IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東日本旅客鉄道株式会社の特許一覧 ▶ 神鋼建材工業株式会社の特許一覧

特開2023-826仮設防護柵、仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置構造、及び仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置方法
<>
  • 特開-仮設防護柵、仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置構造、及び仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置方法 図1
  • 特開-仮設防護柵、仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置構造、及び仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置方法 図2
  • 特開-仮設防護柵、仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置構造、及び仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置方法 図3
  • 特開-仮設防護柵、仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置構造、及び仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置方法 図4
  • 特開-仮設防護柵、仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置構造、及び仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置方法 図5
  • 特開-仮設防護柵、仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置構造、及び仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置方法 図6
  • 特開-仮設防護柵、仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置構造、及び仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置方法 図7
  • 特開-仮設防護柵、仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置構造、及び仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置方法 図8
  • 特開-仮設防護柵、仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置構造、及び仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置方法 図9
  • 特開-仮設防護柵、仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置構造、及び仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置方法 図10
  • 特開-仮設防護柵、仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置構造、及び仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置方法 図11
  • 特開-仮設防護柵、仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置構造、及び仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置方法 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023000826
(43)【公開日】2023-01-04
(54)【発明の名称】仮設防護柵、仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置構造、及び仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置方法
(51)【国際特許分類】
   E01F 15/14 20060101AFI20221222BHJP
   E01D 22/00 20060101ALI20221222BHJP
   H02G 3/30 20060101ALI20221222BHJP
【FI】
E01F15/14
E01D22/00 A
H02G3/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021101861
(22)【出願日】2021-06-18
(71)【出願人】
【識別番号】000221616
【氏名又は名称】東日本旅客鉄道株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000192615
【氏名又は名称】日鉄神鋼建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】栗林 健一
(72)【発明者】
【氏名】明見 正雄
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 裕二
(72)【発明者】
【氏名】阿部 幸夫
(72)【発明者】
