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特開2023-82327育苗容器積み上げ取出方法および育苗容器積み上げ取出装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023082327
(43)【公開日】2023-06-14
(54)【発明の名称】育苗容器積み上げ取出方法および育苗容器積み上げ取出装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/00 20180101AFI20230607BHJP
【FI】
A01G9/00 N
A01G9/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021196018
(22)【出願日】2021-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】000132219
【氏名又は名称】株式会社スズテック
(74)【代理人】
【識別番号】100089934
【弁理士】
【氏名又は名称】新関 淳一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100092945
【弁理士】
【氏名又は名称】新関 千秋
(72)【発明者】
【氏名】中塩 智之
(72)【発明者】
【氏名】陳 哲
【テーマコード(参考)】
2B327
【Fターム(参考)】
2B327ND03
2B327NE09
2B327TC07
2B327XC01
(57)【要約】
【課題】従来、播種済み育苗容器をストッパーに当接させて強制停止させ、つぎに、上昇開始させるため、ストッパーによる強制停止させたときの衝撃で、育苗容器の後壁の前側の播種部分が慣性で前方に移動し、隙間ができるという課題がある。
【解決手段】播種用移送台1から移送された播種済み育苗容器Aを持ち上げ機構19の持ち上げローラー20上の受入兼リフト体18上に受け入れ、受入れた播種済み育苗容器Aを持ち上げローラー20を駆動回転させて上昇させつつ受入兼リフト体18との接触抵抗により所定位置にて停止させ、上昇させた播種済み育苗容器Aを積み出し用移送台15に設けた支持装置24により支持し、この支持されている播種済み育苗容器Aの下方に後続の播種済み育苗容器Aを受け入れて持ち上げ、この作業を反復して積上げた播種済み育苗容器Aを取り出す育苗容器積み上げ取出方法。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
播種用移送台1から移送された播種済み育苗容器Aを持ち上げ機構19の持ち上げローラー20上の受入兼リフト体18上に受け入れ、受入れた播種済み育苗容器Aを持ち上げローラー20を駆動回転させて上昇させつつ受入兼リフト体18との接触抵抗により所定位置にて停止させ、上昇させた播種済み育苗容器Aを積み出し用移送台15に設けた支持装置24により支持し、この支持されている播種済み育苗容器Aの下方に後続の播種済み育苗容器Aを受け入れて持ち上げ、この作業を反復して積上げた播種済み育苗容器Aを取り出す育苗容器積み上げ取出方法。
【請求項2】
請求項1において、受入兼リフト体18上に乗り移った先行播種済み育苗容器Aは、積み出し用移送台15に設けられた早送り移送ローラー17Aにより後続播種済み育苗容器Aに対して早送り移送されると共に、駆動回転する持ち上げローラー20により上昇開始して、早送り移送ローラー17Aより離脱して慣性により受入兼リフト体18上を移動して受入兼リフト体18との接触抵抗により所定位置にて停止し、この状態で、持ち上げローラー20により支持装置24が支持できるまで上昇させて播種済み育苗容器Aを積上げて取り出す育苗容器積み上げ取出方法。
【請求項3】
播種用移送台1から移送された播種済み育苗容器Aを持ち上げ機構19の持ち上げローラー20上の受入兼リフト体18上に受け入れ、受入兼リフト体18上に乗り移った先行播種済み育苗容器Aは、積み出し用移送台15に設けられた早送り移送ローラー17Aにより後続播種済み育苗容器Aに対して早送り移送され、早送り移送された先行播種済み育苗容器Aが開始センサ45に接触すると、積み上げ用モーターMに通電して持ち上げローラー20を駆動回転させて上昇開始し、上昇中の先行播種済み育苗容器Aの底面は早送り移送ローラーより離れて駆動が遮断され、先行播種済み育苗容器Aは慣性により受入兼リフト体18上を移動して受入兼リフト体18との接触抵抗により所定位置にて停止し、さらに、持ち上げローラー20により先行播種済み育苗容器Aは上昇して支持装置24が支持できる高さまで上昇すると、支持装置24により所定高さ位置にて支持され、受入兼リフト体18は下降回転する持ち上げローラー20と共に下降して待機位置に戻り、後続の播種済み育苗容器Aを受け入れ、再び、後続の播種済み育苗容器Aを上昇させ、この作業を反復して播種済み育苗容器Aを取り出す育苗容器積み上げ取出方法。
【請求項4】
空の育苗容器Aに床土と種子等を播種する播種用移送台1の終端部に、一体または別体で設けられる、播種用移送台1から乗り移った育苗容器Aを支持搬送する移送ローラー17を有する搬送部Hと、育苗容器Aを持ち上げる前後一対の横軸回転する持ち上げローラー20を有する持ち上げ機構19とを設けた播種済みの育苗容器の取出装置において、前記持ち上げ機構19には播種済み育苗容器Aの底面を支持する受入兼リフト体18を設けた育苗容器積み上げ取出装置。
【請求項5】
請求項4において、受入兼リフト体18は、平板状の板部材により形成し、積み出し用移送台15に設けた支持部77に載置する構成とした育苗容器積み上げ取出装置。
【請求項6】
請求項4または請求項5において、受入兼リフト体18は、支持部77に載置した状態で播種用移送台1からの播種済み育苗容器Aを受け入れ、持ち上げローラー20の回転により持ち上げローラー20と共に上下する構成とした育苗容器積み上げ取出装置。
【請求項7】
請求項4~請求項6において、搬送部Hの一部の移送ローラー17は、先行育苗容器Aを後続育苗容器Aから引き離す早送りローラー17Aとし、早送り移送ローラー17Aは受入兼リフト体18上の播種済み育苗容器Aに作用する構成とした育苗容器積み上げ取出装置。
【請求項8】
請求項4~請求項8において、早送り移送ローラー17Aは早送り用モーター17Bにより常時駆動回転する構成とし、持ち上げローラー20は開始センサ45の検知により積み上げ用モーターMによって駆動する構成とした育苗容器積み上げ取出装置。
【請求項9】
