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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008246
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】ヘアドライヤー
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/28 20060101AFI20230112BHJP
【FI】
F04D29/28 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021111655
(22)【出願日】2021-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】390019817
【氏名又は名称】小泉成器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 克幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163393
【弁理士】
【氏名又は名称】有近 康臣
(74)【代理人】
【識別番号】100189393
【弁理士】
【氏名又は名称】前澤 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100203091
【弁理士】
【氏名又は名称】水鳥 正裕
(72)【発明者】
【氏名】福山 将門
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 謙治
(72)【発明者】
【氏名】植村 正勝
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 宏二
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB06
3H130AB26
3H130AB45
3H130AB62
3H130AB65
3H130AB70
3H130AC27
3H130BA97A
3H130BA97C
3H130CA05
3H130CB01
3H130CB07
3H130CB11
3H130DA02X
3H130DD01X
3H130EA07C
3H130EB05C
(57)【要約】
【課題】本発明は、本体ケースが大きくなることなく、風量を増大させたヘアドライヤーを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係るヘアドライヤーは、2つのプロペラファン11,12及び当該プロペラファンを駆動する両軸のモータ20を収容した筒状の本体ケースEを備え、各プロペラファンは、いずれも本体ケース内に空気を取り入れるように、その一方のプロペラファンの羽根の傾斜方向と他方のプロペラファンの羽根の傾斜方向とが逆方向になっており、各プロペラファンは前記モータの回転軸に固定されるハブ13,14を備え、前記ハブは前記モータを覆い包む円筒部17,18を有し、当該円筒部に前記ファンの羽根が取り付けられており、前記モータの周囲に2つのプロペラファンにより生じるそれぞれの空気流を遮断する仕切り部材30を備える。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つのファン及び当該ファンを駆動する両軸のモータを収容した筒状の本体ケースと、
前記本体ケースの胴部の先端部に有する前記ファンの駆動により発生する空気流の吹出口と、
前記本体ケースの両側部に有する前記ファンの駆動により発生する空気流の取入口と、を備えたヘアドライヤーであって、
前記モータは、互いに逆方向の位置に2つの回転軸を備え、当該回転軸は、本体ケースにおける空気流の吹き出し方向に直交する方向に配置されており、
前記2つのファンは、そのそれぞれが前記2つの回転軸のそれぞれに連結され、前記モータの回転により駆動する2つのファンは、いずれも本体ケース内に空気を取り入れるようになっている、
ことを特徴とするヘアドライヤー。
【請求項2】
前記2つのファンは、前記モータの回転軸に固定されるハブを備え、
前記ハブは、前記モータの回転軸が嵌入する嵌入孔と、当該嵌入孔から連続して前記モータの少なくとも一部を覆い包む円筒部とからなり、当該円筒部に前記ファンの羽根が取り付けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載のヘアドライヤー。
【請求項3】
前記2つのファンが、プロペラファンであって、
前記2つのプロペラファンは、そのそれぞれが前記2つの回転軸のそれぞれに連結され、前記モータの回転により駆動する2つのプロペラファンは、いずれも本体ケース内に空気を取り入れるように、その一方のプロペラファンの羽根の傾斜方向と他方のプロペラファンの羽根の傾斜方向とが逆方向になっており、
