(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008259
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】検出回路
(51)【国際特許分類】
H02M 7/06 20060101AFI20230112BHJP
G05F 1/10 20060101ALI20230112BHJP
H02H 3/24 20060101ALI20230112BHJP
H02H 3/253 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
H02M7/06 H
G05F1/10 301A
H02H3/24 Q
H02H3/253
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021111678
(22)【出願日】2021-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】畑中 政宣
(72)【発明者】
【氏名】尾野 育未
【テーマコード(参考)】
5G004
5H006
5H410
【Fターム(参考)】
5G004AA02
5G004AB01
5G004BA06
5G004BA08
5G004DB01
5H006AA05
5H006CA07
5H006CB01
5H006CC05
5H006DB01
5H006DC05
5H006FA04
5H410BB02
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5H410DD02
5H410EA02
5H410FF03
5H410FF24
5H410HH01
5H410LL04
5H410LL12
5H410LL14
5H410LL18
(57)【要約】
【課題】電圧のゆらぎを検出しないで、瞬時停電又は欠相を検出できる検出回路を提供する。
【解決手段】3相交流を全波整流した第1電圧を出力する、3相全波整流回路と、第1電圧を分圧及び遅延させた第2電圧を出力する、分圧遅延回路と、第2電圧が第1閾値電圧より低い場合に第1レベルの第3電圧を出力し、第2電圧が第1閾値電圧より高い場合に第2レベルの第3電圧を出力する、第1比較器と、第3電圧が第1レベルの場合に、第1閾値電圧を高電圧側にシフトする、閾値電圧変更回路と、第3電圧を遅延させた第4電圧を出力する、遅延回路と、第4電圧が第2閾値電圧より高い場合に第3レベルの第5電圧を出力し、第4電圧が第2閾値電圧より低い場合に第4レベルの第5電圧を出力する、第2比較器と、を含む。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3相交流を全波整流した第1電圧を出力する、3相全波整流回路と、
前記第1電圧を分圧及び遅延させた第2電圧を出力する、分圧遅延回路と、
第1入力端子に前記第2電圧が入力され、第2入力端子に第1閾値電圧が入力され、前記第2電圧が第1閾値電圧より低い場合に第1レベルの第3電圧を出力し、前記第2電圧が前記第1閾値電圧より高い場合に第2レベルの前記第3電圧を出力する、第1比較器と、
前記第3電圧が前記第1レベルの場合に、前記第1閾値電圧を高電圧側にシフトする、閾値電圧変更回路と、
前記第3電圧を遅延させた第4電圧を出力する、遅延回路と、
第1入力端子に第2閾値電圧が入力され、第2入力端子に前記第4電圧が入力され、前記第4電圧が第2閾値電圧より高い場合に第3レベルの第5電圧を出力し、前記第4電圧が前記第2閾値電圧より低い場合に第4レベルの前記第5電圧を出力する、第2比較器と、
を含む、
ことを特徴とする、検出回路。
【請求項2】
前記分圧遅延回路は、
一端が前記3相全波整流回路に電気的に接続された、第1抵抗と、
一端が前記第1抵抗の他端に電気的に接続され、他端が基準電位に電気的に接続された、第2抵抗と、
一端が前記第1抵抗の他端及び前記第2抵抗の一端に電気的に接続され、他端が前記第1比較器の前記第1入力端子に電気的に接続された、第3抵抗と、