請求項4~請求項8の何れかにおいて、持ち上げローラー20は開始センサ45により育苗容器Aを検出すると駆動開始する構成とし、開始センサ45は、播種済み育苗容器Aの前端が積み出し用移送台15の終端に設けた落下防止板44に当接する以前に持ち上げローラー20が育苗容器Aを上昇させるように、前後位置調節可能に取付けた育苗容器積み上げ取出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、播種済みの育苗容器積み上げ取出方法および育苗容器積み上げ取出装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、空の育苗容器に播種する播種用移送台の終端に、積み出し用移送台の始端部を接続し、積み出し用移送台には、播種済みの育苗容器を移送する移送ローラーと、持ち上げる持ち上げローラーと、持ち上げローラーにより持ち上げた育苗容器を支持する支持体とを設け、積み出し用移送台の終端に搬送用移送台を接続した構成は、公知である(特許文献1参照)。
公知例のものは、積み出し用移送台の終端に播種済み育苗容器を強制停止させるストッパーを設け、ストッパーに播種済み育苗容器が当たると上昇開始させる構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-148864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公知例は、播種済み育苗容器をストッパーに当接させて強制停止させ、つぎに、上昇開始させるため、ストッパーによる強制停止させたときの衝撃で、育苗容器の後壁の前側の播種部分が慣性で前方に移動し、隙間ができるという課題がある。
また、播種済み育苗容器の播種状態によっては、多い水分により種子と覆土が強制停止させたときの衝撃で、前方に移動し、播種斑となる課題がある。
本願は、播種済み育苗容器を積み上げて取り出す構成でありながら、ストッパーを使用せずに、育苗容器を所定位置にて受け入れて積み上げ可能とし、播種面の乱れ発生を防止して安定した取出作業できるようしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、播種用移送台1から移送された播種済み育苗容器Aを持ち上げ機構19の持ち上げローラー20上の受入兼リフト体18上に受け入れ、受入れた播種済み育苗容器Aを持ち上げローラー20を駆動回転させて上昇させつつ受入兼リフト体18との接触抵抗により所定位置にて停止させ、上昇させた播種済み育苗容器Aを積み出し用移送台15に設けた支持装置24により支持し、この支持されている播種済み育苗容器Aの下方に後続の播種済み育苗容器Aを受け入れて持ち上げ、この作業を反復して積上げた播種済み育苗容器Aを取り出す育苗容器積み上げ取出方法としたものである。
請求項2の発明は、受入兼リフト体18上に乗り移った先行播種済み育苗容器Aは、積み出し用移送台15に設けられた早送り移送ローラー17Aにより後続播種済み育苗容器Aに対して早送り移送されると共に、駆動回転する持ち上げローラー20により上昇開始して、早送り移送ローラー17Aより離脱して慣性により受入兼リフト体18上を移動して受入兼リフト体18との接触抵抗により所定位置にて停止し、この状態で、持ち上げローラー20により支持装置24が支持できるまで上昇させて播種済み育苗容器Aを積上げて取り出す育苗容器積み上げ取出方法としたものである。
請求項3の発明は、播種用移送台1から移送された播種済み育苗容器Aを持ち上げ機構19の持ち上げローラー20上の受入兼リフト体18上に受け入れ、受入兼リフト体18上に乗り移った先行播種済み育苗容器Aは、積み出し用移送台15に設けられた早送り移送ローラー17Aにより後続播種済み育苗容器Aに対して早送り移送され、早送り移送された先行播種済み育苗容器Aが開始センサ45に接触すると、積み上げ用モーターMに通電して持ち上げローラー20を駆動回転させて上昇開始し、上昇中の先行播種済み育苗容器Aの底面は早送り移送ローラーより離れて駆動が遮断され、先行播種済み育苗容器Aは慣性により受入兼リフト体18上を移動して受入兼リフト体18との接触抵抗により所定位置にて停止し、さらに、持ち上げローラー20により先行播種済み育苗容器Aは上昇して支持装置24が支持できる高さまで上昇すると、支持装置24により所定高さ位置にて支持され、受入兼リフト体18は下降回転する持ち上げローラー20と共に下降して待機位置に戻り、後続の播種済み育苗容器Aを受け入れ、再び、後続の播種済み育苗容器Aを上昇させ、この作業を反復して播種済み育苗容器Aを取り出す育苗容器積み上げ取出方法としたものである。
請求項4の発明は、空の育苗容器Aに床土と種子等を播種する播種用移送台1の終端部に、一体または別体で設けられる、播種用移送台1から乗り移った育苗容器Aを支持搬送する移送ローラー17を有する搬送部Hと、育苗容器Aを持ち上げる前後一対の横軸回転する持ち上げローラー20を有する持ち上げ機構19とを設けた播種済みの育苗容器の取出装置において、前記持ち上げ機構19には播種済み育苗容器Aの底面を支持する受入兼リフト体18を設けた育苗容器積み上げ取出装置としたものである。
請求項5の発明は、受入兼リフト体18は、平板状の板部材により形成し、積み出し用移送台15に設けた支持部77に載置する構成とした育苗容器積み上げ取出装置としたものである。
請求項6の発明は、受入兼リフト体18は、支持部77に載置した状態で播種用移送台1からの播種済み育苗容器Aを受け入れ、持ち上げローラー20の回転により持ち上げローラー20と共に上下する構成とした育苗容器積み上げ取出装置としたものである。
請求項7の発明は、搬送部Hの一部の移送ローラー17は、先行育苗容器Aを後続育苗容器Aから引き離す早送りローラー17Aとし、早送り移送ローラー17Aは受入兼リフト体18上の播種済み育苗容器Aに作用する構成とした育苗容器積み上げ取出装置としたものである。
請求項8の発明は、早送り移送ローラー17Aは早送り用モーター17Bにより常時駆動回転する構成とし、持ち上げローラー20は開始センサ45の検知により積み上げ用モーターMによって駆動する構成とした育苗容器積み上げ取出装置としたものである。
