IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オムロンオートモーティブエレクトロニクス株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-収納組み立て体 図1
  • 特開-収納組み立て体 図2
  • 特開-収納組み立て体 図3
  • 特開-収納組み立て体 図4
  • 特開-収納組み立て体 図5
  • 特開-収納組み立て体 図6
  • 特開-収納組み立て体 図7
  • 特開-収納組み立て体 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023082397
(43)【公開日】2023-06-14
(54)【発明の名称】収納組み立て体
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/22 20060101AFI20230607BHJP
【FI】
H02K5/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021196143
(22)【出願日】2021-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】510123839
【氏名又は名称】ニデックモビリティ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100145241
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康裕
(72)【発明者】
【氏名】大谷 直輝クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】和田 康太郎
(72)【発明者】
【氏名】藤井 雄一
【テーマコード(参考)】
5H605
【Fターム(参考)】
5H605AA08
5H605BB05
5H605CC06
5H605CC08
5H605CC10
5H605EC05
5H605EC18
(57)【要約】
【課題】2つの収納体が接続された収容組み立て体において、組立て時には容易に組立てることができ、組立てられた後は容易には両者が脱落しない収納組み立て体を提供する。
【解決手段】収納組み立て体100は第1収納体50と第2収納体40から構成され、第1収納体は、第1開口51と、第1係合部52と、第1嵌合部53を備え、第2収納体は、第1開口に対応する第2開口41と、第1係合部に対応する第2係合部43と、第1嵌合部に対応する第2嵌合部42を備え、第1開口と第2開口は縁に配置されるシーリング60を介在して接続され、第1係合部は、第1収納体から第1開口と第2開口の接続部分70を跨いで第2係合部の方へ延在する延在部521と延在部の先端に第2係合部に掛かる掛かり部522を有し、第1嵌合部は、延在部の内側に線状突起として形成され、第2嵌合部は、第2収納体の外面に線状突起に対応して嵌り合う溝として形成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1収納体と第2収納体から構成される収納組み立て体であって、
前記第1収納体は、第1開口と、第1係合部と、第1嵌合部と、を備え、
前記第2収納体は、
前記第1開口に対応する第2開口と、
前記第1係合部に対応する第2係合部と、
前記第1嵌合部に対応する第2嵌合部と、
を備え、
前記第1開口と前記第2開口は、縁に配置されるシーリングを介在して接続され、
前記第1係合部は、
前記第1収納体から前記第1開口と前記第2開口の接続部分を跨いで前記第2係合部の方へ延在する延在部と、
前記延在部の先端部分に前記第2係合部に掛かる掛かり部と、
を有し、
前記第1嵌合部は、前記延在部の内側に線状突起として形成され、
前記第2嵌合部は、前記第2収納体の外面に前記第2開口から前記線状突起に対応して嵌り合う溝として形成された、
収納組み立て体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に被収納物を収納する収納組み立て体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両における、パワーウィンドウ、スライドドア、サンルーフ、パワーシートなどの駆動源となる電動モータを内部に備え、ハウジングの内部に基板等を一体的に収納する収納組み立て体に関する技術が知られている。たとえば、特許文献1は、部品点数を増加させることなく、ギヤハウジングと基板ケースとの間のシール性を確保することができるモータを開示する。このモータでは、コネクタ取付部とコネクタハウジングとは、互いの開口部を介して連通され、各開口部の縁部がコネクタハウジングの組付方向に対して傾斜するとともに、その開口縁部の間にシール部材が介在されている。そして、コネクタ取付部には、各開口部を介してコネクタハウジング内に延出されてその内側面と当接する傾動規制部が一体形成され、該傾動規制部は、コネクタ取付部に対するコネクタハウジングの傾動を規制するように構成される。
