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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023082638
(43)【公開日】2023-06-14
(54)【発明の名称】グラウト材閉塞栓
(51)【国際特許分類】
   F16L 55/179 20060101AFI20230607BHJP
   E03F 3/04 20060101ALI20230607BHJP
   E03F 7/00 20060101ALI20230607BHJP
   B29C 63/34 20060101ALI20230607BHJP
   F16L 1/00 20060101ALI20230607BHJP
【FI】
F16L55/179
E03F3/04 Z
E03F7/00
B29C63/34
F16L1/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021207579
(22)【出願日】2021-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】521556738
【氏名又は名称】杉浦 禎基
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 禎基
【テーマコード(参考)】
2D063
3H025
4F211
【Fターム(参考)】
2D063BA01
2D063BA37
2D063EA07
3H025DA02
3H025DB19
4F211AD12
4F211AG08
4F211AH13
4F211AH43
4F211SA13
4F211SC03
4F211SD04
4F211SP50
(57)【要約】
【課題】老朽化した既設の下水管の内壁に合成樹脂製の更生管をライニングする下水管更生工法において、既設の下水管に合流する枝管と更生管合流口までを迅速かつ容易に連結させ、枝管から流れる下水を更生管内部に導くとともに、既設の下水管と更生管との空間に注入するグラウト材が更生管内部への流入することを防ぎつつ、グラウト材の硬化後に迅速かつ容易に撤去できるグラウト材閉塞栓を提供する。
【解決手段】空気の流出入で膨縮自在に設けた板状内装バッグと、該内装バッグを包み込んだ板状外装バッグfからなる板状クラウド閉塞栓を、下水管の枝管Bと更生管合流口C1内に渦巻き状にしつつ膨張させることにより、グラウト材の更生管C内部への流入を防ぎ、かつ枝管Bと更生管合流口C1までを迅速かつ容易に連結させる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気の流出入で膨縮自在に設けた板状内装バッグeと、該内装バッグeの膨張規制と防護用にこれを被包する板状外装バッグfとから成ることを特徴とし、下水管Aと更生管Cの空間Sに注入するグラウト材が更生管Sの内部に流入しないように遮断する下水更生工法に用いられる板状のグラウト材閉塞栓。
【請求項2】
請求項1に記載する閉塞栓であって、該閉塞栓を渦巻き状の形状で膨張させることで、該閉塞栓の膨張後の形状の中央に空洞jを有し、空洞jに下水を流すことができることを特徴とする下水更生工法に用いられる板状のグラウト材閉塞栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、老朽化した既設の下水管の内壁に合成樹脂製の更生管をライニングする下水管更生工法において、既設の下水管に合流する枝管と更生管合流口までを迅速かつ容易に連結させ、枝管から流れる下水を更生管内部に導くとともに、既設の下水管と更生管との空間に注入するグラウト材が更生管内部へ流入することを防ぎつつ、グラウト材の硬化後に迅速かつ容易に撤去できるグラウト材閉塞栓である。
【背景技術】
【0002】
当該更生工法においては、既設の下水管を洗浄後、既設の下水管と更生管との空間に、グラウト材を注入し、既設の下水管と更生管を一体としている。しかしながら、グラウト材の注入時に、既存の下水管に合流する枝管と更生管との合流口は連結していないため、枝管から流れる下水が下水管と更生管の空間に流入し、又、下水管と更生管の空間に注入するグラウト材が更生管内に流入することとなる。
【0003】
