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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023082263
(43)【公開日】2023-06-14
(54)【発明の名称】剥離システムおよび剥離方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20230607BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20230607BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20230607BHJP
【FI】
H01L21/02 B
H01L21/68 A
H01L21/304 643A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021195905
(22)【出願日】2021-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西村 理志
(72)【発明者】
【氏名】田村 武
(72)【発明者】
【氏名】古賀 隆司
(72)【発明者】
【氏名】前田 陽平
【テーマコード(参考)】
5F131
5F157
【Fターム(参考)】
5F131AA10
5F131BA60
5F131BB03
5F131CA32
5F131DB03
5F131DB72
5F131EA05
5F131EA22
5F131EA24
5F131HA09
5F131HA12
5F157AB90
5F157BB11
5F157CF70
5F157CF74
5F157CF90
(57)【要約】
【課題】一連の剥離処理の効率化を図る。
【解決手段】本開示の一態様による剥離システムは、載置部と、除去装置と、搬送装置とを備える。載置部は、第1基板と第2基板とが分離層を介して接合された重合基板を収容可能な第1カセット、第1基板を収容可能な第2カセットおよび第2基板を収容可能な第3カセットが載置される。除去装置は、重合基板にレーザを照射して分離層を除去する。搬送装置は、重合基板を除去装置に搬送する処理、および、重合基板から分離された第1基板ならびに第2基板を載置部に搬送する処理を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と第2基板とが分離層を介して接合された重合基板を収容可能な第1カセット、前記第1基板を収容可能な第2カセットおよび前記第2基板を収容可能な第3カセットが載置される載置部と、
前記重合基板にレーザを照射して前記分離層を除去する除去装置と、
前記重合基板を前記除去装置に搬送する処理、および、前記重合基板から分離された前記第1基板ならびに前記第2基板を前記載置部に搬送する処理を行う搬送装置と
を備える、剥離システム。
【請求項2】
前記除去装置において前記重合基板の剥離状態を検知する検知部と、
前記検知部による検知結果に基づき、前記重合基板が前記第1基板と前記第2基板とに分離したか否かを判定する制御部と
を備え、
前記制御部は、前記重合基板が前記第1基板と前記第2基板とに分離したと判定した場合に、前記搬送装置を制御して、前記除去装置から前記第1基板および前記第2基板を搬出して前記載置部に搬送する、請求項1に記載の剥離システム。
【請求項3】
前記検知部は、前記除去装置内における前記重合基板の上方に配置され、前記重合基板の上面までの距離を測定し、
前記制御部は、前記除去装置による処理前に前記検知部によって測定された距離と、前記除去装置による処理後に前記検知部によって測定された距離との差の絶対値が閾値を超えた場合に、前記重合基板が前記第1基板と前記第2基板とに分離したと判定する、請求項2に記載の剥離システム。
【請求項4】
前記搬送装置は、
吸引によって物体を保持する吸着保持部と、
前記吸着保持部を昇降させる昇降機構と
を備え、
前記検知部は、前記吸着保持部の吸引圧を検知し、
前記制御部は、前記除去装置による処理後、前記重合基板の下面が前記除去装置に吸着保持された状態で、前記搬送装置を制御して、前記重合基板の上面を前記吸着保持部にて吸着保持して前記吸着保持部を上昇させた際に前記検知部によって検知された吸引圧が閾値を超えている場合に、前記重合基板が前記第1基板と前記第2基板とに分離したと判定する、請求項2に記載の剥離システム。
【請求項5】
前記搬送装置は、
吸引によって物体を保持する吸着保持部と、
前記吸着保持部を昇降させる昇降機構と
を備え、
前記検知部は、前記昇降機構にかかる荷重またはトルクを検知し、
前記制御部は、前記除去装置による処理後、前記重合基板の下面が前記除去装置に吸着保持された状態で、前記搬送装置を制御して、前記重合基板の上面を前記吸着保持部にて吸着保持して前記吸着保持部を上昇させた際に前記検知部によって検知された荷重またはトルクが閾値以下である場合に、前記重合基板が前記第1基板と前記第2基板とに分離したと判定する、請求項2に記載の剥離システム。
【請求項6】
前記搬送装置は、前記吸着保持部を反転させる反転機構を備える、請求項4または5に記載の剥離システム。
【請求項7】
前記重合基板を前記第1基板側から吸着する第1吸着部と、前記重合基板を前記第2基板側から吸着する第2吸着部と、前記第1吸着部および前記第2吸着部の一方を他方から離れる方向に移動させる昇降機構とを備えた剥離装置
を備え、
前記剥離装置は、前記重合基板を前記第1吸着部および前記第2吸着部を用いて吸着した状態で、前記昇降機構を用いて前記第1吸着部および前記第2吸着部の一方を他方から離れる方向に移動させることによって前記重合基板を前記第1基板と前記第2基板とに分離させ、
前記制御部は、前記重合基板が前記第1基板と前記第2基板とに分離していないと判定した場合に、前記搬送装置を制御して、前記重合基板を前記除去装置から前記剥離装置に搬送し、前記剥離装置を制御して、前記重合基板を前記第1基板と前記第2基板とに分離させる、請求項2~6のいずれか一つに記載の剥離システム。
【請求項8】
前記重合基板を前記第1基板側から吸着する第1吸着部と、前記重合基板を前記第2基板側から吸着する第2吸着部と、前記第1吸着部および前記第2吸着部の一方を他方から離れる方向に移動させる昇降機構とを備えた剥離装置
を備え、
前記剥離装置は、前記重合基板を前記第1吸着部および前記第2吸着部を用いて吸着した状態で、前記昇降機構を用いて前記第1吸着部および前記第2吸着部の一方を他方から離れる方向に移動させることによって前記重合基板を前記第1基板と前記第2基板とに分離させる、請求項1に記載の剥離システム。
