(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023082503
(43)【公開日】2023-06-14
(54)【発明の名称】樹脂発泡体形成用エアゾール組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 9/12 20060101AFI20230607BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20230607BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20230607BHJP
A61K 47/08 20060101ALI20230607BHJP
A61L 26/00 20060101ALI20230607BHJP
【FI】
A61K9/12
A61K47/32
A61K47/44
A61K47/08
A61L26/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021196327
(22)【出願日】2021-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】391021031
【氏名又は名称】株式会社ダイゾー
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山陰 茜
【テーマコード(参考)】
4C076
4C081
【Fターム(参考)】
4C076AA24
4C076AA88
4C076BB31
4C076CC18
4C076DD38
4C076DD39
4C076EE10
4C076EE48
4C076EE53
4C081AA04
4C081AA12
4C081BB07
4C081BB08
4C081CA081
4C081CE11
4C081DA16
(57)【要約】
【課題】均一相を形成し、吐出すると、柔軟で使用途中でちぎれにくく、使用感の良い樹脂発泡体を形成し、エアゾールバルブや吐出部材の吐出通路において詰まりを生じにくい、樹脂発泡体形成用エアゾール組成物を提供する。
【解決手段】凝固点が5℃以上40℃未満である油脂と、樹脂と、水と、ジメチルエーテルとを含み、吐出物が樹脂発泡体を形成する、樹脂発泡体形成用エアゾール組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凝固点が5℃以上40℃未満である油脂と、樹脂と、水と、ジメチルエーテルとを含み、
吐出物が樹脂発泡体を形成する、樹脂発泡体形成用エアゾール組成物。
【請求項2】
前記油脂の含有量は、1~15質量%である、請求項1記載の樹脂発泡体形成用エアゾール組成物。
【請求項3】
前記樹脂と油脂との質量比(樹脂(固形分)/油脂)は、0.2~3である、請求項1または2記載の樹脂発泡体形成用エアゾール組成物。
【請求項4】
前記油脂は、ホホバ油を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の樹脂発泡体形成用エアゾール組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂発泡体形成用エアゾール組成物に関する。より詳細には、本発明は、均一相を形成し、吐出すると、柔軟で使用途中でちぎれにくく、使用感の良い樹脂発泡体を形成し、エアゾールバルブや吐出部材の吐出通路において詰まりを生じにくい、樹脂発泡体形成用エアゾール組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、皮膚等の適用箇所に吐出して使用するための、エアゾール型皮膚外用剤が知られている(たとえば特許文献1)。特許文献1には、高級脂肪酸と樹脂含有水溶液と噴射剤とを含む、エアゾール型の皮膚外用剤が開示されている。また、このエアゾール型の皮膚外用剤は、塗布箇所の上に、固体状樹脂を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の皮膚外用剤は、長期的には、バルブや噴射ボタンで詰まりが生じやすい。また、皮膚外用剤が吐出されて形成される固体状樹脂は、柔軟性がなく、使用途中でちぎれやすいため、使用感が悪い。
【0005】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、均一相を形成し、吐出すると、柔軟で使用途中でちぎれにくく、使用感の良い樹脂発泡体を形成し、エアゾールバルブや吐出部材の吐出通路において詰まりを生じにくい、樹脂発泡体形成用エアゾール組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本発明には、以下の構成が主に含まれる。
【0007】
(1)凝固点が5℃以上40℃未満である油脂と、樹脂と、水と、ジメチルエーテルとを含み、吐出物が樹脂発泡体を形成する、樹脂発泡体形成用エアゾール組成物。
【0008】
このような構成によれば、樹脂発泡体形成用エアゾール組成物は、均一相を形成し、吐出されると柔軟で、使用途中にちぎれにくい。そのため、樹脂発泡体形成用エアゾール組成物は、使用感の良い樹脂発泡体(プラスチックフォーム)を形成することができる。また、樹脂発泡体形成用エアゾール組成物は、エアゾールバルブや吐出部材の吐出通路において、詰まりを生じにくい。
