えばIL-2抱合体)は、移植片対宿主病(GVHD)の処置のために被験体に投与される。
【0193】
いくつかの実施形態において、追加の治療剤が更に、被験体に投与される。場合によっては、追加の治療剤は、サイトカイン抱合体(例えば、IL-2抱合体)と同時に投与される。他の場合、追加の治療剤およびサイトカイン抱合体(例えば、IL-2抱合体)は連続して投与され、例えば、サイトカイン抱合体(例えば、IL-2抱合体)は追加の治療剤の前に投与され、あるいは、サイトカイン抱合体(例えば、IL-2抱合体)は追加の治療剤の投与後に投与される。
【0194】
自己免疫疾患または障害の処置のための典型的な追加の治療剤は、限定されないが、プレドニゾン、ブデソニド、またはプレドニゾロンなどのコルチコステロイド;シクロスポリンまたはタクロリムスなどのカルシニューリン阻害剤;シロリムスまたはエベロリムスなどのmTOR阻害剤;アザチオプリン、レフルノミド、またはミコフェノール酸塩などのIMDH阻害剤;アバタセプト、アダリムマブ、アナキンラ、セルトリズマブ、エタネルセプト、ゴリムマブ、インフリキシマブ、イキセキズマブ、ナタリズマブ、リツキシマブ、セクキヌマブ、トシリズマブ、ウステキヌマブ、またはベドリズマブなどの生物製剤;およびバシリキシマブ、ダクリズマブ、またはムロモナブなどのモノクローナル抗体を含む。
【0195】
場合によっては、サイトカイン抱合体(例えばIL-2抱合体)は、以下から選択される追加の治療剤と共に投与される:プレドニゾン、ブデソニド、またはプレドニゾロンなどのコルチコステロイド;シクロスポリンまたはタクロリムスなどのカルシニューリン阻害剤;シロリムスまたはエベロリムスなどのmTOR阻害剤;アザチオプリン、レフルノミド、またはミコフェノール酸塩などのIMDH阻害剤;アバタセプト、アダリムマブ、アナキンラ、セルトリズマブ、エタネルセプト、ゴリムマブ、インフリキシマブ、イキセキズマブ、ナタリズマブ、リツキシマブ、セクキヌマブ、トシリズマブ、ウステキヌマブ、またはベドリズマブなどの生物製剤;およびバシリキシマブ、ダクリズマブ、またはムロモナブなどのモノクローナル抗体。
【0196】
細胞集団拡張の方法
いくつかの実施形態において、本明細書にはさらに、Treg細胞集団を拡張する方法が記載される。いくつかの例において、前記方法は、細胞を本明細書に記載されるサイト
カイン抱合体と接触させる工程、および複合体を形成するためにサイトカインをサイトカイン受容体と相互作用させる工程を含み、ここで、前記複合体は別個のリンパ球集団の拡張を刺激する。
【0197】
いくつかの実施形態において、CD4+制御性T(Treg)細胞集団を拡張する方法は、IL-2Rαβγとの複合体の形成を誘導するのに十分な時間にわたり上述の単離および修飾されたIL-2ポリペプチドに細胞を接触させる工程を含み、これにより、Treg細胞集団の拡張を刺激する。いくつかの実施形態において、CD4+Treg細胞集団を拡張する方法は、(a)細胞を本明細書に記載されるIL-2抱合体と接触させる工程;および(b)IL-2/IL-2Rαβγ複合体を形成するためにIL-2抱合体をIL-2Rα、IL-2Rβ、およびIL-2Rγと相互作用させる工程を含み;ここで、IL-2抱合体には、IL-2RβおよびIL-2Rγサブユニットへの親和性が減少しており、IL-2/IL-2Rβ複合体へのIL-2Rγサブユニットの動員を減少させ、IL-2/IL-2Rαβγ複合体はTreg細胞の拡張を刺激する。いくつかの例において、IL-2抱合体は、単離および精製されたIL-2ポリペプチド;および抱合部分を含み、該抱合部分は、P2、T3、S4、S5、S6、T7、K8、K9、Q11、L12、E15、H16、L18、L19、D20、Q22、M23、N26、G27、N29、N30、Y31、K32、K35、T37、M46、K47、K48、A50、T51、E52、K53、H55、Q57、E60、E67、N71、Q74、S75、K76、N77、F78、H79、R81、P82、R83、D84、S87、N88、N89、V91、I92、L94、E95、K97、G98、S99、E100、T101、T102、F103、M104、C105、E106、Y107、A108、D109、E110、T111、A112、T113、E116、N119、R120、T123、A125、Q126、S127、S130、T131、L132、およびT133から選択されるアミノ酸残基にて単離且つ精製されたIL-2ポリペプチドに結合し、ここでアミノ酸残基の番号はSEQ ID NO:1に相当する。いくつかの例において、アミノ酸残基は、K8、K9、Q11、L12、E15、H16、L18、L19、D20、Q22、M23、N26、R81、D84、S87、N88、V91、I92、L94、E95、E116、N119、R120、T123、A125、Q126、S127、L132、およびT133から選択される。いくつかの例において、アミノ酸残基は、P2、T3、S4、S5、S6、T7、G27、N29、N30、Y31、K32、K35、T37、M46、K47、K48、A50、T51、E52、K53、H55、Q57、E60、E67、N71、Q74、S75、K76、N77、F78、H79、P82、R83、N89、K97、G98、S99、E100、T101、T102、F103、M104、C105、E106、Y107、A108、D109、E110、T111、A112、およびT113から選択される。いくつかの例において、アミノ酸位置は、K8、K9、L12、E15、H16、L19、D20、Q22、M23、N26、D84、N88、E95、およびQ126から選択される。いくつかの例において、アミノ酸位置はK8、K9、およびH16から選択される。いくつかの例において、アミノ酸位置はQ22、N26、N88、およびQ126から選択される。いくつかの例において、アミノ酸位置はE15、D20、D84、およびE95から選択される。いくつかの例において、アミノ酸位置はL12、L19、M23、およびF78から選択される。いくつかの例において、アミノ酸位置はQ22およびN26から選択される。
【0198】
いくつかの例において、IL-2抱合体は、CD4+T制御性(Treg)細胞を少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、またはそれ以上拡張させる。いくつかの例において、IL-2抱合体は、CD4+T制御性(Treg)細胞を約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、またはそれ以上拡張させる。
【0199】
場合によっては、IL-2抱合体は、CD4+T制御性(Treg)細胞を少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、200倍、300倍、400倍、500倍、1000倍、またはそれ以上拡張させる。場合によっては、IL-2抱合体は、CD4+T制御性(Treg)細胞を約1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、200倍、300倍、400倍、500倍、1000倍、またはそれ以上拡張させる。
【0200】
いくつかの例において、IL-2Rαβγとの複合体の形成を誘導するのに十分な時間は、少なくとも5分、10分、15分、20分、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、8時間、10時間、12時間、18時間、24時間、2日、3日、4日、5日、6日、または7日である。いくつかの例において、IL-2Rαβγとの複合体の形成を誘導するのに十分な時間は、約5分、10分、15分、20分、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、8時間、10時間、12時間、18時間、24時間、2日、3日、4日、5日、6日、または7日である。
【0201】
いくつかの実施形態において、前記方法はインビボの方法である。
【0202】
他の実施形態において、前記方法はインビトロの方法である。
【0203】
更なる実施形態において、前記方法はエキソビボの方法である。
【0204】
サイトカインポリペプチド産生
いくつかの例において、本明細書に記載されるサイトカイン(例えば、インターロイキン、IFN、またはTNF)ポリペプチドは、天然アミノ酸突然変異または非天然アミノ酸突然変異の何れかを含んで、組み換えにより作成されるか、あるいは化学合成される。いくつかの例において、本明細書に記載されるサイトカイン(例えばIL-2)ポリペプチドは、組み換えにより、例えば、宿主細胞系により、あるいは無細胞系において生成される。
【0205】
いくつかの例において、サイトカイン(例えばIL-2)ポリペプチドは、宿主細胞系を介して組み換えにより生成される。場合によっては、宿主細胞は、真核細胞(例えば、哺乳動物細胞、昆虫細胞、酵母細胞、または植物細胞)あるいは原核細胞(例えば、グラム陽性菌またはグラム陰性菌)である。場合によっては、真核宿主細胞は、哺乳動物宿主細胞である。場合によっては、哺乳動物宿主細胞は、安定した細胞株、あるいは、対象の遺伝物質をそれ自体のゲノムに組み込み、且つ細胞分裂の多くの世代後に遺伝物質の生成物を発現する能力を有している細胞株である。他の場合、哺乳動物宿主細胞は、一過性の細胞株、あるいは、対象の遺伝物質をそれ自体のゲノムに組み込まず、且つ細胞分裂の多くの世代後に遺伝物質の生成物を発現する能力を有していない細胞株である。
【0206】
典型的な哺乳動物宿主細胞には、限定されないが、293T細胞株、293A細胞株、293FT細胞株、293F細胞、293H細胞、A549細胞、MDCK細胞、CHO
DG44細胞、CHO-S細胞、CHO-K1細胞、Expi293F(商標)細胞、Flp-In(商標)T-REx(商標)293細胞株、Flp-In(商標)-293細胞株、Flp-In(商標)3T3細胞株、Flp-In(商標)-BHK細胞株、Flp-In(商標)-CHO細胞株、Flp-In(商標)-CV-1細胞株、Flp-In(商標)-Jurkat細胞株、FreeStyle(商標)293F細胞、FreeStyle(商標)CHO-S細胞、GripTite(商標)293MSR細胞株、GS-CHO細胞株、HepaRG(商標)細胞、T-REx(商標)Jurkat細胞
株、Per.C6細胞、T-REx(商標)-293細胞株、T-REx(商標)-CHO細胞株、およびT-REx(商標)-HeLa細胞株が挙げられる。
【0207】
いくつかの実施形態において、真核宿主細胞は昆虫宿主細胞である。典型的な昆虫宿主細胞は、ショウジョウバエS2細胞 S2細胞、Sf9細胞、Sf21細胞、High Five(商標)細胞、およびexpresSF+(登録商標)細胞を含む。
【0208】
いくつかの実施形態において、真核宿主細胞は酵母宿主細胞である。典型的な酵母宿主細胞は、GS115、KM71H、SMD1168、SMD1168H、およびX-33などのピキア・パストリス(Pichia pastoris)酵母菌株、並びにINVSc1などのサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)酵母菌株を含む。
【0209】
いくつかの実施形態では、真核宿主細胞は、植物宿主細胞である。いくつかの例において、植物細胞は藻類由来の細胞を含む。典型的な植物細胞株は、コナミドリムシ137c(Chlamydomonas reinhardtii 137c)、またはSynechococcus elongatus PPC 7942を含む。
【0210】
いくつかの実施形態において、宿主細胞は原核宿主細胞である。典型的な原核生物の宿主細胞には、BL21、Mach1(商標)、DH10B(商標)、TOP10、DH5α、DH10Bac(商標)、OmniMax(商標)、MegaX(商標)、DH12S(商標)、INV110、TOP10F’、INVαF、TOP10/P3、ccdB