一端が前記第3抵抗の他端及び前記第1比較器の前記第1入力端子に電気的に接続され、他端が基準電位に電気的に接続された、第1コンデンサと、
を含む、
ことを特徴とする、請求項1に記載の検出回路。
【請求項3】
前記閾値電圧変更回路は、
一端に前記第3電圧よりも高い電圧が供給され、他端が前記第1比較器の出力端子に電気的に接続された、第4抵抗と、
アノードが前記第4抵抗の他端及び前記第1比較器の出力端子に電気的に接続された、ダイオードと、
一端が前記ダイオードのカソードに電気的に接続され、他端が前記第1比較器の前記第2入力端子に電気的に接続された、第5抵抗と、
を含む、
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の検出回路。
【請求項4】
前記遅延回路は、ローパスフィルタである、
ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の検出回路。
【請求項5】
前記遅延回路は、
一端が前記第1比較器の出力端子に電気的に接続され、他端が前記第2比較器の前記第2入力端子に電気的に接続された、第6抵抗と、
一端が前記第6抵抗の他端及び前記第2比較器の前記第2入力端子に電気的に接続され、他端が基準電位に電気的に接続された、第2コンデンサと、
を含む、
ことを特徴とする、請求項4に記載の検出回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出回路に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(第4図)には、3相電圧を半波整流した電圧と設定電圧とをコンパレータによって比較することにより、瞬時停電又は欠相を検出する検出回路が記載されている。瞬時停電は、3相が瞬時的に停電することを言う。欠相は、3相のいずれかの相が電圧降下することを言う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
検出回路には、瞬時停電又は欠相を確実に検出したい要請と、瞬時停電又は欠相に該当しない、ごく短時間の電圧のゆらぎを検出したくない要請と、がある。特許文献1記載の検出回路では、設計柔軟性が低く、つまり調整要素及び調整幅が少なく、上記2つの要請の両方に応えることが困難である。
【0005】
本発明は、電圧のゆらぎを検出しないで、瞬時停電又は欠相を検出できる、検出回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の検出回路は、
3相交流を全波整流した第1電圧を出力する、3相全波整流回路と、
前記第1電圧を分圧及び遅延させた第2電圧を出力する、分圧遅延回路と、
第1入力端子に前記第2電圧が入力され、第2入力端子に第1閾値電圧が入力され、前記第2電圧が第1閾値電圧より低い場合に第1レベルの第3電圧を出力し、前記第2電圧が前記第1閾値電圧より高い場合に第2レベルの前記第3電圧を出力する、第1比較器と、
前記第3電圧が前記第1レベルの場合に、前記第1閾値電圧を高電圧側にシフトする、閾値電圧変更回路と、
前記第3電圧を遅延させた第4電圧を出力する、遅延回路と、
第1入力端子に第2閾値電圧が入力され、第2入力端子に前記第4電圧が入力され、前記第4電圧が第2閾値電圧より高い場合に第3レベルの第5電圧を出力し、前記第4電圧が前記第2閾値電圧より低い場合に第4レベルの前記第5電圧を出力する、第2比較器と、
を含む、
ことを特徴とする。
【0007】
前記検出回路において、
前記分圧遅延回路は、
一端が前記3相全波整流回路に電気的に接続された、第1抵抗と、
一端が前記第1抵抗の他端に電気的に接続され、他端が基準電位に電気的に接続された、第2抵抗と、
一端が前記第1抵抗の他端及び前記第2抵抗の一端に電気的に接続され、他端が前記第1比較器の前記第1入力端子に電気的に接続された、第3抵抗と、
一端が前記第3抵抗の他端及び前記第1比較器の前記第1入力端子に電気的に接続され、他端が基準電位に電気的に接続された、第1コンデンサと、
