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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023082099
(43)【公開日】2023-06-13
(54)【発明の名称】肺炎球菌コンジュゲートワクチン製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/64 20170101AFI20230606BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 39/39 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 39/05 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 39/08 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 39/00 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 39/09 20060101ALI20230606BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20230606BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
A61K47/64
A61K47/02
A61K47/04
A61K47/26
A61K39/39
A61K39/05
A61K39/08
A61K39/00 G
A61K39/09
A61P31/04
A61P37/04
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023053614
(22)【出願日】2023-03-29
(62)【分割の表示】P 2019545936の分割
【原出願日】2018-02-20
(31)【優先権主張番号】62/463,220
(32)【優先日】2017-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.プルロニック
2.TRITON
3.BRIJ
4.Span
5.IGEPAL
(71)【出願人】
【識別番号】522242018
【氏名又は名称】メルク・シャープ・アンド・ドーム・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】スミス,ウィリアム・ジェー
(72)【発明者】
【氏名】ジョバレッリ,セシリア
(72)【発明者】
【氏名】ナウロッキ,デニス・ケイ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ポリソルベート20またはポロクサマーとポリオールの組合せを組み込んだ界面活性剤系を含む、肺炎球菌コンジュゲートワクチン製剤を提供する。
【解決手段】(i)1つまたは複数のポリサッカライド-タンパク質コンジュゲート体;(ii)5.0~7.5の範囲のpHを有するpH緩衝食塩水;(iii)アルミニウム塩;および(iv)ポリソルベート20(PS-20)を含む製剤であって、前記ポリサッカライドがストレプトコッカス・ニューモニエ(S.pneumoniae)ポリサッカライドであり、前記コンジュゲート体の10%以上(総タンパク質ベースで)が非プロトン溶媒中で調製される、前記製剤とする。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)1つまたは複数のポリサッカライド-タンパク質コンジュゲート体と、(ii)
5.0~7.5の範囲のpHを有するpH緩衝食塩水と、(ii)アルミニウム塩と、(
iv)a)ポリソルベート20および(b)1100Da~17,400Daの範囲の分
子量を有するポロクサマーならびにプロピレングリコールおよびポリエチレングリコール
400から選択されるポリオールから選択される界面活性剤系とを含む製剤。
【請求項2】
前記ポリサッカライド-タンパク質コンジュゲート体の1つまたは複数が非プロトン溶
媒中で作製される、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
10~100重量タンパク質%の前記ポリサッカライド-タンパク質コンジュゲート体
が非プロトン溶媒中で作製される、請求項1に記載の製剤。
【請求項4】
前記非プロトン溶媒がDMSOである、請求項2または3に記載の製剤。
【請求項5】
前記界面活性剤系が1100Da~17,400Daの範囲の分子量を有するポロクサ
マーを含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項6】
前記ポロクサマーが7,500Da~15,000Daの範囲の分子量を有する、請求
項5に記載の製剤。
【請求項7】
前記ポロクサマーが7,500Da~10,000Daの範囲の分子量を有する、請求
項5に記載の製剤。
【請求項8】
前記ポロクサマーが、ポロクサマー188またはポロクサマー407である、請求項1
~4のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項9】
前記ポロクサマーの最終濃度が0.001重量/体積%~5重量/体積%である、請求
項1~8のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項10】
前記ポロクサマーの最終濃度が0.025重量/体積%~1重量/体積%である、請求
項9に記載の製剤。
【請求項11】
前記ポリオールがプロピレングリコールであり、1重量/体積%~20重量/体積%の
最終濃度である、請求項1~10のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項12】
前記ポリオールがポリエチレングリコール400であり、1重量/体積%~20重量/
体積%の最終濃度である、請求項1~10のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項13】
前記界面活性剤系がポリソルベート20を含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項14】
前記ポリソルベート20の最終濃度が0.001重量/体積%~10重量/体積%の範
囲にある、請求項13に記載の製剤。
【請求項15】
前記ポリソルベート20の最終濃度が0.025重量/体積%~2.5重量/体積%の
範囲にある、請求項13に記載の製剤。
【請求項16】
前記ポリソルベート20の最終濃度が0.025重量/体積%~0.1重量/体積%の
範囲にある、請求項13に記載の製剤。
【請求項17】
プロピレングリコールおよびポリエチレングリコールから選択されるポリオールをさら
に含む、請求項13~16のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項18】
前記ポリエチレングリコールまたはプロピレングリコールが6重量/体積%~20重量
/体積%の最終濃度である、請求項17に記載の製剤。
【請求項19】
前記ポリエチレングリコールがポリエチレングリコール400である、請求項18に記
載の製剤。
【請求項20】
前記pH緩衝食塩水が5.0~7.0の範囲のpHを有する、請求項1~19のいずれ
か一項に記載の製剤。
【請求項21】
前記緩衝剤が、リン酸塩、コハク酸塩、L-ヒスチジン、MES、MOPS、HEPE
S、酢酸塩、およびクエン酸塩からなる群から選択される、請求項20に記載の製剤。
【請求項22】
前記緩衝剤が5mM~50mMの最終濃度のLーヒスチジン、または1mM~10mM
の最終濃度のコハク酸塩である、請求項21に記載の製剤。
【請求項23】
前記L-ヒスチジンが20mM±2mMの最終濃度である、請求項22に記載の製剤。
【請求項24】
前記pH緩衝食塩水中の塩が塩化マグネシウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、また
はその組合せである、請求項1~23のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項25】
前記pH緩衝食塩水中の塩が塩化ナトリウムである、請求項24に記載の製剤。
【請求項26】
前記食塩水が20mM~170mMの濃度で存在する、請求項1~25のいずれか一項
に記載の製剤。
【請求項27】
前記ポリサッカライド-タンパク質コンジュゲート体が担体タンパク質にコンジュゲー
トされた1つまたは複数の肺炎球菌ポリサッカライドを含む、請求項1~26のいずれか
一項に記載の製剤。
【請求項28】
前記担体タンパク質がCRM197、ジフテリア毒素フラグメントB(DTFB)、D
TFB C8、ジフテリアトキソイド(DT)、破傷風トキソイド(TT)、TTのフラ
グメントC、百日咳トキソイド、コレラトキソイド、エシェリキア・コリLT、エシェリ
キア・コリST、シュードモナス・エルジノーサからの外毒素A、およびその組合せから
選択される、請求項27に記載の製剤。
【請求項29】
前記ポリサッカライド-タンパク質コンジュゲート体の1つまたは複数がCRM197
にコンジュゲートされている、請求項28に記載の製剤。
【請求項30】
前記ポリサッカライド-タンパク質コンジュゲート製剤がCRM197にコンジュゲー
トされた血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19A、19
F、22F、23F、および33Fからのストレプトコッカス・ニューモニエポリサッカ
ライドから本質的になる15価肺炎球菌コンジュゲート(15vPnC)製剤である、請
求項29に記載の製剤。
【請求項31】
前記ポリサッカライド-タンパク質コンジュゲート体の1つまたは複数がDMSO条件
下での還元的アミノ化を使用して調製される、請求項30に記載の製剤。
【請求項32】
血清型6A、6B、7F、18C、19A、19F、および23Fからのポリサッカラ
イド-タンパク質コンジュゲート体がDMSO条件下で調製され、血清型1、3、4、5
、9V、14、22F、および33Fからのポリサッカライド-タンパク質コンジュゲー
ト体が水性条件を使用して調製される、請求項31に記載の製剤。
【請求項33】
各用量が、8μg/mLまたは16μg/mLの6Bを除き、4μg/mLまたは8μ
g/mLの各サッカライド、および約64μg/mLまたは128μg/mLのCRM
97担体タンパク質を含有するように製剤化される、請求項32に記載の製剤。
【請求項34】
20mMのL-ヒスチジン、pH5.8、150mMの塩化ナトリウム、0.25mg
/mLのリン酸アルミニウムアジュバント(APA)、および0.2w/v%のPS-2
0をさらに含む、請求項33に記載の製剤。
【請求項35】
CRM197にコンジュゲートされた血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、9V
、14、18C、19A、19F、22F、23F、および33Fからのストレプトコッ
カス・ニューモニエポリサッカライドから本質的になる15価肺炎球菌コンジュゲート組
成物と、20mMのヒスチジン、pH5.8と、150mMのNaClと、250μg/
mLのAPAと、0.2w/v%のPS-20とを含む製剤であって、前記製剤が8μg
/mLの6Bを除き、4μg/mLの各サッカライド、および約64μg/mLのCRM
197担体タンパク質を含有する剤形として製剤化されており、血清型6A、6B、7F
、18C、19A、19F、および23Fからのポリサッカライド-タンパク質コンジュ
ゲート体は、DMSO条件下で調製され、および血清型1、3、4、5、9V、14、2
2F、および33Fからのポリサッカライド-タンパク質コンジュゲート体は、水性条件
を使用して調製される、製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリソルベート20またはポロクサマーとポリオールの組合せを組み込んだ
界面活性剤系を含む、肺炎球菌コンジュゲートワクチン製剤を提供する。
【背景技術】
【0002】
カプセル化された細菌の一例であるストレプトコッカス・ニューモニエ(Strept
ococcus pneumoniae)は、世界中で深刻な疾患の重大な原因である。
1997年に、疾病管理センター(CDC)は、米国で毎年3,000症例の肺炎球菌性
髄膜炎、50,000症例の肺炎球菌性菌血症、7,000,000症例の肺炎球菌性中
耳炎、および500,000症例の肺炎球菌性肺炎があると推定した。Centers
for Disease Control and Prevention,MMWR
Morb Mortal Wkly Rep 1997,46(RR-8):l-13を
参照されたい。さらに、これらの疾患の合併症は、いくつかの研究が肺炎球菌性髄膜炎で
の最大8%の死亡率および25%の神経学的後遺症を報告しており、重大であり得る。A
rditi et al.,1998,Pediatrics 102:1087-97
を参照されたい。
【0003】
長年認可されている多価肺炎球菌ポリサッカライドワクチンは、成人、特に高齢者およ
び高リスクの人々における肺炎球菌疾患の予防に非常に貴重であることが証明されている
。しかしながら、乳児および幼児は、コンジュゲートされていない肺炎球菌ポリサッカラ
イドへの反応が乏しい。細菌性ポリサッカライドは、T細胞非依存性の免疫原であり、乳
児において弱い応答を誘発するか、または誘発しない。担体タンパク質への細菌性ポリサ
ッカライド免疫原の化学的コンジュゲーションは、乳児において免疫応答をT細胞依存性
のものに転換する。ジフテリアトキソイド(DTx、DTの化学的に解毒されたバージョ
ン)およびCRM197は、それらのアミノ酸配列におけるT細胞刺激エピトープの存在
により、細菌性ポリサッカライド免疫原のための担体タンパク質として記載されている。
【0004】
当時幼児および乳児に侵襲性肺炎球菌疾患を引き起こす7つの最も頻繁に単離された血
清型(4、6B、9V、14、18C、19F、および23F)を含有する肺炎球菌コン
ジュゲートワクチンであるPrevnar(登録商標)が2000年2月に米国で初めて
認可された。米国におけるPrevnar(登録商標)の普遍的な使用に続いて、Pre
vnar(登録商標)に存在する血清型のおかげで、小児における侵襲性肺炎球菌疾患が
著しく減少している。Centers for Disease Control an
d Prevention,MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2
005,54(36):893-7を参照されたい。しかしながら、世界のある領域にお
けるPrevnar(登録商標)での血清型有効範囲における限界、および米国における
ある新たに出現した血清型のいくつかの証拠がある(例えば19A他)。O’Brien
et al.,2004,Am J Epidemiol 159:634-44、W
hitney et al.,2003,N Engl J Med 348:1737
-46、Kyaw et al.,2006,N Engl J Med 354:14
55-63、Hicks et al.,2007,J Infect Dis 196
:1346-54、Traore et al.,2009,Clin Infect
Dis 48:S181-S189を参照されたい。
【0005】
Prevnar13(登録商標)は、血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、9V
、14、18C、19A、19F、および23Fを含む13価肺炎球菌ポリサッカライド
-タンパク質コンジュゲートワクチンである。例えば、米国特許出願公開第2006/0
228380A1号、Prymula et al.,2006,Lancet 367
:740-48、およびKieninger et al.,Safety and I
mmunologic Non-inferiority of 13-valent
Pneumococcal Conjugate Vaccine Compared
to 7-valent Pneumococcal Conjugate Vacci
ne Given as a 4-Dose Series in Healthy I
nfants and Toddlers,presented at the 48
Annual ICAAC/ISDA 46th Annual Meeting,
Washington DC,October 25-28,2008を参照されたい。
Dagan et al.,1998,Infect Immun.66:2093-2
098 and Fattom,1999,Vaccine 17:126も参照された
い。
【0006】
中国特許出願公開第101590224A号は、血清型1、2、4、5、6A、6B、
7F、9N、9V、14、18C、19A、19Fおよび23Fを含む14価肺炎球菌ポ
リサッカライド-タンパク質コンジュゲートワクチンを記載している。
【0007】
米国特許第8,192,746号は、全て個々にCRM197ポリペプチドにコンジュ
ゲートされた血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19A、
19F、22F、23F、および33Fを有する15価肺炎球菌ポリサッカライド-タン
パク質コンジュゲートワクチンを記載している。
【0008】
複数の担体タンパク質系も記載されている。例えば、米国特許出願公開第201002
09450号、第20100074922号、第20090017059号、第2009
0010959号および第20090017072号を参照されたい。
【0009】
ストレプトコッカス・ニューモニエポリサッカライド-タンパク質コンジュゲート体な
らびにポリソルベート80(PS-80)およびポロクサマー188(P188)を含む
界面活性剤を含む製剤が開示されている。それぞれ、米国特許第8,562,999号お
よび米国特許出願公開第20130273098号を参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0228380A1号
【特許文献2】中国特許出願公開第101590224A号
【特許文献3】米国特許第8,192,746号
【特許文献4】米国特許出願公開第20100209450号
【特許文献5】米国特許出願公開第20100074922号
【特許文献6】米国特許出願公開第20090017059号
【特許文献7】米国特許出願公開第20090010959号
【特許文献8】米国特許出願公開第20090017072号
【特許文献9】米国特許第8,562,999号
【特許文献10】米国特許出願公開第20130273098号
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Centers for Disease Control and Prevention,MMWR Morb Mortal Wkly Rep 1997,46(RR-8):l-13
【非特許文献2】Arditi et al.,1998,Pediatrics 102:1087-97
【非特許文献3】Centers for Disease Control and Prevention,MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2005,54(36):893-7
【非特許文献4】O’Brien et al.,2004,Am J Epidemiol 159:634-44
【非特許文献5】Whitney et al.,2003,N Engl J Med 348:1737-46
【非特許文献6】Kyaw et al.,2006,N Engl J Med 354:1455-63
【非特許文献7】Hicks et al.,2007,J Infect Dis 196:1346-54
【非特許文献8】Traore et al.,2009,Clin Infect Dis 48:S181-S189
【非特許文献9】Prymula et al.,2006,Lancet 367:740-48
【非特許文献10】Kieninger et al.,Safety and Immunologic Non-inferiority of 13-valent Pneumococcal Conjugate Vaccine Compared to 7-valent Pneumococcal Conjugate Vaccine Given as a 4-Dose Series in Healthy Infants and Toddlers,presented at the 48th Annual ICAAC/ISDA 46th Annual Meeting,Washington DC,October 25-28,2008
【非特許文献11】Dagan et al.,1998,Infect Immun.66:2093-2098 and Fattom,1999,Vaccine 17:126
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、(i)1つまたは複数のポリサッカライド-タンパク質コンジュゲート体と
、(ii)5.0~7.5の範囲のpHを有するpH緩衝食塩水と、(iii)アルミニ
ウム塩と、(iv)a)ポリソルベート20および(b)1100Da~17,400D
aの範囲の分子量を有するポロクサマーならびにプロピレングリコール(PG)およびポ
リエチレングリコール(PEG)400から選択されるポリオールから選択される界面活
性剤系とを含む製剤を提供する。
【0013】
ある実施形態では、ポリサッカライド-タンパク質コンジュゲート体の1つまたは複数
は、非プロトン溶媒、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)中で作製される。この
実施形態のある態様では、(総タンパク質ベースで)10%、15%、20%、25%、
30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、または90%以上
のコンジュゲート体がDMSOなどの非プロトン溶媒中で調製される。代わりに、(総タ
ンパク質ベースで)10~100%、24%~100%、または24~80%のコンジュ
ゲート体が非プロトン溶媒、例えばDMSO中で調製される。これらの実施形態のある態
様では、界面活性剤系は、上記のポリソルベート20またはポロクサマー/ポリオール組
合せである。
【0014】
ある実施形態では、界面活性剤系は、1100Da~17,400Da、7,500D
a~15,000Da、または7,500Da~10,000Daの範囲の分子量を有す
るポロクサマーを含む。ポロクサマーは、ポロクサマー188またはポロクサマー407
とすることができる。ある態様では、ポロクサマーの最終濃度は、0.001w/v%~
5w/v%、0.025w/v%~1w/v%である。特定の態様では、ポリオールは、
プロピレングリコールであり、1w/v%~20w/v%の最終濃度である。別の特定の
態様では、ポリオールは、ポリエチレングリコール400であり、1w/v%~20w/
v%の最終濃度である。ある実施形態では、界面活性剤系は、ポリソルベート20を含む
。ある態様では、ポリソルベート20の最終濃度は、0.001w/v%~10w/v%
、または0.025w/v%~2.5w/v%、または0.025w/v%~0.1w/
v%の範囲にある。界面活性剤系がPS-20を含むある態様では、製剤は、プロピレン
グリコールおよびポリエチレングリコールから選択されるポリオールをさらに含む。ポリ
エチレングリコールまたはプロピレングリコールは、6w/v%~20w/v%の最終濃
度とすることができる。ある実施形態では、ポリエチレングリコールは、ポリエチレング
リコール400である。
【0015】
ある実施形態では、pH緩衝食塩水は、5.0~7.0の範囲のpHを有し得る。緩衝
剤は、リン酸塩、コハク酸塩、L-ヒスチジン、MES、MOPS、HEPES、酢酸塩
、またはクエン酸塩からなる群から選択され得る。一態様では、緩衝剤は、5mM~50
mMの最終濃度のL-ヒスチジン、または1mM~10mMの最終濃度のコハク酸塩であ
る。特定の態様では、L-ヒスチジンは、20mM±2mMの最終濃度である。pH緩衝
食塩水中の塩は、塩化マグネシウム、塩化カリウム、塩化ナトリウムまたはその組合せと
