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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023082399
(43)【公開日】2023-06-14
(54)【発明の名称】供給装置及び洗浄機管理システム
(51)【国際特許分類】
   A47L 15/46 20060101AFI20230607BHJP
   A47L 15/00 20060101ALI20230607BHJP
【FI】
A47L15/46 Z
A47L15/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021196145
(22)【出願日】2021-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】000190736
【氏名又は名称】株式会社ニイタカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】福島 隆平
(72)【発明者】
【氏名】的場 安彦
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 聡
【テーマコード(参考)】
3B082
【Fターム(参考)】
3B082DB03
3B082DC01
3B082DC04
(57)【要約】
【課題】洗浄機の稼働状況をリアルタイムで確認でき、必要に応じて遠隔操作で設定を変更可能な装置を提供すること、又は、器差による影響を小さくすることができる装置を提供すること。
【解決手段】洗浄剤及び/又はリンス剤を洗浄機に供給する装置であって、上記供給装置は、センサを用いて取得した洗浄データを情報処理装置に送信することができ、遠隔操作で供給条件の設定を変更できるように変更情報を受信することができる通信機器を備える通信機器付き供給装置。また、洗浄剤及び/又はリンス剤を洗浄機に供給する装置であって、前記供給装置は、センサの器差に応じて洗浄データを校正する校正部を有することを特徴とする供給装置。
【選択図】 図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄剤及び/又はリンス剤を洗浄機に供給する装置であって、
前記供給装置は、センサを用いて取得した洗浄データを情報処理装置に送信することができ、遠隔操作で供給条件の設定を変更できるように変更情報を受信することができる通信機器を備えることを特徴とする通信機器付き供給装置。
【請求項2】
前記供給装置は、センサの器差に応じて洗浄データを校正する校正部を有する請求項1に記載の通信機器付き供給装置。
【請求項3】
前記供給装置は、暦及び/又は時間の単位毎に供給条件を設定することが可能である請求項1又は2に記載の通信機器付き供給装置。
【請求項4】
前記供給装置は、洗浄剤及び/又はリンス剤を洗浄機に供給し、洗浄機内の洗浄液濃度及び/又はすすぎ液のリンス剤濃度を遠隔操作で変更することが可能である請求項1~3のいずれかに記載の通信機器付き供給装置。
【請求項5】
前記供給装置は、洗浄機からの突入電流を防止する防止部を有する請求項1~4のいずれかに記載の通信機器付き供給装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載の通信機器付き供給装置と、センサと、情報処理装置とを含んで構成されることを特徴とする洗浄機管理システム。
【請求項7】
前記供給装置が一定期間使用されていない場合に、情報処理装置から管理者へ通知することができる請求項6に記載の洗浄機管理システム。
【請求項8】
ユーザー登録ごとに洗浄データが情報処理装置に蓄積される請求項6又は7に記載の洗浄機管理システム。
【請求項9】
洗浄剤及び/又はリンス剤を洗浄機に供給する装置であって、
前記供給装置は、センサの器差に応じて洗浄データを校正する校正部を有することを特徴とする供給装置。
【請求項10】
前記供給装置は、暦及び/又は時間の単位毎に供給条件を設定することが可能である請求項9に記載の供給装置。
【請求項11】
前記供給装置は、洗浄機からの突入電流を防止する防止部を有する請求項9又は10に記載の供給装置。
【請求項12】
請求項1~5のいずれかに記載の通信機器付き供給装置又は請求項9~11のいずれかに記載の供給装置を備えることを特徴とする洗浄機。
【請求項13】
請求項1~5のいずれかに記載の通信機器付き供給装置又は請求項9~11のいずれかに記載の供給装置を用いて洗浄剤及び/又はリンス剤を洗浄機に供給しておこなうことを特徴とする洗浄方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給装置及び洗浄機管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
食器を自動的に洗浄する食器洗浄機等の洗浄機は広く一般に普及している。
このような洗浄機を用いて洗浄対象物を洗浄する際は、まず、洗浄機に備わった洗浄室に洗浄対象物をセットする。次いで、洗浄ノズルから洗浄室に洗浄液(循環液)が噴射され、洗浄対象物が洗浄される。その後、すすぎノズルから洗浄室にすすぎ液が噴射され、洗浄対象物のすすぎが行われる。
【0003】
従来、洗浄液やすすぎ液の供給装置の各種データはモバイル端末機器を持参したメンテナンス員が現場に訪問しないと取得することができなかった。また、供給装置における供給条件の設定を変更する際も現場に訪問する必要があり、これらの作業には膨大な人件費等のコストを必要としていた(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
近年では、洗浄機に関する洗浄データを外部に送信可能な通信モジュールを備えた電子機器及び洗浄システムが開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4373590号公報
【特許文献2】特開2020-92975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に記載の電子機器及び洗浄システムを用いても、供給装置における供給条件の設定を変更するためにはやはりメンテナンス員が現場に訪問する必要があり、人件費等のコストを削減するうえで工夫の余地があった。
【0007】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、洗浄機の稼働状況をリアルタイムで確認でき、必要に応じて遠隔操作で設定を変更可能な装置を提供することである。
または、本発明の目的は、器差による影響を小さくすることができる装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、洗浄剤及び/又はリンス剤を洗浄機に供給する装置であって、上記供給装置は、センサを用いて取得した洗浄データを情報処理装置に送信することができ、遠隔操作で供給条件の設定を変更できるように変更情報を受信することができる通信機器を備える通信機器付き供給装置であることを特徴とする。
【0009】
本発明の通信機器付き供給装置は、通信機器を備える。これにより、センサを用いて取得した洗浄に関するデータ(洗浄機の運転情報を含む。)の少なくとも1種(洗浄データとも言う。)を情報処理装置に送信(アップロード)することができる。また、遠隔操作で供給条件の設定を変更できるように変更情報を受信することができる。センサを用いて取得した洗浄データを情報処理装置に送信する通信機器と、遠隔操作で供給条件の設定を変更できるように変更情報を受信することができる通信機器は、同一のものであってもよいが、別個のものであってもよい。
本発明の通信機器付き供給装置がこのような通信機器を備えることで、従来のメンテナンスに要する労力を大幅に低減することができる。
なお、上記情報処理装置としては、例えばクラウドサーバーが好適であるが、パーソナルコンピューター、スマートフォン、タブレット端末であってもよい。
