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特開2023-82609ブレーキホース用ブラケット及びブレーキホースとブラケットとの固定構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023082609
(43)【公開日】2023-06-14
(54)【発明の名称】ブレーキホース用ブラケット及びブレーキホースとブラケットとの固定構造
(51)【国際特許分類】
   F16L 3/08 20060101AFI20230607BHJP
   F16L 35/00 20060101ALI20230607BHJP
【FI】
F16L3/08 A
F16L35/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021196498
(22)【出願日】2021-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】000112082
【氏名又は名称】ヒルタ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003085
【氏名又は名称】弁理士法人森特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 健一
(72)【発明者】
【氏名】荒木 功二
(72)【発明者】
【氏名】井上 和弥
【テーマコード(参考)】
3H023
【Fターム(参考)】
3H023AA03
3H023AB01
3H023AC06
3H023AD55
3H023AD57
(57)【要約】      (修正有)
【課題】固定具に対応する単一の凹穴によらずに、ブレーキホースに固定された固定具をブラケットに固定する際に固定位置を自ずと定めることができるブレーキホース用ブラケットと、ブレーキホースとブラケットとの固定構造とを提供する。
【解決手段】固定具を備えるブレーキホースを固定するためのブラケット1であり、貫通孔12の縁部に設けられる第1凸部21と、第2凸部22と、第3凸部23とを備えており、貫通孔12の縁部は、ブレーキホースに固定された固定具に掛止する形状であり、板材で構成され、第1凸部21、第2凸部22、及び第3凸部23は、ブラケット1を構成する板材が曲げられた形状であり、互いに独立した凸形状であり、ブレーキホースに固定された固定具が第1凸部21、第2凸部22に掛止して、ブレーキホースがブラケット1に対して回転しない状態で固定され、第3凸部23は、前記固定具の位置識別用の第3部を受け入れる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定具を備えるブレーキホースを固定するためのブラケットであり、
当該ブラケットは、貫通孔と、当該貫通孔の縁部に設けられる第1凸部と、前記貫通孔の縁部に設けられる第2凸部と、前記貫通孔の縁部に設けられる第3凸部とを備えており、
前記貫通孔の縁部は、ブレーキホースに固定された固定具に掛止する形状であり、
前記ブラケットは、板材で構成され、
前記第1凸部、前記第2凸部、及び前記第3凸部は、ブラケットを構成する板材が曲げられた形状であり、互いに独立した凸形状であり、
ブレーキホースに固定された固定具の第1部が前記第1凸部に掛止し、前記固定具の第2部が前記第2凸部に掛止して、ブレーキホースがブラケットに対して回転しない状態で固定され、
前記第3凸部は、前記固定具の位置識別用の第3部を受け入れるブレーキホース用ブラケット。
【請求項2】
前記第1凸部、前記第2凸部、又は前記第3凸部は、
一方の端部が前記貫通孔と接し、他方の端部がブラケットの縁に接する形状である請求項1に記載のブレーキホース用ブラケット。
【請求項3】
前記第1凸部、前記第2凸部、又は前記第3凸部は、
一方の端部が前記貫通孔と接し、他方の端部がブラケットに設けられた第2貫通孔と接する形状である請求項1に記載のブレーキホース用ブラケット。
【請求項4】
前記固定具は、
ブレーキホースを正しい位置にあわせたときには、前記第3凸部が固定具の位置識別用の第3部を受け入れて、
ブレーキホースを間違った位置にあわせたときには、前記第1凸部、前記第2凸部、及び前記第3凸部の少なくともいずれかひとつと固定具とが干渉する形状である請求項1ないし3のいずれかに記載のブレーキホース用ブラケット。
【請求項5】
前記第1凸部、前記第2凸部、又は前記第3凸部は、ブラケットを構成する板材を溝状に曲げた形状である請求項1ないし4のいずれかに記載のブレーキホース用ブラケット。
【請求項6】
第1部と第2部とを有する固定具を備えるブレーキホースと、
