(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008210
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】位置計測装置、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G01B 11/00 20060101AFI20230112BHJP
【FI】
G01B11/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021111585
(22)【出願日】2021-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】506226175
【氏名又は名称】ビーコア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 葉
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA04
2F065AA06
2F065AA53
2F065BB15
2F065BB27
2F065CC14
2F065DD06
2F065FF05
2F065FF61
2F065JJ03
2F065JJ05
2F065MM06
2F065QQ03
2F065QQ17
2F065QQ24
2F065QQ25
2F065QQ28
2F065QQ31
2F065UU05
(57)【要約】
【課題】移動体の位置を計算するために用いられる光学式認識コードの位置を容易に計測することを可能とする。
【解決手段】格納部101は、移動体が移動する屋内空間に配置された第1及び第2光学式認識コードの位置を示す第1及び第2位置情報を格納する。画像取得部102は、デプスカメラによって第1及び第2光学式認識コードと、第1及び第2光学式認識コードとは異なる第3光学式認識コードとが撮像されることによって、第1~第3光学式認識コードの奥行きを示す第1~第3奥行き情報を含むデプス画像を取得する。コード位置計測部105は、格納部101に格納された第1及び第2位置情報と、デプス画像に含まれる第1~第3奥行き情報とに基づいて、第3光学式認識コードの位置を計測する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の位置を計算するために当該移動体に設置された可視光カメラによって撮像される光学式認識コードの位置を計測する位置計測装置において、
前記移動体が移動する屋内空間に配置された複数の光学式認識コードのうちの第1光学式認識コードの位置を示す第1位置情報及び第2光学式認識コードの位置を示す第2位置情報を格納する格納手段と、
デプスカメラによって前記複数の光学式認識コードのうちの前記第1及び第2光学式認識コードと、前記第1及び第2光学式認識コードとは異なる第3光学式認識コードとが撮像されることによって、前記第1光学式認識コードの奥行きを示す第1奥行き情報、前記第2光学式認識コードの奥行きを示す第2奥行き情報及び前記第3光学式認識コードの奥行きを示す第3奥行き情報を含むデプス画像を取得する取得手段と、
前記格納手段に格納された第1及び第2位置情報と、前記取得されたデプス画像に含まれる第1~第3奥行き情報とに基づいて、前記第3光学式認識コードの位置を計測する計測手段と
を具備する位置計測装置。
【請求項2】
移動体の位置を計算するために当該移動体に設置された可視光カメラによって撮像される光学式認識コードの位置を計測する位置計測装置において、
デプスカメラによって前記移動体が移動する屋内空間に配置された複数の光学式認識コードのうちの第1及び第2光学式認識コードが撮像されることによって、前記第1光学式認識コードの奥行きを示す第1奥行き情報及び前記第2光学式認識コードの奥行きを示す第2奥行き情報を含む第1デプス画像を取得する第1取得手段と、
前記取得された第1デプス画像に含まれる第1及び第2奥行き情報に基づいて、前記第1及び第2光学式認識コードの仮想空間上の位置を取得する第2取得手段と、
前記デプスカメラによって前記複数の光学式認識コードのうちの第1及び第2光学式認識コードと、前記第1及び第2光学式認識コードとは異なる第3光学式認識コードとが撮像されることによって、前記第1光学式認識コードの奥行きを示す第1奥行き情報、前記第2光学式認識コードの奥行きを示す第2奥行き情報及び前記第3光学式認識コードの奥行きを示す第3奥行き情報を含む第2デプス画像を取得する第3取得手段と、
前記第1及び第2光学式認識コードの仮想空間上の位置と、前記取得された第2デプス画像に含まれる第1~第3奥行き情報とに基づいて、前記第3光学式認識コードの仮想空間上の位置を取得する第4取得手段と、
前記第1光学式認識コードの実空間上の位置を示す第1位置情報及び前記第2光学式認識コードの実空間上の位置を示す第2位置情報を格納する格納手段と、
前記第1~第3光学式認識コードの各々の仮想空間上の位置と、前記格納手段に格納された第1及び第2位置情報とに基づいて、前記第3光学式認識コードの仮想空間上の位置を実空間上の位置に補正する補正手段と
を具備する位置計測装置。
【請求項3】
移動体の位置を計算するために当該移動体に設置された可視光カメラによって撮像される光学式認識コードの位置を計測する位置計測装置が実行する方法であって、
前記移動体が移動する屋内空間に配置された複数の光学式認識コードのうちの第1光学式認識コードの位置を示す第1位置情報及び第2光学式認識コードの位置を示す第2位置情報を格納手段に格納するステップと、
デプスカメラによって前記複数の光学式認識コードのうちの前記第1及び第2光学式認識コードと、前記第1及び第2光学式認識コードとは異なる第3光学式認識コードとが撮像されることによって、前記第1光学式認識コードの奥行きを示す第1奥行き情報、前記第2光学式認識コードの奥行きを示す第2奥行き情報及び前記第3光学式認識コードの奥行きを示す第3奥行き情報を含むデプス画像を取得するステップと、
前記格納手段に格納された第1及び第2位置情報と、前記取得されたデプス画像に含まれる第1~第3奥行き情報とに基づいて、前記第3光学式認識コードの位置を計測するステップと
を具備する方法。
【請求項4】
移動体の位置を計算するために当該移動体に設置された可視光カメラによって撮像される光学式認識コードの位置を計測する位置計測装置が実行する方法であって、
デプスカメラによって前記移動体が移動する屋内空間に配置された複数の光学式認識コードのうちの第1及び第2光学式認識コードが撮像されることによって、前記第1光学式認識コードの奥行きを示す第1奥行き情報及び前記第2光学式認識コードの奥行きを示す第2奥行き情報を含む第1デプス画像を取得するステップと、
前記取得された第1デプス画像に含まれる第1及び第2奥行き情報に基づいて、前記第1及び第2光学式認識コードの仮想空間上の位置を取得するステップと、
前記デプスカメラによって前記複数の光学式認識コードのうちの第1及び第2光学式認識コードと、前記第1及び第2光学式認識コードとは異なる第3光学式認識コードとが撮像されることによって、前記第1光学式認識コードの奥行きを示す第1奥行き情報、前記第2光学式認識コードの奥行きを示す第2奥行き情報及び前記第3光学式認識コードの奥行きを示す第3奥行き情報を含む第2デプス画像を取得するステップと、
