(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023082438
(43)【公開日】2023-06-14
(54)【発明の名称】暖房装置
(51)【国際特許分類】
H04Q 9/00 20060101AFI20230607BHJP
F24H 15/10 20220101ALI20230607BHJP
【FI】
H04Q9/00 341
F24H3/04 305D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021196210
(22)【出願日】2021-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】000109026
【氏名又は名称】ダイニチ工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】牧田 悟
(72)【発明者】
【氏名】上松 愛理
【テーマコード(参考)】
3L028
5K048
【Fターム(参考)】
3L028ED04
5K048AA15
5K048BA08
5K048EB02
5K048EB12
5K048FB05
5K048HA23
(57)【要約】
【課題】地震発生後に遠隔操作手段から本体の運転が開始されることを防ぎ、安全性を向上させた暖房装置を提供することを目的とする。
【解決手段】熱を発生させる熱源6と、本体1に設けられ、本体1の動作を指示する操作部100と、本体1の動作を指示可能な遠隔操作手段からの信号を受信する受信部20と、本体1の振動を検知する振動検知手段50と、制御部60とを備えた暖房装置であって、制御部60は、振動検知手段50が振動を検知した場合、遠隔操作手段からの運転開始指示を実行させない遠隔操作禁止モードを設定する。振動検知手段50が振動を検知した場合、地震により本体1の周辺に可燃物が落下している可能性がある。そのため、本体1運転中のみならず停止中でも、振動が検知されたら、それ以降遠隔操作手段から本体1の運転が開始されることを防ぐことで、安全性を向上させることができる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
熱を発生させる熱源と、
前記本体に設けられ、前記本体の動作を指示する操作部と、
前記本体の動作を指示可能な遠隔操作手段からの信号を受信する受信部と、
前記本体の振動を検知する振動検知手段と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、前記振動検知手段が振動を検知した場合、
前記遠隔操作手段からの運転開始指示を実行させない遠隔操作禁止モードを設定する暖房装置。
【請求項2】
前記本体に設けられ、前記本体の状態を表示する表示部を備え、
前記制御部は、前記遠隔操作禁止モードが設定されている場合、
前記表示部に前記遠隔操作禁止モードが設定されていることを表示する請求項1に記載の暖房装置。
【請求項3】
前記本体の状態に関する情報である状態情報を前記遠隔操作手段へ送信する送信部を備え、
前記状態情報には、前記振動検知手段が振動を検知したこと、または前記遠隔操作手段からの運転開始指示が実行されないことが含まれ、
前記制御部は、前記振動検知手段が振動を検知した場合、
前記状態情報を前記送信部から前記遠隔操作手段へ送信する請求項1または2に記載の暖房装置。
【請求項4】
前記本体の状態に関する情報である状態情報を前記遠隔操作手段へ送信する送信部を備え、
前記状態情報には、前記振動検知手段が振動を検知したこと、または前記遠隔操作手段からの運転開始指示が実行されないことが含まれ、
前記制御部は、前記遠隔操作禁止モードにおいて、前記遠隔操作手段からの信号を前記受信部が受信した場合、
前記状態情報を前記送信部から前記遠隔操作手段へ送信する請求項1または2に記載の暖房装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記遠隔操作手段からの指示を実行しない遠隔操作無効モードと、前記遠隔操作手段からの指示を実行することのできる遠隔操作有効モードとをさらに有し、
前記本体には、前記遠隔操作無効モードと前記遠隔操作有効モードのどちらか一方を選択的に設定可能な設定手段を備え、
前記制御部は、前記遠隔操作有効モードが設定されている状態においては前記振動検知手段が振動を検知した場合、前記遠隔操作禁止モードを設定し、
前記遠隔操作禁止モードにおいて前記設定手段が操作されると、前記遠隔操作禁止モードを解除する請求項3または4に記載の暖房装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記遠隔操作禁止モードにおいて、前記操作部からの運転開始指示を実行した場合、
