IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 西川ゴム工業株式会社の特許一覧

<図1>
  • 特開-防音材の製造方法 図1
  • 特開-防音材の製造方法 図2
  • 特開-防音材の製造方法 図3
  • 特開-防音材の製造方法 図4
  • 特開-防音材の製造方法 図5
  • 特開-防音材の製造方法 図6
  • 特開-防音材の製造方法 図7
  • 特開-防音材の製造方法 図8
  • 特開-防音材の製造方法 図9
  • 特開-防音材の製造方法 図10
  • 特開-防音材の製造方法 図11
  • 特開-防音材の製造方法 図12
  • 特開-防音材の製造方法 図13
  • 特開-防音材の製造方法 図14
  • 特開-防音材の製造方法 図15
  • 特開-防音材の製造方法 図16
  • 特開-防音材の製造方法 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023082378
(43)【公開日】2023-06-14
(54)【発明の名称】防音材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/04 20060101AFI20230607BHJP
   B29C 48/09 20190101ALI20230607BHJP
   G10K 11/16 20060101ALI20230607BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20230607BHJP
   C08L 21/00 20060101ALI20230607BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20230607BHJP
【FI】
C08J9/04 103
C08J9/04 CEQ
C08J9/04 CES
B29C48/09
G10K11/16 110
C08L101/00
C08L21/00
C08K3/04
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021196108
(22)【出願日】2021-12-02
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000196107
【氏名又は名称】西川ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105175
【弁理士】
【氏名又は名称】山広 宗則
(74)【代理人】
【識別番号】100105197
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 牧子
(72)【発明者】
【氏名】平川 雄三
(72)【発明者】
【氏名】力丸 智史
【テーマコード(参考)】
4F074
4F207
4J002
5D061
【Fターム(参考)】
4F074AA06
4F074AA12
4F074AA13
4F074AA14
4F074AA25
4F074AA26M
4F074AA48M
4F074AA98
4F074AC02
4F074AC03
4F074AC24
4F074AD01
4F074AD08
4F074AD14
4F074AE04
4F074AE07
4F074AG01
4F074AG02
4F074AG20
4F074BA03
4F074BA13
4F074BA16
4F074BA18
4F074BA35
4F074BA72
4F074BA91
4F074BB02
4F074BB05
4F074BB29
4F074CA22
4F074CC04X
4F074CC04Y
4F074CC06Y
4F074CC22X
4F074CC46Y
4F074CC55Y
4F074DA33
4F074DA35
4F074DA57
4F074DA59
4F207AA45
4F207AB02
4F207AB03
4F207AB18
4F207AG06
4F207AG20
4F207AG27
4F207AH18
4F207KA01
4F207KA11
4F207KA20
4F207KK12
4J002AA001
4J002BB051
4J002BB151
4J002DA019
4J002DA038
4J002DA046
4J002EK006
4J002EQ017
4J002EQ027
4J002FD018
4J002FD019
4J002FD146
4J002FD150
4J002FD327
4J002GL00
4J002GQ00
5D061AA04
5D061AA26
5D061CC20
5D061DD11
(57)【要約】
【課題】極めて簡易な構造で取付けが容易で吸音性能にも優れる防音材の製造方法を提供することを目的にする。
【解決手段】少なくとも原料ゴム,架橋剤,発泡剤,カーボンブラックを含むゴム組成物を押出成形し、マイクロ波加熱装置により架橋発泡させることにより得られる比重0.2以下のゴムスポンジからなる防音材50の製造方法で、断面形状の外形が長方形で、内部には、左右横方向に延びる横仕切り壁55によって上下に2つ以上の中空部58が形成されるとともに、縦方向に延びる縦仕切り壁56によって左右に2つ以上の中空部58が形成されてなり、ゴム組成物にカーボンナノチューブを添加した。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも原料ゴム,架橋剤,発泡剤、カーボンブラックを含むゴム組成物を押出成形し、マイクロ波加熱装置により架橋発泡させることにより得られる比重0.2以下のゴムスポンジからなる防音材の製造方法であって、
