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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023082312
(43)【公開日】2023-06-14
(54)【発明の名称】リニア電源装置
(51)【国際特許分類】
   G05F 1/56 20060101AFI20230607BHJP
【FI】
G05F1/56 310H
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021195987
(22)【出願日】2021-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】猪上 浩樹
【テーマコード(参考)】
5H430
【Fターム(参考)】
5H430BB01
5H430BB09
5H430BB11
5H430CC05
5H430EE04
5H430EE17
5H430EE19
5H430FF02
5H430FF13
5H430GG08
5H430HH03
5H430LA01
(57)【要約】
【課題】周波数特性の高周波化を可能とするリニア電源装置を提供する。
【解決手段】リニア電源装置(1)は、帰還抵抗(R1)と、入力電圧(Vin)の印加端と前記帰還抵抗との間に直列に接続可能に構成される出力トランジスタ(P1)および駆動対象トランジスタ(P2)と、前記帰還抵抗により出力電圧(Vout)に基づき生成される帰還電圧(Vfb)と、基準電圧(Vref)との誤差に基づき前記出力トランジスタを駆動するエラーアンプ(A1)と、前記駆動対象トランジスタを常時オン状態に駆動可能に構成される駆動回路(1A)と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帰還抵抗と、
入力電圧の印加端と前記帰還抵抗との間に直列に接続可能に構成される出力トランジスタおよび駆動対象トランジスタと、
前記帰還抵抗により出力電圧に基づき生成される帰還電圧と、基準電圧との誤差に基づき前記出力トランジスタを駆動するエラーアンプと、
前記駆動対象トランジスタを常時オン状態に駆動可能に構成される駆動回路と、
を備える、リニア電源装置。
【請求項2】
前記駆動回路は、前記入力電圧の印加端と接地端との間に直列に接続可能に構成される抵抗および定電流源を有し、
前記抵抗と前記定電流源とが接続される第1ノードは、前記駆動対象トランジスタの制御端に接続される、請求項1に記載のリニア電源装置。
【請求項3】
前記駆動回路は、前記入力電圧の印加端と接地端との間に直列に接続可能に構成される第1抵抗および第2抵抗を有し、
前記第1抵抗と前記第2抵抗とが接続される第2ノードは、前記駆動対象トランジスタの制御端に接続され、
前記駆動対象トランジスタの制御端と第1主電極との間に、クランプ素子が接続される、請求項1に記載のリニア電源装置。
【請求項4】
前記出力トランジスタは、前記入力電圧の印加端に接続可能に構成されるソースを含むPMOSトランジスタとして構成され、
前記駆動対象トランジスタは、前記出力トランジスタのドレインに接続可能に構成されるソースと、前記帰還抵抗に接続可能に構成されるドレインとを含むPMOSトランジスタとして構成される、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のリニア電源装置。
【請求項5】
前記駆動対象トランジスタは、前記入力電圧の印加端に接続可能に構成されるドレインを含むNMOSトランジスタとして構成され、
前記出力トランジスタは、前記駆動対象トランジスタのソースに接続可能に構成されるドレインと、前記帰還抵抗に接続可能に構成されるソースとを含むNMOSトランジスタとして構成される、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のリニア電源装置。
【請求項6】
前記出力トランジスタは、CMOSにより構成される、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のリニア電源装置。
【請求項7】
前記駆動対象トランジスタは、DMOSにより構成される、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のリニア電源装置。
【請求項8】
