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特開2023-82305ディスク型ロータ及びディスク型ロータを補修する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023082305
(43)【公開日】2023-06-14
(54)【発明の名称】ディスク型ロータ及びディスク型ロータを補修する方法
(51)【国際特許分類】
   D21B 1/14 20060101AFI20230607BHJP
   D21C 5/02 20060101ALI20230607BHJP
   D21D 5/02 20060101ALI20230607BHJP
【FI】
D21B1/14
D21C5/02
D21D5/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021195976
(22)【出願日】2021-12-02
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】521527598
【氏名又は名称】株式会社IHIフォイトペーパーテクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】岩重 尚之
(72)【発明者】
【氏名】織戸 慧
(72)【発明者】
【氏名】堂阪 敏夫
(72)【発明者】
【氏名】田中 正守
【テーマコード(参考)】
4L055
【Fターム(参考)】
4L055AA11
4L055BB03
4L055CA16
4L055CA21
4L055CA22
4L055FA22
4L055FA30
(57)【要約】
【課題】ディスク型ロータの補修作業及び回転駆動軸へのディスク型ロータの取付け作業を容易にする技術を提供する。
【解決手段】製紙原料中の原料から異物を少なくとも離解する処理機用のディスク型ロータ1であって、処理機100の回転駆動軸133に相対回転不能にかつ着脱自在に取り付けられるボス10と、ボス10に対して分解可能に取り付けられたロータブレード20と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製紙原料中の原料から異物を少なくとも離解する処理機用のディスク型ロータであって、
前記処理機の回転駆動軸に相対回転不能にかつ着脱自在に取り付けられるボスと、
前記ボスに対して分解可能に取り付けられたロータブレードと、
を備えることを特徴とするディスク型ロータ。
【請求項2】
前記ボスは、前記回転駆動軸に同心的に取り付けられる筒状の本体部を有し、
前記ロータブレードは、前記本体部の周に沿って同心的に該本体部に着脱可能に取り付けられる環状の取付部と、該取付部から外側に延出する少なくとも1つのベーン部と、を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のディスク型ロータ。
【請求項3】
前記処理機に取り付けられた状態において、前記ボスは、前記処理機に面する面に着脱可能な環状のプレートを有することを特徴とする請求項1又は2に記載のディスク型ロータ。
【請求項4】
前記請求項1から3までのいずれか一項に記載のディスク型ロータを備えることを特徴とする製紙原料中の原料から異物を少なくとも離解する処理機。
【請求項5】
前記請求項1から3までのいずれか一項に記載のディスク型ロータを補修する方法であって、
前記ディスク型ロータを前記回転駆動軸から取り外す取外し工程と、
前記ボスと前記ロータブレードとを分解する分解工程と、
前記ロータブレードを補修する補修工程と、
を含む
ことを特徴とするディスク型ロータを補修する方法。
【請求項6】
前記補修工程において、前記ロータブレードのボスの周に沿って同心的に取り付けられる環状の取付部に、所定の治具を取り付けて前記ロータブレードを補修することを特徴とする請求項5に記載のディスク型ロータを補修する方法。
【請求項7】
前記処理機に面する前記ボスの面に取り付けられた環状のプレートを新たな環状のプレートと交換する交換工程をさらに含むことを特徴とする請求項5又は6に記載のディスク型ロータを補修する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク型ロータ及びディスク型ロータを補修する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙パルプ工場等で古紙を原料として紙、板紙、ファイバーボード等を製造する際に、製紙原料を良質の繊維を含む原料と、プラスチックや砂等の異物とを離解する離解濾過装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