【0009】
(2)前記油脂の含有量は、1~15質量%である、(1)記載の樹脂発泡体形成用エアゾール組成物。
【0010】
このような構成によれば、樹脂発泡体形成用エアゾール組成物は、より柔軟で、使用途中にちぎれにくい、樹脂発泡体を形成しやすい。また、樹脂発泡体形成用エアゾール組成物は、エアゾールバルブや吐出部材の吐出通路において、より詰まりを生じにくい。
【0011】
(3)前記樹脂と油脂との質量比(樹脂(固形分)/油脂)は、0.2~3である、(1)または(2)記載の樹脂発泡体形成用エアゾール組成物。
【0012】
このような構成によれば、樹脂発泡体形成用エアゾール組成物は、より使用感のよい樹脂発泡体を形成しやすい。また、樹脂発泡体形成用エアゾール組成物は、エアゾールバルブや吐出部材の吐出通路において、より詰まりを生じにくい。
【0013】
(4)前記油脂は、ホホバ油を含む、(1)~(3)のいずれかに記載の樹脂発泡体形成用エアゾール組成物。
【0014】
このような構成によれば、樹脂発泡体形成用エアゾール組成物は、エアゾールバルブや吐出部材の吐出通路において、より詰まりを生じにくい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、均一相を形成し、吐出すると、柔軟で使用途中でちぎれにくく、使用感の良い樹脂発泡体を形成し、エアゾールバルブや吐出部材の吐出通路において詰まりを生じにくい、樹脂発泡体形成用エアゾール組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<樹脂発泡体形成用エアゾール組成物>
本発明の一実施形態の樹脂発泡体形成用エアゾール組成物(以下、エアゾール組成物ともいう)は、凝固点が5℃以上40℃未満である油脂と、樹脂と、水と、ジメチルエーテルとを含む。エアゾール組成物は、吐出物が樹脂発泡体を形成する。エアゾール組成物は、エアゾール容器内では、油性原液と水性原液とジメチルエーテルを含む液化ガスとが均一相を形成した液状である。一方、エアゾール組成物は、吐出されると、ジメチルエーテルが揮発し、樹脂が析出することにより、固体状の泡(樹脂発泡体、プラスチックフォーム)を形成する。樹脂発泡体の中には、水に溶解している少量のジメチルエーテルと水とが含まれる。そのため、樹脂発泡体は、指等で押しつぶすことにより、中から液を染み出させることができ、適用箇所(たとえば腕等)に対して、冷却感を付与することができる。以下、それぞれについて説明する。
【0017】
(油性原液)
油性原液は、凝固点が5℃以上40℃未満である油脂を含む。
【0018】
・凝固点が5℃以上40℃未満である油脂
凝固点が5℃以上40℃未満である油脂は、樹脂発泡体に柔軟性を付与し、皮膚等に使用された際にちぎれにくく、優れた使用感を付与するために配合される。
【0019】
凝固点が5℃以上40℃未満である油脂は、特に限定されない。一例を挙げると、凝固点が5℃以上40℃未満である油脂は、ホホバ油(凝固点7~10℃)、マンゴー油(凝固点31~36℃)、テオブロマグランジフロルム種子脂(凝固点25~30℃)、アルガン油(凝固点7~13℃)、カポック油(凝固点18~22℃)、クロモジ油(凝固点9~13℃)、ヤシ油(凝固点20~28℃)、パーム核油(凝固点24~30℃)、カカオ脂(凝固点30~39℃)等である。これらの中でも、凝固点が5℃以上40℃未満である油脂は、柔軟性や優れた使用感を得やすい点から、ホホバ油、マンゴー油、テオブロマグランジフロルム種子脂であることが好ましく、ホホバ油を含むことがより好ましい。これにより、エアゾール組成物は、エアゾールバルブや吐出部材の吐出通路において、より詰まりを生じにくい。
【0020】
凝固点が5℃以上40℃未満である油脂の含有量は、特に限定されない。一例を挙げると、凝固点が5℃以上40℃未満である油脂の含有量は、エアゾール組成物中、1.0質量%以上であることが好ましく、2.0質量%以上であることがより好ましい。また、凝固点が5℃以上40℃未満である油脂の含有量は、15.0質量%以下であることが好ましく、12.0質量%以下であることがより好ましい。凝固点が5℃以上40℃未満である油脂の含有量が上記範囲内であることにより、エアゾール組成物は、均一相を形成しやすく、吐出されると、柔軟で使用途中でちぎれにくい樹脂発泡体が得られやすい。
【0021】
なお、油性成分は、凝固点が5℃以上40℃未満である油脂のほか、他の油性成分が含まれてもよい。このような他の油性成分は、たとえば、凝固点が5℃未満であるか、または、40℃以上である油脂、炭化水素油、エステル油、シリコーンオイル、高級脂肪酸、高級アルコール等である。
【0022】
凝固点が5℃未満であるか、または、40℃以上である油脂は、ツバキ油(凝固点-15~-21℃)、ヒマワリ油(凝固点-10~-18℃)、チャ実油(凝固点-10~-12℃)、ピーナッツ油(凝固点0~3℃)、アーモンド油(凝固点-10~-21℃)、トウモロコシ油(凝固点-7~-10℃)、綿実油(凝固点4~-6℃)、キャノーラ油(凝固点0~12℃)、大豆油(凝固点-10~-17℃)、ナタネ油(凝固点0~-12℃)、ゴマ油(凝固点-3~-6℃)、ヒマシ油(凝固点-10~-18℃)、アマニ油(凝固点-18~-27℃)、サフラワー油(凝固点-18~-22℃)、コメヌカ油(凝固点-5~-10℃)、ククイナッツ油(凝固点-20~-25℃)、グレープシードオイル(凝固点-11~-24℃)等である。
