(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023082561
(43)【公開日】2023-06-14
(54)【発明の名称】電気推進装置
(51)【国際特許分類】
H02P 21/22 20160101AFI20230607BHJP
【FI】
H02P21/22
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021196419
(22)【出願日】2021-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】000195959
【氏名又は名称】西芝電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】廣納 秀年
【テーマコード(参考)】
5H505
【Fターム(参考)】
5H505AA30
5H505CC06
5H505DD03
5H505DD08
5H505EE07
5H505EE30
5H505EE41
5H505GG02
5H505GG04
5H505GG07
5H505HA06
5H505HB01
5H505JJ03
5H505JJ06
5H505JJ17
5H505LL07
5H505LL22
5H505LL39
5H505MM16
(57)【要約】
【課題】船内母線系統電力変動を抑制できる電気推進装置を提供すること。
【解決手段】本発明における電気推進装置は、速度検出器により検出された回転速度と速度設定器により設定された回転速度の速度基準の差分をもとに第1トルク基準を生成する速度制御器と、速度検出器により検出される回転速度の変動に応じて速度制御器により生成される前記第1トルク基準よりも変動が少ない第2トルク基準を生成する生成回路と、速度制御器により生成される第1トルク基準と生成回路により生成される第2トルク基準を排他的に切り替える切替回路と、第1トルク基準あるいは第2トルク基準を基に磁束基準を生成する磁束基準演算器および磁化成分電流演算器と、速度制御器および磁化成分電流演算器により生成された電流基準信号と電力変換器の検出電流との差分増幅する電流制御器と、電力変換器の電流を検出する変流器と、電力変換器のベクトル制御を行うための座標変換器とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源を電源とする船内母線系統に接続され、プロペラが接続される推進用電動機を駆動する電力変換器と、
前記推進用電動機の回転速度を設定する速度設定器と、
前記推進用電動機の回転速度を検出する速度検出器と、
前記速度検出器により検出される回転速度を基に位相を定める位相演算器と、
前記速度検出器により検出された回転速度と前記速度設定器により設定された回転速度の速度基準の差分をもとに第1トルク基準を生成する速度制御器と、
前記速度検出器により検出される回転速度の変動に応じて前記速度制御器により生成される前記第1トルク基準よりも変動が少ない第2トルク基準を生成する生成回路と、
前記速度制御器により生成される第1トルク基準と前記生成回路により生成される第2トルク基準を排他的に切り替える切替回路と、
前記第1トルク基準あるいは前記第2トルク基準を基に磁束基準を生成する磁束基準演算器および磁化成分電流演算器と、
前記速度制御器および磁化成分電流演算器により生成された電流基準信号と電力変換器の検出電流との差分増幅する電流制御器と、
前記電力変換器の電流を検出する変流器と、
前記電力変換器のベクトル制御を行うための座標変換器とを備えたことを特徴とする電気推進装置。
【請求項2】
前記生成回路は、
前記速度設定器により設定された回転速度の速度基準を3乗演算する3乗演算器と、
前記3乗演算器の演算結果と前記速度検出器により検出される前記回転速度を基に前記第2トルク基準を演算する回路とを備えたことを特徴とする請求項1記載の電気推進装置。
【請求項3】
前記生成回路は、
前記速度設定器により設定された回転速度の速度基準に応じて前記速度制御器により生成される前記第1トルク基準よりも変動が少ない、前記速度設定器により設定される複数の異なる回転速度の速度基準のそれぞれに応じた前記第2トルク基準が対応づけられた、前記速度設定器により設定された回転速度に応じた前記第2トルク基準を決定するトルク基準テーブルを備えたことを特徴とする請求項1記載の電気推進装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船内系統における電気推進装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図3は、非特許文献1に示された従来のベクトル制御インバータを用いた電気推進装置制御方法の構成図である。