パルパデトラッシャでは、例えば、異物の割合が多い古紙を多く含む製紙原料が投入された容器に、水が注入される。容器の底部には、紙料の混合撹拌を促進させるロータと、紙料スラリを濾過させるスクリーンプレートとが設けられている。
【0004】
特許文献1におけるロータは、回転軸の上端部にロータカバーを被せて回転可能に組み付けられている。ロータは、回転中心(回転軸)から径外方向に延びる4枚の撹拌羽根(ベーン部)を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-219388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ロータの回転方向において、攪拌羽根の前縁には補強及び離解促進を目的として、例えば、肉盛溶接が施されていることがある。しかしながら、異物を多く含む製紙原料を攪拌するロータにおいてベーン部の前縁は、異物との衝突により経年変形することがある。
【0007】
ロータのベーン部を補修する場合、回転軸からロータを取り外して、再度、肉盛溶接をベーン部の前縁に施すことになる。しかしながら、例えば、スチール製のロータの場合、溶接作業時に発生する熱により、回転軸が挿通されるボス部が変形することがある。
【0008】
ロータと回転軸とは互いに同心的に取り付けられていることが極めて重要であり、ロータをボス部において回転軸に取り付ける際には互いの軸心を一致させるように調整する作業が必要になる。補修後のロータは、回転軸が挿通されるボス部が変形していることがあるため、再度、補修後のロータを回転軸に挿入する場合には、補修前にロータ及び回転軸が互いに同心状に取り付けられていたとしても、再度、互いに同心状に取り付ける調整作業が必要になる。
【0009】
そこで、本発明は、ディスク型ロータの補修作業及び回転駆動軸へのディスク型ロータの取付け作業を容易にする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、製紙原料中の原料から異物を少なくとも離解する処理機用のディスク型ロータであって、前記処理機の回転駆動軸に相対回転不能にかつ着脱自在に取り付けられるボスと、前記ボスに対して分解可能に取り付けられたロータブレードと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、ロータの補修作業及びロータの交換作業並びに回転軸へのロータの取付け作業を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係るディスク型ロータが適用されるパルパデトラッシャの構成を概略的に示す図である。
図2】回転駆動軸に沿った撹拌部の断面図である。
図3A】本実施の形態に係るディスク型ロータの斜視図である。
図3B図3AにおけるB-B線に沿った断面図である。
図3C】本実施の形態に係るディスク型ロータの分解斜視図である。
図4A】軸線に沿ったボスの断面図である。
図4B】キャップの側から見たボスの平面図である。
図4C】ボスをロータブレードの側から見た平面図である。
図5A】軸線に沿ったウェアプレートの断面図である。
図5B】ウェアプレートを図5Aの矢印Bの方向から見た平面図である。
図6A】軸線に沿ったロータブレードの断面図である。
図6B図6Aにおける矢印B方向からロータブレードを見た平面図である。
図6C図6Aにおける矢印C方向からロータブレードを見た平面図である。
図7A】ブッシングの斜視図である。
図7B図7AにおけるB方向からブッシングを見た平面図である。
図7C図7BにおけるC-C線に沿ったブッシングの断面図である。
図8A】キャップを外側から見た平面図である。
図8B図8AにおけるB-B線に沿った断面図である。
図9】ディスク型ロータを補修する方法の工程を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
まず、本発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。なお、以下の説明では、一例として、発明の構成要素に対応する図面上の参照符号を、括弧を付して記載している。
【0014】
〔1〕本発明は、製紙原料中の原料から異物を少なくとも離解する処理機用のディスク型ロータ(1)であって、処理機(100)の回転駆動軸(133)に相対回転不能にかつ着脱自在に取り付けられるボス(10)と、ボス(10)に対して分解可能に取り付けられたロータブレード(20)と、を備えることを特徴とする。
【0015】
