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特開2023-82100操作された皮膚等価物、それを製造する方法およびそれに由来する製品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023082100
(43)【公開日】2023-06-13
(54)【発明の名称】操作された皮膚等価物、それを製造する方法およびそれに由来する製品
(51)【国際特許分類】
   D06N 3/00 20060101AFI20230606BHJP
   C12N 5/00 20060101ALI20230606BHJP
   C12P 21/00 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
D06N3/00
C12N5/00
C12P21/00 B
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023053717
(22)【出願日】2023-03-29
(62)【分割の表示】P 2019506608の分割
【原出願日】2017-04-21
(31)【優先権主張番号】62/325,819
(32)【優先日】2016-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】518372693
【氏名又は名称】ヴィトロラブズ インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】500532757
【氏名又は名称】キングス カレッジ ロンドン
【氏名又は名称原語表記】KINGS COLLEGE LONDON
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】イングバル ヘルガソン
(72)【発明者】
【氏名】ドゥスコ イリッチ
(57)【要約】
【課題】操作された皮膚等価物、それを製造する方法およびそれに由来する製品を提供する。
【解決手段】本明細書において、合成皮革を製造する方法が開示される。一部の実施形態では、方法は、線維芽細胞を含む人工真皮層(artificial dermal layer)を形成するステップを含み得る。一部の実施形態では、方法は、真皮層の少なくとも一部をなめし、それにより、合成皮革を形成するステップを含み得る。一部の実施形態では、線維芽細胞は、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
なめした合成皮革を形成する方法であって、
i.足場上で細胞層を形成するステップであって、前記足場が、セルロースまたはその改変バージョンを含む、ステップ;
ii.前記細胞層がコラーゲンを含む;および
iii.前記コラーゲンの少なくとも一部をなめし、前記なめした合成皮革を生成するステップ
を含む、方法。
【請求項2】
前記細胞層が人工真皮層を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記人工真皮層が線維芽細胞を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記線維芽細胞が、幹細胞、任意選択で、人工多能性幹細胞から分化したものである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記方法がさらに、前記人工真皮層を処理に供する工程を含み、前記処理が、前記人工真皮層の層の少なくとも一部を除去する、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記さらなる処理が、保存加工、水漬け、ベーチング、ピックリング、脱酸、シンニング、再なめし、潤滑化、クラスティング、湿潤化、水絞り、シェービング、再クロム処理、中和、染色、加脂、充填、ストリッピング、スタッフィング、白化、固着、セッティング、乾燥、コンディショニング、空打ち、ステーキング、バフィング、仕上げ、油入れ、ブラッシング、パディング、含浸、スプレー、ローラーコーティング、カーテンコーティング、艶出し、プレーティング、型押し、アイロン掛け、グレージング、タンブリングまたはその任意の組み合わせを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記人工真皮層が、約0.1mmから0.5mmの間の厚さである、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記セルロースまたはその改変バージョンがレーヨンを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記コラーゲンが細胞外マトリクスに含まれる、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記なめす工程が、渋なめし、クロムなめし、アルデヒドなめし、シンタン、細菌染色またはその任意の組み合わせを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記コラーゲンがI型コラーゲンまたはIII型コラーゲンを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記なめした合成皮革を、腕時計のバンド、ベルト、パッケージング、靴、ブーツ、履物、手袋、衣類、かばん、袋物、クラッチ、財布、バックパック、札入れ、サドル、ハーネス、鞭またはその任意の組み合わせへと形成する工程をさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
この出願は、2016年4月21日に出願された米国仮出願第62/325,819号(これは、その全体が参考として本明細書に援用される)への優先権を主張する。
【0002】
政府の支援
この発明は、National Institutes of Health(NIH)助成金番号R21 ARO61583およびR01 AR051930、Medical Research Council(UK)助成金番号G0801061、Research Service of the Department of Veterans Affairs and Dystrophic Epidermolysis Bullosa Research Associationの支援を受けてなされた。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本明細書において、合成皮革を製造する方法が開示される。一部の実施形態では、方法は、線維芽細胞を含む人工真皮層(artificial dermal layer)を形成するステップを含み得る。一部の実施形態では、方法は、真皮層の少なくとも一部をなめし、それにより、合成皮革を形成するステップを含み得る。一部の実施形態では、線維芽細胞は、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。一部の実施形態では、方法は、人工表皮層を形成するステップをさらに含み得る。一部の実施形態では、表皮層は、ケラチノサイトを含み得る。一部の実施形態では、方法は、真皮層上に表皮層を配置し、それにより、層状構造を形成するステップを含み得る。一部の実施形態では、ケラチノサイトは、哺乳動物ケラチノサイトであり得る。一部の実施形態では、哺乳動物は、非ヒト哺乳動物であり得る。一部の実施形態では、ケラチノサイトは、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。一部の実施形態では、ケラチノサイトは、KRT14、p63、DSG3、ITGB4、LAMA5、KRT5、TAp63、Lamb3、KRT18またはその組み合わせを発現することができる。一部の実施形態では、層状構造は、メラノサイトをさらに含み得る。一部の実施形態では、メラノサイトは、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。一部の実施形態では、メラノサイトは、Sox-10、MITF-M、gp-100、DCT、TYR、MLANAまたはその組み合わせを発現することができる。一部の実施形態では、合成皮革は、色素を含み得る。一部の実施形態では、メラノサイトは、哺乳動物メラノサイトであり得る。一部の実施形態では、哺乳動物は、ヒトであり得る。一部の実施形態では、線維芽細胞は、CD10、CD73、CD44、CD90、I型コラーゲン、III型コラーゲン、プロリル-4-ヒドロキシラーゼベータ、またはその組み合わせを発現することができる。一部の実施形態では、線維芽細胞は、哺乳動物線維芽細胞であり得る。一部の実施形態では、哺乳動物は、非ヒト哺乳動物であり得る。一部の実施形態では、非ヒト哺乳動物は、霊長類、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ(equinine)、イヌ、ネコ、げっ歯類、またはウサギのうちの1つであり得る。一部の実施形態では、線維芽細胞は、非哺乳動物線維芽細胞であり得る。一部の実施形態では、非哺乳動物は、魚類、鳥類または爬虫類であり得る。一部の実施形態では、表皮層は、コラーゲンをさらに含み得る。一部の実施形態では、表皮層は、さらなる処理に供することができる。一部の実施形態では、層状構造は、コラーゲンをさらに含み得る。一部の実施形態では、層状構造は、さらなる処理に供することができる。一部の実施形態では、真皮層は、コラーゲンをさらに含み得る。一部の実施形態では、真皮層は、さらなる処理に供することができる。一部の実施形態では、処理は、保存加工(preserving)、水漬け(soaking)、ベーチング(bating)、ピックリング(pickling)、脱酸(depickling)、シンニング(thinning)、再なめし(retanning)、潤滑化(lubricating)、クラスティング(crusting)、湿潤化、水絞り(sammying)、シェービング、再クロム処理(rechroming)、中和、染色、加脂、充填(filling)、ストリッピング、スタッフィング(stuffing)、白化、固着(fixating)、セッティング(setting)、乾燥、コンディショニング(conditioning)、空打ち(milling)、ステーキング(staking)、バフィング、仕上げ、油入れ(oiling)、ブラッシング、パディング(padding)、含浸、スプレー、ローラーコーティング、カーテンコーティング、艶出し(polishing)、プレーティング(plating)、型押し、アイロン掛け、グレージング(glazing)、タンブリングおよびその任意の組み合わせからなる群より選択することができる。一部の実施形態では、コラーゲンは、コラーゲン産生細胞によって少なくとも部分的に産生することができる、別に添加することができる、またはその任意の組み合わせである。一部の実施形態では、コラーゲン産生細胞は、上皮細胞、ケラチノサイト、線維芽細胞、角質細胞(comeocyte)、メラノサイト、ランゲルハンス細胞、基底細胞、またはその組み合わせを含み得る。一部の実施形態では、コラーゲン産生細胞は、上皮細胞を含み得、上皮細胞は、扁平上皮細胞、立方細胞(cuboidal cell)、円柱細胞、基底細胞、またはその組み合わせを含み得る。一部の実施形態では、コラーゲン産生細胞は、ケラチノサイトを含み得、ケラチノサイトは、上皮ケラチノサイト、基底ケラチノサイト、増殖中の基底ケラチノサイト、分化した基底上ケラチノサイト、またはその組み合わせを含み得る。一部の実施形態では、コラーゲン産生細胞は、平滑筋細胞を含み得る。一部の実施形態では、合成皮革は、ケラチン、エラスチン、ゼラチン、プロテオグリカン、デルマタン硫酸プロテオグリカン、グリコサミノグリカン、フィブロネクチン、ラミニン、デルマトポンチン(dermatopontin)、脂質、脂肪酸、糖質、またはその組み合わせのうちの1種または複数種をさらに含み得る。一部の実施形態では、真皮層の厚さは、約0.02mmから約5mmに及び得る。一部の実施形態では、真皮層の厚さは、約0.1mmから約0.5mmに及び得る。一部の実施形態では、合成皮革は、第1の真皮層および第2の真皮層をさらに含み得る。一部の実施形態では、第1の真皮層は、第2の真皮層上に配置することができる。一部の実施形態では、表皮層の厚さは、約0.01mmから約2mmに及び得る。一部の実施形態では、表皮層の厚さは、約0.1mmから約0.2mmに及び得る。一部の実施形態では、合成皮革は、第1の表皮層および第2の表皮層をさらに含み得る。一部の実施形態では、合成皮革は、基底膜代用物をさらに含み得る。一部の実施形態では、基底膜代用物は、表皮層と真皮層との間にあり得る。一部の実施形態では、基底膜代用物は、乾燥無細胞羊膜を含み得る。一部の実施形態では、真皮層は、足場上に形成することができる。一部の実施形態では、足場は、天然または合成であり得る。一部の実施形態では、足場は、絹を含み得る。一部の実施形態では、足場は、キトサンを含み得る。一部の実施形態では、足場は、天然組織接着剤を含み得る。一部の実施形態では、天然組織接着剤は、フィブリン糊を含み得る。一部の実施形態では、足場は、部分的に合成皮革中に含まれ得る。一部の実施形態では、真皮層または表皮層は、in vitroで培養することができる。一部の実施形態では、真皮層は、in vitroで培養することができる。一部の実施形態では、真皮層は、補充物と共に培養することができる。一部の実施形態では、補充物は、コラーゲン、フィブリン、増殖因子、アスコルビン酸、硫酸デキストラン、またはカラゲナンのうちの1種または複数種を含み得る。一部の実施形態では、補充物は、天然補充物であり得る。一部の実施形態では、補充物は、合成補充物であり得る。一部の実施形態では、人工多能性幹細胞は、成体体細胞におけるOct3、Oct4、Sox2、Klf4、c-Mycまたはその組み合わせの誘導遺伝子発現を通じて産生され得る。一部の実施形態では、革製品の少なくとも一部は、本明細書で開示される方法から形成され得る。一部の実施形態では、革製品は、腕時計のバンド、ベルト、パッケージング、靴、ブーツ、履物、手袋、衣類、かばん、袋物、クラッチ(clutch)、財布、バックパック、札入れ、サドル、ハーネス、鞭、インテリア、エクステリア、椅子張り材料(upholstery)、製本材料(book binding)、家具、ランプ、ランプシェード、テーブル掛け、壁紙(wall covering)、床材(floor covering)、天井張り材料(ceiling covering)、自動車インテリア、自動車エクステリア、ボートインテリア、ボートエクステリア、飛行機インテリア、ヨットインテリア、ヨットエクステリア、枕カバー、シーツ、羽毛掛け布団カバー(duvet cover)、ジュエリー、アクセサリー、眼鏡、サングラス、または消費者向け電化製品のうちの1つまたは複数を含み得る。一部の実施形態では、革製品は、腕時計のバンドであり得る。一部の実施形態では、革製品は、ベルトであり得る。一部の実施形態では、革製品は、袋物であり得る。合成皮革に含まれる細胞の少なくとも約2%は、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。合成皮革に含まれる細胞の少なくとも約10%は、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。合成皮革に含まれる細胞の少なくとも約50%は、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。
【0004】
本明細書において、合成皮革を製造する方法が開示される。一部の実施形態では、方法は、人工真皮層上に人工表皮層を配置し、それにより、層状構造を形成するステップを含み得る。一部の実施形態では、表皮層は、ケラチノサイトを含み得、真皮層は、線維芽細胞を含み得る。一部の実施形態では、方法は、層状構造の少なくとも一部をなめし、それにより、合成皮革を形成するステップを含み得る。一部の実施形態では、線維芽細胞またはケラチノサイトは、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。一部の実施形態では、哺乳動物は、非ヒト哺乳動物であり得る。一部の実施形態では、ケラチノサイトは、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。一部の実施形態では、ケラチノサイトは、KRT14、p63、DSG3、ITGB4、LAMA5、KRT5、TAp63、Lamb3、KRT18またはその組み合わせを発現することができる。一部の実施形態では、層状構造は、メラノサイトをさらに含み得る。一部の実施形態では、メラノサイトは、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。一部の実施形態では、メラノサイトは、Sox-10、MITF-M、gp-100、DCT、TYR、MLANAまたはその組み合わせを発現することができる。一部の実施形態では、合成皮革は、色素を含み得る。一部の実施形態では、メラノサイトは、哺乳動物メラノサイトであり得る。一部の実施形態では、哺乳動物は、ヒトであり得る。一部の実施形態では、線維芽細胞は、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。一部の実施形態では、線維芽細胞は、CD10、CD73、CD44、CD90、I型コラーゲン、III型コラーゲン、プロリル-4-ヒドロキシラーゼベータ、またはその組み合わせを発現することができる。一部の実施形態では、線維芽細胞は、哺乳動物線維芽細胞であり得る。一部の実施形態では、哺乳動物は、非ヒト哺乳動物であり得る。一部の実施形態では、非ヒト哺乳動物は、霊長類、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ(equinine)、イヌ、ネコ、げっ歯類、またはウサギのうちの1つであり得る。一部の実施形態では、線維芽細胞は、非哺乳動物線維芽細胞であり得る。一部の実施形態では、非哺乳動物は、魚類、鳥類または爬虫類であり得る。一部の実施形態では、表皮層は、コラーゲンをさらに含み得る。一部の実施形態では、表皮層は、さらなる処理に供することができる。一部の実施形態では、層状構造は、コラーゲンをさらに含み得る。一部の実施形態では、層状構造は、さらなる処理に供することができる。一部の実施形態では、真皮層は、さらなる処理に供することができる。一部の実施形態では、処理は、保存加工(preserving)、水漬け(soaking)、ベーチング(bating)、ピックリング(pickling)、脱酸(depickling)、シンニング(thinning)、再なめし(retanning)、潤滑化(lubricating)、クラスティング(crusting)、湿潤化、水絞り(sammying)、シェービング、再クロム処理(rechroming)、中和、染色、加脂、充填(filling)、ストリッピング、スタッフィング(stuffing)、白化、固着(fixating)、セッティング(setting)、乾燥、コンディショニング(conditioning)、空打ち(milling)、ステーキング(staking)、バフィング、仕上げ、油入れ(oiling)、ブラッシング、パディング(padding)、含浸、スプレー、ローラーコーティング、カーテンコーティング、艶出し(polishing)、プレーティング(plating)、型押し、アイロン掛け、グレージング(glazing)、タンブリングおよびその任意の組み合わせからなる群より選択することができる。一部の実施形態では、コラーゲンは、コラーゲン産生細胞によって少なくとも部分的に産生することができる、別に添加することができる、またはその任意の組み合わせである。一部の実施形態では、コラーゲン産生細胞は、上皮細胞、ケラチノサイト、線維芽細胞、角質細胞(comeocyte)、メラノサイト、ランゲルハンス細胞、基底細胞、またはその組み合わせを含み得る。一部の実施形態では、コラーゲン産生細胞は、上皮細胞を含み得、上皮細胞は、扁平上皮細胞、立方細胞(cuboidal cell)、円柱細胞、基底細胞、またはその組み合わせを含み得る。一部の実施形態では、コラーゲン産生細胞は、ケラチノサイトを含み得、ケラチノサイトは、上皮ケラチノサイト、基底ケラチノサイト、増殖中の基底ケラチノサイト、分化した基底上ケラチノサイト、またはその組み合わせを含み得る。一部の実施形態では、コラーゲン産生細胞は、平滑筋細胞を含み得る。一部の実施形態では、合成皮革は、ケラチン、エラスチン、ゼラチン、プロテオグリカン、デルマタン硫酸プロテオグリカン、グリコサミノグリカン、フィブロネクチン、ラミニン、デルマトポンチン(dermatopontin)、脂質、脂肪酸、糖質、またはその組み合わせのうちの1種または複数種をさらに含み得る。一部の実施形態では、真皮層の厚さは、約0.02mmから約5mmに及び得る。一部の実施形態では、真皮層の厚さは、約0.1mmから約0.5mmに及び得る。一部の実施形態では、合成皮革は、第1の真皮層および第2の真皮層をさらに含み得る。一部の実施形態では、第1の真皮層は、第2の真皮層上に配置することができる。一部の実施形態では、表皮層の厚さは、約0.01mmから約2mmに及び得る。一部の実施形態では、表皮層の厚さは、約0.1mmから約0.2mmに及び得る。一部の実施形態では、合成皮革は、第1の表皮層および第2の表皮層をさらに含み得る。一部の実施形態では、合成皮革は、基底膜代用物をさらに含み得る。一部の実施形態では、基底膜代用物は、表皮層と真皮層との間にあり得る。一部の実施形態では、基底膜代用物は、乾燥無細胞羊膜を含み得る。一部の実施形態では、真皮層は、足場上に形成することができる。一部の実施形態では、足場は、天然または合成であり得る。一部の実施形態では、足場は、絹を含み得る。一部の実施形態では、足場は、キトサンを含み得る。一部の実施形態では、足場は、天然組織接着剤を含み得る。一部の実施形態では、天然組織接着剤は、フィブリン糊を含み得る。一部の実施形態では、足場は、部分的に合成皮革中に含まれ得る。一部の実施形態では、真皮層または表皮層は、in vitroで培養することができる。一部の実施形態では、真皮層は、in vitroで培養することができる。一部の実施形態では、真皮層は、補充物と共に培養することができる。一部の実施形態では、補充物は、コラーゲン、フィブリン、増殖因子、アスコルビン酸、硫酸デキストラン、またはカラゲナンのうちの1種または複数種を含み得る。一部の実施形態では、補充物は、天然補充物であり得る。一部の実施形態では、補充物は、合成補充物であり得る。一部の実施形態では、人工多能性幹細胞は、成体体細胞におけるOct3、Oct4、Sox2、Klf4、c-Mycまたはその組み合わせの誘導遺伝子発現を通じて産生され得る。一部の実施形態では、革製品の少なくとも一部は、本明細書で開示される方法から形成され得る。一部の実施形態では、革製品は、腕時計のバンド、ベルト、パッケージング、靴、ブーツ、履物、手袋、衣類、かばん、袋物、クラッチ(clutch)、財布、バックパック、札入れ、サドル、ハーネス、鞭、インテリア、エクステリア、椅子張り材料(upholstery)、製本材料(book binding)、家具、ランプ、ランプシェード、テーブル掛け、壁紙(wall covering)、床材(floor covering)、天井張り材料(ceiling covering)、自動車インテリア、自動車エクステリア、ボートインテリア、ボートエクステリア、飛行機インテリア、ヨットインテリア、ヨットエクステリア、枕カバー、シーツ、羽毛掛け布団カバー(duvet cover)、ジュエリー、アクセサリー、眼鏡、サングラス、または消費者向け電化製品のうちの1つまたは複数を含み得る。一部の実施形態では、革製品は、腕時計のバンドであり得る。一部の実施形態では、革製品は、ベルトであり得る。一部の実施形態では、革製品は、袋物であり得る。合成皮革に含まれる細胞の少なくとも約2%は、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。合成皮革に含まれる細胞の少なくとも約10%は、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。合成皮革に含まれる細胞の少なくとも約50%は、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。
【0005】
本明細書において、合成皮革を製造する方法が開示される。一部の実施形態では、方法は、人工真皮層上に人工表皮層を配置し、それにより、層状構造を形成するステップを含み得る。一部の実施形態では、表皮層は、ケラチノサイトを含み得、真皮層は、線維芽細胞を含み得る。一部の実施形態では、方法は、層状構造から表皮層の少なくとも一部を除去して、除去生成物を形成するステップを含み得る。一部の実施形態では、方法は、除去生成物の少なくとも一部をなめし、それにより、合成皮革を形成するステップを含み得る。一部の実施形態では、線維芽細胞またはケラチノサイトは、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。一部の実施形態では、哺乳動物は、非ヒト哺乳動物であり得る。一部の実施形態では、ケラチノサイトは、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。一部の実施形態では、ケラチノサイトは、KRT14、p63、DSG3、ITGB4、LAMA5、KRT5、TAp63、Lamb3、KRT18またはその組み合わせを発現することができる。一部の実施形態では、層状構造は、メラノサイトをさらに含み得る。一部の実施形態では、メラノサイトは、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。一部の実施形態では、メラノサイトは、Sox-10、MITF-M、gp-100、DCT、TYR、MLANAまたはその組み合わせを発現することができる。一部の実施形態では、合成皮革は、色素を含み得る。一部の実施形態では、メラノサイトは、哺乳動物メラノサイトであり得る。一部の実施形態では、哺乳動物は、ヒトであり得る。一部の実施形態では、線維芽細胞は、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。一部の実施形態では、線維芽細胞は、CD10、CD73、CD44、CD90、I型コラーゲン、III型コラーゲン、プロリル-4-ヒドロキシラーゼベータ、またはその組み合わせを発現することができる。一部の実施形態では、除去生成物は、コラーゲンをさらに含み得る。一部の実施形態では、除去生成物は、さらなる処理に供され得る。一部の実施形態では、線維芽細胞は、哺乳動物線維芽細胞であり得る。一部の実施形態では、哺乳動物は、非ヒト哺乳動物であり得る。一部の実施形態では、非ヒト哺乳動物は、霊長類、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ(equinine)、イヌ、ネコ、げっ歯類、またはウサギのうちの1つであり得る。一部の実施形態では、線維芽細胞は、非哺乳動物線維芽細胞であり得る。一部の実施形態では、非哺乳動物は、魚類、鳥類または爬虫類であり得る。一部の実施形態では、表皮層は、コラーゲンをさらに含み得る。一部の実施形態では、表皮層は、さらなる処理に供することができる。一部の実施形態では、層状構造は、コラーゲンをさらに含み得る。一部の実施形態では、層状構造は、さらなる処理に供することができる。一部の実施形態では、真皮層は、さらなる処理に供することができる。一部の実施形態では、処理は、保存加工(preserving)、水漬け(soaking)、ベーチング(bating)、ピックリング(pickling)、脱酸(depickling)、シンニング(thinning)、再なめし(retanning)、潤滑化(lubricating)、クラスティング(crusting)、湿潤化、水絞り(sammying)、シェービング、再クロム処理(rechroming)、中和、染色、加脂、充填(filling)、ストリッピング、スタッフィング(stuffing)、白化、固着(fixating)、セッティング(setting)、乾燥、コンディショニング(conditioning)、空打ち(milling)、ステーキング(staking)、バフィング、仕上げ、油入れ(oiling)、ブラッシング、パディング(padding)、含浸、スプレー、ローラーコーティング、カーテンコーティング、艶出し(polishing)、プレーティング(plating)、型押し、アイロン掛け、グレージング(glazing)、タンブリングおよびその任意の組み合わせからなる群より選択することができる。一部の実施形態では、コラーゲンは、コラーゲン産生細胞によって少なくとも部分的に産生することができる、別に添加することができる、またはその任意の組み合わせである。一部の実施形態では、コラーゲン産生細胞は、上皮細胞、ケラチノサイト、線維芽細胞、角質細胞(comeocyte)、メラノサイト、ランゲルハンス細胞、基底細胞、またはその組み合わせを含み得る。一部の実施形態では、コラーゲン産生細胞は、上皮細胞を含み得、上皮細胞は、扁平上皮細胞、立方細胞(cuboidal cell)、円柱細胞、基底細胞、またはその組み合わせを含み得る。一部の実施形態では、コラーゲン産生細胞は、ケラチノサイトを含み得、ケラチノサイトは、上皮ケラチノサイト、基底ケラチノサイト、増殖中の基底ケラチノサイト、分化した基底上ケラチノサイト、またはその組み合わせを含み得る。一部の実施形態では、コラーゲン産生細胞は、平滑筋細胞を含み得る。一部の実施形態では、合成皮革は、ケラチン、エラスチン、ゼラチン、プロテオグリカン、デルマタン硫酸プロテオグリカン、グリコサミノグリカン、フィブロネクチン、ラミニン、デルマトポンチン(dermatopontin)、脂質、脂肪酸、糖質、またはその組み合わせのうちの1種または複数種をさらに含み得る。一部の実施形態では、真皮層の厚さは、約0.02mmから約5mmに及び得る。一部の実施形態では、真皮層の厚さは、約0.1mmから約0.5mmに及び得る。一部の実施形態では、合成皮革は、第1の真皮層および第2の真皮層をさらに含み得る。一部の実施形態では、第1の真皮層は、第2の真皮層上に配置することができる。一部の実施形態では、表皮層の厚さは、約0.01mmから約2mmに及び得る。一部の実施形態では、表皮層の厚さは、約0.1mmから約0.2mmに及び得る。一部の実施形態では、合成皮革は、第1の表皮層および第2の表皮層をさらに含み得る。一部の実施形態では、合成皮革は、基底膜代用物をさらに含み得る。一部の実施形態では、基底膜代用物は、表皮層と真皮層との間にあり得る。一部の実施形態では、基底膜代用物は、乾燥無細胞羊膜を含み得る。一部の実施形態では、真皮層は、足場上に形成することができる。一部の実施形態では、足場は、天然または合成であり得る。一部の実施形態では、足場は、絹を含み得る。一部の実施形態では、足場は、キトサンを含み得る。一部の実施形態では、足場は、天然組織接着剤を含み得る。一部の実施形態では、天然組織接着剤は、フィブリン糊を含み得る。一部の実施形態では、足場は、部分的に合成皮革中に含まれ得る。一部の実施形態では、真皮層または表皮層は、in vitroで培養することができる。一部の実施形態では、真皮層は、in vitroで培養することができる。一部の実施形態では、真皮層は、補充物と共に培養することができる。一部の実施形態では、補充物は、コラーゲン、フィブリン、増殖因子、アスコルビン酸、硫酸デキストラン、またはカラゲナンのうちの1種または複数種を含み得る。一部の実施形態では、補充物は、天然補充物であり得る。一部の実施形態では、補充物は、合成補充物であり得る。一部の実施形態では、人工多能性幹細胞は、成体体細胞におけるOct3、Oct4、Sox2、Klf4、c-Mycまたはその組み合わせの誘導遺伝子発現を通じて産生され得る。一部の実施形態では、革製品の少なくとも一部は、本明細書で開示される方法から形成され得る。一部の実施形態では、革製品は、腕時計のバンド、ベルト、パッケージング、靴、ブーツ、履物、手袋、衣類、かばん、袋物、クラッチ、財布、バックパック、札入れ、サドル、ハーネス、鞭、インテリア、エクステリア、椅子張り材料、製本材料、家具、ランプ、ランプシェード、テーブル掛け、壁紙、床材、天井張り材料、自動車インテリア、自動車エクステリア、ボートインテリア、ボートエクステリア、飛行機インテリア、ヨットインテリア、ヨットエクステリア、枕カバー、シーツ、羽毛掛け布団カバー、ジュエリー、アクセサリー、眼鏡、サングラス、または消費者向け電化製品のうちの1つまたは複数を含み得る。一部の実施形態では、革製品は、腕時計のバンドであり得る。一部の実施形態では、革製品は、ベルトであり得る。一部の実施形態では、革製品は、袋物であり得る。合成皮革に含まれる細胞の少なくとも約2%は、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。合成皮革に含まれる細胞の少なくとも約10%は、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。合成皮革に含まれる細胞の少なくとも約50%は、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。
