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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023082334
(43)【公開日】2023-06-14
(54)【発明の名称】傾斜対応横引シャッター装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/02 20060101AFI20230607BHJP
   E06B 9/17 20060101ALI20230607BHJP
【FI】
E06B9/02 E
E06B9/17 M
E06B9/17 N
E06B9/02 K
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021196037
(22)【出願日】2021-12-02
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】514112732
【氏名又は名称】株式会社横引SR
(74)【代理人】
【識別番号】100080447
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】市川 慎太郎
(57)【要約】      (修正有)
【課題】傾斜状態と水平状態とが連続した箇所でも設置が可能で、傾斜状態においても、シャッター装置の動作に支障をきたすことがない、傾斜対応横引シャッター装置を提供する。
【解決手段】板状の金属材によるスラット10を複数備え、スラットが、第1の端に係合部が形成されると共に、係合部と組み合う係合受部が第2の端に形成され、第1の端の係合部と第2の端の係合受部との組み合わせによる連接部における係合部の内側に芯棒が挿入されており、芯棒の上端側には、連接部を塞ぐ上端蓋体が取り付けられ、連接部の下端側には、連接部を塞ぐ下端蓋体が取り付けられ、スラットの上端側には、上滑車12をスラットに取り付けるための上滑車取付金具11が取り付けられ、上滑車取付金具の片側側部には、突起が設けられ、突起が、上端蓋体に接続されることにより、スラットの両側に形成された連接部において、係合部と係合受部が垂直方向にスライド可能な構造。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スラットを複数備えた横引のシャッター装置であって、
前記スラットが、一方の側部である第1の端に係合部が形成されると共に、該係合部と組み合う係合受部が他方の側部である第2の端に形成されたものであり、
第1の端の係合部は、連接する他のスラットが有する係合受部と係合するような形状に形成されており、
第2の端の係合受部は、連接する他のスラットが有する係合部と係合するような形状に形成されており、
第1の端の係合部と第2の端の係合受部との組み合わせにより、スラットの両側に連接部が形成され、
前記スラットの上端側には、上滑車をスラットに取り付けるための上滑車取付金具が取り付けられ、
前記上滑車は、上端ガイドレールに組み合わせられており、
スラットの両側に形成された連接部において、係合部と係合受部が垂直方向にスライド可能な構造であることを特徴とする、傾斜対応横引シャッター装置。
【請求項2】
前記連接部における係合部の内側に、芯棒が挿入されており、
該芯棒の上端側には、前記連接部を塞ぐ上端蓋体が取り付けられ、
前記連接部の下端側には、下端蓋体が取り付けられ、該連接部が塞がれていることを特徴とする、
請求項1に記載の傾斜対応横引シャッター装置。
【請求項3】
前記スラットの下端側には、下滑車をスラットに取り付けるための下滑車取付金具が取り付けられ、
前記下滑車は、下端ガイドレールに組み合わせられていることを特徴とする、
請求項1または2に記載の傾斜対応横引シャッター装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傾斜対応横引シャッター装置に関する。
【背景技術】
【0002】
横引シャッター装置として、特許文献1に記載の装置が知られている。
【0003】
該特許文献1に記載の装置は、板状の金属材を折り曲げて形成されたスラットを用いた横引き防火防煙シャッター装置であって、横引き防火防煙シャッター装置に用いるスラット1が、板状の金属材を折り曲げて形成されるものであり、該スラット1が、前記折り曲げによって形成された係合部12を備えた第1の端と、前記折り曲げによって形成された係合受部13を備えた第2の端とを有し、第1の端の係合部12は、連接する他のスラットが有する係合受部と係合するような、カールした形状に構成されており、第2の端の係合受部13は、連接する他のスラットが有する係合部と係合するような、前記係合部よりも径の大きいカールした形状に構成されており、該スラットと他のスラットとを係合した箇所である連接部おける、カールした係合部の内側に遮煙用芯棒20が挿入されており、前記遮煙用芯棒20が挿入された連接部が、前記遮煙用芯棒20の両端の外側からそれぞれ、遮煙用蓋体30によって塞がれている(特許文献1における図3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6401887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のシャッター装置は、充分な防火性能及び防煙性能するものであるが、傾斜地への設置を考慮したものではない。
【0006】
そのため、特許文献1に記載のシャッター装置を、傾斜状態の箇所に設置すると、図8に示すように、すべてのスラット10が傾斜した状態で設置され、斜め方向に荷重がかかることになる。
その結果、多くの荷重が一番下のスラット10に傾斜状態でかかることになり、シャッター装置の動作に支障をきたすことになる。
なお、図8中、11は上滑車取付金具、12は上滑車を示している。