【0003】
図3において、1は後述の3~14を包括するシステムである電気推進装置、2は速度設定器、3は速度制御器、4は磁束基準演算器、5は磁化成分電流演算器、6,7は電流制御器、8は位相演算器、9,10は座標変換器、11は電力変換器、12は変流器、13は推進用電動機、14は速度検出器、15は推進用プロペラ、16は電力変換器用遮断器、17はディーゼル発電機等の交流電源用遮断器、18はディーゼル発電機等の交流電源、19は船内母線系統である。
【0004】
図3に示す従来の電気推進装置1における通常の動作を説明する。
【0005】
船内母線系統19は、遮断器17を介してディーゼル発電機等の交流電源18が接続されて構成される。船内母線系統19は、遮断器16を介して、電気推進装置1の電力変換器11と接続される。
【0006】
電力変換器11は、船内母線系統19から供給される電力を推進用電動機(PM)13に供給する。推進用電動機13は、推進用プロペラ15の動力であり、電力変換器11から供給される電力により推進用プロペラ15を駆動する。
【0007】
速度設定器2は、推進電動機13の回転速度を設定して速度基準ω*を生成する。速度制御器3は、速度設定器2により生成された速度基準ω*と、速度検出器(PG)14により検出された推進電動機13の回転速度(実速度ω)との差を誤差増幅し、トルク基準τ*を生成する。
【0008】
また、磁束基準演算器4は、速度検出器14に検出された実速度ωを基に、磁束基準Φ2*を演算して、磁化成分電流演算器5に出力する。磁化成分電流演算器5は、磁束基準演算器4からの磁束基準Φ2*をもとに磁化成分電流基準Id*を生成する。
【0009】
除算器20は、前述のトルク基準τ*および磁束基準Φ2*により、トルク成分電流基準Iq*を生成する。
【0010】
変流器12は、電力変換器11の実電流を検出する。座標変換器9は、変流器12により検出された実電流、および位相演算器8により回転速度(実速度ω)を基に定められた位相θ1を基にして座標変換し、トルク成分電流フィードバックIqと磁化成分電流フィードバックIdを出力する。トルク成分電流フィードバックIqは、前述のトルク成分電流基準Iq*と差分増幅し、電流制御器7を介してベクトル制御の座標変換器10に供給される。また、磁化成分電流フィードバックIdは、磁化成分電流基準Id*と差分増幅し、電流制御器6を介して座標変換器10に供給される。座標変換器10は、電流制御器6,7からの入力を基に、電力変換器1次電圧基準(Vu*,Vv*,Vw*)を生成し、推進用電動機13を運転する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】電気学会「電気工学ハンドブック」第6版21編 ドライブシステム4章,誘導機の可変速ドライブ,P886,
図43
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
図3に示される従来の電気推進装置1において、速度設定器2の速度基準ω
*と実速度ωの誤差増幅によりトルク基準演算を行うが、一般に速度制御器2のゲインは大きく、実速度変動が微小である場合でも演算結果としてトルク基準τ
*が急峻に変動する。
【0013】
特に荒天時には、電気推進装置1の負荷変動が常時発生することにより実速度ωが変動するため、トルク基準τ*の急峻な変動を引き起こす。トルク基準τ*の変動は、電力変換器11および推進電動機13の電力変動に寄与するが、電力変換器11の電圧,電流は船内母線系統19より給電されることから、結果として船内母線系統電力19が急峻に変動することになり、船内母線系統19に電力を供給するディーゼル発電機等の交流電源18や電源機器に悪影響を与えるという課題があった。
【0014】