を含む、
ことを特徴とする。
【0008】
前記検出回路において、
前記閾値電圧変更回路は、
一端に前記第3電圧よりも高い電圧が供給され、他端が前記第1比較器の出力端子に電気的に接続された、第4抵抗と、
アノードが前記第4抵抗の他端及び前記第1比較器の出力端子に電気的に接続された、ダイオードと、
一端が前記ダイオードのカソードに電気的に接続され、他端が前記第1比較器の前記第2入力端子に電気的に接続された、第5抵抗と、
を含む、
ことを特徴とする。
【0009】
前記検出回路において、
前記遅延回路は、ローパスフィルタである、
ことを特徴とする。
【0010】
前記検出回路において、
前記遅延回路は、
一端が前記第1比較器の出力端子に電気的に接続され、他端が前記第2比較器の前記第2入力端子に電気的に接続された、第6抵抗と、
一端が前記第6抵抗の他端及び前記第2比較器の前記第2入力端子に電気的に接続され、他端が基準電位に電気的に接続された、第2コンデンサと、
を含む、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様の検出回路は、電圧のゆらぎを検出しないで、瞬時停電又は欠相を検出できる、検出回路を提供できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施の形態及び比較例の検出回路の適用例の構成を示す図である。
【
図2】
図2は、比較例の検出回路の構成を示す図である。
【
図3】
図3は、比較例の検出回路の、欠相が発生した場合の動作波形を示す図である。
【
図4】
図4は、比較例の検出回路の、瞬時停電及び3相交流電圧のゆらぎが発生した場合の動作波形を示す図である。
【
図5】
図5は、実施の形態の検出回路の構成を示す図である。
【
図6】
図6は、実施の形態の検出回路の、欠相が発生した場合の動作波形を示す図である。
【
図7】
図7は、実施の形態の検出回路の、瞬時停電及び3相交流電圧のゆらぎが発生した場合の動作波形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の検出回路の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0014】
<適用例>
図1は、実施の形態及び比較例の検出回路の適用例の構成を示す図である。適用例の電源装置1は、交流電源2から入力される3相交流電力を電力変換して、負荷3に出力する。
【0015】
電源装置1は、入力回路21と、実施の形態の検出回路11又は比較例の検出回路111と、制御回路22と、主回路23と、を含む。
【0016】
入力回路21には、交流電源2から3相交流電圧が入力される。入力回路21は、フィルタ回路が例示されるが、本開示はこれに限定されない。交流電源2は、系統電源が例示されるが、本開示はこれに限定されない。
【0017】
検出回路11又は111は、入力回路21を通過した後の3相交流電圧の瞬時停電又は欠相を検出した場合に、ハイレベルの信号を制御回路22に出力する。検出回路11又は111は、入力回路21を通過した後の3相交流電圧の瞬時停電又は欠相を検出していない場合に、ローレベルの信号を制御回路22に出力する。但し、本開示はこれに限定されない。検出回路11又は111は、3相交流電圧の瞬時停電又は欠相を検出した場合に、ローレベルの信号を出力し、3相交流電圧の瞬時停電又は欠相を検出していない場合に、ハイレベルの信号を出力しても良い。
【0018】
制御回路22は、検出回路11又は111が瞬時停電又は欠相を検出していない場合には、主回路23を動作させる。制御回路22は、検出回路11又は111が瞬時停電又は欠相を検出している場合には、主回路23を停止させる。
【0019】
主回路23は、コンバータ回路とするが、本開示はこれに限定されない。主回路23は、制御回路22の制御下で、入力回路21を通過した後の3相交流電圧を直流電圧に電力変換して負荷3に出力する。
【0020】
<実施の形態及び比較例>
