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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023082670
(43)【公開日】2023-06-14
(54)【発明の名称】保守管理システムおよび保守管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/20 20230101AFI20230607BHJP
【FI】
G06Q10/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022186783
(22)【出願日】2022-11-22
(31)【優先権主張番号】17/457,394
(32)【優先日】2021-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519447732
【氏名又は名称】トランスポーテーション アイピー ホールディングス,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ショルツ,ベルンハルト ヨーゼフ
(72)【発明者】
【氏名】ロディ,ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】クイグリー,ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】ケーシオン,ジェフリー
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】データベースを有する車両システムのための指令制御装置を有するシステム及び方法を提供する。
【解決手段】車両システムにおいて、制御装置は、車両システムの初期診断分析をデータベースに記憶する。初期診断分析は、少なくとも1つのプレースホルダを有する基準診断セクションを含み、初期診断分析を、例えば、車両システム形式、車両システム構成、車両システムに関する履歴データまたは動作条件に関連する動作システムの1つに基づいて修正し、修正診断分析を形成する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
車両システムの、少なくとも1つのプレースホルダを有する基準診断セクションを含む、初期診断分析をデータベースに格納すること;
前記車両システムの動作条件に少なくとも部分的に基づいて、少なくとも前記1つのプレースホルダを有する前記基準診断セクションを含む前記初期診断分析を取得すること;
車両システム形式、前記車両システムの構成、および前記車両システムに関連する履歴データのうちの少なくとも1つに基づいて前記初期診断分析を修正し、修正診断分析を形成すること;および
前記修正後診断分析を保守管理装置に伝達すること、を備える、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つのプレースホルダは、置き換え可能な内容、取消し外し可能な指示、または変換プレースホルダのうちの1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記初期診断分析を修正することは、前記取消し可能な指示を削除することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記基準診断セクションは、前記車両システムの前記動作条件に関連する少なくとも1つの指示を含むフローチャート、決定木チャート、またはタスクリストのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記初期診断分析を修正することは、前記動作条件、前記車両システム形式、または前記車両システム構成に関連するデータを前記データベースで検索することと、前記指令制御装置で、前記データを前記基準診断セクションに入力することと、を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記修正後診断分析を前記データベースに保存することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記基準診断セクションを更新し、前記初期診断分析を更新された基準診断セクションで更新すること、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記動作条件に関連する前記車両システム形式、前記車両システム構成、または前記動作システムの前記少なくとも1つに基づく前記初期診断分析への修正に関連して行われた前記初期診断分析への修正を保存せずに、前記更新された基準診断セクションと共に前記初期診断分析を前記データベースに保存すること、をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記基準診断セクションは、前記初期診断分析の表題、動作条件に関する質問、動作システム構成品の画像、前記動作条件に関連する文書、または一連の指示内容のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記基準診断セクションは、前記データベースから取得されたタスク内容を含み、前記タスク内容は、前記初期診断分析の前記表題、前記動作条件に関する前記質問、前記動作システム構成品の前記画像、前記動作条件に関連する前記文書、または一連の指示内容のうちの前記少なくとも1つを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記プレースホルダは、表題、機種番号、製造者名、構成品名、部品番号、または指示文のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
システムであって、データベースと1つ以上のプロセッサとを有する車両システムのための指令制御装置を備え、前記1つ以上のプロセッサは:
前記車両システムの、少なくとも1つのプレースホルダを有する基準診断セクションを含む、初期診断分析を前記データベースに格納し、;
車両システム形式、車両システム構成、前記車両システムに関連する履歴データ、または動作条件に関連する動作システムの少なくとも1つに基づいて前記初期診断分析を修正し、修正された診断分析を形成し;および
前記修正後診断分析を保守管理装置に伝達する、ように構成される、システム。
【請求項13】
前記少なくとも1つのプレースホルダは、置き換え可能な内容、取消し可能な指示、または変換プレースホルダのうちの1つである、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記変換プレースホルダは、第一の単位を第二の単位に変換する、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記基準診断セクションは、前記車両システムの前記動作条件に関連する少なくとも1つの指示を含むフローチャート、決定木チャート、またはタスクリストのうちの少なくとも1つを含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
