(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023082512
(43)【公開日】2023-06-14
(54)【発明の名称】収納ユニット
(51)【国際特許分類】
A47B 67/04 20060101AFI20230607BHJP
A47B 87/00 20060101ALI20230607BHJP
【FI】
A47B67/04 501D
A47B87/00
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021196338
(22)【出願日】2021-12-02
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】517292011
【氏名又は名称】株式会社くまい建築設計
(74)【代理人】
【識別番号】100178179
【弁理士】
【氏名又は名称】桐生 美津恵
(72)【発明者】
【氏名】熊井 幸治
【テーマコード(参考)】
3B160
3B260
【Fターム(参考)】
3B160AA08
3B160AB42
3B160CA02
3B160CA04
3B160CA15
3B160DA44
3B160DB03
3B260BA01
3B260BB01
3B260BB02
3B260BB04
(57)【要約】
【課題】取手や引手が設けられていなくても、収納箱を容易にスライド移動させて多方面から収納物を収納箱に出し入れすることができる収納ユニットを提供する。
【解決手段】収納ユニット1は、底面を除く5面のうち少なくとも1面に開口部27を有する箱状の収納箱20と、収納箱20が挿通される四角筒状の枠体10と、を備え、収納箱20が枠体10に挿通された状態において、収納箱10の上面、底面、左側面及び右側面は枠体10に囲まれており、収納箱20の奥行長さは、枠体10の奥行長さと、収納箱20の背面又は正面が枠体10の一方の開口面と面一になるように配置された状態において収納箱20の上面、左側面又は右側面に設けられた開口部27が枠体10からはみ出している部分の奥行長さと、の合計長さよりも長い。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面を除く5面のうち少なくとも1面に開口部を有する箱状の収納箱と、
前記収納箱が挿通される四角筒状の枠体と、を備え、
前記収納箱が前記枠体に挿通された状態において、前記収納箱の上面、底面、左側面及び右側面は前記枠体に囲まれており、
前記収納箱の奥行長さは、前記枠体の奥行長さと、前記収納箱の背面又は正面が前記枠体の一方の開口面と面一になるように配置された状態において前記収納箱の上面、左側面又は右側面に設けられた前記開口部が前記枠体からはみ出している部分の奥行長さと、の合計長さよりも長いことを特徴とする収納ユニット。
【請求項2】
前記枠体の奥行長さは、前記収納箱の上面、左側面又は右側面に設けられた前記開口部の奥行長さよりも長いことを特徴とする
請求項1に記載の収納ユニット。
【請求項3】
前記枠体は、水平に配置され、厚さ5mm以下の仕切り板である横枠により複数段に仕切られており、各段に前記収納箱を挿通可能であることを特徴とする
請求項1又は2に記載の収納ユニット。
【請求項4】
前記枠体は、鉛直に配置され、厚さ5mm以下の仕切り板である縦枠により複数列に仕切られており、各列に前記収納箱を挿通可能であることを特徴とする
請求項1から3の何れか1項に記載の収納ユニット。
【請求項5】
隣接する列に挿通された2つ収納箱の対向する2つの面のうち少なくとも一方の面に開口部が設けられていることを特徴とする
請求項4に記載の収納ユニット。
【請求項6】
前記枠体の背面側に壁を配置したことを特徴とする
請求項1から5の何れか1項に記載の収納ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納ユニットに関し、特に、多方面から収納物を出し入れすることができ収納ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来使用されているタンス等の収納ユニットに備え付けられている引出し等の収納箱は、例えば、特許文献1に開示されているように、複数段配置されており、各収納箱を個別に出し入れすることが可能である。これらの収納ユニットは、収納箱をある程度手前方向に引き出したとしても傾いたり倒れたりしないように、収納本体の奥行長さを十分確保している。
【0003】