【請求項9】
前記重合基板から分離された前記第1基板および前記第2基板の少なくとも一方を洗浄する洗浄装置
を備える、請求項1~8のいずれか一つに記載の剥離システム。
【請求項10】
搬送装置を制御する制御部を備え、
前記搬送装置は、
吸引によって物体を保持する吸着保持部と、
前記吸着保持部を昇降させる昇降機構と
を備え、
前記制御部は、前記除去装置による処理後、前記重合基板の下面が前記除去装置に吸着保持された状態で、前記搬送装置を制御して、前記重合基板の上面を前記吸着保持部にて吸着保持して前記吸着保持部を上昇させることによって前記重合基板を前記第1基板と前記第2基板とに分離させる、請求項1に記載の剥離システム。
【請求項11】
第1基板と第2基板とが分離層を介して接合された重合基板を収容可能な第1カセット、前記第1基板を収容可能な第2カセットおよび前記第2基板を収容可能な第3カセットが載置される載置部に前記第1カセット、前記第2カセットおよび前記第3カセットを載置することと、
搬送装置を用い、前記載置部に載置された前記第1カセットから前記重合基板を取り出し、前記重合基板にレーザを照射して前記分離層を除去する除去装置に搬送することと、
前記除去装置を用いて前記重合基板から前記分離層を除去することと、
前記搬送装置を用い、前記重合基板から分離された前記第1基板および前記第2基板を前記載置部に載置された前記第2カセットおよび前記第3カセットにそれぞれ収容することと
を含む、剥離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、剥離システムおよび剥離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板と被剥離層との間に分離層(第1の材料層)を形成し、分離層の一部にレーザ光を照射して分離層の一部を除去したうえで、人間の手などによる物理的な力を用いて基板から被剥離層を剥離する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-163338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、一連の剥離処理の効率化を図ることができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による剥離システムは、載置部と、除去装置と、搬送装置とを備える。載置部は、第1基板と第2基板とが分離層を介して接合された重合基板を収容可能な第1カセット、第1基板を収容可能な第2カセットおよび第2基板を収容可能な第3カセットが載置される。除去装置は、重合基板にレーザを照射して分離層を除去する。搬送装置は、重合基板を除去装置に搬送する処理、および、重合基板から分離された第1基板ならびに第2基板を載置部に搬送する処理を行う。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、一連の剥離処理の効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係る剥離システムの構成を示す模式的な平面図である。
図2図2は、実施形態に係る重合基板の模式的な側面図である。
図3図3は、実施形態に係る第2搬送装置の構成を示す模式的な側面図である。
図4図4は、実施形態に係る除去装置の構成を示す模式的な側面図である。
図5図5は、実施形態に係る剥離装置の構成を示す模式的な側面図である。
図6図6は、剥離装置による剥離処理の動作例を示す図である。
図7図7は、剥離装置による剥離処理の動作例を示す図である。
図8図8は、剥離装置による剥離処理の動作例を示す図である。
図9図9は、剥離装置による剥離処理の動作例を示す図である。
図10図10は、剥離装置による剥離処理の動作例を示す図である。
図11図11は、剥離装置による剥離処理の動作例を示す図である。
図12図12は、実施形態に係る洗浄装置の構成を示す模式的な側面図である。
図13図13は、実施形態に係る制御装置の構成を示すブロック図である。
図14図14は、実施形態に係る剥離システムが実行する処理の手順を示すフローチャートである。
図15図15は、第1変形例に係る検知部の構成例を示す図である。
図16図16は、第1変形例に係る剥離状態判定処理の動作例を示す図である。
図17図17は、第1変形例に係る剥離状態判定処理の動作例を示す図である。
図18図18は、第2変形例に係る剥離システムの構成を示す模式的な平面図である。
図19図19は、第2変形例に係る剥離処理の動作例を示す図である。
図20図20は、第2変形例に係る剥離処理の動作例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する剥離システムおよび剥離方法を実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではない。また、各実施形態および変形例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。また、以下の各実施形態および変形例において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0009】
また、以下に示す実施形態では、「一定」、「直交」、「垂直」あるいは「平行」といった表現が用いられる場合があるが、これらの表現は、厳密に「一定」、「直交」、「垂直」あるいは「平行」であることを要しない。すなわち、上記した各表現は、例えば製造精度、設置精度などのずれを許容するものとする。
【0010】
また、以下参照する各図面では、説明を分かりやすくするために、互いに直交するX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする直交座標系を示す場合がある。また、鉛直軸を回転中心とする回転方向をθ方向と呼ぶ場合がある。
【0011】
図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。さらに、図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0012】
<剥離システム1の全体構成>
まず、実施形態に係る剥離システム1の構成について、図1および図2を参照しながら説明する。図1は、実施形態に係る剥離システム1の構成を示す模式的な平面図である。図2は、実施形態に係る重合基板の模式的な側面図である。
【0013】
