(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008247
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】排水ガイド部材
(51)【国際特許分類】
B05B 12/32 20180101AFI20230112BHJP
B05B 3/02 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
B05B12/32
B05B3/02 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021111657
(22)【出願日】2021-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】000133294
【氏名又は名称】株式会社ダイクレ
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 利将
(72)【発明者】
【氏名】三浦 隆男
(72)【発明者】
【氏名】広本 光正
(72)【発明者】
【氏名】山本 渓太
(72)【発明者】
【氏名】長谷 亮佑
(72)【発明者】
【氏名】谷川 豊繁
【テーマコード(参考)】
4D073
4F033
【Fターム(参考)】
4D073AA05
4D073BB03
4D073DB04
4D073DB07
4D073DB13
4D073DB19
4D073DB29
4D073DB43
4F033AA08
4F033PA04
4F033PB02
(57)【要約】
【課題】冬季のように気温が低い状態であっても付着する水を凍結させず案内して排水させることが可能な排水ガイド部材を提供する。
【解決手段】排水ガイド部材2は、水を受ける傾斜面部4と、該傾斜面部4の下端縁部に連続して設けられ、下方に垂直に延びる垂直面部5とを備え、付着する水を凍結させずに案内して排水する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
付着する水を凍結させずに案内して排水する排水ガイド部材であって、
前記水を受ける傾斜面部と、
該傾斜面部の下端縁部に連続して設けられ、下方に垂直に延びる垂直面部とを備えていることを特徴とする排水ガイド部材。
【請求項2】
請求項1に記載の排水ガイド部材において、
前記傾斜面部及び前記垂直面部の少なくとも一方は、チタン材からなることを特徴とする排水ガイド部材。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の排水ガイド部材と、
前記傾斜面部の上方に設けられ、且つ、上下に延びる回転軸心を中心として回転しながら散水するスプリンクラー装置の噴射ノズルが配設された水噴射空間を囲うカバープレートとを備えていることを特徴とする飛散水防止カバー。
【請求項4】
請求項3に記載の飛散水防止カバーにおいて、
前記カバープレートは、前記傾斜面部の上端縁部から上方に垂直に延びる第1プレートと、前記傾斜面部の各側縁部から上方に延びるとともに前記第1プレートの各側縁部にも連続する一対の第2プレートとを備えていることを特徴とする飛散水防止カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、気温が低い時期においてスプリンクラー装置が散布する水を凍結させずに所望の領域へと案内して排水する排水ガイド部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、鉄道車両では、冬季走行時に舞い上がる雪が車両下部に付着すると、付着した雪が塊となって線路内に落下して砕石を跳ね上げることで車両下部に取り付けられた機器に砕石が接触して当該機器が破損して故障する場合があり、これを回避するために、鉄道車両の速度を落として走行しなければならず、運行に支障をきたすという問題があった。
【0003】
これに対応するために、降雪時にスプリンクラー装置を用いて水を線路内に散布して線路上の雪を溶かすことが一般的に行われる。該スプリンクラー装置は、側方に水を噴射する噴射ノズルを備え、該噴射ノズルを上下に延びる回転軸心を中心として360度回転させながら水を散布することにより、線路に積もる雪を広範囲において溶かすようにしている。