なお、クラウドサーバーに転送した情報は、ユーザーや管理者の端末(パーソナルコンピューター、スマートフォン、タブレット端末等)より確認することができる。例えば、ユーザーは、自己のアカウントに紐付けられた供給装置の情報の少なくとも一部を確認できる。管理者は、各ユーザーのアカウントに紐付けられた複数の供給装置の情報を一覧表示したものを確認できる。その際に、例えば、異常があった供給装置の情報だけを抽出して確認することもできる。
【0010】
上記センサは、供給装置が備えるものであってもよく、洗浄機が備えるものであってもよい。
上記センサは、洗浄液の洗浄剤濃度及び/又はすすぎ液のリンス剤濃度、温度、洗浄・すすぎ回数の少なくとも1種を計測するものとすることができる。上記センサは、蓋検知センサ、容器検知センサ、水流センサ、水溢れ検知センサ、液切れ検知センサ、重量センサ、濁度センサ、光センサ、電圧センサ、電流センサ、感圧センサ等であってもよい。
【0011】
本発明の通信機器付き供給装置は、センサの器差に応じて洗浄データを校正する校正部を有することが好ましい。
これにより、本発明の通信機器付き供給装置において、センサの器差による影響を小さくすることができる。また、センサの経時劣化に対応することも可能である。
【0012】
本発明の通信機器付き供給装置は、暦及び/又は時間の単位毎に供給条件を設定することが可能であることが好ましい。
これにより、ユーザーが必要とする供給条件を自動的に実現することができる。例えば、供給条件を月毎に設定したり、曜日毎に設定したりすることができる。また、供給条件を1時間毎に設定することもできる。これにより、繁忙期である年末・週末や、ランチタイム・ディナータイムの時間帯において洗浄液の洗浄剤濃度や洗浄回数・すすぎ回数を自動で高める等の設定が可能となる。
【0013】
本発明の通信機器付き供給装置は、洗浄剤及び/又はリンス剤を洗浄機に供給し、洗浄機内の洗浄液濃度及び/又はすすぎ液のリンス剤濃度を遠隔操作で変更することが可能であることが好ましい。
洗浄機内の洗浄液濃度及び/又はすすぎ液のリンス剤濃度を遠隔操作で変更するとは、具体的には、洗浄液中の洗浄剤の濃度及び/又はすすぎ液中のリンス剤の濃度の設定の基準値を変更することでおこなわれる。これにより、メンテナンスのための労力を充分に低減しながら、例えば洗浄やすすぎが有効成分不足のために適切になされていない場合に、即座に洗浄液やすすぎ液の濃度を適切に修正することが可能となる。
【0014】
本発明の通信機器付き供給装置は、洗浄機からの突入電流を防止する防止部を有することが好ましい。
上記防止部としては、例えば、電圧を分散する回路が挙げられる。
【0015】
本発明は、本発明の通信機器付き供給装置と、センサと、情報処理装置とを含んで構成されることを特徴とする洗浄機管理システムでもある。
【0016】
本発明の洗浄機管理システムは、上記供給装置が一定期間使用されていない場合に、情報処理装置から管理者へ通知することができることが好ましい。
これにより、例えば供給装置を使用する事業者が廃業した場合であっても、システムの管理者において早期にその事態を把握することができる。
一定期間は、例えば日、月、年等の暦の単位を用いて適宜設定することができる。
【0017】
本発明の洗浄機管理システムは、ユーザー登録ごとに洗浄データが情報処理装置に蓄積されることが好ましい。
これにより、同一の供給装置であっても、ユーザー情報を変更すれば別データとして情報処理装置に洗浄情報を蓄積することができ、情報管理のうえで有益である。
【0018】
本発明はまた、洗浄剤及び/又はリンス剤を洗浄機に供給する装置であって、上記供給装置は、センサの器差に応じて洗浄データを校正する校正部を有する供給装置であることを特徴とする。
本発明の供給装置は、通信機器の有無に関わらず、上記校正部を有することにより、センサの器差による影響を小さくすることができる。また、センサの経時劣化に対応することも可能である。
【0019】
本発明の供給装置は、暦及び/又は時間の単位毎に供給条件を設定することが可能であることが好ましい。
これにより、通信機器の有無に関わらず、上述したように、ユーザーが必要とする供給条件を自動的に実現することができる。
【0020】
本発明の供給装置は、洗浄機からの突入電流を防止する防止部を有することが好ましい。
これにより、通信機器の有無に関わらず、供給装置の故障を防止できる。
【0021】
本発明は、本発明の通信機器付き供給装置又は本発明の供給装置を備えることを特徴とする洗浄機でもある。
本発明の洗浄機は、その稼働状況をリアルタイムで簡便に確認でき、必要に応じて遠隔操作で調整可能である。
【0022】
本発明は、本発明の通信機器付き供給装置又は本発明の供給装置を用いて洗浄剤及び/又はリンス剤を洗浄機に供給しておこなうことを特徴とする洗浄方法でもある。
本発明の洗浄方法は、洗浄、すすぎ等の状況をリアルタイムで簡便に確認でき、必要に応じて遠隔操作で調整可能である。
【発明の効果】
【0023】
本発明の通信機器付き供給装置は、洗浄機の稼働状況をリアルタイムで簡便に確認でき、必要に応じて遠隔操作で設定を変更可能である。または、本発明の供給装置は、通信機器の有無に関わらず、校正部を有することにより、センサの器差による影響を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本発明の洗浄機管理システムの一例を模式的に示す模式図である。
図2図2は、本発明の供給装置が備える供給装置の自動校正をおこなうためのアルゴリズムの一例である第1アルゴリズムを示すフローチャートである。
図3図3は、本発明の洗浄機が適切に作動していない場合に管理者にリアルタイムで通知するためのアルゴリズムの一例である第2アルゴリズムを示すフローチャートである。
図4図4は、クラウドサーバー上で蓄積した、ユーザーの複数店舗における運転情報を、ユーザーの本部の端末において一括表示させるためのアルゴリズムの一例である第3アルゴリズム、及び、当該運転情報を、ユーザーの本部の端末に定期的に自動で報告するためのアルゴリズムの一例である第4アルゴリズムを示すフローチャートである。
図5図5は、本発明の洗浄機が適切に作動していない場合に管理者にリアルタイムで通知するためのアルゴリズムの一例である第5アルゴリズムを示すフローチャートである。
図6図6は、本発明の洗浄機管理システムが備える情報処理装置が、長期間使用されていない洗浄機がある場合に管理者にその旨を通知するためのアルゴリズムの一例である第6アルゴリズムを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下では、供給装置は、特に明示しない限り、通信機器を備えるものであってもよく、通信機器を備えないものであってもよい。
本発明の供給装置は、洗浄剤及び/又はリンス剤を洗浄機に供給する装置であり、通常、洗浄剤及び/又はリンス剤を洗浄機に供給するための供給機構を有する。
上記供給機構は、洗浄剤及び/又はリンス剤の供給経路、及び、必要に応じてポンプ等を含んで構成される。洗浄剤及び/又はリンス剤の供給経路は、洗浄剤又はリンス剤の容器から洗浄機内に洗浄剤又はリンス剤を供給するための配管等である。
【0026】
洗浄剤としては、界面活性剤、キレート剤、塩素剤等の、汚れの除去及び/又は殺菌の作用を有する剤の1種以上を含むものを使用できる。供給する洗浄剤は、液体、固体(粉末、顆粒〔粒状〕、錠剤、タブレット、フレーク、又は、ブロック等)のいずれでもよい。なお、供給の際に固体の洗浄剤を液体に懸濁又は溶解したものであってもよい。
なお、洗浄液は、特に明記しない限り、洗浄機内を循環する前段階の洗浄液であってもよく、洗浄機内を循環する洗浄液(循環液)であってもよい。
リンス剤とは、洗浄機がその内部に備えるすすぎノズルから噴射されるすすぎ水(清潔な水)を速く蒸発(乾燥)させるために、すすぎ水に添加する薬剤を指し、ポリグリセリン脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤等を使用でき、また、低級アルキレンオキサイドポリマーも使用できる。
リンス剤の供給装置は、通常、すすぎ水が洗浄機が備える配管内を通ってすすぎノズルから噴射されるところ、その配管にリンス剤を送り込むものである。
【0027】
