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  • 特開-電動機の端子箱 図1
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  • 特開-電動機の端子箱 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023082505
(43)【公開日】2023-06-14
(54)【発明の名称】電動機の端子箱
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/22 20060101AFI20230607BHJP
   H02K 5/10 20060101ALI20230607BHJP
【FI】
H02K5/22
H02K5/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021196329
(22)【出願日】2021-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】513296958
【氏名又は名称】東芝産業機器システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】川村 涼太
【テーマコード(参考)】
5H605
【Fターム(参考)】
5H605AA02
5H605AA07
5H605AA08
5H605BB05
5H605BB10
5H605CC01
5H605CC06
5H605EC01
5H605EC08
5H605EC11
5H605EC18
(57)【要約】
【課題】電動機に対する箱体部の向きの変更の自由度を一層高めることができる電動機の端子箱を提供する。
【解決手段】本実施形態に係る電動機の端子箱は、箱状に形成された箱体部と、前記箱体部を電動機に固定する固定部材と、を備え、前記固定部材は、前記箱体部に取り付けられる箱体部側取付部と、前記箱体部と前記箱体部側取付部とを締結する締結部材と、前記締結部材が挿通される挿通孔部と、を備え、前記挿通孔部内において前記締結部材が前記箱体部と前記箱体部側取付部とを締結する締結位置を調整可能に構成されている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱状に形成された箱体部と、
前記箱体部を電動機に固定する固定部材と、
を備え、
前記固定部材は、
前記箱体部に取り付けられる箱体部側取付部と、
前記箱体部と前記箱体部側取付部とを締結する締結部材と、
前記締結部材が挿通される挿通孔部と、
を備え、
前記挿通孔部内において前記締結部材が前記箱体部と前記箱体部側取付部とを締結する締結位置を調整可能に構成されている電動機の端子箱。
【請求項2】
前記挿通孔部は、長孔状である請求項1に記載の電動機の端子箱。
【請求項3】
前記挿通孔部を通して液体が浸入することを阻止する液体浸入阻止部材をさらに備える請求項1または2に記載の電動機の端子箱。
【請求項4】
前記箱体部側取付部および前記液体浸入阻止部材のうち一方に設けられた溝部と、
前記箱体部側取付部および前記液体浸入阻止部材のうち他方に設けられ、前記溝部内に嵌合可能に構成されている嵌合部と、
をさらに備える請求項3に記載の電動機の端子箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電動機に備えられる端子箱に関する。
【背景技術】
【0002】
電動機においては、その外郭を構成するフレームに端子箱を備えている。この端子箱の内部には、電動機側から延びる口出し線の先端部が収容されている。
【0003】
ところで、この種の電動機の端子箱においては、例えば電動機の据付作業時において、急遽、電動機に対する端子箱の向きを変更したい場合が発生し得る。しかしながら、この種の端子箱は、電動機のフレームに対し、複数の固定点、例えば、4つの固定点において、例えばボルトなどといった締結部材によって固定されている。そのため、電動機に対する端子箱の向きを容易に変更することはできず、仮に変更することができたとしても、実現可能な端子箱の向きは、複数の固定点の位置によって制約を受けてしまう。よって、電動機に対する端子箱の向きの変更の自由度は極めて低い。
【0004】
そこで、例えば特許文献1には、電動機のフレームに固定される矩形板状の底板部と、この底板部に対し向きを変更可能に取り付けられる矩形箱状の箱体部と、を備える端子箱の構成が開示されている。この構成によれば、底板部に対する箱体部の向きを容易に変更することができ、ひいては、電動機に対する箱体部の向きを容易に変更することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-23240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の構成では、矩形板状の底板部に対し矩形箱状の箱体部の向きを90度ピッチで変更できるに過ぎず、従って、変更可能な箱体部の向きは4方向のみである。よって、特許文献1の構成を適用したとしても、電動機に対する箱体部の向きの変更の自由度は、まだまだ限定的である。
【0007】