請求項9の発明は、持ち上げローラー20は開始センサ45により育苗容器Aを検出すると駆動開始する構成とし、開始センサ45は、播種済み育苗容器Aの前端が積み出し用移送台15の終端に設けた落下防止板44に当接する以前に持ち上げローラー20が育苗容器Aを上昇させるように、前後位置調節可能に取付けた育苗容器積み上げ取出装置としたものである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明では、播種用移送台1から移送された播種済み育苗容器Aを持ち上げ機構19の持ち上げローラー20上の受入兼リフト体18上に受け入れ、受入れた播種済み育苗容器Aを持ち上げローラー20を駆動回転させて上昇させつつ受入兼リフト体18との接触抵抗により所定位置にて停止させ、上昇させた播種済み育苗容器Aを積み出し用移送台15に設けた支持装置24により支持して積上げた播種済み育苗容器Aを取り出すので、播種済み育苗容器を積み上げて取り出す構成でありながら、ストッパーを使用せずに、取り出すことができ、育苗容器内の播種面の乱れ発生を防止して安定した取出作業ができる。
請求項2の発明では、受入兼リフト体18上に乗り移った先行播種済み育苗容器Aは、積み出し用移送台15に設けられた早送り移送ローラーにより後続播種済み育苗容器Aに対して早送り移送されると共に、駆動回転する持ち上げローラー20により上昇開始して、早送り移送ローラーより離脱して慣性により受入兼リフト体18上を移動して受入兼リフト体18との接触抵抗により所定位置にて停止し、この状態で、持ち上げローラー20により支持装置24が支持できるまで上昇させるので、ストッパーに播種済み育苗容器Aを当接させずに、所定位置に停止させることができ、前後に揃えた播種済み育苗容器Aを積み上げて取り出すことができる。
請求項3の発明では、播種用移送台1から移送された播種済み育苗容器Aを持ち上げ機構19の持ち上げローラー20上の受入兼リフト体18上に受け入れ、受入兼リフト体18上に乗り移った先行播種済み育苗容器Aは、積み出し用移送台15に設けられた早送り移送ローラーにより後続播種済み育苗容器Aに対して早送り移送され、早送り移送された先行播種済み育苗容器Aが開始センサ45に接触すると、積み上げ用モーターMに通電して持ち上げローラー20を駆動回転させて上昇開始し、上昇中の先行播種済み育苗容器Aの底面は早送り移送ローラーより離れて駆動が遮断され、先行播種済み育苗容器Aは慣性により受入兼リフト体18上を移動して受入兼リフト体18との接触抵抗により所定位置にて停止し、さらに、持ち上げローラー20により先行播種済み育苗容器Aは上昇して支持装置24が支持できる高さまで上昇すると、支持装置24により所定高さ位置にて支持され、受入兼リフト体18は下降回転する持ち上げローラー20と共に下降して待機位置に戻り、後続の播種済み育苗容器Aを受け入れ、再び、後続の播種済み育苗容器Aを上昇させ、この作業を反復して播種済み育苗容器Aを取り出すので、持ち上げ機構19の持ち上げローラー20上の受入兼リフト体18上に受け入れた先行播種済み育苗容器Aは、早送り移送ローラーにより早送り移送中に、開始センサ45に接触して上昇開始され、これにより、播種済み育苗容器Aの底面が早送り移送ローラーより離れて駆動が遮断され、このときの慣性力と受入兼リフト体18との接触抵抗により所定位置にて停止しながらさらに上昇して支持装置24にて支持され、これを反復して積上げ取出を行え、ストッパーを使用せずに、取り出すことができ、育苗容器内の播種面の乱れ発生を防止して安定した取出作業ができる。
請求項4の発明では、空の育苗容器Aに床土と種子等を播種する播種用移送台1の終端部に、一体または別体で設けられる、播種用移送台1から乗り移った育苗容器Aを支持搬送する移送ローラー17を有する搬送部Hと、育苗容器Aを持ち上げる前後一対の横軸回転する持ち上げローラー20を有する持ち上げ機構19とを設けた播種済みの育苗容器の取出装置において、前記持ち上げ機構19には播種済み育苗容器Aの底面を支持する受入兼リフト体18を設けているので、播種用移送台1から移送された播種済み育苗容器Aは受入兼リフト体18上に受け入れ、受入れた播種済み育苗容器Aを持ち上げローラー20により受入兼リフト体18ごと上昇しつつ受入兼リフト体18との接触抵抗により所定位置にて停止することになり、播種済み育苗容器を積み上げて取り出す構成でありながら、ストッパーを使用せずに、取り出すことができ、育苗容器内の播種面の乱れ発生を防止して安定した取出作業ができる。
請求項5の発明では、受入兼リフト体18は、平板状の板部材により形成し、積み出し用移送台15に設けた支持部77に載置する構成としているので、ストッパーを使用せずに取出構成を簡単に構成でき、育苗容器積み上げ取出装置を安価に提供できる。
請求項6の発明では、受入兼リフト体18は、支持部77に載置した状態で播種用移送台1からの播種済み育苗容器Aを受け入れ、持ち上げローラー20の回転により持ち上げローラー20と共に上下する構成としたので、積み出し用移送台15の支持部77に受入兼リフト体18を載置するだけで、設置が完了し、既存の育苗容器積み上げ取出装置にも装着が可能になって汎用性を向上させられる。
請求項7の発明では、搬送部Hの一部の移送ローラー17は、先行育苗容器Aを後続育苗容器Aから引き離す早送りローラー17Aとし、早送り移送ローラー17Aは受入兼リフト体18上の播種済み育苗容器Aに作用する構成としたので、受入兼リフト体18ごと播種済み育苗容器Aを上昇させるだけで、早送り移送ローラー17Aの駆動力を遮断することができ、ストッパーを使用しない育苗容器内の播種面の乱れ発生を防止できる育苗容器積み上げ取出装置を実現できる。
請求項8の発明では、早送り移送ローラー17Aは早送り用モーター17Bにより常時駆動回転する構成とし、持ち上げローラー20は開始センサ45の検知により積み上げ用モーターMによって駆動する構成としので、持ち上げローラー20の駆動開始を確実にでき、育苗容器積み上げ取出装置を安定して作動させることができる。
請求項9の発明では、持ち上げローラー20は開始センサ45により育苗容器Aを検出すると駆動開始する構成とし、開始センサ45は、播種済み育苗容器Aの前端が積み出し用移送台15の終端に設けた落下防止板44に当接する以前に持ち上げローラー20が育苗容器Aを上昇させるので、持ち上げローラー20の駆動開始を確実にして、かつ、受入兼リフト体18との接触抵抗による播種済み育苗容器Aの所定位置にての停止の確実性を向上させ、育苗容器積み上げ取出装置を安定して作動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】播種済み育苗容器搬送装置の概略図。
図2】積上げ取出装置の斜視図。
図3】受入兼リフト体の斜視図。
図4】受入兼リフト体を装着した状態の積上げ取出装置の平面図および受入兼リフト体を取り外した状態の積上げ取出装置の平面図
図5】積上げ取出装置の側面図。
図6】積上げ取出装置の側面図。
図7】積上げ取出装置の伝動機構の概略平面図。
図8】積上げ取出装置の背面図。