図1に示す剥離システム1は、第1基板W1と第2基板W2とが接合された重合基板Tを第1基板W1と第2基板W2とに分離する。
【0014】
第1基板W1は、たとえばシリコン基板等の半導体ウエハである。第1基板W1は、表面膜Fを有する。表面膜Fは、たとえば、接着剤である。なお、これに限らず、表面膜Fは、SiO膜、TEOS膜、SiC膜およびSiCN膜等であってもよい。また、第1基板W1は、表面膜Fとの界面にデバイス層を有していてもよい。
【0015】
第2基板W2も、例えばシリコン基板等の半導体ウエハである。第2基板W2は、分離層Pを有する。分離層Pは、第2基板W2と表面膜Fとの間に位置している。分離層Pは、後述するようにレーザ照射部39から照射されたレーザ光を吸収する。分離層Pは、たとえば金属膜等である。なお、レーザ光の透過率を高めるため、第2基板W2は、両面にたとえば反射防止膜等の膜を有していてもよい。この場合、分離層Pは、反射防止膜等の膜の上に形成される。なお、第2基板W2は、ガラス基板またはTFT(Thin Film Transistor)基板等であってもよい。
【0016】
第1基板W1と第2基板W2とは、表面膜Fおよび分離層Pを介して接合されている。
【0017】
図1に示すように、剥離システム1は、搬入出ステーション2と、処理ステーション3とを備える。搬入出ステーション2および処理ステーション3は、X軸正方向に沿って、搬入出ステーション2および処理ステーション3の順番で並べて配置される。また、搬入出ステーション2および処理ステーション3は、一体的に接続されている。
【0018】
搬入出ステーション2は、載置部10と、搬送領域20とを備える。載置部10は、複数の載置板11を備える。各載置板11には、複数枚(たとえば、25枚)の基板を水平状態で収容する第1カセットC1、第2カセットC2および第3カセットC3がそれぞれ載置される。第1カセットC1は重合基板Tを収容するカセットであり、第2カセットC2は第1基板W1を収容するカセットであり、第3カセットC3は第2基板W2を収容するカセットである。また、載置板11には、カセットC1~C3以外に、たとえば、不具合が生じた基板を回収するための第4カセットC4が載置されてもよい。
【0019】
搬送領域20は、載置部10のX軸正方向側に隣接して配置される。かかる搬送領域20には、Y軸方向に延在する搬送路21と、この搬送路21に沿って移動可能な第1搬送装置22とが設けられる。
【0020】
第1搬送装置22は、Y軸方向だけでなく、X軸方向にも移動可能かつZ軸周りに旋回可能である。そして、第1搬送装置22は、載置板11に載置されたカセットC1~C3と、後述する処理ステーション3の第3処理ブロックG3との間で、重合基板T、第1基板W1および第2基板W2の搬送を行う。
【0021】
処理ステーション3には、各種装置を備えた複数の処理ブロック、たとえば3つの処理ブロックG1、G2、G3が設けられる。たとえば、処理ステーション3の正面側(図1のY軸負方向側)には、第1処理ブロックG1が設けられ、処理ステーション3の背面側(図1のY軸正方向側)には、第2処理ブロックG2が設けられる。また、処理ステーション3の搬入出ステーション2側(図1のX軸負方向側)には、第3処理ブロックG3が設けられる。
【0022】
第1処理ブロックG1には、除去装置30が配置される。除去装置30は、重合基板Tの上方から重合基板Tに向けてレーザ光を照射して分離層Pを除去する。除去装置30の構成については後述する。
【0023】
第2処理ブロックG2には、剥離装置40と、洗浄装置50とが配置される。剥離装置40は、重合基板Tの両面を吸着保持した状態で、第1基板W1と第2基板W2とが離れる方向に重合基板Tを引っ張ることにより、重合基板Tを第1基板W1と第2基板W2とに分離させる。剥離装置40の構成については後述する。
【0024】
洗浄装置50は、重合基板Tから分離された第1基板W1の表面を洗浄する。洗浄装置50は、第1基板W1の洗浄だけでなく、第2基板W2の洗浄も行ってもよい。洗浄装置50の構成については後述する。
【0025】
第3処理ブロックG3には、重合基板T、第1基板W1および第2基板W2のトランジション装置(受渡部)が多段に積層された状態で配置される。
【0026】
第1処理ブロックG1、第2処理ブロックG2および第3処理ブロックG3に囲まれた領域には、搬送領域60が形成される。搬送領域60には、第2搬送装置70が配置される。第2搬送装置70は、たとえば鉛直方向、水平方向および鉛直軸周りに移動自在な搬送アームを有する。
【0027】
かかる第2搬送装置70は、搬送領域60内を移動し、搬送領域60に隣接する第1処理ブロックG1、第2処理ブロックG2および第3処理ブロックG3内の所与の装置に重合基板T、第1基板W1および第2基板W2を搬送する。第2搬送装置70の構成については後述する。
【0028】
また、剥離システム1は、制御装置80を備える。制御装置80は、剥離システム1の動作を制御する。制御装置80の構成については後述する。
【0029】
図1に示した除去装置30、剥離装置40および洗浄装置50の配置は一例である。たとえば、剥離装置40は、除去装置30の隣に配置されてもよい。また、ここでは、剥離システム1が除去装置30、剥離装置40および洗浄装置50を1つずつ備える場合の例を示したが、これに限らず、剥離システム1は、複数の除去装置30、複数の剥離装置40および複数の洗浄装置50を備えていてもよい。たとえば、剥離システム1は、第1処理ブロックG1に除去装置30、剥離装置40および洗浄装置50を1つずつ備え、第2処理ブロックG2にも除去装置30、剥離装置40および洗浄装置50を1つずつ備える構成を有していてもよい。また、複数の除去装置30、複数の剥離装置40および複数の洗浄装置50は、各々多段に積層されていてもよい。
【0030】
<第2搬送装置70>
次に、第2搬送装置70の構成について図3を参照して説明する。図3は、実施形態に係る第2搬送装置70の構成を示す模式的な側面図である。
【0031】
図3に示すように、第2搬送装置70は、第1保持部71と、第2保持部72と、第1進退機構73と、第2進退機構74と、昇降機構75と、水平移動機構76とを備える。また、第2搬送装置70は、反転機構77を備える。
【0032】
第1保持部71は、第1基板W1を保持する。第2保持部72は、第1保持部71の上方に配置され、第2基板W2を保持する。第1保持部71および第2保持部72は、たとえば、二股形状を有する平板状のベース部710,720と、ベース部710,720の表面に設けられた複数の吸着パッド711,721とを備える。
【0033】