前記車両システムは鉄道車両システムである、請求項12に記載のシステム。
【請求項17】
前記基準診断セクションは前記車両システムの前記動作条件に関連する一連のタスクを含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項18】
前記タスク内容は前記診断分析の表題、前記動作条件に関する質問、動作システム構成品の画像、または前記動作条件に関連する文書のうちの少なくとも1つを含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
システムであって、データベースと1つ以上のプロセッサとを有する車両システムのための指令制御装置を備え、前記1つ以上のプロセッサは: 前記車両システムの、少なくとも1つのプレースホルダを有する基準診断セクションを含む、初期診断分析を前記データベースに格納し;
前記車両システムの動作条件に基づいて、前記少なくとも1つのプレースホルダを有する前記基準診断セクションを含む、前記車両システムの前記動作条件に関連する一連のタスクを含む、前記初期診断分析を取得し;
動作条件に関連する動作システムに関連する動作システムデータに基づいて前記初期診断分析を修正し、修正された診断分析を形成し;および
前記修正後診断分析を保守管理装置に伝達する、ように構成される、システム。
【請求項20】
前記動作システムデータは、車両システム形式、車両システム構成、または前記動作システムに関連する履歴データのうちの少なくとも1つを含む、請求項19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載される主題は、車両システムの修理および保守のための制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両システムにおいて、エンジンが熱い、車軸が熱いなどの動作条件(状態)になることがあるが、多くの場合、その原因は不明である。その結果、保守担当者は、通常、動作条件を引き起こしているものを診断するための診断テスト方法や、診断分析方法を考え出さなければならない。これらの診断テストや指令(Rx)は、保守技術者や技能者が故障した、あるいは故障の危険性がある機器を修理・保守する際に利用される。
【0003】
指令を作成する場合、保守担当者は動作条件を診断または対処するために使用される一連の指示、またはタスクを作成する。一連の指示は、その後の診断中において保守技術者または別の保守担当者が利用することができる。一連の指示は、この一連の指示に従った後に診断ができない場合、特定の指令が既に試みられたというように、記録されてもよい。
【0004】
一連の指示やタスクを含む指令を作成する場合、広範囲にわたる故障の様子、車両の機種や型、構造などに適用される汎用の内容作成することと、異なる機種、形式、構成などに固有の内容の複数のバージョンを作成することの間でバランスを取る必要がある。特に報告書をまとめる際に、ある手順を単純に即座に記録することができるよう、できるだけ多くの汎用的な手順を盛り込みたいという要望がある。例えば、エンジンが高温になる原因を診断する場合、機種、型式、構成に関係なく、常にラジエーター液面をチェックするということがある。しかし、その動作状態を引き起こしている問題は、すべての機種、型式、構成などに共通するものではないことが多い。例えば、ハイブリッドエンジンを搭載した車両は、内燃機関とは全く異なる指示を出す場合がある。それでもあまりに多くの具体的な指示を出すと、問題に無関係な指示を出すことになりかねない。現在利用可能なものとは異なるシステムおよび方法を有することが望ましい。
【発明の概要】
【0005】
一実施形態に従って、指令制御装置のデータベースに車両システムの初期診断分析を保存することを含む方法が提供される。初期診断分析は、少なくとも1つのプレースホルダを有する基準診断セクションであってよい。前記方法は、車両システムの動作条件(状態)に基づいて、少なくとも1つのプレースホルダを有する基準診断セクションを含む初期診断分析を取得することと、車両システム形式、車両システム構成、車両システムに関連する履歴データ、または動作条件に関連する動作システムの少なくとも1つに基づいて初期診断分析を修正し、修正診断分析を形成することとを含んでもよい。本方法は、修正された診断分析(修正後診断分析)を保守管理装置に伝達することを含んでもよい。
【0006】
一実施形態に従って、データベースを有する車両システムのための指令制御装置および、1つまたは複数のプロセッサを含むシステムが提供される。制御装置は、データベースにおいて車両システムの初期診断分析を記憶し、初期診断分析は、少なくとも1つのプレースホルダを有する基準診断セクションを含み、車両システム形式、車両システム構成、車両システムに関する履歴データ、または動作条件に関する動作システムの少なくとも1つに基づいて初期診断分析を修正して、修正診断分析を形成してよい。指令制御装置は、修正された診断分析を保守管理装置に伝達してもよい。
【0007】
一実施形態に従って、1つ以上のプロセッサおよびデータベースを有する指令制御装置を含み得るシステムが提供される。システムは、車両システム用であってもよい。1つ以上のプロセッサは、データベースにおいて車両システムのための初期診断分析を記憶し、初期診断分析は少なくとも1つのプレースホルダを有する基準診断セクションを含み、車両システムの動作条件に基づいて少なくとも1つのプレースホルダを有する基準診断セクションを含む初期診断分析を取得することができる。初期診断分析は、車両システムの動作条件に関連する一連のタスクを含んでもよい。1つ以上のプロセッサは、動作条件に関連する動作システムに関連するデータに基づいて初期診断分析を修正して修正診断分析を形成し、修正診断分析を保守管理装置に伝達してもよい。任意選択的に、動作データは、車両システム形式、車両システム構成、または動作システムに関連する履歴データの少なくとも1つを含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明の主題は、添付の図面を参照して、非限定的な実施形態の以下の説明を読むことによって理解され得る。
【0009】
図1図1は、車両システムの概略図である。
図2図2は、車両システムの制御システムの概略図である。
図3図3は、車両システムに保守を提供するための方法のブロックフロー図である。
図4図4は、初期診断分析の概略図である。
図5図5は、修正後の診断分析の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書に記載される主題の1つ以上の実施形態は、車両システムのための制御システムに関するものである。制御システムは、データベースを有する指令制御装置を含んでもよい。データベースは、複数の初期診断分析を含んでもよい。これらの分析は、それぞれ車両システムの動作条件に基づいてもよい。各診断分析は、車両システム、動作条件、動作条件を有する動作システム、履歴データ、環境データなどに関連するデータを入力し、または削除するための1つまたは複数のプレースホルダを含むことができる基準診断セクションを含む。プレースホルダを入力した結果、保守技術者が使用するための修正された診断分析が形成され得る。
