(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008238
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】硬化性人工爪組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/81 20060101AFI20230112BHJP
A61Q 3/00 20060101ALI20230112BHJP
C08F 290/06 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
A61K8/81
A61Q3/00
C08F290/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021111633
(22)【出願日】2021-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】390039734
【氏名又は名称】株式会社サクラクレパス
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100214363
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】中村 祐介
【テーマコード(参考)】
4C083
4J127
【Fターム(参考)】
4C083AD091
4C083AD092
4C083CC28
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE11
4C083FF01
4J127AA03
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4J127FA08
4J127FA46
(57)【要約】
【課題】波長約405nmのLEDライト及び波長約365nmのUVライトのいずれを照射した場合であっても、優れた硬化性と高い光沢感を有する硬化塗膜を形成する硬化性人工爪組成物を得ること。
【解決手段】(A)成分:少なくとも、式(1):
-OCONH-R1-NHCOO-R2- (1)
(式中、R1は脂環式構造を含む2価の有機基、R2は脂肪族炭化水素基。)
で表される繰返し単位を有するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、
(B)成分:少なくとも、式(2):
[CH2=CHR3-COO-R4-CH2-CH(OH)-CH2-O-]pR5(OH)q (2)
(式中、R3は水素又はメチル基、R4は単結合又は-R6-O-(R6は2価の有機基)で表される基、R5は2価以上の芳香族炭化水素基。pは1以上の整数、qは0以上の整数。)
で表される構造を有するアクリレート化合物、
(C)成分:(A)成分及び(B)成分以外の(メタ)アクリレート化合物、
(D)成分:重合開始剤、
を含む、硬化性人工爪組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)成分:少なくとも、式(1):
-OCONH-R1-NHCOO-R2- (1)
(式中、R1は脂環式構造を含む2価の有機基、R2は脂肪族炭化水素基。)
で表される繰返し単位を有するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、
(B)成分:少なくとも、式(2):
[CH2=CHR3-COO-R4-CH2-CH(OH)-CH2-O-]pR5(OH)q (2)
(式中、R3は水素又はメチル基、R4は単結合又は-R6-O-(R6は2価の有機基)で表される基、R5は2価以上の芳香族炭化水素基。pは1以上の整数、qは0以上の整数。)
で表される構造を有するアクリレート化合物、
(C)成分:(A)成分及び(B)成分以外の(メタ)アクリレート化合物、
(D)成分:重合開始剤、
を含む、硬化性人工爪組成物。
【請求項2】
(A)成分と(C)成分の合計100質量部に対して、(B)成分の含有量が5質量部以上40質量部以下である、請求項1に記載の硬化性人工爪組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性人工爪組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
手や足の自爪に装飾を施したり、人工爪を接着してこれに装飾を施したりするネイルアートの人気が高まっている。また、外力による爪の割れ・剥がれを防止するための補強のために、爪の上に人工爪を形成することが行われている。
このような爪の装飾や補強のためには、いわゆるマニキュア、ペディキュア、スカルプチュアと呼ばれる樹脂含有の材料が爪に塗布されている。
【0003】
最近、爪の装飾又は補強のために使用される材料としては、ジェルネイルと呼ばれる硬化性人工爪組成物が注目を集めている。ジェルネイルは、硬化性のジェル状爪被覆材料(硬化性人工爪組成物)であって、例えば、(メタ)アクリレート系オリゴマーと(メタ)アクリル系モノマーを含むものが知られている。ジェルネイルは、爪に塗布し、紫外線を照射して硬化することで、ラジカル重合反応により、架橋した高分子被膜を形成するため、爪から剥がれにくい強靱な被膜を形成できるとされている。
【0004】
ジェルネイルは、一般的に、使用者の爪に直接塗布されるベースコート、該ベースコートの上に塗布されるカラーコート、さらにその上に塗布されるトップコートを含んでいる。
このうち、トップコートの特に重要な品質は、光沢感であり、特に、未硬化成分を拭き取った後のトップコートには、高い光沢感及び優れた艶を有することが必要となる。
【0005】
特許文献1には、(A)成分:(メタ)アクリルオリゴマー、(B)成分:(A)成分100質量部に対して50~100質量部含まれる3官能(メタ)アクリルモノマー、及び(C)成分:(A)成分100質量部に対して1~20質量部含まれる光重合開始剤を含み、(B)成分全体に対してトリメチロールプロパントリメタクリレートを40~70質量%含み、800μm厚の硬化物における波長400nmの透過率が10.0%以上である、爪または人工爪のトップコート用光硬化性組成物が記載されている。
この爪または人工爪のトップコート用光硬化性組成物は、テストピースに厚さ100μmに塗布した後、波長400~410nmのネイル用LEDランプを10秒照射して硬化し、未硬化成分を拭き取り目視にて光沢を確認した結果「表面処理後光沢」の評価が、「○:光沢有り」とされている。しかし、波長約365nmのUVライトを照射した際の硬化性や光沢感については触れられていない。
【0006】
特許文献2には、アクリロイルモルフォリンと、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー以外の多官能のラジカル重合性不飽和基含有化合物と、を含有する光硬化性人工爪組成物が記載されている。
この光硬化性人工爪組成物は、板上に一定膜厚で塗膜を作製し、波長405nmのLED-UVを20秒照射し硬化させ、得られた硬化後の塗膜から未硬化成分を拭き取り、グロスチェッカーにより測定したグロス値が、136~145とされている。しかし、波長約365nmのUVライトを照射した際の硬化性や光沢感については触れられていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2016/072353号
【特許文献2】特開2017-66042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ジェルネイルを硬化させる方法としては、現在、LEDライト(波長385~415nm;ピーク波長約405nm)の照射と、UVライト(波長350~400nm;ピーク波長約365nm、約370nm、約375nm又は約380nm)の照射とが用いられている。
これまでの硬化性人工爪組成物は、その種類によって硬化する波長が決まっており、必ず硬化する波長に適したライトを選ぶ必要があった。UVライト又はLEDライトのいずれか一方を照射した場合には、優れた硬化性と高い光沢感を有するトップコート硬化塗膜を形成できるものの、もう一方を照射した場合には、硬化性や光沢感が不足する場合があった。このため、特にジェルネイル用トップコートに用いられる硬化性人工爪組成物には、UVライト及びLEDライトのいずれを照射した場合であっても、優れた硬化性と高い光沢感を有するトップコート硬化塗膜を形成することが求められている。