第1保持部71が備える複数の吸着パッド711は、吸引管712を介して吸引装置713に接続される。吸引装置713は、たとえば真空ポンプなどである。第1保持部71は、吸引装置713によって発生する吸引力を用いて吸着パッド711に第1基板W1を吸着させることができる。同様に、第2保持部72が備える複数の吸着パッド721は、吸引管722を介して吸引装置723に接続される。第2保持部72は、吸引装置723によって発生する吸引力を用いて吸着パッド721に第2基板W2を吸着させることができる。このようにして、第1保持部71および第2保持部72は、第1基板W1および第2基板W2をそれぞれ水平に吸着保持する。
【0034】
第1進退機構73は、第1保持部71を水平方向、具体的には、搬送領域60の延在方向と直交するY軸方向に沿って第1保持部71を進退させる。第2進退機構74は、第2保持部72をY軸方向に沿って進退させる。
【0035】
昇降機構75は、第1進退機構73および第2進退機構74を鉛直方向に沿って移動させることにより、第1保持部71および第2保持部72を昇降させる。昇降機構75は、第1進退機構73および第2進退機構74をそれぞれ独立に昇降させることができる。なお、第1進退機構73、第2進退機構74および昇降機構75は、たとえば水平多関節ロボットで構成されてもよい。水平移動機構76は、昇降機構75をX軸方向に沿って移動させることにより、第1保持部71および第2保持部72を搬送領域60の延在方向(X軸方向)に水平移動させる。反転機構77は、第2保持部72を反転させる。
【0036】
<除去装置30>
次に、除去装置30の構成について図4を参照して説明する。図4は、実施形態に係る除去装置30の構成を示す模式的な側面図である。
【0037】
図4に示すように除去装置30は、重合基板Tを上面で吸着保持するチャック31を有している。チャック31は、重合基板Tの下面(第1基板W1側の面)の全面を吸着保持する。なお、チャック31は重合基板Tの下面の一部を吸着保持するものであってもよい。チャック31には、重合基板Tを下方から支持し昇降させるための複数の昇降ピン32が設けられている。複数の昇降ピン32は、チャック31を貫通して形成された貫通孔(図示せず)に挿通されており、昇降機構320により昇降自在に構成されている。
【0038】
チャック31は、エアベアリング33を介して、スライダテーブル34に支持されている。スライダテーブル34の下面側には、回転機構35が設けられている。回転機構35は、駆動源として例えばモータを内蔵している。チャック31は、回転機構35によってエアベアリング33を介して、θ軸(鉛直軸)回りに回転自在に構成されている。スライダテーブル34は、その下面側に設けられた移動機構36によって、基台37に設けられY軸方向に延伸するレール38に沿って移動可能に構成されている。なお、移動機構36の駆動源は特に限定されるものではないが、例えばリニアモータが用いられる。
【0039】
また、除去装置30は、レーザ照射部39を備える。レーザ照射部39は、チャック31の上方に配置され、チャック31の上面に向けて、言い換えれば、チャック31に吸着保持された重合基板Tの上面に向けてレーザ光を照射する。
【0040】
レーザ光は、たとえば赤外レーザ光である。また、レーザ光は、COレーザ光であってもよい。レーザ照射部39から発せられたレーザ光は、第2基板W2を透過して分離層Pに照射される。また、レーザ照射部39は、昇降機構(図示せず)によって昇降自在に構成されている。なお、レーザ光の光源は、レーザ照射部39の外部の離れた位置に設けられている。
【0041】
ここで、上記のように構成された除去装置30による除去処理の一例について説明する。重合基板Tは、第2搬送装置70によって除去装置30に搬入され、チャック31の上面から突出した複数の昇降ピン32上に載置される。
【0042】
除去装置30は、昇降機構320を用いて複数の昇降ピン32を下降させることにより、複数の昇降ピン32上に載置された重合基板Tをチャック31の上面に載置させる。その後、除去装置30は、チャック31を用いて重合基板Tを吸着保持する。
【0043】
つづいて、除去装置30は、レーザ照射部39から重合基板Tの上面に向けてレーザ光をたとえばパルス状に照射する。レーザ光は、第2基板W2を透過して分離層Pに吸収される。そして、このレーザ光によって、分離層Pと第2基板W2との界面において剥離が生じる。
【0044】
除去装置30は、分離層Pにレーザ光を照射する間、回転機構35によってチャック31および重合基板Tを回転させるとともに、移動機構36によってチャック31をY軸方向に移動させる。そうすると、レーザ光は、分離層Pに対して径方向外側から内側に向けて照射され、その結果、外側から内側に螺旋状に照射される。なお、除去装置30は、レーザ光が螺旋状ではなく同心円状に照射されるように回転機構35および移動機構36を制御してもよい。この場合、除去装置30は、回転機構35によるチャック31を一回転させる処理と、移動機構36によりチャック31を水平移動させる処理とを交互に行えばよい。また、ここでは、チャック31を水平移動させる場合の例について説明したが、除去装置30は、レーザ照射部39を水平移動させる構成であってもよい。この場合、除去装置30は、レーザ照射部39を水平移動させる移動機構を備えていればよい。
【0045】
剥離システム1は、検知部101を備える。実施形態において、検知部101は、距離測定部である。距離測定部としての検知部101は、除去装置30に設けられる。具体的には、検知部101は、チャック31の上方に配置され、検知部101における基準位置から重合基板Tの上面までの距離Dを測定する。実施形態に係る剥離システム1では、かかる検知部101の検知結果に基づき、除去装置30による除去処理において、重合基板Tが第1基板W1と第2基板W2とに分離したか否かを判定する。
【0046】
<剥離装置40>
次に、剥離装置40の構成について図5を参照して説明する。図5は、実施形態に係る剥離装置40の構成を示す模式的な側面図である。
【0047】
図5に示すように、剥離装置40は、第1吸着部41と、第2吸着部42と、反転機構44とを備える。
【0048】
第1吸着部41は、重合基板Tを上面で吸着保持する。第1吸着部41は、重合基板Tの下面(第1基板W1側の面)の全面を吸着保持する。第1吸着部41には、複数の昇降ピン45が設けられている。複数の昇降ピン45は、第1吸着部41を貫通して形成された貫通孔(図示せず)に挿通されており、昇降機構410により昇降自在に構成されている。
【0049】