【0011】
図1は、車両システム100の一例の概略図を示す。図1では、車両システムを鉄道車両として図示しているが、他の例では、車両システムは、自動車、船舶、飛行機、オフロード車両、建設車両、農業車両、および他の車両グループを含んでもよい。好適な車両システムは、単一の車両または複数の車両を含んでもよい。車両システムは、出発地または出発場所から目的地または到着場所への行程において、経路104に沿って移動してもよい。図示された例では、車両システムは、経路に沿って一緒に移動するために互いに機械的に相互接続された推進力発生車両108および非推進力発生車両110を含んでもよい。この例では、車両システムは、少なくとも1つの推進力発生車両と、任意に、1つ以上の非推進力発生車両とを含んでもよい。あるいは、車両システムは、単一の推進力発生車両のみ、または協調して走行する複数の推進力発生車両から形成されてもよい。
【0012】
推進力発生車両は、ルートに沿って車両システムを推進(例えば、引く、または押す)するための牽引力を発生させることができる。推進力発生車両は、車両システムを推進するための牽引力を発生するように動作するエンジン、1つ以上の駆動用モータ、および/または同種のものなどの推進システムを含んでもよい。1つの推進力発生車両および1つの非推進力発生車両が図1に示されているが、車両システムは、複数の推進力発生車両および/または複数の非推進力発生車両を含むことができる。代替の実施形態では、車両システムは推進力発生車両が非推進力発生車両または別の種類の車両に結合されないように、推進力発生車両のみを含んでもよい。さらに別の実施形態では、車両システム内の車両は、論理的または仮想的に互いに結合されるが、機械的には結合されない。例えば、車両は、車両が連結器によって互いに物理的に結合されることなく、車両が仮想ブロック-車列、構成、群、車両隊、小隊などとして一緒に移動するように、互いの動きを調整するために通信してもよい。
【0013】
推進力発生車両は、車両システムの動作を制御する1つまたは複数の他の動作システム112を含んでもよい。一例では、動作システムは、車両システムの動きを減速または停止させるための制動力を発生させる制動システムである。あるいは、動作システムは、加熱および冷却システム、エンジンおよび/またはトランスミッションシステム、軸受システム、車輪システムなどであってもよい。
【0014】
図1の例では、車両システムの車両はそれぞれ、経路に係合する複数の車輪120と、左右の車輪を互いに結合する少なくとも1つの車軸122とを含む(図1には左車輪のみが示されている)。任意選択的に、車輪および車軸は、1つまたは複数のトラックまたはボギー118に配置される。任意選択的に、トラックは、車輪が車軸に回転可能に固定され、したがって左車輪が右車輪と同じ速度、量、および同じ時間で回転するように、固定式の車軸トラックであってもよい。一実施形態では、車両システムは、いくつかの採掘車両、電気車両などにおいて車軸を含まなくてもよい。
【0015】
車両システムは、車両システム内の車両間および/または指令制御装置128などとの遠隔地との無線通信を可能にする無線通信システム126を含む車両制御装置124を含んでもよい。通信システムは、受信機および送信機、または受信と送信の両方の機能を実行するトランシーバを含んでもよい。通信システムは、アンテナおよび関連する回路を備えていてもよい。
【0016】
指令制御装置は、車両配車場所、整備場所、または同様の場所に配置されてもよい。指令制御装置は、そのときの車両システムの動作条件を引き起こしているものを診断するために、多数の指令、または診断分析を含むことができるデータベースを含んでよい。動作条件は、高いエンジン温度、車軸温度の変動、高いまたは低いブレーキ油圧、低いブレーキ液のレベル、センサの読み取りエラーなどを含んでよい。各動作条件は、修理や保守を必要とする可能性のある動作パラメータや特性を表す。
【0017】
各診断分析は、基準診断セクションを含んでもよい。各診断分析は、基準診断セクションの一部である診断分析に共通すると考えられる汎用部分、または一連のタスクを有する初期診断分析として開始される。例えば、エンジンが高温状態で動作していると判断された場合、初期診断分析はエンジンの環境に関連する温度データの確認、冷却液面の確認、オイルの劣化状態の確認などの一連のタスクを含むことができる。エンジンの製造者や機種番号などに関係なく、エンジンが高温になった場合、これらは必ず実施される手順である。
【0018】
さらに、基準診断部は、プレースホルダを含むことができる。プレースホルダは、診断分析から追加または削除され得る任意の指示、置換され得る番号、記号、文字や変換プレースホルダを含んでもよい。追加または削除される可能性のある指示は、すべての診断分析に関連しない可能性のある一連のタスク中のタスクを含む。例えば、エンジンに関連する動作条件が提供された場合、エンジンが内燃機関であればハイブリッドエンジンに関連するタスクは不要である。そこで、初期の診断分析において、基準診断セクションは、ハイブリッドエンジンおよび内燃機関に関連する両方の一連のタスクを含むことができるプレースホルダを含んでよい。一例では、ハイブリッドエンジンに関連する一連のタスクは、プレースホルダの一連のタスクに注意を向けるために、一連の指示の他の部分とは異なる色、異なるフォント、下線や太字などで提示してもよい。また、エンジンがハイブリッドエンジンでない場合、ハイブリッドエンジンに関連するタスクのプレースホルダは、診断分析から削除されてもよい。別の例では、初期診断分析は、基準診断セクションのプレースホルダとして、「ここにハイブリッドエンジンのタスクを挿入してください」と示すプレースホルダセクションを含んでもよい。このように、エンジンがハイブリッドエンジンとして識別される場合、指令制御装置は、ハイブリッドエンジンの一連のタスクを指令制御装置データベースで検索し、ハイブリッドエンジンの一連のタスクでプレースホルダを入力してもよい。このように、動作状態、車両システム、動作条件を有する動作システムなどに関連する情報、タスク、データなどに基づいて、基準診断セクションが変更されてもよい。
【0019】
別の例では、プレースホルダは、置き換えられる可能性のある数字、記号、文字などであってもよい。例えば、技術者が利用する最終的な、または修正された診断分析のために、車両システム、動作状態を示す動作システム、動作条件などに関連する情報が提供されることになる。一例として、プレースホルダは、「ブレーキシステムの形式」、「ブレーキシステムの機種」、「ブレーキシステムの製造者」、「車両システムの製造者」、「走行距離」、「運転時間」、「過去の修理概要」、「サービス記録」、「日付」などを示すことができる。各プレースホルダは、保守レポートに記入するべき情報を伝えることができるが、車両システム、動作システム、動作条件などに依存して異なることになる。それでも、プレースホルダは、この情報が修正された診断分析において必要であるとのリマインダーを提示する。