〔2〕上記ディスク型ロータ(1)において、ボス(10)は、回転駆動軸(133)に同心的に取り付けられる筒状の本体部(11)を有し、ロータブレード(20)は、本体部(11)の周に沿って同心的に本体部(11)に着脱可能に取り付けられる環状の取付部(21)と、取付部(21)から外側に延出する少なくとも1つのベーン部(22)と、を有していてもよい。
【0016】
〔3〕上記ディスク型ロータ(1)において、処理機(100)に取り付けられた状態において、ボス(10)は、処理機(100)に面する面(11a)に着脱可能な環状のプレート(14)を有していてもよい。
【0017】
〔4〕さらに、本発明は、上記〔1〕から〔3〕までのいずれか一に記載のディスク型ロータ(1)を備えることを特徴とする製紙原料中の原料から異物を少なくとも離解する処理機(100)である。
【0018】
〔5〕さらに、本発明は、上記〔1〕から〔3〕までのいずれか一に記載のディスク型ロータ(1)を補修する方法であって、ディスク型ロータ(1)を回転駆動軸(133)から取り外す取外し工程(S1)と、ボス(10)とロータブレード(20)とを分解する分解工程(S2)と、ロータブレード(20)を補修する補修工程(S3)と、を含むことを特徴とする。
【0019】
〔6〕上記ディスク型ロータ(1)を補修する方法の補修工程(S3)において、前記ロータブレードのボスの周に沿って同心的に取り付けられる環状の取付部に、所定の治具を取り付けてロータブレード(20)を補修してもよい。
【0020】
〔7〕上記ディスク型ロータ(1)を補修する方法の補修工程において、処理機(100)に面するボス(10)の面に取り付けられた環状のプレート(14)を新たな環状のプレート(14)と交換する交換工程(S4)をさらに含んでいてもよい。
【0021】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率等が異なる部分が含まれている場合がある。
【0022】
本発明に係るディスク型ロータ1は、製紙原料中の原料から異物を少なくとも離解するパルパデトラッシャ100(処理機)に用いられる。なお、本発明に係るディスク型ロータ1が適用される装置は、パルパデトラッシャ100に限定されず、製紙原料を良質な繊維を含む製紙原料と異物を含む製紙原料とに選別するスクリーン装置においても用いることができる。
【0023】
図1は、本発明に係るディスク型ロータ1が適用されるパルパデトラッシャ100の構成を概略的に示す図である。パルパデトラッシャ100は、容器110と、撹拌部120と、駆動部130と、を有する。容器110は、供給口111と、リジェクト112と、を有する。
【0024】
供給口111を通じて容器110内に外部から製紙原料が供給される。供給口111を通じて供給された製紙原料は、容器110の下方から上方に向かって撹拌部120へ圧送ポンプ(図示せず)によって供給される。撹拌後に異物を含む製紙原料の一部は、リジェクト112を通じて容器110の外部へ排出される。
【0025】
撹拌部120は、容器110の上部に位置している。撹拌部120は、タンク121と、スクリーンボックス122と、を有する。スクリーンボックス122は、タンク121の上部に位置する。スクリーンボックス122は、排出口123を有する。後述する撹拌部120において撹拌された製紙原料のうち、異物から離解された良質の繊維を含む製紙原料は、排出口123を通じて、例えば、抄紙機へと送り出される。
【0026】
スクリーンボックス122は、タンク121に対してスクリーンプレート(図示せず)によって仕切られている。タンク121において、容器110から圧送されてきた製紙原料は、後述するディスク型ロータ1によって、異物と、異物から離解された良質の繊維を含む製紙原料とに分けられる。スクリーンプレートを通じてさらに選別された良質な繊維を含む製紙原料は、スクリーンボックス122内に送り込まれる。
【0027】
駆動部130は、駆動モータ131と、伝動ベルト132と、回転駆動軸133と、ディスク型ロータ1と、を有する。駆動モータ131のモータシャフト(図示せず)の一端には、例えば、プーリを介して伝動ベルト132が係合している。伝動ベルト132は、例えば、無端のVベルトとして形成されており、モータシャフト側のプーリと、回転駆動軸133側のプーリとに巻き掛けられている。
【0028】
回転駆動軸133は、伝動ベルト132を介して駆動モータ131から伝達された動力によって回転する。図2は、回転駆動軸133に沿った撹拌部120の断面図である。回転駆動軸133の先端は、スクリーンボックス122を抜けて、タンク121内に突入している。タンク121内に突入している回転駆動軸133の部分には、ディスク型ロータ1が取り付けられている。