しかしながら、奥行が長い収納ユニットについては、収納箱の奥にある収納物を取り出し辛くなるため、収納箱の正面側上面以外から出し入れするための様々な工夫がなされている。例えば、特許文献2には、収納箱の正面及び背面の2方向から収納物を出し入れできる事例が開示されており、特許文献3及び特許文献4には、収納箱の正面及び側面の2方向から収納物を出し入れできる事例が開示されている。
【0004】
また、特許文献5では、収納ユニットの正面扉に取手となる突起物を設けない代わりに、正面扉上面に引手の代わりとなる隙間が設けられている。また、特許文献6には、平面視矩形状の収納室に四方向から物を出し入れできる収納ユニットが開示されている。
【0005】
しかし、これらの収納ユニットでは、収納箱を引き出す動作とは別に扉を開閉する動作が必要であったり、収納箱を引き出す際に取手を必要とし収納ユニットの美観を損ねる要因になったり、取手が必要無い引き出しであったとしても扉自体に引手代わりとなる隙間が生じたりする。
【0006】
さらに、収納本体が枠体形状の場合、収納箱の奥行き長さは枠体の奥行長さと同じかそれより短いのが一般的であるため、収納箱を押し出した場合に、その反対側で収納物を取り出し易い位置を定めにくいとともに、収納箱が枠体から抜け易くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5-309021号公報
【特許文献2】特開2009-165592号公報
【特許文献3】特開2008-228763号公報
【特許文献4】特開2007-6972号公報
【特許文献5】実用新案登録第3042164号公報
【特許文献6】特開2010-189945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、取手や引手が設けられていなくても、収納箱を容易にスライド移動させて多方面から収納物を収納箱に出し入れすることができる収納ユニットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る収納ユニットは、
底面を除く5面のうち少なくとも1面に開口部を有する箱状の収納箱と、
前記収納箱が挿通される四角筒状の枠体と、を備え、
前記収納箱が前記枠体に挿通された状態において、前記収納箱の上面、底面、左側面及び右側面は前記枠体に囲まれており、
前記収納箱の奥行長さは、前記枠体の奥行長さと、前記収納箱の背面又は正面が前記枠体の一方の開口面と面一になるように配置された状態において前記収納箱の上面、左側面又は右側面に設けられた前記開口部が前記枠体からはみ出している部分の奥行長さと、の合計長さよりも長いことを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、収納箱の奥行長さは枠体の奥行長さよりも長いため、収納箱は枠体から常にはみ出すこととなる。したがって、収納ユニットに取手や引手が設けられていなくても、収納ユニットを容易にスライド移動することができ、収納物を出し入れし易い。また、収納箱は底面を除く5面のうち少なくとも1面に開口部を有するため、多方面から収納物を容易に出し入れすることができる。また、突起物等のない平らな外観とすることができ、美観を高めることができる。
【0011】
上記発明において、前記枠体の奥行長さは、前記収納箱の上面、左側面又は右側面に設けられた開口部の奥行長さよりも長いことを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、前記枠体の奥行長さは、前記収納箱の上面、左側面又は右側面に設けられた開口部の奥行長さよりも長いため、収納ユニットの未使用時には、開口部全体を枠体で覆うことができる。一方、収納物の出し入れ時には、収納箱を容易にスライド移動させて開口部を露出させることができ、当該露出した開口部から収納物を出し入れすることができる。
【0013】
上記発明において、前記枠体は、水平に配置され、厚さ5mm以下の仕切り板である横枠により複数段に仕切られており、各段に前記収納箱を挿通可能であることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、上面が開口している収納箱の蓋の役割を1段上の収納箱が担うことができる。すなわち、収納ユニットの未使用時に各収納箱を整列して配置することで、上面の開口部を閉じた状態することができ、美観と機能性を高めた収納ユニットとすることができる。
【0015】