前記第1及び第2光学式認識コードの仮想空間上の位置と、前記取得された第2デプス画像に含まれる第1~第3奥行き情報とに基づいて、前記第3光学式認識コードの仮想空間上の位置を取得するステップと、
前記第1光学式認識コードの実空間上の位置を示す第1位置情報及び前記第2光学式認識コードの実空間上の位置を示す第2位置情報を格納手段に格納するステップと、
前記第1~第3光学式認識コードの各々の仮想空間上の位置と、前記格納手段に格納された第1及び第2位置情報とに基づいて、前記第3光学式認識コードの仮想空間上の位置を実空間上の位置に補正するステップと
を具備する方法。
【請求項5】
移動体の位置を計算するために当該移動体に設置された可視光カメラによって撮像される光学式認識コードの位置を計測する位置計測装置のコンピュータによって実行されるプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記移動体が移動する屋内空間に配置された複数の光学式認識コードのうちの第1光学式認識コードの位置を示す第1位置情報及び第2光学式認識コードの位置を示す第2位置情報を格納手段に格納するステップと、
デプスカメラによって前記複数の光学式認識コードのうちの前記第1及び第2光学式認識コードと、前記第1及び第2光学式認識コードとは異なる第3光学式認識コードとが撮像されることによって、前記第1光学式認識コードの奥行きを示す第1奥行き情報、前記第2光学式認識コードの奥行きを示す第2奥行き情報及び前記第3光学式認識コードの奥行きを示す第3奥行き情報を含むデプス画像を取得するステップと、
前記格納手段に格納された第1及び第2位置情報と、前記取得されたデプス画像に含まれる第1~第3奥行き情報とに基づいて、前記第3光学式認識コードの位置を計測するステップと
を実行させるためのプログラム。
【請求項6】
移動体の位置を計算するために当該移動体に設置された可視光カメラによって撮像される光学式認識コードの位置を計測する位置計測装置のコンピュータによって実行されるプログラムであって、
前記コンピュータに、
デプスカメラによって前記移動体が移動する屋内空間に配置された複数の光学式認識コードのうちの第1及び第2光学式認識コードが撮像されることによって、前記第1光学式認識コードの奥行きを示す第1奥行き情報及び前記第2光学式認識コードの奥行きを示す第2奥行き情報を含む第1デプス画像を取得するステップと、
前記取得された第1デプス画像に含まれる第1及び第2奥行き情報に基づいて、前記第1及び第2光学式認識コードの仮想空間上の位置を取得するステップと、
前記デプスカメラによって前記複数の光学式認識コードのうちの第1及び第2光学式認識コードと、前記第1及び第2光学式認識コードとは異なる第3光学式認識コードとが撮像されることによって、前記第1光学式認識コードの奥行きを示す第1奥行き情報、前記第2光学式認識コードの奥行きを示す第2奥行き情報及び前記第3光学式認識コードの奥行きを示す第3奥行き情報を含む第2デプス画像を取得するステップと、
前記第1及び第2光学式認識コードの仮想空間上の位置と、前記取得された第2デプス画像に含まれる第1~第3奥行き情報とに基づいて、前記第3光学式認識コードの仮想空間上の位置を取得するステップと、
前記第1光学式認識コードの実空間上の位置を示す第1位置情報及び前記第2光学式認識コードの実空間上の位置を示す第2位置情報を格納手段に格納するステップと、
前記第1~第3光学式認識コードの各々の仮想空間上の位置と、前記格納手段に格納された第1及び第2位置情報とに基づいて、前記第3光学式認識コードの仮想空間上の位置を実空間上の位置に補正するステップと
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置計測装置、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、自動搬送車(無人搬送車)のような移動体を工場または倉庫等の屋内空間に配置し、運搬物(荷物)を当該移動体に運搬させることによって、業務の効率化を図ることが行われている。
【0003】
ところで、効率的に移動体に運搬物を運搬させるためには、当該移動体の位置を適切に管理することが有用であるが、上記したように移動体が屋内空間を移動する場合には、例えばGPS(Global Positioning System)機能等では当該移動体の正確な位置を得ることができない場合がある。
【0004】
なお、このような事情を鑑みて、屋内における位置情報を特定するための技術が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。しかしながら、この技術によれば、撮影画像と対象画像とのマッチングを行うため、精度の高い位置を得ることができない場合がある。
【0005】
これに対して、例えば上記した屋内空間に光学式認識コードを配置し、当該光学式認識コードを移動体に設置されたカメラで撮影することによって、当該移動体の位置を計算するようなことが考えられるが、この場合には、当該屋内空間内の光学式認識コードの位置を予め計測しておく必要があり、当該位置を計測する作業は非常に煩雑である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の目的は、移動体の位置を計算するために用いられる光学式認識コードの位置を容易に計測することが可能な位置計測装置、方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの態様によれば、移動体の位置を計算するために当該移動体に設置された可視光カメラによって撮像される光学式認識コードの位置を計測する位置計測装置において、前記移動体が移動する屋内空間に配置された複数の光学式認識コードのうちの第1光学式認識コードの位置を示す第1位置情報及び第2光学式認識コードの位置を示す第2位置情報を格納する格納手段と、デプスカメラによって前記複数の光学式認識コードのうちの前記第1及び第2光学式認識コードと、前記第1及び第2光学式認識コードとは異なる第3光学式認識コードとが撮像されることによって、前記第1光学式認識コードの奥行きを示す第1奥行き情報、前記第2光学式認識コードの奥行きを示す第2奥行き情報及び前記第3光学式認識コードの奥行きを示す第3奥行き情報を含むデプス画像を取得する取得手段と、前記格納手段に格納された第1及び第2位置情報と、前記取得されたデプス画像に含まれる第1~第3奥行き情報とに基づいて、前記第3光学式認識コードの位置を計測する計測手段とを具備する位置計測装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、移動体の位置を計算するために用いられる光学式認識コードの位置を容易に計測することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】屋内空間を移動する移動体の外観の一例を示す図。
【
図2】カラービットコードについて説明するための図。
【
図3】移動体の位置を計算する処理手順の一例を示すフローチャート。
【
図4】カラービットコードの位置を人手により計測する作業について説明するための図。
【
図5】本発明の実施形態に係る位置計測装置のハードウェア構成の一例を示す図。
【