前記出力トランジスタを出力側のトランジスタとして含むカレントミラーを備える、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のリニア電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、リニア電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、入力電圧から所望の出力電圧を生成することのできるリニア電源装置(リニアレギュレータ)は、様々なアプリケーション(車載機器、産業機器、事務機器、デジタル家電、あるいはポータブル機器など)に搭載されている(リニア電源装置の一例は、特許文献1に開示)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-201562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リニア電源装置においては、入力電圧が印加される出力トランジスタ(パワートランジスタ)が設けられる。出力トランジスタは高耐圧に対応する必要があり、基本的に出力トランジスタのサイズは大きい。これにより、出力トランジスタのゲートに寄生する寄生容量が大きくなり、ゲートに対する電荷の注入・引き抜きの際のゲート電圧の変化速度が低下し、周波数特性の高周波化が阻まれていた。
【0005】
上記状況に鑑み、本開示は、周波数特性の高周波化を可能とするリニア電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
例えば、本開示に係るリニア電源装置は、
帰還抵抗と、
入力電圧の印加端と前記帰還抵抗との間に直列に接続可能に構成される出力トランジスタおよび駆動対象トランジスタと、
前記帰還抵抗により出力電圧に基づき生成される帰還電圧と、基準電圧との誤差に基づき前記出力トランジスタを駆動するエラーアンプと、
前記駆動対象トランジスタを常時オン状態に駆動可能に構成される駆動回路と、
を備える構成としている。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係るリニア電源装置によれば、周波数特性の高周波化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、比較例に係るリニア電源装置の構成を示す図である。
図2図2は、第1実施形態に係るリニア電源装置の構成を示す図である。
図3図3は、第2実施形態に係るリニア電源装置の構成を示す図である。
図4図4は、第3実施形態に係るリニア電源装置の構成を示す図である。
図5図5は、第4実施形態に係るリニア電源装置の構成を示す図である。
図6図6は、第5実施形態に係るリニア電源装置の構成を示す図である。
図7図7は、第6実施形態に係るリニア電源装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<1.比較例>
ここでは、リニア電源装置の新規な実施形態を説明する前に、これと対比される比較例について説明する。
【0010】
図1は、比較例に係るリニア電源装置10の構成を示す図である。リニア電源装置10は、入力電圧Vinを降圧して所望の出力電圧Voutを生成するリニアレギュレータである。リニア電源装置10は、出力トランジスタP11と、帰還抵抗R11,R12と、エラーアンプA11と、を備える。
【0011】
PMOSトランジスタ(PチャネルMOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor))として構成される出力トランジスタP11のソースおよびバックゲートは、入力電圧Vinの印加端に接続される。出力トランジスタP11のドレインと帰還抵抗R11の第1端は、出力電圧Voutを出力するための出力端に共通接続される。帰還抵抗R11の第2端は、帰還抵抗R12の第1端に接続される。帰還抵抗R12の第2端は、接地端に接続される。
【0012】
エラーアンプA11の非反転入力端(+)は、帰還抵抗R11とR12とが接続される接続ノード(=帰還電圧Vfbの印加端)に接続される。エラーアンプA11の反転入力端(-)は、基準電圧Vrefの印加端に接続される。エラーアンプA11の出力端は、出力トランジスタP11のゲート(制御端)に接続される。
【0013】
上記したエラーアンプA11は、出力電圧Voutに応じた帰還電圧Vfb(=Vout×{R12/(R11+R12)})が所定の基準電圧Vrefと一致するように、出力トランジスタP11のゲート制御を行う。すなわち、出力トランジスタP11は、出力電圧Voutがその目標値(=Vref×{(R11+R12)/R12})と一致するように、オン抵抗値が連続的に制御される。