本発明は、船内母線系統電力変動を抑制できる電気推進装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明による電気推進装置は、交流電源を電源とする船内母線系統に接続され、プロペラが接続される推進用電動機を駆動する電力変換器と、前記推進用電動機の回転速度を設定する速度設定器と、前記推進用電動機の回転速度を検出する速度検出器と、前記速度検出器により検出される回転速度を基に位相を定める位相演算器と、前記速度検出器により検出された回転速度と前記速度設定器により設定された回転速度の速度基準の差分をもとに第1トルク基準を生成する速度制御器と、前記速度検出器により検出される回転速度の変動に応じて前記速度制御器により生成される前記第1トルク基準よりも変動が少ない第2トルク基準を生成する生成回路と、前記速度制御器により生成される第1トルク基準と前記生成回路により生成される第2トルク基準を排他的に切り替える切替回路と、前記第1トルク基準あるいは前記第2トルク基準を基に磁束基準を生成する磁束基準演算器および磁化成分電流演算器と、前記速度制御器および磁化成分電流演算器により生成された電流基準信号と電力変換器の検出電流との差分増幅する電流制御器と、前記電力変換器の電流を検出する変流器と、前記電力変換器のベクトル制御を行うための座標変換器とを備える。
【0016】
請求項2に記載の発明による電気推進装置は、請求項1記載の電気推進装置において、前記生成回路は、前記速度設定器により設定された回転速度の速度基準を3乗演算する3乗演算器と、前記3乗演算器の演算結果と前記速度検出器により検出される前記回転速度を基に前記第2トルク基準を演算する回路とを備える。
【0017】
請求項3に記載の発明による電気推進装置は、請求項1記載の電気推進装置において、前記生成回路は、前記速度設定器により設定された回転速度の速度基準に応じて前記速度制御器により生成される前記第1トルク基準よりも変動が少ない、前記速度設定器により設定される複数の異なる回転速度の速度基準のそれぞれに応じた前記第2トルク基準が対応づけられた、前記速度設定器により設定された回転速度に応じた前記第2トルク基準を決定するトルク基準テーブルを備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明の電気推進装置によれば、トルク基準の急峻な変動が生じず、結果として船内母線系統電力の変動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第1の実施形態における電気推進装置の構成の一例を示すブロック図。
【
図2】本発明の第2の実施形態における電気推進装置の構成の一例を示すブロック図。
【
図3】従来の電気推進装置の構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
【0021】
<第1の実施形態>
(構成)
図1は、本発明の第1の実施形態における電気推進装置の構成の一例を示す図である。
【0022】
図1において、100は後述の3~14および21~23を包括するシステムである電気推進装置、2は速度設定器、3は速度制御器、4は磁束基準演算器、5は磁化成分電流演算器、6,7は電流制御器、8は位相演算器、9,10は座標変換器、11は電力変換器、12は変流器、13は推進用電動機、14は速度検出器、15は推進用プロペラ、16は電力変換器用遮断器、17はディーゼル発電機等の交流電源用遮断器、18はディーゼル発電機等の交流電源、19は船内母線系統、20は除算器、21は速度制御器3により演算したトルク基準(第1トルク基準)を選択するための切替器、22は速度設定機器2からの速度設定信号を3乗演算する3乗演算器、23は3乗演算器22による3乗演算の演算結果と実速度ωからトルク基準(第2トルク基準)を演算する除算器、24は除算器24により演算されたトルク基準(第2トルク基準)を選択するための切替器である。
【0023】
図1において、前述した
図3に示す電気推進装置1と同じ構成ついては同一符号を付して説明を省略する。
(作用)
図1は、
図3に示す従来の電気推進装置1の構成に対して、速度検出器14により検出される回転速度(実速度ω)の変動に応じて速度制御器3により生成されるトルク基準τ
*(第1トルク基準)よりも変動が少ないトルク基準τ
*(第2トルク基準)を生成する生成回路と、速度制御器3により生成されるトルク基準τ
*(第1トルク基準)と生成回路により生成されるトルク基準τ
*(第2トルク基準)を排他的に切り替える切替回路とを追加したものである。
【0024】
第1の実施形態において、トルク基準τ*(第2トルク基準)を生成する生成回路は、速度設定器2により設定された回転速度の速度基準ω*を3乗演算する3乗演算器22と、3乗演算器22の演算結果と速度検出器14により検出される回転速度(実速度ω)を基に第2トルク基準を演算する除算器23により構成される。また、切替回路として、切替器21,24が設けられている。