貫通孔と、当該貫通孔の縁部に設けられる第1凸部と、前記貫通孔の縁部に設けられる第2凸部と、前記貫通孔の縁部に設けられる第3凸部と備えるブラケットとを備える構造であり、
前記貫通孔の縁部は、ブレーキホースに固定された固定具に掛止する形状であり、
前記ブラケットは、板材で構成され、
前記第1凸部、前記第2凸部、及び前記第3凸部は、ブラケットを構成する板材が曲げられた形状であり、互いに独立した凸形状であり、
ブレーキホースに固定された固定具の第1部が前記第1凸部に掛止し、前記固定具の第2部が前記第2凸部に掛止して、ブレーキホースがブラケットに対して回転しない状態で固定され、
前記第3凸部は、前記固定具の位置識別用の第3部を受け入れるブレーキホースとブラケットとの固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキホース用ブラケットとブレーキホースとブラケットとの固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ブレーキホースを車体に固定する際には、ブラケットにブレーキホースを固定し、ブラケットを介して、ブレーキホースを車体に対して固定する。
【0003】
例えば、以下の特許文献1には、鋼板に取着孔を形成すると共に、コイニング加工により花弁状に押圧成型して回り止めを形成したブレーキホースの取着金具が記載されている。ブレーキホースに固定したナットを金具に対して螺合して、ブレーキホースを金具に固定する。
【0004】
例えば、以下の特許文献2には、円形の貫通孔の縁部に、六角形状のナットに対応する六角形状の凹穴を鋼板に形成したホース用のブラケットが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭53-156227号公報
【特許文献2】特開2007-321877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1、及び特許文献2のブラケットでは、ホースに固定した固定具に対応する形状を有する単一の凹穴をプレス成型により形成し、当該凹穴に固定具を嵌めることで、回転しないようにホースをブラケットに対して固定する。しかしながら、単一の凹穴に固定具を嵌めることによって固定具の回転を阻止するため、凹穴の形状が複雑にならざるを得ない。
【0007】
鋼板に複雑な形状の凹穴をプレス成型等の手法により形成すると、鋼板に局所的な応力が作用してクラックが入ったり、スプリングバックと呼ばれる鋼板の弾性変形により、意図した曲げ形状が得られなかったりするといった問題が生じる。
【0008】
本発明では、固定具を嵌める単一の凹穴によらずに、ブレーキホースに固定された固定具をブラケットに固定する際に固定位置を自ずと定めることができるブレーキホース用ブラケットと、ブレーキホースとブラケットとの固定構造とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
固定具を備えるブレーキホースを固定するためのブラケットであり、当該ブラケットは、貫通孔と、当該貫通孔の縁部に設けられる第1凸部と、前記貫通孔の縁部に設けられる第2凸部と、前記貫通孔の縁部に設けられる第3凸部とを備えており、前記貫通孔の縁部は、ブレーキホースに固定された固定具に掛止する形状であり、前記ブラケットは、板材で構成され、前記第1凸部、前記第2凸部、及び前記第3凸部は、ブラケットを構成する板材が曲げられた形状であり、互いに独立した凸形状であり、ブレーキホースに固定された固定具の第1部が前記第1凸部に掛止し、前記固定具の第2部が前記第2凸部に掛止して、ブレーキホースがブラケットに対して回転しない状態で固定され、前記第3凸部は、前記固定具の位置識別用の第3部を受け入れるブレーキホース用ブラケット(以下、ブラケットと称する。)により、上記の課題を解決する。
【0010】
第1部と第2部とを有する固定具を備えるブレーキホースと、貫通孔と、当該貫通孔の縁部に設けられる第1凸部と、前記貫通孔の縁部に設けられる第2凸部と、前記貫通孔の縁部に設けられる第3凸部と備えるブラケットとを備える構造であり、前記貫通孔の縁部は、ブレーキホースに固定された固定具に掛止する形状であり、前記ブラケットは、板材で構成され、前記第1凸部、前記第2凸部、及び前記第3凸部は、ブラケットを構成する板材が曲げられた形状であり、互いに独立した凸形状であり、ブレーキホースに固定された固定具の第1部が前記第1凸部に掛止し、前記固定具の第2部が前記第2凸部に掛止して、ブレーキホースがブラケットに対して回転しない状態で固定され、前記第3凸部は、前記固定具の位置識別用の第3部を受け入れるブレーキホースとブラケットとの固定構造(以下、固定構造と称する。)により、上記の課題を解決する。
【0011】