【0014】
出力トランジスタP11のソース・ドレイン間には、入力電圧Vin(例えば45V)と出力電圧Vout(例えば5V)の差分の電圧が印加されるため、出力トランジスタP11は、高耐圧素子として構成する必要がある。高耐圧素子では、素子の構造上、ドレイン・ソース間の距離が長くなり、基本的に高耐圧素子のサイズは大きくなる。これにより、出力トランジスタP11のゲートに寄生する寄生容量が大きくなり、ゲートに対する電荷の注入・引き抜きの際のゲート電圧の変化速度が低下し、周波数特性の高周波化が阻まれるという課題があった。
【0015】
<2.第1実施形態>
以下では、上記の課題を解決できる各種実施形態について説明する。図2は、第1実施形態に係るリニア電源装置1の構成を示す図である。リニア電源装置1は、出力トランジスタP1と、PMOSトランジスタ(駆動対象トランジスタ)P2と、帰還抵抗R1,R2と、エラーアンプA1と、駆動回路1Aと、を備える。
【0016】
リニア電源装置1は、入力電圧Vinを降圧して所望の出力電圧Voutを生成するリニアレギュレータである。
【0017】
PMOSトランジスタとして構成される出力トランジスタP1のソースおよびバックゲートは、入力電圧Vinの印加端に接続される。出力トランジスタP1のドレインは、PMOSトランジスタP2のソースおよびバックゲートに接続される。PMOSトランジスタP2のドレインと、帰還抵抗R1の第1端は、出力電圧Voutを出力するための出力端に共通接続される。帰還抵抗R1の第2端は、帰還抵抗R2の第1端に接続される。帰還抵抗R2の第2端は、接地端に接続される。すなわち、出力トランジスタP1とPMOSトランジスタP2は、入力電圧Vinの印加端と帰還抵抗R1との間に直列に接続される。
【0018】
エラーアンプA1の非反転入力端(+)は、抵抗R1とR2とが接続される接続ノード(=帰還電圧Vfbの印加端)に接続される。エラーアンプA1の反転入力端(-)は、基準電圧Vrefの印加端に接続される。エラーアンプA1の出力端は、出力トランジスタP1のゲートに接続される。
【0019】
駆動回路1Aは、PMOSトランジスタP2のゲートを駆動する。具体的には、駆動回路1Aは、抵抗Raと、定電流源CI1と、を有する。抵抗Raの第1端は、入力電圧Vinの印加端に接続される。抵抗Raの第2端と接地端との間には、定電流源CI1が接続される。すなわち、抵抗Raと定電流源CI1は、入力電圧Vinの印加端と接地端との間に直列に接続される。抵抗Raの第2端と定電流源CI1とが接続されるノードN1は、PMOSトランジスタP2のゲートに接続される。ノードN1に生成されるゲート電圧VgtによりPMOSトランジスタP2のゲートが駆動される。ゲート電圧Vgtは、定電流源CI1に流れる定電流Ic1による抵抗Raにおける電圧降下だけ入力電圧Vinから降下した電圧となる。
【0020】
エラーアンプA1は、帰還電圧Vfbと基準電圧Vrefとの誤差に基づき出力トランジスタP1のゲートを駆動する。PMOSトランジスタP2は、駆動回路1Aにより生成されるゲート電圧Vgtにより、リニア電源装置1の動作中に常時オン状態に駆動される。
【0021】
例えば、入力電圧Vinを45Vとし、出力電圧Voutを5Vとする。抵抗Raでの電圧降下を5Vとすると、ゲート電圧Vgt=40Vとなる。PMOSトランジスタP2のVgs(ゲート・ソース間電圧)の閾値電圧Vth=1Vとして、PMOSトランジスタP2のソース電圧は42V程度に制御される。
【0022】
従って、出力トランジスタP1のソース・ドレイン間には3V程度の電圧が印加されるため、出力トランジスタP1を上記比較例における出力トランジスタP11に比べて低い耐圧の低耐圧素子として構成することが可能となる。PMOSトランジスタP2のソース・ドレイン間には、PMOSトランジスタP2のソース電圧と出力電圧Voutとの間の電圧が印加されるため、PMOSトランジスタ2は、上記比較例における出力トランジスタP11と同程度の耐圧の高耐圧素子として構成する必要がある。
【0023】
出力トランジスタP1は、例えばCMOS(Complementary MOSFET)により低耐圧素子を構成することが好適である。また、PMOSトランジスタ2は、例えばDMOS(Double-Diffused MOSFET)により高耐圧素子を構成することが好適である。
【0024】