前記モータは、その周囲に、回転軸に対して交差する方向に、前記2つのプロペラファンにより生じるそれぞれの空気流を遮断する仕切り部材を備える、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のヘアドライヤー。
【請求項4】
前記仕切り部材は、前記モータを覆う円筒管に固定され、前記仕切り部材の少なくとも一部が前記本体ケースに固定されている、
ことを特徴とする請求項3に記載のヘアドライヤー。
【請求項5】
前記仕切り部材の側壁には、複数の支柱のそれぞれの一端部が固定され、該支柱の他端部には環状部材が固定されている、
ことを特徴とする請求項4に記載のヘアドライヤー。
【請求項6】
前記の支柱の数を偶数にしたときは前記2つのファンのそれぞれのプロペラ羽根の枚数を奇数とした、
ことを特徴とする請求項5に記載のヘアドライヤー。
【請求項7】
前記の支柱の数を奇数にしたときは前記2つのファンのそれぞれのプロペラ羽根の枚数を偶数とした、
ことを特徴とする請求項5に記載のヘアドライヤー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアドライヤーに関し、特に2つのファンを並列に配置したヘアドライヤーに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来のヘアドライヤーとしては、特許文献1に示されるように、1つのシロッコファンにより送風させるヘアドライヤーが知られている。
【0003】
また、この種の従来の軸流ファンとしては、特許文献2に示されるように、2つのプロペラファンを直列に配置して、風量等を増大させたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-204537号公報
【特許文献2】実開平2-99295号全文
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示されるように、1つのシロッコファンにより送風させるヘアドライヤーの場合には、どうしても風量不足となる欠点がある。また、特許文献2に示されるように、2つのファンを直列に配置した場合には、ヘアドライヤーの本体ケースの空気の取入口側が長くなって、ヘアドライヤーが長く大きくなると共に重たくなり、ハンドリング性に欠ける場合がある。
【0006】
本発明は、本体ケースが大きくなることなく、風量を増大させたヘアドライヤーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に係るヘアドライヤーは、2つのファン及び当該ファンを駆動する両軸のモータを収容した筒状の本体ケースと、前記本体ケースの胴部の先端部に有する前記ファンの駆動により発生する空気流の吹出口と、前記本体ケースの両側部に有する前記ファンの駆動により発生する空気流の取入口と、を備えたヘアドライヤーであって、前記モータは、互いに逆方向の位置に2つの回転軸を備え、当該回転軸は、本体ケースにおける空気流の吹き出し方向に直交する方向に配置されており、前記2つのファンは、そのそれぞれが前記2つの回転軸のそれぞれに連結され、前記モータの回転により駆動する2つのファンは、いずれも本体ケース内に空気を取り入れるようになっている、ことを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項2に係るヘアドライヤーは、前記請求項1の構成に加えて、前記2つのファンは、前記モータの回転軸に固定されるハブを備え、前記ハブは、前記モータの回転軸が嵌入する嵌入孔と、当該嵌入孔から連続して前記モータの少なくとも一部を覆い包む円筒部とからなり、当該円筒部に前記ファンの羽根が取り付けられている、ことを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項3に係るヘアドライヤーは、前記請求項1又は2の構成に加えて、前記2つのファンが、プロペラファンであって、前記2つのプロペラファンは、そのそれぞれが前記2つの回転軸のそれぞれに連結され、前記モータの回転により駆動する2つのプロペラファンは、いずれも本体ケース内に空気を取り入れるように、その一方のプロペラファンの羽根の傾斜方向と他方のプロペラファンの羽根の傾斜方向とが逆方向になっており、前記モータは、その周囲に、回転軸に対して交差する方向、例えば略垂直方向に、前記2つのプロペラファンにより生じるそれぞれの空気流を遮断する仕切り部材を備える、ことを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項4に係るヘアドライヤーは、請求項3の構成に加えて、前記仕切り部材は、前記モータを覆う円筒管に固定され、前記仕切