図7】位置計測装置の処理手順の一例を示すフローチャート。
【
図8】位置計測装置の動作の概要について説明するための図。
【
図9】位置計測装置の動作の概要について説明するための図。
【
図10】位置計測装置の動作の概要について説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態に係る位置計測装置は、例えば屋内空間を移動する移動体の位置を計算するために用いられる光学式認識コードの位置を計測するために用いられるが、当該位置計測装置について説明する前に、本実施形態において当該移動体の位置を得る原理について説明する。
【0012】
図1は、上記した屋内空間を移動する移動体の外観の一例を示す。
図1に示すように、移動体1は、例えば車輪等を備えることによって移動可能に構成されている。また、移動体1には、当該移動体1の外部(例えば、進行方向等)を撮像可能な向きにカメラ(撮像装置)1aが設置されている。なお、移動体1に設置されているカメラ1aは、可視光に基づいてカラー画像を撮像する可視光カメラであるものとする。
【0013】
また、移動体1が移動する屋内空間には、光学式認識コードが配置(貼付、描画、印刷または表示等)されている。なお、光学式認識コードは、屋内空間を形成する例えば壁面等に配置されるが、上記したカメラ1aが撮像可能な位置であれば他の位置に配置されていてもよい。
【0014】
本実施形態においては、上記した移動体1に設置されるカメラ1aによって撮像された光学式認識コードを含む画像に基づいて当該移動体1の位置が計算(取得)される。
【0015】
以下、移動体1の位置を計算するために用いられる光学式認識コードについて具体的に説明する。
【0016】
本実施形態における光学式認識コードは、例えば複数のエレメントが線状(棒状)に形成されたコード(以下、カラービットコードと表記)を含む。このカラービットコードは、例えば3色以上の色彩のうちの1の色彩が付されたセル(エレメント)が複数配列された構成を有する。このカラービットコードによれば、複数の配列された各セルに付されている色彩の遷移によって識別情報(例えば、ID等)のような特定のデータを表すことができる。
【0017】
以下の説明においては、移動体の位置を計算するために用いられる光学式認識コードがカラービットコードであるものとして説明する。
【0018】
図2を参照して、上記したカラービットコードについて詳細に説明する。なお、
図2においては、便宜的にカラービットコードの一部分のみが示されている。
【0019】
図2に示すように、カラービットコード2は、例えば赤色、緑色及び青色のうちの1の色彩が付されたセル2aが複数配列されて構成されている。
図2において、赤色はR、緑色はG、青色はBとして示されている。なお、
図2においては、説明の便宜上、カラービットコード2に3色の色彩(赤色、緑色及び青色)が用いられている例が示されているが、各セル2aには、赤色、緑色及び青色以外の色彩が付されていてもよい。また、各セル2aに付されている色彩の遷移を識別することができるのであれば、4色以上の色彩を用いてカラービットコード2が作成されていてもよい。
【0020】
カラービットコード2を構成するセル2aは、1つの色彩が付される範囲または領域であり、種々の形状を有することができる。
図2に示す例では、複数のセル2aの各々は四角形状であるが、例えば丸形状または三角形状等であっても構わない。このような複数のセル2aを線状(直線状または曲線状)に配列することによってカラービットコード2は作成される。
【0021】
なお、カラービットコード2は上記したように色彩の遷移によって特定のデータを表すものであるから、当該カラービットコード2において、隣接するセル2a同士には同色は付されず、異なる色彩が付される。カラービットコード2は、このような条件等に従って作成される。
【0022】
また、カラービットコード2を構成する複数のセル2aには、端点セルが含まれる。端点セルは、線状に連なったセル2a群から構成されるカラービットコード2の端点(両端)に位置するセル2aである。カラービットコード2内にあるセル2aは、2つのセル2aと隣接するが、端点セルは1つのセル2aとしか隣接しない。このような端点セルはカラービットコード2内に2つ存在する。また、このような2つの端点セルに付される色彩は異なるものとする。これにより、端点セルの各々に付されている色彩によって、当該端点セルが始点となるセル2a(以下、始点セルと表記)であるか終点となるセル2a(以下、終点セルと表記)であるかを判定することが可能である。
【0023】
上記したようなカラービットコード2によれば例えば3色の色彩の遷移(配列)によって特定のデータを表すことができるため、当該カラービットコード2における各色彩の占める領域の大きさ及び形状の制限は緩く、当該カラービットコード2が例えば凹凸のある表面や柔軟性のある素材上に付されている場合やデジタルサイネージ等の表示装置に表示されている場合であっても、高い読み取り精度を実現することができる。
【0024】
なお、カラービットコード2によって表されるデータは、例えば当該カラービットコード2に割り当てられた識別情報(以下、コードIDと表記)等を含むが、他のデータであってもよい。
【0025】
次に、
図3に示すフローチャートを参照して、移動体の位置を計測する処理手順の一例について説明する。なお、
図3に示す処理は、上記した移動体1に設置されているカメラ1aと接続された画像処理装置によって実行される。
【0026】
図3に示す処理が実行される場合、例えば移動体1に設置されているカメラ1aの電源がオンされ、当該カメラ1aが起動される。このようにカメラ1aが起動されることによって、当該カメラ1aにおける画像(カラー画像)の撮像が可能となる。
【0027】
ここで、上記したように移動体1が移動する屋内空間には複数のカラービットコード2が配置されている。このため、画像処理装置は、複数のカラービットコード2のうち、屋内空間を移動している移動体1の近傍に配置されているカラービットコード2を含む画像をカメラ1aから取得する(ステップS1)。以下の説明においては、ステップS1において取得された画像を便宜的に対象画像と称する。
【0028】
ステップS1の処理が実行されると、画像処理装置は、対象画像に対する画像解析処理を実行する(ステップS2)。なお、このステップS2において実行される画像解析処理は、対象画像に含まれるカラービットコード2に対するデコード処理(読み取り処理)に相当する。これにより、画像処理装置は、対象画像に含まれるカラービットコード2における始点セルから終点セルまでの色の遷移によって表されるコードID(つまり、当該カラービットコード2に割り当てられているコードID)が取得される。
【0029】
以下の説明においては、便宜的に、上記したステップS2の処理が実行されることによって取得されたコードIDを対象コードID、当該対象コードIDによって識別されるカラービットコード2(つまり、対象画像に含まれているカラービットコード2)を対象カラービットコード2と称する。
【0030】
ステップS2の処理が実行されると、画像処理装置は、対象コードIDに基づいて、対象カラービットコード2の実空間上の位置を取得する(ステップS3)。
【0031】