本実施形態によれば、出力トランジスタP1を低耐圧素子により構成することができるため、出力トランジスタP1のゲートに寄生する寄生容量を小さくし、周波数特性の高周波化が可能となる。なお、出力トランジスタP1の駆動によりPMOSトランジスタP2のソース電圧は変化し、PMOSトランジスタP2のCgs(ゲート・ソース間容量)の電荷が制御される。
【0025】
PMOSトランジスタP2は、電流能力を確保するサイズの高耐圧素子として構成する必要があるが、常時オン状態で駆動されるため、上記比較例における出力トランジスタP11に比べてサイズを抑えることができる。
【0026】
また、本実施形態では、駆動回路1Aは、ゲート電圧Vgtを生成することでPMOSトランジスタP2のVgsをクランプするクランプ回路として機能する。定電流源CI1によりゲート電圧Vgtは安定化するため、クランプ機能が安定化する。ただし、PMOSトランジスタP2のゲート・ソース間にツェナーダイオードなどのクランプ素子を接続してもよい。
【0027】
<3.第2実施形態>
図3は、第2実施形態に係るリニア電源装置2の構成を示す図である。リニア電源装置2は、第1実施形態の構成と比べて、エラーアンプA1の代わりにエラーアンプA2を備え、さらにPMOSトランジスタP3と、NMOSトランジスタ(NチャネルMOSFET)Na,Nbと、を備える。
【0028】
リニア電源装置2においては、入力側のPMOSトランジスタP3と、出力側の出力トランジスタ(PMOSトランジスタ)P1とから、カレントミラーCMが構成される。PMOSトランジスタP3のゲートおよびドレインは、短絡される。PMOSトランジスタP3のゲートは、出力トランジスタP1のゲートに接続される。PMOSトランジスタP3のソースおよびバックゲートは、入力電圧Vinの印加端に接続される。
【0029】
NMOSトランジスタNaのドレインは、PMOSトランジスタP3のドレインに接続される。NMOSトランジスタNaのソースは、NMOSトランジスタNbのドレインに接続される。NMOSトランジスタNbのソースは、接地端に接続される。NMOSトランジスタNaのゲートは、所定の内部電圧Vreg(例えば5V)の印加端に接続される。
【0030】
エラーアンプA2の反転入力端(-)は、帰還抵抗R1とR2とが接続される接続ノード(=帰還電圧Vfbの印加端)に接続される。エラーアンプA2の非反転入力端(+)は、基準電圧Vrefの印加端に接続される。エラーアンプA2の出力端は、NMOSトランジスタNbのゲートに接続される。
【0031】
エラーアンプA2は、帰還電圧Vfbと基準電圧Vrefの誤差に基づきNMOSトランジスタNbのゲートを駆動する。PMOSトランジスタP3、およびNMOSトランジスタNa,Nbを流れる電流は、カレントミラーCMによってミラーリングされて出力トランジスタP1を流れる電流として出力される。
【0032】
本実施形態では、NMOSトランジスタNbを低耐圧素子として構成するため、NMOSトランジスタNaのゲートに内部電圧Vregを印加している。また、PMOSトランジスタP3のゲート・ドレイン間は短絡されているため、PMOSトランジスタP3のソース・ドレイン間にはVgsのレベルの電圧が印加される。従って、PMOSトランジスタP3は低耐圧素子として構成され、NMOSトランジスタNaは高耐圧素子として構成される。なお、NMOSトランジスタNbを高耐圧素子として構成する場合は、NMOSトランジスタNaは不要である。
【0033】
本実施形態でも、先述した第1実施形態と同様の効果を享受することができる。
【0034】
<4.第3実施形態>
図4は、第3実施形態に係るリニア電源装置3の構成を示す図である。リニア電源装置3の第1実施形態との相違点は、PMOSトランジスタP2を駆動するために駆動回路1Aの代わりに駆動回路3Aを備えることと、ツェナーダイオードZ1を備えることである。
【0035】
駆動回路3Aは、分圧抵抗Rb1,Rb2を有する。分圧抵抗Rb1の第1端は、入力電圧Vinの印加端に接続される。分圧抵抗Rb1の第2端は、分圧抵抗Rb2の第1端に接続される。分圧抵抗Rb2の第2端は、接地端に接続される。すなわち、分圧抵抗Rb1,Rb2は、入力電圧Vinの印加端と接地端との間に直列に接続される。分圧抵抗Rb1とRb2とが接続されるノードN3は、PMOSトランジスタP2のゲートに接続される。
【0036】
入力電圧Vinを分圧抵抗Rb1,Rb2により分圧した電圧がゲート電圧VgtとしてPMOSトランジスタP2のゲートに印加され、PMOSトランジスタP2が駆動される。
【0037】