【0006】
本明細書において、合成なめし皮革が開示される。一部の実施形態では、合成なめし皮革は、なめす前に、線維芽細胞を含む人工真皮層を含み得る。一部の実施形態では、線維芽細胞は、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。一部の実施形態では、合成なめし皮革は、なめす前に、人工表皮層をさらに含み得る。一部の実施形態では、表皮層は、ケラチノサイトをさらに含み得る。一部の実施形態では、表皮層は、真皮層上にあり、それにより、層状構造を形成している場合がある。一部の実施形態では、哺乳動物は、非ヒト哺乳動物であり得る。一部の実施形態では、ケラチノサイトは、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。一部の実施形態では、ケラチノサイトは、KRT14、p63、DSG3、ITGB4、LAMA5、KRT5、TAp63、Lamb3、KRT18またはその組み合わせを発現することができる。一部の実施形態では、層状構造は、メラノサイトをさらに含み得る。一部の実施形態では、メラノサイトは、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。一部の実施形態では、メラノサイトは、Sox-10、MITF-M、gp-100、DCT、TYR、MLANAまたはその組み合わせを発現することができる。一部の実施形態では、合成皮革は、色素をさらに含み得る。一部の実施形態では、メラノサイトは、哺乳動物メラノサイトであり得る。一部の実施形態では、哺乳動物は、非ヒト哺乳動物であり得る。一部の実施形態では、線維芽細胞は、CD10、CD73、CD44、CD90、I型コラーゲン、III型コラーゲン、プロリル-4-ヒドロキシラーゼベータ、またはその組み合わせを発現することができる。一部の実施形態では、線維芽細胞は、哺乳動物線維芽細胞であり得る。一部の実施形態では、哺乳動物は、非ヒト哺乳動物であり得る。一部の実施形態では、非ヒト哺乳動物は、霊長類、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ(equinine)、イヌ、ネコ、げっ歯類、またはウサギのうちの1つであり得る。一部の実施形態では、線維芽細胞は、非哺乳動物線維芽細胞であり得る。一部の実施形態では、非哺乳動物は、魚類、鳥類または爬虫類であり得る。一部の実施形態では、表皮層は、コラーゲンをさらに含み得る。一部の実施形態では、層状構造は、コラーゲンをさらに含み得る。一部の実施形態では、真皮層は、コラーゲンをさらに含み得る。一部の実施形態では、コラーゲンは、コラーゲン産生細胞によって少なくとも部分的に産生することができる、別に添加することができる、またはその任意の組み合わせである。一部の実施形態では、コラーゲン産生細胞は、上皮細胞、ケラチノサイト、線維芽細胞、角質細胞(comeocyte)、メラノサイト、ランゲルハンス細胞、基底細胞、またはその組み合わせを含み得る。一部の実施形態では、コラーゲン産生細胞は、上皮細胞を含み得、上皮細胞は、扁平上皮細胞、立方細胞、円柱細胞、基底細胞、またはその組み合わせを含み得る。一部の実施形態では、コラーゲン産生細胞は、ケラチノサイトを含み得、ケラチノサイトは、上皮ケラチノサイト、基底ケラチノサイト、増殖中の基底ケラチノサイト、分化した基底上ケラチノサイト、またはその組み合わせを含む。一部の実施形態では、コラーゲン産生細胞は、平滑筋細胞を含み得る。一部の実施形態では、合成皮革は、ケラチン、エラスチン、ゼラチン、プロテオグリカン、デルマタン硫酸プロテオグリカン、グリコサミノグリカン、フィブロネクチン、ラミニン、デルマトポンチン(dermatopontin)、脂質、脂肪酸、糖質、またはその組み合わせのうちの1種または複数種をさらに含み得る。一部の実施形態では、真皮層の厚さは、約0.02mmから約5mmに及び得る。一部の実施形態では、真皮層の厚さは、約0.1mmから約0.5mmに及び得る。一部の実施形態では、合成皮革は、第1の真皮層および第2の真皮層をさらに含み得る。一部の実施形態では、第1の真皮層は、第2の真皮層上にあり得る。一部の実施形態では、表皮層の厚さは、約0.01mmから約2mmに及び得る。一部の実施形態では、表皮層の厚さは、約0.1mmから約0.2mmに及び得る。一部の実施形態では、合成皮革は、第1の表皮層および第2の表皮層をさらに含み得る。一部の実施形態では、合成皮革は、基底膜代用物を含み得る。一部の実施形態では、基底膜代用物は、表皮層と真皮層との間にあり得る。一部の実施形態では、基底膜代用物は、乾燥無細胞羊膜を含み得る。一部の実施形態では、真皮層は、足場上に形成することができる。一部の実施形態では、足場は、天然または合成であり得る。一部の実施形態では、足場は、絹を含み得る。一部の実施形態では、足場は、キトサンを含み得る。一部の実施形態では、足場は、天然組織接着剤を含み得る。一部の実施形態では、天然組織接着剤は、フィブリン糊を含み得る。一部の実施形態では、足場は、合成なめし皮革中に部分的に含まれ得る。一部の実施形態では、真皮層または表皮層は、in vitroで培養することができる。一部の実施形態では、真皮層は、in vitroで培養することができる。一部の実施形態では、合成なめし皮革は、腕時計のバンド、ベルト、パッケージング、靴、ブーツ、履物、手袋、衣類、かばん、袋物、クラッチ、財布、バックパック、札入れ、サドル、ハーネス、鞭、インテリア、エクステリア、椅子張り材料、製本材料、家具、ランプ、ランプシェード、テーブル掛け、壁紙、床材、天井張り材料、自動車インテリア、自動車エクステリア、ボートインテリア、ボートエクステリア、飛行機インテリア、ヨットインテリア、ヨットエクステリア、枕カバー、シーツ、羽毛掛け布団カバー、ジュエリー、アクセサリー、眼鏡、サングラス、または消費者向け電化製品のうちの1つまたは複数に含まれ得る。一部の実施形態では、合成なめし皮革は、腕時計のバンドに含まれ得る。一部の実施形態では、合成なめし皮革は、ベルトに含まれ得る。一部の実施形態では、合成なめし皮革は、袋物に含まれ得る。合成なめし皮革に含まれる細胞の少なくとも約2%は、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。合成なめし皮革に含まれる細胞の少なくとも約10%は、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。合成なめし皮革に含まれる細胞の少なくとも約50%は、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。
【0007】
本明細書において、合成なめし皮革が開示される。一部の実施形態では、合成なめし皮革は、なめす前に、層状構造を含み得る。一部の実施形態では、層状構造は、人工真皮層を含み得る。一部の実施形態では、真皮層は、線維芽細胞を含み得る。一部の実施形態では、層状構造は、人工表皮層を含み得る。一部の実施形態では、表皮層は、ケラチノサイトを含み得る。一部の実施形態では、線維芽細胞またはケラチノサイトは、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。一部の実施形態では、線維芽細胞は、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。一部の実施形態では、哺乳動物は、非ヒト哺乳動物であり得る。一部の実施形態では、ケラチノサイトは、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。一部の実施形態では、ケラチノサイトは、KRT14、p63、DSG3、ITGB4、LAMA5、KRT5、TAp63、Lamb3、KRT18またはその組み合わせを発現することができる。一部の実施形態では、層状構造は、メラノサイトをさらに含み得る。一部の実施形態では、メラノサイトは、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。一部の実施形態では、メラノサイトは、Sox-10、MITF-M、gp-100、DCT、TYR、MLANAまたはその組み合わせを発現することができる。一部の実施形態では、合成皮革は、色素をさらに含み得る。一部の実施形態では、合成皮革は、色素をさらに含み得る。一部の実施形態では、メラノサイトは、哺乳動物メラノサイトであり得る。一部の実施形態では、哺乳動物は、非ヒト哺乳動物であり得る。一部の実施形態では、線維芽細胞は、CD10、CD73、CD44、CD90、I型コラーゲン、III型コラーゲン、プロリル-4-ヒドロキシラーゼベータ、またはその組み合わせを発現することができる。一部の実施形態では、線維芽細胞は、哺乳動物線維芽細胞であり得る。一部の実施形態では、哺乳動物は、非ヒト哺乳動物であり得る。一部の実施形態では、非ヒト哺乳動物は、霊長類、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ(equinine)、イヌ、ネコ、げっ歯類、またはウサギのうちの1つであり得る。一部の実施形態では、線維芽細胞は、非哺乳動物線維芽細胞であり得る。一部の実施形態では、表皮層は、コラーゲンをさらに含み得る。一部の実施形態では、層状構造は、コラーゲンをさらに含み得る。一部の実施形態では、真皮層は、コラーゲンをさらに含み得る。一部の実施形態では、コラーゲンは、コラーゲン産生細胞によって少なくとも部分的に産生することができる、別に添加することができる、またはその任意の組み合わせである。一部の実施形態では、コラーゲン産生細胞は、上皮細胞、ケラチノサイト、線維芽細胞、角質細胞(comeocyte)、メラノサイト、ランゲルハンス細胞、基底細胞、またはその組み合わせを含み得る。一部の実施形態では、コラーゲン産生細胞は、上皮細胞を含み得、上皮細胞は、扁平上皮細胞、立方細胞、円柱細胞、基底細胞、またはその組み合わせを含み得る。一部の実施形態では、コラーゲン産生細胞は、ケラチノサイトを含み得、ケラチノサイトは、上皮ケラチノサイト、基底ケラチノサイト、増殖中の基底ケラチノサイト、分化した基底上ケラチノサイト、またはその組み合わせを含む。一部の実施形態では、コラーゲン産生細胞は、平滑筋細胞を含み得る。一部の実施形態では、合成皮革は、ケラチン、エラスチン、ゼラチン、プロテオグリカン、デルマタン硫酸プロテオグリカン、グリコサミノグリカン、フィブロネクチン、ラミニン、デルマトポンチン(dermatopontin)、脂質、脂肪酸、糖質、またはその組み合わせのうちの1種または複数種をさらに含み得る。一部の実施形態では、真皮層の厚さは、約0.02mmから約5mmに及び得る。一部の実施形態では、真皮層の厚さは、約0.1mmから約0.5mmに及び得る。一部の実施形態では、合成皮革は、第1の真皮層および第2の真皮層をさらに含み得る。一部の実施形態では、第1の真皮層は、第2の真皮層上にあり得る。一部の実施形態では、表皮層の厚さは、約0.01mmから約2mmに及び得る。一部の実施形態では、表皮層の厚さは、約0.1mmから約0.2mmに及び得る。一部の実施形態では、合成皮革は、第1の表皮層および第2の表皮層をさらに含み得る。一部の実施形態では、合成皮革は、基底膜代用物を含み得る。一部の実施形態では、基底膜代用物は、表皮層と真皮層との間にあり得る。一部の実施形態では、基底膜代用物は、乾燥無細胞羊膜を含み得る。一部の実施形態では、真皮層は、足場上に形成することができる。一部の実施形態では、足場は、天然または合成であり得る。一部の実施形態では、足場は、絹を含み得る。一部の実施形態では、足場は、キトサンを含み得る。一部の実施形態では、足場は、天然組織接着剤を含み得る。一部の実施形態では、天然組織接着剤は、フィブリン糊を含み得る。一部の実施形態では、足場は、合成なめし皮革中に部分的に含まれ得る。一部の実施形態では、真皮層または表皮層は、in vitroで培養することができる。一部の実施形態では、真皮層は、in vitroで培養することができる。一部の実施形態では、合成なめし皮革は、腕時計のバンド、ベルト、パッケージング、靴、ブーツ、履物、手袋、衣類、かばん、袋物、クラッチ、財布、バックパック、札入れ、サドル、ハーネス、鞭、インテリア、エクステリア、椅子張り材料、製本材料、家具、ランプ、ランプシェード、テーブル掛け、壁紙、床材、天井張り材料、自動車インテリア、自動車エクステリア、ボートインテリア、ボートエクステリア、飛行機インテリア、ヨットインテリア、ヨットエクステリア、枕カバー、シーツ、羽毛掛け布団カバー、ジュエリー、アクセサリー、眼鏡、サングラス、または消費者向け電化製品のうちの1つまたは複数に含まれ得る。一部の実施形態では、合成なめし皮革は、腕時計のバンドに含まれ得る。一部の実施形態では、合成なめし皮革は、ベルトに含まれ得る。一部の実施形態では、合成なめし皮革は、袋物に含まれ得る。合成なめし皮革に含まれる細胞の少なくとも約2%は、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。合成なめし皮革に含まれる細胞の少なくとも約10%は、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。合成なめし皮革に含まれる細胞の少なくとも約50%は、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。
【0008】
本明細書において、合成なめし皮革が開示される。一部の実施形態では、合成なめし皮革は、なめす前に、層状構造を含む除去生成物を含み得る。一部の実施形態では、層状構造は、人工真皮層を含み得る。一部の実施形態では、真皮層は、線維芽細胞を含み得る。一部の実施形態では、層状構造は、人工表皮層を含み得る。一部の実施形態では、表皮層は、ケラチノサイトを含み得る。一部の実施形態では、表皮層の一部は、除去され得る。一部の実施形態では、線維芽細胞またはケラチノサイトは、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。一部の実施形態では、除去生成物は、コラーゲンをさらに含み得る。一部の実施形態では、線維芽細胞は、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。一部の実施形態では、哺乳動物は、非ヒト哺乳動物であり得る。一部の実施形態では、ケラチノサイトは、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。一部の実施形態では、ケラチノサイトは、KRT14、p63、DSG3、ITGB4、LAMA5、KRT5、TAp63、Lamb3、KRT18またはその組み合わせを発現することができる。一部の実施形態では、層状構造は、メラノサイトをさらに含み得る。一部の実施形態では、メラノサイトは、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。一部の実施形態では、メラノサイトは、Sox-10、MITF-M、gp-100、DCT、TYR、MLANAまたはその組み合わせを発現することができる。一部の実施形態では、合成皮革は、色素をさらに含み得る。一部の実施形態では、合成皮革は、色素をさらに含み得る。一部の実施形態では、メラノサイトは、哺乳動物メラノサイトであり得る。一部の実施形態では、哺乳動物は、非ヒト哺乳動物であり得る。一部の実施形態では、線維芽細胞は、CD10、CD73、CD44、CD90、I型コラーゲン、III型コラーゲン、プロリル-4-ヒドロキシラーゼベータ、またはその組み合わせを発現することができる。一部の実施形態では、線維芽細胞は、哺乳動物線維芽細胞であり得る。一部の実施形態では、哺乳動物は、非ヒト哺乳動物であり得る。一部の実施形態では、非ヒト哺乳動物は、霊長類、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ(equinine)、イヌ、ネコ、げっ歯類、またはウサギのうちの1つであり得る。一部の実施形態では、線維芽細胞は、非哺乳動物線維芽細胞であり得る。一部の実施形態では、表皮層は、コラーゲンをさらに含み得る。一部の実施形態では、層状構造は、コラーゲンをさらに含み得る。一部の実施形態では、真皮層は、コラーゲンをさらに含み得る。一部の実施形態では、コラーゲンは、コラーゲン産生細胞によって少なくとも部分的に産生することができる、別に添加することができる、またはその任意の組み合わせである。一部の実施形態では、コラーゲン産生細胞は、上皮細胞、ケラチノサイト、線維芽細胞、角質細胞(comeocyte)、メラノサイト、ランゲルハンス細胞、基底細胞、またはその組み合わせを含み得る。一部の実施形態では、コラーゲン産生細胞は、上皮細胞を含み得、上皮細胞は、扁平上皮細胞、立方細胞、円柱細胞、基底細胞、またはその組み合わせを含み得る。一部の実施形態では、コラーゲン産生細胞は、ケラチノサイトを含み得、ケラチノサイトは、上皮ケラチノサイト、基底ケラチノサイト、増殖中の基底ケラチノサイト、分化した基底上ケラチノサイト、またはその組み合わせを含む。一部の実施形態では、コラーゲン産生細胞は、平滑筋細胞を含み得る。一部の実施形態では、合成皮革は、ケラチン、エラスチン、ゼラチン、プロテオグリカン、デルマタン硫酸プロテオグリカン、グリコサミノグリカン、フィブロネクチン、ラミニン、デルマトポンチン(dermatopontin)、脂質、脂肪酸、糖質、またはその組み合わせのうちの1種または複数種をさらに含み得る。一部の実施形態では、真皮層の厚さは、約0.02mmから約5mmに及び得る。一部の実施形態では、真皮層の厚さは、約0.1mmから約0.5mmに及び得る。一部の実施形態では、合成皮革は、第1の真皮層および第2の真皮層をさらに含み得る。一部の実施形態では、第1の真皮層は、第2の真皮層上にあり得る。一部の実施形態では、表皮層の厚さは、約0.01mmから約2mmに及び得る。一部の実施形態では、表皮層の厚さは、約0.1mmから約0.2mmに及び得る。一部の実施形態では、合成皮革は、第1の表皮層および第2の表皮層をさらに含み得る。一部の実施形態では、合成皮革は、基底膜代用物を含み得る。一部の実施形態では、基底膜代用物は、表皮層と真皮層との間にあり得る。一部の実施形態では、基底膜代用物は、乾燥無細胞羊膜を含み得る。一部の実施形態では、真皮層は、足場上に形成することができる。一部の実施形態では、足場は、天然または合成であり得る。一部の実施形態では、足場は、絹を含み得る。一部の実施形態では、足場は、キトサンを含み得る。一部の実施形態では、足場は、天然組織接着剤を含み得る。一部の実施形態では、天然組織接着剤は、フィブリン糊を含み得る。一部の実施形態では、足場は、合成なめし皮革中に部分的に含まれ得る。一部の実施形態では、真皮層または表皮層は、in vitroで培養することができる。一部の実施形態では、真皮層は、in vitroで培養することができる。一部の実施形態では、合成なめし皮革は、腕時計のバンド、ベルト、パッケージング、靴、ブーツ、履物、手袋、衣類、かばん、袋物、クラッチ、財布、バックパック、札入れ、サドル、ハーネス、鞭、インテリア、エクステリア、椅子張り材料、製本材料、家具、ランプ、ランプシェード、テーブル掛け、壁紙、床材、天井張り材料、自動車インテリア、自動車エクステリア、ボートインテリア、ボートエクステリア、飛行機インテリア、ヨットインテリア、ヨットエクステリア、枕カバー、シーツ、羽毛掛け布団カバー、ジュエリー、アクセサリー、眼鏡、サングラス、または消費者向け電化製品のうちの1つまたは複数に含まれ得る。一部の実施形態では、合成なめし皮革は、腕時計のバンドに含まれ得る。一部の実施形態では、合成なめし皮革は、ベルトに含まれ得る。一部の実施形態では、合成なめし皮革は、袋物に含まれ得る。合成なめし皮革に含まれる細胞の少なくとも約2%は、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。合成なめし皮革に含まれる細胞の少なくとも約10%は、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。合成なめし皮革に含まれる細胞の少なくとも約50%は、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。
【0009】
本明細書において、人工表皮層が開示される。一部の実施形態では、人工表皮層は、毛包細胞およびメラノサイトを含み得る。一部の実施形態では、人工表皮層は、毛包細胞を含み得る。一部の実施形態では、人工表皮層は、メラノサイトを含み得る。一部の実施形態では、メラノサイトは、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。一部の実施形態では、毛包細胞は、真皮乳頭細胞、外毛根鞘細胞またはその組み合わせを含み得る。一部の実施形態では、メラノサイトは、哺乳動物メラノサイトであり得る。一部の実施形態では、表皮層は、ケラチノサイトをさらに含み得る。一部の実施形態では、ケラチノサイトは、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。一部の実施形態では、ケラチノサイトは、KRT14、p63、DSG3、ITGB4、LAMA5、KRT5、TAp63、Lamb3、KRT18またはその組み合わせを発現することができる。一部の実施形態では、ケラチノサイトは、哺乳動物ケラチノサイトであり得る。一部の実施形態では、哺乳動物は、非ヒト哺乳動物であり得る。一部の実施形態では、哺乳動物は、ヒト哺乳動物であり得る。一部の実施形態では、非ヒト哺乳動物は、霊長類、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、イヌ、ネコ、げっ歯類、またはウサギのうちの1つであり得る。一部の実施形態では、線維芽細胞は、非哺乳動物線維芽細胞であり得る。一部の実施形態では、非哺乳動物は、魚類、鳥類または爬虫類であり得る。一部の実施形態では、メラノサイトは、Sox-10、MITF-M、gp-100、DCT、TYR、MLANAまたはその組み合わせを発現することができる。一部の実施形態では、表皮層は、毛包を含み得る。人工表皮層に含まれる細胞の少なくとも約2%は、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。人工表皮層に含まれる細胞の少なくとも約10%は、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。人工表皮層に含まれる細胞の少なくとも約50%は、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。
【0010】
本明細書において、層状構造が開示される。一部の実施形態では、層状構造は、人工表皮層を含み得る。一部の実施形態では、表皮層は、毛包細胞を含み得る。一部の実施形態では、層状構造は、人工真皮層を含み得る。一部の実施形態では、真皮層は、線維芽細胞を含み得る。一部の実施形態では、線維芽細胞は、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。一部の実施形態では、線維芽細胞は、CD10、CD73、CD44、CD90、I型コラーゲン、III型コラーゲン、プロリル-4-ヒドロキシラーゼベータ、またはその組み合わせを発現することができる。一部の実施形態では、線維芽細胞は、哺乳動物線維芽細胞であり得る。一部の実施形態では、表皮層は、ケラチノサイトをさらに含み得る。一部の実施形態では、ケラチノサイトは、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。一部の実施形態では、ケラチノサイトは、KRT14、p63、DSG3、ITGB4、LAMA5、KRT5、TAp63、Lamb3、KRT18またはその組み合わせを発現することができる。一部の実施形態では、毛包細胞は、真皮乳頭細胞、外毛根鞘細胞またはその組み合わせであり得る。一部の実施形態では、表皮層は、メラノサイトをさらに含み得る。一部の実施形態では、メラノサイトは、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。一部の実施形態では、メラノサイトは、Sox-10、MITF-M、gp-100、DCT、TYR、MLANAまたはその組み合わせを発現することができる。一部の実施形態では、層状構造は、色素沈着している場合がある。一部の実施形態では、表皮層は、階層化されている場合がある。一部の実施形態では、層状構造は、基底膜代用物を含み得る。一部の実施形態では、基底膜代用物は、表皮層と真皮層との間にあり得る。一部の実施形態では、基底膜代用物は、乾燥無細胞羊膜を含み得る。一部の実施形態では、層状構造は、足場をさらに含み得る。一部の実施形態では、足場は、天然または合成であり得る。一部の実施形態では、足場は、絹を含み得る。一部の実施形態では、足場は、キトサンを含み得る。一部の実施形態では、真皮層は、足場上にあり得る。一部の実施形態では、層状構造は、ケラチン、エラスチン、ゼラチン、プロテオグリカン、デルマタン硫酸プロテオグリカン、グリコサミノグリカン、フィブロネクチン、ラミニン、デルマトポンチン、脂質、脂肪酸、糖質、またはその組み合わせからなる群より選択される1種または複数種の構成要素を含み得る。一部の実施形態では、層状構造は、2つまたはそれよりも多い真皮層をさらに含み得る。一部の実施形態では、層状構造は、毛包をさらに含み得る。一部の実施形態では、層状構造は、柔皮をさらに含み得る。層状構造に含まれる細胞の少なくとも約2%は、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。層状構造に含まれる細胞の少なくとも約10%は、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。層状構造に含まれる細胞の少なくとも約50%は、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。
【0011】
本明細書において、層状構造を製造する方法が開示される。一部の実施形態では、方法は、毛包細胞を含む人工表皮層を、人工多能性幹細胞から分化した細胞を含む人工真皮層上に配置し、それにより、層状構造を形成するステップを含み得る。一部の実施形態では、人工多能性幹細胞から分化した細胞は、線維芽細胞、メラノサイト、ケラチノサイトまたはその組み合わせであり得る。一部の実施形態では、人工多能性幹細胞から分化した細胞は、線維芽細胞であり得る。一部の実施形態では、線維芽細胞は、CD10、CD73、CD44、CD90、I型コラーゲン、III型コラーゲン、プロリル-4-ヒドロキシラーゼベータ、またはその組み合わせを発現することができる。一部の実施形態では、線維芽細胞は、哺乳動物線維芽細胞であり得る。一部の実施形態では、表皮層は、ケラチノサイトをさらに含み得る。一部の実施形態では、ケラチノサイトは、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。一部の実施形態では、ケラチノサイトは、KRT14、p63、DSG3、ITGB4、LAMA5、KRT5、TAp63、Lamb3、KRT18またはその組み合わせを発現することができる。一部の実施形態では、毛包細胞は、真皮乳頭細胞、外毛根鞘細胞またはその組み合わせを含み得る。一部の実施形態では、表皮層は、メラノサイトをさらに含み得る。一部の実施形態では、メラノサイトは、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。一部の実施形態では、メラノサイトは、Sox-10、MITF-M、gp-100、DCT、TYR、MLANAまたはその組み合わせを発現することができる。一部の実施形態では、真皮層は、補充物と共に培養することができる。一部の実施形態では、補充物は、コラーゲン、フィブリン、増殖因子、アスコルビン酸、硫酸デキストラン、カラゲナンまたはその組み合わせを含み得る。一部の実施形態では、補充物は、天然補充物であり得る。一部の実施形態では、補充物は、合成補充物であり得る。一部の実施形態では、真皮層は、足場上で培養される場合がある。一部の実施形態では、足場は、天然または合成であり得る。一部の実施形態では、足場は、絹を含み得る。一部の実施形態では、足場は、キトサンを含み得る。一部の実施形態では、真皮層は、足場上に配置され得る。一部の実施形態では、表皮層は、階層化されている場合がある。一部の実施形態では、真皮層は、第2の真皮層上で培養される場合がある。一部の実施形態では、真皮層は、in vivoで培養される場合がある。一部の実施形態では、真皮層は、コラーゲンマトリクス上で培養されない場合がある。一部の実施形態では、真皮層の厚さは、約0.02mmから約5mmに及び得る。一部の実施形態では、真皮層の厚さは、約0.1mmから約0.5mmに及び得る。一部の実施形態では、表皮層の厚さは、約0.01mmから約2mmに及び得る。一部の実施形態では、表皮層の厚さは、約0.1mmから約0.2mmに及び得る。層状構造に含まれる細胞の少なくとも約2%は、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。層状構造に含まれる細胞の少なくとも約10%は、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。層状構造に含まれる細胞の少なくとも約50%は、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。
【0012】
本明細書において、層状構造が開示される。一部の実施形態では、層状構造は、毛包細胞およびケラチノサイトまたはメラノサイトを含む人工表皮層;線維芽細胞を含む人工真皮層を含み得、線維芽細胞、ケラチノサイトまたはメラノサイトは、人工多能性幹細胞から分化したものである場合があり、メラノサイトは、Sox-10、MITF-M、gp-100、DCT、TYR、MLANAまたはその組み合わせを発現し、線維芽細胞は、CD10、CD73、CD44、CD90、I型コラーゲン、III型コラーゲン、プロリル-4-ヒドロキシラーゼベータ、またはその組み合わせを発現し、ケラチノサイトは、KRT14、p63、DSG3、ITGB4、LAMA5、KRT5、TAp63、Lamb3、KRT18またはその組み合わせを発現する。一部の実施形態では、層状構造は、人工表皮層を含み得る。一部の実施形態では、表皮層は、毛包細胞を含み得る。一部の実施形態では、表皮層は、ケラチノサイトまたはメラノサイトを含み得る。一部の実施形態では、層状構造は、人工真皮層を含み得る。ある実施形態では、真皮層は、線維芽細胞を含み得る。一部の実施形態では、線維芽細胞、ケラチノサイトまたはメラノサイトは、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。一部の実施形態では、メラノサイトは、Sox-10、MITF-M、gp-100、DCT、TYR、MLANAまたはその組み合わせを発現することができる。一部の実施形態では、線維芽細胞は、CD10、CD73、CD44、CD90、I型コラーゲン、III型コラーゲン、プロリル-4-ヒドロキシラーゼベータ、またはその組み合わせを発現することができる。一部の実施形態では、線維芽細胞は、哺乳動物線維芽細胞であり得る。一部の実施形態では、ケラチノサイトは、KRT14、p63、DSG3、ITGB4、LAMA5、KRT5、TAp63、Lamb3、KRT18またはその組み合わせを発現することができる。一部の実施形態では、真皮層の厚さは、約0.02mmから約5mmに及び得る。一部の実施形態では、真皮層の厚さは、約0.1mmから約0.5mmに及び得る。一部の実施形態では、表皮層の厚さは、約0.01mmから約2mmに及び得る。一部の実施形態では、表皮層の厚さは、約0.1mmから約0.2mmに及び得る。層状構造に含まれる細胞の少なくとも約2%は、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。層状構造に含まれる細胞の少なくとも約10%は、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。層状構造に含まれる細胞の少なくとも約50%は、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。
【0013】