断面形状の外形が長方形で、内部には、左右横方向に延びる横仕切り壁によって上下に2つ以上の中空部が形成されるとともに、縦方向に延びる縦仕切り壁によって左右に2つ以上の中空部が形成されてなる前記防音材を押出成形するものであり、
前記ゴム組成物にカーボンナノチューブを添加したことを特徴とする防音材の製造方法。
【請求項2】
前記カーボンナノチューブの添加量が3.0phr以下であることを特徴とする請求項1に記載の防音材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、自動車のドアなどに取付けられる防音材の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図10及び図11に示すように、防音材として自動車のドア100に取付けられるドアホールシール10のシート本体部11に適用されたものが知られている。
自動車のドア100は、ドアアウターパネル101とドアインナーパネル102で構成され、ドアホールシール10は、ドアインナーパネル102に形成された開口部Hを覆うとともに、ドア100内部の防音性対策と防水性確保のためドアインナーパネル102とドアトリム103の間に設けられている。
【0003】
このドアホールシール10は、シート本体部11にPE(ポリエチレン)フィルム12が熱溶着(溶着部T)により一体化されたもので、シート本体部11は高発泡のスポンジゴムシートからなる。また、シート本体部11の車内側には複数の山型形状の凹凸部11aが形成されている。PEフィルム12の車外側面には接着剤としてブチルゴムシール剤13が設けられ、これによってドアホールシール10はドアインナーパネル102に固着されている。
【0004】
このようなドアホールシール10のシート本体部11を構成するゴムスポンジの原料ゴムとしてEPDMが使用される場合があるが、帯状のEPDMスポンジはその特性上、面振動を用いた吸音が主となるため、薄い肉厚においては特にロードノイズ(低周波数帯域)の吸音性能が十分ではない傾向にある。
【0005】
また、ドアインナーパネル102とドアトリム103の間の空間に繊維系吸音材が用いられることが知られている(図示せず)。
【0006】
繊維系吸音材でロードノイズ(低周波数帯域)に対する吸音性能を十分に発揮しようとする場合、例えば、40mmを超えるような非常に厚い肉厚が必要となるため、近年のスペース効率にシビアな自動車設計において不利であると考えられる。
【0007】
さらに、繊維系吸音材は水を吸収するため、例えば泥水のような不純物を含んだ水が繊維系吸音材に降りかかると、繊維内部に泥等の不純物が堆積することによる吸音性能の低下や、寒冷地では吸収した水が凍結することによる吸音性能の低下というような懸念があるため、繊維系吸音材の設置は水が浸入しない場所に限られる。
【0008】
そこで、図12に示すように、複数の共鳴筒部2からなる共鳴吸音構造体1が開示されている(特許文献1の図1)。
これは、一方側の端部が開口し他方側の端部が閉口した共鳴筒部2で開口の断面積が400mm2以下のものを100以上並べて配置したものであり、自動車の車室などの限られた空間において中低周波数の音を効率よく吸音することができるというものである。
【0009】
また、図13に示すように、EPDMスポンジを使用した吸音シート3として、押出成形品で、吸音シート3の上側は、表側スキン層4に、表側スキン層4と裏側スキン層5の間に形成された発泡層6に達する多数の孔7が互いに間隔をあけて形成された孔形成領域8Aとされ、吸音シート3の下側は、多数の孔7が形成されていない孔非形成領域8Bとされたものが開示されている(特許文献2の図5)。
これによれば、表側スキン層4及び裏側スキン層5と、表側スキン層4から裏側スキン層5まで形成された発泡層6とを有するシンプルな構造で、これが押出成形品であるため、容易に一体成形可能である。また、表側スキン層4には発泡層6に達する孔7が形成されているので、吸音シート3に向かって進んだ音は孔7内に入るとともに、孔7内で開口している発泡層6の気泡6a内にも入り、これにより音エネルギーと熱エネルギーに変換されて効果的に吸音される。また、多数の孔7が吸音シート3の上側に形成され、下側には形成されないので、自動車の風切り音とロードノイズ等、周波数特性が異なる音それぞれに対して吸音性能が向上するといったものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2017-116706号公報
【特許文献2】特許第6795892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1に記載の発明(図12)は、複数の共鳴筒部2を接着シート、連結バンド、ねじ、リベットなどの固定部材を用いて連結するものであるので製造が煩雑でコスト高になるといった問題がある。