本発明が解決しようとする課題は、LEDライト及びUVライトのいずれを照射した場合であっても、優れた硬化性と高い光沢感を有する硬化塗膜を形成する硬化性人工爪組成物を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、特定の組成の硬化性人工爪組成物とすることで、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的には以下の通りである。
[項1] (A)成分:少なくとも、式(1):
-OCONH-R1-NHCOO-R2- (1)
(式中、R1は脂環式構造を含む2価の有機基、R2は脂肪族炭化水素基。)
で表される繰返し単位を有するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、
(B)成分:少なくとも、式(2):
[CH2=CHR3-COO-R4-CH2-CH(OH)-CH2-O-]pR5(OH)q (2)
(式中、R3は水素又はメチル基、R4は単結合又は-R6-O-(R6は2価の有機基)で表される基、R5は2価以上の芳香族炭化水素基。pは1以上の整数、qは0以上の整数。)
で表される構造を有するアクリレート化合物、
(C)成分:(A)成分及び(B)成分以外の(メタ)アクリレート化合物、
(D)成分:重合開始剤、
を含む、硬化性人工爪組成物。
[項2] (A)成分と(C)成分の合計100質量部に対して、(B)成分の含有量が5質量部以上40質量部以下である、項1に記載の硬化性人工爪組成物。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、LEDライト及びUVライトのいずれを照射した場合であっても、優れた硬化性と高い光沢感を有する硬化塗膜を形成する硬化性人工爪組成物を得ることができるという顕著な効果を発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の硬化性人工爪組成物について説明する。
本発明の硬化性人工爪組成物は、
(A)成分:少なくとも、式(1):
-OCONH-R1-NHCOO-R2- (1)
(式中、R1は脂環式構造を含む2価の有機基、R2は脂肪族炭化水素基。)
で表される繰返し単位を有するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、
(B)成分:少なくとも、式(2):
[CH2=CHR3-COO-R4-CH2-CH(OH)-CH2-O-]pR5(OH)q (2)
(式中、R3は水素又はメチル基、R4は単結合又は-R6-O-(R6は2価の有機基)で表される基、R5は2価以上の芳香族炭化水素基。pは1以上の整数、qは0以上の整数。)
で表される構造を有するアクリレート化合物、
(C)成分:(A)成分及び(B)成分以外の(メタ)アクリレート化合物、
(D)成分:重合開始剤、
を含む。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」及び「メタクリレート」の両者を意味する。
【0012】
本発明の硬化性人工爪組成物が、LEDライトの照射及びUVライトのいずれを照射した場合であっても、ジェルネイル用のトップコートをUVにより硬化させた場合、酸素による阻害のために表面に未硬化成分が残ってしまう。これを溶剤で拭き取る際に、硬化性が悪いと傷が発生し、結果的に塗膜の光沢感が悪化する場合が多い。
本発明の硬化性人工爪組成物は、UV硬化性の良好な(A)成分と、高いUV硬化性を有し硬化後に高硬度及び高屈折率の塗膜を形成する(B)成分とを併用することで、波長が約405nmのLEDライトの照射及び波長が約365nmのUVライトのいずれを照射した場合であっても、優れた硬化性、高い塗膜硬度及び高い光沢感を有するトップコート硬化塗膜を形成する。
本発明者は、これにより、未硬化成分を溶剤で拭き取る際に傷の発生が抑えられ、さらに、未硬化成分を拭き取りやすくなることから、高い光沢感が発現すると推測しているが、本発明はこの推測に限定されるものではない。
【0013】
[(A)成分]
(A)成分は、少なくとも、式(1):
-OCONH-R1-NHCOO-R2- (1)
(式中、R1は脂環式構造を含む2価の有機基、R2は脂肪族炭化水素基。)
で表される繰返し単位を有するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーである。
(A)成分は、例えば、少なくとも、脂環式ポリイソシアネートとアルカンポリオールとを反応させて得られるポリウレタンオリゴマーと、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート化合物又はイソシアネート基含有(メタ)アクリレート化合物とを反応させて得られる。
【0014】
脂環族ジイソシアネートとしては、特に限定されないが、具体的には、炭素数7以上30以下のものが好ましい。例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,3-シクロペンタンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(イソシアネートメチル)-シクロヘキサン、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシレンジイソシアネート、ビス(2-イソシアナトエチル)-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボキシレート、2,5-ノルボルナンジイソシアネート、2,6-ノルボルナンジイソシアネート等からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。これらのうち、イソホロンジイソシアネート、1,3-シクロペンタンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネートからなる群より選ばれる1種類以上が好ましい。
【0015】
アルカンポリオールとしては、アルカンの水素原子が2つ以上水酸基で置換された化合物であれば特に限定されない。分子量は、例えば500未満、好ましくは分子量が50以上300以下である。例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3,3,5-トリメチルペンタンジオール、2、4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1,12-オクタデカンジオール等からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。これらのうち、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオールからなる群より選ばれる1種類以上が好ましい。
【0016】
ポリウレタンオリゴマーは、脂環式ポリイソシアネートとアルカンポリオールとを、脂環式ポリイソシアネートとアルカンポリオールとのモル比(脂環式ポリイソシアネート)/(アルカンポリオール)として、例えば1/1.8~1.8/1の範囲で反応させて得られる。ポリウレタンオリゴマーの繰返し単位数としては、例えば3以上、好ましくは6以上であり、例えば30以下、好ましくは15以下である。
ポリウレタンオリゴマーの末端は、イソシアネート基又は水酸基である。ポリウレタンオリゴマーの末端がイソシアネート基である場合、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート化合物と反応させて(A)成分が得られる。また、ポリウレタンオリゴマーの末端が水酸基である場合、イソシアネート基含有(メタ)アクリレート化合物を反応させて(A)成分が得られる。
【0017】