Survival、PIR1、PIR2、Stbl2(商標)、Stbl3(商標)、またはStbl4(商標)が挙げられる。
【0211】
いくつかの例において、本明細書に記載されるIL-2ポリペプチドの産生に適切なポリ核酸分子またはベクターは、真核生物または原核生物のソースに由来する適切なベクターを含む。典型的なポリ核酸分子またはベクターは、細菌(例えばE.coli)、昆虫、酵母(例えばピキア・パストリス(Pichia pastoris))、藻類、または哺乳動物に由来するベクターを含む。細菌ベクターには、例えば、pACYC177、pASK75、pBAD配列ベクター系、pBADM配列ベクター系、pET配列ベクター系、pETM配列ベクター系、pGEX配列ベクター系、pHAT、pHAT2、pMal-c2、pMal-p2、pQE配列ベクター系、pRSET A、pRSET B、pRSET C、pTrcHis2系、pZA31-Luc、pZE21-MCS-1、pFLAG ATS、pFLAG CTS、pFLAG MAC、pFLAG Shift-12c、pTAC-MAT-1、pFLAG CTC、またはpTAC-MAT-2が挙げられる。
【0212】
媒介昆虫には、例えば、pFastBac1、pFastBac DUAL、pFastBac ET、pFastBac HTa、pFastBac HTb、pFastBac HTc、pFastBac M30a、pFastBact M30b、pFastBac、M30c、pVL1392、pVL1393、pVL1393 M10、pVL1393 M11、pVL1393 M12、pPolh-FLAG1またはpPolh-MAT2などのFLAGベクター、あるいはpPolh-MAT1またはpPolh-MAT2などのMATベクターが挙げられる。
【0213】
酵母ベクターには、例えば、Gateway(登録商標)pDEST(商標)14ベクター、Gateway(登録商標)pDEST(商標)15ベクター、Gateway(登録商標)pDEST(商標)17ベクター、Gateway(登録商標)pDEST(商標)24ベクター、Gateway(登録商標)pYES-DEST52ベクター、p
BAD-DEST49 Gateway(登録商標)デスティネーションベクター、pAO815ピキアベクター、pFLD1ピキ・パストリスベクター、pGAPZA、B、およびCのピキア・パストリスベクター、pPIC3.5Kピキアベクター、pPIC6 A、B、およびCのピキアベクター、pPIC9Kピキアベクター、pTEF1/Zeo、pYES2酵母ベクター、pYES2/CT酵母ベクター、pYES2/NT A、B、およびCの酵母ベクター、あるいはpYES3/CT酵母ベクターが挙げられる。
【0214】
藻類ベクターには例えば、pChlamy-4ベクターまたはMCSベクターが挙げられる。
【0215】
哺乳動物ベクターには例えば、一過性発現ベクターまたは安定した発現ベクターが挙げられる。典型的な哺乳動物の一過性発現ベクターには、p3xFLAG-CMV8、pFLAG-Myc-CMV19、pFLAG-Myc-CMV23、pFLAG-CMV2、pFLAG-CMV6a,b,c、pFLAG-CMV5.1、pFLAG-CMV5a,b,c、p3xFLAG-CMV7.1、pFLAG-CMV20、p3xFLAG-Myc-CMV24、pCMV-FLAG-MAT1、pCMV-FLAG-MAT2、pBICEP-CMV3、またはpBICEP-CMV4が挙げられる。典型的な哺乳動物の安定した発現ベクターには、pFLAG-CMV3、p3xFLAG-CMV9、p3xFLAG-CMV13、pFLAG-Myc-CMV21、p3xFLAG-Myc-CMV25、pFLAG-CMV4、p3xFLAG-CMV10、p3xFLAG-CMV14、pFLAG-Myc-CMV22、p3xFLAG-Myc-CMV26、pBICEP-CMV1、またはpBICEP-CMV2が挙げられる。
【0216】
いくつかの例において、無細胞系は、本明細書に記載されるサイトカイン(例えばIL-2)ポリペプチドの産生のために使用される。場合によっては、無細胞系は、細胞からの細胞質成分および/または核成分の混合物を含み、インビトロでの核酸合成に適している。いくつかの例において、無細胞系は原核細胞成分を利用する。他の例において、無細胞系は真核細胞成分を利用する。核酸合成は、例えば、ショウジョウバエ細胞(Drosophila cell)、ツメガエル卵子(Xenopus egg)、古細菌、あるいはHeLa細胞に基づいて無細胞系において得られる。典型的な無細胞系には、E.coli S30 Extract系、E.coli T7 S30系、またはPURExpress(登録商標)、XpressCF、およびXpressCF+が挙げられる。
【0217】
無細胞翻訳系は多様に、構成成分、例えばプラスミド、mRNA、DNA、tRNA、シンテターゼ、遊離因子、リボソーム、シャペロンタンパク質、翻訳開始因子および伸長因子、天然アミノ酸および/または非天然アミノ酸、および/または、タンパク質発現のために使用される他の構成成分を含む。そのような構成成分は随意に修飾されることで、収率を改善し、合成速度を増大させ、タンパク質生成物の忠実度を増大させ、または非天然アミノ酸を組み込む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるサイトカインは、次のものに記載される無細胞翻訳系を使用して合成される:US8,778,631;US2017/0283469;US2018/0051065;US2014/0315245;またはUS8,778,631。いくつかの実施形態において、無細胞翻訳系は、修飾された遊離因子、あるいは更に系からの1つ以上の遊離因子の除去を含む。いくつかの実施形態において、無細胞翻訳系は、減少されたプロテアーゼ濃度を含む。いくつかの実施形態において、無細胞翻訳系は、非天然アミノ酸をコードするために使用される再配置されたコドンを含む、修飾されたtRNAを含む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるシンテターゼは、非天然アミノ酸の取り込みのために、無細胞翻訳系において使用される。いくつかの実施形態において、tRNAは、無細胞翻訳系に加える前に酵素的方法または化学的方法を使用して非天然アミノ酸を予め充填される。いくつかの実施形態において、無細胞翻訳系の構成成分は、修飾された有機体、例えば修飾
された細菌、酵母菌、または他の有機体などから得られる。
【0218】
いくつかの実施形態において、サイトカイン(例えばIL-2)ポリペプチドは、環状に順列された形態として、発現宿主系を介してまたは無細胞系を通じて生成される。
【0219】
非天然アミノ酸を含むサイトカインポリペプチドの産生
直交のまたは拡張された遺伝子コードは本開示において使用することができ、そこでは、サイトカイン(例えばIL-2)ポリペプチドの核酸配列に存在する1つ以上の特定のコドンが割り当てられることで、非天然アミノ酸がコードされ、その結果、非天然アミノ酸が、直交tRNA合成酵素/tRNA対の使用によりサイトカイン(例えばIL-2)へと遺伝学的に組み込まれ得る。直交tRNA合成酵素/tRNA対は、tRNAに非天然アミノ酸を充填することができ、且つコドンに応じてその非天然アミノ酸をポリペプチド鎖に組み込むことができる。
【0220】
いくつかの例において、コドンは、コドンアンバー、オーカー、オパール、またはクアドルプレットコドン(quadruplet codon)である。場合によっては、コドンは、非天然アミノ酸を運ぶために使用される直交tRNAに相当する。場合によっては、コドンはアンバーである。他の場合、コドンは直交コドンである。
【0221】
いくつかの例において、コドンはクアドルプレットコドンであり、直交リボソームribo-Q1によりデコードされ得る。場合によっては、クアドルプレットコドンは、Neumann, et al., “Encoding multiple unnatural amino acids via evolution of a quadruplet-decoding ribosome,” Nature, 464(7287): 441-444 (2010)に説明される通りのものである。
【0222】
いくつかの例において、本開示において使用されるコドンは、再コードされたコドン、例えば、代替的なコドンと置き換えられる同義コドンまたはレアコドンである。場合によっては、再コードされたコドンは、Napolitano, et al., “Emergent rules for codon choice elucidated by editing rare argine codons in Escherichia coli,” PNAS, 113(38): E5588-5597 (2016)に記載される通りのものである。場合によっては、再コードされたコドンは、Ostrov et al., “Design, synthesis, and testing toward a 57-codon genome,” Science
353(6301): 819-822 (2016)に記載される通りのものである。
【0223】
いくつかの例において、非天然核酸は、サイトカイン(例えばIL-2)への1つ以上の非天然アミノ酸の組み込みをもたらすために利用される。典型的な非天然核酸には、限定されないが次のものが挙げられる:ウラシル-5-イル、ヒポキサンチン-9-イル(I)、2-アミノアデニン-9-イル、5-メチルシトシン(5-me-2)、5-ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2-アミノアデニン、アデニンおよびグアニンの6-メチルおよび他のアルキル誘導体、アデニンおよびグアニンの2-プロピルおよび他のアルキル誘導体、2-チオウラシル、2-チオチミン、および2-チオシトシン、5-ハロウラシルおよびシトシン、5-プロピニルウラシルおよびシトシン、6-アゾウラシル、シトシンおよびチミン、5-ウラシル(シュードウラシル)、4-チオウラシル、8-ハロ、8-アミノ、8-チオール、8-チオアルキル、8-ヒドロキシルおよび他の8-置換アデニンおよびグアニン、5-ハロ、特に5-ブロモ、5-トリフルオロメチルおよび他の5-置換ウラシルおよびシトシン、7-メチルグアニンおよび7