そこで、電動機に対する箱体部の向きの変更の自由度を一層高めることができる電動機の端子箱を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施形態に係る電動機の端子箱は、箱状に形成された箱体部と、前記箱体部を電動機に固定する固定部材と、を備え、前記固定部材は、前記箱体部に取り付けられる箱体部側取付部と、前記箱体部と前記箱体部側取付部とを締結する締結部材と、前記締結部材が挿通される挿通孔部と、を備え、前記挿通孔部内において前記締結部材が前記箱体部と前記箱体部側取付部とを締結する締結位置を調整可能に構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る電動機の端子箱の構成例を概略的に示す縦断面図
図2】本実施形態に係る電動機側取付部の構成例を概略的に示す図
図3】本実施形態に係る箱体部側取付部の構成例を概略的に示す図
図4】本実施形態に係るパッキンの構成例を概略的に示す図
図5】本実施形態に係る溝部および凸部の構成例を拡大して概略的に示す図
図6】本実施形態に係る電動機に対する箱体部の向きの変更例を概略的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、電動機の端子箱に係る一実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1に例示する電動機の端子箱10は、箱体部11および中間部材12を備えている。箱体部11は、端子箱10の本体部を構成するものであり、中空の矩形箱状に形成されている。箱体部11は、金属製の部材である。箱体部11の内部には、電動機100側から延びる例えば口出し線101の先端部101aが収容されている。
【0011】
中間部材12は、固定部材の一例であり、箱体部11を電動機100のフレーム102に固定するための構成要素である。フレーム102は、電動機100の外郭を構成する金属製の部材である。中間部材12は、金属製の部材であり、この場合、管状部13、電動機側板状部14、箱体部側板状部15を一体的に備えている。
【0012】
管状部13は、中空の円形管状に形成されており、箱体部11と電動機100のフレーム102との間において直線状に延びている。管状部13の内部には、電動機100側から延びる例えば口出し線101を挿通可能となっている。
【0013】
電動機側板状部14は、電動機側取付部の一例であり、管状部13の長手方向の一端側、この場合、電動機100側に設けられている。一方、箱体部側板状部15は、箱体部側取付部の一例であり、管状部13の長手方向の他端側、この場合、箱体部11側に設けられている。中間部材12は、電動機側板状部14が電動機100のフレーム102に取り付けられ、且つ、箱体部側板状部15が箱体部11に取り付けられることにより、箱体部11とフレーム102との中間部において、箱体部11をフレーム102に強固に固定するように構成されている。
【0014】
次に、電動機側板状部14の構成例について詳細に説明する。図2には、電動機100側から見た電動機側板状部14の構成例を示している。図2に例示するように、電動機側板状部14は、管状部13の軸方向に直交する方向に沿う矩形板状に形成されている。また、電動機側板状部14には、複数、この場合、4つのボルト孔部14aが設けられている。複数のボルト孔部14aは、それぞれ電動機側板状部14を板厚方向に貫通している。また、複数のボルト孔部14aは、それぞれ円形状に形成されている。また、複数のボルト孔部14aは、何れも電動機側板状部14のうち管状部13よりも外側となる部分に設けられている。また、複数のボルト孔部14aは、管状部13の周方向に沿って相互に等間隔を有して配置されている。
【0015】
次に、箱体部側板状部15の構成例について詳細に説明する。図3には、箱体部11側から見た箱体部側板状部15の構成例を示している。図3に例示するように、箱体部側板状部15は、管状部13の軸方向に直交する方向に沿う矩形板状に形成されている。また、箱体部側板状部15には、複数、この場合、4つの長孔部15aが設けられている。複数の長孔部15aは、それぞれ箱体部側板状部15を板厚方向に貫通している。また、複数の長孔部15aは、それぞれ管状部13の周方向に沿う円弧形状に形成されている。また、複数の長孔部15aは、何れも箱体部側板状部15のうち管状部13よりも外側となる部分に設けられている。また、複数の長孔部15aは、管状部13の周方向に沿って相互に等間隔を有して配置されている。
【0016】
また、箱体部側板状部15は、溝部15bを一体的に備えている。溝部15bは、管状部13の周方向に沿うようにして円環状に形成されている。また、溝部15bは、管状部13よりも外側であって、且つ、複数の長孔部15aよりも内側となる部分に設けられている。
【0017】
図1に例示するように、電動機側板状部14は、複数のボルト孔部14aが、それぞれボルト14bによって電動機100のフレーム102に締結される。ボルト14bは、電動機側板状部14に電動機100のフレーム102を締結するための締結部材の一例である。なお、電動機100のフレーム102内において、ボルト14bの先端部は、図示しないナットによって締め付けられる。
【0018】
一方、箱体部側板状部15は、複数の長孔部15aが、それぞれボルト15cによって箱体部11に締結される。ボルト15cは、箱体部側板状部15に箱体部11を締結するための締結部材の一例である。また、複数の長孔部15aは、締結部材の一例であるボルト15cが挿通される挿通孔部の一例である。なお、箱体部11内において、ボルト15cの先端部は、ナット15dによって締め付けられる。