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート化合物としては、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、ポリオール(メタ)アクリレート類又はアルキレンオキサイド付加ポリオール(メタ)アクリレート類等からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシフェノキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等のポリオール(メタ)アクリレート類;ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコール鎖を有する(メタ)アクリレート類;アルキレンオキサイド付加トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド付加ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等のアルキレンオキサイド付加ポリオール(メタ)アクリレート類;等からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。
これらのうち、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類が好ましい。
【0018】
イソシアネート基含有(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、例えば、2-イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、3-イソシアナトプロピル(メタ)アクリレート、2-イソシアナト-1-メチルエチル(メタ)アクリレート、2-イソシアナト-1,1-ジメチルエチル(メタ)アクリレート、4-イソシアナートシクロヘキシル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸2-(2-イソシアネートエトキシ)エチル、1,1-ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート、2-(2-(メタ)アクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアネート、これらの誘導体等からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。誘導体としては、例えば、ブロック剤でマスキングしたイソシアネート基と、少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基とを有する化合物が挙げられ、例えば、2-[(3,5-ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート、メタクリル酸2-(0-[1'-メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル等が挙げられる。市販品としては、例えば、カレンズAOI、カレンズMOI、AOI-VM、カレンズMOI-EG、カレンズBEI、カレンズMOI-BP、カレンズMOI-BM(以上、昭和電工社製、登録商標)等からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。
【0019】
本発明において(A)成分は、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシレンジイソシアネートからなる群より選ばれる1種類以上である脂環式ポリイソシアネートと、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオールからなる群より選ばれる1種類以上であるアルカンポリオールを反応させて得られる重量平均分子量が10,000以下、好ましくは6,000以下のイソシアネート基末端ポリウレタンオリゴマーと、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート化合物とを反応させて得られる、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーであることが好ましい。
より好ましくは、1,4-ブタンジオールとイソホロンジイソシアネートから得られる繰返し単位を平均9つ有し末端にイソシアネート基を有するポリウレタンオリゴマーに、ヒドロキシエチルアクリレートを2モル反応させて得られたポリウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(化粧品成分表示名:ビスHEA(ポリ(1,4-ブタンジオール)-9/IPDI)コポリマー)、又は、1,4-ブタンジオールとイソホロンジイソシアネートから得られる繰返し単位を平均9つ有し末端にイソシアネート基を有するポリウレタンオリゴマーに、ヒドロキシエチルメタクリレートを2モル反応させて得られたポリウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(化粧品成分表示名:ビスHEMA(ポリ(1,4-ブタンジオール)-9/IPDI)コポリマー)である。
【0020】
本発明の硬化性人工爪組成物における(A)成分の含有量は、特に限定されない。例えば、硬化性人工爪組成物の(A)~(D)の全量を100質量%として、50質量%以上、好ましくは60質量%以上であり、例えば90質量%以下、好ましくは80質量%以下である。(A)成分の含有量が50質量%未満である場合、硬化性人工爪組成物の粘度が低くなりすぎて塗布性等に問題が生じ、また、硬化塗膜の光沢感が低くなるおそれがあり、90質量%を超える場合、硬化性人工爪組成物の粘度が高くなりすぎて塗布性等に問題が生じるおそれがある。
【0021】
[(B)成分]
(B)成分は、少なくとも、式(2):
[CH2=CHR3-COO-R4-CH2-CH(OH)-CH2-O-]pR5(OH)q (2)
(式中、R3は水素又はメチル基、R4は単結合又は-R6-O-(R6は2価の有機基)で表される基、R5は2価以上の芳香族炭化水素基。pは1以上の整数、qは0以上の整数。)
で表される構造を有するアクリレート化合物である。(B)成分は、硬化塗膜を高硬度にする効果を有する。(B)成分は、例えば、ポリフェノール化合物及びエポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物を少なくとも反応させて得られる。また、芳香族ポリエポキシ化合物とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート化合物を少なくとも反応させて得ることもできる。
【0022】
ポリフェノール化合物としては、例えば、ビスフェノールA(ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2,2-プロパン)、ビスフェノールF(ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン)、(2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)メタン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルケトン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,1-エタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,1-イソブタン、ビス(4-ヒドロキシ-3-t-ブチル-フェニル)-2,2-プロパン、ビス(2-ヒドロキシナフチル)メタン、テトラ(4-ヒドロキシフェニル)-1,1,2,2-エタン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、1,4-ビス(4-ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。
芳香族ポリエポキシ化合物としては、例えば、前記ポリフェノール化合物のグリシジルエーテル化合物等からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。
【0023】
エポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、エポキシシクロへキシルメチル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有(メタ)アクリレート化合物;ジヒドロキシベンゼンジグリシジルエーテル、ジヒドロキシナフタレンジグリシジルエーテル、ビフェノールジグリシジルエーテル、ビスフェノールジグリシジルエーテル等のジグリシジルエーテル化合物のモノ(メタ)アクリレート化物等からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、前記[(A)成分]において記載したヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート化合物等からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。