図9】受入兼リフト体を装着した状態の積上げ取出装置の一部縦断側面図。
図10】積上げ取出装置の縦断側面図。
図11】積上げ取出装置の縦断側面図。
図12】支持装置の支持体の側面図と正面図と組立状態図。
図13】育苗容器の積み上げ状態説明図。
図14】ローラ取付軸のカム体の側面図。
図15】育苗容器の積み上げ状態側面図。
図16】同背面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の一実施形態を図面により説明すると、1は空の育苗容器Aに床土と種子と覆土を供給を移送する播種用移送台であり、播種用移送台1の上方始端部側には移送中の育苗容器Aに床土を供給する床土供給装置2を設け、床土供給装置2の移送方向下手側には移送中の育苗容器Aに種子を供給する種子供給装置3を設け、種子供給装置3の移送方向下手側には移送中の育苗容器Aに覆土を供給する覆土供給装置4等を設けている(図1)。
なお、播種用移送台1上には、前記床土供給装置2等の他に、床土を均平する回転ブラシや灌水装置等を設け、移送中の育苗容器Aに播種するように構成されていればよい。
また、本発明の実施形態を説明するにあたり、理解を容易にするため、育苗容器Aを前進移送させる構成とし、この育苗容器Aの移送方向(移送路)を基準に前後・左右・上下等の方向を示して説明するが、これにより、本発明の構成が限定されることはない。
播種用移送台1の終端には、積上げ取出装置10を設ける。積上げ取出装置10は、播種済み育苗容器Aを下から上方向に積み上げて重ねて、所定段数積上げた積上げ播種済み育苗容器A群を取り出すものであり、播種済みの育苗容器Aを移送する積み出し用移送台15を有して構成する。
【0009】
この積み出し用移送台15は、播種用移送台1と一体的構成にしても、別体構成でもよく、本実施形態では別体で構成し、播種用移送台1の終端に接続する構成としている。
積み出し用移送台15は左右一対のフレーム16を有し、支脚14により床上に載置される。積み出し用移送台15には、搬送部Hとして移送方向に移送ローラー17を複数並設する。移送ローラー17は、移送ローラー回転軸18をフレーム16に軸装して設ける。複数の移送ローラー17のうち、少なくとも、始端側の移送ローラー17は自由回転構成とし、播種用移送台1から受け入れた先行育苗容器Aを後続育苗容器Aにより押されて受け入れる構成とし、さらに、所定の移送ローラー17は早送り用モーター17Bにより常時駆動回転して先行の育苗容器Aを早送りして、後続の育苗容器Aとの間に間隔を形成させる早送り移送ローラー17Aとして構成している(図2)。
【0010】
早送り移送ローラー17Aにより早送りされた育苗容器Aが所定位置に至ると、持ち上げ機構19により育苗容器Aを上方に持ち上げる。
この持ち上げ機構19の構成は任意であるが、持ち上げ機構19は前後一対の持ち上げローラー20を有し、持ち上げローラー20はアーム21の先端に回転自在に取付け、アーム21の基部をローラ取付軸22に固定する。ローラ取付軸22は、育苗容器Aの搬送方向に対する交差方向に横軸回転して播種済み育苗容器Aを持ち上げる構成とし、その両端をフレーム16に回転自在に軸装する。
この場合、持ち上げローラー20はアーム21の先端に回転自在に取付け、かつ、持ち上げローラー20は左右一対並設し、左右の持ち上げローラー20の間には手を挿入しうる空間部20Bを形成し、空間部20Bから手の挿入を可能にすることにより、後述する支持装置24の支持体25が既に支持している積上げ育苗容器Aの取出を可能にし、取出作業全般の作業の容易化と効率化とを図っている。
【0011】
持ち上げローラー20は、搬送方向に前後一対設け、回転しながら育苗容器Aを持ち上げ、持ち上げられた育苗容器Aが後述する支持装置24の支持体25により支持されると、そのまま、下降回転して次の育苗容器Aを持ち上げるために待機する。
持ち上げ機構19への伝動構成は任意であるが、一例を示すと、積み上げ用モーターMの出力軸26に設けた出力歯車27と前後一対のローラ取付軸22に設けたアーム歯車28の間に持ち上げ用チェン29を掛け回して、積み上げ用モーターMの駆動回転を伝達する(図6、7)。
この場合、積み上げ用モーターMはフレーム16の下面に設けた取付部30に取付け、出力歯車27と前後のアーム歯車28とは逆三角形状に配置し、前後のアーム歯車28間の持ち上げ用チェン29の上面側にテンション歯車31を噛み合わせる(図6)。
【0012】
テンション歯車31はテンションアーム32の先端に取付け、テンションアーム32の基部は取付部30に取付軸33により回動自在に取付ける。テンション歯車31は取付部30に対して下動させると、持ち上げ用チェン29を緊張させ、テンション歯車31を取付部30に対して上動させると、持ち上げ用チェン29を弛緩させる。
この場合、積み上げ用モーターMは取付部30に上下動自在に取付け、積み上げ用モーターMの出力歯車27の上下動とテンション歯車31の上下動とを組み合わせて、前後の持ち上げローラー20およびアーム21の高さ位置の同期調節可能に構成する。
すなわち、積み上げ用モーターM(出力歯車27)を取付部30に対して上動させて持ち上げ用チェン29を緩めた状態では、後側アーム歯車28と出力歯車27との間の持ち上げ用チェン29Aはロックされて移動しないが、テンション歯車31を調節ボルト31Aにより上下させることにより、後側アーム歯車28から前側アーム歯車28を経由して出力歯車27に至る持ち上げ用チェン29Bは前側アーム歯車28を回転させることが可能であるので、例えば、テンション歯車31を調節ボルト31Aにより下動させると、図6において、前側アーム歯車28は時計回転し、テンション歯車31を調節ボルト31Aにより上動させると、前側アーム歯車28は反時計回転する。
【0013】
したがって、例えば、前後の持ち上げローラー20を略水平状態とすると、前後の持ち上げローラー20の高低差の視認が容易となり、この状態で、後側の持ち上げローラー20の高さに前側の持ち上げローラー20の高さが一致するように、テンション歯車31を調節ボルト31Aにより上下動させると、前後の持ち上げローラー20の高さ位置の同期(同調)調節を簡単に行うことができ、この状態で積み上げ用モーターMを取付部30に対して下動させて持ち上げ用チェン29の張り具合を調節すると、前後の持ち上げローラー20およびアーム21の高さ位置の同期調節と持ち上げ用チェン29の張り具合調節とが完了する。
しかして、複数並設した移送ローラー17のうち、所定の移送ローラー17は、前記早送り移送ローラー17Aとし、前後の持ち上げローラー20のそれぞれの手前側に設ける。