【0029】
図3Aは、本実施の形態に係るディスク型ロータ1の斜視図である。図3Bは、図3AにおけるB-B線に沿った断面図である。図3Cは、本実施の形態に係るディスク型ロータの分解斜視図である。ディスク型ロータ1は、ボス10と、ウェアプレート14と、ロータブレード20と、ブッシング30と、キャップ40と、を備える。ディスク型ロータ1は、回転駆動軸133に取り付けられた状態において、スクリーンボックス122の側からキャップ40、ボス10及びロータブレード20の順に互いに連結されている。
【0030】
本実施の形態に係る製紙原料中の原料から異物を少なくとも離解するパルパデトラッシャ100用のディスク型ロータ1は、パルパデトラッシャ100の回転駆動軸133に相対回転不能にかつ着脱自在に取り付けられるボス10と、ボス10に対して分解可能に取り付けられたロータブレード20と、を備えることを特徴とする。以下、ディスク型ロータ1の構成について具体的に説明する。
【0031】
図4Aは、軸線x2に沿ったボス10の断面図である。図4Bは、キャップ40の側から見たボス10の平面図である。図4Cは、ボス10をロータブレード20の側から見た平面図である。ディスク型ロータ1の中心を通る軸線x2は、回転駆動軸133に取り付けられた状態において、回転駆動軸133の回転軸線x1と同軸上又は略同軸上になっている。
【0032】
ボス10は、回転駆動軸133に対して後述するブッシング30を介して相対回動不能に取り付けられる部材である。ボス10は、平面視円形又は略円形の筒状に形成されている。ボス10は、本体部11と、フランジ部12と、を有する。
【0033】
本体部11は、例えば、スチール等の金属により形成されている。本体部11は、回転軸線x2に同心的に形成された挿通部13を有する。挿通部13には、ディスク型ロータ1が回転駆動軸133に取り付けられた状態(以下、「取付け状態」ともいう)において、回転駆動軸133の先端部が挿通されている。
【0034】
挿通部13は、取付け状態において、駆動部130の側に張出部13aを有する。張出部13aは、本体部11の内周面から回転軸線x2の側に張出した部分であり、中央に回転軸線x2周りに形成された開口13bを有する。開口13bの径は、挿通部13の径よりも小さく、回転駆動軸133の径よりも大きく設定されている。
【0035】
張出部13aには、周方向において、例えば、12個の孔13cが形成されている。孔13cは、周方向において互いに等間隔をあけて止まり孔として形成されている。孔13cの内周面にはネジ山が形成されている。孔13cにおいて、後述するブッシング30をボス10に連結するためのボルトB1(図3B参照)の先端部が螺合する。なお、孔13cの数は、特に限定されてない。
【0036】
張出部13aは、取付け状態において、ロータブレード20の側に向かって突出した環状凸部13dを有する。環状凸部13dは、開口13bの縁に沿って延在している。また、ロータブレード20の側の本体部11の端面11aには、周方向において、例えば、6個の孔11bが形成されている。孔11bは、周方向において互いに等間隔をあけて止まり孔として形成されている。孔11bにおいて、後述するウェアプレート14をボス10に連結するためのボルトB2(図3B参照)の先端部が螺合する。なお、孔11bの数は、特に限定されてない。
【0037】
本体部11の内周面は、軸線x2に沿って張出部13aから離れるにつれて軸線x2から離れるように傾斜して形成されている。
【0038】
本体部11の張出部13aとは反対の側の端面11cには、周方向において、例えば、6個の孔11dが形成されている。孔11dは、周方向において互いに等間隔をあけて止まり孔として形成されている。孔11dにおいて、後述するキャップ40をボス10に取り付けるためのボルトB3(図3B参照)の先端部が螺合する。なお、孔11dの数は、特に限定されてない。
【0039】
フランジ部12は、本体部11の外周面から径方向において外側に延出する部分である。フランジ部12は、本体部11の外周面に沿って環状に形成されている。フランジ部12は、本体部11の端面11aから、後述するロータブレード20の厚さだけ端面11cの側にずれた位置に設けられている。
【0040】
フランジ部12には、例えば、6つの貫通孔12aと、2つの止まり孔12bと、が形成されている。貫通孔12aは、それぞれ周方向において互いに等間隔をあけて設けられている。止まり孔12bは、径方向において互いに対向する位置に設けられている。
【0041】