本発明の供給装置は、洗浄機の洗浄条件の少なくとも一部を制御することができるものである。本発明の供給装置が、洗浄機の洗浄条件の少なくとも一部を制御することができるとは、例えば、供給装置が備える機構等により供給する洗浄剤及び/又はリンス剤の種類、量等を制御することで洗浄機内の洗浄液、すすぎ液の組成や濃度を制御したり、供給装置の動作時間を制御することで洗浄機の洗浄時間を制御したりするものであってもよく、供給装置が備える通信機器から洗浄機に制御情報を発信することにより、制御情報にもとづいて洗浄機が運転を制御するものであってもよい。
例えば、本発明の供給装置が、洗浄剤及び/又はリンス剤の供給量を調整することができる調整機構を備えることが好ましい。
上記調整機構としては、流量調整が可能な、バルブ、ポンプ等が挙げられる。
また本発明の供給装置は、その動作時間を調整可能であることが好ましい。
例えば洗浄剤の供給装置において、その動作時間を調整することにより、洗浄機における洗浄時間を簡便に制御することができる。
【0028】
本発明の供給装置は、通信機器を備えていてもよく、通信機器を備えていなくてもよいが、通信機器を備えることが好ましい。本発明の供給装置が通信機器を備える場合、本発明の供給装置は、通信機器を内蔵していてもよく、外付けで通信機器を備えていてもよい。
上記通信機器は、センサを用いて洗浄データを取得することができる。上述したように、センサは、供給装置が備えるものであってもよく、洗浄機が備えるものであってもよい。該通信機器が、供給装置が備えるセンサから洗浄データを取得する手段は、有線であってもよく、無線であってもよいが、通常、有線である。該通信機器が、洗浄機が備えるセンサから洗浄データを取得する手段も、有線であってもよく、無線であってもよい。無線とは、例えば、移動通信システム、WiFi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等が挙げられる。
本発明の供給装置は、センサを用いて取得した洗浄データを通信機器から情報処理装置に送信することで、洗浄データを情報処理装置に蓄積することができる。なお、洗浄データを通信機器から情報処理装置に送信する手段は、通常、無線での送信である。ユーザー又は管理者は、自己の端末を用いて、任意の場所、時間にその洗浄データにアクセスして確認することができ、洗浄の状況をリアルタイムで把握することができる。また、情報処理装置から任意のタイミングでユーザー又は管理者の端末に対し異常が生じたこと等の通知をおこなうことができる。異常とは、適宜設定することができ、例えば、特定の測定値が予め設定された閾値を超えることを言う。通知は、特に限定されないが、例えば、ユーザー又は管理者の端末におけるポップアップ表示による通知、メールによる通知、その他の光及び/又は音声による通知(例えば、警報)等が挙げられる。このように、ユーザー又は管理者は、洗浄機において異常が生じたことを即座に認識することができる。
なお、情報処理装置において、洗浄データのグラフを含む運転レポートを作成し、ユーザー又は管理者が自己の端末から自由にアクセスできるようにしてもよいし、運転レポートを定期的にユーザー又は管理者に送付(例えば、メール送付)してもよい。
【0029】
上記通信機器は、遠隔操作で供給装置の供給条件の設定を変更するために変更情報を受信することができる。変更情報は、通常、ユーザー又は管理者の端末から供給装置の通信機器に無線で送信される。
ユーザー又は管理者は、遠隔操作で供給装置の供給条件を設定することができる。例えば、管理者の端末が、遠隔操作で供給装置の供給条件を設定することができるように構成されていることが好ましい。また、ユーザー又は管理者は、実際の洗浄データを考慮して、遠隔操作で供給条件の設定を変更することができることから、洗浄機における不具合等を認識次第、即座に是正することができる。また、これらの処理を情報処理装置が備えるアルゴリズムを用いて自動的におこなうことも可能である。
【0030】
例えば、上述したように、本発明の供給装置は、洗浄機内の洗浄液濃度及び/又はすすぎ液のリンス剤濃度を遠隔操作で変更することが可能であることが好ましい。
例えば、本発明の供給装置は、濃度センサを用いて取得した洗浄機内の洗浄液濃度及び/又はすすぎ液のリンス剤濃度データを情報処理装置に送信することで、濃度データを情報処理装置に蓄積することができる。ユーザー又は管理者は、自己の端末を用いて、任意の場所、時間に当該濃度データにアクセスして確認することができ、洗浄の状況をリアルタイムで把握することができる。また、本発明の供給装置又は後述する情報処理装置は、洗浄機内の洗浄液濃度及び/又はすすぎ液のリンス剤濃度が、設定された基準値通りになっていないと判断する場合に、管理者等に異常を通知することが可能であるものであってもよい。ユーザー又は管理者は、洗浄機内の洗浄液濃度及び/又はすすぎ液のリンス剤濃度が適切でないと認識した場合に、自己の端末から、洗浄機内の洗浄液濃度及び/又はすすぎ液のリンス剤濃度の設定情報を、本発明の供給装置が備える通信機器に送信することで、上記濃度を遠隔操作で即座に変更することができる。
なお、洗浄液濃度及び/又はすすぎ液のリンス剤濃度は、濃度センサにより、電気伝導度を測定することで算出することができる。ユーザー又は管理者は、本発明の供給装置又は後述する情報処理装置が、洗浄液濃度及び/又はすすぎ液のリンス剤濃度が設定された基準値通りとなっていないと判断するために、閾値を適宜設定することができ、濃度データがこの閾値を上回る場合や下回る場合に、管理者等に異常を通知することが可能である。閾値は、設定された基準値にもとづいて予め設定された計算式にもとづき自動的に決定されるものであってもよい。
【0031】
また本発明の供給装置は、重量センサを用いて、例えば洗浄機に横付けされた、洗浄液タンク、洗浄剤ボトル、又は、洗浄剤入りホッパーの重量データを取得し、重量データを情報処理装置に送信することで、重量データを情報処理装置に蓄積することができる。ユーザー又は管理者は、自己の端末を用いて、任意の場所、時間に当該データにアクセスして確認することができ、洗浄の状況をリアルタイムで把握することができる。また、本発明の供給装置又は後述する情報処理装置は、洗浄機に横付けされた、洗浄液タンク、洗浄剤ボトル、又は、洗浄剤入りホッパーの重量データが低い値となり、低い値が一定期間以上続き、洗浄剤が供給されない事態になっていると判断する場合に、管理者等に異常を通知することが可能であるものであってもよい。ユーザー又は管理者は、洗浄機に横付けされた、洗浄液タンク、洗浄剤ボトル、又は、洗浄剤入りホッパーの重量が適切でないと認識した場合に、洗浄剤容器を交換したり、遠隔操作で洗浄を停止する等の対応を即座におこなうことができる。
本発明の供給装置は、上述した以外の各種センサを用いて、多種多様な洗浄データを取得し、情報処理装置に送信・蓄積することも可能である。
【0032】
本発明の供給装置における、濃度、動作時間等の供給条件の設定・その変更は、インターネット通信等による遠隔操作でおこなうのみではなく、PDAやタブレット端末によるUSB通信や赤外線通信によっておこなうことも可能であることが好ましい。ここで、供給装置がもつプログラムの設計(プログラム間に隙間を設けること等)により、USB通信とインターネット通信が競合することを防止できる。
【0033】
本発明の供給装置は、センサの器差に応じて洗浄データを校正(補正)する校正部(補正部)を有することが好ましい。
本発明の供給装置は、上記校正部にて、上記センサの少なくとも1つを校正することができることが好ましい。
また校正部は、好ましくは、自動的に校正をおこなう自動校正部である。自動校正部は、例えば、設定したタイミングで定期的に、自動的に校正をおこなうことが可能である。
校正は、例えば濃度センサの場合、校正の基準となる供給装置(本明細書中、基準機とも言う。)において洗浄剤及び/又はリンス剤の供給量等から計算した電気伝導度計算値γと、電気伝導度計によって計測して得た電気伝導度計測値γとが等しくなる抵抗値を少なくとも2点(例えば、R、R)準備し(本発明の供給装置が備える校正部の回路基板に当該抵抗値の抵抗器を少なくとも2個実装しておく)、それぞれの抵抗値による、上記電気伝導度(例えば、γA、γ)をプログラム上に記録しておく。なるべく抵抗値が離れた2点が望ましい(これは、直線を決める一次方程式上の2点という意味を持つ。)。