以下、実施の形態について説明するが、実施の形態の理解を容易にするため、先に比較例について説明する。
【0021】
(比較例)
図2は、比較例の検出回路の構成を示す図である。
【0022】
比較例の検出回路111は、3相交流電圧の瞬時停電又は欠相を検出した場合に、ハイレベルの信号を出力する。検出回路111は、3相交流電圧の瞬時停電又は欠相を検出していない場合に、ローレベルの信号を出力する。
【0023】
検出回路111は、3相全波整流回路31と、分圧平滑回路32と、抵抗分圧回路33と、第1比較器34と、を含む。
【0024】
3相全波整流回路31は、3相交流電圧を全波整流した第1電圧V1を出力する。3相全波整流回路31は、3アームのブリッジダイオードが例示されるが、本開示はこれに限定されない。
【0025】
分圧平滑回路32は、第1電圧V1を抵抗分圧及び平滑した第2電圧V2を出力する。分圧平滑回路32は、抵抗51及び52と、コンデンサ53と、を含む。
【0026】
抵抗51及び52は、抵抗分圧回路を構成する。抵抗51の一端は、3相全波整流回路31に電気的に接続されている。抵抗52の一端は、抵抗51の他端に電気的に接続されている。抵抗52の他端は、基準電位に電気的に接続されている。基準電位は、接地電位が例示されるが、本開示はこれに限定されない。コンデンサ53の一端は、抵抗51と抵抗52との接続点、及び、第1比較器34の反転入力端子(-端子)に、電気的に接続されている。コンデンサ53の他端は、基準電位に電気的に接続されている。コンデンサ53は、抵抗51及び52で抵抗分圧された電圧を平滑する。
【0027】
抵抗分圧回路33は、抵抗61及び62を含む。抵抗61及び62は、電源電圧Vccを抵抗分圧した一定の第1閾値電圧Vth1を、第1比較器34の非反転入力端子(+端子)に出力する。
【0028】
第1比較器34は、第2電圧V2が第1閾値電圧Vth1より低い場合には、ハイレベルの第3電圧V3を出力する。
【0029】
第1比較器34は、第2電圧V2が第1閾値電圧Vth1より高い場合には、ローレベルの第3電圧V3を出力する。
【0030】
検出回路111で調整可能であるのは、第1閾値電圧Vth1と、分圧平滑回路32(抵抗51及び52並びにコンデンサ53で構成)と、である。つまり、検出回路111は、設計柔軟性が低い。
【0031】
図3は、比較例の検出回路の、欠相が発生した場合の動作波形を示す図である。
図3において、横軸は時間を表し、縦軸は電圧を表す。
【0032】
図3において、波形121は、第1閾値電圧Vth1の電圧を示す。波形122は、第2電圧V2の電圧を示す。波形123は、第3電圧V3の電圧を示す。
【0033】
タイミングt0で欠相が発生するよりも前では、第2電圧V2(波形122)は、周期的に変動する。
【0034】
タイミングt0で欠相が発生すると、第2電圧V2(波形122)は、低電位側の極値が低下する。
【0035】
タイミングt1で第2電圧V2(波形122)が第1閾値電圧Vth1(波形121)よりも低くなると、第3電圧V3(波形123)は、ローレベルからハイレベルに変化する。
【0036】
タイミングt2で第2電圧V2(波形122)が第1閾値電圧Vth1(波形121)よりも高くなると、第3電圧V3(波形123)は、ハイレベルからローレベルに変化する。
【0037】
タイミングt3で第2電圧V2(波形122)が第1閾値電圧Vth1(波形121)よりも低くなると、第3電圧V3(波形123)は、ローレベルからハイレベルに変化する。
【0038】
タイミングt4で第2電圧V2(波形122)が第1閾値電圧Vth1(波形121)よりも高くなると、第3電圧V3(波形123)は、ハイレベルからローレベルに変化する。
【0039】
図4は、比較例の検出回路の、瞬時停電及び3相交流電圧のゆらぎが発生した場合の動作波形を示す図である。
図4において、横軸は時間を表し、縦軸は電圧を表す。
【0040】
図4において、波形121は、第1閾値電圧Vth1の電圧を示す。波形131は、瞬時停電が発生した場合の第2電圧V2の電圧を示す。波形132は、ゆらぎが発生した場合の第2電圧V2の電圧を示す。波形133は、瞬時停電が発生した場合の第3電圧V3の電圧を示す。波形134は、ゆらぎが発生した場合の第3電圧V3の電圧を示す。