-メチルアデニン、8-アザグアニンおよび8-アザアデニン、7-デアザグアニンおよび7-デアザアデニン、並びに3-デアザグアニンおよび3-デアザアデニン。特定の非天然核酸、例えば5-置換ピリミジン、6-アザピリミジン、およびN-2置換プリンなど、N-6置換プリン、O-6置換プリン、2-アミノプロピルアデニン、5-プロピニルウラシル、5-プロピニルシトシン、5-メチルシトシン、二重形成の安定性を増大させるもの、普遍的な核酸、疎水性核酸、乱雑な核酸、サイズ拡張された核酸、フッ素処理した核酸、5-置換ピリミジン、6-アザピリミジンおよびN-2、N-6、並びに0-6の置換プリンには、以下が挙げられる:2-アミノプロピルアデニン、5-プロピニルウラシル、および5-プロピニルシトシン、5-メチルシトシン(5-me-C)、5-ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2-アミノアデニン、6-メチル、アデニンおよびグアニンの他のアルキル誘導体、アデニンおよびグアニンの2-プロピルおよび他のアルキル誘導体、2-チオウラシル、2-チオチミンおよび2-チオシトシン、5-ハロウラシル、5-ハロシトシン、5-プロピニル(-C≡C-CH3)ウラシル、5-プロピニルシトシン、ピリミジン核酸の他のアルキニル誘導体、6-アゾウラシル、6-アゾシトシン、6-アゾチミン、5-ウラシル(シュードウラシル)、4-チオウラシル、8-ハロ、8-アミノ、8-チオール、8-チオアルキル、8-ヒドロキシルおよび他の8-置換アデニン、5-ハロ、特に5-ブロも、5-トリフルオロメチル、他の5-置換ウラシルおよびシトシン、7-メチルグアニン、7-メチルアデニン、2-F-アデニン、2-アミノ-アデニン、8-アザグアニン、8-アザアデニン、7-デアザグアニン、7-デアザアデニン、3-デアザグアニン、3-デアザアデニン、三環式ピリミジン、フェノキサジンシチジン([5,4-b][1,4]ベンズオキサジン-2(3H)-オン)、フェノチアジンシチジン(1H-ピリミド[5,4-b][1,4]ベンゾチアジン-2(3H)-オン)、G-クランプ、フェノキサジンシチジン(例えば9-(2-アミノエトキシ)-H-ピリミド[5,4-b][1,4]ベンズオキサジン-2(3H)-オン)、カルバゾールシチジン(2H-ピリミド[4,5-b]インドール-2-オン)、ピリドインドールシチジン(H-ピリド[3’,2’:4,5]ピロロ[2,3-d]ピリミジン-2-オン)、プリン塩基またはピリミジン塩基が他の複素環式化合物により置換されるもの、7-デアザ-アデニン、7-デアザグアノシン、2-アミノピリジン、2-ピリドン、アザシトシン、5-ブロモシトシン、ブロモウラシル、5-クロロシトシン、塩素化シトシン、シクロシトシン、シトシンアラビノサイド、5-フルオロピリミジン、フルオロピリミジン、フルオロウラシル、5,6-ジヒドロシトシン、5-ヨードシトシン、ヒドロキシ尿素、ヨードウラシル、5-ニトロシトシン、5-ブロモウラシル、5-クロロウラシル、5-フルオロウラシル、および5-ヨードウラシル、2-アミノ-アデニン、6-チオ-グアニン、2-チオ-チミン、4-チオ-チミン、5-プロピニル-ウラシル、4-チオ-ウラシル、N4-エチルシトシン、7-デアザグアニン、7-デアザ-8-アザグアニン、5-ヒドロキシシトシン、2’-デオキシウリジン、2-アミノ-2’-デオキシアデノシン、および、米国特許第3,687,808号;4,845,205号;4,910,300号;4,948,882号;5,093,232号;5,130,302号;5,134,066号;5,175,273号;5,367,066号;5,432,272号;5,457,187号;5,459,255号;5,484,908号;5,502,177号;5,525,711号;5,552,540号;5,587,469号;5,594,121号;5,596,091号;5,614,617号;5,645,985号;5,681,941号;5,750,692号;5,763,588号;5,830,653号および6,005,096号;WO2008/116064;Kandimalla et al., (2001) Bioorg. Med. Chem. 9:807-813;The Concise Encyclopedia of Polymer Science and Engineering, Kroschwitz, J.I., Ed., John Wiley & Sons, 1990, 858- 859;Englisch et al., Angewandte Chemie, International Edit
ion, 1991, 30, 613;およびSanghvi, Chapter 15, Antisense Research and Applications, Crookeand Lebleu Eds., CRC Press, 1993, 273-288に記載されるもの。追加の塩基修飾は、例えば米国特許第3,687,808号;Englisch et al., Angewandte Chemie, International Edition, 1991, 30, 613;およびSanghvi, Chapter 15, Antisense Research and Applications, pages 289-302, Crooke and Lebleu ed., CRC Press, 1993に見出すことができる。
【0224】
様々な複素環式の塩基および様々な糖部分(および糖アナログ)を含有する非天然核酸が当技術分野において利用可能であり、核酸は場合によっては、自然発生の核酸の主要な5つの塩基成分とは別の1つ以上の複素環式塩基を含む。例えば、複素環式塩基は場合によっては、ウラシル-5-イル、シトシン-5-イル、アデニン-7-イル、アデニン-8-イル、グアニン-7-イル、グアニン-8-イル、4-アミノピロロ[2.3-d]ピリミジン-5-イル、2-アミノ-4-オキソピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-イル、2-アミノ-4-オキソピロロ[2.3-d]ピリミジン-3-イル基を含み、ここで、プリンは9位置を介して核酸の糖部分に、1位置を介してピリミジンに、7位置を介してピロロピリミジンに、および1位置を介してピラゾロピリミジンに結合する。
【0225】
いくつかの実施形態において、ヌクレオチドアナログもリン酸塩部分にて修飾される。修飾されたリン酸塩部分は、限定されないが、2つのヌクレオチド間の結合にて修飾を有するものを含み、および、例えばホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、メチルおよび他のアルキルホスホン酸塩、例えば3’-アルキレンホスホン酸塩およびキラルホスホン酸塩など、ホスフィネート、ホスホラミデート、例えば3’-アミノホスホラミデートおよびアミノアルキルホスホラミデートなど、チオホスホラミデート、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステル、およびボラノホスフェートを含有する。2つのヌクレオチド間のこれらリン酸塩または修飾されたリン酸塩結合は、3’-5’結合または2’-5’結合を経由し、結合は、逆転した極性、例えば3’-5’~5’-3’、または2’-5’~5’-2’などを含むことを理解されたい。様々な塩、混合塩、および遊離酸形態も含まれている。多数の米国特許は、修飾されたリン酸塩を含有するヌクレオチドを作成且つ使用する方法を教示しており限定されないが以下が挙げられる:米国特許第3,687,808号;4,469,863号;4,476,301号;5,023,243号;5,177,196号;5,188,897号;5,264,423号;5,276,019号;5,278,302号;5,286,717号;5,321,131号;5,399,676号;5,405,939号;5,453,496号;5,455,233号;5,466,677号;5,476,925号;5,519,126号;5,536,821号;5,541,306号;5,550,111号;5,563,253号;5,571,799号;5,587,361号;および5,625,050号。
【0226】
いくつかの実施形態において、非天然核酸は、2’,3’-ジデオキシ-2’,3’-ジデヒドロ-ヌクレオシド(PCT/US2002/006460)、5’-置換DNAおよびRNAの誘導体(PCT/US2011/033961;Saha et al., J. Org Chem., 1995, 60, 788-789;Wang et al., Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 1999, 9, 885-890;およびMikhailov et al., Nucleosides & Nucleotides, 1991,
10(1-3), 339-343;Leonid et al., 1995, 14(3-5), 901-905;およびEppacher et al., Helvetica Chimica Acta, 2004, 87, 3004-3020;PCT/JP2000/004720;PCT/JP2003/002342;PCT/JP2004/013216;PCT/JP2005/020435;PCT/JP2006/315479;PCT/JP2006/324484;PCT/JP2009/056718;PCT/JP2010/067560)、または修飾塩基と共に一リン酸塩として作成された5’-置換単量体(Wang et al., Nucleosides
Nucleotides & Nucleic Acids, 2004, 23 (1 & 2), 317-337)を含む。
【0227】
いくつかの実施形態において、非天然核酸は、修飾を糖骨格環の5’-位置および2’-位置に含み(PCT/US94/02993)、例えば、5’-CH-置換2’-O-保護ヌクレオシド(Wu et al., Helvetica Chimica Acta, 2000, 83, 1127-1143 and Wu et al., Bioconjugate Chem. 1999, 10, 921-924)などを含む。場合によっては、非天然核酸は、アミド結合ヌクレオシド二量体を含んで、オリゴヌクレオチドへの組み込みのために調製され、ここで、二量体(5~3’)における3’結合ヌクレオシドは2’-OCHおよび5’-(S)-CHを含む(Mesmaeker et al., Synlett, 1997, 1287-1290)。非天然核酸は、2’-置換5’-CH(またはO)修飾ヌクレオシドを含み得る(PCT/US92/01020)。非天然核酸は、5’-メチレンホスホナートDNAおよびRNA単量体、および二量体を含み得る(Bohringer et al., Tet. Lett., 1993, 34, 2723-2726; Collingwood et al., Synlett, 1995, 7, 703-705; and Hutter et al., Helvetica Chimica Acta, 2002, 85, 2777-2806)。非天然核酸は、2’-置換を有する5’-ホスホン酸塩単量体(US2006/0074035)、および他の修飾5’-ホスホン酸塩単量体(WO1997/35869)を含み得る。非天然核酸は、5’-修飾メチレンホスホナート単量体を含み得る(EP614907およびEP629633)。非天然核酸は、5’および/または6’位置にてヒドロキシル基を含有する5’または6’ホスホネートリボヌクレオシドのアナログを含み得る(Chen et al., Phosphorus, Sulfur and Silicon, 2002, 777, 1783-1786; Jung et al., Bioorg. Med. Chem., 2000, 8, 2501-2509; Gallier et al., Eur.
J. Org. Chem., 2007, 925-933; and Hampton et al., J. Med. Chem., 1976, 19(8), 1029-1033)。非天然核酸は、5’-ホスホネートデオキシリボヌクレオシド単量体、および5’-リン酸基を有する二量体を含み得る(Nawrot et al., Oligonucleotides, 2006, 16(1), 68-82)。非天然核酸は、6’-ホスホネート基を有するヌクレオシドを含み、ここで、5’および/または6’位置は、置換されない、あるいはチオ-tert-ブチル基(SC(CH)(およびそのアナログ);メチレンアミノ基(CHNH)(およびそのアナログ)、またはシアノ基(CN)(およびそのアナログ)により置換される(Fairhurst et al., Synlett, 2001, 4, 467-472;Kappler et al., J. Med. Chem., 1986, 29, 1030-1038;Kappler et al., J. Med. Chem., 1982, 25, 1179-1184;Vrudhula et al., J. Med. Chem., 1987, 30, 888-894;Hampton et al., J. Med. Chem., 1976, 19, 1371-1377;G
eze et al., J. Am. Chem. Soc, 1983, 105(26), 7638-7640;およびHampton et al., J. Am.