【0023】
炭化水素油は特に限定されない。一例を挙げると、炭化水素油は、流動パラフィン、ケロシン、スクワレン、スクワラン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナデカン、エイコサン、イソパラフィン、ミツロウ、ラノリン、カンデリラロウ、カルナウバロウ等である。
【0024】
エステル油は特に限定されない。一例を挙げると、エステル油は、ジネオペンタン酸メチルペンタンジオール、ジネオペンタン酸ジエチルペンタンジオール、セバシン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル、ナフタリンジカルボン酸ジエチルヘキシル、セバシン酸ジブチルオクチル、ジ-2-エチルへキサン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジラウリン酸プロピレングリコール、ジステアリン酸エチレングリコール、ジラウリン酸ジエチレングリコール、ジステアリン酸ジエチレングリコール、ジイソステアリン酸ジエチレングリコール、ジオレイン酸ジエチレングリコール、ジラウリン酸トリエチレングリコール、ジステアリン酸トリエチレングリコール、ジイソステアリン酸トリエチレングリコール、ジオレイン酸トリエチレングリコール、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノオレイン酸プロピレングリコール、モノステアリン酸エチレングリコール、トリ2-エチルへキサン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、コハク酸ジエトキシエチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、リノール酸エチル、イソオクタン酸セチル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、ヒドロシキシステアリン酸エチルヘキシル等である。
【0025】
シリコーンオイルは特に限定されない。一例を挙げると、シリコーンオイルは、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルポリシクロシロキサン等である。
【0026】
高級脂肪酸は特に限定されない。一例を挙げると、高級脂肪酸は、オレイン酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸等である。
【0027】
高級アルコールは特に限定されない。一例を挙げると、高級アルコールは、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール等の直鎖アルコール、ラノリンアルコール、ヘキシルドデカノール、セトステアリルアルコール、オクチルドデカノールなどの分枝鎖アルコール等である。
【0028】
他の油性成分が配合される場合、他の油性成分の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、他の油性成分の含有量は、エアゾール組成物中0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましい。また、他の油性成分の含有量は、10質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることがより好ましい。
【0029】
(水性原液)
水性原液は、樹脂と水とを含む。
【0030】
・樹脂
樹脂は、吐出物が樹脂発泡体を形成するために配合される。得られる樹脂発泡体は、被膜感のあるフォーム状の物質であり、フォームを指等で押すと弾力性があり、フォームを引きちぎることができる。
【0031】
樹脂は特に限定されない。一例を挙げると、樹脂は、アクリル酸アルキル共重合体エマルジョン、アクリル酸アルキル-スチレン共重合体エマルジョンなどのエマルジョン型樹脂、ビニルピロリドン-酢酸ビニル共重合体、アクリル酸ヒドロキシエチル-アクリル酸ブチル-アクリル酸メトキシエチル共重合体などのノニオン型樹脂、ビニルピロリドン-N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体硫酸塩、ヒドロキシエチルセルロース・ジメチルジアリルアンモニウムクロリドなどのカチオン型樹脂、アクリル酸アルカノールアミンなどのアニオン型樹脂、ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、アクリル酸オクチルアミド-アクリル酸ヒドロキシプロピル-メタクリル酸ブチルアミノエチル共重合体などの両性型樹脂等、中和剤により中和されるものである。樹脂は、併用されてもよい。
【0032】