運転開始したとき、または運転開始から所定時間経過後に前記遠隔操作禁止モードを解除する請求項1から4のいずれかに記載の暖房装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暖房装置の遠隔操作に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機を遠隔操作手段として用いて、遠隔操作手段から運転を開始させることができる暖房装置が提案されている。(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
遠隔操作手段により操作ができることで、外出先からでも暖房装置の運転を開始させることができるので、便利である。しかし、暖房装置を運転させる際には、火災を防ぐために暖房装置の周囲に可燃物がない状態であることが重要であるため、上述の構成を採用することは難しい。
【0005】
特に、地震が発生した場合には、暖房装置の周辺に可燃物が落下する可能性が考えられる。このとき、可燃物があることに気づかないまま暖房装置の運転を開始させてしまうと、本体の安全性を損なうおそれがある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためのもので、地震発生後に使用者が暖房装置の周辺に可燃物がないことを確認できない状況で運転が開始されることを防ぎ、安全性を向上させた暖房装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、本体と、
熱を発生させる熱源と、
前記本体に設けられ、前記本体の動作を指示する操作部と、
前記本体の動作を指示可能な遠隔操作手段からの信号を受信する受信部と、
前記本体の振動を検知する振動検知手段と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、前記振動検知手段が振動を検知した場合、
前記遠隔操作手段からの運転開始指示を実行させない遠隔操作禁止モードを設定する暖房装置である。
【発明の効果】
【0008】
上述のように構成することにより、地震発生後に使用者が暖房装置の周辺に可燃物がないことを確認できない状況で運転が開始されることを防ぎ、安全性を向上させた暖房装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態における暖房装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】第1実施形態における遠隔操作に関する複数のモードを説明する図である。
【
図3】第2実施形態におけるファンヒータの構成図である。
【
図4】第2実施形態におけるファンヒータの構成を示すブロック図である。
【
図5】第2実施形態における操作部および表示部の拡大図である。
【
図6】第2実施形態における遠隔操作に関する複数のモードを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
好適と考える本発明の実施形態を、本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0011】
本発明は、本体と、熱を発生させる熱源と、本体に設けられ、本体の動作を指示する操作部と、本体の動作を指示可能な遠隔操作手段からの信号を受信する受信部と、本体の振動を検知する振動検知手段と、制御部と、を備え、制御部は、振動検知手段が振動を検知した場合、遠隔操作手段からの運転開始指示を実行させない遠隔操作禁止モードを設定する。振動検知手段が振動を検知した場合、地震が発生したと考えられ、本体の周辺に可燃物が落下している可能性がある。しかし、使用者が本体の近くにいないと、本体の周辺に可燃物があることに気づくことができず、そのような状況で本体の運転が開始されると、本体の安全性を損なうおそれがある。そのため、本体の運転中のみならず停止中であっても、振動が検知されたら、それ以降遠隔操作手段から本体の運転が開始されることを防ぐことで、本体の安全性を向上させることができる。
【0012】
また、本体に設けられ、本体の状態を表示する表示部を備え、制御部は、遠隔操作禁止モードが設定されている場合、表示部に遠隔操作禁止モードが設定されていることを表示する。これにより、地震が発生した場合や本体の近くにいる人が誤って本体に振動を与えてしまった場合に、本体の近くにいる人に遠隔操作禁止モードが設定されていることを知らせることができ、遠隔操作禁止モードの解除を促すことができる。
【0013】
また、本体の状態に関する情報である状態情報を遠隔操作手段へ送信する送信部を備え、状態情報には、振動検知手段が振動を検知したこと、または遠隔操作手段からの運転開始指示が実行されないことが含まれ、制御部は、振動検知手段が振動を検知した場合、状態情報を送信部から遠隔操作手段へ送信する。これにより、遠隔操作手段を操作する使用者に、遠隔操作手段から本体の運転を開始できないことを知らせることができる。