【0025】
従来の技術では、速度設定器2による速度基準ω*と速度検出器14による実速度ωとの差を速度制御器3により誤差増幅し、トルク基準τ*を生成するが、一般に速度制御器3のゲインは大きく、実速度変動が微小である場合でも演算結果としてトルク基準が急峻に変動する。
【0026】
ここで、推進用プロペラ15の負荷特性(電力-速度特性)として、電力は速度の3乗に比例し、速度ω,トルクτ,電力Pの関係はτ=P/ωで与えられることが知られている。そこで、速度設定器2の速度基準ω*から3乗演算器23により演算した電力基準値P*を、速度検出器14による実速度ωで除算器24により除算してトルク基準τ*を決定することで、速度基準ω*が変化しない限り急峻な変動のないトルク基準を生成できる。
【0027】
切替器21,24は、トルク基準変動を抑える必要がある操作を行う場合、例えば荒天時などの電気推進装置1の負荷変動が常時発生することにより実速度ωが変動する場合に、切替器24を閉、切替器21を開にする。すなわち、速度制御器3により生成されるトルク基準τ
*(第1トルク基準)に代えて、生成回路(3乗演算器23、除算器23)により生成されるトルク基準τ
*(第2トルク基準)に切り替える。
(効果)
第1の実施形態によれば、実速度ωが変動する場合であってもトルク基準変動を抑える生成回路(3乗演算器23、除算器23)、および速度制御器3により生成されるトルク基準τ
*(第1トルク基準)から生成回路により生成されるトルク基準τ
*(第2トルク基準)に切り替える切替器21,24を備えることにより、急峻な変動のないトルク基準により電力変換器11を制御し、結果として電力変換器11、推進電動機13および船内母線系統19の電力変動を抑制することが可能となる。
<第2の実施形態>
(構成)
図2は、本発明の第2の実施形態における電気推進装置の構成の一例を示す図ある。
【0028】
図2において、101は後述の3~14および21,25,26を包括するシステムである電気推進装置、2は速度設定器、3は速度制御器、4は磁束基準演算器、5は磁化成分電流演算器、6,7は電流制御器、8は位相演算器、9,10は座標変換器、11は電力変換器、12は変流器、13は推進用電動機、14は速度検出器、15は推進用プロペラ、16は電力変換器用遮断器、17はディーゼル発電機等の交流電源用遮断器、18はディーゼル発電機等の交流電源、19は船内母線系統、20は除算器、21は速度制御器3により演算したトルク基準(第1トルク基準)を選択するための切替器、25はトルク基準テーブル26を選択するための切替器、26はトルク基準テーブルである。
【0029】
図2において、前述した
図3に示す電気推進装置1と同じ構成ついては同一符号を付して説明を省略する。
(作用)
図2は、
図3に示す従来の電気推進装置1の構成に対して、第1に示す第1の実施形態における電気推進装置100と同様に、速度検出器14により検出される回転速度(実速度ω)の変動に応じて速度制御器3により生成されるトルク基準τ
*(第1トルク基準)よりも変動が少ないトルク基準τ
*(第2トルク基準)を生成する生成回路と、速度制御器3により生成されるトルク基準τ
*(第1トルク基準)と生成回路により生成されるトルク基準τ
*(第2トルク基準)を排他的に切り替える切替回路とを追加したものである。
【0030】
第2の実施形態において、トルク基準τ*(第2トルク基準)を生成する生成回路は、トルク基準テーブル26による構成される。トルク基準テーブル26は、速度設定器2により設定された回転速度の速度基準ω*に応じて速度制御器3により生成されるトルク基準τ*(第1トルク基準)よりも変動が少ない、速度設定器2により設定される複数の異なる回転速度の速度基準ω*のそれぞれに応じたトルク基準τ*(第2トルク基準)が対応づけられて設定されている。トルク基準テーブル26は、速度設定器2により設定される回転速度の速度基準ω*に対応するトルク基準τ*(第2トルク基準)を決定して出力する。また、切替回路として、切替器21,25が設けられている。
従来の技術では、速度設定器2による速度基準ω*と速度検出器14による実速度ωとの差を速度制御器3により誤差増幅し、トルク基準τ*を生成するが、一般に速度制御器3のゲインは大きく、実速度変動が微小である場合でも演算結果としてトルク基準が急峻に変動する。
【0031】
ここで、速度設定器2の速度基準ω*に対応するトルク基準τ*をトルク基準テーブル26により決定することで、速度基準ω*が変化しない限り急峻な変動のないトルク基準を生成できる。