【0003】
また、特許文献2は、小型化を可能とする、制御回路モジュールを備えたモータを開示する。このモータは、ハウジングに形成された差し込み孔に差し込まれて該ハウジングに組み付けられた制御回路モジュールを備える。制御回路モジュールは、モータ本体と電気的に接続されるパワー線接続端子部と、ハウジング外に露出し外部との電気的な接続を図る給電用のコネクタ部と、パワー線接続端子部とコネクタ部との間に配置されモータ本体の回転を制御する制御回路部とを有し、制御回路モジュールのパワー線接続端子部は、回転軸に対してコネクタ部と反対側に設けられる。
【0004】
また、特許文献3は、ギヤハウジングに収容される制御回路部材が発生する熱を外部に効率良く放熱することができるモータを開示する。このモータは、回転軸を有するモータ本体と、モータ本体に組み付けられ、回転軸の回転を減速するためのウォーム及びウォームホイールを収容するギヤハウジングと、電気回路部品を有しギヤハウジング内に収容される制御回路部材とを備える。ギヤハウジングには、制御回路部材の一部がギヤハウジングの外部に突出するように開口部が形成され、且つ、該開口部を閉塞すべく外部に突出した制御回路部材の一部を収容する収容部を有した金属製のカバーが取り付けられる。
【0005】
また、特許文献4は、部品点数を低減し、組み付け工数を低減できるモータを開示する。このモータでは、基板収容ケースには、制御回路基板を収容するための基板収容部と、ウォームホイール収容部の開口部を閉塞するカバー部とが一体に形成される。
【0006】
また、特許文献5は、回路基板を該基板の平面方向に沿ってギヤハウジング内に挿入してなるモータを開示する。このモータは、回路基板の挿入方向の先端部側にコネクタ部を位置させる場合に、該ギヤハウジングの大型化を防止しながら、回路基板を他のモータ構成部品に干渉することなくスムーズにギヤハウジング内に収容する。該ギヤハウジングには、回路基板を該基板の平面方向に沿って挿入する基板収容部が形成され、該基板収容部の基板挿入方向の先端部側に位置する部位にターミナルを固定してなるコネクタ部が一体に構成される。回路基板には、挿入方向の先端部側にコネクタ部のターミナルと接続するためのターミナル接続用端子が設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2014-217221号公報
【特許文献2】特開2011-125191号公報
【特許文献3】特開2006-034073号公報
【特許文献4】特開2004-187428号公報
【特許文献5】特開2004-112887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、電動モータなどを収納する収納体とコネクタなどを収容する収納体の2つの収納体が接続されてなる収容組み立て体において、組み立て時には容易に組み立てることができる共に、組み立てられた後は力が加えられても容易には両者が脱落しない収納組み立て体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、第1収納体と第2収納体から構成される収納組み立て体であって、第1収納体は、第1開口と、第1係合部と、第1嵌合部と、を備え、第2収納体は、第1開口に対応する第2開口と、第1係合部に対応する第2係合部と、第1嵌合部に対応する第2嵌合部と、を備え、第1開口と第2開口は、縁に配置されるシーリングを介在して接続され、第1係合部は、第1収納体から第1開口と第2開口の接続部分を跨いで第2係合部の方へ延在する延在部と、延在部の先端部分に第2係合部に掛かる掛かり部と、を有し、第1嵌合部は、延在部の内側に線状突起として形成され、第2嵌合部は、第2収納体の外面に第2開口から線状突起に対応して嵌り合う溝として形成された、収納組み立て体が提供される。
これによれば、電動モータなどを収納する収納体とコネクタなどを収容する収納体の2つの収納体が接続されてなる収容組み立て体において、一方の収納体から他方の収納体の方へ延びる延在部に線状突起が形成され、その線状突起と嵌り合う溝を他方の収納体に備えることで、組み立て時には容易に組み立てることができる共に、組み立てられた後は力が加えられても容易には両者が脱落しない収納組み立て体を提供できる。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、本発明によれば、電動モータなどを収納する収納体とコネクタなどを収容する収納体の2つの収納体が接続されてなる収容組み立て体において、組み立て時には容易に組み立てることができる共に、組み立てられた後は力が加えられても容易には両者が脱落しない収納組み立て体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る第一実施例の電動モータモジュールの正面図。