【氏名】山本 健次郎
【テーマコード(参考)】
2D059
2D101
5G363
【Fターム(参考)】
2D059AA21
2D059GG39
2D101CA02
2D101CA07
2D101DA05
2D101EA07
2D101FA13
2D101FA35
5G363AA16
5G363BA10
5G363DA13
5G363DA15
5G363DC10
(57)【要約】
【課題】漏洩同軸ケーブルからの電波を遮ることがない仮設防護柵、仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置構造、及び仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置方法を提供する。
【解決手段】軌道や道路に沿って設置され、軌道や道路と工事区域とを区画する仮設防護柵1において、パネル材4を、漏洩同軸ケーブルCaからの電波を透過する電波透過性樹脂とする。また、パネル材4を構成する電波透過性樹脂を、ポリカーボネートとする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道や道路に沿って設置され、軌道や道路と工事区域とを区画する仮設防護柵であって、
前記仮設防護柵を構成するパネル材は、漏洩同軸ケーブルからの電波を透過する電波透過性樹脂からなること
を特徴とする仮設防護柵。
【請求項2】
前記電波透過性樹脂は、ポリカーボネートであること
を特徴とする請求項1に記載の仮設防護柵。
【請求項3】
前記仮設防護柵は複数の支柱と、これらの支柱に架け渡された複数の横梁と、これらの横梁に取り付けられた前記パネル材と、を備え、
前記パネル材は、前記パネル材のパネル面に対して直交する立上り片を有する補強部材を有して前記横梁に接合されていること
を特徴とする請求項1又は2に記載の仮設防護柵。
【請求項4】
前記補強部材は、前記パネル材に対して軌道側又は道路側となる内側に設置され、前記補強部材と前記パネル材とは、軌道側又は道路側の反対側となる外側に平鋼材が配置されて固定されていること
を特徴とする請求項3に記載の仮設防護柵。
【請求項5】
前記パネル材は、軌道又は道路に沿った幅方向の長さが1m以下となっていること
を特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の仮設防護柵。
【請求項6】
軌道や道路に沿って設置され、軌道や道路と工事区域とを区画する仮設防護柵に既設漏洩同軸ケーブルを仮置する仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置構造であって、
前記仮設防護柵を構成するパネル材を電波透過性樹脂とし、前記パネル材の軌道側又は道路側の反対側となる外側に、ケーブル支持具を備えること
を特徴とする仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置構造。
【請求項7】
前記仮設防護柵は、複数の支柱と、これらの支柱の軌道側又は道路側の反対側となる外側に架け渡された複数の横梁と、これらの横梁の外側に取り付けられた前記パネル材と、を備えるとともに、
前記支柱の軌道側又は道路側となる内側から前記パネル材の外側まで、前記支柱及び前記パネル材の上方を跨ぐ形で前記支柱に固定された複数の取付金具と、これらの取付金具に固定されて垂下する複数の縦桟と、これらの縦桟に固定されて前記漏洩同軸ケーブルを支持するケーブル支持具と、を備えること
を特徴とする請求項6に記載の仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置構造。
【請求項8】
前記縦桟の下部は、折曲加工された接続金具を介して前記横梁に固定されていること
を特徴とする請求項7に記載の仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置構造。
【請求項9】
前記接続金具は、断面略Z字状となっていること
を特徴とする請求項8に記載の仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置構造。
【請求項10】
前記取付金具は、断面略コの字状となっていること
を特徴とする請求項7ないし9のいずれか1項に記載の仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置構造。
【請求項11】
請求項7ないし10のいずれか1項に記載の仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置構造を用いて既設漏洩同軸ケーブルを前記仮設防護柵へ仮置する仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置方法であって、
前記取付金具を前記パネル材の上を跨ぐ形で配置して前記取付金具の内側に配置された一端を前記支柱の上部に固定する取付金具取付工程と、
前記取付金具の外側に配置された他端に前記縦桟の上部を固定して設置する縦桟設置工程と、
前記縦桟に前記ケーブル支持具を固定して設置するケーブル支持具設置工程と、
前記ケーブル支持具に前記既設漏洩同軸ケーブルを仮置するケーブル移設工程と、を備えること
を特徴とする仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置方法。
【請求項12】
前記仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置構造は、断面略Z字状の接続金具を備え、
縦桟設置工程では、前記接続金具を介して前記縦桟の下部を前記横梁に固定すること