なお、画像処理装置は、例えば移動体1が移動する屋内空間に配置されている複数のカラービットコード2の各々によって表されるコードIDと、当該カラービットコード2の(実空間上の)位置を示す位置情報(以下、コード位置情報と表記)とを対応づけて保持している。これにより、ステップS3において、画像処理装置は、対象コードIDに対応づけられているコード位置情報に基づいて、対象カラービットコード2の実空間上の位置を取得することができる。なお、カラービットコード2の実空間上の位置は例えば3次元座標系で表され、当該カラービットコード2の位置を示すコード位置情報は、当該カラービットコード2の位置に対応するX座標値、Y座標値及びZ座標値を含む。
【0032】
ステップS3の処理が実行されると、画像処理装置は、移動体1の位置(移動体1の実空間上の位置)を計算する(ステップS4)。
【0033】
ここで、移動体1が移動する屋内空間には、当該移動体1に設置されているカメラ1aの画角内に少なくとも2つのカラービットコード2が包含されるように複数のカラービットコード2が配置されているものとする。
【0034】
この場合、ステップS1において取得される画像(対象画像)には2つのカラービットコード(対象カラービットコード)2が含まれており、ステップS2において実行される画像解析処理においては、2つの対象カラービットコード2の各々の両端セル(始点セル及び終点セル)の対象画像上の位置(XY座標値)を抽出することができるものとする。
【0035】
また、この場合には2つの対象カラービットコード2の各々の実空間上の位置がステップS3において取得されるが、画像処理装置にはカラービットコード2の両端セル(視点セル及び終点セル)の実空間上の位置を示すコード位置情報がカラービットコード2毎に保持されているものとし、当該ステップS3においては、当該2つの対象カラービットコード2の各々の両端セルの実空間上の位置が取得されるものとする。
【0036】
これによれば、上記した2つの対象カラービットコード2の各々の両端セルの対象画像上の位置(対象画像上の4点)及び当該2つの対象カラービットコード2の各々の両端セルの実空間上の位置(実空間上の4点)を透視投影モデルに適用することによって、移動体1の位置を計算することができる。なお、移動体1に設置されているカメラ1aの画角及び当該カメラ1aにおいて撮像される画像の解像度は既知であり、当該画角及び解像度に関する情報は画像処理装置内において管理されているものとする。上記した移動体1の位置を計算する処理においては、この画角及び解像度に関する情報も利用される。
【0037】
すなわち、画像処理装置においては、対象画像に含まれる2つの対象カラービットコード2の各々の両端セル(つまり、2つの対象カラービットコード2に基づいて抽出される4点)によって規定される空間を利用して移動体1の位置を計算する。この場合、カメラ1aによって撮像される2つの対象カラービットコード2の各々の両端セルが同一平面上にないことが移動体1の位置を計算するための条件であり、移動体1が移動する屋内空間には、当該カメラ1aとの位置関係において当該条件を満たす画像が撮像されるように複数のカラービットコード2が配置されているものとする。
【0038】
なお、ここで説明した移動体1の位置の計算手法は一例であり、他の手法によって移動体1の位置が計算されても構わない。
【0039】
また、移動体1の位置としては当該位置に対応するX座標値、Y座標値及びZ座標値が計算されればよいが、例えばカメラ1a(が設置されている移動体1)の上下方向の傾き角度、左右方向の傾き角度及び回転角度等が更に計算されても構わない。
【0040】
ステップS4の処理が実行されると、当該ステップS4において計算された移動体1の位置を示す情報(以下、移動体位置情報と表記)は、例えば画像処理装置と通信可能に接続されるサーバ装置等に送信され、例えば当該移動体1の追跡(監視)または当該移動体1の位置の補正等に用いられる。
【0041】
ここで、上記したようにカラービットコード2(光学式認識コード)を用いて移動体1の位置を計算する場合、当該カラービットコード2(の実空間上)の位置を予め計測して、当該位置を示すコード位置情報を登録しておく必要がある。
【0042】
なお、複数のカラービットコード2の各々の位置(X座標値、Y座標値及びZ座標値)は、
図4に示すように、移動体1が移動する屋内空間3内の基準となる地点(以下、ベース地点と表記)を確定させ、各種測距機(例えば、メジャー等)を用いて当該ベース地点から当該カラービットコード2までのX方向、Y方向及びZ方向の距離を人手により計測することによって把握される。
【0043】
しかしながら、このようなカラービットコード2の位置を人手により計測する作業は非常に煩雑であり、移動体1が移動する屋内空間の広さによっては、当該作業に非常に多くの時間がかかる。
【0044】
更に、上記したようにカラービットコード2の位置を人手により計測する場合、当該計測されたカラービットコード2の位置(つまり、カラービットコードと当該カラービットコードの位置との対応関係)の入力(登録)作業も手動で行う必要があるため、誤入力の可能性がある。カラービットコード2の位置の誤入力は、移動体1の位置の計算精度を低下させる要因となる。
【0045】
そこで、本実施形態に係る位置計測装置は、上記したカラービットコード2の位置の計測の容易性を向上させるために用いられる。
【0046】
以下、本実施形態に係る位置計測装置について説明する。なお、以下の説明においては単に「カラービットコード2の位置を計測する」として説明するが、移動体1の位置を計算する際にカラービットコード2の両端セルの位置を用いる場合には、以下に説明する「カラービットコード2の位置」は、上記したようにカラービットコード2の両端セルの位置であるものとする。
【0047】
図5は、本実施形態に係る位置計測装置のハードウェア構成の一例を示す。
図5に示すように、位置計測装置10は、不揮発性メモリ11、CPU12、メインメモリ13、通信デバイス14及びデプスカメラ15等を備える。
【0048】
不揮発性メモリ11は、各種プログラムを格納する。不揮発性メモリ11に格納されている各種プログラムには、位置計測装置10上で動作するソフトウェアが含まれる。
【0049】
CPU12は、例えば不揮発性メモリ11に格納されている各種プログラムを実行する。なお、CPU12は、位置計測装置10全体の制御を司るものである。
【0050】
メインメモリ13は、例えばCPU12が各種プログラムを実行する際に必要とされるワークエリア等として使用される。
【0051】
通信デバイス14は、例えば位置計測装置10の外部の機器等との通信を実行する機能を有する。
【0052】
デプスカメラ15は、当該デプスカメラ15によって被写体が撮像された際に当該被写体までの奥行きを示す奥行き情報を取得する深度センサーが内蔵されたカメラである。奥行き情報には、デプスカメラ15から被写体までの距離及び当該デプスカメラ15に対して当該被写体が位置する方向等の情報が含まれる。デプスカメラ15は、被写体を撮像することによって、当該被写体の奥行きを示す奥行き情報を含む画像(以下、デプス画像と表記)を出力するように構成されている。デプスカメラ15は、例えば3次元空間震度計測センサー等とも称される。
【0053】
なお、