また、押出成形などにより一体的に形成することができると記載されているが、開口した一方側の端部に対して他方側の端部は閉口であるため、押出成形に加えて閉口に加工する工程が必要になる。
さらに、共鳴筒部2を形成する材料は、合成樹脂(プラスチック)、紙、金属、および、これらの複合材からなり、100以上配列するものであるので重量が重くなってしまう。特に紙のものは水がかかる場所には使用することができないし、金属のものは錆を懸念する必要がある。
【0012】
一方、特許文献2に記載の発明(図13)は、EPDMスポンジを使用した吸音シート3は、特許文献1に記載の発明と比較して重量は軽く容易に押出成形することができるものであるが、吸音シート3の上側は孔形成領域8Aで、吸音シート3の下側は、多数の孔7が形成されていない孔非形成領域8Bとされるものであるので、取付作業時に注意が必要になり時間がかかってしまう。
また、多数の孔7はレーザー光を照射することによって形成されるため、製造が煩雑である。
また、特許文献2に記載の発明は、約1000Hz~2000Hzの間で吸音効果に優れるものであるが、約800Hz~1000Hzといった低周数における吸音効果は十分ではない。
【0013】
そこで、本発明の目的とするところは、極めて簡易な構造で取付けが容易で吸音性能にも優れる防音材の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するために、本発明の防音材の製造方法は、少なくとも原料ゴム,架橋剤,発泡剤,カーボンブラックを含むゴム組成物を押出成形し、マイクロ波加熱装置により架橋発泡させることにより得られる比重0.2以下のゴムスポンジからなる防音材(50)の製造方法であって、
断面形状の外形が長方形で、内部には、左右横方向に延びる横仕切り壁(55)によって上下に2つ以上の中空部(58)が形成されるとともに、縦方向に延びる縦仕切り壁(56)によって左右に2つ以上の中空部(58)が形成されてなる前記防音材(50)を押出成形するものであり、
前記ゴム組成物にカーボンナノチューブを添加したことを特徴とする。
【0015】
また本発明は、前記カーボンナノチューブの添加量が、3.0phr以下であることを特徴とする。
【0016】
なお、括弧内の記号は、図面および後述する発明を実施するための形態に記載された対応要素または対応事項を示す。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、少なくとも原料ゴム,架橋剤,発泡剤,カーボンブラックを含むゴム組成物を押出成形し、マイクロ波加熱装置により架橋発泡させることにより得られる比重0.2以下のゴムスポンジからなり、断面形状の外形が長方形で、内部には横仕切り壁によって上下に2つ以上の中空部が形成されるとともに、縦仕切り壁によって左右に2つ以上の中空部が形成されてなる防音材の製造方法で、ゴム組成物にカーボンナノチューブを添加したものであるので、ゴム組成物のマイクロ波による高発熱性と発泡後の低比重化を同時に満たすことができる。
その結果、マイクロ波加熱装置による架橋発泡後の防音材の断面形状を安定化させることができ、防音材の上下面を平坦にすることができる。
このように、ゴム組成物にカーボンナノチューブを少量、例えば3.0phr以下添加することだけで比重0.2以下のゴムスポンジからなり複数の中空部を有する防音材を設計通りの形状に製造することができる。
【0018】
この製造方法によって製造された防音材は、比重0.2以下のゴムスポンジからなり全体が押出成形により架橋発泡されたものであるので、疎水性に優れ水がかかる場所にも使用することができる。
また、特にEPDMスポンジは、その断面外側には「スキン層」と呼ばれる発泡層よりも密度が高い弾性を持った薄膜の層が形成され、この層は、内部に水は通さないが、弾性薄膜の振動によって内部へ音は侵入し、音波が侵入することによって、内部にてエネルギーの減衰が起こり効果的に吸音できるといった特徴を有している。
【0019】
そして、防音材には、横仕切り壁及び縦仕切り壁による仕切りにより複数の中空部が形成され中空部は空気層となっているので、吸音ピークを約800Hz~1000Hzといった低周波数へシフトさせることができる。
また横仕切り壁及び縦仕切り壁の位置を変えて中空部の大きさを変えることで吸音ピークを容易に微調整することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係る防音材50が取付けられた状態を示す図10のA-A線拡大断面図である。
図2】本発明の実施形態に係る防音材50を示す斜視図である。
図3図2のB-B線拡大断面図である。
図4】防音材の断面を示した写真で、(a)は上面及び下面が平担ではない防音材60Aであり、(b)は上面及び下面が平坦である防音材60Bである。
図5】本発明の実施形態に係る防音材50Aにおける平担度を測定する手順を示すもので、(a)は防音材50Aが設置される前のコーナー部を示す断面図であり、(b)は防音材50Aが設置された後の状態を示す断面図である。
図6】本発明の実施形態に係る防音材50Aの平担度を測定した状態を示す断面図である。
図7】本発明の実施形態に係る防音材50Bの平担度を測定した状態を示す断面図である。
図8】本発明の実施形態に係る防音材50A,50Bと比較した防音材61の平担度を測定した状態を示す断面図である。