【0024】
本発明において(B)成分は、ビスフェノール化合物とグリシジル基含有(メタ)アクリレート化合物とを反応させて得られる化合物が好ましく、ビスフェノールAとグリシジル基含有(メタ)アクリレート化合物を反応させて得られる化合物がより好ましく、ビスフェノールAとグリシジルメタクリレートを反応させて得られる下記式(3):
【化1】
・・・(3)
で表されるプロポキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(ビスフェノールAジグリシジルメタクリレート;Bis-GMA)がさらに好ましい。
【0025】
本発明の硬化性人工爪組成物における(B)成分の含有量は、特に限定されない。例えば、硬化性人工爪組成物の(A)~(D)の全量を100質量%として、5質量%以上、好ましくは10質量%以上であり、例えば50質量%以下、好ましくは30質量%以下である。(B)成分の含有量が5質量%未満である場合、硬化性人工爪組成物の塗膜強度が低く、キズが入りやすくなるおそれがあり、50質量%を超える場合、硬化塗膜の柔軟性が低下し、割れやかけが生じやすくなるおそれがある。
また、(A)成分と(C)成分の合計100質量部に対して、(B)成分の含有量は5質量部以上40質量部以下であることが好ましい。
【0026】
[(C)成分]
(C)成分は、(A)成分及び(B)成分以外の(メタ)アクリレート化合物である。
このような(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、
i:(メタ)アクリロイル基を1個以上有する(メタ)アクリレートモノマー、
ii:(メタ)アクリロイル基を1個以上有する(メタ)アクリレートオリゴマー、
からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。
ここで、(メタ)アクリレートオリゴマーの重量平均分子量は、特に限定されない。例えば1,000以上、好ましくは2,000以上、より好ましくは3,000以上であり、例えば100,000以下、30,000以下、より好ましくは20,000以下である。重量平均分子量の範囲をこのような範囲とすることで、低粘度を保持しつつ、硬化塗膜の耐久性を向上することができる。
【0027】
<(i)(メタ)アクリレートモノマー>
(メタ)アクリレートモノマーは、(メタ)アクリロイル基を1個以上有するモノマーであれば、特に制限されない。一分子中に含まれる(メタ)アクリロイル基の数は特に制限されないが、硬化性人工爪組成物の硬化性、塗膜の硬度等の観点から、1~10個、好ましくは1~8個、より好ましくは1~6個である。
本発明では、(メタ)アクリレートモノマーとして、(メタ)アクリロイル基を1個有する(メタ)アクリレートモノマーより選ばれる1種類以上を用いることが好ましい。また、(メタ)アクリロイル基を1個有する(メタ)アクリレートモノマーより選ばれる1種類以上と、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する(メタ)アクリレートモノマーより選ばれる1種類以上との混合物を用いることが好ましい。
【0028】
(メタ)アクリロイル基を1個有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の一価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物;前記[(A)成分]において記載したヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート化合物;(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリロイル基含有アミド化合物;N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の含窒素アルキル(メタ)アクリレート;アダマンチル(メタ)アクリレート、(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4イル)メチル(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート、(1,4-ジオキサスピロ[4,5]デカン-2イル)メチル(メタ)アクリレート、テトラフルフリルアルコールオリゴ(メタ)アクリレート、アルコキシ化テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルフォリン、N-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、ペンタメチルピペリジル(メタ)アクリレ-ト、イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、トリアジントリ(メタ)アクリレート、N-(メタ)アクリルオキシスクシンイミド、N-(メタ)アクリルオキシフタルイミド等の複素環含有(メタ)アクリレート等からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。
【0029】
これらの(メタ)アクリロイル基を1個有する(メタ)アクリレートモノマーのうち、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の一価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルフォリン等の複素環含有(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種類以上が好ましい。
【0030】
(メタ)アクリロイル基を2個以上有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート(イソピリデンジフェニルビス(メタクリル酸オキシヒドロキシプロピル)等)、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレートモノマー;グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート等のトリ(メタ)アクリレートモノマー;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のテトラ(メタ)アクリレートモノマー;ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトール(メタ)アクリレート等のポリペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート等の(メタ)アクリレート基を5個以上有する(メタ)アクリレートモノマー;等からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。
【0031】
これらの(メタ)アクリロイル基を2個以上有する(メタ)アクリレートモノマーのうち、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等からなる群より選ばれる1種類以上を使用することが好ましい。
【0032】
<(ii)(メタ)アクリレートオリゴマー>
(メタ)アクリレートオリゴマーは、(メタ)アクリロイル基を1個以上有するオリゴマーであれば、特に制限されない。一分子中に含まれる(メタ)アクリロイル基の数は特に制限されないが、硬化性人工爪組成物の硬化性、塗膜の硬度等の観点から、1~10個、好ましくは2~8個である。
(メタ)アクリロイル基の数は、赤外吸収分光法(IR)、核磁気共鳴法(NMR)、ガスクロマトグラフィー質量分析法(GC/MS)等を用いて分析することによって確認できる。
【0033】
(メタ)アクリレートオリゴマーの重量平均分子量は、特に限定されないが、例えば、1,000~100,000、好ましくは2,000~30,000、より好ましくは3,000~20,000である。重量平均分子量の範囲をこのような範囲とすることで、低粘度を保持しつつ、硬化物の耐久性を向上することができる。