第2吸着部42は、第1吸着部41の上方に配置され、重合基板Tを吸着保持する。第2吸着部42は、重合基板Tの上面(第2基板W2側の面)の全面を吸着保持する。第2吸着部42には、複数の昇降ピン46が設けられている。複数の昇降ピン46は、第2吸着部42を貫通して形成された貫通孔(図示せず)に挿通されており、昇降機構460により昇降自在に構成されている。反転機構44は、第2吸着部42および複数の昇降ピン46を一体的に反転させる。
【0050】
ここで、剥離装置40による剥離処理の動作例について図6図11を参照して説明する。図6図11は、剥離装置40による剥離処理の動作例を示す図である。
【0051】
重合基板Tは、第2搬送装置70によって剥離装置40に搬入され、第1吸着部41の上面から突出した複数の昇降ピン45上に載置される(図6参照)。
【0052】
つづいて、剥離装置40は、昇降機構410を用いて第1吸着部41を上昇させることにより、複数の昇降ピン45上に載置された重合基板Tを第1吸着部41の上面に載置させる(図7参照)。その後、剥離装置40は、第1吸着部41を用いて重合基板Tを吸着保持する。
【0053】
つづいて、剥離装置40は、第1吸着部41をさらに上昇させて、重合基板Tの上面を第2吸着部42の下面(吸着面)に接触させる(図8参照)。その後、剥離装置40は、第2吸着部42を用いて重合基板Tを吸着保持する。
【0054】
つづいて、剥離装置40は、重合基板Tの上下面を第1吸着部41および第2吸着部42で吸着保持した状態で、昇降機構410を用いて第1吸着部41を下降させる。これにより、重合基板Tは、第1基板W1と第2基板W2とに分離する(図9参照)。剥離装置40は、第1吸着部41による第1基板W1の吸着保持を解除する。
【0055】
つづいて、剥離装置40は、反転機構44を用いて第2吸着部42および複数の昇降ピン46を反転させる(図10参照)。その後、剥離装置40は、第2吸着部42による第2基板W2の吸着保持を解除する。
【0056】
つづいて、剥離装置40は、第1吸着部41を下降させることにより、第1基板W1を複数の昇降ピン45に受け渡す(図11参照)。また、剥離装置40は、昇降ピン46を上昇させることにより、第2基板W2を複数の昇降ピン46に受け渡す。その後、第1基板W1および第2基板W2は、第2搬送装置70によって剥離装置40から搬出される。なお、第2搬送装置70は、第1保持部71を用いて第1基板W1を下方からすくい上げることにより、複数の昇降ピン45上に載置された第1基板W1を受け取り、受け取った第1基板W1を吸着保持する。同様に、第2搬送装置70は、第2保持部72を用いて第2基板W2を下方からすくい上げることにより、複数の昇降ピン46上に載置された第2基板W2を受け取り、受け取った第2基板W2を吸着保持する。第2搬送装置70は、第1基板W1および第2基板W2を同時に搬出してもよいし、順次搬出してもよい。
【0057】
<洗浄装置50>
次に、洗浄装置50の構成について図12を参照して説明する。図12は、実施形態に係る洗浄装置50の構成を示す模式的な側面図である。
【0058】
図12に示すように、洗浄装置50は、チャンバ51と、基板保持機構52と、処理液供給部54と、回収カップ55とを備える。
【0059】
チャンバ51は、基板保持機構52と処理液供給部54と回収カップ55とを収容する。チャンバ51の天井部には、FFU(Fan Filter Unit)511が設けられる。FFU511は、チャンバ51内にダウンフローを形成する。
【0060】
基板保持機構52は、保持部521と、支柱部522と、駆動部523とを備える。保持部521は、第1基板W1または第2基板W2を水平に保持する。支柱部522は、鉛直方向に延在する部材であり、基端部が駆動部523によって回転可能に支持され、先端部において保持部521を水平に支持する。駆動部523は、支柱部522を鉛直軸まわりに回転させる。かかる基板保持機構52は、駆動部523を用いて支柱部522を回転させることによって支柱部522に支持された保持部521を回転させ、これにより、保持部521に保持された第1基板W1または第2基板W2を回転させる。
【0061】
処理液供給部54は、第1基板W1または第2基板W2に対して洗浄液を供給する。処理液供給部54は、処理流体供給源541に接続される。
【0062】
回収カップ55は、保持部521を取り囲むように配置され、保持部521の回転によって第1基板W1または第2基板W2から飛散する処理液を捕集する。回収カップ55の底部には、排液口551が形成されており、回収カップ55によって捕集された洗浄液は、かかる排液口551から洗浄装置50の外部へ排出される。また、回収カップ55の底部には、FFU511から供給される気体を洗浄装置50の外部へ排出する排気口552が形成される。
【0063】
<制御装置80>
次に、制御装置80の構成について図13を参照して説明する。図13は、実施形態に係る制御装置80の構成を示すブロック図である。
【0064】
図13に示すように、制御装置80は、たとえばコンピュータであり、制御部81および記憶部82を備える。記憶部82には、除去処理や剥離処理などの各種処理を制御するプログラムが格納される。制御部81は、記憶部82に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって剥離システム1の動作を制御する。
【0065】
なお、かかるプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記録媒体に記録されていたものであって、その記録媒体から制御装置80の記憶部82にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記録媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
【0066】
制御部81は、検知部101、第1搬送装置22、除去装置30、剥離装置40、洗浄装置50および第2搬送装置70等と電気的に接続されており、第1搬送装置22、除去装置30、剥離装置40、洗浄装置50および第2搬送装置70等の動作を制御する。特に、実施形態に係る制御部81は、検知部101による検知結果、すなわち、除去装置30における重合基板Tの上面までの距離Dの測定結果に応じて、基板(第1基板W1、第2基板W2または重合基板T)の搬送ルートを変更する。
【0067】
次に、剥離システム1の具体的動作について図14を参照して説明する。図14は、実施形態に係る剥離システム1が実行する処理の手順を示すフローチャートである。なお、図14に示す一連の処理は、制御部81による制御に従って実行される。