図5においては、位置計測装置10がデプスカメラ15を備えるものとして説明したが、例えばデプスカメラ15は、位置計測装置10の外部に設けられていてもよい。この場合、位置計測装置10は、デプスカメラ15と通信を実行し、当該デプスカメラ15から出力されたデプス画像を取得することができるように構成されていればよい。
【0054】
図6は、位置計測装置10の機能構成の一例を示す。
図6に示すように、位置計測装置10は、格納部101、画像取得部102、デコード処理部103、コード位置取得部104、コード位置計測部105及び登録処理部106を含む。
【0055】
なお、本実施形態において、格納部101は、例えば
図5に示す不揮発性メモリ11等によって実現される。
【0056】
また、本実施形態において、画像取得部102、デコード処理部103、コード位置取得部104、コード位置計測部105及び登録処理部106は、例えば
図5に示すCPU12(つまり、位置計測装置10のコンピュータ)が不揮発性メモリ11に格納されている所定のプログラムを実行すること、つまり、ソフトウェアによって実現されるものとする。なお、このCPU12によって実行されるプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に予め格納して頒布されてもよいし、ネットワークを介して位置計測装置10にダウンロードされてもよい。
【0057】
格納部101には、移動体1が移動する屋内空間に配置されている複数のカラービットコード2のうちの少なくとも2つのカラービットコード2の位置を示すコード位置情報が格納されている。なお、この2つのカラービットコード2の各々の位置を示すコード位置情報は、ベース地点から当該カラービットコード2までのX方向、Y方向及びZ方向の距離を人手により計測しておくことによって予め格納部101に登録されているものとする。コード位置情報は、当該コード位置情報によって位置が示されるカラービットコード2によって表されるコードIDに対応づけて格納部101に格納されている。
【0058】
画像取得部102は、上記したデプスカメラ15から出力されたデプス画像を取得する。なお、画像取得部102によって取得されるデプス画像は、少なくとも上記した2つのカラービットコード(コード位置情報が既に登録されているカラービットコード)2と、当該2つのカラービットコード2とは異なるカラービットコード(コード位置情報が未だ登録されていないカラービットコード)2とがデプスカメラ15によって撮像されることによって当該デプスカメラ15から出力されたデプス画像である。また、デプスカメラ15には上記した深度センサーが内蔵されているため、画像取得部102によって取得されたデプス画像には、デプスカメラ15によって撮像された3つのカラービットコード2の奥行き(デプスカメラ15からの距離及び方向)を示す奥行き情報が含まれる。
【0059】
デコード処理部103は、画像取得部102によって取得されたデプス画像に基づいて、デプスカメラ15によって撮像された3つのカラービットコード2を読み取る(デコードする)処理を実行する。なお、デコード処理部103によるデコードは、カラービットコード3における色彩の遷移(つまり、当該カラービットコード2を構成する複数のセル2aの各々に付されている色彩の遷移)に基づいて行われる。これにより、デコード処理部103は、デプスカメラ15によって撮像されたカラービットコード2の各々によって表されるコードIDを取得する。
【0060】
コード位置取得部104は、デコード処理部103によって取得されたコードIDに対応づけられているコード位置情報を格納部101から取得する。
【0061】
コード位置計測部105は、格納部101から取得されたコード位置情報と、画像取得部102によって取得されたデプス画像に含まれている奥行き情報とに基づいて、コード位置情報が登録されていないカラービットコードの位置を計測する。
【0062】
登録処理部106は、コード位置計測部105によって計測されたカラービットコード2の位置を示すコード位置情報を格納部101に登録(追加)する。
【0063】
以下、
図7のフローチャートを参照して、本実施形態に係る位置計測装置10の処理手順の一例について説明する。
【0064】
まず、
図7の処理が実行される前に、移動体1が移動する屋内空間に、複数のカラービットコード2が配置される。なお、複数のカラービットコード2は、例えば移動体1に設置されているカメラ1aの画角内に少なくとも2つのカラービットコード2が包含される程度の間隔で配置されるものとする。
【0065】
上記したように屋内空間に複数のカラービットコード2が配置されると、当該屋内空間においてベース地点を設定(確定)し、当該ベース地点に基づく複数のカラービットコード2のうちの例えば2つのカラービットコード(以下、第1及び第2カラービットコードと表記)2の位置が人手(位置計測装置10を使用する使用者等)により計測される。
【0066】
上記したように人手により計測された第1カラービットコード2の位置を示すコード位置情報は、初期値として、当該第1カラービットコード2によって表されるコードID(当該カラービットコード2に割り当てられているコードID)に対応づけて格納部101に登録される(ステップS11)。第2カラービットコード2の位置を示すコード位置情報についても同様である。
【0067】
ステップS11の処理が実行されると、上記した第1及び第2カラービットコード2以外のカラービットコード2の位置の計測が開始される。ここで第1及び第2カラービットコード2の近傍に第3カラービットコード2が配置されている場合、例えばデプスカメラ15は、上記した使用者の操作に応じて、例えばベース地点から当該第1~第3カラービットコード2(を包含する領域)を撮像する。このようにデプスカメラ15によって第1~第3カラービットコードが撮像されると、画像取得部102は、当該デプスカメラ15から出力されたデプス画像を取得する(ステップS12)。
【0068】
次に、デコード処理部103は、ステップS12において取得されたデプス画像に対する画像解析処理を実行することによって、上記したデプスカメラ15によって撮像されたカラービットコード2によって表されるコードIDを取得する(ステップS13)。なお、ステップS13の処理は、上記した
図3に示すステップS2と同様の処理であるため、ここではその詳しい説明を省略する。上記したようにデプスカメラ15が第1~第3カラービットコード2を撮像している場合、デコード処理部103は、当該第1~第3カラービットコード2の各々によって表されるコードIDを取得する。
【0069】
ステップS13の処理が実行されると、コード位置取得部104は、ステップS13において取得されたコードIDに対応づけて格納部101に格納されているコード位置情報を取得する(ステップS14)。
【0070】
ここで、上記したステップS11においては、第1及び第2カラービットコードの位置を示すコード位置情報(以下、第1及び第2カラービットコードのコード位置情報と表記)が格納部101に登録され、第3カラービットコードの位置を示すコード位置情報(以下、第3カラービットコードのコード位置情報と表記)は格納部101に登録されていない。このため、ステップS14においては、第1及び第2カラービットコードのコード位置情報が取得される。
【0071】