【0014】
また、本体の状態に関する情報である状態情報を遠隔操作手段へ送信する送信部を備え、状態情報には、振動検知手段が振動を検知したこと、または遠隔操作手段からの運転開始指示が実行されないことが含まれ、制御部は、遠隔操作禁止モードにおいて、遠隔操作手段からの信号を受信部が受信した場合、状態情報を送信部から遠隔操作手段へ送信する。これにより、遠隔操作手段を操作する使用者に、遠隔操作手段から本体の運転を開始できないことを知らせることができる。
【0015】
また、制御部は、遠隔操作手段からの指示を実行しない遠隔操作無効モードと、遠隔操作手段からの指示を実行することのできる遠隔操作有効モードとをさらに有している。使用者は、本体に設けられた設定手段を操作して、これらのモードの切り替えを行うことができ、暖房装置を遠隔で操作をしたい場合には遠隔操作有効モードに設定し、遠隔で操作をしない場合には遠隔操作無効モードに設定する。そして、制御部は、遠隔操作禁止モードにおいて設定手段が操作された場合には、遠隔操作禁止モードを解除する。設定手段は本体に設けられているため、設定手段を操作する人は本体の周辺に可燃物がないことを確認した後、遠隔操作禁止モードを解除することができる。これにより、遠隔操作禁止モードを解除するための手段を別途設けることなく遠隔操作禁止モードを解除でき、安全性と利便性を両立させることができる。
【0016】
また、制御部は、遠隔操作禁止モードにおいて、操作部からの運転開始指示を実行した場合、運転開始したとき、または運転開始から所定時間経過後に遠隔操作禁止モードを解除する。これにより、運転開始指示に伴って遠隔操作禁止モードが自動で解除されるため、利便性が向上する。
【実施例0017】
(第1実施形態)
以下、本発明の一実施形態を図面により説明する。本実施形態では、熱源としてバーナ部を備える暖房装置を用いて説明するが、セラミックヒータやカーボンヒータなどの他の熱源としてもよい。
【0018】
図1は第1実施形態における暖房装置の構成を示すブロック図、
図2は第1実施形態における遠隔操作に関する複数のモードを説明する図である。暖房装置は、図示しない遠隔操作手段により操作が可能である。遠隔操作手段は、ネットワークを介して本体1に接続されたスマートフォンなどとすることができ、特に本体1と遠隔操作手段の間の通信方式は問わない。
【0019】
本体1の動作を制御する制御部60には、遠隔操作手段からの信号を受信する受信部20と、使用者が操作する各種スイッチが設けられた操作部100から運転に関する指示が入力される。操作部100には使用者が操作する各種スイッチが設けられており、本実施形態では、本体1の運転の開始および停止を指示する運転スイッチ101、後述する遠隔操作禁止モードと遠隔操作有効モードのどちらか一方を選択的に設定可能な設定手段としての遠隔操作設定スイッチ103を備えている。なお、遠隔操作設定スイッチ103は本体1に設けられていればよく、操作部100以外に設けてもよい。さらに、制御部60には各種検知手段からの情報が入力される。各種検知手段の一例として、本実施形態では、本体1の振動を検知する振動検知手段50を備えている。制御部60は、これらから入力される運転に関する指示や情報に基づいて、熱源であるバーナ部6の燃焼量を制御して暖房運転を行う。なお、各種スイッチおよび検知手段は、本実施形態に限定されず、その他のスイッチや検知手段を備えていてもよい。
【0020】
また、制御部60は、遠隔操作に関するモードとして、遠隔操作禁止モードと遠隔操作有効モードを備え、どちらが設定されているかを記憶する記憶部61を有している。遠隔操作禁止モードは遠隔操作手段から本体1への運転開始指示を実行させないモードであり、遠隔操作有効モードは遠隔操作手段から本体1への指示を実行することができるモードである。使用者は、遠隔操作設定スイッチ103を操作することで、遠隔操作をしたい場合には遠隔操作有効モードに設定し、遠隔操作手段から本体1の運転を開始させたくない場合には遠隔操作禁止モードに設定することができる(
図2矢印A、B)。なお、遠隔操作禁止モードにおいて、制御部60は遠隔操作手段からの信号を受信しないように受信部20を動作させなくてもよいし、受信部20で受信した運転開始指示を本体1に実行させなくてもよい。
【0021】
また、制御部60は振動検知手段50が所定以上の振動を検知した場合には、自動的に遠隔操作禁止モードを設定する(