【0014】
そのため、早送り移送ローラー17Aに至るまで先行育苗容器Aは、播種用移送台1からの後続育苗容器Aにより押されて搬送される。
早送り移送ローラー17Aは早送りローラー回転軸39にローラーを複数軸方向に並設して設け、早送りローラー回転軸39には受動歯車40を固定し、早送り用モーター17Bの駆動歯車41との間に早送りチェン42を掛け回し、早送り用モーター17Bの駆動回転を伝達する。
また、早送りローラー回転軸39には別途中間歯車40Aを固定し、後側の早送り移送ローラー17Aの早送りローラー回転軸39に固定の受動歯車40Bとの間にチェン42Aを掛け回し、早送り用モーター17Bの駆動回転を伝達する。
【0015】
これにより、播種用移送台1により搬送される後続育苗容器Aの搬送力を利用して後述する開始センサ45まで育苗容器Aを搬送することができ、合理的な構成にでき、コストダウンを図れる。
積み上げ用モーターMの回転開始させる開始センサ45を、前側早送り移送ローラー17Aの搬送方向下手側に設ける(図2)。
本実施形態では、積み上げ用モーターMの回転開始させる開始センサ45を前側早送り移送ローラー17Aと前側持ち上げローラー20との間に設けており(図9)、先行の育苗容器Aの前端が早送り前側移送ローラー17Aを通過して早送り移送ローラー17Aにより早送りされた状態で、開始センサ45が積み上げ用モーターMを作動させるので、安定状態で育苗容器Aを早送りでき、かつ、持ち上げローラー20により上昇させられる。
【0016】
この場合、育苗容器Aの前端は早送り移送ローラー17A上を通過してから開始センサ45に接触して開始センサ45をオンにして積み上げ用モーターMの駆動開始させるので、育苗容器Aの前端が積み出し用移送台15の終端に設けた落下防止板(ストッパー)44に当接する前に所定の隙間Sを空けて停止させつつ持ち上げローラー20が育苗容器Aを上昇させるように、開始センサ45の前後位置を調節可能に構成する(図15)。
また、後側の持ち上げローラー20の後側にも早送り移送ローラー17Aを設けているが、これにより、播種済み育苗容器Aを確実に早送りすると共に、育苗容器積み上げ取出装置の時間あたりの処理能力を向上させられる。
【0017】
しかして、支持装置24の支持体25は、持ち上げローラー20による育苗容器Aの上昇は許容するが、一旦上昇させた育苗容器Aは下降させないように保持するものであり、その構成は任意であるが、一例を示すと、図12に示したように、支持体25は、アーム60の基部を取付軸61により取付部62に回動自在に取付け、アーム60の上部には上昇させた育苗容器Aを支持する支持部64を形成する。
支持部64は、上方に至るに従い積み出し用移送台15の左右中央に向けて低くなるように傾斜させて形成する。
上昇した先行育苗容器Aの下面下方を支持面64Aの先端部64Bが通過し、先行育苗容器Aは後続育苗容器Aの上面に落下するが、この落下幅は水平の支持面64であると取付軸61中心とする回転軌跡の頂点と、育苗容器Aが載っている支持面64Aとの間の距離は大きく、その分、支持体25が先行育苗容器Aの下面から退避するときの、先行育苗容器Aが後続育苗容器Aの上面までの落差は距離に比例して大きくなり、落下のときの振動により育苗容器Aの播種面が乱れる。
【0018】
しかし、本願では、支持部64の支持面64Aを傾斜させると、取付軸61中心とする回転軌跡の頂点と、育苗容器Aが載っている支持面64Aとの間の距離は小さくなり、その結果、上昇した先行育苗容器Aの下面下方を支持面64Aの先端部64Bが育苗容器Aの底面から退避するときの振動発生を抑制でき、育苗容器Aの播種面が乱れるのを防止する。
また、支持部64の先端部64Bは、支持面64Aが育苗容器Aの底面から退避するとき、育苗容器Aの側面に設けた側リブ64Cの支持も可能な構成とする(図13)。
【0019】
すなわち、支持部64の支持面64Aは傾斜面に形成しているので、育苗容器Aの底面を支持面64Aの左右何れかの箇所において点接触で支持するが、後続育苗容器Aの上昇により、支持面64Aが先行育苗容器Aの底面から退避する際に、育苗容器Aの側面に設けた側リブ64Cの下面が支持部64の先端部64Bに当接しての支持しうる構成とし、支持部64が育苗容器Aの底面から退避する際のショックを緩和し、積上げ育苗容器Aの振動発生を抑制でき、育苗容器Aの播種面が乱れるのを防止する。
【0020】
なお、支持体25の構成は任意であり、実施形態では、前後一対の縦板部材によりそれぞれアーム60を形成し、アーム60の上縁を支持面64Aに形成し、前後のアーム部60の上側内端を先端部64Bとし、前後のアーム部60の先端部(連結部64D)64Bを軸棒部材により連結し、この先端部64Bにより側リブ64Cを支持する構成としている(図13)。
また、支持体25は板部材を屈曲形成して製作してもよい。
また、左右の支持体25の支持部64がそれぞれ中央に向かって下がり傾斜に傾斜させているので、後続育苗容器Aが左右の支持体25の支持部64上に載ると、傾斜面により積み出し用移送台15の左右のフレーム16の中央に向かって傾斜面を自重で移動して、左右の支持体25はフレーム16の中央に揃えて育苗容器Aを積み上げ支持することができ、取出を容易にする。
【0021】
支持部64の下方のアーム60の内側面には上昇する育苗容器Aとの当接により支持体25を外側に退避回動させる退避誘導面65を形成する。
アーム60と取付部62側(積み出し用移送台15・フレーム16)との間には、支持体25を常時左右のフレーム16間中央に向けて突出するように付勢するバネ66を設ける(図12)。
アーム60の上部外側には上方に突出するストッパ突起67を設け、バネ66は取付部62の上部に当接してアーム60の内側回動を規制して支持体25を支持位置に保持する。
支持体25は常時バネ66により積み出し用移送台15の左右中央に向かって回動するように付勢され、取付部62のストッパ突起67に当接させて支持位置にて待機させ、育苗容器Aが上昇して退避誘導面65に当接すると、外側回動して育苗容器Aから退避し、育苗容器Aの底面が退避誘導面65の上端を通過すると、バネ66のバネ弾力により内側回動して、支持部64が育苗容器Aの底面の下方に位置して支持し、一旦上昇させた育苗容器Aを下降させない。
【0022】
また、支持体25の支持部64の先端位置は、平面視において、持ち上げローラー20の回転軌跡よりも外側に位置させる(図4)。
そのため、持ち上げローラー20の回転軌跡と支持体25の支持部64との先端位置との干渉を回避することができ、支持体25の搬送方向への移動に制約がなくなり、その結果、左右一対の支持体25を前後所定位置に配置することができ、支持体25による育苗容器Aの積上げ姿勢を良好にできる。
