(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023082145
(43)【公開日】2023-06-13
(54)【発明の名称】尿路内の圧力の測定のためのデバイス、システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61M 25/10 20130101AFI20230606BHJP
A61B 18/14 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
A61M25/10 520
A61B18/14
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059925
(22)【出願日】2023-04-03
(62)【分割の表示】P 2021138789の分割
【原出願日】2016-05-12
(31)【優先権主張番号】62/160,201
(32)【優先日】2015-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511227440
【氏名又は名称】インキューブ ラブズ, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ミール イムラン
(72)【発明者】
【氏名】ベン トランチーナ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】尿路内の圧力の測定のためのデバイス等を提供する。
【解決手段】患者の尿路内の圧力を測定するためのカテーテル10。複数の管腔が、カテーテル本体20内に形成され、アダプタ30が、カテーテル本体の近位端に結合される。アダプタは、管腔毎にポート41,42,43を含む。典型的にはバルーンを含む、第1の圧力センサ50が、第1の管腔に流体的に結合され、患者の尿道内の圧力を測定するように構成され、位置付けられる。また、典型的にはバルーンを含む、第2の圧力センサ60が、第2の管腔に流体的に結合され、患者の膀胱内の圧力を測定するように構成され、カテーテル本体上に位置付けられる。第3の管腔に結合され得る、拡張可能保定部材70が、カテーテル本体が選択された場所に保定され得るように、第1および第2の拡張可能圧力センサ間においてカテーテル本体上に位置付けられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2015年5月12日に出願された米国仮出願番号第62/160,201号(代理人書類番号第42197-735号)に基づく優先権の利益を主張しており、その全体の内容は、すべての目的のために参考として本明細書中に援用される。
【0002】
(発明の背景)
1.発明の分野。本明細書に説明される実施形態は、尿路内の圧力の測定のためのデバイス、システム、および方法に関する。より具体的には、本明細書に説明される実施形態は、膀胱および尿道等のUT内の1つまたはそれを上回る場所における圧力の測定のために尿路(UT)内に位置付け可能なカテーテル等のデバイスに関する。さらにより具体的には、本明細書に説明される実施形態は、過活動膀胱の処置のための尿路内の神経変調デバイスの留置を促進するために、膀胱および尿道内の圧力の測定のための尿路内に位置付け可能なカテーテルに関する。
【背景技術】
【0003】
尿失禁は、生活の質に重大な影響を及ぼし得るが、多くの場合、過小報告される、一般的かつ悩ましい問題であり得る。多くの場合では、尿失禁は、原因となる処置可能な病状からもたらされる。尿失禁は、男性および女性の両方において、異なる深刻度を伴って、かつ異なる原因から生じる。男性では、本疾患は、尿道括約筋に機械的損傷をもたらす前立腺切除術の結果として最も頻繁に起こる。女性では、尿失禁は、典型的には、妊娠後、筋骨格損傷が尿生殖路を支持する構造の非弾性伸張の結果として起こると発症する。具体的には、妊娠は、骨盤底、外括約筋、ならびに膀胱および膀胱頸部領域を支持する組織構造の非弾性伸張をもたらし得る。これらの場合のそれぞれでは、尿漏れは、典型的には、患者の腹圧が応力、例えば、咳、くしゃみ、笑い、運動、または同等物の結果として増加すると起こる。
【0004】
尿失禁の処置は、種々の形態をとり得るが、それぞれ、欠点を有する。最も単純には、患者は、吸収性デバイスまたは衣類を装着することができるが、これは、多くの場合、わずかな漏れ事象に対しては十分である。代替として、または加えて、患者は、骨盤領域の筋肉を強化することが意図される運動を行い得るか、または尿漏れの発生を低減させることが意図される行動修正を試行し得る。
【0005】