本明細書において、人工表皮層が開示される。人工表皮層は、角質層を含み得る。人工表皮層は、顆粒層を含み得る。人工表皮層は、有棘層を含み得る。人工表皮層は、基底層を含み得る。一部の実施形態では、角質層、顆粒層、有棘層、または基底層は、図6Aまたは図8Aに示すように組織化されている場合がある。角質層の厚さは、約0.01mmから約0.05mmに及び得る。顆粒層の厚さは、約0.01mmから約0.15mmに及び得る。有棘層の厚さは、約0.01mmから約0.15mmに及び得る。前記基底層の厚さは、約0.01mmから約0.15mmに及び得る。角質層の厚さは、人工表皮層の約4%から約20%に及び得る。顆粒層の厚さは、人工表皮層の約4%から約60%に及び得る。有棘層の厚さは、人工表皮層の約4%から約40%に及び得る。基底層の厚さは、人工表皮層の約4%から約40%に及び得る。人工表皮層に含まれる細胞の少なくとも約2%は、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。人工表皮層に含まれる細胞の少なくとも約10%は、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。人工表皮層に含まれる細胞の少なくとも約50%は、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。
【0014】
参照による組込み
本明細書において言及された全ての刊行物、特許、および特許出願は、各個別の刊行物、特許または特許出願が参照により組み込まれていると具体的および個別に示されるのと同じ程度に、参照により本明細書に組み込まれている。
【0015】
本明細書に記載の新規特徴は、添付の特許請求の範囲に詳細に示されている。本明細書に記載されている特徴の原理が使用されている説明的な例が示されている以下の詳細な記載および以下の添付の図面を参照すると、本明細書に記載されている特徴および特徴の利点に関するより良好な理解が得られるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、合成皮革生産の概略図を示す。
【0017】
図2図2A~2Fは、層状構造を示す。図2Aは、足場上に表皮層および真皮層を含む層状構造を示す。図2Bは、足場上に表皮層、基底膜代用物、および真皮層を含む層状構造を示す。図2Cは、足場上に表皮層および複数の真皮層を含む層状構造を示す。図2Dは、足場上に表皮層、基底膜代用物、および複数の真皮層を含む層状構造を示す。図2Eは、表皮層、基底膜代用物、および複数の真皮層を含む層状構造を示す。図2Fは、表皮層および複数の真皮層を含む層状構造を示す。
【0018】
図3図3は、層状構造の発達を示す。
【0019】
図4図4A~4Cは、皮革(図4A)、天然の皮膚(図4B)、および表皮等価物(図4C)の比較分析を示す。
【0020】
図5図5A~5Cは、天然の皮膚および表皮等価物の角質層の比較分析を示す。図5Aは、表皮表面画像を示す。図5Bは、コルネオデスモソーム(corneo-desmosome)画像を示す。図5Cは、CDSN/ヘキスト画像を示す。
【0021】
図6図6A~6Eは、天然の皮膚および表皮等価物の顆粒層の比較分析を示す。図6Aは、ロリクリン(LOR)染色を示す。図6Bは、電子密度の高い沈殿物として透過型電子顕微鏡で撮影された表皮Ca++勾配を示す。図6Cは、ランタン灌流による透過性障壁完全性の評価を示す。図6Dは、タイトジャンクションタンパク質1/閉鎖帯-1(TJP1/ZO-1)が、脂質二重層内の原線維様構造であり得るタイトジャンクション鎖タンパク質を、アクチン細胞骨格に係留することを示す。図6Eは、縦列にクラスター化して、プロフィラグリンとして知られている大型350kDaタンパク質前駆体となるフィラグリン(FLG)モノマーが、SGの細胞内のケラトヒアリン顆粒に存在することを示す。
【0022】
図7図7A~7Cは、TEMで評価した天然の皮膚および表皮等価物の脂質二重層形成を示す。図7Aは、SCおよびSGの境界での正常な脂質分泌を示す。図7Bは、SGの層状体(lamellar body)を示す。図7Cは、天然の皮膚の正常な脂質二重層(LB)形態を示す。
【0023】
図8図8A~8Cは、基底上層のマーカーである、ケラチン10(KRT10;図8A)、ケラチン1(KRT1;図8B)、デスモコリン1(DCL1;図8C)を含む、天然の皮膚および表皮等価物の基底上層のマーカーの比較分析を示す。図8Dは、in vivoの天然の皮膚およびin vitroで生成された表皮等価物の両方のデスモソームを示す。
【0024】
図9図9A~9Cは、天然の皮膚および表皮等価物の基底層の比較分析を示す。増殖のマーカーであるMKI67(図9A)、ケラチン14(KRT14;図9B)、および転写因子TP63(図9C)は、in vivoの天然の皮膚(パネルの左側)およびin vitroで生成された表皮等価物の両方の典型的な基底の層の分布を示す。図9Dは、in vivoの天然の皮膚およびin vitroで生成された表皮等価物の両方のヘミデスモソームを示す。
【0025】
図10図10A~10Fは、基底膜の細胞外マトリクス成分の比較分析を示す。図10Aは、インテグリンβ1発現を示す。図10Bは、フィブロネクチン発現を示す。図10Cは、コラーゲンIV発現を示す。図10Dは、コラーゲンVI発現を示す。図10Eは、コラーゲンVII発現を示す。図10Fは、ラミニン5発現を示す。
【0026】
図11図11A~11Iは、全層皮膚等価物(FSE)の構造分析を示す。図11Aおよび11Bは、FSEの断面が倍率2600×(図11A)および倍率5200×(図11B)で表皮の別個の細胞層を表すことを示す。図11Cは、倍率900×のFSEの表面を示す。図11D~1Fは、存在する真皮線維芽細胞および豊富な細胞外マトリクスを有する真皮足場の縦断面を倍率91×(図11D)、倍率162×(図11E)および倍率405×(図11F)で示す。図11G~11Iは、存在する真皮線維芽細胞および豊富な細胞外マトリクスを有する真皮足場を倍率80×(図11G)、倍率695×(図11H)および倍率2700×(図11I)で示す。
【0027】
図12-1】図12A~12Rは、真皮等価物の操作の時間経過を示す。図12A~12Iは、足場上に真皮線維芽細胞を播種した2日後を倍率36×(図12A)、倍率695×(図12B)、倍率1470×(図12C)、倍率7750×(図12D)、倍率2320×(図12E)、倍率2420×(図12F)、倍率6560×(図12G)、倍率17000×(図12H)および倍率22000×(図12I)で示す。図12J~12Rは、足場上に真皮線維芽細胞を播種した7日後を倍率64×(図12J)、倍率100×(図12K)、倍率364×(図12L)、倍率82×(図12M)、倍率253×(図12N)、倍率3940×(図12O)、倍率5550×(図12P)、倍率9440×(図12Q)および倍率21680(図12R)で示す。
図12-2】図12A~12Rは、真皮等価物の操作の時間経過を示す。図12A~12Iは、足場上に真皮線維芽細胞を播種した2日後を倍率36×(図12A)、倍率695×(図12B)、倍率1470×(図12C)、倍率7750×(図12D)、倍率2320×(図12E)、倍率2420×(図12F)、倍率6560×(図12G)、倍率17000×(図12H)および倍率22000×(図12I)で示す。図12J~12Rは、足場上に真皮線維芽細胞を播種した7日後を倍率64×(図12J)、倍率100×(図12K)、倍率364×(図12L)、倍率82×(図12M)、倍率253×(図12N)、倍率3940×(図12O)、倍率5550×(図12P)、倍率9440×(図12Q)および倍率21680(図12R)で示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
例証のために応用例を参照して、いくつかの態様を下に説明する。本明細書に記載されている特徴の十分な理解をもたらすために数多くの具体的な詳細、関係、および方法が示されていることを理解すべきである。しかし、当業者であれば、1つもしくは複数の具体的な詳細事項なしに、または他の方法を用いて、本明細書記載の特徴を実施できることを容易に認識するであろう。具体的に示さない限り、一部の行為は、他の行為または事象と異なる順序でおよび/または同時に起こり得るので、本明細書に記載されている特徴は、行為または事象の例証された順序づけに限定されない。さらに、例証された行為または事象の全てが本明細書に記載されている特徴に従って方法を実行するために要求されるわけではない。
【0029】
本明細書で使用される用語は、特定の場合について記載することだけを目的とするものであり、限定的であることを意図するものではない。本明細書で使用される場合、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈によりそうでないことが明らかに示されない限り、複数形も含むことが意図される。さらに、「含むこと(including)」、「含む(include)」、「有すること」、「有する」、「伴う」という用語、またはその変形が詳細な説明および/または特許請求の範囲で使用される限り、そのような用語は、「含むこと(comprising)」という用語と同様に包含的であることを意図する。
【0030】
本開示において、「約」または「およそ」という用語は、所与の値の最大10%の範囲を意味し得る。本開示において、「実質的に」という用語は、多大な範囲または程度までなされ得るものを指す。
【0031】
本明細書で使用される場合、「多能性幹細胞」という用語は、任意の成体細胞を形成する能力を有する任意の前駆細胞を指す場合がある。
【0032】
本明細書で使用される場合、「胚性幹細胞」または「ES細胞」または「ESC」という用語は、任意の成体細胞を形成する能力を有する前駆細胞を指す場合がある。
【0033】
本明細書で使用される場合、「人工多能性幹細胞」または「iPS細胞」または「iPSC」という用語は、非多能性細胞(例えば成体体細胞)から人工的に派生した多能性幹細胞の一種を指す場合がある。人工多能性幹細胞は、任意の成体細胞を形成する能力において胚性幹細胞と同一であり得るが、胚に由来しない。場合により、本明細書で開示されるIPSC細胞は、IPSC細胞であり得る。
【0034】
本明細書で使用される場合、「合成皮革」という用語は、本明細書に記載されている皮膚等価物が、任意の哺乳動物または非哺乳動物にとって皮膚等価物として役立ち得ることを意味することができる。実施形態は、ヒト、ならびに非ヒト霊長類ならびにウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、イヌ、およびネコ種のメンバーのみならず、マウス、ラットおよびモルモットなどのげっ歯類、ウサギを含むウサギ科のメンバーなどの非ヒト哺乳動物;ならびにサメおよびアカエイを含む魚類、ダチョウを含む鳥類、ならびにトカゲ、ヘビおよびクロコダイルを含む爬虫類などの非哺乳動物を用いて実施することができる。形成される特定の哺乳動物合成皮革は、本明細書に記載されている実施形態に使用される細胞の供給源、例えばケラチノサイトおよび線維芽細胞に依存する場合があり、例えば、皮膚等価物を形成するためにウシのケラチノサイトおよび線維芽細胞が使用される場合、ウシの合成皮革を形成することができる。
【0035】
概要
本明細書において、合成皮革、人工表皮層、人工真皮層、層状構造、それらから製造された製品およびその生産方法が開示される。ある特定の場合に、本明細書において合成皮革が開示される。場合により、合成皮革は、1つまたは複数の層を含む。場合により、1つまたは複数の層は細胞を含み、前記細胞は、in vitroで培養される。場合により、本明細書に記載されている方法は、合成皮革の生産を、確実に、正確に、および再現性よく商業レベルに拡大するハイスループット方法を提供する。合成皮革、操作された表皮等価物、操作された全層皮膚等価物および本明細書で開示されるそれを製造する方法の利点は、これに限定されないが、魅力的な外観、テクスチャー、厚さ、および耐久性のカスタマイズされた組織を、再現性よく、ハイスループットで、規模の拡大縮小が容易な形で生産することを含む。本明細書で使用される場合、全層皮膚等価物は、少なくとも1つの真皮層および少なくとも1つの表皮層を含み得る。本明細書で使用される場合、全層皮膚等価物および全皮膚等価物は、互換的に使用することができる。
【0036】
本明細書で開示される合成皮革は、線維芽細胞を含む人工真皮層という層およびケラチノサイトを含む人工表皮層を含み得る。真皮層および表皮層は、層状構造を形成し得る。合成皮革は、1つまたは複数の層状構造を含み得る。合成皮革は、なめされ、さらに処理され得る。合成層を形成している細胞は、幹細胞、例えば、人工多能性幹細胞(iPSC)から分化したものである場合がある。天然皮革の厚さおよびテクスチャーを達成するために、真皮層は、絹などの足場上に配置される場合がある。
【0037】
本明細書において、合成皮革を製造する方法も開示される。方法は、人工真皮層および人工表皮層を含む層状構造を形成するステップ、ならびに層状構造をなめすステップを含み得る。方法は、例えば、天然皮革の厚さおよびテクスチャーを達成するために、人工真皮層および表皮層をさらに処理するステップも含み得る。
【0038】
合成皮革
合成皮革は、1つまたは複数の細胞層を含み得る。例えば、合成皮革は、真皮層、表皮層、および基底膜または基底膜代用物のうちの1つまたは複数を含み得る。合成皮革は、皮下組織、鱗屑、薄板、皮骨(osteoderm)、またはその組み合わせをさらに含み得る。場合により、合成層は、全層皮膚等価物を含む。そのような全層皮膚等価物は、本明細書で開示される層のうちの任意の1つまたは組み合わせを含み得る。合成皮革中の1つまたは複数の細胞層の一部は、例えばシェービングにより除去される場合がある。場合により、合成皮革は、なめすことができる。なめしは、細胞層または層状構造のうちの1つまたは複数の形成後に行うことができる。なめしは、細胞層の少なくとも一部が合成皮革から除去できた後に行うことができる。場合により、合成皮革は、さらに処理される場合がある。場合により、合成皮革は、毛包細胞およびメラノサイトを含み得る。毛包細胞および/またはメラノサイトは、幹細胞(例えばiPSC)から分化したものである場合がある。
【0039】
一部の実施形態では、合成なめし皮革は、層状構造を含み得る。層状構造は、線維芽細胞を含む人工真皮層を含み得る。層状構造は、ケラチノサイトを含む人工表皮層も含み得る。場合により、層状構造は、線維芽細胞を含む人工真皮層およびケラチノサイトを含む人工表皮層を含み得る。場合により、線維芽細胞またはケラチノサイトは、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。
【0040】
場合により、合成なめし皮革は、真皮層の少なくとも部分を含み得る。場合により、合成なめし皮革は、真皮層を含まない。場合により、真皮層は、除去される場合がある。
【0041】
真皮層
合成皮革は、真皮層(例えば人工真皮層)を含み得る。真皮層は、操作された真皮等価物、例えば、in vitroで形成した人工真皮層であり得る。
【0042】
真皮層は、結合組織の細胞を含み得る。例えば、真皮層は、線維芽細胞を含み得る。真皮層中の線維芽細胞は、これらに限定されないが、表面抗原分類10(CD10)、表面抗原分類73(CD73)、表面抗原分類44(CD44)、表面抗原分類90(CD90)、I型コラーゲン、III型コラーゲン、およびプロリル-4-ヒドロキシラーゼベータ線維芽細胞を含む1つまたは複数のマーカーを発現することができる。場合により、真皮層は、免疫細胞、マクロファージ、脂肪細胞、またはその組み合わせなどの他の種類の細胞も含む。
【0043】
真皮層は、細胞に加えてマトリクス構成要素をさらに含み得る。マトリクス構成要素の例には、これらに限定されないが、コラーゲン、エラスチン、ならびにグリコサミノグリカン(例えばヒアルロナン)、プロテオグリカン、および糖タンパク質から主として構成される細胞外ゲル様物質である原線維外マトリクスのうちの任意の1つまたは複数が含まれる。
【0044】
真皮層は、マトリクス支持体を含み得る。マトリクス支持体は、足場であり得る。マトリクス支持体は、収縮コラーゲンゲルを含み得る。純粋なコラーゲンマトリクスの代替物は、例えば、Hansbroughら、J. Burn Care Rehabil.、15巻:346~53頁(1994年)に記載されているポリグリコール酸(polyglygolic acid)メッシュ、または例えばBurkeら、Ann. Surg.、194巻:413~420頁(1981年)に記載されているシラスティック膜で覆われたコラーゲンおよびグリコサミノグリカンマトリクス(C-GAG)、または様々な生体高分子、例えばKelloucheら、Biochem Biophys Res Commun.、363巻:472~478頁(2007年)に記載されているキトサンであり得る。場合により、マトリクスに線維芽細胞を播種して、例えば器官型モデルを生じさせることができる。同種死体皮膚からの天然由来の真皮をケラチノサイトシートと共に使用することもできる。この技法の変形は、ケラチノサイトシートを支持するために死体皮膚からの凍結乾燥失活真皮を使用することができる。
【0045】
皮革の厚さは、単位がミリメートル、オンス、またはアイロン(iron)で報告される場合がある。(1オンスは、1/64インチまたは0.0156インチまたは0.396mmに等しい。1アイロンは、1/48インチまたは0.0208インチまたは0.53mmに等しい。)
【0046】
真皮層の厚さは、合成皮革の機能または使用に適合するように操作される場合がある。真皮層は、厚さ約0.01mmから約50mmを有し得る。例えば、真皮層は、厚さ約0.01mmから約10mm、約0.01mmから約8mm、約0.01から約5mm、約0.02から約5mm、約0.05から約5mm、約0.1から約5mm、約0.1から約2mm、約0.1から約1mm、約0.1から約0.8mm、または約0.1から約0.5mmを有し得る。例えば、真皮層は、厚さ約0.02mmから5mmを有し得る。例えば、真皮層は、厚さ約0.1mmから0.5mmを有し得る。例えば、真皮層は、厚さ約0.2mmから0.5mmを有し得る。場合により、真皮層の厚さは、少なくとも0.001mm、0.01mm、0.02mm、0.04mm、0.08mm、0.1mm、0.2mm、0.4mm、0.8mm、1mm、2mm、4mm、8mm、または10mmであり得る。場合により、真皮層の厚さは、最大で50mm、40mm、20mm、10mm、8mm、4mm、2mm、1mm、0.8mm、0.4mm、0.2mm、0.1mm、0.08mm、0.04mm、0.02mm、または0.01mmであり得る。一部の実施形態では、真皮層は、少なくとも約50mmの厚さを有し得る。
【0047】
真皮層の長さは、合成皮革の機能または使用に適合するように操作される場合がある。真皮層は、長さ約0.01mmから約50mを有し得る。例えば、真皮層は、長さ約0.01mmから約10mm、約0.01mmから約8mm、約0.01から約5mm、約0.02から約5mm、約0.05から約5mm、約0.1から約5mm、約0.1から約2mm、約0.1から約1mm、約0.1から約0.8mm、または約0.1から約0.5mmを有し得る。例えば、真皮層は、長さ約0.02mmから5mmを有し得る。例えば、真皮層は、長さ約0.1mmから0.5mmを有し得る。例えば、真皮層は、長さ約0.2mmから0.5mmを有し得る。場合により、真皮層の長さは、少なくとも0.001mm、0.01mm、0.02mm、0.04mm、0.08mm、0.1mm、0.2mm、0.4mm、0.8mm、1mm、2mm、4mm、8mm、または10mmであり得る。場合により、真皮層の長さは、最大で50mm、40mm、20mm、10mm、8mm、4mm、2mm、1mm、0.8mm、0.4mm、0.2mm、0.1mm、0.08mm、0.04mm、0.02mm、または0.01mmであり得る。一部の実施形態では、真皮層は、少なくとも約50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、700、1000mmの長さを有し得る。一部の実施形態では、真皮層は、少なくとも約50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700cmの長さを有し得る。一部の実施形態では、真皮層は、少なくとも約50、60、70、80、90、100、200、300、400mの長さを有し得る。
【0048】
真皮層の幅は、合成皮革の機能または使用に適合するように操作される場合がある。真皮層は、幅約0.01mmから約50mを有し得る。例えば、真皮層は、幅約0.01mmから約10mm、約0.01mmから約8mm、約0.01から約5mm、約0.02から約5mm、約0.05から約5mm、約0.1から約5mm、約0.1から約2mm、約0.1から約1mm、約0.1から約0.8mm、または約0.1から約0.5mmを有し得る。例えば、真皮層は、幅約0.02mmから5mmを有し得る。例えば、真皮層は、幅約0.1mmから0.5mmを有し得る。例えば、真皮層は、幅約0.2mmから0.5mmを有し得る。場合により、真皮層の幅は、少なくとも0.001mm、0.01mm、0.02mm、0.04mm、0.08mm、0.1mm、0.2mm、0.4mm、0.8mm、1mm、2mm、4mm、8mm、または10mmであり得る。場合により、真皮層の幅は、最大で50mm、40mm、20mm、10mm、8mm、4mm、2mm、1mm、0.8mm、0.4mm、0.2mm、0.1mm、0.08mm、0.04mm、0.02mm、または0.01mmであり得る。一部の実施形態では、真皮層は、少なくとも約50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、700、1000mmの幅を有し得る。一部の実施形態では、真皮層は、少なくとも約50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700cmの幅を有し得る。一部の実施形態では、真皮層は、少なくとも約50、60、70、80、90、100、200、300、400mの幅を有し得る。
【0049】
合成皮革は、1つまたは複数の真皮層を含み得る。例えば、合成皮革は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、40、60、80、または100個の真皮層を有し得る。合成皮革が1つよりも多い真皮層を含む場合、真皮層は、別の真皮層上に配置される場合がある。例えば、合成皮革は、2つの真皮層、例えば第1の真皮層および第2の真皮層を含み得る。第1の真皮層は、第2の真皮層上に配置される場合がある。
【0050】
真皮層は、例えば複数の亜層(sublayer)を有して、階層化されている場合がある。亜層は、異なる組成、例えば、異なる濃度の線維を有し得る。真皮層の亜層は、異なる厚さおよび密度を有し得る。例えば、真皮層は、真皮乳頭層(papillary dermal layer)、真皮網状層(reticular dermal layer)、またはその任意の組み合わせを有し得る。真皮乳頭層は、ゆるい輪紋状結合組織(loose areolar connective tissue)および/またはゆるく配列した線維、例えばコラーゲン線維を含み得る。真皮網状層は、コラーゲン線維および真皮弾性線維を含む密な不規則性結合組織を含み得る。
【0051】
真皮層は、全方向に収縮性で均質であり得る遊離のコラーゲンマトリクスまたは格子を含み得る。線維芽細胞、および適切な場合には真皮の他の種類の細胞は、連続コラーゲンゲル中に分布している場合がある。真皮等価物は、線維芽細胞が分布している少なくとも1つのコラーゲンI型マトリクスを含み得る。これは、他の細胞外マトリクス成分も含有し得る。細胞外マトリクス成分には、コラーゲン、例えば、コラーゲンIV、ラミニン、エンタクチン、フィブロネクチン、プロテオグリカン、グリコサミノグリカンまたはヒアルロン酸が含まれ得る。真皮層は、コラーゲンIV型およびラミニン、エンタクチン、またはその組み合わせを含有する場合がある。これらの様々な成分の濃度は、調整することができる。例えば、ラミニンの濃度は、最終容積の約1%から約15%であり得る。例えば、コラーゲンIVの濃度は、最終容積の約0.3%から約4.5%であり得る。例えば、エンタクチンの濃度は、最終容積の約0.05%から約1%であり得る。使用されるコラーゲンは、ウシ起源、ラット尾もしくは魚由来のコラーゲン、または任意の他の供給源の天然コラーゲンもしくは線維芽細胞の存在下で収縮を可能にする遺伝子工学により産生されたコラーゲンであり得る。一部の実施形態では、コラーゲンは、非天然供給源に由来し得る。マトリクスは、ピンと張っていない場合があるコラーゲンゲルであって、線維芽細胞の優先的組織化を課さない水平および垂直の両方の収縮によって得られるコラーゲンゲルであり得る。「遊離」とも呼ばれるそのようなマトリクスは、支持体に接着しない場合があり、それに様々な厚さおよび直径を付与してその容積を無制限に改変することができる。真皮等価物の厚さは、少なくとも0.05cm、場合によりおよそ0.05から2cmであり得る。厚さは、皮膚等価物または合成皮革の有利な性質を損なわずに増加することもできる。場合により、厚さは、約3mmから約20cmまたはそれよりも多い場合がある。
【0052】
表皮層
合成皮革は、表皮層(例えば人工表皮層)を含み得る。表皮層は、操作された表皮等価物、例えば、in vitroで形成した人工表皮層であり得る。
【0053】
表皮層は、ケラチノサイト、メラノサイト、ランゲルハンス細胞、メルケル細胞、および炎症細胞を含む1つまたは複数の種類の細胞を含み得る。例えば、表皮層は、ケラチノサイトを含み得る。表皮層中のケラチノサイトは、上皮ケラチノサイト、基底ケラチノサイト、増殖中の基底ケラチノサイト、分化した基底上ケラチノサイト、またはその任意の組み合わせを含み得る。
【0054】
場合により、表皮層は、少なくとも基底ケラチノサイト、例えば、分化していないケラチノサイトを含む。表皮層は、部分的に分化したケラチノサイトおよび完全に分化したケラチノサイトをさらに含み得る。合成皮革中の1つまたは複数の表皮層において、基底ケラチノサイトが局在する真皮表皮接合部からケラチノサイトが前進するときに、未分化の基底ケラチノサイトから完全に分化したケラチノサイトへの移行があり得る。
【0055】
基底ケラチノサイトは、表皮層および真皮層を一緒に守ることを助けるために役立つヘミデスモソームを発現することができる。基底ケラチノサイトは、皮膚を再生するために役立つこともできる。本明細書における合成皮革中の表皮層は、これらの機能に役立つ基底ケラチノサイトを有し得る。したがって、そのような基底ケラチノサイトを含む合成皮革は、再生能があり得る。合成皮革中の1つまたは複数の表皮層における基底ケラチノサイトと分化したケラチノサイトとの間の他の差異は、基底膜部(basal membrane zone)(BMZ)に沿って表皮ケラチノサイト中にE-カドヘリンおよびP-カドヘリンの両方が存在するが、分化して、BMZから離れて局在するケラチノサイトは、E-カドヘリンだけを発現することであり得る。
【0056】
表皮層の基底ケラチノサイトは、真皮層と直接接触する層において整列している場合があり、分化したケラチノサイトと線維芽細胞との間の境界として役立つ。別の場合には、基底ケラチノサイトと真皮層との間にギャップがある。なおさらに、分化したケラチノサイトと真皮層との間のギャップを残しながら、基底ケラチノサイトと他の基底ケラチノサイトとの間にギャップがある場合がある。基底ケラチノサイトまたは分化したケラチノサイトと真皮層との間にギャップがあるこれらの後者の場合、真皮層および表皮層は、互いに一様に接触しているわけでなく、相互に隣接している。真皮層と表皮層との間に、概して流体があり得るが、細胞、コラーゲン、マトリクスまたは他の支持体の層などの他の介在物質が実質的にあり得ない点で、それらは隣接している。
【0057】
表皮層中のケラチノサイトは、1つまたは複数のマーカーを発現することができる。そのようなマーカーには、これらに限定されないが、ケラチン14(KRT14)、腫瘍タンパク質p63(p63)、デスモグレイン3(DSG3)、インテグリンベータ4(ITGB4)、ラミニンアルファ5(LAMA5)、ケラチン5(KRT5)、腫瘍タンパク質p63のアイソフォーム(例えばTAp63)、ラミニンベータ3(LAMB3)、およびケラチン18(KRT18)が含まれる。
【0058】
表皮層の厚さは、合成皮革の機能または使用に適合するように操作される場合がある。表皮層は、厚さ約0.001mmから約10mmを有し得る。例えば、表皮層は、厚さ約0.005mmから約10mm、約0.005mmから約5mm、約0.005mmから約2mm、約0.01mmから約10mm、約0.01mmから約5mm、約0.01mmから約2mm、約0.01mmから約1、約0.01mmから約0.8mm、約0.01mmから約0.4mm、約0.01mmから約0.2mm、約0.01mmから約0.1mm、約0.05mmから約0.4mm、約0.05mmから約0.2mm、約0.05mmから約0.1mm、約0.1mmから約0.4mm、約0.1mmから約0.2mm、約0.08mmから約1mm、または約0.05mmから約1.5mmを有し得る。例えば、表皮層は、厚さ約0.01mmから約2mmを有し得る。例えば、表皮層は、厚さ約0.1mmから約0.22mmを有し得る。場合により、表皮層の厚さは、少なくとも0.001mm、0.01mm、0.02mm、0.04mm、0.08mm、0.1mm、0.2mm、0.4mm、0.8mm、1mm、2mm、4mm、8mm、または10mmであり得る。場合により、真皮層の厚さは、最大で50mm、40mm、20mm、10mm、8mm、4mm、2mm、1mm、0.8mm、0.4mm、0.2mm、0.1mm、0.08mm、0.04mm、0.02mm、または0.01mmであり得る。場合により、本明細書に記載されている厚さの値は、表皮層および基底膜代用物の厚さであり得る。
【0059】
表皮層の長さは、合成皮革の機能または使用に適合するように操作される場合がある。表皮層は、長さ約0.01mmから約50mを有し得る。例えば、表皮層は、長さ約0.01mmから約10mm、約0.01mmから約8mm、約0.01から約5mm、約0.02から約5mm、約0.05から約5mm、約0.1から約5mm、約0.1から約2mm、約0.1から約1mm、約0.1から約0.8mm、または約0.1から約0.5mmを有し得る。例えば、表皮層は、長さ約0.02mmから5mmを有し得る。例えば、表皮層は、長さ約0.1mmから0.5mmを有し得る。例えば、表皮層は、長さ約0.2mmから0.5mmを有し得る。場合により、表皮層の長さは、少なくとも0.001mm、0.01mm、0.02mm、0.04mm、0.08mm、0.1mm、0.2mm、0.4mm、0.8mm、1mm、2mm、4mm、8mm、または10mmであり得る。場合により、表皮層の長さは、最大で50mm、40mm、20mm、10mm、8mm、4mm、2mm、1mm、0.8mm、0.4mm、0.2mm、0.1mm、0.08mm、0.04mm、0.02mm、または0.01mmであり得る。一部の実施形態では、表皮層は、少なくとも約50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、700、1000mmの長さを有し得る。一部の実施形態では、表皮層は、少なくとも約50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700cmの長さを有し得る。一部の実施形態では、表皮層は、少なくとも約50、60、70、80、90、100、200、300、400mの長さを有し得る。
【0060】
表皮層の幅は、合成皮革の機能または使用に適合するように操作される場合がある。表皮層は、幅約0.01mmから約50mを有し得る。例えば、表皮層は、幅約0.01mmから約10mm、約0.01mmから約8mm、約0.01から約5mm、約0.02から約5mm、約0.05から約5mm、約0.1から約5mm、約0.1から約2mm、約0.1から約1mm、約0.1から約0.8mm、または約0.1から約0.5mmを有し得る。例えば、表皮層は、幅約0.02mmから5mmを有し得る。例えば、表皮層は、幅約0.1mmから0.5mmを有し得る。例えば、表皮層は、幅約0.2mmから0.5mmを有し得る。場合により、表皮層の幅は、少なくとも0.001mm、0.01mm、0.02mm、0.04mm、0.08mm、0.1mm、0.2mm、0.4mm、0.8mm、1mm、2mm、4mm、8mm、または10mmであり得る。場合により、表皮層の幅は、最大で50mm、40mm、20mm、10mm、8mm、4mm、2mm、1mm、0.8mm、0.4mm、0.2mm、0.1mm、0.08mm、0.04mm、0.02mm、または0.01mmであり得る。一部の実施形態では、表皮層は、少なくとも約50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、700、1000mmの幅を有し得る。一部の実施形態では、表皮層は、少なくとも約50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700cmの幅を有し得る。一部の実施形態では、表皮層は、少なくとも約50、60、70、80、90、100、200、300、400mの幅を有し得る。