を特徴とする請求項11に記載の仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮設防護柵、仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置構造、及び仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道高架橋の壁高欄や付帯構造物を修繕・増設する工事などの軌道に近接した場所での工事作業、特に、新幹線などの高速列車が通過する近傍での工事作業は、列車に接触する危険があるため列車が通行しない夜間に行われていた。しかし、大都市近郊では、車両が通行しない時間は、3~4時間程度しかなく、夜間作業だけで工事を行うには、工事期間がかかりすぎるという問題があった。
【0003】
このため、列車との接触事故が起きないように、仮囲いなどの仮設防護壁で軌道と工事区域とを区画し、列車が通行する日中にも工事を行うことが求められている。また、近年日本では、労働人口が減少する中、高度成長期に大量に建設されたインフラ設備が耐久年数を超えて、改修しなければならない時期を迎えており、改修工事が増加している。このため、施工のより一層の効率化が求められている。
【0004】
一方、従来の仮囲いは、単管パイプをクランプで縦横に組み合わせて骨組みを作成し、その骨組みに鋼板等からなる面板を固定するものであった。しかし、一般的な建設現場の仮囲いと相違して、高架橋側道の辺縁部には、(堆雪防止から)スプリンクラー及び導水管が設置されている場合がある。この導水管は、場所によって径や高さ位置が異なるため、軌道に沿って設けられる仮設防護壁の控え柱には、干渉を避ける可変性が求められていた。
【0005】
そこで、本願出願人らは、特許文献1に記載の仮設防護壁(仮設防護柵)を提案するに至った。特許文献1に記載の仮設防護壁は、列車が走行する軌道部と改修工事を行う工事区域とを区画する仮設防護壁であり、複数の支柱と、これらの支柱に架け渡された複数の横梁と、これらの横梁に取り付けられたパネル材と、支柱に傾斜して連結される控え柱とを備え、支柱と控え柱は、鋸刃と噛合する接続部材を介して鋸刃の任意の位置に連結可能に構成されている。このため、特許文献1に記載の仮設防護壁は、場所によって径や高さ位置が異なる導水管などの障害物を避けて、控え柱を設置することが容易となっている。
【0006】
しかし、新幹線等が走行する高架橋の高欄部分には、走行する新幹線との交信に必要な漏洩同軸ケーブル(leaky coaxial cable:LCXケーブル)が設置されており、高欄等の改修工事に仮設防護柵を設置する場合、このLCXケーブルの軌道側に仮設防護柵を配置する形になる。このとき、仮設防護柵には、LCXケーブルから放射される電波を遮らない構造が求められるが、特許文献1に記載の仮設防護壁(仮設防護柵)のパネル材に鋼板を用いた場合、電波を遮ることとなり、交信に不具合が発生するという課題があった。
【0007】
なお、特許文献1の段落[0042]には、パネル材として、透明な樹脂板との記載もあり、透明な樹脂板をパネル材として用いた場合はLCXケーブルからの電波を遮らない可能性があるが、その仕様は一切記載されておらず、明確になっていない。
【0008】
また、新幹線等が積雪地域を高速走行する場合、新幹線等の車両に付着した氷雪が剥がれ、仮設防護柵に当たる可能性がある。しかし、特許文献1に記載の仮設防護壁(仮設防護柵)において、透明な樹脂板をパネル材として用いた場合、樹脂板が氷雪の衝撃力に耐えることができないおそれがある。
【0009】
その上、高欄の改修工事では、撤去したり補修・補強したりする高欄に施設されているLCXケーブルを高欄から取り外すことが求められているが、LCXケーブルを使用しながら部分的に撤去することができないため、一旦、LCXケーブルを仮設防護柵に仮置きすることが求められる。しかし、従来の仮設防護柵では、LCXケーブルを使用しながら改修工事期間中の長期間に亘り、改修工事の障害とならずに仮置することが考慮されておらず、ケーブルの移設作業に手間と時間がかかるという課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2021-8724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明は、前述した問題に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、漏洩同軸ケーブルからの電波を遮ることがない仮設防護柵、仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置構造、及び仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1発明に係る仮設防護柵は、軌道や道路に沿って設置され、軌道や道路と工事区域とを区画する仮設防護柵であって、前記仮設防護柵を構成するパネル材は、漏洩同軸ケーブルからの電波を透過する電波透過性樹脂からなることを特徴とする。
【0013】
第2発明に係る仮設防護柵は、第1発明において、前記電波透過性樹脂は、ポリカーボネートであることを特徴とする。
【0014】
第3発明に係る仮設防護柵は、第1発明又は第2発明において、前記仮設防護柵は複数の支柱と、これらの支柱に架け渡された複数の横梁と、これらの横梁に取り付けられた前記パネル材と、を備え、前記パネル材は、前記パネル材のパネル面に対して直交する立上り片を有する補強部材を有して前記横梁に接合されていることを特徴とする。
【0015】
第4発明に係る仮設防護柵は、第3発明において、前記補強部材は、前記パネル材に対して軌道側又は道路側となる内側に設置され、前記補強部材と前記パネル材とは、軌道側又は道路側の反対側となる外側に平鋼材が配置されて固定されていることを特徴とする。
【0016】
第5発明に係る仮設防護柵は、第1発明ないし第4発明のいずれかの発明において、前記パネル材は、軌道又は道路に沿った幅方向の長さが1m以下となっていることを特徴とする。
