(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023082380
(43)【公開日】2023-06-14
(54)【発明の名称】2液吐出部材及び2液吐出容器及び2液吐出製品
(51)【国際特許分類】
B65D 83/68 20060101AFI20230607BHJP
B65D 81/32 20060101ALI20230607BHJP
B05B 9/04 20060101ALI20230607BHJP
B05B 7/24 20060101ALI20230607BHJP
【FI】
B65D83/68
B65D81/32 U
B05B9/04
B05B7/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021196113
(22)【出願日】2021-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】391021031
【氏名又は名称】株式会社ダイゾー
(74)【代理人】
【識別番号】100100044
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 重夫
(74)【代理人】
【識別番号】100205888
【弁理士】
【氏名又は名称】北川 孝之助
(72)【発明者】
【氏名】高橋 知之
(72)【発明者】
【氏名】松井 和弘
【テーマコード(参考)】
3E013
3E014
4F033
【Fターム(参考)】
3E013AB03
3E013AB07
3E013AB08
3E013AC01
3E013AC16
3E013AC19
3E013AD02
3E013AD07
3E013AE02
3E013AF05
3E013AF34
3E014PA01
3E014PA03
3E014PB03
3E014PB04
3E014PB05
3E014PC08
3E014PD01
3E014PE14
3E014PE17
3E014PE30
3E014PF10
4F033QB02Y
4F033QB03X
4F033QB13Y
4F033QB17
4F033QB18
4F033QD02
4F033QD19
4F033QD24
4F033QF02X
4F033RA02
4F033RC08
4F033RC16
(57)【要約】
【課題】意図したタイミングで2つの内容物をそれぞれ吐出させることができる2液吐出部材を提供する。
【解決手段】第1ステム12aに装着される第1ステム装着部51aと、第2ステム22aに装着される第2ステム装着部61aと、軸方向先端に第1吐出口81aを有する内ノズル80と、内ノズル80を覆い、内ノズル80との間に第2吐出口93cを形成する外ノズル90と、第1ステム装着部51aから内ノズル80内を通って第1吐出口81aに至る第1吐出通路R1と、第2ステム装着部61aから内ノズル80と外ノズル90の間を通って第2吐出口93cに至る第2吐出通路R2と、を備え、第1吐出通路R1が、経路長を内ノズル80の軸方向後端側に延ばす、又は内ノズル80の軸回りに延ばす、又は内ノズル80の径外方向側に延ばす迂回路を備えている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ステムに装着される第1ステム装着部と、
第2ステムに装着される第2ステム装着部と、
軸方向先端に第1吐出口を有する内ノズルと、
内ノズルを覆い、内ノズルとの間に第2吐出口を形成する外ノズルと、
第1ステム装着部から内ノズル内を通って第1吐出口に至る第1吐出通路と、
第2ステム装着部から内ノズルと外ノズルの間を通って第2吐出口に至る第2吐出通路と、を備え、
第1吐出通路が、経路長を
内ノズルの軸方向後端側に延ばす、又は
内ノズルの軸回りに延ばす、又は
内ノズルの径外方向側に延ばす
迂回路を備えている、2液吐出部材。
【請求項2】
迂回路が、内ノズルと外ノズルとの間に形成される環状通路によって形成されている、請求項1記載の2液吐出部材。
【請求項3】
環状通路と内ノズル内とが、内ノズルの側面に設けられた導出孔によって連通されている、請求項2記載の2液吐出部材。
【請求項4】
内ノズルが、外ノズルに対して軸回りに回転可能とされ、