【0032】
切替器21,25は、トルク基準変動を抑える必要がある操作を行う場合、例えば荒天時などの電気推進装置1の負荷変動が常時発生することにより実速度ωが変動する場合に、切替器25を閉、切替器21を開にする。すなわち、速度制御器3により生成されるトルク基準τ*(第1トルク基準)に代えて、生成回路(トルク基準テーブル26)により生成されるトルク基準τ*(第2トルク基準)に切り替える。
(効果)
第2の実施形態によれば、実速度ωにより電力は変動するが、実速度ωの変化率が速度制御器3の出力(トルク基準τ*(第1トルク基準))の変化率より一般に小さいため、速度設定器2において設定された回転速度の速度基準ω*に応じたトルク基準τ*(第2トルク基準)を出力するトルク基準テーブル26、および速度制御器3により生成されるトルク基準τ*(第1トルク基準)から生成回路により生成されるトルク基準τ*(第2トルク基準)に切り替える切替回路(切替器21,25)を備えることにより、急峻な変動のないトルク基準により電力変換器11を制御し、結果として電力変換器11、推進電動機13および船内母線系統19の電力変動を抑制することが可能となる。
【0033】
なお、本発明は上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0034】
1,100,101…電気推進装置
2…速度設定器
3…速度制御器
4…磁束基準演算器
5…磁化成分電流演算器
6…電流制御器
7…電流制御器
8…位相演算器
9…座標変換器
10…座標変換器
11…電力変換器
12…電流検出用変流器
13…推進用電動機(PM)
14…速度検出器(PG)
15…推進用プロペラ
16…電力変換器用遮断器
17…交流電源用遮断器
18…交流電源
19…船内母線系統
20…乗算器
21,24,25…切替器
22…3乗演算器
26…トルク基準テーブル
【手続補正書】
【提出日】2023-01-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源を電源とする船内母線系統に接続され、プロペラが接続される推進用電動機に電力を供給して駆動させる電力変換器と、
前記推進用電動機の回転速度の速度目標値を設定する速度設定器と、
前記推進用電動機の回転速度を検出する速度検出器と、
前記速度検出器により検出される回転速度を基に位相を検出する位相演算器と、
前記速度検出器により検出された回転速度と前記速度設定器により設定された前記速度目標値が示す回転速度の差分をもとに第1トルク指令値を生成する速度制御器と、
前記速度検出器により検出される回転速度の変動に応じて前記速度制御器により生成される前記第1トルク指令値と比較して変動が少ない、前記速度目標値に応じた第2トルク指令値を生成する生成回路と、
前記速度制御器により生成される前記第1トルク指令値と前記生成回路により生成される前記第2トルク指令値を排他的に切り替える切替回路と、
前記速度検出器に検出された回転速度を基に、磁束指令値を生成する磁束基準演算器と、
前記切替回路により切り替えられた前記第1トルク指令値あるいは前記第2トルク指令値と、前記磁束基準演算器により生成された前記磁束指令値を基に、トルク成分電流指令値を生成する回路と、
前記磁束基準演算器により生成された前記磁束指令値をもとに、磁化成分電流指令値を生成する磁化成分電流演算器と、
前記電力変換器から前記推進用電動機に供給される電力の電流を検出する変流器と、
前記変流器により検出された電流および前記位相演算器により検出された位相に応じた、トルク成分電流と磁化成分電流を出力する第1座標変換器と、
前記トルク成分電流指令値と前記トルク成分電流との誤差増幅をする第1電流制御器と、
前記磁化成分電流指令値と前記磁化成分電流との誤差増幅をする第2電流制御器と、
前記第1電流制御器による前記トルク成分電流に対応する誤差増幅の値と前記第2電流制御器による前記磁化成分電流に対応する誤差増幅の値をもとに、前記電力変換器による電力の供給をベクトル制御するための第2座標変換器とを備えたことを特徴とする電気推進装置。
【請求項2】
前記生成回路は、
前記速度設定器により設定された回転速度の速度目標値を3乗演算する3乗演算器と、
前記3乗演算器の演算結果と前記速度検出器により検出される前記回転速度を基にした演算により、前記第2トルク指令値を生成する回路とを備えたことを特徴とする請求項1記載の電気推進装置。
【請求項3】
前記生成回路は、