【0017】
第6発明に係る仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置構造は、軌道や道路に沿って設置され、軌道や道路と工事区域とを区画する仮設防護柵に既設漏洩同軸ケーブルを仮置する仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置構造であって、前記仮設防護柵を構成するパネル材を電波透過性樹脂とし、前記パネル材の軌道側又は道路側の反対側となる外側に、ケーブル支持具を備えることを特徴とする。
【0018】
第7発明に係る仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置構造は、第6発明において、前記仮設防護柵は、複数の支柱と、これらの支柱の軌道側又は道路側の反対側となる外側に架け渡された複数の横梁と、これらの横梁の外側に取り付けられた前記パネル材と、を備えるとともに、前記支柱の軌道側又は道路側となる内側から前記パネル材の外側まで、前記支柱及び前記パネル材の上方を跨ぐ形で前記支柱に固定された複数の取付金具と、これらの取付金具に固定されて垂下する複数の縦桟と、これらの縦桟に固定されて前記漏洩同軸ケーブルを支持するケーブル支持具と、を備えることを特徴とする。
【0019】
第8発明に係る仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置構造は、第7発明において、前記縦桟の下部は、折曲加工された接続金具を介して前記横梁に固定されていることを特徴とする。
【0020】
第9発明に係る仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置構造は、第8発明において、前記接続金具は、断面略Z字状となっていることを特徴とする。
【0021】
第10発明に係る仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置構造は、第7発明ないし第9発明のいずれかの発明において、前記取付金具は、断面略コの字状となっていることを特徴とする。
【0022】
第11発明に係る仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置方法は、請求項7ないし10のいずれか1項に記載の仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置構造を用いて既設漏洩同軸ケーブルを前記仮設防護柵へ仮置する仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置方法であって、前記取付金具を前記パネル材の上を跨ぐ形で配置して前記取付金具の内側に配置された一端を前記支柱の上部に固定する取付金具取付工程と、前記取付金具の外側に配置された他端に前記縦桟の上部を固定して設置する縦桟設置工程と、前記縦桟に前記ケーブル支持具を固定して設置するケーブル支持具設置工程と、前記ケーブル支持具に前記既設漏洩軸ケーブルを仮置するケーブル移設工程と、を備えることを特徴とする。
【0023】
第12発明に係る仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置方法は、第11発明において、前記仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置構造は、断面略Z字状の接続金具を備え、縦桟設置工程では、前記接続金具を介して前記縦桟の下部を前記横梁に固定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
第1発明~第5発明によれば、パネル材に電波透過性樹脂を用いているので、漏洩同軸ケーブルからの電波を遮ることなく、新幹線等の交信に支障が生じるおそれがない。
【0025】
特に、第2発明によれば、パネル材にポリカーボネートを用いているので、漏洩同軸ケーブルからの電波を遮ることがないだけでなく、耐衝撃性が向上し、新幹線などの高速列車から落雪した氷雪がパネル材に衝突する際の衝撃力に耐えることができる。また、ポリカーボネートは、他の樹脂と比べて耐熱性、難燃性、及び寸法安定性が高く、事故等により火災が発生した場合でも作業員の安全性を確保できるだけでなく、10年程度設置しても形状が変わらず、工事が長期化しても劣化せず、継続的に安全性の確保を維持することができる。
【0026】
特に、第3発明によれば、パネル材の接合部分が、パネル面に対して直交する立上り片を有する補強部材で補強されているので、パネル材に、新幹線などの高速列車からの氷雪の衝撃力が加わった場合でも、補強部材の立上り片が塑性変形することで、衝撃力を吸収することができ、パネル材が破損することを防止することができる。
【0027】
特に、第4発明によれば、平鋼材が配置されているので、補強部材を内側(軌道側)にしか設けられない場合でも、外側(高欄側)に平鋼材を配置することで、パネル材の接合部分に衝撃力による応力が集中せず、補強部材の立上り片の塑性変形により、衝撃エネルギーを吸収してパネル材が破損することを防ぐことができる。
【0028】
特に、第5発明によれば、一般的に高さが2m程度の仮設防護柵のパネル材の重量を、一人の作業員が人力で運搬可能な25kg以下とすることが可能となり、揚重機を使用しないで設置作業ができ、仮設防護柵の設置作業の作業効率が向上する。
【0029】
第6発明~第12発明によれば、漏洩同軸ケーブルからの電波を遮ることがない仮設防護柵を設置できるだけでなく、高欄の改修作業などの工事中において、既設の漏洩同軸ケーブルを途中で切断して盛り変えたりすることなく、工事期間中継続的に仮設防護柵に仮置して、工事完了後に順次元に戻すことができる。このため、新幹線などの列車が走行している供用期間中に漏洩同軸ケーブルの移設作業を行うことができ、改修工事の作業効率が極めて高くなる。