上記のブラケット、及び固定構造においては、前記第1凸部、前記第2凸部、及び前記第3凸部は、ブラケットを構成する板材が曲げられた形状であり、互いに独立した凸形状であるため、上記の単一の凹穴のように複雑な形状を有する凹穴とする必要がなく、プレス成型等の手法により、簡便に第1凸部と第2凸部と第3凸部とを成形することが可能である。ブレーキホースに固定された固定具の第1部が前記第1凸部に掛止し、前記固定具の第2部が前記第2凸部に掛止することにより、ブレーキホースがブラケットに対して回転しない状態で固定される。上記のブラケット、及び固定構造においては、前記第3凸部と前記固定具の位置識別用の第3部とにより、ブレーキホースを固定する位置や方向が自ずと定まる。
【0012】
上記のブラケット、及び固定構造において、前記第1凸部、前記第2凸部、又は前記第3凸部は、一方の端部が前記貫通孔と接し、他方の端部がブラケットの縁に接する形状とすることが好ましい。このようにすることにより、前記第1凸部、前記第2凸部、又は前記第3凸部をより成形しやすくなる。
【0013】
上記のブラケット、及び固定構造において、前記第1凸部、前記第2凸部、又は前記第3凸部は、一方の端部が前記貫通孔と接し、他方の端部がブラケットに設けられた第2貫通孔と接する形状とすることが好ましい。このようにすることにより、前記第1凸部、前記第2凸部、又は前記第3凸部をより成形しやすくなる。
【0014】
上記のブラケット、及び固定構造において、前記固定具は、ブレーキホースを正しい位置にあわせたときには、前記第3凸部が固定具の位置識別用の第3部を受け入れて、ブレーキホースを間違った位置にあわせたときには、前記第1凸部、前記第2凸部、及び前記第3凸部の少なくともいずれかひとつと固定具とが干渉する形状とすることができる。
【0015】
上記のブラケット、及び固定構造において、前記第1凸部、前記第2凸部、又は前記第3凸部は、例えば、ブラケットを構成する板材を溝状に曲げた形状にすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、固定具に対応する単一の凹穴によらずに、ブレーキホースに固定された固定具をブラケットに固定する際に固定位置を自ずと定めることができるブレーキホース用ブラケットと、ブレーキホースとブラケットとの固定構造とを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】ブレーキホース用ブラケットの一実施形態を示す斜視図である。
図2図1のブラケットを一方の面から見た状態を示す平面図である。
図3図2のAA部における断面図である。
図4図2のBB部における断面図である。
図5図2のCC部における断面図である。
図6図2のDD部における断面図である。
図7図1のブラケットと固定具とを固定した固定構造を示す斜視図である。
図8図7の固定構造を一方の面から見た状態を示す平面図である。
図9】固定構造の他の例を示す分解斜視図である。
図10図9の固定構造を組付けた状態の斜視図である。
図11図10の固定構造を一方の面から見た状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明のブラケットと固定構造の一実施形態について説明する。以下に示す各実施形態は、本発明の一例に過ぎず、本発明の技術的範囲は例示した実施形態に限定されるものではない。
【0019】
図1ないし図6に本発明のブラケットの一実施形態を示す。また、図7及び図8に本発明の固定構造の一実施形態を示す。
【0020】
図7及び8に示したように、ブラケット1は、固定具5を備えるブレーキホース8を車体に固定するためのものである。ブラケット1を、車体に対して固定する部品は特に限定されないが、前記部品としては、例えば、サイドフレーム、クロスメンバ、又はサブフレームなど車体を構成する部品であって、ブレーキ装置の近くに存在する部品など、任意の部品が挙げられる。
【0021】
図7に示したように、ブラケット1は、ブラケット1を構成する金属の板材を折り曲げて構成した取付部11を有する。取付部11を前記部品に対して接面させた状態で、前記部品と取付部11とを溶接や螺子留めすることによって、ブラケット1を前記部品に対して固定する。取付部の形状は、上記の例に限定されず、ブラケットを取り付けるのに適した形状とすればよい。
【0022】
貫通孔12の縁部は、図7に示したように、ブレーキホース8に固定された固定具5に掛止する形状である。図7の例では、貫通孔12の内径が固定具5の外径よりも小さく構成された部分を有する。ブラケット1においては、貫通孔12の縁部には、図2に示したように、固定具を掛止する複数の突部15が設けられている。図7及び図8の例では、ブラケット1の貫通孔12の内径は、ブレーキホース8の外径よりも大きく構成されており、貫通孔12はブレーキホース8の挿通を許容する。