上記発明において、前記枠体は、鉛直に配置され、厚さ5mm以下の仕切り板である縦枠により複数列に仕切られており、各列に前記収納箱を挿通可能であることを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、側面が開口している収納箱の蓋の役割を隣接する収納箱が担うことができる。すなわち、収納ユニットの未使用時に各収納箱を整列して配置することで、側面の開口部を閉じた状態とすることができ、美観と機能性を高めた収納ユニットとすることができる。
【0017】
上記発明において、隣接する列に挿通された2つの収納箱の対向する2つの面のうち少なくとも一方の面に開口部が設けられていることを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、側面が開口している収納箱の蓋の役割を隣接する収納箱が果たすため、収納ユニットの未使用時に各収納箱を整列して配置することで、側面の開口部を閉じた状態とすることができ、美観と機能性を高めることができる。
【0019】
上記発明において、前記枠体の背面側に壁を配置したことを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、収納箱が枠体から背面側に抜けるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態に係る収納ユニットの斜視図である。
【
図2】同実施形態に係る収納ユニットの各収納箱の背面を枠体の背面側の開口面と面一に配置した場合の斜視図である。
【
図3】
図1に示す収納ユニットにおいて、収納箱の背面が枠体の背面側の開口面と面一に配置されたものと、収納箱の正面が枠体の正面側の開口面と面一に配置されたものと、を混在させた場合の斜視図である。
【
図4】同実施形態に係る収納ユニットの各収納箱の正面を枠体の正面側の開口面と面一に配置した場合の斜視図である。
【
図5】同実施形態に係る収納ユニットの拡大正面図である。
【
図6】
図3に示す収納ユニットの下から2段目の収納箱の平面構造の説明図である。
【
図7】
図2に示す収納ユニットの左側部分の構造の説明図である。
【
図8】
図3に示す収納ユニットの左側部分の構造の説明図である。
【
図9】
図3に示す収納ユニットの右側部分の構造の説明図である。
【
図10】変形例に係る収納ユニットの縦断面図である。
【
図12】(a)は上面が開口している収納箱の斜視図であり、(b)は上面が開口している収納箱の分解斜視図である。
【
図13】(a)は右側面の正面側が開口している収納箱の斜視図であり、(b)は右側面の正面側が開口している収納箱の分解斜視図である。
【
図14】(a)は左側面の背面側が開口している収納箱の斜視図であり、(b)は左側面の背面側が開口している収納箱の分解斜視図である。
【
図15】(a)は背面が開口している収納箱の斜視図であり、(b)は背面が開口している収納箱の分解斜視図である。
【
図16】(a)は上面の正面側が開口している収納箱の斜視図であり、(b)は上面の正面側が開口している収納箱の分解斜視図である。
【
図17】(a)は上面の正面側及び右側面の背面側が開口している収納箱の斜視図であり、(b)は上面の正面側及び右側面の背面側が開口している収納箱の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明の実施形態に係る収納ユニット1の斜視図であり、
図2は、収納ユニット1の各収納箱の背面を枠体の背面側の開口面と面一に配置した場合の収納ユニット1の斜視図であり、
図3は、
図1に示す収納ユニットにおいて、収納箱の背面が枠体の背面側の開口面と面一に配置されたものと、収納箱の正面が枠体の正面側の開口面と面一に配置されたものと、を混在させた場合の収納ユニット1の斜視図であり、
図4は、収納ユニット1の各収納箱の正面を枠体の正面側の開口面と面一に配置した場合の収納ユニット1の斜視図であり、
図7は、
図2に示す収納ユニットの左側部分の構造の説明図であり、
図8は、
図3に示す収納ユニットの左側部分の構造の説明図であり、
図9は、
図3に示す収納ユニットの右側部分の構造の説明図である。
【0024】
これらの図に示すように、収納ユニット1は、正面側及び背面側の両端部に矩形の開口面を有する枠体10と、当該枠体10に挿通される収納箱20と、を備えている。枠体1の底面は床面2に取り付けられており、枠体1の上面は天井面4に取り付けられている。
【0025】
図11は、枠体10の分解斜視図である。枠体10は、4枚の平板で形成された、四角筒状の外周枠体11を備えている。当該外周枠体11の内部空間は、当該内部空間に水平に配置された仕切り板である横枠13により複数段に仕切られているとともに、鉛直に配置された仕切り板である縦枠14により複数列に仕切られている。本実施形態では、横枠13は外周枠体11内に等間隔に3枚配置されており、外周枠体11の内部空間を4段に仕切っている。また、縦枠14は外周枠体11内の中央に1枚配置されており、枠体10の内部空間を2列に仕切っている。