図9】防音材の周波数特性を示すグラフである。
図10】自動車の外観側面図である。
図11】従来例に係る防音材が取付けられた状態を示す図10のA-A線拡大断面図である。
図12】従来例に係る別の防音材を示す斜視図である。
図13】従来例に係るさらに別の防音材を示す断面図である。
図14】本実施形態に係る防音材を押出成形する場合に使用する口金を示す断面図である。
図15】カーボンブラックの特性を説明するグラフで、(a)はカーボンブラックの割合とゴムの粘度との関係を示し、(b)はカーボンブラックの割合とマイクロ波加熱装置内の発熱性の関係を示す。
図16】ゴム組成物で作成された試験体がマイクロ波加熱された後の温度を示すグラフである。
図17】ゴム組成物で作成された試験体が外部加熱された後の各処理時間における最低ムーニー粘度(Vm)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面を参照して、本発明の実施形態に係る防音材50の構造について説明する。これは、自動車のドア100に取付けられるドアホールシール30のシート本体部31に適用したものである。なお、従来例と同一部分には同一符号を付した。
【0022】
図1及び図10に示すように、このドアホールシール30は、ドアアウターパネル101とともに、ドア100を構成するドアインナーパネル102とドアトリム103の間に設けられ、ドアインナーパネル102に形成された開口部Hを覆っている。
ドアホールシール30は、遮音性及び吸音性に優れたシート本体部31とそのシート本体部31に熱溶着(溶着部T)によって固着一体化され、シート本体部31をドアインナーパネル102の車内側に取付ける合成樹脂フィルム(PEフィルム)32からなる。合成樹脂フィルム32の車外側面には接着剤としてブチルゴムシール剤33が設けられ、これによってドアホールシール30はドアインナーパネル102に固着されている。
【0023】
なお、シート本体部31は、合成樹脂フィルム(PEフィルム)32にかえて樹脂成型品と一体化してもよいし、ドアインナーパネル102と一体化してもよい。一体化する手段も、例えば樹脂成型品が一体化先であれば、樹脂成型品に鍵爪状の係止部を設けてシート本体部31を係止させてもよいし、ドアインナーパネル102が一体化先であれば、シート本体部31にクリップや両面テープ、接着剤、ホットメルトのような固定手段をあらかじめ取り付け、ドアインナーパネル102に前記固定手段で取付けるようにしてもよい。また、図1に示すように、ここでは、シート本体部31を、合成樹脂フィルム(PEフィルム)32の車外側面に取付けるようにしたが車内側面に取付けるようにすることもできる。
シート本体部31は、ドア100に取付けられた状態ではその上下端は開口している。
【0024】
シート本体部31に適用される防音材50は帯状で、0.2以下の比重でEPDMスポンジからなり全体が押出成形により架橋発泡されたものである。なお、0.15以下の低比重で高発泡のものがより好ましい。また、本実施形態では防音材50を構成するゴムスポンジの原料ゴムとして、制音性、生産性、耐久性などの観点からEPDMを採用しているが、押出成形による架橋発泡をした場合にスキン層が形成されるものであれば他のゴムでもよい。例えば、NR(天然ゴム)、NBR(ニトリルゴム)、Q(シリコーンゴム)、SBR(スチレンゴム)、CR(クロロプレンゴム)などが挙げられる。
また、図2及び図3に示すように、防音材50の上面51及び下面52は平担で、左右横方向に延びる横仕切り壁55によって上下に2つ以上の中空部58が形成され、縦方向に延びる縦仕切り壁56によって左右に2つ以上の中空部58が形成されている。ここでは、1本の横仕切り壁55と2本の縦仕切り壁56(56A,56B)によって上下に2つの中空部58,左右に3つの中空部58で計6つの中空部58が形成されたものを示している。
【0025】
サイズ的には、図3に示すように、防音材50の上面51及び下面52の左右方向(横方向)の幅を50mm,左側面53及び右側面54の上方方向の高さを15mm,上面51及び下面52の厚みを1.3mm,左側面53及び右側面54の厚みを1.3mm,横仕切り壁55及び縦仕切り壁56(56A,56B)の厚みを1.2mmにした。なお、6つの中空部58は同じ大きさになるように、横仕切り壁55は上下方向の高さの中央になる位置に形成され、2つの縦仕切り壁56(56A,56B)は左右方向を均等に3つに分ける位置に形成されている。これにより、中空部58は、左右方向(横方向)15mm,縦方向(上下方向)5.6mmの大きさにしている。
【0026】
防音材50は、平担にされた上面51及び下面52のいずれか一方の面が、合成樹脂フィルム(PEフィルム)32に固着され、上下に延びるものが、数本左右方向(ドア100の前側から後側)に並設されることによってシート本体部31が構成されている。左右に隣接する防音材50同士は、突き合わされているだけであるが接着剤などにより固定するようにしてもよい。また、合成樹脂フィルム(PEフィルム)32を使用することなく、シート本体部31をドアインナーパネル102にクリップ等の固定手段を使用して取付ける場合には、防音材50の上面51及び下面52のいずれか一方の面がドアインナーパネル102に取付けられる。