そのような非介入アプローチが不適正または許容不可能である場合では、患者は、問題を補正するために外科手術を受け得る。多種多様な手技が、女性における尿失禁を補正するために開発されている。これらの手技のいくつかは、具体的には、膀胱頸部領域を支持することが意図される。例えば、縫合糸、ストラップ、または他の人工構造が、多くの場合、膀胱頸部の周囲でループ化され、骨盤、骨盤内筋膜、膀胱を支持する靭帯、または同等物に添着される。他の手技は、充填剤、膨張可能バルーン、または膀胱頸部を機械的に支持するための他の要素の外科手術的注入を伴う。
【0006】
別のアプローチでは、刺激用リード電極が、膀胱に向かう神経信号を変調し、過活動膀胱からの症状を減少させるように位置付けられる。しかしながら、現在のデバイスは、外科医に、処置の有効性を評価するために十分な膀胱および/または尿道括約筋圧力のリアルタイム測定を提供しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
故に、尿路内の圧力の測定のための改良されたデバイスおよび方法の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の簡単な要旨)
本明細書に説明される本発明の種々の実施形態は、尿路(UT)内の種々の場所における圧力を測定するためのデバイス(例えば、カテーテル)、システム、および方法を提供する。多くの実施形態は、例えば、膀胱を含む尿路内の種々の場所における圧力を測定するためのデバイス、システム、および方法を提供する。さらにより具体的には、実施形態は、尿失禁処置の有効性が評価され得るように、尿路内の種々の場所における圧力を測定するためのデバイス、システム、および方法を提供する。特定の実施形態は、過活動膀胱および他の関連する疾患からの尿失禁の処置のための神経変調刺激電極の留置を促進するために、膀胱および尿道内の同時ならびに/または逐次的圧力(または関連する)測定のための尿路内に位置付け可能なカテーテルを提供する。さらに、実施形態は、過活動膀胱を引き起こす神経インパルスを神経変調するための刺激リード電極の留置の有効性を評価するために、膀胱および尿道括約筋を含む尿路内の圧力のリアルタイム測定のための方法を提供する。したがって、本発明の実施形態は、尿路に対する所望の効果を生成するために、刺激電極の留置を評価するためのリアルタイムの定量的かつ/または定質的データを提供することによって、尿失禁および関連する疾患の処置のための種々の神経変調ならびに他の手技の有効性を改良するために特に有用である。
【0009】
一実施形態は、近位端および遠位端ならびに少なくとも第1、第2、および第3の管腔を含む複数の管腔を有する、カテーテル本体と、カテーテル本体の近位端に結合される、アダプタであって、複数の管腔に流体的に結合するための少なくとも第1、第2、および第3のポートを含む、複数のポートを含む、アダプタと、第1の管腔に流体的に結合される、第1の圧力センサであって、患者の尿道内に位置付けられ、その中の圧力を測定するように構成され、カテーテル本体上に位置付けられる、第1の圧力センサと、第2の管腔に流体的に結合される、第2の圧力センサであって、患者の膀胱内に位置付けられ、その中の圧力を測定するように構成され、カテーテル本体上に位置付けられる、第2の圧力センサと、第3の管腔に流体的に結合され、第1および第2の拡張可能圧力センサ間においてカテーテル本体上に位置付けられる、拡張可能保定部材であって、拡張状態にあるとき、カテーテルの少なくとも一部に付与される生理学的力に応答して、カテーテル本体を尿路内の選択された場所に保定するように構成される、拡張可能保定部材とを備える、患者の尿路内の圧力を測定するためのカテーテルを提供する。
【0010】
保定部材は、典型的には、膀胱からの流体静水圧ならびに膀胱の収縮および/または尿道括約筋の収縮からもたらされる力を含む、1つまたはそれを上回る生理学的力を受けると、第3の管腔を通して拡張され、カテーテル本体を尿路内の選択された場所に保定する(第1のセンサを尿道内に保定し、第2のセンサを膀胱内に保定することを含む)ように構成される、拡張可能バルーン等の拡張可能部材を備え得る。
【0011】