【0026】
外周枠体11の内部空間が横枠13及び縦枠14で仕切られることにより、外周枠体11の内部空間に直方体形状の8つのスペース(正面側から見て左列の下から1段目のスペース41、左列の下から2段目のスペース42、左列の下から3段目のスペース43、左列の下から4段目のスペース44、右列の下から1段目のスペース51、右列の下から2段目のスペース52、右列の下から3段目のスペース53、右列の下から4段目のスペース54)が形成されており、各スペースに収納箱20を挿通することが可能である。
【0027】
横枠13及び縦枠14の厚さは数ミリ程度(少なくとも5mm以下)であり、薄く形成されている。これにより、枠体10の各スペースに挿通された隣接する収納箱20同士の間隔を小さくすることができ、
図2及び
図4に示すように、各収納箱20を整列した場合、収納箱20同士の隙間を目立たなくし、複数の収納箱20の一体性を保持することができる。
外周枠体11は、金属、木材等の強度の高い素材で形成することができる。
横枠13及び縦枠14は、薄くても強度を高くすることができる鉄やアルミ等の金属素材で形成することができる。
【0028】
収納箱20は、箱状の形状を有しており、底面を除く5面(正面、背面、上面、右側面、左側面)のうち少なくとも1面に開口部27を有する。開口部27は面全体に設けてもよいし、面の一部に設けてもよい。また、開口部を設ける面は複数であってもよい。
【0029】
収納箱20の構成をより詳細に説明すると、収納箱20は、開口部27が設けられていないと仮定した場合、6枚の面材で構成される。すなわち、収納箱20は、奥行方向に配置された右側面の面材21及び左側面の面材22と、間口方向に配置された正面の面材23及び背面の面材24と、上面の面材25と、底面の面材26と、で構成される。
【0030】
これらの面材21~26は、比較的薄い面材で形成されており、素材としては、木材のべニアや金属等の不透明素材であってもよいし、これらの不透明素材とアクリル板や硝子等の透明素材との組み合わせであってもよい。
【0031】
収納箱20の上面又は側面の少なくとも1面の全部又は一部には、開口部27が設けられており、その開口部27から収納箱20内の収納物が出し入れされる。
【0032】
図12~
図17には、開口部27を設ける位置や大きさの違いによる収納箱20のバリエーションの例を示す。
図12(a)は上面が開口している収納箱20aの斜視図であり、
図12(b)は上面が開口している収納箱20aの分解斜視図であり、
図13(a)は右側面の正面側が開口している収納箱20bの斜視図であり、
図13(b)は右側面の正面側が開口している収納箱20bの分解斜視図であり、
図14(a)は左側面の背面側が開口している収納箱20cの斜視図であり、
図14(b)は左側面の背面側が開口している収納箱20cの分解斜視図であり、
図15(a)は背面が開口している収納箱20dの斜視図であり、
図15(b)は背面が開口している収納箱20dの分解斜視図であり、
図16(a)は上面の正面側が開口している収納箱20eの斜視図であり、
図16(b)は上面の正面側が開口している収納箱20eの分解斜視図であり、
図17(a)は上面の正面側及び右側面の背面側が開口している収納箱の斜視図であり、
図17(b)は上面の正面側及び右側面の背面側が開口している収納箱の分解斜視図である。
【0033】
なお、以下の説明では、各収納箱を区別して説明する場合には、「収納箱20x(xはa~f)」と記載して説明し、各収納箱を区別して説明する必要がない場合には、単に「収納箱20」と記載する。
【0034】
本実施形態では、
図1~
図4に示すように、枠体10の左列の下から4段目のスペース44に収納箱20bを配置し、右列の下から4段目のスペース54に収納箱20cを配置し、右列の下から2段目のスペース52に収納箱20eを配置し、それ以外の空間には20aを配置している。
【0035】
図3は、
図2に示す状態から、右列の下から2段目のスペース52にある収納箱20eと、右列の下から4段目のスペース54にある収納箱20cと、左列の下から3段目のスペース43にある収納箱20aとを、背面側にスライド移動させた状態を示している。
【0036】
収納箱20の奥行長さは枠体10の奥行長さよりも大きく設定しているため、
図2又は
図4の状態から各収納箱20を若干スライド移動させることで、開口部27を外部に露出させることができる。