【0061】
合成皮革は、1つまたは複数の表皮層を含み得る。例えば、合成皮革は、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、40、60、80、または100個の表皮層を有し得る。合成皮革が1つよりも多い表皮層を含む場合、1つの表皮層は、別の表皮層上に配置される場合がある。例えば、合成皮革は、2つの表皮層、例えば第1の表皮層および第2の表皮層を含み得る。第1の表皮層は、第2の表皮層上に配置される場合がある。
【0062】
表皮層は、例えば複数の亜層を有して、階層化されている場合がある。亜層は、異なる細胞組成、例えば、異なる種類のケラチノサイトを有し得る。表皮層の亜層は、異なる厚さおよび/または密度を有し得る。例えば、表皮層は、角化層(角質層)、透明(clear)/半透明(translucent)層(淡明層)、顆粒状層(顆粒層)、有棘状層(有棘層)、基底の層/胚芽層(基底層/芽層(germinativum))、またはその任意の組み合わせのうちの1つまたは複数を有し得る。場合により、表皮層は、機能的表皮透過性バリア(例えば、角質層における組織化脂質二重層)を含む。場合により、角質層、淡明層、顆粒層、有棘層、または基底層/芽層は、約0.0001mmから約5mmの厚さを有し得る。場合により、角質層、淡明層、顆粒層、有棘層、または基底層/芽層は、少なくとも約0.001mm、0.01mm、0.02mm、0.04mm、0.08mm、0.1mm、0.15mm、0.2mm、0.4mm、0.8mm、1mm、2mm、4mm、8mm、または10mmの厚さを有し得る。場合により、角質層、淡明層、顆粒層、有棘層、または基底層/芽層は、最大で約50mm、40mm、20mm、10mm、8mm、4mm、2mm、1mm、0.8mm、0.4mm、0.2mm、0.15mm、0.1mm、0.08mm、0.04mm、0.02mm、または0.01mmの厚さを有し得る。
【0063】
表皮層は、色素、例えばメラニンを産生する細胞をさらに含み得る。そのような色素産生細胞は、メラノサイトであり得る。表皮層中のメラノサイトは、1つまたは複数のマーカーを発現することができる。そのようなマーカーには、これらに限定されないが、SRYボックス含有遺伝子10(Sox-10)、小眼球症関連転写因子(MITF-M)、プレメラノソームタンパク質(gp-100)、ドパクロムトートメラーゼ(DCT)、チロシナーゼ(TYR)、およびメランA(MLANA)が含まれ得る。
【0064】
合成皮革中の細胞
合成皮革は、本明細書で開示される真皮層および表皮層中の細胞を含み得る。場合により、合成皮革は、毛包細胞、内皮細胞、真皮乳頭細胞、免疫系細胞(リンパ球、樹状細胞、マクロファージまたはランゲルハンス細胞など)、脂肪細胞、神経細胞、およびそれらの混合物も含む。
【0065】
合成皮革中の1つまたは複数の細胞は、遺伝子操作された細胞であり得る。「遺伝子操作された」という用語は、細胞の核酸含有量への人工的な変更を指す場合がある。したがって、遺伝子操作された細胞には、細胞のゲノム中の1つまたは複数のヌクレオチドの挿入、欠失、および/または置換を含有する細胞、ならびに細胞に挿入された自己複製染色体外核酸の導入を含む変更を含有する細胞が含まれ得る。遺伝子操作された細胞には、1つまたは複数の遺伝子の転写が変更されている、例えば増加または減少されている細胞も含まれる。
【0066】
場合により、合成皮革は、メラノサイト、毛包、汗腺および神経終末部などの天然の皮膚の構成要素のうちの少なくとも1つを有する。ある特定の場合に、合成皮革は、それがこれらの構成要素のうちの少なくとも1つの欠如していることにより、正常で天然の皮膚と識別することができる。異常な表現型を表す、または変更された遺伝子型を有する少なくとも1つの細胞を有する一部の場合では、合成皮革は、これらの構成要素のうちの全てを含むことができる。
【0067】
ある場合に、追加的な構成要素が合成皮革に添加される場合がある。そのような追加的な構成要素には、筋上皮細胞、導管細胞、分泌細胞、肺胞細胞、ランゲルハンス細胞、メルケル細胞、接着、乳腺、またはその任意の混合物が含まれ得る。場合により、合成皮革は、神経細胞、結合組織(骨、軟骨、骨形成細胞および軟骨細胞に分化している細胞、ならびにリンパ組織を含む)、上皮細胞(腔および管の内層またはチャネルを形成する内皮細胞、外分泌上皮細胞、上皮吸収細胞、角化する上皮細胞、ならびに細胞外マトリクス分泌細胞を含む)、および未分化細胞(胚細胞、幹細胞、および他の前駆細胞など)のうちの1つまたは複数を含む。
【0068】
合成皮革は、毛包を含み得る。毛包は、乳頭、マトリクス、毛根鞘、隆起、漏斗、立毛筋、皮脂腺、およびアポクリン汗腺を含む1つまたは複数の構造を含み得る。毛包は、真皮乳頭細胞、外毛根鞘細胞、またはその任意の組み合わせを含む1つまたは複数の毛包細胞を含み得る。場合により、毛包は、表皮層中にある場合がある。場合により、毛包は、真皮層中にある場合がある。毛包細胞は、前駆体、例えばiPSCなどの幹細胞から分化したものである場合がある。一部の実施形態では、毛包細胞の少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%は、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。
【0069】
一部の実施形態では、合成皮革は、毛、血管、皮脂腺、毛包、脂腺、神経、またはその組み合わせを欠如する場合がある。
【0070】
場合により、合成皮革は、例えば1つまたは複数の層状構造中に毛を含み得る。例えば、合成皮革は、柔皮を含み得る。毛(例えば、柔皮)は、天然、合成、またはその組み合わせであり得る。毛(例えば、柔皮)は、合成皮革中の細胞から成長させる、または外因性供給源から合成皮革に添加することができる。他の場合に、合成皮革は、毛を全く有しない場合がある。
【0071】
幹細胞
合成皮革中の1つまたは複数の細胞は、幹細胞などの前駆細胞から分化したものである場合がある。例えば、合成皮革中の線維芽細胞は、幹細胞から分化したものである場合がある。例えば、合成皮革中のケラチノサイトは、幹細胞から分化したものである場合がある。例えば、合成皮革中のメラノサイトは、幹細胞から分化したものである場合がある。一部の実施形態では、本明細書で開示される細胞の少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%は、幹細胞から分化したものである場合がある。一部の実施形態では、線維芽細胞の少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%は、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。一部の実施形態では、ケラチノサイトの少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%は、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。一部の実施形態では、メラノサイト細胞の少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%は、人工多能性幹細胞から分化したものである場合がある。
【0072】
幹細胞は、胚性幹細胞(ESC)、成体幹細胞(すなわち体性幹細胞)または人工多能性幹細胞(iPSC)であり得る。一部の実施形態では、幹細胞は、全能性、多能性または多分化能性(multipotent)の例えば成体幹細胞および臍帯血幹細胞であり得る)。胚性幹細胞は、1週齢未満の受精胚から派生させることができる。人工多能性幹細胞は、線維芽細胞などの任意の体細胞(例えば成体体細胞)におけるOct3、Oct4、Sox2、Klf4、およびc-Myc遺伝子のうちの1つまたは複数の誘導発現を通じて得ることができる。場合により、1つまたは複数の他の遺伝子が、体細胞を人工多能性幹細胞にリプログラミングするために誘導される場合もある。そのような遺伝子の例には、NANOG、UTF1、LIN28、SALL4、NR5A2、TBX3、ESSRB、DPPA4、SV40LT、REM2、MDM2、およびサイクリンD1が含まれる。
【0073】
遺伝子発現をモジュレートして体細胞をiPSCにリプログラミングするために様々な送達方法が使用される場合がある。例示的な送達方法には、裸のDNAの送達、アデノウイルス、電気的送達、化学的送達、機械的送達、ポリマーベースのシステム、マイクロインジェクション、レトロウイルス(例えば、MMLV由来レトロウイルス)、およびレンチウイルス(例えば、切除可能なレンチウイルス)が含まれる。場合により、人工多能性幹細胞は、Takahashiら、Cell. 2007年11月30日;131巻(5号):861~72頁(2007年)、またはYuら、Science 318巻、1917~1920頁(2007年)(2007年)によって記載されているプロトコールに従って得ることができる。場合により、体細胞(例えば成体体細胞)に、Oct3、Oct4、Sox2、Klf4、およびc-Myc遺伝子を含むレトロウイルスベクターなどのウイルスベクターがトランスフェクトされる。場合により、センダイウイルス、例えば、株式会社IDファーマ(日本)製のセンダイウイルスが送達システムとして使用される。
【0074】
細胞の供給源
合成皮革は、1つまたは複数の種の動物に由来する細胞を含み得る。例えば、合成皮革中の細胞は、哺乳動物、鳥類、爬虫類、両生類、魚類、無脊椎動物、またはその任意の組み合わせに由来し得る。
【0075】
合成皮革は、哺乳動物、例えば、哺乳動物細胞、または非哺乳動物に由来する細胞を含み得る。哺乳動物は、非ヒト哺乳動物であり得る。非ヒト哺乳動物は、アンテロープ、クマ、ビーバー、バイソン、イノシシ、ラクダ、カリブー、ネコ、ウシ、シカ、イヌ、ゾウ、エルク、キツネ、キリン、ヤギ、ノウサギ、ウマ、アイベックス、カンガルー、ライオン、ラマ、オオヤマネコ、ミンク、ムース、雄ウシ、ペッカリー、ブタ、ウサギ、サイ、アザラシ、ヒツジ、リス、トラ、クジラ、オオカミ、ヤク、またはシマウマであり得る。場合により、哺乳動物は、霊長類、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、イヌ、ネコ、げっ歯類、またはウサギであり得る。非哺乳動物は、魚類、鳥類または爬虫類であり得る。場合により、哺乳動物は、ヒトであり得る。一部の実施形態では、ヒトは、著名人であり得る。本明細書で使用される場合、「著名人」という用語は、以前の活動の評判または一般的な名声により社会の注目を浴びた人物として定義することができる。「著名人」は、これらに限定されないが、プロおよびアマチュアスポーツ、エンターテインメント、音楽、映画、ビジネス、活字および電子媒体、政治などを含む業界に関連し得る。
【0076】
合成皮革は、他の種に由来する細胞を含み得る。場合により、細胞は、ニワトリ、アヒル、エミュー、ガチョウ、ライチョウ、ダチョウ、キジ、ハト、ウズラ、またはシチメンチョウなどの鳥類に由来する。場合により、細胞は、カメ、ヘビ、クロコダイル、またはアリゲーターなどの爬虫類に由来する。場合により、細胞は、カエル、ヒキガエル、サンショウウオ、またはイモリなどの両生類に由来する。場合により、細胞は、カタクチイワシ、バス、ナマズ、コイ、タラ、ウナギ、ヒラメ、フグ、ハタ、コダラ、オヒョウ、ニシン、サバ、マヒマヒ、オニイトマキエイ、カジキ、オレンジラフィー、パーチ、カワカマス、ポラック、サケ、イワシ、サメ、フエダイ、シタビラメ、アカエイ、メカジキ、ティラピア、マス、マグロ、またはウォールアイなどの魚類に由来する。
【0077】
場合により、合成皮革中の全ての細胞は、同じ種に由来する。例えば、合成皮革中の全ての細胞は、ウシ細胞であり得る。他の場合に、合成皮革は、複数の種に由来する細胞を含む。例えば、合成皮革は、ウシ細胞およびアリゲーター細胞を含み得る。場合により、合成皮革は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、または10個の種に由来する細胞を含む。
【0078】
合成皮革中の細胞の前駆体も、本明細書に記載されている供給源に由来し得る。例えば、幹細胞(例えばiPSC)、体細胞(例えば、iPSCにリプログラミングするため)、合成細胞に使用される初代細胞、真皮層細胞、表皮層細胞、または合成細胞およびその前駆体における任意の細胞は、本明細書に記載されている供給源に由来し得る。
【0079】
任意の細胞は、生細胞または死細胞であり得る。複数の細胞が存在する場合、細胞は、生細胞であっても、死細胞であっても、その任意の組み合わせであってもよい。
【0080】
層状構造
合成皮革は、1つまたは複数の層状構造を含み得る。層状構造は、第2の種類の層上に第1の種類の層を配置することによって形成することができる。第1の種類の層および第2の種類の層は、同じまたは異なる場合がある。場合により、層状構造は、真皮層上に表皮層を配置することによって形成することができる。例えば、層状構造は、基底膜代用物を間に含んで真皮層上に表皮層を配置することによって形成することができる。
【0081】
層状構造は、2つまたはそれよりも多い層を含み得る。場合により、層状構造は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、500、または1000個の層を含む。場合により、層状構造は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、500、または1000個の第1の種類の層、および少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、または50個の第2の種類の層を含む。例えば、層状構造は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、500、または1000個の真皮層、および少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、500、または1000層の表皮層を含み得る。
【0082】
層状構造は、本明細書に記載されている1つまたは複数の種類の細胞を含み得る。例えば、層状構造は、線維芽細胞などの真皮層中の細胞、ケラチノサイトなどの表皮層中の細胞、またはその任意の組み合わせを含み得る。場合により、層状構造は、線維芽細胞およびケラチノサイト以外の細胞をさらに含む。例えば、層状構造は、メラノサイトを含み得る。
【0083】
層状構造は、厚さ約0.001mmから約100mmを有し得る。例えば、層状構造は、厚さ約0.005mmから約50mm、約0.005から約10、約0.01mmから約10mm、約0.02から約5mm、約0.05から約5mm、約0.1から約5mm、約0.1から約2mm、約0.1から約1mm、または約0.1から約0.5mmを有し得る。場合により、層状構造の厚さは、少なくとも0.001mm、0.01mm、0.02mm、0.04mm、0.08mm、0.1mm、0.2mm、0.4mm、0.8mm、1mm、2mm、4mm、8mm、10mm、20mm、40mm、60mm、80mm、または100mmであり得る。場合により、層状構造の厚さは、最大で100mm、50mm、40mm、20mm、10mm、8mm、4mm、2mm、1mm、0.8mm、0.4mm、0.2mm、0.1mm、0.08mm、0.04mm、0.02mm、または0.01mmであり得る。一部の実施形態では、層状構造は、少なくとも約100、200、300、400、500、600、700、800mmの厚さを有し得る。
【0084】
層状構造の長さは、合成皮革の機能または使用に適合するように操作される場合がある。層状構造は、長さ約0.01mmから約50mを有し得る。例えば、層状構造は、長さ約0.01mmから約10mm、約0.01mmから約8mm、約0.01から約5mm、約0.02から約5mm、約0.05から約5mm、約0.1から約5mm、約0.1から約2mm、約0.1から約1mm、約0.1から約0.8mm、または約0.1から約0.5mmを有し得る。例えば、層状構造は、長さ約0.02mmから5mmを有し得る。例えば、層状構造は、長さ約0.1mmから0.5mmを有し得る。例えば、層状構造は、長さ約0.2mmから0.5mmを有し得る。場合により、層状構造の長さは、少なくとも0.001mm、0.01mm、0.02mm、0.04mm、0.08mm、0.1mm、0.2mm、0.4mm、0.8mm、1mm、2mm、4mm、8mm、または10mmであり得る。場合により、層状構造の長さは、最大で50mm、40mm、20mm、10mm、8mm、4mm、2mm、1mm、0.8mm、0.4mm、0.2mm、0.1mm、0.08mm、0.04mm、0.02mm、または0.01mmであり得る。一部の実施形態では、層状構造は、少なくとも約50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、700、1000mmの長さを有し得る。一部の実施形態では、層状構造は、少なくとも約50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700cmの長さを有し得る。一部の実施形態では、層状構造は、少なくとも約50、60、70、80、90、100、200、300、400mの長さを有し得る。
【0085】
層状構造の幅は、合成皮革の機能または使用に適合するように操作される場合がある。層状構造は、幅約0.01mmから約50mを有し得る。例えば、層状構造は、幅約0.01mmから約10mm、約0.01mmから約8mm、約0.01から約5mm、約0.02から約5mm、約0.05から約5mm、約0.1から約5mm、約0.1から約2mm、約0.1から約1mm、約0.1から約0.8mm、または約0.1から約0.5mmを有し得る。例えば、層状構造は、幅約0.02mmから5mmを有し得る。例えば、層状構造は、幅約0.1mmから0.5mmを有し得る。例えば、層状構造は、幅約0.2mmから0.5mmを有し得る。場合により、層状構造の幅は、少なくとも0.001mm、0.01mm、0.02mm、0.04mm、0.08mm、0.1mm、0.2mm、0.4mm、0.8mm、1mm、2mm、4mm、8mm、または10mmであり得る。場合により、層状構造の幅は、最大で50mm、40mm、20mm、10mm、8mm、4mm、2mm、1mm、0.8mm、0.4mm、0.2mm、0.1mm、0.08mm、0.04mm、0.02mm、または0.01mmであり得る。一部の実施形態では、層状構造は、少なくとも約50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、700、1000mmの幅を有し得る。一部の実施形態では、層状構造は、少なくとも約50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700cmの幅を有し得る。一部の実施形態では、層状構造は、少なくとも約50、60、70、80、90、100、200、300、400mの幅を有し得る。
【0086】
層状構造は、線維芽細胞およびケラチノサイトを少なくとも約50:1、40:1、30:1、29:1、28:1、27:1、26:1、25:1、24:1、23:1、22:1、21:1、20:1、19:1、18:1、17:1、16:1、15:1、14:1、13:1、12:1、11:1、10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:10、または1:100の任意の比で含み得る。場合により、線維芽細胞対ケラチノサイトの比は、約20:1から約3:1、約20:1から約4:1、約20:1から約5:1、約20:1から約10:1、または約20:1から約15:1であり得る。
【0087】
層状構造は、線維芽細胞およびメラノサイトを少なくとも約50:1、40:1、30:1、29:1、28:1、27:1、26:1、25:1、24:1、23:1、22:1、21:1、20:1、19:1、18:1、17:1、16:1、15:1、14:1、13:1、12:1、11:1、10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:10、または1:100の任意の比で含み得る。場合により、線維芽細胞対メラノサイトの比は、約20:1から約3:1、約20:1から約4:1、約20:1から約5:1、約20:1から約10:1、または約20:1から約15:1であり得る。
【0088】
層状構造は、ケラチノサイトおよびメラノサイトを少なくとも約50:1、40:1、30:1、29:1、28:1、27:1、26:1、25:1、24:1、23:1、22:1、21:1、20:1、19:1、18:1、17:1、16:1、15:1、14:1、13:1、12:1、11:1、10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:10、または1:100の任意の比で含み得る。場合により、ケラチノサイト対メラノサイトの比は、約20:1から約3:1、約20:1から約4:1、約20:1から約5:1、約20:1から約10:1、または約20:1から約15:1であり得る。
【0089】
層状構造中の1種類の細胞は、層状構造中の全細胞集団の最大で99%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、10%、5%、または1%を構成し得る。層状構造中の1種類の細胞は、層状構造中の全細胞集団の少なくとも約1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%を構成し得る。例えば、層状構造中の線維芽細胞は、層状構造中の全細胞集団の少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%を構成し得る。
【0090】
合成皮革
合成皮革は、1つまたは複数の層状構造によって形成される場合がある。例えば、合成皮革は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、または100個の層状構造によって形成される場合がある。
【0091】
合成皮革は、様々な厚さであり得る。例えば、合成皮革は、天然皮革に類似した厚さを有し得る。場合により、合成皮革は、厚さ約0.001mmから約100mmを有し得る。例えば、層状構造は、厚さ約0.005mmから約50mm、約0.005から約10、約0.01mmから約10mm、約0.1から約5mm、約0.5mmから約5mm、約0.5mmから約3mm、約0.8mmから約3mm、約0.8mmから約2mm、約0.8mmから約1.8mm、約0.8mmから約1.6mm、約0.9mmから約1.4mm、約1mmから約1.5mm、約1mmから約1.4mm、または約1mmから約1.3mmを有し得る。場合により、合成皮革の厚さは、少なくとも0.001mm、0.01mm、0.02mm、0.04mm、0.08mm、0.1mm、0.2mm、0.4mm、0.8mm、1mm、2mm、4mm、8mm、10mm、20mm、40mm、60mm、80mm、または100mmであり得る。場合により、合成皮革の厚さは、最大で100mm、50mm、40mm、20mm、10mm、8mm、4mm、2mm、1mm、0.8mm、0.4mm、0.2mm、0.1mm、0.08mm、0.04mm、0.02mm、または0.01mmであり得る。場合により、合成皮革の厚さは、約1.2mmであり得る。
【0092】
合成皮革は、長さ約0.01mmから約50mを有し得る。例えば、合成皮革は、長さ約0.01mmから約10mm、約0.01mmから約8mm、約0.01から約5mm、約0.02から約5mm、約0.05から約5mm、約0.1から約5mm、約0.1から約2mm、約0.1から約1mm、約0.1から約0.8mm、または約0.1から約0.5mmを有し得る。例えば、合成皮革は、長さ約0.02mmから5mmを有し得る。例えば、合成皮革は、長さ約0.1mmから0.5mmを有し得る。例えば、合成皮革は、長さ約0.2mmから0.5mmを有し得る。場合により、合成皮革の長さは、少なくとも0.001mm、0.01mm、0.02mm、0.04mm、0.08mm、0.1mm、0.2mm、0.4mm、0.8mm、1mm、2mm、4mm、8mm、または10mmであり得る。場合により、合成皮革の長さは、最大で50mm、40mm、20mm、10mm、8mm、4mm、2mm、1mm、0.8mm、0.4mm、0.2mm、0.1mm、0.08mm、0.04mm、0.02mm、または0.01mmであり得る。一部の実施形態では、合成皮革は、少なくとも約50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、700、1000mmの長さを有し得る。一部の実施形態では、合成皮革は、少なくとも約50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700cmの長さを有し得る。一部の実施形態では、合成皮革は、少なくとも約50、60、70、80、90、100、200、300、400mの長さを有し得る。
【0093】
合成皮革は、幅約0.01mmから約50mを有し得る。例えば、合成皮革は、幅約0.01mmから約10mm、約0.01mmから約8mm、約0.01から約5mm、約0.02から約5mm、約0.05から約5mm、約0.1から約5mm、約0.1から約2mm、約0.1から約1mm、約0.1から約0.8mm、または約0.1から約0.5mmを有し得る。例えば、合成皮革は、幅約0.02mmから5mmを有し得る。例えば、合成皮革は、幅約0.1mmから0.5mmを有し得る。例えば、合成皮革は、幅約0.2mmから0.5mmを有し得る。場合により、合成皮革の幅は、少なくとも0.001mm、0.01mm、0.02mm、0.04mm、0.08mm、0.1mm、0.2mm、0.4mm、0.8mm、1mm、2mm、4mm、8mm、または10mmであり得る。場合により、合成皮革の幅は、最大で50mm、40mm、20mm、10mm、8mm、4mm、2mm、1mm、0.8mm、0.4mm、0.2mm、0.1mm、0.08mm、0.04mm、0.02mm、または0.01mmであり得る。一部の実施形態では、合成皮革は、少なくとも約50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、700、1000mmの幅を有し得る。一部の実施形態では、合成皮革は、少なくとも約50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700cmの幅を有し得る。一部の実施形態では、合成皮革は、少なくとも約50、60、70、80、90、100、200、300、400mの幅を有し得る。
【0094】
基底膜代用物
合成皮革は、基底膜代用物をさらに含み得る。基底膜代用物は、2つの細胞層、例えば、真皮層と表皮層との間にあり得る。基底膜代用物は、構造的観点および/または生化学的観点からin vivoで存在するものと類似した真皮表皮接合部であり得る。生化学的観点から、基底膜代用物は、コラーゲンIV、コラーゲンVII、ラミニン5、エンタクチン、フィブロネクチン、またはその任意の組み合わせなどの、基底膜、基底膜緻密層、透明板および基底下部(sub-basal zone)の構成要素を含み得る。
【0095】
合成皮革中の基底膜代用物は、尿路基底膜(urinary basement membrane)(UBM)、肝臓基底膜(LBM)、羊膜(amnion)、絨毛膜、同種移植片心膜、同種移植片無細胞真皮、羊膜(amniotic membrane)、ワルトン膠様質、またはその任意の組み合わせであり得る。例えば、基底膜代用物は、乾燥無細胞羊膜であり得る。ある特定の場合に、基底膜代用物は、ポリマー、例えばナノポリマーであり得る。例えば、基底膜代用物は、Byeら、Journal of Biomaterials and Tissue Engineering 4巻、1~7頁、2014年によって記載されているナノ繊維性ポリヒドロキシブチレート-coヒドロキシバレレート(PHBV)であり得る。
【0096】
足場
細胞層(例えば真皮層)、層状構造、または合成皮革は、足場上に配置される場合がある。足場は、ある特定の堅固さ(例えば耐引裂性)、弾性、またはその両方を提供することができる。場合により、足場の一部または全体は、合成皮革中に含まれる場合がある。他の場合に、足場は、合成皮革中に含まれない場合がある。合成皮革における層の形成を援助した後、足場は、最終合成皮革製品から除去することができる。ある特定の場合に、合成皮革中に含まれる足場は、ある期間の後に分解する場合がある。本明細書に記載されている足場は、小柱状パターンを含み得る。
【0097】
足場は、天然材料、合成材料、またはその組み合わせから製造される場合がある。足場の例には、生体吸収性合成ポリマーから製造されたネットを使用して形成された足場、シリコン薄膜にナイロンネットを付着させることにより形成された足場、コラーゲンスポンジおよびシリコンシートの二層構造を有する足場、シートに作ったアテロコラーゲンスポンジを使用して形成された足場、異なる孔径を有するコラーゲンスポンジをマッチさせることにより形成された足場、およびフィブリン糊を使用して形成された無細胞真皮マトリクス(ADM)または細胞を含まずに製造された同種皮膚が含まれる。
【0098】
足場は、コラーゲン(例えばコラーゲンマトリクス)、天然接着剤(例えば、フィブリン糊、コールドグルー(cold glue)、動物性膠、血液アルブミン(albumen)糊、カゼイン糊、またはデンプンおよびデキストリン糊などの植物性糊)などの天然物質を含み得る。場合により、足場は、絹を含む。例えば、足場は、絹から作られている場合がある。一部の実施形態では、足場は、絹フィブロイン、セルロース、綿、アセテート、アクリル、ラテックス繊維、リネン、ナイロン、レーヨン、ビロード、モダクリリック、オレフィンポリエステル、サラン、ビニヨン、羊毛、ジュート、麻、竹、亜麻またはその組み合わせを含み得る。一部の実施形態では、足場は繊維を含み得る。一部の実施形態では、繊維は、絹、綿、羊毛、リネン、特に木材、植物または藻類から抽出されたセルロース、ポリアミド、変性セルロース(レーヨン、ビスコース、アセテート、特にアセテートレーヨン)、ポリ-p-フェニレンテレフタルアミド、アクリル繊維、例えばポリメチルメタクリレートまたはポリ-2-ヒドロキシエチルメタクリレートの繊維、ポリオレフィンの繊維、例えばポリエチレンまたはポリプロピレンの繊維、ガラス、シリカ、アラミド、例えばグラファイトの形態の炭素、ポリ(テトラフルオロエチレン)、不溶性コラーゲン、ポリエステル、ポリ塩化ビニルまたはポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、キトサン、ポリウレタン、ポリ(ウレタン-尿素)またはポリエチレンフタレート、および上記の繊維などのポリマーのブレンドから形成された繊維、例えばポリアミド/ポリエステル繊維またはその任意の組み合わせであり得る。
【0099】
足場は、ポリマーを含み得る。ポリマーは、生体高分子であり得る。生体高分子には、これらに限定されないが、キチン、キトサン、エラスチン、コラーゲン、ケラチンまたはポリヒドロキシアルカノエートが含まれ得る。ポリマーは、生分解性、生物安定性、またはその組み合わせであり得る。足場中のポリマーは、天然ポリマーであり得る。例示的な天然ポリマーには、多糖、例えばアルギネート、セルロース、デキストラン、プルラン(pullane)、ポリヒアルロン酸、キチン、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)、ポリ(3-ヒドロキシオクタノエート)またはポリ(3-ヒドロキシ脂肪酸)が含まれる。場合により、足場は、天然ポリマーの化学誘導体も含む。そのような化学誘導体は、アルキル、アルキレンなどの化学基の置換および/または付加、ヒドロキシル化、酸化、ならびに当業者が精通する他の修飾を含み得る。天然ポリマーは、コラーゲン、ゼイン、カゼイン、ゼラチン、グルテン、および血清アルブミンなどのタンパク質から選択することもできる。足場中のポリマーは、ポリアルファ-ヒドロキシ酸、例えばポリL-乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)またはそのコポリマー(例えば、ポリD,L-乳酸co-グリコール酸(PLGA))、およびヒアルロン酸を含む生分解性合成ポリマーであり得る。