【0004】
ところで、上述の如きスプリンクラー装置は、車両の走行に邪魔にならぬよう線路の側方に配設する必要があるので、線路内にのみ散水して線路外には水を飛散させないようにする必要のある領域では、例えば、特許文献1に開示されている飛散水防止カバーを噴射ノズルの側方に配設する必要がある。該飛散水防止カバーは、噴射ノズル側の斜め下方に延びる傾斜面部と、該傾斜面部の両側縁部及び上端縁部から上方に垂直に延びる平面視で略U字状をなすカバープレートとを備え、噴射ノズルから噴射される水をカバープレートで受け止めて下方に落下させた後、傾斜面部を伝わせて当該傾斜面部の下端縁部から線路側へと排水させることにより、水の線路外への飛散が防止されるようになると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に開示されている飛散水防止カバーは、気温が低い状態で噴射ノズルから噴射された水を受け止めると、傾斜面部の下端縁部から水が垂れ落ちる時点で寒気に晒されて凍結し、その凍結が繰り返されて下方に次第に棒状に成長することにより氷柱が形成されてしまい、スプリンクラー装置の下方の領域が危険な領域になってしまうおそれがある。このことは、例えば、寒冷地における屋根材や排水機構などのその他の部品や装置等において適用される排水ガイド部材においても同様のことが言える。
【0007】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、冬季のように気温が低い状態であっても付着する水を凍結させず案内して排水させることが可能な排水ガイド部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は、排水ガイド部材における傾斜面部の下流側形状に工夫を凝らすことで氷柱が形成され難くなるようにしたことを特徴とする。
【0009】
具体的には、付着する水を凍結させずに案内して排水する排水ガイド部材を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0010】
すなわち、第1の発明では、前記水を受ける傾斜面部と、該傾斜面部の下端縁部に連続して設けられ、下方に垂直に延びる垂直面部とを備えていることを特徴とする。
【0011】
第2の発明では、第1の発明において、前記傾斜面部及び前記垂直面部の少なくとも一方は、チタン材からなることを特徴とする。
【0012】
第3の発明では、飛散水防止カバーが、第1又は第2の発明の排水ガイド部材と、前記傾斜面部の上方に設けられ、且つ、上下に延びる回転軸心を中心として回転しながら散水するスプリンクラー装置の噴射ノズルが配設された水噴射空間を囲うカバープレートとを備えていることを特徴とする。
【0013】
第4の発明では、第3の発明において、前記カバープレートは、前記傾斜面部の上端縁部から上方に垂直に延びる第1プレートと、前記傾斜面部の各側縁部から上方に延びるとともに前記第1プレートの各側縁部にも連続する一対の第2プレートとを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
第1の発明では、傾斜面部よりも当該傾斜面部に連続する垂直面部の方が水平面に対する角度が大きいので、傾斜面部に受け止められた水が傾斜面部に案内されて当該傾斜面部の下端縁部を通過して垂直面部に到達すると水の移動速度が変わり、それにより水が勢い余って垂直面部の下端縁部から落下するようになる。したがって、水が傾斜面部の下端縁部において表面張力により水滴となって留まることで水の熱が傾斜面部に奪われてしまって凍結するといったことを防ぐことができ、冬季のように気温が低い状態であっても付着する水を凍結させず排水させることができる。
【0015】