樹脂の含有量特に限定されない。一例を挙げると、樹脂の含有量(固形分)は、エアゾール組成物中、1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましい。また、樹脂の含有量は、エアゾール組成物中、10質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることがより好ましい。樹脂の含有量が上記範囲内であることにより、エアゾール組成物は、使用時にちぎれにくく、プラスチックフォームを形成しやすい。
【0033】
樹脂と、凝固点が5℃以上40℃未満である油脂との質量比(樹脂(固形分)/油脂)は、0.2~3であることが好ましく、0.3~2であることがより好ましい。樹脂(固形分)/油脂の質量比が上記範囲内であることにより、エアゾール組成物は、使用感の良い樹脂発泡体が得られやすい。また、エアゾール組成物は、エアゾールバルブや吐出部材の吐出通路にて詰まりを生じにくい。
【0034】
・水
水は、エアゾール組成物中では溶媒であり、外部に吐出されると樹脂発泡体内で、ジメチルエーテルの揮発を調整することにより、冷却感を持続のために配合される。
【0035】
水は特に限定されない。一例を挙げると、水は、精製水、イオン交換水、生理食塩水、海洋深層水等である。
【0036】
水の含有量は、特に限定されない。一例を挙げると、水は、エアゾール組成物中、10質量%以上であることが好ましく、12質量%以上であることがより好ましい。また、水は、エアゾール組成物中、40質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。水の含有量が上記範囲内であることにより、エアゾール組成物は、冷却感が得られやすく、使用感がよい。
【0037】
水性原液は、樹脂および水のほかに、適宜、任意の水性成分を含んでもよい。このような水性成分は、有効成分、アルコール、界面活性剤、水溶性高分子、パウダー等である。
【0038】
有効成分は、製品の用途や目的などに応じて適宜選択することができる。一例を挙げると、有効成分は、天然香料、合成香料などの各種香料;l-メントール、カンフル、ハッカ油などの清涼剤;レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、パントテン酸カルシウム、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸ナトリウム、dl-α-トコフェロール、酢酸トコフェロール、トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、ジベンゾイルチアミン、リボフラビンおよびこれらの混合物などのビタミン類;アスコルビン酸、α-トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソールなどの酸化防止剤;グリシン、アラニン、ロイシン、セリン、トリプトファン、システイン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニンなどのアミノ酸;コラーゲン、ヒアルロン酸、カロニン酸、乳酸ナトリウム、dl-ピロリドンカルボン酸塩、ケラチン、カゼイン、レシチン、尿素などの保湿剤;パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化クロルヘキシジン、パラクロルメタクレゾールなどの殺菌消毒剤;ローヤルゼリーエキス、シャクヤクエキス、ヘチマエキス、バラエキス、レモンエキス、アロエエキス、ショウブ根エキス、ユーカリエキス、セージエキス、茶エキス、海藻エキス、プラセンタエキス、シルク抽出液などの抽出液;酸化亜鉛、アラントインヒドロキシアルミニウム、タンニン酸、クエン酸、乳酸などの収斂剤;アラントイン、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム、アズレンなどの抗炎症剤;ラウリル酸メタクリレート、安息香酸メチル、フェニル酢酸メチル、ゲラニルクロトレート、ミリスチン酸アセトフェノン、酢酸ベンジル、プロピオン酸ベンジル、緑茶エキスなどの消臭剤;ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、エチルヘキシルトリアゾン、オキシベンゾン、ヒドロキシベンゾフェノンスルホン酸、ジヒドロキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシベンゾフェノンなどの紫外線吸収剤;酸化亜鉛、酸化チタン、オクチルトリメトキシシラン被覆酸化チタンなどの紫外線散乱剤;アルブチン、コウジ酸などの美白剤;N,N-ジエチル-m-トルアミド(ディート)、ジ-n-ブチルサクシネート、ヒドロキシアニソール、ロテノン、エチル-ブチルアセチルアミノプロピオネート、イカリジン(ピカリジン)、p-メンタン-3,8-ジオール、3-[アセチル(ブチル)アミノ]プロピオン酸エチル、2-(2-ヒドロキシエチル)ピペリジン-1-カルボン酸1-メチルプロピルなどの害虫忌避剤;クロロヒドロキシアルミニウム、イソプロピルメチルフェノールなどの制汗剤;サリチル酸メチル、インドメタシン、フェルビナク、ケトプロフェンなどの消炎鎮痛剤等である。
【0039】
