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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023082604
(43)【公開日】2023-06-14
(54)【発明の名称】ディスペンサー
(51)【国際特許分類】
   B05C 5/00 20060101AFI20230607BHJP
   B65D 47/34 20060101ALN20230607BHJP
【FI】
B05C5/00 101
B65D47/34 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021196491
(22)【出願日】2021-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】507014623
【氏名又は名称】IDEX株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】安田 孝夫
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 聡也
【テーマコード(参考)】
3E084
4F041
【Fターム(参考)】
3E084AA04
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB01
3E084CA01
3E084CC03
3E084DA01
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084KB01
3E084LB02
3E084LC01
3E084LD21
4F041AB01
4F041BA01
4F041BA12
4F041BA17
4F041BA32
4F041BA34
(57)【要約】
【課題】簡単な機構でボトルねじへの取り付けを容易にし、液体の分配をより簡便にするディスペンサーの提供を目的とする。
【解決手段】上記課題を解決する本願発明は、液体を吐出するディスペンサー本体1と、ボトルBに接続可能な接続部2と、を備え、ディスペンサー本体1は、ボトルB内部の液体を吸引するポンプ11と、ポンプ11で吸引した液体を吐出する吐出部12と、を有し、接続部2は、ボトルBのねじ部分と回転接続する噛み合い部214を内周面に設けるローレットネジ21と、ディスペンサー本体1と接続する固定部22と、を有し、固定部22は、ローレットネジ21を下方から支持するディスペンサーXである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出するディスペンサー本体と、ボトルに接続可能な接続部と、を備え、
前記ディスペンサー本体は、前記ボトルの内部の液体を吸引するポンプと、前記ポンプで吸引した液体を吐出する吐出部と、を有し、
前記接続部は、前記ボトルのねじ部分と回転接続する噛み合い部を内周面に設けるローレットネジと、前記ディスペンサー本体と接続する固定部と、を有し、
前記固定部は、前記ローレットネジを下方から支持するディスペンサー。
【請求項2】
前記固定部は、前記ローレットネジを前記ディスペンサー本体に押し付ける押し付け手段を有する請求項1に記載のディスペンサー。
【請求項3】
前記固定部は、前記ローレットネジの内周面に当接する当接部を含む請求項1又は2に記載のディスペンサー。
【請求項4】
前記噛み合い部は、平面視で離間して複数設けられ、
前記当接部は、前記噛み合い部同士が離間する部位に対応して設けられる請求項3に記載のディスペンサー。
【請求項5】
前記ローレットネジは、前記ディスペンサー本体の径と略同一になるように設けられる外環部と、
前記外環部の内側に設けられる内環部と、が一体になって形成されている請求項1~4の何れかに記載のディスペンサー。
【請求項6】
前記ポンプは、電気によって駆動される電動ポンプであり、
前記ディスペンサー本体は、外周方向へ突出する突出部と、電源を入れ込む電力供給部と、を有し、
前記突出部と、前記電力供給部は、前記ディスペンサー本体における対向位置に設けられている請求項1~5の何れかに記載のディスペンサー。
【請求項7】
請求項1~6の何れかに記載のディスペンサーが設けられたボトル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボトルねじに取り付けて使用可能なディスペンサーに関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書においてディスペンサーとは液体を適当な分量で分配して吐出する装置のことを言う。またボトルねじとは、ねじ状の切り込みに対応するキャップを螺着することで開閉を行う機構のことをいう。