り部材の少なくとも一部が前記本体ケースに固定されている、ことを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項5に係るヘアドライヤーは、請求項4の構成に加えて、前記仕切り部材の側壁には、複数の支柱のそれぞれの一端部が固定され、該支柱の他端部には環状部材が固定されている、ことを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項6に係るヘアドライヤーは、前記請求項5の構成に加えて、前記本体ケースの支柱の数を偶数にしたときは前記2つのファンのそれぞれのプロペラ羽根の枚数を奇数とした、ことを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項7に係るヘアドライヤーは、前記請求項5の構成に加えて、前記本体ケースの支柱の数を奇数にしたときは前記2つのファンのそれぞれのプロペラ羽根の枚数を偶数とした、ことを特徴とする。
【0014】
上記のように、本発明は、従来のシロッコファン(遠心ファン)型ヘアドライヤーの改良発明であり、吸い込み口を本体ケースの両サイドに備え、それぞれの側にシロッコファン又は互いに羽根の傾斜角が異なるプロペラファン(ターボファン)を対向させて配設し、対向するファンの間に仕切り部材を配置した構造である。その結果、従来の1つのシロッコファン型に比べて風量が増加し、ファンのハブは、前記モータの回転軸が嵌入する嵌入孔と、当該嵌入孔から連続して前記モータの少なくとも一部を覆い包む円筒部にて構成しているので本体ケースの幅も分厚くならずコンパクトになる。技術的にはシロッコファン型送風機のヘアドライヤーの送風機を対向させた2つのターボファンにしたものである。
【0015】
さらに、本体ケースの支柱の数を偶数にしたときは前記2つのファンのそれぞれのプロペラ羽根の枚数を奇数とし、本体ケースの支柱の数を奇数にしたときは前記2つのファンのそれぞれのプロペラ羽根の枚数を偶数としたことにより、経験則からファンを回転させたときのヘアドライヤーの振動や騒音を低減することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るヘアドライヤーは、上記のように構成したことにより、本体ケースが大きくなることなく、風量を増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施例に係るヘアドライヤーの内部機構を示す概略側面図である。
図2】本発明の実施例に係るヘアドライヤーの内部機構を示す概略平面図である。
図3】本発明の実施例に係るヘアドライヤーのファン部分における内部構造を示す断面図である。
図4】本発明の実施例に係るヘアドライヤーにおけるファン部分及びその周辺を示す斜視図である。
図5】本発明の実施例に係るヘアドライヤーにおけるモータとファンとを組み合わせた斜視図である。
図6】本発明の実施例に係るヘアドライヤーにおけるファンを示し、(a)は中央縦端面図であり、(b)は前記(a)において切除された箇所を2点鎖線で表した中央縦端面図である。
図7】シロッコファンの1例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に本発明の好適な実施例を添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例0019】
本実施例におけるヘアドライヤーAは、図1及び図2に示すように、その概要としては、前部(図1及び図2における左部)の空気流の吹出口Bと、下方に位置する把持部Cと、両側部(図2における上下部)に空気流の取入口Dを備えた筒状の本体ケースEとから構成される。E1は本体ケースEの胴部であり、前記吹出口Bは胴部E1の前部に位置する。
【0020】
前記吹出口Bには、その先端にノズルB1が取り付けられており、前記把持部Cにはスイッチ等を含む電気回路等が収納されている。また、前記本体ケースEには、主として、前部(図1及び図2における左部)にヒータ(不図示)が収納され、後部(図1及び図2における右部)に送風手段10が収納されている。当該本体ケースEは、前記電気回路等や前記送風手段等を収納するために左右2つ割のものを突き合わせて組み立てる構成になっている。
【0021】
前記送風手段10は、図2及び図3に示されるように、主として、第1プロペラファン11及び第2プロペラファン12と、これらプロペラファン11,12を回転駆動するモータ20とから構成される。
【0022】
モータ20は、互いに逆方向の位置に2つの回転軸21,22を有する両軸のモータであって、当該回転軸21,22は、本体ケースEにおける空気流の吹き出し方向に直交する方向に配置されている。
【0023】