【0030】
特に、第8発明によれば、接続金具を介して縦桟の下部を横梁に固定するので、列車走行時の振動や、列車からの飛雪による衝撃力がパネル材に加わった場合でも、安定して漏洩同軸ケーブルを支持することができ、漏洩同軸ケーブルがふらついて交信に悪影響を与えたり、破断したりすることを防ぐことができる。
【0031】
特に、第9発明及び第12発明によれば、断面略Z字状の接続金具を介して縦桟の下部を横梁に固定するので、さらに安定して漏洩同軸ケーブルを支持することができ、漏洩同軸ケーブルがふらついたり、破断したりすることを防ぐことができる。
【0032】
特に、第10発明によれば、取付金具が断面略コの字状となっているので、取付金具が、支柱及びパネル材の上方を跨ぐ形を最短距離で達成することができ、安価でシンプルな構成とすることができ、より安定してパネル材及び仮置した漏洩同軸ケーブルを支持することができる。このため、漏洩同軸ケーブルを仮置した仮設防護柵全体の耐衝撃性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る仮設防護柵を外側から見た状態を示す斜視図である。
図2図2は、同上の仮設防護柵を示す外側(高欄側)から見た正面図である。
図3図3は、同上の仮設防護柵を示す右側面図である。
図4図4は、同上の仮設防護柵を示す平面図である。
図5図5は、同上の仮設防護柵を示す背面図である。
図6図6は、本発明の実施形態に係る漏洩同軸ケーブル仮置構造を外側から内側に見た正面図である
図7図7は、同上の漏洩同軸ケーブル仮置構造の右側面図である。
図8図8は、図7のA部拡大図である。
図9図9は、図7のB部拡大図である。
図10図10は、同上の漏洩同軸ケーブル仮置構造の取付金具を示す斜視図である。
図11図11は、同上の漏洩同軸ケーブル仮置構造の接続金具を示す斜視図である。
図12図12は、同上の漏洩同軸ケーブル仮置構造の変形例に係るケーブル支持具を主に示す拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態に係る仮設防護柵、仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置構造、及び仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0035】
<仮設防護柵>
[第1実施形態]
先ず、図1図5を用いて、本発明の第1実施形態に係る仮設防護柵1について説明する。なお、本実施形態に係る仮設防護柵1は、新幹線などの高速列車が通過する専用高架橋に沿って立設された壁高欄を改修する改修工事を行う際に、軌道と工事区域とを区画する仮設の防護柵として用いられる場合を例示して説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る仮設防護柵1を示す斜視図であり、図2は、本実施形態に係る仮設防護柵1を示す外側(高欄側)から見た正面図である。また、図3は、図2の仮設防護柵1を示す右側面図であり、図4は、図2の仮設防護柵1を示す平面図である。そして、図5は、図2の仮設防護柵1を示す背面図である。
【0036】
図1図5に示すように、本実施形態に係る仮設防護柵1は、複数の支柱2と、これらの支柱2に架け渡された複数の横梁3と、これらの横梁3に取り付けられたパネル材4と、支柱2に傾斜して連結される控え柱5など、から構成されている。この仮設防護柵1は、図3に示すように、軌道に沿ってコンクリート構造物C1上に設置され、軌道と工事区域とを区画して、作業員が軌道側に立ち入ったり、資材等を持って移動する際に誤って列車に接触したりすることを防止する機能を有している。
【0037】
(支柱)
本実施形態に係る支柱2は、亜鉛めっきが施された断面略コの字状の鋼材からなるチャンネルで主に構成されている。勿論、本発明に係る支柱は、チャンネルに限られず、所望の断面性能を有する角形鋼管や円形鋼管としてもよいことは云うまでもない。
【0038】
この支柱本体20は、図4に示すように所定のピッチP1で立設されている。図示形態では、P1=1500mm(1.5m)で仮設防護柵1の全体の幅W1=3000mm(3m)となっている。
【0039】
(横梁)
横梁3は、亜鉛めっきが施された鋼材からなる断面略コの字状のチャンネル部材で主に構成されている。勿論、本発明に係る横梁も、断面略コの字状のチャンネル部材に限られず、所望の断面性能を有する角形鋼管や円形鋼管としてもよいことは云うまでもない。
【0040】
(パネル材)
パネル材4は、縦長な長方形状の透明な樹脂板からなり、本実施形態では、耐衝撃性能が一般の石英ガラスと比べて250倍以上であるポリカーボネートから形成されている。勿論、本発明に係るパネル材は、ポリカーボネートに限られず、漏洩同軸ケーブルからの電波を透過する電波透過性樹脂から形成されていればよい。
【0041】
具体的には、電波透過性樹脂は、ポリカーボネートの他、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン:Acrylonitrile Butadiene Styrene)、AES(アクリロニトリル・エチレン-プロピレン-ジエン・スチレン:acrylonitrile・ethylene-propylene-diene・styrene)などの耐衝撃性の高い熱可塑性樹脂が好適である。但し、漏洩同軸ケーブルからの電波を透過する樹脂であればよいことは云うまでもない。
【0042】
また、本実施形態に係るパネル材4は、厚さT1=5mm×高さH1=2000mm×幅W2=500mmの縦長な長方形状となっている。ポリカーボネートの密度は、1.2g/cmであり、パネル材4の1枚の重さは、6000gと非常に軽く、人力で持ち運ぶことが容易である。このため、パネル材4は、揚重機を使用しないで設置作業ができ、作業効率が極めて良い。