第2の発明では、例えば、排水ガイド部材をステンレス材等で製造する場合に比べて熱容量が小さくなるので、傾斜面部又は垂直面部に付着する水の熱が当該傾斜面部又は垂直面部に奪われ難くなり、凍結し難くすることができる。また、耐食性が良いので、傾斜面部又は垂直面部の表面が錆びて凹凸面になるといったことが起り難い。したがって、排水ガイド部材を長期間使用しても付着する水をスムーズに案内して排出させることができ、水が傾斜面部や垂直面部の途中で熱が奪われて凍結するといったことを起こり難くすることができる。さらに、チタン材は熱容量が小さいので、日照により温度が上昇し易い。したがって、傾斜面部や垂直面部を伝って流れる水の温度が低下し難くなり、傾斜面部や垂直面部において水を凍結させ難くすることができる。それに加えて、傾斜面部や垂直面部の表面に凍結防止剤を被覆する必要がなくなるので、定期的に凍結防止剤を塗布し直すといったメンテナンス作業が不要となり、コストが嵩まないだけでなく、取り扱い易い排水ガイド部材にできる。
【0016】
第3の発明では、例えば、飛散水防止カバーを線路の側方に配設すると、スプリンクラー装置の噴射ノズルから噴射される水が線路外に飛び出るのをカバープレートが防ぐようになる。そして、カバープレートに付着する水は、線路側の斜め下方に向かって延びる傾斜面部を伝って線路側へと案内されるようになる。このように、噴射ノズルから噴射される水が線路外に流れ出るのを確実に防ぐことができる。
【0017】
第4の発明では、噴射ノズルの側方を第1プレートと2つの第2プレートとで約180度取り囲むようになるので、例えば、飛散水防止カバーを線路の側方に配設する場合において、スプリンクラー装置の噴射ノズルから噴射される水を確実に線路外に飛び出させないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態に係る飛散水防止カバーの斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る飛散水防止カバーの正面図である。
【
図3】
図2のIII-III線における断面図である。
【
図4】凍結防止実験Aの際に使用した供試体の概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0020】
図1は、本発明の実施形態に係る飛散水防止カバー1を備えたスプリンクラー装置10を示す。該スプリンクラー装置10は、新幹線等の鉄道車両における線路の側方に配設され、降雪時に水を散布して線路上に積もる雪を溶かすものであり、上下に延びる回転軸心C1を中心として回転しながら散水する噴射ノズル11を備えている。
【0021】
該噴射ノズル11には、略L字状に延びる配管12の一端が接続され、該配管12の他端には、噴射ノズル11に水を供給するポンプ(図示せず)が接続されている。
【0022】
飛散水防止カバー1は、上下に延びる支持フレーム13により支持され、噴射ノズル11における線路とは反対側の領域と噴射ノズル11の下方とをそれぞれ囲っている。
【0023】
飛散水防止カバー1は、チタン材で形成され、
図2及び
図3にも示すように、噴射ノズル11の下方に配設された排水ガイド部材2と、噴射ノズル11が配設された水噴射空間S1を囲うカバープレート3とを備えている。
【0024】
排水ガイド部材2は、線路側に向かって斜め下方に延び、受けた水を線路側へ案内する傾斜面部4と、該傾斜面部4の下端縁部に連続して設けられ、下方に垂直に延びる垂直面部5とを備え、該垂直面部5は、水平方向に帯状に延びる形状をなしている。
【0025】
傾斜面部4は、矩形板状をなす第1傾斜部6と、該第1傾斜部6の各側縁部から互いに離間しながら上方に延びる一対の第2傾斜部7とを備え、各第2傾斜部7は、平面視で三角形状をなしている。すなわち、傾斜面部4は、3つの平坦な面で構成される幅広な断面略U字状をなしている。
【0026】
一方、カバープレート3は、平面視で略U字状をなすとともに、水噴射空間S1における線路の反対側の領域を約180°囲う形状をなしている。
【0027】
カバープレート3は、傾斜面部4の上端縁部から上方に垂直に延びる第1プレート8と、傾斜面部4の各側縁部から上方に延びるとともに第1プレート8の各側縁部にも連続する一対の第2プレート9とを備え、第1プレート8の中央下部には、配管12を挿通させる貫通孔8aが形成されている。
【0028】
そして、飛散水防止カバー1は、噴射ノズル11から散布される水をカバープレート3で受け止めて下方に落とすとともに、排水ガイド部材2で受けた水を垂直面部5の下端縁部まで案内して排水ガイド部材2から落下させることにより排水するようになっている。