図3では、左列の下から2段目のスペース42にある収納箱20aと、右列の下から1段目のスペース51と3段目のスペース53にある収納箱20aは、上部の開口部27が外部に露出しており、当該露出している開口部27から収納物を出し入れできる。また、左列の下から3段目のスペース43の収納箱20aは、上部の開口部27が背面側に露出しており、当該露出している開口部27から収納物を出し入れできる。
【0037】
以下、各種寸法について詳細に説明する。
図5は、収納ユニット1における左右に隣接する2つの収納箱20の拡大正面図である。収納箱20の高さ(面材21、22、23、24の高さ)H2は、横枠13間の距離H1よりも数ミリ程度(クリアランス分)だけ短い。
また、収納箱20の幅(面材23、24の幅)W2は、縦枠14間の距離W1よりも数ミリ程度(クリアランス分)だけ短い。
収納箱20が枠体10内に配置されている状態では、収納箱20は枠体10(外周枠体11、横枠13、縦枠14)と収納箱20との間にクリアランス分の余裕が生じる程度に枠体10に嵌る。収納箱20の正面の面材23又は背面の面材24を押し出す事で、収納箱20は奥行方向にスライドする。
【0038】
図6は、
図3に示す収納ユニット1の下から2段目の収納箱20a、20bの構造の説明図である。
図6に示すように、収納箱20a、20eの正面から背面までの長さである奥行長さL2は、枠体10における収納箱20a、20eが挿通される方向の長さである奥行長さL1よりも長く設定している。一般論として数式で示すと、以下のとおりとなる。
(収納箱20の奥行長さL2)>(枠体10の奥行長さL1) ‥‥(式1)
本実施形態では、収納箱20の奥行長さL2は枠体10の奥行長さL1の略2倍に設定している。
これにより、収納箱20a、20eの奥行方向の一部は枠体10から常にはみ出した状態となる。これにより、収納箱20a、20eに取手や引手がなくても、収納箱20a、20eを水平方向にスライド移動させ易い。したがって、収納物を収納する際には、開口部27が外部に露出していない場合には、収納箱20aをスライド移動させて開口部27を露出させた上で、また、開口部27が外部に露出している場合にはそのままの状態で、開口部27から収納物を出し入れすることができる。
また、(収納箱の奥行長さL2)≦(枠体の奥行長さL1)である従来の引き出しでは、収納箱を枠体から片側に大きく跳ね出す事で、収納箱と枠体との重なりが徐々に少なくなり、引き出しが比較的倒れやすい構造にある。一方で、(収納箱の奥行長さL2)>(枠体の奥行長さL1)とした本実施形態の場合では、収納箱20は枠体10から両側に跳ね出しており、収納箱20と枠体10との重なりが収納箱20の面と枠体10の開口面とが面一になる状態まで倒れにくい状態を維持でき、収納ユニット1が比較的倒れにくい構造にある。また、収納箱20には一部に開口部27が備わっていてもあくまで箱状であることには変わりない為、収納箱20大きく引き出した際であっても収納箱20全体が一体となって枠体10との小さなクリアランスの間で片持ち支持できる構造にある。
【0039】
また、
図6の左側の収納箱20aに示すように、収納箱20aの奥行長さL2は、枠体10の奥行長さL1と、収納箱20aの背面又は正面が枠体10の一方の開口面と面一になるように配置された状態において収納箱20aの開口部27が枠体10からはみ出している部分の奥行長さL4と、の合計長さよりも長い。一般論として数式で示すと、以下のとおりとなる。
(収納箱20の奥行長さL2)>(枠体10の奥行長さL1)+(収納箱20の背面又は正面が枠体10の一方の開口面と面一になるように配置された状態において収納箱20の開口部27が枠体10からはみ出している部分の奥行長さL4) ‥‥(式2)
【0040】
(式2)のように設定することで、収納箱20の右側面の面材21の一部、左側面の面材22の一部、上面の面材25の一部、及び、底面の面材26の一部は、常に枠体10からはみ出した状態となる。また、収納箱20に設けられた開口部27は、当該開口部27が設けられた位置及び大きさによっては、全部又は一部が枠体10からはみ出した状態となる。したがって、収納物を出し入れする際に、収納箱20をスライド移動させる距離を短くし、容易に収納物を出し入れすることができる。
【0041】
また、収納箱20を枠体10に収める際には、従来のように、(枠体10の奥行長さL1)≧(収納箱20の奥行長さL2)とした場合、収納箱20を枠体10の背面側奥に入り込むまで押し込む必要がある。一方、(式2)のように設定した場合には、収納箱20の開口部27が正面側に長さL4だけはみ出している状態から収納箱20を背面側に押し出して収納箱20を閉じた状態とする場合、正面の面材23が枠体10の正面側開口面と面一になるまで押し出せばよい。