することができる。一態様では、pH緩衝食塩水は、塩化ナトリウムである。食塩水は、
20mM~170mMの濃度で存在し得る。
【0016】
ある実施形態では、ポリサッカライド-タンパク質コンジュゲート体は、担体タンパク
質にコンジュゲートされた1つまたは複数の肺炎球菌ポリサッカライドを含む。ある態様
では、担体タンパク質は、CRM197、ジフテリア毒素フラグメントB(DTFB)、
DTFB C8、ジフテリアトキソイド(DT)、破傷風トキソイド(TT)、TTのフ
ラグメントC、百日咳トキソイド、コレラトキソイド、エシェリキア・コリ(E.col
i)LT(熱不安定性エンテロトキシン)、エシェリキア・コリST(熱安定性エンテロ
トキシン)、シュードモナス・エルジノーサ(Pseudomonas aerugin
osa)からの外毒素A、およびその組合せから選択される。ある特定の態様では、ポリ
サッカライド-タンパク質コンジュゲート体の1つまたは複数は、CRM197にコンジ
ュゲートされている。ある態様では、ポリサッカライド-タンパク質コンジュゲート体の
1つまたは複数は、非水溶媒DMSO中での還元的アミノ化を使用して調製される。この
態様では、血清型6A、6B、7F、18C、19A、19F、および23Fからのポリ
サッカライド-タンパク質コンジュゲート体は、DMSO中での還元的アミノ化を使用し
て調製され得、血清型1、3、4、5、9V、14、22F、および33Fからのポリサ
ッカライド-タンパク質コンジュゲート体は、水溶液中での還元的アミノ化を使用して調
製され得る。ある態様では、各用量は、8μg/mLまたは16μg/mLの6Bを除き
、4μg/mLまたは8μg/mLの各サッカライド、および約64μg/mLまたは1
28μg/mLのCRM197担体タンパク質を含有するように製剤化される。
【0017】
本発明は、CRM197ポリペプチドにコンジュゲートされた血清型1、3、4、5、
6A、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、22F、23F、および33
F由来のストレプトコッカス・ニューモニエポリサッカライドと、20mMのL-ヒスチ
ジンと、150mMのNaClと、0.2%(w/v)PS-20と、250μg/mL
のAPAとを含む15価肺炎球菌コンジュゲート製剤にも向けられている。ある態様では
、製剤は、8μg/mLまたは16μg/mLの6Bを除き、4μg/mLまたは8μg
/mLの各サッカライドと、約64μg/mLまたは128μg/mLのCRM197
体タンパク質とを含有する剤形として製剤化される。ある態様では、血清型6A、6B、
7F、18C、19A、19F、および23Fからのポリサッカライド-タンパク質コン
ジュゲート体は、DMSO条件下で調製され、および血清型1、3、4、5、9V、14
、22F、および33Fからのポリサッカライド-タンパク質コンジュゲート体は、水性
条件を使用して調製される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1A】非還元条件下でのDTFBプロセス中間体のSDS-PAGE分析を示す図である。A:示されている試料は、以下の通りである:分子量標準(左からレーン1)、3回反復マルチモーダル陰イオン交換クロマトグラフィー走行からの溶離剤生成物(MM AEX1、MM AEX2、MM AEX3、レーン2~4)、マルチモーダル陰イオン交換クロマトグラフィー走行からのプールされた溶離剤生成物(MM AEXプール、レーン5)、ダイアフィルターされたリテンテート(UF-DR、レーン6)、0.2ミクロンろ過後の最終バルク中間体(FBI、レーン7)。SDS PAGE:NuPAGE 4-12%ビス-トリスゲル、5μg/レーン、SYPRO Rubyタンパク質ゲル染色。
図1B】非還元条件下でのDTFBプロセス中間体のSDS-PAGE分析を示す図である。B:還元条件下でのDTFBプロセス中間体走行のSDS-PAGE分析(NuPAGE 4~12%ビス-トリスゲル、レーン2、4、8、10:5μg/レーン、レーン6:2μg/レーン、SYPRO Rubyタンパク質ゲル染色)。示されている試料は、以下の通りである:Mark-12標準(レーン1および12)、DTFBを産出するために使用される精製CRM197(CRM197、レーン2および10)、マルチモーダル陽イオン交換クロマトグラフィー樹脂にロードされた、トリプシン消化ステップに続いてタンパク分解性に切断されたCRM197(MM CEXフィード、レーン4)、マルチモーダル陽イオン交換クロマトグラフィーからの生成物(MM CEX生成物、レーン6)、および0.2ミクロンろ過後の最終バルク中間体(DTFB-FBI、レーン8)。
図1C】非還元条件下でのDTFBプロセス中間体のSDS-PAGE分析を示す図である。C:示された試料は、以下の通りである:分子量マーカー(左からレーン1)、マルチモーダル陽イオン交換クロマトグラフィーに続く初期濃縮リテンテート(ICR、レーン2)、ダイアフィルターされたリテンテート(UF-DR、レーン3)、ダイアフィルトレーション後の濃縮リテンテート(UF-OCR、レーン4)、生成物回収のための膜フラッシュ(UF-W、レーン5)、最終的なプールされたリテンテートおよびフラッシュ(UF-FR、レーン6)、および0.2ミクロンろ過後の最終バルク中間体(FBI、レーン6)。SDS-PAGE:14%トリス-グリシンゲル、8.3~8.4μg/レーン、GelCode Blueタンパク質ゲル染色。
図1D】非還元条件下でのDTFBプロセス中間体のSDS-PAGE分析を示す図である。D:還元条件下でのDTFBプロセス中間体走行のSDS-PAGE分析(NuPAGE 4~12%ビス-トリスゲル、SYPRO Rubyタンパク質ゲル染色)。示された試料は、以下の通りである:Mark-12標準(レーン1および12)、マルチモーダル陽イオン交換クロマトグラフィー樹脂にロードされた、トリプシン消化ステップに続いてタンパク分解性に切断されたCRM197(MM CEXフィード、レーン2)、DTFBを産出するために使用される精製CRM197(CRM197、レーン3)、カラムローディング中のフロースルー(MM CEXフロースルー、レーン4)、ロード後のカラムの洗浄(MM CEX洗浄、レーン5)、マルチモーダル陽イオン交換クロマトグラフィーからの溶出ステップ後に収集された生成物(MM CEX生成物、レーン7、10倍希釈MM CEX生成物、レーン9)、およびマルチモーダル陽イオン交換クロマトグラフィーからの溶出ステップ後に収集された後期溶出生成物(後期溶出MM CEX生成物、レーン11)。
図2】pHおよび塩化ナトリウム(NaCl)濃度の関数としての100mMのリン酸カリウム(KPi)中のDTFBタンパク質濃度を示す図である。溶液を室温で終夜保持し、次いで遠心分離した。上清をUV280吸光度検出を用いたサイズ排除クロマトグラフィーによりアッセイした。
図3】ポリソルベート20(PS-20)濃度の関数としてのリン酸カリウム(KPi)溶液中のDTFBタンパク質濃度を示す図である。溶液を室温で5分間ボルテックスし、次いで遠心分離した。上清をUV280吸光度検出を用いたサイズ排除クロマトグラフィーによりアッセイした。
図4】CRM197またはDTFB担体タンパク質のいずれかにコンジュゲートしており、リン酸アルミニウムアジュバント(APA)を用いて製剤化されたストレプトコッカス・ニューモニエ血清型3ポリサッカライドで免疫されたマウスに関するELISA抗体価を示す図である。マウスを2つの独立した血清型3-CRM197コンジュゲートロット(ロット1および2)の1つで免疫した。
図5】CRM197またはDTFB担体タンパク質のいずれかにコンジュゲートしており、リン酸アルミニウムアジュバント(APA)を用いて製剤化されたストレプトコッカス・ニューモニエ血清型3莢膜ポリサッカライドで免疫されたマウスに関する生存曲線を示す図である。マウスを2つの独立した血清型3-CRM197コンジュゲートロット(ロット1および2)の1つで免疫した。APAまたは食塩水のみの製剤も対照として試験に含んだ。免疫化に続いて、マウスにその後血清型3細菌を腹腔内投与した。
図6】静的光散乱(SLS)によって測定される15価肺炎球菌ポリサッカライド(PnPs)コンジュゲート製剤の粒径分布に及ぼす時間および撹拌の影響を評価するための実験室規模の撹拌研究を示す図である。15の肺炎球菌ポリサッカライド血清型全てを水溶液中での還元的アミノ化を使用して、CRM197にコンジュゲートした。コンジュゲート体を、撹拌研究のために20mMのL-ヒスチジン、pH5.8、150mMのNaCl、および0.25mg/mL(w/v Al+3)のAPA中で製剤化した。
図7】SLSによって測定される15価肺炎球菌ポリサッカライドコンジュゲート製剤の粒径分布に及ぼす時間および撹拌の影響を評価するための実験室規模の撹拌研究を示す図である。15の肺炎球菌ポリサッカライド血清型全てを水溶液中での還元的アミノ化を使用して、CRM197にコンジュゲートした。コンジュゲート体を、撹拌研究のために0.08w/v%または0.24w/v%ポロクサマー188(P188)と共に20mMのL-ヒスチジン、pH5.8、150mMのNaCl、および0.25mg/mL(w/v Al+3)のAPA中で製剤化した。
図8A】シリンジ中の15価肺炎球菌ポリサッカライドコンジュゲート製剤の実験室規模の模擬輸送およびハンドリング研究を示す図である。15の肺炎球菌ポリサッカライド血清型全てを水溶液中での還元的アミノ化を使用して、CRM197にコンジュゲートした。コンジュゲート体を、P188なしで、または0.2w/v%のP188と共に20mMのL-ヒスチジン、pH5.8、150mMのNaCl、および0.25mg/mL(w/v Al+3)のAPA中で製剤化した。24時間の水平回転の前または後にSLSによって測定される粒径分布(A)および24時間の水平回転の後のシリンジの目視評価(B)を示す。
図8B】シリンジ中の15価肺炎球菌ポリサッカライドコンジュゲート製剤の実験室規模の模擬輸送およびハンドリング研究を示す図である。15の肺炎球菌ポリサッカライド血清型全てを水溶液中での還元的アミノ化を使用して、CRM197にコンジュゲートした。コンジュゲート体を、P188なしで、または0.2w/v%のP188と共に20mMのL-ヒスチジン、pH5.8、150mMのNaCl、および0.25mg/mL(w/v Al+3)のAPA中で製剤化した。24時間の水平回転の前または後にSLSによって測定される粒径分布(A)および24時間の水平回転の後のシリンジの目視評価(B)を示す。
図9】20mMのL-ヒスチジン、pH5.8、150mMのNaCl、0.25mg/mL(w/v Al+3)のAPA、および0.2w/v%のP188を有する2つの15価肺炎球菌ポリサッカライドコンジュゲート製剤の粒径分布(SLSによって測定される体積加重分布またはD[4,3]として表される)を示す図である。製剤PCV15Aqは、水溶液中での還元的アミノ化によって産出された肺炎球菌ポリサッカライド-CRM197コンジュゲート体から構成されていた。製剤PCV15Aq/Non-A q/ST3-DTFBには、15の肺炎球菌ポリサッカライドコンジュゲート体の組合せを使用し、そのいくつかは、水溶液中での還元的アミノ化によって産出されたものであり、他のものは、非水溶液中での還元的アミノ化によって産出されたものである。PCV15Aq/Non-Aq/ST3-DTFBの全ての肺炎球菌ポリサッカライド血清型は、DTFBにコンジュゲートされた血清型3(ST3)を除き、CRM197コンジュゲートされていた。製剤をシリンジに充填し、SLS評価の前に4°Cで最大24時間水平に撹拌した。
図10A】撹拌および1.5mLのHyPakシリンジ中での最大24時間の水平回転後のP188(A)、PS-80(B)、およびPS-20(A、B)を含有するPCV15Aq/Non-Aq/ST3-DTFB製剤のSLSによって測定されるD[4,3]値を示す図である。
図10B】撹拌および1.5mLのHyPakシリンジ中での最大24時間の水平回転後のP188(A)、PS-80(B)、およびPS-20(A、B)を含有するPCV15Aq/Non-Aq/ST3-DTFB製剤のSLSによって測定されるD[4,3]値を示す図である。
図11】リン酸アルミニウムアジュバント(APA)を有する15価肺炎球菌ポリサッカライドコンジュゲート製剤で免疫した子アカゲザル(IRM)からの肺炎球菌血清型3特異的IgG濃度を示す図である。全ての製剤は、CRM197またはDTFBにコンジュゲートされたストレプトコッカス・ニューモニエ血清型3莢膜ポリサッカライド(ST3)を含有した。製剤PCV15Aq/Non-Aqには、15の肺炎球菌ポリサッカライド-CRM197コンジュゲート体の組合せを使用し、そのいくつかは、水溶液中での還元的アミノ化によって産出されたものであり、他のものは、非水溶液中での還元的アミノ化によって産出されたものである。PCV15製剤は、図に示されるように、0.2w/v%のP188または0.1w/v%のPS-20を含有した。
図12】リン酸アルミニウムアジュバント(APA)および0.2w/v%のP188で製剤化された2つの15価肺炎球菌ポリサッカライドコンジュゲートワクチンで免疫した子アカゲザルの血清型3OPA(OPK)力価を示す図である。製剤は、CRM 97(PCV15Ag)またはDTFB(PCV15Aq/Non-Aq/ST3-DT FB)にコンジュゲートされたストレプトコッカス・ニューモニエ血清型3莢膜ポリサッカライド(ST3)を含有した。
図13】1時間の撹拌および最大24時間の水平回転後のPCV15Aq/Non -Aq/ST3-DTFB製剤のSLSによって測定される粒径分布を示す図である。製剤は、図に示されるように、0.2w/v%のポロクサマー188および様々な濃度のプロピレングリコール(PG)またはポリエチレングリコール400(PEG400)を含有した。
図14A】実施例12に記載したように、15w/v%のPGを有する0.2w/v%のP188または0.1w/v%のPS-20を含有するPCV15Aq/Non- AQ/ST3-DTFB製剤に関する子アカゲザルにおける免疫原性比較試験を示す図である。グループあたり8匹の動物に、年齢T=0(用量1)、1ヶ月(用量2)および2ヶ月(用量3)で2つの製剤のいずれかを筋肉内注射した。血清を、用量1の前および用量1、2、および3後2週間で収集した。免疫前、用量1後、用量2後、および用量3後の血清試料からの血清型特異的IgG濃度(IgG GMC)を実施例10に記載したように測定した。パネルAは、血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、および9Vに関する免疫原性結果を示す。パネルBは、血清型14、18C、19A、19F、22F、23F、および33Fに関する免疫原性結果を示す。
図14B】実施例12に記載したように、15w/v%のPGを有する0.2w/v%のP188または0.1w/v%のPS-20を含有するPCV15Aq/Non- AQ/ST3-DTFB製剤に関する子アカゲザルにおける免疫原性比較試験を示す図である。グループあたり8匹の動物に、年齢T=0(用量1)、1ヶ月(用量2)および2ヶ月(用量3)で2つの製剤のいずれかを筋肉内注射した。血清を、用量1の前および用量1、2、および3後2週間で収集した。免疫前、用量1後、用量2後、および用量3後の血清試料からの血清型特異的IgG濃度(IgG GMC)を実施例10に記載したように測定した。パネルAは、血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、および9Vに関する免疫原性結果を示す。パネルBは、血清型14、18C、19A、19F、22F、23F、および33Fに関する免疫原性結果を示す。
図15A】撹拌および1.5mLのHyPakシリンジ中での最大24時間の水平回転後の0.05w/v%のPS-80、0.05w/v%のPS-20および0.2w/v%のPS-20を含有するDMSO中で作製された血清型の異なるパーセンテージ(パネルA:24%、パネルB:50%、パネルC:62%、パネルD:79%、およびパネルE:100%)を有する、実施例13に記載したPCVAq/Non-Aq製剤のSLSによって測定されるD[4,3]値を示す図である。
図15B】撹拌および1.5mLのHyPakシリンジ中での最大24時間の水平回転後の0.05w/v%のPS-80、0.05w/v%のPS-20および0.2w/v%のPS-20を含有するDMSO中で作製された血清型の異なるパーセンテージ(パネルA:24%、パネルB:50%、パネルC:62%、パネルD:79%、およびパネルE:100%)を有する、実施例13に記載したPCVAq/Non-Aq製剤のSLSによって測定されるD[4,3]値を示す図である。
図15C】撹拌および1.5mLのHyPakシリンジ中での最大24時間の水平回転後の0.05w/v%のPS-80、0.05w/v%のPS-20および0.2w/v%のPS-20を含有するDMSO中で作製された血清型の異なるパーセンテージ(パネルA:24%、パネルB:50%、パネルC:62%、パネルD:79%、およびパネルE:100%)を有する、実施例13に記載したPCVAq/Non-Aq製剤のSLSによって測定されるD[4,3]値を示す図である。
図15D】撹拌および1.5mLのHyPakシリンジ中での最大24時間の水平回転後の0.05w/v%のPS-80、0.05w/v%のPS-20および0.2w/v%のPS-20を含有するDMSO中で作製された血清型の異なるパーセンテージ(パネルA:24%、パネルB:50%、パネルC:62%、パネルD:79%、およびパネルE:100%)を有する、実施例13に記載したPCVAq/Non-Aq製剤のSLSによって測定されるD[4,3]値を示す図である。
図15E】撹拌および1.5mLのHyPakシリンジ中での最大24時間の水平回転後の0.05w/v%のPS-80、0.05w/v%のPS-20および0.2w/v%のPS-20を含有するDMSO中で作製された血清型の異なるパーセンテージ(パネルA:24%、パネルB:50%、パネルC:62%、パネルD:79%、およびパネルE:100%)を有する、実施例13に記載したPCVAq/Non-Aq製剤のSLSによって測定されるD[4,3]値を示す図である。
図16】8μg/mLの6Bを除き、4μg/mLの各サッカライドと、約64μg/mLのCRM197担体タンパク質とを含有する剤形として製剤化された、DMSO中での還元的アミノ化を使用してCRM197にコンジュゲートされた血清型6A、6B、7F、18C、19A、19F、および23Fからのストレプトコッカス・ニューモニエポリサッカライドおよび水溶液中での還元的アミノ化を使用してCRM197にコンジュゲートされた血清型1、3、4、5、9V、14、22F、および33Fからのストレプトコッカス・ニューモニエポリサッカライドを有する、20mMのヒスチジンpH5.8、150mMのNaCl、250μg/mLのAPA、0.2w/v%のPS-20中の15価肺炎球菌コンジュゲート製剤に関するニュージーランド白ウサギにおける免疫原性結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、多価コンジュゲートワクチン製剤における特定の界面活性剤が、特に、1つ
または複数のコンジュゲート体がDMSOなどの非プロトン溶媒中で作製される場合、コ
ンジュゲート体の安定性およびそれらが凝集する傾向に影響し得るという発見に部分的に
基づく。加えて、いくつかの界面活性剤は、必要な安定性を得るためにポリオールの添加
を必要とする。
【0020】
本明細書で使用される場合、「プロトン溶媒」は、酸素(ヒドロキシル基におけるよう
に)または窒素(アミン基におけるように)に結合した水素原子を有する溶媒である。一
般的には、不安定なH+を含有する任意の溶媒は、プロトン溶媒と称される。
【0021】
本明細書で使用される場合、「非プロトン溶媒」は、極性非プロトン溶媒を表す。その
ような溶媒は、酸性水素を欠き、水素を供与することができない。極性非プロトン溶媒の
例は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、およびヘ
キサメチルホスホルアミド(HMPA)を含むが、これらに限定されない。非水溶液また
は溶媒は、非プロトン溶媒と互換的に使用される。非プロトン溶媒は、例えば、最大1%
、2%、5%、10%または20%存在するいくらかの水を有し得る。
【0022】
本明細書で使用される場合、「ポリサッカライド」(Ps)という用語は、「サッカラ
イド」、「オリゴ糖」、「ポリサッカライド」、「リポ糖」、「リポオリゴ糖(LOS)
」、「リポ多糖(LPS)」、「グリコシレート」、「複合糖質」などを含むが、これら
に限定されない、免疫学的および細菌ワクチン技術分野において一般的に使用される任意
の抗原性サッカライドエレメント(または抗原性単位)を含むことを意味する。
【0023】
本明細書で使用される場合、本発明の免疫原性組成物と共に使用される場合の「含む」
という用語は、(抗原混合物に関する「からなる」文言の制限を受ける)アジュバントお
よび賦形剤などの任意の他の成分の包含を表す。多価ポリサッカライド-タンパク質コン
ジュゲート混合物と共に使用される場合の「からなる」という用語は、それらの特定のス
トレプトコッカス・ニューモニエポリサッカライド-タンパク質コンジュゲート体を有し
、異なる血清型からの他のストレプトコッカス・ニューモニエポリサッカライド-タンパ
ク質コンジュゲート体を有さない混合物を表す。
【0024】
本明細書で定義される場合、「沈殿」、「沈殿物」、「微粒子形成」、「曇り」、およ
び「凝集」という用語は、互換的に使用され得、ポリサッカライド-タンパク質コンジュ
ゲート体の集塊をもたらす任意の物理的相互作用または化学反応を表すことを意味する。
凝集のプロセス(例えば、タンパク質凝集)は、熱、圧力、pH、撹拌、剪断力、凍結融
解、脱水、重金属、フェノール化合物、シリコンオイル、変性剤などを含めた多数の物理
化学的ストレスによって引き起こされ得る。
【0025】
本明細書で定義される場合、本発明の「界面活性剤」は、免疫原性組成物製剤の表面張
力を低下させる任意の分子または化合物である。「界面活性剤系」は、界面活性剤を含む
が、界面活性剤の効果を高めるポリオールなどの追加の賦形剤の包含を可能にし得る。
【0026】
本発明の免疫原性組成物は、1つまたは複数の担体タンパク質にコンジュゲートされた
1つまたは複数の抗原を含有する多価組成物とすることができる。本発明のある実施形態
では、抗原は、カプセル化された細菌からのサッカライドである。そのようなワクチンで
は、サッカライドは、ある種の細菌の表面に似た糖分子の長鎖からなる。カプセル化され
た細菌は、ストレプトコッカス・ニューモニエ、ナイセリア・メニンギティディス(Ne
isseria meningitides)、およびヘモフィルス・インフルエンザb
菌(Haemophilus influenzae type b)を含むが、これら
に限定されない。抗原は、同じ生物からのものでも異なる生物からのものでもよい。本発
明の他の実施形態では、抗原は、ストレプトコッカス・ニューモニエ莢膜ポリサッカライ
ドである。
【0027】
2つの担体タンパク質が使用される実施形態では、第1の担体タンパク質にコンジュゲ
ートしていない各莢膜ポリサッカライドは、同じ第2の担体タンパク質にコンジュゲート
されている(例えば、各莢膜ポリサッカライド分子が単一の担体タンパク質にコンジュゲ
ートされている。別の実施形態では、第1の担体タンパク質にコンジュゲートしていない
莢膜ポリサッカライドは、2つ以上の担体タンパク質にコンジュゲートされている(各莢
膜ポリサッカライド分子が単一の担体タンパク質にコンジュゲートされている)。そのよ
うな実施形態では、同じ血清型の各莢膜ポリサッカライドは、同じ担体タンパク質に典型
的にコンジュゲートされている。
【0028】
コリネバクテリウム・ジフセリエ(Corynebacterium diphthe
riae)によって分泌される外毒素であるジフテリア毒素は、ジスルフィド架橋によっ
て連結され、3つのドメインを有する2つのサブユニット(フラグメント)からなる古典
的なA-B毒素である。フラグメントA(DTFA)は、ADP-リボース触媒Cドメイ
ンを含有し、一方、フラグメントB(DTFB)は、中央転座Tドメインおよびカルボキ
シ末端受容体結合Rドメインを含有する。DTFBは、DTの全アミノ酸配列の約60%
を構成する非毒性部分である。例えば、Gill,D.M.and Dinius,L.