例えば、本発明の供給装置の工場出荷時に、供給装置と接続される濃度センサにより、固有の抵抗値(例えば、R、R)によって得ることができる電気伝導度の測定値(例えば、γ1、γ)を得る。これら測定値がプログラム上に記録してある電気伝導度と等しければ校正の必要はない。測定値がプログラム上に記録してある電気伝導度と等しくない場合、校正対象となる供給装置の持つ一次方程式の、切片と傾きを調整して基準機の持つ一次方程式と合わせる。校正対象となる供給装置の電気伝導度の算出は、調整した切片と傾きを考慮して行うことにより校正され、器差によるセンサのバラツキの影響を小さくできる。
またセンサの器差の他、センサの経時劣化、洗浄が必要な汚れの種類、量、使用する水の水質(地域による硬度の差等)等を考慮して、洗浄データを校正してもよい。
更に、本発明の供給装置を、洗浄機に洗浄剤及び/又はリンス剤を供給するために設置した後、センサの器差や経時劣化、洗浄が必要な汚れの種類、量、使用する水の水質等を考慮して、供給装置の設定を遠隔操作で校正することも可能である。
【0034】
上述したように、本発明の供給装置は、暦及び/又は時間の単位毎に供給条件を設定することが可能であることが好ましい。
上記供給条件も、遠隔操作で設定したり、変更したりすることが可能である。例えば、ユーザーが、遠隔操作で暦及び/又は時間の単位毎に供給条件を設定したり、変更したりすることが可能であることが本発明の供給装置の好ましい実施形態の1つである。
これにより、ユーザーが必要とする供給条件を簡便に実現することができる。
なお、暦及び/又は時間の単位毎に設定される供給条件は、特に限定されないが、例えば、洗浄剤濃度及び/又はすすぎ液のリンス剤濃度や、洗浄時間、洗浄回数、すすぎ時間、すすぎ回数が好ましい。
供給条件は、暦及び/又は時間の単位毎に、予め設定された条件の中からユーザーが選択するものであってもよく、ユーザーが自由に設定できるものであってもよい。
【0035】
なお、遠隔操作で供給装置の供給条件を設定・変更した際に、供給装置が電源オフであった場合は、次に供給装置が電源オンとなった時点で設定情報が反映されるようにすることができる。
【0036】
上述したように、本発明の供給装置は、洗浄機からの突入電流を防止する防止部を有することが好ましい。
上記防止部としては、例えば、電圧を分散する回路が挙げられる。電圧を分散する回路は、必要に応じて、抵抗器、コンデンサ、ブリッジダイオード等を備えていてもよい。
突入電流を小さくするために、例えば、抵抗の高い抵抗器と抵抗の低い抵抗器を並列に接続し、スイッチ素子により使用する抵抗器を切替可能として、洗浄機からの電源投入時に、高抵抗の抵抗器を用い、通常使用時に、低抵抗の抵抗器を用いてもよい。
【0037】
本発明は、本発明の通信機器付き供給装置と、センサと、情報処理装置とを含んで構成されることを特徴とする洗浄機管理システム(好ましくは、自動食器洗浄機管理システム)でもある。
本発明の洗浄機管理システムは、更に、管理者の端末を含んでいてもよい。また、本発明の洗浄機管理システムは、更に、ユーザーの端末に対して情報を送受信できるものであってもよい。
【0038】
上述したように、本発明の洗浄機管理システムは、上記通信機器付き供給装置が一定期間使用されていない場合に、情報処理装置から管理者へ通知することができることが好ましい。管理者へ通知するとは、具体的には、管理者の端末へ通知することである。通知は、上述したものが挙げられるが、例えばメールによる通知が好ましい。
【0039】
上述したように、本発明の洗浄機管理システムは、ユーザー登録ごとに洗浄データが情報処理装置に蓄積されることが好ましい。
ユーザー登録は、ユーザーコード等の識別子で供給装置・洗浄機を判別する。
本発明の洗浄機管理システムは、管理者やユーザーの端末において、一定数のユーザー登録ごとの洗浄データの概略を一覧表示できるものであってもよい。
本発明の洗浄機管理システムは、自動食器洗浄機管理システムであることが好ましい。
【0040】
上述したように、本発明は、本発明の供給装置を備えることを特徴とする洗浄機でもある。
本発明の洗浄機は、自動食器洗浄機であることが好ましい。
【0041】
上述したように、本発明は、本発明の供給装置を用いて洗浄剤及び/又はリンス剤を洗浄機に供給しておこなうことを特徴とする洗浄方法でもある。
本発明の洗浄方法は、本発明の供給装置を用いて洗浄剤及び/又はリンス剤を自動食器洗浄機に供給しておこなうことが好ましい。
【0042】
(第1実施形態)
図1は、本発明の洗浄機管理システムの一例を模式的に示す模式図である。
図1に示すように、洗浄機管理システム1は、情報処理装置10と、供給装置50とからなる自動食器洗浄機管理システムである。供給装置50は、洗浄剤を自動食器洗浄機30に供給するためのものであるが、情報処理装置10とデータ(情報)を送受信できるように構成されている通信機器を備える。
さらに、洗浄機管理システム1は、情報処理装置10と情報を送受信できるように構成されている、管理者の第1端末21、ユーザーの第2端末22、23を備えている。
言い換えれば、洗浄機管理システム1において、情報処理装置10は、供給装置50が備える通信機器や、管理者の第1端末21、ユーザーの第2端末22、23に対して、情報を送受信できるものである。
情報を送受信する方法(通信方法)は、例えば、供給装置50がゲートウェイを備え、SIMカード及び通信基板を用いた移動通信システムを用いて通信するものであることが好ましい。
また通信方法として、WiFi、Bluetooth等の方法も好適に使用できる。
なお、図1中、第1端末をパーソナルコンピューターの絵を用いて示し、第2端末をスマートフォン、タブレット端末の絵を用いて示しているが、これらは、それぞれ、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピューターのいずれであってもよく、本発明の作用効果を発揮できる限り、その他の同様の機器であってもよいが、例えば、スマートフォン、タブレット端末、ノートパソコン等のモバイル端末が好ましい。
また、情報処理装置10は、本発明の作用効果を発揮できる限り特に限定されないが、クラウドサーバーであることが好ましい。
【0043】
洗浄機管理システム1において、管理者の第1端末21は、メンテナンス員が使用する端末であり、ユーザーの第2端末22は、ユーザーの本部等で使用される端末であり、ユーザーの第2端末23は、実際に自動食器洗浄機30を運転するユーザーの店舗で使用される端末である。
【0044】
以下に、洗浄機管理システム1の各構成の機能及び役割について説明する。
【0045】
情報処理装置10は、供給装置50が発信する自動食器洗浄機30の洗浄データを蓄積することができ、第1端末21、第2端末22、23から洗浄データにアクセスすることが可能である。また、情報処理装置10は、洗浄データに異常があった場合に、その旨を第1端末21、第2端末22、23に通知することができるものであってもよい。
また情報処理装置10は、供給装置50が発信する自動食器洗浄機30の洗浄データに基づき、自動食器洗浄機30や供給装置50に適した供給装置の設定情報、その変更情報を導き出すアルゴリズムを備えていてもよい。情報処理装置10は、導き出した実行計画及び/又は保守計画を、供給装置50が備える通信機器に発信することができる。
更に、第1端末21、第2端末22、23が、供給装置の設定情報、その変更情報を、情報処理装置10を介して供給装置50が備える通信機器に発信することができるものであってもよい。例えば、情報処理装置10が導き出した供給装置の設定情報、その変更情報を、第1端末21側の管理者及び/又は第2端末22、23側のユーザーが必要に応じて修正することができるものであってもよい。
なお、図示していないが、第1端末21、第2端末22、23が、情報処理装置10を介することなく、供給装置50が記憶する洗浄データ、設定情報を取得・表示することができるものであってもよく、及び/又は、供給装置50の設定情報、その変更情報の一部を、供給装置50が備える通信機器に発信することができるものであってもよい。