貫通孔12aは、フランジ部12を厚さ方向において貫通して形成されている。貫通孔12aには、ボス10と、後述するロータブレード20とを連結するためのボルトB4(図3B参照)が挿通されるようになっている。止まり孔12bは、端面11aに面するフランジ部12の面の側に形成されている。止まり孔12bには、ボス10と、後述するロータブレード20とを連結する際の位置決め用のノックピンP(図3B参照)が挿通されるようになっている。
【0042】
図5Aは、軸線x2に沿ったウェアプレート14の断面図である。図5Bは、ウェアプレート14を図5Aの矢印Bの方向から見た平面図である。ウェアプレート14は、例えば、スチール等の金属により円盤状に形成されている。ウェアプレート14は、本体部11において端面11aに着脱可能に取り付けられている。ウェアプレート14の外径は、ボス10の本体部11の外径と同じ又は略同じである。
【0043】
ウェアプレート14は、外縁部に周方向において、例えば、例えば、6個の貫通孔14aが形成されている。貫通孔14aは、周方向において互いに等間隔をあけて厚さ方向に貫通した孔として形成されている。各孔14aには、ウェアプレート14をボス10の本体部11に取り付けるためのボルトB1が挿通される。
【0044】
ウェアプレート14は、軸線x2に対して同心的に形成された挿通開口15を有する。挿通開口15は、取付け状態において、ロータブレード20とは反対の側に張出部15aを有する。張出部15aは、挿通開口15の内周面から軸線x2の側に張り出した部分であり、中央に軸線x2に対して同心的な開口15bを有する。
【0045】
ウェアプレート14がボス10の本体部11に取り付けられた状態において、ウェアプレート14は、張出部15aにおいて本体部11の環状凸部13dに接触する。挿通開口15の内径よりも小さい径を有する開口15bは、テーパ状に形成されている。開口15bは、取付け状態において、駆動部130の側からボス10の側に向かって軸線x2に接近するように縮径して形成されている。
【0046】
挿通開口15の外径は、本体部11の環状凸部13dの外径と同じ又は略同じに設定されている。軸線x2に沿った挿通開口15の寸法は、本体部11の環状凸部13dにおける軸線x2に沿った寸法と同じ又は略同じである。
【0047】
図6Aは、軸線x2に沿ったロータブレード20の断面図である。図6Bは、図6Aにおける矢印B方向からロータブレード20を見た平面図である。図6Cは、図6Aにおける矢印C方向からロータブレード20を見た平面図である。
【0048】
ロータブレード20は、スチール等の金属により形成されている。ロータブレード20は、取付部21と、ベーン部22と、を有する。ロータブレード20は、取付部21において、ボス10の本体部11の周に沿って同心的に本体部11に着脱可能に取り付けられる環状の部分である。ロータブレード20は、軸線x2に同心状に形成された孔部23を有する。取付部21は、孔部23の周縁部に沿って形成されている。
【0049】
取付部21には、6つの貫通孔21aと、2つの止まり孔21bと、が形成されている。貫通孔21aは、それぞれ周方向において互いに等間隔をあけて設けられている。止まり孔21bは、径方向において互いに対向する位置に設けられている。
【0050】
貫通孔21aは、厚さ方向において貫通して形成されている。貫通孔21aには、ボス10との連結用のボルトB3が挿通されるようになっている。止まり孔21bは、ロータブレード20がボス10に連結された状態において、フランジ部12に面する面に形成されている。止まり孔21bには、ボス10のフランジ部12に連結する際の位置決め用のノックピンPが挿通されるようになっている。
【0051】
ロータブレード20の一対の止まり孔21bと、ボス10の一対の止まり孔12bとを整合させると、ロータブレード20の貫通孔21aと、ボス10の貫通孔12aとが整合するようになっている。
【0052】
ベーン部22は、取付部21から外側に延出する部分である。本実施の形態においては、3つのベーン部22が設けられている。ベーン部22は、回転駆動軸133の回転方向(矢印R方向)における前縁が円弧を描くように湾曲して形成されている。各ベーン部22は、回転方向Rにおいて等間隔をあけて設けられている。
【0053】
ベーン部22は、補強部24を有する。補強部24は、ロータブレード20の回転方向Rにおいて前方に位置する前縁に、例えば、肉盛り溶接により形成されている。ベーン部22は、補強部24においてベーン部22の他の部分より肉厚に形成されている。補強部24は、ベーン部22の前縁に沿って所定の長さにわたって延在している。
【0054】