【0043】
但し、電波透過性樹脂からなるパネル材4の樹脂板の厚さT1は、後述のように、電波透過実験及び氷塊の衝突実験から5mm~10mmであることが好ましい。パネル材4の樹脂板の厚さT1が、10mmより厚いと電波透過性能が低下して交信時に支障が生じる可能性があるからである。また、厚さT1が5mmより薄いと氷雪が当たった場合、ポリカーボネート板が割れる可能性があるからである。
【0044】
また、日本人の平均身長等から仮設防護柵1の高さは一般的に2mとなっている。このため、パネル材4の幅方向の長さである幅W2が1m以下であれば、所望の耐衝撃性を有する厚さが10mmであってもパネル1枚の重量が25kg以下となり、一人の作業員が人力で持ち運ぶことができる重量以内に抑えることが可能となり好ましい。
【0045】
(控え柱)
控え柱5は、前述の梁本体30のチャンネル部材と同構成のチャンネル部材50と、このチャンネル部材50の長手方向の両端に固定された一対の傾斜自在治具51など、からなる斜材である。この控え柱5は、長手方向の一端が傾斜自在治具51を介して、支柱2に固定され、支柱2に対する水平方法の力に対抗する機能を有している。
【0046】
(補強部材)
また、図1図4に示したように、前述のパネル材4は、鋼材のL型アングルからなる補強部材6を有して前述の横梁3に接合されている。勿論、補強部材6は、L型アングル(等辺山形鋼、不等辺山形鋼)に限られず、溝形鋼や角形鋼管であっても構わない。要するに、本発明に係る補強部材は、パネル材4のパネル面に対して直交する立上り片61を有する部材であればよい。後述の氷塊の衝突実験により、立上り片61が座屈するなどして塑性変形することで、氷塊等の衝撃力の衝撃エネルギーを吸収してパネル材4が破損すること防止できることが判明したからである。
【0047】
前述のように、パネル材4の板厚を5mm~10mmとした場合、補強部材6の板厚は、1.0mm~3.2mmが好ましく、立上り片61の立上り高さは、15mm~40mmの範囲が望ましい。この範囲を大きく外れると、補強部材6の塑性変形によるエネルギー吸収性能が低下し、パネル材4が破損するおそれが高くなるからである。
【0048】
<仮設防護柵の作用効果>
以上説明した第1実施形態に係る仮設防護柵1によれば、パネル材4にポリカーボネートなどの電波透過性樹脂を用いているので、漏洩同軸ケーブルからの電波をパネル材4で遮ることがなく、新幹線等の交信に支障が生じるおそれがない。
【0049】
また、仮設防護柵1によれば、パネル材4にポリカーボネートを用いているので、耐衝撃性が向上し、新幹線などの高速列車から落雪した氷雪がパネル材に衝突する際の衝撃力に耐えることができる。また、ポリカーボネートは、他の樹脂と比べて耐熱性、難燃性、及び寸法安定性が高く、事故等により火災が発生した場合でも作業員の安全性を確保できるだけでなく、10年程度設置しても形状が変わらず、工事が長期化しても劣化せず、継続的に安全性の確保を維持することができる。
【0050】
その上、仮設防護柵1によれば、パネル材4の接合部分が、パネル面に対して直交する立上り片61を有する補強部材6で補強されているので、パネル材4に、新幹線などの高速列車から落下した氷雪の衝撃力が加わった場合でも、補強部材の立上り片が塑性変形することで、衝撃エネルギーを吸収することができ、パネル材4が破損することを防止することができる。
【0051】
さらに、仮設防護柵1によれば、一枚のパネル材4の重量を、一人の作業員が人力で運搬可能な25kg以下とすることができる。このため、揚重機を使用しないで仮設防護柵1の設置作業を行うことができ、仮設防護柵1の設置作業の作業効率が向上する。
【0052】
<仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置構造>
次に、図6図12を用いて、本発明の実施形態に係る仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置構造10(以下、単に漏洩同軸ケーブル仮置構造10という)について説明する。本実施形態に係る漏洩同軸ケーブル仮置構造10は、既設の壁高欄(図示せず)の改修工事の際にその壁高欄に沿って架設されていた既設の漏洩同軸ケーブルCaを、仮設防護柵に一旦移設して仮置し、改修工事が完了後に、元に戻すための仮置構造である。図6は、本実施形態に係る漏洩同軸ケーブル仮置構造10を外側から内側に見た正面図であり、図7は、漏洩同軸ケーブル仮置構造10の右側面図である。また、図8は、図7のA部拡大図であり、図9は、図7のB部拡大図である。
【0053】
本漏洩同軸ケーブル仮置構造10は、基本的に、前述の第1実施形態に係る仮設防護柵1に、取付金具7、縦桟8、ケーブル支持具9、接続金具11などを設けて、漏洩同軸ケーブルCaを仮置可能とするものである。但し、前述の仮設防護柵1と相違して、補強部材6がパネル材4の外側でなく、パネル材4の内側に設けられている。
【0054】
一般的に、壁高欄の改修工事などに用いる仮設防護柵1は、材料運搬等に支障をきたさないように狭い工事区域側の通路にできるだけ部材が突出しないように、支柱2や横梁3よりパネル材4が外側に設置される。
【0055】
そして、この仮設防護柵1に、漏洩同軸ケーブルCaを引っ掛けて架設できるようにケーブル支持具9等を設けようとする場合、前述の立上り片61を有する補強部材6をパネル材4の外側に設けると、立上り片61の立ち上り高さ分だけデッドスペースができ、スペースの有効活用ができない。また、狭い工事区域側の通路に立上り片61が突出していると、立上り片61が作業員に当たり、安全性の面で支障が生じる。
【0056】