【0023】
図7の例では、固定具5は、略六角形状のナットであり、六つの角部のうちの一つが円弧状に面取りされた形状である。この円弧状に面取りされた部分が後述する位置識別用の第3部33を構成する。また、ナットにおける対向する二つの平滑な面が、後述するように、ブラケット1の第1凸部21と第2凸部22とに対してそれぞれ掛止する第1部31と第2部32とされている。
【0024】
図7の例では、外周部に螺子溝を切った円筒状の部材84の孔にブレーキホース8が挿通された状態で固定されており、前記部材に対して、ブラケット1の一方の面からナットを螺合し、ブラケット1の他方の面から別のナットを前記部材に螺合する。これにより、ブレーキホース8をブラケット1に対して固定している。ブレーキホースと固定具とを連結及び固定する態様は、これに限定されず、その他の態様としてもよい。
【0025】
本実施形態のブラケット1は、図1及び図2に示したように、貫通孔12と、当該貫通孔12の縁部に設けられる第一凸部21と、前記貫通孔12の縁部に設けられる第2凸部22と、前記貫通孔12の縁部に設けられる第3凸部23とを有する。
【0026】
ブラケット1は、板材で構成される。第1凸部21、前記第2凸部22、及び前記第3凸部23は、図1ないし図6に示したように、ブラケット1を構成する板材が曲げられた形状を有しており、互いに独立した凸形状である。第1凸部21、前記第2凸部22、及び前記第3凸部23は、図1ないし図6の例では、ブラケット1の一方の面から上方に向けて突出する形状であり、ブラケット1を構成する板材を溝状に曲げた形状を有する。図1ないし図6の例では、第1凸部21、前記第2凸部22、及び前記第3凸部23は、板材が上方に向かって円弧状に曲げられた溝状である。
【0027】
図7及び図8の例では、ブレーキホース8に固定された固定具5の第1部31がブラケット1の第1凸部21に掛止し、固定具5の第2部32が第2凸部22に掛止して、ブレーキホース8及び固定具5がブラケット1に対して回転しない状態で固定される。ブラケット1の第3凸部23は、固定具5の位置識別用の第3部33を受け入れる。上述の通り、固定具5の位置識別用の第3部33は、角部が円弧状に面取りされた形状である。ブレーキホース8の位置を正しい位置にあわせた際には、図8に示したように、ブラケット1の第3凸部23は、位置識別用の第3部33を受け入れる。ブレーキホース8の位置を間違った位置にあわせた際には、図示は省略するが、固定具5の位置によって、第1凸部21、第2凸部22、及び第3凸部23の少なくともいずれかひとつと固定具5とが干渉して、ブレーキホース8をブラケット1に対して、うまく嵌めることができない。なお、図8の例では、ブラケット1の第3凸部23と固定具5の第3部33とは、接面し、掛止した状態とされており、ブラケット1の第1凸部21と第2凸部22と第3凸部23の計3点により、固定具5を安定した状態で支持するように構成されている。
【0028】
ブラケット1では、図1に示したように、第1凸部21、及び第3凸部23は、一方の端部が前記貫通孔12と接し、他方の端部がブラケット1の縁に接する形状とされている。これにより、第1凸部21、及び第3凸部23をプレス成型などの手法で成形する際に、第1凸部21と第3凸部23の形状がより安定しやすいようにしている。
【0029】
ブラケット1は、図1に示したように、取付部11と貫通孔12の縁部とを連結する部分に斜辺を有する基部14を有する形状である。このため、第2凸部22がブラケット1の縁に接する形状にしていない。ブラケット1では、第2凸部22の他方の端部に接するようにブラケット1を厚み方向に貫通する第2貫通孔13を設けて、第2凸部22の一方の端部が前記貫通孔と接し、第2凸部22の他方の端部がブラケット1に設けられた第2貫通孔13と接する形状としている。これにより、第2凸部22をプレス成型などの手法で成形する際に、第2凸部22の形状がより安定しやすいようにしている。なお、第2貫通孔は、例えば、隣接する凸部の幅以上の長さを有する貫通孔であればよい。ブラケット1では、第2貫通孔13は、第2凸部22の幅以上の長さを有しており、第2貫通孔13の幅が長さ方向よりも小さい長孔とされている。
【0030】
第2貫通孔13を設ける際には、第2貫通孔13をブラケット1に穿孔した後に、プレス成型等の手法により、第1凸部21、第2凸部22、又は第3凸部23を形成することによって、第1凸部21、第2凸部22、又は第3凸部23に絞り加工が施されるように変形されるのを回避して、それらの形状をより安定される効果が得られる。
【0031】
[変形例]