【0068】
図14に示すように、剥離システム1では、まず、搬入処理が行われる(ステップS101)。搬入処理では、第1搬送装置22が第1カセットC1から重合基板Tを取り出して第3処理ブロックG3に配置されたトランジション装置に載置する。つづいて、第2搬送装置70がトランジション装置から重合基板Tを取り出して除去装置30に搬入する。除去装置30は、複数の昇降ピン32を下降させることにより、複数の昇降ピン32上に載置された重合基板Tをチャック31に受け渡す。そして、除去装置30は、チャック31を用いて重合基板Tを吸着保持する。
【0069】
つづいて、剥離システム1では、処理前測定処理が行われる(ステップS102)。処理前測定処理では、検知部101を用いて重合基板Tの上面までの距離Dを測定する。
【0070】
つづいて、剥離システム1では、除去処理が行われる(ステップS103)。これにより、重合基板Tから分離層Pが除去される。
【0071】
つづいて、剥離システム1では、処理後測定処理が行われる(ステップS104)。処理後測定処理では、検知部101を用いて重合基板Tの上面までの距離Dを再度測定する。
【0072】
つづいて、制御部81は、除去処理によって重合基板Tの剥離が達成されたか否かを判定する(ステップS105)。具体的には、重合基板Tの剥離が達成されている場合、すなわち、分離層Pが完全に除去されて重合基板Tが第1基板W1と第2基板W2とに完全に分離している場合、第2基板W2が第1基板W1から浮き上がることで距離Dが小さくなる。あるいは、第2基板W2が沈むことで距離Dが大きくなる場合もある。いずれの場合であっても、重合基板Tの剥離が達成された場合には、距離Dが変化することとなる。
【0073】
制御部81は、処理前測定処理における測定結果(除去処理前の距離D)と、処理後測定処理における測定結果(除去処理後の距離D)との差の絶対値が閾値を超えている場合、重合基板Tの剥離が達成されたと判定する。
【0074】
ステップS105において重合基板Tの剥離が達成されたと判定した場合(ステップS105,Yes)、剥離システム1では、洗浄処理が行われる(ステップS106)。
【0075】
洗浄処理では、第2搬送装置70が除去装置30から第2基板W2を搬出して洗浄装置50に搬入する。具体的には、第2搬送装置70は、第2保持部72の吸着パッド721を下方に向けた状態で、第2保持部72を用いて第2基板W2の上面を吸着保持する。つづいて、第2搬送装置70は、昇降機構75を用いて第2保持部72を上昇させることによって第2基板W2を持ち上げた後、第2基板W2を除去装置30から取り出す。つづいて、第2搬送装置70は、反転機構77を用いて第2保持部72を反転させることにより、第2基板W2を反転させる。その後、第2搬送装置70は、剥離面を上方に向けた第2基板W2を洗浄装置50へ搬入する。そして、洗浄装置50は、第2基板W2の剥離面を洗浄する。
【0076】
また、第2搬送装置70は、第1基板W1を搬出して洗浄装置50に搬入する。具体的には、除去装置30は、チャック31による吸着保持を解除した後、昇降機構320を用いて複数の昇降ピン32を上昇させる。その後、第2搬送装置70は、複数の昇降ピン32に支持された第1基板W1を下方からすくい上げるようにして第1基板W1を受け取り、受け取った第1基板W1を洗浄装置50へ搬入する。
【0077】
なお、ここでは、第1基板W1および第2基板W2の両方が洗浄装置50によって洗浄される場合の例を示したが、剥離システム1は、必ずしも第2基板W2を洗浄することを要しない。第2基板W2の洗浄を行わない場合、剥離システム1は、第2基板W2に対する洗浄処理を省略して後述する搬出処理を行ってもよい。
【0078】
つづいて、剥離システム1では、第1基板W1および第2基板W2の搬出処理が行われる。搬出処理では、第2搬送装置70が洗浄処理後の第1基板W1を洗浄装置50から取り出して第3処理ブロックG3のトランジション装置に載置する。その後、第1搬送装置22がトランジション装置から第1基板W1を取り出して第2カセットC2に収容する。同様に、第2搬送装置70は、洗浄処理後の第2基板W2を洗浄装置50から取り出して第3処理ブロックG3のトランジション装置に載置する。その後、第1搬送装置22がトランジション装置から第2基板W2を取り出して第3カセットC3に収容する。なお、第2基板W2の洗浄処理を行わない場合、第2搬送装置70は、除去装置30から第2基板W2を取り出して第3処理ブロックG3のトランジション装置に載置する。
【0079】
一方、ステップS105において重合基板Tの剥離が達成されていない場合(ステップS105,No)、剥離システム1では、剥離処理が行われる(ステップS108)。
【0080】
剥離処理では、まず、第2搬送装置70が除去装置30から重合基板Tを取り出して剥離装置40へ搬入する。その後、剥離装置40は、重合基板Tに対して上述した剥離処理を行うことにより、重合基板Tを第1基板W1と第2基板W2とに分離させる。
【0081】
その後、剥離システム1では、洗浄処理(ステップS106)および搬出処理(ステップS107)が行われる。具体的には、第2搬送装置70は、第1基板W1および第2基板W2を剥離装置40から洗浄装置50へ順次搬送し、洗浄装置50は、搬送された第1基板W1および第2基板W2に対して順次洗浄処理を行う。なお、剥離システム1は、必ずしも第2基板W2の洗浄処理を行うことを要しない。
【0082】
ステップS107の搬出処理を終えると、剥離システム1は、一連の剥離処理を終える。
【0083】
重合基板Tの接合状態(たとえば、接合強度や分離層Pの厚さ等)は、重合基板T間で異なる場合がある。また、除去処理におけるレーザ照射の状態が処理ごとに異なる場合もある。このような状況から、除去処理後の重合基板Tの剥離状態は、重合基板T間で異なることがある。すなわち、除去処理によって第1基板W1と第2基板W2とに適切に分離される重合基板Tもあれば、分離層Pが除去しきれずに第1基板W1と第2基板W2とが完全には分離されていない重合基板Tもある。
【0084】
そこで、実施形態に係る剥離システム1では、検知部101による検知結果に基づいて除去処理によって重合基板Tの剥離が達成されたか否かを判定し、判定結果に応じてその後の処理を変えることとした。すなわち、剥離システム1は、重合基板Tの剥離が達成されている場合には、分離された第1基板W1および第2基板W2を洗浄および搬出する一方、重合基板Tの剥離が達成されていない重合基板Tについては、剥離装置40による剥離処理を行うこととした。