次に、コード位置計測部105は、ステップS14において取得されたコード位置情報と、ステップS12において取得されたデプス画像に含まれる第1~第3カラービットコード2の奥行きを示す奥行き情報(以下、第1~第3カラービットコード2の奥行き情報と表記)とに基づいて、第3カラービットコード2の位置を計測(計算)する(ステップS15)。なお、ステップS15においては、例えば第1及び第2カラービットコード2のコード位置情報と第1及び第2カラービットコード2の奥行き情報との対応関係に基づいて、第3カラービットコード2の奥行き情報を、当該第3カラービットコード2のコード位置情報(X座標値、Y座標値及びZ座標値)に変換するような処理が実行される。
【0072】
ステップS15の処理が実行されると、当該ステップS15において計測された第3カラービットコード2の位置を示すコード位置情報(第3カラービットコードのコード位置情報)が、当該第3カラービットコード2によって表されるコードIDに対応づけて格納部101に登録される(ステップS16)。
【0073】
ステップS16の処理が実行されると、例えばカラービットコード2の位置の計測を終了するか否かが判定される(ステップS17)。
【0074】
ステップS17においては、例えば位置計測装置10を使用する使用者によりカラービットコード2の位置の計測に対する終了が指示された場合には、当該計測を終了すると判定され(ステップS17のYES)、
図7に示す処理は終了される。
【0075】
一方、カラービットコードの位置の計測を終了しないと判定された場合(ステップS17のNO)、ステップS12に戻って処理が繰り返される。この場合、格納部101には第1~第3カラービットコード2のコード位置情報が登録(格納)されているが、ステップS12においては、第1~第3カラービットコード2のうちの少なくとも2つカラービットコード2と、当該第1~第3カラービットコード2とは異なるカラービットコード(つまり、コード位置情報が登録されていないカラービットコード)をデプスカメラ15が撮像することによって当該デプスカメラ15から出力されたデプス画像が取得される。以下、ステップS13以降の処理が実行されることにより、当該第1~第3カラービットコード2とは異なるカラービットコード2の位置を計測することができる。
【0076】
以下、
図8~
図10を参照して、本実施形態に係る位置計測装置10の動作の概要について説明する。ここでは、屋内空間3内に配置される複数のカラービットコード2がカラービットコード21~26であるものとする。また、位置計測装置10の初期値として、カラービットコード21及び22のコード位置情報が格納部101に格納(登録)されているものとする。
【0077】
なお、
図8~
図10においては、コード位置情報が既に登録されたカラービットコード2をハッチングにより表現している。
【0078】
上記した
図7において説明したため、詳しい説明を省略するが、カラービットコード21及び22のコード位置情報が格納部101に登録されている場合、
図8に示すようにカラービットコード21~23を包含する領域をデプスカメラ15で撮影することによって、カラービットコード23の位置を計測し、当該カラービットコード23のコード位置情報が格納部101に登録される。
【0079】
上記したようにカラービットコード23のコード位置情報が格納部101に登録された場合、
図9に示すように例えばカラービットコード22~24を包含する領域をデプスカメラ15で撮影することによって、カラービットコード24の位置を計測し、当該カラービットコード24のコード位置情報が格納部101に登録される。
【0080】
上記したようにカラービットコード24のコード位置情報が格納部101に登録された場合、
図10に示すように例えばカラービットコード23~26を包含する領域をデプスカメラ15で撮影することによって、カラービットコード25及び26の位置を計測し、当該カラービットコード25及び26のコード位置情報が格納部101に登録される。なお、
図10に示す例において、カラービットコード25の位置は、カラービットコード23及び24のコード位置情報とカラービットコード23~25の奥行き情報とを用いて計測される。一方、カラービットコード26の位置は、カラービットコード23及び24のコード位置情報とカラービットコード23、24及び26の奥行き情報とを用いて計測される。
【0081】
すなわち、本実施形態においては、カラービットコード2の位置を計測するために、コード位置情報が登録されている少なくとも2つのカラービットコード2とコード位置情報が登録されていない少なくとも1つのカラービットコード2とがデプスカメラ15によって撮像されればよい。
【0082】
上記したように本実施形態においては、移動体1が移動する屋内空間に配置された複数のカラービットコード2(光学式認識コード)のうちの第1カラービットコード2のコード位置情報(第1カラービットコード2の位置を示す第1位置情報)及び第2カラービットコード2のコード位置情報(第2カラービットコード2の位置を示す第2位置情報)を格納部101に格納し、デプスカメラ15によって第1~第3カラービットコード2が撮像されることによって、第1~第3カラービットコード2の奥行き情報(第1~第3奥行き情報)を含むデプス画像を取得し、第1及び第2カラービットコード2のコード位置情報と、第1~第3カラービットコード2の奥行き情報とに基づいて、第3カラービットコードの位置を計測する。
【0083】
本実施形態においては、このような構成により、移動体1の位置を計算するために用いられるカラービットコード2(光学式認識コード)の位置を容易に計測することが可能となる。
【0084】
なお、本実施形態においては、上記したようにコード位置情報が登録されている少なくとも2つのカラービットコード2とコード位置情報が登録されていない少なくとも1つのカラービットコード2とをデプスカメラ15で撮影して当該コード位置情報が登録されていないカラービットコード2の位置を計測する動作(処理)を繰り返すことによって、多数のカラービットコード2が広い屋内空間に配置されていたとしても、当該カラービットコード2の各々の位置を容易に計測することができる。
【0085】
すなわち、本実施形態においては、複数のカラービットコード2のうちの2つのカラービットコードのみを人手により計測する以外は、デプスカメラ15を用いてカラービットコード2を撮影するのみでよいため、
図4において説明したように複数のカラービットコード2の全ての位置を人手により計測する場合と比較して、当該位置計測の容易性を飛躍的に向上させることができる。
【0086】
また、本実施形態においては、位置計測装置10によって計測されたカラービットコード2の位置を示すコード位置情報が自動で登録されるため、当該位置(コード位置情報)が人手により誤って登録されることを防止することができる。すなわち、本実施形態によれば、人的な作業による誤登録(ミス)を削減することができる。
【0087】
更に、本実施形態においては、位置計測装置10を用いて複数のカラービットコード2の位置が計測され、当該複数のカラービットコード2のコード位置情報が登録された(つまり、移動体1の位置を計算するために画像処理装置を運用した)後に、当該各位置にずれが生じていないか否かを確認する際にも、デプスカメラ15でデプス画像を撮影するのみで良いため、当該位置ずれの確認も容易に行うことができる。
【0088】