なお、供給装置50は、単独で、3ヶ月分以上の洗浄データを蓄積することができるものが好ましい。これにより、情報処理装置10(例えば、クラウドサーバー)に洗浄データを保存しない場合でも、3ヶ月に1回以下の供給装置50のメンテナンスで洗浄データの履歴を途切れなく参照することが可能となる。
第1端末21、第2端末22、23と、供給装置50との通信方法としては、特に限定されないが、PDAによる通信、USBケーブルによる有線接続、赤外線による無線接続等を好適に使用できる。
【0046】
第1端末21、第2端末22、23、又は、情報処理装置10から、供給装置50に設定情報、その変更情報を発信することにより、供給装置50が、当該情報に基づき、自動食器洗浄機30に洗浄剤及び/又はリンス剤を供給し、自動食器洗浄機30を簡便かつ適切に運転することができる。
【0047】
このように、供給装置50において、設定情報等に基づき自動食器洗浄機30の運転条件を制御することにより、自動食器洗浄機30を適切に運転できるため、メンテナンス員が店舗に訪問する回数を削減できる。
【0048】
供給装置50が発信する自動食器洗浄機30の洗浄データは、特に限定されないが、例えば、運転時間、運転回数、洗浄時間、すすぎ時間、使用された水の量、使用された水の温度、使用された水に含まれる硬度成分の濃度、使用された水のpH、循環液中の洗浄剤の濃度、使用された洗浄剤の種類、使用された洗浄剤の量、使用されたすすぎ液中のリンス剤の濃度、使用されたリンス剤の種類、使用されたリンス剤の量、循環液中の油脂の量、循環液中のタンパク質の量、循環液中のデンプンの量、循環液中の電解質の種類、循環液中の電解質の量、循環液のpH、気温及び湿度、並びに、これらの経時変化の情報等が挙げられる。これらの中では、循環液中の洗浄剤の濃度、使用された洗浄剤の量、使用された水中のリンス剤の濃度、使用されたリンス剤の量の情報であることが望ましい。各成分の量は、指数により表してもよい。例えば、使用された洗浄剤の量は、洗浄槽内の循環液中の洗浄剤の濃度と、洗浄時間から算出される指数であってもよい。
これらの情報は、自動食器洗浄機30及び供給装置50を適切に運転させるために重要な要因である。従って、これらの情報に基づき、自動食器洗浄機30及び供給装置50に適した供給装置の設定情報を導き出すことにより、自動食器洗浄機30を適切に運転することができる。
なお、これらの情報は、供給装置が備えるセンサ又は自動食器洗浄機が備えるセンサ40等により、供給装置が好適に取得することができる。例えば、センサ40が電気伝導度センサである場合、その位置は図1に示すように洗浄液タンク31の中としたり、洗浄槽等の循環機構に洗浄液を供給するための配管の中としたり、循環液が循環する洗浄槽の中としたりすることができる。電気伝導度センサは、通常、電極を2本備え、洗浄液タンク31又は洗浄槽中の電解液(洗浄液)の通電性を電気伝導度として測定する。
【0049】
供給装置50が発信する自動食器洗浄機30の洗浄データは、通常、供給装置50が自動的にセンサから取得した情報であるが、第2端末22、23側のユーザーが入力した情報であってもよい。
【0050】
情報処理装置10、第1端末21、又は、第2端末22、23が発信する設定情報、その変更情報は、特に限定されないが、例えば、洗浄時間、すすぎ時間、使用する水の量、使用する水の温度、循環液中の洗浄剤の濃度、使用する洗浄剤の種類及び使用する洗浄剤の量、使用する水中のリンス剤の濃度、使用するリンス剤の種類及び使用するリンス剤の量等を制御する実行計画が挙げられる。これらの中では、循環液中の洗浄剤の濃度、使用する洗浄剤の量、使用する水中のリンス剤の濃度、使用するリンス剤の量を制御する情報であることが望ましい。
これらを適切に制御することにより、自動食器洗浄機30をより適切に運転させることができる。
【0051】
情報処理装置10又は第1端末21は、保守計画に関する情報を発信してもよい。保守計画に関する情報は、特に限定されないが、洗浄剤の交換時期、自動食器洗浄機30の点検時期、自動食器洗浄機30の洗浄時期及び自動食器洗浄機30の部品の交換時期等が挙げられる。
これらの時期を適切に決定することにより、効率よく自動食器洗浄機30を保守することができる。
【0052】
洗浄機管理システム1では、第1端末21、第2端末22、23と、情報処理装置10と、供給装置50が備える通信機器とが相互に通信可能であればよい。例えば、情報処理装置10がクラウドサーバーであることが好ましい。
また通信方法は、上述したように、供給装置50内にゲートウェイを備え、SIMカード及び通信基板を用いた移動通信システムを用いて通信するものであることが好ましい。また、通信方法は、WiFi、Bluetooth等を用いるものであってもよい。
【0053】
以下では、図1を用いて自動食器洗浄機30について説明する。
図1に示すように自動食器洗浄機30は、洗浄室及びすすぎ室である内部空間100と、内部空間100に洗浄液又はすすぎ水が供給される際に供給口となる上ノズル71aと下ノズル71bと、上ノズル71a及び下ノズル71bに洗浄液又はすすぎ水を供給する配管70と、内部空間100から洗浄液及びすすぎ水を回収する回収機構80を備える。
また、自動食器洗浄機30は、洗浄液タンク31と、洗浄液タンク31に水を供給する給水口101と、洗浄液タンク31に洗浄剤組成物を供給する上述した供給装置50と、洗浄液タンク31から配管70に洗浄液を供給する第1ポンプ51と、洗浄液が第1ポンプ51から配管70に供給される際に循環液の情報(例えば、洗浄剤等の濃度、温度、流速等)を測定するためのセンサ61とを備えている。
また、自動食器洗浄機30は、すすぎ水タンク32と、すすぎ水タンク32に水を供給する給水口102と、すすぎ水タンク32から配管70にすすぎ水を供給する第2ポンプ52と、すすぎ水が第2ポンプ52から配管70に供給される際にすすぎ水の情報(例えば、温度、流速等)を測定するためのセンサ62を備えている。
また、回収機構80は循環用配管80aと排水口80bとに枝分かれしており、切り替え弁81により洗浄液が流れる方向を制御できる。また、循環用配管80aは、第1ポンプ51に洗浄液を供給することができる。
なお、図1における自動食器洗浄機30の各装置・各部品・各部材の配置は例示であり、図1に示すものに限定されない。例えば、図1における洗浄液タンク31は、自動食器洗浄機30の内部には無く、自動食器洗浄機30に横付けされたものであってもよい。また、洗浄液タンク31を用いるとともに、又は、洗浄液タンク31に代えて、洗浄剤ボトルや洗浄剤入りホッパーを自動食器洗浄機30に横付けして使用してもよい。例えば、固体又は液体の洗浄剤が入った洗浄剤ボトルを供給装置に装着し、ボトル内で洗浄剤を懸濁、溶解、又は、希釈させたうえで洗浄機の洗浄槽に供給(投入)してもよく、洗浄剤入りホッパー内の固体の洗浄剤に対して下から水を噴射して洗浄剤を懸濁又は溶解させたうえで、供給装置を介して洗浄機の洗浄槽に供給(投入)してもよい。
【0054】
図1に示すように、自動食器洗浄機30を使用する場合には、まず、内部空間100に洗浄対象物である食器2が載置される。
次に、洗浄液タンク31に給水口101及び供給装置50から、それぞれ、水及び洗浄剤組成物が供給され、洗浄液が作製される。上述したように、洗浄液タンク31の代わりに、洗浄剤ボトルや洗浄剤入りホッパーに水を供給して洗浄液を作製しても構わない。
その後、第1ポンプ51により洗浄液が配管70に供給される。この際、センサ61により循環液の情報が測定される。
洗浄液は、配管70を通じ、上ノズル71a及び下ノズル71bに供給され、上ノズル71a及び下ノズル71bから内部空間100に洗浄液が噴射される。
これにより、食器2が洗浄される。
その後、洗浄液は、回収機構80により回収され、循環用配管80aを通じて第1ポンプ51に再度供給され、洗浄液は内部空間100に循環される。
食器2の洗浄後、洗浄液は、回収機構80に回収され、排水口80bから排水されることになる。
【0055】
自動食器洗浄機30を用いることにより、上記のように食器2を洗浄することができる。
自動食器洗浄機30では、第1ポンプ51は、洗浄液タンク31から洗浄液を内部空間100に供給することができ、さらに、回収機構80により回収された洗浄液を内部空間100に循環させることもできる。