そして、前記回転軸21には第1プロペラファン11が連結されており、回転軸22には第2プロペラファン12が連結されている。そして、前記モータ20の回転により駆動する前記2つのプロペラファン11,12は、いずれも空気流の取入口Dから本体ケースE内に空気を取り入れるように、第1プロペラファン11の羽根11aの傾斜方向と第2プロペラファン12の羽根12aの傾斜方向とが逆方向になっている。すなわち対称形になっている。
【0024】
前記の各プロペラファン11,12は、図3図6に示すように、それぞれ前記モータ20の回転軸21,22に固定されるハブ13,14を備えている。そして、当該ハブ13,14は、前記モータ20の回転軸21,22が嵌入する嵌入孔15,16と、当該嵌入孔15,16から連続して前記モータ20を覆い包む円筒部17,18とから構成されており、当該円筒部17,18のそれぞれに、前記プロペラファン11,12の羽根11a,12aが設けられている。
【0025】
このように、ハブ13,14にモータ20を覆い包む円筒部17,18を設けて、当該円筒部17,18にプロペラファン11,12の羽根11a,12aを設けたため、モータ20の各回転軸21,22より羽根11a,12aがモータ20側に位置することになるので、2つのプロペラファン11,12を設けても、図2に示すように両取入口D間の幅が広くならず、スリムな形態をなす利点がある。
【0026】
前記したように、前記2つのプロペラファン11,12は、いずれも本体ケースE内に空気を取り入れるように、第1プロペラファン11の羽根11aの傾斜方向と第2プロペラファン12の羽根12aの傾斜方向とが逆方向になっているため、いずれの空気流も取入口からDから吹出口Bに流れるので風量が倍増する効果がある。
【0027】
しかも、各プロペラファン11,12により取り入れられた空気が衝突して減衰又は拡散しないように、前記モータ20は、その周囲を取り囲んで固定した円筒管23を備えており、当該円筒管23上に、当該円筒管23に直交する方向に、前記2つのプロペラファン11,12により生じるそれぞれの空気流を遮断する仕切り部材30が立設固定されている。なお、仕切り部材30は前記円筒管23と一体的に構成されていてもよい。
【0028】
前記の仕切り部材30の取付構造について詳述すると、図3に示されるように仕切り部材30の少なくとも一部30’が2つ割の本体ケースEに挟持されて固定されている。仕切り部材30を本体ケースEに固定することで、モータ20やプロペラファン11,12の位置が決められ固定される。
【0029】
さらに図4に示されるように仕切り部材30の側面から支柱c,dを介して環状部材a,bに連結されている。図中のc1,d1は仕切り部材30側に固定された支柱c,dの一端部であり、c2,d2は環状部材a,b側に固定された支柱c,dの他端部である。この環状部材a,bはプロペラファン11,12の羽根11a,12aを保護すると共に取入口Dから吸い込む空気を整流する役割をする。
【0030】
この環状部材a,bは本体ケースEの内面に固定されていることが望ましい。この固定でモータ20やプロペラファン11,12の位置決めらがさらに確実になる。
【0031】
なお、前記の仕切り部材は、その水平方向の断面が吹出口Bの方向に鋭角をなす二等辺三角形状など吹出口B側にプロペラファン11,12により取り込んだ空気流の流れ方向を向かうような形状にすれば、プロペラファン11,12により取り込んだ空気流が吹出口B方向に流れるので、風量がさらに増大する効果がある。
【0032】
図7はシロッコファンの1例を示すが、シロッコファンを使用するときには、シロッコファンは空気を吸い込む方向と空気を吐き出す方向とが直交するので、仕切り部材30を設けなくても、吸い込まれた空気は吹出口側に向かうことになる。
【0033】
また、前記の2個一組の支柱c,dの数を奇数とし、ファン11,12の羽根11a,12aの数を偶数にする場合、または、支柱c,dの数を偶数とし、ファン11,12の羽根11a,12aの数を奇数とする場合は、経験則からファンを回転させたときのヘアドライヤーの振動や騒音を低減することができる。
【0034】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0035】
A・・・ヘアドライヤー
B・・・吹出口
B1・・ノズル
C・・・把持部
D・・・取入口
E・・・本体ケース
10・・送風手段
11・・第1プロペラファン
11a・羽根
12・・第2プロペラファン
12a・羽根
13・・ハブ
14・・ハブ
15・・嵌入孔
16・・嵌入孔
17・・円筒部
18・・円筒部
20・・モータ
21・・回転軸
22・・回転軸
23・・円筒管
30・・仕切り部材
30’・仕切り部材の一部
a,b・環状部材
c,d・支柱
c1,d1・支柱の一端部
c2,d2・支柱の他端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7