【0020】
プレースホルダは、変換プレースホルダであってもよい。変換プレースホルダは、修正された診断分析を顧客のためにカスタマイズするために、変換プレースホルダに関連付けられた数式、アルゴリズム、参照表、数学関数などを含んでもよい。変換プレースホルダは、第一の単位を第二の単位に変換してもよい。例えば、変換プレースホルダは、温度測定のためのものであってもよい。車両システムの所有者に基づき、華氏の代わりに摂氏の温度測定値が望まれる場合もある。同様に、ポンドとキログラム、キログラムとグラム、キログラムとポンド、リットルとガロン、ガロンとリットル、馬力とワット、ワットと馬力、摂氏とケルビンなど他の変換が提供されてもよい。変換は、車両システム所有者の場所、車両システム所有者が提供する設定などに基づいて決定されてもよい。再び、プレースホルダは、データ、特性、情報、タスクなどを提供、置換、包含、修正などして、初期診断分析を保守技術者によって利用され得る修正診断分析に変換することができる場所を提示する。
【0021】
図2は、多数の車両システムと通信し、監視することができる制御システム200の概略図である。この目的のための車両システムには、自動車、鉄道車両、船舶、飛行機、オフロード車両、建設車両、グループとしての車両、または同様のものを含めることができる。制御システムは、1つ以上のプロセッサ202(例えば、マイクロプロセッサ、集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイなど)を備える指令制御装置201を含むことができる。指令制御装置は、車両システムから離れた出発場所、駅、停留所などに配置されてもよい。一例では、指令制御装置は、保守管理装置であってもよい。
【0022】
指令制御装置は、任意で電子的にコンピュータで読むことができる記憶装置や媒体であるデータベース204を含んでもよい。指令制御装置のデータベースは、指令制御装置の筐体内にあってもよく、あるいは代替的に、制御装置およびその中の1つまたは複数のプロセッサに通信可能に結合され得る別のデバイス上にあってもよい。「通信可能に結合される」とは、2つのデバイス、システム、サブシステム、アセンブリ、モジュール、構成品などが、1つ以上の導電性(例えば、銅)ワイヤ、ケーブル、またはバス、無線ネットワーク、光ファイバーケーブルなどによる1つ以上の有線または無線通信リンクにより結合されることを意味する。データベース、または制御装置のメモリには、1つ以上のプロセッサが使用するために一時的または永久的にデータを格納する、有形で非一時的なコンピュータで読むことができる記憶媒体を含めることができる。データベースには、ランダムアクセスメモリ(RAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、他の形式のRAM、読み取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、磁気記憶装置(例えば、ハードディスク、フロッピーディスク、や磁気テープ)、光ディスクなどの1種類の揮発性および/または不揮発性のメモリ装置を含めることができる。データベースは、履歴データ、車両データ、指令(Rx)データなどに関連する情報を格納するために利用されてもよい。その後、データベースは、1つ以上のプロセッサによって、各車両システムの各動作システムが健全かどうかを含む、各車両システムの健全性に関連する決定を行うためのデータにアクセスするために使用されてもよい。一例では、データは、車両システムに関連する診断分析に記録される。診断分析は、一連のタスクを有する指令を含んでもよい。別の例では、ビデオ画像のようなデータが記録され、後の分析のためにデータベースに保存されてもよい。さらに、アルゴリズム、アプリケーション、モデルなどが、領域内の車両システムの健全性に関連する決定を行う際に、1つ以上のプロセッサによって使用されるようにメモリ内に格納されてもよい。
【0023】
指令制御装置は、複数の車両制御装置や、少なくとも1つのリモートデバイスと通信することができるトランシーバ206を含んでもよい。トランシーバは、単一の装置であってもよいし、別個の受信機および送信機であってもよい。一例ではトランシーバは、信号を送信するだけであってもよいが、それだけではなく、信号を送信(例えば、送信および/または配信)および受信してもよい。
【0024】
指令制御装置は、入力装置208および出力装置210を含んでもよい。入力装置は、オペレータ、または監視者と、1つ以上のプロセッサとの間のインターフェースであってよい。入力装置は、ディスプレイまたはタッチスクリーン、入力ボタン、メモリデバイスを接続するためのポートなどを含んでもよい。このように、オペレータや監視者は、車両パラメータ、経路パラメータ、および行程パラメータを含むパラメータを制御装置に手動で提供してもよい。同様に、出力装置は、オペレータに情報およびデータを提示してもよく、あるいは、情報およびデータのための表示手段を提供してもよい。出力装置は、同様に、ディスプレイまたはタッチスクリーンであってもよい。このように、ディスプレイやタッチパネルは、入力装置であり、出力装置であってもよい。
【0025】
指令制御装置は、保守技術者が実施する診断分析に関連するレポートをまとめるための指令アプリケーション212を追加的に含むことができる。指令アプリケーションは、指令に関する初期診断分析214を得るために1つまたは複数のプロセッサによって利用され得るプログラム、指示、タスク、または同様のものであってよい。任意選択的に、指令アプリケーションは、制御システムに関連して指示された動作を実行するための1つまたは複数のプロセッサを含み得る、および/または接続されるハードウェア回路を表示することができる。初期診断分析は、指令制御装置のデータベースに格納されてもよく、または、リモートデバイスから受信されてもよい。
【0026】
一例では、リモートデバイスは、バックオフィスシステムにおける制御装置であってもよい。例示的なバックオフィスシステムは、グローバルパフォーマンス最適化センター(GPOC)であってもよい。ここで使用されるように、GPOCは、経路のネットワークを利用している車両システムの維持、サービス、およびディスパッチに専念するセンターである。GPOCは、鉄道車両システムおよびトラックのための多数のネットワークを監視してもよい。GPOCでは、制御装置は、特定の車両システムの構成モデル、構造、形式、ソフトウェアバージョンの負荷、役目および使用、アップグレードおよび修理、運行時間などに関連する履歴データを含むデータベースにアクセスできてもよい。他の外部データは、気象データおよび経路に関する情報など、GPOCから得られてもよい。さらに、GPOCには、車両システムの(現在および/または予測される将来の)動作状態に、少なくとも部分的に基づいて提案された指示を提供することができる専門家がいてもよい。一例では、指令制御装置は、GPOCセンターにあってもよい。別の例では、指令制御装置は、GPOCにある制御装置と通信していてもよい。
【0027】