L.,J Biol.Chem.,246,1485-1491(1971)、Gill
,D.M.and Pappenheimer,Jr.,AM.,J Biol.Che
m.,246,1492-1495(1971)、Collier,R.J.and K
andel,J.,J Biol.Chem.,246,1496-1503(1971
)、およびDrazin,R.,Kandel,J.,and Collier,R.J
.,J Biol.Chem.,246,1504-1510(1971)を参照された
い。
【0029】
ジフテリア毒素の完成されたアミノ酸配列は、公開されている。Greenfield
,L.,Bjorn,M.J.,Horn,G.,Fong,D.,Buck,G.A.
,Collier,R.J.and Kaplan,D.A.,Proc.Natl.A
cad Sci.USA 80,6853-6857(1983)を参照されたい。具体
的には、DTFBは、DTのアミノ酸残基194~535を含む。
【0030】
CRM197担体タンパク質は、残基52でのフラグメントA中の単一アミノ酸置換に
よって非毒性にされたDTの変異型である。CRM197およびDTは、フラグメントB
における完全な配列相同性を共有する。主要なT細胞エピトープは、DTアミノ酸配列の
Bフラグメントで主に見出された。Bixler et al.,Adv Exp Me
d Biol.(1989)251:175-80、Raju et al.,Eur.
J.Immunol.(1995)25:3207-3214、Diethelm-Ok
ita et al.,J Infect Dis(2000)181:1001-9、
およびMcCool et al.,Infect.and Immun.67(Sep
t.1999),p.4862-4869を参照されたい。
【0031】
本明細書に記載のDTFBの使用は、ADP-リボシル化活性ドメインのジフテリア毒
素欠失を含む。DTFBの使用は、欠失、置換および付加を含む少なくとも90%、95
%、または99%の配列同一性を有するバリアントも含む。バリアントの例は、システイ
ン201の欠失または変異である。DTFB(C8)は、ADP-リボシル化活性化ドメ
インが欠失され、システイン201が除去または変異されているジフテリア毒素を意味す
る。DTFBの使用は、DTの配列265~450を網羅するフラグメントも含み、これ
は、公開されたT細胞エピトープを含む(Bixler et al.,Adv Exp
Med Biol.(1989)251:175-80、Raju et al.,E
ur.J.Immunol.(1995)25:3207-3214を参照されたい)。
DTFBは、単量体、二量体、またはオリゴマーの状態も含む。DTFBの使用は、DT
FBもしくはフラグメントを含有する任意のタンパク質コンジュゲート体(全長DTまた
はCRM197を除く)、ハイブリッドタンパク質、またはコンジュゲートタンパク質も
含む。DTFBの使用は、化学的に修飾されたDTFBまたはフラグメント(すなわち、
ペグ化、非天然アミノ酸修飾)も含む。
【0032】
ある実施形態では、DTFBは、吸着クロマトグラフィーによるその後の精製を伴う、
天然DTまたは変異型CRM197の酵素的消化および還元から作製される。したがって
、DT C201残基での変異の有無にかかわらず、精製DTFBは、全長天然もしくは
C201変異DTまたはCRM197から、またはAフラグメントが切断されたそのバリ
アントから同様に調製され得ると考えられる。Capto(商標)AdhereおよびC
apto(商標)MMCとして市販されているマルチモーダル樹脂ならびにクロマトグラ
フィーサイクル中に50mMを超えるトリス濃度は、切断された天然型DTFBを精製す
る優れたモードを提供することが特に知られている。
【0033】
ある実施形態では、DTFBの調製物は、最大10mMのDTTを含む。DTTは、残
基位置201での遊離システインによるDTFB単量体間のジスルフィド結合形成によっ
て引き起こされる二量体化を防ぐ。そのような場合、ニッケルは、コンジュゲーション反
応混合物に添加されない。しかしながら、コンジュゲーション反応は、その他の点では同
じ方法によって進行する。DTTが使用されない場合、二量化DTFBは、ニッケルの存
在下でPsにコンジュゲートされて、残留阻害性シアン化物を封鎖することによってコン
ジュゲーションの程度を改善することができる。
【0034】
DTFB中の遊離システインの除去(DT C201の変異)は、マルチモーダル樹脂
において同様の挙動を与えると予想される。遊離システイン間のジスルフィド結合形成に
よる二量化は、実現可能ではないので、遊離システインの除去は、DTTの必要性を排除
すると予想される。トリス緩衝液濃度および塩化ナトリウム溶出緩衝液濃度を増加させる
と、Capto MMCクロマトグラフィー樹脂からのDTFBタンパク質の回収率が改
善することが実証されている。DTFB精製は、他のマルチモーダル樹脂を使用して達成
され得ることが予想される。
【0035】
ある実施形態では、DTFBは、DT C201残基の変異の有無にかかわらず、組換
え的に発現され、続いて当業者に既知の様々な技術によって精製される。
【0036】
本発明の特定の実施形態では、CRM197は、担体タンパク質として使用される。C
RM197は、ジフテリア毒素の非毒性バリアント(すなわち、トキソイド)である。一
実施形態では、それは、カザミノ酸および酵母抽出物ベースの培地で増殖させたコリネバ
クテリウム・ジフセリエC7株(β197)の培養物から単離される。別の実施形態では
、CRM197は、米国特許第5,614,382号に記載されている方法に従って組換
え的に調製される。典型的に、CRM197は、限外ろ過、硫酸アンモニウム沈殿法、お
よびイオン交換クロマトグラフィーの組合せを通して精製される。いくつかの実施形態で
は、CRM197は、Pfenex Expression Technology(商
標)(Pfenex Inc.、San Diego、CA)を使用してシュードモナス
・フルオレッセンス(Pseudommonas fluorescens)において調
製される。
【0037】
DTFBおよびそのバリアントは、タンパク質(ペプチド)およびサッカライドを含め
た抗原のための担体タンパク質として使用され得る。他の適切な担体タンパク質は、DT
(ジフテリアトキソイド)、TT(破傷風トキソイド)またはTTのフラグメントC、百
日咳トキソイド、コレラトキソイド(例えば、国際特許出願公開第2004/08325
1号に記載された)、エシェリキア・コリLT、エシェリキア・コリST、およびシュー
ドモナス・エルジノーサからの外毒素Aなどの追加の不活性化細菌毒素を含む。外膜複合
体c(OMPC)などの細菌外膜タンパク質、ポリン、トランスフェリン結合タンパク質
、肺炎球菌表面プロテインA(PspA、国際出願特許公開番号国際公開第02/091
998号を参照されたい)、肺炎球菌付着因子タンパク質(PsaA)、グループAまた
はグループB連鎖球菌からのC5aペプチダーゼ、またはヘモフィルス・インフルエンザ
プロテインD、何らかの様式で解毒されたply、例えばdPLY-GMBS(国際特許
出願公開第04/081515号を参照されたい)またはdPLY-formolを含め
た肺炎球菌ニューモリシン(Kuo et al.,1995,Infect Immu
n 63;2706-13)、PhtA、PhtB、PhtD、PhtE、およびPht
タンパク質の融合物、例えばPhtDE融合物、PhtBE融合物を含めたPhtX(国
際特許出願公開第01/98334号および国際公開第03/54007号を参照された
い)も使用され得る。卵白アルブミン、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、
ウシ血清アルブミン(BSA)、またはツベルクリンの精製タンパク質誘導体(PPD)
、PorB(ナイセリア・メニンギティディスからの)、PD(ヘモフィルス・インフル
エンザタンパク質D、例えば、欧州特許第0594610B号を参照されたい)、または
合成ペプチド(欧州特許第0378881号および欧州特許第0427347号を参照さ
れたい)のその免疫学的に機能的な同等物、熱ショックタンパク質(国際特許出願公開第
93/17712号および国際公開第94/03208号を参照されたい)、百日咳タン
パク質(国際特許出願公開第98/58668号および欧州特許番号欧州特許第0471
177号を参照されたい)、サイトカイン、リンホカイン、成長因子またはホルモン(国
際特許出願公開第91/01146号を参照されたい)、N19タンパク質(Baral
doi et al.,2004,Infect Immun 72:4884-7を参
照されたい)などの様々な病原体由来抗原(Falugi et al.,2001,E
ur J Immunol 31:3816-3824を参照されたい)からの複数のヒ
トCD4+T細胞エピトープを含む人工タンパク質、鉄取り込みタンパク質(国際特許出
願公開第01/72337号を参照されたい)、クロストリジウム・ディフィシル(C.
difficile)の毒素AまたはB(国際特許公開番号国際公開第00/61761
号を参照されたい)、およびフラジェリン(Ben-Yedidia et al.,1
998,Immunol Lett 64:9を参照されたい)などの他のタンパク質も
担体タンパク質として使用され得る。
【0038】
CRM176、CRM228、CRM45(Uchida et al.,1973,
J Biol Chem 218:3838-3844)、CRM、CRM45、CR
102、CRM103、およびCRM107ならびにNicholls and Yo
ule in Genetically Engineered Toxins,Ed:
Frankel,Maecel Dekker Inc,1992に記載された他の変異
、Asp、GlnまたはSerへのGlu-148のおよび/またはGlyへのAla
158の欠失または変異、および米国特許第4,709,017号または米国特許4,9
50,740に開示されている他の変異、少なくとも1つまたは複数の残基Lys 51
6、Lys 526、Phe 530および/またはLys 534の変異、米国特許第
5,917,017号または米国特許第6,455,673号に開示された他の突然変異
、または米国特許第5,843,711号に開示されたフラグメントなどの他のDT変異
体が第2の担体タンパク質として使用され得る。そのようなDT変異体は、エピトープ領
域を含むBフラグメントを含むDTFBバリアントを作製するためにも使用され得る。
【0039】
一実施形態では、本発明は、1つまたは複数の担体タンパク質にコンジュゲートされた
ストレプトコッカス・ニューモニエの血清型1、2、3、4、5、6A、6B、6C、6
D、7B、7C、7F、8、9N、9V、10A、11A、12F、14、15A、15
B、15C、16F、17F、18C、19A、19F、20、21、22A、22F、
23A、23B、23F、24F、27、28A、31、33F、34、35A、35B
、35F、および38の少なくとも1つからの莢膜ポリサッカライドを含むポリサッカラ
イド-タンパク質コンジュゲート体と、薬学的に許容される担体とを含む免疫原性組成物
を提供する。本発明のある実施形態では、免疫原性組成物は、CRM197に個々にコン
ジュゲートされた2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、1
5、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28
、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、
42、43、または44血清型からの莢膜ポリサッカライドを含む、または本質的にそれ
からなる、またはそれからなる。本発明のある態様では、CRM197は、使用される唯
一の担体タンパク質である。
【0040】
ある実施形態では、上記の免疫原性組成物は、第2の担体タンパク質(第1の担体タン
パク質とは少なくとも1つのアミノ酸が異なる)にコンジュゲートされた1、2、3、4
、5、6A、6B、6C、6D、7B、7C、7F、8、9N、9V、10A、11A、
12F、14、15A、15B、15C、16F、17F、18C、19A、19F、2
0、21、22A、22F、23A、23B、23F、24F、27、28A、31、3
3F、34、35A、35B、35F、および38の少なくとも1つから選択される1つ
の追加のストレプトコッカス・ニューモニエ血清型からの莢膜ポリサッカライドをさらに
含んでもよい。好ましくは、特定の血清型からのサッカライドは、複数の担体タンパク質
にコンジュゲートしていない。
【0041】
本発明のある実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、第2の担体タンパク質にコン
ジュゲートされた少なくとも1つの追加の血清型からの莢膜ポリサッカライドをさらに含
む。これらの実施形態では、免疫原性組成物は、CRM197ではない第2の担体タンパ
ク質に個々にコンジュゲートされた1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、
12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、2
5、26、27、28、29、30、31、32、33、34、36、37、38、39
、40、41、42、43、または44血清型からの莢膜ポリサッカライドを含む、本質
的にそれからなる、またはそれからなる。
【0042】
本発明のある実施形態では、免疫原性組成物は、N血清型からの莢膜ポリサッカライド
を含む、本質的にそれからなる、またはそれからなり、ここで、Nは、2、3、4、5、
6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20
、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、
34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、または44であり、N
血清型のそれぞれからの莢膜ポリサッカライドは、CRM197である第1のタンパク質
担体にコンジュゲートされている。本発明の他の実施形態では、1、2、3...または
N-1血清型からの莢膜ポリサッカライドは、第1のタンパク質担体にコンジュゲートし
ており、N-1、N-2、N-3...1血清型からの莢膜ポリサッカライドは、CRM
197とは異なる第2のタンパク質担体にコンジュゲートされている。
【0043】
本発明の特定の一実施形態では、本発明は、CRM197にコンジュゲートされた血清
型1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、22F、
23F、および33Fからの莢膜ポリサッカライドを含む、本質的にそれからなる、また
はそれからなる15価免疫原性組成物を提供する。
【0044】
ストレプトコッカス・ニューモニエからの莢膜ポリサッカライドは、当業者に既知の標
準的な技術によって調製され得る。例えば、ポリサッカライドは、細菌から単離され得、
既知の方法によって、好ましくはホモジナイザーを使用して達成されるマイクロ流動化に
よって、または化学的加水分解によって、ある程度までサイズ調整され得る(例えば、欧
州特許第497524号および第497525号を参照されたい)。一実施形態では、各
ポリサッカライド血清型に対応するストレプトコッカス・ニューモニエ株は、大豆ベース
の培地中で増殖される。次に個々のポリサッカライドは、遠心分離、沈殿、および限外ろ
過を含めた標準的なステップを通して精製される。例えば、米国特許出願公開2008/
0286838および米国特許第5,847,112号を参照されたい。ポリサッカライ
ドは、粘度を低下させるために、および/またはその後のコンジュゲートされた生成物の
ろ過性を改善するために、サイズ調整され得る。本発明では、莢膜ポリサッカライドは、
血清型1、2、3、4、5、6A、6B、6C、6D、7B、7C、7F、8、9N、9
V、10A、11A、12F、14、15A、15B、15C、16F、17F、18C
、19A、19F、20、21、22A、22F、23A、23B、23F、24F、2
7、28A、31、33F、34、35A、35B、35F、および38の1つまたは複
数から調製される。
【0045】
精製ポリサッカライドは、化学的に活性化されて、担体タンパク質と反応することがで
きる官能基を導入する。一旦活性化されると、各莢膜ポリサッカライドは、別々に担体タ
ンパク質にコンジュゲートされて複合糖質を形成する。ポリサッカライドコンジュゲート
体は、既知のカップリング技術によって調製され得る。
【0046】
一実施形態では、ポリサッカライドの化学的活性化およびその後の担体タンパク質への
コンジュゲーションは、米国特許第4,365,170号、第4,673,574号、お
よび第4,902,506号に記載されている手段によって達成される。簡単に言うと、
肺炎球菌ポリサッカライドは、過ヨウ素酸ナトリウム、過ヨウ素酸カリウム、または過ヨ
ウ素酸などの過ヨウ素酸塩ベースの酸化剤と反応させられて、隣接するヒドロキシル基の
ランダムな酸化的切断をもたらし、反応性アルデヒド基を産出する。
【0047】
タンパク質担体上の第1級アミン基(主にリジン残基)への酸化ポリサッカライドの直
接的アミノ化カップリングは、還元的アミノ化によって達成することができる。例えば、
コンジュゲーションは、ニッケルの存在下で活性化ポリサッカライドと担体タンパク質と
の混合物をシアノ水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤と反応させることによって行われ
る。コンジュゲーション反応は、水溶液中またはDMSOなどの有機溶媒中で行われ得る
。例えば、米国特許出願公開第2015/0231270A1号、欧州特許第04711
77B1号、および米国特許出願公開第2011/0195086A1号を参照されたい
。コンジュゲーション反応の終りに、未反応のアルデヒドは、水素化ホウ素ナトリウムな
どの強力な還元剤の添加によってキャッピングされる。
【0048】
一実施形態では、製剤化の前に、各肺炎球菌莢膜ポリサッカライド抗原は、ストレプト
コッカス・ニューモニエから個々に精製され、活性化されて、反応性アルデヒドを形成し
、次いでニッケルの存在下でシアノボロイドライドナトリウムでの還元的アミノ化を使用
して第1または第2の担体タンパク質に共有結合的にコンジュゲートされる。ニッケルは
、還元的アミノ化に使用されるシアノ水素化ホウ素ナトリウム還元剤からの残留阻害性シ
アン化物とキレート環を形成する。
【0049】
ある実施形態では、コンジュゲーション反応は、還元的アミノ化によって行われ、ここ
で、ニッケルは、より大きいコンジュゲーション反応効率のために、および遊離シアン化
物除去を助けるために使用される。遷移金属は、シアン化物と安定な錯体を形成すること
が知られており、シアノ水素化ホウ素ナトリウムでのタンパク質アミノ基およびホルムア
ルデヒドの還元的メチル化を改善することが知られている(Gidley et al.
