(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023082313
(43)【公開日】2023-06-14
(54)【発明の名称】人体消毒装置
(51)【国際特許分類】
A61L 2/18 20060101AFI20230607BHJP
A61L 101/34 20060101ALN20230607BHJP
A61L 101/32 20060101ALN20230607BHJP
【FI】
A61L2/18
A61L101:34
A61L101:32
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021195990
(22)【出願日】2021-12-02
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 第3回[名古屋]オフィス防災 EXPOにて2021年2月17日から2021年2月19日まで展示
(71)【出願人】
【識別番号】597095120
【氏名又は名称】株式会社岡常歯車製作所
(71)【出願人】
【識別番号】504339882
【氏名又は名称】増井 吉晴
(71)【出願人】
【識別番号】504339723
【氏名又は名称】富田 阿津子
(74)【代理人】
【識別番号】100080746
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 武嗣
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼部 義幸
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 緑
(72)【発明者】
【氏名】増井 吉晴
(72)【発明者】
【氏名】富田 阿津子
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA28
4C058BB07
4C058DD01
4C058DD03
4C058DD05
4C058DD12
4C058EE03
4C058EE26
4C058JJ06
4C058JJ24
(57)【要約】
【課題】容易に短時間で、狭い場所に設置でき、小規模な建物等にも適し、簡易な構成
でありながら、確実に消毒を行える人体消毒装置を提供する。
【解決手段】薬液を噴霧するノズル2を上下所定ピッチをもって複数個配設した柱状噴霧器1と、薬液を柱状噴霧器1のノズル2に送る電気モータ20付きのポンプユニット4と、薬液を収納する薬液タンク5と、ノズル2からの薬液噴霧をON-OFFさせるスイッチ手段6と、を備え、ポンプユニット4と薬液タンク5とを、移動用の複数の車輪14を有する箱体10に収容すると共に、柱状噴霧器1を箱体10に固着した。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬液を噴霧するノズル(2)を上下所定ピッチをもって複数個配設した柱状噴霧器(1)と、
薬液を上記柱状噴霧器(1)のノズル(2)に送る電気モータ(20)付きのポンプユ
ニット(4)と、
薬液を収納する薬液タンク(5)と、
上記ノズル(2)からの薬液噴霧をON-OFFさせるスイッチ手段(6)と、
を備え、
上記ポンプユニット(4)と上記薬液タンク(5)とを、移動用の複数の車輪(14)を有する箱体(10)に収容すると共に、上記柱状噴霧器(1)を上記箱体(10)に固着したことを特徴とする人体消毒装置。
【請求項2】
上記箱体(10)の上面よりも上方へ延伸状として上記柱状噴霧器(1)を固着し、かつ、全ての上記ノズル(2)は、各々、首振り自在として噴射方向可変に設けられている請求項1記載の人体消毒装置。
【請求項3】
スイッチ手段(6)が、使用者が手をかざして作動するセンサスイッチである請求項1又は2記載の人体消毒装置。
【請求項4】
薬液を噴霧する時間を1~10秒の範囲で設定できるタイマー(11)を備えた請求項1,2又は3記載の人体消毒装置。
【請求項5】