【0042】
また、
図8に示すように、収納箱20の正面の面材23が枠体10の内側に潜り込む(すなわち、凹状態となる)手前で止めるか、又は枠体10の正面側開口と面一になるまで押し出すことで、収納箱20が枠体10の背面側から抜け落ちる前に押し出しを止める目安とすることができる。
【0043】
従来における引き出しでは、
図2のように収納箱20が枠体10より手前に引き出されたまま状態では「扉が全て開いたままの状態」であると認識され、引き出しを使用しない場合は
図4のように収納箱20の正面の面材23を枠体10の正面側開口面と面一にして「扉を全て閉ざした状態」に戻す必要があるという認識がある。それに対して、本実施形態では、数ミリ程度の薄い横枠13及び縦枠14と、数ミリ程度のクリアランスとなる横枠13及び縦枠14と収納箱20との隙間と、によって、整列された収納箱20同士の隙間は取手の機能を満たす大きな隙間では無い為、「扉が全て開いたままの状態」ではなく「扉を全て閉ざした状態」とすることができる。
【0044】
このように、収納ユニット1の未使用時には、
図2及び
図4に示すように各収納箱20を整列して配置することで、美観を向上させることできる。また、使用時には、収納箱20をスライド移動させることで。収納物を多方面から容易に出し入れすることができ機能性を高めることができる。なお、収納箱20は正面側・背面側いずれからも水平に押し出すことができ、押し出すことではみ出した開口部27から収納物を取り出す事ができる。
【0045】
また、
図6に示す右側の収納箱20eの枠体10の奥行長さL1は、収納箱20eの開口部27の奥行長さL3よりも長い。一般論として数式で示すと、以下のとおりとなる。
(枠体10の奥行長さL1)>(収納箱20の開口部27の奥行長さL3) ‥‥(式3)
【0046】
(式3)のように設定した場合、収納箱20の上面、左側面又は右側面に設けられた開口部27の全体を枠体10で覆うことができる。開口部27全体が枠体10で覆われて外部に露出していない場合、開口部27は閉じた状態となり収納物を出し入れすることができない。一方、収納箱20の開口部27に枠体10と重ならない部分があり当該開口部27が外部に露出している場合、開口部27は開いた状態となり、当該開いた開口部27から収納物を出し入れすることができる。
開口部27を設けた位置及び大きさによっては、正面側に開口部27が露出しておらず収納物を正面側から出し入れできない状態であっても、背面側に開口部27が露出している場合には背面側から収納物を出し入れできる。
なお、ここでは、L1>L3としているため、L3を最大限に広げられる範囲はL1≒L3の場合である。L3を最大限広げた場合には、閉じた状態から収納箱20を少しスライド移動させれば、上面、左側面又は右側面に設けられた開口部27を開いた状態とすることができ、収納物の出し入れを容易に行うことができる。
【0047】
枠体10の正面側と背面側にはそれぞれ、収納箱20をスライド移動するのに支障とならないスペースが設けられている。
具体的には、
図6に示す右側の収納箱20eの正面側及び背面側には、収納箱20eの上面に設けられた開口部27の奥行長さL3以上の奥行長さを有するスペースが設けられている。
また、
図6に示す左側の収納箱20aの正面側及び背面側には、収納箱20aの背面又は正面が枠体10の一方の開口面と面一になるように挿通された状態において開口部27が枠体10からはみ出している部分の奥行長さL4以上の奥行長さを有するスペースが設けられている。
これにより、収納箱20a、20eは障害物に邪魔されることなくスムーズにスライド移動させ、開口部27を外部に露出したり閉じたりすることができる。
【0048】
上下に隣接する収納箱20のうち下側を上面開口の収納箱20a、20eとすることで、各収納箱20を整列した場合、収納箱20a、20eの開口部27は上側の収納箱20で塞がれるため、下側の収納箱20a、20eに隣接する上側の収納箱20は当該下側の収納箱20a、20eの開口部27の蓋の役割を果たす。
【0049】
具体的には、
図1~
図4に示す収納ユニット1においては、上から2段目以降の、上面に開口部27が設けられている収納箱20a、20eについて、一段上の収納箱20の底面の面材26が収納箱20a、20eの開口部27の蓋の役割を果たす。
図2及び
図4に示すように、各収納箱20を整列して配置した場合、各段の収納箱20a、20eの開口部27は閉ざされて収納物を出し入れできない状態となり、また、収納箱20a、20eの内部は外部から視認されることがない。このように、機能性と美観を高めた収納ユニット1とすることができる。