【0041】
瞬時停電の場合(波形131)について説明する。タイミングt10で瞬時停電が発生すると、第2電圧V2(波形131)は、下降を開始する。
【0042】
タイミングt11で第2電圧V2(波形131)が第1閾値電圧Vth1(波形121)よりも低くなると、第3電圧V3(波形133)は、ローレベルからハイレベルに変化する。
【0043】
タイミングt13で第2電圧V2(波形131)が第1閾値電圧Vth1(波形121)よりも高くなると、第3電圧V3(波形133)は、ハイレベルからローレベルに変化する。
【0044】
ゆらぎの場合(波形132)について説明する。タイミングt10でゆらぎが発生すると、第2電圧V2(波形132)は、下降を開始する。
【0045】
タイミングt11で第2電圧V2(波形132)が第1閾値電圧Vth1(波形121)よりも低くなると、第3電圧V3(波形134)は、ローレベルからハイレベルに変化する。
【0046】
タイミングt12で第2電圧V2(波形132)が第1閾値電圧Vth1(波形121)よりも高くなると、第3電圧V3(波形134)は、ハイレベルからローレベルに変化する。
【0047】
瞬時停電又は欠相を最も検出しづらい場合は、周期的に変動する第2電圧V2が最も高いときである。また、主回路23(
図1参照)の負荷が軽い場合には、瞬時停電又は欠相しても、3相交流の線間容量やノイズや力率改善のために接続されたコンデンサに充電された電荷により、第2電圧V2があまり下がらない。これらの場合に、検出回路111が瞬時停電又は欠相を確実に検出するために、第1閾値電圧Vth1を高く設定することが考えられる。しかし、そうすると、検出回路111は、ゆらぎを検出してしまう(
図4の波形132及び波形134参照)。その結果、制御回路22が主回路23を停止してしまうことになる。
【0048】
(実施の形態)
実施の形態の検出回路の構成要素のうち、比較例と同一の構成要素については、同一の参照符号を付して、説明を省略する。
【0049】
図5は、実施の形態の検出回路の構成を示す図である。
【0050】
実施の形態の検出回路11は、3相交流電圧の瞬時停電又は欠相を検出した場合に、ハイレベルの信号を出力する。検出回路11は、3相交流電圧の瞬時停電又は欠相を検出していない場合に、ローレベルの信号を出力する。但し、本開示はこれに限定されない。検出回路11は、3相交流電圧の瞬時停電又は欠相を検出した場合に、ローレベルの信号を出力し、3相交流電圧の瞬時停電又は欠相を検出していない場合に、ハイレベルの信号を出力しても良い。
【0051】
実施の形態の検出回路11は、比較例の検出回路111(
図2参照)と比較して、分圧平滑回路32に代えて、分圧遅延回路35を含む。また、検出回路11は、検出回路111と比較して、閾値電圧変更回路36と、遅延回路37と、抵抗分圧回路38と、第2比較器39と、を更に含む。
【0052】
分圧遅延回路35は、分圧平滑回路32(
図2参照)と比較して、抵抗54を更に含む。
【0053】
抵抗51が、本開示の「第1抵抗」の一例に相当する。抵抗52が、本開示の「第2抵抗」の一例に相当する。抵抗54が、本開示の「第3抵抗」の一例に相当する。コンデンサ53が、本開示の「第1コンデンサ」の一例に相当する。
【0054】
抵抗54の一端は、抵抗51と抵抗52との接続点に電気的に接続されている。抵抗54の他端は、コンデンサ53の一端及び第1比較器34の反転入力端子(-端子)に電気的に接続されている。
【0055】
第1比較器34の反転入力端子(-端子)が、本開示の第1比較器の「第1入力端子」の一例に相当する。
【0056】
分圧遅延回路35は、抵抗分圧回路(抵抗51及び52)と、ローパスフィルタ(抵抗54及びコンデンサ53)と、の結合であると考えることもできる。
【0057】