【0029】
ここで、本発明の実施形態に係る排水ガイド部材2の凍結防止能力を確認するために、
図4に示すように、排水ガイド部材2を模した供試体T1を作成して凍結防止実験Aを実施した。
【0030】
凍結防止実験Aは、主に排水ガイド部材2に設けられた垂直面部5の効果を確認するための実験であり、長手方向の寸法が100mm、幅方向の寸法が50mm、板厚が2mmの供試体T1をチタン材とステンレス材との両方で用意し、各供試体T1を低温雰囲気に晒すとともに各供試体T1に周期的に水を散布して供試体T1の下端縁部に形成される氷柱の数を調べた。尚、試験条件として、水を15分毎に散布して120分後の各供試体T1の状態を確認することにし、冷却温度及び供試体T1の設置角度をそれぞれ変更させてデータを取得するとともに、鉄道が飛散水防止カバー1の傍を通過するのを模すために、供試体T1に周期的に振動モータを用いて振動を加えるものと加えないものとにおいてそれぞれデータを取得した。また、各供試体T1の120分後の状態を確認した後、付着する氷が全て融解するまでの時間を供試体T1毎に計測した。
【0031】
図5は、凍結防止実験Aの結果を示す。冷却温度が変わると、氷の融解温度に差が生じるものの形成される氷柱の数に大きな差が生じないことが分かった。また、振動の有無が氷柱の形成に大きな影響を及ぼさないことも確認できた。さらに、チタン材で形成された供試体T1の方がステンレス材で形成された供試体T1よりも氷柱が形成され難いことが分かった。
【0032】
そして、実験3とその他の実験とを比較すると、供試体T1を45度傾けた状態に比べて供試体T1を垂直に配置することにより氷柱が形成され難くなることが分かった。これは、傾斜面よりも垂直面の方が水平面に対する角度が大きいので、付着する水の移動速度が速くなり、勢い余って垂直部分の下端縁部から落下するようになるからだと考えられる。
【0033】
したがって、本発明の実施形態のように、排水ガイド部材2における傾斜面部4の下端縁部に連続して垂直に延びる垂直面部5を設けると、傾斜面部4に受け止められた水が傾斜面部4に案内されて当該傾斜面部4の下端縁部を通過して垂直面部5に到達すると水の移動速度が変わり、それにより水が勢い余って垂直面部5の下端縁部から落下するようになるので、水が傾斜面部4の下端縁部において表面張力により水滴となって留まることで水の熱が傾斜面部4に奪われてしまって凍結するといったことを防ぐことができ、冬季のように気温が低い状態であっても付着する水を凍結させず排水させることができる。
【0034】
次に、飛散水防止カバー1の材質の違いによる凍結防止能力を確認するために、材質及び表面処理の異なる飛散水防止カバー1を用意して凍結防止実験Bを実施した。
【0035】
凍結防止実験Bは、飛散水防止カバー1の材質の違いによる効果を確認するための実験であり、ステンレス材、高耐食メッキ鋼板、及び、チタン材からなる各供試体T2それぞれ用意し、高耐食メッキ鋼板で形成したものは、その表面に滑雪用フッ素樹脂塗装を施した。そして、各供試体T2を低温雰囲気に晒すとともに各供試体T2に周期的に水を散布して各供試体T2の下端縁部に形成される氷柱の数を調べた。尚、試験条件として、各供試体T2を-5℃の低温雰囲気に晒すとともに各供試体T2に噴霧器を用いて500ccの水を60分毎に計7回散布して各供試体T2の状態を確認することにし、鉄道が飛散水防止カバー1の傍を通過するのを模すために、水を散布した30分後に供試体T2に対して振動モータを用いて振動を3分間加えてデータを取得した。また、各供試体T2を24時間冷却した後、各供試体T2に付着する氷が全て融解するまでの時間を供試体T2毎に計測した。
【0036】
図6は、凍結防止実験Bの結果を示す。飛散水防止カバー1をチタン材で形成すると、氷柱が形成され難く、また、たとえ供試体T2に氷が付着したとしても、チタン材で形成されたものであれば表面に付着する氷が速く溶けることが分かった。これは、チタン材の熱伝導率が低くて熱容量が小さく、さらには、錆び難い性質によるものだと考えられる。
【0037】