固定具は、六角形状のナットに限定されない。例えば、固定具は、ブレーキホースを正しい位置にあわせたときには、第3凸部が固定具の位置識別用の第3部を受け入れて、ブレーキホースを間違った位置にあわせたときには、第1凸部、第2凸部、及び第3凸部の少なくともいずれかひとつが固定具と干渉する形状とすればよい。固定具は、例えば、平面視において五角形、平面視において七角形など、任意の多面体状にすることができる。
【0032】
第1凸部、前記第2凸部、及び前記第3凸部は、ブラケット1の他方の面から下方に向かって突出する形状であり、ブラケットを構成する板材を溝状に曲げた形状としてもよい。
【0033】
第1凸部、前記第2凸部、及び前記第3凸部は、円弧状の溝形状に限定されず、例えば、角部を二つ形成した断面がハット形の形状にしてもよいし、角部を一つ形成した断面が三角形の形状にしてもよい。
【0034】
前記第1凸部、前記第2凸部、及び前記第3凸部は、少なくともいずれか一つ又は全てが、一方の端部が前記貫通孔と接し、他方の端部がブラケットの縁に接する形状としてもよい。また、前記第1凸部、前記第2凸部、及び前記第3凸部は、少なくともいずれか一つ又は全てが、一方の端部が前記貫通孔と接し、他方の端部がブラケットに設けられた第2貫通孔と接する形状としてもよい。
【0035】
第1凸部、第2凸部、第3凸部を設ける位置は、図1ないし6の例に限定されず、適宜変更することができる。例えば、第3凸部を図1において6時の位置に設けてもよいし、第3凸部を図1において3時の位置に設けてもよい。
【0036】
第2貫通孔の数は一つに限定されず、例えば、第1凸部、第2凸部、第3凸部、それぞれの他端部に一つずつ設けてもよい。
【0037】
また、前記第1凸部、前記第2凸部、及び前記第3凸部うち少なくとも一つ以上が、一方の端部が前記貫通孔と接し、他方の端部がブラケットの縁に接する形状であり、前記第1凸部、前記第2凸部、及び前記第3凸部うちの残りが、一方の端部が前記貫通孔と接し、他方の端部が第2貫通孔に接する形状としてもよい。
【0038】
前記第1凸部、前記第2凸部、及び前記第3凸部は、図2に示したように、一方の面からの視点における形状が直線状に構成される例に限定されない。例えば、前記第1凸部、前記第2凸部は、固定具の第1部と第2部とを構成する角部に沿う形状とし、前記第3凸部は、固定具の第3部を構成する円弧状部に沿う形状としてもよい。
【0039】
ブレーキホースとブラケットと固定具とを連結するには、例えば、軸方向に沿って貫通孔を設けたボルトを固定具とし、前記貫通孔にブレーキホースを挿通した状態で前記ブレーキホースと前記ボルトとを固定し、前記ボルトの頭部をブラケットの一方の面に掛止させて、ブラケットの他方の面からボルトの螺子溝にナットを螺合させるようにしてもよい。なお、ボルトの頭部には、上述と同様の位置識別用の第3部を設ける。
【0040】
ブレーキホースとブラケットと固定具とを連結するには、例えば、図9ないし図11に示したようにしてもよい。図9ないし図11に示した固定構造では、ブレーキホースが第1ホース81と第2ホース82とに分割されている。第1ホース81、及び第2ホース82は、内部にブレーキフルードを流通させる。第1ホース81の端部と、第2ホース82の端部には、互いに螺合することができる螺子部が設けられている。図9ないし図10の例では、ブラケット1の下側に接続される第2ホース82が金属で構成されており、第2ホース82の端部の外周面に螺子溝が切られている。ブラケット1の上側に接続される第1ホース81の端部には、内周面に螺子溝を切った金具811が接続されている。ブラケット1の貫通孔に金具811を挿通させた状態で、上記の螺子溝を螺合させることにより、第1ホース81と第2ホース82とは液密に接続される。
【0041】
第1ホース81の端部の外周面には、スリーブ812を介して、上述と同様の形状を有する固定具5が固定されている。ブラケット1の形状も上記と同様である。ブラケット1と固定具5とは、上記と同様にして、位置が回転しないように、固定される。
【0042】
第2ホース82の端部には、フランジ状の凸部821として六角ナット形状の凸部が設けられている。ブラケット1に対して、図12に示したように、第1ホース81と第2ホース82とを固定した際に、座金83を介して、前記凸部821はブラケット1に圧接する。座金83は、図9に示したように、湾曲した二つの腕部を有する形状であり、二つの腕部が板バネとして機能する。
【0043】
図9ないし図11の例では、ブラケット1の貫通孔には、ブレーキホースに接続され、内部にブレーキフルードを流通させる部材が挿通される。
【符号の説明】
【0044】
1 ブラケット
5 固定具
8 ブレーキホース
12 貫通孔
13 第2貫通孔
21 第1凸部
22 第2凸部
23 第3凸部
31 第1部
32 第2部
33 第3部


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11