【0034】
(メタ)アクリレートオリゴマーは、特に限定されないが、例えば、
主骨格(主鎖)にウレタン結合、エステル結合、エーテル結合、ウレア結合、カーボネート結合、アミド結合からなる群より選ばれる1種類以上を有する(メタ)アクリレートオリゴマー、
主骨格(主鎖)がスチレン系、(メタ)アクリル系、オレフィン系、ジエン系モノマーからなる群より選ばれる1種類以上のモノマーの重合により分子鎖を有する(メタ)アクリレートオリゴマー、
等からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。
(メタ)アクリレートオリゴマーは、市販品または合成品のいずれを使用してもよい。
【0035】
主骨格(主鎖)にウレタン結合、エステル結合、エーテル結合、ウレア結合、カーボネート結合、アミド結合からなる群より選ばれる1種類以上を有する(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(ウレタン結合を主骨格に有する(メタ)アクリレートオリゴマー)、カーボネート(メタ)アクリレートオリゴマー(カーボネート結合を主骨格に有する(メタ)アクリレートオリゴマー)、エステル(メタ)アクリレートオリゴマー(エステル結合を主骨格に有する(メタ)アクリレートオリゴマー)、エーテル(メタ)アクリレートオリゴマー(エーテル結合を主骨格に有する(メタ)アクリレートオリゴマー)等からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。
【0036】
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、ポリオールとポリイソシアネートとの反応によりイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを形成し、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーに対し、分子内に活性水素含有基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物(ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸等)を反応させる等により合成できるが、この方法に限定されるものではない。
ポリオールは、例えば、ポリエーテル骨格、ポリカーボネート骨格、及びエステル骨格からなる群より選ばれる1種類以上を有するものが使用できる。
【0037】
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、イソシアネート基含有ポリエーテルウレタンプレポリマー中のイソシアネート基の少なくとも一部に、水酸基を有する(メタ)アクリル化合物により付加反応させて得られたものがあげられる。イソシアネート基含有ポリエーテルウレタンプレポリマーは、例えば、炭素数3以上のアルキレン基を有するポリオール化合物と、ポリイソシアネートとを反応させたもので、重量平均分子量が400~30,000のものである。
ポリオール化合物としては、ポリプロピレンポリオールが好ましい。ポリイソシアネートとしては、非芳香族系ポリイソシアネート、例えば、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、これらのイソシアヌレート化物、ビューレット化物等からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。
【0038】
エステル(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、ポリオールと多価カルボン酸との反応により得られたエステル系オリゴマーが有するカルボキシル基及び/又は水酸基に対し、分子内に水酸基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物及び/又は(メタ)アクリル酸やカルボキシル基を有するアクリル化合物を付加することにより合成できるが、この方法に限定されるものではない。
市販品は、例えば、アロニックス(登録商標)M-6100、M-6200、M-6250、M-6500、M-7100、M-7300K、M-8030、M-8060、M-8100、M-8530、M-8560、M-9050(東亞合成社製)や、UV-3500BA、UV3520TL、UV-3200B、UV-3000B(三菱ケミカル社製)等からなる群より選ばれる1種類以上があげられるが、これらに限定されるものではない。
【0039】
エーテル(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、脂肪族系のポリエーテルポリオールや、ビスフェノール等を原料とする芳香族系のポリエーテルポリオールの水酸基に対し、分子内に水酸基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物、(メタ)アクリル酸、及び、分子内にカルボキシル基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物等からなる群より選ばれる1種類以上を付加させることにより合成できるが、この方法に限定されるものではない。
市販品は、例えば、UV-6640B、UV-6100B、UV-3700B(三菱ケミカル社製)、LIGHT ACRYLATE(登録商標)3EG-A,4EG-A、9EG-A、14EG-A、PTMGA-250、BP-4EA、BP-4PA,BP-10EA、LIGHT ESTER 4EG、9EG,14EG(共栄社化学社製)、EBECRYL(登録商標)3700(ダイセル・サイテック社製)等からなる群より選ばれる1種類以上があげられるが、これらに限定されるものではない。
【0040】
主骨格(主鎖)がスチレン系、(メタ)アクリル系、オレフィン系、ジエン系モノマーからなる群より選ばれる1種類以上のモノマーの重合により分子鎖を有する(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、ポリスチレンポリオール、アクリルポリオール、ポリオレフィンポリオール、共役ジエンポリオール等からなる群より選ばれる1種類以上のポリマーポリオールと、ポリイソシアネートとを反応させた後に、水酸基又はイソシアネート基と反応し得る官能基を有する(メタ)アクリレート化合物を反応させて得られる(メタ)アクリレートオリゴマーがあげられる。
このうち、アクリルポリオール、ポリオレフィンポリオール、ブタジエンポリオール等からなる群より選ばれる1種類以上をポリオール成分として得られるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。
【0041】
これらのうち、(C)成分としては、「i:(メタ)アクリロイル基を1個以上有する(メタ)アクリレートモノマー」が好ましく、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の一価の脂環式アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物や、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートがより好ましく、イソボルニル(メタ)アクリレートやヒドロキシエチル(メタ)アクリレートがさらに好ましい。
【0042】
本発明の硬化性人工爪組成物における(C)成分の含有量は、特に限定されない。例えば、硬化性人工爪組成物の(A)~(D)の全量を100質量%として、5質量%以上、好ましくは10質量%以上であり、例えば50質量%以下、好ましくは40質量%以下である。(C)成分の含有量が5質量%未満である場合、硬化性人工爪組成物の粘度が高くなりすぎて塗布性や取扱性等に問題が生じ、また、密着性が低下するおそれがあり、50質量%を超える場合、硬化性人工爪組成物の粘度が低くなりすぎて塗布性や取扱性等に問題が生じるおそれがある。
【0043】
[(D)成分]
(D)成分は、重合開始剤である。重合開始剤は、光(例えば、紫外線、可視光線等)や熱の照射等によりエネルギーが与えられることで、ラジカルを発生するものである。例えば、アシルフォスフィンオキシド系、α-ヒドロキシアルキルフェノン系、ベンゾインエーテル系、ベンジルケタール系、アシッドエステル系、α-アミノアルキルフェノン系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、チタノセン系、キノン系、過酸化物系、アゾ系、過硫酸塩系等からなる群より選ばれる1種類以上の重合開始剤があげられる。