Chem. Soc, 1973, 95(13), 4404-4414)。
【0228】
いくつかの実施形態において、非天然核酸は糖部の修飾も含む。場合によっては、核酸は、糖群が修飾された1つ以上のヌクレオシドを含む。そのような糖が修飾されたヌクレオシドは、ヌクレアーゼ安定性の増強、結合親和性の増加、または他のいくつかの有益な生物学的特性を与える場合がある。特定の実施形態において、核酸は化学修飾されたリボフラノース環部分を含む。化学修飾されたリボフラノース環の例には、限定されないが、置換基の付加(5’および/または2’置換基;二環式核酸(BNA)を形成するための2つの環原子の架橋;リボシル環酸素原子のS、N(R)、またはC(R)(R)(R=H、C-C12アルキルまたは保護基)への置換を含む);およびこれらの組み合わせが挙げられる。化学修飾された糖の例は、WO2008/101157、US2005/0130923、およびWO2007/134181に見出すことができる。
【0229】
いくつかの例において、修飾された核酸は修飾された糖または糖アナログを含む。故に、リボースおよびデオキシリボースに加えて、糖部分は、ペントース基、デオキシペントース基、ヘキソース基、デオキシヘキソース基、グルコース基、アラビノース基、キシロース基、リキソース基、または糖「アナログ」シクロペンチル基であり得る。糖はピラノシルまたはフラノシルの形態であってもよい。糖部分は、リボース、デオキシリボース、アラビノース、または2’-O-アルキルリボースのフラノシドであり、糖は、[α]または[β]アノマー配置の何れかの各複素環式塩基に結合され得る。糖修飾には、限定されないが、2’-アルコキシ-RNAアナログ、2’-アミノ-RNAアナログ、2’-フルオロ-DNA、および2’-アルコキシまたはアミノ-RNA/DNAキメラが挙げられる。例えば、糖修飾は2’-O-メチル-ウリジンまたは2’-O-メチル-シチジンを含み得る。糖修飾は2’-O-アルキル-置換デオキシリボヌクレオシドおよび2’-O-エチレングリコール様のリボヌクレオシドを含む。これら糖または糖アナログの調製物、およびそのような糖またはアナログが複素環式塩基(核酸塩基)に結合される各「ヌクレオシド」は、既知である。糖修飾はまた、他の修飾により行われ、且つそれと組み合わせられ得る。
【0230】
糖部分の修飾は、非天然修飾と共にリボースおよびデオキシリボースの天然修飾も含む。糖修飾は、限定されないが、2’位置に以下の修飾を含む:OH;F;O-アルキル、S-アルキル、またはN-アルキル;O-アルケニル、S-アルケニル、またはN-アルケニル;O-アルキニル、S-アルキニル、またはN-アルキニル;あるいはまたはO-アルキル-O-アルキル、ここで、アルキル、アルケニル、およびアルキニルは、置換または非置換のC~C10アルキル、あるいはC~C10アルケニルおよびアルキニルであり得る。2’糖修飾はまた、限定されないが、-O[(CHO]CH、-O(CHOCH、-O(CHNH、-O(CHCH、-O(CHONH、およびO(CHON[(CHCHを含み、ここでnおよびmは1から約10である。
【0231】
2’位置の他の修飾は、限定されないが以下を含む:C~C10低級アルキル、置換低級アルキル、アルカリル、アラルキル、O-アルカリル、O-アラルキル、SH、SCH、OCN、Cl、Br、CN、CF、OCF、SOCH、SO CH、ONO、NO、N、NH、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリル、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、RNA切断基、レポーター基、インターカレータ、オリゴヌクレオチドの薬物動態特性を改善するための基、またはオリゴヌクレオチドの薬力学的特性を改善するための基、および同様の特性を有する他の置換基。同様の修飾はまた、糖の上の他の位置、具体的には3’末端ヌクレオチドまたは2’-
5’結合オリゴヌクレオチドにおける糖の3’位置、および5’末端ヌクレオチドの5’位置に作られ得る。修飾された糖はまた、CH2およびSなどの架橋環酸素に修飾を含むものを含む。ヌクレオチド糖アナログはまた、ペントフラノシル糖の代わりにシクロブチル部分などの糖模倣物を有し得る。そのような修飾された糖構造の調製を教示し、且つ塩基修飾の範囲を詳述および説明する、多数の米国特許が存在し、例えば、米国特許第4,981,957号;5,118,800号;5,319,080号;5,359,044号;5,393,878号;5,446,137号;5,466,786号;5,514,785号;5,519,134号;5,567,811号;5,576,427号;5,591,722号;5,597,909号;5,610,300号;5,627,053号;5,639,873号;5,646,265号;5,658,873号;5,670,633号;4,845,205号;5,130,302号;5,134,066号;5,175,273号;5,367,066号;5,432,272号;5,457,187号;5,459,255号;5,484,908号;5,502,177号;5,525,711号;5,552,540号;5,587,469号;5,594,121号;5,596,091号;5,614,617号;5,681,941号;および5,700,920号などであり、これら各々は全体の参照によって本明細書に組み込まれる。
【0232】
修飾された糖部分を有する核酸の例は、限定されないが、5’-ビニル、5’-メチル(RまたはS)、4’-S、2’-F、2’-OCH、および2’-O(CHOCHの置換基を含有する核酸を含む。2’位置における置換基はまた、アリル、アミノ、アジド、チオ、O-アリル、O-(C-C10アルキル)、OCF、O(CHSCH、O(CH-ON(R)(R)、およびO-CH-C(=O)-N(R)(R)から選択することができ、各RおよびRは独立して、Hあるいは置換または非置換のC-C10アルキルである。
【0233】
特定の実施形態において、本明細書に記載される核酸は1つ以上の二環式核酸を含む。そのような特定の実施形態において、二環式核酸は、4’リボシル環原子と2’リボシル環原子との間の架橋を含む。特定の実施形態において、本明細書で提供される核酸は1つ以上の二環式核酸を含み、ここで架橋は4’~2’の二環式核酸を含む。そのような4’~2’の二環式核酸の例は、限定されないが、以下の式の1つを含む:4’-(CH)-O-2’(LNA);4’-(CH)-S-2’;4’-(CH-O-2’(ENA);4’-CH(CH)-O-2’および4’-CH(CHOCH)-O-2’、およびそれらのアナログ(米国特許第7,399,845号参照);4’-C(CH)(CH)-O-2’およびそのアナログ(WO2009/006478、WO2008/150729、US2004/0171570、米国特許第7,427,672号、Chattopadhyaya et al., J. Org. Chem., 209, 74, 118-134、およびWO2008/154401)。更に、例えばSingh et al., Chem. Commun., 1998, 4, 455-456;Koshkin et al., Tetrahedron, 1998, 54, 3607-3630;Wahlestedt et al., Proc.
Natl. Acad. Sci. U. S. A., 2000, 97, 5633-5638;Kumar et al., Bioorg. Med. Chem.
Lett., 1998, 8, 2219-2222;Singh et al.,
J. Org. Chem., 1998, 63, 10035-10039;Srivastava et al., J. Am. Chem. Soc., 2007, 129(26) 8362-8379;Elayadi et al., Curr. Opinion Invens. Drugs, 2001, 2, 558-561;Braasch et al., Chem. Biol, 2001, 8, 1-7;Oram et al., Curr. Opinion Mol. Ther., 2001, 3, 239-243;米国特許第4,849,513号;5,015
,733号;5,118,800号;5,118,802号;7,053,207号;6,268,490号;6,770,748号;6,794,499号;7,034,133号;6,525,191号;6,670,461号;および7,399,845号;国際公開番号WO2004/106356、WO1994/14226、WO2005/021570、WO2007/090071、およびWO2007/134181;米国特許公開番号US2004/0171570、US2007/0287831、およびUS2008/0039618;米国仮特許出願第60/989,574号、61/026,995号、61/026,998号、61/056,564号、61/086,231号、61/097,787号、および61/099,844号;並びに国際出願番号PCT/US2008/064591、PCT/US2008/066154、PCT/US2008/068922、およびPCT/DK98/00393号を参照。
【0234】
特定の実施形態において、核酸は結合された核酸を含む。核酸は、任意の相互核酸結合を使用して共に結合され得る。相互核酸結合基の2つの主なクラスは、リン原子の有無によって定められる。代表的なリン含有相互核酸結合は、限定されないが、ホスホジエステル、ホスホトリエステル、メチルホスホネート、ホスホラミデート、およびホスホロチオエート(P=S)を含む。代表的な非リン含有相互核酸結合は、限定されないが、メチレンメチルイミノ(-CH-N(CH)-O-CH-)、チオジエステル(-O-C(O)-S-)、チオカルバメート(-O-C(O)(NH)-S-);シロキサン(-O-Si(H)-O-);およびN,N-ジメチルヒドラジン(-CH-N(CH)-N(CH))。特定の実施形態において、キラル原子を有する相互核酸結合は、ラセミ混合物、別個のエナンチオマー、例えばアルキルホスホネートおよびホスホロチオエートとして調製され得る。非天然核酸は単一の修飾を含み得る。非天然核酸は、部分の1つの内に、または異なる部分間に複数の修飾を含み得る。
【0235】
核酸への骨格リン酸塩修飾は、限定されないが、メチルホスホネート、ホスホロチオエート、ホスホラミデート(架橋または非架橋)、ホスホトリエステル、ホスホロジチオエート、ホスホジチオエート、およびボラノホスフェートを含み、および、任意の組み合わせにおいて使用されてもよい。他の非リン酸塩結合も使用されてもよい。
【0236】
いくつかの実施形態において、骨格修飾(例えばメチルホスホナート、ホスホロチオエート、ホスホラミデート、およびホスホロジチオエートのヌクレオチド間結合)は、修飾された核酸に免疫修飾物質活性を付与し、および/またはインビボでそれらの安定性を増強することができる。
【0237】
いくつかの例において、リン誘導体(または修飾されたリン酸基)は、糖または糖アナログ部分に結合され、および、モノホスフェート、ジホスフェート、トリホスフェート、アルキルホスホナート、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホラミデートなどであり得る。修飾されたリン酸塩結合または非リン酸塩結合を含んでいる典型的なポリヌクレオチドは、以下に見出すことができる:Peyrottes et al., 1996, Nucleic Acids Res. 24: 1841-1848;Chaturvedi et al., 1996, Nucleic Acids Res. 24:2318-2323;およびSchultz et al., (1996) Nucleic Acids Res. 24:2966-2973;Matteucci, 1997, “Oligonucleotide Analogs: an Overview” in Oligonucleotides as Therapeutic Agents, (Chadwick and Cardew, ed.) John Wiley and Sons, New York, NY;Zon, 1993, ”Oligonucleoside Phosphorothioates”
in Protocols for Oligonucleotides and A
nalogs, Synthesis and Properties, Humana
Press, pp. 165-190;Miller et al., 1971,
JACS 93:6657-6665;Jager et al., 1988, Biochem. 27:7247-7246;Nelson et al., 1997, JOC 62:7278-7287;米国特許第5,453,496号;およびMicklefield, 2001, Curr. Med. Chem. 8: 1157-1179。
【0238】