【0100】
足場は、生体吸収性であり得る。生体吸収性足場は、生細胞を含有または支持して、それらをある期間、所望の構成に保持する能力があり得る非細胞傷害性構造または物質であり得る。「生体吸収性」という用語は、身体が無毒の副産物に分解することができ、その副産物が身体から排泄または体内で代謝される任意の材料を指す場合がある。足場用の例示的な生体吸収性材料には、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(ジメチルトリメチレンカーボネート)、ポリ(アミノ酸)、チロシン由来ポリ(カーボネート)、ポリ(カーボネート)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(パラ-ジオキサノン)、ポリ(エステル)、ポリ(エステル-アミド)、ポリ(無水物)、ポリ(オルトエステル)、コラーゲン、ゼラチン、血清アルブミン、タンパク質、多糖、ムコ多糖、糖質、グリコサミノグリカン、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(アクリル酸エステル)、ポリ(メタクリル酸エステル)、ポリ(ビニルアルコール)、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ヘパリン、デルマタン硫酸、バーシカン、コポリマー、ポリマーのブレンドおよび混合物、ならびに生体吸収性結合を含有するオリゴマーが含まれる。
【0101】
足場は、様々な厚さであり得る。例えば、足場は、細胞層を形成するために適切であり得る厚さを有し得る。例えば、足場は、厚さ約0.1mmから約10mm、例えば約0.1mmから約5mm、約0.1mmから約4mm、約0.1mmから約3mm、約0.1mmから約2mm、約0.1mmから約1mm、約0.2mmから約1mm、約0.3mmから約1mm、約0.4mmから約1mm、約0.5mmから約1mm、0.3mmから約1.5mm、約0.4mmから約1.2mm、約0.6mmから約1.2mm、または約0.7mmから約1.5mmを有し得る。例えば、足場は、厚さ約0.5mmから1mmを有し得る。場合により、足場は、少なくとも0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.8mm、1mm、2mm、3mm、4mm、または5mmの厚さであり得る。場合により、足場は、最大で0.5mm、0.8mm、1mm、2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、または10mmの厚さであり得る。一部の実施形態では、足場は、足場上に配置および/または増殖されるべき細胞層の長さおよび/または幅を有し得る。一部の実施形態では、足場は、本明細書に記載されている細胞層の長さおよび/または幅を有し得る。
【0102】
足場は、合成皮革の面に表面積を有し得る。例えば、足場は、約0.1mmから約100mm、約0.1mmから約95mm、約0.1mmから約90mm、約0.1mmから約85mm、約0.1mmから約80mm、約0.1mmから約75mm、約0.1mmから約70mm、約0.1mmから約65mm、約0.1mmから約60mm、約0.1mmから約55mm、約0.1mmから約50mm、約0.1mmから約45mm、約0.1mmから約40mm、約0.1mmから約35mm、約0.1mmから約30mm、約0.1mmから約25mm、約0.1mmから約20mm、約0.1mmから約15mm、約0.1mmから約10mm、約0.1mmから約5mm、または約0.1mmから約1mmの表面積を有し得る。場合により、足場は、約0.1cmから約100cm、約0.1cmから約95cm、約0.1cmから約90cm、約0.1cmから約85cm、約0.1cmから約80cm、約0.1cmから約75cm、約0.1cmから約70cm、約0.1cmから約65cm、約0.1cmから約60cm、約0.1cmから約55cm、約0.1cmから約50cm、約0.1cmから約45cm、約0.1cmから約40cm、約0.1cmから約35cm、約0.1cmから約30cm、約0.1cmから約25cm、約0.1cmから約20cm、約0.1cmから約15cm、約0.1cmから約10cm、約0.1cmから約5cm、または約0.1cmから約1cmの表面積を有し得る。場合により、足場は、約0.1mから約100m、約0.1mから約95m、約0.1mから約90m、約0.1mから約85m、約0.1mから約80m、約0.1mから約75m、約0.1mから約70m、約0.1mから約65m、約0.1mから約60m、約0.1mから約55m、約0.1mから約50m、約0.1mから約45m、約0.1mから約40m、約0.1mから約35m、約0.1mから約30m、約0.1mから約25m、約0.1mから約20m、約0.1mから約15m、約0.1mから約10m、約0.1mから約5m、または約0.1mから約1mの表面積を有し得る。
【0103】
場合により、足場は、少なくとも約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、75、または100mmの表面積を有し得る。場合により、足場は、少なくとも約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、75、または100cmの表面積を有し得る。場合により、足場は、少なくとも約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、75、または100mの表面積を有し得る。
【0104】
あるいは、細胞層は、足場上に形成しない場合がある。例えば、真皮層は、足場(例えばコラーゲンマトリクス)上に形成しない場合がある。ある特定の場合に、合成皮革は、足場を含まない。
【0105】
色素
合成皮革は、1つまたは複数の色素を含み得る。合成皮革の1つまたは複数の層構造は、色素沈着している場合がある。合成皮革中の色素は、合成皮革を形成している細胞において産生された天然色素であり得る。例えば、色素は、ユーメラニン(例えば褐色ユーメラニンおよび黒色ユーメラニン)、フェオメラニン、神経メラニン、またはその任意の組み合わせを含むメラニンであり得る。合成皮革中の色素は、皮革色素染料などの外因性色素であり得る。
【0106】
コラーゲン
合成皮革は、コラーゲンを含み得る。コラーゲンは、少なくとも28種の異なるコラーゲン型のファミリーの任意のメンバーを指す場合がある。コラーゲンは、アミノ酸-(Gly-X-Y)n-の反復する三つ組みによって特徴付けることができ、その結果、コラーゲン中のアミノ酸残基のおよそ3分の1はグリシンである。Xは、プロリンであり得、Yは、ヒドロキシプロリンであり得る。したがって、コラーゲンの構造は、異なる長さのペプチド鎖の対になった三重ユニットを有し得る。合成皮革は、1つまたは複数の種からのコラーゲンを含み得る。場合により、合成皮革は、異なる動物からのコラーゲンを含む。異なる動物は、異なるアミノ酸組成のコラーゲンを産生することができ、それらは、異なる性質(および結果として生じる皮革における違い)をもたらすことができる。コラーゲン線維モノマーは、約1050アミノ酸長のアルファ鎖から産生される場合があり、その結果、三重らせんは、直径約1.5nmを有する、長さ約300nmの桿状形態をとる。
【0107】
合成皮革は、1つまたは複数の種類のコラーゲンを含み得る。合成皮革中に含まれるコラーゲンには、原線維状コラーゲン、非原線維状コラーゲン、またはその組み合わせが含まれ得る。原線維状コラーゲンには、I型、II型、III型、V型、およびXI型コラーゲンが含まれる。非原線維状コラーゲンには、断続性三重らせんを有する原線維付随性コラーゲン(例えば、IX型、XII型、XIV型、XVI型、およびXIX型)、短鎖コラーゲン(例えば、VIII型およびX型)、基底膜コラーゲン(IV型)、マルチプレキシン(multiplexin)(断続を有する複数の三重らせんドメイン)(例えば、XV型およびXVIII型)、MACITコラーゲン(断続性三重らせんを有する膜付随性コラーゲン)(例えば、XIII型およびXVII型)が含まれる。
【0108】
コラーゲンは、合成皮革の1つまたは複数の部分に含まれ得る。例えば、コラーゲンは、合成皮革中の1つもしくは複数の真皮層、1つもしくは複数の表皮層、またはその組み合わせに含まれ得る。例えば、コラーゲンは、合成皮革中の1つまたは複数の層状構造に含まれ得る。場合により、合成皮革の部分を工程途中に除去できる場合、コラーゲンは除去生成物中にも含まれ得る。
【0109】
合成皮革中のコラーゲンは、1つまたは複数の供給源由来であり得る。例えば、コラーゲンは、合成皮革中のコラーゲン産生細胞によって産生される場合がある。例えば、コラーゲンは、皮革に別に添加することができる。場合により、合成皮革は、コラーゲン産生細胞によって産生されるコラーゲンを含み、コラーゲンは、別に添加される。
【0110】
合成皮革中のコラーゲンの少なくとも部分は、コラーゲン産生細胞によって産生される場合がある。そのようなコラーゲン産生細胞は、合成皮革に含まれ得る。例示的なコラーゲン産生細胞には、上皮細胞、線維芽細胞、ケラチノサイト、角質細胞、メラノサイト、ランゲルハンス細胞、基底細胞、平滑筋細胞、またはその組み合わせが含まれる。上皮細胞には、扁平上皮細胞、立方細胞、円柱細胞、基底細胞、またはその組み合わせが含まれ得る。線維芽細胞には、真皮線維芽細胞が含まれ得る。ケラチノサイトには、上皮ケラチノサイト、基底ケラチノサイト、増殖中の基底ケラチノサイト、分化した基底上ケラチノサイト、またはその組み合わせが含まれ得る。合成皮革中のコラーゲンは、1つまたは複数の種類のコラーゲン産生細胞によって産生される場合がある。
【0111】
添加剤
合成皮革は、1つまたは複数の添加剤をさらに含み得る。そのような添加剤は、商業的魅力(例えば、外観、色、または匂い)を高めることができる。例示的な添加剤には、無機質、繊維、脂肪酸、およびアミノ酸、タンパク質が含まれる。添加剤は、臭気剤であり得る。
【0112】
添加剤には、マトリクスタンパク質、プロテオグリカン、抗酸化剤、パーフルオロカーボン、および増殖因子のうちの1種または複数種が含まれ得る。増殖因子は、サイトカイン(例えば、細胞によって産生され、かつそれ自体および/または多様な他の隣接もしくは遠隔細胞に影響する可能性があるもの)を含む、タンパク質、ポリペプチド、またはポリペプチドの複合体であり得る。増殖因子は、発生的にまたは多数の生理刺激もしくは環境刺激に応答して、特定の種類の細胞の増殖および/または分化に影響することができる。全てでないが一部の増殖因子は、ホルモンである。例示的な増殖因子には、インスリン、インスリン様増殖因子(IGF)、神経増殖因子(NGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、ケラチノサイト増殖因子(KGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、例えば塩基性FGF(bFGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、例えばPDGF-AAおよびPDGF-AB、肝細胞増殖因子(HGF)、トランスホーミング増殖因子アルファ(TGF-a)、トランスホーミング増殖因子ベータ(TGF-β)、例えばTGFpiおよびTGFP3、表皮増殖因子(EGF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、インターロイキン-6(IL-6)、IL-8などが含まれる。他のポリペプチドまたは分子(例えば、治癒剤;マトリクス分解酵素などの酵素およびマトリクス分解酵素阻害剤(例えばTIMP)、抗生物質、および抗真菌剤)も合成皮革に添加することができる。
【0113】
添加剤は、当該分野に公知の保存料も含み得る。例示的な保存料には、抗菌保存料、例えばプロピオン酸カルシウム、硝酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、亜硫酸塩(例えば、二酸化硫黄、重硫酸ナトリウム、亜硫酸水素カリウムなど)、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(disodium ethylenediammetetraacetic acid)(EDTA)、抗酸化剤、例えばブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)およびブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)が含まれる。
【0114】
ある特定の場合に、合成皮革は、細胞外マトリクスまたは結合組織を含み得る。例えば、合成皮革は、コラーゲン、ケラチン、エラスチン、ゼラチン、プロテオグリカン、デルマタン硫酸プロテオグリカン、グリコサミノグリカン(glycosoaminoglycan)、フィブロネクチン、ラミニン、デルマトポンチン、脂質、脂肪酸、糖質、およびその組み合わせをさらに含み得る。
【0115】
合成皮革の模様
合成皮革に模様を付けることができる。例えば、合成皮革に、アンテロープ、クマ、ビーバー、バイソン、イノシシ、ラクダ、カリブー、ネコ、ウシ、シカ、イヌ、ゾウ、エルク、キツネ、キリン、ヤギ、ノウサギ、ウマ、アイベックス、カンガルー、ライオン、ラマ、オオヤマネコ、ミンク、ムース、雄ウシ、ペッカリー、ブタ、ウサギ、アザラシ、ヒツジ、リス、トラ、クジラ、オオカミ、ヤク、シマウマ、カメ、ヘビ、クロコダイル、アリゲーター、恐竜、カエル、ヒキガエル、サンショウウオ、イモリ、ニワトリ、アヒル、エミュー、ガチョウ、ライチョウ、ダチョウ、キジ、ハト、ウズラ、シチメンチョウ、カタクチイワシ、バス、ナマズ、コイ、タラ、ウナギ、ヒラメ、フグ、ハタ、コダラ、オヒョウ、ニシン、サバ、マヒマヒ、オニイトマキエイ、カジキ、オレンジラフィー、パーチ、カワカマス、ポラック、サケ、イワシ、サメ、フエダイ、シタビラメ、アカエイ、メカジキ、ティラピア、マス、マグロ、ウォールアイ、およびその組み合わせから選択される動物の皮膚模様にならった模様が付けられる場合がある。模様は、ドラゴン、ユニコーン、グリフィン、サイレン、フェニックス、スフィンクス、サイクロプス、サテュロス、メドゥーサ、ペガサス、ケルベロス、テュポエウス(Typhoeus)、ゴルゴン、カリュブディス、エムプーサ、キメラ、ミノタウロス、ケートス(cetus)、ヒュドラ、ケンタウロス、妖精、人魚、ネッシー、サスクワッチ、サンダーバード、イエティ、チュパカブラ、およびその組み合わせから選択される空想動物の皮膚模様であり得る。
【0116】
合成皮革は、伝統的な動物の皮(skin)、革(hide)、または皮革製品およびデザインパラメーター(例えば、細胞型、添加剤、サイズ、形状)に類似するように製造することができる。場合により、合成皮革は、伝統的な動物の皮、革、または皮革製品に実質的に類似し得る組成によって特徴付けられる細胞層を含む。例えば、そのような層は、実質的に水性流体約60%から80%、タンパク質約14%~35%、脂肪約1%~25%であり得る組成によって特徴付けることができる。場合により、細胞層のケラチノサイトは、整列している。例えば、ケラチノサイトは、電場の適用により整列している場合がある。例えば、ケラチノサイトは、基層を周期的に伸展および弛緩させることなどの機械的刺激の適用によって整列している場合がある。場合により、整列した(例えば、電気的に配向したおよび機械的に配向した)ケラチノサイトは、相互に関して多くの動物皮膚組織に見ることができるのと実質的に同じ配向を有する。
【0117】
革製品
本明細書における合成皮革は、革製品の少なくとも一部であり得る。例えば、合成皮革は、革製品における天然皮革の代用物として使用することができる。例示的な革製品には、腕時計のバンド、ベルト、サスペンダー、パッケージング、靴、ブーツ、履物、手袋、衣類(例えば、トップス(tops)、ボトム(bottoms)、および上着)、かばん、袋物(例えば、ショルダーストラップが付属したもしくは付属しないハンドバッグ)、クラッチ、財布、小銭入れ、札入れ(billfold)、キーポーチ(key pouche)、クレジットカード入れ、筆箱、バックパック、ケース、札入れ、サドル、ハーネス、鞭、旅行用品(例えば、トランク、スーツケース、旅行用バッグ、化粧品ケース、もしくは洗面道具)、リュックサック、書類入れ、書類かばん(document bag)、ブリーフケース、アタッシュケース、ペット用品(例えば、引きひももしくは首輪)、狩猟および釣り用品(例えば、銃ケース、刃物ケース、もしくは堅い武器(firm arm)用のホルスター)、文房具(例えば、便箋、ブックカバー、カメラケース、眼鏡ケース、タバコ入れ、葉巻入れ、宝石箱、もしくは携帯電話ケース)、スポーツ用具(例えば、バスケットボール、サッカーボール、もしくはフットボールなどのボール)、建物インテリア、建物エクステリア、椅子張り材料、製本材料、家具、ランプ、ランプシェード、テーブル掛け、壁紙、床材、天井張り材料、自動車インテリア、自動車エクステリア、ボートインテリア、ボートエクステリア、飛行機インテリア、ヨットインテリア、ヨットエクステリア、枕カバー、シーツ、羽毛掛け布団カバー、ジュエリー、アクセサリー、眼鏡、サングラス、または消費者向け電化製品が含まれる。例えば、革製品は、時計の包みであり得る。例えば、革製品は、ベルトであり得る。例えば、革製品は、袋物であり得る。
【0118】
皮膚移植片
合成皮革またはその部分は、皮膚移植片、例えば、被験体に移植するための同種移植片または異種移植片としても使用することができる。例えば、合成皮革、真皮層、表皮層および/または層状構造は、同種移植または異種移植用の皮膚移植片の供給源であり得る。場合により、合成皮革、真皮層、表皮層および/または層状構造は、移植片のレシピエントにおける免疫拒絶を減少させるように遺伝的に改変された細胞を用いて生産される場合がある。
【0119】
方法
本明細書において、合成皮革を製造する方法も開示される。方法は、人工真皮層を形成するステップ、人工表皮層を形成するステップ、またはその組み合わせを含み得る。方法は、人工真皮層および/または人工表皮層の少なくとも一部をなめすステップをさらに含み得る。合成皮革中の細胞、例えば、真皮層および/または表皮層中の細胞は、幹細胞(例えばiPSC)から分化したものである場合がある。本明細書における方法は、幹細胞(例えばiPSC)を合成皮革中の細胞、例えば、真皮層および/または表皮層中の細胞に分化させるステップをさらに含み得る。ある特定の場合に、方法は、第2の細胞層(例えば真皮層)上に第1の細胞層(例えば表皮層)を配置し、それにより、層状構造を形成するステップ、および層状構造の少なくとも一部をなめすステップを含む。場合により、方法は、第1の細胞層(例えば表皮層)の少なくとも一部を除去するステップをさらに含み得る。
【0120】
細胞層の形成
細胞層は、1つまたは複数の種類の細胞を含む複数の多細胞体(multicellular body)を調製すること、およびそのような多細胞体を配列させて細胞層を形成することによって形成することができる。例えば、細胞層は、複数の多細胞体を隣り合って配列させることによって形成する場合があり、その際、多細胞体は、融合して平面層を形成する。
【0121】
細胞層を形成するステップは、足場を必要とし得る。細胞層は、足場上に複数の多細胞体を配列させることによって形成することができる。例えば、形成するステップは、多細胞体を融合させて層(例えば、実質的に平面の層)を形成する支持担体上に多細胞体を配列または配置させることを含み得る。場合により、多細胞体または層は、相互に水平および/または垂直に隣り合って配列される。あるいは、細胞層を形成するステップは、足場を必要としない場合がある。
【0122】
細胞層は、細胞を培地またはゲル中に包埋することによって形成することができる。場合により、真皮層は、コラーゲンIまたはフィブリンゲル中に包埋された線維芽細胞を使用して形成することができる。他の種類の培地も使用することができる。例えば、培地は、コラーゲンゲルの必要なしに表皮の長期維持を可能にするのに十分な量の細胞外マトリクスを分泌するように線維芽細胞を促すことができる。
【0123】
多細胞体の形成
本明細書に記載されている特徴を有する多細胞体を製造する様々な方法がある。場合により、多細胞体は、例えば、所望の細胞密度および粘度を有する、複数の細胞を含有する細胞ペーストから製作することができる。さらなる場合では、細胞ペーストは、所望の形状に成形することができ、成熟(例えばインキュベーション)を通じて多細胞体が形成し得る。場合により、複数の細胞を含む細胞ペーストを伸長した形状(例えば円筒形)に成形することによって、伸長した多細胞体を生産することができる。さらなる場合に、細胞ペーストを制御された環境でインキュベートして、細胞を相互に接着および/または密着させて、伸長した多細胞体を形成することができる。例えば、多細胞体は、複数の生細胞を含む細胞ペーストを、細胞ペーストを三次元形状に保持するデバイス中で成形することによって産生される場合がある。場合により、細胞ペーストを制御された環境でインキュベートすることができ、一方で、本明細書に記載されている平面上で支持体自体に十分に密着する多細胞体を産生するのに十分な時間、細胞ペーストを三次元形状に保持することができる。
【0124】
細胞ペーストは、(A)(1つまたは複数の細胞型の)細胞または細胞凝集物と、細胞培養培地とを(例えば予め決定された比で)混合して、細胞懸濁物をもたらすこと、ならびに(B)細胞懸濁物を圧縮して、所望の細胞密度および粘度を有する細胞ペーストを生産することによって提供することができる。圧縮は、細胞培養から生じた特定の細胞懸濁物を濃縮して、細胞ペーストのために要求される所望の細胞濃度(密度)、粘度、およびコンシステンシーを達成することなどによる、いくつかの方法によって達成することができる。場合により、細胞培養からの比較的希薄な細胞懸濁物を決められた時間遠心分離して、型の中で成形することが可能なペレット中の細胞濃度を達成することができる。接線流濾過(「TFF」)は、細胞を濃縮または圧縮する別の適切な方法である。場合により、化合物を細胞懸濁物と組み合わせて、要求される押出性質を与える。適切な化合物には、コラーゲン、ヒドロゲル、マトリゲル、ナノ繊維、自己集合性ナノ繊維、ゼラチン、およびフィブリノーゲンが含まれる。ECM構成要素(またはECM構成要素の誘導体)を含有する1種または複数種の生理学的に許容される緩衝液中に細胞ペレットを再懸濁すること、および結果として生じた細胞懸濁物を再度遠心分離して細胞ペーストを形成することによって、1種または複数種のECM構成要素(またはECM構成要素の誘導体)も含まれ得る。
【0125】
細胞ペーストを成形するために様々な方法を使用することができる。例えば、特定の実施形態では、細胞ペーストを(例えば濃縮/圧縮後に)手作業で成形または圧縮して、所望の形状を達成することができる。さらなる例として、予め形成された器具の内面に適合するように細胞ペーストを成形するマイクロピペット(例えばキャピラリーピペット)などの器具内に細胞ペーストを取り入れる(例えば吸引する)ことができる。マイクロピペット(例えばキャピラリーピペット)の断面形状は、代替的に、円形、正方形、長方形、三角形、または他の非円形の断面形状であり得る。一部の実施形態では、細胞ペーストは、プラスチック型、金属型、またはゲル型などの予め形成された型の中にそれを沈着させることによって成形することができる。一部の実施形態では、遠心注型または連続注型を使用して細胞ペーストを成形することができる。
【0126】
細胞ペーストをさらに成熟させることができる。場合により、接着および/または密着を促進するために細胞ペーストを約37℃である期間(細胞の種類に依存し得る)インキュベートすることができる。代替的または追加的に、細胞ペーストは、接着および/または密着を促進するために因子および/またはイオンを含有する細胞培養培地の存在下で保持することができる。
【0127】
層を形成するための支持担体上の多細胞体の配列
多細胞体を支持担体上に配列させて、所望の三次元構造(例えば、実質的に平面の層)を生産することができる。例えば、多細胞体は、手作業で互いに接触して配置する、ピペット、ノズル、もしくはニードルからの押出により所定の位置に沈着させる、またはバイオファブリケーター(biofabricator)などの自動機械により接触して配置することができる。
【0128】
支持担体は、流体、気体、および栄養分が透過性であり得、配列およびその後の融合の間に細胞培養培地を多細胞体および/または層の全ての表面と接触させる。場合により、支持担体は、コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン、および他の細胞外マトリクスなどの天然生体材料製であり得る。場合により、支持担体は、ヒドロキシアパタイト、アルギネート、アガロース、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、およびそれらのコポリマーなどの合成生体材料製であり得る。場合により、支持担体は、固形、半固形、または固形と半固形支持体要素との組み合わせであり得る。場合により、支持担体は、平面層の生産を容易にするために平面であり得る。場合により、支持担体は、細胞培養環境(例えば、ペトリ皿、細胞培養フラスコなど)またはバイオリアクターの一部などの非透過性表面から高いまたは上昇している場合がある。透過性の上昇した支持担体は、早期細胞死の予防に寄与し、細胞増殖の増大に寄与することができ、層を形成するための多細胞体の融合を容易にする。
【0129】
層の組立てが完了した後、構築物の上部に組織培養培地を注ぐことができる。場合により、組織培養培地は、多細胞体の間の空間に入って、多細胞体中の細胞を支持する。三次元構築物中の多細胞体を互いに融合させて、合成皮革の形成に使用するための層(例えば、実質的に平面の層)を生産することができる。「融合する」、「融合した」または「融合」という用語は、連続した多細胞体の細胞が細胞表面タンパク質間の相互作用を介して直接的に、または細胞とECM構成要素もしくはECM構成要素の誘導体との相互作用を介して間接的にのいずれかで互いに接着および/または密着するようになることを意味し得る。融合層は、完全に融合することができ、その多細胞体は、実質的に連続的になる。あるいは、融合層は、実質的に融合または部分的に融合することができ、多細胞体の細胞は、層を無傷で移動および操作することを可能にするために必要な程度に接着および/または密着するようになる。
【0130】
多細胞体は、融合して細胞培養環境(例えば、ペトリ皿、細胞培養フラスコ、またはバイオリアクター)中で層を形成することができる。場合により、多細胞体は、多細胞体に含まれる細胞型の増殖を容易にするのに適切な条件で融合して環境中で層を形成することができる。場合により、融合は、約15、20、25、30、35、40、45、50、55、および60分、ならびにその中の増分にわたって起こる。他の場合に、融合は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、および48時間、ならびにその中の増分にわたって起こる。なお他の場合には、融合は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、および14日、ならびにその中の増分にわたって起こる。さらなる場合では、融合は、約2時間から約24時間にわたって起こる。融合時間に関連する要因には、細胞型、細胞型の比、培養条件、および増殖因子などの添加剤の存在が含まれ得る。
【0131】
層の融合が完了した後、層と支持担体とは分離することができる。他の場合に、層の融合が実質的に完了または部分的に完了した場合に、層と支持担体とが分離されるが、層の細胞は、層をばらばらにせずに層を移動、操作、および積み重ね可能にするために必要な程度に、互いに接着および/または密着している。層と支持担体とは、支持担体を融解、溶解、または分解するための標準的な手順を介して分離することができる。場合により、支持担体は、例えば層に有害に影響しない温度変化、光、または他の刺激により溶解させることができる。ある特定の場合に、支持担体は、可撓性材料から作り、層から剥離することができる。分離された層は、さらなる成熟のためにバイオリアクターに移すことができる。場合により、分離された層は成熟し、操作された動物の皮、革、または皮革製品に組み込まれた後にさらに融合する。
【0132】
あるいは、層および支持担体は、分離されない場合がある。支持担体は、組み立てられ操作された動物の皮、革、または皮革製品のパッケージング、凍結、販売または消費前に分解または生分解する。
【0133】
細胞層は、ある期間にかけて形成することができる。場合により、細胞層、例えば表皮層または真皮層は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、40、50、60、120、300日以内に形成することができる。場合により、真皮層は、約1から15日、例えば、5から10日、または10から12日で形成することができる。場合により、真皮層は、約5から25日、例えば、14から15日で形成することができる。
【0134】
本開示は、改善されたバリア機能を有する合成皮革を製造する方法を提供する。場合により、方法は、ケラチノサイトと、アスコルビン酸およびリノール酸とを含む培養培地を提供するステップ;ならびに改善されたバリア機能を有する合成皮革が形成できるような条件下でケラチノサイトを培養するステップを含む。場合により、培養条件は、湿度約50から95%、例えば湿度約75%での培養を含む。場合により、アスコルビン酸は、約10から100マイクログラム/mlの濃度で提供することができる。なおさらなる場合には、リノール酸は、約5から80マイクロモル濃度の濃度で提供することができる。本開示は、特定の供給源のケラチノサイトから形成した合成皮革に限定されない。実際に合成皮革は、近二倍体不死化ケラチノサイト(NIKS)細胞を含むがこれに限定されない多様な初代ケラチノサイトおよび不死化ケラチノサイトから形成することができる。なおさらなる場合には、ケラチノサイトは、外因性野生型または改変体クルッペル様因子(GKLF)を発現する。なおさらなる場合には、ケラチノサイトは、2つの異なる供給源に由来する。他の場合に、合成皮革は、約40から約240pFの表面静電容量を有する。一部の好ましい場合に、皮膚等価物は、約80から約120pFの表面静電容量を有する。他の好ましい場合に、皮膚等価物中のセラミド5、6、および7の含有量は、総セラミド含有量の約20から約50%であり得る。なお他の好ましい場合には、皮膚等価物中のセラミド2の含有量は、総セラミド含有量の約10から約40%であり得る。なおさらなる場合に、本開示は、先ほど記載した方法によって製造された皮膚等価物を提供する。
【0135】
層状構造を形成するための層の配列
複数の細胞層を配列させて層構造を形成することで、本明細書に記載されている合成皮革を生産することができる。場合により、真皮層および表皮層は別々に形成され、真皮層上に表皮層を配置することによって組み立てられる(例えば、表皮層および真皮層の両方が完全に形成したとき)。場合により、表皮層は、真皮層の上に成長することができる。ある特定の場合に、基底膜または基底膜代用物は、真皮層と表皮層との間に配置することができる。例えば、細胞層は、互いに接触して手作業で配置する、またはバイオファブリケーターなどの自動化されコンピューター支援された機械によってコンピュータースクリプトに従って所定の位置に沈着させることができる。
【0136】
複数の細胞層を組み立てる前に、1つまたは複数の品質管理ステップを行うことができる。例えば、真皮上に配置する前に経上皮電気抵抗(TEER)を表皮に対して行うことができ(例えば0日目)、続いて組織分析を行うことができる(例えば、最低で3~5日)。本明細書提供の方法を使用すると、不適切に形成した層状構造または全層皮膚等価物のリスクは、低い可能性がある。
【0137】
複数の細胞層は、様々な方法で組み立てることができる。場合により、表皮層および真皮層(基底膜代用物を有するまたは有しない)は、例えば天然皮革の厚さおよび引張強さを達成するために、足場(例えば絹)上に配置される。場合により、表皮層および複数の真皮層(基底膜代用物を有するまたは有しない)は、足場を使用せずに組み立てられる。そのような組立ては、天然皮革に類似した厚さおよび引張強さを達成することができる。場合により、表皮層および複数の真皮層(基底膜代用物を有するまたは有しない)は、天然皮革に類似した厚さおよび引張強さを達成するために、足場(例えば絹)上に配置される。
【0138】