,1982,Biochem J 203:331-334、Jentoft et a
l.,1980,Anal Biochem.106:186-190)。残留阻害性シ
アン化物をキレート化することによって、ニッケルの添加は、コンジュゲーション中のタ
ンパク質の消費量を増加させ、より大きく、潜在的により免疫原性のコンジュゲート体の
形成をもたらす。
【0050】
市販のシアノ水素化ホウ素ナトリウム試薬ロット中の遊離シアン化物レベルの変動は、
一貫性のないコンジュゲーション性能をもたらし、その結果、分子質量およびポリサッカ
ライド対タンパク質比を含めた可変コンジュゲート特質がもたらされる可能性がある。コ
ンジュゲーション反応へのニッケルの添加は、遊離シアン化物のレベルを減少させ、した
がって、ロット間コンジュゲート一貫性の程度を改善する。
【0051】
別の実施形態では、コンジュゲーション方法は、1-シアノ-4-ジメチルアミノピリ
ジニウムテトラフルオロボレート(CDAP)でのポリサッカライドの活性化を用いてシ
アン酸エステルを形成し得る。活性化サッカライドは、担体タンパク質上のアミノ基に直
接結合され得る。
【0052】
別の実施形態では、反応性ホモ二官能基またはヘテロ二官能基は、シアン酸エステルを
いくつかの利用可能なモダリティーのいずれかと反応させることによって、活性化ポリサ
ッカライド上に導入され得る。例えば、シスタミンまたはシステアミンを使用して、マレ
イミド活性化担体タンパク質(例えばGMBSを使用して)またはハロアセチル化担体タ
ンパク質(例えば、ヨードアセトイミド(例えば、エチルヨードアセトイミドHCl)ま
たはN-スクシンイミジルブロモアセテートまたはSIAB、またはSIA、またはSB
APを使用して)との反応後に得られるチオエーテル結合を介して担体に結合できるチオ
ール化ポリサッカライドを調製し得る。別の実施形態では、シアン酸エステルは、ヘキサ
ンジアミンまたはアジピン酸ジヒドラジド(ADH)と反応させられ、生じたアミノ誘導
体化サッカライドは、カルボジイミド(例えば、EDACまたはEDC)化学反応を使用
して担体タンパク質上の遊離カルボキシ基にコンジュゲートされる。そのようなコンジュ
ゲート体は、国際特許出願公開第93/15760号、国際公開第95/08348号お
よび国際公開第96/29094号、ならびにChu et al.,1983,Inf
ect.Immunity 40:245-256に記載されている。
【0053】
他の適したコンジュゲーション方法は、カルボジイミド、ヒドラジド、活性エステル、
ノルボラン、p-ニトロ安息香酸、N-ヒドロキシスクシンイミド、S-NHS、EDC
、およびTSTUを使用する。多くは、国際特許出願公開第98/42721号に記載さ
れている。コンジュゲーションは、サッカライドの遊離ヒドロキシル基とCDIとの反応
(Bethell et al.,1979,J.Biol.Chem.254:257
2-4;Hearn et al.,1981,J.Chromatogr.218:5
09-18を参照されたい)、それに続くカルバメート結合を形成するための担体タンパ
ク質との反応によって形成され得るカルボニルリンカーを伴い得る。この化学反応は、一
級ヒドロキシル基を形成するための炭水化物のアノマー末端の還元、それに続くカルバメ
ート中間体を形成するためのCDIと一級ヒドロキシルとの反応、およびタンパク質担体
アミノ基へのその後のカップリングからなる。反応は、サッカライド上の他の一級ヒドロ
キシル基の任意選択の保護/脱保護を必要とし得る。
【0054】
コンジュゲーションに続いて、ポリサッカライド-タンパク質コンジュゲート体は、濃
縮/ダイアフィルトレーション操作、限外ろ過、沈殿/溶出、カラムクロマトグラフィー
、および深層ろ過を含めた当業者に既知の任意の技術の1つまたは複数によって、過剰の
コンジュゲーション試薬ならびに残留遊離タンパク質および遊離ポリサッカライドを除去
するために精製される。例えば、米国特許第6,146,902号を参照されたい。
【0055】
個々の複合糖質が精製された後、それらは、本発明の免疫原性組成物を製剤化するため
に配合される。これらの肺炎球菌コンジュゲート体は、別々の方法によって調製され、単
回投与製剤にバルク製剤化される。
【0056】
医薬/ワクチン組成物
本発明は、薬学的に許容される担体およびアジュバントを有する上記のポリサッカライ
ド血清型組合せのいずれかを含む、本質的にそれからなる、または代わりにそれからなる
、医薬、免疫原性、およびワクチン組成物を含めた組成物をさらに提供する。一実施形態
では、組成物は、2~13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、
23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、3
6、37、38、39、40、41、42、43、または44の異なるポリサッカライド
-タンパク質コンジュゲート体を含む、それからなる、または代わりにそれからなり、こ
こで、ここで、コンジュゲート体のそれぞれは、第1の担体タンパク質または第2の担体
タンパク質にコンジュゲートされた異なる莢膜ポリサッカライドを含有し、ここで、スト
レプトコッカス・ニューモニエの血清型1、2、3、4、5、6A、6B、6C、6D、
7B、7C、7F、8、9N、9V、10A、11A、12F、14、15A、15B、
15C、16F、17F、18C、19A、19F、20、21、22A、22F、23
A、23B、23F、24F、27、28A、31、33F、34、35A、35B、3
5F、および38の少なくとも1つからの莢膜ポリサッカライドは、CRM197から選
択される第1の担体タンパク質にコンジュゲートしており、薬学的に許容される担体およ
びアジュバントと共に、第2の担体タンパク質(第1の担体タンパク質とは少なくとも1
つのアミノ酸が異なる)にコンジュゲートされた血清型1、2、3、4、5、6A、6B
、6C、6D、7B、7C、7F、8、9N、9V、10A、11A、12F、14、1
5A、15B、15C、16F、17F、18C、19A、19F、20、21、22A
、22F、23A、23B、23F、24F、27、28A、31、33F、34、35
A、35B、35F、および38から選択される追加のストレプトコッカス・ニューモニ
エ血清型を有していてもよい。
【0057】
本発明のポリサッカライド-タンパク質コンジュゲート体の製剤は、当技術分野におい
て認識されている方法を使用して達成され得る。例えば、15の個々の肺炎球菌コンジュ
ゲート体を生理学的に許容されるビヒクルと共に製剤化して、組成物を調製することがで
きる。そのようなビヒクルの例は、水、緩衝食塩水、ポリオール(例えば、グリセロール
、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール)およびデキストロース溶液を含
むが、これらに限定されない。
【0058】
別の実施形態では、ワクチン組成物は、塩化ナトリウムを有するL-ヒスチジン緩衝液
中で製剤化される。
【0059】
本明細書で定義される場合、「アジュバント」は、本発明の免疫原性組成物の免疫原性
を増強するのに役立つ物質である。免疫アジュバントは、単独で投与された場合、例えば
、ないかまたは弱い抗体価または細胞媒介免疫応答を誘導する免疫原性が弱い抗原に対す
る免疫応答を増強し、抗原に対する抗体価を高め、かつ/または個人の免疫反応を達成す
るのに効果的な抗原の用量を下げ得る。したがって、アジュバントは、しばしば免疫応答
をブーストするために与えられ、当業者によく知られている。組成物の有効性を増強する
ための適切なアジュバントは、
(1)水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウムなどのアルミニウ
ム塩(ミョウバン)、
(2)例えば、(a)Model 110Yマイクロフルイダイザー(Microfl
uidics、Newton、MA)などのマイクロフルイダイザーを使用したサブミク
ロン粒子に製剤化された5%スクアレン、0.5%Tween80、および0.5%Sp
an85(様々な量のMTP-PEを含有していてもよい)を含むMF59(国際特許出
願公開第90/14837号)、(b)サブミクロンのエマルションにマイクロ流動化さ
れるか、またはより大きな粒子サイズのエマルションを産出するためにボルテックスされ
た、10%スクアレン、0.4%Tween80、5%プルロニックブロックポリマーL
121、およびthr-MDPを含有するSAF、(c)2%スクアレン、0.2%Tw
een80、ならびに米国特許第4,912,094号に記載された3-O-脱アシル化
モノリン脂質A(MPL(商標))、トレハロースジミコレート(TDM)、および細胞
壁骨格(CWS)、好ましくはMPL+CWS(Detox(商標))からなる群からの
1つまたは複数の細菌細胞壁成分を含有するRibi(商標)アジュバント系(RAS)
、(Corixa,Hamilton,MT)、および(d)Montanide IS
Aなどの水中油型エマルション製剤(ムラミルペプチド(以下に定義される)または細菌
細胞壁成分などの他の特定の免疫刺激剤の有無にかかわらず)、
(3)Quil AまたはSTIMULON(商標)QS-21(Antigenic
s、Framingham、MA)などのサポニンアジュバント(例えば、米国特許第5
,057,540号を参照されたい)が使用され得るか、またはISCOM(コレステロ
ール、サポニン、リン脂質、および両親媒性タンパク質の組合せにより形成される免疫刺
激複合体)およびIscomatrix(商標)(ISCOMと本質的に同じ構造を有す
るが、タンパク質は有さない)などのそこから産出される粒子、
(4)細菌性リポポリサッカライド、Corixaから入手可能であり、米国特許第6
,113,918号に記載されているアミノアルキルグルコサミンリン酸化合物(AGP
)などの合成脂質A類縁体、またはその誘導体または類縁体;そのようなAGPの1つは
、2-[(R)-3-テトラデカノイルオキシテトラデカノイルアミノ]エチル2-デオ
キシ-4-O-ホスホノ-3-O-[(R)-3-テトラデカノイルオキシテトラデカノ
イル]-2-[(R)-3-テトラデカノイルオキシテトラデカノイルアミノ]-b-D
-グルコピラノシドであり、これは、529としても知られており(以前はRC529と
して知られていた)、水性形態または安定なエマルションとして製剤化される、
(5)(1つまたは複数の)CpGモチーフを含有するオリゴヌクレオチドなどの合成
ポリヌクレオチド(米国特許第6,207,646号)、
(6)インターロイキン(例えば、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-
6、IL-7、IL-12、IL-15、IL-18など)などのサイトカイン、インタ
ーフェロン(例えば、ガンマインターフェロン)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因
子(GM-CSF)、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、腫瘍壊死因子(
TNF)、共刺激分子B7-1およびB7-2など、および
(7)補体成分C3dの三量体などの補体
を含むが、これらに限定されない。
【0060】
別の実施形態では、アジュバントは、上記のアジュバントの2、3またはそれ以上の混
合物、例えば、SBAS2(3-脱アシル化モノホスホリルリピドAおよびQS21も含
有する水中油型エマルション)である。
【0061】
ムラミルペプチドは、N-アセチル-ムラミル-L-トレオニル-D-イソグルタミン
(thr-MDP)、およびN-アセチル-ノルムラミル-L-アラニン-2-(1’-
2’ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ヒドロキシホスホリルオキシ)-エチルアミ
ン(MTP-PE)などを含むが、これらに限定されない。
【0062】
ある実施形態では、アジュバントは、アルミニウム塩である。アルミニウム塩アジュバ
ントは、ミョウバン沈殿ワクチンまたはミョウバン吸着ワクチンとすることができる。ア
ルミニウム塩アジュバントは、当技術分野においてよく知られており、例えば、Harl
ow,E.and D.Lane(1988;Antibodies:A Labora
tory Manual Cold Spring Harbor Laborator
y)およびNicklas,W.(1992;Aluminum salts.Rese
arch in Immunology 143:489-493)に記載されている。
アルミニウム塩は、水和アルミナ、アルミナ水和物、アルミナ三水和物(ATH)、アル
ミニウム水和物、アルミニウム三水和物、Alhydrogel(登録商標)、Supe
rfos、Amphogel(登録商標)、水酸化アルミニウム(III)、ヒドロキシ
リン酸アルミニウム硫酸塩(リン酸アルミニウムアジュバント(APA))、非晶質アル
ミナ、三水和アルミナ、またはトリヒドロキシアルミニウムを含むが、これらに限定され
ない。
【0063】
APAは、ヒドロキシリン酸アルミニウムの水性懸濁液である。APAは、塩化アルミ
ニウムとリン酸ナトリウムを1:1の体積比でブレンドして、ヒドロキシリン酸アルミニ
ウムを沈殿させることによって製造される。ブレンディングプロセスの後、材料を高剪断
ミキサーでサイズ減少させて、単分散粒径分布を達成する。次いで生成物を生理食塩水に
対してダイアフィルターし、蒸気滅菌する。
【0064】
ある実施形態では、市販のAl(OH)(例えば、Denmark/Accurat
e Chemical and Scientific Co.、Westbury、N
YのAlhydrogel(登録商標)またはSuperfos)が50~200gタン
パク質/mg水酸化アルミニウムの比でタンパク質を吸着するために使用される。タンパ
ク質の吸着は、別の実施形態では、タンパク質のpI(等電点pH)および培地のpHに
依存する。より低いpIを有するタンパク質は、より高いpIを有するタンパク質よりも
強く正電荷を帯びたアルミニウムイオンに吸着する。アルミニウム塩は、2~3週間にわ
たってゆっくりと放出されるAgの貯蔵所を確立し、マクロファージの非特異的活性化お
よび補体活性化に関与し、かつ/または(おそらく尿酸の刺激を通して)自然免疫機構を
刺激し得る。例えば、Lambrecht et al.,2009,Curr Opi
n Immunol 21:23を参照されたい。
【0065】
一価バルク水性コンジュゲート体は、典型的に一緒にブレンドされ、希釈される。一旦
希釈されたら、バッチが滅菌ろ過される。リン酸アルミニウムアジュバントが、8μg/
mLを目標とするように希釈される6Bを除く全ての血清型について4μg/mLの最終
濃度、および250μg/mLの最終アルミニウム濃度を目標とするように無菌的に添加
される。アジュバント配合製剤化バッチがバイアルまたはシリンジに充填されることにな
る。
【0066】
ある実施形態では、アジュバントは、CpG含有ヌクレオチド配列、例えば、CpG含
有オリゴヌクレオチド、特に、CpG含有オリゴデオキシヌクレオチド(CpG ODN
)である。別の実施形態では、アジュバントは、ODN 1826であり、これは、Co
ley Pharmaceutical Groupから取得され得る。
【0067】
「CpG含有ヌクレオチド」、「CpG含有オリゴヌクレオチド」、「CpGオリゴヌ
クレオチド」、および類似の用語は、非メチル化CpG部分を含有する長さ6~50ヌク
レオチドのヌクレオチド分子を表す。例えば、Wang et al.,2003,Va
ccine 21:4297を参照されたい。別の実施形態では、この用語の任意の他の
技術的に受け入れられる定義が意図されている。CpG含有オリゴヌクレオチドは、任意
の合成ヌクレオシド間結合、修飾塩基および/または修飾糖を使用した修飾オリゴヌクレ
オチドを含む。
【0068】
CpGオリゴヌクレオチドの使用方法は、当技術分野においてよく知られており、例え
ば、Sur et al.,1999,J Immunol.162:6284-93、
Verthelyi,2006,Methods Mol Med.127:139-5
8、およびYasuda et al.,2006,Crit Rev Ther Dr
ug Carrier Syst.23:89-110に記載されている。
【0069】
投与/投与量
本発明の組成物および製剤は、全身経路または粘膜経路を介してワクチンを投与するこ
とによって、感染症、例えば肺炎球菌感染症にかかりやすいヒトを保護または治療するた
めに使用することができる。一実施形態では、本発明は、免疫学的に有効量の本発明の免
疫原性組成物をヒトに投与することを含む、ストレプトコッカス・ニューモニエ莢膜ポリ
サッカライドコンジュゲート体に対する免疫応答を誘導する方法を提供する。別の実施形
態では、本発明は、免疫学的に有効量の本発明の免疫原性組成物をヒトに投与するステッ
プを含む、肺炎球菌感染症に対してヒトにワクチン接種する方法を提供する。
【0070】
特定のワクチンに関する成分の最適量は、対象における適切な免疫応答の観察を伴う標
準的な研究によって確かめることができる。例えば、別の実施形態では、ヒトワクチン接
種に関する投与量は、動物実験からヒトデータへの外挿によって決定される。別の実施形
態では、投与量は、経験的に決定される。実施例において提供される子アカゲザル動物デ
ータは、ワクチンが免疫原性であることを実証する。
【0071】
本発明の組成物の「有効量」は、その後の負荷の間に、微生物、例えばストレプトコッ
カス・ニューモニエの感染性の可能性または重症度を著しく減少させる抗体を誘発するの
に必要な用量を表す。
【0072】
本発明の方法は、侵襲性感染症(髄膜炎、肺炎、および菌血症)と非侵襲性感染症(急
性中耳炎、および副鼻腔炎)の両方を含めた、微生物、例えば、ストレプトコッカス・ニ
ューモニエによって引き起こされる原発臨床症候群の予防および/または軽減のために使
用され得る。
【0073】
本発明の組成物の投与は、筋肉内、腹腔内、皮内または皮下経路を介した、または口腔
/消化管、気道もしくは尿生殖路への粘膜投与を介した注射の1つまたは複数を含み得る
。一実施形態では、鼻腔内投与は、肺炎または中耳炎の治療のために使用される(肺炎球
菌の鼻咽頭保菌がより効果的に予防され得るので、その最も初期の段階で感染を減弱する
)。
【0074】
各ワクチン用量中のコンジュゲート体の量は、著しい有害作用なく免疫保護応答を誘導
する量として選択される。そのような量は、肺炎球菌血清型に依存して変動し得る。一般
的に、ポリサッカライドベースのコンジュゲート体に関して、各用量は、0.1~100
μg、特に0.1~10μg、とりわけ1~5μgの各ポリサッカライドを含むことにな
る。例えば、各用量は、100、150、200、250、300、400、500、ま
たは750μgまたは1、1.5、2、3、4、5、6、7、7.5、8、9、10、1
1、12、13、14、15、16、18、20、22、25、30、40、50、60
、70、80、90、または100μgを含み得る。
【0075】
特定のワクチンに関する成分の最適量は、対象における適切な免疫応答の観察を伴う標
準的な研究によって確かめることができる。例えば、別の実施形態では、ヒトワクチン接
種に関する投与量は、動物実験からヒトデータへの外挿によって決定される。別の実施形
態では、投与量は、経験的に決定される。
【0076】
一実施形態では、アルミニウム塩の用量は、10、15、20、25、30、50、7
0、100、125、150、200、300、500、または700μg、または1、
1.2、1.5、2、3、5mg以上である。さらに別の実施形態では、上記のアルミニ
ウム塩の用量は、組換えタンパク質の1μgあたりである。
【0077】
本発明の特定の実施形態では、PCV15ワクチンは、個々にCRM197にコンジュ
ゲートされた血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19A、
19F、22F、23F、および33Fの肺炎球菌莢膜ポリサッカライドの無菌液体製剤
である。一態様では、各用量は、8μg/mLまたは16μg/mLの6Bを除き、4μ
g/mLまたは8μg/mLの各サッカライド、および約64μg/mLまたは128μ
g/mLのCRM197担体タンパク質を含有するように製剤化される。一態様では、各
0.5mL用量は、4μgの6Bを除き、2μgの各サッカライド、約32μgのCRM
197担体タンパク質(例えば、32μg±5μg、±3μg、±2μg、または±1μ
g)、0.125mgの元素アルミニウム(0.5mgのリン酸アルミニウム)アジュバ
ント、塩化ナトリウム、およびL-ヒスチジン緩衝液を含むように製剤化される。塩化ナ
トリウム濃度は、約150mM(例えば、150mM±25mM、±20mM、±15m
M、±10mM、または±5mM)であり、約20mM(例えば、20mM±5mM、±
2.5mM、±2mM、±1mM、または±0.5mM)のL-ヒスチジン緩衝液である
【0078】
本発明の方法のいずれかによれば、一実施形態では、対象は、ヒトである。ある実施形
態では、ヒト対象は、乳児(1歳未満)、トドラー(約12~24ヶ月)、または幼児(
約2~5歳)である。他の実施形態では、ヒト対象は、高齢患者(>65歳)である。本
発明の組成物は、年長児、青年および成人(例えば、18~45歳または18~65歳)
での使用にも適している。
【0079】
本発明の方法の一実施形態では、本発明の組成物は、単回接種として投与される。別の
実施形態では、ワクチンは、十分に間隔をあけて、2回、3回または4回以上投与される
。例えば、組成物は、1、2、3、4、5、または6ヶ月の間隔、またはその任意の組合
せで投与され得る。免疫化スケジュールは、肺炎球菌ワクチン用に指定されたものに従い
得る。例えば、ストレプトコッカス・ニューモニエによって引き起こされる侵襲性疾患に
対する乳児およびトドラーに関する通例のスケジュールは、2、4、6および12~15
月齢である。したがって、別の実施形態では、組成物は、2、4、6、および12~15
ヶ月齢での4用量シリーズとして投与される。
【0080】
本発明の組成物は、ストレプトコッカス・ニューモニエからの1つまたは複数のタンパ
ク質も含み得る。包含に適したストレプトコッカス・ニューモニエタンパク質の例は、国
際特許出願公開第02/083855号および国際公開第02/053761号において
同定されているものを含む。
【0081】
製剤
本発明の組成物は、非経口的に、経粘膜的に、経皮的に、筋肉内に、静脈内に、皮膚内
に、鼻腔内に、皮下に、腹腔内になどの当業者に既知の1つまたは複数の方法によって対
象に投与され、それに従って製剤化され得る。
【0082】
一実施形態では、本発明の組成物は、液体調製物の表皮注射、筋肉内注射、静脈内、動
脈内、皮下注射、または呼吸器内粘膜注射を介して投与される。注射用の液体製剤は、溶
液などを含む。
【0083】
本発明の組成物は、単回用量バイアル、複数回用量バイアルとして、またはプレフィル
ドシリンジとして製剤化され得る。
【0084】
別の実施形態では、本発明の組成物は、経口投与され、したがって経口投与に適した形
態で、すなわち固体または液体調製物として製剤化される。固体経口製剤は、錠剤、カプ
セル剤、丸剤、顆粒剤、ペレット剤などを含む。液体経口製剤は、液剤、懸濁剤、分散剤
、乳剤、油剤などを含む。
【0085】
液体製剤に関する薬学的に許容される担体は、水溶液または非水溶液、懸濁液、エマル