場合によっては、骨格修飾は、ホスホジエステル結合を代替的な部分、例えば陰イオン基、中性基、または陽イオン基に置換することを含む。そのような修飾の例には以下が挙げられる:陰イオン性ヌクレオシド間結合;N3’~P5’のホスホラミデート修飾;ボラノホスフェートDNA;プロオリゴヌクレオチド;メチルホスホネートなどの中性ヌクレオシド間結合;アミド結合DNA;メチレン(メチルイミノ)結合;ホルムアセタール(formacetal)およびチオホルムアセタール(thioformacetal)結合;スルホニル基を含有する骨格;モルホリノオリゴ;ペプチド核酸(PNA);および正に荷電したデオキシリボ核グアニジン(DNG)オリゴ(Micklefield, 2001, Current Medicinal Chemistry 8: 1157-1179)。修飾された核酸は、1つ以上の修飾、例えばホスホジエステルおよびホスホロチオエートの結合の組み合わせなどのリン酸塩結合の組み合わせを含むキメラ骨格または混合骨格を含み得る。
【0239】
リン酸塩の置換基は、例えば、短鎖アルキルまたはシクロアルキルのヌクレオシド間結合、混合されたヘテロ原子およびアルキルまたはシクロアルキルのヌクレオシド間結合、あるいは1つ以上の短鎖ヘテロ原子または複素環式のヌクレオシド間結合を含む。これらは、(ヌクレオシドの糖部分から部分的に形成される)モルホリノ結合を有するもの;シロキサン骨格;硫化物、スルホキシド、およびスルホン骨格;ホルムアセチル骨格およびチオホルムアセチル骨格;メチレンホルムアセチル骨格およびメチレンチオホルムアセチル骨格;アルケン含有骨格;スルファメート骨格;メチレンイミノ骨格およびメチレンヒドラジノ骨格;スルホネート骨格およびスルホンアミド骨格;アミド骨格;および混合されたN、O、SおよびCH成分の部分を有する他のものを含み得る。多数の米国特許は、これらのタイプのリン酸塩置換を作成且つ使用する方法を開示しており、限定されないが、米国特許第5,034,506号;5,166,315号;5,185,444号;5,214,134号;5,216,141号;5,235,033号;5,264,562号;5,264,564号;5,405,938号;5,434,257号;5,466,677号;5,470,967号;5,489,677号;5,541,307号;5,561,225号;5,596,086号;5,602,240号;5,610,289号;5,602,240号;5,608,046号;5,610,289号;5,618,704号;5,623,070号;5,663,312号;5,633,360号;5,677,437号;および5,677,439号が挙げられる。ヌクレオチドの糖およびリン酸塩両方の部分が、例えばアミド型結合(アミノエチルグリシン)(PNA)により置換され得ることも、ヌクレオチド置換基において理解される。米国特許第5,539,082号;5,714,331号;および5,719,262号は、PNA分子を作成且つ使用する方法を教示しており、その各々は参照により本明細書に組み込まれる。また、Nielsen et al., Science, 1991, 254, 1497-1500を参照。更に、他のタイプの分子(抱合体)をヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログに結合して、例えば細胞取込みを増強することも可能である。抱合体は、ヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログに化学結合され得る。そのような抱合体は、限定されないが、脂質部分、例えばコレステロール部分(Letsinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1989, 86, 6553-6556)、コール酸(Manoharan et al., Bio
org. Med.Chem. Let. , 1994, 4, 1053-1060)、チオエテール、例えばヘキシル-S-トリチルチオール(Manoharan et
al., Ann. KY. Acad. Sci., 1992, 660, 306-309; Manoharan et al., Bioorg. Med. Chem. Let., 1993, 3, 2765-2770)、チオコレステロール(Oberhauser et al., Nucl. Acids Res., 1992, 20, 533-538)、脂肪族鎖、例えばドデカンジオールまたはウンデシル残基(Saison-Behmoaras et al., EM5OJ, 1991,
10, 1111-1118; Kabanov et al., FEBS Lett., 1990, 259, 327-330;Svinarchuk et al., Biochimie, 1993, 75, 49-54)、リン脂質、例えばジ-ヘキサデシル-rac-グリセロールまたはトリエチルアンモニウム1-ジ-O-ヘキサデシル-rac-グリセロ-S-H-ホスホン酸塩(Manoharan et al., Tetrahedron Lett. , 1995, 36, 3651-3654; Shea et al., Nucl. Acids Res., 1990, 18, 3777-3783)、ポリアミンまたはポリエチレングリコール鎖(Manoharan et al., Nucleosides & Nucleotides,
1995, 14, 969-973)、またはアダマンタン酢酸(Manoharan et al., Tetrahedron Lett., 1995, 36, 3651-3654)、パルミチル部分(Mishra et al., Biochem. Biophys. Acta, 1995, 1264, 229-237)、またはオクタデシルアミンあるいはヘキシルアミノ-カルボニル-オキシコレステロール部分(Crooke et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., 1996, 277, 923-937)を含む。多数の米国特許は、そのような抱合体の調製を教示し、限定されないが、以下が挙げられる:米国特許第4,828,979号;4,948,882号;5,218,105号;5,525,465号;5,541,313号;5,545,730号;5,552,538号;5,578,717号;5,580,731号;5,580,731号;5,591,584号;5,109,124号;5,118,802号;5,138,045号;5,414,077号;5,486,603号;5,512,439号;5,578,718号;5,608,046号;4,587,044号;4,605,735号;4,667,025号;4,762,779号;4,789,737号;4,824,941号;4,835,263号;4,876,335号;4,904,582号;4,958,013号;5,082,830号;5,112,963号;5,214,136号;5,082,830号;5,112,963号;5,214,136号;5,245,022号;5,254,469号;5,258,506号;5,262,536号;5,272,250号;5,292,873号;5,317,098号;5,371,241号;5,391,723号;5,416,203号;5,451,463号;5,510,475号;5,512,667号;5,514,785号;5,565,552号;5,567,810号;5,574,142号;5,585,481号;5,587,371号;5,595,726号;5,597,696号;5,599,923号;5,599,928号;および5,688,941号。
【0240】
場合によっては、非天然核酸は更に非天然塩基対を形成する。インビボ条件下で非天然DNAまたはRNA塩基対(UBP)を形成可能な典型的な不自然なヌクレオチドは、限定されないが、5SICS、d5SICS、NAM、dNaM、およびそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、非天然ヌクレオチドは以下を含む:
【0241】
【化1】
【0242】
いくつかの実施形態において、非天然塩基対は、Dumas et al., “Designing logical codon reassignment-Expanding the chemistry in biology,” Chemical
Science, 6: 50-69 (2015)に記載される非天然アミノ酸を生成する。
【0243】
tRNA、tRNA合成酵素、および目的のタンパク質が産生されるように、本明細書に開示される構築物またはベクターが導入される宿主細胞が、適切な媒体において培養または維持される。目的のタンパク質が非天然アミノ酸を組み込むように、媒体は更に非天然アミノ酸を含む。
【0244】
直交tRNA合成酵素/tRNA対は非天然アミノ酸によりtRNAをチャージし、且つコドンに応じて非天然アミノ酸をポリペプチド鎖に組み込むことができる。典型的なaaRS-tRNAは、限定されないが、Methanococcus jannaschii(Mj-Tyr)aaRS/tRNA対、E. coli TyrRS(Ec-Tyr)/B.stearothermophilus tRNACUA対、E. coli
LeuRS(Ec-Leu)/B.stearothermophilus tRNACUA対、およびピロリジル(pyrrolysyl)-tRNA対を含む。
【0245】
非天然アミノ酸を含むサイトカイン(例えばIL-2)ポリペプチドは、tRNAおよびtRNA合成酵素を含み、且つ1つ以上のインフレーム直交(停止)コドンにより目的の核酸配列を含む、本明細書に記載される核酸構築物の宿主細胞への導入により調製される。宿主細胞は、非天然アミノ酸を含む生理溶液に晒され、宿主細胞はその後、対象のコード配列のタンパク質の発現を可能にする条件下で維持される。非天然アミノ酸はコドンに応じてポリペプチド鎖へと組み込まれる。例えば、1つ以上の非天然アミノ酸はサイトカイン(例えばIL-2)ポリペプチドへと組み込まれる。代替的に、2つ以上の非天然アミノ酸は、タンパク質中の2つ以上の部位にてサイトカイン(例えばIL-2)ポリペ
プチドへと組み込まれ得る。
【0246】
複数の非天然アミノ酸がサイトカイン(例えばIL-2)ポリペプチドへと組み込まれることになっている場合、tRNA合成酵素/tRNA対がコドンに応じて非天然アミノ酸の組み込みを導くことができるように、複数のコドンは所望の位置にてコード核酸配列へと組み込まれる必要がある。核酸をコードする少なくとも1、2、3、または4つ以上のコドンは、目的の核酸配列へと組み込まれ得る。
【0247】
1より多くのタイプの非天然アミノ酸を目的のタンパク質へと組み込み単一のタンパク質とすることが望まれるとき、第2のまたは更なる直交tRNA-tRNA合成酵素対は、第2のまたは更なる非天然アミノ酸を組み込むために使用され;適切な場合、第2のまたは更なる直交tRNA-tRNA合成酵素対は、2つ以上の非天然アミノ酸が単一生産工程においてタンパク質中の異なる定義された部位へと特異的に組み込まれ得るように、目的のタンパク質をコードする核酸において異なるコドンを認識する。特定の実施形態において、2つ以上の直交tRNA-tRNA合成酵素対が故に使用されてもよい。
【0248】
一旦非天然アミノ酸を組み込むサイトカイン(例えばIL-2)ポリペプチドが宿主細胞中で産生されると、それは、当該技術分野で既知の様々な技術、例えば、酵素溶解、化学溶解、および/または浸透圧溶解、並びに物理的破壊などにより、そこから抽出され得る。サイトカイン(例えばIL-2)ポリペプチドは、当該技術分野で既知の標準技術、例えば分取クロマトグラフィー、親和性精製、または他のあらゆる適切な技術などによって精製され得る。
【0249】
適切な宿主細胞は、細菌細胞(例えば大腸菌)を含むが、最も適切な場合、宿主細胞は、真核細胞(例えば昆虫細胞(例えばキイロショウジョウバエなどのショウジョウバエ)、酵母菌、線虫(例えばシー・エレガンス(Celegans))、マウス(例えばハツカネズミ)、または哺乳動物細胞(チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)またはCOS細胞、ヒト293T細胞、HeLa細胞、NIH 3T3細胞、およびマウス赤白血症(MEL)細胞など)、あるいはヒト細胞または他の真核細胞である。他の適切な宿主細胞は当業者に知られている。適切な場合、宿主細胞は、ヒト細胞または昆虫細胞などの哺乳動物細胞である。
【0250】
本発明の実施形態において一般的に使用され得る他の適切な宿主細胞は、実施例のセクション中に記載されるものである。ベクターDNAは従来の形質転換または形質移入技術を介して宿主細胞へと導入され得る。本明細書に使用されるように、用語「形質転換」および「形質移入」は、宿主細胞へと外来性核酸分子(例えばDNA)を導入するための様々な十分に認識された技術、例えばリン酸カルシウムまたは塩化カルシウム共沈、DEAEデキストラン媒介性形質移入、リポフェクション、またはエレクトロポレーションなどを指すように意図される。宿主細胞を形質転換または形質移入するのに適した方法は当該技術分野で周知である。
【0251】
細胞株を作成する場合、通常は安定した細胞株が調製されることが好ましい。哺乳動物細胞の安定した形質移入に関しては、例えば、使用される発現ベクターおよび形質移入技術に応じて、細胞の小さな画分のみが外来性DNAをゲノムに統合できることが知られている。これらの成分を同定および選択するために、選択マーカー(例えば、抗生物質耐性のための)をコードする遺伝子は一般に、対象の遺伝子と共に宿主細胞へと導入される。好ましい選択可能なマーカーは、G418、ヒグロマイシン、またはメトトレキサートなどの、薬物に対する耐性を与えるものを含む。選択マーカーをコード化する核酸分子は、同じベクター上の宿主細胞へと導入され得るか、または別々のベクター上で導入され得る。導入された核酸分子によって安定して形質移入された細胞は、薬物選択によって同定さ