圧力センサは、種々のソリッドステートおよび/または「MEMS」ベースのセンサを含む、当分野で公知の種々の圧力センサに対応し得る。「MEMS」は、典型的には、微細加工小型化機械的および電気機械的要素(すなわち、デバイスおよび構造)を備える、微小電子機械システムのクラスを指す。また、好ましい実施形態では、第1または第2の圧力センサは、第1もしくは第2の管腔を用いて膨張され得る拡張可能バルーン等の拡張可能部材を備える、または別様にその上に位置付けられる。そのような実施形態では、拡張可能バルーンは、第1または第2の管腔を用いて、ポート(例えば、第1または第2のポート)のうちの1つまたはそれを上回るものを用いてカテーテルに結合される、圧力計等の外部圧力センサに結合され得る。拡張可能圧力センサは、非拡張状態においてその選択された場所に前進され、次いで、いったんカテーテル本体が尿路内の選択された場所に来ると、その拡張状態に展開される。拡張可能部材/センサはまた、尿道および膀胱内のその個々の場所におけるセンサの保定を促進する。
【0012】
カテーテル本体は、例えば、PEBAX、ポリエチレン、HDPE(高密度ポリエチレン)、PET(ポリエチレンテレフタラート)、ポリウレタン、および同等物のうちの1つまたはそれを上回るものを含む、当分野で公知の種々の医療ポリマーから加工され得る。好ましい実施形態では、カテーテル管腔は、1つの管腔内の圧力の変化が有意な圧力変化を引き起こさないように(例えば、<5%、好ましくは、<2%)、十分な剛性またはフープ応力を有する。そのような剛性またはフープ強度は、カテーテル材料、補強編組(管腔の内部または外部のいずれか)、または内部補強部材(例えば、内部ポリイミド管またはLDPEおよびHDPEの両方の種々の照射ポリエチレン等の当分野で公知の種々の照射ポリマー材料を含み得る、カテーテル技術で公知の他の剛性ポリマー材料)のうちの1つまたはそれを上回るものの使用によって達成されることができる。
【0013】
また、種々の実施形態では、カテーテルは、男性または女性のいずれかの尿路内の留置のために構成されることができる。そのような構成は、長さ、直径剛性、個々のセンサの長さおよび位置のうちの1つまたはそれを上回るものを含み得る。男性解剖学的構造のための一実施形態によると、第1のセンサ(尿道圧力センサ)は、約2cmの長さを有する。女性解剖学的構造のための別の実施形態によると、第1のセンサ(尿道圧力センサ)は、約1.5cmの長さを有する。本明細書に使用されるように、用語「約」は、パラメータ、測定値、寸法、特性、物理的性質、および同等物に関して記載された値の±10%以内を意味する。
【0014】
本発明の実施形態は、過活動膀胱を処置する手技を促進するように、膀胱および尿道等の尿路内の2つまたはそれを上回る場所において圧力測定を行うために特に有用である。特に、これは、医師に、手技中に処置の有効性に関するフィードバックを(圧力測定値を用いて)提供することを含む。圧力測定は、膀胱および尿道括約筋のうちの1つまたはそれを上回るものによる特定の形態の処置または処置刺激への応答のインジケーションを有するように、実質的に同時に、または逐次的に行われ得る。典型的には、そのような手技は、望ましくない膀胱の収縮を引き起こす神経信号を変調する、または別様に減衰させる神経変調信号を提供するように、膀胱を弱化させる神経(例えば、下腹神経叢および神経ならびに骨盤内臓神経ならびに下下腹神経叢)上への電気リードの留置および/または電気結合を含み得る。別の実施形態では、過活動膀胱に対する処置は、患者の足(例えば、足裏の上面部分等)の上に留置された1つまたはそれを上回る経皮的電極から患者の足への電気刺激の送達を含み得る。
【0015】
本発明を使用する例示的実施形態では、説明される実施形態等の圧力測定カテーテルの実施形態は、第1のセンサを尿道内の第1の場所に位置付け、第2のセンサを膀胱内に位置付けるように、尿路の中に(女性に対して経腟的に、男性に対して経陰茎的に)前進される。撮像ならびに/または第1および第2のセンサからの圧力測定によって、前進が、画像ガイダンス下で行われ、適切な留置が、判定され得る。次いで、いったんカテーテルが尿路内の所望の場所に留置されると、保定部材は、膀胱からの流体静水圧および/または膀胱もしくは尿道括約筋のうちの1つもしくはそれを上回るものからの収縮力を含む、1つまたはそれを上回る生理学的力に応答して、カテーテルを定位置に係留または保定するように第3の管腔(または別の管腔)を介して膨張される。膨張可能または別様に拡張可能な圧力センサを有する実施形態に関して、一方または両方のセンサは、圧力センサを尿道または膀胱内のそれらの選択された場所に保定するように、保定部材の前に、その後に、またはそれとほぼ同時に拡張され得る。(それらは、保定部材とともに、カテーテルの抜去のために収縮されることができる)。次いで、個々のセンサからの圧力が、過活動膀胱を処置するための一連の外科手術または他の手技にわたって取得されることができる。特に、圧力は、処置の有効性を評価するために、外部刺激に応答して両方のセンサから(同時に、または逐次的のいずれかで)測定され得る。