動作中、初期診断分析は、修正された診断分析を形成するために使用されてもよい。これはまた、保守技術者が使用してもよい。一例では、初期診断分析は、基準診断セクションを提示してもよい。基準診断セクションは、保守技術者が利用する修正後の診断分析を形成するために修正され得るプレースホルダを含んでもよい。プレースホルダは、製造者、所有者、車両システム、動作システム、動作条件などに関連する履歴データを検索し、そのデータをプレースホルダに入力することによって修正されてもよい。
【0028】
別の例では、初期診断分析として、ハイブリッド車両のバッテリーの保守が発生したときのライブデッドライブ試験を実行することができる場合、診断分析は試験のライブ部分の間に得られた電圧、試験のデッド部分の間に得られた電圧、および試験の第2のライブ部分の間に得られた電圧を記録するタスクを含んでよい。診断分析において、プレースホルダとして赤色または他の色で表示された数字「999」が「ボルト」という用語の前に表示されてもよい。別の例では、「電圧値」、または「値をここに入力」などの用語が提供されてもよい。プレースホルダは、診断分析によって測定値または値がプレースホルダの場所に配置される必要があることを保守担当者に注目させてもよい。このようにして、プレースホルダは、保守担当者が編集することができる文字を含んでもよい。
【0029】
全てにおいて、プレースホルダを修正することによって、診断分析が修正されてよい。例えば、動作条件がブレーキ不良である場合、初期診断分析は、なぜブレーキが不良であるかの診断に関連する一連のタスクを実行するように形成されてもよい。そのような診断分析は、圧力テスト、ブレーキ解析、ブレーキパッドの摩耗チェックなどを含んでもよい。特に、製造者、機種などに関係なく、各ブレーキシステムに対して、いくつかの診断分析のタスクは同一である。そして、診断分析の同一のタスクは、初期診断分析に含まれてもよい。さらに、初期診断分析に入力され得る「機種番号」、「製造者」、「ブレーキシステムの形式」などを含むプレースホルダが提示されてもよい。別の例では、プレースホルダは追加のタスクを含み得、車両システムが活用するブレーキシステムの形式に依存する。このようなタスクは、技術者が使用するための修正診断分析を形成するために、初期診断分析に含まれ、追加され、除去されるなどしてもよい。
【0030】
一例では、初期診断分析が指令制御装置で取得されると、初期診断分析は、修正された診断分析を形成するために、プレースホルダデータやタスクの追加または削除、タスクの追加、タスクの削除、データの入力などを含む編集を行ってよい。ただし、編集が開始されると、許可がない限り、初期診断分析の修正は初期診断分析に保存されない場合がある。具体的には、初期診断分析を修正し、修正後の診断分析を指令制御装置に保存してもよいが、修正後の診断分析は新たなファイルとして保存し、初期診断分析に上書きすることはしない。このようにすることで、次に初期診断分析に関連する動作条件が発生した場合、再びこの初期診断分析が活用される。したがって、許可があれば、初期診断分析を修正または編集して上書き保存することができるが、そのような許可は必要である。許可には、パスワード、身分証明書、セキュリティ質問への回答などが含まれてもよい。許可された個人によってのみ上書きすることができる初期診断分析を有することによって、初期診断分析は、特定の動作条件のときに使用するために保存される。さらに、その初期診断分析を変更できるようにすることで、無関係なタスクを削除した、よりカスタマイズされた診断分析を提供することができる。
【0031】
指令制御装置は、車両システムの車両制御装置216からデータを受信して、データを比較・分析し、個々の車両システムに関連する健全性の診断を行うことができる。一例では、車両システムは、単一の車両制御装置を有するだけである。一方、車両制御装置には様々な車両制御装置がある。
【0032】
各車両制御装置は、1つ以上のプロセッサ218(マイクロプロセッサ、集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイなど)、電子的にコンピュータで読むことができる記憶装置や媒体であってもよいメモリ220を含み、トランシーバ222は指令制御装置および入力装置224、出力装置226と通信してもよい。入力装置は、オペレータ、または監視者と、1つ以上のプロセッサとの間のインターフェースであってよい。入力装置は、ディスプレイまたはタッチスクリーン、入力ボタン、メモリデバイスを接続するためのポートなどを含んでもよい。このようにして、車両制御装置のオペレータ、または監視者は、車両パラメータ、経路パラメータ、および行程パラメータを含むパラメータを車両制御装置に手動で提供することができる。
【0033】
車両制御装置は、移動データ、エリアデータ、車両データ、経路データなどを検出するために、エリア内および隣接して配置された1つまたは複数のセンサ228を含んでもよい。1つ以上のセンサは、圧力センサ、温度センサ、速度センサ、電圧計、角速度センサなどであってもよく、流体レベル、車輪速度、車軸温度、流体温度、エンジン性能、ブレーキ性能、摩耗などを測定してもよい。一方、1つ以上のセンサは、車両制御装置から分離されており、単に信号、データ、情報を、車両制御装置に伝達するだけである。1つ以上のセンサは、指令制御装置の指令アプリケーションによって利用され得る車両システムデータを得るために、車両システムの異なる動作システムを監視してもよいし、指令アプリケーションに伝達されるデータを分析し、決定するために、車両制御装置の1つ以上のプロセッサによって利用されてもよい。その後、各車両システムからの車両システムデータは、故障や不健全な動作システムを判別するために、互いに比較するために利用され得る。任意選択的に、車両制御装置は、指令アプリケーション230を含んでもよい。指令アプリケーションは、監視装置の指令アプリケーションとの通信のためのデータおよび情報をより効率的に処理してもよい。
【0034】
図3は、車両システムに保守を提供するための方法300を示す図である。一例では、この車両システムは、図1の車両システムである。別の例では、本方法は、図2に関連して説明したような指令制御装置によって少なくとも部分的に実行されてもよい。
【0035】
ステップ302で、指令制御装置は、指令制御装置のデータベースに車両システムに対する初期診断分析を保存する。一例では、指令制御装置は、GPOCにおける制御装置である。また、指令制御装置は、保守管理装置である。初期診断分析は、車両システムの動作条件の原因を診断するために利用した、以前の診断分析を含む履歴データから形成され得る。初期診断分析は、車両システムの動作システムの動作条件の原因を診断することに向けてもよい。例示的な実施形態において、診断分析は、車両システムの走行距離、エンジンの高温、流体レベルの低下、車軸の高温、ブレーキシステムの圧力変動、通信システムのカードの故障などに基づく一般的な保守に関連していてもよい。
【0036】