ボトルねじに取り付けて使用可能なディスペンサーは、種々の容器に取り付けることで広範な目的での使用が可能であり、例えば特許文献1には市販の消毒液のボトルねじに取り付けて使用するディスペンサーの構造について詳細に記載してある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録3230489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のディスペンサーのボトルねじへの取り付け機構は、円筒形のボトルキャップを円筒形のボトルキャップロックによって固定する単純なものである。
一方、実際にディスペンサーをボトルねじに取り付けるにあたっては、ディスペンサー本体の角度を固定したまま取り付け部分のみを回転させるようにすることが好ましい。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑み、小型で簡単な機構でボトルねじへの取り付けを容易にし、液体の分配をより適切に行うディスペンサーの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本願発明は、液体を吐出するディスペンサー本体と、ボトルに接続可能な接続部と、を備え、前記ディスペンサー本体は、前記ボトル内部の液体を吸引するポンプと、前記ポンプで吸引した液体を吐出する吐出部と、を有し、前記接続部は、前記ボトルのねじ部分と回転接続する噛み合い部を内周面に設けるローレットネジと、前記ディスペンサー本体と接続する固定部と、を有し、前記固定部は、前記ローレットネジを下方から支持するディスペンサーである。
このように、前記ローレットネジを前記固定部が支持する小型化可能かつ簡単な機構によって、前記ディスペンサー本体に対して前記ローレットネジを相対的に回転させることができるため、ボトルねじに対する吐出口の角度の調整を行いやすくなる。また、大径で重くなりがちな前記ディスペンサー本体を回転させる必要がなくなり、ボトルねじへの着脱が容易になる。これにより、ボトル内部の液体の分配を簡便にするディスペンサーを提供できる。
【0007】
本発明の好ましい形態では、前記固定部は、前記ローレットネジを前記ディスペンサー本体に押し付ける押し付け手段を有する。
このように、前記ローレットネジを前記ディスペンサーに押し付けることによって、前記ディスペンサー本体の相対回転に必要な力を増やし、前記ディスペンサー本体の不用意な回転を防ぐ。
【0008】
本発明の好ましい形態では、前記固定部は、前記ローレットネジの内周面に当接する当接部を含む。
このような構成によって、前記ローレットネジと前記固定部の間に発生するズレを抑制するとともに、前記ローレットネジ内の前記固定部回転の中心位置が一定に保たれ、位置合わせを容易にできる。
【0009】
本発明の好ましい形態では、前記噛み合い部は、平面視で離間して複数設けられ、前記当接部は、前記噛み合い部同士が離間する部位に対応して設けられる。
このような構成によって、前記噛み合い部との干渉を発生させることなく、前記固定部を前記ローレットネジの内部に当接させて入れ込むことができる。
【0010】
本発明の好ましい形態では、前記ローレットネジは、ディスペンサー本体の径と略同一になるように設けられる外環部と、前記外環部の内側に設けられる内環部と、が一体になって形成されている。
このように、外径をディスペンサー本体1の径と略同一にすることによって、ディスペンサー本体1との間に段差を作らず見栄えをよくするとともに、回転中心からの距離を大きくすることができるため、大きなモーメントを発生させて軽い力でも簡単に前記ローレットネジを回転できるようになる。
【0011】
本発明の好ましい形態では、前記ポンプは、電気によって駆動される電動ポンプであり、前記ディスペンサー本体は、外周方向へ突出する突出部と、電源を入れ込む電力供給部と、を有し、前記突出部と、前記電力供給部は、前記ディスペンサー本体における対向位置に設けられている。
このような構成によって、ディスペンサー本体の重心をその中心に近づけ、ディスペンサーを倒れにくくすることができる。
【0012】
上記課題を解決する本願発明は、前記ディスペンサーが設けられたボトルである。
このような構成によって、ボトル内部の液体の分配を簡便に行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、上記の構成によって簡単な機構でボトルねじへの取り付けを容易にし、液体の分配をより適切に行うディスペンサーの提供をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る、ディスペンサーの斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る、ディスペンサーを様々な方向から見た図である。