図9に示すように、上滑車取付金具11の側部には、左側部側に突起111,右側部側に突起112が各々形成されている。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、傾斜状態の箇所への設置が可能であり、特に、傾斜状態と水平状態とが連続した箇所でも設置が可能で、傾斜状態においても、シャッター装置の動作に支障をきたすことがない、傾斜対応横引シャッター装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の課題を解決するための手段は、下記のとおりである。
【0008】
第1に、
板状の金属材によるスラットを複数備えた横引のシャッター装置であって、
前記スラットが、一方の側部である第1の端に係合部が形成されると共に、該係合部と組み合う係合受部が他方の側部である第2の端に形成されたものであり、
前記第1の端及び第2の端は、金属材の両側を折り曲げることで形成されており、
第1の端の係合部は、連接する他のスラットが有する係合受部と係合するような、カールした形状に形成されており、
第2の端の係合受部は、連接する他のスラットが有する係合部と係合するような、前記係合部よりも径の大きいカールした形状に形成されており、
第1の端の係合部と第2の端の係合受部との組み合わせにより、スラットの両側に連接部が形成され、
前記スラットの上端側には、上滑車をスラットに取り付けるための上滑車取付金具が取り付けられ、
前記上滑車は、上端ガイドレールに組み合わせられており、
スラットの両側に形成された連接部において、係合部と係合受部が垂直方向にスライド可能な構造であることを特徴とする、傾斜対応横引シャッター装置。
ここで、係合部及び係合受部の形状は、カールした形状に限定されず、隣接するスラットの動作を妨げないものであれば、各種形状を採用することができる。
【0009】
第2に、
前記連接部におけるカールした係合部の内側に、遮煙用芯棒が挿入されており、
該遮煙用芯棒の上端側には、前記連接部を塞ぐ上端蓋体が取り付けられ、
前記連接部の下端側には、下端蓋体が取り付けられ、該連接部が塞がれていることを特徴とする、
前記第1に記載の傾斜対応横引シャッター装置。
【0010】
第3に、
前記スラットの下端側には、下滑車をスラットに取り付けるための下滑車取付金具が取り付けられ、
前記下滑車は、下端ガイドレールに組み合わせられていることを特徴とする、
前記第1または第2に記載の傾斜対応横引シャッター装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、以下の効果を得ることができる。
【0012】
本発明は、連結部を構成する係合部と係合受部が、垂直方向にスライド可能な構造なので、傾斜状態の箇所に設置しても、各々のスラットは垂直状態に保たれる。
その結果、傾斜状態においても、多くの荷重は垂直方向にかかり、シャッター装置の動作に支障をきたすことがなく、傾斜状態と水平状態とが連続した箇所でも設置が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の傾斜対応横引シャッター装置の要部の正面図である。
図2】本発明の傾斜対応横引シャッター装置の要部の背面図である。
図3図2における下端側の一部の拡大図である。
図4図3の斜視図である。
図5図2における上端側の一部の拡大図である。
図6図5の斜視図である。
図7】本発明の傾斜対応横引シャッター装置の設置状態の一例の説明図である。
図8】従来の横引シャッター装置による傾斜地への設置状態の説明図である。
図9】従来の横引シャッター装置における上滑車取付金具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しつつ具体的に説明する。
ここで、添付図面において同一の部材には同一符号を付しており、また重複した説明は省略されている。
なお、ここでの説明は本発明が実施される一形態であることから、本発明は当該形態に限定されるものではない。
【実施例0015】
本実施例に係る傾斜対応横引シャッター装置は、図1図2に示すように、長板状の金属材によるスラット10を複数備え、全ての各スラット10に上滑車取付金具11を介して取り付けた上滑車12と、一つ置きの各スラット10に下滑車取付金具13を介して取り付けた下滑車14とを有するものである。
【0016】
図3図4に示すように、下滑車取付金具13は、水平部の両側に下滑車14が各々取り付けられ、垂直部の中央切欠帯の両側に位置するスラット10との接触面に設けた孔に挿入するリベット15によって、スラット10に取り付けられている。
【0017】
図5図6に示すように、上滑車取付金具11は、逆U字形状で上部に上滑車12が取り付けられ、両側に位置するスラット10との接触面に設けた孔に挿入するリベット15によって、スラット10に取り付けられている。
該上滑車取付金11の上端側の一方には、突起111が設けられている。
【0018】
図3図6に示すように、スラット10の一方の側部である第1の端に係合部101が形成されると共に、該係合部101と組み合う係合受部102が他方の側部である第2の端に形成されている。
前記第1の端及び第2の端は、金属材の両側をカール状に折り曲げることで形成されている。
【0019】
第1の端の係合部101は、連接する他のスラット10が有する係合受部102と係合するよう、カールした形状に形成されている。
第2の端の係合受部102は、連接する他のスラット10が有する係合部101と係合するよう、前記係合部101よりも径の大きいカールした形状に形成されている。
【0020】
第1の端の係合部101と、第2の端の係合受部102との組み合わせによって、スラット10の両側に連接部16が形成されている。
各連接部16には、カールした係合部101の内側に、芯棒(図示は省略する)が各々挿入されている。
【0021】