初期診断分析は、保守技術者が実行する指示や、一連のタスクなどを含んでもよい。一例では、診断分析は、一連のタスクを含む基準診断セクションを含んでもよい。例えば、通信カードが高電圧バッテリーの筐体に結合されている場合、通信カードを検査するためには、安全上の理由から、まずバッテリーを切り離す必要がある。そこで、一連のタスクや指示には、バッテリーを切り離す方法、ライブデッドライブテストなどを実行する方法が含まれる。一連のタスクは、通信カードの検査に先立ち、異なる通信チャンネルを介して通信を試み、通信の問題が遠隔地の受信機の不良の結果である可能性があるかどうかを判断することを含んでよい。基準診断セクションには、追加のタスクやデータを入力する場所を含むことができるプレースホルダがあってよい。一例では、プレースホルダは、動作条件および実行された診断分析に依存する診断分析に関連する表題提供すべきことを示す「表題」という用語だけであってもよい。別の例では、電気自動車システムの一部であるバッテリーに関連する1組のタスクと、ハイブリッド自動車システムの一部であるバッテリーに関連する別の組のタスクが存在する場合がある。車両システムの種類によっては、1組のタスクが初期診断分析から除外される場合がある。
【0037】
ステップ304において、指令制御装置は、初期診断分析を取得する。動作条件が特定され、診断分析が必要になると、指令制御装置は、提供された動作条件に固有の初期診断分析についてデータベースを検索してもよい。一例では、エンジンが高すぎる温度で動作していると判断された場合、高温エンジン初期診断分析を取得する場合がある。この目的のために、初期診断分析は、初期診断分析の位置を分かり易くするために、検索可能な名前を有していてもよい。別の例では、初期診断分析は、エンジン、ブレーキシステム、通信システム、加熱および冷却システム、車軸などの動作システムがアクセスされると、動作条件に応じて利用され得る初期診断分析のリストを提供するフォルダ、または初期ファイルを提供するように、動作システムに基づいてソートされてもよい。別の例では、初期診断分析は、製造者、車両システム所有者などによってソートされてもよい。
【0038】
ステップ306で、初期診断分析は、修正後の診断分析を形成するために修正される。初期診断分析を受信したとき、基準診断セクションが修正されてもよい。一例では、修正はデータ、情報などで基準診断セクションのプレースホルダを修正すること、および/またはプレースホルダに関連するタスクを追加または削除することを含んでもよい。一例では、指令制御装置の1つ以上のプロセッサは、指令制御装置のデータベースにアクセスして、基準診断セクションの入力の開始、プレースホルダの入力、タスクの追加を含むプレースホルダの追加や削除などを行ってもよい。一例では、データベースは、製造者および機種、所有者情報、走行距離、以前の保守や修理などを含む、車両システム自体に関連する情報を含んでもよい。データベースは、動作条件を有する動作システムに関連する情報を含んでもよい。例えば、熱いエンジンの情報が提供される場合、エンジンの種類、および製造者、エンジンを正しく診断または修理する結果となったそのエンジンの他の診断分析などに関連するデータおよび情報が取得されてもよい。このようにして、指令制御装置は、初期診断分析を修正してもよい。
【0039】
ステップ308で、指令制御装置は、修正された診断分析を保守制御装置に伝達する。一例では、保守制御装置は、指令制御装置に診断分析を要求し、これに応答して、指令制御装置は、指示のようにプレースホルダを修正しながら、修正された診断分析を形成する。修正された診断分析が形成されると、提供される一連のタスクを実行するために、修正された診断分析は、保守技術者に伝達され得る。
【0040】
ステップ310で、指令制御装置は、修正された診断分析に基づいて初期診断分析を修正する許可をオペレータに提供する。一例では、オペレータが、1つ以上のタスクが初期診断分析から追加または除去されるべきであると決定した場合に、オペレータが、初期診断分析に対してそのような修正を行う許可を指令制御装置から取得する。その許可は、パスワード、パスコード、認証情報などの使用の結果として提供されてもよい。一旦許可されると、初期診断分析は修正され、新しい初期診断分析として初期診断分析に上書き保存されてもよい。
【0041】
このように、指令制御装置は、基準診断セクションを含む初期診断分析に基づいて、車両システムの動作条件の原因を判断するために、車両システムの修正診断分析を形成する。プレースホルダを含む基準診断セクションを利用することで、修正診断分析を適宜カスタマイズすることができる。基準診断セクションを含むカスタマイズされた修正診断分析を指令制御装置から受信することにより、時間が節約され、診断分析のタスクを実行する際にタスクの見逃しがないことが保証される。一方、初期診断分析は、車両システムのためのより効果的な保守を提供するために、随時更新されてもよい。
【0042】
図4は、例示的な初期診断分析400を示す。初期診断分析は、車両システムの動作条件に関連する一連のタスク402を含んでもよい。この例では、一連のタスクは、動作条件を引き起こしているものを診断するための複数の手順を含む、手順毎の指示を有するフローチャートとして提示される。本例では、初期診断分析を修正して修正診断分析を形成するために利用され得るいくつかのプレースホルダ404が提供される。図示のように、プレースホルダは、グループをリストアップする提案、標準タスクの追加、または同様のものを含む。一例では、プレースホルダは、ハイライトされ、異なる色、異なるフォントで表示され、下線、太字、イタリック体などで、修正のためのプレースホルダに注意を喚起される。本例では、初期診断分析を修正する個人が、車両システムおよび動作システムに関連するメーカー、機種、形式、製造者などに応じてタスクをカスタマイズできるようにするために、標準タスクを削除または編集するオプションが提供される。
【0043】
図5は、図4の初期診断分析を修正した修正診断分析500を示す図である。図示のように、一連の初期タスク502は依然として提供され、この例ではプレースホルダ504が、追加タスクを提供するために利用されている。このようにして、初期診断分析を利用する個人は、車両システムおよび動作システムに関連するメーカー、機種、形式、製造者などに基づいて、フローチャートに追加タスクを挿入することができる。この例では、修正された診断分析を形成するタスクを追加するためにプレースホルダが利用されるが、他の例では一連の初期のタスクは、修正された診断分析を提供するために除去され得るプレースホルダタスクを含んでもよい。図示のように、修正された診断分析は、下書きとして保存されてもよく、その場合は、保存が承認されなければならない。このようにして、初期の診断分析の修正に対する追加の管理方法が提供される。
【0044】
いくつかの例示的な実施形態では、指令制御装置を使用して、その中のデータベースに車両システムの初期診断分析を記憶することを含み得る方法が提供される。初期診断分析は、少なくとも1つのプレースホルダを有する基準診断セクションを含んでもよい。前記方法は、車両システムの動作条件に基づいて、少なくとも1つのプレースホルダを有する基準診断セクションを含む初期診断分析を取得することと、車両システム形式、車両システム構成、車両システムに関連する履歴データ、または動作条件に関連する動作システムの少なくとも1つに基づいて初期診断分析を修正し、修正診断分析を形成することとを含んでもよい。本方法は、修正された診断分析を保守管理装置に伝達することを含んでもよい。