なお、本実施形態においては、少なくとも3つのカラービットコード2(コード位置情報が登録されている2つのカラービットコード2とコード位置情報が登録されていない1つのカラービットコード2)とがデプスカメラ15の画角に包含された状態で撮像されるが、当該3つのカラービットコード2が当該画角に包含されない場合には、例えば当該デプスカメラ15を回転させながら当該3つのカラービットコード2を撮影する(つまり、パノラマ撮影する)ようにしてもよい。
【0089】
また、本実施形態においては、ベース地点から遠ざかる(つまり、ベース地点から遠いカラービットコード2の位置を計測する)に従って誤差が大きくなるが、例えばベース地点から遠いカラービットコード2の位置を計測する場合には、当該誤差を極小化させるような所定のアルゴリズムを適用することにより、当該位置の計測精度を向上させるようにしてもよい。
【0090】
ところで、本実施形態においては、最初にベース地点を確定させた上で、当該ベース地点に基づく2つのカラービットコードの実空間上の位置を人手により計測する作業(以下、計測作業と表記)を行い、当該2つのカラービットコードの実空間上の位置を示すコード位置情報を初期値として格納部101に登録した後に、デプスカメラ15でカラービットコード2を撮影するものとして説明したが、本実施形態に係る位置計測装置10は、デプスカメラ15でカラービットコード2を撮影した後に上記した計測作業を行うことができるような処理を実行することも可能である。
【0091】
以下、デプスカメラ15でカラービットコード2を撮影した後に計測作業を行う場合の位置計測装置10(以下、本実施形態の変形例に係る位置計測装置10と表記)の処理手順について説明する。なお、以下の説明においては、上記した本実施形態に係る位置計測装置10の処理と同様の部分についての詳しい説明を省略する。
【0092】
本実施形態の変形例においては、まず、例えば移動体1が移動する屋内空間内の所定の位置から、当該屋内空間に配置されている複数のカラービットコード2のうちの2つのカラービットコード(第1及び第2カラービットコード2)がデプスカメラ2によって撮像される。このようにデプスカメラ15によって第1及び第2カラービットコード2が撮像されると、画像取得部102は、当該デプスカメラ15から出力されたデプス画像を取得する。
【0093】
次に、デコード処理部103は、画像取得部102によって取得されたデプス画像に対する画像解析処理を実行することによって、上記したデプスカメラ15によって撮像された第1及び第2カラービットコード2の各々によって表されるコードIDを取得する。
【0094】
ここで、画像取得部102によって取得されたデプス画像には、第1カラービットコード2の奥行きを示す奥行き情報(第1奥行き情報)及び第2カラービットコードの奥行きを示す奥行き情報(第2奥行き情報)が含まれている。このため、コード位置取得部104は、デプス画像に含まれる第1及び第2奥行き情報に基づいて、例えばデプスカメラ15の位置を基準とした第1及び第2カラービットコード2の仮想空間上の位置を取得する。このようにコード位置取得部104によって取得された第1及び第2カラービットコード2の仮想空間上の位置を示すコード位置情報は、デコード処理部103によって取得された当該第1及び第2カラービットコード2の各々によって表されるコードIDに対応づけて格納部101に格納される。
【0095】
次に、第1及び第2カラービットコード2の近傍に第3カラービットコード2が配置されている場合、デプスカメラ15は、当該第1~第3カラービットコード2(を包含する領域)を撮像する。このようにデプスカメラ15によって第1~第3カラービットコードが撮像されると、画像取得部102は、当該デプスカメラ15から出力されたデプス画像を取得する。
【0096】
次に、デコード処理部103は、画像取得部102によって取得されたデプス画像に対する画像解析処理を実行することによって、デプスカメラ15によって撮像された第1~第3カラービットコードの各々によって表されるコードIDを取得する。
【0097】
この場合、コード位置取得部104は、上記したデコード処理部103によって取得されたコードIDに基づいて格納部101に登録されたコード位置情報を取得し、当該コード位置情報によって示される第1及び第2カラービットコード2の仮想空間上の位置と、画像取得部102によって取得されたデプス画像に含まれる第1~第3カラービットコード2の各々の奥行きを示す奥行き情報(第1~第3奥行き情報)とに基づいて、第3カラービットコード2の仮想空間上の位置を取得する。なお、この第3カラービットコード2の仮想空間上の位置は、上記した
図7に示すステップS15の処理に相当する処理が実行されることによって取得(計算)される。コード位置取得部104によって取得された第3カラービットコード2の仮想空間上の位置を示すコード位置情報は、デコード処理部103によって取得された当該第3カラービットコード2によって表されるコードIDに対応づけて格納部101に格納される。
【0098】
以下、コード位置情報(仮想空間上の位置)が登録されている少なくとも2つのカラービットコード2と、コード位置情報(仮想空間上の位置)が登録されていない少なくとも1つのカラービットコード2とをデプスカメラ15で順次撮影することによって、屋内空間に配置されている全てのカラービットコード2の各々の仮想空間上の位置を示すコード位置情報が格納部101に格納される。
【0099】
本実施形態の変形例においては、上記したように格納部101に複数のカラービットコード2の各々の仮想空間上の位置を示すコード位置情報が格納(登録)された後に、当該複数のカラービットコードのうちの2つのカラービットコード(例えば、第1及び第2カラービットコード)の実空間上の位置(ベース地点に基づく位置)が人手により計測される。このように人手により計測された2つのカラービットコードの実空間上の位置を示すコード位置情報は、格納部101に登録(格納)される。なお、ベース地点については、上記した複数のカラービットコード2の各々の仮想空間上の位置を示すコード位置情報が格納部101に格納される前に設定(確定)されていてもよいし、当該コード位置情報が格納部101に格納された後に設定されてもよい。
【0100】
この場合、コード位置計測部105は、上記した第1及び第2カラービットコード2の実空間上の位置に基づいて、格納部101に格納されているコード位置情報によって示される複数のカラービットコード2(第1及び第2カラービットコード2以外のカラービットコード2)の各々仮想空間上の位置を、実空間上の位置に補正する。なお、コード位置計測部105は、例えば第1及び第2カラービットコード2の実空間上の位置と仮想空間上の位置との対応関係に基づいて、他のカラービットコード2の仮想空間上の位置を実空間上の位置に変換するような処理を実行する。
【0101】
登録処理部106は、コード位置計測部105によって仮想空間上の位置が補正されることによって得られる(つまり、計測される)各カラービットコード2の実空間上の位置を示すコード位置情報を格納部101に登録する。
【0102】