特定の実施形態では、その外部刺激は、膀胱を神経支配する(かつ望ましくない膀胱の収縮を引き起こす)神経に電気的に結合される電極からの神経変調電気信号および/または圧力測定カテーテルもしくは別のカテーテルから膀胱の中への流体の注入に対応し得る。いずれの場合も、圧力測定信号は、医師が、望ましくない膀胱収縮が継続して起きているかどうか、および/または膀胱内のどの流体静水圧が収縮を引き起こしているかを判定することによって、処置が効果的であるかどうかを判定することを可能にする。複数の測定値が、処置の有効性を判定するために、一連の手技にわたって(その前、その間、およびその後を含む)取得され得る。神経変調信号を伴う処置に関して、医師は、圧力測定値を使用し、神経変調信号の波形ならびに信号を送達するための電極の留置のうちの一方または両方の有効性を評価することができる。
【0016】
関連する実施形態では、圧力測定が、本明細書に説明される圧力測定カテーテルの実施形態を使用して、患者の足の上(例えば、中足骨に隣接する足底または背側上)に留置される複数の電極から患者の足へのパルス化電気信号の送達を含む、過活動膀胱に対する処置の有効性を評価するために行われることができる。具体的には、膀胱(および/または尿道括約筋)内の圧力は、膀胱内の排尿容積閾値およびその閾値を増加させる際に送達されるパルス化電気信号の有効性を判定するために測定されることができる。圧力測定は、患者の足の上の電極留置および/または電気信号波形(例えば、パルス幅、周波数、および振幅の観点から)の調整もしくは微調整のうちの1つもしくはそれを上回るものを補助し、患者の排尿容積閾値における増加を最適化するために使用されることができる。排尿容積閾値(MVT)は、本明細書では、膀胱の収縮および引き続く排尿をもたらす、膀胱内の流体の容積として定義され、したがって、これは、過活動膀胱を低減させる際の処置の有効性のインジケーションを提供する。これは、過活動膀胱の低減が、増加された排尿容積閾値をもたらすはずであるという事実に起因する場合である。一アプローチでは、MVTは、流体を用いて(例えば、灌注管腔を通して)膀胱を充填し、次いで、膀胱収縮および引き続く排尿が起こる送達体積を監視する圧力測定カテーテルの実施形態を使用して判定されることができる。典型的には、電気波形は、約1Hz~500Hzに及ぶ周波数、約1V~50Vに及ぶ電圧、および約0.1~3m秒のパルス幅を有するパルス化信号を含み得る。圧力測定は、電気信号の送達に応答して、膀胱内の排尿容積の増加を最適化するように、これらの信号パラメータのうちの1つまたはそれを上回るものを調整および/または微調整する本発明の実施形態を使用して行われることができる。使用時、そのようなアプローチは、患者にとってより良好な臨床転帰を可能にする。
【0017】
本発明のこれらならびに他の実施形態および側面のさらなる詳細が、添付される図面を参照して、以下により完全に説明される。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
患者の尿路内の複数の場所において同時に圧力を測定するためのカテーテルであって
近位端および遠位端ならびに少なくとも第1、第2、および第3の管腔を含む複数の管腔を有する、カテーテル本体であって、前記複数の管腔は、前記複数の管腔のうちの1つの管腔内の圧力変化の前記複数の管腔のうちの別の管腔内の圧力に対する影響を最小限にするように構成される、カテーテル本体と
前記カテーテル本体の近位端に結合される、アダプタであって、前記複数の管腔に流体的に結合するための少なくとも第1、第2、および第3のポートを含む、複数のポートを含む、アダプタと、
前記第1の管腔に流体的に結合される、第1の圧力センサであって、前記患者の尿道内に位置付けられ、その中の圧力を測定するように構成され、前記カテーテル本体上に位置付けられる、第1の圧力センサと、
前記第2の管腔に流体的に結合される、第2の圧力センサであって、前記患者の膀胱内に位置付けられ、その中の圧力を測定するように構成され、前記カテーテル本体上に位置付けられる、第2の圧力センサと、
前記第3の管腔に流体的に結合され、前記第1および第2の拡張可能圧力センサ間において前記カテーテル本体上に位置付けられる、拡張可能保定部材であって、拡張状態にあるとき、前記カテーテルの少なくとも一部に付与される生理学的力に応答して、前記カテーテル本体を前記尿路内の選択された場所に保定するように構成される、拡張可能保定部材と、
を備える、カテーテル。
(項目2)
前記カテーテルの少なくとも一部は、前記保定部材、前記カテーテル本体、または前記膀胱圧力センサのうちの少なくとも1つを含む、項目1に記載のカテーテル。
(項目3)