例えば、光重合開始剤を用いると、硬化性人工爪組成物に対して、UV-LED光源を含む各種の光源を用いて光を照射した場合であっても、良好な硬化性を付与することができる。
【0044】
例えば、アシルフォスフィンオキシド系重合開始剤は、一般的に用いられるUV-LED光源から発せられる365~405nmの波長の紫外線の照射によりラジカルを発生する。このため、UV-LED光源を含む各種の光源を用いて光を照射して硬化させる場合であっても、良好な硬化性を硬化性人工爪組成物に付与できる。さらに、UV-LED光源を用いて光を照射して硬化させる場合には、硬化塗膜の黄変を防止できる。
アシルフォスフィンオキシド系重合開始剤としては、例えば、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。
特に、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドは、皮膚コンディショニング剤としても機能することから、本発明において好ましく用いることができる。
【0045】
アシルフォスフィンオキシド系重合開始剤以外の重合開始剤としては、例えば、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、1-(4-(フェニルチオ)-2,2-(O-ベンゾイルオキシム))1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)-ベンジル]-フェニル}-2-メチルプロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、3-[3,4-ジメチル-9-オキソ-9H-チオキサントン-2-イル-オキシ]-2-ヒドロキシプロピル-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロライド、フルオロチオキサントン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、オリゴ(2-ヒドロキシ-2-メチル-1-(4-(1-メチルビニル)フェニル)プロパノン)、4-ベンゾイル-4’-メチル-ジフェニルスルフィド、1,2-オクタンジオン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチルプロパン、イソフタルフェノン、フェニルグリオキシ酸メチル、ブチルアントラキノン、エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、カンファーキノン、ベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ヒドロキシベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン、2,2′-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2′-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2′-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2′-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2′-アゾビス-2-メチルブチロニトリル、1,1-アゾビス(1-シクロヘキサンカルボニトリル)2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)、2,2′-アゾビス(2-シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2′-アゾビス(メチルイソブチレ-ト)、t-ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジアセチルパーオキサイド、ジデカノイルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、n-ブチル-4,4-ジ(t-ブチルパーオキシ)バレレート、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2-ビス(4,4-ジ-t-ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)ブタン、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)オクタン、ジセチルパーオキシジカーボネート、t-ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(2-エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。
【0046】
本発明においては、アシルフォスフィンオキシド系重合開始剤を含む重合開始剤を用いることが好ましく、アシルフォスフィンオキシド系重合開始剤と他の重合開始剤、特にα-ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤を含む重合開始剤を用いることが好ましい。また、アシルフォスフィンオキシド系重合開始剤、α-ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤及び過酸化物系重合開始剤を含む重合開始剤を用いることもできる。
重合開始剤におけるアシルフォスフィンオキシド系重合開始剤の使用量は、重合開始剤全体を100質量%とした場合に、例えば1質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上であり、例えば100質量%以下、好ましくは95質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。
重合開始剤におけるα-ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤の使用量は、重合開始剤全体を100質量%とした場合に、例えば1質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上であり、例えば99質量%以下、好ましくは95質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。
【0047】
本発明の硬化性人工爪組成物における(D)成分の含有量は、特に限定されない。例えば、硬化性人工爪組成物の(A)~(D)の全量を100質量%として、0.05質量%以上、好ましくは0.1質量%以上であり、例えば10質量%以下、好ましくは5質量%以下である。(D)成分の含有量が0.05質量%未満である場合、硬化性人工爪組成物の硬化性が悪化し、硬化性人工爪組成物の硬化に時間がかかり、場合により硬化不能となるおそれがあり、10質量%を超える場合、硬化塗膜の分子量が低下し硬化塗膜が脆くなるおそれがあり、また、硬化性人工爪組成物の硬化塗膜が黄変(黄ばみ)するおそれがある。
【0048】
[その他成分]
硬化性人工爪組成物には、粘度、塗布性、取扱性、硬化塗膜耐久性などに悪影響を与えない範囲において、前記(A)成分~(D)成分以外に、各種の添加剤を配合することができる。そのような添加剤としては、
例えば、(A)成分~(C)成分以外のラジカル重合性不飽和基含有化合物(以下、「その他のラジカル重合性化合物」という場合がある。)、着色剤、多官能チオール化合物、ポリオール化合物、重合禁止剤、樹脂、溶剤、香料、シリコーン系やフッ素系の消泡剤、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、第3級アミン等の光重合促進剤、連鎖移動剤、充填剤、表面張力調整剤、難燃剤、酸化防止剤、イオン吸着体、低応力化剤、防腐剤、抗菌剤、可撓性付与剤、ワックス類、ハロゲントラップ剤、レベリング剤、濡れ改良剤等の各種の添加剤からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。
【0049】
<その他のラジカル重合性化合物>