図3】本発明の実施形態に係る、ディスペンサーの分解斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係る、接続部を説明する斜視図である。
図5】本発明の実施形態に係る、接続部の説明する底面図である。
図6】本発明の実施形態に係る、ディスペンサー下部及び接続部の断面図である。
図7】本発明の実施形態に係る、ディスペンサーの使用図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図1図7を用いて、本発明の実施形態に係るディスペンサーの構造等について説明する。説明は、実施形態に係る発明の各部について詳述した後に、実施の方法について説明を行う。また、符号Xはディスペンサーを表し、符号BはディスペンサーXに取り付けられるボトルを表す。
なお、以下に示す実施形態はあくまで一例であり、本発明を以下の実施形態に限定するものではない。
【0016】
ディスペンサーXは、図1図3に示すように、ボトルB内部の液体を吸引して液体を吐出するディスペンサー本体1と、ボトルBと接続する接続部2と、によって全体として円筒形状になるように構成されている。
なお、図1はディスペンサーXの斜視図、図2はいわゆる6面図であり、図2(a)は平面図、図2(b)は背面図、図2(c)は左側面図、図2(d)は正面図、図2(e)は底面図を表し、右側面図と左側面図はそれぞれ対称の形状である。また、図3は斜視図であり、一点鎖線は代表的なビスの取り付け位置を表している。
【0017】
ディスペンサー本体1は、図1図2に示すように、部品を格納する格納部10aと、蓋部10bで構成されており、略円筒形状の外観を呈する。また、格納部10aにはボトルB内部に充填されている液体を吸引するポンプ11が設けられており、また、ポンプ11で吸引した液体を吐出する吐出部12が円筒形状の外周方向へ向けて突出して設けられている。
さらに、格納部10aは、図3に示すように、ポンプ11に電力を供給する電力供給部13と、ポンプ11をディスペンサー本体1内部の所定位置に固定する内部ブラケット14と、電気的制御を司る制御部15を内部に有し、底面には後述する押し付け手段Pを貫入可能なねじ穴P1(図3に図示せず)を有する。
【0018】
ポンプ11は、圧力変化によって液体を吸引するポンプ本体111と、ボトルB内部の液体を吸引する吸引チューブ112と、吐出部12に向けて液体を押し出す吐出チューブ113と、によって構成されている。
【0019】
ポンプ本体111は、回転運動をゴム製部材に与えることによってゴム製部材の内部容積を適宜変化させ、その結果として生ずる圧力変化によって液体の流れを生じさせる。詳述すると、吸引チューブ112の内部を減圧してボトルBに充填された液体を吸引し、吐出チューブ113内部の液体を加圧して吐出部12から吐出を行う。
【0020】
吸引チューブ112は、その一端はボトルBに溜まった水面より下方に差し込まれ、他端はポンプ本体111に接続するパイプ状の部材である。好ましくは折り曲げ可能な柔軟性を有する。これにより、ボトルB底面に吸引チューブ112の一端が到達した場合であっても、折れ曲がることによって液体の吸引ができるので、高さの異なる種々の容器に対応したディスペンサーXを提供できる。
【0021】
吐出チューブ113は、ポンプ11と後述する吐出口123とを接続するパイプ状の部材である。好ましくは柔軟性を有し、後述する内部ブラケット14の所定位置において当接されることによって、吐出口123と安定して接続される。
【0022】
吐出部12は、手をかざすと制御部15を介してポンプ11と協働して所定量の液体をボトルから吐出するように構成されており、ディスペンサー本体1の上部において外周方向へ向けて突出する突出部121と、突出部121の下側に設けられている人感を探知するセンサー122と、液体を吐出する吐出口123によって構成されている。
【0023】
突出部121は、内部に吐出チューブ113や内部ブラケット14が固定されて設けられており、外側に向けて、4~6cm程度突出している。
また、突出部121の上面はディスペンサー本体1の底面と水平に設けられているが、下面は外周方向へ向けて下方から上方への傾斜をつけて設けられる傾斜部Sを有し、その先は水平になるように設けられている。
【0024】
センサー122は、いわゆる赤外線を探知するセンサーであって、人間の体温を検出することで制御部15に信号を送る。
また、センサー122は、傾斜部Sに内側から貼付けられるように設けられており、これによって赤外線の検出範囲を広げ、使用者は手を突出部121の直下までかざさずとも吐出を行える。
【0025】
吐出口123は、吐出チューブ113と接続される部材であって、移送された液体を小径の穴部からスプレー状になるように噴射する。また、吐出口は外側方向に向けて傾斜をつけて設けられており、これにより広範囲に内部の液体を噴射することができる。