前記生理学的力は、前記患者の膀胱内の流体からの流体静水圧に対応する、項目1に記載のカテーテル。
(項目4)
前記生理学的力は、前記患者の膀胱または尿道括約筋のうちの少なくとも1つの収縮からもたらされる力に対応する、項目1に記載のカテーテル。
(項目5)
前記保定部材は、前記膀胱または前記尿道のうちの少なくとも1つの収縮中、前記カテーテル本体を前記尿路内の選択された位置に保定するように構成される、項目1に記載のカテーテル。
(項目6)
前記保定部材は、前記カテーテル本体を前記尿路内の選択された位置に保定し、前記カテーテルの少なくとも一部に付与される水圧に応答して、膀胱圧力センサを膀胱内に位置付けられたまま保ち、括約筋センサを括約筋内に位置付けられたまま保つように構成される、項目1に記載のカテーテル。
(項目7)
前記拡張可能保定部材は、拡張可能バルーンを備える、項目1に記載のカテーテル。
(項目8)
前記膀胱圧力センサまたは前記括約筋圧力センサのうちの少なくとも1つは、拡張および非拡張状態を有する、拡張可能部材を備え、前記少なくとも1つのセンサは、前記非拡張状態において前記尿路の中に前進され、次いで、前記拡張状態に展開され、括約筋または膀胱のうちの少なくとも1つの中の圧力を測定するように構成される、項目1に記載のカテーテル。
(項目9)
前記拡張可能部材は、拡張可能バルーンを備える、項目8に記載のカテーテル。
(項目10)
前記拡張可能バルーンは、エラストマ、シリコーン、またはポリウレタンのうちの少なくとも1つを含む、項目9に記載のカテーテル。
(項目11)
前記拡張可能部材は、前記拡張状態にあるとき、前記少なくとも1つのセンサを前記尿管または膀胱内に保定するように構成される、項目8に記載のカテーテル。
(項目12)
膀胱圧力センサまたは括約筋のうちの少なくとも1つは、歪みゲージ、MEMS加工センサ、または圧力計を備える、項目1に記載のカテーテル。
(項目13)
前記第1の圧力センサは、第1の区分および第2の区分を備え、前記第1の区分は、前記尿道内の第1の場所において圧力を測定するように位置付けられ、前記第2の区分は、前記尿道内の第2の場所において圧力を測定するように位置付けられる、項目1に記載のカテーテル。
(項目14)
前記第1の場所は、内尿道括約筋に対応し、前記第2の場所は、外尿道括約筋に対応する、項目13に記載のカテーテル。
(項目15)
前記カテーテルは、男性の尿路内に位置付けられるように適合される、項目1に記載のカテーテル。
(項目16)
前記第2のセンサは、約2cmの長さを有し、男性の尿道括約筋のいずれかの側上に位置付けられるように構成される、項目15に記載のカテーテル。
(項目17)
前記カテーテルは、女性の尿路内に位置付けられるように適合される、項目1に記載のカテーテル。
(項目18)
前記第2のセンサは、約1.5cmの長さを有し、女性の尿道括約筋のいずれかの側上に位置付けられるように構成される、項目17に記載のカテーテル。
(項目19)
前記複数のポートのうちの少なくとも1つは、圧力計に結合されるように構成される、項目1に記載のカテーテル。
(項目20)
前記カテーテルは、前記尿路内の温度の測定のために第4のポートに流体的に結合される、第4の管腔を含む、項目1に記載のカテーテル。
(項目21)
前記カテーテルは、潅注流体の流動のために第4のポートに流体的に結合される、第4の管腔を含む、項目1に記載のカテーテル。
(項目22)
前記カテーテルは、膀胱の排液のために第4のポートに流体的に結合される、第4の管腔を含む、項目1に記載のカテーテル。
(項目23)
前記カテーテルは、潅注流体の流動のために第5のポートに結合される、第5の管腔を含む、項目22に記載のカテーテル。
(項目24)
前記カテーテル本体は、エラストマ、シリコーン、またはポリウレタン、PTFE、ポリエチレン、またはPETを含む、項目1に記載のカテーテル。
(項目25)
前記複数の管腔の各管腔は、前記複数の管腔のうちの1つの管腔内の圧力変化の前記複数の管腔のうちの別の管腔内の圧力に対する影響を最小限にするように十分な半径方向剛性またはフープ強度を有する、項目1に記載のカテーテル。
(項目26)
前記複数の管腔の各管腔の半径方向剛性は、約20~100N/mmの範囲内である、項目25に記載のカテーテル。
(項目27)
前記複数の管腔の各管腔の半径方向剛性は、約50~100N/mmの範囲内である、項目26に記載のカテーテル。
(項目28)
患者の尿路内の複数の場所における圧力を測定し、尿失禁のための処置を促進するための方法であって、
第1および第2の圧力センサを有するカテーテルを、前記第1のセンサを前記患者の尿道内の第1の場所に位置付け、前記第2の圧力センサを前記患者の膀胱内の第2の場所に位置付けるように、患者の尿路の中に前進させるステップと、