その他のラジカル重合性不飽和基含有化合物は、(メタ)アクリロイル基以外のラジカル重合しうる不飽和基を有する化合物である。ラジカル重合しうる不飽和基は、炭素-炭素間二重結合をもつ官能基であり(重合性二重結合ともいう)、例えば、ビニル基、ビニルエーテル基、アリル基等があげられる。
その他のラジカル重合性化合物としては、例えば、アリルグリシジルエーテル、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、α-クロルスチレン、酢酸ビニル等からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。
【0050】
<着色剤>
着色剤としては、顔料、光輝材、染料からなる群より選ばれる1種類以上があげられ、任意の量用いて、硬化性人工爪組成物に所望の色調を付与する。特に、爪用被覆材に使用されている無機顔料、光輝材、有機顔料及び染料からなる群より選ばれる1種類以上であって、紫外線照射(光照射)による硬化を大きく阻害しないものである。
硬化前の硬化性人工爪組成物には、顔料等のみではなく樹脂粒子や、公知の硬化性人工爪組成物に配合できる装飾用材料等を配合しておくことも可能である。
【0051】
着色剤としては、例えば、褐色201号、黒色401号、紫色201、401号、青色1、2、201~205、403、404号、緑色201、202、204、205、3、401、402号、黄色201、202-(1)、202-(2)、203、204、205、4、401、402、403-(1)、404、405、406号、橙色201、203、204、205、206、207、401、402、403号、赤色102、104-(1)、105-(1)、106、2、201、202、203、204、205、206、207、208、213、214、215、218、219、220、221、223、225、226、227、228、230-(1)、230-(2)、231、232、3、401、405、501、502、503、504、505、赤色506号、酸化チタン、酸化鉄、酸化クロム、マンガンバイオレット、カーボンブラック、金属粉、金属フレーク、金属酸化物フレーク、ガラスフレーク等からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。
【0052】
<多官能チオール化合物>
多官能チオール化合物は、硬化性人工爪組成物の硬化性調整剤、架橋剤及び粘度調整剤として配合される。また、多官能チオール化合物を硬化性人工爪組成物に配合することで、硬化塗膜を拭き取って除去する際の拭き取り性を向上させることができる。
多官能チオール化合物としては、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等のポリオール化合物の水酸基に、チオール基又は反応してチオール基になる基を有する化合物が反応して得られたもの等があげられる。例えば、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、トリス[(3-メルカプトプロピオニルオキシ)-エチル]-イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート)等からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。
多官能チオール化合物を硬化性人工爪組成物に含有させる場合には、硬化性人工爪組成物全体を100質量%として、例えば1.0質量%以上10.0質量%以下となるように含有させることができる。
【0053】
ポリオール化合物は、硬化性人工爪組成物の希釈剤、密着性向上剤としての機能を有している。ポリオール化合物としては、例えば、アルキルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、フェノリックポリオール等からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。中でも、アルキルポリオール、ポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオールが好ましい。
アルキルポリオールとしては、エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。
【0054】
ポリエステルポリオールとしては、縮合型ポリエステルポリオール、付加重合ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール等からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。縮合型ポリエステルポリオールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル1,5-ペンタンジオール、1,4-ヘキサンジメタノール、ダイマー酸ジオール、ポリエチレングリコール等からなる群より選ばれる1種類以上のジオール化合物と、アジピン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、セバシン酸等からなる群より選ばれる1種類以上の有機多塩基酸との縮合反応によって得られ、分子量は100~100,000が好ましい。付加重合ポリエステルポリオールとしては、ポリカプロラクトンが挙げられ、分子量は100~100,000が好ましい。ポリカーボネートポリオールはポリオールの直接ホスゲン化、ジフェニルカーボネートによるエステル交換法などによって合成され、分子量は100~100,000が好ましい。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、アルキレンオキシドの開館重合により得られるポリエーテルポリオールがあげられる。
【0055】
重合禁止剤としては、例えば、キノン化合物、サリチル酸ヒドラジド、トコフェロール化合物等からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。
重合禁止剤を硬化性人工爪組成物に含有させる場合には、硬化性人工爪組成物全体に対して、例えば500質量ppm以上、好ましくは1,000質量ppm以上であり、例えば5,000質量ppm以下、好ましくは4,500質量ppm以下となるように配合することができる。
【0056】
樹脂としては、重合性ではなく、ポリオール化合物でもない樹脂であれば、特に限定されない。例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、オレフィン系樹脂、芳香族オレフィン系樹脂、芳香族炭化水素系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、コアシェルポリマー、グラフト系樹脂、ブロック系樹脂等からなる群より選ばれる1種以上があげられる。
【0057】
溶剤としては、硬化性人工爪組成物を希釈することができ、塗布時の粘度を調整し得るものであれば、特に限定されない。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、n-ブタノール、i-ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;エチルセロソルブ等のセロソルブ類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類:プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類、ジアセトンアルコール等からなる群より選ばれる1種以上があげられる。
【0058】
[硬化性人工爪組成物の用途・物性等]
本発明の硬化性人工爪組成物は、UVランプを照射して硬化塗膜を形成した場合及びLEDランプを照射して硬化塗膜を形成した場合の両者において、硬化塗膜のグロス値が140を超えており、高い光沢感及び優れた艶を有する。
本発明の硬化性人工爪組成物は、いわゆる一般のマニキュアやペディキュアのように、爪の表面に被覆を行うための組成物であり、使用者自身の爪の表面を、必要に応じてサンディングする等して凹凸を設けた表面に被覆してもよい。
本発明の硬化性人工爪組成物は、特にジェルネイルとして好適に使用でき、例えば、使用者の爪に直接塗布されるベースコート層、該ベースコート層の上に塗布されるカラーコート層、さらにその上に塗布されるトップコート層のいずれの層の形成に用いても、長期間(例えば、硬化後少なくとも2週間)硬化塗膜が欠けることなく、剥がれず、また下層や使用者の爪に対して浮きが発生することを抑制できる。