また、実施形態では、アーム60の基部に取付軸61を溶接固定して形成し、取付部62は前後に分割形成し、アーム60の取付軸61を前後の取付部材62Aにより挟んで軸支し、この状態で分割した取付部材62Aをボルト62Bにより連結して一体化し、積み出し用移送台15のフレーム16に前後および左右方向に位置調節自在に取付ける(図12)。
【0023】
そのため、積み出し用移送台15のフレーム16や支持装置24の支持体25の製作誤差を吸収して、設置することができ、これにより、積み上げた育苗容器Aを安定して確実に支持できる。
前記持ち上げローラー20のローラ取付軸22にはカム体70を設け、カム体70の近傍には積み上げ停止スイッチ71を設け、積み上げ停止スイッチ71の接続端子72がカム体70の外周面73に接触しているときには積み上げ用モーターMへ通電し、先行育苗容器Aが支持体25で支持されて、持ち上げローラー20が待機位置にまで戻ると、積み上げ停止スイッチ71の接続端子72にカム体70の外周面の切欠74が嵌って、積み上げ用モーターMへの通電を切る(図14)。
【0024】
図14では、積み上げ停止スイッチ71の接続端子72がカム体70の外周面の切欠74が嵌った状態を示している。
また、積み出し用移送台15のフレーム16の所定位置には、支持体25上に育苗容器Aが所定段数積み上げられたことを検出する積み上げ検出スイッチ75を設け(図2)、積み上げ検出スイッチ75が所定段数重ねられたことを検知すると、播種用移送台1への通電を切る。
しかして、播種用移送台1から移送された播種済み育苗容器Aを持ち上げ機構19の持ち上げローラー20上に受け入れるに際し、持ち上げローラー20上に予め受入兼リフト体18を用意し、受入兼リフト体18上に播種済み育苗容器Aが乗り移るように構成する(図2、3)。
【0025】
そのため、播種済み育苗容器Aが受入兼リフト体18上に乗り移るときの接触抵抗により所定位置にて停止させることができ、従来のような播種済み育苗容器Aをストッパーに当接させて停止させる停止構成を採用せずに、緩やかに播種済み育苗容器Aを所定位置に停止させることができ、播種済み育苗容器A内の播種面が乱れるの防止でき、安定した積上げ取出作業ができる。
すなわち、受入兼リフト体18上に乗り移った先行播種済み育苗容器Aは、積み出し用移送台15に設けられた前記早送り移送ローラー17Aにより後続播種済み育苗容器Aに対して早送り移送されると共に、駆動回転する持ち上げローラー20により上昇開始して、早送り移送ローラー17Aより離脱して慣性により受入兼リフト体18上を移動して受入兼リフト体18との接触抵抗により所定位置にて停止し、この状態で、持ち上げローラー20により支持装置24が支持できるまで上昇させる構成とする。
【0026】
そのため、持ち上げ機構19の持ち上げローラー20により播種済み育苗容器Aを上昇させることで、早送り移送ローラー17Aからの播種済み育苗容器Aに作用する駆動力を遮断し、ストッパー等の他の部材との衝撃的な衝突をさせることなく、播種済み育苗容器Aを所定位置に停止させることができ、上下に揃えて播種済み育苗容器Aを積み上げて取り出すことができる。
【0027】
また、播種用移送台1から移送されて受入兼リフト体18上に乗り移った先行播種済み育苗容器Aが早送り移送ローラー17Aにより早送り移送されると、開始センサ45に接触して積み上げ用モーターMに通電して持ち上げローラー20を駆動回転させて上昇開始し、上昇中の先行播種済み育苗容器Aの底面は早送り移送ローラーより離れて駆動が遮断され、先行播種済み育苗容器Aは慣性により受入兼リフト体18上を移動して受入兼リフト体18との接触抵抗により所定位置にて停止し、さらに、持ち上げローラー20により先行播種済み育苗容器Aは上昇して支持装置24が支持できる高さまで上昇すると、支持装置24により所定高さ位置にて支持され、受入兼リフト体18は下降回転する持ち上げローラー20と共に下降して待機位置に戻り、後続の播種済み育苗容器Aを受け入れ、再び、後続の播種済み育苗容器Aを上昇させ、この作業を反復して播種済み育苗容器Aを取り出すので、持ち上げ機構19の持ち上げローラー20上の受入兼リフト体18上に受け入れた先行播種済み育苗容器Aは、早送り移送ローラーにより早送り移送中に、開始センサ45に接触して上昇開始され、これにより、播種済み育苗容器Aの底面が早送り移送ローラーより離れて駆動が遮断され、このときの慣性力と受入兼リフト体18との接触抵抗により所定位置にて停止しながらさらに上昇して支持装置24にて支持され、これを反復して積上げ取出を行え、ストッパーを使用せずに、取り出すことができ、育苗容器内の播種面の乱れ発生を防止して安定した取出作業ができる。
【0028】
したがって、前記持ち上げ機構19は、持ち上げローラー20と播種済み育苗容器Aの底面を支持する受入兼リフト体18とを有して構成することになる。
そのため、受入兼リフト体18は、種々の底面形状を有する育苗容器Aの円滑な受入作用と、接触抵抗による播種済み育苗容器Aの停止衝撃緩和作用と、播種済み育苗容器Aの早送り移送ローラー17Aよる早送り駆動を遮断する作用とを奏する。
受入兼リフト体18は、平板状の板部材の本体部76により形成し、本体部76の底面所定部分を積み出し用移送台15に設けた支持部77に載置する構成とする。
本実施形態では、受入兼リフト体18の本体部76は、3個のローラー78により構成した早送り移送ローラー17Aを、左右のローラー78の間に位置する左右幅で形成し、かつ、左右の支持装置24の支持体25より内側に位置する左右幅で形成する。
【0029】
そのため、受入兼リフト体18は、播種済み育苗容器Aが早送り移送ローラー17Aにより早送りされのに干渉せず、また、播種済み育苗容器Aを支持する支持装置24へも干渉せずに上下して播種済み育苗容器Aを積上げることができる。
本体部76は、少なくとも、前後の持ち上げローラー20の両方が当接する所定の前後長であって、かつ、持ち上げローラー20の上昇により早送り移送ローラー17Aの早送りから遮断された播種済み育苗容器Aが接触抵抗で停止させうる前後長を有して形成する。
したがって、本体部76の後端は後側早送り移送ローラー17Aの前側に位置させ、本体部76の前端は積み出し用移送台15の前枠79の後側に所定間隔をおいて位置させる。
【0030】
受入兼リフト体18を支持する支持部77は、積み出し用移送台15の所定位置に設ければよいが、本実施形態では、待機位置にある前後の持ち上げローラー20のアーム21の基部を円弧形状に形成し、このアーム21の基部外周面を支持部77とし、前後左右の4個の支持部77により受入兼リフト体18を支持している。