上記ノズル(2)の近傍位置に、エアー噴出孔若しくはエアー噴出スリット、又は、ファンを設け、上記ノズル(2)からの噴霧飛散距離を調整自在とした請求項1,2,3又は4記載の人体消毒装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体消毒装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、細菌やウイルスによる感染症を予防するための人体消毒装置として、通路や出入り口等に設置できるプレハブ式で組み立て分解自在にユニット化したものが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1記載の消毒装置は、設置された建物等に入る人が、壁面体により構成された通路空間を通る間に殺菌されるものであり、容積が大きくなり、かなりの規模を有する建物でなければ設置困難であるという欠点があった。また、組立、設置に手間と時間を要するという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、容易に短時間で、狭い場所にも設置でき、小規模な建物等にも適した人体消毒装置を提供することを目的とする。また、簡易な構成でありながら、確実に消毒を行える人体消毒装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る人体消毒装置は、薬液を噴霧するノズルを上下所定ピッチをもって複数個配設した柱状噴霧器と、薬液を上記柱状噴霧器のノズルに送る電気モータ付きのポンプユ
ニットと、薬液を収納する薬液タンクと、上記ノズルからの薬液噴霧をON-OFFさせ
るスイッチ手段と、を備え、上記ポンプユニットと上記薬液タンクとを、移動用の複数の
車輪を有する箱体に収容すると共に、上記柱状噴霧器を上記箱体に固着したものである。
【0007】
また、上記箱体の上面よりも上方へ延伸状として上記柱状噴霧器を固着し、かつ、全ての上記ノズルは、各々、首振り自在として噴射方向可変に設けられているものである。
【0008】
また、上記スイッチ手段が、使用者が手をかざして作動するセンサスイッチである。
また、薬液を噴霧する時間を1~10秒の範囲で設定できるタイマーを備えたものである。
また、上記ノズルの近傍位置に、エアー噴出孔若しくはエアー噴出スリット、又は、ファンを設け、上記ノズルからの噴霧飛散距離を調整自在とした。
【発明の効果】
【0009】
本発明の人体消毒装置によれば、容易に所定の場所に移動して使用できる。かつ、狭い場所にも設置できる。また、簡易な構成でありながら、容易かつ確実に消毒を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】本発明の実施の一形態を示す左側面図である。
【
図3】本発明の実施の一形態を示す右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図示の実施の形態に基づき本発明を詳説する。
図1~
図5に、本発明に係る人体消毒装置の実施の一形態を示す。1は、殺菌、消毒用の薬液を噴霧するための柱状噴霧器である。2は、薬液を噴霧するノズルであり、柱状噴霧器1に上下所定ピッチをもって複数個配設される。3は、薬液チューブであり、4は、薬液を柱状噴霧器1のノズル2へ送るポンプユニットであり、電気モータ20付きである。5は、薬液を貯留するための薬液タンクであり、6は、上記ノズル2からの薬液噴霧をON-OFF作動させるためのスイッチ手段である。
図1~
図5に示した実施の形態に於ては、スイッチ手段6は非接触で作動するセンサスイッチであり、使用者が(接触せずに)スイッチ手段6の近辺に手をかざすことにより作動するものである。
【0012】
柱状噴霧器1は、移動用の複数の車輪14を有する箱体10に固着され、箱体10は、上記ポンプユニット4と上記薬液タンク5とを収容している。設置時に人体消毒装置を固定するため、車輪14はストッパ付きのものが望ましい。
【0013】
柱状噴霧器1は、箱体10の上面よりも上方へ延伸状として箱体10に固着されている。