内ノズルの露出部に、内ノズルを回転させたことによる導出孔のずれを把握できる目印が設けられている、請求項3記載の2液吐出部材。
【請求項5】
内ノズルが、外ノズルに対して着脱可能である、請求項1~4のいずれかに記載の2液吐出部材。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載の2液吐出部材と、
第1ステムを有する第1バルブと、
第2ステムを有する第2バルブと、を備えた2液吐出容器。
【請求項7】
請求項6に記載の2液吐出容器に、第1内容物と第2内容物とを充填した2液吐出製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの内容物を吐出するための2液吐出部材と、それを用いた2液吐出容器及び2液吐出製品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、一方の吐出物が他方の吐出物により包囲された二重吐出物を形成する2液型エアゾール製品が開示されている。また、内側吐出物が全て外側吐出物で包囲されやすくなるように、内側ノズルを外側ノズルよりも短くすることが開示されている。特許文献2には、第1液層の上下左右を囲繞するように第2液層を吐出する二液吐出容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6320796号公報
【特許文献2】特許第5674386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
内容物の種類によっては、ノズル内を流れる速度が互いに異なる場合があり、必ずしも一方の吐出物を他方の吐出物で包囲できない場合がある。また、例えば一方の吐出物の吐出されるタイミングを遅くしようとしても、ノズル全体の設計変更が必要であり、対応が困難である。
【0005】
本発明は、上記の少なくとも1つの問題を解決することができる2液吐出部材と、それを用いた2液吐出容器及び2液吐出製品の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の2液吐出部材は、第1ステム12aに装着される第1ステム装着部51aと、第2ステム22aに装着される第2ステム装着部61aと、軸方向先端に第1吐出口81aを有する内ノズル80と、内ノズル80を覆い、内ノズル80との間に第2吐出口93cを形成する外ノズル90と、第1ステム装着部51aから内ノズル80内を通って第1吐出口81aに至る第1吐出通路R1と、第2ステム装着部61aから内ノズル80と外ノズル90の間を通って第2吐出口93cに至る第2吐出通路R2と、を備え、第1吐出通路R1が、経路長を内ノズル80の軸方向後端側に延ばす、又は内ノズル80の軸回りに延ばす、又は内ノズル80の径外方向側に延ばす迂回路を備えていることを特徴としている。
【0007】
上記2液吐出部材においては、迂回路が、内ノズル80と外ノズル90との間に形成される環状通路A1によって形成されていることが好ましい。
【0008】
また、環状通路A1と内ノズル80内とが、内ノズル80の側面に設けられた導出孔81bによって連通されていることが好ましい。
【0009】
また、内ノズル80が、外ノズル90に対して軸回りに回転可能とされ、内ノズル80の露出部に、内ノズル80を回転させたことによる導出孔81bのずれを把握できる目印(フランジ部82)が設けられていることが好ましい。
【0010】
また、内ノズル80が、外ノズル90に対して着脱可能であることが好ましい。
【0011】
本発明の2液吐出容器は、上記いずれかに記載の2液吐出部材40と、第1ステム12aを有する第1バルブ12と、第2ステム22aを有する第2バルブ22と、を備えたことを特徴としている。
【0012】
本発明の2液吐出製品は、上記2液吐出容器2に、第1内容物C1と第2内容物C2とを充填したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の2液吐出部材、2液吐出容器、2液吐出製品は、迂回路によって第1吐出通路の経路長を延ばすことができる。
【0014】
迂回路が、内ノズルと外ノズルとの間に形成される環状通路によって形成されている場合、迂回路を設けるにあたって他の部材を用いる必要が無く、構成がシンプルになる。