本体部76の後端には、後側に至るに従い低くなる後側傾斜部80を設ける。
これにより、播種済み育苗容器Aの前側底面と本体部76との干渉を防止して、受入兼リフト体18上の乗り移りを円滑にする。
本体部76の下面所定位置には下方に突出する係合脚82を設ける。係合脚82は係合溝83を有し、係合溝83を持ち上げ機構19のローラ取付軸22に上方より差し込み係合させる。
【0031】
したがって、受入兼リフト体18は特別な専用の駆動機構を設けることなく、持ち上げローラー20により受入兼リフト体18は持ち上げローラー20に追随して上下動する構成とし、持ち上げローラー20により上下する受入兼リフト体18は係合脚82の係合溝83とローラ取付軸22との係合作用により上下動が案内される。
そのため、係合脚82と係合溝83は、受入兼リフト体18の上下動幅より大きく(長く)形成する。
また、受入兼リフト体18は、係合脚82の係合溝83を持ち上げ機構19のローラ取付軸22に上方より差し込むだけで、装着が完了する。
したがって、受入兼リフト体18は、係合脚82の係合溝83とローラ取付軸22との係合作用により前後の位置決めがされ、合理的構成となる。
受入兼リフト体18の本体部76には開口部84を設け、開口部84は早送り移送ローラー17Aに嵌合する構成とする。
【0032】
したがって、開口部84は早送り移送ローラー17Aが嵌合する大きさに開口させる。
また、載置待機状態の本体部76の上面は、早送り移送ローラー17Aの上面より下方に位置させる。
そのため、受入兼リフト体18上に乗り移る播種済み育苗容器Aは、必ず、早送り移送ローラー17Aにより早送りされる。
また、早送り移送ローラー17Aは早送り用モーター17Bにより常時駆動回転する構成とする。
【0033】
持ち上げローラー20は開始センサ45により育苗容器Aを検出すると駆動開始する構成とし、開始センサ45は、播種済み育苗容器Aの前端が積み出し用移送台15の終端に設けた落下防止板44に当接する以前に持ち上げローラー20が育苗容器Aを上昇させるように、前後位置調節可能に取付ける。
85は開始センサ45が嵌合する受入兼リフト体18の本体部76の開口部、86は本体部76の前側に設けたカバーであり、上下動中の本体部76と積み出し用移送台15の前枠79との間に異物が挟まるのを防止する。
【0034】
(実施形態の作用)
本発明は上記構成であり、空の育苗容器Aへ土と種子等を供給する播種用移送台1の終端に積上げ取出装置10の積み出し用移送台15の始端部を接続する。
次に、積み出し用移送台15の支持部77に受入兼リフト体18の本体部76を載置する。
次に、播種用移送台1の始端部に空の育苗容器Aを供給し、移送中の育苗容器Aは床土供給装置2の下方で床土の供給を受け、灌水され、種子供給装置3の下方で種子の供給を受け、覆土供給装置4の下方で覆土の供給を受けて播種される。
播種されて播種用移送台1の終端に移送された播種済み育苗容器Aは、積上げ取出装置10の積み出し用移送台15の移送ローラー17上に乗り移り、後続の育苗容器Aにより押されて自由回転状態の移送ローラー17上をそのまま移動し、受入兼リフト体18の後端の後側に位置する後側早送り移送ローラー17Aにより早送りされて、受入兼リフト体18上に乗り移って開始センサ45に接触する。
【0035】
開始センサ45に育苗容器Aが接触すると、積み上げ用モーターMに通電し、持ち上げローラー20を駆動回転させて先行育苗容器Aを支持体25が支持するまで上昇させる。
支持体25は持ち上げローラー20により育苗容器Aが上昇すると、バネ31の弾力に抗して上昇する育苗容器Aにより誘導面29が外側に押され、支持体25は外側回動して育苗容器Aから退避し、育苗容器Aの底面が誘導面29の上端を通過すると、バネ31の弾力により内側回動して、支持面30が育苗容器Aの底面の下方に潜り込んで支持して待機させる。
【0036】
先行育苗容器Aが支持体25で支持されると、積み上げ停止スイッチ71の接続端子72にカム体70の外周面の切欠74が入って、積み上げ用モーターMへの通電を切る。
先行育苗容器Aが支持体25に支持されている間に、後続の育苗容器Aが播種用移送台1の終端から積上げ取出装置10の積み出し用移送台15の移送ローラー17上に乗り移り、早送り移送ローラー17Aに早送りされて再び開始センサ45に接触し、開始センサ45は積み上げ用モーターMに通電し、早送り移送ローラー17Aを駆動回転させて育苗容器Aを早送り移送し、後続の育苗容器Aとの間に間隔を形成させると同時に、持ち上げローラー20を回転させて二枚目の育苗容器Aを上昇させる。
【0037】
持ち上げローラー20により二枚目の育苗容器Aが上昇すると、バネ31の弾力に抗して上昇する二枚目の育苗容器Aにより誘導面29が外側に押され、支持体25は外側回動して退避し、二枚目の育苗容器Aの上面を一枚目の育苗容器Aの下面に押し当てて重ね、持ち上げローラー20は二段重ねのまま育苗容器Aを上昇させ、二枚目の育苗容器Aの底面が誘導面29の上端を通過すると、バネ31の弾力により内側回動して、支持面30が二枚目の育苗容器Aの底面の下方に潜り込んで支持する。
二枚目の育苗容器Aが支持体25で支持されると、積み上げ停止スイッチ71の接続端子72にカム体70の外周面の切欠74が入って、積み上げ用モーターMへの通電を切り、二段重ねが終了する。
【0038】
このように、播種用移送台1にて播種された播種済み育苗容器Aは上記作動を反復して所定段数(枚数)の育苗容器Aを積み上げ、所定段数に積み上げられた育苗容器Aは適宜手作業により積み出し用移送台15から取り出される。
なお、支持体25上に所定数以上の育苗容器Aが積み上げられると、これを積み上げ検出スイッチ75が検知して、播種用移送台1を停止させる。
【0039】
前記したように、播種用移送台1から移送された播種済み育苗容器Aは、持ち上げ機構19の持ち上げローラー20上に受け入れるに際し、持ち上げローラー20上に予め受入兼リフト体18を用意し、受入兼リフト体18上に播種済み育苗容器Aが乗り移るように構成しているので、播種済み育苗容器Aが受入兼リフト体18上に乗り移るときの接触抵抗により所定位置にて停止させることができ、従来のような播種済み育苗容器Aをストッパーに当接させて停止させる衝撃停止構成を採用せずに、播種済み育苗容器Aを所定位置に衝撃を与えることなく停止させることができ、播種済み育苗容器A内の播種面が乱れるの防止でき、安定した積上げ取出作業ができる。
【0040】