また、シート本体部31には、図示は省略するが、各種ケーブルを貫通させたり作業者が作業時に手を挿入したりするための穴や切欠き部が側面に形成されている。
【0027】
実際に防音材50を、0.2以下の比重のEPDMスポンジで押出成形により架橋発泡する場合、内側に横仕切り壁55及び縦仕切り壁56を設けて均一な中空部58を形成することは極めて困難であり、上面51及び下面52を狙いとする平坦にすることはできない。
例えば、図4(a)に示す防音材60Aのように、上面及び下面が平坦ではないものができてしまう。そのため、上下面51,52が平担で、左右横方向に延びる横仕切り壁55によって上下に2つ以上の中空部58が形成され、縦方向に延びる縦仕切り壁56によって左右に2つ以上の中空部58が形成されてなる防音材50は、従来、まったく存在するものではなかった。
【0028】
そこで、本実施形態で、「平担」について次の通り規定して規定以内の防音材50を製造することに成功した。ここでは、図2及び図3で示したような理想の形状をした防音材を符号50で示し、実際に押出成形により架橋発泡して上面及び下面を平坦にした防音材を符号50A,50Bで示した。
【0029】
すなわち、図5(a)に示すような、水平面201と垂直面202からなるコーナー部において、図5(b)に示すように、防音材50Aを、水平面201及び垂直面202に変形させることなく接触させた場合の断面形状から「平担」について規定した。
【0030】
まず、防音材50Aの断面形状における上面51の左右方向の断面幅Lを取得する。断面幅Lは、防音材50Aの左側面53と右側面54間の距離であり、左側面53は最も左側に突出した部位を通る垂直面で、右側面54は最も右側に突出した部位を通る垂直面である。
次に、水平面に平行で、上面51の最高点を通る平坦基準線SLを設定する。
【0031】
次に、平坦基準線SLを、断面幅Lの範囲で左右に等間隔で分割する複数個、ここでは10個の点(E1~E10)から垂下した線が上面51に交わる点までの距離(M1~M10)を取得する。断面幅Lの範囲で10個の分割点(E1~E10)を設定した場合、平坦基準線SLは11個に均等に分割される。なお、最も左側の点E1は左側面53に一致させることなく、最も右側の点E10も右側面54に一致させないようにしている。なお、平坦基準線SLを左右に等間隔で分割する複数個の点の数については、精度を高める上でも10以上にすることが好ましい。
次に、距離(M1~M10)から平均値(MA)を取得する。
そして、平均値(MA)を、断面幅(L)で割った百分率((MA/L)×100)、すなわち本発明におけるシート本体部31の優れた柔軟性から平担度が2%以下になるようにすることで、防音材50の上面51の「平担」を規定する。
【0032】
なお、防音材50Aを、水平面201と垂直面202からなるコーナー部において、180度反転させて、水平面201及び垂直面202に変形させることなく接触させることにより、同様の手順から防音材50の下面52側についての「平担」を規定することができる。
【0033】
図5に示した防音材50Aのサイズは、具体的には、図6に示すように、断面幅L=70.2mm,M1=0.2mm,M2=0.7mm,M3=0.6mm,M4=0.6mm,M5=0.8mm,M6=1.0mm,M7=0.7mm,M8=1.4mm,M9=2.5mm,M10=2.2mmで、平均値MA=1.07である。
そして、平均値MA=1.07を、断面幅(L=70.2mm)で割った百分率((MA/L)×100)、すなわち平担度は、1.5%であり、この値が2%以下であるので、防音材50Aの上面51は平坦であるといえる。
【0034】
次に図7に示した防音材50Bは、左右横方向に延びる1本の横仕切り壁55と縦方向に延びる3本の縦仕切り壁56(56A,56B,56C)によって上下に2つ,左右に4つで計8つの中空部58が形成されたものを示している。
この防音材50Bのサイズは、断面幅L=58.6mm,M1=0.7mm,M2=0.8mm,M3=0.9mm,M4=0.5mm,M5=0.1mm,M6=0.1mm,M7=0.1mm,M8=0.6mm,M9=1.3mm,M10=1.5mmで、平均値MA=0.66である。
そして、平均値MA=0.66を、断面幅(L=58.6mm)で割った百分率((MA/L)×100)、すなわち平担度は、1.1%であり、この値も2%以下であるので、防音材50Bの上面51は平坦であるといえる。
【0035】
比較例として、図8に示した防音材61のサイズは、断面幅L=52.5mm,M1=3.4mm,M2=3.5mm,M3=3.9mm,M4=0.1mm,M5=1.2mm,M6=2.7mm,M7=0.5mm,M8=3.3mm,M9=5.9mm,M10=5.5mmで、平均値MA=3.00である。
そして、平均値MA=3.00を、断面幅(L=52.5mm)で割った百分率((MA/L)×100)、すなわち平担度は、5.7%であり、この値は2%を超えるものであるので、防音材61の上面は平坦ではない。
【0036】
ここで、図5及び図6で示した防音材50A(実施品1)と、図7で示した防音材50B(実施品2)において、周波数に対する垂直入射吸音率をJIS1405-2:2007に準拠して測定したところ、図9に示すように、実施品1,実施品2のいずれも、約800Hz~1000Hzといった低周数における吸音効果が突出して優れることが確認された。また、実施品1,実施品2のいずれも、約2800Hz~3500Hzといった周数数においても吸音効果が優れることが確認された。