そこで、図7図9に示すように、前述の立上り片61を有する補強部材6をパネル材4の内側に設けることを考えた。パネル材4の内側に補強部材6を設けても、立上り片61が塑性変形することで前述の衝撃エネルギーを吸収することがきるからである。しかし、そうすると、パネル材4が衝撃力で押される方向に補強部材6が存在しないこととなり、パネル材4を横梁3に止め付けているボルトやリベットなどの機械的接合手段の周囲に応力が集中してパネル材4が破損するおそれがあった。
【0057】
そこで、漏洩同軸ケーブル仮置構造10では、パネル材4の内側に補強部材6を設けるとともに、反対のパネル材4の外側に平鋼材であるフラットバー6’を設ける。これにより、補強部材を内側(軌道側)にしか設けられない場合でも、フラットバー6’により、パネル材4の接合部分に衝撃力による応力が集中せず、かつ、補強部材6の立上り片61の塑性変形により、衝撃エネルギーを吸収してパネル材が破損することを防ぐことができる。
【0058】
(取付金具)
また、漏洩同軸ケーブル仮置構造10では、図10に示すように、支柱2がパネル材4の外側に配置されなくても、漏洩同軸ケーブルCaを掛け止められるケーブル支持具9を設置できるように、支柱2とパネル材4の上方を跨ぐ形で迂回して支柱2に支持できるように支柱2の頂部に取付金具7を取り付ける。図10は、漏洩同軸ケーブル仮置構造10の取付金具7を示す斜視図である。
【0059】
この取付金具7は、図10に示すように、帯状の鋼板を基体とする金具本体70を折曲加工して断面略コの字状に成形されている。この取付金具7は、金具本体70の上辺部7aを中心に長手方向の端部が下方に折り下げられ、内側側辺部7bと外側側辺部7cが形成されている。
【0060】
また、これらの内側側辺部7b及び外側側辺部7cには、ボルトで支柱2及び縦桟8をボルト止めするためのボルト孔71が2カ所ずつ形成されている。この取付金具7は、内側側辺部7bのボルト孔71で支柱2の頂部にボルト接合され、外側側辺部7cのボルト孔71で後述の縦桟8の上部にボルト接合される。
【0061】
なお、取付金具7として断面略コの字状のものを例示して説明したが、本発明に係る取付金具は、コの字状のものに限られず、支柱2の内側からパネル材4の外側まで、支柱2及びパネル材4の上方を跨ぐ形状であればよい。但し、コの字状とすることにより、支柱2の内側からパネル材4の外側まで最短で結ぶことができ、簡単な構成により安価なものとすることができる。
【0062】
(縦桟)
縦桟8は、図8図9に示すように、チャンネル部材からなる。勿論、本発明に係る縦桟は、チャンネルに限られず、他の溝形鋼や角形鋼管など所望の断面性能を有する鋼材とすることができる。
【0063】
この縦桟8の上部は、図8に示すように、前述の取付金具7の外側側辺部7cにボルト接合されることにより、支柱2とパネル材4の上方を跨ぐ形で迂回して垂下され、支柱2に支持される。また、縦桟8の下部は、図9に示すように、接続金具11を介して横梁3にボルト接合されて支持されている。
【0064】
(ケーブル支持具)
ケーブル支持具9は、図7図9に示すように、内周面が漏洩同軸ケーブルCaの外径に応じた概略C字状の部材であり、C字状の支持具本体90と、この支持具本体90にねじ止め可能となっている塞ぎ材91など、から構成されている。
【0065】
このケーブル支持具9は、C字状の支持具本体90に漏洩同軸ケーブルCaを載置した後、塞ぎ材91を支持具本体90にねじ止めすることにより、漏洩同軸ケーブルCaがケーブル支持具9から脱落することが無いようにすることができる。
【0066】
(接続金具)
接続金具11は、図11に示すように、帯状の鋼板を基体とする金具本体110が折曲加工されて断面略Z字状に成形されている。この接続金具11は、前述のように、縦桟8の下部を横梁3に固定する機能を有している。なお、図11は、漏洩同軸ケーブル仮置構造10の接続金具11を示す斜視図である。
【0067】
この接続金具11の金具本体110には、図11に示すように、縦桟8の下部に固定するためのボルト孔111が穿設されているとともに、横梁3に固するための長孔112が形成されている。この長孔112は、位置調整自在とするために、横方向に長い長孔となっている。
【0068】
なお、接続金具11として断面Zの字状のものを例示して説明したが、本発明に係る接続金具は、Zの字状のものに限られず、横梁3に接続可能な形状であればよい。
【0069】
(ケーブル支持具の変形例)
次に、図12を用いて、前述のケーブル支持具9の変形例に係るケーブル支持具9’について説明する。図12は、漏洩同軸ケーブル仮置構造10の変形例に係るケーブル支持具9’を主に示す拡大側面図である。図12に示すように、変形例に係るケーブル支持具9’は、前述のケーブル支持具9の断面C字状と相違して、断面C字状の支持具本体90’に、断面C字状の把持片91’が蝶番92’で揺動自在となったクランプ形式の支持具である。
【0070】
また、ケーブル支持具9’は、断面C字状の支持具本体90’に断面C字状の把持片91’が合わさることで、漏洩同軸ケーブルCaの径に応じた円形の閉じた形状となり、支持具本体90’に把持片91’をボルトで掛け止めることができるようになっている。このため、ケーブル支持具9’は、前述のケーブル支持具9と比べても漏洩同軸ケーブルCaが脱落しにくい構成となっている。
【0071】
<仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置方法>
次に、図6図12を用いて、前述の漏洩同軸ケーブル仮置構造10を用いた本発明の実施形態に係る仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置方法について説明する。
【0072】
(仮設防護柵設置工程)
先ず、本実施形態に係る仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置方法では、仮設防護柵を設置する仮設防護柵設置工程を行う。