該芯棒の上端側には、図6に示すように、前記連接部16を塞ぐ上端蓋体18が取り付けられている。
該上端蓋体18は、突起111との接触箇所が溶接によって接続されることで、スラット10の両側に形成された連接部16について、図2に示すように、連結部16を構成する係合部102と係合受部101は、垂直方向にスライド可能な構造を構成している。
【0022】
該芯棒の下端側には、図4に示すように、前記連接部16を塞ぐ下端蓋体19が取り付けられている。
該下端蓋体19は、連接部16を構成する係合受部102の下端に、各々溶接されていることで、各連接部16の下端側が各々塞がれている。
【0023】
図7に示すように、本実施例の傾斜対応横引シャッター装置は、水平状態、傾斜状態が混在する箇所にも施工可能なものであり、傾斜状態でも各スラットは垂直状態を示している。
図7中、20は上側ガイドレール、21は下側ガイドレールを示している。
【0024】
図示は省略するが、上側ガイドレール20には上滑車12が組み合わせられ、下側ガイドレールには下滑車14が組み合わせられている。
また、シャッター装置の動作用モータ、収納部等の図示は、省略されている。
【0025】
図7に示す傾斜対応横引シャッター装置は、スラットの両側に形成された連接部16(図3図6参照)について、図2に示すように、係合部102と係合受部101が垂直方向にスライド可能なので、水平状態に連続する傾斜状態の箇所においては、傾斜状態に対応してスラット10が、上端側の上側ガイドレール20により位置が規制されつつスライドする。
そのため、傾斜状態においても、各スラット10の荷重がほぼ垂直下方向にかかるので、シャッター装置の動作に支障をきたすことがない。
【0026】
また、図4に示すように、連接部16の下端側は下側蓋19によって塞がれているので、シャッターを閉めた状態であっても、建築基準を満たす充分な遮煙性能を発揮することができる。
【符号の説明】
【0027】
10 スラット
101 係合部
102 係合受部
11 上滑車取付金具
111 突起
112 突起
12 上滑車
13 下滑車取付金具
14 下滑車
15 リベット
16 連接部
18 上端蓋体
19 下端蓋体
20 上側ガイドレール
21 下側ガイドレール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2022-06-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
該芯棒17(図2参照)の上端側には、図6に示すように、前記連接部16を塞ぐ上端蓋体18が取り付けられている。
該上端蓋体18は、突起111との接触箇所が溶接によって接続されることで、スラット10の両側に形成された連接部16について、図2に示すように、連結部16を構成する係合部101と係合受部102は、垂直方向にスライド可能な構造を構成している。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
前記連接部16の下端側には、図4に示すように、連接部16を塞ぐ下端蓋体19が取り付けられている。
該下端蓋体19は、連接部16を構成する係合受部102の下端に、各々溶接されていることで、各連接部16の下端側が各々塞がれている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
図7に示す傾斜対応横引シャッター装置は、スラットの両側に形成された連接部16(図3図6参照)について、図2に示すように、係合部101と係合受部102が垂直方向にスライド可能なので、水平状態に連続する傾斜状態の箇所においては、傾斜状態に対応してスラット10が、上端側の上側ガイドレール20により位置が規制されつつスライドする。
そのため、傾斜状態においても、各スラット10の荷重がほぼ垂直下方向にかかるので、シャッター装置の動作に支障をきたすことがない。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0027】
10 スラット
101 係合部
102 係合受部
11 上滑車取付金具
111 突起
112 突起
12 上滑車
13 下滑車取付金具
14 下滑車
15 リベット
16 連接部
17 芯棒
18 上端蓋体
19 下端蓋体
20 上側ガイドレール
21 下側ガイドレール
【手続補正書】
【提出日】2022-08-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スラットを複数備えた横引のシャッター装置であって、
前記スラットが、一方の側部である第1の端に係合部が形成されると共に、該係合部と組み合う係合受部が他方の側部である第2の端に形成されたものであり、
第1の端の係合部は、連接する他のスラットが有する係合受部と係合するような形状に形成されており、
第2の端の係合受部は、連接する他のスラットが有する係合部と係合するような形状に形成されており、
第1の端の係合部と第2の端の係合受部との組み合わせにより、スラットの両側に連接部が形成され、
前記スラットの上端側には、上滑車をスラットに取り付けるための上滑車取付金具が取り付けられ、
前記上滑車は、上端ガイドレールに組み合わせられており、
前記連接部における係合部の内側に、芯棒が挿入されており、
該芯棒の上端側には、前記連接部を塞ぐ上端蓋体が取り付けられ、
前記連接部の下端側には、下端蓋体が取り付けられ、該連接部が塞がれていることで、
スラットの両側に形成された連接部において、係合部と係合受部が垂直方向にスライド可能な構造であることを特徴とする、傾斜対応横引シャッター装置。
【請求項2】
前記スラットの下端側には、下滑車をスラットに取り付けるための下滑車取付金具が取り付けられ、
前記下滑車は、下端ガイドレールに組み合わせられていることを特徴とする、
請求項1に記載の傾斜対応横引シャッター装置。