従来の更生工法では、グラウト材注入作業前に、枝管から更生管合流口までをグラウト材等を用いて連結させていた。その為、連結作業が完了するまで、枝管からの下水を止めておく必要があることや、連結作業に時間を要する等の課題があった。
又、連結時には更生管内にて作業する必要があり、地上で大雨が降った時は作業者に危険が及ぶ作業であるため、迅速かつ容易に作業する必要がある。
【0004】
これらを解決すべく、特許文献1に排水路付き閉塞栓が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-128092号工法
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記文献の該排水路付き閉塞栓は、可撓性のある排水管と、該排水導管の周囲に空気の流出入で膨縮自在に設けた内装バッグと、該内装バッグの膨張規制と防護用にこれを被包する外装バッグが設けられている。
該閉塞栓の外周径は外装バックにて膨張規制されているため、枝管の内径や更生管合流口の径が異なるとそれに合わせたサイズの異なる色々な閉塞栓を準備しなければならなかった。閉塞栓の設置時において、枝管のわずかな内径の違いや異物の付着等により微調整が必要となり、設置作業に時間を要していた。
【0007】
該閉塞栓は異なる部材である排水導管と内装バックからなるため、内装バックを空気にて膨張させる際に、排水導管と内装バックの結合部から空気が漏れやすく、該閉塞栓の製造工程及び検査工程にて手間とコストを要していた。
【0008】
更に、該閉塞栓は多数の異なる部材から構成されており、製造及び使用後の廃棄処分等のコストが高いとの課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題に鑑み、本発明のグラウト材閉塞栓は、空気の流出入で膨縮自在に設けた板状内装バッグと、該内装バッグの膨張規制と防護用にこれを被包する板状外装バッグで構成される板状閉塞栓であり、下水管の枝管から更生管合流口までに渦巻き状に小さく丸めて、グラウト材閉塞栓を設置後、該内装バックを空気にて膨張させていき、膨張後はグラウト材閉塞栓の中央部には枝管から流れる下水を更生管まで導く空洞ができる特徴を有する。
【発明の効果】
【0010】
本願発明に係るグラウト材閉塞栓(以下、本閉塞栓)は、老朽化した既設の下水道管の内壁に合成樹脂製の更生管をライニングし、該下水管と更生管を一体とするためにその空間にグラウト材を注入する下水管更生工法に用いられるグラウト材の閉塞栓である。本閉塞栓は、空気の流出入で膨縮自在に設けた板状内装バッグと、該内装バッグの膨張規制と防護用にこれを被包する板状外装バッグとからなる板状の閉塞栓である。外装バックの一辺は、下水管の枝管の内径の周長及び更生管合流口の内径の周長よりも長く、かつ、該内装バックを空気にて膨張させた際に、本閉塞栓の中央部に枝管から流れる下水を更生管まで導く空洞を有する長さである。外装バックの他辺は枝管から更生管合流口までの距離以上の長さである。
【0011】
本閉塞栓は、更生管内部から、又は枝管の上流側より、人又は自動機械等の作業によって、本閉塞栓の下水管の枝管の内径の周長及び更生管合流口の内径の周長よりも長い辺側を渦巻き状に小さく丸めて、他辺を枝管内及び更生管合流口内に突き刺すように設置する。本閉塞栓の内装バックに空気を注入していくと、渦巻き状にした本閉塞栓は、直線の板状になろうとする。その為、空気を内装バックに注入していくと、本閉塞栓が、枝管内面と更生管合流口を押しつけながら膨らんでいく。最終的には、本閉塞栓の外装バックの外周面は、グラウト材が更生管内に流入することがない状態まで枝管及び更生管合流口と密着される。枝管の内径と更生管合流口の内径のサイズが大きく異なっても、板状外装バックの端辺は固定されていないため、本閉塞栓は空気による膨張に伴い、テーパ状に枝管及び更生管合流口をそれぞれ密着するように、本閉塞栓が渦巻き状に膨張していく。
【0012】
更に、本閉塞栓と枝管又は更生管合流口との間に弾性を有する発泡性ゴムの合成ゴムシート等を設置すれば、よりグラウト材遮断効果を有することとなる。
外装バックに該合成ゴムシート等を粘着テープ等で貼り付けておいてもよい。
【0013】
本閉塞栓の膨張前、又は膨張途中に、本閉塞栓の中央に鉄管や塩ビ管等を粘着テープ等で固定することなく配置させることにより、枝管及び更生管合流口の中央側部への本閉塞栓の膨張が抑えられることとなり、本閉塞栓が枝管及び更生管合流口に対して、よりグラウト材遮断効果を与えることとなる。