【0026】
電力供給部13は、制御部15と電気的に接続しており、電源131から電力を供給している。また、図3に示すように、ディスペンサー本体1において突出部121と電力供給部13はお互いに対向する位置に設けられており、これによって重心を中心に近づけて、倒れにくくすることができる。
【0027】
内部ブラケット14は、格納部10aの内部の所定位置でビス止めすることによって固定可能に設けられたプラスチック部材であり、ポンプ本体111を固定するポンプ当接部141と、吐出チューブ113の位置を吐出口123に向けて誘導して固定するチューブ誘導部142と、を有する。
【0028】
ポンプ当接部141は円筒形のポンプ本体111よりも内径を小径にしたリング状部分141aと、ポンプ本体111の側面形状に対応して設けられた側面当接部分141bにより構成される。
これにより、ポンプ本体111は底面が格納部10aの底面と当接し、側面が電力供給部13の外縁部及び側面当接部分141bによって挟み込むように当接し、上面がリング状部分141aと当接する。すなわち、ポンプ本体111は全方面において当接されることで格納部10a内に強固に固定される。
【0029】
チューブ誘導部142は、吐出チューブ113を貫通した状態で当接する複数の誘導部で構成される。
詳述すると、側面方向に設けられる穴であって吐出チューブ113をチューブ誘導部142の内部に誘導する側面誘導部142aと、チューブ誘導部142の内部から上面に誘導する平面誘導部142bと、チューブ誘導部142の上面にある吐出チューブ113を突出部121の中心軸線上で貫通させることで吐出口123まで誘導する半輪誘導部142cと、によって構成されている。
【0030】
制御部15は、ポンプ本体111の制御を行う制御基板151と、制御基板151上に設けられる上面の電源ボタン152と、吐出量を調整する切替スイッチ153と、によって構成されている。
【0031】
制御基板151は、内部ブラケット14にビス止めされて固定される部材であって、電力供給部13、ポンプ本体111、センサー122、電源ボタン152、切替スイッチ153それぞれに電気的に接続しており、それらを協働して制御する。
【0032】
電源ボタン152は、蓋部10bの上面に設けられた陥没可能なボタン部分を介して押圧可能に構成されており、電力供給部13と他部品との電気的接続を遮断/接続する作用をもつ。
【0033】
切替スイッチ153は、蓋部10bの背面に設けられており、その中心には周方向に垂直に突出する凸部が設けられている。切替スイッチ153は、凸部の位置と上方に描かれたマークの位置とが一致するようにスライド移動できるように構成されており、制御基板151と電気的に接続して、位置に応じた電気信号を制御基板151に送るようにしてある。
【0034】
以下に、制御部15の挙動について詳述する。
電源ボタン152によって、電力供給部13と制御基板151とが接続すると、センサー122が待機状態となる。この状態においてセンサー122が反応すると、制御基板151に信号が送られ、切替スイッチ153によって定められた吐出量分の液体を吐出するようにポンプ11を動作させる。
なお、制御部15は、センサー122に反応してポンプ11が動作することが達成できればどのような回路にしてもよい。
【0035】
接続部2は、図4図6に示すように、ボトルねじと接続するローレットネジ21と、ローレットネジ21を下方から支持しつつディスペンサー本体1に固定される固定部22と、によって構成されている。
なお、図4は接続部2の分解斜視図であり、破線は内環部212を表し、一点鎖線は取り付け個所を表し、二点鎖線は固定部22の最大径を表す。図5(a)はローレットネジ21の底面図、図5(b)は固定部22の底面図を表し、図5(c)は固定部22を図5(b)の状態から紙面垂直方向を軸に45°回転させたものである。さらに、図6は、図5(c)の角度の固定部22を取り付けたディスペンサーXの断面図であり、図6(a)は、図5(a)におけるA―A’断面を表す断面を、図6(b)は図5(a)におけるB―B’断面を表す。
【0036】
ローレットネジ21は、図4に示すように、ディスペンサー本体1に対して回転可能に取り付けられる部品であって、外側を囲う円筒形状の外環部211と、外環部211の内側に設けられる円筒形状の内環部212と、内環部212の内側所定位置に固定部22と当接して支持される円筒形状の支持環部213と、内環部212の内周面に設けられボトルねじと噛み合って固定される噛み合い部214と、が接続部分Hを介して一体に構成されている。
【0037】
外環部211は、その外径をディスペンサー本体1と略同一とする円筒形状の部分であって、図4等では省略しているが、外周に縦方向の凹凸を等間隔に複数入れることで使用時における摩擦力を高めている。