なお、比較品1は、厚みを13mmとした繊維系吸音材であり、比較品2は、厚みを27mmとした繊維系吸音材である。
比較品2は、比較品1よりも約800Hz~1000Hzといった低周数における吸音効果は優れるものの、実施品1,2の半分以下であり吸音効果は十分とはいえない。
実施品1,2と同等の効果を得るには、従来例で説明したように、40mmなどの非常に厚い肉厚が必要となる。
【0037】
以上のように構成された防音材50(50A,50B)によれば、比重0.2以下のEPDMスポンジからなり全体が押出成形により架橋発泡されたものであるので、疎水性に優れ、防音材の両端が開口していることで水がかかっても滞水せず排水可能であるため、例えばドアアウターパネルとドアインナーパネル間のような不純物を含んだ水がかかる場所にも使用することができる。
さらに、非常に柔軟性に優れているため、取り付けられる相手の形状に合わせて容易に変形することができるので、接触する相手部材との間に音が通る隙間が発生しにくく、加えて、振動によって防音材に何かが接触した場合であっても接触音や破損が生じにくい。
また、特にEPDMスポンジは、その断面外側には「スキン層」と呼ばれる発泡層よりも密度が高い弾性を持った薄膜の層が形成され、この層は、内部に水は通さないが、弾性薄膜の振動によって内部へ音は侵入し、音波が侵入することによって、内部にてエネルギーの減衰が起こり効果的に吸音できるといった特徴を有している。
【0038】
そして、防音材50(50A,50B)には、横仕切り壁55及び縦仕切り壁56による仕切りにより複数の中空部58が形成され中空部58は空気層となっているので、吸音ピークを約800Hz~1000Hzといった低周波数へシフトさせることができる。
また横仕切り壁55及び縦仕切り壁56の位置を変えて中空部58の大きさを変えることで吸音ピークを容易に微調整することもできる。
【0039】
本実施形態では、防音材50(50A,50B)の上面51及び下面52の平担度について、設定した平坦基準線SLを、断面幅Lの範囲で左右に等間隔で分割する複数個の点から垂下した線が上面51に交わる点までの距離の平均値MAを、断面幅Lで割った百分率((MA/L)×100)が2%以下になるように規定したが、これに限定されることなく他の規定であってもよい。
【0040】
例えば、図5(b)で示したように、防音材50Aを水平面201と垂直面202からなるコーナー部に変形させることなく接触させた場合の断面形状から、上面51の左右方向の断面幅Lを取得するとともに、平坦基準線SLを設定した後、上面51の左右両端部を除く位置で、平坦基準線SLから垂下した線が上面51に交わる点までの距離の最大値(MB)を取得し、その最大値MBを、断面幅Lで割った百分率((MB/L)×100)が5%以下になるようにして規定することもできる。また、「5%以下」をさらに小さく設定することでさらに平担度を小さく規定するようにしてもよい。
【0041】
図5(b)及び図6で示した防音材50Aの場合、最大値MBは2.5mmとなり、その最大値MBを、断面幅Lで割った百分率((MB/L)×100)は3.6%となる。
また、図7で示した防音材50Bの場合、最大値MBは1.5mmとなり、その最大値MBを、断面幅Lで割った百分率((MB/L)×100)は2.6%となる。
また、図8で示した防音材61の場合、最大値MBは5.9mmとなり、その最大値MBを、断面幅Lで割った百分率((MB/L)×100)は11.2%となる。
【0042】
このように平担度を規定することにより、防音材と取付相手との間に制御することが困難な不規則な隙間が発生することの防止や、このような規定に沿って防音材を量産することが可能となる。
【0043】
次に、このような防音材50の製造方法について説明する。
防音材50は、ゴム組成物が、図示しない押出機の吐出部に設けられる図14に示すような口金200を通過して押出成形された後、図示しないマイクロ波加熱装置(UHF炉)内で温風により加熱させられると共にマイクロ波を吸収することにより発熱し、その熱によって架橋発泡することにより製造される。
口金200の断面形状は、その外形が、一定の幅を有する帯状の部分が切れ目なく角丸長方形状に形成された、いわゆる長方形環状の部位201と、その長方形環状部201を上下に均等に2分割するように横に延びる横筋部202と、長方形環状部201を左右に均等に3分割するように縦に延びる縦筋部203(ここでは2つの縦筋部203A,203B)とが連設されてなる。なお、角丸長方形とは角の丸い長方形のことであり、ここでは長方形に含まれるバリエーションの一つとして取り扱う。
【0044】
このときの押出成形材料としてのゴム組成物は、少なくともEPDM,架橋剤,発泡剤,補強材としてカーボンブラック(CB)を含み、さらに特徴的事項としてマイクロ波による発熱性の高いカーボンナノチューブ(CNT)を少量添加している。
【0045】