有効成分が配合される場合、有効成分の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、有効成分の含有量は、エアゾール組成物中、0.01質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましい。また、有効成分の含有量は、エアゾール組成物中、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。
【0040】
アルコールは特に限定されない。一例を挙げると、アルコールは、エタノール、イソプロパノール等の炭素数が2~3個の1価アルコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコール、ジグリセリンなどの多価のアルコールである。
【0041】
アルコールが配合される場合、アルコールの含有量は特に限定されない。一例を挙げると、アルコールの含有量は、エアゾール組成物中、0.01質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましい。また、アルコールの含有量は、エアゾール組成物中、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。
【0042】
界面活性剤は特に限定されない。一例を挙げると、界面活性剤は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルなどの非イオン性界面活性剤;脂肪酸石鹸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、スルホン酸塩などのアニオン性界面活性剤;N-アシルグルタミン酸塩、N-アシルグリシン塩、N-ヤシ油脂肪酸アシル-DL-アラニントリエタノールアミンなどのN-アシルアラニン塩;ラウロイルメチルアラニンナトリウムなどのアシルアラニン塩などのアミノ酸型アニオン性界面活性剤;シリコーン系界面活性剤;ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸カリウム、ラウロイルメチル-β-アラニンなどのアミノ酸系界面活性剤;アルキルベタインなどのベタイン型;ラウリルジメチルアミンN-オキシド、オレイルジメチルアミンN-オキシドなどのアミンオキシド型などの両性界面活性剤等である。界面活性剤は併用されてもよい。
【0043】
界面活性剤が配合される場合、界面活性剤の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、界面活性剤の含有量は、エアゾール組成物中、0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましい。また、界面活性剤の含有量は、エアゾール組成物中、10質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることがより好ましい。
【0044】
水溶性高分子は特に限定されない。一例を挙げると、水溶性高分子は、ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド(ポリクオタニウム4)、塩化ジメチルジアクリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体(ポリオクタニウム7)、塩化-O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース(ポリクオタニウム10)、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体(ポリクオタニウム22)、塩化-O-[2-ヒドロキシ-3-(ラウリルジメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース(ポリオクタニウム24)、アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体(ポリクオタニウム39)、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体液(ポリクオタニウム51)、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N-ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール(ポリクオタニウム52)、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ステアリル共重合体(ポリクオタニウム61)、メタクリロイルオキシエチレンホスホリルコリン、メタクリル酸ブチルおよびメタクリル酸ナトリウム(ポリクオタニウム65)などのカチオン性ポリマー;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース系高分子;キサンタンガム、カラギーナン、アラビアゴム、トラガントゴム、カチオン化グアガム、グアガム、ジェランガムなどのガム質;デキストラン、カルボキシメチルデキストランナトリウム、デキストリン、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー等である。