図2に示すように、柱状噴霧器1の支柱本体1bに薬液チューブ3とノズル2が設けられ、該支柱本体1bを、ノズル2の先端部のみが露出するように支柱カバー1aで覆っている。
【0014】
ポンプユニット4は、人体消毒装置の使用頻度に応じて定期的にエアパージを行って、ノズル2内で、また薬液チューブ3内で薬液成分が固まって詰まることを防止している。また、希釈混合やミキシングが必要な薬液の場合には、(適切な割合等をもって)自動混合を行う。
【0015】
また、薬液タンク5には、使用する場所において予想される細菌、ウイルス、あるいは花粉等に応じて(各々に対して)効果的であると考えられる薬液を入れ替えて使用する。また、タンク5内の薬液成分の分離、沈殿防止のため、定期的にポンプユニット4がエアを送って攪拌するように構成する。また、タンク5を複数個設けて、2種類以上の薬液を状況に応じて切り換えて使用できるようにするも好ましい。使用中に、薬液量が減った場合には、箱体10の扉10a(
図4、
図5参照)を開けて薬液タンク5に薬液を補充する。あるいは、薬液が少なくなってくると(フロート等を用いて)自動で補充するも望ましい。さらに、薬液切れが生じたときに、ランプやブザー等による薬液切れ報知(表示)を行う。
【0016】
さらに、箱体10は、ポンプユニット4を制御する電気制御ボックス7と、漏電を防ぐ漏電遮断器8と、使用中の過電流を防ぐサーキットプロテクタ9と、薬液を噴霧する時間を1~10秒の範囲で設定できるタイマー11と、運転中に点灯して装置が運転中であることを示す運転ランプ12と、電源コード13と、を備える。装置が機能するために必要なすべての部材を箱体10に収容、または固着することで、装置全体としてきわめてコンパクトとすることに貢献している。箱体10は、
図4に示す平面図に於て、一辺が40cm未満であることが望ましい。
【0017】
図6は、本発明の人体消毒装置の使用状態を示す。使用状態に於ては、電源コード13をコード掛け13aから外して外部の電源に接続する。
建物の入口等に設置した人体消毒装置に対し、使用者がスイッチ手段(センサスイッチ)6に対し、(接触せずに)手をかざすと、柱状噴霧器1のノズル2から薬液が噴霧される。薬液の噴霧時間は1~10秒の範囲でタイマー11により設定できる。噴霧時間は通常、2~3秒に設定するが、噴霧時間を長めに(5秒以上に)設定した場合、薬液の噴霧時間中に使用者が消毒装置の前で1回転することで、使用者の背部を含む全身に薬液を噴霧することが可能になる。
【0018】
使用者の上から下までの全身に満遍なく薬液を噴霧するため、ノズル2から薬液が噴霧される角度D(
図2参照)は、70~90°に設定することが望ましい。また、図示の実施の形態では、ノズル2を4個配設しているが、使用される場所によっては、例えば、使用者の平均身長が低い小学校等では、ノズル2のうち2個または3個のみから薬液を噴霧させるように制御することが望ましい。また、使用される場所等の条件によって、全ての上記ノズル2は、各々、首振り自在として噴射方向可変に設けられていることも望ましい。
【0019】
本発明の人体消毒装置に使用される薬液は、目標とする細菌等に対応したものを適宜選択するが、例えば、大豆抽出アミノ酸を含んだアミノ酸混合液と、精製水ならびに特殊還元性アルカリイオン水と、ブチレングリコールと、界面活性剤と、キレート剤と、を有する抗菌剤である。噴霧される抗菌剤の粒径は、ウイルスに対応することを考慮すると、20~30μmであることが望ましい。
【0020】
図示省略するが、通行者の体温を検出するセンサを設けて、体温が通常よりも高い通行者、すなわち感染症に感染している可能性が高い通行者を検知して、検出センサが建物の管理事務所へ自動的に通知する様に構成することも望ましい。
なお、(図示省略するが、)上記ノズル2の近傍位置に、エアー噴出孔若しくはエアー噴出スリット、又は、ファンを設け、上記ノズル2からの噴霧飛散距離を調整自在とした構成も望ましい。
【0021】