上記したように本実施形態の変形例においては、デプスカメラ15によって第1及び第2カラービットコード2が撮像されることによって第1デプス画像が取得され、当該取得された第1デプス画像に含まれる第1及び第2奥行き情報に基づいて第1及び第2カラービットコード2の仮想空間上の位置が取得され、デプスカメラ15によって第1~第3カラービットコード2が撮像されることによって第2デプス画像が取得され、第1及び第2カラービットコード2の仮想空間情報の位置と、当該取得された第2デプス画像に含まれる第1~第3奥行き情報とに基づいて、第3カラービットコードの仮想空間上の位置が取得される。本実施形態の変形例において、第3カラービットコードの実空間上の位置は、人手により計測された第1及び第2カラービットコード2の実空間上の位置と、上記した第1~第3カラービットコード2の仮想空間上の位置とに基づいて当該第3カラービットコード2の仮想空間上の位置を補正することによって計測される。
【0103】
すなわち、上記した本実施形態に係る位置計測装置10は第1及び第2カラービットコード2の実空間上の位置に対する第3カラービットコード2の奥行き(情報)に基づいて第3カラービットコード2の実空間上の位置を計測するのに対して、本実施形態の変形例に係る位置計測装置10は、第3カラービットコード2の仮想空間上の位置を第1及び第2カラービットコード2の実空間上の位置に基づいて補正することによって第3カラービットコード2の実空間上の位置を計測する点で異なる。
【0104】
上記した本実施形態の変形例に係る位置計測装置10の構成であっても、本実施形態と同様に、移動体1の位置を計算するために用いられるカラービットコード2の位置を容易に計測することが可能である。
【0105】
なお、本実施形態の変形例においては、上記した本実施形態とは異なり、デプスカメラ15でカラービットコード2を撮影する前に2つのカラービットコード2(第1及び第2カラービットコード)の実空間上の位置(を示すコード位置情報)を格納部101に登録しておく必要はない。しかしながら、本実施形態の変形例に係る位置計測装置10は、少なくとも2つのカラービットコード2の実空間上の位置を用いて他のカラービットコード2の仮想空間上の位置を補正する構成であればよく、当該カラービットコード2の実空間上の位置を事前に計測しておくことを妨げるものではない。
【0106】
なお、上記した本実施形態においては、位置計測装置10に含まれる格納部101にコード位置情報が登録されるものとして説明したが、当該コード位置情報は、画像処理装置による移動体1の位置の計算に用いられるのであれば、例えば位置計測装置10から外部のサーバ装置(例えば、クラウドコンピューティングサービスを提供するクラウドサーバ)等に送信され、当該サーバ装置で管理されても構わない。
【0107】
また、本実施形態においては移動体1の位置を計算するために屋内空間に配置されたカラービットコード2(光学式認識コード)の位置を計測するものとして説明したが、本実施形態は、電波系の位置測位における各種基準点(に付されたカラービットコード2)の位置を計測するような場合にも利用可能である。具体的には、本実施形態は、例えば屋内位置計測システムにおいて用いられる基準電波装置の初期位置設定作業等に利用されることができる。
【0108】
また、本実施形態においては上記したようにカラービットコード2の位置ずれの確認に用いることが可能であるため、本実施形態は、既存システムにおける各種基準点の位置ずれの検証等に用いられてもよい。
【0109】
なお、本実施形態においては、光学式認識コードとしてカラービットコード2を利用するものとして説明したが、当該光学式認識コードとしては、例えばバーコードまたは2次元コード等の他の光学式認識コード(自動認識技術)が用いられても構わない。
【0110】
更に、本実施形態において屋内空間に配置される光学式認識コード(の位置を計測したい部分)は、例えば再帰性反射板(テープ)を用いて作成されていてもよい。これによれば、再帰性反射板からの光が再び光源(デプスカメラ15)に向かって戻っていく性質を利用し、当該デプスカメラ15による1回の撮影で位置を計測することができる光学式認識コードの範囲(つまり、当該光学式認識コードまでの距離)を広げることができる。なお、再帰性反射板を利用した場合には、例えば日中の外乱光が屋内空間に入射するような環境下であっても高精度な位置計測を実現することができる。
【0111】
また、本実施形態においては、光学式認識コードの位置を計測するためにデプスカメラ15を用いて取得される当該光学式認識コードの奥行き情報(デプス画像に含まれる奥行き情報)を利用するものとして説明したが、当該光学式認識コードの奥行き情報は、移動体1に設置されているカメラ1aのような可視光カメラを用いて取得されても構わない。この場合、例えば異なる地点で可視光カメラによって撮像された2つの光学式認識コードに対して三角測量の手法を適用することにより、当該光学式認識コードの奥行き情報を得ることができる。
【0112】
ここで説明した本実施形態に適用可能な各種構成は、上記した本実施形態の変形例に適用されても構わない。
【0113】
なお、上記した実施形態に記載した手法は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD-ROM、DVDなど)光磁気ディスク(MO)、半導体メモリなどの記憶媒体に格納して頒布することもできる。
【0114】
また、この記憶媒体としては、プログラムを記憶でき、かつコンピュータが読み取り可能な記憶媒体であれば、その記憶形式は何れの形態であってもよい。
【0115】
また、記憶媒体からコンピュータにインストールされたプログラムの指示に基づきコンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)や、データベース管理ソフト、ネットワークソフト等のMW(ミドルウェア)等が本実施形態を実現するための各処理の一部を実行してもよい。
【0116】
更に、本発明における記憶媒体は、コンピュータと独立した媒体に限らず、LANやインターネット等により伝送されたプログラムをダウンロードして記憶または一時記憶した記憶媒体も含まれる。
【0117】
また、記憶媒体は1つに限らず、複数の媒体から本実施形態における処理が実行される場合も本発明における記憶媒体に含まれ、媒体構成は何れの構成であってもよい。
【0118】
なお、本発明におけるコンピュータは、記憶媒体に記憶されたプログラムに基づき、本実施形態における各処理を実行するものであって、パソコン等の1つからなる装置、複数の装置がネットワーク接続されたシステム等の何れの構成であってもよい。
【0119】
また、本発明におけるコンピュータとは、パソコンに限らず、情報処理機器に含まれる演算処理装置、マイコン等も含み、プログラムによって本発明の機能を実現することが可能な機器、装置を総称している。
【0120】
なお、本願発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組合せてもよい。
【符号の説明】
【0121】
1…移動体、1a…カメラ(可視光カメラ)、2,21~26…カラービットコード(光学式認識コード)、3…屋内空間、4…ベース地点、10…位置計測装置、11…不揮発性メモリ、12…CPU、13…メインメモリ、14…通信デバイス、15…デプスカメラ、101…格納部、102…画像取得部、103…デコード処理部、104…コード位置取得部、105…コード位置計測部、106…登録処理部。