【0045】
任意選択的に、少なくとも1つのプレースホルダは、置き換え可能な内容、取消し可能な指示や、変換プレースホルダのうちの1つであってもよい。一態様では、初期診断分析を修正することは、取消し可能な指示を削除することを含んでもよい。別の態様では、基準診断セクションは、車両システムの動作条件に関連する少なくとも1つの指示を含むフローチャート、決定木チャート、またはタスクリストのうちの少なくとも1つを含んでもよい。任意選択的に、初期診断分析を修正することは、指令制御装置で、動作条件、車両システム形式、または車両システム構成に関連するデータを、指令制御装置を使用してデータベースで検索すること、データを基準診断セクションに入力すること、を含んでもよい。一例において、本方法は、修正された診断分析をデータベースに格納することを含んでもよい。別の例では、本方法は、初期診断分析を更新された基準診断セクションで更新するために、基準診断セクションを更新することを含んでもよい。任意選択的に、本方法は、動作条件に関連する車両システム形式、車両システム構成、または動作システムの少なくとも1つに基づく初期診断分析に対する修正に関連して初期診断分析に加えられた修正を保存せずに、データベース内に更新された基準診断セクションを有する初期診断分析を保存することを含んでもよい。さらに別の例では、基準診断セクションは、初期診断分析の表題、動作条件に関する質問、動作システム構成品の画像、動作条件に関連する文書、また一連の指示内容のうちの少なくとも1つを含んでもよい。任意選択的に、基準診断セクションは、データベースから取得されたタスクの内容を含んでもよく、タスクの内容は、初期診断分析の表題、動作条件に関する質問、動作システム構成品の画像、動作条件に関連する文書、または一連の指示内容のうちの少なくとも1つを含んでよい。一実施形態では、プレースホルダは、表題、機種番号、製造者名、構成品名、部品番号、または指示文書の少なくとも1つを含んでもよい。
【0046】
いくつかの例示的な実施形態では、1つ以上のプロセッサおよびデータベースを含む車両システムのための指令制御装置を含むシステムが提供される。1つ以上のプロセッサは、車両システムの初期診断分析をデータベースに格納し、初期診断分析は、少なくとも1つのプレースホルダを有する基準診断セクションを含み、車両システム形式、車両システム構成、車両システムに関連する履歴データ、または動作条件に関連する動作システムの少なくとも1つに基づいて初期診断分析を修正して修正診断分析を形成し得る。1つ以上のプロセッサは、修正された診断分析を保守管理装置に伝達してもよい。
【0047】
任意選択的に、少なくとも1つのプレースホルダは、置き換え可能な内容、取消し可能な指示や、変換プレースホルダのうちの1つであってもよい。一態様では、変換プレースホルダは、第一の単位を第二の単位に変換してもよい。別の態様では、基準診断セクションは、車両システムの動作条件に関連する少なくとも1つの指示を含むフローチャート、決定木チャート、またはタスクリストのうちの少なくとも1つを含んでもよい。一例において、車両システムは、鉄道車両システムであってもよい。別の実施例では、基準診断セクションは、車両システムの動作条件に関連する一連のタスクを含んでもよい。任意選択的に、タスクの内容は、診断分析の表題、動作条件に関する質問、動作システム構成品の画像、または動作条件に関連する文書のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0048】
いくつかの例示的な実施形態では、データベースを有する車両システムのための指令制御装置および1つ以上のプロセッサを含むことができるシステムが提供される。1つ以上のプロセッサは、データベースにおいて車両システムのための初期診断分析を記憶し、初期診断分析は少なくとも1つのプレースホルダを有する基準診断セクションを含み、車両システムの動作条件に基づいて少なくとも1つのプレースホルダを有する基準診断セクションを含む初期診断分析を取得することができる。初期診断分析は、車両システムの動作条件に関連する一連のタスクを含んでもよい。1つ以上のプロセッサは、動作条件に関連する動作システムに関連する動作システムデータに基づいて初期診断分析を修正して修正診断分析を形成し、修正診断分析を保守管理装置に伝達してもよい。任意選択的に、動作システムデータは、車両システム形式、車両システム構成、またはハードウェアも動作システムに関連する履歴データのうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0049】
一実施形態では、本明細書に記載される制御装置やシステムは、ローカルデータ収集システムが配備されてもよく、機械学習を使用して誘導に基づく学習成果を可能にしてもよい。コントローラは、データ駆動型予測を行い、データのセット(様々なセンサによって提供されるデータを含む)に従って適応することによって、データのセットから学習し、決定を行い得る。実施形態では、機械学習は、教師あり学習、教師なし学習、および強化学習などの機械学習システムによる複数の機械学習タスクを実行することを含み得る。教師あり学習は、例示的な入力および所望の出力のセットを機械学習システムに提示することを含み得る。教師なし学習は、パターン検出および/または特徴学習などの方法によってその入力を構造化する学習アルゴリズムを含み得る。強化学習は、機械学習システムが動的環境内で実行し、次いで、正確および不正確な決定に関するフィードバックを提供することを含み得る。例では、機械学習は、機械学習システムの出力に基づいて複数の他のタスクを含み得る。例では、タスクは、分類、回帰、クラスタリング、密度推定、次元削減、異常検出などのような機械学習問題であり得る。例では、機械学習は、複数の数学的および統計的技法を含み得る。例では、多くのタイプの機械学習アルゴリズムは、決定木ベースの学習、アソシエーションルール学習、ディープラーニング、人工ニューラルネットワーク、遺伝子学習アルゴリズム、帰納論理プログラミング、サポートベクターマシン(SVM)、ベイジアンネットワーク、強化学習、表現学習、ルールベース機械学習、スパース辞書学習、類似性メトリック学習、学習分類子システム(LCS)、ロジスティック回帰、ランダムフォレスト、K平均法、勾配ブースト、K近傍法(KNN)、アプリオリアルゴリズムなどを含み得る。実施形態では、特定の機械学習アルゴリズムが使用され得る(例えば、自然選択に基づき得る制約つき最適化問題および制約なし最適化問題の両方を解決するために)。例では、アルゴリズムは、いくつかの構成要素が整数値であることに制限されている、混合整数計画法の問題に対処するために使用され得る。アルゴリズムならびに機械学習技術およびシステムは、計算インテリジェンスシステム、コンピュータビジョン、自然言語処理(NLP)、推奨システム、強化学習、グラフィカルモデルの構築などで使用され得る。一例では、機械学習は、判定、計算、比較および行動分析などを行う際に使用され得る。