【0015】
環状通路と内ノズル内とが、内ノズルの側面に設けられた導出孔によって連通されている場合、導出孔の位置によって迂回路の長さが変わるため、迂回路の長さを調節し易い。
【0016】
内ノズルが、外ノズルに対して軸回りに回転可能とされ、内ノズルの露出部に、内ノズルを回転させたことによる導出孔のずれを把握できる目印が設けられている場合、所望の場所に導出孔を位置させ易い。
【0017】
内ノズルが、外ノズルに対して着脱可能である場合、使用後に内ノズルを取り外して洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る2液吐出製品を示す一部切欠正面図である。
【
図2】
図2Aは2液吐出部材を前側から見た斜視図、
図2Bは後ろ側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の一実施形態に係る2液吐出容器2について図面に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、2液吐出容器2は、第1容器10と、第2容器20と、第1容器10と第2容器20とに取り付けられる2液吐出部材40とを備えている。この2液吐出容器2の第1容器10に第1内容物C1を充填し、第2容器20に第2内容物C2を充填することで2液吐出製品1になる。以下、各部材について詳細に説明する。
【0020】
第1容器10は、容器本体11と、第1バルブ12とを備えたエアゾール容器である。容器本体11は有底円筒状であって、上端が開口しており、この開口に第1バルブ12が取り付けられて密閉状態とされている。第1バルブ12は、公知のエアゾールバルブである。この第1バルブ12は、第1ステム12aを押し込む又は傾倒させることで開き、第1ステム12aの押し込み又は傾倒を止めることで閉じる。
【0021】
第2容器20は、容器本体21と、第2バルブ22とを備えたエアゾール容器である。容器本体21は、第1容器10の容器本体11と同じ形状、大きさである。第2バルブ22も公知のエアゾールバルブであり、第2ステム22aを押し込む又は傾倒させることで開き、第2ステム22aの押し込み又は傾倒を止めることで閉じる。また、第2バルブ22は、第1バルブ12と同じ構成、形状、大きさである。従って、ステム12a、22aを同時に吐出操作すれば、内容物C1、C2が同時に吐出される。
【0022】
第1容器10と第2容器20とは、カバー部材30によって互いに横方向に連結され、相互の位置関係が固定されている。そのため、第1ステム12aと第2ステム22aとは横並びになっている。カバー部材30は、第1容器10と第2容器20の上部にそれぞれ外嵌される2つの固定筒30aと、固定筒30a同士を横方向で連結する連結部30bと、固定筒30aから上方に向かって延び、2液吐出部材40の外側を覆うカバー部30cとを備えている。
【0023】
第1容器10に充填された第1内容物C1は、原液と、原液を第1ステム12aから吐出させるための噴射剤とを含んでおり、液相と気相とに分かれている。第2容器20に充填された第2内容物C2についても、原液と、原液を第2ステム22aから吐出させるための噴射剤とを含んでおり、液相と気相とに分かれている。
【0024】
原液としては、例えば、互いに反応させることで効果を発揮する2液反応型の原液を用いることができる。例えば2液式温感製剤、2液式発熱製剤、2液式冷却製剤、2液式ゲル化剤、2液式被膜形成剤、2液式接着剤、2液式染毛剤、2液式パーマ剤等があげられる。ただ、2液反応型に限らず、少なくとも2つの効果を発揮させるものでもよく、例えば、日焼け止めと制汗剤、日焼け止めと害虫忌避剤、手指消毒剤と保湿剤、ファンデーションと制汗剤、化粧コート剤と制汗剤等があげられる。いずれの場合も、一方の原液を第1容器に充填し、他方の原液を第2容器に充填し、2種類の原液が混ざらないようにする。
【0025】