【0045】
水溶性高分子が配合される場合、水溶性高分子の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、水溶性高分子の含有量は、エアゾール組成物中、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましい。また、水溶性高分子の含有量は、エアゾール組成物中、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましい。
【0046】
パウダーは特に限定されない。一例を挙げると、パウダーは、タルク、酸化亜鉛、酸化チタン、シリカ、ゼオライト、カオリン、雲母、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸亜鉛、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム等である。
【0047】
パウダーが配合される場合、パウダーの含有量は特に限定されない。一例を挙げると、パウダーの含有量は、エアゾール組成物中、0.1質量%以上であることが好ましく、0.3質量%以上であることがより好ましい。また、パウダーの含有量は、エアゾール組成物中、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましい。
【0048】
(ジメチルエーテル)
ジメチルエーテルは、エアゾール容器内では油性原液と水性原液とを溶解する溶媒として作用し、エアゾール組成物を外部に吐出するための噴射剤として配合される。
【0049】
ジメチルエーテルの含有量は特に限定されない。一例を挙げると、ジメチルエーテルの含有量は、エアゾール組成物中、50質量%以上であることが好ましく、55質量%以上であることがより好ましい。また、ジメチルエーテルの含有量は、エアゾール組成物中、75質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましい。ジメチルエーテルの含有量が上記範囲内であることにより、エアゾール組成物は、油性原液と水性原液とがジメチルエーテルに溶解しやすく、均一な液相を形成しやすい。また、形成されるプラスチックフォームは、冷却感が得られやすく、使用感がよく、詰まりが生じにくい。
【0050】
本実施形態のエアゾール組成物は、ジメチルエーテル以外の他の噴射剤が併用されてもよい。他の噴射剤は、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、イソペンタンおよびこれらの混合物からなる炭素数3~5個の脂肪族炭化水素、トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロパ-1-エン(HFO-1234ze)、トランス-2,3,3,3-テトラフルオロプロパ-1-エン(HFO-1234yf)、トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO-1233zd(E))、シス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO-1233zd(Z))などのハイドロフルオロオレフィン等である。
【0051】
他の噴射剤の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、他の噴射剤の含有量は、エアゾール組成物中、1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましい。また、他の噴射剤の含有量は、エアゾール組成物中、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。
【0052】
また、エアゾール組成物は、圧力管理のために圧縮ガスが併用されてもよい。圧縮ガスは、たとえば、窒素、空気、酸素、水素、二酸化炭素、亜酸化窒素等である。
【0053】
圧縮ガスが使用される場合、圧縮ガスは、25℃における容器内の圧力が0.4~0.8MPaとなるよう充填されることが好ましく、0.5~0.7MPaとなるよう充填されることがより好ましい。
【0054】
エアゾール組成物全体の説明に戻り、エアゾール組成物の調製方法は特に限定されない。一例を挙げると、エアゾール組成物は、耐圧性の容器本体に油性原液と水性原液とを充填し、次いで、バルブを容器本体の開口部上に保持して開口部とバルブとの隙間から噴射剤をアンダーカップ充填し、容器本体にバルブを固着し、油性原液と水性原液とを噴射剤に溶解させることによって調製し得る。なお、エアゾール組成物は、原液を充填した後にバルブを固着し、バルブから噴射剤を充填して調製されてもよい。
【0055】
容器本体は、エアゾール組成物が充填される容器であり、有底筒状である。容器本体の開口部には、バルブが取り付けられる。
【0056】
容器本体の材質は特に限定されない。一例を挙げると、容器本体の材質は、アルミニウム、ブリキ等の金属、各種合成樹脂、耐圧ガラス等である。
【0057】