したがって、本発明の実施形態のように、飛散水防止カバー1をチタン材で形成すると、例えば、排水ガイド部材2をステンレス材等で製造する場合に比べて熱容量が小さくなるので、傾斜面部4又は垂直面部5に付着する水の熱が当該傾斜面部4又は垂直面部5に奪われ難くなり、凍結し難くすることができる。また、耐食性が良いので、傾斜面部4又は垂直面部5の表面が錆びて凹凸面になるといったことが起り難い。したがって、排水ガイド部材2を長期間使用しても付着する水をスムーズに案内して排出させることができ、水が傾斜面部4や垂直面部5の途中で熱が奪われて凍結するといったことを起こり難くすることができる。さらに、チタン材は熱容量が小さいので、日照により温度が上昇し易い。したがって、傾斜面部4や垂直面部5を伝って流れる水の温度が低下し難くなり、傾斜面部4や垂直面部5において水を凍結させ難くすることができる。それに加えて、傾斜面部4や垂直面部5の表面に凍結防止剤を被覆する必要がなくなるので、定期的に凍結防止剤を塗布し直すといったメンテナンス作業が不要となり、コストが嵩まないだけでなく、取り扱い易い排水ガイド部材2にできる。
【0038】
以上より、本発明の実施形態の排水ガイド部材2は、冬季のように気温が低い状態であっても付着する水を凍結させず排水させることができる。
【0039】
また、例えば、本発明の実施形態の飛散水防止カバー1は、線路の側方に配設されているので、スプリンクラー装置10の噴射ノズル11から噴射される水が線路外に飛び出るのをカバープレート3が防ぐようになる。そして、カバープレート3に付着する水は、線路側の斜め下方に向かって延びる傾斜面部4を伝って線路側へと案内されるようになる。このように、噴射ノズル11から噴射される水が線路外に流れ出るのを確実に防ぐことができる。
【0040】
さらに、噴射ノズル11の側方を第1プレート8と2つの第2プレート9とで約180度取り囲むようになるので、スプリンクラー装置10の噴射ノズル11から噴射される水を確実に線路外に飛び出させないようにすることができる。
【0041】
尚、本発明の実施形態では、飛散水防止カバー1を一般的なチタン材で形成したが、例えば、微弱な圧力を加えることで吸収した熱を放出可能な蓄熱セラミックス材料(東京大学論文:External stimulation-controllable heat-storage ceramics参照)を用いて飛散水防止カバー1を形成してもよい。そうすると、日中において蓄えた熱を散水時に放出させることにより、凍結防止効果が上がるものと考えられる。
【0042】
また、本発明の実施形態では、飛散水防止カバー1をチタン材で形成したが、例えば、上述のセラミックス材料の他、ステンレス材等のその他の金属材や、樹脂材、木材等で形成してもよい。
【0043】
また、本発明の実施形態では、飛散水防止カバー1の全体をチタン材で形成しているが、これに限らず、傾斜面部4だけをチタン材で形成したものであってもよいし、排水ガイド部材2だけをチタン材で形成したものであってもよい。
【0044】
また、本発明の実施形態では、傾斜面部4が3つの平坦な面で構成される幅広な断面略U字状をなしているが、これに限らず、例えば断面が半円形等の湾曲する形状であってもよい。
【0045】
また、本発明の実施形態では、カバープレート3が平面視で略U字状をなす形状になっているが、これに限らず、例えば、平面視で半円形等の湾曲する形状になっていてもよい。
【0046】
尚、本発明の実施形態に係る排水ガイド部材2は、線路上の雪を溶かすためのスプリンクラー装置10において散布される水の排水を行うのに用いるだけでなく、他の機器等にも適用可能であり、例えば、寒冷地の屋根材(家、駐車場、バスの停留所など)、道路標識のカバー、橋梁の排水桝菅、電柱、フェンス、及び、橋梁用の水切りなどにおいて付着する水を排水する構造に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、例えば、気温が低い時期においてスプリンクラー装置が散布する水を凍結させずに所望の領域へと案内して排水する排水ガイド部材に適している。
【符号の説明】
【0048】
1 飛散水防止カバー
2 排水ガイド部材
3 カバープレート
4 傾斜面部
5 垂直面部
8 第1プレート
9 第2プレート
10 スプリンクラー装置
11 噴射ノズル
S1 水噴射空間