噴射剤は、液化ガス、圧縮ガスおよびこれらの混合ガスである。液化ガスとしては、例えば、ノルマルブタン、イソブタン、プロパンおよびこれらの混合物である液化石油ガス、ジメチルエーテル、ハイドロフルオロオレフィン等が挙げられる。圧縮ガスとしては、例えば、窒素、空気、酸素、水素、二酸化炭素、亜酸化窒素等が挙げられ、25℃における圧力が0.2~1.0MPa未満となるように充填される。第1容器と第2容器とで充填される噴射剤を合せることが好ましいが、異なる種類のものを充填してもよい。
【0026】
第1内容物C1と第2内容物C2の吐出形態は、例えば第1内容物C1がクリーム状であれば第2内容物C2もクリーム状とする、第1内容物C1が泡状であれば第2内容物C2を泡状にする等、互いに合わせることができる。第1内容物C1と第2内容物C2を泡状にする場合、発泡性を変えることができる。また、第1内容物C1を泡状にし、第2内容物C2をクリーム状やゲル状にすることで、吐出後に外側のクリームやゲルが増大して表面が滑らかになる。さらに第1内容物C1をクリームやゲル状にし、第2内容物C2を泡状にすることで、内側のクリームやゲルを包み込みやすい。
【0027】
2液吐出部材40は、
図2~
図4に示すように、第1ステム12aに装着される第1ステムジョイント50と、第2ステム22aに装着される第2ステムジョイント60と、第1ステムジョイント50と第2ステムジョイント60とに接続されるノズル部材70とを備える。
【0028】
第1ステムジョイント50は、第1ステム12aとノズル部材70とを接続する部材である。
図3および
図5に示すように、略円柱状の基部51と、基部51の軸方向と略直交する方向(横方向)に突出する略円柱状のノズル接続部52とを備えている。基部51の下端と、ノズル接続部52の先端とは開口している。なお、基部51の下端に設けられた開口が、第1ステム12aに装着される第1ステム装着部51aである。ノズル接続部52は、ノズル部材70に挿入、接続される部位である。この第1ステムジョイント50内には、第1ステム装着部51aからノズル接続部52先端の開口に至るジョイント内通路J1が設けられている。ジョイント内通路J1は、第1ステム装着部51aから基部51の軸方向に沿って上に延びた後、ノズル接続部52の軸方向に沿って横に延びている。
【0029】
第2ステムジョイント60は、第1ステムジョイント50と同じの構成であり、ジョイント内通路J1の経路長さも同じである。そのため、同符号を付し、詳細な説明を省略する。ただ、説明の簡単のため、第2ステムジョイント60のステム装着部は、第2ステム装着部61aとする。
【0030】
ノズル部材70は、
図3および
図4に示すように、いわゆる二重ノズルであって、軸方向先端に第1吐出口81aを有する内ノズル80と、内ノズル80を覆い、内ノズル80との間に第2吐出口93cを形成する外ノズル90とを備えている。内ノズル80と外ノズル90は同心上(軸線AL)に配置されている。内ノズル80は外ノズル90に対して着脱可能に取り付けられている。
【0031】
内ノズル80は、
図3および
図6に示すように、筒状の内筒部81と、内筒部81の後端に設けられたフランジ部82とを備えている。内筒部81の断面形状は外周、内周共に円形である。そのため、外ノズル90に対して軸回りに回転可能である。ただ、円形に限らず、多角形であってもよい。軸周りに回転させて異なる角度で挿入できるように、正多角形等の回転対称であることが特に好ましい。内筒部81内には、軸方向に沿って内ノズル内通路N1が設けられている。内ノズル内通路N1の先端が第1吐出口81aである。内ノズル内通路N1の後端はフランジ部82によって閉じられている。内筒部81の側面には、内筒部81の外と内ノズル内通路N1とを連通する導出孔81bが設けられている。導出孔81bは、内ノズル80を外ノズル90に装着した状態において、後述する仕切り部93bよりも後方に位置している。
【0032】
フランジ部82は、内ノズル80を外ノズル90に取り付けた後も外部に露出する。この露出部を後ろから見ると、
図2Bに示すように、陸上競技のトラック状となっているが、これは、内ノズル80を軸周りに回転させることによる導出孔81bのずれを外部から把握できるようにするためである。例えば、トラックの直線部分と導出孔81bの位置とを関連付けておけば、外ノズル90に対する直線部分の傾きによって、導出孔81bの軸周りのずれを外部から把握することができる。なお、ずれを把握するための目印としては、露出部の形状をトラック状とする以外に、非円形としたり、凹凸や目盛を設ける等してもよい。