れ得る(例えば、選択マーカー遺伝子を組み込んだ細胞は残存するが、一方で他の細胞は死滅する)。
【0252】
一実施形態において、本明細書に記載される構築物は、宿主細胞のゲノムへと統合される。安定した統合の利点は、個別の細胞またはクローン間の均一性が達成されるということである。他の利点は、最良の生産者の選択が実行され得るということである。従って、安定した細胞株を作成することが望ましい。別の実施形態において、本明細書に記載される構築物は、宿主細胞へと形質移入される。宿主細胞へと構築物を形質移入するという利点は、タンパク質収率が最大化され得るということである。一態様において、本明細書に記載される核酸構築物またはベクターを含む細胞が記載される。
【0253】
医薬組成物と製剤
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される医薬組成物および製剤は、複数の投与経路、限定されないが、非経口(例えば、静脈内、皮下、筋肉内)、脳内、経口、鼻腔内、頬側、局所、直腸、舌下、または経皮の投与経路などによって被験体に投与される。
【0254】
いくつかの実施形態において、医薬製剤は、水性液体分散、自己乳化分散、固溶体、リポソーム分散液、エアロゾル、固形剤形、粉末剤、即時放出製剤、制御放出製剤、速溶製剤、錠剤、カプセル剤、丸剤、遅延放出製剤、拡張放出製剤、パルス放出製剤、多重微粒子製剤(例えばナノ粒子製剤)、および即時混合且つ制御放出の製剤を含むが、これらに限定されない。
【0255】
いくつかの実施形態において、医薬製剤は、本明細書に開示される組成物との適合性並びに所望の剤形の放出プロファイル特性に基づいて選択された、担体または担体材料を含む。典型的な担体材料としては、例えば、結合剤、懸濁化剤、崩壊剤、充填剤、界面活性剤、可溶化剤、安定剤、潤滑剤、湿潤剤、希釈剤などが挙げられる。薬学的に適合性のある担体材料は、限定されないが、アラビアゴム、ゼラチン、コロイド状二酸化ケイ素、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、マルトデキストリン、グリセリン、ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン(PVP)、コレステロール、コレステロールエステル、カゼイン酸ナトリウム、大豆レシチン、タウロコール酸、ホスファチジルコリン(phosphotidylcholine)、塩化ナトリウム、リン酸三カルシウム、リン酸二カリウム、セルロースおよびセルロース抱合体、糖ナトリウム・ステアロイルラクチラート塩(sugars sodium stearoyl lactylate)、カラギーナン、モノグリセリド、ジグリセリド、α化デンプンなどを含む。例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Nineteenth Ed (Easton, Pa.: Mack Publishing Company, 1995), Hoover, John E., Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, Pennsylvania 1975, Liberman, H.A. and Lachman, L., Eds., Pharmaceutical Dosage Forms, Marcel Decker, New York, N.Y., 1980, and Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, Seventh Ed. (Lippincott Williams & Wilkins1999)を参照。
【0256】
場合によっては、医薬組成物は免疫リポソームとして製剤され、これは、リポソームの脂質二重層に直接または間接的に結合された複数のIL-2抱合体を含む。典型的な脂質は、限定されないが、脂肪酸;リン脂質;コレステロールなどのステロール;スフィンゴ
ミエリンなどのスフィンゴ脂質;ガングリオシド、グロボシド、およびセレブロシドなどのグリコスフィンゴ脂質;ステアリル、オレイル、およびリノレイルアミンなどの界面活性アミンを含む。いくつかの例において、脂質は陽イオン性脂質を含む。いくつかの例において、脂質はリン脂質を含む。典型的なリン脂質には、限定されないが以下が挙げられる:ホスファチジン酸(「PA」)、ホスファチジルコリン(「PC」)、ホスファチジルグリセロール(「PG」)、ホスファチジルエタノールアミン(「PE」)、ホスファチジルイノシトール(「PI」)、およびホスファチジルセリン(「PS」)、スフィンゴミエリン(脳スフィンゴミエリンを含む)、レシチン、リソレシチン、リゾホスファチジルエタノールアミン、セレブロシド、ジアラキドイルホスファチジルコリン(「DAPC」)、ジデカノイル-L-α-ホスファチジルコリン(「DDPC」)、ジエライドイルホスファチジルコリン(「DEPC」)、ジラウロイルホスファチジルコリン(「DLPC」)、ジリノレオイルホスファチジルコリン、ジミリストイルホスファチジルコリン(「DMPC」)、ジオレオイルホスファチジルコリン(「DOPC」)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(「DPPC」)、ジステアロイルホスファチジルコリン(「DSPC」)、1-パルミトイル-2-オレオイル-ホスファチジルコリン(「POPC」)、ジアラキドイルホスファチジルグリセロール(「DAPG」)、ジデカノイル-L-α-ホスファチジルグリセロール(「DDPG」)、ジエライドイルホスファチジルグリセロール(「DEPG」)、ジラウロイルホスファチジルグリセロール(「DLPG」)、ジリノレオイルホスファチジルグリセロール、ジミリストイルホスファチジルグリセロール(「DMPG」)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(「DOPG」)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(「DPPG」)、ジステアロイルホスファチジルグリセロール(「DSPG」)、1-パルミトイル-2-オレオイル-ホスファチジルグリセロール(「POPG」)、ジアラキドイルホスファチジルエタノールアミン(「DAPE」)、ジデカノイル-L-α-ホスファチジルエタノール(「DDPE」)、ジエライドイルホスファチジルエタノールアミン(「DEPE」)、ジラウロイルホスファチジルエタノールアミン(「DLPE」)、ジリノレオイルホスファチジルエタノールアミン、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン(「DMPE」)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(「DOPE」)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(「DPPE」)、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(「DSPE」)、1-パルミトイル-2-オレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(「POPE」)、ジアラキドイルホスファチジルイノシトール(「DAPI」)、ジデカノイル-L-α-ホスファチジルイノシトール(「DDPI」)、ジエライドイルホスファチジルイノシトール(「DEPI」)、ジラウロイルホスファチジルイノシトール(「DLPI」)、ジリノレオイルホスファチジルイノシトール、ジミリストイルホスファチジルイノシトール(「DMPI」)、ジオレオイルホスファチジルイノシトール(「DOPI」)、ジパルミトイルホスファチジルイノシトール(「DPPI」)、ジステアロイルホスファチジルイノシトール(「DSPI」)、1-パルミトイル-2-オレオイル-ホスファチジルイノシトール(「POPI」)、ジアラキドイルホスファチジルセリン(「DAPS」)、ジデカノイル-L-α-ホスファチジルセリン(「DDPS」)、ジエライドイルホスファチジルセリン(「DEPS」)、ジラウロイルホスファチジルセリン(「DLPS」)、ジリノレオイルホスファチジルセリン、ジミリストイルホスファチジルセリン(「DMPS」)、ジオレオイルホスファチジルセリン(「DOPS」)、ジパルミトイルホスファチジルセリン(「DPPS」)、ジステアロイルホスファチジルセリン(「DSPS」)、1-パルミトイル-2-オレオイル-ホスファチジルセリン(「POPS」)、ジアラキドイルスフィンゴミエリン、ジデカノイルスフィンゴミエリン、ジエライドイルスフィンゴミエリン、ジラウロイルスフィンゴミエリン、ジリノレオイルスフィンゴミエリン、ジミリストイルスフィンゴミエリン、スフィンゴミエリン、ジオレオイルスフィンゴミエリン、ジパルミトイルスフィンゴミエリン、ジステアロイルスフィンゴミエリン、および1-パルミトイル-2-オレオイル-スフィンゴミエリン。
【0257】
いくつかの例において、医薬組成物は更に、酢酸、ホウ酸、クエン酸、乳酸、リン酸、および塩酸などの酸、水酸化ナトリウム、リン酸塩ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、およびトリス-ヒドロキシメチルアミノメタンなどの塩基、クエン酸塩/デキストロース、重炭酸ナトリウム、および塩化アンモニウムなどの緩衝液を含む、pH調整剤を含む。このような酸、塩基、および緩衝剤は、組成物のpHを許容可能な範囲で維持することを必要とする量で含まれる。
【0258】
いくつかの例において、医薬製剤は、組成物の浸透圧を許容可能な範囲にするのに必要な量の1つ以上の塩を含む。このような塩は、ナトリウム、カリウム、またはアンモニウムのカチオンおよび塩化物、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、チオ硫酸塩、または亜硫酸水素塩を有する塩を含み、適切な塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、および硫酸アンモニウムが挙げられる。
【0259】
いくつかの実施形態において、医薬製剤は、限定されないが、トレハロース、スクロース、マンニトール、マルトース、グルコースのような糖、あるいは、リン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、硫酸アンモニウムのような塩、および/または、ポリペプチドの溶解度およびインビボの安定性を増大させるヘパリンなどの他の薬剤を含む。
【0260】
いくつかの例において、医薬組成物は更に、より安定した環境を提供することができることから、化合物を安定化させるために使用される希釈剤を含む。緩衝液(pHの制御または維持をもたらすこともできる)の中で溶解された塩は、当技術分野で希釈剤として利用され、例えばリン酸緩衝生理食塩溶液が挙げられるがこれに限定されない。特定の例において、希釈剤は組成物のかさ(bulk)を増やして圧縮を促すか、またはカプセル充填のための均質混合のために十分なかさを作り出す。そのような化合物は、例えばラクトース、デンプン、マンニトール、ソルビトール、デキストロース、Avicel(登録商標)などの微結晶性セルロース、リン酸水素カルシウム、リン酸カルシウム二水和物、リン酸三カルシウム、リン酸カルシウム、無水ラクトース、噴霧乾燥ラクトース、α化デンプン、Di-Pac(登録商標)(Amstar)などの圧縮可能な糖、マンニトール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートステアレート、スクロースベースの希釈剤、粉砂糖、一塩基性硫酸カルシウム一水和物、硫酸カルシウム二水和物、乳酸カルシウム三水和物、デキストラート、加水分解シリアル固形物、アミロース、粉末セルロース、炭酸カルシウム、グリシン、カオリン、マンニトール、塩化ナトリウム、イノシトール、ベントナイトなどを含み得る。
【0261】
場合によっては、医薬製剤は、物質の分解または崩壊を促進するために崩壊剤または分解剤を含む。用語「分解する」は、胃腸液と接触した際の剤形の溶解と分散の両方を含む。崩壊剤の例は、デンプン、例えば、トウモロコシデンプンまたはジャガイモデンプンなどの天然のデンプン、National1551またはAmijel(登録商標)などのα化デンプン、あるいはPromogel(登録商標)またはExplotab(登録商標)などのデンプングリコール酸ナトリウム、木材生成物などのセルロース、メチル結晶性セルロース(例えば、Avicel(登録商標)、Avicel(登録商標)PH101、Avicel(登録商標)PH102、Avicel(登録商標)PH105、Elcema(登録商標)P100、Emcocel(登録商標)、Vivacel(登録商標)、Ming Tia(登録商標)、およびSolka-Floc(登録商標)、メチルセルロース、クロスカルメロース、または、架橋セルロース、例えば、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(Ac-Di-Sol(登録商標))、架橋カルボキシメチルセルロース、または架橋クロスカルメロース、架橋デンプン、例えば、デンプングリコール酸ナトリウムなど、架橋ポリマー、例えば、クロスポビドンなど、架橋ポリビニルピロリドン、アルギン酸塩、例えば、アルギン酸またはアルギン酸ナトリウムの塩など、V