ションまたは油である。非水溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコー
ル、およびオレイン酸エチルなどの注射用有機エステルである。水性担体は、食塩水およ
び緩衝媒質を含めた、水、アルコール溶液/水溶液、エマルション、または懸濁液を含む
。油の例は、動物、植物、または合成起源のもの、例えば、ピーナッツ油、大豆油、オリ
ーブ油、ヒマワリ油、魚肝油、他の魚油、または乳もしくは卵からの脂質である。
【0086】
医薬組成物は、等張性、低張性または高張性とすることができる。しかしながら、注入
または注射のための医薬組成物は、それが投与される場合に本質的に等張性であることが
しばしば好ましい。したがって、保存のために、医薬組成物は、好ましくは等張性または
高張性とすることができる。医薬組成物が保存のために高張性である場合、それは、投与
前に等張液になるように希釈され得る。
【0087】
等張剤は、塩などのイオン性等張剤または炭水化物などの非イオン性等張剤とすること
ができる。イオン性等張剤の例は、NaCl、CaCl、KCl、およびMgCl
含むが、これらに限定されない。非イオン性等張剤の例は、マンニトール、ソルビトール
、およびグリセロールを含むが、これらに限定されない。
【0088】
少なくとも1つの薬学的に許容される添加剤が緩衝剤であることもまた好ましい。いく
つかの目的のために、例えば、医薬組成物が注入または注射用である場合、組成物が緩衝
剤を含むことがしばしば望ましく、この緩衝剤は、溶液を5~9、例えば、6~8などの
4~10の範囲のpHに緩衝することができる。
【0089】
緩衝剤は、例えば、トリス、酢酸塩、グルタミン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、酒石酸
塩、リン酸塩、クエン酸塩、炭酸塩、グリシン酸塩、L-ヒスチジン、グリシン、コハク
酸塩、およびトリエタノールアミン緩衝剤からなる群から選択され得る。
【0090】
緩衝剤は、例えば、特に、医薬製剤が非経口使用のためのものである場合、非経口使用
のためのUSP適合緩衝剤からさらに選択され得る。例えば、緩衝剤は、酢酸、安息香酸
、グルコン酸、グリセリン、および乳酸などの一塩基酸、アコニット酸、アジピン酸、ア
スコルビン酸、炭酸、グルタミン酸、リンゴ酸、コハク酸、および酒石酸などの二塩基酸
、クエン酸およびリン酸などの多塩基酸、アンモニア、ジエタノールアミン、グリシン、
トリエタノールアミン、およびトリスなどの塩基からなる群から選択され得る。
【0091】
非経口ビヒクル(皮下、静脈内、動脈内、または筋肉内注射用)は、塩化ナトリウム溶
液、リンゲルデキストロース、デキストロース、および塩化ナトリウム、乳酸リンゲル液
および不揮発性油を含む。静脈内ビヒクルは、液体および栄養補液、リンゲルデキストロ
ースに基づくものなどの電解質補液などを含む。例は、界面活性剤および他の薬学的に許
容されるアジュバントの添加の有無にかかわらず、水および油などの無菌液である。一般
に、水、食塩水、水性デキストロースおよび関連する糖溶液、プロピレングリコールまた
はポリエチレングリコールなどのグリコール、ポリソルベート80(PS-80)、ポリ
ソルベート20(PS-20)、およびポロクサマー188(P188)は、特に注射液
に好ましい液体担体である。油の例は、動物、植物、または合成起源のもの、例えば、ピ
ーナッツ油、大豆油、オリーブ油、ヒマワリ油、魚肝油、他の魚油、または乳もしくは卵
からの脂質である。
【0092】
本発明の製剤は、界面活性剤も含有し得る。好ましい界面活性剤は、ポリオキシエチレ
ンソルビタンエステル界面活性剤(通常Tweenと称される)、特にPS-20および
PS-80;直鎖EO/POブロックコポリマーなどのDOWFAX(商標)の商品名の
下で販売されているエチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)、および/
またはブチレンオキシド(BO)のコポリマー;オクトキシノール、これは、繰返しエト
キシ(オキシ-1、2-エタンジイル)基の数が変動し得、オクトキシノール-9(Tr
iton X-100、またはトリオクチルフェノキシポリエトキシエタノール)が特に
興味深い;(オクチルフェノキシ)ポリエトキシエタノール(IGEPAL CA-63
0/NP-40);ホスファチジルコリン(レシチン)などのリン脂質;Tergito
l(商標)NPシリーズなどのノニルフェノールエトキシレート;トリエチレングリコー
ルモノラウリルエーテル(Brij30)などのラウリル、セチル、ステアリル、および
オレイルアルコール(Brij界面活性剤として知られている)由来のポリオキシエチレ
ン脂肪エーテル;ならびに三オレイン酸ソルビタン(Span85)およびモノラウリン
酸ソルビタンなどのソルビタンエステル(一般にSPANとして知られている)を含むが
、これらに限定されない。
【0093】
界面活性剤の混合物、例えば、PS-80/スパン85混合物が使用され得る。ポリオ
キシエチレンソルビタンモノオレエート(PS-80)などのポリオキシエチレンソルビ
タンエステルと、t-オクチルフェノキシポリエトキシエタノール(Triton X-
100)などのオクトキシノールとの組合せも適している。別の有用な組合せは、ラウレ
ス9と、ポリオキシエチレンソルビタンエステルおよび/またはオクトキシノールとを含
む。
【0094】
界面活性剤の好ましい量は、以下の通りである:ポリオキシエチレンソルビタンエステ
ル(PS-80など)0.01~1w/v%、特に、約0.1w/v%、オクチルまたは
ノニルフェノキシポリオキシエタノール(Triton X-100、またはTrito
nシリーズの他のディタージェントなど)0.001~0.1w/v%、特に0.005
~0.02w/v%、ポリオキシエチレンエーテル(ラウレス9など)0.1~20w/
v%、好ましくは0.1~10w/v%、特に0.1~1w/v%または約0.5w/v
%。
【0095】
ある実施形態では、組成物は、250μg/mLのAPA(リン酸アルミニウムアジュ
バント)と共にpH5.8のL-ヒスチジン(20mM)、食塩水(150mM)および
0.2w/v%のPS-20から本質的になる。PS-20は、模擬製造中および一次包
装を使用した輸送における凝集を制御する製剤中にPS-20が存在する場合、0.00
5~0.3w/v%にわたり得る。プロセスは、L-リスチジン、塩化ナトリウム、およ
びPS-20中の最大44の血清型のブレンドを組み合わせること、次いでこのブレンド
された材料を抗菌性保存剤の有無にかかわらずAPAおよび塩化ナトリウムと組み合わせ
ることからなる。
【0096】
本明細書で実証されているように、界面活性剤の選択は、異なる薬物製品および原体に
関して最適化される必要があり得る。15以上の血清型を含有する多価ワクチンに関して
、PS-20およびP188が好ましい。コンジュゲート体を調製するために使用される
化学的性質の選択は、製剤の安定化に影響を与える重要な要因であると考えられている。
特に、以下に例示されるように、水性またはDMSO溶媒中で調製され、多価組成物中で
組み合わされた肺炎球菌ポリサッカライド-タンパク質コンジュゲート体は、製剤に使用
される特定の界面活性剤系に依存して安定性において著しい差を示す。記載したように、
特に1つまたは複数のポリサッカライド-タンパク質コンジュゲート体がDMSOなどの
非プロトン溶媒中で調製された場合、ポリソルベート20単独またはポリオールと組み合
わせたポロクサマー188で改善された安定性が観察された。
【0097】
本発明は、その一部は水性条件下で調製され、その他はDMSO条件下で調製された還
元的アミノ化を使用して調製されたポリサッカライド-タンパク質コンジュゲート体を含
有する製剤におけるポリソルベート20またはポロクサマー188とポリオールの組合せ
の使用が、免疫原性組成物の製造および輸送ストレス誘発物理化学的不安定性の制御を助
け、他の界面活性剤や安定剤よりも予想外に優れた特性を提供するという発見に部分的に
基づく。特定のディタージェントがどのようにバイオ治療薬を保護するかの正確な機構は
、よくわかっておらず、先験的に予測され得ない。可能な安定化機構は、優先的水和、優
先的排除、バイオ治療薬と表面間の空気/液体界面の競合、表面張力、および/または凝
集の種として働く疎水性パッチをマスクするためのバイオ治療薬とのディタージェントの
直接会合を含む。本発明は、ポリサッカライド-タンパク質コンジュゲート体を含む免疫
原性組成物の安定性を改善し、微粒子形成(例えば、凝集、沈殿)を抑制するための当技
術分野における継続的な必要性に取り組む。本発明の製剤は、ポロクサマー188および
ポリソルベート80を含めた以前に使用されていた界面活性剤に対して、複雑なバイオ治
療薬の製造、輸送およびハンドリング誘発凝集を制御するのに著しい利点を提供すると考
えられている。
【0098】
ポリサッカライド-タンパク質コンジュゲート体中のタンパク質成分が凝集に重要な役
割を果たすと考えられている。これは、同じ血清型組成であるが異なるコンジュゲーショ
ン溶媒のコンジュゲート体を使用した薬物製品の異なる凝集現象において実証されている
。ポリサッカライドコンジュゲート体の調製に使用される非プロトン溶媒は、タンパク質
の構造を変え、APAアジュバントの存在下で凝集する異なる傾向を示し得る。2つ以上
の担体タンパク質が使用される場合、重量パーセンテージが計算され得る。
【0099】
したがって、本発明のある実施形態では、本発明は、(i)1つまたは複数のポリサッ
カライド-タンパク質コンジュゲート体と、(ii)5.0~7.5の範囲のpHを有す
るpH緩衝食塩水と、(ii)アルミニウム塩と、(iv)a)ポリソルベート20およ
び(b)1100Da~17,400Daの範囲の分子量を有するポロクサマーならびに
プロピレングリコールおよびポリエチレングリコール400から選択されるポリオールか
ら選択される界面活性剤系とを含む製剤を提供する。本実施形態のある態様では、1つま
たは複数のポリサッカライドタンパク質コンジュゲート体は、DMSOなどの非プロトン
溶媒中で調製される。タンパク質の全質量の約10~100%、24%~100%、また
は24~80%の範囲がDMSOなどの非プロトン溶媒中で調製され、コンジュゲートさ
れ得る。
【0100】
ある実施形態では、界面活性剤系は、一般にTween(登録商標)20と称される市
販の界面活性剤であるポリソルベート20(IUPAC名:ポリオキシエチレン(20)
ソルビタンモノラウレート;PS-20)を含む。ある実施形態では、本発明の製剤中の
ポリソルベート20の最終濃度は、0.001w/v%~10w/v%、0.025w/
v%~2.5w/v%、または0.025w/v%~0.3w/v%の範囲にある。ポリ
ソルベート20を含む界面活性剤系は、ポリオールをさらに含み得る。ポリオールは、プ
ロピレングリコールおよびポリエチレングリコールから選択され得る。ある態様では、ポ
リエチレングリコールまたはプロピレングリコールは、6w/v%~20w/v%の最終
濃度である。ある態様では、ポリエチレングリコールは、ポリエチレングリコール400
である。
【0101】
ある実施形態では、界面活性剤系は、1100Da~17,400Daの範囲の分子量
を有するポロクサマーと、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコール400か
ら選択されるポリオールとを含む。
【0102】
ポロクサマーは、ポリオキシエチレン(ポリ(エチレンオキシド))の2つの親水性鎖
が隣接したポリオキシプロピレン(ポリ(プロピレンオキシド))の中央疎水性鎖からな
る非イオン性トリブロックコポリマーである。ポロクサマーは、商品名Pluronic
(登録商標)としても知られている。ポリマーブロックの長さは、カスタマイズされ得る
ので、わずかに異なる特性を有する多くの異なるポロクサマーが存在する。総称「ポロク
サマー」に関して、これらのコポリマーは、一般に文字「P」(ポロクサマーに関する)
の後に3桁の数字が続く名前が付けられ、最初の2桁×100は、ポリオキシプロピレン
コアのおおよその分子質量を示し、最後の桁×10は、ポリオキシエチレン含有率を示す
(例えば、P407=4,000g/molのポリオキシプロピレン分子質量および70
%ポリオキシエチレン含有量を有するポロクサマー)。Pluronic(登録商標)の
商品名に関して、これらのコポリマーの符号化は、室温でのその物理的形態を定義するた
めの文字(L=液体、P=ペースト、F=フレーク(固体))で始まり、その後2または
3桁が続く。数値表示の最初の桁(3桁の数字の2桁)に300を掛けたものは、疎水性
物質のおおよその分子量を示し、最後の桁×10は、ポリオキシエチレン含有率を示す(
例えば、L61=1,800g/molのポリオキシプロピレン分子質量および10%ポ
リオキシエチレン含有量を有するPluronic(登録商標))。米国特許第3,74
0,421号を参照されたい。
【0103】
ポロクサマーの例は、以下の一般式を有する:HO(CO)(CO)
(CO)H、式中、aブロックおよびbブロックは、以下の値を有する。
【表1】
【0104】
本明細書で使用される場合、分子量単位は、ダルトン(Da)またはg/molである
【0105】
製剤に関して、ポロクサマーは、1100Da~17,400Da、7,500Da~
15,000Da、または7,500Da~10,000Daの範囲の分子量を一般に有
する。ポロクサマーは、ポロクサマー188またはポロクサマー407から選択され得る
。本発明の製剤中のポロクサマーの最終濃度は、0.001~5w/v%、または0.0
25~1w/v%である。ポロクサマーを含む界面活性剤系は、さらにポリオールを含ま
なければならない。ある態様では、ポリオールは、プロピレングリコールであり、1~2
0w/v%の最終濃度である。ある態様では、ポリオールは、ポリエチレングリコール4
00であり、1~20w/v%の最終濃度である。
【0106】
製剤に適したポリオールは、高分子ポリオール、特に、プロピレングリコールおよびポ
リエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルを含むが、これらに
限定されないポリエーテルジオールである。プロピレングリコールは、約425から約2
700の単量体の分子量の範囲で入手可能である。ポリエチレングリコールおよびポリエ
チレングリコールモノメチルエーテルも、約200~約35000にわたる分子量の範囲
で入手可能であり、PEG200、PEG300、PEG400、PEG1000、PE
GMME550、PEGMME600、PEGMME2000、PEGMME3350、
およびPEGMME4000を含むが、これらに限定されない。別のポリエチレングリコ
ールは、ポリエチレングリコール400である。本発明の製剤中のポリオールの最終濃度
は、1~20w/v%または6~20w/v%とすることができる。
【0107】
製剤は、pH緩衝食塩水も含有する。緩衝剤は、例えば、トリス、酢酸塩、グルタミン
酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、リン酸塩、クエン酸塩、炭酸塩、グリシン酸塩
、L-ヒスチジン、グリシン、コハク酸塩、HEPES(4-(2-ヒドロキシエチル)
-1-ピペラジンエタンスルホン酸)、MOPS(3-(N-モルホリノ)プロパンスル
ホン酸)、MES(2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸)、およびトリエタノール
アミン緩衝剤からなる群から選択され得る。緩衝剤は、4~10、5.2~7.5、また
は5.8~7.0の範囲のpHに溶液を緩衝することができる。本発明のある態様では、
緩衝剤は、リン酸塩、コハク酸塩、L-ヒスチジン、MES、MOPS、HEPES、酢
酸塩、またはクエン酸塩からなる群から選択される。緩衝剤は、例えば、特に、医薬製剤
が非経口使用のためのものである場合、非経口使用のためのUSP適合緩衝剤からさらに
選択され得る。緩衝剤の濃度は、1mM~50mMまたは5mM~50mMにわたること
になる。ある態様では、緩衝剤は、5mM~50mMの最終濃度のL-ヒスチジン、また
は1mM~10mMの最終濃度のコハク酸塩である。ある態様では、L-ヒスチジンは、
20mM±2mMの最終濃度である。
【0108】
食塩水(すなわち、NaClを含有する溶液)が好ましいが、製剤に適した他の塩は、
CaCl、KClおよびMgCl、ならびにその組合せを含むが、これらに限定され
ない。スクロース、トレハロース、マンニトール、ソルビトール、およびグリセロールを
含むが、これらに限定されない非イオン性等張剤が塩の代わりに使用され得る。適した塩
の範囲は、25mM~500mMまたは40mM~170mMを含むが、これらに限定さ
れない。一態様では、食塩水は、NaClであり、20mM~170mMの濃度で存在し
てもよい。
【0109】
好ましい実施形態では、製剤は、塩化ナトリウムを有するL-ヒスチジン緩衝液を含む
【0110】
本明細書に記載の製剤のある実施形態では、ポリサッカライド-タンパク質コンジュゲ
ート体は、担体タンパク質にコンジュゲートされた1つまたは複数の肺炎球菌ポリサッカ
ライドを含む。担体タンパク質は、CRM197、ジフテリア毒素フラグメントB(DT
FB)、DTFB C8、ジフテリアトキソイド(DT)、破傷風トキソイド(TT)、
TTのフラグメントC、百日咳トキソイド、コレラトキソイド、エシェリキア・コリLT
、エシェリキア・コリST、シュードモナス・エルジノーサからの外毒素A、およびその
組合せから選択され得る。ある態様では、1つまたは複数のポリサッカライド-タンパク
質コンジュゲート体は、DTFBにコンジュゲートされている。一態様では、ポリサッカ
ライド-タンパク質コンジュゲート体の全ては、水性化学反応を使用して調製される。例
として、ポリサッカライド-タンパク質コンジュゲート製剤は、CRM197ポリペプチ
ドにコンジュゲートされた血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18
C、19A、19F、22F、23F、および33Fからのストレプトコッカス・ニュー
モニエポリサッカライドから本質的になる15価肺炎球菌コンジュゲート(15vPnC
)製剤とすることができる。別の態様では、ポリサッカライド-タンパク質コンジュゲー
ト体の1つまたは複数は、DMSO化学反応を使用して調製される。例として、ポリサッ
カライド-タンパク質コンジュゲート製剤は、血清型6A、6B、7F、18C、19A
、19F、および23Fからのポリサッカライド-タンパク質コンジュゲート体がDMS
O化学反応を使用して調製され、血清型1、3、4、5、9V、14、22F、および3
3Fからのポリサッカライド-タンパク質コンジュゲート体が水性化学反応を使用して調
製される15価肺炎球菌コンジュゲート(15vPnC)製剤とすることができる。
【0111】
別の実施形態では、医薬組成物は、徐放系で送達される。例えば、薬剤は、静脈内注入
、経皮パッチ、リポソーム、または他の投与様式を使用して投与され得る。別の実施形態
では、例えば、ミクロスフェア中または移植片における高分子材料が使用される。
【0112】
本発明の組成物は、ストレプトコッカス・ニューモニエからの1つまたは複数のタンパ
ク質も含み得る。包含に適したストレプトコッカス・ニューモニエタンパク質の例は、国
際特許出願公開第02/083855号および国際公開第02/053761号において
同定されているものを含む。
【0113】
添付の説明および図面を参照して本発明の様々な実施形態を説明したが、本発明は、そ
れらの正確な実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲ま
たは精神から逸脱することなく、当業者によって様々な変更および修正がそこに行われ得
ることを理解されたい。
【0114】
以下の実施例は、本発明を例証するが、限定するものではない。
【0115】
[実施例]
実施例1:DTFB担体タンパク質の調製
DTFB調製のためのマルチモーダル陰イオン交換クロマトグラフィーの使用
以前記載されたように(国際特許出願公開第2012/173876A1号を参照され
たい)シュードモナス・フルオレセンス(Pseudomonas fluoresce
ns)における発現により得られた精製されたCRM197を50mMのトリス、pH8
.0中で約22℃で約1時間、1:500のモル比のチロシン対CRM197を使用して
組換えトリプシンで消化した。次いで、50mMのトリス、pH8中のジチオトリトール
(DTT)を約22℃で30分間5mMの最終濃度まで添加して、タンパク分解性に切断
されたCRM197のAおよびBフラグメント間のジスルフィド結合を還元した。
【0116】
次いで、消化反応物を、50mMのトリス、pH8で平衡化したマルチモーダル陰イオ
ン交換クロマトグラフィーカラム(Capto(商標)Adhere、GE Healt
hcare)にロードした。カラムを50mMのトリス、pH8で洗浄し、DTFB生成
物を50mMのトリス、pH8中の0.45M~0.65Mの塩化ナトリウムの勾配で溶
出した。生成物を、5kDaの公称分子量カットオフ(NMWCO)接線流限外ろ過膜を
使用して、濃縮し、10mMのリン酸カリウム、pH8に対してダイアフィルターした。
DTFB生成物を含有するリテンテートを0.2ミクロンろ過し、2~8℃で保存した。
生成物濃度を280nmでの吸光度によって決定し、純度を非還元条件下でSDS-PA
GEによって評価した。
【0117】
結果は、マルチモーダル陰イオン交換クロマトグラフィー溶離剤が少量の二量体を有し
、単量体として主に存在する比較的純粋なDTFBを含有したことを示している。図1A
を参照されたい。二量体形成は、DTFB単量体間のジスルフィド結合形成に起因した。
以下の節に例示されるように、DTTは、二量体形成の可能性を最小限にするためにクロ
マトグラフィーおよび限外ろ過ステップにおいて使用されてきた。
【0118】
DTFB調製のためのマルチモーダル陽イオン交換クロマトグラフィーの使用
DTFB二量体の存在のために、代替の精製方法を調査した。上記のようにシュードモ
ナス・フルオレセンスでの発現により得られた精製CRM197を300mMのトリス、
pH7.5を使用して約1mg/mLのタンパク質濃度に希釈した。トリプシンを約1:
3250のトリプシン対CRM197モル比を使用してタンパク質溶液に添加した。溶液
を室温で約20時間インキュベートした。次いで、300mMのトリス、pH7.5中の
DTTを10mMのDTTの最終濃度まで添加して、タンパク分解性に切断されたCRM
197間のジスルフィド結合を還元し、AフラグメントとBフラグメントとを分離した。
【0119】
約75分後、還元タンパク質溶液をマルチモーダル陽イオン交換クロマトグラフィーカ
ラム(Capto(商標)MMC、GE Healthcare)にロードした。カラム
を、タンパク質溶液をロードする前に、300mMのトリス、10mMのDTT、pH7
.5で2~8℃で平衡化した。ローディング後、カラムを200mMの塩化ナトリウムお
よび10mMのDTTを含有する300mMのトリス、pH7.5で2~8℃で洗浄し、
次いで生成物を300mMのトリス、pH8.5中の1Mの塩化ナトリウムで2~8℃で
溶出した。約0.002w/v%のPS-20を5kDaのNMWCO接線流限外ろ過膜
を使用して2~8℃で濃縮する前に、バッチに添加した。濃縮後、追加のPS-20を0
.02w/v%のPS-20の濃度までバッチに添加し、バッチを100mMのリン酸カ