【0033】
外ノズル90は、
図3および
図7に示すように、第1ステムジョイント50を接続する第1ジョイント接続部91と、第2ステムジョイント60を接続する第2ジョイント接続部92と、筒状の外筒部93とを備えている。
【0034】
第1ジョイント接続部91は、外筒部93の外周面から、外筒部93の軸方向と略直交する方向(横方向)に突出している。また、突出方向で開口する挿入空間91aが設けられており、この挿入空間91aと後述する環状通路A1とが、挿入空間91aの底部に形成された導入孔91bによって連通されている。
【0035】
第2ジョイント接続部92は、第1ジョイント接続部91と同じの構成である。また、外筒部93の軸方向(前後方向)における位置も、軸方向と直交する方向(上下方向)における位置も、第1ジョイント接続部91と同じである。第2ジョイント接続部92の挿入空間92aと後述する外ノズル内通路N2とは、挿入空間92aの底部に形成された連通孔92bによって連通されている。
【0036】
外筒部93の断面形状は外周、内周共に円形である。ただ、円形に限らず、多角形であってもよい。正多角形等の回転対称であることが好ましい。外筒部内には、軸方向に沿って内ノズル80を収容するための収容空間93aが設けられている。収容空間93aは前後方向で外部と連通している。また、外筒部93の内面には、径内方向に突出した、周方向に連続する仕切り部93bが設けられている。この仕切り部93bは、内ノズル80の外周面と当接することで、収容空間93aを前空間FSと後ろ空間BSとに区画する。前空間FSに形成されるのが外ノズル内通路N2であり、後ろ空間BSに形成されるのが環状通路A1である。外ノズル内通路N2の先端が第2吐出口93cである。導出孔81bと導入孔91bはどちらも仕切り部93bよりも後ろ(後空間BS)側に位置している。連通孔92bは仕切り部93bよりも前(前空間FS)側に位置している。
【0037】
各ステムジョイント50、60とノズル部材70とは、
図4に示すように、第1ステムジョイント50のノズル接続部52を、ノズル部材70の第1ジョイント接続部91の挿入空間91aに挿入し、第2ステムジョイント60のノズル接続部52を、ノズル部材70の第2ジョイント接続部92の挿入空間92aに挿入するとともに、外ノズル90の収容空間93aに内ノズル80を後ろから挿入することで構成される。これにより、2液吐出部材40には、第1ステム装着部51aから内ノズル80内を通って第1吐出口81aに至る第1吐出通路R1と、第2ステム装着部61aから内ノズル80と外ノズル90の間を通って第2吐出口93cに至る第2吐出通路R2とが形成される。第1吐出通路R1と第2吐出通路R2とは互いに独立しており、2液吐出部材40内で内容物C1、C2同士が混ざり合うことは無い。
【0038】
ところで、内ノズル80の外周面と外ノズル90の後ろ空間BS側の内周面とで構成される環状通路A1は、入口が外ノズル90の導入孔91bで、出口が内ノズル80の導出孔81bである。導出孔81bは導入孔91bよりも後ろに位置している。そのため、環状通路A1は、経路長を、内ノズル80の軸方向後端側に延ばす迂回路として機能する(
図8A参照)。また、導出孔81bは、内ノズル80の軸方向から見て、導入孔91bに対して内ノズル80の軸周りにずれた位置にある。そのため、環状通路A1は、経路長を、内ノズル80の軸回りに延ばす迂回路としても機能する(
図8B参照)。なお、迂回路の延びる方向とは、導出孔81bから導入孔91bまでの最短ルートを結んだ線の方向を指す。
【0039】
このように2液吐出部材40は、第1吐出通路R1に経路長を延ばす迂回路を設けているため、第1ステム12aに第1ステム装着部51aを装着し、第2ステム22aに第2ステム装着部61aを装着した状態で、2液吐出部材40を押し込み、第1バルブ12と第2バルブ22を同時に開けば、通常、第1内容物C1の方が第2内容物C2よりも遅く吐出されることになり、第2吐出口93cから吐出される第2内容物C2によって第1内容物C1を覆うことができる。
【0040】