前記速度検出器により検出される回転速度の変動に応じて前記速度制御器により生成される前記第1トルク指令値と比較して変動が少ない、前記速度設定器により設定される複数の異なる回転速度の速度目標値のそれぞれに応じた前記第2トルク指令値が対応づけられた、前記速度設定器により設定された前記速度目標値に対応する前記第2トルク指令値を決定して出力するトルク基準テーブルを備えたことを特徴とする請求項1記載の電気推進装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
変流器12は、電力変換器11の実電流を検出する。座標変換器9は、変流器12により検出された実電流、および位相演算器8により回転速度(実速度ω)を基に定められた位相θ1を基にして座標変換し、トルク成分電流フィードバックIqと磁化成分電流フィードバックIdを出力する。トルク成分電流フィードバックIqは、前述のトルク成分電流基準Iq*と差分増幅し、電流制御器6を介してベクトル制御の座標変換器10に供給される。また、磁化成分電流フィードバックIdは、磁化成分電流基準Id*と差分増幅し、電流制御器7を介して座標変換器10に供給される。座標変換器10は、電流制御器6,7からの入力を基に、電力変換器1次電圧基準(Vu*,Vv*,Vw*)を生成し、推進用電動機13を運転する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明による電気推進装置は、交流電源を電源とする船内母線系統に接続され、プロペラが接続される推進用電動機に電力を供給して駆動させる電力変換器と、前記推進用電動機の回転速度の速度目標値を設定する速度設定器と、前記推進用電動機の回転速度を検出する速度検出器と、前記速度検出器により検出される回転速度を基に位相を検出する位相演算器と、前記速度検出器により検出された回転速度と前記速度設定器により設定された前記速度目標値が示す回転速度の差分をもとに第1トルク指令値を生成する速度制御器と、前記速度検出器により検出される回転速度の変動に応じて前記速度制御器により生成される前記第1トルク指令値と比較して変動が少ない、前記速度目標値に応じた第2トルク指令値を生成する生成回路と、前記速度制御器により生成される前記第1トルク指令値と前記生成回路により生成される前記第2トルク指令値を排他的に切り替える切替回路と、前記速度検出器に検出された回転速度を基に、磁束指令値を生成する磁束基準演算器と、前記切替回路により切り替えられた前記第1トルク指令値あるいは前記第2トルク指令値と、前記磁束基準演算器により生成された前記磁束指令値を基に、トルク成分電流指令値を生成する回路と、前記磁束基準演算器により生成された前記磁束指令値をもとに、磁化成分電流指令値を生成する磁化成分電流演算器と、前記電力変換器から前記推進用電動機に供給される電力の電流を検出する変流器と、前記変流器により検出された電流および前記位相演算器により検出された位相に応じた、トルク成分電流と磁化成分電流を出力する第1座標変換器と、前記トルク成分電流指令値と前記トルク成分電流との誤差増幅する第1電流制御器と、前記磁化成分電流指令値と前記磁化成分電流との誤差増幅する第2電流制御器と、前記第1電流制御器による前記トルク成分電流に対応する誤差増幅の値と前記第2電流制御器による前記磁化成分電流に対応する誤差増幅の値をもとに、前記電力変換器による電力の供給をベクトル制御するための第2座標変換器とを備える。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
請求項2に記載の発明による電気推進装置は、請求項1記載の電気推進装置において、前記生成回路は、前記速度設定器により設定された回転速度の速度目標値を3乗演算する3乗演算器と、前記3乗演算器の演算結果と前記速度検出器により検出される前記回転速度を基にした演算により、前記第2トルク指令値を生成する回路とを備える。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
請求項3に記載の発明による電気推進装置は、請求項1記載の電気推進装置において、前記生成回路は、前記速度検出器により検出される回転速度の変動に応じて前記速度制御器により生成される前記第1トルク指令値と比較して変動が少ない、前記速度設定器により設定される複数の異なる回転速度の速度目標値のそれぞれに応じた前記第2トルク指令値が対応づけられた、前記速度設定器により設定された前記速度目標値に対応する前記第2トルク指令値を決定して出力するトルク基準テーブルを備える。