【0050】
一実施形態では、コントローラは、1つ以上のポリシーを適用し得るポリシーエンジンを含み得る。これらのポリシーは、機器または環境の所与の項目の特性に少なくとも部分的に基づき得る。コントロールポリシーに関して、ニューラルネットワークは、多数の環境パラメータおよびタスク関連パラメータの入力を受信することができる。これらのパラメータは、例えば、操作機器に関する動作入力、様々なセンサからのデータ、場所および/または位置データなどを含み得る。ニューラルネットワークは、これらの入力に基づいて出力を生成するように訓練され得、出力は、機器またはシステムが操作の目標を達成するために取るべきアクションまたはアクションのシーケンスを表す。一実施形態の動作中に、ニューラルネットワークのパラメータを通して入力を処理して、そのアクションを所望のアクションとして指定する値を出力ノードで生成することによって、判定を行うことができる。このアクションは、車両を動作させる信号に変換され得る。これは、バックプロパゲーション、フィードフォワードプロセス、クローズドループフィードバック、またはオープンループフィードバックを介して達成され得る。代替的に、バックプロパゲーションを使用するのではなく、コントローラの機械学習システムは、進化戦略技術を使用して、人工ニューラルネットワークの様々なパラメータを調整し得る。コントローラは、バックプロパゲーションを使用して常に解決可能であるわけではない場合がある関数、例えば、非凸である関数、を有するニューラルネットワークアーキテクチャを使用し得る。一実施形態では、ニューラルネットワークは、そのノード接続の重みを表すパラメータのセットを有する。このネットワークの多数のコピーが生成され、次いで、パラメータに様々な調整が行われ、シミュレーションが行われる。様々なモデルからの出力が取得されると、判定された成功メトリックを使用して、それらのパフォーマンスに基づいて評価され得る。最良のモデルが選択され、車両コントローラは、予測された最良の結果シナリオをミラーリングするために所望の入力データを達成する計画を実行する。更に、成功メトリックは、互いに重み付けされ得る最適化された結果の組み合わせであり得る。
【0051】
いくつかの例示的な実施形態では、デバイスは、本明細書に記載された1つ以上の処理を実行する。いくつかの例示的な実施形態では、デバイスは、メモリおよび/またはストレージ構成品などのコンピュータ可読媒体によって記憶されたソフトウェアの指示を実行するプロセッサに基づいて、これらの処理を実行する。コンピュータ可読媒体(例えば、非一過性のコンピュータ可読媒体)は、本明細書では、非一過性のメモリデバイスとして定義される。メモリデバイスは、単一の物理的な記憶装置の内部に位置するメモリ空間、または複数の物理的な記憶装置にまたがって広がるメモリ空間を含んでもよい。
【0052】
ソフトウェア指示は、別のコンピュータ可読媒体から、あるいは通信インターフェースを介して別の装置から、メモリおよび/または記憶構成要素に読み込むことができる。実行されると、メモリおよび/または記憶構成要素に格納されたソフトウェア指示は、本明細書に記載された1つまたは複数の処理をプロセッサに実行させる。加えてまたは代替的に、ハードワイヤード回路を、ソフトウェア指示の代わりに、またはソフトウェア指示と組み合わせて使用して、本明細書に記載される1つまたは複数の処理を実行してもよい。したがって、本明細書に記載される実施形態は、ハードウェア回路とソフトウェアとの任意の特定の組み合わせに限定されるものではない。
【0053】
本明細書で使用されるように、用語「プロセッサ」および「コンピュータ」、ならびに関連する用語、例えば「処理装置」、「計算装置」および「制御装置」は、当技術分野でコンピュータと呼ばれる集積回路だけに限らず、マイクロコントローラ、マイクロコンピュータ、プログラム可能論理コントローラ(PLC)、フィールドプログラム可能ゲート配列およびアプリケーション特定集積回路、ならびに他のプログラム可能回路を参照してもよい。好適なメモリは、例えば、コンピュータ可読媒体を含み得る。コンピュータで読み取り可能な媒体は、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリなどのコンピュータ読み取り可能な不揮発性媒体であってもよい。「非一時的コンピュータ可読媒体」という用語は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュールおよびサブモジュール、または任意のデバイス内の他のデータなどの情報の短期および長期記憶のために実施される有形のコンピュータベースデバイスを表す。したがって、本明細書に記載される方法は、記憶デバイスおよび/またはメモリデバイスを含むが、これらに限定されない、有形の非一時的コンピュータ可読媒体に具体化される実行可能命令として符号化され得る。このような命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、本明細書に記載される方法の少なくとも一部を実行させる。このように、この用語には、有形のコンピュータ可読媒体を含むことができ、これには、限定されないが、揮発性および不揮発性媒体、ならびにファームウェア、物理および仮想ストレージ、CD-ROMS、DVD、およびネットワークまたはインターネットなどの他のデジタルソースなどの取り外し可能および取り出しできない媒体などの非一時的コンピュータストレージデバイスが含まれる。
【0054】
単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明示的に別様に示さない限り、複数形の参照を含む。「任意選択的な」または「任意選択的に」は、続いて記載される事象もしくは状況が生じる場合があるか、または生じない場合があり、その記載が、その事象が生じる場合および生じない場合を含み得ることを意味する。本明細書および特許請求の範囲全体を通してここで使用される近似言語は、それが関連し得る基本機能の変更をもたらすことなく許容可能に変化し得る任意の定量的表現を修正するために適用され得る。したがって、「約」、「実質的に」、および「およそ」などの用語(1つまたは複数)によって修飾される値は、指定された正確な値に限定されない場合がある。少なくともいくつかの場合では、近似言語は、値を測定するための器具の精度に対応し得る。本明細書および特許請求の範囲全体を通じて、文脈または言語が他に示さない限り、範囲制限は、組み合わせおよび/または入れ替えられ得、かかる範囲は特定され、そこに含まれるすべての下位範囲を含み得る。
【0055】
この書面による説明は、実施例を使用して、最良の態様を含む実施形態を開示し、かつ当業者が、任意のデバイスまたはシステムの製造および使用ならびに任意の組み込まれた方法の実行を含む実施形態を実践することを可能にする。特許請求の範囲は、本開示の特許を受けることができる範囲を定義し、当業者に着想される他の例を含む。そのような他の例は、それらが特許請求の範囲の文字通りの文言と異ならない構造要素を有する場合、
図1
図2
図3
図4
図5
【外国語明細書】