リウム、10mMのDTT、pH8に対してダイアフィルターした。バッチを、5kDa
膜を用いた接線流ろ過を使用してさらに濃縮した。最終リテンテートを0.2ミクロンろ
過し、コンジュゲーション前に凍結または2~8℃で保存した。
【0120】
DTFB試料を還元条件下でSDS-PAGEにより分析した(図1Bおよび1C)。
ゲルの濃度分析は、0.2ミクロンろ過後の最終バルク中間体(FBI)が>98%の純
度を有することを示す。
【0121】
図1Cに示される最終バルク中間体(FBI)を質量分析を用いた液体クロマトグラフ
ィー(LC-MS)によって分析して、無傷のタンパク質質量を測定した。LC-MS分
析をDTTでの還元後の試料について行った。メインピークからの生データのデコンボリ
ューションは、37,194.2Daの測定質量をもたらした。この質量測定は、DTF
Bに関する37,194.4Daの理論的質量と一致し、予想されるアミノ酸配列を確認
した。
【0122】
ペプチドマップをトリプシン、エンドプロテイナーゼAsp-N、およびエンドプロテ
イナーゼGlu-C消化の組合せから得た。試料を6Mグアニジン-HClの存在下での
ヨードアセトアミドでの還元的アルキル化に供し、別々に各酵素で37℃で約16~17
時間、消化した。消化をギ酸の添加によってクエンチした。ペプチドを分離し、LC-M
Sによって分析した。別々の消化によって同定されたペプチドの組合せを使用して、アミ
ノ酸配列のカバー度は、約98%であった。見出されたペプチドは、予測されたDTFB
配列と一致していた。
【0123】
DTFB精製のための代替のマルチモーダル陽イオン交換クロマトグラフィープロセス
上記のようにシュードモナス・フルオレセンスにおける発現により得られた精製CRM
197を、300mMのトリス、pH7.5を使用して約5mg/mLのタンパク質濃度
に希釈した。トリプシンを約1:3000のトリプシン対CRM197モル比を使用して
タンパク質溶液に添加した。溶液を約22℃で約15~20時間インキュベートした。次
いで、300mMのトリス、pH7.5中のDTTを≧10mMのDTTの最終濃度まで
添加して、タンパク分解性に切断されたCRM197間のジスルフィド結合を還元し、A
フラグメントとBフラグメントとを分離した。
【0124】
還元タンパク質溶液を樹脂1Lあたり約25gのタンパク質でマルチモーダル陽イオン
交換クロマトグラフィーカラム(Capto(商標)MMC、GE Healthcar
e)にロードした。カラムを、タンパク質溶液をロードする前に、300mMのトリス、
10mMのDTT、pH7.5で約22℃で平衡化した。ローディング後、カラムを20
0mMの塩化ナトリウムおよび10mMのDTTを含有する300mMのトリス、pH7
.5で約22℃で洗浄し、次いで生成物を300mMのトリス、pH8.5中の1M塩化
ナトリウムで22℃で溶出した。マルチモーダル陽イオン交換クロマトグラフィーからの
DTFB生成物は、5kDaのNMWCO接線流限外ろ過膜を使用してダイアフィルター
し、濃縮することができ、上記のように0.2ミクロンろ過することができる。
【0125】
マルチモーダル陽イオン交換プロセスからのDTFB試料を還元条件下でSDS-PA
GEによって分析した(図1D)。ゲルの濃度分析は、マルチモーダル陽イオン交換カラ
ムから溶出したDTFBタンパク質産物が高度に精製されていることを示す。
【0126】
限外ろ過中のDTFB安定性に及ぼす緩衝液pH、イオン強度、およびPS-20界面
活性剤濃度の効果
緩衝液pH、イオン強度およびPS-20界面活性剤の研究を行って、DTFB限外ろ
過ステップの開発中に観察されたタンパク質粒子形成に取り組んだ。DTFBを0、20
0、または500mMの塩化ナトリウムを用いてpH7、7.5、またはpH8で100
mMのリン酸カリウムに調整した。示差走査熱量測定を使用して、pHおよび塩化ナトリ
ウム濃度の関数としてのDTFB溶液の安定性(融解温度、Tm)を評価した。表1に示
すように、pHを7から8に増加させると、DTFB Tmが約3℃上昇した。0~50
0mMの塩化ナトリウムの範囲の塩化ナトリウムは、調査したpH値でTmに著しい影響
を与えなかった。
【表2】
【0127】
別個の研究では、精製DTFBを0、150、500、および1000mMの塩化ナト
リウムを用いて100mMのリン酸カリウム中でpH6.0、pH7.0、およびpH8
.5に調整した。溶液を室温で終夜保持し、次いで遠心分離して、沈殿したタンパク質を
除去した。上清を、UV280吸光度検出を用いたサイズ排除クロマトグラフィーによっ
てタンパク質濃度に関してアッセイした(図2)。この研究における上清タンパク質濃度
は、0および150mMの塩化ナトリウムでの溶液pHによって影響されなかった。しか
しながら、より高い塩化ナトリウム濃度(500および1000mM)では、結果は、緩
衝液pHがpH7.0または8.5から6.0に低下するにつれて、上清タンパク質濃度
の明白な低下を示し、これは、DTFB安定性の低下を示す。
【0128】
DTFB安定性に及ぼすPS-20濃度の効果を、50および100mMのリン酸カリ
ウム、pH8溶液中ならびに50mMのリン酸カリウム、150mMの塩化ナトリウム、
pH8中のDTFB溶液に漸増量のPS-20を添加することによって研究した。溶液を
5分間ボルテックスし、次いで遠心分離した。上清を、UV280吸光度検出を用いたサ
イズ排除クロマトグラフィーによってタンパク質濃度に関してアッセイした(図3)。著
しいボルテックス誘発タンパク質喪失がPS-20を含まない試料において観察された。
DTFBの回収率は、≧0.01w/v%のPS-20を含有する試料で著しく改善され
た。
【0129】
実施例2:ストレプトコッカス・ニューモニエ莢膜ポリサッカライドの調製
肺炎球菌を培養する方法は、当技術分野で既知である。例えば、Chase,1967
,Methods of lmmunology and Immunochemist
ry 1:52を参照されたい。肺炎球菌莢膜ポリサッカライドを調製する方法もまた当
該分野で既知である。例えば、欧州特許第0497524号を参照されたい。肺炎球菌サ
ブタイプの分離株は、アメリカンタイプカルチャーコレクション(Manassas、V
A)から入手可能である。細菌は、血液寒天上でアルファ溶血性である被包性、非運動性
、グラム陽性、ランセット型双球菌として同定されている。サブタイプは、特定の抗血清
を使用して、クエリング反応に基づいて区別され得る。例えば、米国特許第5,847,
112号を参照されたい。
【0130】
興味のあるストレプトコッカス・ニューモニエ血清型のそれぞれを表す細胞バンクを凍
結バイアル中でMerck Culture Collection(Rahway、N
J)から入手した。融解した種培養物を、ストレプトコッカス・ニューモニエに適切な予
め滅菌された増殖培地を含有する種発酵槽に移した。培養物を、温度およびpH制御しな
がら種発酵槽中で増殖させた。種発酵槽の全容量を、予め滅菌した増殖培地を含む生産発
酵槽に移した。作製発酵は、プロセスの最終細胞増殖段階であった。温度、pH、および
撹拌速度を制御した。
【0131】
発酵プロセスを不活性化剤の添加を通して終結させた。不活性化後、バッチを不活性化
タンクに移し、そこで制御された温度および撹拌で保持した。細胞片を遠心分離とろ過の
組合せを使用して除去した。バッチを限外ろ過かつダイアフィルターした。次いでバッチ
を、不純物を除去し、ポリサッカライドを回収する溶媒ベースの分画に供した。
【0132】
実施例3:水溶液中での還元的アミノ化を使用したDTFB担体タンパク質へのポリサ
ッカライドのコンジュゲーション
マウス免疫原性研究のための血清型3-DTFB(ST3-DTFB)コンジュゲート
体の調製
実施例2に記載したように得られた精製血清型3ポリサッカライドを水に溶解した。約
200kDaの平均分子量までのPsサイズの減少を、試料を氷中で冷却しながらプロー
ブ超音波処理器を使用して行った。超音波処理した試料を0.2ミクロンろ過し、2~8
℃で保存した。ポリサッカライド溶液を30kDaのNMWCO接線流ろ過膜に対するダ
イアフィルトレーションによって濃縮した。
【0133】
ポリサッカライドを、メタ過ヨウ素酸ナトリウム酸化を使用して、コンジュゲーション
用に調製した(Anderson et al.,1986,J Immunol.13
7:1181-1186および米国特許出願公開第20110195086号を参照され
たい)。100mMのメタ過ヨウ素酸ナトリウム溶液を50mMの酢酸ナトリウム中のポ
リサッカライド溶液に添加した。試料を、光から保護して19~25℃で14~18時間
混合した。エチレングリコール(ポリサッカライド繰返し単位に対して100:1モル過
剰)を添加し、19~25℃でさらに16~18時間混合して、残留メタ過ヨウ素酸ナト
リウムをクエンチし、酸化反応を停止した。生じた溶液を10容量の水に対してダイアフ
ィルターした。酸化ポリサッカライド溶液を-70℃でアリコートで保存した。
【0134】
過ヨウ素酸酸化ポリサッカライドを、0.6:1のポリサッカライド対タンパク質質量
比で、(マルチモーダル陰イオン交換クロマトグラフィーを使用して)実施例1に記載し
たように調製したDTFBと混合した。リン酸カリウム、pH6.4および塩化ニッケル
を、それぞれ145mMおよび2.2mMの最終濃度まで添加した。次いで、約1~2モ
ル当量までのシアノ水素化ホウ素ナトリウムを添加した。反応を光から保護し、2~8℃
で120時間にわたって行った。
【0135】
次いで、混合物を、2~8℃で合計14~18時間、2回交換した25mMのリン酸カ
リウム緩衝液、pH6.4、0.3Mの塩化ナトリウムに対して透析した。不溶性物質を
短時間の遠心分離によって除去し、コンジュゲート体をサイズ排除クロマトグラフィー(
SEC)によって磨いて、遊離ポリサッカライドおよびタンパク質を減少させた。SEC
で磨いたコンジュゲート体を30kDのNMWCO遠心濃縮機で濃縮した。
【0136】
子アカゲザル免疫原性研究のための血清型3-DTFB複合体の調製
精製血清型3肺炎球菌莢膜ポリサッカライド粉末を水に溶解し、0.45ミクロンろ過
した。バッチをホモジナイズして、Psの分子質量を減少させ、0.22ミクロンろ過し
た。コンジュゲーション前のストレプトコッカス・ニューモニエポリサッカライドのサイ
ズ減少は、より特異的で再現性があり管理しやすい物理的性質を有するポリサッカライド
を産出するための手段として以前に記載されている(Marburgら、1997、米国
特許第5,623,057号)。Marburgらによって記載されているように、ポリ
サッカライドサイズ減少は、溶解性およびろ過性を増加させ、かつ多分散性および粘度を
減少させ、それによってコンジュゲーション一貫性およびコンジュゲーションの容易さを
改善することが知られている。ホモジナイゼーションを使用したストレプトコッカス・ニ
ューモニエからの血清型19Fポリサッカライドのポリサッカライドサイズの減少は、以
前に記載されている(Lander et al.,2000,Biotechnol.
Frog.2000,16,80-85)。次いで、サイズ減少ポリサッカライドを濃縮
し、10kDaのNMWCO接線流限外ろ過膜を使用して水に対してダイアフィルターし
た。
【0137】
次いで、50mMの酢酸ナトリウムを添加し、ポリサッカライド上に反応性アルデヒド
を形成するための100mMのメタ過ヨウ素酸ナトリウム溶液の添加でポリサッカライド
活性化を開始した。バッチを約22℃で約12時間インキュベートした。バッチを、≦8
℃で10kDaのNMWCO接線流限外ろ過膜を使用して10mMのリン酸カリウム、p
H6.4に対してダイアフィルターし、生成物に富むリテンテートを濃縮した。
【0138】
活性化ポリサッカライド溶液を水および1.5Mのリン酸カリウム、pH7.0とブレ
ンドした。精製DTFBを0.2ミクロンろ過し、次いで、1.3:1のポリサッカライ
ド対タンパク質質量比で緩衝液調整ポリサッカライド溶液と組み合わせた。次いで、溶液
を0.2ミクロンろ過した。塩化ニッケルを、100mMの塩化ニッケルストック溶液を
使用して、バッチに最終濃度約2mMまで添加した。次いで、シアノ水素化ホウ素ナトリ
ウム(ポリサッカライド繰返し単位1モルあたり2モル)を添加した。バッチを約10℃
で約120時間反応させて、ポリサッカライドおよびタンパク質の消費を最大にした。
【0139】
コンジュゲーション反応後、バッチを約3.5g/Lのポリサッカライド濃度まで希釈
し、2~8℃に冷却し、1.2ミクロンろ過し、100kDaのNMWCO接線流限外ろ
過膜を使用して、2~8℃で100mMのリン酸カリウム、pH7.0に対してダイアフ
ィルターした。次いで、リテンテート中で回収されたバッチを約2.0gポリサッカライ
ド/Lまで希釈し、1.2Mの重炭酸ナトリウム、pH9.4の添加によりpH調整した
。水素化ホウ素ナトリウム(ポリサッカライド繰返し単位1モルあたり1モル)を添加し
た。1.5Mのリン酸カリウム、pH6.0を追って添加した。
【0140】
次いで、バッチを濃縮し、300kDaのNMWCO接線流限外ろ過膜を使用して、2
~8℃で150mMの塩化ナトリウム、pH7.0中の10mMのL-ヒスチジンに対し
てダイアフィルターした。リテンテートを0.2ミクロンろ過し、追加の150mMの塩
化ナトリウム、pH7.0中の10mMのL-ヒスチジンを用いて1.0g/Lのポリサ
ッカライド濃度に調整した。バッチをアリコートに分注し、≦-60℃で凍結した。
【0141】
実施例4:水溶液中での還元的アミノ化を使用したCRM197への血清型1、3、4
、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、22F、23F、およ
び33Fのコンジュゲーション
異なる血清型ポリサッカライドを、共通のプロセスフローを使用して精製CRM197
担体タンパク質に個々にコンジュゲートした。ポリサッカライドを溶解し、サイズを減少
させ、化学的に活性化し、限外ろ過により緩衝液交換した。次いで、精製CRM197
、反応混合物中のNiCl(2mM)を利用して活性化ポリサッカライドにコンジュゲ
ートし、生じたコンジュゲート体を最終0.2ミクロンろ過の前に限外ろ過によって精製
した。pH、温度、濃度、および時間などの各ステップ内のいくつかのプロセスパラメー
タを以下の節において血清型特異的な値に制御した。
【0142】
ポリサッカライドサイズ減少および酸化
精製肺炎球菌莢膜ポリサッカライド粉末を水に溶解し、血清型19Aを除く全ての血清
型を0.45ミクロンろ過した。血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14
、19A、19F、22F、23F、および33Fをホモジナイズして、ポリサッカライ
ドの分子質量を減少させた。血清型18Cを≧90℃でのホモジナイゼーションまたは酸
加水分解のいずれかによってサイズ減少した。血清型19Aは、その比較的低い開始サイ
ズのためにサイズが縮小されなかった。ホモジナイゼーション圧力およびホモジナイザー
を通過する回数を血清型特異的目標(150~1000bar;4~7回通過)に制御し
て、血清型特異的分子質量を達成した。サイズ減少ポリサッカライドを0.2ミクロンろ
過し、次いで、濃縮し、10kDaのNMWCO接線流限外ろ過膜を使用して水に対して
ダイアフィルターした。5kDaのNMWCO膜を酸加水分解血清型18Cに使用した。
【0143】
次いで、ポリサッカライド溶液を、酢酸ナトリウム緩衝液を用いて血清型特異的温度(
4~22℃)およびpH(4~5)に調整して、活性化によるポリサッカライドサイズの
減少を最小化した。全ての血清型(血清型4を除く)に関して、ポリサッカライド活性化
を100mMのメタ過ヨウ素酸ナトリウム溶液の添加で開始した。添加したメタ過ヨウ素
酸ナトリウムの量は、血清型特異的であり、ポリサッカライド繰返し単位1モルあたり約
0.1~0.5モルのメタ過ヨウ素酸ナトリウムにわたった。メタ過ヨウ素酸ナトリウム
の血清型特異的電荷は、目標レベルのポリサッカライド活性化を達成するためのものであ
った(ポリサッカライド繰返し単位1モルあたりのアルデヒドのモル数)。血清型4に関
して、メタ過ヨウ素酸ナトリウム添加前に、バッチを約50℃かつpH4.1でインキュ
ベートして、ポリサッカライドを部分的に脱ケタール化した。
【0144】
血清型5および7Fを除く全ての血清型に関して、活性化生成物を、10kDaのNM
WCO接線流限外ろ過膜を使用して10mMのリン酸カリウム、pH6.4に対してダイ
アフィルターした。5kDaのNMWCO膜を酸加水分解血清型18Cに使用した。血清
型5および7Fを10mMの酢酸ナトリウムに対してダイアフィルターした。全ての血清
型に関する限外ろ過を2~8℃で行った。
【0145】
CRM197へのポリサッカライドコンジュゲーション
酸化ポリサッカライド溶液を血清型に応じて、水および1.5Mのリン酸カリウム、p
H6.0またはpH7.0と混合した。選択された緩衝液pHは、コンジュゲーション反
応中の活性化ポリサッカライドの安定性を改善するためのものであった。以前記載された
ように(国際特許出願公開第2012/173876A1号を参照されたい)シュードモ
ナス・フルオレセンス中での発現を通して得られた精製CRM197を0.2ミクロンろ
過し、血清型に応じて0.4~1.0w/wにわたるポリサッカライド対CRM197
量比で緩衝ポリサッカライド溶液と組み合わせた。質量比を生じたコンジュゲート中のポ
リサッカライド対CRM197比を制御するように選択した。ポリサッカライドおよびリ
ン酸濃度は、血清型特異的であり、血清型に応じてそれぞれ3.6~10.0g/Lおよ
び100~150mMにわたった。血清型特異的ポリサッカライド濃度を生じたコンジュ
ゲート体のサイズを制御するように選択した。次いで、溶液を0.2ミクロンろ過した。
塩化ニッケルを100mMの塩化ニッケル溶液を使用して約2mMまで添加した。シアノ
水素化ホウ素ナトリウム(ポリサッカライド繰返し単位1モルあたり2モル)を添加した
。コンジュゲーションを血清型特異的な期間(72~120時間)進行させて、ポリサッ
カライドおよびタンパク質の消費を最大にした。
【0146】
酸加水分解血清型18Cを、それぞれ約12.0g/Lおよび約6.0g/Lのポリサ
ッカライドおよびタンパク質濃度を使用して、シアノ水素化ホウ素ナトリウムと約pH8
の100mMのリン酸カリウム中で37℃でコンジュゲートした。
【0147】
水素化ホウ素ナトリウムでの還元
コンジュゲーション反応後、バッチを約3.5g/Lのポリサッカライド濃度まで希釈
し、2~8℃まで冷却し、1.2ミクロンろ過した。全ての血清型(血清型5を除く)を
、100kDaのNMWCO接線流限外ろ過膜を使用して、2~8℃で100mMのリン
酸カリウム、pH7.0に対してダイアフィルターした。次いで、リテンテート中で回収
されたバッチを約2.0gポリサッカライド/Lまで希釈し、1.2Mの重炭酸ナトリウ
ム、pH9.4の添加によりpH調整した。水素化ホウ素ナトリウム(ポリサッカライド
繰返し単位1モルあたり1モル)を添加した。1.5Mのリン酸カリウム、pH6.0を
追って添加した。血清型5を、100kDaのNMWCO接線流限外ろ過膜を使用して、
300mMのリン酸カリウムに対してダイアフィルターした。
【0148】
最終ろ過および生成物保存
次いで、バッチを濃縮し、300kDaのNMWCO接線流限外ろ過膜を使用して、4
℃で150mMの塩化ナトリウム、pH7.0中の10mMのL-ヒスチジンに対してダ
イアフィルターした。リテンテートバッチを0.2ミクロンろ過した。
【0149】
血清型19Fを22℃で約7日間インキュベートし、100kDaのNMWCO接線流
限外ろ過膜を使用して、4℃で150mMの塩化ナトリウム、pH7.0中の10mMの
L-ヒスチジンに対してダイアフィルターし、0.2ミクロンろ過した。
【0150】
バッチを追加の150mMの塩化ナトリウム、pH7.0中の10mMのL-ヒスチジ
ンを用いて1.0g/Lのポリサッカライド濃度に調整した。バッチをアリコートに分注
し、≦-60℃で凍結した。
【0151】
実施例5:ジメチルスルホキシド中での還元的アミノ化を使用したCRM197への血
清型6A、6B、7F、18C、19A、19F、および23Fのコンジュゲーションの
ための方法
異なる血清型ポリサッカライドを、共通のプロセスフローを使用して精製CRM197
担体タンパク質に個々にコンジュゲートした。ポリサッカライドを溶解し、サイズを目標
分子質量まで減少させ、化学的に活性化し、限外ろ過により緩衝液交換した。活性化ポリ
サッカライドおよび精製CRM197を個々に凍結乾燥し、ジメチルスルホキシド(DM
SO)に再溶解した。次いで、再溶解したポリサッカライドおよびCRM197溶液を下
記のように組み合わせ、コンジュゲートした。生じたコンジュゲートを、最終的な0.2
ミクロンろ過の前に、限外ろ過によって精製した。pH、温度、濃度、および時間などの
各ステップ内のいくつかのプロセスパラメータを以下の節において血清型特異的な値に制
御した。
【0152】
ポリサッカライドサイズ減少および酸化
精製肺炎球菌莢膜ポリサッカライド粉末を水に溶解し、血清型19Aを除く全ての血清
型を0.45ミクロンろ過した。血清型18Cおよび19Aを除く全ての血清型をホモジ
ナイズして、ポリサッカライドの分子質量を減少させた。ホモジナイゼーション圧力およ
びホモジナイザーを通過する回数を血清型特異的目標(150~1000bar;4~7
回通過)に制御した。血清型18Cを≧90℃での酸加水分解によってサイズ減少した。
血清型19Aは、サイズ減少しなかった。
【0153】
サイズ減少ポリサッカライドを0.2ミクロンろ過し、次いで、濃縮し、10kDaの
NMWCO接線流限外ろ過膜を使用して水に対してダイアフィルターした。5kDaのN
MWCO膜を血清型18Cに使用した。
【0154】
次いで、ポリサッカライド溶液を、酢酸ナトリウム緩衝液を用いて血清型特異的温度(
4~22℃)およびpH(4~5)に調整した。ポリサッカライド活性化をメタ過ヨウ素
酸ナトリウム溶液の添加で開始した。添加したメタ過ヨウ素酸ナトリウムの量は、血清型
特異的であり、ポリサッカライド繰返し単位1モルあたり約0.1~0.5モルのメタ過
ヨウ素酸ナトリウムにわたった。
【0155】
全ての血清型に関して、活性化生成物を、10kDaのNMWCO接線流限外ろ過膜を
使用して10mMのリン酸カリウム、pH6.4に対してダイアフィルターした。5kD
aのNMWCO膜を血清型18Cに使用した。全ての血清型に関する限外ろ過を2~8℃
で行った。
【0156】
CRM197へのポリサッカライドコンジュゲーション
以前記載されたように(国際特許出願公開第2012/173876A1号を参照され
たい)シュードモナス・フルオレセンス中での発現を通して得られた精製CRM197
、5kDaのNMWCO接線流限外ろ過膜を使用して2mMのリン酸、pH7緩衝液に対
してダイアフィルターし、0.2ミクロンろ過した。
【0157】
酸化ポリサッカライド溶液を凍結乾燥に備えて水およびスクロースと製剤化した。タン
パク質溶液を凍結乾燥に備えて水、リン酸緩衝液、およびスクロースと製剤化した。スク
ロース濃度は、1~5%にわたり、凍結乾燥後にDMSO中で最適な再溶解を達成した。
【0158】
製剤化ポリサッカライドおよびCRM197溶液を個々に凍結乾燥した。凍結乾燥ポリ
サッカライドおよびCRM197材料をDMSOに再溶解し、ティーミキサーを使用して
混合した。シアノ水素化ホウ素ナトリウム(ポリサッカライド繰返し単位1モルあたり1
モル)を添加し、コンジュゲーションを血清型特異的な期間(1~48時間)進行させて