内容物の粘度等が異なることによって流れる速度に差が生じる場合には、迂回路の長さを適宜変更する。迂回路の長さは、導出孔81bを設ける位置で調整することができる。例えば、内ノズル80の軸方向と直交する方向から見て(例えば平面視)、導出孔81bをより後ろに設ければ迂回路の長さは長くなり、前にずらせば迂回路の長さは短くなる。また、内ノズル80の軸方向から見て、導出孔81bは導入孔91bから90度ずれた位置に設けられているが、180度ずれた位置に設ければ迂回路の長さは長くなり、90度より小さくすれば迂回路の長さは短くなる。また、内ノズル80の外径を変更することでも調整することができる。具体的には、内ノズル80の外径を大きくすれば迂回路の長さは長くなり、外径を小さくすれば迂回路の長さは短くなる。このように、迂回路の長さは簡単に調整することができ、内容物の種類が変わっても、意図したタイミングで2つの内容物をそれぞれ吐出させることができる。
【0041】
また、導入孔91bや導出孔81bの孔径を調整することで第1内容物C1の流速を変えることができ、さらに、第2吐出通路R2の連通孔92bの孔径を調整することで第2内容物C2の流速を変えることができ、2つの内容物C1、C2が吐出されるタイミングを調整することができる。なお、孔径の変更は全体の設計を変えることなく、金型のピンの交換で容易に変更することができる。
【0042】
使用後は、内ノズル80を後ろに引っ張り、外ノズル90から取り外す。取り外した内ノズル80は適宜洗浄する。外ノズル90についても適宜洗浄する。再度の使用に際しては、外ノズル90の後ろから内ノズル80を差し込めばよい。
【0043】
以上に、この発明の実施形態について説明したが、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することが可能である。例えば、上記実施形態の迂回路は、経路長を、内ノズル80の軸方向後端側に延ばすとともに、内ノズル80の軸回りに延ばすものであったが、いずれか一方だけでもよい。また、迂回路としては、第1吐出口81aから離れる方向に延びているものを採用し得る。例えば、内ノズル80の径外方向(内ノズル80の軸方向から見て、内ノズル80の軸心から離れる方向)側に延ばすものを採用してもよい。また、必ずしも導出孔81bが導入孔91bよりも後ろである必要は無い。導出孔81bが導入孔91bよりも前に位置していたとしても、導入孔91bから導出孔81bに至る過程において、内ノズル80の軸方向後端側に延ばす、又は内ノズル80の軸周りに延ばす、又は内ノズル80の径外方向側に延ばす迂回路が存在していれば、経路長を長くすることができる。
【0044】
また、2液吐出部材40は指で直接操作してもよく、カバー部材30にレバーを設け、そのレバーを介して操作してもよい。また、カバー部材30は、固定筒30aと連結部30bとからなる肩カバーと、肩カバーに取り付けられるカバー部30cとの2部材で構成してもよい。また、第1容器10と第2容器20の2つの容器を用いていたが、2つのバルブを有する1つの容器を用いてもよい。この場合、1つの容器内に2つの部屋や内袋を設けて内容物同士が混ざらないように、また、2つのバルブからそれぞれ別の内容物が吐出されるようにする。
【符号の説明】
【0045】
1 2液吐出製品
2 2液吐出容器
10 第1容器
11 容器本体
12 第1バルブ
12a 第1ステム
20 第2容器
21 容器本体
22 第2バルブ
22a 第2ステム
30 カバー部材
30a 固定筒
30b 連結部
30c カバー部
40 2液吐出部材
50 第1ステムジョイント
51 基部
51a 第1ステム装着部
52 ノズル接続部
J1 ジョイント内通路
60 第2ステムジョイント
61a 第2ステム装着部
70 ノズル部材
80 内ノズル
81 内筒部
N1 内ノズル内通路
81a 第1吐出口
81b 導出孔
82 フランジ部
90 外ノズル
91 第1ジョイント接続部
91a 挿入空間
91b 導入孔
92 第2ジョイント接続部
92a 挿入空間
92b 連通孔
93 外筒部
93a 収容空間
93b 仕切り部
93c 第2吐出口
FS 前空間
BS 後ろ空間
N2 外ノズル内通路
A1 環状通路
R1 第1吐出通路
R2 第2吐出通路
C1 第1内容物
C2 第2内容物
AL 軸線