図2】本発明に係る第一実施例の電動モータモジュールの、(A)正面左下方からの斜視図、(B)背面左上方からの斜視図。
図3】本発明に係る第一実施例の電動モータモジュールの、(A)コネクタ収納部を取り除いた収納部の側面図、(B)コネクタ収納部を取り除いた収納部の正面左上方からの斜視図、(C)コネクタ収納部を取り除いた収納部の背面左上方からの斜視図。
図4】本発明に係る第一実施例の電動モータモジュールの、(A)コネクタ収納部の収納部側から見た側面図、(B)コネクタ収納部の正面右下方からの斜視図。
図5】本発明に係る第一実施例の電動モータモジュールの、(A)コネクタ収納部を取り除き、プリント基板を収納部に装着した場合の斜視図、(B)コネクタ収納部にプリント基板を装着した場合の斜視図。
図6】本発明に係る第一実施例の電動モータモジュールの、(A)(B)におけるA-A断面における断面図、(B)正面図。
図7】本発明に係る第一実施例の電動モータモジュールを組み立てる過程における、プリント基板をコネクタ収納部に装着する様子を示す図。
図8】本発明に係る第一実施例の電動モータモジュールを組み立てる過程における、プリント基板が装着されたコネクタ収納部を収納部に装着する様子を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、図面を参照しながら、本発明に係る実施例について説明する。
<第一実施例>
図1乃至図8を参照し、本実施例における電動モータモジュール100を説明する。電動モータモジュール100は、車両に搭載され、パワーウィンドウ、スライドドア、サンルーフ、パワーシートなどを駆動するために使用される。電動モータモジュール100は、これらを駆動する電動モータ10、最終出力軸31を有するギア30、プリント基板20等を内部に一体的に収納してモジュール化されている。電動モータモジュール100は、たとえばパワーウィンドウを駆動するためのものである場合には、ドアの内部に設置孔44を用いて取り付けられ、ウィンドウレギュレータを介してウィンドウガラスを昇降させる。
【0013】
電動モータモジュール100は、駆動源となる電動モータ10と、電動モータ10の回転軸11の軸方向と直交する方向に最終出力軸31の軸方向を変換するギア30と、外部から電力を受け入れるためのコネクタ23およびその電力から電動モータ10を駆動するための電子部品26などを搭載するプリント基板20と、これらを収納する収納部40およびコネクタ収納部50と、収納部40とコネクタ収納部50を接続する取付部52と、を備える。なお、ギア30は、収納部40の内部に収納されており、本明細書における図面には図示されていない。
【0014】
電動モータ10は、DCモータであり、ブラシ付き/ブラシレスのいずれであってもよく、特に限定されない。電動モータ10は、収納部40に収められるヨークハウジング(図示せず)から回転軸11が図1の二点鎖線(回転軸11の軸線L1)で示すように上下方向に延び、回転軸11の上端は収納部40から突出し、下端(図示せず)にはウォーム(図示せず)が取り付けられる。電動モータ10は、外部からプリント基板20を介して電力の供給を受けるための2つの板状の電極12を回転軸11近傍に有している(図3)。また、回転軸11には後述する回転検出センサ25と対応する位置に磁石(図示せず)が取り付けられている。
【0015】
ギア30は、ウォームと噛合するウォームホイール(図示せず)と、ウォームホイールの中心に直結された最終出力軸31を有し、回転可能に収納部40に収容される。ウォームホイールは、回転軸11の回転を減速し、高いトルクを最終出力軸31に伝達し、最終出力軸31は、レギュレータを駆動する。ギア30は、回転軸11の軸方向(軸線L1:図1における紙面と平行な上下方向、または図3(A)における紙面と平行な左右方向)と直交する軸方向(軸線L2:図1における紙面と垂直な方向、または図3(A)における紙面と平行な上下方向)を有する最終出力軸31に変換する。
【0016】
収納部40は、電動モータ10とギア30を一体的に収納し、回転軸11の軸線L1方向と直交する方向からコネクタ収納部50と接続するための収納部開口41を有する。収納部開口41は、ギア30とは電動モータ10の回転軸11を挟んだ反対側に設けられている。収納部40は、後述するようにコネクタ収納部50と接続された場合には、収納部開口41から回転軸11までの間にプリント基板20の一部を収容する。
【0017】