【0050】
また、隣接する列に挿通された2つ収納箱20の対向する2つの面のうち少なくとも一方の面に開口部27を設けることで、当該開口部27を有する収納箱20に隣接する収納箱20が、当該開口部27の蓋の役割を果たす。
【0051】
具体的には、
図1~
図4に示す収納ユニット1においては、枠体10の左列の下から4段目のスペース44に収納箱20bを配置し、右列の下から4段目のスペース54に収納箱20cを配置しているため、左右に隣接する収納箱20b、20cの互いに対向する面に開口部27が配置される。
図2及び
図4に示すように、各収納箱20を整列して配置し、2つの収納箱20b、20cの側面を対向した状態とすると、当該収納箱20b、20cの開口部27が互いの側面で塞がれて、開口部27から収納物を出し入れすることができない。
一方、
図3に示すように、収納箱20cを
図2の状態から水平方向背面側にスライド移動させると、収納箱20cの左側面に設けられた開口部27が外部に露出し、当該開口部27から収納物を出し入れすることができる。
【0052】
なお、最上段の収納箱20には、当該収納箱10の上面の蓋となるものが存在しないため、本実施形態では、最上段に上面開口の収納箱20a、20eを用いなかったが、最上段の高さが人の目線以上の高さであれば収納箱20の上面は視認されにくいため、最上段に上面開口の収納箱20a、20eを用いてもよい。
【0053】
また、収納箱20bの開口部27は正面寄りに配置され、収納箱20cの開口部27は背面寄りに配置されているため、収納箱20b、20cを奥行方向を揃えて配置した場合に開口部27の位置は互い違いになるが、開口部27を設ける位置はこれに限定されることはなく、開口部27の位置が左右対称になるようにしてもよいし、開口部27の奥行長さを長くしてもよいし短くしてもよい。
【0054】
開口部27を設ける位置、大きさ、数は、用途に合わせて変形することができる。例えば、
図17(a)、(b)に示す収納箱20fは、収納箱20bと収納箱20eの開口部27の位置を組み合わせたものとしている。
この場合、収納箱20fの開口部27の開閉状態は、上下方向に隣接する収納箱20及び左右方向に隣接する収納箱20と重なりによって変化させる事ができる。
【0055】
以上説明したように、上述した収納ユニット1の構成とすることで、収納ユニット1に取手や引手が設けられていなくても、枠体10に配置された収納箱20を容易にスライド移動させて収納箱20から収納物を容易に出し入れすることができる。また、収納箱20を整列させて配置することで、収納ユニット10は突起物等のない平らな外観となるため美観を高めることができる。また、収納箱20は底面を除く5面のうち少なくとも1面に開口部27を有するため、多方面から物品を出し入れすることができ、収納箱20内の収納物を出し入れし易い。このように、機能と美観に配慮した多面収納とすることができる。
【0056】
なお、上述した実施形態は一例に過ぎず、特許請求の範囲に記載の発明の範囲内で種々の変形が可能である。
例えば、枠体1の上面は天井面4に取り付けられていなくてもよいし、枠体1の底面は床面2に載置されているだけでもよい。
【0057】
また、収納箱20の開口部27は収納箱20aのように最大限広く確保してもよいし、収納箱20eのように大きさを限定してもよく、開口部27の配置や大きさは用途に応じて変形可能である。
例えば、本実施形態では、収納箱20eの開口部27は、正面の面材23側に寄せて配置しているが、これに限定されることはなく、例えば、正面側の面材23と背面側の面材24との中間部に配置してもよい。この場合には、長さL3以上の長さの面材21、22、25、26が開口部27から正面側と背面側の両側に延伸される。
【0058】
また、収納箱20を取り外したり、収納箱20の正面側と背面側の向きを反転する事も容易である事から、例えば、正面側と背面側で面材の素材を変える等、バリエーションを増やすこともできる。
【0059】
また、枠体10の背面側に壁を配置してもよい。
図10は、変形例に係る収納ユニット1Aの縦断面図である。本変形例では、枠体10の背面側に壁面3を配置し、枠体10に
図15(a)、(b)に示す背面開口の収納箱20dを挿通している。枠体10と壁面3との間に隙間L3’が設けられている。
【0060】