【0019】
また、図1に例示するように、端子箱10は、さらにパッキン16を備えている。パッキン16は、例えばゴム材料などといった水密性を有する材料によって構成されている。パッキン16は、液体浸入阻止部材の一例であり、この場合、箱体部11と箱体部側板状部15との間に挟まれるようにして取り付けられている。
【0020】
次に、パッキン16の構成例について詳細に説明する。図4には、電動機100側から見たパッキン16の構成例を示している。図4に例示するように、パッキン16は、管状部13の軸方向に直交する方向に沿う矩形板状に形成されている。また、パッキン16には、複数、この場合、4つのボルト孔部16aが設けられている。複数のボルト孔部16aは、それぞれパッキン16を板厚方向に貫通している。また、複数のボルト孔部16aは、それぞれ円形状に形成されている。また、複数のボルト孔部16aは、何れもパッキン16のうち管状部13よりも外側となる部分に設けられている。また、複数のボルト孔部16aは、管状部13の周方向に沿って相互に等間隔を有して配置されている。また、複数のボルト孔部16aには、それぞれ、箱体部側板状部15に箱体部11を締結するボルト15cが挿通される。
【0021】
また、パッキン16は、凸部16bを一体的に備えている。凸部16bは、管状部13の周方向に沿うようにして円環状に形成されている。図5に例示するように、パッキン16が箱体部11と箱体部側板状部15との間に介在した状態において、凸部16bは、箱体部側板状部15の溝部15b内に嵌まり込む。このように構成される凸部16bは、箱体部側板状部15の溝部15b内に嵌合可能に構成されている嵌合部の一例として定義することができる。
【0022】
以上に例示した端子箱10の構成例によれば、長孔部15aが管状部13の周方向に沿う長孔状となっている。この構成例によれば、例えば図6に「回転例A」および「回転例B」として例示するように、長孔部15a内におけるボルト15cの位置、換言すれば、長孔部15a内においてボルト15cが箱体部11と箱体部側板状部15とを締結する締結位置を任意に調整することができ、これにより、電動機100のフレーム102に対して箱体部11を矢印R1方向および矢印R2方向に適宜回転させて取り付けることができる。よって、本開示に係る端子箱10の構成例によれば、電動機100に対する箱体部11の向き、換言すれば、電動機100に対する箱体部11の取り付け方向の変更の自由度を、従来構成に比べ一層高めることができる。
【0023】
また、端子箱10の構成例によれば、例えば水などの液体が長孔部15aを通して箱体部11内や管状部13内に浸入することを、パッキン16によって阻止することができる。ここで、本開示に係る端子箱10によれば、長孔部15aを長く設けるほど、箱体部11の向きの変更可能範囲を大きく確保することができる。しかしながら、長孔部15aが長くなるほど、当該長孔部15aを通して水などの液体が浸入しやすくなる。
【0024】
本開示に係る端子箱10の構成例によれば、長孔部15aを通した液体の浸入をパッキン16によって阻止するように構成している。そのため、長孔部15aを長く設けて箱体部11の向きの変更可能範囲を大きく確保しながらも、その長孔部15aを通した液体の浸入を十分に抑制することができる。
【0025】
また、端子箱10の構成例によれば、パッキン16が箱体部11と箱体部側板状部15との間に介在した状態において、パッキン16の凸部16bが箱体部側板状部15の溝部15b内に嵌合する構成となっている。この構成例によれば、仮に長孔部15aを通して液体が浸入したとしても、その液体の浸入を、溝部15bと凸部16bとが嵌合した部分において堰き止めることができる。これにより、液体が箱体部11内や管状部13内に浸入することを一層確実に阻止することができる。
【0026】
なお、本開示に係る実施形態は、上述した一実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜、変更や拡張を行うことができる。例えば、端子箱10は、溝部をパッキン16に備え、嵌合部を箱体部側板状部15に備えた構成としてもよい。また、長孔部15aの長さは、適宜変更して実施することができる。また、長孔部15aの数は、適宜変更して実施することができ、例えば、1つであってもよいし、2つ以上の複数であってもよい。また、端子箱10は、長孔部15a内においてボルト15cが箱体部11と箱体部側板状部15とを締結する締結位置に平座金を有した構成としてもよい。
【0027】
以上、本発明に係る実施形態を説明したが、これらの実施形態は、あくまでも例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。本実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明およびその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0028】
図面において、10は電動機の端子箱、11は箱体部、12は中間部材(固定部材)、15は箱体部側板状部(箱体部側取付部)、15aは長孔部(挿通孔部)、15bは溝部、15cはボルト(締結部材)、16はパッキン(液体浸入阻止部材)、16bは凸部(嵌合部)、100は電動機、を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6