分圧遅延回路35は、3相全波整流の出力電圧波形に対して第2電圧V2を遅延させ、瞬時停電又は欠相に該当しない、検出を行いたくないごく短時間の電圧のゆらぎの影響を防止することができる。
【0058】
閾値電圧変更回路36は、抵抗71及び73と、ダイオード72と、を含む。
【0059】
抵抗71が、本開示の「第4抵抗」の一例に相当する。抵抗73が、本開示の「第5抵抗」の一例に相当する。
【0060】
抵抗71の一端は、電源電圧Vccに電気的に接続されているが、本開示はこれに限定されない。抵抗71の一端には、第3電圧V3よりも高い電圧が供給されていれば良い。抵抗71の他端は、第1比較器34の出力端子に電気的に接続されている。
【0061】
ダイオード72のアノードは、抵抗71の他端及び第1比較器34の出力端子に電気的に接続されている。ダイオード72のカソードは、抵抗73の一端に電気的に接続されている。抵抗73の他端は、第1比較器34の非反転入力端子(+端子)に電気的に接続されている。
【0062】
第1比較器34の非反転入力端子(+端子)が、本開示の第1比較器の「第2入力端子」の一例に相当する。
【0063】
第1比較器34がローレベルの電圧を出力している場合、電源電圧Vccから抵抗71を経由して第1比較器34の出力端子に電流が流れる。つまり、抵抗71では、Vcc分の電圧低下が生じる。この場合、ダイオード72は、アノードがローレベルであり、カソードが第1閾値電圧Vth1であるので、逆バイアス状態となり、非導通となる。従って、第1閾値電圧Vth1は、変化しない。
【0064】
第3電圧V3のローレベルが、本開示の「第2レベル」の一例に相当する。
【0065】
第1比較器34がハイレベルの電圧を出力している場合、ダイオード72は、順バイアス状態となり、導通となる。従って、第1閾値電圧Vth1は、第1比較器34のハイレベルから抵抗73での電圧降下分を引いた電圧に変化する。
【0066】
第3電圧V3のハイレベルが、本開示の「第1レベル」の一例に相当する。
【0067】
つまり、閾値電圧変更回路36は、第3電圧V3がハイレベルの場合に、第1閾値電圧Vth1を高電圧側にシフトする。
【0068】
これにより、第1比較器34は、第2電圧V2の低下を確実に検出できる。また、(第2電圧V2)<(第1閾値電圧Vth1)となる時間が、長くなる。つまり、第3電圧V3のパルス幅が大きくなる(後述する
図6の波形143及び
図7の波形155参照)。
【0069】
遅延回路37は、抵抗81と、コンデンサ82と、を含む。
【0070】
抵抗81が、本開示の「第6抵抗」の一例に相当する。コンデンサ82が、本開示の「第2コンデンサ」の一例に相当する。
【0071】
抵抗81の一端は、第1比較器34の出力端子に電気的に接続されている。抵抗81の他端は、コンデンサ82の一端及び第2比較器39の非反転入力端子(+端子)に電気的に接続されている。
【0072】
第2比較器39の非反転入力端子(+端子)が、本開示の第2比較器の「第2入力端子」の一例に相当する。
【0073】
コンデンサ82の一端は、抵抗81の他端及び第2比較器39の非反転入力端子(+端子)に電気的に接続されている。コンデンサ82の他端は、基準電位に電気的に接続されている。
【0074】
つまり、遅延回路37は、1次のローパスフィルタである。遅延回路37は、第3電圧V3を時定数CRで遅延させた第4電圧V4を、第2比較器39の非反転入力端子(+端子)に出力する。
【0075】
遅延回路37の遅延時間は、時定数CRで調整可能、つまり抵抗81の抵抗値又はコンデンサ82の容量で調整可能である。
【0076】
閾値電圧変更回路36と、遅延回路37とは、別個独立に調整可能である。また、第3電圧V3のパルス幅が大きくなることで、時定数CRの調整幅が大きくなる。つまり、実施の形態の検出回路11は、設計柔軟性が高い。
【0077】
抵抗分圧回路38は、抵抗91及び92を含む。抵抗91及び92は、電源電圧Vccを抵抗分圧した一定の第2閾値電圧Vth2を、第2比較器39の反転入力端子(-端子)に出力する。
【0078】
第2比較器39の反転入力端子(-端子)が、本開示の第2比較器の「第1入力端子」の一例に相当する。