eegum(登録商標)HV(ケイ酸アルミニウムマグネシウム)などの粘土、ゴム、例えば、寒天、グアー、イナゴマメ、カラヤ、ペクチン、またはトラガント、デンプングリコール酸ナトリウム、ベントナイト、天然のスポンジ、界面活性剤、陽イオン交換樹脂などの樹脂、柑橘類の果肉、ラウリル硫酸ナトリウム、デンプンと組み合わせたラウリル硫酸ナトリウムなどを含む。
【0262】
いくつかの例において、医薬製剤は、充填剤、例えばラクトース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、硫酸カルシウム、微結晶性セルロース、セルロース粉末、デキストロース、デキストラート、デキストラン、デンプン、α化デンプン、スクロース、キシリトール、ラクチトール、マンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウム、ポリエチレングリコールなどを含む。
【0263】
潤滑剤および滑剤も、物質の接着または摩擦を予防するか、減少するか、阻害するための本明細書に記載された医薬製剤において随意に含まれている。典型的な潤滑剤は、例えば、ステアリン酸、水酸化カルシウム、タルク、フマル酸ステアリルナトリウム、鉱油などの炭化水素、あるいは、例えば水素化大豆油(Sterotex(登録商標))などの硬化植物油、高脂肪酸、およびそのアルカリ金属とアルカリ土類金属塩、例えばアルミニウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、グリセロール、タルク、ワックス、Stearowet(登録商標)、ホウ酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ロイシン、ポリエチレングリコール(例えばPEG-4000)またはCarbowax(商標)などのメトキシポリエチレングリコール、オレイン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ベへン酸グリセリル、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸マグネシウムまたはラウリル硫酸ナトリウム、Syloid(商標)などのコロイダルシリカ、Cab-O-Sil(登録商標)、トウモロコシデンプンなどのデンプン、シリコーン油、界面活性剤などを含む。
【0264】
可塑剤は、マイクロカプセル化材料またはフィルムコーティングを軟化することでそれらの脆さを抑えるために使用される化合物を含む。適切な可塑剤は、例えばPEG300、PEG400、PEG600、PEG1450、PEG3350、およびPEG800などのポリエチレングリコール、ステアリン酸、プロピレングリコール、オレイン酸、トリエチルセルロース、およびトリアセチンを含む。可塑剤はまた、分散剤または湿潤剤としても機能することができる。
【0265】
可溶化剤は、トリアセチン、クエン酸トリエチル、オレイン酸エチル、カプリル酸エチル、ラウリル硫酸ナトリウム、ドクサートナトリウム、ビタミンE TPGS、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、N-ヒドロキシエチルピロリドン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン、エタノール、n-ブタノール、イソプロピルアルコール、コレステロール、胆汁塩、ポリエチレングリコール200-600、グリコフロール、トランスクトール、プロピレングリコール、およびジメチルイソソルビドなどの化合物を含む。
【0266】
安定化剤は、任意の抗酸化剤、緩衝液、酸、防腐剤などの化合物を含む。典型的な安定化剤は、塩酸L-アルギニン、トロメタミン、アルブミン(ヒト)、クエン酸、ベンジルアルコール、フェノール、リン酸水素二ナトリウム無水物、プロピレングリコール、メタクレゾールまたは、m-クレゾール、酢酸亜鉛、ポリソルベート-20またはTween(登録商標)20、またはトロメタモールを含む。
【0267】
懸濁化剤は、化合物、例えば、ポリビニルピロリドン、例えばポリビニルピロリドンK12、ポリビニルピロリドンK17、ポリビニルピロリドンK25、またはポリビニルピロリドンK30、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー(S630)、ポリエチレン
グリコール(例えば、ポリエチレングリコールは約300~約6000、約3350~約4000、または約7000~約5400の分子量を有する)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースアセテートステアレート、ポリソルベート80、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ゴム、例えばトラガカントゴム、アカシアゴム、グアーゴム、キサンタンゴムを含むキサンタン、糖、セルロース系のもの、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリソルベート80、アルギン酸ナトリウム、ポリエトキシレートソルビタンモノラウリン酸、ポリエトキシレートソルビタンモノラウリン酸、ポビドンなどを含む。
【0268】
界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、ドクサートナトリウム、Tween60または80、トリアセチン、ビタミンE TPGS、モノオレイン酸ソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ポリソルベート、ポロクサマー(polaxomer)、胆汁塩、モノステアリン酸グリセリル、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのコポリマー、例えば、Pluronic(登録商標)(BASF)などの化合物を含む。追加の界面活性剤は、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリド、および植物油、例えばポリオキシエチレン(60)水素化ヒマシ油、およびポリオキシエチレンアルキルエーテルとアルキルフェニルエーテル、例えばオクトキシノール10、オクトキシノール40を含む。時に、界面活性剤は、物理的安定性を高めるために、または他の目的のために含まれる。
【0269】
粘度増強剤は、例えば、メチルセルロース、キサンタンゴム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートステアラート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート、カルボマー、ポリビニルアルコール、アルギン酸塩、アカシア、キトサン、およびそれらの組み合わせを含む。
【0270】
湿潤剤は、オレイン酸、モノステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、オレイン酸トリエタノールアミン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ナトリウムドクセート、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ナトリウムドクセート、トリアセチン、Tween80、ビタミンE TPGS、アンモニウム塩などの化合物を含む。
【0271】
治療レジメン
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される医薬組成物は治療用途のために投与される。いくつかの実施形態において、医薬組成物は1日1回、1日2回、1日3回、またはそれ以上投与される。医薬組成物は、毎日、1日おき、週5日、週1日、1週おき、1か月に2週、1か月に3週、月1回、月2回、1か月に3回、またはそれ以上投与される。医薬組成物は、少なくとも1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月、18か月、2年、3年、またはそれ以上の間投与される。
【0272】
患者の状態が改善する場合、医師の判断に基づいて、組成物の投与は連続的に与えられてもよく、代替的に、投与される組成物の投与量は、一時的に減少するか、一定時間(即ち「休薬期間」)にわたり一時的に停止される。いくつかの例において、休薬期間の長さは2日から1年の間で変動し、ほんの一例として、2日、3日、4日、5日、6日、7日、10日、12日、15日、20日、28日、35日、50日、70日、100日、120日、150日、180日、200日、250日、280日、300日、320日、350日、または365日が挙げられる。休薬日中の投与量の減少は10%-100%であり
、ほんの一例として、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%が挙げられる。
【0273】
一旦、患者の疾病の改善が生じると、必要ならば維持量が投与される。その後、用量または投与頻度、あるいはその両方は、症状に応じて、疾患、障害、または疾病の改善が保持されるレベルにまで減少可能である。
【0274】
いくつかの実施形態において、そのような量に相当する与えられた薬剤の量は、特定の化合物、疾患の重症度、処置を必要とする被験体または宿主の同一性(例えば重量)などの要因に依存して変動するが、それにも関わらず、症例を取り囲む特定の状況、例えば投与される特定の薬剤、投与経路、および処置されている被験体または宿主などに従い当該技術分野で既知の方法で慣例的に決定される。いくつかの例において、所望の投与量は一回量において、あるいは、同時に(または短時間にわたり)または適切な間隔を置いて、例えば1日に2、3、または4以上の下位用量として投与された分割量として都合よく提示される。
【0275】
個々の処置レジメンに関する変数の数が大きいため、前述の範囲は単なる示唆的なものに過ぎず、これらの推奨値からかなり逸脱することは珍しいことではない。こうした投与量は、多くの変数、限定されないが、使用される化合物の活性、治療される疾患または疾病、投与の形態、個々の被験体の要件、処置されている疾患または疾病の重症度、および医師の判断に依存して変更される。
【0276】
いくつかの実施形態において、こうした治療レジメンの毒性と治療の有効性は、限定されないが、LD50(母集団の50%までの致死投与量)と、ED50(母集団の50%に治療上有効な投与量)の決定を含む、細胞培養または実験動物における標準的な製薬手順によって決定される。毒性と治療効果との間の用量比は治療指数であり、これはLD50とED50との間の比率として表される。高い治療指数を示す化合物が好ましい。細胞培養アッセイと動物研究から得られたデータは、ヒトで使用される一連の投与量を製剤するのに使用される。そのような化合物の用量は、好ましくは毒性が最小限のED50を含む、血中濃度の範囲内にある。投与量は、使用された剤形と利用される投与経路に応じてこの範囲内で変動する。
【0277】
キット/製品
本明細書には、特定の実施形態において、本明細書に記載される1つ以上の方法および組成物を使用するためのキットおよび製品が開示される。このようなキットは、バイアルやチューブなどの1以上の容器を収容するために仕切られた運搬装置、パッケージ、または容器を含み、容器の各々は本明細書に記載される方法において使用される別個の要素の1つを備えている。適切な容器として、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、および試験管が挙げられる。他の実施形態において、容器は、ガラスまたはプラスチックなどの様々な材料から形成される。
【0278】
本明細書で提供される製品は、包装材料を含む。製薬用包装材料の例としては、限定されないが、ブリスターパック、ボトル、チューブ、バッグ、容器、ボトル、および、選択された製剤と投与および処置の意図した形態に適切な任意の包装材料が挙げられる。
【0279】
例えば、容器は、本明細書に開示されるサイトカイン(例えばIL-2)ポリペプチドまたはサイトカイン(例えばIL-2)抱合体の1つ以上、および随意に、サイトカイン(例えばIL-2)ポリペプチドまたはサイトカイン(例えばIL-2)抱合体の送達を促進するために本明細書に記載される1つ以上の医薬賦形剤を含有する。そのようなキッ
トは更に、識別用の記載またはラベル、あるいは本明細書に記載される方法における使用に関する説明書を随意に含む。
【0280】
キットは典型的に、内容物を列挙するラベルおよび/または使用説明書と、使用説明書を備えた添付文書とを含んでいる。1セットの説明書も典型的に含まれる。
【0281】