図7Aは、ブッシング30の斜視図である。図7Bは、図7AにおけるB方向からブッシング30を見た平面図である。図7Cは、図7BにおけるC-C線に沿ったブッシング30の断面図である。ブッシング30は、例えば、樹脂等により製造された略円錐台状の筒状部材である。ブッシング30は、取付け状態において、ボス10の本体部11に収容されてボルトB1により本体部11に取り付けられている。
【0055】
ブッシング30の外径は、軸線x2に沿って一端から他端にわたって変化している。具体的には、ブッシング30がボス10に収容された状態において、張出部13aの側から、張出部13aとは反対の側に向かってブッシング30の外径は大きくなっている。
【0056】
ブッシング30は、スリット31と、挿通孔32と、を有する。スリット31は、軸線x3に沿って延在して、径方向においては挿通孔32にまで延在している。挿通孔32は、軸線x2に対して同心的に形成されている。ブッシング30に径方向からの負荷がかかっていない状態においては、挿通孔32の内径は、回転駆動軸133の外径よりも大きくなっている。ブッシング30がボス10に収容された状態において、ブッシング30に径方向から負荷がかかっている状態においては、挿通孔32の内径は、回転駆動軸133の外径と同じ又は略同じである。
【0057】
ブッシング30には、周方向において、例えば、12個の孔33が形成されている。孔33は、一方の端面から他方の端面にわたって貫通している。孔33は、周方向において互いに等間隔をあけて形成されている。孔33は、ボス10の側の孔13cと整合した状態において、ボルトB1が挿通されて、ボルトB1の先端部が孔13cにおいて螺合する。なお、孔33の数は、特に限定されず、ボス10の孔13cに合わせて適宜設定される。
【0058】
また、ブッシング30には、周方向において、例えば、6つの孔34が形成されている。孔34は、一方の端面から他方の端面にわたって貫通している。孔34は、周方向において互いに等間隔をあけて形成されていて、部分的に2つの孔33の間に配置されている。孔34には、ブッシング30をボス10から取り外す際に使用される抜きボルトが挿入される。なお、孔34の数は、特に限定されない。
【0059】
図8Aは、キャップ40を外側から見た平面図である。図8Bは、図8AにおけるB-B線に沿った断面図である。キャップ40は、例えば、樹脂等により略三角錐状に形成されている。キャップ40は、ボス10のロータブレード20とは反対の側の端面11cに取り付けられる。
【0060】
キャップ40には周縁部41から軸線x2に向かって盛り上がるように傾斜している。キャップ40の周縁部41には、周方向に、例えば、6つの孔42が形成されている。孔42は、ボス10の孔11dと整合した状態において、ボルトB2が挿入されて、ボルトB2の先端部が孔11dにおいて螺合する。なお、孔42の数は、特に限定されず、ボス10の孔11dに合わせて適宜設定される。
【0061】
<ディスク型ロータの補修方法>
図9は、ディスク型ロータ1を補修する方法の工程を示すフロー図である。ディスク型ロータ1が撹拌する製紙原料には、プラスチック等の異物が含まれていることがある。そのため、回転方向Rにおいて前方に位置するロータブレード20におけるベーン部22の、特に補強部24が摩耗してくることがある。
【0062】
本実施の形態に係るディスク型ロータ1を補修する方法は、ディスク型ロータ1を回転駆動軸133から取り外す取外し工程S1と、ボス10とロータブレード20とを分解する分解工程S2と、ロータブレード20のベーン部22を補修する補修工程S3と、を含み、補修工程S3において、ロータブレード20を取付部21においてボス10の本体部11と同じ外形を有する治具に取り付けてベーン部22を補修することを特徴とする。以下、ディスク型ロータ1を補修する方法について具体的に説明する。
【0063】
補強部24を補修するために、ディスク型ロータ1を回転駆動軸133から取り外す(取外し工程S1)。まず、キャップ40をボス10から取り外し、次いで、ブッシング30をボス10から引き抜く。これにより、回転駆動軸133とディスク型ロータ1とは互いに分離可能になる。
【0064】
次いで、ボス10とロータブレード20とを分解し(分解工程S2)、ボス10からロータブレード20を分解した後、ロータブレード20のベーン部22を補修する(補修工程S3)。
【0065】
ディスク型ロータ1を回転駆動軸133に取り付けた状態において、ボス10は、その軸線x2と回転駆動軸133の回転軸線x1とが一致するように形成されている。つまり、ボス10は、回転駆動軸133の回転時に、ガタつくことなく芯合わせされた状態において回転するようになっている。したがって、ディスク型ロータ1の補修の際の熱により、ボス10が変形することは極めて好ましくないことである。