図2矢印B)。振動検知手段50が所定以上の振動を検知したということは、地震が発生したことが考えられ、本体1の周辺に可燃物(例えば、洗濯物など)が落下した可能性がある。遠隔操作手段の使用者は、本体1の近くにいない可能性が高く、もし本体1の周辺に可燃物があったとしても気づくことができない。そのため、遠隔操作手段からの運転開始指示を実行させてしまうと、安全性を損なうおそれがある。そこで、制御部60は、振動検知手段50が振動を検知した場合、遠隔操作手段からの運転開始指示を実行させない遠隔操作禁止モードを設定する。これにより、本体1の運転中のみならず停止中であっても、振動を検知したら、それ以降遠隔操作手段から本体1の運転を開始させることができなくなるため、本体1の安全性を向上させることができる。
【0022】
また、制御部60は、遠隔操作禁止モードにおいて、操作部100からの運転開始指示を実行した場合、運転開始したとき、または運転開始から所定時間経過後に遠隔操作禁止モードを解除するようにしてもよい。操作部100から運転開始指示が入力されるということは、本体1の近くに人がいて、本体1の周辺に可燃物がない安全な状態であることが確認されたことになる。そこで、運転開始指示を実行、または運転開始から所定時間経過後に遠隔操作禁止モードを解除することで、遠隔操作禁止モードが自動で解除されるため、利便性が向上する。
【0023】
(第2実施形態)
次いで、
図3~
図6を参照して第2実施形態について説明する。本実施形態では、暖房装置の一例として液体燃料を燃焼するファンヒータを用いて説明するが、ガスを燃焼させるものでもよいし、ヒータ等を用いた電気暖房機でもよい。
【0024】
図3は第2実施形態におけるファンヒータの構成図である。ファンヒータの本体1には、本体1に着脱自在に設けられ灯油等の液体燃料を補給する給油タンク2、給油タンク2が載置されるとともに給油タンク2から供給される液体燃料を所定量貯留する油受皿3、油受皿3に貯留された液体燃料を汲み上げる電磁ポンプ4、電磁ポンプ4が汲み上げた液体燃料を加熱気化する気化器5、気化器5で発生した気化ガスを燃焼させ、熱源となるバーナ部6、ファンヒータの動作を指示するためのスイッチが設けられた操作部100、運転状態を表示する表示部200が設けられている。
【0025】
そして、本体1の背面には本体1の内部に空気を供給する送風機9(
図4参照)が取り付けられており、バーナ部6での燃焼により発生した燃焼排ガスは、送風機9から供給される空気と混合されて温風となり吹出口10から排出されることで室内の暖房が行われる。
【0026】
図4は第2実施形態におけるファンヒータの構成を示すブロック図、
図5は第2実施形態における操作部および表示部の拡大図である。ファンヒータは、図示しない遠隔操作手段により操作可能であり、遠隔操作手段からの信号を受信する受信部20と、本体1の状態に関する情報である状態情報を遠隔操作手段へ送信する送信部30を備える。なお、遠隔操作手段は、ネットワークを介して本体1に接続されたスマートフォンなどとすることができ、特に本体1と遠隔操作手段の間の通信方式は問わない。
【0027】
本体1の動作を制御する制御部60には、操作部100および受信部20から運転に関する指示が入力される。操作部100には使用者が操作する各種スイッチが設けられており、本実施形態では、本体1の運転の開始および停止を指示する運転スイッチ101、室内の目標温度を設定する温度設定スイッチ102、後述する遠隔操作無効モードと遠隔操作有効モードのどちらか一方を選択的に設定可能な設定手段としての遠隔操作設定スイッチ103を備えている。なお、遠隔操作設定スイッチ103は本体1に設けられていればよく、たとえば、本体1の背面に設けてもよい。さらに、制御部60には各種検知手段からの情報が入力される。各種検知手段として、本実施形態では、室内空気の温度を検知する室温検知手段40と、本体の振動を検知する振動検知手段50を備えている。各種スイッチおよび各種検知手段は、本実施形態に限定されず、その他のスイッチや検知手段を備えていてもよい。
【0028】
制御部60の出力側には、電磁ポンプ4、送風機9、気化器5を加熱するための気化ヒータ7、表示部200が接続されている。制御部60は、入力された運転に関する指示や情報に基づいて、電磁ポンプ4、送風機9、気化ヒータ7を制御してバーナ部6における燃焼量を調整し、室温が目標温度になるように運転を行う。また、表示部200は、液晶表示部201、運転ランプ202、遠隔操作設定ランプ203からなる。液晶表示部201には室温検知手段40により検知された室内の温度や目標温度を表示する。運転ランプ202は本体1が運転中において点灯し、停止中においては消灯することで、本体1の運転状態を表示する。なお、遠隔操作設定ランプ203については後述する。さらに、出力側には送信部30が接続され、本体1の状態情報を遠隔操作手段へ送信する。
【0029】
また、制御部60は記憶部61を備え、記憶部61には遠隔操作に関する複数のモードが記憶されている。なお、複数のモードについては後述する。