【0085】
かかる剥離システム1では、重合基板Tの剥離が達成されていない重合基板Tについてのみ剥離処理が行われ、剥離が達成された重合基板Tに対して剥離処理が行われることがない。したがって、実施形態に係る剥離システム1によれば、一連の剥離処理の効率化を図ることができる。
【0086】
(第1変形例)
図15は、第1変形例に係る検知部の構成例を示す図である。また、図16および図17は、第1変形例に係る剥離状態判定処理の動作例を示す図である。
【0087】
上述した実施形態では、検知部101が、除去装置30のチャック31に載置された重合基板Tの上面までの距離Dを測定する距離測定部である場合の例について説明した。しかし、検知部101は、必ずしも距離測定部であることを要しない。
【0088】
たとえば、図15に示すように、剥離システム1は、検知部103を備えていてもよい。検知部103は、昇降機構75に設けられ、昇降機構75に係る荷重またはトルクを検知する荷重検知部である。荷重検知部としての検知部103は、たとえばロードセルまたはトルクセンサである。
【0089】
また、剥離システム1は、検知部102を備えていてもよい。検知部102は、第2搬送装置70の第2保持部72が有する吸着パッド721の吸引圧を検知する圧力検知部である。圧力検知部としての検知部102は、たとえば吸引管722の中途部に設けられる。
【0090】
図16に示すように、除去処理の終了後、制御部81は、チャック31に重合基板Tを吸着保持させた状態で、第2搬送装置70に対し、第2保持部72の吸着パッド721を用いて重合基板Tの上面を吸着保持させる。その後、制御部81は、第2搬送装置70の昇降機構75を用いて第2保持部72を上昇させる。荷重検知部としての検知部103は、第2保持部72を上昇させたときに昇降機構75にかかる荷重を検知する。
【0091】
制御部81は、検知部103によって検知された荷重が閾値を超えているか否かを判定する。そして、検知部103によって検知された荷重が閾値以下である場合、制御部81は、除去処理によって重合基板Tの剥離が達成されたと判定する。一方、制御部81は、検知部103によって検知された荷重が閾値を超えている場合、除去処理による重合基板Tの剥離が達成されていないと判定する。この場合、制御部81は、かかる重合基板Tに対して剥離装置40による剥離処理を行う。
【0092】
また、圧力検知部としての検知部102は、第2保持部72を上昇させた場合における吸着パッド721の吸引圧を検知する。ここで、除去処理において重合基板Tの剥離が達成されていない場合において、第1基板W1と第2基板W2との接合力が吸着パッド721の吸引力より大きいと、図17に示すように、重合基板Tの上面から吸着パッド721が外れてしまう。このとき検知部102によって検知される吸引圧は急激に低下することとなる。そこで、制御部81は、検知部102によって検知される吸引圧が閾値以下である場合に、除去処理による重合基板Tの剥離が達成されていないと判定する。この場合、制御部81は、かかる重合基板Tに対して剥離装置40による剥離処理を行う。一方、制御部81は、検知部102によって検知される吸引圧が閾値を超えている場合、除去処理によって重合基板Tの剥離が達成されたと判定する。
【0093】
なお、ここでは、剥離システム1が検知部102および検知部103の両方を備える場合の例について説明したが、剥離システム1は、検知部102および検知部103のいずれか一方のみを備える構成であってもよい。
【0094】
(第2変形例)
図18は、第2変形例に係る剥離システム1の構成を示す模式的な平面図である。また、図19および図20は、第2変形例に係る剥離処理の動作例を示す図である。
【0095】
上述してきた実施形態では、剥離システム1が、剥離装置40および洗浄装置50を備える場合の例について説明した。しかし、剥離システム1の構成は、上記の例に限定されない。
【0096】
たとえば、図18に示すように、剥離システム1は、剥離装置40および洗浄装置50を備えない構成であってもよい。剥離システム1は、少なくとも搬入出ステーション2、第3処理ブロックG3(トランジション装置)、除去装置30および第2搬送装置70を備える構成であってもよい。
【0097】
制御部81は、たとえば距離測定部としての検知部101による検知結果に基づいて除去処理による重合基板Tの剥離が達成されていないと判定したとする。この場合、図19に示すように、除去処理の終了後、制御部81は、チャック31に重合基板Tを吸着保持させた状態で、第2搬送装置70に対し、第2保持部72の吸着パッド721を用いて重合基板Tの上面を吸着保持させる。
【0098】
その後、制御部81は、図20に示すように、第2搬送装置70の昇降機構75を用いて第2保持部72を上昇させることにより、重合基板Tを第1基板W1と第2基板W2とに分離させる。かかる構成によれば、剥離装置40を別途用意することなく、除去処理によって剥離が達成されなかった重合基板Tを第1基板W1と第2基板W2とに分離させることができる。
【0099】
(その他の変形例)
上述した実施形態では、除去装置30において重合基板Tの剥離が達成されたか否かを判定し、剥離が達成されていない重合基板Tに対してのみ剥離処理を実行することとした。これに限らず、剥離システム1は、除去装置30において分離層Pの一部が敢えて残るように除去処理を行ったうえで、除去処理後の重合基板Tの全てに対して剥離装置40による剥離処理を行ってもよい。たとえば、剥離システム1は、除去装置30において重合基板Tの外周部に位置する分離層Pを残し、それ以外の分離層Pを除去するようにしてもよい。また、剥離システム1は、除去装置30において重合基板Tの中央部に位置する分離層Pを残し、それ以外の分離層Pを除去するようにしてもよい。
【0100】
また、剥離システム1は、第2搬送装置70の第1保持部71と第2保持部72とを用いて剥離処理を行ってもよい。具体的には、第2搬送装置70は、第1保持部71の吸着パッド711を用いて重合基板Tの下面を吸着保持し、第2保持部72の吸着パッド721を用いて重合基板Tの上面を吸着保持する。そして、制御部81は、昇降機構75を用いて第1保持部71と第2保持部72とが離れるように制御する。たとえば、制御部81は、第2保持部72の高さを維持した状態で第1保持部71を下降させてもよいし、第1保持部71の高さを維持した状態で第2保持部72を上昇させてもよい。また、制御部81は、第1保持部71を下降させるとともに第2保持部72を上昇させてもよい。これにより、重合基板Tを第1基板W1と第2基板W2とに分離させることができる。