1つの実施形態において、ラベルは容器上にあるか容器に付随される。一実施形態において、ラベルを形成する文字、数、あるいは他の特徴が容器自体に取り付けられるか、成型されるか、またはエッチングされるとき、ラベルは容器上にあり、ラベルが例えば添付文書として容器を保持するレセプタクルまたは運搬装置内に存在する場合、ラベルは容器に関連付けられる。一実施形態において、ラベルは、内容物が特定の治療用途に用いられるべきものであるということを示すために用いられる。ラベルはまた、例えば本明細書に記載の方法などにおける内容物の使用に関する指示を示す。
【0282】
特定の実施形態において、医薬組成物は、本明細書で提供される化合物を含む1以上の単位剤形を含むパックまたはディスペンサーデバイスにおいて提供される。パックは、例えば、ブリスターパックなどの金属またはプラスチックホイルを含む。一実施形態において、パックまたはディスペンサーデバイスには、投与の説明書が付随する。別の実施形態において、パックまたはディスペンサーには、医薬品の製造、使用、または販売を制御する政府機関によって規定された形態の容器に付属の通知書が添付してあり、この通知書は、ヒトまたは動物の投与のための薬物の形態に関する政府機関の承認を反映するものである。このような通知書は、例えば、薬物または承認された製品の挿入物に関して、米国食品医薬品局により承認されたラベルである。1つの実施形態において、適合可能な医薬担体において製剤される、本明細書に提供される化合物を含有する組成物も調製され、適切な容器に入れられ、および示された疾病の処置についてラベル付けされる。
【0283】
特定の用語
別段の定めのない限り、本明細書で使用される技術用語と科学用語は全て、主張される主題が属する当該技術分野の当業者により一般に理解されるのと同じ意味を持っている。詳細な記載は典型的且つ説明的なものに過ぎず、主張される主題を制限するものではないことを理解されたい。本出願において、単数形の使用は、特に別記しない限り複数を含む。本明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明確にそうではないと定めていない限り、複数の指示対象を含む。本出願において、「または」の使用は、特に明記しない限り、「および/または」を意味する。更に、用語「含むこと(including)」の使用は、「含む(include)」、「含む(includes)」、および「含まれる(included)」といった他の形態と同じく、制限はない。
【0284】
本発明の様々な特徴は単一の実施形態の文脈において記載され得るが、それらの特徴はまた、個別にまたは任意の適切な組み合わせで提供され得る。反対に、本発明は明確性のために別個の実施形態の観点から本明細書に記載され得るが、本発明は単一の実施形態でも実施され得る。
【0285】
本明細書における「いくつかの実施形態」、「実施形態」、「一実施形態」、または「他の実施形態」への言及は、実施形態と関連して記載される特定の特徴、構造、または特性が、本発明の少なくともいくつかの実施形態に含まれるが、必ずしも全ての実施形態には含まれていないことを意味するものである。
【0286】
本明細書で使用されるように、範囲および量は、「およその(about)」特定の値または範囲として表現可能である。「約」は正確な量も含んでいる。従って、「約5μL
」は、「約5μL」と「5μL」も意味する。一般に、用語「約」は、実験誤差の範囲内、例えば、15%、10%、または5%以内であると予想される量を含む。
【0287】
本明細書に使用されるセクションの見出しは、単に構成上の目的のためであり、記載される主題を制限すると解釈されるものではない。
【0288】
本明細書で使用されるように、用語「個体」、「被験体」、および「患者」は任意の哺乳動物を意味する。いくつかの実施形態において、哺乳動物はヒトである。いくつかの実施形態では、哺乳動物はヒトではない。いかなる用語も、保健従事者(例えば、医師、正看護師、臨床看護師、医師助手、看護助手、またはホスピスの職員)の監督(例えば、常時または断続的)を特徴とする状況には制限されない。
【0289】
本明細書に使用されるように、用語「有意な」または「有意に」は、結合親和性に関して、標的受容体へのサイトカイン(例えばIL-2ポリペプチド)の結合に影響を及ぼすのに十分なサイトカイン(例えばIL-2ポリペプチド)の結合親和性における変化を意味する。いくつかの例において、この用語は、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはそれ以上の変化を指す。いくつかの例において、前記用語は、少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、50倍、100倍、500倍、1000倍、またはそれ以上の変化を指す。
【0290】
いくつかの例において、用語「有意な」または「有意に」は、サイトカインシグナル伝達複合体を介した1つ以上の細胞集団の活性化に関して、細胞集団を活性化するのに十分な変化を意味する。場合によっては、細胞集団を活性化する変化は受容体シグナル伝達能力として測定される。この場合、EC50値が提供され得る。他の場合、ED50値が提供され得る。更なる場合、サイトカインの濃度または用量が提供され得る。
【0291】
本明細書に使用されるように、用語「効力」は、標的効果をもたらすことを求められるサイトカイン(例えばIL-2ポリペプチド)の量を指す。いくつかの例において、用語「効力」は、標的サイトカイン受容体(例えばIL-2受容体)を活性化することを求められるサイトカイン(例えばIL-2ポリペプチド)の量を指す。他の例において、用語「効力」は、標的細胞集団を活性化することを求められるサイトカイン(例えばIL-2ポリペプチド)の量を指す。場合によっては、効力は、ED50(50%有効量)、または最大効果の50%をもたらすことを求められる投与量として測定される。他の場合、効力は、EC50(50%有効濃度)、または集団の50%において標的効果をもたらすことを求められる投与量として測定される。
【実施例0292】
これら実施例は例示目的のためだけに提供され、本明細書に提供される請求の範囲を制限するものではない。
【0293】
実施例1
キナーゼ受容体およびサイトカイン受容体の二量化アッセイ
【0294】
細胞の取り扱い
【0295】
PathHunter細胞株を、冷凍装置ストックから標準手順に従い拡張させた。細胞を、20μLの総容量において、白色の壁付きの384ウェルマイクロプレートの中に蒔いて、試験前に適切な時間にわたり培養した。
【0296】
アゴニストフォーマット
【0297】
アゴニスト判定のために、細胞をサンプルと共にインキュベートして反応を誘導した。サンプルストックの中間希釈を行い、5Xサンプルをアッセイ緩衝液中に生成した。約5μLの5Xサンプルを細胞に添加し、37℃で6~16時間、アッセイに応じてインキュベートした。ビヒクル濃度は1%であった。
【0298】
シグナル検出
【0299】
アッセイシグナルを、アゴニストアッセイおよびアンタゴニストアッセイそれぞれに対する12.5または15μL(50%v/v)のPathHunter検出試薬カクテルの添加一回を介して生成し、その後に1時間のインキュベーションを室温で行った。いくつかのアッセイに関して、活性を、高感度性検出試薬(PathHunter Flashキット)を使用して検出し、アッセイパフォーマンスを改善した。これらアッセイにおいて、等容量の検出試薬(25または30uL)をウェルに添加し、その後に1時間のインキュベーションを室温で行った。マイクロプレートを、化学発光シグナル検出のためにPerkinElmer Envision(商標)器機を用いるシグナル生成に従って、読み取った。
【0300】
データ分析
【0301】
化合物活性を、CBISデータ分析スイート(ChemInnovation、CA)を使用して分析した。アゴニストモードアッセイに関して、パーセンテージ活性を、以下の式を使用して算出した:
%活性=100%×(試験サンプル-の平均RLU-ビヒクル対照の平均RLU)/(平均MAX RLU対照リガンド-ビヒクル対照の平均RLU)。
【0302】
アンタゴニストモードアッセイに関して、パーセンテージ阻害を、以下の式を使用して算出した:
%阻害=100%×(1-/(試験サンプルの平均RLU-ビヒクル対照の平均RLU)/(EC80対照の平均RLU-ビヒクル対照の平均RLU)。
【0303】
実施例2
主要なヒト白血球減少系(LRS)由来のPBMCサンプルにおける典型的なIL-2化合物のエクスビボでの免疫応答プロファイリング
【0304】
典型的なIL-2化合物の差次的な受容体特異性が主要な免疫細胞部分母集団の活性化にどのように影響を及ぼすのかを判定するために、ヒトのLRS由来の末梢血単核細胞(PBMC)サンプルにおけるリンパ球活性化の濃縮反応プロファイリングを、多色フローサイトメトリーを用いて行った。これらの研究をPrimityBio LLC(Fremont, CA)において行った。ヒトLRSサンプルに由来する主要なリンパ球を、典型的なIL-2化合物の系列希釈により処置し、表1に示されるパネルを使用して各リンパ球型におけるpSTAT5シグナル伝達に基づいて定量を行った。
【0305】
【表1】
【0306】
フローサイトメトリーデータを、濃度反応モードにおける様々なT細胞およびNK細胞の部分集合の活性化に対して分析し、典型的なIL-2変異体K9_30kDによる処置後のpSTAT5蓄積を読み取った。
【0307】
図4A図4Bは、ヒトLRS初代細胞におけるpSTAT5シグナル伝達(図4A)およびマウスCTLL-2集団における増殖反応(図4B)に関する用量反応曲線を示す。
【0308】
表2は、示されたIL-2変異体により処置されたヒトLRSサンプルまたはCTLL-2増殖におけるpSTAT5シグナル伝達(EC50)に対する用量応答EC50を示す。
【0309】
【表2】
【0310】
EC50値(pg/mL)を、MFIプロットから作成した用量反応曲線から算出した。
【0311】
Treg効力変化を天然IL-2(野生型IL-2)と比較して、個々の実験において実行した(run)。
【0312】
実施例3
担癌C57BL/6マウスにおけるPK研究
【0313】
実験の詳細を表3に要約する。
【0314】
【表3】
【0315】
2つの投与量レベルでの典型的なペグ化IL-2化合物K35_30kDの薬物動態特性を評価した。凍結乾燥した被験物質をPBSにおいて再構成し、9匹のオスのC57BL/6マウスに0.3および3mg/kgを、静脈内尾静脈注射を介して各投薬群に対して投与した(下記の採取の詳細を参照)。血液サンプルを投与後0.08、0.25、0.5、1、2、4、8、12、および24時間にて採取した。天然マウスIL-2と交差反応しない、Abcam(ab100566)からのhIL-2 ELISAキットを、被験物質の検出および定量のために使用した。天然およびペグ化化合物のキット検出の感度におけるELISAに特異的な差異を調節するために、天然IL-2およびK35_30kD被験物質の標準曲線を被験物質希釈緩衝液を用いて作成し、データを各標準曲線に対して分析した。プロットされたデータは、上述のような3つの個体サンプル(生物学的複製物)の平均およびSEMを表わし、K35_30kD被験物質のPKパラメータを抽出して表4に要約した。
【0316】
【表4】
【0317】
図5は、2つの異なる濃度でのK35_30kDのPKプロファイルの向上を示す。それらのPKプロファイルは野生型IL-2に匹敵する。
【0318】
実施例4
表5は、本明細書に記載されるIL-2配列を説明する。
【0319】
【表5】
【0320】
本発明の好ましい実施形態が本明細書中で示され且つ記載されてきたが、このような実施形態はほんの一例として提供されるものであることは、当業者に明らかであろう。多数の変形、変更、および置き換えは、本発明から逸脱することなく、当業者によって現在想
到されるものである。本明細書に記載される本発明の実施形態の様々な代案が、本発明の実施において利用されるかもしれないことを理解されたい。以下の特許請求の範囲は本発明の範囲を定義するものであり、この特許請求の範囲およびその同等物の範囲内の方法および構造は、それにより包含されることが、意図されている。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図5
【配列表】
2023082090000001.app
【手続補正書】
【提出日】2023-04-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単離および修飾されたインターロイキン2(IL-2)ポリペプチドであって、前記インターロイキン2(IL-2)ポリペプチドは、インターロイキン2受容体βγ(IL-2Rβγ)に対する受容体シグナル伝達能力を減少させるか、IL-2/IL-2Rβ複合体へのIL-2Rγサブユニットの動員を減少させるが、インターロイキン2αβγ受容体(IL-2Rαβγ)の有意な活性化を維持するある位置における少なくとも1つの非天然アミノ酸を含み、減少した受容体シグナル伝達能力は、野生型のIL-2ポリペプチドとIL-2Rβγとの間の受容体シグナル伝達能力と比較され、および、動員は野生型のIL-2ポリペプチドによるIL-2Rγサブユニットの動員と比較される、単離および修飾されたインターロイキン2(IL-2)ポリペプチド。