同図に示すように、下から2~4段目の収納箱20dは、背面側の開口部27が壁面3により閉じられ、収納物を出し入れできなくなるが、枠体10と壁面3との間に隙間L3’が設けられていため、その隙間L3’から収納物を取り出すこともできる。また、その隙間L3’に手を入れて枠体10を把持し、収納箱20dを正面側へ押し出すことで、正面側への移動操作がしやすくなる。また隙間L3’は、メンテナンスやコンセント配線等、多目的に利用することが可能である。このように、枠体10の背面側に壁を配置することで、収納箱20が枠体10から背面側に抜けるのを防ぐことができる。
また、下から1段目の収納箱20dは、間口方向の正面の面材23と背面側の開口部27の向きを逆にして、正面の面材23が壁面3と接触させるように、正面の面材23を一番奥に嵌め込んだものである。正面の面材23を扉として使う必要が無い場合は、このように配置して、使い勝手をよくしてもよい。
【0061】
また、上述した実施形態では、枠体10に複数の収納箱20を挿通する場合について説明したが、これに限定されることはなく、例えば、枠体10は外周枠体11のみで構成し、当該外周枠体11に1つの収納箱20を挿通するようにしてもよい。
この場合には、収納箱20として、枠体10の奥行長さL2が開口部27の奥行長さL3以上となる収納箱20e等を使用することで、収納箱20の開口部27の全体を枠体10で覆い、閉じた状態とすることができる。
【0062】
或いは、外周枠体11を横枠13のみで複数段に仕切り、各段に各収納箱20を挿通してもよいし、外周枠体11を縦枠14のみで複数列に仕切り、各列に収納箱20を挿通してもよい。
【符号の説明】
【0063】
1、1A 収納ユニット
2 床面
4 天井面
10 枠体
11 外周枠体
13 横枠
14 縦枠
20 収納箱
21 右側面の面材
22 左側面の面材
23 正面の面材
24 背面の面材
25 上面の面材
26 底面の面材
27 開口部
【手続補正書】
【提出日】2021-12-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正書】
【提出日】2022-02-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面を除く5面のうち少なくとも1面に開口部を有する箱状の収納箱と、
前記収納箱が挿通される四角筒状の枠体と、を備え、
前記収納箱が前記枠体に挿通された状態において、前記収納箱の上面、底面、左側面及び右側面は前記枠体に囲まれており、
前記収納箱の奥行長さは、前記枠体の奥行長さと、前記収納箱の背面又は正面が前記枠体の一方の開口面と面一になるように配置された状態において前記収納箱の上面、左側面又は右側面に設けられた前記開口部が前記枠体からはみ出している部分の奥行長さと、の合計長さよりも長く、
前記枠体の奥行長さは、前記収納箱の上面、左側面又は右側面に設けられた前記開口部の奥行長さよりも長いことを特徴とする収納ユニット。
【請求項2】
底面を除く5面のうち少なくとも1面に開口部を有する箱状の収納箱と、
前記収納箱が挿通される四角筒状の枠体と、を備え、
前記収納箱が前記枠体に挿通された状態において、前記収納箱の上面、底面、左側面及び右側面は前記枠体に囲まれており、
前記収納箱の奥行長さは、前記枠体の奥行長さと、前記収納箱の背面又は正面が前記枠体の一方の開口面と面一になるように配置された状態において前記収納箱の上面、左側面又は右側面に設けられた前記開口部が前記枠体からはみ出している部分の奥行長さと、の合計長さよりも長く、
前記枠体は、水平に配置され、厚さ5mm以下の仕切り板である横枠により複数段に仕切られており、各段に前記収納箱を挿通可能であることを特徴とする収納ユニット。
【請求項3】
底面を除く5面のうち少なくとも1面に開口部を有する箱状の収納箱と、
前記収納箱が挿通される四角筒状の枠体と、を備え、
前記収納箱が前記枠体に挿通された状態において、前記収納箱の上面、底面、左側面及び右側面は前記枠体に囲まれており、
前記収納箱の奥行長さは、前記枠体の奥行長さと、前記収納箱の背面又は正面が前記枠体の一方の開口面と面一になるように配置された状態において前記収納箱の上面、左側面又は右側面に設けられた前記開口部が前記枠体からはみ出している部分の奥行長さと、の合計長さよりも長く、
前記枠体は、鉛直に配置され、厚さ5mm以下の仕切り板である縦枠により複数列に仕切られており、各列に前記収納箱を挿通可能であることを特徴とする収納ユニット。
【請求項4】
隣接する列に挿通された2つ収納箱の対向する2つの面のうち少なくとも一方の面に開口部が設けられていることを特徴とする
請求項3に記載の収納ユニット。
【請求項5】
前記枠体の背面側に壁を配置したことを特徴とする
請求項1から4の何れか1項に記載の収納ユニット。