【0101】
上述してきたように、実施形態に係る剥離システム(一例として、剥離システム1)は、載置部(一例として、載置部10)と、除去装置(一例として、除去装置30)と、搬送装置(一例として、第1搬送装置22、第2搬送装置70)とを備える。載置部は、第1基板(一例として、第1基板W1)と第2基板(一例として、第2基板W2)とが分離層(一例として、分離層P)を介して接合された重合基板(一例として、重合基板T)を収容可能な第1カセット(一例として、第1カセットC1)、第1基板を収容可能な第2カセット(一例として、第2カセットC2)および第2基板を収容可能な第3カセット(一例として、第3カセットC3)が載置される。除去装置は、重合基板にレーザを照射して分離層を除去する。搬送装置は、重合基板を除去装置に搬送する処理、および、重合基板から分離された第1基板ならびに第2基板を載置部に搬送する処理を行う。
【0102】
したがって、実施形態に係る剥離システムによれば、一連の剥離処理の効率化を図ることができる。
【0103】
実施形態に係る剥離システムは、除去装置において重合基板の剥離状態を検知する検知部(一例として、検知部101~103)と、検知部による検知結果に基づき、重合基板が第1基板と第2基板とに分離したか否かを判定する制御部(一例として、制御部81)とを備えていてもよい。この場合、制御部は、重合基板が第1基板と第2基板とに分離したと判定した場合に、搬送装置を制御して、除去装置から第1基板および第2基板を搬出して載置部に搬送してもよい。これにより、除去装置によって剥離されなかった重合基板を誤って載置部に搬送してしまうことを抑制することができる。
【0104】
検知部(一例として、検知部101)は、除去装置内における重合基板の上方に配置され、重合基板の上面までの距離を測定してもよい。この場合、制御部は、除去装置による処理前に検知部によって測定された距離と、除去装置による処理後に検知部によって測定された距離との差の絶対値が閾値を超えた場合に、重合基板が第1基板と第2基板とに分離したと判定してもよい。これにより、除去装置によって重合基板の剥離が達成されたか否かを判定することができる。
【0105】
搬送装置(一例として、第2搬送装置70)は、吸引によって物体を保持する吸着保持部(一例として、第2保持部72)と、吸着保持部を昇降させる昇降機構(一例として、昇降機構75)とを備えていてもよい。この場合、検知部(一例として、検知部102)は、吸着保持部の吸引圧を検知してもよい。また、制御部は、除去装置による処理後、重合基板の下面が除去装置に吸着保持された状態で、搬送装置を制御して、重合基板の上面を吸着保持部にて吸着保持して吸着保持部を上昇させた際に検知部によって検知された吸引圧が閾値を超えている場合に、重合基板が第1基板と第2基板とに分離したと判定してもよい。これにより、除去装置によって重合基板の剥離が達成されたか否かを比較的簡易な構成で判定することができる。
【0106】
搬送装置は、吸引によって物体を保持する吸着保持部と、吸着保持部を昇降させる昇降機構とを備えていてもよい。この場合、検知部(一例として、検知部103)は、昇降機構にかかる荷重またはトルクを検知してもよい。また、制御部は、除去装置による処理後、重合基板の下面が除去装置に吸着保持された状態で、搬送装置を制御して、重合基板の上面を吸着保持部にて吸着保持して吸着保持部を上昇させた際に検知部によって検知された荷重またはトルクが閾値以下である場合に、重合基板が第1基板と第2基板とに分離したと判定してもよい。これにより、除去装置によって重合基板の剥離が達成されたか否かを比較的簡易な構成で判定することができる。
【0107】
搬送装置は、吸着保持部を反転させる反転機構(一例として、反転機構77)を備えていてもよい。これにより、除去装置から下向きの状態で取り出された第2基板を搬送装置上で反転させることができる。
【0108】
実施形態に係る剥離システムは、重合基板を第1基板側から吸着する第1吸着部(一例として、第1吸着部41)と、重合基板を第2基板側から吸着する第2吸着部(一例として、第2吸着部42)と、第1吸着部および第2吸着部の一方を他方から離れる方向に移動させる昇降機構(一例として、昇降機構410)とを備えた剥離装置を備えていてもよい。剥離装置は、重合基板を第1吸着部および第2吸着部を用いて吸着した状態で、昇降機構を用いて第1吸着部および第2吸着部の一方を他方から離れる方向に移動させることによって重合基板を第1基板と第2基板とに分離させる。この場合、制御部は、重合基板が第1基板と第2基板とに分離していないと判定した場合に、搬送装置を制御して、重合基板を除去装置から剥離装置に搬送し、剥離装置を制御して、重合基板を第1基板と第2基板とに分離させてもよい。これにより、除去装置において剥離が達成されなかった重合基板を剥離装置により確実に剥離させることができる。
【0109】
実施形態に係る剥離システムは、重合基板から分離された第1基板および第2基板の少なくとも一方を洗浄する洗浄装置(一例として、洗浄装置50)を備えていてもよい。これにより、たとえば、第1基板または第2基板の剥離面に残存する分離層を洗浄により除去することができる。
【0110】
搬送装置は、吸引によって物体を保持する吸着保持部と、吸着保持部を昇降させる昇降機構とを備えていてもよい。この場合、制御部は、除去装置による処理後、重合基板の下面が除去装置に吸着保持された状態で、搬送装置を制御して、重合基板の上面を吸着保持部にて吸着保持して吸着保持部を上昇させることによって重合基板を第1基板と第2基板とに分離させてもよい。これにより、重合基板を剥離させる専用の装置を別途設けることなく、除去装置において剥離が達成されなかった重合基板を剥離させることができる。
【0111】
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上記した実施形態は多様な形態で具現され得る。また、上記の実施形態は、添付の特許請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0112】
1 剥離システム
2 搬入出ステーション
3 処理ステーション
10 載置部
20 搬送領域
30 除去装置
40 剥離装置
50 洗浄装置
60 搬送領域
70 第2搬送装置
80 制御装置
81 制御部
82 記憶部
101~103 検知部
D 距離
F 表面膜
P 分離層
T 重合基板
W1 第1基板
W2 第2基板
図1
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