バルブは、容器本体の開口部を閉止して密封するための部材である。また、バルブは、容器本体の開口部に装着されるマウンティングカップに保持されるハウジングと、容器本体の内外を連通するステム孔が形成されたステムと、ステム孔の周囲に取り付けられ、ステム孔を閉止するためのステムラバーとを主に備える。ハウジングは、ステムと、ステムラバーと、ステムを上方に付勢するスプリングとを収容する。ステムの上端には、エアゾール組成物を吐出するための吐出部材が取り付けられる。
【0058】
吐出部材は、バルブの開閉を操作してエアゾール組成物を吐出するための部材であり、ステムの上端に取り付けられる。吐出部材は、吐出孔が形成されたノズル部と、使用者が指等により操作する操作部とを主に備える。吐出孔からは、エアゾール組成物が吐出される。吐出孔の数および形状は特に限定されない。吐出孔は、複数であってもよい。また、吐出孔の形状は、略円形状、略角形状等であってもよい。
【0059】
本実施形態のエアゾール組成物は、吐出部材が押し下げられると、バルブのステムが下方に押し下げられる。これにより、ステムラバーが下方に撓み、ステム孔が開放される。その結果、容器本体内と外部とが連通する。容器本体内と外部とが連通すると、容器本体内の圧力と外部との圧力差によって、エアゾール組成物がハウジング内に取り込まれ、次いで、ステム孔、ステム内通路を通過し、吐出部材に送られ、その後、吐出孔から吐出される。吐出されたエアゾール組成物は、対象面(たとえば腕など)において発泡し、樹脂発泡体となる。エアゾール組成物は、バルブのステム孔から吐出部材の吐出孔までの吐出通路において、詰まりを生じにくい。
【0060】
樹脂発泡体は、冷却感があり、対象面を冷却することができる。また、樹脂発泡体は、内部が空洞であるため、指先で押す力を和らげながら、対象面を押圧することができる。さらに、樹脂発泡体は、指でつまんで、種々の部位(たとえば、目元や口元など)に適用したり、塗布面上を転がすように塗布することもできる。本実施形態の樹脂発泡体は、柔軟で、使用途中にちぎれにくく、使用感が良い。
【実施例0061】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。本発明は、これら実施例に何ら限定されない。
【0062】
(油脂の凝固確認)
以下の表1に記載の原料(油脂)を、40℃または5℃において24時間保存し、各温度における原料の状態を確認した。
【0063】
【0064】
表1に記載のとおり、ホホバ種子油、テオブロマグランジフロルム種子脂、マンゴー種子脂は、「凝固点が5℃以上40℃未満である油脂」であった。
【0065】
(実施例1)
以下の表2に記載の処方(単位:質量%)に従って、アルミ製の耐圧容器に油性原液を5g、水性原液を35g充填した。次いで、バルブを耐圧容器の開口部に固着して密閉した。さらに、ステムからジメチルエーテルを60g充填し、油性原液と水性原液とを溶解して、エアゾール組成物を調製した。
【0066】
【0067】
(実施例2~6、比較例1~6)
表2に記載の処方に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により、エアゾール組成物を作製した。
【0068】
実施例1~6および比較例1~6において調製したエアゾール組成物を用いて、以下の評価方法により、吐出物の状態、使用感、詰まりを評価した。結果を表2に示す。
【0069】
<吐出物の状態>
エアゾール組成物を25℃に調整し、手に吐出した。得られた吐出物の状態を、以下の評価基準にしたがって評価した。
(評価基準)
○:吐出物は、立体的で固体状の泡(樹脂発泡体、プラスチックフォーム)を形成した。
△:吐出物は、半液状の泡であった。
×:吐出物は、液状で泡を形成しなかった。
【0070】
<使用感>
形成された樹脂発泡体を、人差し指と親指でつまみ、手の甲にこすり付けた際の使用感を、以下の評価基準にしたがって評価した。
(評価基準)
◎:プラスチックフォームは、冷たい液体が染み出し、ちぎれることなく、手の甲に塗布できた。
○:プラスチックフォームは、染み出しが少なかったが、ちぎれることなく、手の甲に塗布できた。
×:プラスチックフォームは、染み出しが少なく、こすり付けたときに一部がちぎれた。
-:プラスチックフォームを形成しなかったため、評価できなかった。
【0071】
<詰まり>
25℃で保存したエアゾール組成物を、1日に1回1秒間吐出し、これを1ヵ月間続け、詰まりの有無を確認し、以下の評価基準に従って評価した。
(評価基準)
○:吐出孔やバルブに詰まりはなく、エアゾール組成物を安定に吐出できた。
×:吐出孔やバルブに詰まりができ、エアゾール組成物を吐出できなかった。
【0072】
表2に示されるように、本発明の実施例1~6のエアゾール組成物は、固体状の泡で吐出され、ちぎれることなく塗布でき、詰まりも生じなかった。一方、油性成分をミリスチン酸に変更した比較例1のエアゾール組成物は、固体状の泡で吐出されたが、塗布時に一部がちぎれて、詰まりを生じた。凝固点が5℃未満である油性成分を使った比較例2~4のエアゾール組成物は、液状であり、固体状の泡を形成できなかった。5℃で固体状になる油性成分ではあるが、油脂ではなく炭化水素油を含む比較例5のエアゾール組成物と、5℃で固体状になる油性成分ではあるが、油脂ではなく高級脂肪酸を含む比較例6のエアゾール組成物とは、半液状の泡を形成したが、塗布時に一部がちぎれやすく詰まりを生じた。