収納部開口41は、一の対向する一対の2辺は最終出力軸31と平行であり、他の対向する一対の2辺は最終出力軸31と垂直な面において回転軸11に対して傾斜する矩形である。収納部開口41は、図1において、上方では回転軸11に近く、下方に向かうにつれて回転軸11から遠くなるように傾斜しており、上方から下方に向かうコネクタケーブル(図示せず)の差し込み方向D1にかかる力を受け止める。
【0018】
コネクタ収納部50は、プリント基板20に搭載されたコネクタ23の先端をコネクタケーブルに接続できるように外部に露出させて収納する(図2(B))。コネクタ収納部50のコネクタ23が露出した一端の反対側の他端は、コネクタ収納部開口51が形成されている。コネクタ収納部開口51は、収納部開口41と同様に、一の対向する一対の2辺は最終出力軸31と平行であり、他の対向する一対の2辺は最終出力軸31と垂直な面において回転軸11に対して傾斜する矩形であり、収納部開口41と同じ形状および大きさであり、収納部開口41に取り付けられる。このように、収納部開口41とコネクタ収納部開口51が傾斜していることで、各開口の面積が大きくなり、後述するように両開口を介したプリント基板20の組み付けが容易になる。
【0019】
コネクタ収納部50は、長軸方向の内部にプリント基板20の縁をスライドさせて取り付けるためのスライド溝55と、スライド溝55のコネクタ収納部開口51近傍にプリント基板20を位置決めするための位置決め凹部56を有する(図4)。これにより、プリント基板20をコネクタ収納部50に挿入して取り付ける際に、容易に取り付けることができると共に、取り付けた後はガタツキがない。
【0020】
また、コネクタ収納部50が収納部40に取り付けられた場合には、コネクタ収納部50におけるコネクタ23への差し込み方向D1と回転軸11は平行であることが好ましい。このように、コネクタ23への差し込み方向D1と回転軸11は平行であることで、差し込み方向がギア30の厚み方向である場合に比べ、ギア30の最終出力軸方向(軸線L2方向)の厚みを抑えて小型化が可能になる。なお、収納部開口41の縁部とコネクタ収納部開口51の縁部の間にはシーリング60が介在して接続され、両者の接続部分70の水密性を向上させる。シーリング60は、たとえば弾性のあるエストラマーにより、両開口の形状に合わせた矩形リング状に形成されている。接続部分70は、コネクタケーブルの差し込み方向D1にかかる力を受け止めるように最終出力軸31と垂直な面において回転軸11に対して傾斜している。
【0021】
収納部40は、最終出力軸31と垂直な面において回転軸11と直交する方向で収納部開口41から突出する位置合わせ棒45を有し(図3図5(A)など)、またコネクタ収納部50は、同方向に凹む穴として、位置合わせ棒45に対応する位置に位置合わせ穴54を有する(図4図5(B)など)。コネクタ収納部50の収納部40への取り付け時には、位置合わせ穴54が位置合わせ棒45に挿入されることで両者の位置合わせが容易に行われる。
【0022】
プリント基板20は、外部から電力を受け入れるためのコネクタ23と、その電力から電動モータ10を駆動するための電子部品26と、駆動電力を電動モータ10に供給するための2つの端子24と、回転軸11の回転を検出する回転検出センサ25を搭載する。コネクタ23は、外部から電源供給を受け、外部と信号の授受を行うためのコネクタケーブルと連結可能に構成されている。電子部品26は、コンデンサや半導体などの電気的な部品である。
【0023】
各端子24は、音叉形状に形成されており、プリント基板20が収納部40に取り付けられた場合には、電動モータ10の板状の電極12を挟むようにして電気的に接続される。回転検出センサ25は、たとえば磁界の変化を検出するホール素子であり、取り付けられた場合には回転軸11に固定された磁石の近傍になるように配置されている。回転検出センサ25は、回転軸11の回転数や回転方向などの回転情報を得る。
【0024】
プリント基板20は、概ねL字型板状をなし、図7の上下方向に長い矩形状であり、コネクタ収納部50が収納部40に取り付けられた場合には最終出力軸31と垂直な面において回転軸11と矩形の長軸方向が平行な第1部分21と、第1部分21の下端から回転軸11の方へ長軸方向と概ね直角に延在する第2部分22から構成される。コネクタ23と電子部品26は、第1部分21に配置され、コネクタ23は、第1部分21の上端に配置されている。
【0025】
端子24と回転検出センサ25は、第2部分22に配置され、端子24は、第1部分21寄りに、回転検出センサ25は、第2部分22の端部に配置されている。第2部分22の端部は、取り付けられた場合には回転軸11の近傍まで延在しており、そこに回転検出センサ25を搭載する。これにより、一枚のプリント基板20で複数の機能を有することができ、小型化が可能になる。コネクタ収納部50が収納部40に取り付けられた場合には、第1部分21は、概ねコネクタ収納部50に収容され、第2部分22は、概ね収納部40に収容される。また、L字型の頂部に相当する部分(第1部分21と第2部分22の接続する部分)は、接続部分70の内部に位置する。