、目標のコンジュゲートサイズを達成した。
【0159】
水素化ホウ素ナトリウムでの還元
水素化ホウ素ナトリウム(ポリサッカライド繰返し単位1モルあたり2モル)をコンジ
ュゲーション反応後に添加した。バッチを約4℃で150mMの塩化ナトリウム中に希釈
した。次いで、リン酸カリウム緩衝液を添加して、pHを中和した。次いで、バッチを濃
縮し、10kDaのNMWCO接線流限外ろ過膜を使用して、150mMの塩化ナトリウ
ムに対して約4℃でダイアフィルターした。
【0160】
最終ろ過および生成物保存
次いで、各バッチを濃縮し、300kDaのNMWCO接線流限外ろ過膜を使用して、
4℃で150mMの塩化ナトリウム、pH7.0中の10mMのL-ヒスチジンに対して
ダイアフィルターした。リテンテートバッチを0.2ミクロンろ過した。
【0161】
血清型19Fを約5日間インキュベートし、300kDaのNMWCO接線流限外ろ過
膜を使用して、約4℃で150mMの塩化ナトリウム、pH7.0中の10mMのL-ヒ
スチジンに対してダイアフィルターし、0.2ミクロンろ過した。
【0162】
バッチを追加の150mMの塩化ナトリウム、pH7.0中の10mMのL-ヒスチジ
ンで希釈し、アリコートに分注し、≦-60℃で凍結した。
【0163】
実施例6:ST3-DTFB一価コンジュゲート製剤を使用したマウス免疫原性研究
ST3-CRM197と比較したST3-DTFBの免疫原性をマウスモデルにおいて
評価した。マウスに投与するためのアジュバント製剤を、100μLあたり0.08μg
のポリサッカライドと5μgのアルミニウムの用量に関して、24μLの滅菌ろ過したコ
ンジュゲート体(食塩水中1:10-1mLあたり0.1258mgのDTFBまたはC
RM197コンジュゲートポリサッカライド)と62μLのAPA、および3.664m
Lの滅菌食塩水を混合することによって調製した。製剤化されたワクチンを2~8℃で個
々のホウケイ酸栓付きバイアル中に保存して、個々の免疫化を支持した。
【0164】
ST3-DTFBを6~8週齢の雌Balb/Cマウスにおいて評価した(n=10/
群)。マウスを実施例3および4に記載したように調製した独自のST3-DTFBおよ
びST3-CRM197コンジュゲート調製物を使用して作製したST3-DTFB/A
PAおよび2つのST3-CRM197/APAロットで免疫化した。ST3 PnPs
濃度は、0、14および28日目に腹腔内投与された、5μgのAPAを有する0.1m
l容量中の1用量あたり0.08μgであった。血清を研究開始前(プレ)および39日
目、用量後3(PD3)に収集し、ST3 WHO ELISA[標準化された世界保健
機関(WHO)プロトコルに従って]およびタンパク質担体ELISA(CRM197
よびDTFB)において試験した。マウスに49日目にストレプトコッカス・ニューモニ
エ血清型3(207CFU/0.5ml)を腹腔内投与した。
【0165】
WHO ELISA結果(図4)は、ST3-DTFB/APAとST3-CRM19
/APAの両方で免疫したマウスが同様のPD3 PnPs 3力価を有したことを示
した。ST3-DTFB/APAおよびST3-CRM197/APAで免疫したマウス
は、血清型3負荷に対して≧90%の保護を有し、これは、陰性対照食塩水およびAPA
免疫マウスと比較して著しく高かった(図5)。
【0166】
実施例7:異なる界面活性剤および安定剤を有する15価肺炎球菌コンジュゲートワク
チンの製剤
上記のように調製した肺炎球菌ポリサッカライド-タンパク質コンジュゲート体を、血
清型1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、22F
、23F、および33Fを有する15価肺炎球菌コンジュゲートワクチン(PCV15)
の製剤に使用した。製剤を、水溶液中(実施例4)またはDMSO中(実施例5)の還元
的アミノ化によって産出された肺炎球菌ポリサッカライド-CRM197コンジュゲート
体を使用して調製した。ST3-DTFBコンジュゲート体を実施例3に従って調製した
。個々の血清型の目標最終濃度を得るのに必要なバルクコンジュゲート体の必要用量をバ
ッチ容量およびバルクポリサッカライド濃度に基づいて計算した。15のコンジュゲート
体を、PS-20、PS-80、またはP188と共に塩化ナトリウム、L-ヒスチジン
、pH5.8緩衝液から選択される賦形剤と組み合わせた。
【0167】
無菌製剤化バルクを、プロピレングリコール(PG)およびポリエチレングリコール4
00(PEG400)を有するまたは有さないバルクリン酸アルミニウムアジュバント(
APA)とのそのブレンド中およびブレンド後に穏やかに混合した。2つの濃度のコンジ
ュゲート体およびAPAを様々な製剤において研究した。1つは、8μg/mLの血清型
6Bポリサッカライドを含有し、他の全ての血清型に関して4μg/mLのポリサッカラ
イド、および250μg/mLのAPAを含有した。もう1つは、16μg/mLの血清
型6Bポリサッカライド、他の全ての血清型に関して8μg/mLのポリサッカライド、
および500μg/mLのAPAを含有した。製剤化されたワクチンを2~8℃で保存し
た。
【0168】
実施例8:水溶液中での還元的アミノ化によって産出されたコンジュゲート体を含有す
る肺炎球菌コンジュゲートワクチン製剤の安定性に及ぼす賦形剤の影響
実施例7に記載したように調製した15価肺炎球菌コンジュゲートワクチン(PCV1
5)の安定性を撹拌、再循環および回転撹拌研究の後に様々な賦形剤条件に関して評価し
て、起こり得る製造および輸送のストレスを模擬実験した。PCV15を、20mMのL
-ヒスチジン、pH5.8、150mMの塩化ナトリウム、ならびに実施例7に列挙した
2つの濃度のコンジュゲート体およびAPAのいずれか一方を用いて調製した。結果は、
異なる濃度のコンジュゲート体およびAPAでの2つの製剤間で非常に類似していたので
、より低い濃度のコンジュゲート体およびAPAを含有するPCV15製剤に関する結果
のみを本実施例において示した。撹拌研究に関して、PCV15製剤をガラス容器中で電
磁撹拌子を使用して混合した。再循環および剪断試験に関して、PCV15製剤をチュー
ブループ内で再循環させた。回転試験に関して、実施例7および表2に概説したようにP
CV15ベース製剤(L-ヒスチジン、pH5.8、および塩化ナトリウム)を調製し、
界面活性剤または安定剤を添加した。撹拌研究を、4℃で最大24時間の回転側面撹拌を
使用して設計した。目視評価を使用して、製剤を評価した。容器を通過する光線の経路は
、微粒子の検出を可能にした。さらに、粒径分布に及ぼす製造および輸送およびハンドリ
ングストレスの影響を静的光散乱(SLS)を使用して評価した。懸濁液ベースの薬物製
品の静的光散乱は、粒径分布によって示されるように、凝集のより高感度の検出を可能に
する。PCV15薬物製品の単分散(単峰性)粒径分布は、非凝集薬物製品を示している
。しかしながら、多分散多峰性粒径分布は、凝集を示している。
【0169】
撹拌研究におけるPCV15の安定性
実施例4に記載したように、水性条件下での還元的アミノ化を使用してCRM197
PCV15Aqと称される)にコンジュゲートした肺炎球菌ポリサッカライド原体を利用
するPCV15製剤を、上記の実験室規模の混合実験装置(ビーカーおよび電磁撹拌子)
を使用してスクリーニングした。PCV15Aqは、水性条件下での還元的アミノ化を使
用してCRM197にコンジュゲートされたストレプトコッカス・ニューモニエ血清型1
、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、22F、23
F、および33Fからのポリサッカライドを含有する。APAを有する20mMのL-ヒ
スチジン、150mMのNaCl中のPCV15を、ビーカーおよび電磁撹拌子を使用し
て100mLの実験室規模のバッチ調製において調製した。界面活性剤の非存在下では、
PCV15Aq製剤は、製造(撹拌)誘発損傷を受けやすく、これは、ワクチン薬物製品
の均一性を保証するための撹拌中にワクチン薬物製品の凝集をもたらす。
【0170】
非イオン性トリブロックコポリマーのクラスは、様々な賦形剤のスクリーニング研究中
に頑強な安定性を提供することが見出された。ポロクサマー188(P188)を選択し
て、凝集を制御し、頑強かつ安定なワクチン薬物製品製剤を提供した。PCV15Aq
剤を、20mMのL-ヒスチジン、pH5.8、150mMのNaCl、APA、および
P188なしか、0.08w/v%のP188、または0.24w/v%のP188のい
ずれかを用いて調製した。電磁撹拌子を使用した一定撹拌下での時間の影響を静的光散乱
を使用して評価した(図6~7)。粒径分布をMalvern Mastesizer
2000を使用して評価した。5μmのNIST粒径標準を実行し、予想される粒径分布
を作製した。全ての製剤(ポロクサマー188を有するまたは有さない)に関して、AP
Aへのコンジュゲート体の添加後に単分散ヒストグラムプロファイルが観察された(T=
0時間撹拌)。わずか7時間(T=7時間撹拌)の連続混合で、P188を有さない製剤
は、増大した粒径分布および凝集の出現をもたらした(図6)。しかしながら、いずれか
の濃度でP188を含有する製剤は、最大24時間の連続的な混合の際に増加した粒径ま
たは凝集の出現を示さなかった(T=24時間の撹拌)(図7)。
【0171】
水平撹拌研究におけるPCV15の安定性
20mMのL-ヒスチジン、pH5.8、150mMのNaCl、およびAPA中の、
0.2w/v%のP188を有するまたは有さない追加のPCV15Aq製剤を、実施例
7に記載したように100mLの実験室規模のバッチ調製において調製した。輸送および
ハンドリングを模擬実験し、ワクチン薬物製品の安定性への影響を評価するために、水平
撹拌試験を利用した。この研究は、容器閉鎖系(シリンジまたはバイアル)における表面
との相互作用、および最終的な容器構成要素および空気界面への製剤の曝露を通したPC
V15Aq製剤の直接撹拌を表す。0.64mLをシリンジに分注し、栓をした。これら
のシリンジを2~8℃で24時間水平回転させ、SLSを使用して粒径分布に関して評価
した(図8A)。目視評価も行った(図8B)。模擬輸送およびハンドリングストレスに
供されたP188の非存在下のPCV15Aq製剤は、薬物製品の粒径分布の増加ならび
にシリンジなどの容器閉鎖系での集塊および凝集の可視の兆候をもたらす。P188を有
するPCV15製剤は、粒径分布の増加または集塊および凝集の視覚的兆候を示さなかっ
た。
【0172】
実施例9:水溶液およびDMSO溶液中での還元的アミノ化によって産出されたコンジ
ュゲート体の混合物を使用して調製された肺炎球菌コンジュゲートワクチン薬物製品の安
定化に及ぼす賦形剤の影響
20mMのL-ヒスチジン、pH5.8、150mMのNaCl中のAPAを有する複
数の15価(PCV15)製剤を実験室規模の模擬輸送研究を使用して評価して、頑強な
製造可能で商業的に実行可能なワクチン薬物製品製剤を保証した。製剤PCV15Aq
、水溶液中での還元的アミノ化によって産出された肺炎球菌ポリサッカライド-CRM
97コンジュゲート体を含有した。製剤PCV15Aq/Non-Aqは、DMSO中で
の還元的アミノ化を使用して調製された血清型6A、6B、7F、19A、19F、およ
び23Fコンジュゲート体、ならびに水溶液中での還元的アミノ化を使用して調製された
血清型1、3、4、5、9V、14、18C、22F、および33Fコンジュゲート体を
含有し、ここで、全てのポリサッカライドは、CRM197にコンジュゲートされていた
。製剤PCV15Aq/Non-Aq/sT3-oTFBは、血清型3がCRM197
はなくDTFBタンパク質にコンジュゲートされていることを除いて、PCV15Aq/
Non-Aqと同様であった。結果は、実施例7に列挙した異なる濃度のコンジュゲート
体およびAPAでの2つの製剤間で非常に類似していたので、特に明記しない限り、より
低い濃度のコンジュゲート体およびAPAを含有するPCV15製剤に関する結果のみを
本実施例において示した。Prevnar13(登録商標)を多価製剤の別の例として使
用して、異なる肺炎球菌コンジュゲートワクチン製品におけるPS-80の適合性を試験
した。それは、CRM197担体タンパク質にコンジュゲートされたストレプトコッカス
・ニューモニエ血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19A
、19F、23Fポリサッカライド、ポリソルベート80、コハク酸塩緩衝液およびリン
酸アルミニウムアジュバントを含有する。コンジュゲート体を、DMSOを使用するかま
たは水性条件下での還元的アミノ化を使用して調製する。
【0173】
ワクチン製剤の安定性への影響を評価するために、水平撹拌研究を利用した。この研究
は、容器閉鎖系(シリンジまたはバイアル)における表面との相互作用、および最終的な
容器構成要素および空気界面への製剤の曝露を通した製剤の直接撹拌を表す。製剤をシリ
ンジに0.64mL充填として分注し、栓をした。これらのシリンジを2~8℃で最大8
時間水平回転した。水平撹拌下での時間の影響を、静的光散乱(SLS)を使用して粒径
分布について評価した。粒径および分布をMalvern Mastesizer 20
00を使用して評価した。5μmのNIST粒径標準を実行し、予想される粒径分布を作
製した。図9に示されるように、P188は、PCV15Aq製剤に関する頑強な安定剤
であるにもかかわらず、PCV15Aq/Non-Aq/ST3-DTFB製剤に関する
凝集を制御するための効果的な安定剤ではなかった。粒径分布の増加、ならびに集塊およ
び凝集の可視の兆候が、P188を有するPCV15Aq/Non-Aq/sT3-oT
FB製剤において注目された。
【0174】
P188が、DMSO中での還元的アミノ化によって産出されたコンジュゲート体を含
有するPCV15製剤に頑強な安定性を提供しなかったという驚くべき発見により、追加
の安定剤および賦形剤をスクリーニングした。PCV15Aq/Non-Aq/ST3-
DTFB製剤(20mMのL-ヒスチジン、pH5.8、150mMのNaCl中のAP
Aおよび様々な安定剤を有する)をシリンジに分注し、水平撹拌を使用してスクリーニン
グした。一定水平回転下での時間の影響を目視評価を使用して評価した(表2)。
【表3】
【0175】
PCV15Aq/Non-Aq/ST3-DTFB製剤の目視評価は、より高いP18
8およびPS-20濃度で凝集の兆候を示さなかった(表2)。しかしながら、P188
(0.05w/v%~1.0w/v%)またはPS-20(0.005w/v%~0.1
w/v%)を含有するPCV15Aq/Non-Aq/ST3-DTFB製剤の肉眼不可
視粒径分布を評価するためのより高解像度の研究を、SLSを使用して行った。これらの
製剤を1.5mL HyPakシリンジ(Becton-Dickinson)において
最大24時間水平回転した。SLSによって測定されたD[4,3]値を図10A-Bに
示す。D[4,3]の結果は、より高い濃度のPS-20が製剤の物理化学的安定性を著
しく改善したが、全ての濃度でのP188は、効果的ではなかったことを示している。図
10Bに示されるように、最大24時間の間のPrevnar13(登録商標)の水平撹
拌は、D[4,3]値の増加を示し、微粒子の証拠は、製剤が模擬輸送誘発凝集に対して
十分に保護されず、PS-80を本発明者らの製剤に使用した本発明者ら独自の経験に類
似していたことを示す。
【0176】
PS-20およびPS-80を用いた本発明者らのデータに基づき、非プロトン溶媒中
で作製された1つまたは複数のコンジュゲート体を含有する他の肺炎球菌ポリサッカライ
ド-タンパク質コンジュゲート体で安定性の改善が期待される。
【0177】
実施例10:PCV15中に製剤化されたST3-DTFBコンジュゲート体を使用し
た子アカゲザル(IRM)免疫原性研究
実施例1に記載されたように調製されたDTFB(マルチモーダル陽イオン交換クロマ
トグラフィー)を使用して、実施例3に記載したようにST3-DTFBコンジュゲート
体を調製した。PCV15製剤を実施例7におけるように調製した。IRM(子アカゲザ
ル、n=8/群)を0、28および56日目に、以下の表3に記載するように、100μ
Lワクチンで筋肉内(腕1~4)免疫した。血清を研究開始前(プレ)ならびに14、2
8、42、56および70日目に収集した。IRMを、病気または苦痛のあらゆる兆候に
ついて訓練を受けた動物管理スタッフが1日2回観察した。IRMにおけるワクチン製剤
は、ワクチン関連の有害事象が認められなかったため、安全かつ忍容性が高いと見なされ
た。
【表4】
【0178】
実施例6に記載したマウス研究を単一のPnPs血清型3を有する一価コンジュゲート
体を使用して完了し、IgG応答を評価するためにWHO ELISAを完了した。15
価ワクチンにおける血清型特異的IgG応答を評価するために、多重電気化学発光(EC
L)アッセイを、電気化学的刺激により光を発するSULFO-TAG(商標)ラベルを
使用するMSD技術(MSDは、米国メリーランド州ゲイサーズバーグのMesoSca
le Diagnostics,LLC.の一部門であるMesoScale Disc
overyの商標である)を使用して、Marcheseらによって記載されたヒトアッ
セイに基づいて、アカゲザル血清で使用するために開発した。ヒト抗体試薬および標準を
、子サル試料を試験する場合に使用した。子アカゲザルの結果を、ヒト参照標準(007
sp)に割り当てられた血清型特異的IgG濃度を使用して、標準曲線から読み取った幾
何平均濃度として表した。
【0179】
血清型3の用量後3(PD3)IgG応答(図11)は、免疫化群間でいかなる統計的
差異も示さなかった。ストレプトコッカス・ニューモニエ血清型3を使用したOPAアッ
セイにおいて評価した機能的抗体(図12)は、免疫化群間でいかなる統計的差異も示さ
なかった。
【0180】
実施例11:PCV15製剤の最適化
結果は、実施例7に列挙した異なる濃度のコンジュゲート体およびAPAでの2つの製
剤間で非常に類似していたので、特に明記しない限り、より低い濃度のコンジュゲート体
およびAPAを含有するPCV15製剤に関する結果のみを本実施例において示した。
【0181】
再循環ラインをPCV15製剤プロセスにおいて使用して、ワクチン薬物製品をシリン
ジおよびバイアル充填機に供給する。通例の充填中の再循環は、バイオ治療薬物製品にさ
らなる剪断力およびストレスを与え、したがって、評価するための重要なプロセシングス
テップである。研究を行って、0.2w/v%のP188および0.1w/v%のPS-
20を含有するPCV15Aq/Non-Aq/ST3-DTFBおよび製剤(64μg
/mLの全ポリサッカライドおよび250μg/mLのAPAを有する20mMのL-ヒ
スチジン、pH5.8、150mMのNaCl中)に及ぼす再循環の影響を評価した。製
剤を、ぜん動ポンプを使用して180mL/分の流速で供給容器から管を通して24時間
再循環させた。供給容器を電磁撹拌子を使用して連続的に混合し、試料を目視観察のため
に定期的に採取した。P188を含有する製剤は、集塊または視覚的凝集の出現を示した
(表4)が、PS-20を含有する製剤は、可視の凝集の兆候を示さなかった。
【表5】
【0182】
追加の再循環試験を、最大500μg/mL(w/v Al+3)のAPAおよびP1
88またはPS-20を有するPCV15Aq/Non-AqおよびPCV15Aq/N
on-Aq/ST3-DTFB製剤を使用して行った。絶えず混合しながらの24時間の
再循環後、製剤をシリンジに分注し、最大24時間水平撹拌した。製剤を検査し、シリン
ジに関する目視評価の要約を表5に示す。これらの結果は、PS-20が通例の製造およ
び輸送およびハンドリング中に発生し得る物理的不安定性または凝集に対する確固とした
解決策を提供することを示している。P188は、PCV15Aq製剤の安定化における
成功(図7~9)にもかかわらず、このPCV15Aq/Non-Aq/ST3-DTF
製剤に十分な安定性プロファイルを提供することができなかった。
【表6】
【0183】
追加の研究を、それによってDMSO中での還元的アミノ化を使用してST18Cを調
製したPCV15Aq/Non-Aq/ST3-DTFB製剤に関して行った(PCV1
Aq/Non-Aq/ST3-DTFB/ST18C-Non-Aq)。PCV15
q/Non-Aq/ST3-DTFB/ST18C-Non-Aq製剤を、64μg/m
Lの全ポリサッカライド、250μg/mLのAPA、および0.2w/v%のPS-2
0を有する20mMのL-ヒスチジン、pH5.8、150mMのNaCl中で調製した
。PCV15Aq/Non-Aq/ST3-DTFB/ST18C-Non-Aq製剤を
絶えず混合しながら最大6時間再循環させた後、製剤をシリンジに分注し、最大24時間
水平撹拌した。製剤を検査し、シリンジに関する目視評価の要約を表6に示す。これらの
結果は、PS-20が、250μg/mLのAPAおよび0.2w/v%のPS-20を
有する20mMのL-ヒスチジン、pH5.8、150mMのNaCl中で調製され、D
MSO中での還元的アミノ化を使用して調製された肺炎球菌ポリサッカライド血清型6A
、6B、7F、18C、19A、19F、および23Fコンジュゲート体と、水溶液中で
の還元的アミノ化を使用して調製された血清型1、3、4、5、9V、14、22F、お
よび33Fコンジュゲート体を含有し、ここで、全てのポリサッカライドがCRM197
にコンジュゲートされている、PCV15製剤を含む製剤について、通例の製造、輸送、
およびハンドリング中に発生し得る物理的な不安定性または凝集に対する確固とした解決
策を提供することを示している。
【表7】
【0184】
図10および表4~5に示されるように、P188単独は、DMSO中での還元的アミ
ノ化を使用して産出されたコンジュゲート体および/またはST3-DTFBコンジュゲ
ート体からなる懸濁液ベースのPCV15製剤の凝集を防止することにおいて最小限の利
益を提供した。追加の混合および水平回転研究を、0.2w/v%のP188およびPE
400(PEG)またはプロピレングリコール(PG)安定剤を含有する製剤を用いて
行った。PCV15Aq/Non-Aq/ST3-DTFB製剤を、実施例7に記載した
ように、500mL規模で調製した。PEG400またはPGをAPAに添加し、次いで
コンジュゲート体を添加した。64μgのPnPs/mL、250μg/mLのAPA、
および0.2w/v%のP188を含有する製剤中のPEG400またはPGの最終濃度
は、0w/v%~15w/v%の間であった。製剤を電磁撹拌子を用いて1時間連続的に
混合し、シリンジに分注した。シリンジを最大24時間水平撹拌した。製剤を目視評価お
よびSLSによる粒径分布測定のために定期的にサンプリングした。シリンジの目視評価
の結果を表7~8に示す。粒径分布の結果を図13に示す。単独で添加した場合、P18
8は、製剤中の凝集を制御しなかった。驚くべきことに、PEG400またはPGは、P
188と組み合わせた場合、十分な安定性を提供した。
【表8】
【表9】
【0185】
実施例12:肺炎球菌コンジュゲートワクチンの安定化製剤の免疫原性
子アカゲザルの免疫原性に及ぼす製造および輸送誘発不安定性を制御するために最適化
されたPCV15含有製剤の影響を評価した。1群あたり8匹の動物に、実施例11に記
載したように、64μgのPnPs/mL、20mMのL-ヒスチジン、pH5.8、1
50mMの塩化ナトリウム、250μg/mLのAPA、および0.2w/v%のP18
8、15w/v%のPG、または0.1w/v%のPS-20のいずれかを含有する0.