ゲート電圧VgtによりPMOSトランジスタP2のVgsをクランプするために、例えば入力電圧Vin=45Vとして、抵抗Rb1とRb2をRb1:Rb2=1:9としたとする。しかしながら、この場合、PMOSトランジスタP2のVth=1Vとすると、入力電圧Vinが10Vより低いとPMOSトランジスタP2を駆動できなくなる。従って、第1実施形態のほうが入力電圧Vinの動作範囲が広くなる。
【0038】
しかしながら、本実施形態では、例えばRb1:Rb2=1:1として、入力電圧Vinが2Vより低いとPMOSトランジスタP2を駆動できなくし、入力電圧Vinの減電圧に対する保護を行うことができる。そして、この場合、PMOSトランジスタP2のゲート・ソース間にクランプ素子の一例としてツェナーダイオードZ1を接続することにより、PMOSトランジスタP2のVgsのクランプを行うことを可能としている。
【0039】
<5.第4実施形態>
図5は、第4実施形態に係るリニア電源装置4の構成を示す図である。リニア電源装置4の第2実施形態との相違点は、駆動回路1Aの代わりに駆動回路3Aを備えることと、ツェナーダイオードZ1を備えることである。駆動回路3AおよびツェナーダイオードZ1は、先述した第3実施形態と同様である。このような本実施形態によれば、第3実施形態と同様な効果を享受することができる。
【0040】
<6.第5実施形態>
図6は、第5実施形態に係るリニア電源装置5の構成を示す図である。リニア電源装置5は、出力トランジスタNM1と、NMOSトランジスタ(駆動対象トランジスタ)NM2と、帰還抵抗R1,R2と、エラーアンプA3と、駆動回路5Aと、を備える。
【0041】
出力トランジスタNM1は、NMOSトランジスタにより構成される。出力トランジスタNM1のドレインは、NMOSトランジスタNM2のソースに接続される。NMOSトランジスタNM2のドレインは、入力電圧Vinの印加端に接続される。出力トランジスタNM1のソースは、帰還抵抗R1の第1端に接続される。帰還抵抗R1の第2端は、帰還抵抗R2の第1端に接続される。帰還抵抗R2の第2端は、接地端に接続される。すなわち、出力トランジスタNM1とNMOSトランジスタNM2は、入力電圧Vinの印加端と帰還抵抗R1との間に直列に接続される。
【0042】
エラーアンプA3の反転入力端(-)は、帰還抵抗R1とR2とが接続される接続ノード(=帰還電圧Vfbの印加端)に接続される。エラーアンプA3の非反転入力端(+)は、基準電圧Vrefの印加端に接続される。エラーアンプA3の出力端は、出力トランジスタNM1のゲートに接続される。
【0043】
駆動回路5Aは、NMOSトランジスタNM2のゲートを駆動する。駆動回路5Aは、定電流源CI2と、抵抗Rcと、を有する。抵抗Rcの第1端は、接地端に接続される。定電流源CI2は、入力電圧Vinの印加端と抵抗Rcの第2端との間に接続される。抵抗Rcと定電流源CI2とが接続されるノードN5は、NMOSトランジスタNM2のゲートに接続される。定電流源CI2に流れる定電流により抵抗Rcに生じる電圧降下により、ノードN5にゲート電圧Vgtが生成される。NMOSトランジスタNM2のゲートは、ゲート電圧Vgtにより駆動される。
【0044】
このような本実施形態によれば、出力トランジスタNM1を低耐圧素子により構成することが可能となり、周波数特性の高周波化が可能となる。また、NMOSトランジスタNM2は、高耐圧素子として構成する必要があるが、ゲート電圧VgtによりNMOSトランジスタNM2は常時オン状態で駆動されるため、NMOSトランジスタNM2のサイズを抑えることができる。
【0045】
また、定電流源CI2によりゲート電圧Vgtを安定化し、NMOSトランジスタNM2のVgsのクランプを安定化できる。
【0046】
<7.第6実施形態>
図7は、第6実施形態に係るリニア電源装置6の構成を示す図である。リニア電源装置6の第5実施形態との相違点は、駆動回路5Aの代わりに駆動回路6Aを備えることと、ツェナーダイオードZ2を備えることである。
【0047】
駆動回路6Aは、分圧抵抗Rd1,Rd2を有する。分圧抵抗Rd1,Rd2は、入力電圧Vinの印加端と接地端との間に直列に接続される。分圧抵抗Rd1とRd2とが接続されるノードN6は、NMOSトランジスタNM2のゲートに接続される。入力電圧Vinが分圧抵抗Rd1,Rd2により分圧されることでノードN6にゲート電圧Vgtが生成される。ゲート電圧VgtによりNMOSトランジスタNM2のゲートが駆動される。
【0048】