グラウト材硬化時は、鉄管等を撤去せずに、配置させた状態でよい。
【0014】
本閉塞栓において、下水管の枝管の内径の周長及び更生管合流口の内径の周長よりも長く、かつ枝管から更生管合流口までの距離よりも長い板状閉塞栓であれば、色々なサイズの枝管や更生管合流口であっても、1種類の本閉塞栓で対応可能となる。
【0015】
本閉塞栓は、内装バックと外装バックの構成からなるため、内装バックから空気を排出した状態では、持ち運び時に嵩張ることなく、又、本閉塞栓の使用時においても容易に設置できる。
【0016】
本閉塞栓は内装バックと外装バックの構成からなるため、製造、検査及び廃棄処分等の手間とコストはかからなく、その経済的効果甚だ大である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】グラウト材閉塞栓使用前の下水管更生工法の概要である。
図2】本発明に係るグラウト材閉塞栓である。
図3】グラウト材閉塞栓の空気注入口部の断面図である。
図4】グラウト材閉塞栓の膨張前の設置方法の一例である。
図5】グラウト材遮断時の閉塞栓の概要の一例である。
図6】弾性発泡性ゴムシート取り付け後のグラウト材閉塞栓である。
図7】鉄管を利用したグラウト材遮断時の閉塞栓の概要の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下本発明の実施の一形態について説明する。
本発明に係るグラウト材閉塞栓1(以下、閉塞栓1)は、図1に示す老朽化した既設の下水管Aの内壁に合成樹脂製の更生管Cをライニングする下水管更生工法において使用する閉塞栓である。
閉塞栓1は、既設の下水管Aに合流する枝管Bと更生管合流口C1までを迅速かつ容易に連結させ、枝管Bから流れる下水を更生管C内部に導くとともに、既設の下水管Aと更生管Cとの間にできる空間Sにグラウト材を注入する際、更生管合流口C1から、グラウト材が更生管C内部への流入を防ぎつつ、グラウト材の硬化後に内装バックeから空気を流出させることにより、迅速かつ容易に撤去できる閉塞栓1である。
【0019】
閉塞栓1は図2及び図3に示すように、空気の流出入で膨縮自在に設けたクロロプレン製等の合成ゴムからなる板状内装バッグeと、該内装バッグeを包み込んだ板状外装バッグfが設けられている。内装バックeには、内装バックeに空気の流出入用のホースhの継手金具tが接続されている。
閉塞栓1の一辺f1は、下水管の枝管Bの内径の周長及び更生管合流口C1の内径の周長よりも長く、かつ、内装バックeを空気にて膨張させた際に、閉塞栓1の中央部に枝管Bからの下水を更生管内まで導く空洞jを有する長さである。
閉塞栓1の他辺f2は、枝管Bから更生管合流口C1までの距離以上の長さである。
【0020】
閉塞栓1は、図4のように、更生管C内部より人の作業等によって、内装バックから空気を排出した閉塞栓1のf1側を渦巻き状に小さく丸めて、f2側を枝管B内及び更生管合流口C1内に突き刺すように設置する。
【0021】
閉塞栓1の内装バックeに空気を注入していくと、渦巻き状にした閉塞栓1は、直線の板状になろうとする。空気を内装バックeに注入していくと、外装バックfが、枝管B内面と更生管合流口C1を押しつけながら、閉塞栓1が渦巻き状に膨らんでいく。最終的には、図5のように、閉塞栓1の外装バックfはグラウト材が更生管内に流入することがない状態まで密着される。
【0022】
閉塞栓1と枝管Bの間、及び、閉塞栓1と更生管合流口C1の間に、弾性発泡性ゴムシートiをあらかじめ設けることで、よりグラウト材遮断効果が向上される(図示せず)。
又、図6に示すように、閉塞栓1の外装バックeに弾性発泡性ゴムシートiを粘着テープ等で貼り付けておくことでも、同効果は得られる。
【0022】
図7に示すように、閉塞栓1の膨張前、又は膨張途中に、閉塞栓1の中央に鉄管kを粘着テープ等で固定することなく配置させることにより、枝管B及び更生管合流口C1の中央側への閉塞栓1の膨張が抑えられ、グラウト材遮断効果が向上される。
【符号の説明】
【0023】
e 内装バック
f 外装バック
h 空気流出入用ホース
i 弾性発泡性ゴムシート
j 空洞
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7