【0066】
本実施の形態に係るディスク型ロータ1によれば、ボルトB4及びノックピンPを抜くことにより、ボス10とロータブレード20とは分解され、ロータブレード20をボス10から分離した状態において補修することができる。これにより、ベーン部22の前縁に対して、肉盛り溶接を実施した場合であっても、溶接による熱がボス10に作用することはない。
【0067】
補修工程においてロータブレード20の取付部21には、ボス10の本体部11の外形に相当する形状を有する治具(図示せず)が取り付けられる。治具は、ボス10のフランジ部12に相当する環状の環状治具であり、例えば、ボス10を補修用の共通の治具として使用してもよい。
【0068】
環状治具に形成された孔部と、取付部21の孔部23とを整合し、例えば、ボルトB4を両方の孔部に挿通する。この状態において、ベーン部22に肉盛り溶接を施して補強部24を補修した場合、溶接による熱は、ベーン部22を通じて取付部21にまで伝達される。しかしながら、環状治具により、変形させたくないロータブレード20の個所、特に、取付部21には、環状治具が取り付けられているので熱による変形を最大限抑制することができる。
【0069】
また、ディスク型ロータ1と駆動部130との間には、ロータブレード20の回転を妨げないようにするために隙間が設けられている。ディスク型ロータ1の撹拌中に、この隙間に製紙原料が進入し異物が挟まることがある。異物が挟まった状態において、ディスク型ロータ1が回転し続けると、ボス10のウェアプレート14が摩耗することになる。
【0070】
そのため、ウェアプレート14の状態によってはウェアプレート14を交換する必要がある(交換工程S4)。ウェアプレート14は、ボルトB2を介してボス10に取り付けられているので、ボルトB2を外すことで簡単にウェアプレート14をボス10から取り外すことができる。なお、分解工程S2後の補数工程S3及び交換工程S4は、並行に行ってもよく、順番は特に限定されない。
【0071】
本実施の形態に係るディスク型ロータ1によれば、ボス10とロータブレード20とは、別体に構成されていて、互いに分解可能に連結されているので、ディスク型ロータ1全体を補修する必要はない。つまり、補修が必要なロータブレード20のみを補修することができる。これにより、回転駆動軸133への取り付け時の軸心の調整等の理由から、補修の影響による変形又は交換による再調整等を避けることが望ましいボス10は、例えば、ロータブレード20における溶接作業による熱影響を受けることがない。
【0072】
また、駆動部130に面するボス10の端面11aには、ウェアプレート14が取り付けられているので、ボス10の端面11aが異物との接触により摩耗することはない。ウェアプレート14は、ボス10の端面11aに着脱自在に取り付けられているので、ボス10全体を交換するのではなく、摩耗したウェアプレート14のみを交換するだけでよい。
【0073】
上述のように、ディスク型ロータ1において補修又は交換する部品は、ロータブレード20及びウェアプレート14だけであり、ボス10は、繰り返し流用可能になるため、補修・交換に関するコスト及び補修・交換作業を削減することができる。
【0074】
また、ボス10とロータブレード20とが一体に製造されたディスク型ロータに比べて、ボス10及びロータブレード20それぞれを別個に製造する。これにより、本実施の形態に係るディスク型ロータ1は、一体型のディスク型ロータに比べて製造に関して容易であり、かつ、製造費用を削減することができるとともに、製造期間も短縮することができる。
【0075】
<その他>
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。また、例えば、上記実施の形態における各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。また、上記の実施の形態において「補修」は、ベーン部22に対して肉盛り溶接を実施することであったが、ロータブレード20を新たなロータブレード20と交換することをであってもよい。
【符号の説明】
【0076】
1・・・ディスク型ロータ、10・・・ボス、11・・・本体部、12・・・フランジ部、14・・・ウェアプレート(プレート)、20・・・ロータブレード、21・・・取付部、22・・・ベーン部、24・・・補強部、100・・・パルパデトラッシャ(処理機)、133・・・回転駆動軸
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9