エチレン・α-オレフィン共重合体(EPDM;エチレン-α-オレフィン-非共役ジエン共重合体)の非共役ジエンとしては、例えば、1,4-ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、5-エチリデン-2-ノルボルネン等が挙げられ、α-オレフィンとしては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン等が挙げられる。
【0046】
架橋剤としては、イオウ、過酸化物等が挙げられ、本発明ではイオウが使用されている。
【0047】
発泡剤としては、アゾ化合物、ニトロソ化合物、ヒドラジン誘導体、重曹系化合物、又はマイクロカプセル等が挙げられ、発泡剤を用いずに物理的に発泡させてもよいし、その両方を併用してもよい。
【0048】
加硫促進剤としては、チアゾール系、チウラム系等が挙げられる。
【0049】
また、その他、無機系充填材、軟化剤、加硫促進剤等が挙げられ、適宜選択して用いることができる。
【0050】
無機系充填材としては、炭酸カルシウム、等が、軟化剤としては、液状ポリブテン、鉱油、液状ポリイソブチレン、液状ポリアクリル酸エステル等が挙げられる。
【0051】
また、カーボンナノチューブの種類としては、単層カーボンナノチューブや多層カーボンナノチューブを用いることができ、凝集体の形状としては、粒子状(毛玉状)やバンドル(束)状等が挙げられ、特に制限されない。
【0052】
ここで、押出成形材料として、少なくともEPDM,架橋剤,発泡剤,カーボンブラックを含むゴム組成物を図14に示すような口金を通過させて押出成形した後、熱風式加熱装置内で架橋発泡させると、図4(a)に示したような防音材60Aのようになったり、さらには中空部が潰れるように変形したものとなってしまう。
これは、熱風のみで加熱する場合、まず熱風の当たる外部の局所的な架橋発泡が進んで硬化した後に内部が架橋発泡するという、外部と内部の架橋発泡のタイミングのズレに起因しており、防音材50のような、その外形が、一定の幅を有する帯状の部分が切れ目なく長方形状に形成され、その内部に複数の中空部が形成されるような断面形状のゴムスポンジを製造する場合は、そのタイミングのズレが形状の品質に大きな影響を与える。
【0053】
外部と内部を同時に比較的均一に加熱するためにはマイクロ波加熱が有効であることはよく知られている。
しかし、マイクロ波による発熱を十分に引き起こすためにゴム組成物中のカーボンブラックの割合を多くした場合、図15(b)に示すように、マイクロ波による発熱性が高まると同時に、図15(a)に示すように、ゴム組成物の粘度も高くなる。ゴム組成物の粘度が高くなると発泡が抑制されるため、ゴムスポンジを高発泡化、すなわち低比重化することができないという問題が生ずる。このため、比重0.2以下となるような低比重のゴムスポンジを製造する場合は、ゴム組成物の粘度を低くするためにカーボンブラックの割合を少なくすることが推奨される。そうした場合、マイクロ波による発熱を十分に引き起こすことはできない。
そこで、本発明者は、マイクロ波による発熱性がカーボンブラックよりも顕著に高いカーボンナノチューブに着目し、ゴム組成物にカーボンナノチューブを少量添加することにより、マイクロ波による高発熱性と、ゴム組成物の低粘度化を両立させ、ゴム組成物の発泡後の低比重化を達成した。
【0054】
図16は、カーボンナノチューブを添加した本発明のゴム組成物(X)と、添加しない従来例のゴム組成物(Y)で作成した未加硫(架橋)の試験体をマイクロ波加熱装置にて装置内部の雰囲気温度100℃ 、4.0kWの出力で60秒間加熱した場合における試験体の表面温度(接触式温度計で測定 )を示したものである。Xは、Yと同じゴム配合で、Yにカーボンナノチューブを1.0phr添加したものである。
【0055】
図16に示すように、カーボンナノチューブを添加した本発明のゴム組成物(X)の表面温度は、添加しない従来例のゴム組成物(Y)の表面温度を顕著に上回っており、カーボンナノチューブを添加したゴム組成物はマイクロ波による発熱が非常に良好であることが分かる。
【0056】
なお、未加硫(未架橋)のゴム組成物の最低ムーニー粘度(Vm)、ムーニースコーチ時間(T5)を、JIS K 6300に準拠して求めた。また、加硫速度を、JSRキュラストメーターを用いて測定し、加硫曲線から得られるトルクの最低値MLと最高値MHとの差をME(=MH-ML)とし、10%MEに到達する時間T10(分)、及び90%MEに到達する時間T90(分)をもって評価した。その結果を表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
表1のとおり、本発明のゴム組成物(X)と従来例のゴム組成物(Y)はムーニースコーチ時間(T5)、及びキュラストメーターによるT10及びT90がほぼ同じであり、加熱による加硫(架橋)の速度に変わりがないことが理解できる。また、本発明のゴム組成物(X)の最低ムーニー粘度(Vm)、及びキュラストメーターが示す最低値ML及び最高値MHが、従来例のゴム組成物(Y)よりも少し高いことから、従来例のゴム組成物(Y)にカーボンナノチューブを追加したことによる影響が見られていると考える。
【0059】
また、図17は、カーボンナノチューブを添加した本発明のゴム組成物(Z1)と、添加しない従来例のゴム組成物(Z2)で作成した未加硫(未架橋)の試験体を,熱風循環式加熱装置にて装置内部の雰囲気温度90℃で加熱した場合、すなわち外部加熱のみした場合の各処理時間(30分、45分、60分)における最低ムーニー粘度(Vm)を示したものである。Z1は、Z2と同じゴム配合で、Z2にカーボンナノチューブを0.8phr添加したものである。