前記カテーテル上への生理学的力の付与中、前記第1のセンサを前記第1の場所に保定し、前記第2のセンサを前記第2の場所に保定するように、拡張可能保定部材を拡張させるステップと、
外部刺激に応答して、前記第1の場所および前記第2の場所における圧力を測定するステップと、
を含む、方法。
(項目29)
前記第1および第2の場所における圧力は、実質的に同時に測定される、項目28に記載の方法。
(項目30)
前記第1および第2の場所における圧力は、逐次的に測定される、項目28に記載の方法。
(項目31)
外部刺激が、電気信号を含む、項目28に記載の方法。
(項目32)
前記電気信号が、膀胱を神経支配する神経に電気的に結合される電極によって生成される神経変調信号を含む、項目31に記載の方法。
(項目33)
前記外部刺激が、流体を前記膀胱に前記本体の外側から追加することを含む、項目28に記載の方法。
(項目34)
生理学的力が、前記患者の膀胱内の流体からの流体静水圧に対応する、項目28に記載の方法。
(項目35)
前記生理学的力は、前記患者の膀胱または尿道括約筋のうちの少なくとも1つの収縮からもたらされる力に対応する、項目28に記載の方法。
(項目36)
前記第1のセンサまたは第2のセンサのうちの少なくとも1つは、拡張可能部材を備え、前記方法はさらに、前記第1のセンサまたは第2の圧力センサのうちの少なくとも1つを拡張させるステップを含む、項目28に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の原理に従って構築される、尿路圧力感知カテーテルの実施形態を図示する。
【
図2】
図2は、
図1の線2-2に沿って観察される断面図である。
【
図3】
図3は、個々の膨張源および圧力測定センサへの接続を示す、
図1の尿路圧力感知カテーテルの近位アダプタの詳細図である。
【
図4】
図4Aおよび4Bは、患者の膀胱ならびに尿道内の尿路圧力を測定する際の尿路圧力感知カテーテルの使用を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(発明の詳細な説明)
本明細書に説明される種々の実施形態は、尿路(UT)内の種々の場所における圧力を測定するためのデバイス、装置、および方法を提供する。多くの実施形態は、例えば、膀胱を含む尿路内の種々の場所における圧力を測定するためのデバイス、システム、および方法を提供する。さらにより具体的には、実施形態は、尿失禁処置の有効性が評価され得るように、尿路内の種々の場所における圧力を測定するためのデバイス、システム、および方法を提供する。特定の実施形態は、過活動膀胱の処置のための尿路内の神経変調刺激電極の留置を促進するために、膀胱および尿道内の圧力の測定のための尿路内に位置付け可能なカテーテルを提供する。
【0020】
ここで
図1を参照すると、尿路内の圧力を測定するためのカテーテル10の実施形態は、少なくとも第1の管腔21、第2の管腔22、および第3の管腔23を有する(
図2)、多管腔カテーテル本体20と、少なくとも第1のポート41、第2のポート42、および第3のポート43を含む1つまたはそれを上回るポートを有する、近位アダプタ30と、第1または尿道括約筋圧力センサ50と、第2または膀胱圧力センサ60と、係留または保定部材70とを含む。典型的には、アダプタ30は、1つまたはそれを上回る(例えば、灌注および排液のための)流体ライン、ポンプ、シリンジ、センサ、圧力計、電気ケーブル、および同等物の結合のための少なくとも3つのポートを含み得るが、ポートは、他の目的のための第5および第6のポートを含むことも企図される。特に、第4のポートは、第4の管腔(図示せず)に接続し得、これは、カテーテル本体20の遠位先端に至るまで延設され、流体注入および/または膀胱からの吸引を可能にする。
【0021】
尿道括約筋圧力センサ50および膀胱圧力センサ60は、典型的には、膨張圧力が膨張点における生理学的圧力の尺度として監視され得る、膨張可能ブラダを含み得る。圧力測定トランスデューサが、膨張源に近接して、および/または膨張可能ブラダ内に提供され得る。他の場所もまた、考慮される。膨張領域が閉鎖されるため、加圧領域内の全ての点における圧力は、膨張媒体が流動していない限り、事実上同じであり得る。
【0022】
図3は、センサ50および60の両方のために膨張可能ブラダを膨張すること、ならびに係留または保定部材70のための例示的配列を示す。本配列では、ポンプ81、82、および83が、それぞれ、ポート41、42、ならびに43に接続される。シリンジ、吸入器、または当分野で公知の任意の他の一般的医療バルーン膨張デバイスであり得る、第1のポンプ81は、係留または保定部材70を膨張させるために使用され、圧力センサを含んでも、または含まなくてもよい(いずれも
