IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社サタケの特許一覧

<>
  • 特開-レーザーマーキング方法 図1
  • 特開-レーザーマーキング方法 図2
  • 特開-レーザーマーキング方法 図3
  • 特開-レーザーマーキング方法 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023082352
(43)【公開日】2023-06-14
(54)【発明の名称】レーザーマーキング方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/00 20140101AFI20230607BHJP
【FI】
B23K26/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021196066
(22)【出願日】2021-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(72)【発明者】
【氏名】鐘築 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】奥村 浩次
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168AA01
4E168DA43
4E168EA15
4E168JA02
(57)【要約】
【課題】鋼板を簡易に加工可能な、レーザーマーキング方法を提供する。
【解決手段】レーザーマーキング方法は、二次元コードを鋼板にマークする場合のマーキングの速度を、文字を鋼板にマークする場合のマーキングの速度と同一又は文字を鋼板にマークする場合のマーキングの速度よりも遅くする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次元コードを鋼板にマークする場合のマーキングの速度を、文字を前記鋼板にマークする場合のマーキングの速度と同一又は前記文字を前記鋼板にマークする場合のマーキングの速度よりも遅くする、
レーザーマーキング方法。
【請求項2】
前記二次元コードを鋼板にマークする場合のマーキングの速度は100(mm/sec)以上200(mm/sec)以下、前記文字を前記鋼板にマークする場合のマーキングの速度は200(mm/sec)以上1200(mm/sec)未満である、
請求項1に記載のレーザーマーキング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーザーマーキング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
対象物にレーザー光を照射し、対象物の表面を溶かす、焦がす、剥離する、酸化させる、削る、変色させるなどの処理を行うことにより、対象物に印字するレーザーマーキングが知られている。例えば、各種装置、機械器具などに取り付けられる銘板は、金属の板の表面にレーザーマーキングを施すことにより形成されることが多い。
【0003】
例えば、特許文献1には、鋼材にレーザーによって印字を行うマーキングに関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-268607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のマーキング方法では、鋼材の印字面に予め塗料を吹き付け、吹き付けた塗料にレーザーを照射し、塗料の一部を剥離させる。そのため、レーザーの照射前に、鋼材の表面に対する処理が別途必要となる。
【0006】
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、鋼板を簡易に加工可能な、レーザーマーキング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示に係るレーザーマーキング方法は、二次元コードを鋼板にマークする場合のマーキングの速度を、文字を鋼板にマークする場合のマーキングの速度と同一又は文字を鋼板にマークする場合のマーキングの速度よりも遅くする。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係るレーザーマーキング方法によれば、鋼板を簡易に加工することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】レーザーマーキング装置を示した説明図
図2】制御部の構成例を示した説明図
図3】複数のレーザーマーキング装置を用いて共通のマーキングデータを印画する場合の説明図
図4】レーザーマーキング装置の他の構成例を示した説明図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施の形態に係るレーザーマーキング方法について、図面を例示しながら説明する。
【0011】
図1に示すように、本実施の形態に係るレーザーマーキング方法は、レーザーマーキング装置1により、実現される。なお、本明細書において、印画媒体は、ガルバリウム鋼板(登録商標)、SECC(電気亜鉛メッキ鋼板、登録商標)、カラー鋼板、ZAM(登録商標)鋼板、ステンレス鋼板の少なくとも1つを意味する。また、印画は印字を含む。
【0012】
レーザーマーキング装置1は、レーザー光源2と、レーザー照射部3と、制御部4と、を備えており、印字媒体Wにレーザー光Lを照射して文字や絵柄などのマーキング(印画)を行うものである。レーザー光源2としては、パルス発振型のレーザー光源を用いることができ、例えば、パッシブQスイッチ型の固体レーザー光源を用いることができる。
【0013】
レーザー照射部3は、レーザー光源2から出射されたレーザー光(例えば、パルスレーザー光)Lをマーキングデータに応じて印画媒体Wに照射するものであり、レーザー光Lを印画媒体Wの表面に集光する光学系(fθレンズなど)30と、レーザー光Lの集光位置を走査するスキャナ(ガルバノスキャナなど)31などを備えている。
【0014】
スキャナ31は、駆動部31Aを備えており、マーキングデータに応じて制御部4から出力される制御信号によって駆動部31Aが制御されることで、レーザー光Lは、所定のドット間隔で印画媒体Wに照射され、印画媒体W上にマーキングデータに応じた所定濃度の印画がなされる。