つまり、自動食器洗浄機30では、第1ポンプ51が、洗浄液供給機構の機能及び循環機構の機能を有している。なお、供給装置50がポンプを備え、洗浄液供給機構の機能及び循環機構の機能を有していてもよい。また、上述したように、洗浄剤ボトルや洗浄剤入りホッパーから洗浄液を内部空間100に供給するものであってもよい。
【0056】
自動食器洗浄機30において、内部空間100に供給される洗浄液の温度は、特に限定されないが、洗浄液は50~65℃であることが望ましい。
洗浄液が上記温度であると、油汚れ等を好適に落とすことができる。
【0057】
自動食器洗浄機30において、供給装置50が供給する洗浄剤の洗浄液中の濃度は、特に限定されないが、0.01~0.50質量%になるように、供給装置50は、洗浄剤を洗浄機に供給することが望ましい。
洗浄液中の洗浄剤組成物の濃度が0.01質量%未満であると、洗浄力が充分になりにくくなる。
洗浄液中の洗浄剤組成物の濃度が0.50質量%を超えると、環境に排出される洗浄剤組成物の量が多くなり、環境汚染につながりやすくなる。
【0058】
自動食器洗浄機30において、供給装置50が供給する洗浄剤の形状は、特に限定されず、液体洗浄剤であってもよく、固形洗浄剤であってもよい。
【0059】
自動食器洗浄機30において、供給装置50が供給する洗浄剤は、特に限定されず、通常の自動食器洗浄機用洗浄剤を用いてもよい。また、自動食器洗浄機用洗浄剤の成分には、界面活性剤、酸剤、アルカリ剤、漂白剤、酵素、金属腐蝕防止剤、高分子分散剤、除菌剤等が含まれていてもよい。
【0060】
自動食器洗浄機30において、上ノズル71a及び下ノズル72bが、内部空間100に洗浄液を供給する方法は、特に限定されないが、噴射や噴霧等の方法により供給してもよい。
【0061】
自動食器洗浄機30において、回収機構80は、どのような手段で洗浄液を回収してもよく、例えば、吸引機構により能動的に洗浄液を回収する機構であってもよく、自然に下に溜まる洗浄液を回収する機構であってもよい。
また、洗浄液を、循環用配管80aを通じて第1ポンプ51に供給するか、排水口80bを通じて排水するかは、切り替え弁81を設けることにより制御することができる。
弁の切り替え時期は、洗浄時間等により決定することができる。
【0062】
自動食器洗浄機30では、上記のように食器2を洗浄した後、食器2をすすぐこともできる。
食器2がすすがれる際には、まず、すすぎ水タンク32に給水口102から水が供給され、すすぎ水が貯められる。
その後、第2ポンプ52によりすすぎ水が配管70に供給される。つまり、第2ポンプ52は、すすぎ水供給機構である。
【0063】
すすぎ水は、配管70を通じ、上ノズル71a及び下ノズル71bに供給され、上ノズル71a及び下ノズル71bから内部空間100にすすぎ水が噴射される。
これにより食器2は、微細気泡が付与されたすすぎ水によりすすがれる。そのため、食器に汚れや洗浄液が残留しにくくなる。
【0064】
なお、図示していないが、本発明の供給装置を用いてすすぎ水にリンス剤を供給してもよい。
リンス剤としては、特に限定されないが、例えば、上述したように、ポリグリセリン脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤等を使用でき、また、低級アルキレンオキサイドポリマーも使用できる。
【0065】
その後、すすぎ水は、回収機構80により回収され、排水口80bから排水されることになる。
【0066】
次に、供給装置50が備えるアルゴリズム(第1アルゴリズム)や情報処理装置10が備えるアルゴリズム(第2~第6アルゴリズム)について例を挙げて説明する。なお、供給装置50や情報処理装置10が備えるアルゴリズムは以下のアルゴリズムに限定されない。
【0067】
(濃度センサの器差を校正するアルゴリズム(第1アルゴリズム))
以下の説明は、濃度センサの器差を校正するアルゴリズムの説明である。
【0068】
センサは、その個体差や経時的変化により、測定値が異なることがある。センサの器差を供給装置において校正することが望ましい。
【0069】
例えば、濃度センサは、洗浄液又はすすぎ液の電気伝導度を測定することで、液(水)中の洗浄剤又はリンス剤の濃度を算出する。
【0070】
供給装置50には、標準機において、特定の抵抗値R、Rのものそれぞれを測定した場合の電気伝導度の測定値の情報がそのプログラム中に記憶されている。なお、情報処理装置10が当該情報を記憶していても構わない。
【0071】
以上を踏まえ、以下に、洗浄機管理システム1の供給装置50が行う処理についてフローチャートを用いて説明する。
図2は、本発明の供給装置が備える供給装置の自動校正をおこなうためのアルゴリズムの一例である第1アルゴリズムを示すフローチャートである。
【0072】
まず、供給装置において自動校正を開始する。
【0073】
(ステップ1(S11))
次に、ステップ1(S11)において、供給装置50は、濃度センサにより測定された、特定の抵抗値Rにおける電気伝導度[γ]の情報、特定の抵抗値Rにおける電気伝導度[γ]の情報を取得する。
【0074】
(ステップ2(S12))
次に、ステップ2(S12)において、電気伝導度[γ]の情報と、予めプログラム上に記録してある、基準機にて測定した場合の抵抗値Rに対応する[γ]とを比較し、電気伝導度[γ]の情報と、予めプログラム上に記録してある、基準機にて測定した場合の抵抗値Rに対応する[γ]とを比較する。
[γ]=[γ]、[γ]=[γ]であれば、供給装置50は処理を終了する。
【0075】
(ステップ3(S13))
[γ]=[γ]、[γ]=[γ]でなければ、[γ]=[γ]、[γ]=[γ]となるように、供給装置のもつ一次方程式の切片及び傾きを、基準機のそれと合わせて処理を終了する。
【0076】
このように、供給装置50は、濃度データに基づき、上記アルゴリズムにより供給装置50の自動校正をおこなうことができる。
なお、供給装置50は、通信機器の有無に関わらず、第1アルゴリズムを備えることで、濃度センサの器差を適切に校正することができる。
【0077】
(洗浄剤の濃度異常をリアルタイムで通知するアルゴリズム(第2アルゴリズム))
上記の通り、第1アルゴリズムは、供給装置50において、供給装置50の自動校正をおこなうアルゴリズムであった。
供給装置50の自動校正をおこなった上で、循環液の電気伝導度(循環液中の洗浄剤の濃度に対応する)を測定し、その値が情報処理装置10に設定した値と比較して、大きく上回る場合または大きく下回る場合に、その回数が規定回数を超えると、情報処理装置10が管理者に通知することができる。
【0078】
洗浄機管理システム1の情報処理装置10が行う処理についてフローチャートを用いて説明する。
図3は、本発明の洗浄機が適切に作動していない場合に管理者にリアルタイムで通知するためのアルゴリズムの一例である第2アルゴリズムを示すフローチャートである。
【0079】
まず、情報処理装置10において自動通知モードを開始する。
【0080】
(ステップ1(S21))
次に、ステップ1(S21)において、情報処理装置10は、循環液の電気伝導度[γ]の情報を取得する。
【0081】
(ステップ2(S22))
次に、ステップ2(S22)において、情報処理装置10が、循環液の電気伝導度[γ]と、予め設定した電気伝導度[γ]とを比較する。
[γ]が[γ]を大きく上回るか、大きく下回る回数が、規定時間内に規定回数を超えなければ、供給装置50は処理を終了する。
【0082】
(ステップ3(S23))
[γ]が[γ]を大きく上回るか、大きく下回る回数が、規定時間内に規定回数を超えれば、情報処理装置10は、即時に管理者側の端末21へその旨を通知し、処理を終了する。
なお、この場合、情報処理装置10が、[γ]が[γ]を大きく上回るか、大きく下回ることがなくなるように、循環液中の洗浄剤の濃度を変更するために供給装置50の設定情報を変更してもよい。
【0083】
このように、情報処理装置10は、上記アルゴリズムにより、設定情報に基づき自動食器洗浄機30が適切に作動していないことを管理者にリアルタイムで通知することができる。
管理者は、この通知にもとづいて、供給装置50における循環液中の洗浄剤の濃度等の設定を遠隔操作で変更することが可能である。
【0084】