図3に示されない)。第2のポンプ82は、尿道括約筋圧力センサ50の膨張可能ブラダを膨張させるように接続され、尿道括約筋における尿道内の圧力を提供する圧力トランスデューサ84を含む。第3のポンプ83は、膀胱圧力センサ60の膨張可能ブラダを膨張させるように接続され、膀胱内の圧力を提供する圧力トランスデューサ85を含む。圧力トランスデューサは、単純な機械的ゲージであり得るか、または電子出力を提供するソリッドステートトランスデューサであり得る。圧力計および他の公知の医療圧力測定デバイスもまた、使用可能であり得る。
【0023】
図4Aに示されるように、カテーテル10は、最初に、膨張していないセンサ50および60ならびに係留または保定部材70を位置付けるために、経尿道的に導入される。尿道括約筋センサ50は、典型的には、フォーリーカテーテルを用いて行われるように、係留または保定部材70が膨張され、膀胱頸部口OSに対して戻るように引き込まれると、括約筋US内で膨張され、それから圧力読取値を受信するように位置付けられる。尿道括約筋センサ50は、いくつかの実施形態を有する。一実施形態では、これは、2つの区分に分割され、1つは、内尿道括約筋に対するものであり、1つは、外尿道括約筋に対するものである。男性バージョンのカテーテルでは、センサは、膀胱頸部より約2.5cm遠位に位置し、約2.0cmの尿道長さに延在する。女性バージョンのカテーテルでは、センサは、膀胱頸部より約1.8cm遠位に位置し、約1.5cmの尿道長さに延在する。膀胱圧力センサ60は、係留または保定部材70の遠位に短い距離だけ延在し、膀胱Bの中心点に留まるように構成される。センサおよびバルーンは、カテーテルの挿入または除去中、それらが有意な抵抗を提供しない(すなわち、カテーテル押動または引動力が、選択された値未満、例えば、1.0ポンド(4.448222N)未満、より好ましくは、0.5ポンド(2.224111N)未満、さらにより好ましくは、0.25ポンド(1.112056N)未満である)ように拡張可能かつ後退可能であるように構成される。
【0024】
1つまたはそれを上回る実施形態によると、カテーテル本体20は、個々の管腔内の圧力変化が、別の管腔内の圧力に有意に影響を及ぼさないように防止するために十分に剛性(例えば、半径方向剛性または堅さ)であり得るか、そして/または十分なフープ強度を有し得、例えば、任意の衝撃は、約5%を下回る、好ましくは、約2%を下回る逸脱をもたらし得る。言い換えると、管腔は、1つの管腔から次の管腔への流体静水圧クロストークを防止するように構成される。但し、好ましくは、全体としてのカテーテルは、臨床使用シナリオのために意図される患者の解剖学的構造内で、かつそれを通して前進および操作されるために十分に伸展性(compliant)のままであり得る。具体的実施形態では、カテーテル管腔は、隣接する管腔内の変化からもたらされる1つの管腔内の任意の圧力変化が、約5%未満、好ましくは、2%未満、好ましくは、それを下回ったままであり得るように、十分な堅さまたはフープ応力を有する。そのような堅さまたはフープ強度は、以下:(1)カテーテル材料の選定、(2)カテーテル/管腔寸法、(3)補強編組(管腔の内部または外部)の使用、および/または(4)内部補強管腔のうちのいずれか1つもしくはそれを上回るものによって達成されることができる。種々の実施形態では、管腔21、22、および23(またはカテーテル10の他の管腔)のうちのいずれか1つの半径方向剛性(本明細書では半径方向堅さとしても説明される)は、約1~約100N/mmの範囲内、より好ましくは、約20~約100N/mmの範囲内、およびさらにより好ましくは、約50~約100N/mmの範囲内であり得、具体的実施形態では、5、10、20、25、30、40、45、50、55、60、70、75、80、90、および95N/mmであり得る。
【0025】
本発明を使用する方法の例示的実施形態では、圧力測定カテーテル10の実施形態は、第1のセンサ50を尿道内の第1の場所に位置付け、第2のセンサ60を膀胱内に位置付けるように、尿路の中に(女性に対して経腟的に、男性に対して経陰茎的に)前進される。撮像によって、ならびに/または第1および/もしくは第2のセンサ50もしくは60を使用する圧力測定によって、前進が、画像ガイダンス下で行われ得、適切な留置が、判定され得る。いったんカテーテル10が尿路内の所望の場所に留置されると、保定部材70は、膀胱Bからの流体静水圧および/または膀胱もしくは尿道括約筋のうちの1つもしくはそれを上回るものからの収縮力等の生理学的力に応答して、カテーテル10を定位置に係留または保定し、移動を阻止するように第3の管腔23(または別の管腔)を介して膨張される。膨張可能または別様に拡張可能な圧力センサを有する実施形態に関して、例証されるように、一方または両方のセンサ50および60は、圧力センサを尿道または膀胱内のそれらの選択された場所に保持するように、保定部材70の前に、その後に、またはそれとほぼ同時に拡張され得る。センサおよび保定部材は、カテーテルの抜去に先立って収縮されることができる。