【0079】
第2比較器39は、第4電圧V4が第2閾値電圧Vth2より高い場合に、ハイレベルの第5電圧V5を出力する。
【0080】
第5電圧V5のハイレベルが、本開示の「第3レベル」の一例に相当する。
【0081】
第2比較器39は、第4電圧V4が第2閾値電圧Vth2より低い場合に、ローレベルの第5電圧V5を出力する。
【0082】
第5電圧V5のローレベルが、本開示の「第4レベル」の一例に相当する。
【0083】
図6は、実施の形態の検出回路の、欠相が発生した場合の動作波形を示す図である。
図6において、横軸は時間を表し、縦軸は電圧を表す。
【0084】
図6において、波形141は、第1閾値電圧Vth1の電圧を示す。波形142は、第2電圧V2の電圧を示す。波形143は、第3電圧V3の電圧を示す。波形144は、第2閾値電圧Vth2の電圧を示す。波形145は、第4電圧V4の電圧を示す。波形146は、第5電圧V5の電圧を示す。
【0085】
タイミングt20で欠相が発生するよりも前では、第2電圧V2(波形142)は、周期的に変動する。
【0086】
タイミングt20で欠相が発生すると、第2電圧V2(波形142)は、低電位側の極値が低下する。
【0087】
タイミングt21で第2電圧V2(波形142)が第1閾値電圧Vth1(波形141)よりも低くなると、第1閾値電圧Vth1(波形141)は、高電位側にシフトする。第3電圧V3(波形143)は、ローレベルからハイレベルに変化する。第4電圧V4(波形145)は、上昇を開始する。
【0088】
タイミングt22で第4電圧V4(波形145)が第2閾値電圧Vth2(波形144)よりも高くなると、第5電圧V5(波形146)は、ローレベルからハイレベルに変化する。
【0089】
タイミングt23で第2電圧V2(波形142)が第1閾値電圧Vth1(波形141)よりも高くなると、第1閾値電圧Vth1(波形141)は、低電位側にシフトする(元に戻る)。第3電圧V3(波形143)は、ハイレベルからローレベルに変化する。第4電圧V4(波形145)は、下降を開始する。
【0090】
タイミングt24で第4電圧V4(波形145)が第2閾値電圧Vth2(波形144)よりも低くなると、第5電圧V5(波形146)は、ハイレベルからローレベルに変化する。
【0091】
タイミングt25で第2電圧V2(波形142)が第1閾値電圧Vth1(波形141)よりも低くなると、第1閾値電圧Vth1(波形141)は、高電位側にシフトする。第3電圧V3(波形143)は、ローレベルからハイレベルに変化する。第4電圧V4(波形145)は、上昇を開始する。
【0092】
タイミングt26で第4電圧V4(波形145)が第2閾値電圧Vth2(波形144)よりも高くなると、第5電圧V5(波形146)は、ローレベルからハイレベルに変化する。
【0093】
タイミングt27で第2電圧V2(波形142)が第1閾値電圧Vth1(波形141)よりも高くなると、第1閾値電圧Vth1(波形141)は、低電位側にシフトする(元に戻る)。第3電圧V3(波形143)は、ハイレベルからローレベルに変化する。第4電圧V4(波形145)は、下降を開始する。
【0094】
タイミングt28で第4電圧V4(波形145)が第2閾値電圧Vth2(波形144)よりも低くなると、第5電圧V5(波形146)は、ハイレベルからローレベルに変化する。
【0095】
図7は、実施の形態の検出回路の、瞬時停電及び3相交流電圧のゆらぎが発生した場合の動作波形を示す図である。
図7において、横軸は時間を表し、縦軸は電圧を表す。
【0096】
図7において、波形151は、瞬時停電が発生した場合の第1閾値電圧Vth1の電圧を示す。波形152は、ゆらぎが発生した場合の第1閾値電圧Vth1の電圧を示す。波形153は、瞬時停電が発生した場合の第2電圧V2の電圧を示す。波形154は、ゆらぎが発生した場合の第2電圧V2の電圧を示す。波形155は、瞬時停電が発生した場合の第3電圧V3の電圧を示す。波形156は、ゆらぎが発生した場合の第3電圧V3の電圧を示す。波形157は、第2閾値電圧Vth2の電圧を示す。波形158は、瞬時停電が発生した場合の第4電圧V4の電圧を示す。波形159は、ゆらぎが発生した場合の第4電圧V4の電圧を示す。波形160は、瞬時停電が発生した場合の第5電圧V5の電圧を示す。波形161は、ゆらぎが発生した場合の第5電圧V5の電圧を示す。