一部の実施形態では、化学試験、機械的試験、性能試験、強度試験、耐久性試験、水分試験、寸法試験またはその組み合わせを、1つまたは複数の多重細胞層、合成皮革、人工表皮層、人工真皮層、層状構造、それらから生産された製品に行うことができる。一部の実施形態では、化学試験、機械的試験、性能試験、強度試験、耐久性試験、水分試験、寸法試験またはその組み合わせは、非標準試験を使用して行うことができる。一部の実施形態では、化学試験、機械的試験、性能試験、強度試験、耐久性試験、水分試験、寸法試験またはその組み合わせは、標準試験を使用して行うことができる。一部の実施形態では、試験は、国際標準化機構(ISO)、ヨーロッパ標準化委員会(CEN)、ASTMインターナショナルまたは国際皮革技術者化学者協会連合会(IULTCS)により指示および/または採用および/または承認および/または開発されたように行うことができる。一部の実施形態では、表1~表11のうちの任意の1つにおける試験またはその任意の変形は、任意の1つもしくは複数の対応する方法またはその任意の変形を使用して行うことができる。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【0139】
一部の実施形態では、皮革製品は、本物の皮革に類似した物理的性質を有し得る。一部の実施形態では、本明細書で開示される合成皮革またはそれから製造された皮革製品は、少なくとも約20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1050、1100、1150、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000lb/inのASTM D-2209-95によって測定された引張強さを有し得る。一部の実施形態では、本明細書で開示される合成皮革またはそれから製造された皮革製品は、約5000、4000、3000、2000、1900、1800、1700、1600、1500、1400、1300、1200、1100、1000、950、900、850、800、750、700、650、600、550、500、450、400、350、300、250、200、100、90、80、70、60、50、40、30、20lb/in未満のASTM D-2209-95によって測定された引張強さを有し得る。
【0140】
一部の実施形態では、本明細書で開示される合成皮革またはそれから製造された皮革製品は、ASTM-D2212-94によって測定した少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100lbのスリットを有し得る。一部の実施形態では、本明細書で開示される合成皮革またはそれから製造された皮革製品は、ASTM-D2212-94によって測定した約200、150、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1lb未満のスリットを有し得る。一部の実施形態では、本明細書で開示される合成皮革またはそれから製造された皮革製品は、ASTM-D4705-93に従って測定したとき少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100個のステッチを有し得る。一部の実施形態では、本明細書で開示される合成皮革またはそれから製造された皮革製品は、約200、150、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1個未満のステッチを有し得る。一部の実施形態では、本明細書で開示される合成皮革またはそれから製造された皮革製品は、スリットおよびステッチのそれぞれの試験に従って測定したときに、少なくとも約30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100lbであるスリットおよびステッチの値を有し得る。一部の実施形態では、本明細書で開示される合成皮革またはそれから製造された皮革製品は、ASTM D6182によって測定した少なくとも約5000、6000、7000、8000、9000、10000、15000、20000、25000、30000、35000、40000、45000、50,000、55000、60000、65000、70000、80000のバリーフレックス(Bally flex)を有し得る。
【0141】
複数の細胞層を組み立てて合成皮革(例えば、全層皮膚等価物)を形成することができる。合成皮革は、上部、中央部および下部を含み得る。上部は表皮層を含み得る。例えば、上部は、単層表皮層であり得る。中央部は、基底膜代用物を含み得る。場合により、中央部は、基底膜代用物を有さない。例えば、中央部は、無視できるほどの厚さの層を有し得る。下部は、1つまたは複数の真皮層を有し得る。場合により、下部は、足場(例えば絹)上に配置された単一の真皮層を有する。場合により、下部は、足場を有しない複数の真皮層(例えば、最大5層)を有する。場合により、下部は、相互に上に積み重ねられ、足場(例えば絹)上に配置された複数の真皮層を有する。
【0142】
表皮層と真皮層との間の接着性は、層の分割に耐えるのに十分強い場合がある。場合により、細胞層は、足場上に接着することによって組み立てることができる。天然または合成接着剤を組立てのために使用することができる。天然接着剤は、フィブリン糊、コールドグルー、動物性膠(例えば、骨膠、魚膠、皮膠、蹄膠(hoof glue)、ウサギ皮膚膠(rabbit skin glue)、肉膠(meat glue))、血液アルブミン糊、カゼイン糊、植物性糊(例えば、デンプン、デキストリン糊、カナダバルサム、松脂系糊、コッコニア(cocconia)、アラビアゴム、切手用のり、ラテックス、図書館用のり(library paste)、メチルセルロース、粘液、レゾルシノール樹脂、もしくは尿素-ホルムアルデヒド樹脂)、またはその任意の組み合わせであり得る。合成接着剤は、アクリロニトリル、シアノアクリレート(例えば、n-ブチル-2-シアノアクリレート糊)、アクリル、レゾルシノール糊、エポキシ樹脂、エポキシパテ、エチレン酢酸ビニル、フェノールホルムアルデヒド樹脂、ポリアミド、ポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスルフィド、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル(ホワイトグルー(white glue)(例えばエルマーズグルー(Elmer’s Glue)およびイエローカーペンターズグルー(yellow carpenter’s glue)(脂肪族樹脂を含む)、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニルエマルジョン(PVCE)、ポリビニルピロリドン、ゴムのり、シリコーン、およびスチレンアクリルコポリマーであり得る。例えば、組立ては、フィブリン糊を使用して行うことができる。例えば、組立ては、n-ブチル-2-シアノアクリレート糊を使用して行うことができる。
【0143】
場合により、細胞層(例えば、実質的に平面の層)は、積み重ねられて合成皮革を形成する。細胞層は、多細胞体の配置、パターン、または配向によって定義される配向を有し得る。場合により、各層は、支持担体および/または1つもしくは複数の他の層に対して特定の配向で積み重ねることができる。例えば、1つまたは複数の層は、支持担体および/または下の層に対する回転を含む配向で積み重ねることができ、その際、回転は、0.1から180度の間、例えば、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、および180度、またはその中の増分であり得る。他の場合に、全ての層は、実質的に同じように配向される。
【0144】
層の積み重ねが完了した後、三次元構築物中の層を互いに融合させて、合成皮革を生産することができる。場合により、層は、細胞培養環境(例えば、ペトリ皿、細胞培養フラスコ、バイオリアクターなど)で融合する。場合により、融合は、約15、20、25、30、35、40、45、50、55、および60分、ならびにその中の増分の間にわたって起こる。他の場合に、融合は、1から48時間の間、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、および48時間、ならびにその中の増分の間にわたって起こる。例えば、融合は、約2時間から約24時間にわたって起こり得る。
【0145】
培養条件
細胞および細胞層は、様々な細胞培養条件で培養することができる。細胞または細胞層は、in vitroで培養することができる。例えば、真皮層および/または表皮層は、in vitroで培養することができる。あるいは、細胞または細胞層は、in vivoで培養することができる。例えば、真皮層および/または表皮層は、in vivoで培養することができる。
【0146】
細胞および細胞層は、1種または複数種の補充物と共に培養することができる。1種または複数種の補充物は、天然補充物、合成補充物、またはその組み合わせであり得る。場合により、補充物は、添加剤であり得る。場合により、補充物のうちの1種または複数種は、iPSC由来線維芽細胞からの細胞外マトリクスの生産および組立てを誘導することで、合成皮革の自然な外見を高める。例示的な補充物は、コラーゲンおよびフィブリンなどのECM構成要素、増殖因子、アスコルビン酸などの小分子、硫酸デキストラン、カラゲナンなどの巨大分子が含まれ得る。
【0147】
細胞層は、ある特定の空気湿度で培養することができる。例えば、細胞層(例えば、真皮層または表皮層)は、湿度約20%から約100%で培養することができる。例えば、湿度は、約40%から約100%、約50%から約95%、約45%から約90%、約55%から約95%、約60%から約90%、約70%から約80%、約71%から約79%、約72%から約78%、約73%から約77%、約74%から約76%、約60%から約70%、約65%から約75%、約70%から約80%、約75%から約85%、約80%から約90%、約85%から約95%、または約90%から約100%、約40%から約60%、約45%から約55%、約46%から約54%、約47%から約53%、約48%から約52%、約48%から約53%、約49%から約54%、または約47%から約51%であり得る。
【0148】
皮革の処理
なめし
本明細書における方法は、合成皮革の少なくとも一部、例えば、合成皮革中の真皮層および/または表皮層の少なくとも一部をなめすステップを含み得る。なめしは、合成皮革を天然皮革に類似させ、天然皮革は、動物の原皮、多くの場合に成牛皮のなめしによって創出される、耐久性のある可撓性材料でありうる。本明細書におけるなめしは、動物の皮を処理して皮革を生産するプロセスを指す場合がある。なめしは、渋なめし(vegetable tanning)(例えば、タンニンを使用する)、クロムなめし(硫酸クロムを含むクロム塩)、アルデヒドなめし(グルタルアルデヒドまたはオキサゾリジン化合物を使用する)、シンタン(合成タンニン、芳香族ポリマーを使用する)、細菌染色などを含む様々な方法で行うことができる。
【0149】
なめしは、革/皮中のタンパク質を腐敗しない安定な材料に変換する一方で、その材料を可撓性のまま保たせるために行うことができる。クロムは、なめし材料として使用することができる。細胞層または層状構造のpHを調整(例えば、低下;例えばpH約2.8~3.2に)して、なめしを増強することができ;なめしの後に、pHを上昇させることができる(ややより高いレベル、例えばpH約3.8~4.2に「塩基性化」)。
【0150】
なめしは、細胞層、例えば、真皮層および表皮層に行うことができる。なめしは、層状構造、例えば、少なくとも真皮層および少なくとも表皮層を含む層状構造に行うこともできる。ある特定の場合に、なめしは、合成皮革に行うこともできる。例えば、なめしは、細胞層、例えば、真皮層または表皮層を形成した後に行うことができる。例えば、なめしは、層状構造を形成した後に行うことができる。
【0151】
なめしは、細胞外マトリクス(ECM)材料を修飾することによって行うことができる。なめしは、ECM中のコラーゲンを修飾することによって行うことができる。なめしは、なめし剤、例えば、硫酸クロム(III)([Cr(HO)]2(SO4))を使用して行うことができる。硫酸クロム(III)は、より高いpHでオール化(olation)と呼ばれるプロセスを経てポリクロム(III)化合物を与えるヘキサアクアクロム(hexaaquachromium)(III)陽イオン[Cr(HO)3+を与えるように溶解させることができ、ポリクロム(III)化合物は、なめしにおいて活性であり、コラーゲンサブユニットの架橋である。一部のリガンドには、硫酸陰イオン、コラーゲンのカルボキシル基、アミノ酸側鎖からのアミン基、およびマスキング剤が含まれる。マスキング剤は、ポリクロム(III)鎖の形成を抑制するために使用される酢酸などのカルボン酸であり得る。マスキング剤は、クロム(III)錯体の透過を阻害せずにコラーゲンの反応性を増加させるために、タンナーがpHをさらに増加させることを可能にすることができる。なめしは、オール化およびオキソール化(oxolation)から生じる種類のポリクロム種による架橋に一致して、コラーゲン中のタンパク質鎖間の間隔(例えば、10から17Å)を増加させることができる。クロムは、コラーゲンと架橋され得る。クロムなめし皮革は、約4%から5%の間のクロムを含有し得る。この効率は、皮革のその増加した熱水安定性および熱水中でのその耐収縮性によって特徴付けることができる。層状の本体をなめし、コラーゲンを修飾するために他のなめし剤を使用することができる。
【0152】
なめしは、他の無機質を使用して行うこともできる。場合により、なめしは、ミョウバン、ジルコニウム、チタン、鉄塩、またはその組み合わせに基づく薬剤を使用して行うことができる。
【0153】
さらなる処理
本明細書において製造された細胞層、層状構造、および合成皮革は、なめしの後にさらに処理することができる。場合により、本明細書提供の方法は、1つまたは複数の皮革処理ステップ(例えば、伝統的な皮革の形成に使用されるステップ)をさらに含む。処理ステップの例には、保存加工、水漬け、石灰漬け、脱毛、フレッシング、分割、脱灰、再石灰漬け、ベーチング、脱脂、フライジング(frizing)、漂白、着色、ピックリング、脱酸、なめし、再なめし(例えば、処理の間に色落ちした場合)、シンニング、再なめし、潤滑化、クラスティング、湿潤化、水絞り、シェービング、再クロム処理、中和、染色、加脂、充填、ストリッピング、スタッフィング、白化、固着、セッティング、乾燥、コンディショニング、空打ち(例えば、ドライ空打ち)、ステーキング、バフィング、仕上げ、油入れ、ブラッシング、パディング、含浸、スプレー、ローラーコーティング、カーテンコーティング、艶出し、プレーティング、型押し、アイロン掛け、グレージング、およびタンブリングが含まれる。
【0154】
合成皮革は、例えば、動物の皮、革、または皮革を構築するために使用された多細胞体および/または層の数、サイズ、および配列を制御することによって成形することができる。他の場合に、動物の皮、革、または皮革は、例えば、裁断、プレス(pressing)、成形、またはスタンピングによって成形することができる。合成皮革の形状は、伝統的な動物の皮、革、または皮革製品に類似するように作ることができる。
【0155】
本明細書における方法は、本明細書において生産された合成皮革の一部を除去するステップを含み得る。場合により、方法は、表皮層の少なくとも一部を除去して除去生成物を形成するステップを含む。例えば、除去はシェービングであり得る。
【0156】
色素沈着
本明細書における方法は、合成皮革を色素沈着させるステップを含み得る。場合により、色素沈着は、合成皮革に色素産生細胞(例えばメラノサイト)を導入することによって行うことができる。場合により、合成皮革は、機能的生メラノサイトを含む。メラノサイトは、ヒトの皮膚と類似の位置を有し得る。場合により、メラニンは、メラノサイトによって構成的に産生される場合がある。場合により、メラニンは、ケラチノサイトに輸送される場合がある。場合により、メラノサイトは、刺激、例えばUV照射の際に、またはアルファメラノサイト刺激ホルモン(aMSH)、エンドセリン1(ET1)、幹細胞因子(SCF)、プロスタグランジンE2およびF2α(PGE2、PGF2α)、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)または神経増殖因子(NGF)などの色素沈着促進活性剤によって産生される。
【0157】
合成皮革における前駆細胞から細胞への分化
ケラチノサイトおよびメラノサイトなどの表皮層中の細胞、ならびに線維芽細胞などの真皮層中の細胞は、iPSCなどの前駆細胞から派生、例えば分化させることができる。他の場合には、細胞層を形成するために初代細胞または初代細胞に由来する培養細胞を使用して、合成皮革を製造することができる。
【0158】
iPSCを合成皮革における細胞、例えば、ケラチノサイト、メラノサイト、または線維芽細胞に分化させる様々な方法を使用することができる。場合により、iPSCからケラチノサイトへの分化、およびiPSC由来ケラチノサイトからの3D表皮の構築は、Petrovaら、3D In vitro model of a functional epidermal permeability barrier from human embryonic stem cell and induced pluripotent stem cells. Stem Cell Reports. 2014年4月24日;2巻(5号):675~89頁によって記載された方法を使用して行うことができる。他の場合に、細胞層は、初代細胞を使用して形成することができる。例えば、初代ケラチノサイトからの3D表皮の構築は、Sun Rら、Lowered humidity produces human epidermal equivalents with enhanced barrier properties. Tissue Eng Part C Methods. 2015年1月;21巻(1号):15~22頁に記載された方法を使用して行うことができる。
【0159】
場合により、本明細書に記載されている方法は、合成皮革の生産を、商業レベルに確実に、正確に、および再現性よく拡大するハイスループット方法を提供する。合成皮革、操作された表皮等価物、操作された全層皮膚等価物および本明細書で開示されるそれを製造する方法の利点は、これに限定されないが、魅力的な外観、テクスチャー、厚さ、および耐久性のカスタマイズされた組織を、再現性よく、ハイスループットで、規模の拡大縮小が容易な形で生産することを含む。一部の実施形態では、本明細書に記載されている方法は、増加した収量の表皮層、真皮層、層状構造または合成皮革のうちの1つまたは複数を生産することができる。一部の実施形態では、増加した収量は、同等の方法と比べて少なくとも約0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または約15倍の収量であり得る。一部の実施形態では、本明細書で開示される方法は、合成皮革、人工表皮層、人工真皮層、層状構造、およびそれらから生産された製品の製造コストを減らすことができる。一部の実施形態では、本明細書で開示される方法は、均一な厚さの合成皮革、人工表皮層、人工真皮層、層状構造、およびそれらから生産された製品を生産することができる。一部の実施形態では、合成皮革、人工表皮層、人工真皮層、層状構造、およびそれらから生産された製品は、実質的に均一な厚さ、長さおよび/または幅を有し得る。一部の実施形態では、表皮層、真皮層、層状構造のうちの任意の1つまたは複数における細胞は、均質に分布している場合がある。一部の実施形態では、表皮層、真皮層、層状構造のうちの任意の1つまたは複数における細胞は、不均質に分布している場合がある。
【0160】
表皮等価物の比較分析
図4A~4Cは、良質の皮革、天然の皮膚および表皮等価物の比較分析を示す。図4Aは、天然の皮膚および良質の皮革の縦断面のFESEMを示す。図4Aは、表皮(e)および真皮(d)の別個の形態的構造を示す。なめしは、皮の構造を永続的に変更した。表皮における個別の細胞間の境界は、識別不能になった。水分の除去は、真皮中のコラーゲン束をより圧縮させ、耐久性にした。倍率:1000×。
【0161】
図4Bは、FESEM像を示す。一例として図4Bは、良質の皮革の表面および表皮等価物の表面の両方が、同等の触覚(タッチ)経験を誘導する可能性が高いことを示す、類似の滑らかな外観を有することを示す。倍率:2000×。
【0162】
図4Cは、良質の皮革および表皮等価物の縦断面のFESEMを示す。なめしを行う前に、天然の皮膚の表皮、図4Aに類似して、個別の細胞層が表皮等価物において識別可能である。真皮中のコラーゲンが、主として皮膚の引張強さの原因であり得るので、コラーゲン束は、皮革に厚さおよび耐久性を与えることができる(挿入図)が、表皮の外層に完全に依存し得る知覚経験を与えない場合がある。
【0163】
図5A~5Cは、天然の皮膚および表皮等価物の角質層(SC;角化層)の比較分析を示す。図5Aは、表皮等価物の表面が天然の皮膚の表面よりも滑らかに見えることを示すFESEM像を示し、これは、細胞培養の制御された環境が原因であり得る。図5Bは、TEMを使用して、SCの主要な「機械的」接合部であるコルネオデスモソーム(矢印)が表皮等価物においてより高電子密度の領域として検出できたことを示す。図5Cは、コルネオデスモシン(CDSN)が合成され、角化の開始直前にSGにおける細胞によって細胞外空間に排出され得ることを示す。CDSNは、カドヘリンによって占有されているSGデスモソームの細胞間部分内に包埋する可能性があり、そのようにして、コルネオデスモソームを形成することができる。矢印は、天然の皮膚および表皮等価物のSCにおける類似に整列したCDSNの点状蓄積を指し、これはコルネオデスモソームを表す可能性が高い。SC、角質層;SG、顆粒層;SS、有棘層。
【0164】
図6A~6Eは、天然の皮膚および表皮等価物の顆粒層(SG;顆粒状層)の比較分析を示す。図6Aは、そのロリクリン(LOR)染色を示す。LORは、角化細胞エンベロープの主要なタンパク質構成要素であり、角化する上皮の顆粒状層に発現される場合がある。SGにおける類似のLOR発現パターン(矢印で指し示したH&E染色組織切片の濃褐色の色素)が、天然の皮膚の表皮(パネルの左側)および表皮等価物(パネルの右側)の両方において検出された。d、真皮;H&E、ヘマトキシリン&エオシン;SB、基底層;SC、角質層;SG、顆粒層;SS、有棘層;*、トランスウェルフィルター膜。図6Bにおいて、表皮Ca++勾配は、透過電子顕微鏡観察で高電子密度沈殿物として捕捉することができる。Ca++の沈着物は、in vivoの天然の皮膚(パネルの左側)およびin vitroで生成した表皮等価物(パネルの右側)の両方においてSGに存在し、SCに不在であった。SG、顆粒層;SS、有棘層。図6Cにおいて、透過性バリアの完全性をランタン灌流によって評価した。ランタンは、生存可能なSGの細胞外空間における高電子密度の沈着物として視覚化され、これは、ランタン、ならびに伸展により水および他の小イオンが、この層内のケラチノサイトの間を通過することができることを実証している。対照的に、機能している脂質バリアがランタンの上方運動を遮断しているので、ランタンは、SC中にさらに透過することができない。in vitroで生成した表皮等価物は、天然の皮膚と等しく機能的な透過性バリアを実証した。SG、顆粒層;SS、有棘層。図6Dは、タイトジャンクションタンパク質1/閉鎖帯-1(TJP1/ZO-1)が、脂質二重層内の原線維様構造であるタイトジャンクション鎖タンパク質をアクチン細胞骨格に繋留していることを示す。矢印は、in vivoの天然の皮膚(パネルの左側)およびin vitroで生成した表皮等価物(パネルの右側)のSGにおける類似に整列したTJP1/ZO-1の鮮緑色細胞膜関連蓄積を指し示す。SC、角質層;SG、顆粒層;SS、有棘層。図6Eは、プロフィラグリンとして公知の大型の350kDaタンパク質前駆体に縦にクラスター形成したフィラグリン(FLG)モノマーが、SGの細胞中のケラトヒアリン顆粒中に存在することを示す。矢印は、in vivoの天然の皮膚(パネルの左側)およびin vitroで生成した表皮等価物(パネルの右側)のSGにおける類似に整列した鮮赤色顆粒およびFLGの細胞膜関連蓄積を指し示す。SC、角質層;SG、顆粒層;SS、有棘層。
【0165】
図7A~7Cは、TEMで評価した天然の皮膚および表皮等価物における脂質二重層の形成を示す。図7Aにおいて、白色矢印は、in vivoの天然の皮膚(パネルの左側)およびin vitroで生成した表皮等価物(パネルの右側)の両方におけるSCとSGとの境界での正常な脂質分泌を指し示す。図7Bにおいて、層状体(白い矢尻印)が、in vivoの天然の皮膚(パネルの左側)およびin vitroで生成した表皮等価物(パネルの右側)の両方のSGにおいて見られる。図7Cはin vivoの天然の皮膚(パネルの左側)の正常な脂質二重層(LB)形態を示す。in vitroで生成した表皮等価物(パネルの右側)における脂質二重層は、類似の外観を有した。SC、角質層。
【0166】
図8A~8Dは、天然の皮膚および表皮等価物の基底上層のマーカーの比較分析を示す。図8A図8Bおよび図8C、免疫組織化学(KRT10;矢印で指し示したH&E染色組織切片の濃褐色の色素)および免疫蛍光(矢印で示した赤色の細胞質/KRT1/および赤色の細胞膜/DCL1/染色)によって実証されているように、基底上層、有棘層(SS)および顆粒層(SG)のマーカーであるケラチン10(KRT10)、ケラチン1(KRT1)、デスモコリン1(DCL1)は、in vivoの天然の皮膚(パネルの左側)およびin vitroで生成した表皮等価物(パネルの右側)において類似の発現パターンを有する。d、真皮;H&E、ヘマトキシリン&エオシン;SB、基底層;SC、角質層;SG、顆粒層;SS、有棘層;*、トランスウェルフィルター膜。図8Dにおいて、in vivoの天然の皮膚およびin vitroで生成した表皮等価物の両方において、デスモソーム(矢印)が明確に画定されている。SS、有棘層。
【0167】
図9A~9Dは、天然の皮膚および表皮等価物の基底層(SB;基底の層)の比較分析を示す。図9A図9B図9C、および図9Dに関して、増殖マーカーMKI67、ケラチン14(KRT14)、および転写因子TP63は、免疫組織化学(MKI67;矢印で指し示したH&E染色組織切片の濃褐色の色素)および免疫蛍光(矢印によって示される緑色細胞質/KRT14/および白色核/TP63/染色)によって実証されているように、in vivoの天然の皮膚(パネルの左側)およびin vitroで生成した表皮等価物(パネルの右側)の両方において典型的な基底の層の分布を示す。in vivoの天然の皮膚およびin vitroで生成した表皮等価物の両方において、ヘミデスモソーム(矢印)が明確に画定されている。BM、基底膜;Cy、細胞質;d、真皮;H&E、ヘマトキシリン&エオシン;SB、基底層;SS、有棘層;TM、トランスウェルフィルター膜。
【0168】
図10A~10Fは、基底膜の細胞外マトリクス構成要素の比較分析を示す。基底膜(BM)は、真皮表皮接合部上に不可欠な構造的足場を提供することができる細胞外マトリクス(ECM)タンパク質の凝縮したネットワークから形成することができる。インテグリンβ1は、細胞をECMと結合することによって複数の上皮細胞機能を調節し、それは、真皮表皮接合部のBMの維持に重要であり得る。図10Aにおいて、インテグリンβ1は、矢印(細胞膜関連染色)および矢尻印(トランスウェル膜の穴を通して突出している細胞の先端上)によって示されるように、in vivoの天然の皮膚(パネルの左側)およびin vitroで生成した表皮等価物(パネルの右側)の両方において典型的な基底の層の分布を示す。BM、基底膜;d、真皮;SB、基底層;SS、有棘層;SG、顆粒層;TM、トランスウェル膜。
【0169】
フィブロネクチンは、細胞接着において役割を果たすことができる。図10Bは、in vivoの天然の皮膚(パネルの左側)においてフィブロネクチンが大部分は真皮に発現され得、比較的わずかがBM領域において検出され得ることを示す。同様に、in vitroで生成した表皮等価物(パネルの右側)において、フィブロネクチンは、トランスウェル膜の穴を通して突出している細胞の先端で検出することができる(赤色矢尻印)。d、真皮;SB、基底層;SS、有棘層;SG、顆粒層;TM、トランスウェル膜。
【0170】
BMによって提供される機械的支持は、コラーゲンIV、または表皮等価物の場合は足場によって決定することができる。図10Cにおいて、矢尻印で示すように、コラーゲンIVの発現は、in vivoの天然の皮膚(パネルの左側)においてin vitroで生成した表皮等価物(パネルの右側)と類似の斑状パターンを有する。BM、基底膜;d、真皮;SB、基底層;SS、有棘層;SG、顆粒層;TM、トランスウェル膜。
【0171】
コラーゲンVIは、細胞接着において役割を果たすことができ、フィブロネクチンと関連することができる。図10Dにおけるように、in vivoの天然の皮膚(パネルの左側)において、コラーゲンVIは、大部分は真皮に発現され得、比較的わずかしかBM領域において検出されない可能性がある。同様に、in vitroで生成した表皮等価物(パネルの右側)において、コラーゲンVIは、トランスウェル膜の穴を通して突出している細胞の先端で検出することができる(矢尻印)、図10D。BM、基底膜;d、真皮;SB、基底層;SS、有棘層;SG、顆粒層;TM、トランスウェル膜。
【0172】
コラーゲンVIIは、基底膜を真皮中のコラーゲンIおよびIII原線維に向けて繋留することができる。図10Eにおいて矢尻印で指し示されるように、コラーゲンVIIの発現は、in vivoの天然の皮膚(パネルの左側)においてin vitroで生成した表皮等価物(パネルの右側)と類似の斑状パターンを有する。BM、基底膜;d、真皮;SB、基底層;SS、有棘層;SG、顆粒層;TM、トランスウェル膜。
【0173】
ラミニン5(鎖組成α3β3γ2)は、繋留フィラメントの主な構成要素であり得、in vivoのBMの最初の組立てに不可欠であり得る。図10Fにおいて矢尻印で示すように、ラミニン5の発現は、in vivoの天然の皮膚(パネルの左側)においてin vitroで生成した表皮等価物(パネルの右側)と類似のパターンを有する。ラミニン5が表皮等価物に特に豊富なことに加えて、痕跡量のラミニン5を基底層細胞の細胞膜(矢印)に見ることができる。BM、基底膜;d、真皮;SB、基底層;SS、有棘層;SG、顆粒層;TM、トランスウェル膜。
【0174】
図11A~11Iは、全層皮膚等価物(FSE)の構造分析を示す。図11Aおよび11Bは、FSEの断面が倍率2600×(図11A)および倍率5200×(図11B)で表皮の別個の細胞層を表すことを示す。図11Cは、良質の皮革と類似の滑らかな外観を有する、倍率900×のFSEの表面を示し、これは、FSEが同等の触覚(タッチ)経験を誘導することができることを示す。図11D~1Fは、存在する真皮線維芽細胞および豊富な細胞外マトリクスを有する真皮足場の縦断面を倍率91×(図11D)、倍率162×(図11E)および倍率405×(図11F)で示す。図11G~11Iは、存在する真皮線維芽細胞および豊富な細胞外マトリクスを有する真皮足場を倍率80×(図11G)、倍率695×(図11H)および倍率2700×(図11I)で示す。
【0175】
図12A~12Rは、真皮等価物の操作の時間経過を示す。図12A~12Iは、足場上に真皮線維芽細胞を播種した後2日目に倍率36×(図12A)、倍率695×(図12B)、倍率1470×(図12C)、倍率7750×(図12D)、倍率2320×(図12E)、倍率2420×(図12F)、倍率6560×(図12G)、倍率17000×(図12H)および倍率22000×(図12I)で示す。細胞は、足場の中空構造中に遊走し、細胞外マトリクスを分泌し始めることができる。図12J~12Rは、足場上に真皮線維芽細胞を播種した後7日目に倍率64×(図12J)、倍率100×(図12K)、倍率364×(図12L)、倍率82×(図12M)、倍率253×(図12N)、倍率3940×(図12O)、倍率5550×(図12P)、倍率9440×(図12Q)および倍率21680(図12R)で示す。縦(図12J~12L)および横断面(図12M~12R)は、より密な細胞およびより豊富な細胞外マトリクスを示すことができ、一部の領域は、足場の中空構造がほぼ完全に閉塞している(図12M~12P)。
【実施例0176】
(実施例1 iPSCのケラチノサイトへの分化)
分化を誘導するために、未分化iPSCを、20%O雰囲気環境に移し、1mM ATRA(Sigma-Aldrich)および25ng/ml BMP4(R&D)を補充されたmTESR1または他の多能性幹細胞基本培地で7日間処理する(誘導)。