【0026】
センサ50および60からの圧力が、過活動膀胱を処置するためのまたは任意の他の目的のための一連の外科手術もしくは他の手技にわたって、連続的または周期的に取得されることができる。特に、圧力は、過活動膀胱に対する処置の有効性を評価するために、外部刺激に応答して両方のセンサ50および60から(同時に、または逐次的のいずれかで)測定され得る。特定の実施形態では、外部刺激は、膀胱を神経支配する神経に電気的に結合される電極からの神経変調電気信号を印加することによって、膀胱の収縮を誘発するようにもたらされ得、代替として、または加えて、流体が、典型的には、圧力測定カテーテル10または別のカテーテル内の管腔を使用して、膀胱の中に注入され得る。いずれの場合も、圧力測定は、医師または他の医療従事者が、望ましくない膀胱収縮が継続して起きているかどうか、および/または膀胱内のどの流体静水圧がそのような収縮を引き起こしているかを判定することによって、処置が効果的であるかどうかを判定することを可能にする。複数の測定値が、処置の有効性を判定するために、一連の手技にわたって(その前、その間、およびその後を含む)取得され得る。神経変調信号の使用を伴う処置に関して、医師は、圧力測定値を使用し、神経変調信号の波形ならびに信号を送達するための電極の留置のうちの一方または両方の有効性を評価することができる。
【0027】
関連する実施形態では、圧力測定が、本明細書に説明される圧力測定カテーテル10の実施形態を使用して、患者の足の上(例えば、中足骨に隣接する足底または背側上)に留置される複数の電極から患者の足へのパルス化電気信号の送達を含む、過活動膀胱に対する処置の有効性を評価するために行われることができる。具体的には、膀胱(および/または尿道括約筋)内の圧力は、膀胱内の排尿容積閾値およびその閾値を増加させる際に送達されるパルス化電気信号の有効性を判定するために測定されることができる。圧力測定は、患者の足の上の電極留置および/または電気信号波形(例えば、パルス幅、周波数、および振幅の観点から)の調整もしくは微調整のうちの1つもしくはそれを上回るものを補助し、患者の排尿容積閾値における増加を最適化するために使用されることができる。上記に説明されるように、排尿容積閾値(MVT)は、膀胱の収縮および引き続く排尿をもたらす、膀胱内の流体の容積である。したがって、MVTの増加は、過活動膀胱を低減させる際の処置の有効性の1つのインジケーションである。例えば、MVTは、流体を用いて(例えば、灌注管腔を通して)膀胱を充填し、次いで、膀胱収縮および排尿が起こる送達体積を監視する圧力測定カテーテル10の実施形態を使用して判定されることができる。典型的には、刺激電気波形は、約1Hz~500Hzに及ぶ周波数、約1V~50Vに及ぶ電圧、および約0.1~3m秒のパルス幅を有するパルス化信号を含む。圧力測定は、電気信号の送達に応答して、膀胱内の排尿容積の増加を最適化するように、これらの信号パラメータのうちの1つまたはそれを上回るものを調整および/または微調整する本発明の実施形態を使用して行われることができる。
【0028】
本発明の種々の実施形態の前述の説明は、例証および説明を目的として提示された。本発明を開示される精密な形態に限定することは、意図されない。多くの修正、変形例、および改善が、当業者に明白となるであろう。例えば、圧力測定カテーテルの実施形態は、種々の小児用途、さらには新生児用途のために、サイズ、形状、または他の性質のうちの1つもしくはそれを上回るものにおいて修正されることができる。
【0029】
一実施形態からの要素、特性、または行為は、本発明の範囲内の多数の付加的実施形態を形成するために、他の実施形態からの1つまたはそれを上回る要素、特性、もしくは行為と容易に組み替えられる、またはそれを用いて代用されることができる。さらに、他の要素と組み合わせられるものとして示される、または説明される要素は、種々の実施形態では、独立要素として存在することができる。したがって、本発明の範囲は、説明される実施形態の詳細に限定されず、代わりに、添付される請求項によってのみ限定される。