【0026】
上述したように、プリント基板20が回転軸11と平行な第1部分21と第1部分21から回転軸11の方へ延びる第2部分22から構成される概ねL字型の形状を有し、プリント基板20に搭載されたコネクタ23を収納するコネクタ収納部50と電動モータ10を収納する収納部40の接続部分70が回転軸11に対して傾斜していることで、電動モータ10からギア30を経た動力の最終出力軸31に対して垂直な面における拡がりを抑えた小型化が可能な電動モータモジュール100が提供される。すなわち、プリント基板が単なる矩形である場合に比べて概ねL字型であることで、最終出力軸31に対して垂直な面における回転軸11と直交する方向においてギア30からコネクタ23までの距離が小さくなる。
【0027】
なお、プリント基板20は、第1部分21の長軸方向の外側端部に、コネクタ収納部50の位置決め凹部56に適合する位置決め凸部27を有する。これにより、プリント基板20をコネクタ収納部50に挿入して取り付ける際に、容易に取り付けることができる。
【0028】
取付部52は、コネクタ収納部50を収納部40に取り付けるために使用され、最終出力軸31と垂直な面において回転軸11と直交する方向からコネクタ収納部50を収納部開口41に取り付ける。取付部52は、本実施例においては、樹脂製であり、コネクタ収納部50から接続部分70を跨いで収納部40の方へ延在する延在部521と、延在部521の先端部分に収納部40の一部に掛かる掛かり部522とからなるスナップフィットから構成される。収納部40の一部は、掛かり部522に適合する位置に突起43として形成されている。
【0029】
取付部52(スナップフィット)は、最終出力軸31と垂直な面において回転軸11と直交する方向に延在している。なお、取付部52は、本実施例ではコネクタ収納部50から接続部分70を跨いで収納部40の方へ延在しているが、逆に、収納部40から接続部分70を跨いでコネクタ収納部50の方へ延在していてもよい。また、掛かり部522は、突起43に掛かっているが、突起43の代わりに凹んでいる部分に掛かっていてもよい。
【0030】
延在部521は、スナップフィットとして機能させる弾性を有し、取り付け過程において延在部521が撓んで掛かり部522が突起43を乗り越え、乗り越えた後に戻って突起43に引っ掛かる。これにより、コネクタ収納部50は、収納部40に取り付けられる。延在部521は、図6(A)に示すように、内側に線状突起53を有し、収納部40は、側面に線状突起53に適合する溝42を有する。
【0031】
なお、取付部が収納部40から接続部分70を跨いでコネクタ収納部50の方へ延在している場合には、コネクタ収納部50は、側面に線状突起に適合する溝を有する。延在部521に線状突起53を設けると、延在部521の弾性係数が大きくなる。このように、取付部52のスナップフィットの弾性部分に線状突起53を、線状突起53に対応する位置に適合する溝42を備えることで、組み立て易くかつ組み立て後は強固に取り付けることができる。
【0032】
延在部521の内側に形成された線状突起53と、収納部40の外面に線状突起53と適合するように収納部開口41の縁部から回転軸11の方へ形成された溝42は、取り付け時から互いに嵌り合い、取り付け後も強固に嵌り合う。このように、線状突起53と溝42は、取り付け時および取り付け後において互いに嵌り合う。収納部40とコネクタ収納部50が取り付けられた後、コネクタケーブルをコネクタ23に取り付ける際にコネクタ収納部50に力が付加され、取付部52には様々な方向の力(三次元方向の力および各方向のねじる力)がかかる。しかし、これにより、組み立て時には容易に組み立てることができる共に、組み立てられた後は力が加えられても容易には両者が脱落しない取付構造、所謂コジリに強い取付構造が提供できる。
【0033】
また、電動モータ10などを収納する収納体(収納部40)とコネクタ23などを収容する収納体(コネクタ収納部50)の2つの収納体が接続されてなる収容組み立て体(電動モータモジュール100)において、一方の収納体から他方の収納体の方へ延びる延在部に線状突起が形成され、その線状突起と嵌り合う溝を他方の収納体に備えることで、組み立て時には容易に組み立てることができる共に、組み立てられた後は力が加えられても容易には両者が脱落しない収納組み立て体を提供できる。
【0034】