【0177】
外胚葉運命の早期獲得を示す細胞を選択するために、細胞を回収し、新たに調製した3D HDF ECMまたは他のタイプのECMに、1cm当たり5~10×10細胞の密度で再プレーティングし、ヒト血小板ライセート(lyste)などの血清代用物ならびに1mM ATRAおよび25ng/ml BMP4を補充されたダルベッコ変法イーグル培地/Ham F12(3:1;Life Technologies)またはケラチノサイト培地でさらに7日間成長させる(選択)。
【0178】
推定上の表皮前駆細胞を富化するために、コラーゲンIV型コーティング皿への迅速付着を使用することができ、迅速に付着した細胞を、1mM ATRAを補充された規定ケラチノサイト-SFMまたは他のケラチノサイト培地で7日間培養する(富化)。その後、細胞を、EpiLife培地(Life Technologies)または他のケラチノサイト培地でさらに7日間培養してから(拡大増殖)、最終的に回収して分析する。
【0179】
(実施例2 人工多能性幹細胞のケラチノサイト系統への分化)
GeltrexおよびColによる組織培養皿のコーティング
この手順は、生物学的安全キャビネット内で無菌技術を使用して実施してもよい。Geltrexマトリクスは、マトリゲルと同様に、室温(RT)で迅速に凝固する。各々の新しいバッチのマトリクスを到着時にアリコートにし、この試薬を取り扱う際は、事前に冷却したピペットチップ、ラック、およびチューブを使用する。50、100、および200μLのアリコートを作製し、-80℃で保管する。Geltrexは1:100希釈で使用する。
【0180】
下記のコーティング手順は、60mm組織培養皿用に記載されている場合がある。より大型の皿を使用する場合、それに応じてコーティング溶液の容積を調整する。
1. -80℃の冷凍庫からGeltrexの50μLアリコートを取り出し、生物学的安全キャビネット内で氷上に配置する。
2. 5mLの冷却無菌DMEM/F12を、15mLのコニカルチューブに添加する。
3. 1mLのガラスピペットを使用して、ステップ2で調製した15mLのコニカルチューブから1mLの冷却DMEM/F12を取り、凍結Geltrexに添加する。ピペットで穏やかに吸引排出して、Geltrexを解凍および溶解させる。溶解したGeltrexを、ステップ2で調製した15mLのコニカルチューブ中のDMEM/F12の残りに移す。ピペットして、希釈Geltrexを混合する。
4. 50μLの3mg/mL ColIストック溶液を、ステップ3の希釈Geltrexに添加する。ピペットで取り、希釈GeletrexをColIと混合する。4mLのコーティング溶液を60mm皿に添加する。プレートをタッピングまたは旋回して、表面全体を確実にコーティングする。
5. Geltrex/ColIコーティング溶液を有する皿を、37℃の組織培養インキュベーターで少なくとも1時間インキュベートする。
6. コーティングが完了したら、コーティング溶液を皿に残し、次のサブセクションに記載されているiPSCのプレーティングに進む。あるいは、コーティング溶液を吸引し、2mLの新たなDMEM/F12をコーティング皿に添加して、細胞をプレーティングする前に皿が乾燥するのを防止する。
【0181】
分化させるためのiPSCのプレーティング
約70%コンフルエントに成長させた無フィーダーiPSCの60mm組織培養皿を1つ調製する。顕微鏡で細胞を検査して、混入が存在しないこと、および未分化表現型が維持されていることを確認する。細胞は、ストレスに供されているかまたは死滅しつつある場合に、分化を開始して、より大型の多形細胞を有する「敷石状(cobblestone)」領域を示す。こうした細胞は、ケラチノサイトへの分化に使用するべきではない。
【0182】
iPSCをケラチノサイトへと分化させるため、1:8分割比のiPSC。
1. N2B27培地およびディスパーゼを37℃の水浴で事前に温めておく。
2. 顕微鏡を使用して、コロニーが継代のために準備ができていることを確認する。培地を皿から穏やかに吸引する。2mLの1×PBSを添加し、プレートを旋回させて細胞を洗浄し、PBSを穏やかに吸引する。
3. 1mLのディスパーゼを添加し、プレートを37℃の組織培養インキュベーターに3~5分間にわたって戻した。
4. 細胞をディスパーゼと共にインキュベートしている間、Geltrex/ColIコーティング手順のステップ6のGeltrex/ColIコーティング溶液(またはDMEM/F12)を穏やかに吸引し、4mLの完全N2B27培地を、コーティング皿に添加する。
5. ディスパーゼと共に3~5分間インキュベートした後、細胞が、コロニー周囲の縁端が巻き上がっていることまたは折り返されていることを調べることにより、採集する準備ができていることを確認する。
6. プレートを生物学的安全キャビネットに移し、ディスパーゼを注意深く吸引する。ディスパーゼで処理した後、コロニーは、皿の表面に非常にゆるく付着しており、それほど強い力を使用しなくとも剥離させることができる。
7. 2mLの単純DMEM/F12を穏やかに添加する。培地を吸引し、洗浄を3回繰り返す。
8. 2mLの完全N2B27を皿に添加し、コロニーをプレートから穏やかにこそぎ落とす。皿の細胞を15mLコニカルチューブに移し、6mLの完全N2B27を添加して、細胞懸濁物の総容積を8mLにする。
9. 細胞懸濁物を穏やかに混合して、大きな細胞塊をほぐす。1mLの細胞懸濁物を、本サブセクションのステップ3で調製したコーティング皿に移す。残りの細胞は、所与の実験室で規定されている条件を使用して破棄するか、または再プレーティングする。
10. 新たにプレーティングした細胞をインキュベーターに移し、プレートを穏やかに前後左右に振とうし、細胞を均等に分布させる。37℃の組織培養インキュベーターで細胞を一晩インキュベートする。
【0183】
RAおよびBMP4によるiPSCの分化
iPSC由来ケラチノサイトの分化および継代培養は、生物学的安全キャビネット内で無菌技術を使用して実施する。継代した翌日に新しいプレートを検査して、iPSCの付着が成功したことを確認する。iPSCがコロニーを形成し始めた場合、下記の分化プロトコールに進む。
【0184】
1. 完全DKSFM(抗生物質およびDKSFM補充物を有する)を37℃の水浴で事前に温めておく。
2. 前ステップで事前に温めておいた5mLのDKSFMを15mLコニカルチューブに添加し、1μMの最終作業濃度を達成するように5μLの1mM RAを、および25ng/mLの最終作業濃度を達成するように5μLの25μg/mL BMP4を添加し、よく混合する。
3. プレーティングしたiPSCを有する皿からN2B27培地を吸引し、4mLの1×PBSで1回洗浄し、上記ステップの1μM RAおよび25ng/mL BMP4を含有する4mLのDKSFMを添加する。これは、分化手順の1日目である。
4. 細胞をインキュベーターに移し、48時間インキュベートする。
5. 48時間のインキュベーション後、培地を、1μM RAおよび25ng/mL BMP4を含有する新たなDKSFMと取り換える。細胞をさらに48時間にわたってインキュベーターに移す。
6. 第2ラウンドの48時間誘導後(分化の4日目)、培地を、RAおよびBMP4を含まない完全DKSFMと取り換える。1日おきに培地を換えて、細胞を完全DKSFMで10日間インキュベーター内にてインキュベートする。
7. 分化の14日目に、抗生物質および提供されている補充物を添加することにより完全CnT-07培地を調製し、培地を事前に温めておく。この日までに、成長したiPSCコロニーの大多数の細胞は、上皮様表現型を示し始める。
8. 分化細胞からDKSFMを吸引し、4mLの完全CnT-07と取り換える。1日おきに完全CnT-07を換えて、細胞を、組織培養インキュベーター内でさらに10日間インキュベートする。
【0185】
iPSC由来ケラチノサイトの迅速付着および培養
分化の24日目に、成長したiPSCコロニーから遊走して離れた多数の細胞は、ケラチノサイト様表現型を示し、ケラチノサイト運命への外胚葉の拘束に必要な主要制御因子であるp63、およびKrt14を発現し始める。この日までに、iPSC分化に使用した60mm皿は、完全にコンフルエントであり、継代する必要がある。継代中にiPSC由来ケラチノサイトを富化するために、分化iPSC培養物を、ColI/ColIVコーティングプレートに迅速に付着させる。最大4枚の100mm ColI/ColIVコーティング組織培養皿を使用して、分化iPSCを含有する1枚の60mm皿の迅速付着手順を実施する。1枚の100mm皿のみを使用する場合、迅速付着手順のために、分化iPSC培養物の1/4をプレーティングする。
【0186】
ColIおよびColIVによるプレートのコーティング
この手順は、生物学的安全キャビネット内で無菌技術を使用して実施してもよい。
1.ColIV粉末を、0.25%無菌氷酢酸で2mg/mLの濃度に再構成する。時々旋回させて、数時間2~8℃で溶解させる。アリコートを作製し、それらを-20℃で保管する。
2. バイアルを氷バケツに置き、4℃で数時間保つことにより、ColIVストック溶液(2mg/mL)のアリコートを非常にゆっくりと解凍する。
3. ColIVストック溶液を、7μg/mLの最終作業濃度になるように、適切な容積(各100mm皿当たり5mL)の0.25%無菌氷酢酸に再懸濁する。適切な容積のColIストック溶液を添加して、30μg/mLの最終作業ColI濃度を達成する。5mLの作業溶液を使用することにより、100mm皿を覆うようにプレートをコーティングする。プレートを、生物学的安全キャビネット内で室温にて1時間インキュベートする。
4. コーティングしたプレートから液体を吸引し、皿を、5mLの無菌1×PBSで1回、および5mLのddH2Oで1回すすぐ。
5. 洗浄した皿を、生物学的安全キャビネット内で空気乾燥する。プレートをそのまま使用するか、またはプレートをパラフィルムで密封し、最大6か月間4℃で保管する。以前に保管したColIVコーティングプレートを使用するためには、プレートを生物学的安全キャビネット内で少なくとも1時間室温に温めてから、細胞をプレーティングする。
【0187】
iPSC由来ケラチノサイトの迅速付着
1. 分化の24日目に、完全CnT-07、Accutase、およびColI/ColIVコーティング皿を事前に温める。
2. 細胞を1×PBSで洗浄し、2mLのAccutaseを添加し、組織培養インキュベーターで5分間インキュベートする。細胞が剥離し始めたことを顕微鏡で確認する。
3. 3mLの完全Cnt-07を添加し、ピペットで吸引排出して細胞を取り外し、細胞懸濁物を15mLコニカルチューブに収集する。細胞を260×gで5分間遠心し、上清を吸引する。ペレットを10mLの完全Cnt-07培地に再懸濁し、260×gで5分間の遠心を繰り返し、上清を吸引する。
4. ペレットを4mLの完全CnT-07に再懸濁し、ピペットで吸引排出して細胞塊をほぐして単細胞にする。
5. 9mLの完全CnT-07培地を、各ColI/ColIVコーティング皿に添加し、上記ステップ4の1mLの細胞懸濁物を、各ColI/ColIVコーティング皿に移す。細胞を、コーティング皿に15~30分間室温で付着させる。
6. 浮遊細胞(これらは、未分化iPSCまたは部分的に分化したiPSCである)を有する培地を注意深く吸引する。付着細胞(これらは、iPSC由来Krt14陽性細胞である)は、静置しておく。10mLの新たな完全CnT-07を、付着細胞を有するプレートに添加する。1日おきに培地を換えて、37℃の組織培養インキュベーター内で細胞を拡大増殖させる。細胞は、必要に応じてAccutaseと共に、ColIコーティング皿のCnT-07またはEpiLife(EDGS補充物を有する)で継代する。継代2または継代3の後、および迅速付着ステップの後、培養物は、約90%が、ケラチノサイト様表現型を示すKrt14陽性細胞で構成されているはずである。得られた培養物のケラチノサイト様表現型は、Krt14発現の標準的免疫蛍光(immunflorescence)分析により、および器官型培養で正常な階層化表皮を再構成する能力により、検証することができる。
【0188】
(実施例3 初代ケラチノサイトからの表皮層の調製)
初代ケラチノサイトを、単一の新生児包皮から単離し、ヒトケラチノサイト成長補充物で補充された0.07mMのCa2+154CF培地(Life Technologies)で成長させる。最初の継代ケラチノサイトの懸濁物(2.21×10/cmインサート)を、製造業者のプロトコールに従って、CnT-07培地(CELLnTEC)またはCnT-Prime培地(CELLnTEC)中のCellstart CTS(Life Technologies)(または他のECM基質)をコーティングしたPET、0.4mmインサート(EMD Millipore)に播種する。
【0189】
播種後の3日目(D3)に、培地を、CnT-02-3D(CELLnTEC)またはCnT-3D Barrier(CELLnTEC)に切り替える。4日目に、HEEを、インサートの底部にCnT-02-3DまたはCnT-3D Barrierを供給することにより空気に曝露させる。4日目以降、回収するまで、HEEに、CnT-02-3DまたはCnT-3D Barrierを毎日供給する。HEEを、37℃および5%COの高湿度(100%RH)または乾燥(50%RHの)インキュベーターで成長させる。ダイヤル比重計(Fisher Scientific)を使用して、インキュベーター湿度を測定する。低インキュベーター湿度は、水皿を取り外すことにより維持する。
【0190】
容量オスモル濃度が変化する可能性を制御するため、培地を毎日新しくする。このプロトコールを使用すると、マイクロオスモメーター(Precision Systems)で測定したところ、容量オスモル濃度の著しい変化は検出されない。経上皮電気抵抗(TEER)測定、光学顕微鏡、電子顕微鏡には、12ウェルインサートを使用し、経表皮水分喪失(TEWL)測定および免疫ブロットには、6ウェルインサートを使用する。
【0191】
(実施例4 表皮層の培養)
ケラチノサイトを、CnT-07培地(CELLnTEC)またはCnT-Prime培地(CELLnTEC)中の0.4μm細孔インサートを有するポリエチレンテレフタレート(PET)膜(EMD Millipore;カタログ番号:MCHT12H48)に、2.0~2.5×10細胞/cmの密度で播種する。
【0192】
播種後の3日目(D3)に、培地を、CnT-02-3D(CELLnTEC)またはCnT-3D Barrier(CELLnTEC)に切り替える。4日目に、細胞を、インサートの底部にCnT-02-3DまたはCnT-3D Barrierを供給することにより空気に曝露させる。4日目以降、14日目に回収するまで、表皮層に、CnT-02-3DまたはCnT-3D Barrierを毎日供給する。
【0193】
(実施例5 支持担体の調製)
2%アガロース溶液を調製するために、2gの超高純度低融点(LMP)アガロースを、100mLの超純水/緩衝溶液(1:1、v/v)に溶解する。緩衝溶液は、任意選択で、PBS(ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水1×)またはHBSS(ハンクス平衡塩溶液1×)であってもよい。アガロース溶液を、温水(80℃よりも高温)を含有するビーカーに入れ、アガロースが完全に溶解するまでホットプレート上に保持してもよい。アガロース溶液は、温度が36℃よりも高温である限り、液体のままである。36℃未満では、相転移が生じ、粘性が増加し、アガロースは最終的にゲルを形成する。
【0194】
アガロース支持担体を調製するため、10mLの2%液体アガロース(温度>40℃)を、直径10cmのペトリ皿に入れ、均等に分散させて、均一層を形成してもよい。アガロースは、冷蔵庫で4℃にてゲルを形成させる。
【0195】
(実施例6 線維芽細胞、ケラチノサイト、およびメラノサイトを含む合成皮革の生産)
プロトコールの概要は以下の通りであってもよい:a)線維芽細胞をコラーゲンの溶液に接触させ、その後、十分な期間にわたってインキュベートし、線維芽細胞が分布し、真皮等価物を構成する収縮コラーゲンマトリクスを得る;b)ケラチノサイトおよびメラノサイトの混合物を、a)で得た真皮等価物に播種し、液体培地中で浸漬培養する;c)b)で得た培養物全体(真皮等価物に播種したケラチノサイトおよびメラノサイト)を浸漬し、皮膚等価物を構成する、コラーゲンマトリクスに線維芽細胞を含有する真皮等価物上にメラノサイトを含有する多階層化表皮等価物が得られるまで、気液界面で培養を継続する。
【0196】
ステップa)は、均質な懸濁物中に、特にウシ由来のコラーゲンI型ならびにコラーゲンIおよびIIIの混合物(格子の最終容積に対しておよそ30%)を用いて実施することができる。ラミニン(特に最終容積に対して1%から15%まで)、コラーゲンIV(特に最終容積に対して0.3%から4.5%まで)、および/またはエンタクチン(特に最終容積に対して0.05%から1%まで)などの他の構成成分をそれに添加して、均質な懸濁物を得ることが有利である。線維芽細胞を皮膚から得る。線維芽細胞を好適な培地で培養し、その後、懸濁してから、コラーゲンおよび成長因子の懸濁物と混合する。混合物を、一般的には36℃から37.5℃までの、およそ37℃の温度で、1~6日間、好ましくは4日間または5日間インキュベートする。有利には、混合物を、その付着を可能にしない、特に支持体の縁端への混合物の付着を防止する支持体上でインキュベートする。そのような支持体は、特に、その表面を事前に処理することにより、例えば、その表面をウシアルブミンまたは血清でコーティングすることにより得ることができる。このようにして、栄養培地を放出しつつ、幾つかの方向に自由に収縮し、その中に線維芽細胞が包埋されているコラーゲンゲルを得る。
【0197】
ステップb)の実施には、皮膚、好ましくは成体皮膚に由来するケラチノサイトを使用することができる。RheinwaldおよびGreen(Cell、6巻、331~344頁、1975年)の技法に従って播種する前に、ケラチノサイトを、成長因子が存在する、特に、アミノ酸、血清、コレラ毒素、インスリン、トリヨードサイロニン、およびpH緩衝溶液が存在する当業者に公知の好適な培地中の、3T3線維芽細胞で構成されるフィーダー支持体上で培養することにより増幅させる。特に、そのような培養培地は、特に、ケラチノサイトのための少なくとも1つの細胞分裂促進性成長因子(例えば、表皮成長因子(EGF)および/またはケラチノサイト成長因子(KGF)、特にKGF)、インスリン、ヒドロコルチゾン、および任意選択で抗生物質(例えば、ゲンタマイシン、アムホテリシンB)を含有していてもよい。
【0198】
メラノサイトは、幼若動物皮膚または成体動物皮膚に由来するメラノサイトであってもよい。メラノサイトは、DMEM/F12またはMCDB153などの基本培地からなり、メラノサイト特異的成長因子(例えば、bFGF、SCF、ET-1、ET3、またはαMSHなど)を補充されている、ホルボールエステルが存在しない好適な培地中で、特に、M2培地(Promocell)またはM254(Cascades Biologics(商標))などの他の培地中で培養することにより増幅させる。
【0199】
これら培養物から、メラノサイトの細胞懸濁物およびケラチノサイトの細胞懸濁物を調製し、混合して、混合ケラチノサイト/メラノサイト懸濁物を得る。メラノサイト/ケラチノサイト比は、1:10から2:1までであってもよく、一般的に、およそ1:1である。この混合懸濁物を真皮等価物に堆積させる。真皮等価物は、コラーゲンなどの生物学的材料を介して支持体に付着させることが有利である。メラノサイト/ケラチノサイト懸濁物を、リング内、または境界が定められた表面部分上に懸濁物を維持するための任意の等価な手段内に堆積させる。液体栄養培地を、細胞の混合物を覆うような様式で添加する。この培地は、当業者に公知の成長因子、特にEGFおよび/またはKGFを含有する。培地を定期的に取り換えることになり、一般的には2~10日間の期間にわたって、特に5~8日間の期間にわたって、およびおよそ7日間の期間にわたって、浸漬物として培養を継続する。培地は、浸漬の2日目から、理想的には浸漬の4日目から、KGFを含有する。
【0200】
その後、皮膚を、それ自体は公知の様式で浸漬して、ケラチノサイトの分化および階層化表皮等価物の形成を得る。気液界面で浸漬物として培養することに対応するこのステップc)を、分化構造が得られるまで、一般的にはおよそ7日間継続する。しかしながら、ステップc)は、上記の記載で指定されている有利な特徴を有する皮膚等価物を保存しつつ同時に、より長期間にわたって、例えばおよそ28日間にわたって継続してもよい。栄養培養培地を、定期的に新しくすることになる。その後、皮膚等価物を取り出して、必要な試験を行なう。
【0201】
(実施例7 培養皮膚検体での濾胞形成の誘導)
拡大増殖させたDP細胞を、培養したORS細胞と混合し、洗浄し、20mlの無菌リン酸緩衝生理食塩水(PBS、Sigma)に、好適な細胞密度で注意深く再懸濁する。各実験で使用される培養したDPおよびORS細胞は、異なるドナーから得られたものである。なぜなら、DP細胞およびORS細胞の培養期間が異なり、同じドナーに由来する2つの細胞型を調製することができないためである。細胞懸濁物を、培養確立の1日後に、培養皮膚片の真皮にゆっくりと注入する。
【0202】
(実施例8)
毛包細胞集団の培養
毛包を、後頭部から得る。真皮乳頭(DP)細胞を、Randallら、A comparison of the culture and growth of dermal papilla cells from hair follicles from non-balding and balding (androgenetic alopecia) scalp.、Br J Dermatol、1996年:134巻:437~444頁)に記載されているように、調製および培養する。
【0203】
手短に言えば、毛包のDPを、解剖顕微鏡下で単離し、個々に24ウェル組織培養プレート(Sarstedt)へと移す。15%FCS(Sigma)を補充されたDMEM中で細胞培養を実施する。細胞増殖を開始したら、コンフルエントになるまで細胞を培養し、2回の継代で拡大増殖させた。外毛根鞘(ORS)細胞を単離する場合、隆起領域を含む毛包の中央部分を切除し、穏やかなトリプシン処理にかける。少なくとも10個の毛包細胞を各培養に使用する。得られた細胞を、RPMI-1640培地(Sigma)で2回洗浄し、標準的ケラチノサイト培地(Epilife、Sigma)での細胞培養に供する。培養の1週間後に、細胞を回収する。
【0204】
(実施例9 全層皮膚等価物のなめし)
全層皮膚等価物を、クロムなめしによりなめす。第1のステップは、氷および硫酸処理である。これにより、組織は、クロムを受け入れることができるように開放される。その後、クロムを酸化マグネシウムと共に添加する。
【0205】
このプロセスにより、全層皮膚等価物のpHレベルは約3に低下する。クロムが全層皮膚等価物全体に作用したら、なめし液を導入する。これにより、pHは、約4にまで上昇する。その後、温水浴にかけてから、ロールプレスして過剰な液体を除去する。その後、最終段階では、必要に応じて表面処理を施し、その後全層皮膚等価物を引き延ばしながら乾燥させ、それがなされたら再度プレスする。
【0206】
(実施例10 X-tanなめしプロトコール)
全層皮膚等価物は、X-tan手順を使用してなめしてもよい。なめす前に、全層皮膚等価物を石灰漬けにする。石灰漬けは、皮膚等価物を浸すステップ、基質を添加するステップ、pHを調整するステップ、および洗浄するステップを含む。その後、皮膚等価物を洗浄し、前脱灰緩衝液を添加し、皮膚等価物を脱灰し、洗浄することにより、皮膚等価物を脱灰する。その後、水戻しを行い、なめし基質を添加し、pHをなめし実施pHへと調整し、固定のサイクルおよび固定を実施し、乳化加脂して、なめし皮膚等価物を得ることにより、皮膚等価物をなめす。
【0207】
(実施例11 全層皮膚等価物)
I型コラーゲンマトリクス(0.5×10個のiPSC由来線維芽細胞を含有する)を、ポリエチレンテレフタレート膜(BD Biosciences)に堆積させ、重合させてもよい。重合させたマトリクスを約7日間インキュベーションした後、1×10個のiPSC由来ケラチノサイトおよび0.1×10個のiPSC由来メラノサイトをマトリクスに播種し、さらに7日間インキュベートしてもよい。複合培養物を、気液界面に上昇させ、下から栄養供給して、表皮分化を誘導してもよい。約14日後に、全層皮膚等価物を回収し、LN2で瞬間凍結してもよく、またはメラニン定量化のためにろうに包埋してもよく、そのいずれでもよい。
【0208】
(実施例12 凍結切片の免疫染色)
固定:組織を、3.8%パラホルムアルデヒド/リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、pH7.2~7.6で30分間固定してもよい。試料を、PBSで3回、5分間洗浄してもよい。組織試料を、4℃で回転させながら、一連の無菌スクロース勾配(10%スクロースで一晩、15%スクロースで6~8時間、30%スクロースで一晩、および最終的に、最適切断温度(OCT(optimal cutting temperature))化合物と1:1で混合した30%スクロースで一晩)に浸透させてもよい。試料を、OCTで包埋し、液体窒素蒸気中で凍結してもよい。凍結ブロックは、-80℃で保管することができる。
【0209】
切片の切断:切断する前日に、凍結ブロックを、-20℃に一晩移しておいてもよい。標準的クライオスタットを使用して、切片(10μm)を調製してもよい。切片は、処理するまで-20℃で保ってもよい。
【0210】
処理:対照インキュベーションを含むことができる。一次抗体の代わりに、免疫前血清またはアイソタイプ一致非免疫抗体を使用してもよい。切片を、90%冷却アセトンで10分間、または0.2% triton X-100/PBSで5分間のいずれかに浸して、抗原を曝露させる。試料を、PBSで3回、5分間洗浄してもよい。0.1% triton X-100を有する5%BSAに切片を1時間浸すことにより、非特異的抗体反応性を阻止した。その後、切片を、2つの抗体:i)2.5μg/mlのChromPureロバ全IgG(ブロッキング用;二次抗体はすべてロバで産生されていてもよい);ii)1μg/mlの適切な一次抗体の混合物と共に4℃で一晩インキュベートしてもよい。切片を、PBSで3回、5分間すすいでもよい。切片を、ロバで産生され、赤色または緑色フルオロフォアのいずれかにコンジュゲートされている適切な種特異的二次抗体と共に、室温で30~60分間インキュベートしてもよい。切片を、PBSで3回、5分間洗浄してもよい。その後、切片を、10μg/mlのヘキスト33342と共に室温で10分間インキュベートしてもよい。切片を、PBSで3回、5分間洗浄してもよい。
【0211】
視覚化:試料を、Vectashield媒体(Vector)でマウントしてもよい。適切なフィルターを装備する落射蛍光顕微鏡(Zeiss)で試料を視覚化してもよい。
【0212】
(実施例13 パラフィン包埋切片の免疫染色)
固定:組織を、3.8%パラホルムアルデヒド/リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、pH7.2~7.6で30分間固定してもよい。試料を、PBSで3回、5分間洗浄してもよい。組織試料を、昇順のエタノール系列(50%、70%、2×100%;各20分間)および透徹剤(キシレン、2×20分間)で脱水してもよい。試料を、65℃にて1時間パラフィンろうで2回灌流し、パラフィンブロックに包埋してもよい。パラフィンブロックは、さらなる使用まで室温で保管することができる。
【0213】
切片の切断:組織を、標準的ミクロトームを使用して、5μm厚に切片化した。切片は、処理するまで室温に保つことができる。
【0214】
処理:対照インキュベーションを含むことができる。一次抗体の代わりに、免疫前血清またはアイソタイプ一致非免疫抗体を使用してもよい。切片を、昇順系列のキシレン/エタノール系列、2×キシレン、2×100%エタノール、および1×70%および50%;各10分間で再湿潤化してもよい。その後、切片を、水道水で短時間すすいでもよい。その後、切片を、ヘマトキシリンで5分間染色してもよい。その後、切片を、溶液が清浄になるまでdHOで洗浄してもよい。切片を、0.5%エオシンで10分間染色してもよい。その後、切片を、水道水で短時間すすいでもよい。切片を5%BSAに1時間浸すことにより、非特異的抗体反応性を阻止した。その後、切片を、2つの抗体:i)2.5μg/mlのChromPureロバ全IgG(ブロッキング用;二次抗体はすべてロバで産生されていてもよい);ii)1μg/mlの適切な一次抗体の混合物と共に4℃で一晩インキュベートしてもよい。切片を、PBSで3回、5分間すすいでもよい。切片を、ロバで産生され、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)にコンジュゲートされている適切な種特異的二次抗体と共に、室温で30分間インキュベートしてもよい。切片を、PBSで3回、5分間洗浄してもよい。
【0215】
視覚化:試料を、3,3’-ジアミノベンジジン(DAB)基質キット(VectorLaboratories)を用いて、製造業者のプロトコールに従ってインキュベートしてもよい。DABは、褐色の染色をもたらす。塩化ニッケルが基質溶液に添加されている場合、灰~黒色染色が生じる場合がある。試料を、昇順のエタノール系列(50%、70%、2×100%;各10分間)および透徹剤(キシレン、2×10分間)で脱水してもよい。試料を封入剤でマウントし、デジタルカメラを装備した位相差顕微鏡(Zeiss)で視覚化してもよい。
【0216】
(実施例14 電界放射型走査電子顕微鏡法(FESEM))
固定:試料を、0.1Mカコジル酸ナトリウム緩衝液(pH7.4)中の4%パラホルムアルデヒドおよび2%グルタルアルデヒドで24時間4℃にて固定し、0.1Mカコジル酸ナトリウム緩衝液に入れ、さらなる処理の前に4℃で維持してもよい。
【0217】
処理:試料を、1%OsO4水溶液で1時間、後固定してもよい。昇順のエタノール系列(50%、70%、2×100%;各10分間)で脱水した後、試料を、Tousimis Autosamdri-815B装置を用いて液体COで臨界点乾燥し、両面銅テープで15mmアルミニウムマウントにマウントし、Denton DeskII Sputter Coaterを使用して、40Åの金-パラジウムをスパッタリングでコーティングしてもよい。
【0218】
視覚化:二重重複試料の断面を、内部形態分析用に薄型45/90度SEMマウントにマウントしてもよい。視覚化は、inLens二次電子(SE)検出ならびに混合シグナルInLens/SE2(75/25%)検出を3~5mmの作動距離で使用して、2~3kVで作動させたZeiss Sigma FESEM(Carl Zeiss Microscopy、Thornwood、NY)で実施してもよい。画像は、保存解像度2048×1536およびライン平均ノイズ低減アルゴリズム(line averaging noise reduction algorithm)を使用して、TIFFで撮影してもよい。
【0219】
処理:以前に乾燥した試料(つまり、皮革)をサイズに合わせて切断し、Denton DeskII Sputter Coaterを使用して、40Åの金-パラジウムをスパッタリングでコーティングしてもよい。
【0220】
視覚化:二重重複試料の断面を、内部形態分析用に薄型45/90度SEMマウントにマウントしてもよい。視覚化は、inLens二次電子(SE)検出ならびに混合シグナルInLens/SE2(75/25%)検出を3~5mmの作動距離で使用して、2~3kVで作動させたZeiss Sigma FESEM(Carl Zeiss Microscopy、Thornwood、NY)で実施してもよい。画像は、保存解像度2048×1536およびライン平均ノイズ低減アルゴリズムを使用して、TIFFで撮影してもよい。
【0221】
(実施例15 透過型電子顕微鏡法(TEM))
固定:試料を、0.1Mカコジル酸ナトリウム緩衝液、pH7.4中の0.06%塩化カルシウムを有する2%グルタルアルデヒドおよび2%パラホルムアルデヒドで、30分間4℃にて固定してもよい。その後、試料を、0.1Mカコジル酸ナトリウム緩衝液に入れ、さらなる処理の前に4℃で維持してもよい。
【0222】
処理:その後、試料を洗浄し、0.1Mカコジル酸ナトリウム、pH7.4中の1.5%フェロシアン化カリウムを有する0.2%四酸化ルテニウム(脂質二重層の視覚化用)または1.5%四酸化オスミウムのいずれかに入れて、室温にて45分間暗所に置いてもよい。緩衝液ですすいだ後、試料を、勾配エタノール系列(50%、70%、2×100%;各10分間)で脱水し、その後低粘度エポキシ樹脂に包埋してもよい。