【0060】
図17に示すように、本発明のゴム組成物(Z1)と従来例のゴム組成物(Z2)の各処理時間における最低ムーニー粘度(Vm)はほぼ同じであった。ここで、カーボンナノチューブの添加により外部加熱による加硫(架橋)が加速されるのであれば、Z1のVmはZ2の値を大きく上回ると予測されるがそうはなっていなかった。このことから、外部加熱のみした場合における、0.8phr程度の少量のカーボンナノチューブ追加による加硫(架橋)への影響はほぼないことが分かる。
【0061】
このようにカーボンナノチューブを添加したゴム組成物を、図14に示したような口金200を使用して押出成形し、熱風を伴ったマイクロ波加熱装置により加熱することによって、断面形状の外形が角丸長方形で、内部には、左右横方向に延びる横仕切り壁55によって上下に2つの中空部58が形成されるとともに、縦方向に延びる縦仕切り壁56によって左右に3つの中空部58、総計6つの中空部58が形成され、例えば図4(b)に示すような、上下面51,52が平担の比重0.2以下のゴムスポンジからなる防音材60Bを製造することができた。
ここでは、カーボンナノチューブの添加量を2.0phrとしたが、特に限定されない。マイクロ波による発熱性をより良好にするのであれば2.0phr以上を添加することもできるが、経済性の観点からは少量であることが好ましい。従って、カーボンナノチューブの添加量は、3.0phr以下が好ましく、より好ましくは2.5phr以下、さらには2.0phr以下で、0.5phr以上である。0.5phr未満であるとマイクロ波による発熱性が劣り、好ましくない。
【0062】
なお、図6に示した防音材50Aのように中空部58が上下に2行,左右に3列,総計6つ形成されるものであれば、図14に示したような口金200を使用するが、図7に示した防音材50Bのように中空部58が上下に2行,左右に4列,総計8つ形成されるものであれば、それに対応して8つの中空部58が形成されるような口金を使用すればよい。
また、防音材50A,防音材50Bとも、横仕切り壁55で上下に2行となるように中空部58を形成したものであったが、横仕切り壁55を2つにして、中空部58を上下に3行,左右に3列で、計9つの中空部58を、対応した形状の口金を使用して形成したものであってもよい。また、本発明が示す要件に該当すれば、横仕切り壁55の個数や、中空部58の上下又は左右の行列の数、さらに中空部58の形状などは変更することが可能で、様々な形態が本発明に含まれ、これらも防音材の断面形状に対応した口金を利用して設計形状通りのものを製造することができる。
【0063】
なお、カーボンナノチューブは導電性,熱伝導性に優れ、ゴムとの複合材料として使用されることもあるが、本実施形態のように、断面形状の外形が角丸長方形で、内部には、左右横方向に延びる横仕切り壁55によって上下に2つ以上の中空部58が形成されるとともに、縦方向に延びる縦仕切り壁56によって左右に2つ以上の中空部58が形成されてなる防音材50を押出成形する場合であって、その押出成形材料であるゴム組成物にカーボンナノチューブを添加することでマイクロ波による高発熱性と発泡後の低比重化をもたらし、架橋発泡後の比重が0.2以下であるゴムスポンジからなる防音材50の中空形状を安定化し上下面51,52を平坦にするものは、従来、存在するものではなかったし、そのような発想が記載された先行技術文献も存在しない。
【0064】
また、発明の実施形態に係る防音材50の構造について自動車のドア100に取付けられるドアホールシール30のシート本体部31に適用した場合について説明したが、自動車のドア100以外にも、例えばエンジンルームやタイヤの中の部品として設けることもできる。
また、発明の実施形態に係る防音材を、自動車以外にも列車,船舶,航空機のドアなどや、住宅の床面や壁面など様々なところに使用することができる。
【0065】
また、両端末を金型成形等の追加加工によって閉じることで内部を密閉することにより、断熱材として使用することもできる。
【符号の説明】
【0066】
1 共鳴吸音構造体
2 共鳴筒部
3 吸音シート
4 表側スキン層
5 裏側スキン層
6 発泡層
7 孔
8A 孔形成領域
8B 孔非形成領域
10 ドアホールシール
11 シート本体部
11a 凹凸部
12 PEフィルム(合成樹脂フィルム)
13 ブチルゴムシール剤
30 ドアホールシール
31 シート本体部(防音材)
32 PEフィルム(合成樹脂フィルム)
33 ブチルゴムシール剤
50(50A,50B) 防音材
51 上面
52 下面
53 左側面
54 右側面
55 横仕切り壁
56(56A,56B,56C) 縦仕切り壁
58 中空部
60A 防音材
60B 防音材
61 防音材
100 ドア
101 ドアアウターパネル
102 ドアインナーパネル
103 ドアトリム
200 口金
201 長方形環状部
202 横筋部
203(203A,203B,203C) 縦筋部
E1~E10 分割点
H 開口部
M1~M10 距離
SL 平担基準線
T 溶着部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17