すなわち、受入兼リフト体18上に乗り移った先行播種済み育苗容器Aは、積み出し用移送台15に設けられた早送り移送ローラー17Aにより後続播種済み育苗容器Aに対して早送り移送されると共に、駆動回転する持ち上げローラー20により上昇開始して、早送り移送ローラー17Aより離脱して慣性により受入兼リフト体18上を移動して受入兼リフト体18との接触抵抗により所定位置にて停止し、この状態で、持ち上げローラー20により支持装置24が支持できるまで上昇させる構成としているので、持ち上げ機構19の持ち上げローラー20により播種済み育苗容器Aを上昇させることで、早送り移送ローラー17Aからの播種済み育苗容器Aに作用する駆動力を遮断し、ストッパー等の他の部材との衝撃的な衝突をさせることなく、播種済み育苗容器Aを所定位置に停止させることができ、上下に揃えて播種済み育苗容器Aを積み上げて取り出すことができる。
【0041】
また、播種用移送台1から移送されて受入兼リフト体18上に乗り移った先行播種済み育苗容器Aが早送り移送ローラー17Aにより早送り移送されると、開始センサ45に接触して積み上げ用モーターMに通電して持ち上げローラー20を駆動回転させて上昇開始し、上昇中の先行播種済み育苗容器Aの底面は早送り移送ローラーより離れて駆動が遮断されるので、特別な機構を採用せずに、受入兼リフト体18ごと播種済み育苗容器Aを上昇させるだけで、受入兼リフト体18上の所定位置に播種済み育苗容器Aを停止させられる。
そして、播種用移送台1から送り出される各播種済み育苗容器Aは略同重量あるから、慣性により受入兼リフト体18上を移動する播種済み育苗容器Aは接触抵抗により同じ所定位置にて停止し、この積上げ作業により播種済み育苗容器Aは、特別なストッパー等を設けなくても、各播種済み育苗容器Aの前端位置を揃えて積上げつことができる。
【0042】
このように、持ち上げ機構19は、持ち上げローラー20と播種済み育苗容器Aの底面を支持する受入兼リフト体18とを有して構成することになるので、受入兼リフト体18は、種々の底面形状を有する育苗容器Aの円滑な受入作用と、接触抵抗による播種済み育苗容器Aの停止衝撃緩和作用と、播種済み育苗容器Aの早送り移送ローラー17Aよる早送り駆動を遮断する作用とを奏する。
受入兼リフト体18は、平板状の板部材の本体部76により形成し、本体部76の底面所定部分を積み出し用移送台15に設けた支持部77に載置する構成としているので、本体部76を積み出し用移送台15の支持部77上に載置すると、装着が完了する。
【0043】
そのため、前後一対の持ち上げローラー20を有する持ち上げ機構19であれば、播種用移送台1に支持部77を設けるだけで受入兼リフト体18を使用した育苗容器積み上げ取出装置が可能となり、所謂後付け使用も可能となって、汎用性を向上させられる。
本体部76は、少なくとも、前後の持ち上げローラー20の両方が当接する所定の前後長であって、かつ、持ち上げローラー20の上昇により早送り移送ローラー17Aの早送りから遮断された播種済み育苗容器Aが接触抵抗で停止させうる前後長を有して形成しているので、種々の形状の育苗容器Aを受け入れて積上げることができる。
本体部76の後端には、後側に至るに従い低くなる後側傾斜部後側傾斜部80を設けているので、播種済み育苗容器Aの前側底面と本体部76との干渉を防止して、受入兼リフト体18上への乗り移りを円滑にする。
【0044】
本体部76の下面所定位置には下方に突出する縦長の係合溝83を有する係合脚82を設け、係合脚82の係合溝83を有し、持ち上げ機構19のローラ取付軸22に上方より差し込み係合させると、受入兼リフト体18の装着が完了する。
そのため、受入兼リフト体18は特別な工具を必要とせずに、積み出し用移送台15に着脱できる。
また、受入兼リフト体18は係合脚82の係合溝83とローラ取付軸22との係合作用により、持ち上げローラー20に追随して上下動して播種済み育苗容器Aを積上げることができ、安価に育苗容器積み上げ取出装置を提供できる。
また、受入兼リフト体18は、係合脚82の係合溝83を持ち上げ機構19のローラ取付軸22に上方より差し込んで取付けるので、受入兼リフト体18は、係合脚82の係合溝83とローラ取付軸22との係合作用により前後の位置決めがされ、合理的構成となる。
【0045】
受入兼リフト体18の本体部76には開口部84を設け、開口部84には早送り移送ローラー17Aが嵌合する構成としているので、待機状態の受入兼リフト体18の開口部84から露出する早送り移送ローラー17Aが播種済み育苗容器Aに作用して必ず早送りさせられる。
持ち上げローラー20は開始センサ45により育苗容器Aを検出すると駆動開始する構成とし、開始センサ45は、播種済み育苗容器Aの前端が積み出し用移送台15の終端に設けた落下防止板44に当接する以前に持ち上げローラー20が育苗容器Aを上昇させるように、前後位置調節可能に取付けているので、従来のような播種済み育苗容器Aをストッパーに当接させて停止させる衝撃停止構成を採用せずに、播種済み育苗容器Aを所定位置に衝撃を与えることなく停止させることができ、播種済み育苗容器A内の播種面が乱れるの防止でき、安定した積上げ取出作業ができる。
【符号の説明】
【0046】
1…播種用移送台、2…床土供給装置、3…種子供給装置、4…覆土供給装置、10…積上げ取出装置、15…積み出し用移送台、16…フレーム、17…移送ローラー、17A…早送り移送ローラー、17B…早送り用モーター、18…受入兼リフト体、19…持ち上げ機構、20…持ち上げローラー、20B…空間部、21…アーム、22…ローラ取付軸、23…ガイド部材、24…支持装置、25…支持体、26…モーター出力軸、27…出力歯車、28…アーム歯車、29…持ち上げ用チェン、30…取付部、31…テンション歯車、32…テンションアーム、33…取付軸、39…早送りローラー回転軸、40…受動歯車、40A、40B…中間歯車、41…中間歯車、42…早送りチェン、42B…チェン、45…開始センサ、50…ワンウェイクラッチ、60…アーム、61…取付軸、62…取付部、62A…取付部材、62B…ボルト、64…支持部64、64A…支持面、64B…先端部、64C…側リブ、65…退避誘導面65、66…バネ、67…ストッパ突起、70…カム体、71…積み上げ停止スイッチ、75…積み上げ検出スイッチ、76…本体部、77…支持部、78…ローラー、79…前枠、80…後側傾斜部、82…係合脚、83…係合溝、84…開口部、85…開口部、86…カバー、H…搬送部、M…積み上げ用モーター、S…隙間。
図1
図2
図3
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図16