【0038】
内環部212は、外環部211よりも小径の外径を有する円筒形部材であって、その高さは外環部211と略同一である。また、内環部212は、外環部211の内側に外環部211と中心が一致する入れ子構造となるように設けられており、その上面に水平部分H1等が架設されることによって他部材と一体に形成されている。
【0039】
支持環部213は、固定部22よりも小径の円筒形の部材であり、その上端は内環部212の上面よりも上方へ突出する。また、支持環部213は、内環部212の内側に内環部212と中心が一致する入れ子構造となるように設けられており、その上面に架設部分H3等が架設されることによって他の部材と一体に形成されている。
【0040】
噛み合い部214は、内環部212の内周面の内側方向に突出して設けられる部品であって、ここにおいてボトルねじと噛み合ってボトルBと接続される。また、図5(a)に示すように噛み合い部214は4つ設けられており、それぞれが平面視で等間隔に離間している。
【0041】
水平部分H1は外環部211の内周面と内環部212の外周面をその上端において接続するリング状の部分であって、その上面にはリング状の立設部分H2を有する。
【0042】
立設部分H2は、その外周面と円筒状のディスペンサー本体1の内周面が略当接するように設けられるリング状に立設した部分であって、その外周面と上面とが形成する角には面取り加工が施されている。
これにより、ディスペンサー本体1と、立設部分H2とが緩く篏合することで取り付けが容易になるとともに、接続部2の回転の安定性を高める。
【0043】
架設部分H3は、外環部211及び内環部212と支持環部213との間を架設して支持環部213を所定位置に固定する。架設部分H3の下面は、支持環部213の下面の高さと一致し、上面は水平部分H1の高さと一致するが、立設部分H2から内環部212まで線状に伸びる補強加工も施されており、架設部分H3の断面はT字状となる。
【0044】
固定部22は、押し付け手段Pによってディスペンサー本体1の底部に固定される円盤部材であって、内環部212の内部に嵌まり込む。固定部22は、支持環部213と当接する固定台221と、吸引チューブ112を通すチューブ孔222と、内環部212の内周面と当接する当接部223と、固定台をディスペンサー本体1に押し付けるための押し付け手段Pを入れ込むための穴である押し付け孔224と、によって構成されている。
【0045】
固定台221は、厚み1~3mmの円盤状の部材であって、その直径は、図5(b)に示すように、支持環部213の内径よりも大きく、その半径は、平面視した状態において内環部212の中心から噛み合い部214までの距離よりも短くなるように設けられている。
【0046】
チューブ孔222は、中心に設けられた直径12mm程度の大径の孔と、大径の孔に近接した直径8mm程度の小径の孔が結合して設けられており、小径の孔に対応する位置に吸引チューブが通される。大径の穴が指先を貫入可能な程度の大きさで中心に設けられることで、取り付けを容易にすることができる。
【0047】
当接部223は、固定台221の外周面から突出して設けられる部品であって、4つの同一形状の部品が離間して設けられている。
また、当接部223が設けられる位置は、内環部212において噛み合い部214同士が離間することで生ずる空隙の位置と略一致するように設けられている。
固定台221の中心から当接部223の外縁までの距離は、平面視した内環部212の半径と略同一か少し短くになるようにして内環部212の内周面と当接するように構成されており、また、平面視した内環部212から噛み合い部214の内縁までの距離よりも長くなるように構成されている。
上記の構成によって、ローレットネジ21が回転する際に発生するガタつきを抑え、また、固定部22の固定が外れた際にも、ローレットネジ21から簡単に抜け出ないようにすることができる。
【0048】
押し付け孔224は、押し付け手段Pを貫入可能な孔部分であり、ディスペンサー本体1の底面に突出して設けられるねじ穴を篏合することができるように構成されている。
本実施形態においては、チューブ孔222の周囲を取り囲むように3つの押し付け孔が設けられ、固定部22を内環部212に嵌め込んだ際に、支持環部213の内側にすべての押し付け孔224が入り込むように構成されている。
【0049】
押し付け手段Pは、押し付け孔224を介して、ディスペンサー本体1の底部に設けられるねじ穴と貫入して固定するねじ部材であって、これによって固定部22をディスペンサー本体1の底面に固定する。
図6(a)に示すように、ローレットネジ21は、外環部211の上面や支持環部213においてディスペンサー本体1の底面と当接するように設けられ、固定部22の固定台221が、架設部分H3や支持環部213を支持することでディスペンサー本体1と相対的に回転可能に接続されている。