上述の実施形態では、スイッチ手段6が箱体10に設けられたセンサスイッチである場合を示したが、スイッチ手段6は、柱状噴霧器1に設けたセンサスイッチであってもよい(図示省略)。この場合、通行者の接近を検知するセンサスイッチと、上述の通行者の体温を検出するセンサ等を統合した検知センサシステムを構成することも望ましい。
【0022】
ところで、通行者の身長を検出するセンサを上述の検知センサシステムに組み込むことが望ましい。これにより、柱状噴霧器1が有するノズル2(上述の実施例では4個)の内、通行者の身長に応じた適切な数(1~3個)を自動的に作動させ、各人に適切な量の薬液が噴霧できるため、薬液の使用量を削減しつつ適切な殺菌、消毒効果を維持できる。また、より消毒を徹底するため、柱状噴霧器1の近傍に、通行者が手を入れて消毒できる手指消毒器を併設することも望ましい。
【0023】
なお、図示省略したが、本発明の人体消毒装置の周囲を、ワイヤーフレームにプラスチックシートを吊るした簡易パーティション(遮蔽枠)により包囲することも好ましい。周辺の空気の流れ等により噴霧された薬液が容易に散乱する場合も考えられるが、人体消毒装置の周囲を囲むことで、噴霧された薬液が散乱することを防ぎ、より確実に使用者を消毒することができる。
【0024】
本発明は、設計変更可能であって、例えば、柱状噴霧器1は、カバー1aの前面が曲面(
図4参照)のものを図示したが、四角柱形、あるいは多角柱状のものでもよい。さらに、柱状噴霧器1をその鉛直状軸心廻りに、左右揺動(首振り)させることも好ましい。また、
図1~
図6に於ては、噴霧器1は、ストレートの柱状の場合を示したが、これを(正面から見て)倒立J字状乃至倒立U字状とするも望ましい。
また、倒立U字状の場合に、飛散防止幕(カーテン)等を付設するのも好ましい。また、柱状噴霧器1の高さを調整自在(伸縮自在)とするも、望ましい。
また、日付指定や時間指定を行うカレンダータイマーを付設し、噴霧時刻(時間)と間隔を設定自在とするも良い。
また、上述の実施の形態ではスイッチ手段6が薬液噴霧をON-OFF作動させるが、通行者の人数が少ない場所においては、スイッチ手段6がポンプユニット4をON-OFFさせるように設定してもよい。
【0025】
本発明は、以上詳述したように、薬液を噴霧するノズル2を上下所定ピッチをもって複数個配設した柱状噴霧器1と、薬液を上記柱状噴霧器1のノズル2に送る電気モータ20付きのポンプユニット4と、薬液を収納する薬液タンク5と、上記ノズル2からの薬液噴霧をON-OFFさせるスイッチ手段6と、を備え、上記ポンプユニット4と上記薬液タンク5とを、移動用の複数の車輪14を有する箱体10に収容すると共に、上記柱状噴霧器1を上記箱体10に固着したので、使用者の身長に合わせて適量の薬液を噴霧して、使用者の全身を確実に消毒できる。また、構成が簡易であり、移動容易であるので、消毒が必要な多様かつ広範囲の場所で使用できる。特に、狭小な場所での使用に好適である。箱体10に必要部材の全てが収容されているため、使用現場での組立て、調整の作業が不要であり、電源にコード13を接続するだけで直ちに使用可能である。
【0026】
また、上記箱体10の上面よりも上方へ延伸状として上記柱状噴霧器1を固着し、かつ、全ての上記ノズル2は、各々、首振り自在として噴射方向可変に設けられているので、使用者の身長、体形に合わせて適量の薬液を噴霧して、使用者の全身を確実に消毒できる。
【0027】
また、上記スイッチ手段6が、使用者が手をかざして作動するセンサスイッチであるの
で、使用者が装置本体に物理的に接触せず、衛生的に消毒が行える。
また、薬液を噴霧する時間を1~10秒の範囲で設定できるタイマー11を備えたので、薬液の噴霧時間を調整することで、使用者の全身に確実に薬液を噴霧することが可能になる。
また、上記ノズル2の近傍位置に、エアー噴出孔若しくはエアー噴出スリット、又は、ファンを設け、上記ノズル2からの噴霧飛散距離を調整自在としたので、本装置の設置場所や使用者の人数等の状況に応じて、ノズル2からの噴霧を十分に使用者に当てることができる。
【符号の説明】
【0028】
1 柱状噴霧器
2 ノズル
4 ポンプユニット
5 薬液タンク
6 スイッチ手段
10 箱体
11 タイマー
14 車輪
20 電気モータ