電動モータ10とギア30が組み付けられ、これらを収納する収納部40と、コネクタ収納部50と、プリント基板20の組み立て方法を説明する。図7に示すように、プリント基板20を、コネクタ23を搭載する第1部分21の方から傾斜した接続部分70となるコネクタ収納部開口51に差し込む。この際、第1部分21の長軸方向の縁をコネクタ収納部50内部のスライド溝55に挟んで、スライドさせながらコネクタ23がコネクタ収納部50に適合するように奥へ挿入する。プリント基板20の位置決め凸部27が位置決め凹部56に到達したとき挿入を止める。これにより、プリント基板20がコネクタ収納部50に取り付けられ、第1部分21がコネクタ収納部50に収納された。
【0035】
なお、仮にコネクタ収納部開口が傾斜しておらず、コネクタ収納部の収納部側側面に設けられた場合には、L字型のプリント基板20をその開口から回転させながら差し込む必要があるが、本実施例のようにコネクタ収納部開口51が傾斜していることで、差し込み方向が直線的となり容易に組み立てることができる。
【0036】
次いで、図8に示すように、位置合わせ穴54を位置合わせ棒45に差し込むようにして位置合わせしながら、コネクタ収納部50に第1部分21を収納されたプリント基板20の第2部分22を、最終出力軸31と垂直な面において回転軸11と直交する方向から傾斜した収納部開口41に差し込む。この際、プリント基板20の平面方向は、最終出力軸31と垂直な面の方向と一致するようにする。ある程度差し込んだとき、取付部52の内側にある線状突起53と、収納部40の側面に形成された溝42とを位置合わせし、両者をスライドさせながらさらに挿入していく。
【0037】
なお、第2部分22に搭載された端子24はプリント基板20から突出しているが、傾斜したコネクタ収納部開口51を形成するように下方に三角形状に延在した部分に設けられた取付部52が、この挿入過程において端子24を保護する部分としても機能する。
【0038】
取付部52の延在部521は、掛かり部522の先端が突起43の斜面に当接し始めると延在部521が撓んで上に持ち上がる。さらに、挿入していくと、掛かり部522が突起43を乗り越え、乗り越えた後に撓みが戻って掛かり部522の内側が突起43に引っ掛かる。このとき、コネクタ収納部開口51と収納部開口41がシーリング60を介在させて当接する。これにより、コネクタ収納部50は、収納部40に取り付けられて、電動モータモジュール100が完成する。
【0039】
音叉形状の端子24は、コネクタ収納部50の取り付け過程において板状の電極12を挟み込み、取付部52の掛かり部522が突起43と係合したとき電極12と電気的に接続するようになっている。また、第2部分22の端部は、開口から差し込まれて回転軸11近傍まで延在しており、そこに回転検出センサ25を備えているので、回転検出センサ25は、回転軸11の回転を検出することができる。
【0040】
これによれば、プリント基板20が回転軸11と平行な第1部分21と第1部分21から回転軸11の方へ延びる第2部分22から構成される概ねL字型の形状を有し、プリント基板20に搭載されたコネクタ23を収納するコネクタ収納部50と電動モータ10およびギア30を収納する収納部40の接続部分70が回転軸11に対して傾斜しており、第1部分21を収納したコネクタ収納部50を第2部分22の方から回転軸11と直交する方向で収納部開口41に取り付けることで、組み立て易い電動モータモジュール100の組み立て方法を提供できる。さらに、コネクタ収納部50を回転軸11と直交する方向から収納部開口41に取り付ける構造の取付部52を備えることで、組み立て易い電動モータモジュール100の組み立て方法を提供できる。
【0041】
なお、本発明は、例示した実施例に限定するものではなく、特許請求の範囲の各項に記載された内容から逸脱しない範囲の構成による実施が可能である。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
【符号の説明】
【0042】
100 電動モータモジュール
10 電動モータ
11 回転軸
12 電極
20 プリント基板
21 第1部分
22 第2部分
23 コネクタ
24 端子
25 回転検出センサ
26 電子部品
27 位置決め凸部
30 ギア
31 最終出力軸
40 収納部(第2収納体)
41 収納部開口(第2開口)
42 溝(第2嵌合部)
43 突起(第2係合部)
44 設置孔
45 位置合わせ棒
50 コネクタ収納部(第1収納体)
51 コネクタ収納部開口(第1開口)
52 スナップフィット(取付部、第1係合部)
521 延在部
522 掛かり部
53 線状突起(第1嵌合部)
54 位置合わせ穴
55 スライド溝
56 位置決め凹部
60 シーリング
70 接続部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8