(複数店舗における洗浄剤の温度、濃度、運転時間等の運転情報を一括表示するアルゴリズム(第3アルゴリズム)、及び、当該運転情報を定期的に自動で報告するためのアルゴリズム(第4アルゴリズム))
情報処理装置10であるクラウドサーバー上で蓄積した複数店舗における洗浄機の運転データを、ユーザーの本部に対して一括表示させることができる。また当該運転データを、ユーザーの本部に定期的に自動で報告することもできる。これにより、毎月定期的に人が報告していた内容を情報処理装置10が自動的に報告することができ、メンテナンス員の手間が減る。
【0085】
洗浄機管理システム1の情報処理装置10が行う処理についてフローチャートを用いて説明する。
図4の左側のフローチャートは、情報処理装置10であるクラウドサーバー上で蓄積した、ユーザーの複数店舗における運転情報を、ユーザーの本部の端末22において一括表示させるためのアルゴリズムの一例である第3アルゴリズムを示すフローチャートである。
【0086】
まず、供給装置50は、洗浄機の運転情報を取得し、情報処理装置10に送信し、情報処理装置10が運転情報を取得する。
【0087】
(ステップ1(S31))
次に、ステップ1(S31)において、情報処理装置10は、情報処理装置10(例えば、クラウドサーバー)上で蓄積した運転情報をユーザーの端末(例えば、ユーザーの本部の端末)にて一括表示できるようにする。
その後、情報処理装置10は処理を終了する。
【0088】
図4の右側のフローチャートは、上記運転情報を、ユーザーの本部の端末22に定期的に自動で報告するためのアルゴリズムの一例である第4アルゴリズムを示すフローチャートである。
まず、情報処理装置10において自動通知モードを開始する。
【0089】
(ステップ1(S32))
またステップ1(S32)において、情報処理装置10(例えば、クラウドサーバー)上で蓄積した運転情報をユーザーの端末(例えば、ユーザーの本部の端末)に定期的に自動で報告する。
その後、情報処理装置10は処理を終了する。
【0090】
このように、情報処理装置10は、上記アルゴリズムにより、複数店舗における自動食器洗浄機30の作動情報をリアルタイムで表示させることができ、また、定期的にユーザーに自動で報告することができる。
【0091】
(洗浄剤又はリンス剤の使用量をリアルタイムで通知するアルゴリズム(第5アルゴリズム))
上記の通り、第1アルゴリズムは、供給装置50において、供給装置50の自動校正をおこなうアルゴリズムであった。
供給装置50の自動校正をおこなったうえで、情報処理装置10は、洗浄剤又はリンス剤の濃度と、洗浄剤又はリンス剤の使用時間から、洗浄剤又はリンス剤の使用量の指数[S]を算出し、これが予め設定した指数[S]と相違する場合に、管理者にリアルタイムで通知することができる。なお、洗浄剤又はリンス剤の使用量の指数[S]が予め設定した指数[S]と等しい場合は、正常に自動洗浄機が作動していると考えられることから、管理者への通知は不要である。
【0092】
洗浄機管理システム1の情報処理装置10が行う処理についてフローチャートを用いて説明する。
図5は、本発明の洗浄機が適切に作動していない場合に管理者にリアルタイムで通知するためのアルゴリズムの一例である第5アルゴリズムを示すフローチャートである。
【0093】
まず、情報処理装置10は、供給装置50より発信された、水中の洗浄剤又はリンス剤の濃度及び洗浄剤又はリンス剤の使用時間(洗浄時間、すすぎ時間)の運転情報を取得する。
【0094】
(ステップ1(S41))
次に、ステップ1(S41)において、情報処理装置10は、水中の洗浄剤又はリンス剤の濃度及び洗浄剤又はリンス剤の使用時間から、洗浄剤又はリンス剤の使用量の指数[S]を算出する。
【0095】
(ステップ2(S42))
次に、ステップ2(S42)において、情報処理装置10は、洗浄剤又はリンス剤の使用量の指数[S]と、予め設定した指数[S]とを比較する。
[S]=[S]であれば、情報処理装置10は処理を終了する。
【0096】
(ステップ3(S43))
[S]=[S]でなければ、情報処理装置10は、即時に管理者側の端末21へその旨をリアルタイムで通知し、処理を終了する。
なお、この場合、情報処理装置10より、[S]=[S]となるように、洗浄剤又はリンス剤の濃度を変更するよう供給装置50に指示を発信するようにしてもよい。
【0097】
このように、情報処理装置10は、上記アルゴリズムにより、設定情報に基づき自動食器洗浄機30が適切に作動していないことを管理者にリアルタイムで通知することができる。
管理者は、この通知にもとづいて、洗浄機内の洗浄液濃度及び/又はすすぎ液のリンス剤濃度等を遠隔操作で変更することが可能である。
【0098】
(洗浄機が長期間使用されていないことを通知するアルゴリズム(第6アルゴリズム))
以下の説明は、洗浄機が長期間使用されていない場合に、その旨を管理者に通知するためのアルゴリズムの説明である。
【0099】
第6アルゴリズムにより、洗浄機が長期間使用されていない場合、その旨を自動的に管理者に通知することができる。管理者は、必要に応じて、ユーザーの状況を確認することができる。ユーザーが、今後も洗浄機を使用しない場合、早期に供給装置を回収する等の対応が可能である。
【0100】
以上を踏まえ、以下に、洗浄機管理システム1の情報処理装置10が行う処理についてフローチャートを用いて説明する。
図6は、本発明の洗浄機管理システムが備える情報処理装置が、長期間使用されていない洗浄機がある場合に管理者にその旨を通知するためのアルゴリズムの一例である第6アルゴリズムを示すフローチャートである。
【0101】
まず、情報処理装置10において自動通知モードを開始する。
【0102】
(ステップ1(S51))
次に、ステップ1(S51)において、情報処理装置10にて、供給装置50から、運転情報の受取が一定期間以上無いものが有るか否かを判断する。
各供給装置50から、一定期間内に運転情報の受取が有った場合、情報処理装置10は、処理を終了する。
【0103】
(ステップ2(S52))
運転情報の受取が一定期間以上無い供給装置50が有る場合、ステップ2(S52)において、情報処理装置10は、管理者側の端末21に通知をおこない、処理を終了する。
【0104】
このように、情報処理装置10は、運転情報に基づき上記アルゴリズムにより管理者に自動的に通知をおこなうことができる。
管理者は、この通知に基づき、ユーザーの状況を確認することにより、適切な対応をとることができる。
【0105】
(その他の実施形態)
本発明の第1実施形態に係る洗浄機管理システムは、通常、管理者側の第1端末を備え、ユーザー側の第2端末と情報を送受信可能なものである。
また、本発明の洗浄機管理システムは、通常、複数の第2端末と情報を送受信可能なものである。ユーザー側の第2端末は、通常、多数存在する。さらに、ユーザー側の各第2端末から情報処理装置に各自動食器洗浄機の運転情報を発信してもよい。
上記第1端末、第2端末としては、上述したように、パーソナルコンピューター、スマートフォン、タブレット端末等が代表的なものとして挙げられるが、本発明の作用効果を発揮できる限りどのような端末でも使用できる。
情報処理装置は、上述したように、クラウドサーバーが好適なものとして挙げられる。情報処理装置は、各供給装置及び各端末から発信された各洗浄機の運転情報に基づき、各洗浄機に適した設定情報及び/又はその変更情報を導き出せてもよい。
【0106】
本発明の第1実施形態に係る洗浄機管理システムでは、使用される洗浄剤の種類が、供給装置にあらかじめ記憶されているもの以外であった場合、校正機能を適切に発揮することができない場合がある。そこで、洗浄剤の種類が、供給装置にあらかじめ記憶されているものであるかどうかを判定し、供給装置にあらかじめ記憶されていないものであった場合、第1端末又は第2端末に警告を発するアルゴリズムを供給装置又は情報処理装置が備えていてもよい。
また使用される洗浄剤の種類が、供給装置にあらかじめ記憶されているもの以外であった場合、情報処理装置にあらかじめ記憶されている当該洗浄剤の情報を取得して校正機能を適切に発揮するようにしてもよい。
なお、洗浄剤の種類が、供給装置にあらかじめ記憶されているものであるかどうかは、循環液中の電解質の種類、循環液中の電解質の量、循環液のpH等の運転情報から判定することができる。