【0030】
上述したファンヒータの動作を説明する。ファンヒータは運転スイッチ101または遠隔操作手段から運転開始が指示されると運転ランプ202が点灯し、まず気化器5を加熱する気化ヒータ7への通電を開始する。気化ヒータ7の加熱により気化器5が液体燃料を気化することができる温度に到達すると、電磁ポンプ4を駆動して気化器5に液体燃料を供給し、気化器5に供給された液体燃料は加熱気化されて気化ガスとなる。そして、気化ガスは気化器5の先端からバーナ部6に供給され、バーナ部6で燃焼が行われる。燃焼により発生した燃焼排ガスは、送風機9からの空気と混合されて温風となり、吹出口10から排出される。制御部60は、入力された運転に関する指示や情報に基づいて暖房運転を行い、室内の温度を温度設定スイッチ102により設定された目標温度に近づける。
【0031】
次に、遠隔操作に関する複数のモードについて
図6を用いて説明する。
図6は、第2実施形態における遠隔操作に関する複数のモードを説明する図である。記憶部61には、遠隔操作に関するモードとして、遠隔操作無効モード、遠隔操作有効モード、遠隔操作禁止モードの3つのモードが記憶されている。遠隔操作無効モードは、遠隔操作手段からの指示を実行しないモードであり、本体1と遠隔操作手段がネットワークを介して接続される場合には、本体1の出荷時に遠隔操作ができない状態で出荷する必要があるため、出荷時には遠隔操作無効モードが設定されている。なお、このモードにおいて、制御部60は、受信部20と送信部30を動作させない。もしくは、送信部30は動作させず、受信部20は動作させるが、受信部20が受信した指示を本体1に実行させなくてもよい。また、遠隔操作有効モードは、遠隔操作手段からの指示を実行することができるモードである。
【0032】
遠隔操作無効モードと遠隔操作有効モードは、遠隔操作設定スイッチ103により切り替えることができる(図中矢印A、B)。使用者は暖房装置を遠隔で操作をしたい場合には遠隔操作有効モードに設定し、遠隔で操作をしない場合には遠隔操作無効モードに設定する。どちらのモードが設定されているかは遠隔操作設定ランプ203により示され、例えば、遠隔操作無効モードが設定されている場合には遠隔操作設定ランプ203が消灯し、遠隔操作有効モードが設定されている場合には遠隔操作設定ランプ203が点灯する。
【0033】
また、遠隔操作禁止モードは、遠隔操作手段からの運転開始指示を実行させないモードであり、遠隔操作有効モードが設定されている状態において、振動検知手段50が所定以上の振動を検知した場合に設定される(図中矢印C)。なお、遠隔操作禁止モードは使用者が任意に設定することはできず、振動検知手段50の検知結果に基づいて設定される。
【0034】
つぎに、振動検知手段50が振動を検知した場合の本体1の動作について説明する。本体1に所定以上の振動が与えられると、振動検知手段50によりそのことが検知される。本実施形態では、振動検知手段50として感震器が設けられる。振動検知手段50が所定以上の振動を検知したということは、地震が発生したことが考えられ、本体1の周辺に可燃物(例えば、洗濯物など)が落下した可能性がある。本体1の運転中に振動が検知されたときには、運転を継続することで可燃物に引火して火災が発生する危険性があるため、制御部60は本体1に異常があると判断し、本体1の運転を停止させ、さらに遠隔操作有効モードが設定されていた場合は遠隔操作禁止モードを設定する(図中矢印C)。このとき、振動を検知したことで運転を停止した旨を液晶表示部201に表示する。
【0035】
なお、上述のように異常があると判断して運転を停止した場合には、異常停止状態として遠隔操作手段からの運転開始指示を実行させないように動作を制限してもよい。この場合、異常停止状態は遠隔操作禁止モードに相当する。ここで、本体1の異常とは、本体1に振動が与えられた場合に限定されず、例えば、検知手段として本体1の内部温度を検知する手段を設け、内部温度が高温となった場合に本体1に異常があると判断してもよい。
【0036】
一方、本体1が停止しているときに振動検知手段50が所定以上の振動を検知した場合には、遠隔操作有効モードが設定されている状態では、制御部60は隔操作禁止モードを設定する(図中矢印C)。
【0037】
遠隔操作手段の使用者は、本体1の近くにいない可能性が高く、本体1の周辺に可燃物がないことを確認できない。そのため、遠隔操作手段からの運転開始指示を実行させてしまうと、使用者が本体1の周辺に可燃物があることに気づかぬまま、本体1の運転が開始されてしまう可能性があり、本体1の安全性を損なうおそれがある。そこで、制御部60は、振動検知手段50が振動を検知した場合、遠隔操作手段からの運転開始指示を実行させない遠隔操作禁止モードを設定する。これにより、本体1の運転中のみならず停止中であっても、振動を検知したら、それ以降遠隔操作手段から本体1の運転を開始させることができないため、本体1の安全性を向上させることができる。