【0059】
本発明の硬化性人工爪組成物は、硬化塗膜が高い光沢感及び優れた艶を有することから、ジェルネイルにおけるトップコート層の形成に好適に使用できる。特に、クリア系トップコート、金属粉、金属フレーク、金属酸化物フレーク、ガラスフレーク等の光輝材を含むラメ入りクリア系トップコート、又は所望の着色剤を用いて調色したカラーコート層として、好適に用いることができる。また、本発明の硬化性人工爪組成物を塗布後、硬化前に小さな飾りや粉体等を、硬化性人工爪組成物の塗膜表面に付着させ、意匠性を高めることも可能である。
【0060】
本発明の硬化性人工爪組成物の硬化塗膜を形成する際には、従来の紫外線等により硬化されるラジカル重合性のマニキュア等と同様の設備、又は一般の紫外線硬化用の設備が用いられる。
特に、水銀ランプやメタルハライドランプ等のUVライト(波長350~400nm;ピーク波長約365nm、約370nm、約375nm又は約380nm)、及び紫外線発光ダイオード(UV-LED)ライト(波長385~415nm;ピーク波長約405nm)のいずれを照射した場合であっても、優れた硬化性と高い光沢感を有する硬化塗膜を形成することができる。また、紫外線レーザーダイオード(UV-LD)等の紫外線光源を用いることもできる。
塗布後の硬化性人工爪組成物の塗膜を紫外線(UV)等の光を照射することで硬化する場合、硬化に必要な照射エネルギーは、硬化性人工爪組成物の組成等によって異なるが、その照射エネルギー(積算光量)は、例えば5mJ/cm2以上、好ましくは10mJ/cm2以上であり、例えば1000mJ/cm2以下、好ましくは800mJ/cm2以下である。照射エネルギーがこの範囲内であれば、十分な密着性および耐擦性を有するネイルアートを得ることができる。
【0061】
本発明の硬化性人工爪組成物の硬化塗膜は、酸素による重合阻害等を原因とする未重合の硬化性成分の含有量が抑制されているため、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチルやアセトン等の溶剤を用いて拭き取る際に、硬化塗膜に傷が発生することがなく、高い光沢感及び優れた艶を有する。
【0062】
本発明の硬化性人工爪組成物は、筆等の塗布具によって十分に塗布することができる程度の粘度を有すればよい。
硬化性人工爪組成物は、硬化塗膜の引っ張り試験による破断時の応力(最大応力)が15.0MPa以上であることが好ましく、18.0MPa以上がより好ましく、20.0MPa以上であることがさらに好ましい。15.0MPa未満であると、擦りにより剥離し易くなるおそれがある。
また、硬化塗膜の破断時の歪率が95.0%以上であることが好ましく、97.0%以上がより好ましく、100.0%以上がさらに好ましい。
【0063】
[硬化性人工爪組成物を用いた爪の被覆]
本発明の硬化性人工爪組成物を用いて被覆される爪は、人の手の爪と足の爪のいずれでもよく、犬や猫などの動物の爪でもよい。本発明の硬化性人工爪組成物を、爪又は爪に設けられた塗膜の上に塗布して被覆する際、塗布面にサンディングを施してもよく、施さなくてもよい。
硬化性人工爪組成物の塗布方法としては、特に限定されず、例えば、筆等の塗布具や、インクジェット等の塗布方法を用いることができる。
【0064】
また、シートの片面に、本発明の硬化性人工爪組成物を用い、爪等の形状を有する未硬化の層を作製し、この層を爪表面と接触(転写)させた後に、シートを剥離するか又は剥離せずに、紫外線を照射して硬化させることもできる。
シート表面に予め硬化性人工爪組成物を用いて層を設け、これを転写する方法によれば、筆等の塗布具を使用することなく、爪の表面に均一かつ正確な模様を被覆することが可能であり、使用後においても該塗布具を洗浄等する必要がなく有利である。
【実施例0065】
以下に実施例をあげて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」を意味する。
【0066】
<実施例1~5、比較例1~6>
表1及び表2に示す成分を、それぞれ表1及び表2に示す量(質量部)容器内に投入し、ディゾルバーにより撹拌しつつ50℃に加温し1時間撹拌した。撹拌後2時間静置し脱泡し、硬化性人工爪組成物を得た。これらの工程は、全て遮光下にて行った。
【0067】
<比較例7、8>
比較例7として、ウレタンアクリレートオリゴマー、(メタ)アクリレートモノマー及びTPOを含む市販の硬化性人工爪組成物を用いた。
比較例8として、ウレタンアクリレートオリゴマー、IBXMA、TPO及び184を含む市販の硬化性人工爪組成物を用いた。
【0068】
硬化性人工爪組成物を構成する各成分は、それぞれ以下の化合物である。
UA1:1,4-ブタンジオールとイソホロンジイソシアネート(IPDI)から得られる繰返し単位を平均9つ有し末端にイソシアネート基を有するポリウレタンオリゴマーに、ヒドロキシエチルアクリレートを2モル反応させて得られたポリウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(化粧品成分表示名:ビスHEA(ポリ(1,4-ブタンジオール)-9/IPDI)コポリマー)
UA2:1,4-ブタンジオールとイソホロンジイソシアネートから得られる繰返し単位を平均9つ有し末端にイソシアネート基を有するポリウレタンオリゴマーに、ヒドロキシエチルメタクリレートを2モル反応させて得られたポリウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(化粧品成分表示名:ビスHEMA(ポリ(1,4-ブタンジオール)-9/IPDI)コポリマー)
Bis-GMA:イソプロピリデンジフェニルビス(メタクリル酸オキシヒドロキシプロピル)
IBXA:イソボルニルアクリレート
IBXMA:イソボルニルメタクリレート
HEMA:2-ヒドロキシエチルメタクリレート
TPO:2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド
184:1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン
UA3:ジカルバミン酸ジHEAトリメチルヘキシル(化粧品成分表示名)
UA4:ポリウレタン-74(化粧品成分表示名;炭酸ジエチル、ヘキサンジオール、グリコール及びε-カプロラクトンを縮合させたポリエステルプレポリマーとネオペンチルグリコールモノ(ヒドロキシピバレート)にイソホロンジイソシアネート(IPDI)を反応して得られる共重合体をアクリル酸2-ヒドロキシエチルでブロックしたもの)
【0069】
<グロス値(UVランプ硬化)>
得られた硬化性人工爪組成物を、硬質塩化ビニル板上に塗布して一定膜厚(100μm)の塗膜を形成し、36wのUVランプ(照射波長365nm)を60秒照射し硬化した。得られた硬化塗膜に対し、80%エタノール水溶液を用いて未硬化成分を拭き取り除去した。その後、硬質塩化ビニル板を黒画用紙上にのせて、グロスチェッカー(堀場製作所社製、IG-310)によりグロス値(UVランプ硬化)を求めた。結果を表1及び表2に併せて示す。
【0070】
<グロス値(LEDランプ硬化)>
得られた硬化性人工爪組成物を、硬質塩化ビニル板上に塗布して一定膜厚(100μm)の塗膜を形成し、30wのLEDランプ(照射波長405nm)を30秒照射し硬化した。得られた硬化塗膜に対し、80%エタノール水溶液を用いて未硬化成分を拭き取り除去した。その後、硬質塩化ビニル板を黒画用紙上にのせて、グロスチェッカー(堀場製作所社製、IG-310)によりグロス値(LEDランプ硬化)を求めた。結果を表1及び表2に併せて示す。
【0071】
【0072】
【0073】
表1より、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分を含む本発明に係る実施例1~5の硬化性人工爪組成物は、UVランプを照射して得られた硬化塗膜及びLEDランプを照射して得られた硬化塗膜のいずれもグロス値が140を超えており、高い光沢感及び優れた艶を有することがわかる。
一方、表2より、(A)成分及び/又は(B)成分を含まない比較例1~8の硬化性人工爪組成物は、LEDランプを照射して得られた硬化塗膜のグロス値が140未満であり、また、UVランプを照射して得られた硬化塗膜についても140未満となる場合があることから、光沢感が低く及び艶に問題があることがわかる。