ここにおいて、押し付け手段Pのねじの締め付け具合を調整することで、ディスペンサー本体1と固定部22と間の距離を調整できるため、ローレットねじ21とディスペンサー本体1が当接する際にかかる圧力を調整することができる。これにより、ディスペンサー本体1に対するローレットねじ21の回転のしやすさを調整することができる。
【0050】
また、ディスペンサーXの実際の使用時には、図7に示すように、接続部2の略全部を覆う取り付けリング3を設ける。取り付けリング3は、内周を接続部2の外周の形状と略同一形状としたリング状の部材であって、紐付け部31を有する。
【0051】
紐付け部31は、ローレットネジ21の回転方向の軸と同方向に孔を設けた四角形状の部材であって、取り付けリング3の外周に一体に設けられている。好ましくは平面視で60~150°程度の間隔を空けて2つ以上設けるとよい。
使用時には、紐付け部31の有する孔に紐を通し、その紐をディスペンサーXが乗せ置かれる台に結び付ける。このような構成によって、一見してディスペンサーXの取り外し方法が分からなくなるため、ディスペンサーXの盗難を抑制することができる。
【0052】
以下、図1~7を用いて、本発明の実施の方法について詳述する。本発明は、ディスペンサーXを組み立てて製造を行う製造者、ディスペンサーXを台に設置する設置者及びディスペンサーXから液体を吐出する使用者によって実施される。なお、以下に示す実施の方法は一例であり、実施の方法はこれに限られず、順番は前後してもよい。
【0053】
まず、製造者は、ディスペンサー本体1と接続部2を組み付ける。
製造者は、図5(a)に示すように、ローレットネジ21を底面が上向きになるように置き、その状態で固定部22を図5(b)に示す角度のまま内環部212の内側に挿入して嵌め合わせる。この際、当接部223が、噛み合い部214同士が形成する間隙に対応するように設けられているため、固定部22が干渉することなく支持環部213と当接する。
【0054】
次に、製造者は内環部212に固定部22を篏合させた状態で、図5(c)に示す角度(45°)まで固定部22を回転させる。これにより、ねじ穴P1と押し付け孔224の位置合わせを行う。この状態においては当接部223が、噛み合い部214と干渉するためローレットネジ21を逆さにしても固定部22が落ちない。
また、当接部223があることによって、固定部22の回転中心が一定に保たれ、位置合わせを容易にすることができる。
【0055】
次に、製造者は、押し付け手段Pを押し付け孔224及びねじ穴P1に貫入させることで、固定部22をローレットネジ21に固定し、ディスペンサーXとする。ここにおいて、押し付け手段Pの貫入度合を調整することによって、ローレットネジ21のディスペンサー本体1への押し付け具合を調整し、ローレットネジ21の相対回転に必要な力を調整することができる。
【0056】
次に、設置者が、図7のようにディスペンサーXをボトルBに取り付ける方法について詳述する。
設置者は、取り付けリング3をローレットネジ21の上部まで持ち上げ、その状態でローレットネジ21を回転させてボトルねじに取り付ける。
この際、ディスペンサー本体1は回転せずにローレットネジ21のみが回転するため、取り付けを容易に行うことができる。
【0057】
ボトルねじの取り付けが完了した後、設置者は、取り付けリング3を下方へ移動させ、接続部2およびボトルねじの周囲を覆う。そして、紐付け部31に通した紐を設置台と結びつけることによって設置を完了する。
【0058】
使用者は、設置されたディスペンサーXの突出部121の下方に手をかざす。これによってセンサー122が反応し、ポンプ11が動作してボトル内部の液体が所定量吐出される。
【0059】
上記構成によって、小型で簡単な機構でボトルねじへの取り付けを容易にし、消毒液の分配をより簡便にするディスペンサーXを提供することができる。
【符号の説明】
【0060】
X ディスペンサー
1 ディスペンサー本体
10a 格納部
10b 蓋部
11 ポンプ
111 ポンプ本体
112 吸引チューブ
113 吐出チューブ
12 吐出部
121 突出部
122 センサー
123 吐出口
13 電力供給部
14 内部ブラケット
141 ポンプ当接部
142 チューブ誘導部
15 制御部
151 制御基板
152 電源ボタン
153 切替スイッチ
2 接続部
21 ローレットネジ
211 外環部
212 内環部
213 支持環部
214 噛み合い部
H1 水平部分
H2 立設部分
H3 架設部分
22 固定部
221 固定台
222 チューブ孔
223 当接部
224 押し付け孔
P 押し付け手段
P1 ねじ穴
3 取り付けリング
31 紐付け部
B ボトル
S 傾斜部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7