【0038】
遠隔操作禁止モードが設定された場合、制御部60は遠隔操作禁止モードが設定されていることを表示部200に表示する。本実施形態では、遠隔操作設定ランプ203を点滅させることで、遠隔操作禁止モードが設定されていることを示す。これにより、地震が発生した場合や本体1の近くにいる人が誤って本体1に振動を与えてしまった場合に、本体1の近くにいる人に遠隔操作禁止モードが設定されていることを知らせることができ、遠隔操作禁止モードの解除を促すことができる。なお、表示部200への表示方法は本実施形態に限定されず、例えば液晶表示部201に「遠隔」の文字を消灯・点灯・点滅させることで、遠隔操作無効モード・遠隔操作有効モード・遠隔操作禁止モードが設定されていることを示してもよい。また、本体1の運転中に振動が検知され、遠隔操作禁止モードが設定された場合、振動を検知したことで運転を停止した旨を液晶表示部201に表示するが、この表示により遠隔操作禁止モードが設定されていることを示してもよい。
【0039】
さらに、制御部60は、振動検知手段50が振動を検知した場合、振動検知手段50が振動を検知したこと、または遠隔操作手段からの運転開始指示が実行されないことを含んだ状態情報を送信部30から遠隔操作手段へ送信してもよい。遠隔操作禁止モードが設定された状態において、使用者が遠隔操作手段から本体1の運転開始を指示しても運転は開始されない。しかし、使用者が本体1の近くにいない状況においては、例えば運転ランプ202の点灯を確認するなどして、運転開始指示が実行されたか否かを判断することができない。そのため、使用者が認識している本体1の運転状態(運転開始指示が実行された状態)と、実際の本体1の運転状態に不整合が生じてしまう。そこで、遠隔操作禁止モードが設定される条件が満たされたときに状態情報の送信を行うことで、遠隔操作手段を操作する使用者に、遠隔操作手段から本体1の運転を開始できないことを知らせることができる。なお、遠隔操作手段からの運転開始指示が実行されないということは、つまり遠隔操作禁止モードが設定されていること意味するので、状態情報として遠隔操作禁止モードが設定されていることを送信してもよい。
【0040】
また、他の実施形態として、上述した状態情報を送信部30から遠隔操作手段へ送信する条件を、遠隔操作禁止モードにおいて、遠隔操作手段からの信号を受信部20が受信した場合とすることもできる。使用者が遠隔操作をしようとしたときに状態情報の送信を行うことで、遠隔操作手段を操作する使用者に、遠隔操作手段から本体1の運転を開始できないことを知らせることができる。
【0041】
なお、状態情報には上述した状態情報だけでなく、その他の情報を含むことができる。その他の情報には、本体1の運転状態や室温検知手段40が検知した室温などが含まれ、遠隔操作有効モードにおいて、その他の情報を遠隔操作手段へ送信してもよい。
【0042】
つぎに、遠隔操作禁止モードの解除について説明する(
図6矢印D)。遠隔操作禁止モードは、地震発生後に本体1の周辺の状況を確認できない状況で、本体1の運転が開始されないようにするためのモードであり、本体1の周辺の状況を確認したとみなせる場合には、本体1の近くにいる人によって遠隔操作禁止モードを解除できないと使い勝手がよくない。そこで、制御部60は遠隔操作禁止モードにおいて、操作部100からの運転開始指示を実行した場合、運転開始したとき、または運転開始から所定時間経過後に遠隔操作禁止モードを解除する。
【0043】
操作部100から運転開始指示が入力されるということは、本体1の近くに人がいるといえるため、本体1の周辺に可燃物がある場合には、そのことに気づける状況にある。そのような状況において運転開始が指示された場合には、本体1の周辺に可燃物がないものとみなし、運転開始指示を実行して、それと同時、または所定時間経過後に遠隔操作禁止モードを解除する。これにより、運転開始指示に伴って遠隔操作禁止モードが自動で解除されるため、利便性が向上する。
【0044】
また、遠隔操作禁止モードの解除の他の実施形態として、遠隔操作無効モードと遠隔操作有効モードの切り替えに用いる遠隔操作設定スイッチ103を、遠隔操作禁止モードの解除を指示するスイッチとして用いてもよい。遠隔操作設定スイッチ103は本体1に設けられているため、遠隔操作設定スイッチ103を操作する人は、本体1の周辺に可燃物がないことを確認した後、遠隔操作禁止モードを解除することができる。これにより、遠隔操作禁止モードを解除するための手段を別途設けることなく遠隔操作禁止モードを解除でき、安全性と利便性を両立させることができる。