【0097】
瞬時停電の場合(波形153)について説明する。タイミングt30で瞬時停電が発生すると、第2電圧V2(波形153)は、下降を開始する。
【0098】
タイミングt31で第2電圧V2(波形153)が第1閾値電圧Vth1(波形151)よりも低くなると、第1閾値電圧Vth1(波形151)は、高電位側にシフトする。第3電圧V3(波形155)は、ローレベルからハイレベルに変化する。第4電圧V4(波形158)は、上昇を開始する。
【0099】
タイミングt32で第4電圧V4(波形158)が第2閾値電圧Vth2(波形157)よりも高くなると、第5電圧V5(波形160)は、ローレベルからハイレベルに変化する。
【0100】
タイミングt33で第2電圧V2(波形153)が第1閾値電圧Vth1(波形151)よりも高くなると、第1閾値電圧Vth1(波形151)は、低電位側にシフトする(元に戻る)。第3電圧V3(波形155)は、ハイレベルからローレベルに変化する。第4電圧V4(波形158)は、下降を開始する。
【0101】
タイミングt34で第4電圧V4(波形158)が第2閾値電圧Vth2(波形157)よりも低くなると、第5電圧V5(波形160)は、ハイレベルからローレベルに変化する。
【0102】
ゆらぎの場合(波形154)について説明する。タイミングt30でゆらぎが発生すると、第2電圧V2(波形154)は、下降を開始する。
【0103】
タイミングt31で第2電圧V2(波形154)が第1閾値電圧Vth1(波形152)よりも低くなると、第1閾値電圧Vth1(波形152)は、高電位側にシフトする。第3電圧V3(波形156)は、ローレベルからハイレベルに変化する。第4電圧V4(波形159)は、上昇を開始する。
【0104】
タイミングt32で第2電圧V2(波形154)が第1閾値電圧Vth1(波形152)よりも高くなると、第1閾値電圧Vth1(波形152)は、低電位側にシフトする(元に戻る)。第3電圧V3(波形156)は、ハイレベルからローレベルに変化する。第4電圧V4(波形159)は、下降を開始する。第5電圧V5(波形161)は、ローレベルのままである。
【0105】
(まとめ)
実施の形態の検出回路11では、閾値電圧変更回路36と、遅延回路37とは、別個独立に調整可能である。また、第3電圧V3のパルス幅が大きくなることで、時定数CRの調整幅が大きくなる。つまり、実施の形態の検出回路11は、設計柔軟性が高い。
【0106】
実施の形態の検出回路11は、分圧遅延回路35の定数と、時定数CRと、を調整することにより、ゆらぎ(
図7の波形154参照)を検出しないで、欠相(
図6の波形142参照)及び瞬時停電(
図7の波形153参照)を確実に検出できる。
【0107】
従って、実施の形態の検出回路11は、ゆらぎ(
図7の波形154参照)が発生した場合に、制御回路22(
図1参照)が主回路23(
図1参照)を停止してしまうことを抑制できる。
【0108】
(付記)
実施の形態では、検出回路11をアナログ回路で実現したが、本開示はこれに限定されない。検出回路11は、ディジタル回路で実現することも可能である。
【0109】
本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0110】
1 電源装置
2 交流電源
3 負荷
11、111 検出回路
21 入力回路
22 制御回路
23 主回路
31 3相全波整流回路
32 分圧平滑回路
33、38 抵抗分圧回路
34 第1比較器
35 分圧遅延回路
36 閾値電圧変更回路
37 遅延回路
39 第2比較器
51、52、54、61、62、71、73、81、91、92 抵抗
53、82 コンデンサ
72 ダイオード