【0015】
制御部4は、少なくともレーザー照射部3の動作、すなわち、スキャナ31の駆動部31Aの動作を制御するものである。制御部4は、適宜、レーザー光源2のオン・オフ等の動作を合わせて制御するものであってもよい。また、制御部4は、スキャナ31の走査速度を調節する。制御部4には、PC(パーソナルコンピュータ)などによって構成されるマーキングデータ供給部5からのマーキングデータが供給される。レーザーマーキング装置1としては、図示のようにマーキングデータ供給部5を外して構成しても良いし、マーキングデータ供給部5を含めて構成しても良い。
【0016】
図2は、制御部4の構成例を示している。制御部4は、入力されるマーキングデータに対して、ドット間隔を調整して調整済みマーキングデータを出力するドット間隔調整部40と、調整済みマーキングデータによって印画制御を行う制御信号を出力する印画制御部41とを備えている。また、制御部4は、適宜、後述する調整係数を記憶する調整係数記憶部42を備えていてもよい。
【0017】
制御部4におけるドット間隔調整部40は、レーザー光源2の出力個体差による濃度のばらつきを抑制するために、ドット間隔を調整した調整済みマーキングデータを出力する。レーザー光源2の出力は、レーザー光源2の個体毎にばらつきがある。これに対して、入力されるマーキングデータが持つドット間隔のパラメータは、入力されるマーキングデータ毎に決まっている。これにより、共通のマーキングデータを異なるレーザーマーキング装置1の制御部4に入力すると、ドット間隔調整部40による調整が無い場合には、レーザー光源2の個体毎の出力のばらつきによって、印画濃度に濃淡のばらつきが生じることになる。
【0018】
ドット間隔調整部40は、レーザー光源2の個体毎の出力が基準より低い場合には、入力されたマーキングデータのドット間隔パラメータを調整して、ドット間隔を狭くすることで、マーキング結果の印字濃度を高める調整を行い、レーザー光源2の個体毎の出力が基準より高い場合には、入力されたマーキングデータのドット間隔パラメータを調整して、ドット間隔を広くすることで、マーキング結果の印字濃度を低めに調整する。
【0019】
ドット間隔調整部40が、制御部4に入力されるマーキングデータのドット間隔パラメータをどの程度調整するかの調整度合いは、レーザーマーキング装置1が備えるレーザー光源2の個体毎、すなわち、レーザーマーキング装置1の個体毎に決まるので、レーザーマーキング装置1を組み立てる際に、レーザー光源2によってマーキングした図形の濃度と基準の濃度を比較することで、個々のレーザーマーキング装置1毎に定めることができる。また、レーザーマーキング装置1を組み立て後であっても、設置現場にてレーザー光源2が組み込まれたレーザーマーキング装置1によってマーキングした図形の濃度を測定することで、前述した調整度合いを定めることができる。
【0020】
前述したドット間隔調整部40における調整度合いは、調整係数として、個々のレーザーマーキング装置1毎に定めておき、個々のレーザーマーキング装置1における制御部4に設けた調整係数記憶部42に、装置出荷時等において、この調整係数を記憶させる。そして、ドット間隔調整部40は、調整係数記憶部42に記憶されている調整係数に基づいて、調整済みマーキングデータを求める演算処理を行う。
【0021】
印画制御部41は、ドット間隔調整部40から出力される調整済みマーキングデータに基づいて、レーザー照射部3の駆動部31Aを制御する制御信号を出力する。これにより、レーザーマーキング装置1は、組み込まれているレーザー光源2の出力に個体差がある場合であっても、共通のマーキングデータに対しては同等の印画濃度でマーキングを行うことができる。
【0022】
このようなレーザーマーキング装置1は、複数のレーザーマーキング装置1を用いて、共通のマーキングデータを印画する場合に有効である。図3に示すように、マーキングデータ供給部5から共通の元マーキングデータが複数のレーザーマーキング装置1A,1B,1C,…に入力される場合に、各レーザーマーキング装置1A,1B,1C,…における調整係数記憶部42に、それぞれ個体に応じた調整係数A,B,Cを記憶させておくことで、各レーザーマーキング装置1A,1B,1C,…における印画制御部41に入力される調整済みマーキングデータは、個体毎に調整されたデータになる。これによって、個々のレーザーマーキング装置1A,1B,1C,…におけるレーザー光源2の出力に個体差がある場合であっても、複数のレーザーマーキング装置1A,1B,1C,…によってマーキングされた結果は濃淡のばらつきが抑制されたものになり、均一な品質の製品を得ることができる。
【0023】
(実施例)
まず、ガルバリウム鋼板(登録商標)、SECC(電気亜鉛メッキ鋼板、登録商標)、カラー鋼板、ZAM(登録商標)鋼板、ステンレス鋼板を準備した。その後、レーザーマーキング装置1を用いて、各鋼板にレーザー照射を行うことにより、印画処理を施した。印画処理としては、文字及び二次元コードをそれぞれマークした。スキャナ31の走査速度は200(mm/sec)を基準とし、必要に応じて変更した。鋼板へレーザー照射を行い、鋼板の屈曲や変形が認められなかった結果の一例を、表1に示す。
【0024】
【表1】
【0025】
表1に示されるように、ガルバリウム鋼板(登録商標)、カラー鋼板及びSECC(電気亜鉛メッキ鋼板、登録商標)では、二次元コードを鋼板にマークする場合のマーキングの速度を、文字を鋼板にマークする場合のマーキングの速度と同一又は文字を鋼板にマークする場合のマーキングの速度よりも遅くすることにより、ある一つの鋼板上に、文字及び二次元コードを鋼板の屈曲や変形を認めることなく印画することができた。
【0026】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。また、上述の各実施の形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0027】
1:レーザーマーキング装置、2:レーザー光源、3:レーザー照射部、4:制御部、5:マーキングデータ供給部、30:光学系、31:スキャナ、31A:駆動部、40:ドット間隔調整部、41;印画制御部、42:調整係数記憶部、50:マーキングデータ生成部、51:データテーブル、L:レーザー光、W:印画媒体
図1
図2
図3
図4