【0223】
視覚化:半薄切片を、1%ホウ砂溶液中の1%アズールIIを有する1%トルイジンブルーで染色し、位相差顕微鏡(Zeiss)で観察してもよい。超薄切片を収集し、水飽和3%酢酸ウラニルで染色してもよく、および/または2.5%クエン酸鉛で、コーティングされていないニッケルグリッドに造影してもよい。超薄切片を、60kVで作動させたZeiss 10A電子顕微鏡で観察してもよい。画像は、TIFFで撮影してもよい。
【0224】
イオン捕獲細胞化学(Ca++勾配):
【0225】
固定:超微細なCa++局在化の場合、試料を、0.04Mスクロースを含有する、2%パラホルムアルデヒド、2%グルタルアルデヒド、0.09Mシュウ酸カリウムで固定してもよい。その後、試料を4℃で一晩固定してもよい
【0226】
処理:試料を、2%ピロアンチモン酸カリウムを含有する1%四酸化オスミウム、pH7.4で、4℃にて2時間暗所で後固定してもよい。その後、組織試料を、アルカリ化された水(pH10)で洗浄し、脱水のためにエタノール溶液(50%、70%、2×100%;各10分間)に移し、低粘度エポキシ樹脂に包埋してもよい。
【0227】
視覚化:超薄切片を収集し、水飽和3%酢酸ウラニルで染色してもよく、および/または2.5%クエン酸鉛で、コーティングされていないニッケルグリッドに造影してもよい。超薄切片を、60kVで作動させたZeiss 10A電子顕微鏡で観察してもよい。画像は、TIFFで撮影してもよい。
【0228】
ランタン灌流:
【0229】
固定:灌流経路は、すべての被験体で、2%グルタルアルデヒド、1%パラホルムアルデヒドを含有する0.05M Tris緩衝液、pH7.4中の4%硝酸ランタンに試料を室温で1時間浸漬することより評価した。
【0230】
処理:試料を洗浄し、0.1Mカコジル酸ナトリウム、pH7.4中の1.5%フェロシアン化カリウムを有する1.5%四酸化オスミウムに入れて、室温にて45分間暗所に置いてもよい。カコジル酸緩衝液ですすいだ後、試料を、勾配エタノール系列(50%、70%、2×100%;各10分間)で脱水し、その後低粘度エポキシ樹脂に包埋してもよい。
【0231】
視覚化:超薄切片を収集し、水飽和3%酢酸ウラニルで染色してもよく、および/または2.5%クエン酸鉛で、コーティングされていないニッケルグリッドに造影してもよい。超薄切片を、60kVで作動させたZeiss 10A電子顕微鏡で観察してもよい。画像は、TIFFで撮影してもよい。
【0232】
一部の実施形態が本明細書に図示および記載されているが、そのような実施形態は、例示のために提供されているに過ぎない。今や、当業者であれば、本明細書で提供されている開示から逸脱せずに、多数の変異、変更、および置換をなすことができることを理解するだろう。本明細書に記載されている実施形態の種々の代替を使用することができることが理解されるべきである。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
合成皮革を製造する方法であって、
a.線維芽細胞を含む人工真皮層を形成するステップ;
b.前記真皮層の少なくとも一部をなめし、それにより、前記合成皮革を形成するステップ
を含み、
前記線維芽細胞が、人工多能性幹細胞から分化したものである、方法。
(項目2)
人工表皮層を形成するステップをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記表皮層が、ケラチノサイトを含む、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記真皮層上に前記表皮層を配置し、それにより、層状構造を形成するステップをさらに含む、項目3に記載の方法。
(項目5)
合成皮革を製造する方法であって、
a.人工真皮層上に人工表皮層を配置し、それにより、層状構造を形成するステップであって、前記表皮層がケラチノサイトを含み、前記真皮層が線維芽細胞を含む、ステップ;および
b.前記層状構造の少なくとも一部をなめし、それにより、前記合成皮革を形成するステップ
を含み、前記線維芽細胞または前記ケラチノサイトが、人工多能性幹細胞から分化したものである、方法。
(項目6)
合成皮革を製造する方法であって、
a.人工真皮層上に人工表皮層を配置し、それにより、層状構造を形成するステップであって、前記表皮層がケラチノサイトを含み、前記真皮層が線維芽細胞を含む、ステップ;b.前記表皮層の少なくとも一部を除去して、除去生成物を形成するステップ;および
c.前記除去生成物の少なくとも一部をなめし、それにより、前記合成皮革を形成するステップ
を含み、前記線維芽細胞または前記ケラチノサイトが、人工多能性幹細胞から分化したものである、方法。
(項目7)
前記ケラチノサイトが、哺乳動物ケラチノサイトである、項目3から6のいずれか一項に記載の方法。
(項目8)
前記哺乳動物が、非ヒト哺乳動物である、項目7に記載の方法。
(項目9)
前記ケラチノサイトが、人工多能性幹細胞から分化したものである、項目3から7のいずれか一項に記載の方法。
(項目10)
前記ケラチノサイトが、KRT14、p63、DSG3、ITGB4、LAMA5、KRT5、TAp63、Lamb3、KRT18またはその組み合わせを発現する、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記層状構造が、メラノサイトをさらに含む、項目4から10のいずれか一項に記載の方法。
(項目12)
前記メラノサイトが、人工多能性幹細胞から分化したものである、項目11に記載の方法。
(項目13)
前記メラノサイトが、Sox-10、MITF-M、gp-100、DCT、TYR、MLANAまたはその組み合わせを発現する、項目12に記載の方法。
(項目14)
前記合成皮革が、色素をさらに含む、項目11から13のいずれか一項に記載の方法。(項目15)
前記メラノサイトが、哺乳動物メラノサイトである、項目11から14のいずれか一項に記載の方法。
(項目16)
前記哺乳動物が、ヒトである、項目7に記載の方法。
(項目17)
前記線維芽細胞が、人工多能性幹細胞から分化したものである、項目5から6のいずれか一項に記載の方法。
(項目18)
前記線維芽細胞が、CD10、CD73、CD44、CD90、I型コラーゲン、III型コラーゲン、プロリル-4-ヒドロキシラーゼベータ、またはその組み合わせを発現する、項目1または17に記載の方法。
(項目19)
前記線維芽細胞が、哺乳動物線維芽細胞である、項目1から18のいずれか一項に記載の方法。
(項目20)
前記哺乳動物が、非ヒト哺乳動物である、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記非ヒト哺乳動物が、霊長類、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、イヌ、ネコ、げっ歯類、またはウサギのうちの1つである、項目8または20に記載の方法。
(項目22)
前記表皮層が、コラーゲンをさらに含む、項目2から6のいずれか一項に記載の方法。
(項目23)
前記表皮層が、さらなる処理に供される、項目22に記載の方法。
(項目24)
前記層状構造が、コラーゲンをさらに含む、項目4から6のいずれか一項に記載の方法。
(項目25)
前記層状構造が、さらなる処理に供される、項目24に記載の方法。
(項目26)
前記除去生成物が、コラーゲンをさらに含む、項目6に記載の方法。
(項目27)
前記除去生成物が、さらなる処理に供される、項目26に記載の方法。
(項目28)
前記真皮層が、コラーゲンをさらに含む、項目1から26のいずれか一項に記載の方法。
(項目29)
前記真皮層が、さらなる処理に供される、項目28に記載の方法。
(項目30)
前記処理が、保存加工、水漬け、ベーチング、ピックリング、脱酸、シンニング、再なめし、潤滑化、クラスティング、湿潤化、水絞り、シェービング、再クロム処理、中和、染色、加脂、充填、ストリッピング、スタッフィング、白化、固着、セッティング、乾燥、コンディショニング、空打ち、ステーキング、バフィング、仕上げ、油入れ、ブラッシング、パディング、含浸、スプレー、ローラーコーティング、カーテンコーティング、艶出し、プレーティング、型押し、アイロン掛け、グレージング、タンブリングおよびその任意の組み合わせからなる群より選択される、項目23、25、27または29に記載の方法。
(項目31)
前記コラーゲンが、コラーゲン産生細胞によって少なくとも部分的に産生される、別に添加される、またはその任意の組み合わせである、項目22、24、26または28に記載の方法。
(項目32)
前記コラーゲン産生細胞が、上皮細胞、ケラチノサイト、線維芽細胞、角質細胞、メラノサイト、ランゲルハンス細胞、基底細胞、またはその組み合わせを含む、項目31に記載の方法。
(項目33)
前記コラーゲン産生細胞が、前記上皮細胞を含み、前記上皮細胞が、扁平上皮細胞、立方細胞、円柱細胞、基底細胞、またはその組み合わせを含む、項目32に記載の方法。
(項目34)
前記コラーゲン産生細胞が、前記ケラチノサイトを含み、前記ケラチノサイトが、上皮ケラチノサイト、基底ケラチノサイト、増殖中の基底ケラチノサイト、分化した基底上ケラチノサイト、またはその組み合わせを含む、項目32に記載の方法。
(項目35)
前記コラーゲン産生細胞が、平滑筋細胞を含む、項目31に記載の方法。
(項目36)
前記合成皮革が、ケラチン、エラスチン、ゼラチン、プロテオグリカン、デルマタン硫酸プロテオグリカン、グリコサミノグリカン、フィブロネクチン、ラミニン、デルマトポンチン、脂質、脂肪酸、糖質、またはその組み合わせのうちの1種または複数種をさらに含む、項目1から35のいずれか一項に記載の方法。
(項目37)
前記真皮層の厚さが、約0.02mmから約5mmに及ぶ、項目1から36のいずれか一項に記載の方法。
(項目38)
前記真皮層の前記厚さが、約0.1mmから約0.5mmに及ぶ、項目37に記載の方法。
(項目39)
前記合成皮革が、第1の真皮層および第2の真皮層をさらに含む、項目1から38のいずれか一項に記載の方法。
(項目40)
前記第1の真皮層が、前記第2の真皮層上に配置される、項目39に記載の方法。
(項目41)
前記表皮層の厚さが、約0.01mmから約2mmに及ぶ、項目2から6のいずれか一項に記載の方法。
(項目42)
前記表皮層の前記厚さが、約0.1mmから約0.2mmに及ぶ、項目41に記載の方法。
(項目43)
前記合成皮革が、第1の表皮層および第2の表皮層をさらに含む、項目41または42に記載の方法。
(項目44)
前記合成皮革が、基底膜代用物をさらに含む、項目41から43のいずれか一項に記載の方法。
(項目45)
前記基底膜代用物が、前記表皮層と前記真皮層との間にある、項目44に記載の方法。
(項目46)
前記基底膜代用物が、乾燥無細胞羊膜を含む、項目45に記載の方法。
(項目47)
前記真皮層が、足場上に形成される、項目1から46のいずれか一項に記載の方法。
(項目48)
前記足場が、天然または合成である、項目47に記載の方法。
(項目49)
前記足場が、絹を含む、項目47に記載の方法。
(項目50)
前記足場が、天然組織接着剤を含む、項目49に記載の方法。
(項目51)
前記天然組織接着剤が、フィブリン糊を含む、項目50に記載の方法。
(項目52)
前記足場が、前記合成皮革中に部分的に含まれる、項目47から51のいずれか一項に記載の方法。
(項目53)
前記真皮層または前記表皮層が、in vitroで培養される、項目1から51のいずれか一項に記載の方法。
(項目54)
前記真皮層が、in vitroで培養される、項目53に記載の方法。
(項目55)
前記真皮層が、補充物と共に培養される、項目54に記載の方法。
(項目56)
前記補充物が、コラーゲン、フィブリン、増殖因子、アスコルビン酸、硫酸デキストラン、またはカラゲナンのうちの1種または複数種を含む、項目55に記載の方法。
(項目57)
前記補充物が、天然補充物である、項目55または56に記載の方法。
(項目58)
前記補充物が、合成補充物である、項目55または56に記載の方法。
(項目59)
前記人工多能性幹細胞が、成体体細胞におけるOct3、Oct4、Sox2、Klf4、c-Mycまたはその組み合わせの誘導遺伝子発現を通じて産生される、項目1から58のいずれか一項に記載の方法。
(項目60)
皮革製品の少なくとも一部を製造する方法であって、
項目1から59のいずれか一項に記載の方法によって生産された合成皮革から前記皮革製品の前記少なくとも一部を形成するステップを含む、方法。
(項目61)
前記皮革製品が、腕時計のバンド、ベルト、パッケージング、靴、ブーツ、履物、手袋、衣類、かばん、袋物、クラッチ、財布、バックパック、札入れ、サドル、ハーネスまたは鞭のうちの1つまたは複数を含む、項目60に記載の方法。
(項目62)
前記皮革製品が、腕時計のバンドである、項目61に記載の方法。
(項目63)
前記皮革製品が、ベルトである、項目61に記載の方法。
(項目64)
前記皮革製品が、袋物である、項目61に記載の方法。
(項目65)
項目1から59のいずれか一項に記載の方法によって生産された、合成なめし皮革。
(項目66)
なめす前に、
線維芽細胞を含む人工真皮層
を含む合成なめし皮革であって、前記線維芽細胞が、人工多能性幹細胞から分化したものである、合成なめし皮革。
(項目67)
なめす前に、人工表皮層をさらに含む、項目66に記載の合成なめし皮革。
(項目68)
前記表皮層が、ケラチノサイトをさらに含む、項目67に記載の合成なめし皮革。
(項目69)
前記表皮層が、前記真皮層上にあり、それにより、層状構造を形成している、項目67または68に記載の合成なめし皮革。
(項目70)
なめす前に、
線維芽細胞を含む人工真皮層、および
ケラチノサイトを含む人工表皮層
を含む層状構造を含む合成なめし皮革であって、
前記線維芽細胞または前記ケラチノサイトが、人工多能性幹細胞から分化したものである、合成なめし皮革。
(項目71)
なめす前に、
層状構造を含む除去生成物
を含む合成なめし皮革であって、前記層状構造が、
線維芽細胞を含む人工真皮層、および
ケラチノサイトを含む人工表皮層
を含み、前記表皮層の一部が除去され、前記線維芽細胞または前記ケラチノサイトが、人工多能性幹細胞から分化したものである、合成なめし皮革。
(項目72)
前記ケラチノサイトが、哺乳動物ケラチノサイトである、項目68から71のいずれか一項に記載の合成なめし皮革。
(項目73)
前記哺乳動物が、非ヒト哺乳動物である、項目72に記載の合成なめし皮革。
(項目74)
前記ケラチノサイトが、人工多能性幹細胞から分化したものである、項目68から73のいずれか一項に記載の合成なめし皮革。
(項目75)
前記ケラチノサイトが、KRT14、p63、DSG3、ITGB4、LAMA5、KRT5、TAp63、Lamb3、KRT18またはその組み合わせを発現する、項目74に記載の合成なめし皮革。
(項目76)
前記層状構造が、メラノサイトをさらに含む、項目69から75のいずれか一項に記載の合成なめし皮革。
(項目77)
前記メラノサイトが、人工多能性幹細胞から分化したものである、項目76に記載の合成なめし皮革。
(項目78)
前記メラノサイトが、Sox-10、MITF-M、gp-100、DCT、TYR、MLANAまたはその組み合わせを発現する、項目77に記載の合成なめし皮革。
(項目79)
色素をさらに含む、項目77または78に記載の合成なめし皮革。
(項目80)
前記メラノサイトが、哺乳動物メラノサイトである、項目76から79のいずれか一項に記載の合成なめし皮革。
(項目81)
前記哺乳動物が、非ヒト哺乳動物である、項目80に記載の合成なめし皮革。
(項目82)
前記線維芽細胞が、人工多能性幹細胞から分化したものである、項目70または71に記載の合成なめし皮革。
(項目83)
前記線維芽細胞が、CD10、CD73、CD44、CD90、I型コラーゲン、III型コラーゲン、プロリル-4-ヒドロキシラーゼベータ、またはその組み合わせを発現する、項目66または82に記載の合成なめし皮革。
(項目84)
前記線維芽細胞が、哺乳動物線維芽細胞である、項目66から82のいずれか一項に記載の合成なめし皮革。
(項目85)
前記哺乳動物が、非ヒト哺乳動物である、項目84に記載の合成なめし皮革。
(項目86)
前記非ヒト哺乳動物が、霊長類、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、イヌ、ネコ、げっ歯類、またはウサギのうちの1つである、項目73、81または85に記載の合成なめし皮革。
(項目87)
前記表皮層が、コラーゲンをさらに含む、項目67から71のいずれか一項に記載の合成なめし皮革。
(項目88)
前記層状構造が、コラーゲンをさらに含む、項目69から71のいずれか一項に記載の合成なめし皮革。
(項目89)
前記除去生成物が、コラーゲンをさらに含む、項目71に記載の合成なめし皮革。
(項目90)
前記真皮層が、コラーゲンをさらに含む、項目66から89のいずれか一項に記載の合成なめし皮革。
(項目91)
前記コラーゲンが、コラーゲン産生細胞によって少なくとも部分的に産生される、別に添加される、またはその任意の組み合わせである、項目87から90のいずれか一項に記載の合成なめし皮革。
(項目92)
前記コラーゲン産生細胞が、上皮細胞、ケラチノサイト、線維芽細胞、角質細胞、メラノサイト、ランゲルハンス細胞、基底細胞、またはその組み合わせを含む、項目91に記載の合成なめし皮革。
(項目93)
前記コラーゲン産生細胞が、前記上皮細胞を含み、前記上皮細胞が、扁平上皮細胞、立方細胞、円柱細胞、基底細胞、またはその組み合わせを含む、項目92に記載の合成なめし皮革。
(項目94)
前記コラーゲン産生細胞が、前記ケラチノサイトを含み、前記ケラチノサイトが、上皮ケラチノサイト、基底ケラチノサイト、増殖中の基底ケラチノサイト、分化した基底上ケラチノサイト、またはその組み合わせを含む、項目92に記載の合成なめし皮革。
(項目95)
前記コラーゲン産生細胞が、平滑筋細胞を含む、項目92に記載の合成なめし皮革。
(項目96)
ケラチン、エラスチン、ゼラチン、プロテオグリカン、デルマタン硫酸プロテオグリカン、グリコサミノグリカン、フィブロネクチン、ラミニン、デルマトポンチン、脂質、脂肪酸、糖質、またはその組み合わせのうちの1種または複数種をさらに含む、項目66から95のいずれか一項に記載の合成なめし皮革。
(項目97)
前記真皮層の厚さが、約0.02mmから約5mmに及ぶ、項目66から96のいずれか一項に記載の合成なめし皮革。
(項目98)
前記真皮層の前記厚さが、約0.1mmから約0.5mmに及ぶ、項目97に記載の合成なめし皮革。
(項目99)
前記合成皮革が、第1の真皮層および第2の真皮層をさらに含む、項目66から98のいずれか一項に記載の合成なめし皮革。
(項目100)
前記第1の真皮層が、前記第2の真皮層上にある、項目99に記載の合成なめし皮革。
(項目101)
前記表皮層の厚さが、約0.01mmから約2mmに及ぶ、項目67から71のいずれか一項に記載の合成なめし皮革。
(項目102)
前記表皮層の前記厚さが、約0.1mmから約0.2mmに及ぶ、項目101に記載の合成なめし皮革。
(項目103)
前記合成皮革が、第1の表皮層および第2の表皮層をさらに含む、項目101または102に記載の合成なめし皮革。
(項目104)
基底膜代用物を含む、項目101から103のいずれか一項に記載の合成なめし皮革。
(項目105)
前記基底膜代用物が、前記表皮層と前記真皮層との間にある、項目104に記載の合成なめし皮革。
(項目106)
前記基底膜代用物が、乾燥無細胞羊膜を含む、項目105に記載の合成なめし皮革。
(項目107)
前記真皮層が、足場上に形成される、項目66から106のいずれか一項に記載の合成なめし皮革。
(項目108)
前記足場が、天然または合成である、項目107に記載の合成なめし皮革。
(項目109)
前記足場が、絹を含む、項目107に記載の合成なめし皮革。
(項目110)
前記足場が、天然組織接着剤を含む、項目109に記載の合成なめし皮革。
(項目111)
前記天然組織接着剤が、フィブリン糊を含む、項目110に記載の合成なめし皮革。
(項目112)
前記足場が、前記合成なめし皮革中に部分的に含まれる、項目107から111のいずれか一項に記載の合成なめし皮革。
(項目113)
前記真皮層または前記表皮層が、in vitroで培養される、項目66から112のいずれか一項に記載の合成なめし皮革。
(項目114)
前記真皮層が、in vitroで培養される、項目113に記載の合成なめし皮革。
(項目115)
腕時計のバンド、ベルト、パッケージング、靴、ブーツ、履物、手袋、衣類、かばん、袋物、クラッチ、財布、バックパック、札入れ、サドル、ハーネスまたは鞭のうちの1つまたは複数に含まれる、項目66から114のいずれか一項に記載の合成なめし皮革。
(項目116)
腕時計のバンドに含まれる、項目115に記載の合成なめし皮革。
(項目117)
ベルトに含まれる、項目115に記載の合成なめし皮革。
(項目118)
袋物に含まれる、項目115に記載の合成なめし皮革。
(項目119)
毛包細胞およびメラノサイト
を含む人工表皮層であって、前記メラノサイトが、人工多能性幹細胞から分化したものである、表皮層。
(項目120)
前記毛包細胞が、真皮乳頭細胞、外毛根鞘細胞またはその組み合わせを含む、項目119に記載の表皮層。
(項目121)
前記メラノサイトが、哺乳動物メラノサイトである、項目119または120に記載の表皮層。
(項目122)
ケラチノサイトをさらに含む、項目119から121に記載の表皮層。
(項目123)
前記ケラチノサイトが、人工多能性幹細胞から分化したものである、項目122に記載の表皮層。
(項目124)
前記ケラチノサイトが、KRT14、p63、DSG3、ITGB4、LAMA5、KRT5、TAp63、Lamb3、KRT18またはその組み合わせを発現する、項目123に記載の表皮層。
(項目125)
前記ケラチノサイトが、哺乳動物ケラチノサイトである、項目122、123、または124に記載の表皮層。
(項目126)
前記哺乳動物が、非ヒト哺乳動物である、項目121または125に記載の表皮層。
(項目127)
前記非ヒト哺乳動物が、霊長類、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、イヌ、ネコ、げっ歯類、またはウサギのうちの1つである、項目126に記載の表皮層。
(項目128)
前記メラノサイトが、Sox-10、MITF-M、gp-100、DCT、TYR、MLANAまたはその組み合わせを発現する、項目119から127のいずれか一項に記載の表皮層。
(項目129)
毛包をさらに含む、項目119から127のいずれか一項に記載の表皮層。
(項目130)
a.毛包細胞を含む人工表皮層;および
b.線維芽細胞を含む人工真皮層
を含む層状構造であって、前記線維芽細胞が、人工多能性幹細胞から分化したものである、層状構造。
(項目131)
前記線維芽細胞が、CD10、CD73、CD44、CD90、I型コラーゲン、III型コラーゲン、プロリル-4-ヒドロキシラーゼベータ、またはその組み合わせを発現する、項目130に記載の層状構造。
(項目132)
前記表皮層が、ケラチノサイトをさらに含む、項目130に記載の層状構造。
(項目133)
前記ケラチノサイトが、人工多能性幹細胞から分化したものである、項目132に記載の層状構造。
(項目134)
前記ケラチノサイトが、KRT14、p63、DSG3、ITGB4、LAMA5、KRT5、TAp63、Lamb3、KRT18またはその組み合わせを発現する、項目133に記載の層状構造。
(項目135)
前記毛包細胞が、真皮乳頭細胞、外毛根鞘細胞またはその組み合わせである、項目132に記載の層状構造。
(項目136)
前記表皮層が、メラノサイトをさらに含む、項目130に記載の層状構造。
(項目137)
前記メラノサイトが、人工多能性幹細胞から分化したものである、項目136に記載の層状構造。
(項目138)
前記メラノサイトが、Sox-10、MITF-M、gp-100、DCT、TYR、MLANAまたはその組み合わせを発現する、項目137に記載の層状構造。
(項目139)
色素沈着している、項目136、137または138に記載の層状構造。
(項目140)
前記表皮層が、階層化されている、項目137に記載の層状構造。
(項目141)
基底膜代用物をさらに含む、項目130から140のいずれか一項に記載の層状構造。
(項目142)
前記基底膜代用物が、前記表皮層と前記真皮層との間にある、項目141に記載の層状構造。
(項目143)
前記基底膜代用物が、乾燥無細胞羊膜を含む、項目142に記載の層状構造。
(項目144)
足場をさらに含む、項目130に記載の層状構造。
(項目145)
前記足場が、天然または合成である、項目144に記載の層状構造。
(項目146)
前記足場が、絹を含む、項目144に記載の層状構造。
(項目147)
前記真皮層が、前記足場上にある、項目144に記載の層状構造。
(項目148)
ケラチン、エラスチン、ゼラチン、プロテオグリカン、デルマタン硫酸プロテオグリカン、グリコサミノグリカン、フィブロネクチン、ラミニン、デルマトポンチン、脂質、脂肪酸、糖質、またはその組み合わせからなる群より選択される1つまたは複数の構成要素をさらに含む、項目130から147のいずれか一項に記載の層状構造。
(項目149)
2つまたはそれよりも多い真皮層をさらに含む、項目130から148のいずれか一項に記載の層状構造。
(項目150)
毛包をさらに含む、項目130から149のいずれか一項に記載の層状構造。
(項目151)
柔皮をさらに含む、項目130から149のいずれか一項に記載の層状構造。
(項目152)
層状構造を製造する方法であって、
人工多能性幹細胞から分化した細胞を含む人工真皮層上に、毛包細胞を含む人工表皮層を配置し、それにより、前記層状構造を形成するステップ
を含む、方法。
(項目153)
人工多能性幹細胞から分化した前記細胞が、線維芽細胞、メラノサイト、ケラチノサイトまたはその組み合わせである、項目152に記載の方法。
(項目154)
人工多能性幹細胞から分化した前記細胞が、線維芽細胞である、項目153に記載の方法。
(項目155)
前記線維芽細胞が、CD10、CD73、CD44、CD90、I型コラーゲン、III型コラーゲン、プロリル-4-ヒドロキシラーゼベータ、またはその組み合わせを発現する、項目154に記載の方法。
(項目156)
前記表皮層が、ケラチノサイトをさらに含む、項目152から154のいずれか一項に記載の方法。
(項目157)
前記ケラチノサイトが、人工多能性幹細胞から分化したものである、項目156に記載の方法。
(項目158)
前記ケラチノサイトが、KRT14、p63、DSG3、ITGB4、LAMA5、KRT5、TAp63、Lamb3、KRT18またはその組み合わせを発現する、項目157に記載の方法。
(項目159)
前記毛包細胞が、真皮乳頭細胞、外毛根鞘細胞またはその組み合わせを含む、項目152から158のいずれか一項に記載の方法。
(項目160)
前記表皮層が、メラノサイトをさらに含む、項目152から159のいずれか一項に記載の方法。
(項目161)
前記メラノサイトが、人工多能性幹細胞から分化したものである、項目160に記載の方法。
(項目162)
前記メラノサイトが、Sox-10、MITF-M、gp-100、DCT、TYR、MLANAまたはその組み合わせを発現する、項目161に記載の方法。
(項目163)
前記真皮層が、補充物と共に培養される、項目152から163のいずれか一項に記載の方法。
(項目164)
前記補充物が、コラーゲン、フィブリン、増殖因子、アスコルビン酸、硫酸デキストラン、カラゲナンまたはその組み合わせを含む、項目163に記載の方法。
(項目165)
前記補充物が、天然補充物である、項目163に記載の方法。
(項目166)
1つまたは複数の前記補充物が、合成補充物である、項目163に記載の方法。
(項目167)
前記真皮層が、足場上で培養される、項目152から166のいずれか一項に記載の方法。
(項目168)
前記足場が、天然または合成である、項目167に記載の方法。
(項目169)
前記足場が、絹を含む、項目167に記載の方法。
(項目170)
前記真皮層が、足場上に配置される、項目152から166のいずれか一項に記載の方法。
(項目171)
前記足場が、天然または合成である、項目170に記載の方法。
(項目172)
前記足場が、絹を含む、項目170に記載の方法。
(項目173)
前記表皮層が、階層化されている、項目152から172のいずれか一項に記載の方法。
(項目174)
第2の真皮層上で前記真皮層を培養するステップをさらに含む、項目152に記載の方法。
(項目175)
前記真皮層が、in vivoで培養される、項目152から174のいずれか一項に記載の方法。
(項目176)
前記真皮層が、コラーゲンマトリクス上で培養されない、項目175に記載の方法。
(項目177)
前記真皮層の厚さが、約0.02mmから約5mmに及ぶ、項目152から176のいずれか一項に記載の方法。
(項目178)
前記真皮層の前記厚さが、約0.1mmから約0.5mmに及ぶ、項目177に記載の方法。
(項目179)
前記表皮層の厚さが、約0.01mmから約2mmに及ぶ、項目152から178のいずれか一項に記載の方法。
(項目180)
前記表皮層の前記厚さが、約0.1mmから約0.2mmに及ぶ、項目179に記載の方法。
(項目181)
毛包細胞およびケラチノサイトまたはメラノサイトを含む人工表皮層;
線維芽細胞を含む人工真皮層
を含む層状構造であって、前記線維芽細胞、前記ケラチノサイトまたは前記メラノサイトが、人工多能性幹細胞から分化したものであり、前記メラノサイトが、Sox-10、MITF-M、gp-100、DCT、TYR、MLANAまたはその組み合わせを発現し、前記線維芽細胞が、CD10、CD73、CD44、CD90、I型コラーゲン、III型コラーゲン、プロリル-4-ヒドロキシラーゼベータ、またはその組み合わせを発現し、前記ケラチノサイトが、KRT14、p63、DSG3、ITGB4、LAMA5、KRT5、TAp63、Lamb3、KRT18またはその組み合わせを発現する、層状構造。
(項目182)
前記真皮層の厚さが、約0.02mmから約5mmに及ぶ、項目181に記載の層状構造。
(項目183)
前記真皮層の前記厚さが、約0.1mmから約0.5mmに及ぶ、項目182に記載の層状構造。
(項目184)
前記表皮層の厚さが、約0.01mmから約2mmに及ぶ、項目181から183のいずれか一項に記載の層状構造。
(項目185)
前記表皮層の前記厚さが、約0.1mmから約0.2mmに及ぶ、項目184に記載の層状構造。
(項目186)
a.角質層;
b.顆粒層;
c.有棘層;および
d.基底層
を含む人工表皮層であって、前記角質層、前記顆粒層、前記有棘層、および前記基底層が、図6A図8Aに示されるように組織化されている、人工表皮層。
(項目187)
前記角質層の厚さが、約0.01mmから約0.05mmに及ぶ、項目186に記載の人工表皮層。
(項目188)
前記顆粒層の厚さが、約0.01mmから約0.15mmに及ぶ、項目186から187のいずれか一項に記載の人工表皮層。
(項目189)
前記有棘層の厚さが、約0.01mmから約0.15mmに及ぶ、項目186から188のいずれか一項に記載の人工表皮層。
(項目190)
前記基底層の厚さが、約0.01mmから約0.15mmに及ぶ、項目186から189のいずれか一項に記載の人工表皮層。
(項目191)
a.角質層;
b.顆粒層;
c.有棘層;および
d.基底層
を含む人工表皮層。
(項目192)
前記角質層の厚さが、前記人工表皮層の約4%から約20%に及ぶ、項目191に記載の人工表皮層。
(項目193)
前記顆粒層の厚さが、前記人工表皮層の約4%から約60%に及ぶ、項目191から192のいずれか一項に記載の人工表皮層。
(項目194)
前記有棘層の厚さが、前記人工表皮層の約4%から約40%に及ぶ、項目191から193のいずれか一項に記載の人工表皮層。
(項目195)
前記基底層の厚さが、前記人工表皮層の約4%から約40%に及ぶ、項目191から194のいずれか一項に記載の人工表皮層。
(項目196)
前記人工表皮層中に含まれる細胞の少なくとも約2%が、人工多能性幹細胞から分化したものである、項目186から195のいずれか一項に記載の人工表皮層。
(項目197)
前記人工表皮層中に含まれる細胞の少なくとも約10%が、人工多能性幹細胞から分化したものである、項目186から196のいずれか一項に記載の人工表皮層。
(項目198)
前記人工表皮層中に含まれる細胞の少なくとも約50%が、人工多能性幹細胞から分化したものである、項目186から196のいずれか一項に記載の人工表皮層。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12-1】
図12-2】
【外国語明細書】