【0073】
このとき、漏洩同軸ケーブル仮置構造10では、前述のように、仮設防護柵1と相違して、パネル材4の内側に補強部材6を設けるとともに、反対のパネル材4の外側に平鋼材であるフラットバー6’を設ける。
【0074】
(取付金具取付工程)
次に、本実施形態に係る仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置方法では、図7図8に示すように、取付金具7をパネル材4の上を跨ぐ形で配置して取付金具7の内側の一端を支柱2の上部(頂部)にボルト接合して固定する取付金具取付工程を行う。
【0075】
(縦桟設置工程)
次に、本実施形態に係る仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置方法では、図7図8に示すように、取付金具7の外側の一端に縦桟8の上部をボルト接合して固定して設置する縦桟設置工程を行う。
【0076】
また、本工程では、図9に示すように、接続金具11を介して縦桟8の下部を横梁3にボルト接合して固定する。これにより、縦桟8の下部をしっかり固定することができ、さらに安定して漏洩同軸ケーブルCaを支持することができ、漏洩同軸ケーブルCaがふらついたり、破断したりすることを防ぐことができる。
【0077】
(ケーブル支持具設置工程)
次に、本実施形態に係る仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置方法では、図9に示すように、前工程で設置した縦桟8にケーブル支持具9を固定して設置するケーブル支持具設置工程を行う。
【0078】
(ケーブル移設工程)
次に、本実施形態に係る仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置方法では、既設の高欄から漏洩同軸ケーブルCaを固定していた部材を取外し、ケーブル支持具9の上に既設漏洩同軸ケーブルCaを載置して仮置するケーブル移設工程を行う。
【0079】
その後、本実施形態に係る仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置方法では、壁高欄の改修工事が完了した後、改修した壁高欄に漏洩同軸ケーブルCaを戻して復旧する。
【0080】
以上説明した、本発明の実施形態に係る仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置構造10、及びそれを用いた本発明の実施形態に係る仮設防護柵の漏洩同軸ケーブル仮置方法によれば、改修工事中において、既設の漏洩同軸ケーブルCaを途中で切断して盛り変えたりすることなく、工事期間中継続的に仮設防護柵1に仮置して、工事完了後に順次元に戻すことができる。このため、新幹線などの列車が走行している供用期間中に漏洩同軸ケーブルCaの移設作業を行うことができ、改修工事の作業効率が極めて高くなる。
【0081】
また、漏洩同軸ケーブル仮置構造10及び漏洩同軸ケーブル仮置方法によれば、接続金具11を介して縦桟8の下部を横梁3に固定するので、列車走行に伴う振動や、列車からの飛雪による衝撃力がパネル材4に加わった場合でも、安定して漏洩同軸ケーブルCaを支持することができ、漏洩同軸ケーブルCaがふらついたり、破断したりすることを防ぐことができる。
【0082】
[電波透過実験]
本実験では、漏洩同軸ケーブルから電波を発信させて、パネル材の厚さを段階的に変化させてパネル材を隔てた受信機で受信し、支障がないか否かを判定した。本実験により、パネル材4の樹脂板の厚さT1が、10mmを超えた厚さとなると電波透過性能が低下して交信時に支障が生じる可能性があることが判明した。
【0083】
[氷塊の衝突実験]
本実験では、重さ1kgの氷塊を時速360kmの速度で前述の仮設防護柵1と同様の仮設防護柵に衝突させ、パネル材の素材及び厚さを段階的に変化させてパネル材が破損したか否かを目視により確認した。本実験により、厚さT1が5mm未満であると氷雪が当たった場合、ポリカーボネート板が割れる可能性があることが判明した。
【0084】
以上、本発明の実施形態に係る仮設防護柵1、漏洩同軸ケーブル仮置構造10、及び漏洩同軸ケーブル仮置方法について詳細に説明した。しかし、前述した又は図示した実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたって具体化した一実施形態を示したものに過ぎず、例示した実施形態によって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。
【0085】
特に、仮設防護柵1を設置する場所として、高速列車が通過する専用高架橋を例示して説明したが、列車専用の高架橋に限られず、高速道路や一般道路にも適用することができる。また、本発明は、高欄の他、地覆や排水溝など、工事対象は限定しない。また、工事内容についても、撤去・再構築などを伴う改修工事の他、コンクリートのひび割れなどを修繕する補修工事、弱い部分を補って強くする補強工事など、その内容についても限定しない。
【符号の説明】
【0086】
1:仮設防護柵
2:支柱
20:支柱本体
3:横梁
30:梁本体
4:パネル材
5:控え柱
50:チャンネル部材
51:傾斜自在治具
6:補強部材
61:立上り片
6’:フラットバー(平鋼材)
7:取付金具
70:金具本体
71:ボルト孔
7a:上辺部
7b:内側側辺部
7c:外側側辺部
8:縦桟
9,9’:ケーブル支持具
90、90’:支持具本体
91:塞ぎ材
91’:把持片
92’:蝶番
10:漏洩同軸ケーブル仮置構造
11:接続金具
110:金具本体
111:ボルト孔
112:長孔
C1:コンクリート構造物
Ca:漏洩同軸ケーブル(LCXケーブル)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12