このような本実施形態によれば、第3実施形態と同様に、例えば抵抗Rd1,Rd2をRd1:Rd2=1:1とし、NMOSトランジスタNM2のVthが1Vであるとすれば、入力電圧Vinが2Vより低くなるとNMOSトランジスタNM2が駆動されなくなる。従って、入力電圧Vinの減電圧に対する保護を行うことができる。そして、NMOSトランジスタNM2のゲートと接地端との間にクランプ素子の一例としてツェナーダイオードZ2を接続しているため、NMOSトランジスタNM2のVgsのクランプを行うことができる。
【0049】
<8.その他>
なお、本開示に係る種々の技術的特徴は、上記実施形態の他、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【0050】
<9.付記>
以上の通り、例えば、本開示に係るリニア電源装置(1)は、
帰還抵抗(R1)と、
入力電圧(Vin)の印加端と前記帰還抵抗との間に直列に接続可能に構成される出力トランジスタ(P1)および駆動対象トランジスタ(P2)と、
前記帰還抵抗により出力電圧(Vout)に基づき生成される帰還電圧(Vfb)と、基準電圧(Vref)との誤差に基づき前記出力トランジスタを駆動するエラーアンプ(A1)と、
前記駆動対象トランジスタを常時オン状態に駆動可能に構成される駆動回路(1A)と、を備える構成としている(第1の構成)。
【0051】
また、上記第1の構成において、前記駆動回路(1A)は、前記入力電圧(Vin)の印加端と接地端との間に直列に接続可能に構成される抵抗(Ra)および定電流源(CI1)を有し、前記抵抗と前記定電流源とが接続される第1ノード(N1)は、前記駆動対象トランジスタ(P2)の制御端に接続される構成としてもよい(第2の構成)。
【0052】
また、上記第1の構成において、前記駆動回路(3A)は、前記入力電圧(Vin)の印加端と接地端との間に直列に接続可能に構成される第1抵抗(Rb1)および第2抵抗(Rb2)を有し、前記第1抵抗と前記第2抵抗とが接続される第2ノード(N3)は、前記駆動対象トランジスタ(P)の制御端に接続され、前記駆動対象トランジスタの制御端(ゲート)と第1主電極(ソース)との間に、クランプ素子(Z1)が接続される構成としてもよい(第3の構成)。
【0053】
また、上記第1から第3のいずれかの構成において、前記出力トランジスタは、前記入力電圧(Vin)の印加端に接続可能に構成されるソースを含むPMOSトランジスタ(P1)として構成され、前記駆動対象トランジスタは、前記出力トランジスタのドレインに接続可能に構成されるソースと、前記帰還抵抗(R1)に接続可能に構成されるドレインとを含むPMOSトランジスタ(P2)として構成される構成としてもよい(第4の構成)。
【0054】
また、上記第1から第3のいずれかの構成において、前記駆動対象トランジスタは、前記入力電圧(Vin)の印加端に接続可能に構成されるドレインを含むNMOSトランジスタ(NM2)として構成され、前記出力トランジスタは、前記駆動対象トランジスタのソースに接続可能に構成されるドレインと、前記帰還抵抗(R1)に接続可能に構成されるソースとを含むNMOSトランジスタ(NM1)として構成される構成としてもよい(第5の構成)。
【0055】
また、上記第1から第5のいずれかの構成において、前記出力トランジスタ(P1)は、CMOSにより構成されることとしてもよい(第6の構成)。
【0056】
また、上記第1から第6のいずれかの構成において、前記駆動対象トランジスタ(P2)は、DMOSにより構成されることとしてもよい(第7の構成)。
【0057】
また、上記第1から第7のいずれかの構成において、前記出力トランジスタ(P1)を出力側のトランジスタとして含むカレントミラー(CM)を備える構成としてもよい(第8の構成)。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本開示は、各種機器に搭載されるリニア電源装置に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0059】
1~6,10 リニア電源装置
1A,3A,5A,6A 駆動回路
A1,A2,A3,A11 エラーアンプ
CI1,CI2 定電流源
NM1 出力トランジスタ
NM2 NMOSトランジスタ
Na,Nb NMOSトランジスタ
P1,P11 出力トランジスタ
P1,P2,P3 PMOSトランジスタ
R1,R2 帰還抵抗
R11,R12 帰還抵抗
Ra 抵抗
Rb1,Rb2 分圧抵抗
Rc 抵抗
Rd1,Rd2 分圧抵抗
Z1,Z2 ツェナーダイオード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7