【0107】
また、洗浄剤組成物の種類が、供給装置にあらかじめ記憶されているものであるかどうかの判定を容易に行うために、洗浄剤に洗浄力に影響しない識別物質を加えてもよい。
この場合、識別物質の存在を分析するだけで、使用された洗浄剤が、供給装置にあらかじめ記憶されているものであるかどうかを判定することができる。
【実施例0108】
以下に本発明をより具体的に説明する実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0109】
(実施例1~16、比較例1)
食器洗浄機として自動食器洗浄機ホシザキJWE-680(ホシザキ株式会社製)を、使用し、下記表1、表2に示したセンサと接続された、突入電流防止回路を備える、洗浄剤を洗浄機に供給する、通信機器付き供給装置について性能評価試験をおこなった。通信機器は、センサを用いて取得した洗浄データをクラウドサーバーに送信することで管理者やユーザーの端末から閲覧可能とすることができ、また、管理者の端末からの遠隔操作で供給装置の供給条件の設定を変更するための変更情報を、クラウドサーバーを介して(又は直接)、受信することができるものである。
【0110】
下記表1、表2に示したセンサ及び突入電流防止回路は、以下の通りである。
(センサ類)
濃度センサ:洗浄液の濃度を算出するために、洗浄機の洗浄槽内に配置した2本の電極を用いて洗浄液の電気伝導度を測定するためのセンサ
温度センサ:洗浄機の洗浄槽の外側に配置され、断熱材で覆われた、洗浄液の温度を間接的に測定するためのセンサ
蓋検知センサ:洗浄剤が収容されている容器の蓋が開放状態の場合、粉末洗浄剤が吸湿固化することがあるため、蓋開閉を検知するための磁気センサ
容器検知センサ:固体洗浄剤が収容されている容器の存在を検知するための、近接スイッチを用いたセンサ
水流センサ:供給装置に配置された、水流の有無を検知するための水流計
水溢れ検知センサ:供給装置に配置された、供給装置に使用される水の溢れの発生又は水溢れ発生の前段階にあることを検知するためのセンサ
液切れ検知センサ:洗浄剤またはリンス剤の供給チューブに設けられた洗浄剤またはリンス剤の有無を検知するためのセンサ
重量センサ:洗浄剤またはリンス剤の重量を測定するためのセンサ
濁度センサ:洗浄槽内に配置された、循環液の濁度を算出するために、循環液内の粒子数を測定するためのセンサ
光センサ:洗浄槽内に配置された、循環液の濁度を算出するために、循環液の吸光度を測定するためのセンサ
電圧センサ:供給装置が備える回路内の電圧を測定可能なセンサ
電流センサ:供給装置が備える回路内の電流量を測定可能なセンサ
感圧センサ:洗浄ラックに装着し、洗浄及び/又はすすぎの状態や、洗浄及び/又はすすぎの回数を測定可能なセンサ
加速度センサ:回転式の洗浄ノズルに装着し、洗浄及び/又はすすぎの回数を測定可能なセンサ
【0111】
濃度センサの自動校正部:上述した第1アルゴリズムを備える(実行できる)自動校正部
突入電流防止回路:供給装置に配置された、抵抗器、コンデンサ、ブリッジダイオードを備え、洗浄機からの電源投入時に突入電流を防止するための回路
【0112】
(洗浄力試験)
〔洗浄条件〕
自動食器洗浄機ホシザキJWE-680(ホシザキ株式会社製)を用いて、洗浄温度60℃、すすぎ温度80℃、洗浄時間40秒、すすぎ時間8秒、インターバル時間5秒、設定濃度2.0mS/cmの条件で洗浄を繰り返した。
実施例1~16に示す濃度センサを備えた供給装置を用いた場合は、洗浄液中の洗浄剤の濃度が設定値未満となっていたことがクラウドサーバーを介して管理者の端末に通知されたことから、管理者の端末から遠隔操作で供給装置の運転情報を変更して設定値を高め、洗浄剤の濃度が維持されるように調整した。
洗浄剤の洗浄力は、以下の基準により評価した。
(洗浄力の評価基準)
◎:端末から、洗浄機の洗浄液槽内の洗浄剤の濃度が適切であることを確認でき、また、洗浄機内の洗浄の状態に不具合が無いことを確認できた。
○:端末から、洗浄機の洗浄槽内の洗浄剤の濃度が適切であることを確認できた。
×:端末から、洗浄機の洗浄槽内の洗浄剤の濃度を確認できなかった。
【0113】
(温度評価)
上記洗浄条件で洗浄を繰り返しおこなった。
評価基準
○:端末から、洗浄液の温度を確認できた。
×:端末からは、洗浄液の温度を確認できなかった。
【0114】
(洗剤切れ試験)
上記洗浄条件で洗浄を繰り返しおこなった。
評価基準
○:端末から、洗浄剤容器の重量にもとづき、洗浄剤容器が空になったことを確認できた。
×:端末からは、洗浄剤容器が空になったことを確認できなかった。
【0115】
(リンス剤切れ試験)
上記洗浄条件で洗浄を繰り返しおこなった。
評価基準
○:端末から、リンス剤の容器が空になったことを確認できた。
×:端末からは、リンス剤の容器が空になったことを確認できなかった。
【0116】
(洗浄動作回数)
上記洗浄条件で洗浄を繰り返しおこなった。
評価基準
○:端末から、洗浄動作回数をカウントできた。
×:端末からは、洗浄動作回数をカウントできなかった。
【0117】
(洗浄槽の汚れ)
上記洗浄条件で洗浄を繰り返しおこなった。
評価基準
○:端末から、洗浄終了後の洗浄槽の汚れを確認できた。
×:端末からは、洗浄終了後、洗浄槽の汚れを確認できなかった。
【0118】
(供給装置トラブル)
上記洗浄条件で洗浄を繰り返しおこなった。
評価基準
○:端末から、洗浄剤容器の蓋が開放状態で、洗浄剤容器が収載されていない、水流が不充分、水溢れが生じた、リンス剤が供給されなかった、といった供給装置のトラブルを確認できた。
×:端末からは、上記の供給装置のトラブルを検知できなかった。
【0119】
(機器の故障予測)
上記洗浄条件で洗浄を繰り返しおこなった。
評価基準
○:端末から、供給機器の故障が生じる前に、供給装置の回路における電圧又は電流の変化から、供給装置の故障を予測できた。
×:端末からは、供給装置の故障を予測できず、その結果、供給機器の回路において故障が生じた。
【0120】
(濃度センサの精度)
濃度センサの自動校正部がある供給装置では、濃度センサの自動校正をおこなった。
評価基準
○:濃度センサの精度が、基準機の濃度センサの精度と同等であった。
×:濃度センサの精度が、基準機の濃度センサの精度と比較して劣るものであった。
【0121】
(突入電流による故障防止)
洗浄機からの電源で供給装置を1,000回起動した。
評価基準
○:突入電流を充分に防止し、供給装置の故障は生じなかった。
×:突入電流を充分に防止できず、供給装置の故障が生じた。
【0122】
下記表1、表2において、「供給装置の部材等」の項において「-」を付している箇所は、センサや回路を実装していないこと(未実装)を示す。また、「性能評価」の項において「-」を付している箇所は、評価をおこなっていないことを示す。
【0123】
【表1】
【0124】
【表2】
【0125】
実施例1~16の供給装置は、上記表1に示される結果より、洗浄機の稼働状況をリアルタイムで簡便に確認でき、その結果、遠隔で洗浄力を評価できることが分かった。また、必要に応じて遠隔操作で設定を変更可能であった。中でも、実施例2~12の供給装置は、備えるセンサの種類により、更に詳細な洗浄機の稼働状況をリアルタイムで簡便に評価できた。更に、実施例13、14の供給装置は、感圧センサ又は加速度センサを備えることにより、洗浄機内の洗浄状態を確認することが可能であった。
なお、通信機器を備えていない供給装置であっても、濃度センサの自動校正部を有することで、濃度センサの精度を、基準機の濃度センサの精度と同等とすることができる。更に、突入電流防止回路を有するものであれば、突入電流を充分に防止し、供給装置の故障を充分に防止することもできる。
【符号の説明】
【0126】
1:洗浄機管理システム
2 食器
10:情報処理装置
21:第1端末
22、23:第2端末
30:自動食器洗浄機
31:洗浄液タンク
32:すすぎ水タンク
40、61、62:センサ
50:供給装置
100:内部空間
101、102:給水口
51:第1ポンプ
52:第2ポンプ
70:配管
71a:上ノズル
71b:下ノズル
80:回収機構
80a:循環用配管
80b:排水口
81:切り替え弁

図1
図2
図3
図4
図5
図6