1mLのPCV15Aq/Non-Aq/ST3-DTFB製剤を筋肉内注射した。注射
をT=0(用量1)、1ヶ月(用量2)、および2ヶ月(用量3)の年齢で行った。血清
を、用量1の前および用量1、2、および3後2週間で収集した。免疫前、用量1後、用
量2後、および用量3後の血清試料からの血清IgGレベルを実施例10に記載したよう
に決定した。図14に示す結果は、PS-20またはP188とPGの組合せのいずれか
を有するPCV15製剤が免疫原性であったことを示している。
【0186】
実施例13:プロトン性(水)溶液および非プロトン性(DMSO)溶液中での還元的
アミノ化によって産出されたコンジュゲート体の異なる混合物を使用して調製された肺炎
球菌コンジュゲートワクチン薬物製品の安定化に及ぼすポリソルベート20およびポリソ
ルベート80の影響
上記の実施例におけるPCV15製剤で見られた有望な結果は、DMSO中で作製され
た複合糖質中のタンパク質レベル対水性条件で作製された複合糖質中のタンパク質レベル
の比の下限および上限の探求を保証した。異なる比の複合糖質を有する複数の多価PCV
製剤は、水溶液中またはDMSO中での還元的アミノ化によって産出された肺炎球菌ポリ
サッカライド-CRM197コンジュゲート体を含有した。各製剤はタンパク質の量に対
して正規化され、20mMのL-ヒスチジン、pH5.8、150mMのNaCl中に2
50μg/mLのAPAを有する64μg/mL(w/v Ps)の全ポリサッカライド
(Ps)濃度を含有した。PS-80またはPS-20を各製剤に添加して、PS-80
(0.05w/v%)またはPS-20(0.05w/v%)またはPS-20(0.2
w/v%)のいずれかの最終濃度を達成した。製剤をBD HyPAKプレフィルドシリ
ンジに分注し、実験室規模の模擬輸送研究を使用して評価して、頑強な製造可能で商業的
に実行可能なワクチン薬物製品製剤を保証した。
【0187】
DMSOを使用して調製された複合糖質の所望の範囲のパーセンテージを達成するため
に、全てのポリサッカライドが還元的アミノ化を使用してCRM197にコンジュゲート
されている以下の製剤を調製した。
【0188】
製剤PCV24%は、DMSO中で調製された血清型6A、6B、および23Fコンジ
ュゲート体、および水溶液中で調製された血清型1、3、4、5、7F、9V、14、1
8C、19A、19F、22F、および33Fコンジュゲート体を含有した。この製剤中
の総タンパク質は、56μg/mLであり、13μg/mL、または約24%の総タンパ
ク質がDMSO中での還元的アミノ化を使用してポリサッカライドにコンジュゲートされ
たCRM197からなった。
【0189】
製剤PCV50%は、DMSO中で調製された血清型6A、6B、7F、19A、19
F、および23Fコンジュゲート体、および水溶液中で調製された血清型1、3、4、5
、9V、14、18C、22F、および33Fコンジュゲート体を含有した。この製剤中
の総タンパク質は、62μg/mLであり、31μg/mL、または50%の総タンパク
質がDMSO中での還元的アミノ化を使用してポリサッカライドにコンジュゲートされた
CRM197からなった。
【0190】
製剤PCV62%は、DMSO中で調製された血清型6A、6B、7F、19A、19
F、および23Fコンジュゲート体、および水溶液中で調製された血清型1、5、9V、
14、18C、22F、および33Fコンジュゲート体を含有した。この製剤中の総タン
パク質は、61μg/mLであり、38μg/mL、または約62%の総タンパク質がD
MSO中での還元的アミノ化を使用してポリサッカライドにコンジュゲートされたCRM
197からなった。
【0191】
製剤PCV79%は、DMSO中で調製された血清型6A、6B、7F、19A、19
F、および23Fコンジュゲート体、および水溶液中で調製された血清型1、5、18C
、および33Fコンジュゲート体を含有した。この製剤中の総タンパク質は、63μg/
mLであり、50μg/mL、または約79%の総タンパク質がDMSO中での還元的ア
ミノ化を使用してポリサッカライドにコンジュゲートされたCRM197からなった。
【0192】
製剤PCV100%は、DMSO中の還元的アミノ化を使用して調製された血清型6A
、6B、7F、19A、19F、および23Fコンジュゲート体を含有した。この製剤中
の総タンパク質は、65μg/mLであり、65μg/mL、または100%の総タンパ
ク質がDMSO中でポリサッカライドにコンジュゲートされたCRM197からなった。
【0193】
水平撹拌研究を利用して、DMSO中のポリサッカライドにコンジュゲートされたタン
パク質対全タンパク質の比が生成物安定性に及ぼす影響を評価した。この研究は、容器閉
鎖系(シリンジまたはバイアル)における表面との相互作用、および最終的な容器構成要
素および空気界面への製剤の曝露を通した製剤の直接撹拌を表す。製剤をシリンジに0.
64mL充填として分注し、栓をした。これらのシリンジを2~8℃で最大24時間水平
回転した。水平撹拌下での時間の影響を、静的光散乱(SLS)を使用して粒径分布につ
いて評価した。粒径および分布をMalvern Mastesizer 2000を使
用して評価した。5μmのNIST粒径標準を実行し、予想される粒径分布を作製した。
図15A~Eに示されるように、PS-80は、全てのPCV含有薬物製品(PCV24
~PCV100%)に関して凝集を制御するための効果的な安定剤ではなかった。粒径
分布の増加、および集塊(粒子の外観)および凝集の可視の兆候が、PS-80を有する
全ての製剤について観察された。
【0194】
驚くべきことに、PS-80に使用される濃度と同程度の濃度のPS-20は、試験し
たDMSOコンジュゲートパーセンテージの範囲全体にわたって改善された安定性プロフ
ァイルを提供した。製剤緩衝液中の0.2%PS-20の濃度を達成するためにPS-2
0を添加すると、試験したDMSOコンジュゲートパーセンテージの範囲全体にわたって
0.05%PS-20と比較して優れた安定性が得られた。
【0195】
実施例14:ニュージーランド白ウサギにおける肺炎球菌コンジュゲートワクチンの安
定化製剤の免疫原性
ニュージーランド白ウサギの免疫原性に及ぼす製造および輸送誘発不安定性を制御する
ために最適化されたPCV15含有製剤の影響を評価した。1群あたり8匹の動物に、実
施例11に記載したように、64mgのPnPs/mL、20mMのL-ヒスチジン、p
H5.8、150mMの塩化ナトリウム、250μg/mLのAPA、および0.2w/
v%のPS-20を含有する0.1mLのPCV15Aq/Non-Aq製剤を筋肉内注
射した。注射を0日目および14日目に投与した。血清を0日目と14日目のワクチン接
種前、および28日目にも収集した。免疫前、用量1後、用量2後の血清試料からの血清
IgGレベルをECL分析によって決定した。
【0196】
図16に示す結果は、8μg/mLの6Bを除き、4μg/mLの各サッカライドと、
約64μg/mLのCRM197担体タンパク質とを含有する剤形として製剤化された、
DMSO中での還元的アミノ化を使用してCRM197にコンジュゲートされた血清型6
A、6B、7F、18C、19A、19F、および23Fからのストレプトコッカス・ニ
ューモニエポリサッカライドおよび水溶液中での還元的アミノ化を使用してCRM197
にコンジュゲートされた血清型1、3、4、5、9V、14、22F、および33Fから
のストレプトコッカス・ニューモニエポリサッカライドを有する、20mMのヒスチジン
pH5.8、150mMのNaCl、250μg/mLのAPA、0.2w/v%のPS
-20中の15価肺炎球菌コンジュゲート製剤が免疫原性であることを示している。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図14A
図14B
図15A
図15B
図15C
図15D
図15E
図16
【手続補正書】
【提出日】2023-03-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)1つまたは複数のポリサッカライド-タンパク質コンジュゲート体;
(ii)5.0~7.5の範囲のpHを有するpH緩衝食塩水;
(iii)アルミニウム塩;および
(iv)ポリソルベート20(PS-20)
を含む製剤であって、
前記ポリサッカライドがストレプトコッカス・ニューモニエ(S.pneumoniae)ポリサッカライドであり、
前記コンジュゲート体の10%以上(総タンパク質ベースで)が非プロトン溶媒中で調製される、前記製剤。
【請求項2】
前記コンジュゲート体の10%~100%(総タンパク質ベースで)が非プロトン溶媒中で調製される、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
前記コンジュゲート体の24%~100%(総タンパク質ベースで)が非プロトン溶媒中で調製される、請求項1に記載の製剤。
【請求項4】
前記コンジュゲート体の24%~80%(総タンパク質ベースで)が非プロトン溶媒中で調製される、請求項1に記載の製剤。
【請求項5】
前記コンジュゲート体の100%(総タンパク質ベースで)が非プロトン溶媒中で調製される、請求項1に記載の製剤。
【請求項6】
前記非プロトン溶媒がジメチルスルホキシド(DMSO)である、請求項1に記載の製剤。
【請求項7】
前記タンパク質がCRM197、ジフテリアトキソイド(DT)および破傷風トキソイド(TT)から選択される担体タンパク質である、請求項1に記載の製剤。
【請求項8】
前記担体タンパク質がCRM197である、請求項7に記載の製剤。
【請求項9】
前記コンジュゲート体が還元的アミノ化を介して調製される、請求項1に記載の製剤。
【請求項10】
前記アルミニウム塩がリン酸アルミニウムアジュバント(APA)である、請求項1に記載の製剤。
【請求項11】
前記PS-20の濃度が0.2w/v%である、請求項1に記載の製剤。
【請求項12】
前記非プロトン溶媒がジメチルスルホキシド(DMSO)である、請求項8に記載の製剤。
【請求項13】
前記コンジュゲート体が還元的アミノ化を介して調製される、請求項12に記載の製剤。
【請求項14】
前記アルミニウム塩がリン酸アルミニウムアジュバント(APA)である、請求項13に記載の製剤。
【請求項15】
前記PS-20の濃度が0.2w/v%である、請求項14に記載の製剤。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年8月26日に出願された17/412,550の継続出願であり、これは、2019年8月21日に出願された16/487,610の継続出願であり、これは、国際出願番号PCT/US2018/018659の371国内段階出願であり、2017年2月24日に出願された米国仮出願第62/463,220号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、ポリソルベート20またはポロクサマーとポリオールの組合せを組み込んだ界面活性剤系を含む、肺炎球菌コンジュゲートワクチン製剤を提供する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0196
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0196】
図16に示す結果は、8μg/mLの6Bを除き、4μg/mLの各サッカライドと、約64μg/mLのCRM197担体タンパク質とを含有する剤形として製剤化された、DMSO中での還元的アミノ化を使用してCRM197にコンジュゲートされた血清型6A、6B、7F、18C、19A、19F、および23Fからのストレプトコッカス・ニューモニエポリサッカライドおよび水溶液中での還元的アミノ化を使用してCRM197にコンジュゲートされた血清型1、3、4、5、9V、14、22F、および33Fからのストレプトコッカス・ニューモニエポリサッカライドを有する、20mMのヒスチジンpH5.8、150mMのNaCl、250μg/mLのAPA、0.2w/v%のPS-20中の15価肺炎球菌コンジュゲート製剤が免疫原性であることを示している。
本発明は一態様において以下を提供する。
[項目1]
(i)1つまたは複数のポリサッカライド-タンパク質コンジュゲート体と、(ii)5.0~7.5の範囲のpHを有するpH緩衝食塩水と、(ii)アルミニウム塩と、(iv)a)ポリソルベート20および(b)1100Da~17,400Daの範囲の分子量を有するポロクサマーならびにプロピレングリコールおよびポリエチレングリコール400から選択されるポリオールから選択される界面活性剤系とを含む製剤。
[項目2]
前記ポリサッカライド-タンパク質コンジュゲート体の1つまたは複数が非プロトン溶媒中で作製される、項目1に記載の製剤。
[項目3]
10~100重量タンパク質%の前記ポリサッカライド-タンパク質コンジュゲート体が非プロトン溶媒中で作製される、項目1に記載の製剤。
[項目4]
前記非プロトン溶媒がDMSOである、項目2または3に記載の製剤。
[項目5]
前記界面活性剤系が1100Da~17,400Daの範囲の分子量を有するポロクサマーを含む、項目1に記載の製剤。
[項目6]
前記ポロクサマーが7,500Da~15,000Daの範囲の分子量を有する、項目5に記載の製剤。
[項目7]
前記ポロクサマーが7,500Da~10,000Daの範囲の分子量を有する、項目5に記載の製剤。
[項目8]
前記ポロクサマーが、ポロクサマー188またはポロクサマー407である、項目1~4のいずれか一項に記載の製剤。
[項目9]
前記ポロクサマーの最終濃度が0.001重量/体積%~5重量/体積%である、項目1~8のいずれか一項に記載の製剤。
[項目10]
前記ポロクサマーの最終濃度が0.025重量/体積%~1重量/体積%である、項目9に記載の製剤。
[項目11]
前記ポリオールがプロピレングリコールであり、1重量/体積%~20重量/体積%の最終濃度である、項目1~10のいずれか一項に記載の製剤。
[項目12]
前記ポリオールがポリエチレングリコール400であり、1重量/体積%~20重量/体積%の最終濃度である、項目1~10のいずれか一項に記載の製剤。
[項目13]
前記界面活性剤系がポリソルベート20を含む、項目1に記載の製剤。
[項目14]
前記ポリソルベート20の最終濃度が0.001重量/体積%~10重量/体積%の範囲にある、項目13に記載の製剤。
[項目15]
前記ポリソルベート20の最終濃度が0.025重量/体積%~2.5重量/体積%の範囲にある、項目13に記載の製剤。
[項目16]
前記ポリソルベート20の最終濃度が0.025重量/体積%~0.1重量/体積%の範囲にある、項目13に記載の製剤。
[項目17]
プロピレングリコールおよびポリエチレングリコールから選択されるポリオールをさらに含む、項目13~16のいずれか一項に記載の製剤。
[項目18]
前記ポリエチレングリコールまたはプロピレングリコールが6重量/体積%~20重量/体積%の最終濃度である、項目17に記載の製剤。
[項目19]
前記ポリエチレングリコールがポリエチレングリコール400である、項目18に記載の製剤。
[項目20]
前記pH緩衝食塩水が5.0~7.0の範囲のpHを有する、項目1~19のいずれか一項に記載の製剤。
[項目21]
前記緩衝剤が、リン酸塩、コハク酸塩、L-ヒスチジン、MES、MOPS、HEPES、酢酸塩、およびクエン酸塩からなる群から選択される、項目20に記載の製剤。
[項目22]
前記緩衝剤が5mM~50mMの最終濃度のLーヒスチジン、または1mM~10mMの最終濃度のコハク酸塩である、項目21に記載の製剤。
[項目23]
前記L-ヒスチジンが20mM±2mMの最終濃度である、項目22に記載の製剤。
[項目24]
前記pH緩衝食塩水中の塩が塩化マグネシウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、またはその組合せである、項目1~23のいずれか一項に記載の製剤。
[項目25]
前記pH緩衝食塩水中の塩が塩化ナトリウムである、項目24に記載の製剤。
[項目26]
前記食塩水が20mM~170mMの濃度で存在する、項目1~25のいずれか一項に記載の製剤。
[項目27]
前記ポリサッカライド-タンパク質コンジュゲート体が担体タンパク質にコンジュゲートされた1つまたは複数の肺炎球菌ポリサッカライドを含む、項目1~26のいずれか一項に記載の製剤。
[項目28]
前記担体タンパク質がCRM 197 、ジフテリア毒素フラグメントB(DTFB)、DTFB C8、ジフテリアトキソイド(DT)、破傷風トキソイド(TT)、TTのフラグメントC、百日咳トキソイド、コレラトキソイド、エシェリキア・コリLT、エシェリキア・コリST、シュードモナス・エルジノーサからの外毒素A、およびその組合せから選択される、項目27に記載の製剤。
[項目29]
前記ポリサッカライド-タンパク質コンジュゲート体の1つまたは複数がCRM 197 にコンジュゲートされている、項目28に記載の製剤。
[項目30]
前記ポリサッカライド-タンパク質コンジュゲート製剤がCRM 197 にコンジュゲートされた血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、22F、23F、および33Fからのストレプトコッカス・ニューモニエポリサッカライドから本質的になる15価肺炎球菌コンジュゲート(15vPnC)製剤である、項目29に記載の製剤。
[項目31]
前記ポリサッカライド-タンパク質コンジュゲート体の1つまたは複数がDMSO条件下での還元的アミノ化を使用して調製される、項目30に記載の製剤。
[項目32]
血清型6A、6B、7F、18C、19A、19F、および23Fからのポリサッカライド-タンパク質コンジュゲート体がDMSO条件下で調製され、血清型1、3、4、5、9V、14、22F、および33Fからのポリサッカライド-タンパク質コンジュゲート体が水性条件を使用して調製される、項目31に記載の製剤。
[項目33]
各用量が、8μg/mLまたは16μg/mLの6Bを除き、4μg/mLまたは8μg/mLの各サッカライド、および約64μg/mLまたは128μg/mLのCRM 197 担体タンパク質を含有するように製剤化される、項目32に記載の製剤。
[項目34]
20mMのL-ヒスチジン、pH5.8、150mMの塩化ナトリウム、0.25mg/mLのリン酸アルミニウムアジュバント(APA)、および0.2w/v%のPS-20をさらに含む、項目33に記載の製剤。
[項目35]
CRM 197 にコンジュゲートされた血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、22F、23F、および33Fからのストレプトコッカス・ニューモニエポリサッカライドから本質的になる15価肺炎球菌コンジュゲート組成物と、20mMのヒスチジン、pH5.8と、150mMのNaClと、250μg/mLのAPAと、0.2w/v%のPS-20とを含む製剤であって、前記製剤が8μg/mLの6Bを除き、4μg/mLの各サッカライド、および約64μg/mLのCRM 197 担体タンパク質を含有する剤形として製剤化されており、血清型6A、6B、7F、18C、19A、19F、および23Fからのポリサッカライド-タンパク質コンジュゲート体は、DMSO条件下で調製され、および血清型1、3、4、5、9V、14、22F、および33Fからのポリサッカライド-タンパク質コンジュゲート体は、水性条件を使用して調製される、製剤。
【外国語明細書】